JP6378166B2 - 磁気テープおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、磁気テープおよびその製造方法に関する。
磁気記録媒体にはテープ状のものとディスク状のものがあり、データバックアップ等のストレージ用途には、テープ状の磁気記録媒体、即ち磁気テープが主に用いられている。磁気テープへの信号の記録再生は、通常、磁気テープをドライブ内で走行させ、磁気テープの磁性層側表面を磁気ヘッド(以下、単に「ヘッド」とも記載する。」)と接触させ摺動させることにより行われる。
上記記録再生において、磁性層側表面とヘッドとの摺動時の摩擦係数が高い状態で走行を繰り返すと、磁性層側表面が削れて発生した削れ屑によるスペーシングによって、出力が変動(スペーシングロス)してしまうことがある。このようなスペーシングロスは、走行を繰り返すうちに電磁変換特性が低下する原因となる。そこで、上記のような繰り返し走行中の摩擦係数増加を防ぐために、従来、磁性層表面や磁性層中に潤滑剤を添加すること、詳しくは、磁性層表面に潤滑剤を塗布(いわゆるオーバーコート)することや、潤滑剤を含む磁性層形成用組成物を用いて磁性層を形成することが行われていた(例えば特許文献1参照)。
特開2008−243317号公報
ところで、磁気テープについては、磁気テープカートリッジ1巻あたりの記録容量を高めるためには、磁気テープの総厚を薄くして(即ち、磁気テープを薄型化して)磁気テープカートリッジ1巻に収められるテープ全長を長くすべきである。
更に、磁気テープについては、様々な環境下で使用されることを想定して性能改善を検討すべきである。磁気テープは、例えば梅雨時などには高湿環境下に置かれることになるのに対し、湿度管理されたデータセンター等の低湿環境下で使用されることもあるためである。
しかるに本発明者らが検討したところ、従来行われてきたように潤滑剤を磁性層表面や磁性層中に添加することでは、特に、総厚を4.80μm以下に薄型化した磁気テープにおいては、低湿環境下(例えば相対湿度15%程度)および高湿環境下(例えば相対湿度80%程度)の両湿度環境下で、繰り返し走行における電磁変換特性の低下を抑制することは困難であることが判明した。
そこで本発明の目的は、総厚4.80μm以下に薄型化された磁気テープであって、低湿環境下および高湿環境下の両湿度環境下での繰り返し走行における電磁変換特性の低下が抑制された磁気テープを提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、以下の磁気テープ:
非磁性支持体上に非磁性粉末および結合剤を含む非磁性層を有し、非磁性層上に強磁性粉末および結合剤を含む磁性層を有する磁気テープであって、
磁気テープ総厚が4.80μm以下であり、
脂肪酸および脂肪酸アミドからなる群から選ばれる成分の一種以上を、少なくとも磁性層に含み、かつ
磁気テープの磁性層側の表面にて光電子取り出し角10度で行われるX線光電子分光分析により得られるC1sスペクトルにおけるC−Hピーク面積率から算出されるC−H由来C濃度が、45原子%以上である磁気テープ、
を見出すに至った。上記磁気テープは、総厚4.80μm以下の薄型化された磁気テープであるにもかかわらず、低湿環境下および高湿環境下の両湿度環境下において走行を繰り返しても良好な電磁変換特性を発揮することができる。この点に関する本発明者らによる推察は、後述する。
一態様では、上記C−H由来C濃度は、45〜80原子%の範囲である。
一態様では、上記C−H由来C濃度は、45〜70原子%の範囲である。
一態様では、上記C−H由来C濃度は、50〜65原子%の範囲である。
一態様では、磁性層および非磁性層は、それぞれ脂肪酸および脂肪酸アミドからなる群から選ばれる成分の一種以上を含む。
一態様では、磁性層および非磁性層の一方または両方に、脂肪酸エステルが更に含まれる。
一態様では、上記磁気テープは、磁性層および非磁性層とは反対側の非磁性支持体上にバックコート層を有する。
一態様では、上記磁気テープの磁性層側の表面にて非接触表面形状機により測定される中心線平均表面粗さRaは、1.8nm以下である。
一態様では、上記強磁性粉末は、強磁性六方晶フェライト粉末および強磁性金属粉末からなる群から選ばれる強磁性粉末である。
本発明の更なる態様は、上記磁気テープの製造方法であって、
非磁性層形成工程および磁性層形成工程を含み、
非磁性層形成工程は、
脂肪酸および脂肪酸アミドからなる群から選ばれる成分の一種以上、非磁性粉末、結合剤および溶媒を含む非磁性層形成用組成物を非磁性支持体上に塗布することにより塗布層を形成する塗布工程、
上記塗布層を加熱処理により乾燥させる加熱乾燥工程、
を含み、かつ、
上記塗布工程と加熱乾燥工程との間に、上記塗布層を冷却する冷却工程を更に含む磁気テープの製造方法、
に関する。
一態様では、上記冷却工程は、上記塗布層を−10℃〜0℃の冷却雰囲気下に置くことにより行われる。
一態様では、非磁性層形成用組成物に含まれる溶媒は、ケトン溶媒を含む。
一態様では、磁性層形成工程は、
強磁性粉末、結合剤および溶媒を含む磁性層形成用組成物を非磁性層上に塗布することにより塗布層を形成する塗布工程、
上記塗布層を加熱処理により乾燥させる加熱乾燥工程、
を含む。
一態様では、磁性層形成用組成物は、脂肪酸および脂肪酸アミドからなる群から選ばれる成分の一種以上を更に含む。
一態様では、非磁性層形成用組成物および磁性層形成用組成物の一方または両方に、脂肪酸エステルが更に含まれる。
本発明の一態様によれば、総厚4.80μm以下に薄型化されているため記録容量の向上に寄与することができる磁気テープであって、低湿環境下および高湿環境下の両湿度環境下において、繰り返し走行における電磁変換特性の低下が抑制された磁気テープを提供することができる。
磁気テープ製造工程の具体的態様の一例(工程概略図)を示す。
本発明の磁気テープは、非磁性支持体上に非磁性粉末および結合剤を含む非磁性層を有し、非磁性層上に強磁性粉末および結合剤を含む磁性層を有する磁気テープであって、磁気テープ総厚が4.80μm以下であり、脂肪酸および脂肪酸アミドからなる群から選ばれる成分の一種以上を、少なくとも磁性層に含み、かつ磁気テープの磁性層側の表面にて光電子取り出し角10度で行われるX線光電子分光分析により得られるC1sスペクトルにおけるC−Hピーク面積率から算出されるC−H由来C濃度が45原子%以上である磁気テープである。
X線光電子分光分析は、一般にESCA(Electron Spectroscopy for Chemical Analysis)またはXPS(X-ray Photoelectron Spectroscopy)とも呼ばれる分析法である。以下において、X線光電子分光分析を、ESCAとも記載する。ESCAは、測定対象試料表面にX線を照射すると光電子が放出されることを利用する分析法であり、測定対象試料の表層部の分析法として広く用いられている。ESCAによれば、測定対象試料表面における分析により取得されるX線光電子分光スペクトルを用いて定性分析および定量分析を行うことができる。試料表面から分析位置までの深さ(以下、「検出深さ」とも記載する。)と光電子取り出し角(take-off angle)との間には、一般に次の式:検出深さ≒電子の平均自由行程×3×sinθ、が成立する。式中、検出深さは、X線光電子分光スペクトルを構成する光電子の95%が発生する深さであり、θは光電子取り出し角である。上記の式から、光電子取り出し角が小さいほど試料表面からの深さが浅い部分が分析でき、光電子取り出し角が大きいほど深い部分が分析できることがわかる。そして光電子取り出し角10度でのESCAによる分析では、通常、試料表面から深さ数nm程度のごく表層部が分析位置になる。したがって、磁気テープの磁性層側の表面にて光電子取り出し角10度で行われるESCAによる分析によれば、磁性層表面から深さ数nm程度のごく表層部の組成分析を行うことができる。
