JP2001050688A - 表面改質方法及び表面改質品及び蒸発器用伝熱管及び吸収式冷凍機 - Google Patents

表面改質方法及び表面改質品及び蒸発器用伝熱管及び吸収式冷凍機

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JP2001050688A
JP2001050688A JP11227559A JP22755999A JP2001050688A JP 2001050688 A JP2001050688 A JP 2001050688A JP 11227559 A JP11227559 A JP 11227559A JP 22755999 A JP22755999 A JP 22755999A JP 2001050688 A JP2001050688 A JP 2001050688A
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metal oxide
evaporator
transfer tube
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JP11227559A
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Soichiro Tsujimoto
聡一郎 辻本
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Osaka Gas Co Ltd
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Osaka Gas Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、吸収式冷凍機の蒸発器用伝熱管等
に利用され、濡れ性を向上した金属製の被処理物表面を
有する表面改質品を得る為の表面改質方法の技術を提供
することを目的とする。 【解決手段】 金属製の被処理物11a表面に複数の凹
凸11bを設け、有機金属化合物成分と金属酸化物微粒
子成分を含有する処理液を、被処理物表面にコーティン
グし、加熱して、被処理物1a表面に多孔質且つ少なく
とも外表面に多数の亀裂を有する金属酸化物層11dを
形成することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属製の被処理物
表面の表面改質方法及び表面改質品に関し、特に蒸発器
の伝熱面の表面の改質に好適に用いることのできる蒸発
器用伝熱管表面の改質方法、蒸発器用伝熱管に関し、特
に吸収式冷凍機に好適に利用される。
【0002】
【従来の技術】従来、蒸発器の伝熱管は、銅などの熱伝
導率の高い金属から製造されており、その伝熱管に冷媒
を接触させ、あるいは、その接触により前記冷媒を蒸発
させることにより、前記伝熱管の外表面で冷媒と顕熱、
潜熱タイプを熱交換させて前記伝熱管内の熱媒体を冷却
して、伝熱管内の熱媒体を循環させることによって熱を
運搬することができるように構成してあるものである
が、熱交換により熱を伝達するには、伝熱管表面の冷媒
等の液体が濡れ広がる濡れ性(広がり速度、濡れ面積)
を改善すべく前記伝熱管の表面に凹凸を、あるいは伝熱
管の伝熱面積を増やすべくフィンを設けることによって
熱交換率を高めることができるように構成したものもあ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来の伝熱管
によれば、伝熱管にフィンを設けるために前記伝熱管を
厚肉に形成しておかなければならなかったり、それで
も、伝熱効率が低い場合には伝熱表面積を増やす、すな
わち、伝熱管の数または長さを増やさなければ要求され
る熱伝導率を達し得ないことが多かった。
【0004】従って、本発明の課題は、上記欠点に鑑
み、吸収式冷凍機の蒸発器用伝熱管等に利用され、濡れ
性を向上した金属製の被処理物表面を有する表面改質品
を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】〔表面改質方法〕この目
的を達成する為に、本発明の表面改質方法の特徴構成
