JP2001084756A - 磁化駆動方法、磁気機能素子および磁気装置 - Google Patents

磁化駆動方法、磁気機能素子および磁気装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 磁性体の寸法がサブミクロン領域に微細化さ
れても、高速度の磁化スイッチングが可能な磁化駆動方
法、磁気機能素子および磁気装置を提供する。 【解決手段】 磁性体からなる情報担体と、情報担体の
磁化ベクトルの方向を変化させるための駆動力印加手段
とを有し、情報担体の磁化方向によって2値またはそれ
以上の多値の情報を扱う磁気機能素子において、その駆
動力をその印加前の始状態における情報担体の磁化ベク
トルに対してほぼ垂直方向にパルス的に印加する。駆動
力としては、磁気異方性や交換相互作用などを起源とす
る有効磁場などを用いる。この磁気機能素子に、ホール
効果または磁気抵抗効果により磁気機能素子の情報担体
の磁化方向を読み出す手段を組み合わせて磁気記憶装置
などの磁気装置を構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、磁化駆動方法、
磁気機能素子および磁気装置に関し、例えば、固体磁気
メモリに適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】磁性体を利用した素子は、半導体デバイ
スに比較していくつかの点で魅力を持っている。第1
に、素子の要素材料として金属を利用することができる
ため、金属の高いキャリア密度および低い抵抗により素
子の超微細化に適すると期待されることである。第2
に、磁性体の磁化方向が双安定性を示すので、外部から
エネルギーを供給しなくても磁化状態を保ち、不揮発性
メモリ機能の実現に適することである。第3に、外部か
ら十分な強さの磁場が印加されれば、磁化方向は1ns
程度のごく短い時間で磁場方向に向きを変えるため、非
常に速い切り換え(switching)を行うことができること
である。
【0003】これらの特長を生かすことによって、省電
力で高速動作する、高集積度の固体メモリなどへの応用
が期待されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、素子の
微細化が進むと、上記の高速動作という利点を損なう状
況が生じてくることがわかった。
【0005】ひとつは、本願出願人が先に出願した特願
平10−130711号で論じたように、素子の微細化
により配線が細くなると、流せる電流が制限され、十分
な強さの磁場を発生させることができなくなることであ
る。強い磁場を印加するほど磁化スイッチングは速くな
るから、印加磁場の上限は素子の動作速度を制限するも
のである。
【0006】また、磁化方向がスイッチされる側の磁性
体寸法が小さくなると、その磁化ベクトルの運動におい
て、減衰(damping) が小さくなりすぎる。この傾向が強
まると、磁化ベクトルは磁場方向を軸としてその周りを
周回し続けて、磁場の方向に落ち着くまでに長い時間を
要するようになる。
【0007】磁性体寸法が小さくなると磁化ベクトルの
運動に対する制動が小さくなる理由を補足しておく。M
RAM(magnetic random access memory)など固体磁気
メモリに用いられる金属磁性薄膜では、磁化の運動に伴
って、それを妨げる向きに渦電流(eddy current)が流れ
る。この渦電流により発生するジュール熱が損失の主要
な部分である。体積あたりの渦電流損の大きさ(eddy c
urrent loss density)、p(W/m3 )は、およそ磁性
体試料の断面積に比例する。したがって、試料寸法が小
さくなるに伴って、制動の強さは寸法のほぼ自乗で小さ
くなるのである。
【0008】したがって、この発明の目的は、磁性体の
寸法がサブミクロン領域に微細化されても、高速度の磁
化スイッチングが可能な磁化駆動方法、磁気機能素子お
よびそのような磁気機能素子を用いた磁気装置を提供す
ることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】まず、磁化ベクトルの運
動に関する一般論について説明する。
【0010】磁気モーメントの運動方程式は、例えばラ
ンダウ(Landau)とリフシッツ(Lifshits) によれば、
次のように表される。
【0011】
【数1】
【0012】ここに、Mは磁化ベクトル、Hは磁場のベ
クトルである。また、γはジャイロ磁気定数(gyromagn
etic constant)、αは制動係数(damping factor)であ
る。αが1よりずっと大きいときには、磁化ベクトルは
外部磁場の方向へゆっくり向かう。例えば、xy面内で
ほぼ+x方向に向いた磁化ベクトルに−x方向の磁場を
印加した場合に、制動が大きければ、磁化ベクトルはゆ
っくりxy面内を回って磁場方向へと向かい、磁化反転
が達成される。この様子を図1のAに示した。同図に示
すように、磁化ベクトルを示す矢印は、初期状態の
「0」から「1→2→3→4→5」の順に回って、最終
的に−x方向に緩和(relaxation)して落ち着く。
【0013】逆にαが1よりはるかに小さく、(1)式
の第1項が支配的になる場合には、磁化ベクトルの変化
dM/dtは常にMからHへ向かう方向とは直角に生じ
る。したがって、磁化ベクトルMは磁場Hを軸として、
Hとなす角を一定に保ってその周りを回る歳差運動(pr
ecession)を行う。
【0014】小さいながらもαの寄与がある場合には、
+x方向を向いた磁化ベクトルに−x方向の磁場が印加
されると、磁化ベクトルはx軸を周回する歳差運動をし
ながら次第にx軸との開き角を増し、最終的には磁場方
向へと緩和してゆく。磁化ベクトル終端が渦巻き状の軌
跡を描くこの過程の途中までの軌跡を、図1のBに示し
た。
【0015】初期状態の磁化ベクトルとは180°反対
方向の磁場による磁化反転の過程は、一般に上記のふた
通りの極端な態様の中間的な振る舞いになる。素子の動
作速度を決めるパラメタとして、磁化反転に要する時間
が重要である。制動係数αが極端に大きければ、磁化ベ
クトルの軌跡は最短距離に近いところを通るが、その運
動は遅く、反転時間は長い。逆に制動係数αが極端に小
さければ、磁化ベクトルは素早く運動するものの螺旋状
の軌跡を描き、終状態に落ち着くまでの時間は長い。最
も速やかな磁化反転は、α=1の場合に得られる。この
ような最速応答が得られる制動状態を、臨界制動(crit
ical damping)の状態と呼ぶ。
【0016】例えば、MRAMなどの磁気機能素子によ
く利用されるパーマロイ(Permalloy,Ni−Fe合金)
では、臨界制動は試料寸法が1μm内外のときに実現す
る。したがって、今日広く開発されている1μm内外の
寸法のMRAMは、ちょうど材料の特性を有利に活用す
る設計にあたっていることがわかる。しかしながら、先
述のように制動は試料寸法の自乗にほぼ比例するので、
サブミクロンの寸法でさらに微細化された素子に利用す
る場合には、制動不足で磁化反転速度が遅くなる困難に
直面せざるを得ない。
【0017】制動不足に陥らざるを得ない微細化された
磁性体を用いた素子において、速やかな磁化スイッチン
グは、次のような駆動によって達成される。
【0018】図1のCに示すように、初期状態として+
x方向を向いた磁化ベクトル「0」に対し垂直方向(こ
の例ではz方向とした)に磁場(またはそれに相当する
磁気異方性や交換相互作用などから生じる「実効磁場
(effective field)」)を印加する。すると制動が小さ
いので、磁化ベクトルは磁場方向には向かわず、z軸の
周りの歳差運動を開始する。
【0019】すなわち、磁化ベクトルは図1のCの矢印
「1→2→3→4→5」のように、ほぼxy面内で回転
する。この歳差運動の途中で磁化ベクトルが−x方向に
近い状態、すなわち図1Cの矢印「4」の状態に達した
瞬間にz方向の駆動力を切れば、磁化は−x方向に留ま
り、初期状態から180°の磁化反転が達成される。こ
の磁化反転に要する時間は、ほぼ歳差の周期の半分であ
る。この過程によって、制動係数αが極端に小さい場合
でも、何周期も歳差運動をさせる図1のBに比べて速や
かな磁化反転を実現することができる。
【0020】この図1のCに示すような磁化反転の駆動
法を、以下、スウィングバイ・スイッチング(Swing-by
Switching)と呼ぶ。これは、磁化ベクトルが駆動力
(driving force)の方向に向けられるのではなく、駆動
力の脇をすり抜けるようにして終状態へと向かう特徴を
表す命名である。
【0021】次に、このスウィングバイ・スイッチング
の数量的検証の結果について説明する。
【0022】スウィングバイ・スイッチングの場合の磁
化反転の過程を(1)式によって数値計算し、結果を図
2に示した。計算に用いた実効磁場の起源は、外部磁場
だけでなく、磁性体の一軸磁気異方性と反磁場(demagn
etization field)の効果とを含めている。材料は単磁区
パーマロイ薄膜を想定し、飽和磁化(saturation magne
tization)Ms =800emu/cm3 、一軸誘導磁気
異方性(uniaxial induced magnetic anisotropy)の磁
化容易軸(easy axis of magnetization)はx軸と一致
し、異方性磁場(anisotropy field)はHK =4Oeと
した。また、制動係数はα=0.01とした。初期状態
の磁化ベクトルは+x方向を向き、これに+z方向に1
kOeの磁場を0.2nsの間だけ印加した場合の運動
を調べた。
【0023】図2においては、横軸に時間(ns)をと
り、縦軸には磁化ベクトルの方向を+x方向からxy面
内に測った方位角(°)をとった。なお、磁化ベクトル
はz軸方向の成分も持ち得るが、薄膜試料では磁化が膜
面に垂直なz方向に立ち上がることが反磁場に妨げられ
る(この試料では、反磁場は10kOe相当)ため、こ
の成分は常に小さい。このため、ここではこの成分につ
いては考慮しない。
【0024】図2に示すように、磁化ベクトルの方位角
は磁場印加後ただちに直線的な増加を示し、0.2ns
後には160°を超えた。ここで磁場の印加がなくなる
と、磁化ベクトルは異方性磁場と反磁場の影響下に置か
れる。すなわち、実効磁場の方向が外部磁場印加中とは
変わるので、歳差の軸もその瞬間に変わり、方位角の変
化率も不連続な振る舞いを示している。しかし、磁化は
すでに初期状態から90°以上離れて−x方向の磁化容
易軸の「引力圏」にある(be within range ofattracti
ve force towards easy axis of magnetization,-x)の
で、振動しながら180°方向へと緩和・収束してゆ
く。終状態への駆動は最初のわずか0.2nsで完了し
ていることがわかる。
【0025】比較例として、初期状態で+x方向にある
磁化ベクトルに対し、−x方向に5Oeの磁場を印加し
続けた場合の計算結果を図3に示す。図3では、磁化ベ
クトルが+x方向を離れるまでに長い時間がかかるのが
特徴である。
【0026】磁化ベクトルの方向を例えば90°とか1
80°とか変化させる機能を、磁化スイッチング機能と
呼ぶことにする。この機能は、さらに別種の機能と組み
合わせてさまざまな働きをする素子を作るのに利用する
ことができる。例えば、スピンバルブ構造との複合化に
より、磁化スイッチング機能により書き込み、スピンバ
ルブで磁化状態を読み出すメモリへの応用例である。ま
た、同様な構成で出力回路の電流を制御することができ
るので、トランジスタに代わるスイッチング素子や、さ
らにその組合せによる論理素子への応用も可能である。
【0027】一斉回転する磁化ベクトルの歳差と緩和の
一般論については、S.Chikazumi,Physics of Ferromagn
etism,(John Wiley & Sons,Inc.,1964)に記述がある。
【0028】関連技術分野の先行する文献には、以下の
ようなものがある。
【0029】一軸異方性磁性薄膜の磁化スイッチングに
関して、特に磁化容易軸と垂直方向の磁場成分がある場
合にスイッチング速度が速くなることは、桜井良文編
「磁性薄膜工学」(丸善1977)の4.2.2節なら
