JP2001008404A - 小型モータとその製造方法 - Google Patents

小型モータとその製造方法

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JP2001008404A
JP2001008404A JP11168446A JP16844699A JP2001008404A JP 2001008404 A JP2001008404 A JP 2001008404A JP 11168446 A JP11168446 A JP 11168446A JP 16844699 A JP16844699 A JP 16844699A JP 2001008404 A JP2001008404 A JP 2001008404A
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Japan
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motor
plastic flow
bearing unit
stator core
bearing housing
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JP11168446A
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Seiichiro Terajima
精一郎 寺島
Koji Harada
幸治 原田
Katsutoshi Arai
勝敏 新居
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】プレス加工した部材を高精度且つ強固に結合し
た複合部品を使用して安価に構成することができる小型
モータとその製造方法を提供する。 【解決手段】軸受ハウジング1に対するプレス打ち抜き
加工したモータ基板8およびステータコア13の結合
を、軸受ハウジングにモータ基板およびステータコアを
嵌合して該軸受ハウジングを押圧して塑性流動させるこ
とにより嵌合突き合わせ面に圧迫力を発生する塑性流動
結合方法により実現する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、小型モータとその
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】CDーROM装置やDVD−RAM装置
やHDD装置のディスク(記録媒体)駆動用,レーザビ
ームプリンタの回転ミラー駆動用等に用いられる高速精
密回転の小型モータ用軸受ユニットとしては、従来は、
玉軸受が多く実用されてきた。玉軸受は、性能的には満
足できる回転要素を提供することができる。
【0003】一方において、合成油を潤滑剤としたすべ
り軸受が使用されるようになってきた。具体的には、例
えばHDD装置において、特開平7ー279961号公
報に記載されたように、動圧型すべり軸受を搭載して高
速かつ回転精度の高いモータが提案されている。
【0004】また、CDーROM装置に用いられるCD
ディスク駆動用モータでは、毎分500回転の低速回転
から8000回転といった高速回転で動作するすべり軸
受を内蔵したディスク駆動用モータみられる。以下、そ
の代表的な一例として、CDーROM装置に適用されて
いる従来のディスク駆動用モータについて説明する(特
開平9−303398号公報参照)。
【0005】図15〜図18は、従来のディスク駆動用
モータとその構成部品の結合方法を例示する縦断側面図
である。
【0006】図15はデスクトップタイプ機器用のモー
タの構造を示し、図16は、薄型化したノートタイプ機
器用のモータの構造を示している。両者は、静止側の軸
受部等の構造面での相違は少なく、回転側のディスクの
クランプ部分が大きく相違する。図17は、従来の構成
部品結合方法の代表例としてスピンかしめ結合方法を示
し、図18は、8枚刃断続かしめ結合方法(以下、菊か
しめ結合方法という)を示している。
【0007】図15において、ステータ部に設置される
軸受ユニットは、一端が開放され、他端がスラスト軸受
104を内蔵したスラスト軸受カバー105をスピンか
しめ方法により固定して密閉した有底の軸受ハウジング
101に所定の焼結密度をもった2個のすべり軸受10
2,103を設置し(場合によっては、中間に軸受より
気孔径の大きいフエルトメタルを設置する)、更に上部
に潤滑油飛散防止用のカバー106を設置し、これに回
転軸110を挿通することにより前記すべり軸受10
2,103よって回転自在に支持するようにしている。
【0008】すべり軸受102,103の内面は、真円
もしくは楕円の円弧状をなしており、予め含浸させた潤
滑油の他に同種の潤滑油を点滴し、潤滑油を隙間空間に
満たすことにより、挿通した回転軸110との間に油膜
を形成して潤滑するようにしている。
【0009】この軸受ユニットは、モータ基板107に
菊かしめ方法により結合して固定し、この基板付き軸受
ユニットに対し、磁界発生用のコイル108を巻回した
ステータコア(以下、Sコアという)109を嵌合して
接着等により固定するようにしている。
【0010】一方、ロータ部は、Sコア109に対向す
るように配置された多極着磁マグネット111とロータ
ケース(以下、Rケースという)112および仲介ディ
スク113,ターンテーブル114によって構成し、仲
介ディスク113およびターンテーブル114の内周と
回転軸110とは圧入により結合し、また、Rケース1
12と仲介ディスク113も圧入により結合することに
より一体的に回転するようにする。
【0011】ターンテーブル114には、クランプマグ
ネット115およびラバーシート116を設置する。ま
た、クランプマグネット115の下側には、バックヨー
ク117を設置している。これらにより、このターンテ
ーブル114にCDを搭載してクランプパー(図示省
略)により所定の磁気力で挟みこむことによりスリップ
を防止し、情報の読み書きを可能にする。
【0012】次に、図16において、ステータ部は、図
15の構成と同様である。軸受ハウジング101とスラ
スト軸受カバー105は、スピンかしめ方法によって結
合し、軸受ハウジング101とモータ基板107は、菊
かしめ方法によって結合している。また、軸受ハウジン
グ101とSコア109との結合は、菊かしめ方法と接
着剤を併用している。
【0013】一方、ロータ部において、Rケース112
と仲介ディスク113の結合は、スピンかしめ方法によ
って行っている。
【0014】なお、ロータ部において、ターンテーブル
