JP2001071879A - 車両の制動制御装置 - Google Patents

車両の制動制御装置

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JP2001071879A
JP2001071879A JP25025599A JP25025599A JP2001071879A JP 2001071879 A JP2001071879 A JP 2001071879A JP 25025599 A JP25025599 A JP 25025599A JP 25025599 A JP25025599 A JP 25025599A JP 2001071879 A JP2001071879 A JP 2001071879A
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wheel
braking force
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Keiichi Kitazawa
啓一 北沢
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Hino Motors Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】車両姿勢を制御する姿勢制御手段(VSC)、
車輪のスリップを制御するアンチスキッド制御手段(A
BS)および運転によるブレーキ操作の制動力の干渉を
制御する。 【解決手段】ABSが先に作動している場合にはVSC
の制御出力を禁止する。VSCの制御出力による一部車
輪の制動力と運転による制動力の加算値がスリップ状態
になったときには、その車輪についてアンチスキッド制
御を行う。車輪のスリップ率にしたがってVSCの制御
領域とABSの制御領域とを区分する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、走行中の車両の姿
勢に関する情報を入力とし、車両の一部の車輪に制動力
を発生させて姿勢たて直しを行う姿勢制御手段(VS
C,Vehcle Stability Control) を装備した車両の制動
制御に関する。本発明は、アンチスキッド制御手段(A
BS,Anti-skid Breaking System)による制動制御との
競合または干渉を調整するための制御に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車の走行中に、リアルタイムにその
姿勢を検出し、不安定な状態が予測されるときに、一部
の車輪に自動的に制動力(車輪と路面との摩擦により車
両を制動させるように作用する力)を発生させて、姿勢
の安定制御を行う姿勢制御技術が高度化されている。こ
のような姿勢制御装置が、乗用車にかぎらずトラックや
バスなど商業車にも装備されるようになった。
【0003】姿勢制御装置を簡単に説明すると、車両の
姿勢を各種のセンサによりリアルタイムに検出する。こ
れらセンサは、車両前後方向の加速度センサ、横方向の
加速度センサ、重心まわりの水平面回転加速度を検出す
るヨーレイトセンサ、重心まわりの車両進行方向に垂直
な面の回転加速度を検出するロールレイトセンサ、各車
輪の回転センサ、運転操作による操舵角を検出する操舵
角センサ、その他である。走行中の車両の状態をこれら
センサ出力から電気信号として取出し、その電気信号を
プログラム制御回路に取込む。このプログラム制御回路
の中に各センサの出力にもとづき走行中の車両モデルを
設定する。この車両モデルの状態により、車両姿勢が不
安定になることが予測されるときに、それが制御不能に
陥る前に、一部の車輪に自動的に制動力を発生させるこ
とにより、運転操作にかかわらず車両の姿勢をたてなお
すように制御するものである。
【0004】この姿勢制御装置の制御出力は、運転操作
による制動力がある場合には、つまりブレーキペダルが
踏まれているときには、その運転操作による制動力に加
算して、一部の車輪に他の車輪より大きい制動力を発生
させるように作用する。
【0005】一方、自動車にはアンチスキッド制動装置
が広く装備されるようになった。これは、車輪に制動力
を与えたときに、車輪が路面に対してスリップをはじめ
