JP2001006163A - 無機粉体含有塗布層の吸着化合物の分析方法 - Google Patents

無機粉体含有塗布層の吸着化合物の分析方法

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JP2001006163A
JP2001006163A JP11175409A JP17540999A JP2001006163A JP 2001006163 A JP2001006163 A JP 2001006163A JP 11175409 A JP11175409 A JP 11175409A JP 17540999 A JP17540999 A JP 17540999A JP 2001006163 A JP2001006163 A JP 2001006163A
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Kazuko Hanai
和子 花井
Hiroaki Doshita
廣昭 堂下
Mikio Ono
幹夫 大野
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 無機粉体を含有した塗布層表面の無機粉体に
吸着あるいは化学反応により塩を形成している化合物無
機粉体に結合した有機化合物等を分析する。 【解決手段】 塗布層を設けた支持体を溶剤と反応させ
て未吸着の物質を抽出除去した後に、塗布層表面をX線
光電子分光分析装置によって測定し、次いで、誘導体化
試薬を加えて無機粉体表面の吸着化合物を反応させて除
去した後に塗布層表面をX線光電子分光分析装置によっ
て測定し、誘導体化試薬による処理前後の測定値の差か
ら吸着あるいは化学反応により塩を形成している化合物
の分析方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、支持体上に少なく
とも無機粉体を含む塗布層、特に強磁性粉体と結合剤を
含む磁性層を設けた磁気記録媒体において、無機粉体に
吸着あるいは化学反応により塩を形成している化合物を
測定する方法に関するものである。
【0002】
【従来技術】一般に無機粉体を配合した塗布物を作製す
るためには分散が必要であるが、高度に分散し凝集を防
ぐためには、表面改質をおこなう必要が生じてくる。表
面改質の方法の一つとして無機粉体に極性基を有する有
機化合物を配合することが知られている。磁性層を磁性
粉体を含有した組成物で形成した塗布型磁気記録媒体の
特性向上のために、磁性層や非磁性層には、摺動性付与
のための潤滑剤である高級脂肪酸や有機リン化合物など
の表面修飾剤、その他の極性基を有する化合物が多く配
合されている。これらの化合物はいずれも酸性の極性基
を持ち、磁性層、非磁性層中に配合された磁性体やその
他の無機粉体の塩基性点に吸着、あるいは反応して塩を
生成していると考えられる。これらの化合物は磁性体や
無機粉体に強く吸着あるいは反応しているため、有機溶
媒による抽出は困難であり、分離・検出するためには、
塩酸等の酸やアルカリを反応させて吸着あるいは反応し
ている物質を脱離させ、抽出を行う必要があった。
【0003】本発明者らは鋭意研究の結果、特願平10
−11506号として、無機粉体、特に強磁性粉体に吸
着あるいは化学反応により塩を形成している化合物を分
離する手法として、誘導体を形成して磁性層から分離す
る方法を提案している。誘導体化試薬としてはガスクロ
マトグラフィーによる分析でよく使われるシリル化剤を
用いることを検討した。その結果、従来不可能とされて
いた活性水素のない有機リン酸化合物や脂肪酸金属塩と
も反応して誘導体を形成することにより、目的を達成で
きることがわかった。これらの塗布層に誘導体化試薬を
作用させ、磁性体やその他の無機粉体に吸着あるいは化
学反応により塩を形成している極性化合物を誘導体とし
て分離検出することを可能とした。
【0004】しかし、この方法は塗布層あるいは磁性層
全体の極性化合物の分析には適しているが、特性と最も
関係すると考えられる塗布層表層あるいは磁性層表層に
存在する、磁性体やその他の無機粉体に吸着あるいは化
学反応により塩を形成している化合物の量の指標を得る
ことはできなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、支持体上に