びに、そこに引用された論文D.O.Smith,J.Appl.Phys.2
9,264(1958) において早くも指摘されている。
【0030】また、磁化容易軸方向に向いた磁化ベクト
ルに逆方向の磁場を印加して磁化反転を起こす際に、磁
化容易軸と垂直方向に小さなバイアス磁場を追加するこ
とによって磁化反転の立ち上がりを効果的に加速するこ
とができることが、最近発表された(R.L.Stamps,and
B.Hillebrands,Appl.Phys.Lett.75,1143(1999))。これ
も、上記のD.O.Smith の論文と共通する内容を扱ってい
るものである。
【0031】近年の論文では、垂直磁化膜を高速のパル
ス電子ビームで貫くときにビームの周りに同心円状に発
生する磁束を用い(垂直の磁化容易軸と面内の磁場との
組み合わせ)、薄膜面内向きのこの磁場で磁化反転を起
こした実験がある(C.H.Back,D.Weller,J.Heidmann,D.M
auri,D.Guarisco,E.L.Garwin,and H.C.Siegmann,Phys.R
ev.Lett.81,3251(1998) )。
【0032】さて、以上のように、磁化ベクトルに垂直
な方向の磁場が磁化反転に対して持つ影響は、自然現象
として古くから研究されている。
【0033】しかし、上記のD.O.Smith の論文や桜井の
教科書、またR.L.Stamps,and B.Hillebrandsの論文で扱
われた場合は、主たる磁場成分は初期状態の磁化ベクト
ルの反対方向を向いたものであった。磁化ベクトルに垂
直な磁場成分は大きさも小さく、補助的な役割りのもの
で、この発明のように磁化反転の主たる駆動力として用
いられたり、用いる可能性が意識されたものではなかっ
た。
【0034】上記のC.H.Back,et.al.の報告は、磁化方
向に垂直なパルス的磁場によって磁化反転が生じること
を実験的に示したものであるが、彼らの実験は真空中に
置いた磁性薄膜を電子ビームで貫くという大げさな道具
立てでなされたもので、今日の磁気記録の主流であるハ
ードディスク・ドライブや、さらに小型化された固体磁
気メモリ(Solid-State Magnetic Memory)など、実用的
な情報記憶装置への応用には言及していない。また、そ
こに開示された配置も、垂直磁化膜に薄膜面内方向の磁
場を印加する場合に限定されている。
【0035】上記課題を解決するために、この発明の第
1の発明は、駆動力を印加することにより磁性体の磁化
ベクトルの方向を変化させるようにした磁化駆動方法で
あって、駆動力を、その印加以前の始状態における磁性
体の磁化ベクトルに対してほぼ垂直方向にパルス的に印
加するようにしたことを特徴とするものである。
【0036】この発明の第2の発明は、磁性体からなる
情報担体と、情報担体の磁化ベクトルの方向を変化させ
るための駆動力印加手段とを有し、情報担体の磁化方向
によって2値またはそれ以上の多値の情報を扱う磁気機
能素子であって、駆動力は、その印加以前の始状態にお
ける情報担体の磁化ベクトルに対してほぼ垂直方向にパ
ルス的に印加されることを特徴とするものである。
【0037】この第2の発明においては、例えば、情報
担体と駆動力印加手段とが基板上に一体に組み合わされ
て設けられ、固体素子として機能する。磁化ベクトルの
方向を変化させる駆動力としては、磁気異方性を起源と
する有効磁場、情報担体に結合された別の磁性体からお
よばされる交換相互作用を起源とする有効磁場などを用
いることができる。また、例えば、情報担体を構成する
磁性体として一軸磁気異方性を有する磁性体を用い、そ
の磁化容易軸に沿った正逆の磁化方向によって2値の情
報を扱う磁気機能素子であって、磁化反転の駆動力が情
報担体の磁化容易軸とほぼ垂直方向に印加されるもので
あってもよい。
【0038】この発明の第3の発明は、一軸磁気異方性
を有する磁性体からなる情報担体と、情報担体の磁化ベ
クトルの方向を反転させるための駆動力を情報担体の静
状態の磁化容易軸とほぼ垂直方向にパルス的に印加する
ための駆動力印加手段とを有し、情報担体の磁化方向に
よって2値の情報を扱う磁気機能素子であって、駆動力
は、情報担体の静状態の磁化容易軸とほぼ垂直方向が磁
化容易軸となるような磁気異方性を発生させることによ
り発生されることを特徴とするものである。
【0039】この第3の発明においては、例えば、駆動
力を印加することにより発生される磁気異方性は応力誘
起磁気異方性である。具体的には、例えば、情報担体は
歪み(あるいは応力)によって敏感に磁気異方性が変化
する磁性薄膜からなり、この磁性薄膜と圧電体層とが積
層された構造を有し、圧電体層の厚さ方向に電圧を印加
することにより応力誘起磁気異方性を発生させる。ある
いは、情報担体は歪みによって敏感に磁気異方性が変化
する磁性薄膜からなり、この磁性薄膜と歪み付与層とが
積層された構造を有し、歪み付与層にその面内の所定の
方向に一軸性の歪みを与えることによりこの方向が磁化
容易軸となるような応力誘起磁気異方性を発生させる。
さらに、例えば、情報担体は静状態の磁化容易軸をその
面に垂直方向に有する垂直磁化膜からなり、駆動力が情
報担体の面にほぼ平行方向に印加される。なお、応力誘
起磁気異方性を発生させるために用いる歪みは、上記の
ような一軸性の歪みに限られるものではない。例えば、
面内等方的な歪みであってもよい。
【0040】この発明の第4の発明は、一軸磁気異方性
を有する磁性体からなる情報担体と、情報担体の磁化ベ
クトルの方向を反転させるための駆動力を情報担体の静
状態の磁化容易軸とほぼ垂直方向にパルス的に印加する
ための駆動力印加手段とを有し、情報担体の磁化方向に
よって2値の情報を扱う磁気機能素子であって、駆動力
は、情報担体に隣接して設けられた別の磁性体からの交
換相互作用により発生されることを特徴とするものであ
る。
【0041】この第4の発明においては、例えば、情報
担体は静状態の磁化容易軸をその面内に有する薄膜また
は平板状の磁性体からなり、駆動力が情報担体の面にほ
ぼ垂直方向に印加される。具体的には、例えば、情報担
体を構成する被制御磁性層と固定磁化層とが中間層を介
して積層された構造を有し、中間層の働きにより被制御
磁性層と固定磁化層との間の交換相互作用の強さを変化
させる。あるいは、例えば、情報担体は静状態の磁化容
易軸をその面に垂直方向に有する垂直磁化膜からなり、
駆動力が情報担体の面にほぼ平行方向に印加される。さ
らに、例えば、情報担体を構成する垂直磁化膜からなる
被制御磁性層と固定磁化層とが結合制御層を介して積層
された構造を有し、結合制御層の働きにより被制御磁性
層と固定磁化層との間の交換相互作用の強さを変化させ
るようにしてもよい。
【0042】この発明の第5の発明は、一軸磁気異方性
を有する磁性体からなる情報担体と、情報担体の磁化ベ
クトルの方向を反転させるための駆動力を情報担体の静
状態の磁化容易軸とほぼ垂直方向にパルス的に印加する
ための駆動力印加手段とを有し、情報担体の磁化方向に
よって2値の情報を扱う磁気機能素子であって、駆動力
は、情報担体の外部から印加される磁場であることを特
徴とするものである。
【0043】この発明の第6の発明は、一軸磁気異方性
を有する磁性体からなる情報担体と、情報担体の磁化ベ
クトルの方向を反転させるための駆動力を情報担体の静
状態の磁化容易軸とほぼ垂直方向にパルス的に印加する
ための駆動力印加手段とを有し、情報担体の磁化方向に
よって2値の情報を扱う磁気機能素子であって、情報担
体は、2層以上の磁性体層が積層された複合構造を有す
ることを特徴とするものである。
【0044】この第6の発明においては、例えば、情報
担体を構成する2層以上の磁性体層はその面にほぼ垂直
方向に磁化容易軸を有する磁性体層を含む。また、具体
的には、情報担体を構成する2層以上の磁性体層は、異
方性付与層と歪みによって敏感に磁気異方性が変化する
磁性薄膜とからなる。あるいは、例えば、情報担体は、
歪み付与層と磁性薄膜と異方性付与層とが順次積層され
た構造を有する。さらに、例えば、情報担体は、磁性薄
膜と異方性付与層と結合制御層と固定磁化層とが順次積
層された構造を有する。また、例えば、情報担体は、歪
み付与層と磁性薄膜と上記異方性付与層と結合制御層と
固定磁化層とが順次積層された構造を有する。
【0045】この発明の第7の発明は、一軸磁気異方性
を有する磁性体からなる情報担体と、情報担体の磁化ベ
クトルの方向を反転させるための駆動力を情報担体の静
状態の磁化容易軸とほぼ垂直方向にパルス的に印加する
ための駆動力印加手段とを有し、情報担体の磁化方向に
よって2値の情報を扱う磁気機能素子であって、情報担
体の静状態の磁化ベクトルが静状態の磁化容易軸に対し
て所定の角度傾斜していることを特徴とするものであ
る。
【0046】この発明の第8の発明は、A.磁性体から
なる情報担体と、情報担体の磁化ベクトルの方向を変化
させるための駆動力印加手段とを有し、情報担体の磁化
方向によって2値またはそれ以上の多値の情報を扱う磁
気機能素子であって、駆動力は、その印加以前の始状態
における情報担体の磁化ベクトルに対してほぼ垂直方向
にパルス的に印加される磁気機能素子と、B.ホール効
果または磁気抵抗効果により磁気機能素子の情報担体の
磁化方向を読み出す手段とを有することを特徴とする磁
気装置である。
【0047】この発明の第9の発明は、A.一軸磁気異
方性を有する磁性体からなる情報担体と、情報担体の磁
化ベクトルの方向を反転させるための駆動力を情報担体
の静状態の磁化容易軸とほぼ垂直方向にパルス的に印加
するための駆動力印加手段とを有し、情報担体の磁化方
向によって2値の情報を扱う磁気機能素子であって、駆
動力は、情報担体の静状態の磁化容易軸とほぼ垂直方向
が磁化容易軸となるような磁気異方性を発生させること
により発生される磁気機能素子と、B.ホール効果また
は磁気抵抗効果により磁気機能素子の情報担体の磁化方
向を読み出す手段とを有することを特徴とする磁気装置
である。
【0048】この発明の第10の発明は、A.一軸磁気
異方性を有する磁性体からなる情報担体と、情報担体の
磁化ベクトルの方向を反転させるための駆動力を情報担
体の静状態の磁化容易軸とほぼ垂直方向にパルス的に印
加するための駆動力印加手段とを有し、情報担体の磁化
方向によって2値の情報を扱う磁気機能素子であって、
駆動力は、情報担体に隣接して設けられた別の磁性体か
らの交換相互作用により発生される磁気機能素子と、
B.ホール効果または磁気抵抗効果により磁気機能素子
の情報担体の磁化方向を読み出す手段とを有することを
特徴とする磁気装置である。
【0049】この発明の第11の発明は、A.一軸磁気
異方性を有する磁性体からなる情報担体と、情報担体の
磁化ベクトルの方向を反転させるための駆動力を情報担
体の静状態の磁化容易軸とほぼ垂直方向にパルス的に印
加するための駆動力印加手段とを有し、情報担体の磁化
方向によって2値の情報を扱う磁気機能素子であって、
駆動力は、情報担体の外部から印加される磁場である磁
気機能素子と、B.ホール効果または磁気抵抗効果によ
り磁気機能素子の情報担体の磁化方向を読み出す手段と
を有することを特徴とする磁気装置である。
【0050】この発明の第12の発明は、A.一軸磁気
異方性を有する磁性体からなる情報担体と、情報担体の
磁化ベクトルの方向を反転させるための駆動力を情報担
体の静状態の磁化容易軸とほぼ垂直方向にパルス的に印
加するための駆動力印加手段とを有し、情報担体の磁化
方向によって2値の情報を扱う磁気機能素子であって、
情報担体は、2層以上の磁性体層が積層された複合構造
を有する磁気機能素子と、B.ホール効果または磁気抵
抗効果により磁気機能素子の情報担体の磁化方向を読み
出す手段とを有することを特徴とする磁気装置である。
【0051】この発明の第13の発明は、A.一軸磁気
異方性を有する磁性体からなる情報担体と、情報担体の
磁化ベクトルの方向を反転させるための駆動力を情報担
体の静状態の磁化容易軸とほぼ垂直方向にパルス的に印
加するための駆動力印加手段とを有し、情報担体の磁化
方向によって2値の情報を扱う磁気機能素子であって、
情報担体の静状態の磁化ベクトルが静状態の磁化容易軸
に対して所定の角度傾斜している磁気機能素子と、B.