ると、これを自動的に検出してその車輪について制動圧
力(ブレーキシリンダに与えられる流体圧力)を繰り返
し増減させて制動力を維持するものである。アンチスキ
ッド制御手段により、車両の横すべりを防止して操舵性
が確保される。このアンチスキッド制動装置の制御出力
は、運転操作による制動圧力を最大圧力としてその圧力
を繰り返し増減するものであって、運転操作による制動
圧力に加算して制御するものではない。
【0006】姿勢制御装置およびアンチスキッド制御装
置を共に装備した車両では、その制御出力は車輪の制動
系に送出される。すなわち姿勢制御装置の制御出力は車
両の一部の車輪に制動力を与えることであり、アンチス
キッド制御装置の制御出力は路面に対してスリップを開
始した車輪の制動圧力を繰り返し増減させることであ
る。したがって、一つの車両にこの二つの制御装置を装
備すると、同一の車輪について二つの制御装置からの出
力が同時に送出される状態が発生し、二つの制御出力は
互いに干渉または競合することになる。アンチスキッド
制御装置に制御出力が送出されているときには、当然に
運転操作による制動圧力が発生しているから、運転操作
による制動圧力に二つの制御出力による制動圧力が重な
り、制動系の圧力制御はさらに複雑になる。
【0007】ここで、姿勢制御装置およびアンチスキッ
ド制御装置は、それぞれプログラム制御回路に実装され
たソフトウエアにより実現される。これは一つのハード
ウエアに実装される場合もあり、あるいはそれぞれ別の
ハードウエアに実装されてその二つのハードウエアが通
信系により接続される場合もある。したがって、この明
細書では、姿勢制御装置あるいはアンチスキッド制御装
置、と個別の装置を意味する表現ではなく、姿勢制御手
段あるいはアンチスキッド制御手段、と表現して、個別
の装置あるいは一つの装置いずれの場合にも実施するこ
とができる意味を表すことにする。
【0008】上述の二つの制御出力の干渉を管理する技
術として、二つの制御出力が同時に送出されているとき
には、一定の条件を設定し、その条件のもとに姿勢制御
出力を優先させる方式が知られている(特開平4−24
3651号公報、特開平4−243654号公報)。ま
た、二つの制御出力が同時に送出されたときに、操舵性
を失うことがないように、前輪および後輪の制動圧力の
配分を変更することにより調整を行う技術が知られてい
る(特開平6−40318号公報)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本願発明者は、上述の
ように姿勢制御手段およびアンチスキッド制御手段の制
御出力が同時に送出されて、制動系で干渉が発生する現
象をトラックおよびバスなどの商業車について繰り返し
試験を行った。そして上記従来技術のように、一定の条
件で姿勢制御出力を優先させる、あるいは前輪および後
輪の制動圧力の配分を変更するなどの制御は、大型車両
について必ずしも適切でないことがわかった。また干渉
制御のために、複雑な制御条件を演算設定することは必
ずしも合理的でないこともわかった。
【0010】すなわち、商業車は乗用車にくらべると車
両が大型であり、制動圧力系は油圧系にかぎらず空気圧
系のものもある。大型車両では制動圧力は乗用車に比べ
て大きい。大型車両では、車輪軸の数が多くなることが
あり、制御弁(またはブレーキ・ブースタ)およびアク
チュエータの数が大きくなるとともに、制御弁およびア
クチュエータそのものが大型になる。したがって制動圧
力の繰り返し動作周期を小さくすることができない、細
かい複雑な制御にはかならずしも応答できなくなる、大
型の応答性能の高いアクチュエータを利用することは装
置が高価になる、などがわかった。
【0011】また、商業車は積載量または搭乗者の数の
変動が大きく、タイヤ荷重が状況により大きく変化す
る。タイヤ荷重が大きいときには制動力は大きく、ある
程度のスリップが発生しても制動力は発生するが、タイ
ヤ荷重が小さいときには、スリップ率が小さい段階から
制動力がきわめて小さくなることもわかった。
【0012】一方、大型車両の運転者は一般に職業運転
者であり、乗用車の運転者にくらべると運転技量が高
く、必ずしも判断の誤りや運転技量の不足を補うような
自動制御を必要とするものではない。むしろ路面に対し
てスリップが発生したとき、あるいは車両が横すべり状
態になったときには、姿勢をたて直すための運転者によ