一方、C−H由来C濃度とは、ESCAによる定性分析により検出される全元素の合計(原子基準)100原子%に対して、C−H結合を構成している炭素原子Cが占める割合である。上記磁気テープは、少なくとも磁性層に、脂肪酸および脂肪酸アミドからなる群から選ばれる成分の一種以上を含む。脂肪酸および脂肪酸アミドは、それぞれ磁気テープにおいて潤滑剤として機能することのできる成分である。これら成分の一種以上を少なくとも磁性層に含む磁気テープにおいて、光電子取り出し角10度でのESCAによる分析により得られるC−H由来C濃度は、磁性層のごく表層部における上記成分(脂肪酸および脂肪酸アミドからなる群から選ばれる成分の一種以上)の存在量の指標になるものであると、本発明者らは考えている。詳しくは、次の通りである。ESCAによる分析により得られるX線光電子分光スペクトル(横軸:結合エネルギー、縦軸:強度)の中で、C1sスペクトルは、炭素原子Cの1s軌道のエネルギーピークに関する情報を含んでいる。かかるC1sスペクトルにおいて、結合エネルギー284.6eV付近に位置するピークが、C−Hピークである。このC−Hピークは、有機化合物のC−H結合の結合エネルギーに由来するピークである。脂肪酸および脂肪酸アミドからなる群から選ばれる成分の一種以上を含む磁性層のごく表層部では、C−Hピークの主要構成成分が脂肪酸および脂肪酸アミドからなる群から選ばれる成分であると本発明者らは推察しており、そのため先に記載したように存在量の指標とすることができると本発明者らは考えている。
以下において、上記の光電子取り出し角10度で行われるX線光電子分光分析により得られるC1sスペクトルにおけるC−Hピーク面積率から算出されるC−H由来C濃度を、「表層部C−H由来C濃度」とも記載する。
そして、表層部C−H由来C濃度が45原子%以上の磁気テープは、総厚が4.80μm以下に薄型化されていても、低湿環境下および高湿環境下の両湿度環境下において、走行を繰り返しても良好な電磁変換特性を示すことができることが、本発明者らの検討の結果、明らかとなった。これは、少なくとも磁性層に脂肪酸および脂肪酸アミドからなる群から選ばれる成分の一種以上を含み、かつ表層部C−H由来C濃度が45原子%以上の磁気テープは、磁性層のごく表層部に、脂肪酸および脂肪酸アミドからなる群から選ばれる成分の一種以上が従来の磁気テープよりも多量に存在するからではないかと、本発明者らは考えている。これに対し、例えば前述の特許文献1には、磁性層表面に潤滑剤を塗布(オーバーコート)することにより磁性層表面上に潤滑剤層を形成することが記載されているが、本発明者らの検討によれば、オーバーコートされた潤滑剤が磁性層内部に浸透するためか、特許文献1に記載の技術では、表層部C−H由来C濃度が45原子%以上の磁気テープを得ることは困難であった。
以上が、上記磁気テープが、総厚4.80μm以下に薄型化された磁気テープであるにもかかわらず、低湿環境下および高湿環境下の両湿度環境下において、走行を繰り返しても良好な電磁変換特性を発揮することが可能な理由についての本発明者らによる推察である。ただし上記は推察に過ぎず、本発明を何ら限定するものではない。
以下、上記磁気テープについて、更に詳細に説明する。
<表層部C−H由来C濃度>
上記磁気テープの表層部C−H由来C濃度は、45原子%以上である。低湿環境下および高湿環境下の両湿度環境下において、繰り返し走行における電磁変換特性低下をより抑制する観点からは、48原子%以上であることが好ましく、50原子%以上であることが更に好ましい。なお本発明者らの検討によれば、表層部C−H由来C濃度が高いほど、繰り返し走行における電磁変換特性低下の点から好ましいという傾向が見られた。したがって、この点からは、表層部C−H由来C濃度の上限は限定されるものではない。一例として、例えば上限は、95原子%以下、90原子%以下、85原子%以下、80原子%以下、または75原子%以下であることができる。他方、本発明者らの検討によれば、表層部C−H由来C濃度が70原子%以下であることが、磁性層側表面の平滑性の高い磁気テープを得る観点からは好ましい。この点からは、表層部C−H由来C濃度は、70原子%以下であることが好ましい。より好ましくは65原子%以下である。
先に記載したように、表層部C−H由来C濃度は、ESCAによる分析により求められる値である。分析を行う領域は、磁気テープの磁性層側表面の任意の位置の300μm×700μmの領域とする。ESCAによるワイドスキャン測定(パスエネルギー:160eV、スキャン範囲:0〜1200eV、エネルギー分解能:1eV/step)により定性分析を行う。次いで、定性分析により検出された全元素のスペクトルをナロースキャン測定(パスエネルギー:0eV、エネルギー分解能:0.1eV、スキャン範囲:測定するスペクトルの全体が入るように元素毎に設定。)により求める。こうして得られた各スペクトルにおけるピーク面積から、各元素の原子濃度(atomic concentration、単位:原子%)を算出する。ここでC1sスペクトルのピーク面積から炭素原子の原子濃度(C濃度)も算出される。
更に、C1sスペクトルを取得する(パスエネルギー:10eV、スキャン範囲:276〜296eV、エネルギー分解能:0.1eV/step)。取得したC1sスペクトルを、ガウス−ローレンツ複合関数(ガウス成分70%、ローレンツ成分30%)による非線形最小二乗法によってフィッティング処理し、C1sスペクトルにおけるC−H結合のピークをピーク分離し、分離されたC−HピークのC1sスペクトルに占める割合(ピーク面積率)を算出する。算出されたC−Hピーク面積率を、上記のC濃度に掛けることにより、C−H由来C濃度を算出する。
以上の処理を磁気テープの磁性層側表面の異なる位置において3回行い得られた値の算術平均を、表層部C−H由来C濃度とする。また、以上の処理の具体的態様を、後述の実施例に示す。
以上説明した表層部C−H由来C濃度を45原子%以上に調整するための好ましい手段としては、詳細を後述するように非磁性層形成工程において冷却工程を実施することを挙げることができる。ただし本発明の磁気テープは、かかる冷却工程を経て製造されたものに限定されるものではない。
<脂肪酸、脂肪酸アミド>
上記磁気テープは、脂肪酸および脂肪酸アミドからなる群から選ばれる成分の一種以上を、少なくとも磁性層に含む。磁性層には、脂肪酸および脂肪酸アミドの一方のみが含まれていてもよく、両方が含まれていてもよい。先に記載したように、これら成分が磁性層のごく表層部に多量に存在することが、総厚4.80μm以下に薄型化された磁気テープの低湿環境下および高湿環境下の両湿度環境下での繰り返し走行における電磁変換特性低下を抑制することに寄与していると、本発明者らは考えている。また、脂肪酸および脂肪酸アミドからなる群から選ばれる成分の一種以上は、非磁性層に含まれていてもよい。
脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ベヘン酸、エルカ酸、エライジン酸等を挙げることができ、ステアリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸が好ましく、ステアリン酸がより好ましい。なお脂肪酸は、金属塩等の塩の形態で磁性層に含まれていてもよい。
