JP2001089773A - 水素製造用原料油およびその製造方法 - Google Patents

水素製造用原料油およびその製造方法

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hydrogen
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Hiroto Matsumoto
寛人 松本
Tetsuya Fukunaga
哲也 福永
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Idemitsu Kosan Co Ltd
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Idemitsu Kosan Co Ltd
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  • Hydrogen, Water And Hydrids (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 安価で取扱いの容易な水素製造用の原料油及
びその製造方法の提供。 【解決手段】 沸点が140〜270℃の留分が90%
以上でプロトンNMRで測定したメチル基由来の水素の
吸収ピークの面積と芳香族環に結合した水素の吸収ピー
クの面積との比が10以上である炭化水素油、および重
質軽油、分解軽油、減圧軽油、コーカーガスオイル、ビ
スブレーカーガスオイル及び溶剤脱れき油の中から選ば
れる少なくとも一種を含む重質油の水素化処理による該
炭化水素油の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、炭化水素油の水蒸
気改質等による水素製造等に用いる水素製造用原料油お
よびその製造方法に関する、さらに詳しくは水素を燃料
とする燃料電池用水素を製造するのに適した水素製造用
原料油およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】燃料電池システム等で使用する水素を製
造する方法として、炭化水素原料を水蒸気改質あるいは
部分酸化する方法がある。上記水蒸気改質あるいは部分
酸化反応は、NiあるいはRu等の貴金属触媒を用い
て、常圧〜30kg/cm 2 G 、700 〜800 ℃で水蒸気及び又
は空気(酸素)の共存下で実施する。通常は、比較的反
応の容易なメタン、メタノール、LPG、ナフサなどを
炭化水素原料としている。これらの反応前に原料中の硫
黄分を通常の水素化脱硫などの方法で約0.2wtppm以下に
脱硫しておく場合もある。
【0003】灯油は、水素製造用の原料として安価な原
料である他、引火点の比較的高い液体燃料であり上記燃
料等よりも安全性にも優れることから、特に緊急時の非
常用電源あるいは離島などの遠隔地の電源などに使用さ
れる燃料として利用されている。また、同様の理由で燃
料電池の水素供給のための原料として好適であると考え
られている。しかし、灯油は沸点範囲が140 ℃〜270 ℃
程度と高く重質な原料であり上記反応においては触媒上
に炭素析出が生じ易く、長期間安定して水素を製造する
ことが困難であるという問題があった。そのため、灯油
を水素発生用原料として用いた燃料電池システムの実用
化レベルの開発までは進んでいなかった。
【0004】例えば、特開平1-188406号公報、特開平2-
204301号公報には硫黄分150wtppm以下の灯油留分より水
蒸気改質法で水素を製造する方法が開示されており、原
料灯油としては、硫黄分150wtppm以下、引火点40℃以
上、密度0.75〜0.85、沸点範囲150 〜270 ℃の性状を有
するものが望ましいとしているが、JIS 一号灯油の一般
的な性状を示しているのに過ぎず、上記問題点を解決で
きるような水素製造に好適な灯油の性状についての知見
は示されていない。また、特開平5-70780 号公報、特開
平6-80972 号公報、特開平6-91173 号公報ではいずれも
燃料電池の水素源としての灯油の脱硫方法が開示されて
いる。しかしながら、どれも触媒寿命まで考えた水素製
造に好適な灯油の性状については記載はない。
【0005】なお、灯油の主な JIS規格は下記のとおり
であるが、主として灯火、暖厨房などに使うことを目的
にした規格であり、水素製造についての好適な性状につ
いては規定されていない。 (JIS 一号灯油規格) 引火点:40℃以上、95%留出温度270 ℃以下、硫黄分80
ppm 以下、煙点23以上など
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
をふまえて、燃料電池用等の水素製造用原料油として安
価で取扱いの簡単な炭化水素油、およびその製造方法を
提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、炭化水素
原料から水蒸気改質あるいは部分酸化して水素を製造す
る方法において、触媒劣化が少なく、長期間安定して水
素製造が可能な性状を持つ原料油とその効率良い製造方
法を提供する方法を見い出した。灯油等の炭化水素から
水素を作る方法として、本発明においては下式に示すよ
うに水蒸気改質による方法、あるいは部分酸化による方
法を基本としている。 [水蒸気改質反応] CnHm+2nH2 O → nCO2 +(2n+m/2)H2 ・・(1)式 [部分酸化反応] CnHm+nO2 → nCO2 +m/2H2 ・・・・・(2)式 ここでCnHmは原料油の平均的分子式を示す。本発明
の原料油の沸点範囲では、通常nは10〜14程度であ
る。(2)式においてO2 は空気として導入することが
多い。O2 導入量がnより多くなると、CnHmは完全
にCO2 とH2Oとなる完全酸化反応が生ずるため好ま
しくない。なお、(2)式の部分酸化反応では、H2
が共存し水蒸気改質反応が同時に行われても良い。これ
らの反応は触媒を用いて比較的低温(700〜800℃
程度)で行われることが多い。触媒としては、Niある
いはRuなどの貴金属を耐火性酸化物担体に担持したも
のを用いる。
【0008】上記各反応においては、一般的に原料炭化
水素が重質化すると反応中に触媒上で炭素析出(コーキ
ング)が生じ短期間で触媒が劣化してしまうという問題
が生じる。灯油は炭素数が10以上の炭化水素を多数含
み沸点範囲が高い(140 ℃〜270 ℃)ため、それより軽
質なガス状炭化水素(メタン、プロパンなど)やナフサ
留分(炭素数5〜8程度、沸点範囲190 ℃以下)と比較
すると上記反応において炭素析出が非常に起こりやすく
触媒劣化を引き起こし易い。また、通常の灯油は硫黄分
を数十ppm程度含んでおり、さらにこれら硫黄を含む
化合物がベンゾチオフェン等の比較的重質な化合物であ
るため、脱硫が困難であり、上記の水蒸気改質あるいは
部分酸化反応の前に加圧下で水素化脱硫する等の複雑な
脱硫装置を設置する必要があるという問題がある。
【0009】そこで本発明者らは水素製造を目的とする
原料油の性状について鋭意検討した結果、特定の性状を
満足すれば、灯油のような沸点範囲の高い留分でも上記
反応時に触媒上の炭素析出が非常に少なくなることを見
出した。また、低品位の重質炭化水素油を特定の接触水
素化処理をすることにより、上記炭素析出しにくい特定
の性状を示し、かつ低硫黄の水素製造用原料油が高収率
で製造することができることを見出し、本発明を完成し
たものである。
【0010】すなわち、本発明の要旨は下記のとおりで
ある。 (1) 沸点が140〜270℃の留分が90vol%
以上含まれる炭化水素混合物からなり、プロトン核磁気
共鳴法(H−NMR)で測定したアルキル基の炭素に結
合したメチル基のプロトンの吸収ピークの面積(Hγ)
と芳香族環の炭素に直接結合したプロトンの吸収ピーク
の面積(Ha)の比(Hγ/Ha)が10以上である水
素製造用原料油。
【0011】(2) 環分析によって求めたナフテン炭
素の全炭素に対する百分率(%CN)が30以上である
(1)記載の水素製造用原料油。 (3) 芳香族炭化水素含量が15容量%以下である
(1)または(2)記載の水素製造用原料油。 (4) 硫黄分が1重量ppm以下である(1)〜
(3)のいずれかに記載の水素製造用原料油。
【0012】(5) アミン系および/またはフェノー
ル系酸化防止剤を5〜100重量ppm含有する(1)
〜(4)のいずれかに記載の水素製造用原料油。 (6) 燃料電池に用いる水素を製造するための、
(1)〜(5)のいずれかに記載の水素製造用原料油。 (7) Ni系脱硫剤で処理することを特徴とする
(1)〜(6)のいずれかに記載の水素製造用原料油Q (8)硫黄分が0.01重量ppm以下である(7)記載
の水素製造用原料油。 (9)重質軽油、分解軽油、減圧軽油、コーカーガスオ
イル、ビスブレーカーガスオイル及び溶剤脱れき油の中
から選ばれる少なくとも一種を含む重質炭化水素油を、
水素化処理する(1)〜(8)のいずれかに記載の水素
製造用原料油の製造方法 (10) (A)前記重質炭化水素油を非晶質系水素化