る操作が適切に行われているものとして、運転操舵を優
先させるように干渉制御を行うことが、このような干渉
制御の結果を全体として安全な方向に導くことができる
ものと考えられる。
【0013】特に、左右輪の路面の摩擦係数が異なる状
態になったとき、例えば右輪は滑らない路面上にあるが
左輪だけが氷結面の上を走行しているような場合に、運
転操作によりブレーキ・ペダルを踏むと、姿勢制御手段
が制御出力を送出するとともに、アンチスキッド制御手
段も制御出力を送出することになり、このような場合に
上記干渉制御を行う場面が多くなることもわかった。
【0014】本発明はこのような背景に行われたもので
あって、姿勢制御手段およびアンチスキッド制御手段の
制御出力が干渉する場合に、商業車または大型車に適す
る干渉制御を行う装置を提供することを目的とする。本
発明は、二つの制御手段の出力が干渉するときに、運転
による操舵性を優先させることができる干渉制御装置を
提供することを目的とする。本発明は、左右輪の路面と
の摩擦係数が互いに異なる場合に(すなわち異μまたぎ
の場合に)、有効な干渉制御手段を提供することを目的
とする。本発明は、二つの制御手段の制御出力の干渉制
御を単純化することができる制動制御装置を提供するこ
とを目的とする。本発明は、二つの制御出力が干渉する
状況を少なくすることを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の第一点は、姿勢
制御手段およびアンチスキッド制御手段の制御出力が干
渉する場合に、単純にアンチスキッド制御手段の制御出
力がなくなるまで、姿勢制御手段のブレーキシリンダへ
の制御出力を禁止するものである。
【0016】すなわち本発明は、運転操作による制動
力、および姿勢の乱れを回復するために姿勢制御手段
(VSC)により発生する制動力を各車輪毎に加算して
その車輪の制動力とするとともに、車輪にスリップが生
じたときに制動力を繰り返し増減させるアンチスキッド
制御手段(ABS)を備えた車両の制動制御装置におい
て、姿勢制御手段が制動力を発生させる制御出力を開始
した時点でアンチスキッド制御手段の制御出力が送出さ
れているときには、アンチスキッド制御手段の出力がな
くなるまで姿勢制御手段の制御出力を禁止する手段を備
えたことを特徴とする。
【0017】この場合に、姿勢制御手段の制動力および
運転操作による制動力の加算値がいずれかの車輪で相応
のスリップ状態を発生させるときには、その車輪につい
てアンチスキッド制御手段を自動的に有効とする制御手
段を備えることができる。すなわち、アンチスキッド制
御手段が作動することなく姿勢制御手段の制御出力によ
り、一部の車輪に制動力を発生させているときに、その
一部の車輪にスリップが生じたときには、その車輪につ
いてアンチスキッド制御手段の出力を有効とするもので
ある。相応のスリップ状態とは、きわめて小さい、車両
の姿勢に影響のないスリップ状態を除外することができ
るとの意味である。
【0018】さらに本発明は、車輪のスリップ率を競合
制御の一つのパラメタとし、車輪のスリップ率がx%
(例えば3〜8%程度)以下で姿勢制御手段を有効と
し、車輪のスリップ率がy%(y≦x、例えば2〜3%
程度)以上でアンチスキッド制御手段を有効とするよう
に、一部領域が重なるようにして、二つの制御手段の動
作領域を区分することを特徴とする。
【0019】このような単純な制御により、条件にした
がって優先度を切り換えるような複雑な演算を必要とし
ない。したがって判断のための制御回路の演算時間は従
来例装置にくらべてきわめて短くなる。さらにこのよう
な単純な制御により、アンチスキッド制御手段は有効に
作用しているのであるから、運転操作による操舵を行う
ことが可能になる。上述のように商業車あるいは大型車
両の運転者は、職業運転者が多く、乗用車の運転者にく
らべると運転技量も運転経験も豊富である。したがっ
て、運転操作の不手際を補完する、あるいは運転技量の
不足を補償するような自動制御は必ずしも必要でなく、
路面と車輪との間にスリップが発生しているときに、運
転操作は適切に行われているものとして、その運転操作
を優先させるように制御するものである。
【0020】本発明の構成は、一部の車輪だけが路面摩
擦係数の小さい路面上にあるときにきわめて有効であ