脂肪酸アミドとしては、各種脂肪酸のアミド、例えば、ラウリン酸アミド、ミリスチン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド等を挙げることができる。
脂肪酸と脂肪酸の誘導体(アミドおよび後述のエステル等)については、脂肪酸誘導体の脂肪酸由来部位は、併用される脂肪酸と同様または類似の構造を有することが好ましい。例えば、一例として、脂肪酸としてステアリン酸を用いる場合にステアリン酸アミドやステアリン酸エステルを使用することは好ましい。
脂肪酸量は、磁性層形成用組成物における含有量として、強磁性粉末100.0質量部あたり、例えば0.1〜10.0質量部であり、好ましくは1.0〜7.0質量部である。なお磁性層形成用組成物に2種以上の異なる脂肪酸を添加する場合、含有量とは、それらの合計含有量をいうものとする。この点は、本明細書において、特記しない限り、他の成分の含有量についても同様とする。
磁性層形成用組成物中の脂肪酸アミド含有量は、強磁性粉末100.0質量部あたり、例えば0.1〜3.0質量部であり、好ましくは 0.1〜1.0質量部である。
一方、非磁性層形成用組成物中の脂肪酸含有量は、非磁性粉末100.0質量部あたり、例えば1.0〜10.0質量部であり、好ましくは1.0〜7.0質量部である。また、非磁性層形成用組成物中の脂肪酸アミド含有量は、非磁性粉末100.0質量部あたり、例えば0.1〜3.0質量部であり、好ましくは0.1〜1.0質量部である。
<脂肪酸エステル>
磁性層および詳細を後述する非磁性層の一方または両方には、脂肪酸エステルが含まれていてもよく、含まれなくてもよい。
なお繰り返し走行における電磁変換特性の低下の一因としては、前述の磁性層側表面の削れ屑によって生じたスペーシングロスが挙げられる。高湿環境下での繰り返し走行における電磁変換特性の低下の主な要因は、この点であると本発明者らは推察している。一方、低湿環境下での繰り返し走行における電磁変換特性低下の主な要因は、低湿環境下では、理由は明らかではないが磁性層側表面のヘッド付着物を除去する性能(ヘッドクリーニング能)が低下することにあると本発明者らは考えている。
以上の要因による電磁変換特性の低下を抑制することに、脂肪酸および脂肪酸アミドからなる群から選ばれる成分が寄与すると本発明者らは推察している。これに対し、脂肪酸エステルも潤滑剤として機能し得る成分であるが、上記要因による電磁変換特性の低下については影響を及ぼさない(または及ぼすとしてもわずかである)と本発明者らは推察している。潤滑剤は、一般に流体潤滑剤と境界潤滑剤とに大別される。そして脂肪酸エステルは流体潤滑剤として機能し得る成分と言われるのに対し、脂肪酸アミドおよび脂肪酸は、境界潤滑剤として機能し得る成分と言われている。境界潤滑剤は、粉末(例えば強磁性粉末)の表面に吸着し強固な潤滑膜を形成することで接触摩擦を下げることのできる潤滑剤と考えられる。一方、流体潤滑剤は、それ自身が磁性層表面に液膜を形成し、この液膜の流動により摩擦を下げることのできる潤滑剤と考えられる。このように脂肪酸および脂肪酸アミドとは潤滑剤としての作用が異なると考えられることが、脂肪酸エステルが、脂肪酸および脂肪酸アミドとは上記要因による電磁変換特性の低下に与える影響が異なる理由ではないかと、本発明者らは考えている。脂肪酸エステルは、一般に磁気テープの走行耐久性を向上することに寄与する潤滑剤と言われているため、例えば耐傷性向上のために磁性層および詳細を後述する非磁性層の一方または両方に脂肪酸エステルが含まれていてもよい。
脂肪酸エステルとしては、上記の各種脂肪酸のエステル、例えば、ミリスチン酸ブチル、パルミチン酸ブチル、ステアリン酸ブチル(ブチルステアレート)、ネオペンチルグリコールジオレエート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンジステアレート、ソルビタントリステアレート、オレイン酸オレイル、ステアリン酸イソセチル、ステアリン酸イソトリデシル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸イソオクチル、ステアリン酸アミル、ステアリン酸ブトキシエチル等を挙げることができる。
脂肪酸エステル量は、磁性層形成用組成物における含有量として、強磁性粉末100.0質量部あたり、例えば0〜10.0質量部であり、好ましくは1.0〜7.0質量部である。
また、非磁性層形成用組成物中の脂肪酸エステル含有量は、非磁性粉末100.0質量部あたり、例えば0〜10.0質量部であり、好ましくは1.0〜7.0質量部である。
次に、上記磁気テープの磁性層、非磁性層等について、更に詳細に説明する。
<磁性層>
(強磁性粉末)
強磁性粉末としては、磁気テープの磁性層において強磁性粉末として通常用いられる各種粉末を使用することができる。強磁性粉末として平均粒子サイズの小さいものを使用することは、磁気テープの記録密度向上の観点から好ましい。この点から、強磁性粉末としては、平均粒子サイズが50nm以下の強磁性粉末を用いることが好ましい。一方、磁化の安定性の観点からは、強磁性粉末の平均粒子サイズは10nm以上であることが好ましい。
上記強磁性粉末の平均粒子サイズは、透過型電子顕微鏡を用いて、以下の方法により測定する値とする。
強磁性粉末を、透過型電子顕微鏡を用いて撮影倍率100000倍で撮影し、総倍率500000倍になるように印画紙にプリントして強磁性粉末を構成する粒子の写真を得る。得られた粒子の写真から目的の粒子を選びデジタイザーで粒子の輪郭をトレースし粒子(一次粒子)のサイズを測定する。一次粒子とは、凝集のない独立した粒子をいう。
以上の測定を、無作為に抽出した500個の粒子について行う。こうして得られた500個の粒子の粒子サイズの算術平均を、強磁性粉末の平均粒子サイズとする。上記透過型電子顕微鏡としては、例えば日立製透過型電子顕微鏡H−9000型を用いることができる。また、粒子サイズの測定は、公知の画像解析ソフト、例えばカールツァイス製画像解析ソフトKS−400を用いて行うことができる。
本発明において、強磁性粉末、およびその他の粉末についての平均粒子サイズとは、特記しない限り、上記方法により求められる平均粒子サイズをいうものとする。後述の実施例に示す平均粒子サイズの測定は、透過型電子顕微鏡として日立製透過型電子顕微鏡H−9000型、画像解析ソフトとしてカールツァイス製画像解析ソフトKS−400を用いて行った。
なお、粒子サイズ測定のために磁性層から強磁性粉末等の試料粉末を採取する方法としては、例えば特開2011−048878号公報の段落0015に記載の方法を採用することができる。
本発明において、強磁性粉末等の粉末を構成する粒子のサイズ(以下、「粒子サイズ」と言う)は、上記の粒子写真において観察される粒子の形状が、
(1)針状、紡錘状、柱状(ただし、高さが底面の最大長径より大きい)等の場合は、粒子を構成する長軸の長さ、即ち長軸長で表され、
(2)板状または柱状(ただし、厚さまたは高さが板面または底面の最大長径より小さい)場合は、その板面または底面の最大長径で表され、
(3)球形、多面体状、不特定形等であって、かつ形状から粒子を構成する長軸を特定できない場合は、円相当径で表される。円相当径とは、円投影法で求められるものを言う。
また、粉末の平均針状比は、上記測定において粒子の短軸の長さ、即ち短軸長を測定し、各粒子の(長軸長/短軸長)の値を求め、上記500個の粒子について得た値の算術平均を指す。ここで、短軸長とは、上記粒子サイズの定義で(1)の場合は、粒子を構成する短軸の長さを、同じく(2)の場合は、厚さまたは高さを各々指し、(3)の場合は、長軸と短軸の区別がないから、(長軸長/短軸長)は、便宜上1とみなす。