ホール効果または磁気抵抗効果により磁気機能素子の情
報担体の磁化方向を読み出す手段とを有することを特徴
とする磁気装置である。
【0052】これらの磁気装置には、磁気記憶装置、電
流スイッチング素子、電圧スイッチング素子、論理素
子、さらには磁気ベースのコンピュータなどの各種の機
能装置が含まれる。
【0053】この発明において、磁性体または情報担体
の大きさは必要に応じて決定されるものであるが、特に
磁気機能素子の微細化を図る場合には、その最大辺の長
さはサブミクロン領域、具体的には例えば500nm以
下に選ばれる。
【0054】この発明による磁気機能素子は、磁気記憶
装置への応用に限らず、その磁化スイッチングを利用す
る各種の装置、例えば電流制御素子などに応用すること
が可能である。
【0055】上述のように構成されたこの発明において
は、磁気異方性や交換相互作用などの各種の起源により
発生される駆動力を、磁性体または情報担体の静状態の
磁化容易軸とほぼ垂直方向にパルス的に印加することに
より磁性体または情報担体の磁化ベクトルの方向を反転
させるので、すなわち、スウィングバイ・スイッチング
を行うので、磁性体または情報担体の寸法、特にその最
大辺の寸法がサブミクロン領域に微細化されても、磁化
ベクトルの制動不足に妨げられることなく、その駆動力
の印加後瞬時に磁化ベクトルの顕著な変位が始動し、無
駄な軌跡を描かずに磁化ベクトルの方向を反転させるこ
とができ、高速でスウィングバイ・スイッチングを行う
ことができる。
【0056】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施形態につい
て図面を参照しながら説明する。
【0057】図4はこの発明の第1の実施形態による磁
化スイッチ素子を示す。この磁化スイッチ素子は、静状
態の磁化容易軸とほぼ垂直方向が磁化容易軸となる磁歪
誘起磁気異方性を利用するものである。
【0058】図4に示すように、この磁化スイッチ素子
は、電極層1、圧電体層2および情報担体としての、歪
みによって敏感に磁気異方性が変化するような磁歪(ma
gnetostriction)の大きな材料からなる歪み敏感磁性薄
膜3が順次積層された構造を有する。これらの電極層
1、圧電体層2および歪み敏感磁性薄膜3はそれぞれ円
形の形状を有し、全体として円柱形状を有する。歪み敏
感磁性薄膜3は電極層を兼用する。
【0059】圧電体層2の材料としては、例えば、PZ
T、PLZT、LiNbO3 、LiTaO3 、ADP、
KDP、ZnOなどを用いることができる。圧電体層2
を基板上に形成する場合、圧電体層/基板または圧電体
層/下地薄膜/基板の組み合わせとして下記のようなも
のを用いることができる。
【0060】PZT/SrTiO3 、PZT/Pt/M
gO、PZT/CeO2 /Si PLZT/SrTiO3 、PLZT/Pt/MgO、P
LZT/CeO2 /SiBaTiO3 /SrTiO3
BaTiO3 /Pt/MgO、BaTiO3 /CeO2
/Si LiNbO3 /Al2 3 、LiNbO3 /SrTiO
3 、LiNbO3 /CeO2 /Si LiTaO3 /Al2 3 、LiTaO3 /SrTiO
3 、LiTaO3 /CeO2 /Si ZnO/Al2 3 、ZnO/Al2 3 /Si 磁歪の絶対値が大きな値を持つ歪み敏感磁性薄膜3の材
料としては、下記のようなものを用いることができる。
【0061】1.希土類+Fe、Co、Niの合金 TbFe2 、Tb70Fe30、Tb2 Fe17、Tb(Co
Fe)2 、Tb(NiFe)2 、SmFe、ErF
2 、SmFe3 など。これらは磁歪の絶対値が特に大
きい。
【0062】2.白金族+Fe、Co、Niの合金 Fe70Pd30、Fe50Rh50、Co−Pdなど。これら
は金属のなかでは、耐食性に優れ、靭性も高い。
【0063】3.酸化物 Coフェライト、Niフェライト、Baフェライト、希
土類鉄ガーネットなど、ならびにこれらを主成分とする
固溶体。これらは耐食性に優れるが、結晶の作製がやや
難。
【0064】4.その他、Fe、Co、Ni、Mnなど
の合金。
【0065】Fe49Co492 、Co−Ni、Fe−A
l、Mn−Biなど。これらは酸化物よりも作製が容易
である。
【0066】この磁化スイッチ素子の具体的な構造の一
例を挙げると、圧電体層2として厚さ200nmのLi
NbO3 層を用い、歪み敏感磁性薄膜3として厚さ20
nmのFe−Rh合金膜を用い、これらを直径500n
mの円形に加工したものである。
【0067】次に、この磁化スイッチ素子の動作につい
て説明する。図4に示すように、電極層1と電極層を兼
用する歪み敏感磁性薄膜3との間に駆動回路を接続し、
この駆動回路によって電圧をパルス的に印加すると、圧
電体層2は電場の方向(z方向)に、例えば収縮する。
この圧電体層2を構成する圧電体結晶がz軸の周りに3
回対称以上の高次の対称性を持てば、この収縮に伴っ
て、圧電体層2の面内(xy面内)方向には等方的な伸
展の歪みが生じる。そして、この圧電体層2上に積層さ
れた歪み敏感磁性薄膜3には、面内等方的な引っ張り歪
みが与えられる。歪み敏感磁性薄膜3の磁歪が負の大き
な値を持てば、この状況下では膜面に垂直方向が磁化容
易軸となるような応力誘起磁気異方性(stress-induced
magneticanisotropy)を生じる。こうして生じた垂直
磁気異方性(perpendicular anisotropy)は磁化ベクト
ルを+zまたは−z方向へ向けようとする作用を持つの
で、実効磁場の起源として寄与し、スウィングバイ・ス
イッチングの駆動力となる。
【0068】(1)式に記述される通り、磁化ベクトル
の変化は−(M×H)に比例する。したがって、もし初
期状態の磁化ベクトルのz成分が正であれば、図5に示
すように手前側へ歳差を開始する。また、このz成分が
負であれば逆回りとなる。磁化ベクトルが完全にxy面
内にある場合には、垂直磁気異方性による実効磁場は働
かない。この場合は、熱揺らぎなどによってz成分が生
じてから、初めて駆動を受けることになる。したがっ
て、磁気異方性を駆動力に用いる場合には、磁化方向と
磁化容易軸とは完全に垂直でなく、適度に実効磁場が生
じるような角度にして用いるのが速いスイッチングに有
効である。これを実現するためには、あらかじめ駆動回
路にバイアス電圧を加え、垂直磁気異方性のオフセット
を与えておく方法がある。また、素子の製造工程で歪み
敏感磁性薄膜3に生じる応力や、歪み敏感磁性薄膜3の
結晶磁気異方性などを援用することもできるのは言うま
でもない。
【0069】磁化ベクトルが所期の終状態(図5ではt
=t3 の状態)の近くにある時に駆動回路からの電圧を
切り、磁化ベクトルを−x方向に落ち着かせて磁化反転
が終了する。再度+x方向への磁化反転を行うために
は、同じパルス電圧を印加すればよい。
【0070】ここに示した、歪みまたは応力によって誘
起される磁気異方性を駆動力として磁化ベクトルの方向
をスイッチする方法とそれを利用した機能素子の例は、
本願出願人が先に出願した特願平11−200840号
に開示されている。一方向の歪みのON/OFFないし
符号(引っ張りか圧縮か)を変えることによっては、磁
化容易軸の方向が90°変化するだけなので、磁化ベク
トルのスイッチングは0°と90°との間で行われるの
が自然であった。上記の特願平11−200840号に
開示されたような工夫によって、0°、90°、180
°、270°の4方向に磁化ベクトルを向ける多値記憶
も可能である。しかしながら、どちらの場合も90°ず
つ異なる方向の磁化ベクトルがいずれも安定に保持され
るため、4回対称の磁気異方性(magnetic anisotropy
with 4-fold symmetry) を作り込むという、材料技術上
難度の高い工程が不可欠であった。これに対し、この発
明のスウィングバイ・スイッチングならば、90°方向
の駆動でも0°と180°との間のスイッチングを達成
することができる。この意味で、スウィングバイ・スイ
ッチングは、応力(または歪み)駆動の磁気機能素子と
の組合せにおいて、重要な技術である。
【0071】以上のように、この第1の実施形態によれ
ば、圧電体層2に電圧をパルス的に印加することにより
歪み敏感磁性薄膜3に応力誘起磁気異方性を生じさせ、
これにより生じる垂直磁気異方性を起源とする駆動力
を、情報担体である歪み敏感磁性薄膜3の静状態の磁化
容易軸とほぼ垂直方向にパルス的に印加することにより
磁化ベクトルの方向を反転させるので、すなわち、スウ
ィングバイ・スイッチングを行うので、歪み敏感磁性薄
膜3がサブミクロン領域の寸法に微細化されても、磁化
ベクトルの制動不足に妨げられることなく、高速でスウ
ィングバイ・スイッチングを行うことができる。
【0072】次に、この発明の第2の実施形態による磁
化スイッチ素子について説明する。
【0073】この第2の実施形態による磁化スイッチ素
子は、第1の実施形態による磁化スイッチ素子と同様な
構造を有するが、歪み敏感磁性薄膜3として歪み(応
力)誘起磁気相転移を起こし得るものを用いる点で異な
る。このような磁気相転移を持つ材料としては下記のよ
うなものを用いることができる。
【0074】1.磁気相転移を持つ金属、化合物 Fe−Rh、Mn−Rh、Cr−Sなど。
【0075】2.磁気相転移を持つ酸化物 La1-x Srx MnO3 、Pr1-x Cax MnO3 、N
1-x Srx MnO3 などのMn系ペロブスカイト。こ
れらの酸化物は錆びない点で有利である。
【0076】上記の材料を用いて、応力ないし歪みの付
与によって第1の実施形態による磁化スイッチ素子と同
様に磁化方向を変化させる機能を実現し得ることは、本
出願人の特願平11−200840号に開示された通り
である。
【0077】この第2の実施形態によれば、第1の実施
形態と同様な利点を得ることができる。
【0078】図6はこの発明の第3の実施形態による磁
化スイッチ素子を示す。この磁化スイッチ素子は、面内
の磁化容易軸の変化による駆動を用いたものである。
【0079】図6に示すように、この第3の実施形態に
よる磁化スイッチ素子においては、磁歪が大きく、歪み
によって磁気異方性が顕著に変化する歪み敏感磁性薄膜
11を被制御磁性層として用い、この歪み敏感磁性薄膜
11とこれに歪みを与える圧電体からなる歪み付与層1
2とが積層されている。これらの歪み敏感磁性薄膜11
および歪み付与層12はいずれも長方形の形状を有す
る。一方向に長く、それと垂直方向に狭い細長い形状
は、形状異方性によって長手方向を磁化容易軸とするた
めの手段である。しかし、磁性体端部のスピン分布は磁
化反転の態様に大きな影響を持つので、これを制御する
目的で厳密な長方形形状とは異なる形状を利用すること
ができる。例えば、端部を斜めに尖らせることの結果に
ついて、A.V.Pohm,J.M.Anderson,R.S.Beech,and J.M.D
aughton らによる検討結果がJournalof Applied Physic
s,Vol.85,4771(1999)に掲載されている。
【0080】歪み付与層12としては、それ自体が電圧
刺激で歪みを生じるPZT、LiNbO3 、LiTaO
3 、ADP、KDP、ZnOなどを用いることができ
る。あるいは、圧電材料または電歪材料と接して応力を
伝達されるように形成された、Si、MgO、Al2
3 あるいはガラスなど、より安価な基板でもよい。
【0081】磁歪の絶対値が大きな値を持つ歪み敏感磁
性薄膜11の材料としては、第1の実施形態で挙げたも
のと同様なものを用いることができる。
【0082】この磁化スイッチ素子の歪み敏感磁性薄膜
11の寸法の一例を挙げると、歪み敏感磁性薄膜11が
その細長い形状によって磁化方向を保つ磁気異方性を有
することができるように、0.2μm×0.05μmの
長方形とし、厚さを20nmにしたFe−Rh薄膜やN
i薄膜などである。
【0083】この磁化スイッチ素子においては、例え
ば、被制御磁性層である歪み敏感磁性薄膜11の磁歪が
正である場合には、薄膜面内のある軸に沿った一軸性の
引っ張り歪みを歪み敏感磁性薄膜11に与えると、歪み
の軸に沿った方向が磁化容易軸になるような応力誘起磁
気異方性が図6に示すように生じる。
【0084】この応力誘起磁気異方性を磁化ベクトルの
駆動力とする概念は、本願出願人による上記の特願平1
1−200840号ですでに開示されたものである。そ
れに対するこの発明の新規な利点は、(1)サブミクロ
ン領域の寸法の超微細化素子で高速動作を実現すること