は省略し、Rケース112をターンテーブルとして兼用
し、CD固定用にクランパー118を設置し、ばね11
9と爪120を用い、ばね力によってつめ120を半径
方向にスライドさることによりCDをロックするように
している。
【0015】次に、前記部品結合方法について説明す
る。
【0016】スピンかしめ方法による軸受ハウジング1
01とスラスト軸受カバー105の結合は、図17に示
すように、スラスト軸受カバー105を嵌合した軸受ハ
ウジング101をワーク受け台201に載置し、先端を
5〜15°程度傾けた平面を持つ円筒状の押しブロック
202を回転させながら軸受ハウジング101に宛てが
い、500N〜1000Nの荷重でプレスすることによ
り軸受ハウジング101を変形させて実現する。
【0017】また、菊かしめ方法による軸受ハウジング
101とモータ基板107の結合は、図18に示すよう
に、モータ基板107を嵌合した軸受ハウジング101
をワーク受け台203に載置し、幅0.8〜1.2mm
の押し刃204aを円周上の8箇所に等配した金型パン
チ204を軸受ハウジング101の結合部に宛てがい、
上方から3000N〜3500Nの荷重でプレスするこ
とにより実現する。
【0018】何れの結合方法においても、ストロークの
下止点に注意し、ストッパーを設け、過剰荷重によるワ
ークへのトラブルを避ける配慮が必要である。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】情報記録媒体を駆動す
る精密回転駆動用モータは、高速性や回転性能の他に低
コストで量産性に優れた構成であることが要求される。
【0020】高速性に対しては、含油軸受に特殊加工工
程を加えて動圧発生用の浅い溝を設けたグルーブ軸受が
提案され、一部に採用されている。このグルーブ軸受
は、高速性や軸振れ精度等の性能面で優れた軸受である
が、量産性に欠ける課題をかかえており、十分なコスト
低減を実現することが困難である。
【0021】図15および図16に示したように、軸受
に焼結材を用い、予め焼結軸受に含浸した油に加えて余
剰空間に潤滑油を滴下し、内径形状を非真円形状の動圧
型の軸受形状にすることにより、グルーブ軸受に迫る高
い回転性能の小型モータを実現し、高性能と共に量産性
と低コスト化の両立化を図ってきた。しかし、新たに、
次のような課題を解決する必要性が発生した。
【0022】(1)主要構成部品であるモータ基板、S
コア、Rケース等のプレス加工品に対して、軸受ハウジ
ングとの間の嵌合隙間は約0.02〜0.1mm程度を
許容することが要求されることから、従来の結合方法で
は、軸受ハウジングとの隙間の偏りを修正する機能を持
たせることができない。従って、結合精度に限界があ
り、高精度化および高剛性化に不利となっている。
【0023】(2)軸受ハウジングの従来の結合構造で
は、狭いスペースの中で薄く尖らせた複雑な形状のかし
め専用の押し刃を必要とし、このために、押し刃のNC
加工工数がかかり、小型化の障害になり、コスト削減が
困難となっていた。
【0024】(3)軸受ユニットは、焼結材は潤滑油を
含浸して軸受として用い、真鍮製の軸受ハウジングに圧
入して固定していた。従って、構造が複雑で、部品点数
が多く、低コスト化と小型化の障害になっていた。
【0025】(4)スピンかしめ方法や菊かしめ方法に
よる部材の結合は、大きな隙間を許容する対象物に対し
て極めて有利で簡便な結合方法であるが、微視的に掘り
下げて見ると、結合力を負担する部位に破壊ないし破損
にいたる強制加工領域が含まれており、材料強度を越え
た過剰な強制加工部位を含んでいる。材料の塑性特性を
活かし、過剰な破壊ないし破断による強制加工領域をな
くした、小型化,薄型化,低コスト化,少資源化のため
部材結合手段が望まれている。
【0026】本発明の目的は、プレス加工した部材を高
精度且つ強固に結合した複合部品を使用して安価に構成
することができる小型モータとその製造方法を提供する
ことにある。
【0027】
【課題を解決するための手段】本発明は、回転軸を回転
自在に支持する軸受を装着した軸受ユニットにコイルが
巻かれたステータコアとモータ基板を結合したステータ
部と、マグネットを装着したロータケースを回転軸に一
体的に回転するように結合したロータ部とを備えた小型
モータにおいて、前記軸受ユニットに対するモータ基板
およびステータコアの結合を、軸受ユニットにモータ基
板およびステータコアを嵌合して該軸受ユニットを押圧
して塑性流動させることにより嵌合突き合わせ面に圧迫
力を発生させた塑性流動結合部を含む結合により実現し
たものであることを特徴とする。
【0028】また、本発明は、回転軸を回転自在に支持
する軸受ユニットにコイルが巻かれたステータコアとモ
ータ基板を結合したステータ部と、マグネットを装着し
たロータケースを回転軸に一体的に回転するように結合
したロータ部とを備えた小型モータにおいて、前記軸受
ユニットは、回転軸を指示する軸受部とモータ基板およ
びステータコアを結合するハウジング部を焼結部材によ
って一体的に形成し、この軸受ユニットに対するモータ
基板およびステータコアの結合は、ハウジング部にモー
タ基板およびステータコアを嵌合して該ハウジング部を
押圧して塑性流動させることにより嵌合突き合わせ面に
圧迫力を発生させた塑性流動結合部を含む結合により実
現したものであることを特徴とする。
【0029】そして、前記ステータコアは、プレス打ち
抜き加工した鋼板を積層して構成し、前記モータ基板
は、結合穴をプレス打ち抜き加工した鋼板によって構成
したものであることを特徴とする。
【0030】また、前記ハウジング部の押圧面には傾斜
面を有する押圧溝を形成したことを特徴とする。
【0031】また、前記ロータ部は、ロータケースを回
転軸に塑性流動結合方法により結合したものであること
を特徴とする。
【0032】また、本発明は、回転軸を回転自在に支持
する軸受ユニットにコイルが巻かれたステータコアとモ
ータ基板を結合したステータ部と、マグネットを装着し
たロータケースを回転軸に一体的に回転するように結合
したロータ部とを備えた小型モータの製造方法におい
て、前記軸受ユニットに対するモータ基板およびステー
タコアの結合は、軸受ユニットにモータ基板を嵌合して
該軸受ユニットを押圧して塑性流動させることにより嵌
合突き合わせ面に圧迫力を発生する塑性流動結合方法に
より実現し、その後、軸受ユニットにステータロータを
嵌合して該軸受ユニットを押圧して塑性流動させること
により嵌合突き合わせ面に圧迫力を発生する塑性流動結
合方法により実現することを特徴とする。
