JPH09113181A - 熱交換器用アルミニウム部材及びその製造方法 - Google Patents

熱交換器用アルミニウム部材及びその製造方法

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JPH09113181A
JPH09113181A JP27145095A JP27145095A JPH09113181A JP H09113181 A JPH09113181 A JP H09113181A JP 27145095 A JP27145095 A JP 27145095A JP 27145095 A JP27145095 A JP 27145095A JP H09113181 A JPH09113181 A JP H09113181A
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film
aluminum
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boehmite
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JP27145095A
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Inventor
Yoshikazu Mukai
良和 向井
Yosuke Ota
陽介 太田
Kenichi Kamiya
憲一 神谷
Masanori Sakurai
真紀 桜井
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Kobe Steel Ltd
Original Assignee
Kobe Steel Ltd
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    • F28HEAT EXCHANGE IN GENERAL
    • F28FDETAILS OF HEAT-EXCHANGE AND HEAT-TRANSFER APPARATUS, OF GENERAL APPLICATION
    • F28F13/00Arrangements for modifying heat-transfer, e.g. increasing, decreasing
    • F28F13/18Arrangements for modifying heat-transfer, e.g. increasing, decreasing by applying coatings, e.g. radiation-absorbing, radiation-reflecting; by surface treatment, e.g. polishing

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 表面の接触角が大きく水滴が容易に落下し
て、フィンの表面に水滴が溜まることを防止できる熱交
換器用アルミニウム部材及びその製造方法を提供する。 【解決手段】アルミニウム基材の表面に厚さが0.1μ
m以上のベーマイト皮膜を形成する。そして、平滑面に
塗布された場合に接触角が90°以上であるフッ素系又
はシリコン系の撥水性塗料を、前記皮膜の表面に0.1
乃至10mg/dm2塗布して撥水皮膜を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ルームエアコン等の熱
交換器のフィン材として好適の熱交換器用アルミニウム
部材及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】アルミニウム材は、熱伝導性及び成形性
が優れていることから、熱交換器用のフィン材として広
く使用されている。また、このフィン材には腐食を防止
するために防食処理が施されたり、更には冷房運転時の
結露水がフィン間に溜まらないよう水切れ性を向上させ
るために、フィン材に水濡れ性が優れた親水性の表面処
理が施されている。
【0003】これらの処理として、ケイ酸塩をフィン材
の表面に塗装する処理(特許1769978号)、又は
親水性の樹脂を塗装する処理等が実用化されており、送
風時の通風抵抗を低減して、熱交換器における熱交換効
率の向上が図られている。
【0004】しかし、近年の熱交換器においては、冷暖
房を兼用化したヒートポンプタイプの熱交換器を使用す
