JP2001073088A - 被削性に優れた低熱膨張鋳鋼 - Google Patents
被削性に優れた低熱膨張鋳鋼Info
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Abstract
張鋳鋼を提供する。 【解決手段】 オーステナイト基地組織中に黒鉛が面積
率で0.5〜3%、塊状MnSが面積率で0.02〜
0.3%、8μm以上の板状MnSが1mm2当たり10〜
700個有する。また、化学組成が質量%でC;0.3
〜0.9%、Si;1.5%以下、Mn;1.0%以
下、S;0.01〜0.3%、Ni;25〜40%、M
g;0.005〜0.1%、SとMnの含有量がS≦
(1/4)Mnまたは(1/4)Mn<S≦(1/4)
Mn+0.05で表される。Coを12質量%以下含有
してもよく、さらに、Crを4質量%以下含有しても良
い。
Description
鋳鋼に係り、低熱膨張性を備え且つ被削性の良好な低熱
膨張鋳鋼に関するものである。
等の発展に伴って、それらに関連する精密工作機械や精
密測定機器等の構成部材には、室温付近の温度変化によ
る熱膨張や熱収縮による寸法変化が微小である低熱膨張
材料が要求されている。これに対して、室温付近の線熱
膨張係数が約1.0×10-6/℃のFe−36質量%N
iのインバー合金や約0.5×10-6/℃のFe−32
質量%Ni−5質量%Coのスーパーインバー合金があ
る。
i−Co合金は軟質のため被削性が著しく悪い。このた
め、従来鋳造品では、主にオーステナイト基地組織中に
黒鉛を晶出あるいは析出させて、黒鉛による切削工具と
低熱膨張材である被削材との潤滑効果により被削性を向
上させている。代表例として、C含有量を2質量%以上
と鋳鉄レベルまで増加させて黒鉛を晶出させたAST
M.A−436,TYPE5および同A−439,TYP
E D−5や、C含有量を0.8質量%まで増加させて
黒鉛を析出させた特開昭63−162841号公報記載
の鋳鋼材料等がある。
材のうち、鋳鉄系のASTM.A−439,TYPE D
−5は、快削元素である黒鉛が多量に晶出および析出し
ているので被削性は大幅に改善されているが、30〜1
00℃の平均線熱膨張係数は4.0×10-6/℃以上と
なっている。これは、Cを2質量%前後含有しているの
で、熱膨張係数を上昇させるNiのミクロ偏析が助長さ
れているためと、1質量%につき線熱膨張係数を1.0
×10-6/℃上昇させるSiが2質量%前後含有してい
るためである。ここで、精密装置の中でも半導体製造お
よび検査装置のように、より一層の高精度が要求される
装置の構成部材においては、4.0×10-6/℃未満の
30〜100℃の平均線熱膨張係数が必要となっている
ので、ASTM.A−439,TYPE D−5のような
鋳鉄系の低熱膨張材は適さない。
号公報に記載の材料では30〜100℃の平均線熱膨張
係数は2.5×10-6/℃以下であるので、高精度を要
求される部材には適している。しかしながら、鋳鉄系の
ASTM.A−439,TYPE D−5と比較して被削
性は大幅に劣っている。これは、快削介在物の黒鉛の量
が鋳鉄系のASTM.A−439,TYPE D−5と比
較して1/3程度しかないためである。
点を解消したもので、低い熱膨張係数でかつ被削性に優
れた低熱膨張鋳鋼を提供することを目的とするものであ
る。
熱膨張係数を4.0×10-6/℃未満で被削性を鋳鉄系
のASTM.A−439,TYPE D−5以上にするた
めには、熱膨張係数の上昇を最小限に抑制するように
C、Siを調整し、快削介在物の量を増加させなくては