処理触媒と接触させ、水素化脱硫及び脱窒素処理する工
程、(B)上記(A)工程で処理された炭化水素油をゼ
オライト系水素化分解触媒と接触させ水素化分解処理す
る工程、および(C)上記(B)工程で処理された炭化
水素油を非晶質系水素化処理触媒と接触させ水素化脱硫
する工程を順次実施する(9)記載の水素製造用原料油
の製造方法。
【0013】(11) 前記(C)工程で処理された炭
化水素油の一部を前記(A)工程および/または(B)
工程にリサイクルする(10)記載の水素製造用原料油
の製造方法。 (12) 前記(A)工程及び(C)工程において用い
る非晶質系水素化処理触媒が、非晶質担体に周期律表第
6族、第8族、第9族及び第10族金属の中の少なくと
も一種を担持させたものである(10)または(11)
記載の水素製造用原料油の製造方法。
【0014】(13) 前記(B)工程において用いら
れるゼオライト系水素化分解触媒が、Y型ゼオライトを
含む担体または、アルミナと酸化ホウ素およびY型ゼオ
ライトを含む担体に、周期律表第6族、第8族、第9族
及び第10族金属中の少なくとも一種を担持させたもの
である(10)〜(12)のいずれかに記載の水素製造
用原料油の製造方法。
【0015】(14) Y型ゼオライトがフォージャサ
イト型アルミノシリケートおよび硫酸法による鉄含有ス
チーミングアルミノシリケートの中から選ばれた少なく
とも一種である(13)記載の水素製造用原料油の製造
方法。 (15) 担体中のY型ゼオライトの含有量が5〜60
重量%である(13)または(14)記載の水素製造用
原料油の製造方法。
【0016】(16) (1)〜(6)のいずれかに記
載の水素製造用原料油をNi系脱硫剤で処理する水素製
造用原料油の製造方法。 (17) (1)〜(8)のいずれかに記載の水素製造
用原料油を水蒸気改質または部分酸化する水素の製造方
法。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明の水素製造用原料油は、沸
点が140〜270℃の留分を90vol%以上含む炭
化水素混合物からなり、プロトン核磁気共鳴法(H−N
MR)で測定したアルキル基の炭素に結合したメチル基
のプロトンの吸収ピークの面積(Hγ)と芳香族環の炭
素に直接結合したプロトンの面積(Ha)の比(Hγ/
Ha)が10以上のものである。この原料油を用いて、
水蒸気改質あるいは、部分酸化により水素製造を行なう
と、重質な原料油でありながら水素製造用の触媒上の炭
素析出が抑制される。
【0018】上記に加えてさらに環分析によって求めた
ナフテン炭素の全炭素に対する百分率(%CN)が30
以上である場合、炭素析出の抑制効果はさらに大きい。
また、芳香族含量が15vol%以下であることが好ま
しい。さらに、これら原料油の硫黄含有量が1重量pp
m以下であれば、上記の水蒸気改質あるいは部分酸化反
応前の脱硫が容易あるいは不要になりそのメリットは大
きい。また、本発明の原料油の硫黄の含有量を1重量p
pm以下にすると、酸化安定性が低下する場合がある。
酸化安定性の低下を防ぐためには必要に応じてアミン系
及び/又はフェノール系酸化防止剤を5〜100wtp
pm添加し、原料油の酸化安定性の低下を防ぐことによ
り長期の安定貯蔵が可能になる。また、本発明の原料油
はJIS一号灯油の規格(K2203−1996)をす
べて満足しているものが好ましい。
【0019】また、これら水素製造に適した原料油を好
適に製造する方法としては、特定の重質炭化水素油に非
晶質系炭化水素処理を用いた水素化脱硫及び脱窒素処理
工程、ゼオライト系水素化分解処理触媒を用いた水素化
分解処理工程及び非晶質系水素化処理触媒を用いて水素
化脱硫処理工程を順次施すればよい。この方法により製
造すれば、工業的に効率良く高収率で上記の特定の性状
を持つ水素製造に適した本発明の原料油を製造できる。
【0020】本発明の水素製造用原料油は、原料油のプ
ロトン核磁気共鳴(H−NMR)スペクトル分析を行な
った時の、アルキル基の炭素に結合したメチル基のプロ
トンの吸収ピークの面積(Hγ)と芳香族環の炭素に直
接結合したプロトンの吸収ピークの面積(Ha)の比
(Hγ/Ha)が10以上、好ましくは15以上であ
る。ここで、NMRスペクトルの化学シフトが0.5〜
1.05ppmの吸収領域をアルキル基の炭素に結合し
たメチル基のプロトンの吸収領域とし、6.2〜9.2
ppmの領域を芳香族環の炭素に直接結合したプロトン
の吸収領域と定義する。
【0021】原料油のH−NMR分析を行なった時の、
上記メチル基の吸収ピーク面積(Hγ)はアルキル基の
炭素に結合したメチル基のプロトンによる吸収領域にあ
る吸収ピークの面積の総和であり、芳香族環のピーク面
積(Ha)は、芳香族環の炭素に直接結合したプロトン
による吸収領域にある吸収ピークの面積の総和である。
Hγは、原料油中の炭化水素のアルキル側鎖(メチル
基)の量に関係し、Haは芳香族環の数に関係する。H
γ/Haが大きくなる、すなわち原料油中の側鎖を含む
炭化水素と芳香族環がある一定の関係にある場合触媒上
の炭素析出は著しく抑制される。
【0022】さらに、本発明の原料油はナフテン炭素の
全炭素に対する百分率(%CN)は、通常30以上、さ
らには40以上であることが好ましい。ASTM D−
3238で示されている環分析法(n−d−M)法は、
原料油の沸点範囲(140〜270℃)では適用範囲外
になっているが、そのまま原料油に適用してナフテン炭
素の全炭素に対する百分率(%CN)を求める。%CN
が大きいと原料油中のナフテン系炭化水素の量が多いこ
とを示し、上記の好適なHγ/Haの範囲にある原料油
においては、ナフテン系炭化水素が多い方が触媒上の炭
素析出が抑制される。
【0023】また、本発明の原料油の好適な芳香族分の
含有量の範囲は15vol%以下である。触媒上の炭素
析出抑制の観点からは、少ない方が好ましい。しかし、
原料油を経済的に工業的製造をする場合、芳香族分が多
少入ってくることはやむを得ないが、これを15vol
%以下に抑えることが好ましい。尚、Hγ/Ha及び%
CNが上記所定の範囲内であれば、芳香族分が10〜1
5vol%という比較的高濃度であっても、炭素析出抑
制効果に悪影響は与えない。
【0024】本発明の原料油の好ましい硫黄分含有量は
1重量ppm以下さらに好ましくは0.5重量ppm以
下である。原料油中の硫黄含有量が少ないほど水素製造
の原料としては好ましいが、上記範囲内であれば水素製
造には好適である。本発明の原料油中にはアミン系ある
いはフェノール系酸化防止剤を含有させることが好まし
い。硫黄分を上記のように1重量ppm以下にした場合
などは原料油の酸化安定性が極端に低下する場合があ
る。よって、好ましくは酸化防止剤として効果のあるア
ミン系あるいはフェノール系化合物を含有している方が
良い。ここでアミン系酸化防止剤、フェノール系酸化防
止剤としては特に制限はないが、例えば、燃料油添加剤
として知られている第13表(石油製品添加剤 第二版
P102、桜井 俊男編著、幸書房 昭和54年参照)
に示す化合物が好ましい。酸化防止剤の含有量としては
5〜100wtppm含有することが好ましい。上記酸
化防止剤を単独で含有していても良いし、複数組合わせ
て含有していても良い。
【0025】つぎに、本発明の原料油を用いた本発明の
水素の製造方法について説明する。 (水素製造の前処理としての脱硫)水素製造を行なうに
当たり、原料炭化水素中に硫黄分が含まれる場合、特に
0.2wtppm以上含まれる場合は硫黄化合物は水素
製造反応の触媒の被毒物質になるため、反応前に脱硫を
行なうことが好適である。脱硫方法は、特に制限されな
いが、例えば水素化脱硫法がある。水素化脱硫では、上
流にCo−Mo担持/アルミナ担体あるいは、Ni‐M
o担持/アルミナ担体などの水素化脱硫触媒を使用し、
下流にZnO等のH2 Sの吸着剤を使用すればよい。反
応条件は、通常、圧力:常圧〜50kg/cm2 、温
度:200〜400℃とすればよい。
【0026】また、脱硫方法として、石油系炭化水素用
脱硫剤を利用しても良い。石油系炭化水素用脱硫剤は、
担体上に金属成分を担持させたものである。該担体とし
ては、多孔質担体が好ましく、特に多孔質の無機酸化物
が好ましい。このようなものとしては、例えばシリカ、
アルミナ、シリカ−アルミナ、チタニア、ジルコニア、
マグネシア、酸化亜鉛、白土、粘土及び珪藻土などを挙
げることができる。これらは単独で用いてもよく、二種
以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中で特にシ
リカ−アルミナが好適である。これらの担体上に担持さ
せる金属成分としては、特にニッケルが好適である。ま
た、このニッケルに必要に応じ、銅、コバルト、鉄、マ
ンガン、クロムなどの他の金属を少量混在させてもよ
い。本発明においては、ニッケルの担持量は、脱硫剤全
量に基づき、金属ニッケルとして40重量%以上が好ま
しい。この担持量が40重量%未満では充分な脱硫性能
が発揮されないおそれがある。また、担持量があまり多
すぎると担体の割合が少なくなって、脱硫剤の機械的強