は、請求項1に記載されているように、金属製の被処理
物表面に複数の凹凸を設け、有機金属化合物成分と金属
酸化物微粒子成分を含有する処理液を、前記被処理物表
面にコーティングし、加熱して、前記被処理物表面に多
孔質且つ少なくとも外表面に多数の亀裂を有する金属酸
化物層を形成する点にある。
【0006】有機金属化合物成分と金属酸化物微粒子成
分を含有する処理液を、所定温度に加熱処理すると、金
属酸化物微粒子成分の凝集体を含有したきわめて濡れ性
の高い多孔質材料を形成できる。そこで、伝熱管などの
表面が金属材料製の被処理物の表面に、前記処理液(こ
こに、特に断らなければ、単に処理液と言えば有機金属
化合物成分と金属酸化物微粒子成分を含有する処理液を
言うものとし、下地処理液については単に処理液とは言
わないものとする。)をコーティングし、例えば50℃
以上900℃以下の温度に加熱する。これにより、前記
被処理物の表面に多孔質の金属酸化物層を形成すること
ができ、前記被処理物の表面を比較的高い濡れ性を有す
るものに改質する事ができる。すなわち、この多孔質の
金属酸化物層は、表面に開口した多数の孔部を有し、金
属酸化物層の表面開口部から、付着した水等の液体が表
面張力によって浸透し、そのため液体と金属酸化物層と
の接触角が小さくなり、表面が液体の薄層で大部分が濡
れることになるからである。
【0007】更に、予め金属製の被処理物表面に複数の
凹凸を設けておくと、上記の加熱処理による金属酸化膜
層の収縮によって、特に表面の凸部において、金属酸化
物層の表面に応力が発生することで表面に多数の応力割
れが発生し、結果、多数の亀裂が発生する。結果、本発
明の手法によって、被処理物表面に、複数の亀裂を有す
る金属酸化膜層を形成することができ、この多数の亀裂
が形成された外表面に水等の液体が存在しているとき
は、その液体は、この亀裂の隙間を毛細管現象により短
時間に広く浸透することになる。このように多孔質の金
属酸化膜層に多数の亀裂を設けることができるので、濡
れ性を飛躍的に向上することになる。
【0008】加熱処理の温度は各処理液に含まれる有機
金属化合物成分が縮重合して金属酸化物を生成する温度
を適宜選択すればよい。なお、処理液を構成する金属酸
化物微粒子成分は加熱によってもそのまま化学反応をし
ないで、金属酸化物微粒子成分の凝集体として多孔質金
属酸化物層を構成することとなる。ここで、金属酸化物
微粒子成分は、有機金属化合物成分と複合的に凝集する
ために、有機金属化合物成分が金属酸化物微粒子成分同
士を密な部分と疎な部分に不均一に凝集させるととも
に、凝集した金属酸化物微粒子成分同士の間に空隙を形
成する事になり、この状態を経由して形成される金属酸
化物層は、前記空隙等が液体の浸透濡れを許容する良好
な多孔質構造になるのである。尚、50℃以上、より好
ましくは150℃以上の温度に加熱するのは、50℃以
下では反応が不充分であり、多孔質の金属酸化物の形成
が十分でなく濡れ性が悪くなり、また、900℃を超え
ると多孔質構造が変化し、熱伝達率が向上しにくくなる
うえに、加熱処理に要するコストが嵩むという不都合を
生じるからである。尚、さらに好ましくは、200℃以
上800℃以下、さらに好ましくは、250℃以上70
0℃以下で加熱処理を行うことが好適である。
【0009】また、このような表面改質方法において金
属酸化膜層に多数の亀裂をもうけるので、内部の被処理
物の腐食が懸念されることがあるが、この場合、有機金
属化合物成分を含有する下地処理液を、被処理物表面に
コーティングし、前記処理液により形成する金属酸化物
層と被処理物表面との間に介在させておけば、前記金属
酸化物層と前記被処理物表面との密着性を強固なものと
し、かつ、コーティング後の加熱処理による伝熱管の腐
食等も抑制できる。このようなコーティングをしておけ
ば、前記金属酸化物層を、たとえば伝熱管のような熱衝
撃を受けやすい被処理物の表面の改質に用いたとして
も、前記金属酸化物層を剥離しにくい強固なものに形成
できて、耐久性の高い改質を行うことができるのであ
る。また、処理液のコーティングを小さい膜厚で形成
(好ましくは0.5μm以下)した後加熱処理して下地
層を形成した後に、さらに本手法により処理液のコーテ