ができることと、(2)スウィングバイ・スイッチング
では応力誘起磁気異方性を用いても180°の駆動がで
きるため、一軸磁気異方性の磁性材料を情報担体として
利用することができることである。
【0085】磁化ベクトルと磁化容易軸とが完全に垂直
な場合には、磁化ベクトルへのトルクは生じないことに
注意を要する。したがって、このような情況を避けるた
めに相互のなす角度が完全な垂直から外れるように調節
して効果的な駆動を得る。具体的には、歪み付与層12
により付与する応力の軸(これが発生する磁化容易軸の
向きを決める)が、静状態の歪み敏感磁性薄膜11の磁
化容易軸に対して、完全に垂直あるいは平行にならない
ようにすればよい。
【0086】より具体的には、例えば歪みの付与に用い
る歪み付与層12に接触させる電極(図示せず)の位置
・形状を変えたり、歪み付与層12を構成する圧電体の
結晶軸の向きを選ぶことにより目的を達成することがで
きる。あるいは、異なる起源の磁気異方性(形状磁気異
方性、結晶磁気異方性、磁場中熱処理による誘導磁気異
方性、磁場中堆積による誘導磁気異方性など)を適宜組
み合わせて、被制御磁性層である歪み敏感磁性薄膜11
の磁化容易軸の角度を傾けることによっても、目的を達
成することができる。
【0087】この第3の実施形態によれば、第1の実施
形態と同様な利点を得ることができる。
【0088】図7はこの発明の第4の実施形態による磁
化スイッチ素子を示す。この磁化スイッチ素子は、スイ
ッチしようとする磁化ベクトルに対して垂直方向に作用
させる駆動力として、隣接する別の磁性体からの交換相
互作用(exchange interaction)による駆動力を利用す
るものである。
【0089】図7に示すように、この磁化スイッチ素子
は、固定磁化層21と情報担体としての被制御磁性層2
2とが中間層23を介して積層された構造を有する。一
般に複数の磁性層を含む積層膜中では、磁性層相互の間
に交換相互作用が働く。この交換相互作用の強さは、積
層膜の構成要素、この例では中間層23の働きによって
変化させることができる。
【0090】固定磁化層21からの交換結合を利用して
被制御磁性層22の磁化方向の駆動をするために用いる
構造の具体例について説明する。これについては、本願
出願人が先に出願した特願平10−185255号に既
に開示されている。
【0091】中間層23が半導体層である場合 磁性体に接触する半導体中のキャリアは、磁性体からの
距離とともに振動的に減衰するスピン密度分布を持ち、
その偏極(キャリアの平均スピンの零からのずれ)がお
よぶ距離にある別の磁性イオンまたは磁性体との間に、
磁気的な相互作用(RKKY相互作用)を生じる。この
相互作用によって、半導体層で分けられた二つの磁性
層、すなわち固定磁化層21と被制御磁性層22との間
に交換結合が得られる。
【0092】この磁気的相互作用の大きさや距離に伴う
振動の周期は、キャリア密度に依存する。また、半導体
のキャリア密度は、電気刺激(電圧印加、電流注入な
ど)または光照射などの外部刺激によって変えることが
できる。したがって、半導体層に外部刺激を与えること
で、上下の磁性層の磁気的結合を変化させることができ
る。そこで、例えば、固定磁化層21および被制御磁性
層22またはそれらとは別に設けた電極により中間層2
3、すなわち半導体層に印加する電圧をON/OFFす
ることにより、被制御磁性層22の磁化ベクトルを反転
させるような駆動力を生じさせることができる。
【0093】特に、半導体層を介する磁気的結合では、
スピン密度分布の振動的性質のおかけで、磁気的結合の
強さのみならず、磁気的結合の符号が変わる可能性もあ
る。すなわち、半導体層を介した磁気的結合の場合に
は、上下の磁性層の磁化が平行(強磁性的)に揃いやす
いか、反平行(反強磁性的)に揃いやすいかを、半導体
層に与える外部刺激で制御することができる可能性があ
る。
【0094】中間層23が誘電体層である場合 誘電体層を介して、磁性層間に交換結合を持たせること
もできる。このとき、磁性層間の交換結合は、磁性層間
を移動するトンネル電子によって媒介される。そこで、
例えば、固定磁化層21および被制御磁性層22または
それらとは別に設けた電極から電圧を印加して、積層構
造のポテンシャル分布を変えると、中間層23、すなわ
ち誘電体層を透過する電子のトンネル確率が変わり、固
定磁化層21と被制御磁化層22との間の交換結合が変
化する。これを被制御磁化層22の磁化方向を反転させ
る駆動力とすることができる。
【0095】なお、中間層23として複数層の誘電体層
を形成した場合には、複数のポテンシャル障壁を持つ構
造となる。これらの複数のポテンシャル障壁を持つ構造
を電子が透過する確率は、障壁の間に作られるポテンシ
ャル井戸を共鳴的に透過するエネルギーを電子が持つ場
合に、著しい極大を示す。この共鳴と非共鳴との間で、
電子のエネルギーまたは構造のポテンシャル分布を変化
させると、外部からの比較的小さな電気刺激によって、
大きなトンネル確率の変化を起こすことができ、その結
果、トンネル電子による交換結合に大きな変化を起こす
ことができる。
【0096】中間層23が導電体層である場合 非磁性金属などからなる導電体層においてもRKKY相
互作用は共通にあり、これを介して磁性層間に磁気的結
合を得ることができる。もっとも、導電体はキャリア数
が多くかつ緩和時間も短いので、半導体におけるように
外部刺激によってキャリア数を変えることは容易でな
く、したがって、磁気結合の変調も困難である。しかし
ながら、材料の構造を工夫することによって、磁気結合
の変調を実現することができる。
【0097】例えば、中間層23としてCr/Fe−A
gの積層膜を用い、このCr/Fe−Agの積層膜に電
流を供給することで、固定磁化層21と被制御磁性層2
2との間の磁気結合を切ることができる。このように電
流で制御される方式は、電気容量によって動作速度を制
限されることがなく、高耐圧の絶縁材料が不要であるな
どの利点を有する。
【0098】中間層23が複合材料からなる層である場
単相の材料ではなく、複合材料を、固定磁化層21と被
制御磁性層22との間の磁気的結合を制御する中間層2
3に用いても、磁気結合を伝搬し、かつこの結合の強さ
を外部刺激によって変化させる制御が可能となる。
【0099】具体的には、中間層23として、例えば、
磁性層と非強磁性層とが積層された多層構造のものを用
いることができる。磁性層としては、例えば、Fe、C
o、Niなどの強磁性金属またはそれらを非磁性金属で
希釈した合金などを用いることができる。また、非強磁
性層としては、Ti、V、Mn、Cu、Zr、Nb、M
o、Ru、Rh、Pd、Ag、Hf、Ta、W、Re、
Ir、Pt、Auなど、ほとんどの金属を用いることが
できる。なお、室温でそれ自身が反強磁性であるCrな
ども、非強磁性層に用いることができる。得られる結合
が強磁性的か反強磁性的か、あるいはその強度などにつ
いては、積層の相手となる磁性体の種類や非強磁性層の
厚さなどによって、様々な設計の可能性を与える。
【0100】また、中間層23としては、上記のような
積層構造のほかに、微粒子分散構造を有する層を用いる
こともできる。具体的には、この層は、Feなどからな
る強磁性微粒子が、Agなどからなる非磁性体の内部に
分散した構造である。このとき、磁気的結合は、強磁性
微粒子を飛び石のように伝わり、その結果、固定磁化層
21と被制御磁化層22とが磁気的に結合することとな
る。
【0101】このとき、強磁性微粒子間の磁気的結合は
非常に弱く、この磁気的結合は、電流が流れると過剰な
電子散乱や温度上昇などによって分断されやすい。すな
わち、微粒子分散構造の中間層23の場合、その上下に
設けられた固定磁化層21と被制御磁性層22との間の
磁気的結合は、強磁性微粒子間の微弱な磁気的結合に依
存しており、中間層23に流れる電流によってマクロな
磁気的結合が分断されやすい。
【0102】なお、このような微粒子分散構造は、積層
構造の一要素として用いることもできる。例えば、上記
にCr膜との積層構造として現れたFe−Ag膜は、非
固溶の2相混合系材料からなるので、正確には、微粒子
分散構造になっているとも言える。
【0103】また、中間層23に、磁性体を含有する複
合材料を用いる場合には、複合材料中の磁性体を媒介と
して磁気的結合が間接的に生じるので、中間層23の厚
さを比較的厚くすることができる。そこで、中間層23
に、磁性体を含有する複合材料を用いる場合には、その
厚さは10nm以上とすることが好ましい。厚さが10
nm以上であれば、中間層23の厚さが薄すぎるために
製造が困難であるという問題などを回避することができ
る。
【0104】なお、磁性体を含有する複合材料からなる
中間層23の厚さの上限は特に規定されるものではない
が、実際の製造プロセスなどを考慮すると、この中間層
23の厚さは1μm程度以下とすることが望ましい。
【0105】中間層23が別種の磁性体からなる場合 磁気秩序が消失するキュリー温度が比較的低い材料や、
補償点付近の状態にあるフェリ磁性体も、外部刺激でマ
クロな磁気特性を顕著に変える。これを、磁性層間、す
なわち固定磁化層21と被制御磁性層22との間の磁気
的結合の変調に利用することも可能である。
【0106】次に、この第4の実施形態による磁化スイ
ッチ素子の製造方法の一例について説明する。ここで
は、中間層23が導電体層である場合について説明す
る。
【0107】まず、例えばガラス基板上に例えばスパッ
タリング法により高保持力Co−Pt磁性層(永久磁石
層)およびCo層を固定磁化層21として順次堆積す
る。ここで、例えば、高保持力Co−Pt磁性層の厚さ
は100nm、Co層の厚さは100nmとする。
【0108】次に、固定磁化層21上に例えばスパッタ
リング法によりCr/Fe−Ag多層膜を中間層24と
して堆積する。具体的には、Fe−Agモザイク・ター
ゲット(中心角15°の扇形Ag板6枚をFeターゲッ
ト上に並べたもの)とCrターゲットの二つを同時にス
パッタしながら、基板がそれぞれのターゲット上に交互
に滞在するようにして、Cr/Fe−Ag多層膜を室温
で堆積した。それぞれの厚さは、Cr膜は0.9nm、
Fe−Ag膜は1.5nmで、フェライト薄膜上にFe
−Ag膜から堆積を開始し、16周期と半分堆積してF
e−Ag膜が一番上になるように終了した。すでに述べ
たように、このCr/Fe−Ag多層膜は、電流が流れ
たときに磁気的結合が切れる作用を持つものである。実
際には、この中間層24に電流供給をするための電極が
とれるように、素子領域の外周部に電極パッドを形成す
る。
【0109】さらに、中間層23上に、中間層23から
導出された電極パッドを覆わないようにして、例えばス
パッタリング法により絶縁結合層を堆積する。
【0110】次に、絶縁結合層上に例えばスパッタリン
グ法によりNi−Fe層を記憶担体である被制御磁性層
22として堆積する。堆積中は基板加熱によって下地か
ら伝搬する磁気的バイアスを除き、外部磁界を−x方向
に印加してNi−Fe層にx軸方向に容易軸を持つ一軸
磁気異方性を誘導した。
【0111】この後、被制御磁性層22上に所定形状の
レジストパターンを形成した後、このレジストパターン
をマスクとして被制御磁性層22、中間層23および固
定磁化層21をドライエッチングにより順次エッチング
することにより記憶担体の形状にパターン化する。な
お、このパターン化は、いわゆるリフトオフ・プロセス
を用いて行ってもよい。
【0112】この後、電磁石を用いて室温にてx方向に
2kOeの磁界を印加し、高保持力Co−Pt磁性層お
よびCo層の磁化方向を−x方向に揃えた。
【0113】以上のようにして、目的とする磁化スイッ
チ素子が製造される。
【0114】この第4の実施形態は、上述の第1および
第3の実施形態のように応力誘起磁気異方性を利用する
場合に比べると、外部磁場を印加した場合に似て、決ま
った一方向への駆動力となることが利点である。すなわ
ち、交換相互作用のエネルギーEexはJを正または負の
定数としてEex=J・cos(θ−θf )の形に書ける
が、一軸磁気異方性のエネルギーEa はKu を正の定数
としてEa =−Ku ・cos2 (θ−θe )のように余
弦の2次関数になる。ここにθは被制御磁性層の磁化ベ
クトルの方位角、θf は固定磁化層の磁化ベクトルの方
位角、θe は磁化容易軸の方位角である。スウィングバ
イ・スイッチングでは駆動力を磁化ベクトルに垂直に近
く加えるから、θ−θf またはθ−θe は90°に近い