そして、粒子の形状が特定の場合、例えば、上記粒子サイズの定義(1)の場合、平均粒子サイズは平均長軸長であり、同定義(2)の場合、平均粒子サイズは平均板径であり、平均板状比とは、(最大長径/厚さまたは高さ)の算術平均である。同定義(3)の場合、平均粒子サイズは、平均直径(平均粒径、平均粒子径ともいう)である。
強磁性粉末の好ましい具体例としては、強磁性六方晶フェライト粉末を挙げることができる。強磁性六方晶フェライト粉末の平均粒子サイズ(平均板径)は、高密度記録化と磁化の安定性の観点から、10nm以上50nm以下であることが好ましく、20nm以上50nm以下であることがより好ましい。強磁性六方晶フェライト粉末の詳細については、例えば、特開2011−225417号公報段落0012〜0030、特開2011−216149号公報の段落0134〜0136、特開2012−204726号公報段落0013〜0030を参照できる。
強磁性粉末の好ましい具体例としては、強磁性金属粉末を挙げることもできる。強磁性金属粉末の平均粒子サイズ(平均長軸長)は、高密度記録化と磁化の安定性の観点から、10nm以上50nm以下であることが好ましく、20nm以上50nm以下であることがより好ましい。強磁性金属粉末の詳細については、例えば特開2011−216149号公報の段落0137〜0141、特開2005−251351号公報段落0009〜0023を参照できる。
(結合剤、硬化剤)
本発明の磁気テープは塗布型磁気テープであって、磁性層に、強磁性粉末とともに結合剤を含む。結合剤としては、ポリウレタン樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩化ビニル系樹脂、スチレン、アクリロニトリル、メチルメタクリレートなどを共重合したアクリル系樹脂、ニトロセルロースなどのセルロース系樹脂、エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラールなどのポリビニルアルキラール樹脂などから単独または複数の樹脂を混合して用いることができる。これらの中で好ましいものはポリウレタン樹脂、アクリル系樹脂、セルロース系樹脂、塩化ビニル系樹脂である。これらの樹脂は、後述する非磁性層においても結合剤として使用することができる。以上の結合剤については、特開2010−24113号公報段落0028〜0031を参照できる。また、上記結合剤として使用可能な樹脂とともに硬化剤を使用することもできる。硬化剤としては、ポリイソシアネートが好適である。ポリイソシアネートの詳細については、特開2011−216149号公報段落0124〜0125を参照できる。硬化剤は、磁性層形成用組成物中に、結合剤100.0質量部に対して例えば0〜80.0質量部、塗膜強度向上の観点からは好ましくは50.0〜80.0質量部の量で添加し使用することができる。
(添加剤)
磁性層には、必要に応じて添加剤を加えることができる。添加剤としては、研磨剤、分散剤・分散助剤、防黴剤、帯電防止剤、酸化防止剤、カーボンブラックなどを挙げることができる。添加剤は、所望の性質に応じて市販品を適宜選択して使用することができる。
ところで、データバックアップテープ等の高密度記録用磁気テープには、磁性層側表面の平滑性を高めることが望まれている。磁性層側表面の平滑性を高めることによりスペーシングロスを低減することができ、その結果、高密度記録された信号の再生時に良好な電磁変換特性を得ることができるからである。以上の観点から、本発明の磁気テープも、磁性層の表面平滑性が高いことが好ましい。
磁気テープの磁性層側表面の表面平滑性の指標としては、一態様では、磁気テープの磁性層側表面において非接触表面形状測定機により測定される中心線平均表面粗さRaを用いることができる。非接触表面形状測定機により測定される中心線平均表面粗さRaは、20倍の対物レンズを使用して磁気テープの磁性層側表面の面積350μm×260μmの領域において測定される中心線平均表面粗さRaをいうものとする。非接触表面形状測定機としては、例えば光学式三次元粗さ計を用いることができる。測定装置の一例としては、非接触光学式粗さ測定機Zygo社製NEWVIEW(登録商標)5022を用いることができる。
上記磁気テープの磁性層表面において非接触表面形状測定機により測定される中心線平均表面粗さRaは、スペーシングロス低減の観点からは、1.8nm以下であることが好ましく、1.7nm以下であることがより好ましく、1.6nm以下であることが更に好ましく、1.5nm以下であることが一層好ましい。なお走行安定性の観点からは、上記Raは0.2nm以上であることが好ましい。
先に記載したように、表層部C−H由来C濃度を、好ましくは70原子%以下とすること、より好ましくは65原子%以下とすることは、磁気テープの磁性層側表面の表面平滑性を高める観点から好ましい。
また、磁気テープの磁性層側表面の表面平滑性向上の手段の1つとしては、磁性層において研磨剤の分散性を高めることが挙げられる。そのためには、磁性層形成用組成物の調製において、研磨剤を、強磁性粉末と別分散することが好ましく、強磁性粉末をはじめとする各種の粒状または粉末状成分と別分散することがより好ましい。
また、磁気テープの磁性層側表面の表面平滑性向上の手段の1つとして、研磨剤の分散性を高めるための成分(研磨剤用分散剤)の使用も挙げられる。そのような成分としては、フェノール性ヒドロキシル基を有する芳香族炭化水素化合物を挙げることができる。フェノール性ヒドロキシル基とは、芳香族環に直接結合したヒドロキシル基をいう。
フェノール性ヒドロキシル基を有する芳香族炭化水素化合物に含まれる芳香環は、単環であってもよく、多環構造であってもよく、縮合環であってもよい。研磨剤の分散性向上の点からは、ベンゼン環またはナフタレン環を含む芳香族炭化水素化合物が好ましい。また、上記芳香族炭化水素化合物は、フェノール性ヒドロキシル基以外の置換基を持っていてもよい。フェノール性ヒドロキシル基以外の置換基としては、化合物の入手容易性等の観点からは、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、アシル基、ニトロ基、ニトロソ基、ヒドロキシアルキル基、等を挙げることができる。また、フェノール性ヒドロキシル基以外の置換基を有する化合物については、ハメットの置換基定数が0.4以下の電子供与性を示す置換基を有する化合物が研磨剤の分散性に有利な傾向が見られる。この点から好ましい置換基としては、ハロゲン原子以上の電子供与性を示すもの、より詳しくは、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、ヒドロキシアルキル基、を挙げることができる。
上記芳香族炭化水素化合物に含まれるフェノール性ヒドロキシル基は、1つであってもよく、2つ、3つ、またはそれ以上であってもよい。芳香族炭化水素化合物が有する芳香環がナフタレン環の場合には、2つまたはそれ以上のフェノール性ヒドロキシル基が含まれることが好ましく、2つ含まれることがより好ましい。そのような化合物としては、特開2013−229090号公報の一般式(1)で表されるナフタレン環含有化合物を挙げることができる。特開2013−229090号公報の一般式(1)で表されるナフタレン環含有化合物の詳細については、同公報段落0028〜0030を参照できる。一方、一方、芳香環としてベンゼン環を含む芳香族炭化水素化合物は、フェノール性ヒドロキシル基を1つ以上含むことが好ましく、1つまたは2つ含むことがより好ましい。そのような化合物としては、特開2013−229090号公報の一般式(2)で表されるベンゼン環含有化合物を挙げることができる。特開2013−229090号公報の一般式(2)で表されるベンゼン環含有化合物の詳細については、同公報段落0032〜0034を参照できる。