度や脱硫性能が低下する原因となる。脱硫性能及び機械
的強度などを考慮すると、この金属ニッケルの好ましい
担持量は40〜80重量%、より好ましい担持量は50
〜70重量%の範囲である。
【0027】該担体に金属成分を担持させる方法につい
ては特に制限はなく、含浸法、共沈法、混練法などの公
知の任意の方法を採用することができる。本発明の好ま
しい脱硫剤である、アルミナ−シリカ担体上にニッケル
を担持させてなる脱硫剤は、例えば以下に示すような共
沈法によって製造することができる。この共沈法におい
ては、まずニッケル源及びアルミニウム源を含む酸性水
溶液又は酸性水性分散液と、ケイ素源及び無機塩基を含
む塩基性水溶液を調製する。前者の酸性水溶液又は酸性
水分散液に用いられるニッケル源としては、例えば塩化
ニッケル、硝酸ニッケル、硫酸ニッケル及びこれらの水
和物などが挙げられる。また、アルミニウム源としては
硝酸アルミニウム、擬ベーマイト、ベーマイトアルミ
ナ、バイヤライト、ジブサイトなどのアルミナ水和物
や、γ−アルミナなどが挙げられる。
【0028】一方、塩基性水溶液に用いられるケイ素源
としては、アルカリ水溶液に可溶であって、焼成により
シリカになるものであればよく、特に制限されず、例え
ばオルトケイ酸、メタケイ酸及びそれらのナトリウム塩
やカリウム塩、水ガラスなどが挙げられる。また、無機
塩基としては、アルカリ金属の炭酸塩や水酸化物などが
挙げられる。次に、このようにして調製した酸性の水溶
液又は水分散液と塩基性水溶液を、それぞれ50〜90
℃程度に加温して、両者を混合し、さらに50〜90℃
程度の温度に保持して反応を完結させる。次に、生成し
た固形物を充分に洗浄したのち固液分離するか、あるい
は生成した固形物を固液分離したのち充分に洗浄し、次
いで、この固形物を公知の方法により80〜150℃程
度の温度で乾燥処理する。このようにして得られた乾燥
処理物を、好ましくは200〜400℃の範囲の温度に
おいて焼成することにより、シリカーアルミナ担体上に
ニッケルが担持された脱硫剤が得られる。
【0029】(水素製造)ここで言う、本発明の原料油
を用いた水素製造とは、本発明の原料油を水蒸気改質あ
るいは、部分酸化することにより水素を得る方法であ
る。本発明の原料油が特に有効なのは、触媒を用いた上
記反応においてである。水蒸気改質、部分酸化の方法あ
るいは反応条件は特に制限されない。まず、水蒸気改質
においてにおいて用いられる水蒸気改質触媒としては特
に制限はなく、従来炭化水素の水蒸気改質触媒として知
られている公知のものの中から、任意のものを適宜選択
して用いることができる。このような水蒸気改質触媒と
しては、例えば適当な担体にニッケルやジルコニウム、
あるいはルテニウム、ロジウム、白金などの貴金属を担
持したものを挙げることができる。上記担持金属は一種
担持させてもよく、二種以上を組み合わせて担持させて
もよい。これらの触媒の中で、ルテニウムを担持させた
もの(以下、ルテニウム系触媒と称す。)が好ましく、
水蒸気改質反応中の炭素析出を抑制する効果が大きい。
このルテニウム系触媒の場合、ルテニウムの担持量は担
体基準で0.05〜20重量%の範囲が好ましい。この
担持量が0.05重量%未満では水蒸気改質活性が充分
に発揮されないおそれがり、一方20重量%を超えると
その担持量の割には触媒活性の向上効果があまり認めら
れず、むしろ経済的に不利となる。触媒活性及び経済性
などを考慮すると、このルテニウムのより好ましい担持
量は0.05〜15重量%であり、特に0.1〜2重量
%の範囲が好ましい。
【0030】このルテニウムを担持する場合、所望によ
り、他の金属と組み合わせて担持することができる。該
他の金属としては、例えばジルコニウム、コバルト、マ
グネシウムなどが挙げられる。ルテニウムとジルコニウ
ムを組み合わせて担持する場合、ジルコニウムの担持量
は、ZrO2 として担体基準で、通常0.5〜20重量
%、好ましくは0.5〜15重量%、より好ましくは1
〜15重量%の範囲で選定される。また、ルテニウムと
コバルトを組み合わせて担持する場合、コバルトの担持
量は、ルテニウムに対するコバルトの原子比が、通常
0.01〜30、好ましくは0.1〜30、より好まし
くは0.1〜10になるように選定される。さらに、ル
テニウムとマグネシウムを組み合わせて担持する場合、
マグネシウムの担持量は、MgOとして担体基準で通常
0.5〜20重量%、好ましくは0.5〜15重量%、
より好ましくは1〜15重量%の範囲で選定される。
【0031】一方、担体としては、無機酸化物が好ま
し、具体的にはアルミナ、シリカ、ジルコニア、マグネ
シア及びこれらの混合物などが挙げられる。これらの中
で、特にアルミナ及びジルコニアが好適である。本発明
で用いられる水蒸気改質触媒の好ましい態様の一つとし
て、ルテニウムをジルコニアに担持した触媒が挙げられ
る。このジルコニアは、担体のジルコニア(ZrO2
でもよいし、マグネシアのような安定化成分を含む安定
化ジルコニアでもよい。この安定化ジルコニアとして
は、マグネシア、イットリア、セリアなどを含むものが
好適である。本発明で用いられる水蒸気改質触媒の好ま
しい態様のもう一つとしては、ルテニウムとジルコニウ
ム、又はルテニウムとジルコニウムの他に、さらにコバ
ルト及び/又はマグネシウムとをアルミナ担体に担持し
た触媒を挙げることができる。該アルミナとしては、特
に耐熱性と機械的強度に優れるα−アルミナが好まし
い。水蒸気改質処理における反応条件としては、水蒸気
と石油系炭化水素に由来する炭素との比S/C(モル
比)は、通常1.5〜10、好ましくは1.5〜5、より好
ましくは2〜4の範囲で選定される。S/Cモル比が1.
5未満では水素の生成量が低下するおそれがあり、また
10を超えると過剰の水蒸気を必要とし、熱ロスが大き
く、水素製造の効率が低下するので好ましくない。
【0032】また、水蒸気改質触媒層の入口温度を63
0℃以下、さらには600℃以下に保って水蒸気改質を
行うのが好ましい。入口温度が630℃を超えると石油
系炭化水素の熱分解が促進され、生成したラジカル経由
で触媒あるいは反応管壁に炭素が析出して、運転が困難
になる場合がある。なお、触媒層出口温度は特に制限は
ないが、650〜800℃の範囲が好ましい。触媒層出
口温度が650℃未満では水素の生成量が充分ではない
おそれがあり、800℃を超えると反応装置は耐熱材料
を必要とする場合があり、経済的に好ましくない。反応
圧力は、通常常圧〜30kg/cm2 、好ましくは常圧
〜10kg/cm 2 の範囲であり、また、LHSVは、
通常0.1〜100h-1、好ましくは0.2〜50h-1
の範囲である。上記水素の製造方法においては、上記水
蒸気改質により得られるCOが水素生成に悪影響を及ぼ
すため、これを反応によりCO2 としてCOを除くこと
が好ましい。次に、部分酸化は、圧力:常圧〜50kg
/cm2 、温度:400〜1100℃、酸素(O2 )/
カーボン比:0.2〜0.8、またスチーム添加の場合
は、スチーム/カーボン比:0.4〜4で、Niあるい
は貴金属を耐熱性酸化物担体に担持した触媒を用いて行
う。
【0033】このようにして、得られた水素は各種の用
途に使用できるが、燃料電池システムの一部に上記の水
素製造法を適用することが好ましい。原料油の取扱い
性、設備の小型、簡略性、触媒の長寿命性など燃料電池
用水素製造法として優れている。すなわち、本発明の水
素製造用原料油が燃料電池用水素製造のための燃料とし
て好適である。
【0034】次に、本発明の水素製造用原料油の製造方
法につき説明する。本発明の水素製造用原料油の製造に
おいては、その原料油として重質軽油,分解軽油,減圧
軽油,コーカーガスオイル,ビスブレーカーガスオイル
及び溶剤脱瀝油の中から選ばれた少なくとも一種を含む
重質炭化水素油(以下、重質炭化水素油という)が用い
られる。ここで、重質軽油は、原油の常圧蒸留により得
られる重質の軽油のことであり、分解軽油は、重質軽
油,減圧軽油又は常圧蒸留残渣油の流動接触分解により
得られる軽油のことであり、減圧軽油は、常圧蒸留残渣
油の減圧蒸留により得られる軽油のことである。また、
コーカーガスオイルは、コーカーで得られる軽油留分の
ことであり、ビスブレーカーガスオイルは、ビスブレー
カーで得られる軽油留分のことである。さらに、溶剤脱
瀝油は、減圧蒸留残渣から、プロパンなどの溶剤で抽出
した留分のことである。本発明においては、これらの重
質炭化水素油は一種のみ用いてもよく、二種以上を組み
合わせて用いてもよい。
【0035】上記の重質炭化水素油を水素化処理するこ
とにより本発明の水素製造用原料油が得られる。通常
は、本発明の重質炭化水素油の水素化処理方法は、
(A)非晶質系水素化処理触媒を用いた水素化脱硫及び
脱窒素処理工程、(B)ゼオライト系水素化分解触媒を
用いた水素化分解処理工程及び(C)非晶質系水素化処
理触媒を用いた水素化脱硫処理工程から構成されてい
る。
【0036】以下に、各工程で用いる触媒について説明
する。非晶質系水素化処理触媒この非晶質系水素化処理
触媒は、前記の(A)工程における水素化脱硫及び脱窒