【0033】そして、前記軸受ユニットの塑性流動は、
軸受ユニットに形成した押圧溝の傾斜面を金型パンチで
押圧することにより発生させることを特徴とする。
【0034】また、前記金型パンチの刃先の先端面は勾
配が異なる複数の傾斜面を備えたことを特徴とする。
【0035】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態について説明する。
【0036】先ず、第1の実施の形態について説明す
る。
【0037】図1は、本発明の第1の実施の形態を示す
小型モータの縦断側面図である。この小型モータは、ノ
ートタイプのCD−ROM装置やDVD−RAM装置の
記録媒体(ディスク)駆動用に使用するために、薄く偏
平型に構成している。
【0038】この小型モータの主要構成部は、軸受ユニ
ットを中心としたステータ部と回転軸を中心としたロー
タ部からなっている。
【0039】ステータ部に配置される軸受ユニットは、
真鍮等の金属製の両端開口の筒状の軸受ハウジング1の
中に6〜7g/cm3の焼結密度をもった焼結材で形成
した2個のすべり軸受2,3を圧入して設置し(図示説
明は省略するが、場合によっては、2つのすべり軸受
2,3の間に該軸受よりも焼結密度の低いフエルトメタ
ルを設置する)、軸受ハウジング1の下端開口部はスラ
スト軸受4を備えたスラスト軸受カバー5を結合して密
閉した構成である。軸受ハウジング1の下端面へのスラ
スト軸受カバー5の結合は、この軸受ハウジング1の下
端面に形成した軸受カバー嵌合凹部1aにスラスト軸受
カバー5を嵌合し、軸受ハウジング1を押圧して塑性流
動させることよりスラスト軸受カバー5の外周面を圧迫
する塑性流動結合方法により実現する。
【0040】軸受ハウジング1の上端開口部には、環状
の潤滑油飛散防止用カバー6を設置(点滴潤滑油が少量
のときは省略する場合がある)し、回転軸7は、この潤
滑油飛散防止カバー6を挿通させて前記すべり軸受2,
3で支持する。
【0041】すべり軸受2,3の内面形状は、真円もし
くは楕円形状の円弧状をなしており、予め含浸させた潤
滑油の他に同種の潤滑油を点滴により軸受ハウジング1
内の隙間空間に滴下し、挿通した回転軸7との間に潤滑
油膜を形成させる構成である。
【0042】モータ基板8は、プレス打ち抜き加工した
鋼板によって構成し、ロータの磁極位置を検出するため
のホール素子9やコイル接続端子10を搭載したフレキ
シブル配線基板11を重合状態に取り付けて設ける。
【0043】このモータ基板8に前記軸受ハウジング1
を結合して基板付き軸受ユニットを構成する。軸受ハウ
ジング1とモータ基板8の結合は、モータ基板8に形成
した軸受ハウジング結合穴8aに軸受ハウジング1の下
端外周を嵌合し、この軸受ハウジング1を押圧して塑性
流動させることにより軸受ハウジング結合穴8aの内周
面を圧迫する塑性流動結合方法により実現する。
【0044】この基板付き軸受ユニットの軸受ハウジン
グ1に対して、磁界発生用のコイル12が巻回されたス
テータコア(以下、Sコアという)13を嵌合し、軸受
ハウジング1を押圧する塑性流動結合方法により結合す
る。そして、コイル12は、フレキシブル配線基板11
のコイル接続端子10に半田付けしてモータのステータ
部として機能するように構成する。
【0045】一方、ロータ部においては、回転軸7に真
鍮製の仲介ディスク14を圧入して取り付け、この仲介
ディスク14の外周にプレス加工したロータケース(以
下、Rケースという)15の結合穴15aを嵌合して仲
介ディスク15を押圧する塑性流動結合方法により結合
する。
【0046】Rケース15は、Sコア13に対向するよ
うに配置した多極着磁マグネット16を軽圧入および接
着により固着して保持する。また、Rケース15の上面
には、ラバーシート17を設置して、記録ディスク搭載
用ターンテーブルの機能を兼ねるようにしている。
【0047】仲介ディスク14上には、クランパー18
を設置し、このクランパー18に設けた爪19とスプリ
ング20によってディスク(記録媒体 図示省略)をロ
ックするようにする。
【0048】図2は、この小型モータの組み立て工程の
概要を示す工程図である。この実施の形態における特徴
部分である塑性流動結合方法による結合工程は、2重枠
で表示している。これらの各結合工程は、総てに画一的
に塑性流動結合方法を適用する必要はなく、部品仕様,
部品組み立て条件,モータ使用条件,使用目的,コスト
等に応じて選択的に適用し、その一部に従来のスピンか
しめや菊かしめのような結合方法を採用するようにして
も良い。
【0049】小型モータは、その構成部品の多くをプレ
ス加工によって切断および曲げ加工して形成しており、
また、薄肉部品も存在する。従って、このような部品を
高精度且つ高強度に結合して小型モータを実現するため
には、プレス加工面や薄肉面を高精度且つ高強度に結合
することができるように塑性流動結合方法を適用するこ
とが必要である。
【0050】ここで、図3を参照して、塑性流動結合方
法による結合について説明する。ここでは、プレスして
塑性流動を発生させる側の部材を結合部材、塑性流動に
よって結合する相手部材を被結合部材として説明する。
【0051】塑性流動結合方法は、「トレスカの変形条
件」を根拠にして説明することができる。図3の(a)
において、部材301は、トレスカの変形条件により、
最大主応力σ1と最小主応力の差が変形抵抗(Kf)を
超えた場合に変形が始まり、その変形は最小主応力の方
向に一致する。この変形を利用して結合力を生成する。
一般的に、σ1はKfの4倍〜6倍の応力が必要となっ
てくる。すなわち、結合材の荷重を与える面積をSmm
2とするとき、P=σ1×Sの荷重を受けたときに塑性
変形が進み、円周方向にσ2、半径方向にσ3の降伏応
力が発生し、それぞれにおいて塑性変形を開始するが、
半径方向に変形が進展することをあらわしている。
【0052】図3の(b)に示す三部材構成において
は、被結合部材303,304に突き合わせ面に開口す
る結合溝303a,304aを設けることにより、半径
方向に開放しているこの結合溝303a,304aに向
かって結合部材302の塑性流動が進展して該溝内にし
っかりと充填することにより面圧の圧迫力と充填した材
料の剪断力により結合力は強くなる。しかし、薄板や材
料硬度によって結合溝が加工できない部材においても、
塑性流動結合の利点を活かし、従来の結合性能を凌ぐ高
精度および高強度の結合が可能となる。
【0053】図3の(c)は、この実施の形態において
実施する二部材構成の例を示している。三部材構成と同
様に、可能な限り被結合部材305の外周,内周,下
