JP4800047B2 - 流体軸受装置およびその製造方法、スピンドルモータおよび記録再生装置 - Google Patents
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具体的には、特開2000−324753号公報の図4に示すように、回転中心軸となるシャフト21にスラストプレート26が固定され、そのスラストプレート26の軸方向両面に対向しているスリーブ端面、カウンタープレート面との間にてスラスト軸受部を形成して、シャフト外径とスリーブの内筒面との間で、ラジアル軸受部を形成している。
このうち、モータの薄型化や小型化、軸受の信頼性、スラスト軸受部を形成する面の反り量等の観点から、溶接工法を採用したシャフトとスラストフランジとの固定方法が多用されている(例えば、特開2000−324753号公報参照)。
また、直角度の劣化が生じない程度ではあるが、シャフトに対してスラストフランジを挿入する場合は、回転軸外周部分とスラストプレートの内周部分の間に隙間が形成されることになるため、軸方向の正確な位置決めが必要となって、所望の触れ精度を得ることが困難になる。
ここでは、回転軸をなす端面外周縁部に段差部1aを設けたシャフト1と、中央の貫通孔2aの周囲に段差部2bが形成されている円板状のスラスト軸受2において、シャフト1の段差部1aを設けることにより形成された凸部1bの高さをスラスト軸受2の段差部2bの底部の高さに合わせる。貫通孔2aと凸部1bが接する部分である接合部16には、0.02〜0.04mm程度の隙間が形成される。この状態で、貫通孔2aと凸部1bとが接する接合部16を、表面側から照射点6の3箇所を同時に連続的にレーザ照射して、周方向に沿って最終照射点7まで120度以上回転させて、レーザにより連続的に全周溶接して固定している。
すなわち、上記公報に開示された流体軸受装置の製造方法では、シャフトとスラストフランジとを溶接する場合には、溶接部分が溶解した後で凝固する際にスラストフランジに対して溶接される面側に引っ張る力が働いて、スラストフランジが塑性変形した場合と同様の結果となる。このため、溶接時に使用する治具を取り外すと、溶接される面側にスラストフランジが反りあがってしまう。このような反りの発生により、直角度を規定しているシャフトの段差部とスラストフランジの溶接面とは反対側の面とが離間して、流体軸受装置を回転させた際における回転軸に対するスラストフランジの平面的な振れの発生を効果的に抑制することができない。この結果、スラスト軸受を形成する隙間の大きさにバラツキが生じて、スラスト軸受部分において発生する動圧の大きさが不安定になって、流体軸受装置の信頼性の低下という問題を招来するおそれがある。
これにより、第1部材における回転軸に沿った面に対して円板状の第2部材を溶接によって接合した際に、円板状の第2部材が回転軸に交差する平面において反りが発生した場合でも、第2部材が嵌め込まれた第1部材の段差部において、第1部材と第2部材とが当接した部分に隙間が生じることはない。この結果、円板状の第2部材に溶接後に反りが生じた場合でも、第2部材の裏面側を第1部材によってしっかりと支持することができるため、回転軸に対する円板状の第2部材の振れ精度が低下してしまうことを防止して、信頼性の高い流体軸受装置を得ることができる。
ここでは、第1部材の端部に形成された段差部を構成する回転軸に交差する面を、回転軸に沿った面から離れるほど第2部材から離れるように傾斜させている。
ここでは、第1部材および第2部材の組み合わせてとして、シャフトおよびスラストフランジを用いて、シャフトとスラストフランジとを溶接する部分について本発明を適用している。
これにより、シャフトの一端に形成された段差部に対してスラストフランジを取り付ける際に、スラストフランジが溶接側に反り返るような場合でも、シャフトの段差部に近接する位置において当接していたスラストフランジの溶接側とは反対側の面とシャフトの段差部との間に隙間が生じることはない。この結果、シャフトの回転軸に対するスラストフランジの表面における振れの発生を抑制して、信頼性の高い流体軸受装置を得ることができる。
ここでは、第1部材および第2部材の組み合わせてとして、シャフトおよびロータを用いて、シャフトとロータとを溶接する部分について本発明を適用している。
これにより、シャフトの一端に形成された段差部に対してロータを取り付ける際に、ロータが溶接側に反り返るような場合でも、シャフトの段差部に近接する位置において当接していたロータの溶接側とは反対側の面とシャフトの段差部との間に隙間が生じることはない。この結果、シャフトの回転軸に対するロータの表面における振れの発生を抑制して、信頼性の高い流体軸受装置を得ることができる。
ここでは、第1部材および第2部材の組み合わせてとして、スリーブおよびスラストプレートを用いて、スリーブとスラストプレートとを溶接する部分について本発明を適用している。