る割合が増加している。このようなヒートポンプタイプ
の熱交換器では、夏期において室内器が蒸発器となり、
室外器は凝縮器となる。一方、冬期においては逆に、室
内器が凝縮器となり、室外器が蒸発器となる。
【0005】このような熱交換器では、冬期の室外器に
おいて外気温度が低いと、凝縮した水分が氷結し霜が発
生して、特に前述したような親水性処理が施されている
フィンでは水濡れ性が良好であるため、フィンの表面が
着霜しやすくなってしまう。
【0006】室外器で着霜が生じると、発生した霜がフ
ィン間を塞ぎ、通風抵抗が増加して暖房能力が低下して
しまう。そして、更に着霜が進むと暖房運転を中止して
除霜することが必要となる。
【0007】従来の親水性処理では、無処理材に比べ除
霜時において容易に霜が溶解し水膜となって落下すると
いう利点があったが、フィンの全面が水濡れしているた
め、暖房運転を再開すると、直ちに氷結し霜が発生しや
すいという難点がある。
【0008】凝縮した水滴を直ちに落下させる方法とし
ては、フィンに親水性を付与する表面処理を施し水滴を
水膜状にして落下させる方法の他に、フィンの表面を撥
水化し水滴として落下させる方法もある。フィンの表面
を撥水化させる方法には、フッ素系の特殊な撥水皮膜を
フィンの表面に設ける方法(特開平3−30939号公
報、特開平3−44485号公報)及びフィン材の表面
にフッ素系の撥水皮膜を設けた後、その表面を粗面化し
接触角を向上させて水滴の転落性を向上させる方法(特
開平3−45893号公報)等がある。
【0009】ここで接触角とは、図1に示すように、水
滴1の表面が部材表面2と接触している点から接線3を
引いた場合に、この接線3と部材表面2とのなす角度θ
1をいい、接触角θ1が大きいほど(最大θ1=180
°)水滴1が部材表面2に付着する面積が小さくなるた
め、水滴1が部材表面2に付着し難いといえる。
【0010】なお、部材表面の粗面化と接触角との関係
について、一般に接触角が90°以上である部材表面で
は、その表面を粗面化するに伴い見かけの接触角が大き
くなる。一方、接触角が90°未満の部材表面では、そ
の表面の粗面化に伴い接触角が低下することが知られて
いる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の
フッ素系の特殊な撥水皮膜をフィンの表面に設ける方法
では、得られる接触角が十分ではないため、成形された
フィンの表面には部分的に水滴が溜まり、親水性の処理
に比べて通風抵抗が高くなってしまう。また、フィン材
の表面に撥水皮膜を設けた後粗面化する方法では、粗面
化されたフィン材を成形することが困難である。逆に、
フィン成形後に粗面化する方法では均一に粗面化するこ
とが困難である。加えて、フッ素系塗料が高価であるこ
とから、これらの撥水化の方法は実用化に至っていな
い。
【0012】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
のであって、表面の接触角が大きく水滴が容易に落下し
て、フィンの表面に水滴が溜まることを防止することが
でき、また室外器のフィンとして使用される場合に冬期
であっても霜の発生を低減することができる熱交換器用
アルミニウム部材及びその製造方法を提供することを目
的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明に係る熱交換器用
アルミニウム部材は、アルミニウム基材の表面に形成さ
れ厚さが0.1μm以上のベーマイト皮膜と、平滑面に
塗布された場合に接触角が90°以上であるフッ素系又
はシリコン系の撥水性塗料を、前記皮膜の表面に0.1
乃至10mg/dm2塗布して形成される撥水皮膜とを
有することを特徴とする。
【0014】本発明に係る他の熱交換器用アルミニウム
部材は、平均表面粗さが0.2μm以上のアルミニウム
基材の表面に形成され厚さが0.1μm以上のベーマイ
ト皮膜と、平滑面に塗布された場合に接触角が90°以
上であるフッ素系又はシリコン系の撥水性塗料を、前記
皮膜の表面に0.1乃至20mg/dm2塗布して形成
される撥水皮膜とを有することを特徴とする。
【0015】本発明に係る熱交換器用アルミニウム部材
の製造方法は、アルミニウム基材の表面に厚さが0.1
μm以上のベーマイト皮膜を形成する工程と、平滑面に
塗布された場合に接触角が90°以上であるフッ素系又
はシリコン系の撥水性塗料を、前記皮膜の表面に0.1
乃至10mg/dm2塗布して撥水皮膜を形成する工程
とを有することを特徴とする。