面,上面を拘束し、結合部材306と被結合部材305
の浮き,そり,変形等を発生させないようにして荷重の
分散を防ぐようにして、結合材306の上面を金型パン
チ401で押圧するようにする。また、結合溝を形成す
ることができない部材では、プレス加工面の活用や回り
止め用カット溝や面圧発生面の増強等により塑性流動結
合の利点を活かすように工夫する。
【0054】このような塑性流動結合方法における塑性
流動特性および強度に影響する構造的因子として、結合
部材の変形能(引張強さ,伸び,降伏点等)や被結合部
材の硬度や両部材間の隙間等がある。この実施の形態に
おける適用例の特徴点は、次の通りである。
【0055】(1)結合部材の片側(反被結合部材側)
には開放部分がない。 (2)プレス加工部材の突き合わせ面には隙間の発生を
許容せざるを得ない。 (3)被結合材は薄肉部材が主であるために、結合溝の
加工が困難である。また、薄肉部材のプレス加工切断面
を結合対象とするために、塑性流動による圧力を受ける
内周面(一般的に、だれ部,剪断面,破断面を持つ)が
粗面である。 (4)結合部材として、溶材に比較して伸びの低い焼結
材を使用する。
【0056】これらの特徴により発生する塑性流動結合
における課題を解決することによって、小型モータの構
成部品の結合に塑性流動結合方法を適用することが可能
となる。
【0057】図3における(d),(e)は、前記課題
を解決して後述する強度が得られることを確認した実験
例を示している。
【0058】特徴点(1)に起因して結合部材307に
おいて被結合材308と反対の側に進展する材料の流れ
を抑制するために、金型パンチ402の刃先402aの
先端面形状に勾配を設ける。この勾配の角度θは、材料
の特性に応じて設定する。また、特徴点(2)に関連さ
せて、図3(e)に示すように、結合部材309の流動
によって、先ず、被結合部材310との間の突き合わせ
面の隙間Gを均等に埋めるようにするために、結合部材
309の外周縁のパンチ受け面に片勾配の押圧溝309
aを設けておくことにより、金型パンチ403による変
形を被結合材310の側へシフトし易くする等の変形能
を変化させて対処する。
【0059】特徴点(3)に起因する課題に対しては、
金型パンチ402,403の刃先402a,403aの
先端面の勾配形状を曲面や複数勾配にする工夫を施して
対処する。刃先402a,403aの先端面勾配形状,
角度,深さ等は、結合部材の変形能、特に伸びに応じて
設定する。これはまた、金型パンチ押し込みに伴う摩擦
接触抵抗を軽減するためにも役立つ。
【0060】特徴点(4)の焼結材については、伸びが
低いにもかかわらず比較的大きく変形させる必要があ
り、クラックの発生が懸念される。これを回避するため
に、微小曲率をもつ逃げ溝を設けて応力の伝播を遮断す
る。伸びが大きい材料に対しても突き合せ面の隙間Gが
大きいような場合は有効である。このようにすることに
より、焼結材に対しても実用上十分な結合力を発生させ
ることが可能である。
【0061】なお、勾配面同士の噛み合わせ押圧方式と
なる塑性流動結合方法では、アライメント誤差を補正す
る自動調芯機能も発揮する。隙間Gに対して偏心を生じ
させないためには、被結合部材と金型パンチと結合部材
の中心ずれを少なくする(±10μm以下の中心位置決
め精度が望ましい)ことが効果的である。
【0062】図4〜図7は、この実施の形態において実
施する塑性流動結合方法による部品結合工程を示してい
る。金型パンチの抜き勾配,表面の磨き,硬度等に関し
ては既知の事項であるために別途考慮してあるものとし
て説明を省略する。焼結材は伸びが低くて脆い他は真鍮
材に近い変形能をもつ。また、この実施の形態における
結合加工装置は、金型パンチ,ワーク受け台,被結合部
材押さえを備える。被結合部材押さえは、変形抵抗の低
い高質ゴムやプラスチック材で形成し、金型パンチへの
荷重の一部を被結合部材側に加えて被結合部材の浮き上
がりを抑制することによりエラーを防止するようにす
る。
【0063】(1)軸受ハウジングとスラスト軸受カバ
ーの結合 図4は、軸受ハウジング1とスラスト軸受カバー5の塑
性流動結合方法の実施の形態を示している。この結合
は、真鍮製の軸受ハウジング1に対して同質の真鍮製の
スラスト軸受カバー5を結合する方法である。
【0064】軸受ハウジング1およびスラスト軸受カバ
ー5は、真鍮素材をNC加工して製作する。従って、突
き合わせる外周面と内周面の面粗度は良好で、両部材間
の隙間も0μm±5μmとなって軽圧入で嵌合すること
ができる。スラスト軸受カバー5の板厚は、1mmであ
る。
【0065】軸受カバー嵌合凹部1aにスラスト軸受カ
バー5を嵌合した軸受ハウジング1をスラスト軸受カバ
ー5側を上にしてワーク受け台501に載置する。先端
面が幅150μmで勾配5°で内側(スラスト軸受カバ
ー5側)が後退する環状の刃先404aを備えた円筒状
の金型パンチ404を使用し、この金型パンチ404に
4000N〜4500Nの荷重を与えて下降させ、スラ
スト軸受カバー5を被結合部材押さえ601で押さえな
がら、刃先404aを軸受ハウジング1におけるスラス
ト軸受カバー嵌合部の周囲に200μmの深さまで押し
込むことにより、軸受ハウジング1の塑性流動によって
スラスト軸受カバー5の外周を圧迫して、100N以上
の抜去力となるような力でスラスト軸受カバー5を軸受
ハウジング1に結合することができた。また、シール性
も確保することができた。
【0066】なお、予め、ワークの中心とパンチの中心
の偏差が±10μm以下になるように調整した。
【0067】このような塑性流動結合は、従来のかしめ
結合におけるように、薄く尖らせたかしめ刃の形状加工
が不要となり、小型化および少スペース化に有利であ
る。
【0068】(2)軸受ハウジングとモータ基板の結合 図5は、軸受ハウジング1とモータ基板8の塑性流動結
合方法の実施の形態を示している。
【0069】軸受ハウジング1は、前述したようにNC
加工された真鍮材であり、モータ基板8は、外周と軸受
ハウジング結合穴8aをプレス打ち抜き加工した冷間圧
延鋼板材(SPCC材)である。従って、モータ基板8
の軸受ハウジング結合穴8aに軸受ハウジング8を嵌合
すると、突き合わせ面には、部品公差範囲により、30
〜65μmの隙間Gが発生する。また、モータ基板8の
軸受ハウジング結合穴8aの内周面(突き合わせ面)の
形状は、プレ加工時の条件から、だれ部、剪断面、破断
面へと続き、ばりが発生して終わる。また、この軸受ハ
ウジング結合穴8aの内周面には、必要に応じて、3箇
所〜6箇所の周り止め用カット溝を等間隔に配置するよ