これにより、スリーブの一端に形成された段差部に対してスラストプレートを取り付ける際に、スラストプレートが溶接側に反り返るような場合でも、スリーブの段差部に近接する位置において当接していたスラストプレートの溶接側とは反対側の面とスリーブの段差部との間に隙間が生じることはない。この結果、シャフトの回転軸に対するスラストプレートの表面における振れの発生を抑制して、信頼性の高い流体軸受装置を得ることができる。
これにより、スラスト方向の振れ精度が安定するため、スピンドルモータに要求されている軸方向のRROバラツキを低減、安定させることが可能となる。
これにより、そのスピンドルモータを記録再生装置に用いることで、モータハブに搭載されているディスク上のデータをヘッドを介して、不具合の発生なく情報の読み書きを行うことが可能となる。
[スピンドルモータ10全体の構成]
本実施形態に係るスピンドルモータ10は、図1に示すように、ロータハブ(回転側)15、ロータマグネット(回転側)16、ステータ(固定側)17、ベース(固定側)18および流体軸受装置20等を備えている。
スリーブ11は、軸受孔11aを有しており、鉄、鉄合金、銅、銅合金等の金属材料等によって形成され、ベース18に固定されている。また、スリーブ11には、スラストフランジ13の外径部分に対向する第1の段部11bが設けられており、スラストフランジ13の外径部分が第1の段部11bと隙間を介して位置している。さらに、スリーブ11には、第1の段部11bより径が大きな第2の段部11cが設けられており、円板状のスラスト板14が第2の段部11cに接着、カシメ、圧入、溶接等の工法によって固定される。
シャフト12は、焼結体ではない金属材料で構成された、直径が約3.0mmの円筒状の外周面を有する部材(例えば、円柱状部材、円筒状部材)であって、軸受孔11aに回転可能な状態で挿入されている。また、シャフト12の下端部には、段差部12a(図2および図3参照)が形成されており、この段差部12aの部分に、中心部分に円形の開口を有する円板状のスラストフランジ13が溶接位置X(図3参照)に沿って溶接工法によって接合される。なお、シャフト12は回転中心の軸として用いられることから、例えば、SUS等の素材的には硬いものが使われており、成型バイト等によって加工される。
スラストフランジ13は、図2等に示すように、中心部分に直径が約1.9mmの円形の開口を有しており、厚い部分が0.5mm、シャフト12の段差部12aよりの薄い部分が0.33mmの厚さを有する直径が約5.6mmの円板状の部材であって、上述のように、シャフト12の下端部に形成された段差部12aに対して溶接工法によって取り付けられている。そして、スラストフランジ13は、スリーブ11の段部11bとスラスト軸受部材であるスラスト板14とで囲まれた空間に収納されている。スラストフランジ13の下面は、スラスト板14に対向し、上面の周辺部はスリーブ11の段部11bに対向している。また、スラストフランジ13の上面に対向するスリーブ11の段部11bの面には、スラスト動圧発生溝が形成されている。
スラスト板14は、流体軸受装置20の下部を覆うように取り付けられた略円板状の部材であって、その上部表面にはスラスト動圧発生溝が形成されている。なお、スラスト動圧発生溝が形成される面は、本実施形態の構成に限定されるものではなく、軸方向に隙間を形成しつつ対向する部材のいずれか一方に形成されていればよい。すなわち、スラストフランジ13の下面、あるいはスラストフランジ13の上面にスラスト動圧発生溝が形成されていてもよい。
ロータマグネット16は、ロータハブ15の内周面側において、円周方向に等間隔で取り付けられており、対向するステータ17との間において引き付け、反発を繰り返すことで、ロータハブ15をシャフト12を中心として回転させる。
ここで、上述した流体軸受装置20の製造方法として、流体軸受装置20に含まれるシャフト12とスラストフランジ13とを溶接によって接合する際における工程について、図4〜図7を用いて説明すれば以下の通りである。
すなわち、図4のフローチャートに示すように、本実施形態に係る流体軸受装置20の製造方法では、ステップS1において、図2等に示すシャフト12の一端に段差部12aを加工によって形成する。
次に、ステップS3において、シャフト12の段差部12aに対してスラストフランジ13を嵌め込んだ状態のまま、図5に示す接合治具31,32に、シャフト12およびスラストフランジ13をセットする。なお、図5に示す接合治具31,32は、第1接合治具31と第2接合治具32とに分かれており、第1接合治具31によってシャフト12の外周部を固定するとともに、第1接合治具31および第2接合治具32によってスラストフランジ13の上下の平面を固定する。
本実施形態の流体軸受装置20の製造方法では、以上のように、接合治具31,32を用いて、シャフト12とスラストフランジ13とを接合する。