素処理に、また(C)工程における水素化脱硫処理に用
いられるものであって、通常、非晶質担体に、周期律表
第6族,第8族,第9族及び第10族に属する金属の中
から選ばれた少なくとも一種の金属を担持させたものが
使用される。前記非晶質担体としては、例えばアルミ
ナ、シリカ、シリカ−アルミナ、セピオライトあるいは
これらにホウ素、珪素及びリンから選ばれた少なくとも
一種の化合物を添加してなるものを挙げることができ
る。
【0037】このような非晶質担体に担持させる周期律
表第6族に属する金属としては、タングステン、モリブ
デンが好ましい。また周期律表第8〜10族に属する金
属としては、ニッケル、コバルトが好ましい。なお、第
6族の金属及び第8〜10族の金属はそれぞれ一種用い
てもよく、また複数種の金属を組み合わせて用いてもよ
い。特に水素化活性が高くかつ劣化が少ない点から、N
i−Mo、Co−Mo、Ni−W、Ni−Co−Mo等
の組合せが好適である。
【0038】また、前記金属の担持量については、特に
制限はなく、各種条件に応じて適宜選定すればよいが、
通常は触媒全重量に基づき、金属酸化物として1〜35
重量%の範囲である。この担持量が1重量%未満では、
水素化処理触媒としての効果が充分に発揮されず、また
35重量%を超えると、その担持量の割には水素化活性
の向上が顕著でなく、かつ経済的に不利である。特に、
水素化活性及び経済性の点から5〜30重量%の範囲が
好ましい。
【0039】担持方法については、特に制限はなく、含
浸法、共沈法、混練法などの公知の任意の方法を採用す
ることができる。また、上記担体に、所望の金属を所定
の割合で担持させたのち、必要に応じて乾燥後、焼成処
理を行う。焼成温度及び時間は、担持させた金属の種類
などに応じて適宜選ばれる。このようにして得られた触
媒の平均細孔径は、50〜150Åの範囲の値であるこ
とが好ましく、平均細孔径が50Å未満の場合は、重質
分子が細孔内に十分に拡散できず、反応が不十分とな
り、また、150Åを超える場合は表面積が小さくな
り、反応が十分に進行しない。
【0040】上記触媒としては、アルミナにホウ素、珪
素及びリンから選ばれる少なくとも一種の化合物を添加
してなるものを担体として用いた場合、担体の全重量に
基づき、ホウ素化合物、珪素化合物又はリン化合物をそ
れぞれ0.5〜20重量%の割合で含有するものが好適
である。上記含有量が上記下限値未満では、水素化活性
を向上させる効果が小さく、またその上限値を超える
と、その量の割には水素化活性の向上効果があまりみら
れず、経済的でない上、脱硫活性や脱窒素活性が低下す
る場合があり、好ましくない。特に水素化活性の向上効
果の点からそれぞれ1〜18重量%の範囲が好ましい。
【0041】上記担体は、例えば水分含有量が65重量
%以上のアルミナ又はアルミナ前駆体に、ホウ素化合
物、珪素化合物又はリン化合物を所定の割合で加え、6
0〜100℃程度の温度で好ましくは1時間以上、さら
に好ましくは1.5時間以上加熱混練したのち、公知の
方法により成形、乾燥及び焼成を行うことによって、製
造することができる。加熱混練が1時間未満では、混練
が不充分となってホウ素原子等の分散状態が不充分とな
るおそれがあり、また混練温度が上記範囲を逸脱する
と、ホウ素等が充分分散しない場合があり、好ましくな
い。なお、上記ホウ素、珪素、リン又はその各化合物の
添加は、必要に応じ、水に加熱溶解させて溶液状態で行
ってもよい。
【0042】ここで、アルミナ前駆体としては、焼成に
よりアルミナを生成するものであれば、特に制限はな
く、例えば、水酸化アルミニウム、擬ベーマイト、ベー
マイト、バイヤライト、ジブサイトなどのアルミナ水和
物などを挙げることができる。上記のアルミナ又はアル
ミナ前駆体は水分含有量65重量%以上として使用する
のが望ましく、水分含有量が65重量%未満である場
合、添加した前記リン等の各化合物の分散が充分でない
おそれがある。
【0043】また、ホウ素化合物としては、酸化ホウ素
の他に、焼成により酸化ホウ素に転化しうる各種のホウ
素化合物を使用することができ、例えば、ホウ酸、ホウ
酸アンモニウム、ホウ酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウ
ム、オルトホウ酸、四ホウ酸,五硫化ホウ素、三塩化ホ
ウ素、過ホウ酸アンモニウム、ホウ酸カルシウム、ジボ
ラン、ホウ酸マグネシウム、ホウ酸メチル、ホウ酸ブチ
ル、ホウ酸トリシクロヘキシルなどが挙げられる。
【0044】また、上記担体のうちアルミナにリン化合
物を添加してなる担体に用いられるリン化合物には、リ
ン単体を含む。リン単体としては、具体的には黄リン、
赤リン等が挙げられる。リン化合物としては、例えばオ
ルトリン酸、次リン酸、亜リン酸、次亜リン酸等の低酸
化数の無機リン酸またはこれらのアルカリ金属塩あるい
はアンモニウム塩、ピロリン酸、トリポリリン酸、テト
ラポリリン酸等のポリリン酸またはこれらのアルカリ金
属塩あるいはアンモニウム塩、トリメタリン酸、テトラ
メタリン酸、ヘキサメタリン酸等のメタリン酸またはこ
れらのアルカリ金属あるいはアンモニウム塩、カルコゲ
ン化リン、有機リン酸、有機リン酸塩等が挙げられる。
これらの中で、特に低酸化数の無機リン酸、縮合リン酸
のアルカリ金属塩あるいはアンモニウム塩が活性、耐水
耐熱性、耐久性などの点から好ましい。
【0045】珪素化合物としては、酸化ケイ素の他に焼
成により酸化ケイ素に転化し得る各種のケイ素化合物を
使用することができ、例えばケイ酸、メタケイ酸、ヘキ
サフルオロケイ酸又はこれらのアルカリ金属塩、フッ化
ケイ素、塩化ケイ素、硫化ケイ素、酢酸ケイ素、シロキ
サン、シロキセン及びそれらのハロゲン置換体、アルキ
ル置換体、アリル置換体などが挙げられる。これらの中
ではケイ酸のアルカリ金属塩が活性、耐水耐熱性、耐久
性などの点から好ましい。
【0046】ゼオライト系水素化分解触媒 このゼオライト系水素化分解触媒は、前記(B)工程に
おける水素化分解処理に用いられるものであって、通常
アルミナと酸化ホウ素を含む担体及び/又はY型ゼオラ
イトを含む担体に、周期律表第6族、第8族、第9族及
び第10族に属する金属の中から選ばれた少なくとも一
種の金属を担持させたものが、好ましく使用される。
【0047】アルミナと酸化ホウ素を含む担体におい
て、アルミナと酸化ホウ素の含有比は重量比で95/5
〜70/30とすることが好ましく、特に90/10〜
80/20が好ましい。前記Y型ゼオライトとしては、
例えばフォージャサイト型アルミノシリケート、硝酸法
による鉄含有スチーミングアルミノシリケート及び硫酸
法による鉄含有スチーミングアルミノシリケートを好ま
しく挙げることができ、これらは一種を担体中に含有さ
せてもよく、二種以上を組み合わせて担体中に含有させ
てもよい。
【0048】この触媒に用いる担体としては、上記のY
型ゼオライト5〜60重量%と無機酸化物95〜40重
量%とからなるものが好適である。担体中のY型ゼオラ
イトの含有量が5重量%未満では、水素化分解触媒とし
ての効果が充分に発揮されず、また60重量%を超える
と、過分解が進行し、ガス収率の増加により中間製品の
得率が低下し不経済である。
【0049】前記Y型ゼオライト含有担体に用いられる
無機酸化物としては、例えばベーマイトゲルやアルミナ
ゾルなどのアルミナ、シリカゾルなどのシリカ、あるい
はシリカ−アルミナなどの多孔質のものが挙げられ、特
にアルミナが好ましく用いられる。前記Y型ゼオライト
内のフォージャサイト型アルミノシリケートは、公知の
方法、例えば特公平8−18819号公報に記載されて
いる方法によって製造することができる。また、硝酸法
による鉄含有スチーミングアルミノシリケート及び硫酸
法による鉄含有スチーミングアルミノシリケートは、公
知の方法、例えば特公平6−74135号公報に記載さ
れている方法などによって、製造することができる。
【0050】一方、アルミナと酸化ホウ素を含む担体
は、様々な方法によって製造することができるが、通常
はアルミナスラリーにホウ酸を加えてアルミナ−ホウ酸
スラリーを得、これをペレット等に成形し、乾燥後、高
温で焼成することによって製造する。なお、本発明の
(B)工程における触媒の担体としては、Y型ゼオライ
トを含む担体、特にY型ゼオライト及びアルミナと酸化
ホウ素(ボリア)を含む担体が好ましい。Y型ゼオライ
ト及びアルミナボリアを含む場合には、Y型ゼオライ
ト:アルミナ−ボリア=5:95〜40:60(重量
比)の範囲で選定することが好ましい。
【0051】このようなY型ゼオライトを含む担体又は
アルミナと酸化ホウ素を含む担体に担持させる周期律表
第6族に属する金属としては、タングステン、モリブデ
ンが好ましく、また周期律表第8〜10族に属する金属
としては、ニッケル、コバルトが好ましい。なお、第6
族の金属及び第8〜10族の金属はそれぞれ一種用いて
もよく、また複数種の金属を組み合わせて用いてもよい
が、特に水素化分解活性が高く、かつ劣化が少ない点か
ら、Ni−Mo,Co−Moの組合せが好適である。
【0052】上記金属の担持量としては特に制限はな