うに加工することにより、耐回転トルクの向上に効果的
である。
【0070】軸受ハウジング結合穴8aを形成するモー
タ基板8の板厚の中心部に位置する剪断面に対して軸受
ハウジング1の塑性流動成分による面圧を多く発生さ
せ、且つ上面に対しても軸受ハウジング1の真鍮材が流
動して被覆するように、金型パンチ405の環状の刃先
405aの外径を軸受ハウジング結合穴8aの平均径に
合わせて大きめに設定し、刃先405aの先端面の内径
部は100μm以下の曲率の曲面として摩耗等を避ける
ようにする。金型パンチ405の加圧ストロークは、塑
性流動させる軸受ハウジング(真鍮材)1の伸び率が高
いために、十分に深く設定することができる。金型パン
チ405は、刃先405aの幅を250μm、先端面は
10°の勾配で外周側が後退する傾斜面とした。
【0071】そして、軸受ハウジング1をモータ基板8
の軸受ハウジング結合穴8aに嵌合し、この嵌合部を上
側にして軸受ハウジング1をワーク受け台502に載置
する。そして、金型パンチ405を下降させ、被結合部
材押さえ602によってモータ基板8を押さえながら、
刃先405aを5000Nの荷重で軸受ハウジング1の
端面の外周縁に250μmの深さに押し込むことによ
り、軸受ハウジング1を外周方向に塑性流動させて隙間
Gを埋め、更にモータ基板8の突き合わせ面を圧迫し
て、200N以上の抜去力と1N−mの耐回転トルクと
なるような力で両者を結合することができた。
【0072】なお、モータ基板8は、軸受ハウジング結
合穴8aの壁面に3ヶ所の回り止めカット溝を形成した
ものを使用している。また、刃先405aを押し込む軸
受ハウジング1の端面には、刃先406aの先端面形状
に相応させて、内側が後退するような傾斜面を有する環
状の押圧溝1bを形成した。
【0073】(3)軸受ハウジングとSコアの結合 図6は、軸受ハウジング1とSコア13の塑性流動結合
方法の実施の形態を示している。
【0074】Sコア13は、環状にプレス打ち抜き加工
した350μmの板厚の珪素鋼板を積層して構成してい
る。各珪素鋼板の内面(打ち抜き切断面)形状は、前述
したモータ基板8と略同じ形状である。従って、軸受ハ
ウジング1とSコア13を嵌合させると、嵌合突き合わ
せ面間には、30〜65μmの隙間が発生する。
【0075】金型パンチ406の環状の刃先406aの
先端面の形状は、外周側が後退するように25°の勾配
で大きく傾斜させた傾斜面とした。そして、この刃先4
06aを押し込む軸受ハウジング1の端面には、この金
型パンチ406の刃先406aの先端面形状に相応させ
て、内側が後退するような傾斜面を有する環状の押圧溝
1cを形成した。金型パンチ406の刃先406aの外
径寸法は、軸受ハウジング1の外周面とRコア13の内
周面の突き合わせ面間の隙間Gの略中央となるように設
定する。また、金型パンチ406の刃先406aの幅w
を300μmとし、押し込み深さを350μmとする。
【0076】そして、軸受ハウジング1を積層Sコア1
3に嵌合してワーク受け台503に載置し、金型パンチ
406を下降させ、被結合部材押さえ603によってS
コア13を押さえながら刃先406aを5000Nの荷
重で軸受ハウジング1の端面に押し込むことにより、軸
受ハウジング1を外周方向に塑性流動させてSコア13
との嵌合突き合わせ面を圧迫して、100N以上の抜去
力と1N−mの耐回転トルクとなるような力で両者を結
合することができた。
【0077】(4)Rケースと仲介ディスクの結合 図7は、Rケース15と仲介ディスク14の塑性流動結
合方法の実施の形態を示している。
【0078】この結合は、真鍮製の仲介ディスク14と
薄板SPCC材をプレス加工したRケース15であり、
両者の結合突き合わせ面間には30μm〜60μmの隙
間が発生する。そして、仲介ディスク14の塑性流動に
よりRケース15に過剰な圧力をかけると、結合後に、
薄板のRケース15にそりの発生が懸念されるために、
金型パンチ407に与える荷重のバランスが重要であ
る。また、被結合側であるRケース16の結合部は、薄
肉部材であるために、圧力に対抗する断面積が少ない。
【0079】図5に示した軸受ハウジング1とモータ基
板8の結合方法と同様に、塑性流動変形と同時に上側か
らRケース15側に圧力を発生させて薄い板厚のRケー
ス15を挟みこむようにするために、金型パンチ407
の環状の刃先407aの外径をRケース15の結合穴1
5aの平均径に合わせて大きめに設定する。金型パンチ
407の環状の刃先407aの先端面は、幅が250μ
m、外側が後退するような10°の勾配の傾斜面とす
る。また、金型パンチ407を押し込む仲介ディスク1
4面には、刃先407aの先端面形状に相応させて、内
側が後退するような傾斜面を有する環状の押圧溝14a
を形成した。
【0080】そして、仲介ディスク14の外周をRケー
ス15の結合穴15aに嵌合してワーク受け台504に
載置し、金型パンチ407を下降させ、被結合部材押さ
え604によってRケース15を押さえながら、刃先4
07aを5000Nの荷重で250μmの深さに押し込
むことにより、仲介ディスク14の嵌合外周を外側に向
けて塑性流動させてRケース15の結合穴15aの内周
面を圧迫し、100Nの抜去力と0.5N−mの耐回転
力となるように結合した。
【0081】なお、金型パンチ407の環状の刃先40
7aの内径部は、100μm以下の曲面形状にして磨耗
等を避けるようにした。
【0082】次に、第2の実施の形態について説明す
る。
【0083】この実施の形態の小型モータは、図8に示
すように、前述した第1の実施の形態における軸受ハウ
ジングとすべり軸受を該すべり軸受用の焼結材によって
焼結軸受ハウジング21として一体的に焼結して形成す
るものである。この焼結軸受ハウジング21の焼結密度
は、6.2〜6.9g/mm3とした。潤滑油が周囲に
漏出するのを防止するためには、外周部分の焼結密度を
高めるようにする焼結方法または焼結後の加工を施すこ
とが望ましい。その他の構成部品は、第1の実施の形態
と同一である。このようにハウジング部に焼結材を採用
する利点は、成形プロセスを活用することにより、軸受
一体化による生産性向上とコストダウンおよび小型化が
容易になることである。
【0084】不利な点は、ハウジング部を粉末から製作
するために、溶材にくらべて伸びが小さく脆いことであ
る。
【0085】変形能については、焼結密度できまる微小
の空隙を有しているために、初期変形抵抗は小さく作用
するが、変形が進むと真鍮材と略似た特性を示す。
【0086】焼結した焼結軸受ハウジング21には、内