無機粉体を含有する塗布層を形成した塗布層を形成した
磁気記録媒体等において、表層に存在する磁性体、無機
粉体に吸着あるいは化学反応により塩を形成している化
合物の量を測定する方法を提供するものであり、また極
性化合物の量の測定によって特性の優れた磁気記録媒体
としての評価方法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、支持体上に少
なくとも無機粉体と結合剤からなる塗布層を設けた塗布
層表面の無機粉体に吸着あるいは化学反応により塩を形
成している化合物の分析方法において、塗布層を設けた
支持体から溶剤によって未吸着の物質を抽出除去した後
に、塗布層表面の物質をX線光電子分光分析装置によっ
て測定し、次いで誘導体化試薬を加えて無機粉体表面の
吸着化合物を反応させて除去した後に塗布層表面の物質
をX線光電子分光分析装置によって測定し、誘導体化試
薬による処理前後の測定値の差から吸着あるいは化学反
応により塩を形成している化合物を分析することを特徴
とする無機粉体含有塗布層表面の吸着化合物の分析方法
である。塗布層が強磁性粉体を含む磁気記録媒体の磁性
層である前記の無機粉体含有塗布層表面の吸着化合物の
分析方法である。誘導体化試薬がシリル化剤である前記
の無機粉体含有塗布層表面の吸着化合物の分析方法であ
る。無機粉体への吸着化合物が脂肪酸である前記の無機
粉体含有塗布層表面の吸着化合物の分析方法である。
【0007】支持体上に磁性粉体と結合剤を含有する磁
性層を形成した磁気記録媒体において、磁気記録媒体を
溶剤と反応させて未吸着の物質を抽出除去した後に、誘
導体化試薬を加えて無機粉体に吸着あるいは化学反応に
より塩を形成している化合物を反応させて除去した後
に、塗布層表面の物質をX線光電子分光分析装置によっ
て測定し炭素/磁性体金属比を求め、次いで誘導体化試
薬を加えて強磁性粉体に吸着あるいは化学反応により塩
を形成している化合物を反応させて除去した後に塗布層
表面の物質をX線光電子分光分析装置によって測定し炭
素/磁性体金属比を求め、誘導体化試薬による処理前後
の炭素/磁性体金属比の変化量が所定の範囲内にある磁
気記録媒体である。磁性層が支持体上に単層磁性層とし
て形成されており、磁性体が鉄合金である場合に、誘導
体化試薬による処理前後の炭素/磁性体金属比の変化量
が0.25以下である前記の磁気記録媒体である。磁性
層が支持体上に形成した下層塗布層上に形成した重層磁
性層であり、磁性体が鉄合金である場合に、誘導体化試
薬による処理前後の炭素/磁性体金属比の変化量が0.
5以下である前記の磁気記録媒体である。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明は支持体上に少なくとも無
機粉体と結合剤を含む塗布層を設けた塗布物を、n−ヘ
キサン等の無極性溶媒により未吸着の添加剤を抽出・除
去した後に、未吸着の添加剤を除去した塗布物を密閉容
器に入れ、誘導体化試薬を加えて、塗布層に存在する吸
着化合物と反応させて誘導体を形成し、さらに形成した
誘導体をエタノール等の塗布層の結合剤を溶解しない溶
媒により除去するものである。そして、溶媒により未吸
着の添加剤を除去した塗布層の表面と、誘導体化処理に
より無機粉体に吸着あるいは化学反応により塩を形成し
ている化合物を除去した塗布層の表面を、X線による表
面分析手段の一つであるX線光電子分光分析装置、すな
わちESCA、XPSとも称される装置によって測定
し、誘導体化試薬との反応によって誘導体として溶解し
て除去し、除去の前後の化合物を測定するものである。
この方法によって、塗布物表層、磁気記録媒体にあって
は磁性層表層に存在する吸着化合物の分析を行うことが
可能である。
【0009】本発明の方法は、例えば塗布物を支持体に
塗布された状態でn−ヘキサンのような無極性溶剤に浸
漬し、未吸着の添加剤を抽出・除去する。未吸着の添加
剤を抽出除去した試料の一部を取り出して密閉可能な試
料瓶に入れ、誘導体化試薬を加え、適当な時間、反応さ
せ吸着化合物を誘導体として無機粉体から脱離させる。
そして、誘導体化試薬による分離の前後の塗布層の表
面の物質をX線光電子分光分析装置による表面分析によ
って表層部の測定を行い、誘導体化前後の測定値の変化
量から無機粉体に吸着あるいは化学反応により塩を形成