いけない。ここで、快削介在物は一種類である必要はな
い。快削介在物には上記の黒鉛以外に、MnS、MnS
e、Pbといったものがあるが、SeやPbは毒性が強
く、環境汚染という大きな問題をはらんでいるため、避
けるべき元素である。
ら100℃における平均線熱膨張係数が4.0×10-6
/℃未満である低熱膨張鋳鋼とするために、被削性改善
に対して異なる作用を持つ黒鉛とMnSをオーステナイ
ト基地組織中に共存させ、かつ熱膨張係数の上昇を抑え
るために熱膨張係数を上昇させる固溶元素の固溶量を最
小限とし、Niのミクロ偏析を緩和した低熱膨張鋳鋼に
想到した。
℃における平均線熱膨張係数が4.0×10-6/℃未満
で、質量%でCを0.3〜0.9%、Niを25〜40
%含有する低熱膨張鋳鋼であって、オーステナイト基地
中の黒鉛面積率が0.5〜3%、塊状MnSの面積率が
0.02〜0.3%であることを特徴とする被削性に優
れた低熱膨張鋳鋼である。また、ここでCoを質量%で
12%以下含有しても良い。
平均線熱膨張係数が4.0×10-6/℃未満で、質量%
でCを0.3〜0.9%、Niを25〜40%含有する
低熱膨張鋳鋼であって、オーステナイト基地中の黒鉛面
積率が0.5〜3%、塊状MnSの面積率が0.02〜
0.3%、長さ8μm以上の板状MnSが1mm2当たり1
0〜700個有することを特徴とする被削性に優れた低
熱膨張鋳鋼である。ここで、板状MnSは鏡面仕上げし
た金属組織を金属顕微鏡で観察した際、棒状および針状
のMnSと認められる。しかしながら、平面上で棒状或
いは針状と認められる場合、立体的には板状と考えられ
るので本発明では板状MnSとしている。また、1mm2
当たりの板状MnSの数の計数値は金属顕微鏡で0.2
×0.2mmを50視野観察した平均値である。さらに、
ここでCoを質量%で12%以下含有しても良い。
加すると(1/4)Mn<Sの範囲ではMnSの形態が塊
状と板状になり、S≦(1/4)Mnの範囲ではMnSの
形態が塊状となることを見出した。ここで、塊状MnS
は切削時の被削材の内部潤滑作用により、被削材の内部
摩擦を低減するため切屑せん断応力が減少し、工具に加
わる切削抵抗が軽減し工具摩耗を改善する。板状MnS
は切削時の応力集中による切欠き作用によりミクロ的な
割れを発生させ、ミクロ的な割れは応力集中源の間をぬ
って伝播するため切屑せん断応力が減少し、工具に加わ
る切削抵抗が軽減し工具摩耗を改善する。さらに、板状
MnSの切欠き効果は切り屑破砕性を著しく改善させ
る。
料自体が脆くなり、タップ加工を行なった際に低熱膨張
材の被削材のネジ山が欠けるといった様々な不具合が発
生しはじめる。発明者は鋭意研究の結果、板状MnSの
数が1mm2当たり700個を越えると上記のような不具
合が発生しはじめ、板状MnSの数が1mm2当たり10
個未満、或いは板状MnSの長さが8μm未満となると
板状MnSによる被削性向上効果がなくなることを見出
した。さらに、長さが8μm以上の板状MnSの数が1m
m2当たり10〜700個とするためのMnとSは(1/
4)Mn<S≦(1/4)Mn+0.05の範囲であるこ
とを見出した。
介在物である黒鉛を析出させることができる。黒鉛は切
削工具と被削材との潤滑作用により、工具に加わる切削
抵抗が軽減し工具摩耗を改善する。発明者は、黒鉛と塊
状MnSを共存させることにより、その相乗効果によっ
て著しく被削性が向上し、黒鉛と塊状MnSに加えて板
状MnSを共存させることによってより一層被削性が向
上することを見出した。
はほとんど存在せず、塊状MnSと板状MnSが晶出お