側の軸受部と外側のハウジング部に同じ潤滑油を含浸さ
せる。これは、ハウジング部側に潤滑油が含浸していな
いと潤滑油の持つ吸着力により軸受部の潤滑油成分が外
周側のハウジング部に移動して該軸受部の潤滑油が不足
するのを避けるためである。ハウジング部の塑性流動作
用には悪影響は見られない。
【0087】この実施の形態は、脆い焼結軸受ハウジン
グ21に変形を与え且つ塑性流動を生じさせて結合力を
得るために、焼結軸受ハウジング21を変形し易い形状
に設定することが必要である。更に、大きな変形による
応力の集中とこれによるよるクラックの発生および破損
を防止するための応力遮断溝領域を設け、伸びの少ない
欠点をカバーするようにすることが望ましい。
【0088】(5)焼結軸受ハウジングとスラスト軸受
カバーの結合 図9は、焼結軸受ハウジング21とスラスト軸受カバー
5の塑性流動結合方法の実施の形態を示している。
【0089】焼結軸受ハウジング21の軸受カバー嵌合
凹部21aに真鍮製のスラスト軸受カバー5を嵌合す
る。嵌合突き合わせ面の隙間は、0±5μmで軽圧入が
可能である。
【0090】金型パンチ408は、焼結材特有の焼結密
度(6.2〜6.9g/mm3)による変形抵抗の低下
と伸び率の低下を考慮して、環状の刃先408aは、幅
wを200μm、先端面を内側が後退するような10°
の勾配の傾斜面とした。
【0091】そして、軸受カバー嵌合凹部21aにスラ
スト軸受カバー5を嵌合した焼結軸受ハウジング21を
スラスト軸受カバー5側を上にしてワーク受け台505
に載置する。金型パンチ408に4000Nの荷重を与
えて下降させ、スラスト軸受カバー5を被結合部材押さ
え605で押さえながら、刃先408aを焼結軸受ハウ
ジング21におけるスラスト軸受カバー嵌合部の周囲に
200μmの深さまで押し込むことにより、焼結軸受ハ
ウジング21の塑性流動によってスラスト軸受カバー5
の外周を圧迫して、100N以上の抜去力となるような
力でスラスト軸受カバー5を焼結軸受ハウジング21に
結合することができた。
【0092】(6)焼結軸受ハウジングとモータ基板の
結合 図10は、焼結軸受ハウジング21とモータ基板8の塑
性流動結合方法の実施の形態を示している。
【0093】モータ基板8は、冷間圧延材(SPCC
材)をプレス打ち抜き加工したものであるので、焼結軸
受ハウジング21とモータ基板8の嵌合突き合わせ面間
には、部品公差範囲により、30〜65μmの隙間が発
生する。
【0094】金型パンチ409は、環状の刃先409a
の幅wを300μm、先端面を勾配10°で外側が後退
する傾斜面とし、外径をモータ基板8の軸受ハウジング
結合穴8aの平均径に合わせて大きめに設定し、内径部
は100μm以下の曲面部として磨耗等を避けるように
した。また、焼結軸受ハウジング21の端面の外周縁部
には、刃先409aの先端面形状に相応させて、内側が
後退するような傾斜面を有する環状の押圧溝21bを形
成し、更に、この押圧溝21b内の底面における押圧面
よりも内側に位置させて曲率半径が300〜500μm
の環状の応力弛緩溝21cを設けて応力弛緩領域を形成
した。
【0095】そして、焼結軸受ハウジング21をモータ
基板8の軸受ハウジング結合穴8aに嵌合し、この嵌合
部を上側にして焼結軸受ハウジング21をワーク受け台
506に載置する。そして、金型パンチ409を下降さ
せ、被結合部材押さえ606によってモータ基板8を押
さえながら、刃先409aを5000Nの荷重で軸受ハ
ウジング1の端面の外周縁に250μmの深さに押し込
むことにより、焼結軸受ハウジング21を外周方向に塑
性流動させてモータ基板8の突き合わせ面を圧迫して、
200N以上の抜去力と1N−mの耐回転トルクとなる
ような力で両者を結合することができた。
【0096】モータ基板8の板厚の中心部への焼結軸受
ハウジング21の塑性流動成分による面圧も十分に発生
させることができた。モータ基板8の軸受ハウジング結
合穴8aの内面には、前記実施の形態と同様に、3箇所
の回り止めカット溝を形成した。また、軸受ハウジング
結合穴8aの内面の粗度も面圧があるために結合力の維
持に寄与していると推定することができる。
【0097】また、応力弛緩溝21cは、伸び率の低い
焼結軸受ハウジング21に金型パンチ409の刃先40
9aを押し込んで、隙間を埋め更にモータ基板8の軸受
ハウジング結合穴8aの圧迫するような塑性流動加工に
おいても焼結軸受ハウジング21にクラックが発生しな
いように応力の伝播を緩和することができた。
【0098】(7)焼結軸受ハウジングとSコアの結合 図11は、焼結軸受ハウジング21とSコア13の塑性
流動結合方法の実施の形態を示している。
【0099】Sコア13は、厚さ350μmの珪素鋼板
を環状にプレス打ち抜き加工したものを積層して構成し
ている。そして、このSコア13と焼結軸受ハウジング
21を嵌合すると、嵌合突き合わせ面間には、35〜6
0μmの隙間が発生する。塑性流動結合は、先ず、この
隙間を埋め、次に面圧を生じさせるように焼結軸受ハウ
ジング21を塑性流動させて行う。焼結軸受ハウジング
21の塑性流動は、積層Sコア13の上部狙いで発生さ
せる。
【0100】金型パンチ410の環状の刃先410a
は、幅Wを300μmとし、先端面の形状は、押し込み
深さを多くとるためと、摩擦抵抗を少なくするために、
25°の勾配で外側が後退する傾斜面とした。
【0101】そして、この刃先410aを押し込む焼結
軸受ハウジング21の端面には、この金型パンチ410
の刃先410aの先端面形状に相応させて、内側が後退
するような傾斜面を有する環状の押圧溝21dを形成
し、更に、この押圧溝21d内の底面における押圧面よ
りも内側に位置させて曲率半径が0.3〜0.5mmの
環状の応力弛緩溝21eを設けて応力弛緩領域を形成し
た。
【0102】そして、焼結軸受ハウジング21を積層S
コア13に嵌合してワーク受け台507に載置し、金型
パンチ410を下降させ、被結合部材押さえ607によ
ってSコア13を押さえながら刃先410aを4000
〜5000Nの荷重で焼結軸受ハウジング21の端面に
300μmの深さに押し込むことにより、焼結軸受ハウ
ジング21を外周方向に塑性流動させてSコア13との
嵌合突き合わせ面を圧迫して、100N以上の抜去力と
0.5N−mの耐回転トルクとなるような力で両者を結
合することができた。
【0103】また、応力弛緩溝21eは、伸び率の低い
焼結軸受ハウジング21に金型パンチ410の刃先41
0aを押し込んで、隙間を埋め更にSコア13を圧迫す
るような塑性流動加工においても焼結軸受ハウジング2
1にクラックが発生しないように応力の伝播を緩和する