フェノール性ヒドロキシル基を有する芳香族炭化水素化合物は、1種または2種以上を用いることができる。使用量は、研磨剤100.0質量部に対して、例えば2.0〜20.0質量部程度とすることが好ましい。
研磨剤としては、モース硬度8超の無機粉末を使用することが好ましく、モース硬度9以上の無機粉末を使用することがより好ましい。なおモース硬度の最大値は、ダイヤモンドの10である。具体的には、アルミナ(Al)、炭化珪素、ボロンカーバイド(BC)、TiC、酸化セリウム、酸化ジルコニウム(ZrO)、ダイヤモンド粉末を挙げることができ、中でもアルミナが好ましい。アルミナは、上記のフェノール性ヒドロキシル基を有する芳香族炭化水素化合物との組み合わせにおいて、特に良好な分散性向上を達成することができる点でも好ましい研磨剤である。アルミナについては、特開2013−229090号公報の段落0021も参照できる。また、研磨剤の粒子のサイズの指標としては、比表面積を用いることができる。比表面積が大きいほど粒子サイズが小さいことを意味する。磁性層表面の平滑性向上の観点からは、BET法によって測定された比表面積(BET比表面積)として、14m/g以上の研磨剤を使用することが好ましい。また、分散性の観点からは、BET比表面積が40m/g以下の研磨剤を用いることが好ましい。磁性層における研磨剤の含有量は、強磁性粉末100.0質量部に対して1.0〜20.0質量部であることが好ましい。
また、磁性層には、粒状の非磁性物質(非磁性粒子)を含めることもできる。磁気テープの磁性層側表面の表面平滑性を高める観点からは、非磁性粒子はコロイド粒子(非磁性コロイド粒子)であることが好ましい。非磁性コロイド粒子の平均一次粒子サイズは、好ましくは50〜200nmである。なお本発明において非磁性コロイド粒子の平均一次粒子サイズは、特開2011−48878号公報段落0015に記載の方法により求められる値とする。非磁性コロイド粒子としては、無機コロイド粒子が好ましく、無機酸化物コロイド粒子がより好ましく、単分散のコロイド粒子の入手容易性の点から、シリカコロイド粒子(コロイダルシリカ)が特に好ましい。非磁性コロイド粒子の詳細については、特開2011−48878号公報段落0023を参照できる。磁性層における非磁性コロイド粒子の含有量は、好ましくは強磁性粉末100.0質量部に対して0.5〜5.0質量部であり、より好ましくは1.0〜3.0質量部である。
以上説明した磁性層は、非磁性支持体上に、非磁性層を介して設けられる。非磁性層、非磁性支持体の詳細については、後述する。
<非磁性層>
次に非磁性層について説明する。本発明の磁気テープは、非磁性支持体と磁性層との間に、非磁性粉末と結合剤を含む非磁性層を有する。非磁性層に使用される非磁性粉末は、無機物質でも有機物質でもよい。また、カーボンブラック等も使用できる。無機物質としては、例えば金属、金属酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物などが挙げられる。これらの非磁性粉末は、市販品として入手可能であり、公知の方法で製造することもできる。その詳細については、特開2011−216149号公報段落0146〜0150を参照できる。非磁性層に使用可能なカーボンブラックについては、特開2010−24113号公報段落0040〜0041も参照できる。
非磁性層に含まれ得る脂肪酸、脂肪酸アミド、脂肪酸エステルについては、先に記載した通りである。また、 非磁性層の結合剤、添加剤、分散方法その他は、磁性層のそれが適用できる。特に、結合剤量および種類、添加剤量および種類に関しては磁性層に関する公知技術が適用できる。
非磁性層は、詳細を後述するように、非磁性層形成用組成物を非磁性層上に塗布および乾燥させることにより形成することができる。非磁性層形成用組成物は、通常、溶媒を一種以上含む。溶媒としては、一般に塗布型磁気記録媒体製造のために使用される各種有機溶媒を挙げることができる。具体的には、任意の比率でアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン、テトラヒドロフラン、等のケトン類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルシクロヘキサノールなどのアルコール類、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、乳酸エチル、酢酸グリコール等のエステル類、グリコールジメチルエーテル、グリコールモノエチルエーテル、ジオキサンなどのグリコールエーテル系、ベンゼン、トルエン、キシレン、クレゾール、クロルベンゼンなどの芳香族炭化水素類、メチレンクロライド、エチレンクロライド、四塩化炭素、クロロホルム、エチレンクロルヒドリン、ジクロルベンゼン等の塩素化炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサン等を使用することができる。中でも、塗布型磁気記録媒体に通常使用される結合剤の溶解性の観点からは非磁性層形成用組成物には、ケトン溶媒の一種以上が含まれることが好ましい。なお非磁性層形成用組成物における溶媒量は特に限定されるものではなく、通常の塗布型磁気記録媒体の非磁性層形成用組成物と同様にすることができる。
また、磁性層形成用組成物等の各層形成用組成物に含まれ得る溶媒についても、上記記載を適用することができる。
<非磁性支持体>
次に、非磁性支持体について説明する。非磁性支持体としては、二軸延伸を行ったポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリアミドイミド、芳香族ポリアミド等の公知のものが挙げられる。これらの中でもポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミドが好ましい。これらの支持体はあらかじめコロナ放電、プラズマ処理、易接着処理、熱処理などを行ってもよい。
<層構成>
本発明の磁気テープにおける非磁性支持体および各層の厚みについては、非磁性支持体の厚みが、好ましくは3.00〜4.50μmである。磁性層の厚みは、用いる磁気ヘッドの飽和磁化量やヘッドギャップ長、記録信号の帯域により最適化されるものであるが、一般には0.01μm〜0.15μm(10nm〜150nm)であり、高密度記録化の観点から、好ましくは0.02μm〜0.12μm(20nm〜120nm)であり、更に好ましくは0.03μm〜0.10μm(30nm〜100nm)である。磁性層は少なくとも一層あればよく、磁性層を異なる磁気特性を有する2層以上に分離してもかまわず、公知の重層磁性層に関する構成が適用できる。
非磁性層の厚みは、例えば0.10〜1.50μmであり、0.10〜1.00μmであることが好ましい。なお、本発明における磁気テープの非磁性層には、非磁性粉末とともに、例えば不純物として、または意図的に、少量の強磁性粉末を含む実質的に非磁性な層も包含されるものとする。ここで実質的に非磁性な層とは、この層の残留磁束密度が10mT以下であるか、保磁力が7.96kA/m(100Oe)以下であるか、または、残留磁束密度が10mT以下であり、かつ保磁力が7.96kA/m(100Oe)以下である層をいうものとする。非磁性層は、残留磁束密度および抗磁力を持たないことが好ましい。