ィングと加熱処理を行うことにより多孔質で多数の亀裂
を有する金属酸化物層を形成することができる。
【0010】また、前記処理液の有機金属化合物成分と
金属酸化物微粒子成分との含有比率が1:5〜3:1で
あってもよい。前記処理液の有機金属化合物成分(金属
酸化物換算)と金属酸化物微粒子成分との含有比率が
1:5〜3:1であれば、得られる金属酸化物層が表面
に多数の亀裂を有し、且つ多孔質で濡れ性の高いものと
なり、しかも、被処理物との高い密着性も確保でき、処
理液を取り扱い容易な粘度のものにできるので好まし
い。尚、さらには、1:2〜2:1であることがより望
ましい。
【0011】また、前記有機金属化合物成分が金属アル
コキシド、金属アセチルアセトネート、金属カルボキシ
レートから選ばれる少なくとも一種以上の化合物であっ
てもよく、具体的には、前記金属アルコキシドが、ジル
コニウム、アルミニウム、ケイ素、チタンから選ばれる
少なくとも一種以上の金属と、メトキシル、エトキシ
ル、プロポキシル、ブトキシルから選ばれる少なくとも
一種以上のアルコキシル基とから構成されるもの、ある
いは、前記金属アセチルアセトネートが、インジウムア
セチルアセトネート、あるいは、前記金属カルボキシレ
ートが、酢酸鉛であってもよい。好ましい例として、前
記アルコキシドとしては、テトラエトキシチタン((C2
5O)4Ti) 、テトライソプロポキシチタン((C37
O)4Ti) 、 テトラ(n−ブトキシ)チ タン((C4
9O)4Ti)、テトラエトキシジルコニウム((C2
5O)4Zr)、テトライソプロポキシジルコニウム((C
37O)4Zr)、テトラ(n−ブトキシ)ジルコニウム
((C49O)4Zr)、テトラエトキシシラン、ポリテ
トラエトキシシラン、トリブトキシア ルミニウム、ト
リイソプロポキシアルミニウム、などが挙げられる。吸
収式冷凍機の蒸発器用伝熱管に適用する場合は、耐吸収
液性(強アルカリ)に優れたものとして、上記のチタン
のアルコキシドとジルコニウムのアルコキシドが好まし
い例として挙げられる。 また、前記金属アセチルアセ
トネートとしては、インジウムアセチルアセトネート
(In(acac)3)、鉄アセチルアセトネート(Fe
(acac)3)等が挙げられる。
【0012】また、前記有機金属化合物成分としては、
金属アルコキシド、金属アセチルアセトネート、金属カ
ルボキシレートから選ばれる少なくとも一種以上の化合
物、が挙げられ、加熱処理により金属酸化物を形成でき
るものを用いればよく、このような有機金属化合物成分
に対応する金属酸化物微粒子成分、たとえば酸化珪素
(SiO2)、酸化アルミニウム(Al23 )、酸化チ
タン(TiO2)、酸化インジウム(In23)、酸化
ジルコニウム(ZrO2)、酸化タンタル(Ta
25)、酸化鉄(FeO,Fe23、Fe34)等を含
む少なくとも一種の金属酸化物微粒子成分を混合した状
態で加熱処理を行うと多孔質で濡れ性の高い金属酸化物
層を形成できるのである。また、前記金属酸化物微粒子
成分が、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸
化インジウム、酸化ジルコニウム、酸化タンタル、酸化
鉄から選ばれる少なくとも一種以上の化合物であっても
よく、より好ましくは、酸化珪素、酸化アルミニウム、
酸化チタン、酸化ジルコニウムから選ばれる少なくとも
一種以上が用いられる。特に、吸収式冷凍機の蒸発器用
伝熱管に適用する場合は、耐吸収液(耐アルカリ)に優
れたものとして酸化チタン、酸化ジルコニウムを配合す
ることが好ましい。特に吸収式冷凍機の蒸発器用伝熱管
に適用する場合は、耐吸収液性(強アルカリ)に優れた
ものとして、酸化チタン、酸化ジルコニウムを配合する
ことが好ましい。
【0013】また、この種の処理液あるいは下地処理液
の溶媒もしくは分散媒としては、メタノール・エタノー
ル・プロパノール・ブタノール等のアルコール類、酢酸
エチル、エチレンオキシド、エチレングリコール、トリ
エタノールアミン、キシレン等の有機溶媒を用いること
ができ、有機金属化合物成分の溶解度等にあわせて適宜
選択すればよいが、メタノール、エタノール、プロパノ