ことができた。
【0104】次に、第3の実施の形態について説明す
る。
【0105】この実施の形態は、図12に示すように、
塑性流動結合方法の変形である。前述した第1,第2の
実施の形態では、金型パンチの刃先の先端面を単純な1
つの勾配で傾斜した平面とした。(a)に示すように、
刃先411aの先端面の傾斜は、結合部材311に塑性
流動を発生させるσ1の応力に対して、σ1”の応力に
よる塑性流動により被結合部材312との間の隙間Gを
効率的に埋め、次いで、σ1’の応力で塑性流動を起こ
して面圧を効率的に発生させて結合力を確保するように
作用する。
【0106】また、金型パンチの刃先の押し込みに伴う
摩擦抵抗による有効荷重の損失も定性的に懸念される。
そこで、より効率的に摩擦抵抗を低減し、隙間を効率的
に埋めて塑性流動量を多くして面圧の増加を図ることが
望まれる。面圧の増加を図ることにより、対粗面に対し
て「金属間の食い付き」が増加することになって結合力が
強化される。
【0107】このような塑性流動結合は、刃先の先端面
の傾斜を複数の勾配と複数の曲面の組み合わせ形状とす
ることにより、最小主応力の確保と摩擦抵抗による損失
の低減、全荷重量の低減を図り、ワークの座屈荷重以下
で結合部材に塑性流動を確実に発生させることにより、
結合部材の圧迫力と剪断力により結合力を確保すること
ができる。
【0108】そこで、図12の(b)に一例を示すよう
に、金型パンチの刃先412aの先端面の幅方向の中央
部を大きな勾配(25°)とし、内周部を小さな勾配
(10°)と、外周部も更に小さな勾配(5°)とす
る。このような刃先先端面形状にすると、隙間Gを埋
め、更に、被結合材312を挟みこむように作用する面
圧が増加するように結合部材311を塑性流動させるこ
とができる。更に、傾斜面に凹凸を付加するなどの工夫
を施すことにより、半径方向の面圧強化に寄与すること
ができる。脆い材料の結合部材311においては、押圧
溝311aの底面に断面円弧状の応力弛緩溝311bを
設けることにより、結合部材311の塑性流動による応
力の弛緩を行ってクラックの発生を回避することができ
る。
【0109】刃先412aの先端面の傾斜面の勾配の範
囲は、(c)に示すように、刃幅の中央部で±45°以
内、中央部以外では±30°以内が好適である。
【0110】次に、第4の実施の形態について説明す
る。
【0111】この実施の形態は、前述した第2の実施の
形態における仲介ディスクを省略してRケースを回転軸
に塑性流動結合方法により直に結合するようにした構成
である。その他の構成は、第2の実施の形態と同様であ
る。
【0112】図13は、この実施の形態における小型モ
ータの縦断側面図である。Rケース22の中心部は、回
転軸7の外周に届く位置まで伸ばし、回転軸7を嵌合さ
せる回転軸嵌合穴22aを形成する。この回転軸嵌合穴
22aは、プレス打ち抜き面もしくはバーリング加工面
とする。
【0113】図14は、回転軸7とRケース22の塑性
流動結合方法の実施の形態を示している。
【0114】Rケース22は、板厚1mmのSPCC材
をプレス加工して形成し、回転軸7は、直径2mmのS
US420J2材とし、回転軸結合穴22aと回転軸7
の嵌合面の隙間Gが10μm以下となるようにした。
【0115】金型パンチ413は、環状の刃先413a
の幅を200μm、先端面の勾配を0〜3°に形成し
た。
【0116】そして、Rケース22の回転軸結合穴22
aに回転軸7を嵌合してワーク受け台508に載置し、
金型パンチ413を下降させ、結合部材押さえ608に
よってRケース22を押さえながら、10000〜15
000N程度の荷重で刃先413aをRケース22の回
転軸結合穴22aの周囲に約200μmの深さに押し込
むことにより、Rケース22の回転軸結合穴部に回転軸
7を圧迫するような塑性流動を発生させ、Rケース22
と回転軸7を50N以上の抜去力と0.5N−mの耐回
転トルクとなるように結合することができた。また、R
ケース22の面振れは、30μm以下であった。耐回転
トルクは、回転軸7の結合部分に僅かな溝(図示省略)
を設けることにより強化することができる。
【0117】このような回転軸とRケースの塑性流動結
合方法は、第1の実施の形態におけるロータ部に適用す
ることもできる。
【0118】以上のような各実施の形態により構成した
小型モータは、CD−ROM装置やDVD−RAM装置
やHDD装置の記録媒体(ディスク)駆動用に好適であ
るが、他の情報機器やその他の機器における各種の駆動
用モータとしての利用価値も大きい。
【0119】
【発明の効果】本発明は、軸受ユニットに対するモータ
基板およびステータコアの結合を、軸受ハウジングにモ
ータ基板およびステータコアを嵌合して該軸受ハウジン
グを押圧して塑性流動させることにより嵌合突き合わせ
面に圧迫力を発生する塑性流動結合方法により実現する
ようにしたことにより、プレス加工した部材を高精度且
つ強固に結合した複合部品によって小型モータを安価に
製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す小型モータ縦
断側面図である。
【図2】本発明の小型モータの組み立て工程を示す工程
図である。
【図3】塑性流動結合方法の説明図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態の小型モータにおけ
る軸受ハウジングとスラスト軸受カバーの塑性流動結合
方法を示す縦断側面図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態の小型モータにおけ
る軸受ハウジングとモータ基板の塑性流動結合方法を示
す縦断側面図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態の小型モータにおけ
る軸受ハウジングとステータコアの塑性流動結合方法を
示す縦断側面図である。
【図7】本発明の第1の実施の形態の小型モータにおけ
るロータケースと仲介ディスクの塑性流動結合方法を示
す縦断側面図である。
【図8】本発明の第2の実施の形態を示す小型モータ縦
断側面図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態の小型モータにおけ
る焼結軸受ハウジングとスラスト軸受カバーの塑性流動
結合方法を示す縦断側面図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態の小型モータにお
ける焼結軸受ハウジングとモータ基板の塑性流動結合方
法を示す縦断側面図である。