【0016】本発明に係る他の熱交換器用アルミニウム
部材の製造方法は、アルミニウム基材の表面の平均表面
粗さを0.2μm以上に粗面化する粗面化工程と、前記
基材表面に厚さが0.1μm以上のベーマイト皮膜を形
成する工程と、前記皮膜の表面に平滑面に塗布された場
合に接触角が90°以上であるフッ素系又はシリコン系
の撥水性塗料を、前記皮膜の表面に0.1乃至20mg
/dm2塗布して撥水皮膜を形成する工程とを有するこ
とを特徴とする。また、前記粗面化工程は、ブラシによ
る研磨処理又はカセイソーダ若しくは硝酸水溶液による
溶解処理であることが好ましい。
【0017】
【作用】本発明においては、アルミニウム基材の表面に
厚さが0.1μm以上のベーマイト皮膜を形成する。そ
して、このベーマイト皮膜の表面に、平滑面に塗布され
た場合に接触角が90°以上であるフッ素系又はシリコ
ン系の撥水性塗料を0.1乃至10mg/dm2塗布し
て、撥水皮膜を形成する。
【0018】又は、アルミニウム基材の表面の平均表面
粗さを0.2μm以上に粗面化し、この基材表面に厚さ
が0.1μm以上のベーマイト皮膜を形成する。そし
て、このベーマイト皮膜の表面に、平滑面に塗布された
場合に接触角が90°以上であるフッ素系又はシリコン
系の撥水性塗料を0.1乃至20mg/dm2塗布し
て、撥水皮膜を形成する。
【0019】このように、本発明においてはアルミニウ
ム基材の表面に微細な凹凸を有するベーマイト皮膜を形
成し、この皮膜の表面に、平滑面に塗布された場合に接
触角が90°以上である撥水皮膜を形成するので、撥水
性が優れ、即ち接触角が大きく、また転落角が小さく、
更には着霜防止性が優れたアルミニウム部材を得ること
ができる。
【0020】なお、本発明のアルミニウム基材には一般
的に使用されている純アルミニウム系のものであれば、
特に問題なく適用することができるが、前記基材の表面
をブラシ研磨又は化学的な溶解反応によって粗面化する
場合には、基材の厚さが減少するため、研磨又は溶解後
であっても十分な強度を保持するように、予め研磨しろ
又は溶解しろを有する一定厚さ以上のアルミニウム基材
を使用することが好ましい。
【0021】次に、ベーマイト皮膜について説明する。
ベーマイト皮膜を形成するためには、アルミニウム基材
を加熱したイオン交換水に浸漬し、前記基材表面に水和
酸化皮膜(ベーマイト皮膜)を形成する(以下、「ベー
マイト処理」という)。なお、このときのイオン交換水
の加熱温度は90℃以上であることが好ましい。また、
ベーマイト処理浴には、イオン交換水のみを使用する場
合以外にアンモニア又はトリエタノールアミン等の皮膜
形成促進剤を添加したものであってもよい。
【0022】このようにして形成されるベーマイト皮膜
は針状結晶性の皮膜であり、この皮膜表面に、平滑面に
塗布された場合に接触角が90°以上であるフッ素系又
はシリコン系の撥水性塗料を塗布すると、表面形態の効
果により高接触角で水滴の転落性が優れ、且つ着霜防止
性が優れたアルミニウム部材を得ることができる。
【0023】ベーマイト皮膜厚さ:0.1μm以上 ベーマイト皮膜の厚さは0.1μm以上(ベーマイト皮
膜の比重約3g/cm3で計算)であることが必要であ
る。これは、ベーマイト皮膜の厚さが0.1μm未満で
あると、ベーマイト皮膜による凹凸が小さく、表面形態
の効果が不十分である。このため、アルミニウム部材表
面では高接触角が得られず、また水滴の落下性も不十分
となるからである。なお、ベーマイト皮膜の厚さの上限
は特に制限されないが、厚さが0.5μm以上となると
ベーマイト処理に要する時間が長くなるため、ベーマイ
ト皮膜の厚さは0.5μm程度であることが好ましい。
【0024】次に、前述のベーマイト皮膜の表面に形成
する撥水皮膜について説明する。アルミニウム部材表面
の撥水性を向上させるために、アルミニウム部材の表面
に撥水性の塗料を塗布し、焼き付けて撥水皮膜を形成す
る。このときの撥水性の塗料には、平滑面に形成された
撥水皮膜の接触角が90°以上であることが必要であ
る。これは、接触角が90°未満であると、その表面に
微細凹凸を有するベーマイト皮膜上に撥水皮膜を形成し
ても接触角が低下してしまうからである。
【0025】平滑面に形成された撥水皮膜の接触角が9
0°以上となる撥水性の塗料として、フッ素系の塗料、
例えば四フッ化エチレン、四フッ化エチレンとエチレン
の共重合体等を含有する塗料があり、またシリコン系の
撥水塗料又は疎水基であるメチル基(−CH3)を有す