る。すなわち本発明の装置では、ブレーキペダルが踏ま
れている場合でも踏まれていない場合でも、姿勢制御装
置が作動して一部の車輪に運転者の意識にかかわらず制
動力が与えられたときに、その車輪にスリップが発生し
た場合には、そのスリップが発生した車輪について自動
的にアンチスキッド制御手段が作動する。アンチスキッ
ド制御手段が作動することにより、姿勢回復のための制
動制御が有効になるとともに、姿勢制御装置の作動が継
続する間も運転者の運転操作による操舵性を失うことが
なくなる。
【0021】また、スリップ率の大きさにより姿勢制御
手段およびアンチスキッド制御手段の動作領域をある程
度区分することは、競合制御を必要とする現象場面を少
なくして、姿勢制御およびアンチスキッド制御をそれぞ
れ有効に作用させることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】図1は本発明実施例装置のブロッ
ク構成図である。図2は本発明実施例装置の各センサお
よび装置本体の車両における配置を示す図である。
【0023】制御回路1は、姿勢制御手段(VSC)2
およびアンチスキッド制御手段(ABS)を備える。す
なわち制御回路1は車両搭載用のコンピュータ装置であ
り、姿勢制御手段としてのソフトウエアおよびアンチス
キッド制御手段としてのソフトウエアがインストールさ
れている。この制御回路1には、詳しく図示されていな
いが、各種センサからの電気信号の入力回路、ブレーキ
・ブースタへの信号出力回路、内燃機関との関連制御を
行う電子ガバナへの信号出力回路を備える。
【0024】各種センサは、車両の進行方向に垂直であ
り水平方向の加速度を検出する横方向加速度センサ4、
トランスミッションの出力点で回転速度を検出する車速
センサ5、車両の重心位置の鉛直軸まわりの回転加速度
を検出するヨーレイトセンサ6、各車輪(4輪)の回転
速度を検出する車輪回転速度センサ10、各車輪のブレ
ーキ圧を検出するブレーキ圧センサ12、操舵ハンドル
13の回転角度を検出する操舵角センサ14、内燃機関
を制御する電子ガバナ15のガバナ位置を検出するガバ
ナセンサ16、車両の重心位置の車両進行方向軸まわり
の回転加速度を検出するロールレイトセンサ17、およ
び車両の進行方向の加速度を検出する前後方向加速度セ
ンサ18である。この制御回路1の制御出力は、前輪8
の左右および後輪9の左右にそれぞれ個別に設けられた
ブレーキ・ブースタ・アクチュエータ11の制御入力に
接続される。
【0025】運転者により踏まれるブレーキ・ペダル2
0は、運転席に設けられ、このブレーキ・ペダル20の
ストロークにしたがって、この4輪のブレーキ・ブース
タ・アクチュエータ11に共通に供給される入力圧力を
調節するように構成されている。ブレーキ・ブースタ・
アクチュエータ11の出力ブレーキ圧は、この入力圧力
にほぼ比例して増大される。このブレーキ・ペダルおよ
びブースタの構造や配管系統はよく知られているので、
ここでは詳しい説明を省略する。
【0026】操舵輪の近くに運転者が操作する排気ブレ
ーキスイッチ21が備えられている。このスイッチの状
態は制御回路1に取込まれ、さらに排気ブレーキ制御回
路22に接続される。排気ブレーキ制御回路22は排気
ブレーキアクチュエータ23を制御する。内燃機関の排
気通路には、排気ブレーキ用のバタフライバルブ(図
外)が設けられ、このバルブは排気ブレーキアクチュエ
ータ23により開閉制御される。
【0027】このように構成された装置は、各センサ出
力を取込み、姿勢制御手段の内部に設定された車両モデ
ルに、各センサ出力をリアルタイムに設定し車両姿勢の
変遷を監視する。車両姿勢に不安定な状態が発生したと
きに、姿勢制御手段の論理にしたがって一部の車輪に制
動圧力を発生させる。その一例を説明すると、運転操作
により操舵角の入力があり、それにしたがって車両が旋
回するとき、入力された操舵角およびそのときの車速か
ら発生するヨーレイトが安全な範囲であればよいが、演
算設定された安全な範囲を越えてヨーレイトが増大した
後に急に小さくなるような状態が観測されたとする。こ
のときには、前輪に横すべりが発生している可能性があ
り、横すべりの方向と反対側の後輪に運転操作に関係な
く制動圧力を供給する。これにより車両姿勢をたてなお
すことができる。
【0028】別の例を説明すると、車両の走行中にロー