これにより、シャフト12に対してスラストフランジ13をしっかりと固定した状態で溶接を行うことができるため、組立て精度を向上させることができる。さらに、溶接後に反りが発生するスラストフランジ13を上下から押さえつけながら溶接し冷却することで、スラストフランジ13の反りの発生を低減することができる。
これにより、シャフト12とスラストフランジ13との接合部分を均一な状態で全周溶接することができる。
なお、上述したスラストフランジ13の表面の振れについては、例えば、図8に示すように、シャフト12の回転軸を中心としてスラストフランジ13をシャフト12とともに回転させ、スラストフランジ13の表面における測定点に当接させた接触端子の移動量を測定することで検出される。
(1)
本実施形態の流体軸受装置20では、図3に示すように、シャフト12とスラストフランジ13とを接合する際において、スラストフランジ13の裏面13b側と、シャフト12の一端に形成された段差部12aを形成する第2の面12abとが、上記段差部12aを形成する略鉛直方向に沿った第1の面12aaに近接するように、シャフト12の回転軸を中心とする円の最内周側の当接位置Pにおいて当接するように構成されている。
本実施形態の流体軸受装置20では、図3に示すように、シャフト12の一端に形成された段差部12aにおいて、段差部12aを形成する鉛直方向に略垂直な第2の面12abが、径方向外側に向かって下方傾斜するように形成されている。
これにより、第2の面12abにおいては、必然的に最内周側における位置が最も高くなるため、スラストフランジ13の裏面13bを第2の面12abにおける最内周側において支持することができる。この結果、上述のように、スラストフランジ13とその対向面との間に形成されるスラスト動圧発生部において発生する動圧の大きさを安定させて、信頼性の高い流体軸受装置20を提供することができる。
本実施形態の流体軸受装置20では、シャフト12とスラストフランジ13との接合部分について、本発明を適用している。
これにより、シャフト12の回転軸を中心に回転させた際におけるスラストフランジ13表面の振れの発生を抑制して、信頼性の高い流体軸受装置20を提供することができる。
本実施形態の流体軸受装置20の製造方法では、図4に示すように、シャフト12とスラストフランジ13とを接合する際には、図5に示すような接合治具31,32を用いてシャフト12とスラストフランジ13とを固定して溶接等の工程を行う。
これにより、シャフト12とスラストフランジ13とをしっかり固定した状態で溶接を行うことができるため、組立て精度に優れた流体軸受装置20を製造することができる。また、溶接後の溶接部分の冷却に伴ってスラストフランジ13が、図7に示す方向に沿った場合でも、図5に示す接合治具32によってスラストフランジ13の上下面を固定しているため、反りの発生を低減することができる。
本実施形態の流体軸受装置20の製造方法では、図4に示すように、シャフト12とスラストフランジ13とを溶接によって接合する際には、図6(a)に示すように、周方向に均等配置された照射位置X1〜X3の3点にレーザを照射し、これを120度以上回転させて全周溶接を行う。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
(A)
上記実施形態では、第1部材と第2部材として、シャフト12とスラストフランジ13とを用い、シャフト12の一端に形成された段差部12aにおけるスラストフランジ13との接合部分に対して本発明を適用した例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
上記実施形態では、第1部材と第2部材として、シャフト12とスラストフランジ13とを用い、シャフト12の一端に形成された段差部12aにおけるスラストフランジ13との接合部分に対して本発明を適用した例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
この場合でも、シャフト52を中心にして、スリーブ51、スラストプレート61およびロータハブ55等を回転させた際における、回転軸に対するスラストプレート61の平面的な振れの発生を低減して、スラストプレート61とこれに対向するフランジ53との間に形成されるスラスト動圧発生部において発生する動圧の大きさを均等化して、高精度な流体軸受装置およびこれを備えたスピンドルモータを提供することができる。
上記実施形態では、シャフト12の一端に形成された段差部12aとスラストフランジ13の裏面13bとの当接位置Pが、シャフト12側の加工逃げ部12bを挟んで最内周側に配置される例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、加工逃げ部がないように形成されたシャフトの段差部に対してスラストフランジを接合する場合には、段差部における第1の面と第2の面とが交差する部分、つまり段差部における最内周側においてスラストフランジの裏面とシャフトの段差部の面とが当接していてもよい。