る化合物を含有する塗料、更に下記化学式1に示すパー
フルオロアルキル基を有する撥水化剤等がある。
【0026】
【化1】((−CF2−)n−CF3
【0027】これらの撥水性の塗料のうち、フッ素系の
塗料は高価であり、加えて焼き付け温度が高い。しか
し、パーフルオロアルキル基を有する撥水化剤は、少量
の塗布でも効果を発揮することができ、加えて高温乾燥
を要しないこと等から、本発明における撥水性塗料とし
て使用することが好ましい。
【0028】撥水皮膜量:0.1乃至10mg/dm2 また、撥水皮膜についてその皮膜量が0.1mg/dm
2未満であると、ベーマイト皮膜を十分に被覆すること
ができず、部分的に撥水皮膜で被覆されないベーマイト
皮膜が存在するため、アルミニウム部材の表面に撥水性
が不十分な部分が存在してしまう。一方、皮膜量が10
mg/dm2を超えると、撥水皮膜の膜厚が厚くなりす
ぎ、ベーマイト皮膜の微細凹凸が撥水皮膜で埋められて
しまう。このため、ベーマイト皮膜の微細凹凸の効果が
低減し、アルミニウム部材の表面では高接触角を得るこ
とができない。従って、撥水皮膜量は0.1乃至10m
g/dm2とする。
【0029】次に、アルミニウム基材表面を粗面化する
場合のアルミニウム基材及び撥水皮膜について説明す
る。上述のベーマイト皮膜及び撥水皮膜を平滑な表面の
アルミニウム基材上に形成しても良好な撥水性を得るこ
とはできるが、ベーマイト皮膜の凹凸が小さいため、撥
水皮膜に塗布ムラが生じた場合、その部分の撥水性が不
十分となってしまう。
【0030】そこで、本発明においては、アルミニウム
基材の表面を予め粗面化し、ベーマイト皮膜の微細凹凸
に加え前記基材表面の大きな凹凸により、ベーマイト皮
膜の微細凹凸のみの場合に比べて、より一層優れた撥水
性及び着霜防止性を得ることができ、更に撥水皮膜の膜
厚が撥水性及び着霜防止性に与える影響を低減して、ア
ルミニウム部材の表面において安定した撥水性を得るこ
とができる。
【0031】アルミニウム基材表面の平均表面粗さ:
0.2μm以上 アルミニウム基材の表面に粗面化処理を施す場合には、
その表面粗さの平均値を0.2μm以上とする必要があ
る。平均表面粗さが0.2μm未満であると、アルミニ
ウム部材における凹凸がベーマイト皮膜の微細凹凸によ
るもののみの場合と同程度の撥水性を得ることはできる
が、撥水皮膜の皮膜量が10mg/dm2を超える場合
にアルミニウム部材の表面に撥水性が低下する部分が存
在してしまう。従って、アルミニウム基材表面の平均表
面粗さは0.2μm以上とする。
【0032】アルミニウム基材の表面を粗面化する方法
としては、ナイロンブラシに研磨砂をかけて研磨した
り、ステンレスブラシを高速回転させて研磨するブラシ
研磨、又は高速で砂を吹き付けて粗面化するショットブ
ラストがある。また、硝酸又はカセイソーダ水溶液にア
ルミニウム基材を浸漬して、その基材表面に溶解反応に
よって凹凸を形成する方法もある。
【0033】硝酸は濃度:5%以上、温度:40℃以上
の高温でアルミニウム基材を浸漬することが好ましい。
カセイソーダは濃度:2%以上、温度:室温程度でアル
ミニウム基材を浸漬することによって粗面化することが
できる。
【0034】アルミニウム基材の表面が粗面化されてい
る場合の撥水皮膜の皮膜量:0.1乃至20mg/dm
2 アルミニウム基材の表面を粗面化して、その表面にベー
マイト皮膜を形成した後には、平滑面に塗布された場合
に接触角が90°以上である撥水皮膜を前記ベーマイト
皮膜の表面に形成する。この撥水皮膜の皮膜量が0.1
mg/dm2未満であると、ベーマイト皮膜を十分に被
覆することができず、アルミニウム部材の表面に撥水性
が不十分な部分が存在してしまう。一方、皮膜量が20
mg/dm2を超えると、アルミニウム基材の表面が粗
面化されていない場合と同様に、ベーマイト皮膜の微細
凹凸が撥水皮膜で埋められてしまう。このため、ベーマ
イト皮膜の微細凹凸の効果が低減し、アルミニウム部材
の表面では撥水性及び着霜防止性を向上させることがで
きない。従って、撥水皮膜量は0.1乃至20mg/d
2とする。
【0035】以上のように、本発明においては、アルミ
ニウム基材の表面に所定のベーマイト皮膜及び撥水皮膜
を形成するので、アルミニウム部材の表面では水滴の接
触角が150°を超え、前記アルミニウム部材の表面に
付着した水滴は容易に転落することができる。また、氷
点下においても大気中の水分が凝縮しても直ちに部材表
面で氷結してしまうことはない。これは、表面の接触角
が高く、また表面の凹凸が多いため、部材表面と凝縮水