ルレイトセンサの出力値が所定の範囲内で周期的に正負
の値を往復しているときには正常な状態であるが、ロー
ルレイトセンサの出力値が、あらかじめ設定された所定
の範囲を越えて一方に増大するときには車両が横転する
可能性がある。このときは、運転操作にかかわらず全輪
に小さい制動圧力を供給するとともに、車体の傾きと反
対側の前輪に大きい制動圧力を供給する。このようにし
て車両姿勢をたてなおす。
【0029】さらにアンチスキッド制御手段(ABS)
について説明すると、運転操作によりブレーキペダルが
踏まれたとき、車体の慣性にしたがって各車輪の回転が
一律に減速するときは正常な状態である。車体の慣性か
ら演算される負の加速度をこえて急に車輪回転が減速す
るとき、あるいは一部の車輪が瞬間的に回転を停止する
ときには、路面と車輪の間にスリップが発生しているこ
とになる。このときには、スリップが発生している車輪
に与える流体の制動圧力を断続させるように制御する。
これにより制動圧力が低くなる短い時間に、車輪と路面
との間のスリップがなくなる。このような制御により車
両の横すべりが防止され、とくに前輪のスリップによる
操舵不安定の状態を回避することができる。
【0030】本発明の特徴は、この姿勢制御手段(VS
C)の制御出力およびアンチスキッド制御手段(AB
S)の制御出力が同時に発生しているときに、二つの制
御出力が競合しないように制動圧力の制御を行うもので
ある。図3は本発明実施例装置の要部制御フローチャー
トである。図3に二重枠で示すステップが本発明独特の
構成である。すなわちアンチスキッド制御手段に制御出
力があるときには、姿勢制御手段に制御出力が有る場合
にも、姿勢制御手段の制御出力を制動系のハードウエア
に送出することを禁止してアンチスキッド制御手段の制
御出力を有効にする。姿勢制御手段の制御出力を有効に
するのは、アンチスキッド制御手段の制御出力が無い場
合であり、さらに姿勢制御手段の制御出力が有効になる
のはアンチスキッド制御手段に制御出力が消滅した後か
らである。
【0031】図4は本発明実施例制動制御の動作を説明
するための図である。この図は、姿勢制御手段が作動し
ているときに、スリップ状態が発生するとアンチスキッ
ド制御手段が作動する様子を説明するものである。
【0032】図4のFLは前左輪、FRは前右輪、RL
は後左輪、RRは後右輪を示す。平面Gから垂直軸Fの
方向に路面と車輪との間に発生する制動力をとる。いま
車両は走行中であり、姿勢制御手段の制御により自動的
に姿勢を回復させようとして、前右輪FRに、最大値が
Vである図示するような曲線の制動力が発生したものと
する。このとき併せて運転操作によりブレーキペダルが
踏まれ制動力Bが発生したとする。そうすると前右輪F
Rに発生する制動力の最大値はBだけかさあげされてB
+Vとなる。一方、この路面では制動力Sを越えると路
面と車輪との間にスリップが発生する状態であるとする
と、平面Gから制動力Bだけかさあげらされた平面GB
をもとに、発生する前右輪の制動力のうち破線で表示す
る部分のタイミングでスリップが発生することになる。
本発明の装置はこのときアンチスキッド制御手段が作動
して、最大制動力からAを越えるに十分な振幅で流体の
制動圧力を繰り返し増減させる。このような制御によ
り、姿勢制御手段の制御に対してアンチスキッド制御手
段が有効に介入することになる。
【0033】図5は本発明実施例制動制御装置を装備し
たトラックを試験路面上で走行させたときの車両姿勢の
振舞いおよび制動制御の試験結果を説明する図である。
この試験は寒冷地の路面で行った。すなわち試験路面の
一区画約100mを選び、そのセンターラインの右側に
水をまき凍結させ、センターランイの左側は乾いたアス
ファルト路面とする。図5の各図面の縦の平行線は路面
の縁を表し、ハッチングを付けた部分は乾燥路面であり
摩擦係数(μ)は高く、ハッチングの無い部分は凍結路
面であり摩擦係数は低い。縦長の長方形は試験車両の平
面図であり、前輪が操舵輪であり、後輪は二重輪であ
る。試験に用いた車両は中型トラックである。試験車両
は各図の下から上に向かって走行する。矢印は各車輪と
路面との摩擦により車両を減速させるように作用する制
動力のベクトルを表す。
【0034】図5aでは、試験車両をちょうどセンタラ
インをまたぐように、つまり摩擦係数の高い領域と摩擦