している化合物の量を測定するものである。
【0010】本発明の方法では、誘導体化試薬として
は、シリル化剤、エステル化剤、アシル化剤が挙げら
れ、特にシリル化剤を用いることが好ましい。シリル化
剤を用いることによって、従来不可能とされていた活性
水素のない有機リン化合物や脂肪酸金属塩とも反応して
誘導体を形成することができるので、吸着していた有機
リン化合物や脂肪酸金属塩を分離して検出することが可
能となる。
【0011】また、シリル化剤を適用することによって
アルコール、フェノール、アミン、アミド等も抽出処理
することなく、直接誘導体として分析することも可能と
なった。シリル化剤の反応は上述の如く、活性水素を有
しない場合にも適用できるが、活性水素を有する場合の
シリル化剤の反応は以下に示すように説明される。
【0012】
【化1】
【0013】ただし、Xは活性水素を持つ有機化合物の
Hを除いた部分を示し、Rはアルキル基、YはCl,F
等のハロゲンを示す。シリル化剤としては、N−トリメ
チルシリルイミダゾール(TMSI)、N,O−ビス
(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド(BS
TFA)、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトア
ミド(BSA)、N−メチル−N−トリメチルシリルト
リフルオロアセトアミド(MSTFA)、N−(トリメ
チルシリル)ジメチルアミン(TMSDMA)、N−
(トリメチルシリル)ジエチルアミン(TMS−DE
A)、N−メチル−N−トリメチルシリルアセトアミド
(MTMSA)、トリメチルクロロシラン(TMC
S)、ヘキサメチレンジシラザン(HMDS)、N−メ
チル−N−(t−ブチルジメチルシリル)−トリフルオ
ロアセトアミド(MTBSTFA)等が挙げられる。特
にTMS(トリメチルシリル基)を有する化合物が好ま
しい。
【0014】また、エステル化剤としては、三フッ化ホ
ウ素−メタノール、三フッ化ホウ素−n−プロパノー
ル、三フッ化ホウ素−イソプロパノール、三フッ化ホウ
素−n−ブタノール、ジメチルホルムアミド−ジメチル
アセタール(DMF−DMA)、ジメチルホルムアミド
−ジエチルアセタール(DMF−DEA)、ジメチルホ
ルムアミド−ジ−n−プロピルアセタール(DMF−D
NPA)、ジメチルホルムアミド−ジ−n−ブチルアセ
タール(DMF−DNBA)、塩酸−メタノール、塩酸
−n−ブタノール、フェニルトリメチルアンモニウムハ
イドロオキサイド(PTAH)、テトラメチルアンモニ
ウムハイドロオキサイド(TMAH)、トリメチル
(α,α,α−トリフルオロ−m−トリル)アンモニウ
ムハイドロオキサイド(TMTFAH)、ナトリウムメ
トキシド−メタノール、トリメチルシリルジアゾメタン
(TMS−DAM)等を挙げることができる。
【0015】また、アシル化剤としては、トリフルオロ
無水酢酸(TFAA)、ヘプタフルオロ無水酪酸(HF
BA)、ペンタフルオロ無水プロピオン酸(PFP
A)、トリフルオロアセチルイミダゾール(TFA
I)、ヘプタフルオロブチリルイミダゾール(HFB
I)、ペンタフルオロプロピニルイミダゾール(PFP
I)、N−メチルビス(トリフルオロアセトアミド)
(MBTFA)、ペンタフルオロベンジルブロマイド
(PFBB)等を挙げることができる。この場合、結合
剤や支持体を溶解しない試薬を選択することが好まし
い。
【0016】本発明の分析方法を磁気記録媒体の磁性層
を例に説明する。塗布型磁気記録媒体表層に存在する磁
性体および無機粉体に吸着あるいは化学反応により塩を
形成している脂肪酸の分析について述べる。磁気記録媒
体において、強磁性金属粉体を使用した場合には、磁性
層に添加した脂肪酸の多くは磁性体表面に吸着あるいは
化学反応の少なくともいずれかによって結合しており、
有機溶媒により完全には抽出することは困難である。磁
性体あるいはその他の無機粉体に吸着あるいは化学反応
の少なくともいずれかによって結合した脂肪酸は、無極
性溶媒により未吸着の脂肪酸や他の添加剤を除去した
後、磁性体を塩酸等の酸によって溶解し、さらに溶媒で
抽出することで求められる。しかし、無機粉体に吸着等
によって結合している化合物の全量を測定することがで