よび析出する。被削性を改善させる黒鉛を組織中に十分
に析出させるためには、保持時間に関わらず550℃以
上の黒鉛化焼鈍が必要であるが、黒鉛化のための焼鈍温
度が800℃を超えると板状MnSはオーステナイト中
に固溶し始め、再析出の際は晶出した塊状MnSよりは
るかに小さい粒状のMnSとなり、被削性改善のための
切欠き効果は大幅に小さくなる。従って、黒鉛と塊状M
nSと板状MnSを安定して得るためには550〜80
0℃の黒鉛化焼鈍が最適である。黒鉛と塊状MnSと板
状MnSを組織中に維持するためには、黒鉛化焼鈍に限
らず本発明の低熱膨張鋳鋼に施す全ての熱処理は800
℃以下でなければならない。
i濃度よりもデンドライト樹芯部でのNi濃度が低い負
のミクロ偏析を生じる。Niのミクロ偏析は低熱膨張特
性を得る成分バランスを局部的に崩し、熱膨張係数を上
昇させてしまう。Niのような置換型元素のミクロ偏析
は、Cのような侵入型元素の場合と異なり1000℃以
上、数十時間の拡散焼鈍を実施しないと解消できない。
このため、800℃以下の熱処理条件で低い熱膨張係数
を得るには、Niのミクロ偏析を凝固時に抑制しておく
必要がある。ミクロ偏析は凝固時の固相と液相の比であ
る分配係数で決定され、分配係数が1であれば、ミクロ
偏析は発生しない。一般にFe−Ni合金のNiの分配
係数は約0.8程度といわれている。
5〜40質量%の範囲では、Cを添加することによりN
iの分配係数は上昇し、C含有量が0.3%未満ではN
iの分配係数は1.0未満で負のミクロ偏析となり、
0.3〜0.9質量%でNiの分配係数はほぼ1.0で
ミクロ偏析は大きく緩和され、C含有量が0.9質量%
を超えるとNiの分配係数は1.0を超えるため、平均
Ni濃度よりもデンドライト樹芯部でのNi濃度が高い
正のミクロ偏析となることを見出した。したがって、C
含有量を0.3〜0.9質量%とすることによりNiの
ミクロ偏析は大きく緩和され、800℃以下の黒鉛化焼
鈍だけで熱膨張係数を低く抑えることができる。黒鉛化
焼鈍によって快削介在物である黒鉛を析出させるために
は少なくとも0.2質量%以上のC含有量が必要である
ので、0.3〜0.9質量%のC含有量ではミクロ偏析
を大きく緩和し、被削性を向上させる黒鉛を析出させる
ことができる。
つ黒鉛と塊状MnS、或いは黒鉛と塊状MnSと板状M
nSの数種類の快削介在物をオーステナイト基地組織中
に共存させることできる。
得るための化学成分の一例は、第3〜6の発明であっ
て、化学組成が質量%で、C;0.3〜0.9%、S
i;1.5%以下、Mn;1.0%以下、S;0.01
〜0.3%、Ni;25〜40%、Mg;0.005〜
0.1%を含有するとともに、残部がFeおよび不可避
の不純物からなり、SとMnの含有量がS≦(1/4)M
nで表されることを特徴とする被削性に優れた低熱膨張
鋳鋼である。そして、SとMnの含有量が、(1/4)
Mn<S≦(1/4)Mn+0.05で表されると被削
性がさらに向上する。また、Coを質量%で12%以下
含有してもよく、さらに、Crを質量%で4%以下含有
してもよい。
適な化学組成であり、化学組成が質量%で、C;0.4
〜0.8%、Si;0.5%以下、Mn;1.0%以
下、S;0.01〜0.3%、Ni;30〜40%、M
g;0.005〜0.1%を含有するとともに、残部が
Feおよび不可避の不純物からなり、SとMnの含有量
が、S≦(1/4)Mn、で表されることを特徴とする被
削性に優れた低熱膨張鋳鋼である。そして、SとMnの
含有量が、(1/4)Mn<S≦(1/4)Mn+0.