ール、イソプロパノール、ブタノールあるいはこれらの
混合物が好適に用いられ、特にエタノールを主成分とす
るものを用いれば、沸点が低いために施工時の乾燥速度
がはやい、毒性が少ない等の面から好ましい。尚、溶媒
もしくは分散媒に水を含有させる場合には、有機金属化
合物成分を加水分解させる当量以下、つまり、有機金属
化合物成分を全て加水分解できる量を最大限として、そ
れ以下にすることが好ましく、具体的には2/3当量以
下とすることが好ましく、さらに言えば、1/3当量以
下であることが好ましい。
【0014】また、前記処理液中に前記有機金属化合物
成分が金属酸化物換算で2重量%〜20重量%含まれて
いることが好ましい。より好ましくは3重量%〜10重
量%である。2重量%以下では1回のコーティングで有
られる膜厚が小さすぎ、コーティング回数が多くなって
しまい、多数の亀裂を有する多孔質の金属酸化膜層が得
られにくい等の問題が有り実用的でない。また、20重
量%以上では、粘度が高くなり、膜厚が大きすぎ、剥離
しやすくなるので好ましくなく、処理液のポートライフ
が短くなってしまい好ましくない。
【0015】具体的には、前記金属酸化物微粒子成分が
直径20Å以上1000Å以下であることが好ましい。
というのは、直径20Å以下では、金属酸化物層は、十
分な液体の浸透濡れを起こすような多孔質構造にならな
い。また1000Å以上では多孔質層ができるが膜の強
度が小さくなり、剥離しやすくなるからである。尚、さ
らに望ましくは50Å〜500Åであることが好まし
く、この範囲のものが前記処理液に対する前記金属酸化
物の分散性や前記処理液自体の粘度の調整等に役立つか
らである。
【0016】また、処理液等のコーティングは必要に応
じて複数回行ない、所望の膜厚を得るようにしてもよ
い。複数回コーティングを行う場合、各コーティング工
程の間に乾燥工程を設けることが好ましく、この乾燥工
程により、前記被覆層の密着性を向上させることが出来
る。乾燥工程は、室温にて自然乾燥しても良いし、温
風、熱風による強制乾燥であっても良い。尚、処理液等
をディップコーティングする際には、その処理液等の組
成にも依存するが、15℃〜30℃の環境で行うことが
好ましい。というのは、15℃以下では、コーティング
作業後に水分が凝縮しやすく、その凝縮した水分により
コーティング不良や強度低下を招来するような不都合を
生じやすくなり、また、30℃以上では、処理液等の劣
化が速く、実用上の問題となり易いためであり、上記環
境が、このような水分の凝縮による不都合、処理液の劣
化等を回避する上で有効である。湿度は70%以下が好
ましい。より好ましくは60%以下である。高湿度の場
合、コーティング作業後に水分が凝縮しやすくなって、
上記の問題が生じ易くなる。ただし、コーティング方法
は、前記ディップコーティングに限らない。
【0017】また、前記処理液や下地処理液には、耐食
性改良のために、縮重合を促進するのための触媒とし
て、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、フッ化水素酸、アンモニ
ア等の酸、アルカリを添加することが好ましい。中でも
酢酸、塩酸が好ましく、例えば、塩酸の場合、有機金属
化合物成分100gあたり0.02g〜5g、酢酸の場
合、有機金属化合物成分100gあたり0.5g〜30
gの範囲が好ましい。また同様に、前記処理液や下地処
理液には、安定剤としてアセト酢酸エチル、アセチルア
セトン等のキレート剤を配合しても良く、有機金属化合
物成分としてジルコニウムのアルコキシドや、チタンの
アルコキシドや、アルミニウムのアルコキシドを採用す
る場合に特に有効である。このような安定剤は、金属ア
ルコキシド(多種用いる場合は、その総和)の1もるに
対して0.05モルから2モル配合することが好まし
い。
【0018】また、このような表面改質方法において、
請求項2に記載されているように、前記金属酸化物層の
厚さが2μm以上50μm以下であることが好ましく、
さらには、2μm以上30μm以下であることがより好
ましい。というのは、薄いと、亀裂を有する多孔質の金
属酸化膜層を形成しにくくな利、分厚いと伝熱公立の悪