値となる。したがって、エネルギーの勾配dE/dθに
よって与えられる磁化ベクトルへのトルクは、Ea =−
u ・cos2 (θ−θe )の磁気異方性利用の場合に
は極小値に近く、符号(方向)すらも一定しない可能性
がある。一方、交換相互作用を利用するEex=J・co
s(θ−θf )の場合には、最大に近いエネルギー勾配
dE/dθの大きさを利用することができるのが利点で
ある。
【0115】この第4の実施形態によれば、第1の実施
形態と同様な利点を得ることができる。
【0116】図8はこの発明の第5の実施形態によるM
RAMを示す。このMRAMは、磁化容易軸に垂直方向
の磁場で駆動するものである。
【0117】図8に示すように、このMRAMにおいて
は、図示省略した基板上に、縦・横の配線の組み、すな
わち語線(ワード線)31および桁線(ビット線)32
と、これらの配線の交差点、すなわち格子点に配置され
た磁性薄膜とが設けられている。そして、これらのマト
リクス状に配置された磁性薄膜を記憶担体33とし、こ
れの正逆の磁化方向を状態「0」または「1」に対応さ
せて2値記憶を行うものである。
【0118】従来のMRAMでは、この磁化方向を反転
させる「書込み」動作には、語線と桁線とに流す電流の
つくる合成磁場を用いている。すなわち、電流がONで
ある縦線、すなわち語線と、同じく電流がONである横
線、すなわち桁線との交点に位置する記憶担体だけが両
方からの合成磁場を受けるので、その1個の記憶担体の
磁化だけを選択的に反転させることができるというもの
である。
【0119】普通、長短の2辺が1μm内外の大きさを
持つ長方形の磁性薄膜を記憶担体として用い、その形状
異方性(shape anisotropy)によって一軸磁気異方性を
得ている。その磁化容易軸が配線の一方(縦または横)
と平行になるように置き、磁化容易軸方向にある磁化ベ
クトルに対しほぼ135°の方向に合成磁場を印加して
磁化反転を駆動する場合が多い。磁化に対し180°の
磁場によるスイッチングの場合に比べて、磁化と磁場と
が角度をなす配置は、動作速度を高める上でも有利であ
ることが知られている。このように磁場によって駆動さ
れる素子においても、微細化がさらに進めば、磁化ベク
トルの制動不足で磁化反転速度が劣化する。
【0120】このような磁場駆動のMRAMを高速化す
るために、図8に示すような配置でスウィングバイ・ス
イッチングを応用することができる。すなわち、磁性薄
膜からなる記憶担体33の磁化容易軸を縦横の配線、す
なわち語線31および桁線32とほぼ45°をなす方向
に置き、これらの配線からの合成磁場が、記憶担体33
の磁化ベクトルの方向に対しほぼ90°方向に印加され
るように配置すればよい。
【0121】ただし、この場合の駆動は、磁化反転に要
する時間の数分の一の極めて短時間だけ持続するパルス
電流による衝撃的な駆動である必要がある。理由は以下
の通りである。縦または横の一方の配線だけが生じる磁
場の大きさは両者の合成磁場の値に比べて小さいにもか
かわらず、記憶担体33の磁化容易軸に対して45°ま
たは135°に働く。この角度の磁場はより遅い静的磁
化過程の駆動力としては効果的に働くので、それがある
程度以上の時間印加されると、電流を担う配線に沿って
位置する全ての記憶担体33の磁化が一方向に揃えられ
てしまう可能性があり、選択的な書き込みができなくな
るおそれがあるからである。
【0122】記憶担体33を構成する磁性薄膜の具体例
を挙げると、磁場中成膜または長方形形状によって長手
方向が磁化容易軸となるような磁気異方性を持たせた寸
法が0.25μm×0.1 μm、厚さが10nmのNi
80Fe20合金薄膜である。
【0123】この第5の実施形態によれば、第1の実施
形態と同様な利点を得ることができることにより、高速
動作可能なMRAMを実現することができる。
【0124】図9はこの発明の第6の実施形態による磁
化スイッチ素子を示す。
【0125】スウィングバイ・スイッチングを効果的に
利用するためには、素子の構成要素である各磁性層、な
かでもとくにスイッチングを生じる記憶担体としての被
制御磁性層は適切な磁気特性を持っていなければならな
い。より具体的には、磁性薄膜の飽和磁化(saturation
magnetization)、磁歪(magnetostriction)、磁気異
方性(magnetic anisotropy)、磁化容易軸の方向(dire
ction of easy axis of magnetization with respect t
o the device structure)などが、それぞれ適切な値で
あることが要求される。このように多数個のパラメタが
同時に所望の値を持つようにすることは、材料の組成の
選択だけによっては至難である。
【0126】磁性薄膜を複数の層の複合構造で構成する
ことによって、素子設計上要求される磁気特性を達成す
ることができる。例えば、磁化反転の駆動力となる応力
誘起磁気異方性を生じる源泉である磁歪が大きな値を持
つ磁性薄膜と、磁気異方性の値が大きく磁化容易軸の方
向が確定した磁性薄膜とをそれぞれ適当な厚さで積層形
成することによって、磁歪と磁気異方性とを独立に制御
することができる。
【0127】そこで、この第6の実施形態による磁化ス
イッチ素子は、そのような目的で、図9に示すように、
歪み付与層41、歪み敏感磁性層42、異方性付与層4
3、結合制御層44および固定磁化層45が、順次積層
された構造を有する。ここでは、積層構造中央部の歪み
敏感磁性層42と異方性付与層43との2層の磁化が強
磁性的に揃って(ferromagnetically aligned)ひとつの
磁化ベクトルとなって運動し、2層ひと組みで複合被制
御磁性層として動作する。
【0128】被制御磁性層に適切な磁気異方性を持たせ
ることは、スイッチングの速さを得るためばかりでな
く、静状態の磁化方向を安定に保ち不揮発性メモリ動作
を実現する場合にも重要である。異方性付与層43はこ
のために形成されている。
【0129】歪み付与層41は、第3の実施形態におけ
る歪み付与層12と同様な働きをするものであり、これ
と同様な材料で形成される。また、結合制御層44は第
5の実施形態における中間層23と同様な働きをするも
のである。
【0130】この磁化スイッチ素子においては、圧電体
からなる歪み付与層12から受ける歪みが変化すると磁
歪の大きな歪み敏感磁性層42の磁化方向は変化する。
歪み状態がもとに戻ったときにその磁化が歪みに対して
可逆に戻らず、変化の記憶を確実に保持するように、複
合被制御磁性層の設計が行われている。すなわち、歪み
付与層41に接して形成される被制御磁性層は、歪みを
磁気特性の変化に変換する層、すなわち歪み敏感磁性層
42と、磁化状態の保持・記憶を助けるために磁気異方
性を付与する異方性付与層43とから成るものである。
【0131】歪み敏感磁性層42の磁気異方性は、歪み
付与層41から大きな歪みを受けると変化し、それに結
合した異方性付与層43の磁化も回転の駆動力を受け
る。そして、歪みが小さくなれば、異方性付与層44が
明確な異方性を保っているので、歪み敏感磁性層42の
磁化方向もその容易軸のいずれかに保たれる。こうし
て、不揮発性記憶が達成される。
【0132】複合被制御磁性層の具体例を挙げると、M
gO(110)基板上に成長した厚さ10nmのFe
(211)薄膜を異方性付与層43とし、その上に厚さ
25nmのNi層を堆積し、歪み敏感磁性層42とす
る。歪みは、MgO基板を歪ませることによって、上部
のNi/Fe積層体全体に印加する。
【0133】この磁化スイッチ素子においては、中央部
の複合被制御磁性層に対し、下部の歪み付与層41から
の歪みと、上部の固定磁化層45から結合制御層44を
介した交換結合(exchange coupling)とがおよぼされ、
複合被制御磁性層はふたつの駆動力の影響下におかれて
いる。協調あるいは競合関係にある複数の駆動力の組合
せは、多数個の素子をマトリクス状に配置した装置にお
いて、ひとつの素子だけに選択的に磁化反転を生じさせ
るランダム・アクセス動作の実現を可能にする手段であ
る。また、2つの入力が同時にONの場合に限り応答す
るANDゲートのような、各種の論理ゲートを構成する
手段にもなっている。
【0134】スウィングバイ・スイッチングでは、被制
御磁化ベクトルに対しほぼ垂直方向の駆動力を与えるこ
とが重要であることはすでに繰り返し述べた通りであ
る。したがって、固定磁化層45と異方性付与層43の
ように、積層構造の中に相互に90°をなす磁化容易軸
に沿って配置した磁化を持つ組み合わせを利用する場合
が多いことも特徴である。
【0135】この磁化スイッチ素子の具体的な構造例を
挙げると、歪み付与層41として厚さ150nmのLi
NbO3 薄膜、歪み敏感磁性層42として厚さ20nm
のFe−Rh合金膜、異方性付与層43として磁場中堆
積で一軸磁気異方性を持たせた厚さ10nmのNi80
20合金薄膜、結合制御層44として第4の実施形態で
挙げたものと同様なもの、固定磁性層45としてc軸が
面内一方向に揃って配向した厚さ10nmのCo薄膜を
用いたものである。
【0136】この第6の実施形態によれば、第1の実施
形態と同様な利点を得ることができるほか、複数個の入
力の組合せ状態にしたがった駆動が可能であることによ
り、論理ゲートの構成や、アドレス機能の実現に適用し
て好適なものである。
【0137】図10はこの発明の第7の実施形態による
磁化スイッチ素子を示す。
【0138】スウィングバイ・スイッチングでは、磁化
反転の過程で磁化ベクトルが含まれる面に対して垂直な
駆動力を加えるという、3次元的な配置が特徴的であ
る。このため、積層膜の構成要素としてCo/Pt積層
膜やTb−Fe合金膜などの垂直磁化膜を含む構造が有
用である。
【0139】そこで、この第7の実施形態においては、
図10に示すように、静状態で膜面に垂直上向き(+
z)または下向き(−z)の磁化方向をとる垂直磁化膜
を被制御磁性層51とし、これに対し面内y方向の磁化
を持つ固定磁化層52を結合制御層53を介して結合さ
せ、このとき被制御磁性層51が受ける交換相互作用を
駆動力として被制御磁性層51の磁化ベクトルをxz面
内で回転させることができる。
【0140】また、x軸方向を磁化容易軸とし静状態で
面内x方向に磁化ベクトルを持つ被制御磁性層を用い、
z方向に磁化された垂直磁化膜を固定磁化層52とし、
これと結合させて被制御磁性層51の磁化ベクトルをx
y面内で回転させることもできる。
【0141】あるいは、x軸方向を磁化容易軸とする被
制御磁性層51に対し、y方向への駆動によって磁化ベ
クトルをxz面内で回転させる構成において、補助的に
設けた垂直磁化膜を被制御磁性層51に結合させること
もできる。この場合、垂直磁化膜は、磁化ベクトルがz
方向に立ち上がる際に反磁場から受ける抵抗力を軽減
し、xz面内の回転が完遂されるのを助ける。
【0142】さらに、垂直方向の応力誘起磁気異方性を
駆動力とする第1の実施形態において、被制御磁性層の
初期状態の磁化ベクトルを若干膜面から立たせて効果的
な駆動を得るために、被制御磁性層に垂直磁化膜を付
加、積層して用いることもできる。
【0143】以上のように、(1)被制御磁性層の基本
的な磁気異方性を定めるものとして、(2)駆動力の源
となる固定磁化層などの、磁気異方性や磁化方向を定め
るものとして、また(3)被制御磁性層を主とする基本
要素に対して素子特性改善のために補助的な影響を与え
るものとして、の3通りの目的で垂直磁化膜を利用する
ことができる。
【0144】磁化スイッチ素子の構造の具体例を挙げる
と、被制御磁性層51としてCo(0.38nm)/P
t(0.62nm)を10周期積層した多層積層膜、固
定磁化層52としてc軸が面内の一方向に配向した厚さ
25nmのCo薄膜、結合制御層53として第4の実施
形態で挙げたものと同様なものを用いる。
【0145】なお、結合制御層53を利用せずに、代わ
りに応力で駆動する場合には、磁歪が垂直磁気異方性に
大きな寄与を持っているような材料、例えばTb−Fe
合金を被制御磁性層51に用いる。
【0146】この第7の実施形態によれば、第1の実施
形態と同様な利点を得ることができる。
【0147】図11はこの発明の第8の実施形態による
磁化スイッチ素子を示す。
【0148】磁化ベクトルに対する駆動力には、方向性
のものと、軸性のものとがある。すなわち、外部磁場や
固定磁化層からの交換バイアス(exchange biasing)は