の水滴との接触面積が小さく、凝縮水の潜熱が部材側へ
逃げずに維持されるためであると考えられる。
【0036】なお、本発明に係るアルミニウム部材は主
として熱交換器用のフィン材として好適ではあるが、熱
交換器以外の用途で着霜防止又は水はじきを必要とする
部材であれば適用可能である。
【0037】
【実施例】以下、本発明の実施例について、本発明の特
許請求の範囲から外れる比較例と比較して説明する。
【0038】本実施例においては、アルミニウム板(J
IS 1100H26、縦×横:10cm×20cm、
板厚:0.12mm)の表面に粗面化処理を施した後、
このアルミニウム板を温度が95℃以上のイオン交換水
に浸漬してベーマイト皮膜を形成した。その後、フッ素
系撥水剤又はシリコン系撥水剤(平滑面塗装時の接触角
はいずれも約120°)を種々の皮膜量で塗装した。本
実施例において使用した撥水化剤を下記表1に示す。
【0039】
【表1】
【0040】前述のアルミニウム板に施した粗面化処
理、そのときの平均表面粗さ、使用した撥水化剤及び撥
水皮膜量について下記表2に示す。
【0041】なお、比較例No1については、ポリアク
リル酸:ケイ酸ソーダ4号が1:4の混合浴にて、粗面
化処理が施されていないアルミニウム板にSiO2量で
200mg/m2となるように塗装した。また、比較例
No2については、アクリル系撥水プライマーKP94
01を粗面化処理が施されていないアルミニウム板に膜
厚を1μmとして塗装した。比較例1及び2の塗装は、
バーコーターにより200℃の温度で1分間焼き付け塗
装した。
【0042】
【表2】
【0043】上述のような処理を施したアルミニウム板
について接触角、転落角及び着霜時間を測定した。その
結果を下記表3に示す。
【0044】ここで転落角とは、図2に示すように、部
材表面2に水滴1が付着している場合に、この部材の端
部を支点として水平面と部材表面2とのなす角度を次第
に大きくし水滴が落下するときの角度θ2をいう。
【0045】なお、接触角及び転落角については、前記
アルミニウム板の表面に0.01ミリリットルの水滴を
滴下して、接触角及び転落角を測定した。
【0046】また、着霜時間は次のようにして測定し
た。図3は、着霜時間を測定するために使用した試験装
置を示す模式図である。この試験装置には、冷媒を貯蔵
する冷水タンク11が設けられている。この冷水タンク
11には循環ポンプ12が連結されており、この循環ポ
ンプ12が配管14aを介してアルミニウム容器13に
冷媒を供給している。そして、アルミニウム容器13か
ら流出した冷媒は配管14bを介して冷水タンク11に
流入する。
【0047】このような試験装置を使用し、上述のアル
ミニウム板の供試板10をその処理面が外側となるよう
にアルミニウム容器13の外面に張り付けた。そして、
冷媒の温度を−10℃に保持しつつアルミニウム容器1
3に冷媒を供給した。このときの雰囲気は、湿度計の乾
球温度及び湿球温度を夫々2℃及び1℃とした。
【0048】このようにして供試板10を冷却し、冷却
開始から供試板10の全面が霜で覆われるまでの時間を
測定した。
【0049】
【表3】
【0050】上記表3に示すように、実施例No1〜6
については、いずれも接触角が150°以上、転落角が
35°以下と従来の撥水塗料を塗装した場合に比べて撥
水性が優れていることがわかる。また、着霜防止性につ
いてもアルミニウム板の表面が完全に霜で覆われるまで
の時間がいずれも90分以上と長く、本発明に係るアル
ミニウム部材が高い着霜防止効果を有することがわか
る。
【0051】一方、比較例No1については、アルミニ
ウム板に親水性処理を施したものであり、冷媒を通流
後、短時間でアルミニウム板の表面が霜で覆われてしま
った。
【0052】比較例No2については、接触角が80°
レベルの撥水性塗料によって皮膜が形成されたものであ
るため、水滴が落下せず、また着霜防止効果も小さかっ
た。
【0053】比較例No3については、ベーマイト皮膜
の厚さが所定範囲より小さく、また比較例No4につい
ては、撥水皮膜の厚さが所定範囲より小さい。このた
め、接触角が実施例に比べて劣っており、水滴も落下し
なかった。また、着霜時間については、比較例No1及
び2に比べて若干長くなったものの、実施例と比べると
かなり時間が短く、着霜防止効果を得ることができなか
った。
【0054】比較例No5については、アルミニウム板
にブラシ研磨による粗面化処理を施した後、ベーマイト