きるが、磁気記録媒体の走行特性に最も影響を与える磁
性層表層に存在する磁性体および他の無機粉体に吸着あ
るいは化学反応により塩を形成している脂肪酸を定量す
ることはできなかった。
【0017】発明者らはさらに検討を重ね、磁性層表面
に存在する脂肪酸エステルや未吸着の脂肪酸をn−ヘキ
サンのような無極性の有機溶媒で抽出・除去し、磁性層
表面に存在する磁性体および無機粉体に吸着あるいは化
学反応により塩を形成している脂肪酸をシリル化剤のよ
うな誘導体化試薬を用いてシリル化物として溶解し、誘
導体化反応前後の表面の物質をX線光電子分光分析装置
により測定し、誘導体化反応前後の測定値の差を磁性層
表層に存在する無機粉体に吸着あるいは化学反応により
塩を形成している脂肪酸量として求める方法を提供する
ものである。
【0018】脂肪酸は特異な元素を有しないが構造的に
長鎖脂肪酸であり、吸着あるいは化学反応により塩を形
成している脂肪酸の指標として炭素元素に着目するとと
もに、磁性体の磁性粉体を構成する金属に対する比率と
して規格化したものであり、磁性粉体として鉄合金を用
いた場合には、誘導体化反応前後の炭素/鉄の変化量を
求めることによって吸着等によって結合した化合物を求
めることができる。表層の無機粉体に結合した脂肪酸量
を以上のような方法によって求めると共に、同時に磁気
記録媒体の特性を測定し、本発明の方法による測定方法
によって得られると値と磁気記録媒体の特性から好まし
い炭素/鉄の変化量が存在することが確認でき、磁気記
録媒体において好適な脂肪酸量を求めることができる。
【0019】すなわち、磁性層表面の無機粉体に吸着あ
るいは化学反応により塩を形成している脂肪酸を求める
とともに、磁性層表層の摩擦係数および走行後のヘッド
の汚れを調べた。その結果、磁性層表層に存在する脂肪
酸の指標である誘導体化前後のC/Feの変化量ΔC/
Feが大きいほど摩擦係数は高くなることがわかった。
また、走行後のヘッドの汚れを観察したところ、汚れは
多くなることが確認された。これは磁性層表層に存在し
磁性体および無機粉体に吸着あるいは化学反応により塩
を形成している脂肪酸が過剰に存在すると、摩擦係数を
上昇しヘッド汚れの起因となるためと考えられる。
【0020】磁気記録媒体の円滑な走行のためには、磁
性層表層に存在する吸着および/又は反応した脂肪酸の
指標である誘導体化前後の変化量は、支持体上に磁性層
のみを設けた単層磁性層を有する磁気記録媒体のあって
は、炭素と鉄の比の誘導体化前後の変化量ΔC/Feは
0.25以下が好ましく、さらに好ましくは0.2以下
である。また、非磁性粉体と結合剤からなる下層非磁性
層上に、磁性層を形成した重層型の磁気記録媒体におい
ては、ΔC/Feは0.5以下が好ましく、さらに好ま
しくは0.4以下である。
【0021】そして、磁気記録媒体の製造直後のみでは
なく保存後においても優れた特性を発揮するためには、
保存後においてもこのような炭素と鉄の比の誘導体化前
後の変化量が同様の大きさを示すことが必要である。
【0022】
【実施例】以下に実施例を示し、本発明を説明する。な
お、実施例において「部」は重量部を示す。 実施例1 [単層磁気記録媒体の作製] (磁性層用の塗布液の調製) 強磁性合金粉末 1000部 (Hc1640Oe、σs130emu/g、比表面積56m2/g、平均 長 軸長200nm、針状比7.0、Fe:Co:Ni=100:5:5) カーボンブラック(平均粒径 80nm) 10部 ポリ塩化ビニル系樹脂(日本ゼオン製 MR−110) 108部 ポリウレタン樹脂(東洋紡績製 UR8300) 41部 硬化剤(日本ポリウレタン製 コロネート3040) 39部 研磨剤(α−アルミナ 平均粒径0.2μm) 140部 フェニルホスホン酸 32部 ステアリン酸 8部 ステアリン酸ブチル 14部 メチルエチルケトンとシクロヘキサノン1:1混合溶剤 200部 を混練して分散し、1μmの平均孔径を有するフィルタ
ーを使用して濾過し、磁性層用の塗布液を調整した。
【0023】(磁気テープの作製)磁性塗料を乾燥後の
厚さが3μmになるように、厚さ10μmのポリエチレ
ンテレフタレート支持体の表面にエクストルージョン型
塗布ヘッドを用いて塗布し、磁性塗料が未乾燥の状態で
3000ガウスの磁石で磁場配向を行ない、更に下記の
バックコート塗布液を乾燥後の厚さが0.5μmになる