く、各種状況に応じて適宜選定すればよいが、通常、第
6族の金属は、金属酸化物として触媒全体の0.5〜2
4重量%、好ましくは8〜20重量%であり、第8〜1
0族の金属は、金属酸化物として触媒全体の0.5〜2
0重量%、好ましくは1.5〜8重量%である。また、
担持方法については、特に制限はなく、含浸法、共沈
法、混練法などの公知の任意の方法を採用することがで
きる。また、上記担体に、所望の金属を所定の割合で担
持させたのち、必要に応じて乾燥後、焼成処理を行う。
焼成温度及び時間は、担持させた金属の種類などに応じ
て適宜選ばれる。
【0053】このようにして得られた水素化分解触媒
は、平均細孔径が50〜200Åのものが好ましく、さ
らには50〜150Åのものが好ましい。この平均細孔
径が50Å未満では、重質分子が細孔内に十分に拡散し
ないので反応が十分進行しない。また、200Åを超え
る場合は表面積が小さくなるため、反応の進行が不十分
である。
【0054】次に、各工程の好ましい態様について説明
する。 (A)工程 この工程は、前記重質炭化水素油を、前記非晶質系水素
化処理触媒と接触させ、水素化脱硫及び水素化脱窒素処
理する工程である。この工程における反応条件として
は、以下の条件が用いられる。まず、反応温度は300
〜450℃の範囲が好ましい。上記反応温度が300℃
未満では反応の進行が著しく遅く、また450℃を超え
る場合は触媒上に炭素質物質(コーク)が生成し、触媒
寿命を著しく低下させる。上記と同様の理由から、反応
温度は360〜420℃の範囲が更に好ましい。また、
反応圧力、すなわち水素分圧は30〜200kg/cm
2 の範囲が好ましい。上記圧力が30kg/cm2 未満
では、炭素質物質を析出し、触媒寿命が著しく低下し、
また200kg/cm2 を超える圧力は装置設計上不経
済である。上記と同様の理由から、水素分圧は100〜
180kg/cm2 の範囲であることが更に好ましい。
更に、水素/油比は300〜2000Nm3 /キロリッ
トルの範囲であることが好ましい。上記比率が300N
3 /キロリットル未満の場合は、水素化脱硫,脱窒素
が十分に進行せず、2000Nm3 /キロリットルを超
える場合は、装置設計上不経済である。上記と同様の理
由から、上記比率は500〜1000Nm3 /キロリッ
トルの範囲であることが更に好ましい。液時空間速度
(LHSV)は0.1〜10h-1の範囲が好ましい。L
HSVが0.1h-1未満の場合は、経済的に十分な処理
速度が得られず、また10h-1を超える場合は、反応時
間が不十分で原料油の水素化脱硫,脱窒素が完了しない
という欠点がある。上記と同様の理由から、LHSVは
0.3〜5.0h-1の範囲であることが更に好ましい。
【0055】このようにして水素化脱硫及び脱窒素処理
された炭化水素油は、その一部又は全部が、次の(B)
工程の水素化分解処理工程に供給される。なお、必要な
らば、上記処理炭化水素油を気体成分と液体成分に気液
分離したのち、液体成分のみを、(B)工程に供給して
もよい。 (B)工程 この工程は、上記(A)工程で処理された炭化水素油
を、前記ゼオライト系水素化分解触媒と接触させ、水素
化分解処理する工程である。この工程における反応条件
として以下の条件が用いられる。まず、反応温度は30
0〜450℃の範囲が好ましい。上記反応温度が300
℃未満では反応の進行が著しく遅くなり、また450℃
を超える場合は過分解が進行し、ガス収率の増加により
中間製品の得率が低下し不経済である。上記と同様の理
由から、反応温度としては380〜420℃の範囲が更
に好ましい。また、反応圧力、すなわち水素分圧は30
〜200kg/cm2 の範囲が好ましい。上記圧力が3
0kg/cm2 未満では生成油の性状、例えば色相(安
定性)、芳香族分が増加して煙点等が悪化したりする。
また200kg/cm2 を超える圧力は装置設計上不経
済である。上記と同様の理由から、水素分圧は100〜
180kg/cm2 の範囲であることが更に好ましい。
更に、水素/油比は300〜2000Nm3 /キロリッ
トルの範囲であることが好ましい。上記比率が300N
3 /キロリットル未満の場合は、反応が十分に進行せ
ず、分解油の製品性状が悪化し、また2000Nm3
キロリットルを超える場合は、装置設計上不経済であ
る。上記と同様の理由から、上記比率は500〜100
0Nm3 /キロリットルの範囲であることが更に好まし
い。LHSVは0.1〜3.0h-1の範囲であることが
好ましい。LHSVが0.1h-1未満の場合は経済的な
観点から十分な処理速度が得られず、また3.0h-1
超える場合は反応時間が不十分で分解油の得率が十分に
得られない。上記と同様の理由から、LHSVは0.2
〜2.0h-1、さらには0.2〜1.0h-1の範囲であ
ることが好ましい。
【0056】このようにして水素化分解処理された炭化
水素油は、その一部又は全部が、次の(C)工程の水素
化脱硫処理工程に供給される。なお、必要ならば、上記
処理炭化水素油を気体成分と液体成分に気液分離したの
ち、液体成分のみを、(C)工程に供給してもよい。 (C)工程 この工程は、上記(B)工程で処理された炭化水素油
を、前記非晶質系水素化処理触媒と接触させ、水素化脱
硫処理する工程である。この工程における反応条件とし
ては、前記(A)工程と同様の条件を採用することがで
きる。ただし、LHSVは0.5〜20h-1、好ましく
は5〜10h-1の範囲が有利である。
【0057】このようにして水素化脱硫処理された炭化
水素油は、所望により、その一部を前記の(A)工程及
び/又は(B)工程にリサイクルすることができる。な
お、必要ならば、上記処理炭化水素油を気体成分と液体
成分に気液分離したのち、液体成分のみを、(A)工程
及び/又は(B)工程にリサイクルしてもよい。あるい
は、さらに、上記液体成分を蒸留等により高沸点留分の
みを上記同様リサイクルすると効率的である。
【0058】本発明においては、各工程での処理後、必
要に応じて気液分離された気体成分は、所望により、一
緒に合わせて水素化精製処理を行うことができる。この
水素化精製処理工程では、その反応条件として以下の条
件が用いられる。まず、反応温度は300〜450℃の
範囲が好ましい。上記反応温度が300℃未満では反応
の進行が著しく遅くなり、また450℃を超える場合は
過分解が進行し、ガス収率の増加により中間製品の得率
が低下し不経済である。上記と同様の理由から、反応温
度としては360〜420℃の範囲が更に好ましい。ま
た、反応圧力、すなわち水素分圧は30〜200kg/
cm2 、更に100〜180kg/cm2 の範囲が好ま
しい。上記圧力は30kg/cm2 程度で十分である
が、高圧気液分離槽の気体成分をそのまま反応器に供給
することが経済的であるため、このプロセスの圧力は前
段の各工程の条件により決定される。更に、水素/油比
は300〜2000Nm3 /キロリットル、更に500
〜1000Nm3/キロリットルの範囲であることが好
ましい。上記比率は300Nm3 /キロリットル程度で
十分であるが、高圧気液分離槽の気体成分をそのまま反
応器に供給することが経済的であるため、このプロセス
の水素/油比は前段の各工程の条件により決定される。
LHSVは0.5〜10h-1の範囲であることが好まし
い。LHSVが0.5h-1未満の場合は経済的な観点か
ら十分な処理速度が得られず、また10h-1を超える場
合は反応時間が不十分で分解油の処理が十分に行われな
い。上記と同様の理由から、LHSVは1.0〜5.0
-1の範囲であることが更に好ましい。
【0059】上記水素化精製処理において使用される水
素化精製触媒としては、アルミナあるいはアルミナにホ
ウ素や珪素やリンの化合物を添加したもの、又は鉄含有
アルミノシリケートを含むものを担体として、周期律表
第6、8、9及び10族に属する金属から選ばれる少な
くとも一種を担持した触媒が好ましく用いられる。この
ようなものとしては、上記(A)工程、(C)工程又は
(B)工程で用いられたものと同様のものを使用するこ
とができる。
【0060】このような水素化精製触媒は、平均細孔径
が20〜100Åのものが好ましい。この平均細孔径が
20Å未満では、触媒内拡散抵抗が大きくなり反応が十
分進行しない。また、100Åを超える場合は表面積が
小さくなり、十分な反応速度が得られない。上記と同様
の理由から、平均細孔径は20〜60Åであることが更
に好ましい。
【0061】このようにして、重質炭化水素油を水素化
処理したのち、処理油は、常法に従って分離工程に導入
され、複数の分離槽で処理することによって気体部分と
液体部分に分離される。そのうち、気体部分は、硫化水
素,アンモニウア等を除去してから水素純度アップなど
の処理を受け、新しい供給水素ガスと一緒になって反応
工程へ再循環される。
【0062】一方、分離工程で分離された液体部分は、
蒸留工程に導入され、常法にしたがって各留分に分留
(分離)される。通常は、この分離時の条件として常圧
蒸留で、例えば、ナフサ留分のカット温度を145〜1
90℃、灯油留分のカット温度を235〜265℃、軽