化を招来しやすく且つ剥離しやすくなるからである。こ
のように構成することで、加熱処理における金属酸化膜
層の凝縮によって、表面に大きな内部応力を発生させ、
多数の亀裂を発生させ、表面の濡れ性を向上することが
できる。
【0019】さらに、このような表面改質方法におい
て、請求項3に記載されているように、前記凹凸の凹部
に対する凸部の段差が、10μmから1000μmの範
囲内であり、隣り合う前記凸部の間隔が0.1mmから
20mmの範囲内であることが好ましい。このように構
成することで、加熱処理において金属酸化膜層が凝縮
し、上記の凹凸によって、表面に大きな内部応力を発生
させ、結果、凹凸の凸部や角部等に好ましい状態の亀裂
を多数発生させることができ、濡れ性を向上することが
できる。また、上記の段差が10μm以下の場合は、加
熱時に充分に内部応力が発生せず、良好な亀裂が発生せ
ず、上記の段差が1000μm以上の場合は、金属酸化
膜層を形成後の外観に問題がある上に、凸部の角部に上
記金属酸化膜層が薄い部分が発生する虞があり、また凹
部の角部に厚い部分が発生し剥離する虞があり、問題で
ある。また、上記の間隔が0.1mm以下の場合は、間
隔が狭い為に、金属酸化膜層が平坦に近い状態となっ
て、加熱時に多数の亀裂を発生させる内部応力を得るこ
とができず、上記の間隔が20mm以上の場合は、亀裂
が少なくなりすぎ、且つ、表面に均等に亀裂を発生させ
ることができない。
【0020】また、これらの表面改質方法において、請
求項4に記載されているように、前記被処理物が蒸発器
用伝熱管であることができる。蒸発器用伝熱管におい
て、本手法により、表面の濡れ性を向上させることで、
濡れ面積比率が大きくなり、例えば、表面が水によって
ぬれている場合、金属酸化物層から水への伝熱面積が増
大するため、水の蒸発量が増え、総括伝熱係数が高くな
り、高効率に内部に流通する水等を冷却することができ
る。
【0021】また、このような表面改質方法において、
請求項5に記載されているように、前記凹凸が、前記蒸
発器用伝熱管の表面に設けられた、管軸軸廻りの周方向
の溝若しくは管軸廻りの螺旋状の溝若しくは管軸方向の
溝によって形成されるものであることが好ましい。この
ように、蒸発器用伝熱管の表面に凹凸を設ける場合、旋
盤等を用いて、軸方向に垂直若しくは螺旋状に溝を設け
ることができ、簡単に本手法により多数の亀裂を有する
金属酸化膜層を形成し、伝熱管の表面の濡れ性を向上す
ることができる。
【0022】また、これまでは、表面改質方法について
説明したが、本発明に係る表面改質品の特徴構成は、請
求項6に記載されているように、請求項1〜5のいずれ
かに記載の表面処理方法により前記金属酸化物層を形成
してある。このような表面改質品は、多孔質の金属酸化
膜層の外表面に多数の亀裂を有しているので、毛細管現
象により、濡れ性が非常に高い。
【0023】また、表面改質品を蒸発器用伝熱管として
構成する場合は、その蒸発器用伝熱管は、請求項7に記
載されているように、請求項4又は5に記載の表面処理
方法により前記金属酸化物層を形成してあることができ
る。このような蒸発器用伝熱管は、表面の濡れ性が非常
に高いので、濡れ面積比率が大きくすることができ、表
面が水でぬれている場合、金属酸化物層から水への伝熱
面積が大きいので水の蒸発量が大きくなるので、総括伝
熱係数が高くなり、高効率に内部に流通する水等の流体
を冷却することができる。
【0024】また、本発明の吸収式冷凍機は、請求項8
に記載されているように、冷媒を収容する蒸発器を備
え、請求項7に記載の蒸発器用伝熱管を、表面において
前記冷媒を蒸発させて内部の流体を冷却する伝熱管とし
て前記蒸発器に備える。このように、吸収式冷凍機を構
成することで、蒸発器に備えられた蒸発器用伝熱管表面
における冷媒の蒸発量を増加させ、蒸発器用伝熱管内部
の流体の冷却量を増加させることができ、冷凍能力を増
加させることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。図1及び図2は、本発明の表面改
質品100を示しており、被処理物として銅平板1を使
用し、この銅平板1の表面に親水性の材料のポリテトラ
エキシシランの下地層3と被覆層2を備えており、さら