ように塗布乾燥した。その後、金属ロールと耐熱性プラ
スチックロールの組み合せによる5段のカレンダー処理
を(速度100m/m、線圧300kg/cm、温度9
0℃)で行なった。1/2インチ幅にスリットし磁気記
録媒体Aのビデオテープを作製した。
【0024】 (バックコート層塗布液) カーボンブラック (平均粒径 18nm) 100部 ニトロセルローズ(ダイセル社製 RS1/2H) 60部 ポリウレタン(日本ポリウレタン社製 N−2304) 60部 ポリイソシアネート(日本ポリウレタン社製 コロネートL) 20部 メチルエチルケトン 1000部 トルエン 1000部 (塗布層表面の測定)作製した磁気記録媒体Aを100
mm長切り取り、試料Aとした。試料Aをn−ヘキサン
に20℃で30分間浸漬し、未吸着の脂肪酸および脂肪
酸エステルを抽出・除去した。次いで、試料Aの1/3
を切り取り磁性層表面をX線光電子分光分析装置(KR
ATOS社製 AXIS−ULTRA)によって測定し
た。測定はX線源:Al、加速電圧:12kV、電流:
10mAの条件でKα線を淡色化して試料に照射し、光
電子脱出角度90°、通過エネルギー160eV、検出
範囲直径1mmとし、ヘキサン処理後の試料表面の鉄に
対する炭素の比、CH/Feを測定した。
【0025】次いで、残った試料Aの1/2を試料瓶に
入れて密閉し、n−ヘキサン10ml、誘導体化試薬と
してシリル化剤であるTMSI−H(HMDS:TMC
S:ピリジン混合物 ジーエルサイエンス社製)0.3
mlを加え、60℃、1時間加熱し誘導体化反応を行っ
た。反応後の試料Aを取り出し、エタノールで洗浄の後
に乾燥した。
【0026】次に、誘導体化反応の後の試料Aを、再度
X線光電子分光分析装置によって測定し、誘導体化試薬
で処理後の試料表面の鉄に対する炭素の比、CT/Fe
を測定した。誘導体化処理の前後の鉄に対する炭素の比
の変化量△C/Feを △C/Fe=CH/Fe−CT/Fe によって求めて表1に示す。また、磁気記録媒体Aのビ
デオテープを以下の評価方法によって評価した摩擦係
数、表面粗さ、ヘッド汚れ等も測定し表1に示す。
【0027】実施例2 磁性層塗布液中のステアリン酸を12部とした点を除き
実施例1と同様にして磁気記録媒体Bを作製し、実施例
1と同様にして磁気記録媒体Bの磁性層表面および磁気
記録媒体としての特性を測定しその結果を表1に示す。
【0028】比較例1 磁性層塗布液中の強磁性合金粉末(Hc1545Oe、
σs128emu/g、比表面積48m2/g 、平均長
軸長200nm、針状比8.0、Fe:Ni=100:
11)とした点を除き実施例1と同様にして磁気記録媒
体Cを作製し、実施例1と同様にして磁気記録媒体Cの
磁性層表面および磁気記録媒体としての特性を測定しそ
の結果を表1に示す。
【0029】 実施例3 [重層磁気記録媒体の作製] (磁性層用の塗布液の調製) 強磁性合金粉末 1000部 (Hc2200Oe σs143emu/g 比表面積 48m2/g 平均長軸長85nm 針状比6.0 Fe:Co=100:30 焼結防止剤 Al化合物、Y化合物) ポリ塩化ビニル重合体 100部 (−SO3Na基を1×10-4eq/g含有重合度 300) ポリエステルポリウレタン樹脂 50部 (ネオペンチルグリコール/カプロラクトンポリオール/MDI =0.9/2.6/1(モル比)−SO3Na基1×10-4eq/g含 有) α−アルミナ(平均粒子径0.16μm) 40 部 カーボンブラック (平均粒子径50nm DBP吸油量90ml/100g) 10部 フェニルホスホン酸 30部 ステアリン酸ブチル 15部 ステアリン酸 5部 メチルエチルケトンとシクロヘキサノン1:1混合溶剤 3000部 を混練して分散し、得られた分散液にポリイソシアネー
トを60部を加え、さらにメチルエチルケトンとシクロ
ヘキサノン1:1混合溶剤を200部加え、1μmの平
均孔径を有するフィルターを使用して濾過し、磁性層用
の塗布液を調整した。