この場合でも、スラストフランジの溶接時において、スラストフランジが軸方向において反り上がったとしても、スラストフランジの裏面とシャフトの段差部の略水平面と当接部分が離間してしまうことはない。この結果、上記実施形態と同様に、スラストフランジの面における振れを低減して、高精度な流体軸受装置を提供することができる。
上記実施形態では、図3に示すように、シャフト12の一端に形成された段差部12aにおいて、段差部12aを形成する鉛直方向に略垂直な第2の面12abが、径方向外側に向かって下方傾斜するように形成されている例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
この場合でも、スラストフランジ13の裏面13bに当接するのは、径方向における最内周部分となるため、上記と同様の効果を得ることができる。
特に、段差部を形成する際には、加工時に第2の面に凹凸が形成されるため、第2の面が滑らかに径方向外側に向かって下方傾斜している必要はなく、凹凸を有しながら最内周側においてスラストフランジ13を支持するように構成されていればよい。
上記実施形態では、スピンドルモータ10内に、流体軸受装置20とロータハブ15とが別々に設けられている例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、ロータハブを含むように構成された流体軸受装置であってもよい。
上記実施形態では、軸回転片側開放型の流体軸受装置20に対して本発明を適用した例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、図10に示すように、軸固定両端開放型の流体軸受装置50に対して本発明を適用することもできる。
さらに、軸回転両端開放型、軸固定片側開放型の流体軸受装置に対しても、本発明を適用可能である。
上記実施形態では、流体軸受装置20に対して本発明を適用した例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、上記実施形態で説明した流体軸受装置20を搭載したスピンドルモータ10、あるいはスピンドルモータ10を備えた記録再生装置に対して、本発明を適用することもできる。
11 スリーブ(固定側)
12 シャフト(回転側、第1部材)
12a 段差部
12b 加工逃げ部
12aa 第1の面(回転軸に沿った面)
12ab 第2の面(回転軸に対して交差する面)
13 スラストフランジ(回転側、第2部材)
13a 開口
13b 裏面
14 スラスト板(固定側)
15 ロータハブ(回転側、第2部材)
16 ロータマグネット(回転側)
17 ステータ(固定側)
18 ベース(固定側)
20 流体軸受装置
26 潤滑油
31 第1接合治具(治具)
32 第2接合治具(治具)
50 流体軸受装置
51 スリーブ(第1部材)
52 シャフト(回転軸)
53 フランジ
55 ロータハブ
61 スラストプレート(第2部材)
S ステップ
P 当接位置
X 溶接位置
X1〜X3 照射位置
Claims (6)
- 回転軸を中心として固定側に対して回転側を回転させることで、前記固定側および前記回転側の対向面のうち少なくとも一方の面に形成された動圧発生溝を含む動圧発生部において動圧を発生させる流体軸受装置であって、
一方の端部に前記回転軸に対して交差する平面に形成された段差部を有している第1部材と、
前記回転軸に対して交差する平面に沿って前記段差部に係合させた状態で溶接によって前記第1部材における前記回転軸に沿った面に対して取り付けられており、対向する平面との間においてスラスト動圧発生部を形成する円板状の第2部材と、
を備えており、
前記第1部材と前記第2部材とは、前記段差部を構成する前記回転軸に交差する面が、前記回転軸に沿った面から離れるにつれて前記第2部材の面から離れる方向に傾斜しており、前記回転軸に対して交差する方向において前記段差部を構成する前記回転軸に沿った面に近接する位置で当接する、
流体軸受装置。 - 前記第1部材はシャフトであり、前記第2部材はスラストフランジである、
請求項1に記載の流体軸受装置。 - 前記第1部材はシャフトであり、前記第2部材はロータである、
請求項1に記載の流体軸受装置。 - 前記第1部材はスリーブであり、前記第2部材はスラストプレートである、
請求項1に記載の流体軸受装置。 - 請求項1から4のいずれか1項に記載の流体軸受装置を備えた、
スピンドルモータ。 - 請求項5に記載のスピンドルモータを備えた、
記録再生装置。
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