油留分のカット温度を343〜380℃及び380℃以
上を残油とすることにより、ナフサ留分、灯油留分、軽
油留分及び残油留分に分離することができる。本発明の
水素製造用原料油を製造する場合には灯油留分のカット
温度をおよそ140〜270℃として蒸留しこれを本発
明の水素製造用原料油とする。さらに、必要に応じ上記
本発明の水素製造用原料油の説明で述べた各要件を満足
するように蒸留温度を調製すればよい。なお、この蒸留
は減圧蒸留で行ってもよい。
【0063】残油留分は、さらに減圧蒸留を施し、所望
の留分を得ることができ、これは、更に、リサイクルし
て再度、水素化処理原料油としてもよい。このようにし
て、重質炭化水素油から、高収率で、良好な品質の本発
明の水素製造用原料油を製造することができる。
【0064】
【実施例】次に、本発明を実施例により、さらに詳細に
説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定
されるものではない。 アルミナの調製 調製例1 Al2 3 換算濃度5.0重量%のアルミン酸ナトリウム
水溶液80kgに、50重量%グルコン酸水溶液280
gを加えたのち、Al2 3 換算濃度2.5重量%の硫酸
アルミニウム水溶液94kgを添加して、pH7.0のア
ルミナスラリーを得た。このアルミナスラリーをテーブ
ルフィルターにてろ取後、0.2重量%のアンモニア水で
洗浄して、擬ベーマイトを含有するアルミナ水和物を調
製した。
【0065】次いで、このアルミナ水和物に少量のアン
モニア水を加えて、アルミナ水和物のスラリーpHを1
0.60に調整し、さらにアルミナ濃度を8.8重量%にし
たのち、95℃で20時間還流攪拌し、擬ベーマイトの
結晶子径を65Åまで成長させた。このアルミナ水和物
をニーダで加熱濃縮して、混練物(X)を得た。この混
練物(X)を押出し成形機にて、直径0.9mmの粒体に
成形し、空気中で110℃、16時間乾燥後、550℃
にて3時間焼成した。得られたアルミナの窒素吸着法に
より求めた600Å以下の細孔の平均直径は134Åで
あり、100〜150Åの範囲の直径をもつ細孔が、6
00Å以下の細孔の84.0%であり、60Å以下の細孔
が600Å以下の細孔の1.2%であった。
【0066】また、水銀圧入法で求めた62〜600Å
の範囲の細孔の平均直径は128Åであり、直径128
ű10Å範囲の細孔が62〜600Åの範囲の細孔の
90.4%であり、138Å以上の細孔が、62〜600
Åの範囲の細孔の5.4%であった。 非晶質系水素化処理触媒Aの調製 調製例2 水1.33リットルに硼酸534gを加え、加温溶解し
た水溶液と、調製例1における混練物(X)5kgとを
混合してニーダで混練したのち、1/16インチの円柱
型ペレット状押出し品とし、空気中にて110℃で16
時間乾燥後、550℃で3時間焼成して、酸化硼素15
重量%を含有する触媒担体を得た。この担体1kgに酸
化モリブデン170g、炭酸コバルト75gを含む水溶
液650ミリリットルを加えて含浸させたのち、250
℃まで徐々に昇温しながら乾燥し、次いで550℃で1
時間焼成して非晶質系水素化処理触媒Aを得た。この触
媒におけるモリブデン及びコバルトの担持量は、金属酸
化物として、それぞれ14.0重量%及び3.7重量%であ
った。
【0067】アルミナスラリーの調製 調製例3 内容積200リットルのスチームジャケット付ステンレ
ンス容器に、アルミン酸ナトリウム溶液(Al2 3
算濃度5.0重量%)80kg及び50重量%のグルコン
酸溶液240gを入れ、60℃に加熱した。次いで硫酸
アルミニウム溶液(Al2 3 換算濃度2.5重量%)8
8kgを別容器に準備し、15分間でpH7.2になるよ
うに該希釈硫酸アルミニウム溶液を添加し水酸化アルミ
ニウムスラリー(調合スラリーI)を得た。
【0068】次いで、この調合スラリーI100kgを
攪拌機及び外部循環ライン付内容積1m3 のタンクに張
り込み、60℃に保ちながら外部循環ラインを通して1
0m 3 /hrの流速で0.5時間循環させてアルミナシー
ドとした。次いで、アルミン酸ナトリウム水溶液(Al
2 3 換算濃度5.0重量%)を150kg/hrの流量
で、硫酸アルミニウム水溶液(Al2 3 換算濃度2.5
重量%)を160kg/hrの流量で、外部循環ライン
を通じてアルミナシードを10m3 /hrの流速で循環
させながら同時に添加した。この操作を3時間連続して
行った。また、この間の1m3 タンクのスラリーのpH
を硫酸アルミニウム水溶液の添加量をコントロールする
ことでpH7.0〜7.5に保ち調合スラリーIIを得た。該
調合スラリーIIをAl2 3 換算で3.0kgを平板フィ
ルターに移し、脱水した後0.3重量%アンモニウム水
(60℃)300リットルで洗浄した。この洗浄ケーキ
に脱イオン水と15重量%のアンモニア水を加えpH1
0.5でAl2 3 換算濃度19重量%のスラリーとし、
次いで95℃で30時間、攪拌焼成し、アルミナスラリ
ーを得た。
【0069】硫酸法鉄含有結晶性アルミノシリケート
(Fe−SHY)の調製 調製例4合成Na−Yゼオラ
イト(Na2 O含量13.3重量%,SiO2 /Al2
3モル比5.0)をアンモニウム交換し、NH4 −Yゼオ
ライト(Na2 O含量1.3重量%)を得た。これを58
0℃でスチーミング処理してスチーミングゼオライトを
得た。10kgのスチーミングゼオライトを純水115
リットルに懸濁させた後、該懸濁液を75℃に昇温し3
0分間攪拌した。次いでこの懸濁液に10重量%硫酸溶
液63.7kgを35分間で添加し、更に濃度0.57モル
/リットルの硫酸第二鉄溶液11.5kgを10分間で添
加し、添加後更に30分間攪拌した後、ろ過、洗浄し、
固形分濃度30.5重量%の鉄含有結晶性アルミノシリケ
ート(Fe−SHY)スラリーIを得た。
【0070】<鉄含有結晶性アルミノシリケートの諸物
性> (a)TPR測定(昇温プログラム還元測定) 上記で得られた鉄含有結晶性アルミノシリケートを乾
燥、整粒したものを100mg石英ガラス管に充填し、
乾燥空気流通下で377℃で2時間焼成した。室温まで
冷却した後、水素−アルゴン混合ガス気流中で数時間保
持した。その後、10℃/分の昇温速度で1077℃ま
で昇温し、この間の水素の物質収支を測定した。なお、
水素の量は熱伝導度検出器(TCD)にて求めた。得ら
れた〔Fe〕dep及び高温側還元ピークの温度を第1
表に示す。
【0071】(b)格子定数〔UD〕の測定 上記で得られた鉄含有結晶性アルミノシリケートを乾燥
させたものとシリコン内部標準粉末をよく混合、粉砕し
X線粉末回折用サンプルホルダーに充填した。これをC
u管球,印加電圧40kV,印加電流40mAにてステ
ップスキャンで測定し、得られたピーク角度より鉄含有
結晶性アルミノシリケートの格子定数〔UD〕を算出し
た。結果を第1表に示す。
【0072】(c)末端SiOH基/ブレンステッド酸
比の測定 乾燥した粉末状の試料30mgを直径20mmのウエハ
ーに成形したものを、1.0×10-4mmHgよりも大き
くない圧力にて、450℃で1時間加熱処理して物理吸
着水を除去した後、室温まで冷却し、赤外分光光度計を
用い、透過方式にてスペクトルを測定する。次に得られ
たIRスペクトルより、3740±10cm-1の吸光度
C、3630±10cm-1の吸光度D及び3560±1
0cm-1の吸光度Eを計測し、実際のウエハーの重さで
割って標準化する。標準化した吸光度をそれぞれC’
D’E’とすると、末端SiOH基/ブレンステッド酸
比は、C’/(D’+E’)の式から求めた値である。
結果を第1表に示す。
【0073】
【表1】
【0074】ゼオライト系水素化分解触媒B−1の調製
調製例5 調製例3で得たアルミナスラリーと調製例4で得た鉄含
有結晶性アルミノシリケート(Fe−SHY)スラリー
I(30.5重量%濃度)を固形分換算で重量比が90
/10となるようにニーダー中で混合、濃縮し、可塑性
のある混練物とした。この混練物を押し出し成形機で1
/16インチサイズの円柱型ペレット状に成形し、次い
で、110℃で16時間乾燥した後、乾燥気流中で55
0℃で3時間焼成し、担体1を得た。なお、焼成条件を
水蒸気存在下650℃で3時間とした担体1の格子定数
は24.29Åであり、鉄含有結晶性アルミノシリケー
トと同等であった。
【0075】次いで、三酸化モリブデンと炭酸ニッケル
を純水に懸濁したものを90℃に加熱し、次いでリンゴ
酸を加え溶解させた。この溶解液を担体1に触媒全体に
対してMoO3 として15.0重量%、NiOとして
4.25重量%になるように含浸させ、次いで、三酸化
モリブデンと炭酸ニッケルを乾燥,焼成し、ゼオライト
系水素化分解触媒B−1を得た。その触媒の表面積、細
孔容積、平均細孔直径を測定し、その結果を第2表に示
す。
【0076】
【表2】
【0077】〔注〕測定法 表面積: BET法 細孔容積: 窒素吸着法 平均細孔直径:水銀圧入法 硫酸法鉄含有結晶性アルミノシリケート(Fe−SH
Y)の調製 調製例6合成Na−Yゼオライト(Na2
O含量13.3重量%,SiO2 /Al2 3モル比5.