【0030】 (下層用非磁性塗布液の調製) 酸化チタン 850部 (平均粒径0.035μm、結晶型ルチル、TiO2含有量90%以上、 表面処理層;アルミナ、BET比表面積 35〜42m2/g、真比重4.1 、pH6.5〜8.0) をオープンニーダーで10分間粉砕し、次いで 塩化ビニル共重合樹脂 75部 (塩化ビニル/酢酸ビニル/グリシジルメタクリレート=86/9/5の共 重合体:SO3Na=6×10-5eq/g、エポキシ=10-3eq/g、Mw 30,000) ポリウレタン樹脂(東洋紡績製 UR8300) 100部 フェニルホスホン酸 30部 にシクロヘキサノン600部を加えて60分間混練し、次いで メチルエチルケトン/シクロヘキサノン=6/4 2000部 を加えてサンドミルで120分間分散した。これに ブチルステアレート 20部 ステアリン酸 10部 メチルエチルケトン 500部 を加え、さらに20分間攪拌混合したあと、1μmの平
均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、下層用非磁
性塗布液を調製した。
【0031】(磁気テープの作製)厚さ10μmのポリ
エチレンテレフタレート支持体の表面に、下層用非磁性
塗布液を2.0μmの厚さに、さらにその直後に上層用
磁性塗布液を乾燥後の厚さが0.1μmになるように、
リバースロールを用いて同時重層塗布した。磁性塗布液
が塗布された非磁性支持体を、磁性塗布液が未乾燥の状
態で3000ガウスの磁石で磁場配向を行ない、さらに
乾燥後、金属ロール−金属ロール−金属ロール−金属ロ
ール−金属ロール−金属ロール−金属ロールの組み合せ
によるカレンダー処理を(速度100m/m、線圧30
0kg/cm、温度90℃)で行なった後6.35mm
幅に裁断し、磁気記録媒体Cのビデオテープを作製し
た。
【0032】(塗布層表面の測定)作製した磁気記録媒
体Dを100mm長切り取り試料Dとした。試料Dを実
施例1に記載した測定方法と同様にして塗布層表面を測
定した。また、磁気記録媒体Dのビデオテープを以下の
評価方法によって評価した摩擦係数、表面粗さ、ヘッド
汚れ等も測定し表2に示す。
【0033】実施例4 磁性層塗布液中のステアリン酸を10部とした点を除き
実施例3と同様にして磁気記録媒体Eを作製し、実施例
1と同様にして磁気記録媒体Eの磁性層表面および磁気
記録媒体としての特性を測定しその結果を表2に示す。
【0034】比較例2 磁性層塗布液中の酸化チタンをα酸化鉄とした点を除き
実施例4と同様にして磁気記録媒体Fを作製し、実施例
1と同様にして磁気記録媒体Fの磁性層表面および磁気
記録媒体としての特性を測定しその結果を表1に示す。
【0035】
【表1】 △C/Fe 摩擦係数 表面粗さ(nm) ヘッド汚れ 実施例1 0.18 0.22 6 良好 実施例2 0.22 0.27 6 かすかな汚れ 比較例1 0.29 0.33 6 汚れ大
【0036】
【表2】 △C/Fe 摩擦係数 表面粗さ(nm) ヘッド汚れ 実施例3 0.29 0.23 6 良好 実施例4 0.35 0.30 6 かすかな汚れ 比較例2 0.60 0.54 6 張り付き
【0037】(特性の評価方法) a)摩擦係数 作製したビデオテープとステンレス棒(SUS420
J)とを50gの張力(T1)で、巻き付け角180°
で接触させて、ビデオテープを3.0cm/sの速度で
走行させるのに必要な張力(T2)を測定した。得られ
たT1およびT2から下記の計算式によりビデオテープ
の摩擦係数(μ)を求めた。 μ=1/π×ln(T2/T1) 摩擦係数は、23℃70RHの条件で測定し、1パス目
の測定値を採用した。 b)表面粗さ:Ra デジタルオプチカルプロフィメーター(WYKO製)を
用いてカットオフ0.25mmの条件で中心線平均粗さ
をRaとしてnmで示した。 c)ヘッド汚れ1 デジタルビデオテープレコーダ(ソニー製 デジタルベ
ータカム DVW−A500型)を用いて20℃50%
RH環境で、2000mを連続走行させて、走行後のヘ
ッド汚れの状態を評価した。 d)ヘッド汚れ2 デジタルビデオテープレコーダ(松下電器製 NV−B
J1)を用いて、50mを走行させ、ビデオヘッドの汚
れを観察した。
【0038】
【発明の効果】強磁性粉体と結合剤からなる組成物を支
持体上に形成した磁気記録媒体の磁性層の強磁性粉体に
吸着あるいは化学反応により塩を形成している容易に抽
出分離することができない化合物を、誘導体として脱離
して、X線光電子分光分析装置により誘導体化反応前後
の表面の元素強度を測定することにより、走行性等の特
性と相関する表層に存在する無機粉体や磁性体に吸着あ
るいは化学反応により塩を形成している化合物の量の指