05で表されると被削性がさらに向上する。また、Co
を質量%で4%未満含有してもよく、さらに、Crを質
量%で4%以下含有してもよい。
限定理由について述べる。 (1)C Cは鋳造性の向上、Niのミクロ偏析の緩和、黒鉛とし
て析出させて被削性の向上と重要な役割を果たす。鋳造
性を確保するためには0.3%以上、被削性の向上に必
要な黒鉛を析出させるには0.2%以上必要であり、熱
膨張係数を上昇させるNiのミクロ偏析を抑制するC含
有量の範囲は0.3〜0.9%である。以上のことか
ら、Cの範囲を0.3〜0.9%とした。好ましくは、
0.4〜0.8%である。
具の損傷を抑制する。黒鉛による被削性改善は組織中の
黒鉛面積率が多いほどその効果は大きい。しかしなが
ら、本発明では黒鉛析出量を決定するC含有量がNiの
ミクロ偏析を抑制する0.3〜0.9%で決定されてい
る。上記のC含有量から得られる黒鉛面積率は0.5〜
3%であるため、黒鉛の面積率は0.5〜3%とした。
ここで、黒鉛の面積率は金属顕微鏡で0.2×0.2mm
を50視野観察した平均値である。
削抵抗を下げ、切削工具の損傷を抑制する。塊状MnS
による被削性改善効果を得るには、少なくとも面積率で
0.02%必要である。しかし、塊状MnSの面積率が
0.3%を越えると飽和する。このため、塊状MnSの
面積率は0.02〜0.3%とした。ここで、塊状Mn
Sの面積率は金属顕微鏡で0.2×0.2mmを50視野
観察した平均値である。なお、塊状MnSと黒鉛は鏡面
仕上げを行った状態で金属顕微鏡で観察して容易に識別
できる。
て切削抵抗を下げ、切削工具の損傷を抑制する。また、
切欠き作用により切屑を脆くし切屑破砕性を向上させ
る。被削性改善効果は板状MnSの数が1mm2当たり10
個以上、且つ板状MnSの長さが8μm以上でないと得
られない。しかし、8μm以上の板状MnSの数が多す
ぎると材料自体が脆くなり、タップ加工のネジ山が欠け
るといった不具合が発生する。このため、長さが8μm
以上の板状MnSの数は1mm2当たり10〜700個と
した。ここで、板状と称しているMnSは鏡面仕上げし
た金属組織を金属顕微鏡で観察した際は棒状および針状
のMnSと認められる。しかしながら、平面上で棒状或
いは針状と認められる場合、立体的には板状と考えられ
るので本発明では板状MnSとしている。
有量1%につき約1.0×10-6/℃の線熱膨張係数を
上昇させる。また、Siを多量に添加すると凝固開始温
度と凝固終了温度の差が大きくなり鋳造性を阻害する。
このため、Siの含有量は1.5%以下とした。好まし
くは0.5%以下である。
るMnSを形成し、被削性を改善させるためにも必要で
あるが、Mnは含有量1%につき約0.7×10-6/℃
の線熱膨張係数を上昇させる。このため、Mnの含有量
は1.0%以下とした。
を向上させる。MnSの形状は塊状と板状があり、塊状
MnSは被削材の内部潤滑作用、板状MnSは応力集中
による切欠き作用により切削工具の損傷を抑制する。板
状MnSは工具損傷の他に切屑破砕性を著しく向上させ
る。塊状MnSのみを得るMn、Sの範囲は、S≦(1
/4)Mnである。塊状MnSと板状MnSの両方を得
るMnとSの範囲は(1/4)Mn<S≦(1/4)Mn+
0.05である。被削性の改善効果は黒鉛と塊状MnS
の共存、或いは黒鉛と塊状MnSと板状MnSの共存に
よって得×れるので、Sの範囲はS≦(1/4)Mn、或
いは(1/4)Mn<S≦(1/4)Mn+0.05とし
た。また、被削性を改善するために必要なS量は少なく
とも0.01%以上必要である。過多に添加すると鋳造
時に最終凝固部の凝固温度が低下するため、高温亀裂と
いった鋳造欠陥を発生する。したがって、上記のMnと
の関係式に加えてSの範囲は0.01〜0.3%とし
た。
温から100℃における平均線熱膨張係数が4.0×1
0-6/℃未満となるNiの範囲は25〜40%である。
好ましくは30〜40%である。
Coを含有しなくても室温から100℃における平均線
熱膨張係数は4.0×10-6/℃未満となるが、Coを
12%以下含有すると熱膨張係数を一層下げることがで
き、より安定して4.0×10-6/℃未満の熱膨張係数
を得ることができる。好ましくは、4%未満である。
なくとも0.005%は必要である。多すぎると、快削
介在物のMnSの晶出および析出を阻害するため、0.