係数の低い領域とをまたぐようにして走行させた場合を
示す。EBSと表示する矢印は運転者がブレーキペダル
を踏むことによりEBS(Electric-controled Breakin
g System) 制御系を経由して発生させた制動力であり、
左路面の摩擦係数の高い領域では有効な制動力として作
用するが、右路面の摩擦係数の低い領域では路面に対し
て車輪がスリップ状態となる。車輪がスリップ状態とな
ることにより自動的にアンチスキッド制御手段が作動す
る。アンチスキッド制御手段が作動することにより、前
輪の操舵は可能になり車両はセンターラインをまたいだ
状態で上方向に走行をつづけることができる。この図5
aの状態では、車両姿勢の乱れはなく姿勢制御手段は作
動していない。
【0035】図5bでは、同じく左輪は乾いた路面にあ
り右輪は滑りやすい凍結路面にある。位置で運転者が
緩やかにブレーキペダルを踏むと、わずかに右側の前後
輪にスリップが発生し車両が横ゆれした。これにより姿
勢制御手段が作動して、右前輪に制動力を発生させた状
態となる。さらに車両が位置に進行すると、前後右輪
のスリップの状態が大きくなり、右側の前後輪にアンチ
スキッド制御手段の制御が作用する。この状態では、右
前輪については二つの制御が競合した状態となる。これ
はちょうど上の図4で説明した状態となり、操舵性は維
持された。
【0036】図5bと同様に左輪が通常路面にあり右輪
が滑りやすい路面にあるとき、位置で右輪が滑りやす
い路面にある状態で、姿勢制御手段が作動する前に運転
者がブレーキペダルを踏むと、本発明の制御により姿勢
制御手段の作動は禁止される。すなわち仮りに姿勢の乱
れがあっても先にアンチスキッド制御手段が作動したと
きには、姿勢制御手段は作動しない。アンチスキッド制
御手段が作動することにより操舵性は確保されるから、
運転操作により滑りやすい路面から離脱することができ
る。
【0037】図5cでは、車両ははじめから路面の右側
を進行してきて、位置で両輪が滑りやすい路面にさし
かかる。運転者は左方向に操舵を行い滑りやすい路面か
ら安全な路面への脱出を試みたところ、車両はそのまま
まっすぐに進行しようとして前輪にスリップが生じる。
この状態は操舵角に対してセンサに検出されるヨーレイ
トが小さいことになり姿勢制御手段が作動する。この制
御は左前輪に制動力を発生させる。このとき運転者はブ
レーキペダルを踏んでいない。姿勢制御手段の制御によ
り左前輪の制動力が発生し、位置で車両は左方向に旋
回をはじめる。このとき姿勢制御手段の解除が遅れる
と、後輪が矢印のように旋回する可能性が発生するが、
位置で姿勢制御手段がこれを検知して右前輪に制動力
を与えてスピン制御を行い姿勢はたてなおされた。
【0038】図5dでは、車両は路面の右側を進行して
きて、位置で両輪が滑りやすい路面にさしかかる。上
記図5cの場合と同様に運転者は左方向に操舵した。姿
勢制御装置が同様に作動するが、このとき上記図5cの
状態とは異なり、運転者がかるくブレーキペダルを踏ん
だ。このためスピンの可能性が小さくなり、いったん作
動した姿勢制御装置は出力を停止し、運転操作によるブ
レーキのみで減速しながら路面の左方の摩擦係数の高い
路面に移ることができた。位置で運転者はブレーキペ
ダルを離した。
【0039】図5eでは、車両は摩擦係数の大きい路面
を進行してきたが、位置で運転操作により右に操舵を
行った。位置で右前輪が滑りやすい路面にかかると、
右前輪が滑りはじめ操舵角に対して旋回量が少なくなり
姿勢制御手段(VSC)が作動した。これにより右前輪
に制動力を発生させる。さらに位置に達して前両輪が
ともに滑りやすい路面に入ると、スピンの可能性が大き
くなり、姿勢制御手段の制御が行われ、左前輪にも制動
力が発生して姿勢をたて直す。
【0040】つぎに車輪のスリップ率と制動力に関連し
て、姿勢制御手段(VSC)の動作領域とアンチスキッ
ド制御手段(ABS)の動作領域との関係について説明
する。
【0041】図6は試験車両(中型トラック)につい
て、制動時の車輪の状態を測定し、車輪のスリップ率を
横軸にとり、制動力を縦軸に表した特性曲線である。積
み荷の大きさをパラメタとして表す。この測定結果から
車輪に発生する制動力は車輪がわずかにスリップする状
態で最大値となり、それよりスリップ率を増大させると