被制御磁化のN極を決まって一方向に駆動するので、方
向性の作用と言える。これに対し、例えば応力誘起磁気
異方性は、その磁化容易軸の正方向(仮に+z方向とす
る)に被制御磁化のN極が引き寄せられる場合もあれ
ば、逆方向(この場合−z方向)にN極が引き寄せられ
る場合もある。どちらにN極が引き寄せられるかは、初
期状態に依存する。磁化ベクトルが、平行であれ反平行
であれその向きは問わず、とにかく磁化容易軸に沿った
形になればよいというものなので、ここでは軸性の作用
と呼ぶことにする。
【0149】さて、磁化ベクトルが、それに対して垂直
な磁化容易軸を有する磁気異方性の作用を受けると、
(1)式の中のトルクM×Hが0になって、どちらにN
極が引かれるか分からない情況が出現する。これについ
ては、第4の実施形態においても触れた。磁化ベクトル
が熱による揺らぎなどで傾くと初めて、そのときの向き
に応じて、いずれかの方向へと回転させるトルクを受け
る。このようにトルクの向きが不定であることは、スウ
ィングバイ・スイッチングで利用される歳差運動の回転
の向きも不定であることを意味する。
【0150】素子の動作を、揺らぎに影響されない常に
一定の様態に置くためには、上記の情況を避ける必要が
ある。また、磁化反転の速い立ち上がりを得るために
も、トルクM×Hが0になりかねない起動は避けるべき
である。
【0151】この目的で、初期状態の磁化ベクトルが磁
化容易軸と完全に直交しないようにする工夫は、すでに
第1および第3の実施形態においてそれぞれの場合に即
して触れた。しかしながら、この第8の実施形態によれ
ば、積層構造を利用することによって、以下のようにさ
らに汎用性の高い解決法を得ることができる。
【0152】すなわち、図11に示すように、この磁化
スイッチ素子は、歪み付与層61、歪み敏感磁性層から
なる被制御磁性層62、結合媒介層63および異方性付
与層としての固定磁化層64が、順次積層された構造を
有する。
【0153】歪み付与層61としては、例えば第3およ
び第6の実施形態で挙げたものを用いることができる。
被制御磁性層62としては、例えば第1、第3および第
6の実施形態で挙げたものを用いることができる。結合
媒介層63としては、例えば第4、第6および第7の実
施形態で挙げたものを用いることができる。固定磁化層
64としては、例えば第7の実施形態で挙げた垂直磁化
膜を用いることができる。
【0154】この磁化スイッチ素子においては、磁歪の
大きな歪み敏感磁性層からなる被制御磁性層62の磁化
ベクトルは、歪み付与層61からの面内一様歪みを受
け、z方向に生じる磁化容易軸によって駆動される。被
制御磁性層62は磁化容易軸をx軸に平行に持つが、静
状態でのその磁化は、結合媒介層63を介して弱く結合
した固定磁化層64からの交換バイアス(exchange bia
sing)によって若干上向きに落ち着いている。こうして
角度を調節したおかげで、起動時のトルクM×Hが必ず
決まった向きを持つようにすることができる。
【0155】固定磁化層64と被制御磁性層62との界
面で適当な結合が得られるならば、結合媒介層63を省
略してもかまわない。また、固定磁化層64の代わりに
垂直磁気異方性を与える異方性付与層を被制御磁性層6
2に強く結合させ、静状態ではx軸からやや上向きに2
層両方の磁化があり、被駆動時も両層の磁化が平行を保
ち揃って運動するような形式を採用することもできる。
【0156】このような角度関係の調節のために組み合
わされる磁性層は、上述のように垂直磁化膜に限られ
ず、面内磁化膜であってもよい。また、より一般的に
は、面外に傾いた方向に、磁化容易軸あるいは固定した
磁化を持つような磁性薄膜を利用することができる。
【0157】上記の磁化傾角の値について詳細に説明す
る。
【0158】薄膜面に対し垂直方向にスイッチング駆動
のトルクを受ける磁化ベクトルが、初期状態において磁
性薄膜の上半空間を指しているようにするために必要な
磁気異方性の組み合わせは、次のようになる。
【0159】まず、垂直磁気異方性Kp (perpendicula
r anisotropy constant)を持つ磁性膜において、磁化ベ
クトルが膜面から仰角ψの方向を向いたときのエネルギ
ーE(ψ)は、 E(ψ)=v・(2πMs 2 −Kp )・sin2 ψ である。ここにvは磁性薄膜の体積である。(2πMs
2 −Kp )が正ならば極小エネルギーの安定位置はψ=
0の面内方向となり、(2πMs 2 −Kp )が負ならば
垂直磁化膜となる。
【0160】面内磁化膜の磁化ベクトルは、薄膜面の上
下に熱揺らぎをし、そのエネルギーはkT程度(ただ
し、kはボルツマン定数、Tは絶対温度)である。熱揺
らぎの最大振幅よりも大きな傾角を与えておけば、磁化
ベクトルを薄膜面の片側に止めることができる。これに
必要な傾角の値は次のように見積もることができる。k
Tのエネルギーで振れることのできる最大角度をψmax
と書くと、ほぼ kT=v・(2πMs 2 −Kp )・sin2 ψmax である。したがって、 ψmax =sin-1{[kT/v・(2πMs 2
p )]1/2 } 程度以上の傾角を与えればよい。
【0161】垂直磁気異方性Kp が形状異方性2πMs
2 に比べて無視できるようなNi80Fe20合金を例にと
ってこの大きさを見積もると、温度300Kで、飽和磁
束密度Ms =104 (G)のNi−Fe合金、寸法10
0nm×50nm×10nmのパターンについて、熱揺
らぎによる面外への振れ角は0.83°となる。パター
ンの寸法が50nm×25nm×5nmに小さくなって
も、この振れ角は2.4°なので、5°もずらせれば十
分と考えられる。
【0162】Kp が小さく面内磁化膜であるような被制
御磁性層62に上で求めたような傾角を与えるために、
p が大きな垂直磁化膜を結合させることができる。2
層の強磁性層を積層すると、普通、両者の磁化方向が平
行な場合にエネルギーが下がるような交換エネルギー
(exchange energy)Eexが働き、両者の磁化方向は揃う
傾向を生じる。
【0163】Eex=Jex・cos(ψ1 −ψ2 ) ここに、Jexは2層間の交換定数、ψ1 とψ2 はそれぞ
れの層の磁化の仰角である。
【0164】ところで、Jexが極めて大きい場合にはψ
1 とψ2 はほとんど一致し、両層合わせたエネルギーは
再びE(ψ)=v・(2πMs 2 −Kp )・sin2 ψ
の形の仰角への依存を持つようになってしまうので、エ
ネルギーの極小は面内または垂直方向に限られる。そこ
で、垂直でも面内でもないような傾角を与えるには、ψ
1 とψ2 とが完全には一致しないように、適度に弱いJ
exを選ぶことが必要である。
【0165】Jexを弱めることは、二つの強磁性層の結
合を弱めるわけであるから、これは次のような手段で実
現することができる。例えば、両層を直接完全に接触さ
せずに、間に結合媒介層63をはさみ、これによって結
合の強さを調節することである。結合媒介層63とし
て、具体的には例えば、界面に1原子層以下の被覆率で
TiやCuなどの非磁性の金属をはさむことで交換結合
を弱めることができる。また、真空容器中で両層を逐次
積層する間に、一時酸素を導入して界面付近を酸化させ
ることによっても達成することができる。
【0166】固定磁化層64には、磁気異方性の大きな
材料、例えばc軸が面内の一方向に配向したCo薄膜
や、外場に影響されにくい反強磁性体(NiMn、Fe
Mn、NiOなど)を用いることができる。
【0167】この発明の第8の実施形態によれば、第1
の実施形態と同様な利点を得ることができる。
【0168】図12はこの発明の第9の実施形態による
磁気記憶装置を示す。この磁気記憶装置は、磁化スイッ
チ素子からなるメモリセルとホール効果によるメモリセ
ルの情報読み出し手段とを組合せたものである。
【0169】ホール効果(Hall effect)を利用して被制
御磁性層の磁化方向を電気信号に変換し、磁化状態を素
子の外部から読み出すことができる。被制御磁性層の正
逆の磁化方向を「0」または「1」の状態に対応させる
と、スウィングバイ・スイッチングによりメモリセルに
情報を書き込み、ホール効果によってメモリセルから情
報を読み出す2値の磁気記憶・再生装置を得ることがで
きる。
【0170】図12に示すように、この磁気記憶装置に
おいては、基板71上に全体として円柱形状を有する磁
化スイッチ素子72が形成されている。この磁化スイッ
チ素子72はメモリセルを構成する。基板71上には、
この磁化スイッチ素子72を中心とする十字型パターン
がこの磁化スイッチ素子72と接触して形成されてい
る。この十字型パターンのうち一方向のパターンは、下
部配線73と絶縁層74と上部配線75とが順次積層さ
れた構造を有し、これと直交する方向のパターンは絶縁
層76と配線77とが順次積層された構造を有する。
【0171】磁化スイッチ素子72の最上層は強磁性体
の垂直磁化膜からなる被制御磁性層72aにより構成さ
れている。この被制御磁性層72aはホール素子を兼用
するものである。この被制御磁性層72aは、それと積
層された別の層(例えば、応力を与える圧電体層や、交
換相互作用をON/OFFする結合制御層など)からの
駆動力ないし影響を受けて、スウィングバイ・スイッチ
ングを行う。より具体的には、この磁化スイッチ素子7
2は、第1の実施形態による磁化スイッチ素子における
歪み敏感磁性薄膜3として垂直磁化膜を用いたものや、
第7の実施形態による磁化スイッチ素子と同様なもので
ある。なお、下部配線73は、例えば磁化スイッチ素子
72の最下層に設けられる電極層と接続される。
【0172】垂直磁気異方性の大きなホール素子兼用被
制御磁性層72aとしては、例えばCo(0.38n
m)/Pt(0.62nm)を10周期積層した多層積
層膜を用いることができる。
【0173】この磁気記憶装置においては、磁化スイッ
チ素子72の周りに設けられた配線76の電流供給端子
A、A´間に電流を通じると、その電流および被制御磁
性層72aの磁化方向(膜面に対し立っている)のどち
らとも垂直な方向のホール電圧測定端子B、B´間にホ
ール電圧が生じ、このホール電圧を検出することにより
磁化スイッチ素子72からなるメモリセルの情報を読み
出すことができる。自発磁化(spontaneous magnetizat
ion)を持つ強磁性体(ferromagnet)は、その磁化に比例
し比較的大きな値を持つ異常ホール効果(anomalous Ha
ll effect)を示すので、大きな読み出し信号を得るのに
好都合である。
【0174】なお、ホール効果素子との組合せは、例え
ば面内に磁化方向を持つ被制御磁性層の場合には、Hybr
id Hall effect device(Mark Johnson, B.Bennet, M.Ya
ng,M. Miller,and B.Shanabrook, Appl.Phys.Lett.71,9
74(1997))に倣うことができる。すなわち、記憶担体で
ある被制御磁性層の片側端部から面と垂直方向へ広がる
磁束を、基板面内の十字形半導体パターンで受けるよう
な構造を作ればよい。
【0175】以上のように、この第9の実施形態によれ
ば、ホール効果により情報の読み出しが可能な磁気記憶
装置を実現することができる。また、被制御磁性層72
aとホール素子とを兼用しているので、素子全体の構成
要素数を減らすことができ、磁気記憶装置の製造工程の
簡素化および信頼性の向上を図ることかできる。
【0176】図13はこの発明の第10の実施形態によ
る磁気記憶装置を示す。この磁気記憶装置は、磁化スイ
ッチ素子からなるメモリセルと磁気抵抗効果(magneto-
resistance effect)によるメモリセルの情報読み出し手
段とを組合せたものである。
【0177】図13に示すように、この磁気記憶装置に
おいては、圧電体層81上に歪み敏感磁性層からなる被
制御磁性層82、非磁性中間層83および固定磁化層8
4が順次積層されている。圧電体層81の下面には下部
電極85が設けられている。これらにより磁化スイッチ
素子が構成されている。被制御磁性層82の磁化ベクト
ルは、圧電体層81からの歪みを受けて駆動される。被
制御磁性層82と固定磁化層84とが非磁性中間層83
ではさまれた構造により磁気抵抗素子が構成されてい
る。
【0178】下部電極85は入力スイッチおよび電源を
介して接地されている。また、被制御磁性層82も接地
されている。磁気抵抗素子の両端子、すなわち被制御磁
性層82と固定磁化層84との間には出力回路が接続さ