0)をアンモニウム交換し、NH4 −Yゼオライト(N
2 O含量1.3重量%)を得た。これを580℃でスチ
ーミング処理してスチーミングゼオライトを得た。10
kgのスチーミングゼオライトを純水115リットルに
懸濁させた後、該懸濁液を75℃に昇温し30分間攪拌
した。次いでこの懸濁液に10重量%硫酸溶液63.7k
gを35分間で添加し、更に濃度0.57モル/リットル
の硫酸第二鉄溶液11.5kgを10分間で添加し、添加
後更に30分間攪拌した後、ろ過、洗浄し、固形分濃度
30.5重量%の鉄含有結晶性アルミノシリケート(Fe
−SHY)スラリーIII を得た。
【0078】<鉄含有結晶性アルミノシリケートの諸物
性> (a)TPR測定(昇温プログラム還元測定) 上記で得られた鉄含有結晶性アルミノシリケートを乾
燥、整粒したものを100mg石英ガラス管に充填し、
乾燥空気流通下で377℃で2時間焼成した。室温まで
冷却した後、水素−アルゴン混合ガス気流中で数時間保
持した。その後、10℃/分の昇温速度で1077℃ま
で昇温し、この間の水素の物質収支を測定した。なお、
水素の量は熱伝導度検出器(TCD)にて求めた。得ら
れた〔Fe〕dep及び高温側還元ピークの温度を第3
表に示す。
【0079】(b)格子定数〔UD〕の測定 上記で得られた鉄含有結晶性アルミノシリケートを乾燥
させたものとシリコン内部標準粉末をよく混合、粉砕し
X線粉末回折用サンプルホルダーに充填した。これをC
u管球,印加電圧40kV,印加電流40mAにてステ
ップスキャンで測定し、得られたピーク角度より鉄含有
結晶性アルミノシリケートの格子定数〔UD〕を算出し
た。結果を第3表に示す。
【0080】(c)末端SiOH基/ブレンステッド酸
比の測定 乾燥した粉末状の試料30mgを直径20mmのウエハ
ーに成形したものを、1.0×10-4mmHgよりも大き
くない圧力にて、450℃で1時間加熱処理して物理吸
着水を除去した後、室温まで冷却し、赤外分光光度計を
用い、透過方式にてスペクトルを測定する。次に得られ
たIRスペクトルより、3740±10cm-1の吸光度
C、3630±10cm-1の吸光度D及び3560±1
0cm-1の吸光度Eを計測し、実際のウエハーの重さで
割って標準化する。標準化した吸光度をそれぞれC’
D’E’とすると、末端SiOH基/ブレンステッド酸
比は、C’/(D’+E’)の式から求めた値である。
結果を第3表に示す。
【0081】
【表3】
【0082】アルミナスラリーの調製 調製例7 内容積200リットルのスチームジャケット付ステンレ
ンス容器に、アルミン酸ナトリウム溶液(Al2 3
算濃度5.0重量%)80kg及び50重量%のグルコン
酸溶液240gを入れ、60℃に加熱した。次いで硫酸
アルミニウム溶液(Al2 3 換算濃度2.5重量%)8
8kgを別容器に準備し、15分間でpH7.2になるよ
うに該希釈硫酸アルミニウム溶液を添加し水酸化アルミ
ニウムスラリー(調合スラリー)を得た。
【0083】この調合スラリーを平板フィルターにより
脱水し、60℃の0.3重量%アンモニア水で洗浄し、洗
浄アルミナケーキを得た。この洗浄アルミナケーキに1
5重量%アンモニア水と純水を加え、固形分濃度(Al
2 3 として)12重量%、pH10.5のスラリーを得
た。これを還流器付きステンレス鋼製熟成タンク内で攪
拌しながら、95℃で8時間熟成した後、加熱濃縮し、
脱アンモニアと水分の一部除去により、(Al2 3
して)20重量%のアルミナスラリーを得た。
【0084】ゼオライト系水素化分解触媒B−2の調製
調製例8 調製例7で得たアルミナスラリーに、Al2 3 /B2
3 が重量比で85/15となるようにホウ酸を添加
し、アルミナ−ホウ酸スラリーを得た。このアルミナ−
ホウ酸スラリーと調製例6で得た鉄含有結晶性アルミノ
シリケート(Fe−SHY)スラリーIII を固形分換算
で重量比が90/10となるようにニーダーに導入し、
加熱、攪拌しながら押し出し成形可能な濃度に濃縮した
後、押し出し成形機で穴径が1.8mmのダイスを用いて
円柱型ペレット状に成形した。次いで、110℃で12
時間乾燥した後、550℃で3時間焼成し、ゼオライト
系水素化分解触媒B−2を得た。この触媒の表面積、細
孔容積、平均細孔直径を第4表に示す。
【0085】
【表4】
【0086】〔注〕測定法 表面積:BET法 細孔容積:窒素吸着法 平均細孔直径:水銀圧入法 フォージャサイト型アルミノシリケートの調製 調製例
9 Na2 O含量0.8重量%,SiO2 /Al2 3 モル比
5.0のY型ゼオライト1000gをロータリーキルン内
に投入し、700℃、3時間セルフスチーミング処理を
行い、スチーミングゼオライトY(以下、これをSTM
ゼオライトYと称す。)を得た。このSTMゼオライト
Yの物性を第5表に示す。
【0087】上記で得たSTMゼオライトY500g
を、純水6250ミリリットルに懸濁させ、攪拌下で7
5℃にし、10重量%濃度硝酸水溶液4677gを30
分かけて添加した。添加終了後、30分間、75℃に保
持したのち、ろ過し、得られた固形分を20倍量の温水
にて洗浄し、次いで乾燥して目的とするフォージャサイ
ト型アルミノシリケート(以下、これをアルミノシリケ
ートYと称す。)を得た。このアルミノシリケートYの
物性を第5表に示す。
【0088】
【表5】
【0089】ゼオライト系水素化分解触媒B−3の調製
調製例10 調製例9で得たアルミノシリケートY11gとベーマイ
トゲル485gをイオン交換水50ミリリットルに加え
て混練し、この混練物を湿式押出成形に適する水分量に
調湿し、成形圧30kg/cm2 で直径1mm、長さ3
mmに成形した。この成形物を120℃で3時間乾燥
後、500℃で3時間、空気中で焼成を行い、アルミノ
シリケートY10重量%を含有するアルミノシリケート
・アルミナ担体を得た。
【0090】次に、この担体75gに、Co(NO3
2 ・6H2 O 13.6g及び(NH 4 6 Mo7 24
4H2 O 74.8gを含む水溶液45ミリリットルを加
えて真空含浸させたのち、90℃で3時間乾燥し、次い
で500℃で5時間焼成して、ペレット状のゼオライト
系水素化分解触媒B−3を得た。なお、この触媒におけ
るコバルト含有量は、CoOに換算して4重量%、モリ
ブデン含有量は、MoO3 に換算して10重量%であっ
た。この触媒の表面積、細孔容積、平均細孔直径を第6
表に示す。
【0091】
【表6】
【0092】〔注〕測定法 表面積:BET法 細孔容積:窒素吸着法 平均細孔直径:水銀圧入法 〔実施例1〕高圧固定床反応器に、第7表に示す条件で
触媒充填し、第8表に示す重質軽油を用いて水素化処理
を実施した。上記水素化処理油を沸点150〜260℃
で分離し原料油K1を得た。原料油K1の各種の性状分
析を実施した。試験項目と各試験法を第10表に示す。
この原料油K1を用いた水素製造実験を下記の方法で実
施した。本実験では、2基の反応器を連結してまず原料
油K1の水素化脱硫を行ない、次に水蒸気改質を行な
う。用いた水素化脱硫及び水蒸気改質の触媒及び反応条
件を第11表に示す。実験開始100時間後の水蒸気改
質反応器出口の改質ガスを採取し、ガスクロ分析した結
果を第12表に示す。改質ガス中のメタン濃度は1vol
%以下に低く押さえられており、またC2 以上の炭化水
素の生成も認められない。実験開始120時間後、反応
を中止し、水蒸気改質触媒を反応器から抜きだし、炭素
析出が認められる部分の長さを測定し、全触媒層の長さ
と比較した。なお、炭素析出が認められる部分の触媒の
色は黒色であり炭素析出が無い部分は灰色であるため、
容易に炭素析出の有無を区別することができる。炭素析
出は触媒層上部に認められるものの、第12表に示すよ
うに炭素析出は非常に狭い範囲であったことがわかっ
た。以上のことから、原料油K1を用いた本実験では、
水蒸気改質触媒上に炭素析出はほとんど生じることなく
活性が十分高く維持されることが示された。
【0093】〔実施例2〕高圧固定床反応器に、第7表
に示す条件で触媒充填し、第9表に示す重質軽油を用い
て水素化処理を実施した。上記水素化処理油を沸点15
0〜260℃で分離し原料油K2を得た。原料油K2の
各種の性状分析を実施した。試験項目と各試験法を第1
0表に示す。この原料油K2を用いた水素製造実験を実
施例1と同じ方法で実施した。炭素析出は、第12表に
示すように実施例1の場合よりもさらにに狭い範囲であ
った。以上のことから、原料油K2を用いた本実験にお
いても、水蒸気改質触媒上に炭素析出はほとんど生じる
ことなく活性が十分高く維持されることが示された。
【0094】〔実施例3〕高圧固定床反応器に、第7表
に示す条件で触媒充填し、第8表に示す重質軽油を用い
て水素化処理を実施した。上記水素化処理油を沸点15
0〜260℃で分離し原料油K3を得た。原料油K3の
各種の性状分析を実施した。試験項目と各試験法を第1
0表に示す。この原料油K3を用いた水素製造実験を実