に、この被覆層2の外表面には、多数の連続した亀裂5
を形成している。このような亀裂5を有した表面改質品
100の表面に、例えば水を滴下した場合、この亀裂5
の隙間に水が浸透し、毛細管現象により、広域に濡れ広
がることができる。よって、この様に構成することで、
表面の濡れ性を向上した表面改質品を構成することがで
きる。
【0026】次に、上記の被覆層2及び下地層3の製造
方法について示す。まず、予め、被処処理物の銅平板1
の表面に、図3に示すように、深さ(凹部に対する凸部
の段差)が約30μm、幅0.3mmの溝部6を、約4
mmピッチで加工しておく。次に、図3に示すように、
溶媒のエタノールにポリテトラエトキシシランを5重量
%(二酸化ケイ素換算)溶解させ、さらに二酸化ケイ素
微粒子(一次粒子径7nm)を5重量%を均一に分散さ
せた溶液7内に、銅平板1を浸し、銅平板1の長手方向
を鉛直方向として5mm/秒の一定速度で引き上げた後
に、表面を15分程度乾燥させる。このようなコーティ
ング処理によって銅平板1表面にポリテトラエキシシラ
ンの溶液7を塗布することができる。このコーティング
処理を1工程とし、第1工程終了後に、コーティングさ
れた銅平板1を250℃で5分間加熱処理を行い、下地
層3を得ることができる。このように得られた下地層3
は、表面に空隙を有さない緻密性な金属酸化物層とな
り、銅平板の腐食を防ぐものとなる。次に、下地層3の
外表面に、更に被覆層2を得る為に、上記の工程を数回
繰り返して溶液7を表面に塗布して乾燥させ、その後、
300℃で30分間加熱処理を行う。この加熱処理中
に、二酸化ケイ素が合成され被覆層2が形成されるが、
予め設けた溝部6の作用により、容易に溝部6の膜厚が
大きくなり(例えば1μm以上)、表面に応力が発生
し、結果、表面に多数の亀裂5が生じる。この亀裂5
は、図2に示すように、連続した網目状の溝を有して形
成されており、被覆層2の表面を分割して多数の分割面
4を形成している。このように、被覆層2の表面に多数
の亀裂5を生じさせることによって、この表面に水が付
着すると、この水は、毛細管現象により、亀裂5内に浸
透し、広域に渡って広がることとなり、濡れ性に優れた
表面改質品100を構成することができる。
【0027】次に、本発明の表面改質品100の濡れ性
について、実験を行った結果を示す。上記に示す製造方
法で、被覆層2の厚さが違うものを数個作成した。下記
の表1に示すように、被覆層2の膜厚が3μmのサンプ
ル1と、膜厚が4μmのサンプル2とが表面に多数の亀
裂5を有しており、このサンプル1、2は、亀裂5の状
態が、図2に示すように、亀裂5を構成する溝の幅をa
とし、分割面4の幅をbとしたときに、亀裂5の幅aが
0.1μm〜100μmの範囲内であり、分割面4の幅
bが5μm〜500μmの範囲内のものである。また、
比較例として、被覆層2の外表面には上記のような亀裂
5を有さないように、被覆層2の膜厚を0.3〜0.5
μmとして作成したサンプル3を用意した。該比較例の
サンプル製作には、溶媒のエタノールにポリテトラエト
キシシランを1重量%(二酸化ケイ素換算)溶解させ、
さらに前記二酸化ケイ素微粒子を1重量%均一に分散さ
せたものを用いた。更に、濡れ性の評価としては、被覆
層2の表面が水平となるように保持し、被覆層2表面上
に、0.01ccの純水を滴下し、30秒後に濡れ広が
った幅を垂直方向に2個所測定した平均を濡れ幅として
比較している。よって、この濡れ幅の大きいものが濡れ
性に優れたものといえる。結果、表1に示すように、そ
れぞれのサンプルの被覆層2は全て、親水性の二酸化ケ
イ素の層であるが、本発明の表面改質品であるサンプル
1及びサンプル2は濡れ幅が11mm及び12mmであ
るのに対し、比較例のサンプル3の濡れ幅は、4mmで
あった。よって、本発明の特徴構成である多数の亀裂を
有する表面改質品が濡れ性に優れていることが判る。
【0028】
【表1】
【0029】〔別実施の形態〕また、本発明に係る表面
改質品を吸収式冷凍機の蒸発器用伝熱管として利用する
構成について説明する。ここに説明する伝熱管11、1
8を備えた吸収式冷凍機は、図4に示すように、吸収器