<バックコート層>
本発明の磁気テープは、非磁性支持体の磁性層を有する面とは反対の面にバックコート層を有することもできる。バックコート層には、カーボンブラックと無機粉末が含有されていることが好ましい。バックコート層形成のための結合剤、各種添加剤は、磁性層や非磁性層の処方を適用することができる。バックコート層の厚みは、0.90μm以下が好ましく、0.10〜0.70μmが更に好ましい。
<磁気テープの総厚>
磁気テープについては、記録容量向上の観点から、磁気テープカートリッジ1巻あたりの記録容量を高めるために磁気テープを薄型化することが望まれている。本発明の磁気テープは総厚が4.80μm以下であるため、記録容量向上の観点から好ましい磁気テープといえる。ただし先に記載したように、総厚が4.80μm以下の磁気テープでは、低湿環境下および高湿環境下の両湿度環境下での繰り返し走行において電磁変換特性が低下する現象が見られた。本発明者らは、この理由として、磁気テープの総厚が薄くなることで磁気テープの強度が低下し磁気テープが柔軟になる結果、総厚4.80μm超の磁気テープとは走行中の磁気テープ表面とヘッドとの接触状態が変わること等を考えているが、あくまでも推測に過ぎず、理由は明らかではない。そして本発明によれば、この点を脂肪酸および脂肪酸アミドからなる群から選ばれる成分の一種以上を少なくとも磁性層に含む磁気テープにおいて、表層部C−H由来C濃度を45原子%以上とすることにより解決することができる。磁気テープ総厚は、例えば4.50μm以下または4.30μm以下にすることもできるが、4.80μm以下であれば記録容量向上を十分に達成することができるため、4.50μm超であっても4.30μm超であってもよい。一方、磁気テープの取り扱いの容易性(ハンドリング性)等の観点からは、磁気テープの総厚さは1.0μm以上であることが好ましい。
なお磁気テープの各層および非磁性支持体の厚み、ならびに総厚は、公知の膜厚測定法により求めることができる。一例として、例えば、磁気テープの厚み方向の断面を、イオンビーム、ミクロトーム等の公知の手法により露出させた後、露出した断面において走査型電子顕微鏡による断面観察を行う。断面観察において厚み方向の1箇所において求められた厚み、または無作為に抽出した2箇所以上の複数箇所、例えば2箇所、において求められた厚みの算術平均として、各種厚みを求めることができる。または、各層の厚みは、製造条件から算出される設計厚みとして求めてもよい。
<製造工程>
(各層形成用組成物の調製)
磁性層、非磁性層またはバックコート層を形成するための組成物(塗布液)は、先に説明した各種成分とともに、通常、溶媒を含む。溶媒としては、塗布型磁気テープを製造するために一般に使用される各種有機溶媒を用いることができる。各層を形成するための組成物を調製する工程は、通常、少なくとも混練工程、分散工程、およびこれらの工程の前後に必要に応じて設けた混合工程からなる。個々の工程はそれぞれ2段階以上に分かれていてもかまわない。本発明で用いられる強磁性粉末、非磁性粉末、脂肪酸、脂肪酸アミド、結合剤、および任意に添加される各種添加剤、溶剤などすべての原料は、どの工程の最初または途中で添加してもかまわない。また、個々の原料を2つ以上の工程で分割して添加してもかまわない。磁性層形成用組成物の調製においては、先に記載した通り、研磨剤と強磁性粉末とを別分散することが好ましい。混練工程ではオープンニーダ、連続ニーダ、加圧ニーダ、エクストルーダなど強い混練力をもつものを使用することが好ましい。これらの混練処理の詳細については特開平1−106338号公報、特開平1−79274号公報に記載されている。また、各層形成用組成物を分散させるためには、ガラスビーズやその他のビーズを用いることができる。このような分散ビーズとしては、高比重の分散ビーズであるジルコニアビーズ、チタニアビーズ、スチールビーズが好適である。これら分散ビーズの粒径と充填率は最適化して用いることができる。分散機は公知のものを使用することができる。
(塗布工程、冷却工程、加熱乾燥工程)
磁性層は、磁性層形成用組成物を、非磁性層形成用組成物と逐次または同時に重層塗布することにより形成することができる。各層形成のための塗布の詳細については、特開2010−231843号公報段落0066を参照できる。
好ましい一態様では、本発明の磁気テープは、逐次重層塗布により製造することができる。逐次重層塗布による製造工程は、好ましくは次のように行うことができる。非磁性層を、非磁性層形成用組成物を非磁性支持体上に塗布することにより塗布層を形成する塗布工程、形成した塗布層を加熱処理により乾燥させる加熱乾燥工程を経て形成する。そして形成された非磁性層上に磁性層形成用組成物を塗布することにより塗布層を形成する塗布工程、形成した塗布層を加熱処理により乾燥させる加熱乾燥工程を経て、磁性層を形成する。
かかる逐次重層塗布による製造方法において、非磁性層形成工程を、塗布工程において脂肪酸および脂肪酸アミドからなる群から選ばれる成分の一種以上を含む非磁性層形成用組成物を用いて行い、かつ塗布工程と加熱乾燥工程との間に、塗布層を冷却する冷却工程を行うことは、脂肪酸および脂肪酸アミドからなる群から選ばれる成分の一種以上を少なくとも磁性層に含む磁気テープにおいて、表層部C−H由来C濃度を45原子%以上に調整するために好ましい。これは、理由は明らかではないが、加熱乾燥工程前に非磁性層形成用組成物の塗布層を冷却することにより、加熱乾燥工程における溶媒揮発時に上記成分(脂肪酸、脂肪酸アミド)が非磁性層表面に移行しやすくなるためではないかと、本発明者らは推察している。ただし推察に過ぎず、本発明を何ら限定するものではない。
即ち、本発明の一態様は、本発明の磁気テープの製造方法であって、
非磁性層形成工程および磁性層形成工程を含み、
非磁性層形成工程は、
脂肪酸および脂肪酸アミドからなる群から選ばれる成分の一種以上、非磁性粉末、結合剤および溶媒を含む非磁性層形成用組成物を非磁性支持体上に塗布することにより塗布層を形成する塗布工程、
塗布層を加熱処理により乾燥させる加熱乾燥工程、
を含み、かつ、
塗布工程と加熱乾燥工程との間に、塗布層を冷却する冷却工程を更に含む磁気テープの製造方法、
に関する。
また、磁性層形成工程では、強磁性粉末、結合剤および溶媒を含む磁性層形成用組成物を非磁性層上に塗布することにより塗布層を形成する塗布工程を行い、形成された塗布層を加熱処理により乾燥させる加熱乾燥工程を行うことができる。なお本発明の磁気テープは、脂肪酸および脂肪酸アミドからなる群から選ばれる成分の一種以上を少なくとも磁性層に含む。かかる磁気テープを製造するために、磁性層形成用組成物が、脂肪酸および脂肪酸アミドからなる群から選ばれる成分の一種以上を含むことが好ましい。ただし、磁性層形成用組成物に脂肪酸および脂肪酸アミドからなる群から選ばれる成分の一種以上を含むことは必須ではない。非磁性層形成用組成物に含まれていたこれら成分が非磁性層表面に移行した後に、この非磁性層上に磁性層形成用組成物を塗布して磁性層を形成することにより、脂肪酸および脂肪酸アミドからなる群から選ばれる成分の一種以上を含む磁性層を形成することができると考えられるためである。
以下、上記製造方法の具体的態様を、図1に基づき説明する。ただし本発明は、下記具体的態様に限定されるものではない。