施例1と同じ方法で実施した。炭素析出は、第10表に
示すように実施例1、2の場合よりもさらにに狭い範囲
であった。以上のことから、原料油K3を用いた本実験
においても、水蒸気改質触媒上に炭素析出はほとんど生
じることなく活性が十分高く維持されることが示され
た。
【0095】〔実施例4〕脱硫剤の脱硫性能は、下記の
方法に従って評価した。 (i)Ni系脱硫剤の調製 水500ミリリットルに塩化ニッケル50.9gを溶解
し、これに担体アルミナ(擬ベーマイト)0.6gを加
えたのち、1モル/リットル濃度の硝酸水溶液20ミリ
リットルを加え、pH1に調整し、(A)液を調製し
た。一方、水500ミリリットルに炭酸ナトリウム3
3.1gを溶解したのち、水ガラス11.7g(SiO
2 濃度29重量%)を加え、(B)液を調製した。次
に、上記(A)液と(B)液を、それぞれ80℃に加熱
したのち、両者を瞬時に混合し、混合液の温度を80℃
に保持したまま1時間撹拌した。その後、蒸留水60リ
ットルを用いて生成物を充分に洗浄したのち、ろ過し、
次いで固形物を120℃送風乾燥機にて12時間乾燥
し、さらに300℃で1時間焼成処理することにより、
シリカ−アルミナ担体上にニッケルが63重量%担持さ
れた脱硫剤を得た。 <脱硫性能>脱硫剤15ミリリットルを、内径17mm
のステンレス鋼製反応管に充填する。次いで、常圧下、
水素気流中にて120℃に昇温し、1時間保持したの
ち、さらに昇温し、380℃で1時間保持することによ
り、脱硫剤を活性化する。次に、反応管の温度を150
℃に保持し、原料油K1を、常圧下、LHSV3h-1
反応管に供給開始する。このときの脱硫後の原料油K1
中の硫黄分は0.01重量ppm以下であった。 (ii)本実験では、上記方法で得られた脱硫後の原料油
K1を用い水蒸気改質を行なう。用いた水蒸気改質の触
媒及び反応条件を第11表示す。実験開始100時間後
の水蒸気改質反応器出口の改質ガスを採取し、ガスクロ
分析した結果を第12表に示す。改質ガス中のメタン濃
度は1vol %以下に低く押さえられており、またC2
上の炭化水素の生成も認められない。実験開始120時
間後、反応を中止し、水蒸気改質触媒を反応器から抜き
だし、炭素析出が認められる部分の長さを測定し、全触
媒層の長さと比較した。なお、炭素析出が認められる部
分の触媒の色は黒色であり炭素析出が無い部分は灰色で
あるため、容易に炭素析出の有無を区別することができ
る。炭素析出は触媒層上部に認められるものの、第12
表に示すように炭素析出は非常に狭い範囲であったこと
がわかった。以上のことから、水蒸気改質の前処理とし
て、脱硫剤を利用しても、水蒸気改質触媒上に炭素析出
はほとんど生じることなく活性が十分高く維持されるこ
とが示された。
【0096】〔比較例〕市販灯油を高圧固定床反応器を
用いて第7表に示す条件で水素化脱硫して原料油K4を
得た。原料油K4の各種の性状分析を実施した。試験項
目と各試験法を第10表に示す。この原料油K4を用い
た水素製造実験を実施例1と同じ方法で実施した。実験
開始100時間後の水蒸気改質ガス組成は、第12表に
示すように、メタン濃度が約3vol%と高く、またC2
上の炭化水素の生成が認められることから、触媒層の活
性低下が生じていることがわかる。さらに炭素析出は、
第12表に示すように実施例1〜3と比較して、非常に
広範囲であった。以上のことから、原料油K4(通常の
脱硫灯油)は、原料油K1〜K3と比較して同様の蒸留
性状を示しながら、同一条件の水素製造反応において著
しく炭素析出を促進することがわかる。
【0097】
【表7】
【0098】
【表8】
【0099】
【表9】
【0100】
【表10】
【0101】
【表11】
【0102】
【表12】
【0103】
【表13】
【0104】
【発明の効果】本発明の水素製造用原料油は、水素製造
時の触媒への影響が少なく、高品質の水素ガスを製造で
きる原料油である。また、本発明の水素製造用原料油の
製造方法によれば、低品質の重質炭化水素油を効率よく
接触水素化処理し、品質の良好な本発明の水素製造用原
料油を高収率で製造することができ、かつ安定運転が可
能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C10G 29/04 C10G 29/04 45/02 45/02 45/08 45/08 Z 47/20 47/20 65/12 65/12 C10L 1/18 C10L 1/18 B 1/22 1/22 B

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 沸点が140〜270℃の留分が90v
    ol%以上含まれる炭化水素混合物からなり、プロトン
    核磁気共鳴法(H−NMR)で測定したアルキル基の炭
    素に結合したメチル基のプロトンの吸収ピークの面積
    (Hγ)と芳香族環の炭素に直接結合したプロトンの吸
    収ピークの面積(Ha)の比(Hγ/Ha)が10以上
    である水素製造用原料油。
  2. 【請求項2】 環分析によって求めたナフテン炭素の全
    炭素に対する百分率(%CN)が30以上である請求項
    1記載の水素製造用原料油。
  3. 【請求項3】 芳香族炭化水素含量が15容量%以下で
    ある請求項1または2記載の水素製造用原料油。
  4. 【請求項4】 硫黄分が1重量ppm以下である請求項
    1〜3のいずれかに記載の水素製造用原料油。
  5. 【請求項5】 アミン系および/またはフェノール系酸
    化防止剤を5〜100重量ppm含有する請求項1〜4
    のいずれかに記載の水素製造用原料油。
  6. 【請求項6】 燃料電池に用いる水素を製造するため
    の、請求項1〜5のいずれかに記載の水素製造用原料
    油。
  7. 【請求項7】 Ni系脱硫剤で処理することを特徴とす
    る請求項1〜6のいずれかに記載の水素製造用原料油。
  8. 【請求項8】 硫黄分が0.01重量ppm以下である請
    求項7記載の水素製造用原料油。
  9. 【請求項9】 重質軽油、分解軽油、減圧軽油、コーカ
    ーガスオイル、ビスブレーカーガスオイル及び溶剤脱れ
    き油の中から選ばれる少なくとも一種を含む重質炭化水
    素油を、水素化処理する請求項1〜8のいずれかに記載
    の水素製造用原料油の製造方法。
  10. 【請求項10】 (A)前記重質炭化水素油を非晶質系
    水素化処理触媒と接触させ、水素化脱硫及び脱窒素処理
    する工程、(B)上記(A)工程で処理された炭化水素
    油をゼオライト系水素化分解触媒と接触させ水素化分解
    処理する工程、および(C)上記(B)工程で処理され
    た炭化水素油を非晶質系水素化処理触媒と接触させ水素
    化脱硫する工程を順次実施する請求項9記載の水素製造
    用原料油の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記(C)工程で処理された炭化水素
    油の一部を前記(A)工程および/または(B)工程に
    リサイクルする請求項10記載の水素製造用原料油の製
    造方法。
  12. 【請求項12】 前記(A)工程及び(C)工程におい
    て用いる非晶質系水素化処理触媒が、非晶質担体に周期
    律表第6族、第8族、第9族及び第10族金属の中の少
    なくとも一種を担持させたものである請求項10または
    11記載の水素製造用原料油の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記(B)工程において用いられるゼ
    オライト系水素化分解触媒が、Y型ゼオライトを含む担
    体または、アルミナと酸化ホウ素およびY型ゼオライト
    を含む担体に、周期律表第6族、第8族、第9族及び第
    10族金属中の少なくとも一種を担持させたものである
    請求項10〜12のいずれかに記載の水素製造用原料油
    の製造方法。
  14. 【請求項14】 Y型ゼオライトがフォージャサイト型
    アルミノシリケートおよび硫酸法による鉄含有スチーミ
    ングアルミノシリケートの中から選ばれた少なくとも一
    種である請求項13記載の水素製造用原料油の製造方
    法。
  15. 【請求項15】 担体中のY型ゼオライトの含有量が5
    〜60重量%である請求項13または14記載の水素製
    造用原料油の製造方法。
  16. 【請求項16】 請求項1〜6のいずれかに記載の水素
    製造用原料油をNi系脱硫剤で処理する水素製造用原料
    油の製造方法。
  17. 【請求項17】 請求項1〜8のいずれかに記載の水素
    製造用原料油を水蒸気改質または部分酸化する水素の製
    造方法。
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