12や蒸発器13を備えて形成してあり、吸収器12及
び蒸発器13の内部には伝熱管11、18を備えるとと
もに、吸収器12における臭化リチウム溶液(以下単に
吸収液と称する)14や蒸発器13における冷媒15を
前記伝熱管11の上部から散布させる循環ポンプ16,
17を備えて構成してある。前記伝熱管11は、図5に
示すように、上記の実施の形態で説明した本手法によっ
て、銅管11aの外表面に溝11bを設け、下地処理液
を、銅管11aの表面にコーティングして下地処理層1
1cを形成したのち、処理液を、前記コーティングの上
にコーティングし、例えば、250℃以上の温度に加熱
して、前記被処理物の表面に多孔質で外表面に多数の亀
裂を有する金属酸化物層1dを形成して表面を改質して
ある。伝熱管11は外径16mm・内径14mmであ
る。また、伝熱管11は、26mm間隔で、長さ40c
mのものを5段に積層し、伝熱管1の有効長さを100
0mmとしてあり、前記吸収液14や、冷媒液15を最
上段の伝熱管11上方10mmの位置から散布自在に構
成してある。このように本手法によって、表面を改質し
た伝熱管11においては、表面の濡れ性を向上すること
ができるので、伝熱管11表面に冷媒液15が良好に付
着することになり、冷媒液15の伝熱管11表面におけ
る蒸発量を増加させ、その蒸発によって、伝熱管11内
の冷水から潜熱を奪って、良好に冷却することができ、
この吸収式冷凍機を、たとえば冷暖房に用いるような場
合に、省エネルギー化、装置のコンパクト化などを図る
ことができる。
【0030】
【発明の効果】本発明によって、被処理物の表面に多孔
質且つ表面に多数の亀裂を有する親水性の金属酸化膜層
を設け、表面の濡れ性を向上させた表面改質品を構成す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の表面改質品の断面図
【図2】本発明の表面改質品の亀裂の状態を示す断面斜
視図
【図3】本発明の表面改質品の製造方法例を示す図
【図4】本発明の表面改質方法によって表面改質した蒸
発器用伝熱管を有する吸収式冷凍機の概略図
【図5】本発明の蒸発器用伝熱管の断面図
【符号の説明】
1 被処理物 2 被覆層(金属酸化物層) 3 下地層 5 亀裂

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属製の被処理物表面に複数の凹凸を設
    け、有機金属化合物成分と金属酸化物微粒子成分を含有
    する処理液を、前記被処理物表面にコーティングし、加
    熱して、前記被処理物表面に多孔質且つ少なくとも外表
    面に多数の亀裂を有する金属酸化物層を形成する表面改
    質方法。
  2. 【請求項2】 前記金属酸化物層の厚さが2μm以上5
    0μm以下である請求項1に記載の表面改質方法。
  3. 【請求項3】 前記凹凸の凹部に対する凸部の段差が、
    10μmから1000μmの範囲内であり、隣り合う前
    記凸部の間隔が0.1mmから20mmの範囲内である
    請求項1又は2に記載の表面改質方法。
  4. 【請求項4】 前記被処理物が蒸発器用伝熱管である請
    求項1から3の何れか1項に記載の表面改質方法。
  5. 【請求項5】 前記凹凸が、前記蒸発器用伝熱管の表面
    に設けられた、管軸軸廻りの周方向の溝若しくは管軸廻
    りの螺旋状の溝若しくは管軸方向の溝によって形成され
    るものである請求項4に記載の表面改質方法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の表面処
    理方法により前記金属酸化物層を形成してある表面改質
    品。
  7. 【請求項7】 請求項4又は5に記載の表面処理方法に
    より前記金属酸化物層を形成してある蒸発器用伝熱管。
  8. 【請求項8】 冷媒を収容する蒸発器を備え、請求項7
    に記載の蒸発器用伝熱管を、表面において前記冷媒を蒸
    発させて内部の流体を冷却する伝熱管として前記蒸発器
    に備えた吸収式冷凍機。
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