図1は、非磁性支持体の一方の面に非磁性層と磁性層とをこの順に有し、他方の面にバックコート層を有する磁気テープを製造する工程の具体的態様を示す工程概略図である。図1に示す態様では、非磁性支持体(長尺フィルム)を、送り出し部から送り出し巻き取り部で巻き取る操作を連続的に行い、かつ図1に示されている各部または各ゾーンにおいて塗布、乾燥、配向等の各種処理を行うことにより、走行する非磁性支持体上の一方の面に非磁性層および磁性層を逐次重層塗布により形成し、他方の面にバックコート層を形成することができる。冷却ゾーンを含む点以外は、塗布型磁気記録媒体の製造のために通常行われる製造工程と同様にすることができる。
送り出し部から送り出された非磁性支持体上には、第一の塗布部において、非磁性層形成用組成物の塗布が行われる(非磁性層形成用組成物の塗布工程)。
上記塗布工程後、冷却ゾーンにおいて、塗布工程で形成された非磁性層形成用組成物の塗布層が冷却される(冷却工程)。例えば、上記塗布層を形成した非磁性支持体を冷却雰囲気中に通過させることにより、冷却工程を行うことができる。冷却雰囲気の雰囲気温度は、好ましくは−10℃〜0℃の範囲とすることができ、より好ましくは−5℃〜0℃の範囲とすることができる。冷却工程を行う時間(例えば、塗布層の任意の部分が冷却ゾーンに搬入されてから搬出されるまでの時間(以下において、「滞在時間」ともいう。)は特に限定されるものではないが、長くするほど表層部C−H由来C濃度が上昇する傾向があるため、45原子%以上の表層部C−H由来C濃度が実現できるように必要に応じて予備実験を行うなどして調整することが好ましい。なお冷却工程では、冷却した気体を塗布層表面に吹き付けてもよい。
冷却ゾーンの後、第一の加熱処理ゾーンでは、冷却工程後の塗布層を加熱することにより、塗布層を乾燥させる(加熱乾燥工程)。加熱乾燥処理は、冷却工程後の塗布層を有する非磁性支持体を加熱雰囲気中に通過させることにより行うことができる。ここでの加熱雰囲気の雰囲気温度は、例えば60〜140℃程度であるが、溶媒を揮発させて塗布層を乾燥させることができる温度とすればよく、上記範囲に限定されるものではない。また任意に、加熱した気体を塗布層表面に吹き付けてもよい。以上の点は、後述する第二加熱処理ゾーンにおける加熱乾燥工程および第三の加熱処理ゾーンにおける加熱乾燥工程についても、同様である。
次に、第二の塗布部において、第一の加熱処理ゾーンにて加熱乾燥工程を行い形成された非磁性層上に、磁性層形成用組成物が塗布される(磁性層形成用組成物の塗布工程)。
その後、磁性層形成用組成物の塗布層が湿潤状態にあるうちに、配向ゾーンにおいて塗布層中の強磁性粉末の配向処理が行われる。配向処理については、特開2010−231843号公報段落0067を参照できる。
配向処理後の塗布層は、第二の加熱処理ゾーンにおいて加熱乾燥工程に付される。
次いで、第三の塗布部において、非磁性支持体の非磁性層および磁性層が形成された面とは反対側の面に、バックコート層形成用組成物が塗布されて塗布層が形成される(バックコート層形成用組成物の塗布工程)。その後、第三の加熱処理ゾーンにおいて、上記塗布層を加熱処理し乾燥させる。
以上により、非磁性支持体の一方の面に非磁性層および磁性層をこの順に有し、他方の面にバックコート層を有する磁気テープを得ることができる。得られた磁気テープは、巻き取り部に巻き取られた後に、任意に各種後処理(カレンダー処理等の各種表面処理等)に付されてもよい。これらの後処理については、塗布型磁気記録媒体の製造に関する公知技術を何ら制限なく適用することができる。また、通常、任意に各種後処理を行った後に行われる裁断工程については、例えば特開2010−231843号公報段落0069を参照できる。
以上説明した本発明の磁気テープは、低湿環境下および高湿環境下の両湿度環境下で使用される磁気テープとして好適である。
以下に、本発明を実施例に基づき説明する。但し、本発明は実施例に示す態様に限定されるものではない。なお、以下に記載の「部」、「%」の表示は、特に断らない限り、「質量部」、「質量%」を示す。
以下に記載の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって、下記測定条件により測定されるポリスチレン換算による値である。
GPC装置:HLC−8120(東ソー製):
カラム:TSK gel Multipore HXL−M(東ソー製、7.8mmID(内径)×30.0cm)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
[実施例1〜14、比較例1〜13]
1.アルミナ分散物の調製
アルファ化率約65%、BET比表面積20m/gのアルミナ粉末(住友化学社製HIT−80)100.0部に対し、3.0部の2,3−ジヒドロキシナフタレン(東京化成製)、極性基としてSONa基を有するポリエステルポリウレタン樹脂(東洋紡(登録商標)製UR−4800(極性基量:80meq/kg))の32%溶液(溶媒はメチルエチルケトンとトルエンの混合溶媒)を31.3部、溶媒としてメチルエチルケトンとシクロヘキサノン1:1(質量比)の混合溶液570.0部を混合し、ジルコニアビーズ存在下で、ペイントシェーカーにより5時間分散させた。分散後、メッシュにより分散液とビーズとを分け、アルミナ分散物を得た。
2.磁性層形成用組成物処方
(磁性液)
強磁性粉末 100.0部
強磁性六方晶バリウムフェライト粉末または強磁性金属粉末(表5参照)
SONa基含有ポリウレタン樹脂 14.0部
重量平均分子量:70,000、SONa基:0.2meq/g
シクロヘキサノン 150.0部
メチルエチルケトン 150.0部
(研磨剤液)
上記1.で調製したアルミナ分散物 6.0部
(シリカゾル)
コロイダルシリカ(平均粒子サイズ120nm) 2.0部
メチルエチルケトン 1.4部
(その他成分)
ステアリン酸 表5参照
ステアリン酸アミド 表5参照
ブチルステアレート 表5参照
ポリイソシアネート(日本ポリウレタン社製コロネート(登録商標))2.5部
(仕上げ添加溶媒)
シクロヘキサノン 200.0部
メチルエチルケトン 200.0部
表5中、BaFeは平均粒子サイズ(平均板径)21nmの強磁性六方晶バリウムフェライト粉末、MPは平均粒子サイズ(平均長軸長)30nmの強磁性金属粉末である。
3.非磁性層形成用組成物処方
非磁性無機粉末:α−酸化鉄 100.0部
平均粒子サイズ(平均長軸長):0.15μm
平均針状比:7
BET比表面積:52m/g
カーボンブラック 20.0部
平均粒子サイズ:20nm
SONa基含有ポリウレタン樹脂 18.0部
重量平均分子量:70,000、SONa基:0.2meq/g
ステアリン酸 表5参照
ステアリン酸アミド 表5参照
ブチルステアレート 表5参照
シクロヘキサノン 300.0部
メチルエチルケトン 300.0部
4.バックコート層形成用組成物処方
非磁性無機粉末:α−酸化鉄 80.0部
平均粒子サイズ(平均長軸長):0.15μm
平均針状比:7
BET比表面積:52m/g
カーボンブラック 20.0部
平均粒子サイズ20nm
塩化ビニル共重合体 13.0部
スルホン酸塩基含有ポリウレタン樹脂 6.0部
フェニルホスホン酸 3.0部
シクロヘキサノン 155.0部
メチルエチルケトン 155.0部
ポリイソシアネート 5.0部
シクロヘキサノン 200.0部
5.各層形成用組成物の調製
磁性層形成用組成物を、以下の方法により調製した。上記磁性液を、各成分をバッチ式縦型サンドミルを用いて24時間分散(ビーズ分散)することにより調製した。分散ビーズとしては、0.5mmΦのジルコニアビーズを使用した。上記サンドミルを用いて、調製した磁性液および上記研磨剤液を他の成分(シリカゾル、その他成分および仕上げ添加溶媒)と混合し5分間ビーズ分散した後、バッチ型超音波装置(20kHz、300W)で0.5分間処理(超音波分散)を行った。その後、0.5μmの平均孔径を有するフィルターを用いてろ過を行い磁性層形成用組成物を調製した。