れている。
【0179】磁気抵抗素子の非磁性中間層83に薄い絶
縁体を用い、トンネル電流の変化を検出する方式はトン
ネルMR素子と呼ばれる。これに対し、被制御磁性層8
2、非磁性中間層83および固定磁化層84の3層とも
金属で、この積層膜の面内方向の電流の変化を検出する
場合は、スピンバルブ型GMR(giant magneto-resist
ance)素子と呼ぶ。いずれの場合も、ふたつの磁性層の
磁化が平行の場合に抵抗が低く、反平行の場合に抵抗が
高くなる性質があり、これによって被制御磁性層の磁化
方向を出力回路より電気信号として取り出すことがで
き、磁化スイッチ素子からなるメモリセルの情報を読み
出すことができる。
【0180】磁気抵抗素子の具体例を挙げると、トンネ
ルMR素子の場合、固定磁化層84として厚さ10nm
のCo膜、非磁性中間層83として厚さ2nmのAl2
膜、歪み敏感磁性層からなる被制御磁性層82とし
て厚さ5nmのFe−Rh合金膜を用いたものである。
ただし、これらのCo膜およびFe−Rh合金膜とAl
3 膜との界面に厚さ1.2nmのFe膜が付加さ
れている。このFe膜の付加は、MR比を高めるためで
ある。スピンバルブ型GMR素子の場合、HDD用スピ
ンバルブ・ヘッドによく用いられるCo/Cu/Coを
磁歪の大きな被制御層82に結合させたものなどであ
る。
【0181】以上のように、この第10の実施形態によ
れば、磁気抵抗効果により情報の読み出しが可能な磁気
記憶装置を実現することができる。また、磁化スイッチ
素子を構成する層を磁気抵抗素子に利用することにより
磁気抵抗素子を複合化しているので、素子全体の構成要
素数を減らすことができ、磁気記憶装置の製造工程の簡
素化および信頼性の向上を図ることかできる。
【0182】次に、この発明の第11の実施形態による
磁気記憶装置について説明する。
【0183】この磁気記憶装置においては、上述の各実
施形態のスウィングバイ・スイッチングによる磁化スイ
ッチ素子が同一の基板上にアレイ状に集積化配列され、
メモリセルアレイが構成されている。これらのメモリセ
ルアレイには、メモリセルを選択するための語線および
桁線が設けられる。
【0184】この第11の実施形態によれば、スウィン
グバイ・スイッチングの磁化スイッチ素子は情報担体と
なる磁性体寸法が10nm程度に小さくなっても、制動
不足に妨げられることなく、1nsレベルの高速磁化反
転を達成することができるので、磁気記憶装置の高密度
および大容量化と高速動作化との両方を達成することが
できる。
【0185】この第11の磁気記憶装置は、コンピュー
タ用記憶装置のほか、放送用映像プロセッサ、ウェブか
ら高速ダウンロード可能な家庭用映像サーバーなどに応
用可能である。また、全固体の堅牢な記憶装置を提供す
るので、携帯情報端末、携帯ビデオカメラ・レコーダに
も適している。
【0186】以上、この発明の実施形態について説明し
たが、この発明は、上述の実施形態に限定されるもので
はなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可
能である。
【0187】すなわち、上述の第1〜第11の実施形態
において挙げた数値、構造、形状、材料、成長方法、プ
ロセスなどはあくまでも例に過ぎず、必要に応じて、こ
れらと異なる数値、構造、形状、材料、成長方法、プロ
セスなどを用いることも可能である。
【0188】例えば、第6の実施形態において、必要に
応じて、層構造に反強磁性体層を含ませ、それによる交
換相互作用により被制御磁性層の磁化が駆動力のないと
きに決まった方向に向きやすいような交換バイアスを与
えるようにしてもよい。この反強磁性体層の材料として
は、下記のようなものを用いることができる。
【0189】磁気機能素子の動作温度以上で反強磁性秩
序を示す材料は、合金、酸化物、フッ化物など、幅広い
範疇の物質を利用することができる。
【0190】Mnはγ相の単体で反強磁性を示し、3d
遷移金属や貴金属との合金にしてもかなり幅広い組成範
囲で反強磁性を示すので、本発明に適する合金の構成元
素である。特に、Mn組成が40at.%以上で良好な
特性が得られる。
【0191】フッ化物の反強磁性体の例として、FeF
2 やMnF2 、K2 NiF4 などがある。室温よりも低
い温度で反強磁性秩序を失う物質もあるが、別種の、高
温まで反強磁性が持続する物質と組み合わせて利用する
ことができる。
【0192】また、この発明に適する反強磁性体に類似
の性質(磁化が小さく磁気異方性が大きい)を持つ材料
として、補償組成(compensation composition)に近い
組成のフェリ磁性体(ferrimagnetic materials)も利用
することができる。例えば、Tb−Co合金などの、貴
土類と遷移金属との合金が候補になる。
【0193】耐食性に優れる反強磁性材料 機能装置に一般に要求される特性として、使用ないし保
存環境中で腐食しないことが挙げられる。この発明の材
料も、この要求に沿った材料を選択するのが望ましい。
【0194】酸化物反強磁性体は金属に比べて耐食性に
優れる。磁気記録装置の動作環境である室温以上で反強
磁性秩序を示す酸化物としてNiOが代表的である。α
−Fe2 3 、Cr2 3 も室温で反強磁性を示す。N
iOを主として、別の物質を添加した固溶体(solid so
lution)で、特性の調整を行うこともできる。例えば、
その温度以上で反強磁性秩序を失うネール温度TN が5
48K付近にあるNiOと、ネール温度は93Kと室温
以下であるがNiOよりも磁気異方性が大きなCoOと
の固溶体を作ることにより、室温でNiOよりも磁気異
方性が大きな材料を得る方法がその例にあたる。NiO
とCoOとを積層形成した反強磁性体も、同じ目的で利
用することができる。
【0195】また、金属であっても、次のような貴金属
の合金では耐食性が改善される場合が多い。材料系:I
r−Mn、Pt−Mn、Pd−Pt−Mn、Rh−M
n、Pt−Cr−Mnなど。
【0196】耐熱性に優れる反強磁性材料(高T N
料) 構成要素として用いられる反強磁性体は、室温ではもち
ろん温度の上昇した環境でも、反強磁性磁気秩序を保
ち、強磁性体の磁化との結合を保つものであることが望
ましい。特に、回路の発熱によって装置内で局所的には
環境の温度よりもはるかに高い温度になっている可能性
がある。これに抗して動作を保証するためにも、耐熱性
の高い反強磁性材料が必要である。
【0197】反強磁性材料がその温度以上で反強磁性秩
序を失う臨界温度をネール温度といい、TN と書く。ま
た、接触する強磁性体の磁化への拘束力を示す最高温度
をブロッキング温度といい、TB と書く。
【0198】熱安定性の見地から、この発明に利用する
反強磁性体は高いTB のものが望ましい。TB はTN
りかなり低いのが普通であるが、おおむねTN が高い材
料ほどTB も高い傾向がある。TB が高いことが知られ
ている材料を以下に列挙する。TN が高いこれらの材料
は、材料の構成元素が規則的に配列して規則結晶を組む
ことで反強磁性を生じているものが多く、ある温度T
anneal以上で熱処理を行わないと規則化が起きない。こ
れは製造上の制約となり得るが、300℃以下の処理温
度で済む場合には、媒体薄膜堆積時に普通行われる基板
加熱で到達することができ、とりわけ障害とはならな
い。
【0199】 材料名 TB (℃) TN (℃) Tanneal(℃) Ni−Mn 450 797 280 Pt−Mn 380 702 280 Pt−Cr−Mn 380 Pd−Pt−Mn 300 230作製の容易な反強磁性材料 無秩序合金で反強磁性が得られる材料は熱処理や高温ま
での基板加熱の必要がなく、スパッタリングなどの薄膜
作製プロセスで容易に反強磁性薄膜を得ることができる
ので、生産に適している。
【0200】組成系:Fe−Mn、Ir−Mn、Rh−
Mn、Ru−Mn、Pt−Cr−Mn、Cr−Alな
ど。
【0201】
【発明の効果】以上説明したように、この発明による磁
化駆動方法によれば、磁気異方性や交換相互作用などの
各種の起源により発生される駆動力によりスウィングバ
イ・スイッチングを行うので、磁性体の寸法がサブミク
ロン領域、さらにはディープサブミクロン領域に微細化
されても、高速でスウィングバイ・スイッチングを行う
ことができる。
【0202】また、この発明による磁気機能素子によれ
ば、磁気異方性や交換相互作用などの各種の起源により
発生される駆動力によりスウィングバイ・スイッチング
を行うので、情報担体の寸法がサブミクロン領域、さら
にはディープサブミクロン領域に微細化されても、高速
でスウィングバイ・スイッチングを行うことができる。
【0203】また、この発明による磁気装置によれば、
そのような磁気記憶素子とホール効果または磁気抵抗効
果を利用した読み出し手段とを有することにより、高速
で情報の書き込みを行うことができ、しかも情報の読み
出しが可能な磁気記憶装置などの磁気装置を実現するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】磁場中での磁化ベクトルの歳差運動と緩和を説
明するための略線図である。
【図2】垂直磁気異方性に駆動される磁化ベクトルの軌
跡を計算で求めた結果を示す略線である。
【図3】面内の磁化容易軸に平行な磁場に駆動される磁
化ベクトルの軌跡を計算で求めた結果を示す略線であ
る。
【図4】この発明の第1の実施形態による磁化スイッチ
素子を示す略線図である。
【図5】この発明の第1の実施形態による磁化スイッチ
素子において垂直磁気異方性に駆動される磁化ベクトル
の運動の様子を示す略線図である。
【図6】この発明の第3の実施形態による磁化スイッチ
素子を示す略線図である。
【図7】この発明の第4の実施形態による磁化スイッチ
素子を示す略線図である。
【図8】この発明の第5の実施形態によるMRAMを示
す略線図である。
【図9】この発明の第6の実施形態による磁化スイッチ
素子を示す略線図である。
【図10】この発明の第7の実施形態による磁化スイッ
チ素子を示す略線図である。
【図11】この発明の第8の実施形態による磁化スイッ
チ素子を示す略線図である。
【図12】この発明の第9の実施形態による磁気記憶装
置を示す略線図である。
【図13】この発明の第10の実施形態による磁気記憶
装置を示す略線図である。
【符号の説明】
2、81・・・圧電体層、3、11・・・歪み敏感磁性
薄膜、12、41、61・・・歪み付与層、21、4
5、52、64、84・・・固定磁化層、22、51、
62、72a、82・・・被制御磁性層、23・・・中
間層、42・・・歪み敏感磁性層、43・・・異方性付
与層、53・・・結合制御層、63・・・結合媒介層、
72・・・磁化スイッチ素子、83・・・非磁性中間層

Claims (37)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 駆動力を印加することにより磁性体の磁
    化ベクトルの方向を変化させるようにした磁化駆動方法
    であって、 上記駆動力を、その印加以前の始状態における上記磁性
    体の磁化ベクトルに対してほぼ垂直方向にパルス的に印
    加するようにしたことを特徴とする磁化駆動方法。
  2. 【請求項2】 磁性体からなる情報担体と、 上記情報担体の磁化ベクトルの方向を変化させるための
    駆動力印加手段とを有し、 上記情報担体の磁化方向によって2値またはそれ以上の
    多値の情報を扱う磁気機能素子であって、 上記駆動力は、その印加以前の始状態における上記情報
    担体の磁化ベクトルに対してほぼ垂直方向にパルス的に
    印加されることを特徴とする磁気機能素子。
  3. 【請求項3】 上記情報担体と上記駆動力印加手段とが
    基板上に一体に組み合わされて設けられ、固体素子とし
    て機能することを特徴とする請求項2記載の磁気機能素
    子。
  4. 【請求項4】 上記駆動力として磁気異方性を起源とす
    る有効磁場を利用することを特徴とする請求項2記載の
    磁気機能素子。
  5. 【請求項5】 上記駆動力として磁気異方性を起源とす
    る有効磁場を利用することを特徴とする請求項3記載の
    磁気機能素子。
  6. 【請求項6】 上記駆動力として上記情報担体に結合さ
    れた別の磁性体からおよばされる交換相互作用を起源と
    する有効磁場を利用することを特徴とする請求項2記載
    の磁気機能素子。