制動力は小さくなってゆくことがわかる。したがって、
スリップ率の小さい領域で姿勢制御手段を利用し、スリ
ップ率の大きい領域でアンチスキッド制御手段を利用す
ることが有利であることを見いだした。すなわち図6に
VSCと表示するスリップ率が0〜x%の領域で姿勢制
御手段を作動させ、スリップ率がx%を越えたときには
姿勢制御手段は利用しないことにする。一方、アンチス
キッド制御手段についてはスリップ率がある程度大きく
なるまで利用せず、スリップ率がy%に達したときか
ら、操舵性を確保するためにアンチスキッド制御手段を
有効にすることがよい。
【0042】この領域xあるいはyは、それぞれのタイ
ヤの特性や最大積載量の条件などから、設定数値を決定
すべきものである。ちなみに、この実施例中型トラック
では、車両の利用目的に応じて範囲をもたせて、xは3
〜8%、yは2〜3%と設定した。試験の結果から、V
SCの動作領域とABSの動作領域とはいくぶん重なる
ように設定することがよいこともわかった。
【0043】このように動作領域を区分することによ
り、姿勢制御とアンチスキッド制御との競合は少なくな
るが、運転操作によるブレーキ操作はいずれにも競合す
るものであり、競合制御を避けることはできない。
【0044】
【発明の効果】以上説明したように、本発明により二つ
の制御手段による制御出力が干渉する場合に、商業車ま
たは大型車に適する現実的な制御を行うことが可能にな
った。本発明の干渉制御では、運転による操舵性を優先
させることができる。また本発明の制御は、左右輪の路
面との摩擦係数が互いに異なる場合に特に有効である。
また、本発明により二つの制御手段の制御出力の干渉制
御を単純化することができるとともに、その動作領域を
区分することにより干渉する場合を少なくすることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例装置のブロック構成図。
【図2】本発明実施例装置の車両における配置を示す
図。
【図3】本発明実施例装置の要部制御フローチャート。
【図4】本発明実施例装置の干渉制御の動作説明図。
【図5】本発明実施例装置を搭載した車両の振舞いを説
明する図。
【図6】試験車両の制動時における車輪の状態を説明す
る図。
【符号の説明】
1 制御回路 2 姿勢制御手段(VSC) 3 アンチスキッド制御手段(ABS) 4 横方向加速度センサ 5 車速センサ 6 ヨーレイトセンサ 8 前輪 9 後輪 10 車輪回転速度センサ 11 ブレーキ・ブースタ・アクチュエータ 12 ブレーキ圧センサ 13 操舵ハンドル 14 操舵角センサ 15 電子ガバナ 16 ガバナセンサ 17 ロールレイトセンサ 18 前後方向加速度センサ 20 ブレーキペダル 21 排気ブレーキスイッチ 22 排気ブレーキ制御回路 23 排気ブレーキアクチュエータ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 運転操作による制動力および姿勢の乱れ
    を回復するために姿勢制御手段(VSC)により発生す
    る制動力を各車輪毎に加算してその車輪の制動力とする
    とともに、車輪にスリップが生じたときに制動力を繰り
    返し増減させるアンチスキッド制御手段(ABS)を備
    えた車両の制動制御装置において、 姿勢制御手段が制動力を発生させる制御出力を開始した
    時点でアンチスキッド制御手段の制御出力が送出されて
    いるときには、アンチスキッド制御手段の出力がなくな
    るまで姿勢制御手段の制御出力を禁止する手段を備えた
    ことを特徴とする車両の制動制御装置。
  2. 【請求項2】 姿勢制御手段の制動力および運転操作に
    よる制動力の加算値がいずれかの車輪で相応のスリップ
    状態を発生させるときには、その車輪についてアンチス
    キッド制御手段を自動的に有効とする制御手段を備えた
    請求項1記載の車両の制動制御装置。
  3. 【請求項3】 車輪のスリップ率がx%以下で姿勢制御
    手段を有効とし、車輪のスリップ率がy%(y≦x)以
    上でアンチスキッド制御手段を有効とする制御手段を備
    えた請求項1記載の車両の制動制御装置。
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