【図11】本発明の第2の実施の形態の小型モータにお
ける焼結軸受ハウジングとステータコアの塑性流動結合
方法を示す縦断側面図である。
【図12】本発明の第3の実施の形態における塑性流動
結合方法の説明図である。
【図13】本発明の第4の実施の形態を示す小型モータ
縦断側面図である。
【図14】本発明の第4の実施の形態の小型モータにお
ける回転軸とロータケースの塑性流動結合方法を示す縦
断側面図である。
【図15】従来のディスクトップタイプ機器用のデイス
ク駆動用モータの縦断側面図である。
【図16】従来のノートタイプ機器用のデイスク駆動用
モータの縦断側面図である。
【図17】スピンかしめ結合方法を示す縦断側面図であ
る。
【図18】菊かしめ結合方法を示す縦断側面図である。
【符号の説明】
1…軸受ハウジング、2,3…すべり軸受、5…スラス
ト軸受カバー、7…回転軸、8…モータ基板、13…ス
テータコア、14…仲介ディスク、15…ロータケー
ス。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 新居 勝敏 茨城県土浦市神立町502番地 株式会社日 立製作所機械研究所内 Fターム(参考) 5H605 AA07 AA08 BB05 BB14 BB19 CC03 CC04 CC05 CC10 EB02 EB06 FF01 GG04 GG12 GG20 5H607 BB01 BB14 BB25 DD01 DD02 DD03 DD08 EE10 GG02 GG09

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】回転軸を回転自在に支持する軸受を装着し
    た軸受ユニットにコイルが巻かれたステータコアとモー
    タ基板を結合したステータ部と、マグネットを装着した
    ロータケースを回転軸に一体的に回転するように結合し
    たロータ部とを備えた小型モータにおいて、 前記軸受ユニットに対するモータ基板およびステータコ
    アの結合は、軸受ユニットにモータ基板およびステータ
    コアを嵌合して該軸受ユニットを押圧して塑性流動させ
    ることにより嵌合突き合わせ面に圧迫力を発生させた塑
    性流動結合部を含む結合により実現したことを特徴とす
    る小型モータ。
  2. 【請求項2】請求項1において、前記ステータコアは、
    プレス打ち抜き加工した鋼板を積層して構成したもので
    あることを特徴とする小型モータ。
  3. 【請求項3】請求項1において、前記モータ基板は、結
    合穴をプレス打ち抜き加工した鋼板によって構成したこ
    とを特徴とする小型モータ。
  4. 【請求項4】請求項1〜3の1項において、前記軸受ユ
    ニットの押圧面には傾斜面を有する押圧溝を形成したこ
    とを特徴とする小型モータ。
  5. 【請求項5】回転軸を回転自在に支持する軸受ユニット
    にコイルが巻かれたステータコアとモータ基板を結合し
    たステータ部と、マグネットを装着したロータケースを
    回転軸に一体的に回転するように結合したロータ部とを
    備えた小型モータにおいて、 前記軸受ユニットは、回転軸を支持する軸受部とモータ
    基板およびステータコアを結合するハウジング部を焼結
    部材によって一体的に形成し、この軸受ユニットに対す
    るモータ基板およびステータコアの結合は、ハウジング
    部にモータ基板およびステータコアを嵌合して該ハウジ
    ング部を押圧して塑性流動させることにより嵌合突き合
    わせ面に圧迫力を発生させた塑性流動結合部を含む結合
    により実現したことを特徴とする小型モータ。
  6. 【請求項6】請求項5において、前記ステータコアは、
    プレス打ち抜き加工した鋼板を積層して構成したもので
    あることを特徴とする小型モータ。
  7. 【請求項7】請求項5において、前記モータ基板は、結
    合穴をプレス打ち抜き加工した鋼板によって構成したこ
    とを特徴とする小型モータ。
  8. 【請求項8】請求項5〜7の1項において、前記ハウジ
    ング部の押圧面には傾斜面を有する押圧溝を形成したこ
    とを特徴とする小型モータ。
  9. 【請求項9】請求項1〜8の1項において、前記ロータ
    部は、ロータケースを回転軸に塑性流動結合方法により
    結合したものであることを特徴とする小型モータ。
  10. 【請求項10】回転軸を回転自在に支持する軸受ユニッ
    トにコイルが巻かれたステータコアとモータ基板を結合
    したステータ部と、マグネットを装着したロータケース
    を回転軸に一体的に回転するように結合したロータ部と
    を備えた小型モータの製造方法において、 前記軸受ユニットに対するモータ基板およびステータコ
    アの結合は、軸受ユニットにモータ基板を嵌合して該軸
    受ユニットを押圧して塑性流動させることにより嵌合突
    き合わせ面に圧迫力を発生する塑性流動結合方法により
    実現し、その後、軸受ユニットにステータコアを嵌合し
    て該軸受ユニットを押圧して塑性流動させることにより
    嵌合突き合わせ面に圧迫力を発生する塑性流動結合方法
    により実現することを特徴とする小型モータの製造方
    法。
  11. 【請求項11】請求項10において、前記軸受ユニット
    の塑性流動は、軸受ユニットに形成した押圧溝の傾斜面
    を金型パンチで押圧することにより発生させることを特
    徴とする小型モータの製造方法。
  12. 【請求項12】請求項11において、前記金型パンチの
    刃先の先端面は勾配が異なる複数の傾斜面を備えたこと
    を特徴とする小型モータの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006068593A (ja) * 2004-08-31 2006-03-16 Tokyo Parts Ind Co Ltd 振動モータ
CN103292828A (zh) * 2012-02-22 2013-09-11 约翰尼斯海登海恩博士股份有限公司 旋转编码器

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EP2631608A3 (de) * 2012-02-22 2015-09-02 Dr. Johannes Heidenhain GmbH Drehgeber

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