標を得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大野 幹夫 神奈川県小田原市扇町2丁目12番1号 富 士写真フイルム株式会社内 Fターム(参考) 2G001 AA01 BA08 CA03 JA12 KA01 LA20 MA04 NA03 NA17 RA01 RA02 RA03 5D006 BA19 FA00 5D112 AA05 JJ06

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に少なくとも無機粉体と結合剤
    からなる塗布層を設けた塗布層表面の無機粉体に吸着あ
    るいは化学反応により塩を形成している化合物の分析方
    法において、塗布層を設けた支持体から溶剤によって未
    吸着の物質を抽出除去した後に、塗布層表面の物質をX
    線光電子分光分析装置によって測定し、次いで誘導体化
    試薬を加えて無機粉体表面の吸着化合物を反応させて除
    去した後に塗布層表面の物質をX線光電子分光分析装置
    によって測定し、誘導体化試薬による処理前後の測定値
    の差から吸着あるいは化学反応により塩を形成している
    化合物を分析することを特徴とする無機粉体含有塗布層
    表面の吸着化合物の分析方法。
  2. 【請求項2】 塗布層が強磁性粉体を含む磁気記録媒体
    の磁性層であることを特徴とする請求項1記載の無機粉
    体含有塗布層表面の吸着化合物の分析方法。
  3. 【請求項3】 誘導体化試薬がシリル化剤であることを
    特徴とする請求項1記載の無機粉体含有塗布層表面の吸
    着化合物の分析方法。
  4. 【請求項4】 無機粉体への吸着化合物が脂肪酸である
    ことを特徴とする請求項1記載の無機粉体含有塗布層表
    面の吸着化合物の分析方法。
  5. 【請求項5】 支持体上に磁性粉体と結合剤を含有する
    磁性層を形成した磁気記録媒体において、磁気記録媒体
    に溶剤を作用させて未吸着の物質を抽出除去した後に、
    誘導体化試薬を加えて無機粉体に吸着あるいは化学反応
    により塩を形成している化合物を反応させて除去した後
    に、塗布層表面の物質をX線光電子分光分析装置によっ
    て測定し炭素/磁性体金属比を求め、次いで誘導体化試
    薬を加えて強磁性粉体に吸着あるいは化学反応により塩
    を形成している化合物を反応させて除去した後に塗布層
    表面の物質をX線光電子分光分析装置によって測定し炭
    素/磁性体金属比を求め、誘導体化試薬による処理前後
    の炭素/磁性体金属比の変化量が所定の範囲内にあるこ
    とを特徴とする磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】 磁性層が支持体上に単層磁性層として形
    成されており、磁性体が鉄合金である場合に、誘導体化
    試薬による処理前後の炭素/磁性体金属比の変化量が
    0.25以下であることを特徴とする請求項5記載の磁
    気記録媒体。
  7. 【請求項7】 磁性層が支持体上に形成した下層塗布層
    上に形成した重層磁性層であり、磁性体が鉄合金である
    場合に、誘導体化試薬による処理前後の炭素/磁性体金
    属比の変化量が0.5以下であることを特徴とする請求
    項5記載の磁気記録媒体。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007272956A (ja) * 2006-03-30 2007-10-18 Fujifilm Corp 磁気記録媒体
JP2008077799A (ja) * 2006-09-25 2008-04-03 Fujifilm Corp 脂肪酸エステル量の測定方法および磁気記録媒体の製造方法
JP2014165370A (ja) * 2013-02-26 2014-09-08 Sumitomo Osaka Cement Co Ltd 絶縁性の平板状磁性粉体とそれを含む複合磁性体及びそれを備えたアンテナ及び通信装置並びに複合磁性体の製造方法

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