処理を施したが、ブラシ研磨による粗面化後の平均表面
粗さが0.2μm以下で、撥水皮膜が厚い場合であり、
接触角が実施例に比べて小さくなってしまった。
【0055】比較例No6については、ブラシ研磨によ
ってアルミニウム板の表面を粗面化した後、ベーマイト
処理を施した場合であり、撥水皮膜量が所定範囲より小
さい。このため、接触角が実施例に比べて劣っており、
水滴も落下しなかった。また着霜時間についても実施例
に比べてかなり時間が短かった。
【0056】比較例No7については、比較例No6と
同様にブラシ研磨によってアルミニウム板の表面を粗面
化した後、ベーマイト処理を施した場合であり、撥水皮
膜量が所定範囲より大きい。このため、比較例No6と
同様に撥水性及び着霜時間が実施例に比べて劣ってい
た。
【0057】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
アルミニウム基材の表面に所定のベーマイト皮膜及び撥
水皮膜を形成するので、表面における撥水性が優れ、霜
の発生を大幅に抑制できるアルミニウム部材を製造する
ことができる。このため、冬期においてもルームエアコ
ン等は除霜運転等による熱交換性能が休止することな
く、良好な熱交換性能を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】接触角を示す模式図である。
【図2】転落角を示す模式図である。
【図3】着霜時間を測定するために使用した試験装置を
示す模式図である。
【符号の説明】
1;水滴 2;部材表面 10;供試板(アルミニウム板) 11;冷水タンク 12;循環ポンプ 13;アルミニウム容器 14a,14b;配管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B05D 7/24 302 B05D 7/24 302Y F25B 39/00 F25B 39/00 P (72)発明者 桜井 真紀 兵庫県神戸市西区高塚台1丁目5番5号 株式会社神戸製鋼所神戸総合技術研究所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム基材の表面に形成され厚さ
    が0.1μm以上のベーマイト皮膜と、平滑面に塗布さ
    れた場合に接触角が90°以上であるフッ素系又はシリ
    コン系の撥水性塗料を、前記皮膜の表面に0.1乃至1
    0mg/dm2塗布して形成される撥水皮膜とを有する
    ことを特徴とする熱交換器用アルミニウム部材。
  2. 【請求項2】 平均表面粗さが0.2μm以上のアルミ
    ニウム基材の表面に形成され厚さが0.1μm以上のベ
    ーマイト皮膜と、平滑面に塗布された場合に接触角が9
    0°以上であるフッ素系又はシリコン系の撥水性塗料
    を、前記皮膜の表面に0.1乃至20mg/dm2塗布
    して形成される撥水皮膜とを有することを特徴とする熱
    交換器用アルミニウム部材。
  3. 【請求項3】 アルミニウム基材の表面に厚さが0.1
    μm以上のベーマイト皮膜を形成する工程と、平滑面に
    塗布された場合に接触角が90°以上であるフッ素系又
    はシリコン系の撥水性塗料を、前記皮膜の表面に0.1
    乃至10mg/dm2塗布して撥水皮膜を形成する工程
    とを有することを特徴とする熱交換器用アルミニウム部
    材の製造方法。
  4. 【請求項4】 アルミニウム基材の表面の平均表面粗さ
    を0.2μm以上に粗面化する粗面化工程と、前記基材
    表面に厚さが0.1μm以上のベーマイト皮膜を形成す
    る工程と、前記皮膜の表面に平滑面に塗布された場合に
    接触角が90°以上であるフッ素系又はシリコン系の撥
    水性塗料を、前記皮膜の表面に0.1乃至20mg/d
    2塗布して撥水皮膜を形成する工程とを有することを
    特徴とする熱交換器用アルミニウム部材の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記粗面化工程は、ブラシによる研磨処
    理又はカセイソーダ若しくは硝酸水溶液による溶解処理
    であることを特徴とする請求項4に記載の熱交換器用ア
    ルミニウム部材の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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