  7. 【請求項7】 上記駆動力として上記情報担体に結合さ
    れた別の磁性体からおよばされる交換相互作用を起源と
    する有効磁場を利用することを特徴とする請求項3記載
    の磁気機能素子。
  8. 【請求項8】 上記情報担体を構成する上記磁性体とし
    て一軸磁気異方性を有する磁性体を用い、その磁化容易
    軸に沿った正逆の磁化方向によって2値の情報を扱う磁
    気機能素子であって、磁化反転の駆動力が上記情報担体
    の磁化容易軸とほぼ垂直方向に印加されることを特徴と
    する請求項2記載の磁気機能素子。
  9. 【請求項9】 上記情報担体を構成する上記磁性体とし
    て一軸磁気異方性を有する磁性体を用い、その磁化容易
    軸に沿った正逆の磁化方向によって2値の情報を扱う磁
    気機能素子であって、磁化反転の駆動力が上記情報担体
    の磁化容易軸とほぼ垂直方向に印加されることを特徴と
    する請求項3記載の磁気機能素子。
  10. 【請求項10】 一軸磁気異方性を有する磁性体からな
    る情報担体と、上記情報担体の磁化ベクトルの方向を反
    転させるための駆動力を上記情報担体の静状態の磁化容
    易軸とほぼ垂直方向にパルス的に印加するための駆動力
    印加手段とを有し、 上記情報担体の磁化方向によって2値の情報を扱う磁気
    機能素子であって、 上記駆動力は、上記情報担体の上記静状態の磁化容易軸
    とほぼ垂直方向が磁化容易軸となるような磁気異方性を
    発生させることにより発生されることを特徴とする磁気
    機能素子。
  11. 【請求項11】 上記駆動力を印加することにより発生
    される上記磁気異方性は応力誘起磁気異方性であること
    を特徴とする請求項10記載の磁気機能素子。
  12. 【請求項12】 上記情報担体は歪みによって敏感に磁
    気異方性が変化する磁性薄膜からなり、この磁性薄膜と
    圧電体層とが積層された構造を有し、上記圧電体層の厚
    さ方向に電圧を印加することにより上記応力誘起磁気異
    方性を発生させるようにしたことを特徴とする請求項1
    1記載の磁気機能素子。
  13. 【請求項13】 上記情報担体は歪みによって敏感に磁
    気異方性が変化する磁性薄膜からなり、この磁性薄膜と
    歪み付与層とが積層された構造を有し、上記歪み付与層
    にその面内の所定の方向に一軸性の歪みを与えることに
    よりこの方向が磁化容易軸となるような上記応力誘起磁
    気異方性を発生させるようにしたことを特徴とする請求
    項11記載の磁気機能素子。
  14. 【請求項14】 上記情報担体は上記静状態の磁化容易
    軸をその面に垂直方向に有する垂直磁化膜からなり、上
    記駆動力が上記情報担体の面にほぼ平行方向に印加され
    ることを特徴とする請求項10記載の磁気機能素子。
  15. 【請求項15】 上記情報担体の最大辺の寸法が500
    nm以下であることを特徴とする請求項10記載の磁気
    機能素子。
  16. 【請求項16】 一軸磁気異方性を有する磁性体からな
    る情報担体と、 上記情報担体の磁化ベクトルの方向を反転させるための
    駆動力を上記情報担体の静状態の磁化容易軸とほぼ垂直
    方向にパルス的に印加するための駆動力印加手段とを有
    し、 上記情報担体の磁化方向によって2値の情報を扱う磁気
    機能素子であって、 上記駆動力は、上記情報担体に隣接して設けられた別の
    磁性体からの交換相互作用により発生されることを特徴
    とする磁気機能素子。
  17. 【請求項17】 上記情報担体は上記静状態の磁化容易
    軸をその面内に有する薄膜または平板状の磁性体からな
    り、上記駆動力が上記情報担体の面にほぼ垂直方向に印
    加されることを特徴とする請求項16記載の磁気機能素
    子。
  18. 【請求項18】 上記情報担体を構成する被制御磁性層
    と固定磁化層とが中間層を介して積層された構造を有
    し、上記中間層の働きにより上記被制御磁性層と上記固
    定磁化層との間の交換相互作用の強さを変化させるよう
    にしたことを特徴とする請求項17記載の磁気機能素
    子。
  19. 【請求項19】 上記情報担体は上記静状態の磁化容易
    軸をその面に垂直方向に有する垂直磁化膜からなり、上
    記駆動力が上記情報担体の面にほぼ平行方向に印加され
    ることを特徴とする請求項16記載の磁気機能素子。
  20. 【請求項20】 上記情報担体を構成する上記垂直磁化
    膜からなる被制御磁性層と固定磁化層とが結合制御層を
    介して積層された構造を有し、上記結合制御層の働きに
    より上記被制御磁性層と上記固定磁化層との間の交換相
    互作用の強さを変化させるようにしたことを特徴とする
    請求項16記載の磁気機能素子。
  21. 【請求項21】 上記情報担体の最大辺の寸法が500
    nm以下であることを特徴とする請求項16記載の磁気
    機能素子。
  22. 【請求項22】 一軸磁気異方性を有する磁性体からな
    る情報担体と、 上記情報担体の磁化ベクトルの方向を反転させるための
    駆動力を上記情報担体の静状態の磁化容易軸とほぼ垂直
    方向にパルス的に印加するための駆動力印加手段とを有
    し、 上記情報担体の磁化方向によって2値の情報を扱う磁気
    機能素子であって、 上記駆動力は、上記情報担体の外部から印加される磁場
    であることを特徴とする磁気機能素子。
  23. 【請求項23】 上記情報担体の最大辺の寸法が500
    nm以下であることを特徴とする請求項19記載の磁気
    機能素子。
  24. 【請求項24】 一軸磁気異方性を有する磁性体からな
    る情報担体と、 上記情報担体の磁化ベクトルの方向を反転させるための
    駆動力を上記情報担体の静状態の磁化容易軸とほぼ垂直
    方向にパルス的に印加するための駆動力印加手段とを有
    し、 上記情報担体の磁化方向によって2値の情報を扱う磁気
    機能素子であって、 上記情報担体は、2層以上の磁性体層が積層された複合
    構造を有することを特徴とする磁気機能素子。
  25. 【請求項25】 上記情報担体を構成する上記2層以上
    の磁性体層はその面にほぼ垂直方向に磁化容易軸を有す
    る磁性体層を含むことを特徴とする請求項24記載の磁
    気機能素子。
  26. 【請求項26】 上記情報担体を構成する上記2層以上
    の磁性体層は、異方性付与層と歪みによって敏感に磁気
    異方性が変化する磁性薄膜とからなることを特徴とする
    請求項24記載の磁気機能素子。
  27. 【請求項27】 上記情報担体は、歪み付与層と上記磁
    性薄膜と上記異方性付与層とが順次積層された構造を有
    することを特徴とする請求項26記載の磁気機能素子。
  28. 【請求項28】 上記情報担体は、上記磁性薄膜と上記
    異方性付与層と結合制御層と固定磁化層とが順次積層さ
    れた構造を有することを特徴とする請求項26記載の磁
    気機能素子。
  29. 【請求項29】 上記情報担体は、歪み付与層と上記磁
    性薄膜と上記異方性付与層と結合制御層と固定磁化層と
    が順次積層された構造を有することを特徴とする請求項
    26記載の磁気機能素子。
  30. 【請求項30】 上記情報担体の最大辺の寸法が500
    nm以下であることを特徴とする請求項24記載の磁気
    機能素子。
  31. 【請求項31】 一軸磁気異方性を有する磁性体からな
    る情報担体と、 上記情報担体の磁化ベクトルの方向を反転させるための
    駆動力を上記情報担体の静状態の磁化容易軸とほぼ垂直
    方向にパルス的に印加するための駆動力印加手段とを有
    し、 上記情報担体の磁化方向によって2値の情報を扱う磁気
    機能素子であって、 上記情報担体の静状態の磁化ベクトルが上記静状態の磁
    化容易軸に対して所定の角度傾斜していることを特徴と
    する磁気機能素子。
  32. 【請求項32】 A.磁性体からなる情報担体と、 上記情報担体の磁化ベクトルの方向を変化させるための
    駆動力印加手段とを有し、 上記情報担体の磁化方向によって2値またはそれ以上の
    多値の情報を扱う磁気機能素子であって、 上記駆動力は、その印加以前の始状態における上記情報
    担体の磁化ベクトルに対してほぼ垂直方向にパルス的に
    印加される磁気機能素子と、 B.ホール効果または磁気抵抗効果により上記磁気機能
    素子の上記情報担体の磁化方向を読み出す手段とを有す
    ることを特徴とする磁気装置。
  33. 【請求項33】 A.一軸磁気異方性を有する磁性体か
    らなる情報担体と、 上記情報担体の磁化ベクトルの方向を反転させるための
    駆動力を上記情報担体の静状態の磁化容易軸とほぼ垂直
    方向にパルス的に印加するための駆動力印加手段とを有
    し、 上記情報担体の磁化方向によって2値の情報を扱う磁気
    機能素子であって、 上記駆動力は、上記情報担体の上記静状態の磁化容易軸
    とほぼ垂直方向が磁化容易軸となるような磁気異方性を
    発生させることにより発生される磁気機能素子と、 B.ホール効果または磁気抵抗効果により上記磁気機能
    素子の上記情報担体の磁化方向を読み出す手段とを有す
    ることを特徴とする磁気装置。
  34. 【請求項34】 A.一軸磁気異方性を有する磁性体か
    らなる情報担体と、 上記情報担体の磁化ベクトルの方向を反転させるための
    駆動力を上記情報担体の静状態の磁化容易軸とほぼ垂直
    方向にパルス的に印加するための駆動力印加手段とを有
    し、 上記情報担体の磁化方向によって2値の情報を扱う磁気
    機能素子であって、 上記駆動力は、上記情報担体に隣接して設けられた別の
    磁性体からの交換相互作用により発生される磁気機能素
    子と、 B.ホール効果または磁気抵抗効果により上記磁気機能
    素子の上記情報担体の磁化方向を読み出す手段とを有す
    ることを特徴とする磁気装置。
  35. 【請求項35】 A.一軸磁気異方性を有する磁性体か
    らなる情報担体と、 上記情報担体の磁化ベクトルの方向を反転させるための
    駆動力を上記情報担体の静状態の磁化容易軸とほぼ垂直
    方向にパルス的に印加するための駆動力印加手段とを有
    し、 上記情報担体の磁化方向によって2値の情報を扱う磁気
    機能素子であって、 上記駆動力は、上記情報担体の外部から印加される磁場
    である磁気機能素子と、 B.ホール効果または磁気抵抗効果により上記磁気機能
    素子の上記情報担体の磁化方向を読み出す手段とを有す
    ることを特徴とする磁気装置。
  36. 【請求項36】 A.一軸磁気異方性を有する磁性体か
    らなる情報担体と、 上記情報担体の磁化ベクトルの方向を反転させるための
    駆動力を上記情報担体の静状態の磁化容易軸とほぼ垂直
    方向にパルス的に印加するための駆動力印加手段とを有
    し、 上記情報担体の磁化方向によって2値の情報を扱う磁気
    機能素子であって、 上記情報担体は、2層以上の磁性体層が積層された複合
    構造を有する磁気機能素子と、 B.ホール効果または磁気抵抗効果により上記磁気機能
    素子の上記情報担体の磁化方向を読み出す手段とを有す
    ることを特徴とする磁気装置。
  37. 【請求項37】 A.一軸磁気異方性を有する磁性体か
    らなる情報担体と、上記情報担体の磁化ベクトルの方向
    を反転させるための駆動力を上記情報担体の静状態の磁
    化容易軸とほぼ垂直方向にパルス的に印加するための駆
    動力印加手段とを有し、 上記情報担体の磁化方向によって2値の情報を扱う磁気
    機能素子であって、 上記情報担体の静状態の磁化ベクトルが上記静状態の磁
    化容易軸に対して所定の角度傾斜している磁気機能素子
    と、 B.ホール効果または磁気抵抗効果により上記磁気機能
    素子の上記情報担体の磁化方向を読み出す手段とを有す
    ることを特徴とする磁気装置。
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