1%以下とする。
凝固終了温度をほとんど変化させない元素である。この
ため、鋳造性を損なわずに熱膨張係数を制御することが
できる。多すぎると、凝固の遅い部位と早い部位でCr
の偏析の程度が異なり安定して熱膨張係数を制御できな
くなる。このため、Crの含有量は4%以下とする。好
ましくは3%以下である。 (12)残部 残部は、Feからなり、P等の一般的に考えられる不可
避的不純物を、一般的な量含むことができるものから構
成される。
基地組織中に黒鉛と塊状MnS、或いは黒鉛と塊状Mn
Sと板状MnSを共存させることによって、良好な被削
性をもつ低熱膨張鋳鋼を得ることにある。本発明の低熱
膨張鋳鋼を使用すれば、良好な被削性により加工にかか
る費用は格段に少なくなり、加工にかかる期間も短くな
る。これにより、低熱膨張鋳鋼の機械加工による軽量化
も十分可能となり、その適用範囲も広くできる。
細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限
定されるものではない。
に示す化学組成の本発明材1〜7、比較材1〜6、従来
材1〜2を溶解した。次に取鍋を使用して溶湯を100
mm×100mm×200mmの直方体形状の試験片素材の砂
鋳型(フラン砂型)へ1600℃で注湯した。更に鋳型
内で凝固冷却後、鋳型から試験片素材を取り出し700
℃で6時間保持後、空冷の熱処理を実施し、試験片素材
を得た。ここで、比較材1はCを本発明材と比較して低
め、比較材2はCを本発明材と比較して高め、比較材3
はSを本発明材と比較して低め、比較材4はSを本発明
材と比較して高め、比較材5はC、Sを本発明材と比較
して低めとし、比較材6はCrを本発明材と比較して高
めとした。さらに、従来材1はASTM.A−439,T
YPE D−5、従来材2は特開昭63−162841
号公報記載材料とした。
らφ5mm×19.5mmの熱膨張測定用の試験片を切出
し、加工後、JIS G5511「鉄系低膨張鋳鉄品」
に規定する熱膨張試験方法に準拠して熱膨張試験を実施
し、30〜100℃の平均線熱膨張係数を測定した。同
時に金属顕微鏡でミクロ組織を観察した。表2に30〜
100℃までの平均線熱膨張係数とミクロ組織観察結果
を示す。
から、40mm×40mm×167mmの切削性試験片を切出
し、加工後、エンドミル、ドリル、タップ、正面フライ
スによる被削性試験を表3から表6に示す条件で実施し
た。
工具損傷はエンドミル加工では工具の最大摩耗幅、ドリ
ル加工では刃先の摩耗幅、タップ加工ではタップのネジ
山が欠けた数を測定し、切屑状況は、正面フライス加
工、エンドミル加工、ドリル加工とタップ加工での切屑
の色や破砕状況を観察し、その特徴を表7に示した。
ルおよびタップ加工において工具摩耗が比較材や従来材
と比べて非常に少なく、特に板状MnSが存在する発明
材1、2、4〜6では切屑長さが短く、切屑破砕性が大
幅に向上している。また、板状MnSが存在していない
本発明材3では、正面フライス加工で切屑が光沢のある
切屑となった。以上のことから、黒鉛と塊状MnSの共
存により被削性は向上し、更に板状MnSの共存で被削
性は大幅に向上することがわかる。
在物が存在しない比較材5では、エンドミル、ドリル、
タップ、正面フライス加工共に被削性は悪く、快削介在
物が黒鉛だけの比較材3ではタップ加工と正面フライス
加工の被削性が悪い。さらに、快削介在物が塊状MnS
と板状MnSのみの比較材1ではエンドミル、ドリル加
工と正面フライス加工の被削性が悪い。板状MnSを大
量に析出させ黒鉛と塊状MnSが存在する比較材4で
は、被削性は良好であったが、タップ加工において被削
材側のネジ山が欠ける不具合が発生した。ASTM.A
−439.TYPE D−5相当の従来材1はC、Si
を多く含有するため30〜100℃までの平均線熱膨張
係数は5.2×10-6/℃と高い。工具の損傷は発明材
とほぼ同等であるが、切屑長さは発明材より長く、切屑
破砕性は発明材より劣っている。特開昭63−1628
41号相当の従来材2は被削性はエンドミル、ドリル、
タップ加工において発明材とほぼ同等であるが、正面フ
ライス加工での切屑の色は軽い褐色を帯び、切削抵抗が
発明材よりも大きいことがわかる。また、ドリルやタッ
プ加工での切屑の長さは板状MnSを含む発明材より長
く、切屑破砕性は劣っている。
膨張係数と、オーステナイト基地組織中に黒鉛と塊状M
nSが共存するため、良好な被削性を有する。さらに、
黒鉛と塊状MnSに加え板状MnSが共存するため、さ
らに良好な被削性と切屑破砕性を有する。そして本発明
の低熱膨張鋳鋼を使用すれば、良好な被削性により加工
にかかる費用は格段に少なくなり、加工にかかる期間も
短くなる。これにより、低熱膨張鋳鋼の機械加工による
軽量化も十分可能となり、その適用範囲も広くできる。
Claims (10)
- 【請求項1】 室温から100℃における平均線熱膨張
係数が4.0×10-6/℃未満で、質量%でCを0.3
〜0.9%、Niを25〜40%含有する低熱膨張鋳鋼
であって、オーステナイト基地中の黒鉛面積率が0.5
〜3%、塊状MnSの面積率が0.02〜0.3%であ
ることを特徴とする被削性に優れた低熱膨張鋳鋼。 - 【請求項2】 室温から100℃における平均線熱膨張
係数が4.0×10-6/℃未満で、質量%でCを0.3
〜0.9%、Niを25〜40%含有する低熱膨張鋳鋼
であって、オーステナイト基地中の黒鉛面積率が0.5
〜3%、塊状MnSの面積率が0.02〜0.3%、長
さ8μm以上の板状MnSを1mm2当たり10〜700個
有することを特徴とする被削性に優れた低熱膨張鋳鋼。 - 【請求項3】 化学組成が質量%でC;0.3〜0.9
%、Si;1.5%以下、Mn;1.0%以下、S;
0.01〜0.3%、Ni;25〜40%、Mg;0.
005〜0.1%、を含有するとともに、残部がFeお
よび不可避の不純物からなり、SとMnの含有量が次
式、 S≦(1/4)Mn で表されることを特徴とする被削性に優れた低熱膨張鋳
鋼。 - 【請求項4】 化学組成が質量%でC;0.3〜0.9
%、Si;1.5%以下、Mn;1.0%以下、S;
0.01〜0.3%、Ni;25〜40%、Mg;0.
005〜0.1%、を含有するとともに、残部がFeお
よび不可避の不純物からなり、SとMnの含有量が次
式、 (1/4)Mn<S≦(1/4)Mn+0.05 で表されることを特徴とする被削性に優れた低熱膨張鋳
鋼。 - 【請求項5】 質量%でCoを12%以下含有する請求
項3乃至4何れか1項に記載の被削性に優れた低熱膨張
鋳鋼。 - 【請求項6】 質量%でCrを4%以下含有する請求項
3乃至5何れか1項に記載の被削性に優れた低熱膨張鋳
鋼。 - 【請求項7】 化学組成が質量%でC;0.4〜0.8
%、Si;0.5%以下、Mn;1.0%以下、S;
0.01〜0.3%、Ni;30〜40%、Mg;0.
005〜0.1%、を含有するとともに、残部がFeお
よび不可避の不純物からなり、SとMnの含有量が次
式、 S≦(1/4)Mn で表されることを特徴とする被削性に優れた低熱膨張鋳
鋼。 - 【請求項8】 化学組成が質量%でC;0.4〜0.8
%、Si;0.5%以下、Mn;1.0%以下、S;
0.01〜0.3%、Ni;30〜40%、Mg;0.
005〜0.1%、を含有するとともに、残部がFeお
よび不可避の不純物からなり、SとMnの含有量が次
式、 (1/4)Mn<S≦(1/4)Mn+0.05 で表されることを特徴とする被削性に優れた低熱膨張鋳
鋼。 - 【請求項9】 質量%でCoを4%未満含有する請求項
7乃至8何れか1項に記載の被削性に優れた低熱膨張鋳
鋼。 - 【請求項10】 質量%でCrを4%以下含有する請求
項7乃至9何れか1項に記載の被削性に優れた低熱膨張
鋳鋼。
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