非磁性層形成用組成物を、以下の方法により調製した。ステアリン酸、シクロヘキサン、メチルエチルケトンを除いた各成分を、バッチ式縦型サンドミルを用いて24時間分散して分散液を得た。分散ビーズとしては、0.5mmΦのジルコニアビーズを使用した。その後、得られた分散液に残りの成分を添加し、ディゾルバーで攪拌した。こうして得られた分散液を0.5μmの平均孔径を有するフィルターを用いてろ過し非磁性層形成用組成物を調製した。
バックコート層形成用組成物を、以下の方法により調製した。ポリイソシアネート、シクロヘキサノンを除いた各成分をオープンニーダにより混練および希釈した後、横型ビーズミル分散機により、1mmΦのジルコニアビーズを用い、ビーズ充填率80%、ローター先端周速10m/秒で、1パス滞留時間を2分とし、12パスの分散処理を行った。その後、得られた分散液に残りの成分を添加し、ディゾルバーで攪拌した。こうして得られた分散液を1μmの平均孔径を有するフィルターを用いてろ過しバックコート層形成用組成物を調製した。
6.磁気テープの作製
図1に示す具体的態様により磁気テープを作製した。詳しくは、次の通りとした。
表5に示す厚みのポリエチレンナフタレート製支持体を送り出し部から送りだし、一方の表面に、第一の塗布部において乾燥後の厚みが表5に示す厚みになるように上記5.で調製した非磁性層形成用組成物を塗布して塗布層を形成した。形成した塗布層が湿潤状態にあるうちに雰囲気温度0℃に調整した冷却ゾーンに表5に示す滞在時間で通過させて冷却工程を行い、その後に雰囲気温度100℃の第一の加熱処理ゾーンを通過させ加熱乾燥工程を行い非磁性層を形成した。
その後、第二の塗布部において乾燥後の厚みが表5に示す厚みになるように上記5.で調製した磁性層形成用組成物を非磁性層上に塗布し塗布層を形成した。この塗布層が湿潤状態(未乾状態)にあるうちに配向ゾーンにおいて磁場強度0.3Tの磁場を、磁性層形成用組成物の塗布層表面に対し垂直方向に印加し垂直配向処理を行った後、第二の加熱処理ゾーン(雰囲気温度100℃)にて乾燥させた。
その後、第三の塗布部において、上記ポリエチレンナフタレート製支持体の非磁性層および磁性層を形成した表面とは反対の表面に乾燥後の厚みが表5に示す厚みになるように上記5.で調製したバックコート層形成用組成物を非磁性支持体表面に塗布して塗布層を形成し、形成した塗布層を第三の加熱処理ゾーン(雰囲気温度100℃)にて乾燥させた。
その後、金属ロールのみから構成されるカレンダで、速度80m/分、線圧300kg/cm、温度100℃でカレンダ処理(表面平滑化処理)を行った後、雰囲気温度70℃の環境で36時間熱処理を行った。熱処理後1/2インチ(0.0127メートル)幅にスリットし、磁気テープを得た。
表5中、冷却ゾーン滞在時間の欄に「未実施」と記載されている比較例1、4〜13では、冷却ゾーンを含まない製造工程により磁気テープを作製した。
更に、比較例13では、上記カレンダ処理後、以下の方法により磁性層表面にコロナ処理を施した後にステアリン酸をオーバーコートした。
磁性層表面に、特開2008−243317号公報(特許文献1)の段落0138に記載の方法によりコロナ処理を施した。次いで、コロナ処理を施した磁性層表面に、ステアリン酸の10%メチルエチルケトン溶液をワイヤーバーにより塗布し乾燥させた後、上記熱処理およびスリットを行った。
作製した磁気テープの各層および非磁性支持体の厚み、ならびに総厚を、以下の方法により求めた。それぞれの厚みが表5に示す厚みであることが確認された。
磁気テープの厚み方向の断面を、イオンビームにより露出させた後、露出した断面において走査型電子顕微鏡による断面観察を行う。断面観察において厚み方向の2箇所において求められた厚みの算術平均として、各種厚みを求めた。
[評価方法]
1.表層部C−H由来C濃度
以下の方法により、実施例、比較例の磁気テープの磁性層側表面(測定領域:300μm×700μm)においてESCA装置を用いてX線光電子分光分析を行い、分析結果から表層部C−H由来C濃度を算出した。算出された値を、表5に示す。
(分析および算出方法)
下記(1)〜(3)の測定は、いずれも表1に示す測定条件にて行った。
(1)ワイドスキャン測定
磁気テープの磁性層側表面においてESCA装置によりワイドスキャン測定(測定条件:表2参照)を行い検出された元素の種類を調べた(定性分析)。
(2)ナロースキャン測定
上記(1)で検出された全元素について、ナロースキャン測定(測定条件:表3参照)を行った。装置付属のデータ処理用ソフトウエア(Vision2.2.6)を用いて、各元素のピーク面積から検出された各元素の原子濃度(単位:原子%)を算出した。ここでC濃度も算出した。
(3)C1sスペクトルの取得
表4に記載の測定条件にてC1sスペクトルを取得した。取得したC1sスペクトルについて、装置付属のデータ処理用ソフトウエア(Vision2.2.6)を用いて試料帯電によるシフト(物理シフト)の補正を行った後、同ソフトウエアを用いてC1sスペクトルのフィッティング処理(ピーク分離)を実施した。ピーク分離にはガウス−ローレンツ複合関数(ガウス成分70%、ローレンツ成分30%)を用い、非線形最小二乗法によりC1sスペクトルのフィッティングを行い、C1sスペクトルに占めるC−Hピークの割合(ピーク面積率)を算出した。算出されたC−Hピーク面積率を、上記(2)で求めたC濃度に掛けることにより、C−H由来C濃度を算出した。
以上の処理を磁気テープの磁性層側表面の異なる位置において3回行い得られた値の算術平均を、表層部C−H由来C濃度とした。算出された値を、表5に示す。
2.表層部C−H由来C濃度に対する脂肪酸および脂肪酸アミドの寄与の確認
(1)実施例1と同様の方法で磁気テープ(サンプルテープ)を2つ作製した。一方のサンプルテープは上記ESCA装置による測定後、もう一方のサンプルテープは未測定の状態で、溶媒抽出を行った(溶媒:メタノール)。
抽出により得られた溶液中の脂肪酸、脂肪酸アミドおよび脂肪酸エステル量をガスクロマトグラフ分析により定量したところ、脂肪酸(ステアリン酸)および脂肪酸アミド(ステアリン酸アミド)は、2つのサンプルテープで定量値の違いはほぼ見られなかった。一方、脂肪酸エステル(ブチルステアレート)は、測定後のサンプルテープでの定量値は、未測定のサンプルテープでの定量値と比べて大幅に低い値であった。これは、脂肪酸エステルが、ESCA装置において測定中に測定対象試料が配置される真空チャンバーにおいて揮発してしまうためと考えられる。
以上の結果から、ESCAによる分析により求められる表層部C−H由来C濃度には、脂肪酸エステルは影響を及ぼさないと判断することができる。
(2)磁性層形成用組成物に含まれる成分、および非磁性層形成用組成物に含まれ磁気テープにおいて非磁性層から磁性層へ移行し磁性層中に存在し得る成分の中で、溶媒およびポリイソシアネート(加熱を伴う処理により他の成分と架橋)を除く有機化合物は、ステアリン酸、ステアリン酸アミド、ブチルステアレート、2,3−ジヒドロキシナフタレン、ポリウレタン樹脂である。これら成分の中で、ブチルステアレートは、上述の通り、上記(1)の結果から、表層部C−H由来C濃度には影響を及ぼさないと判断することができる。
次に、以下の方法により、表層部C−H由来C濃度への2,3−ジヒドロキシナフタレンおよびポリウレタン樹脂の影響を確認した。
実施例1で用いた2,3−ジヒドロキシナフタレンおよびポリウレタン樹脂について、上記と同様の方法によりC1sスペクトルを取得し、取得したスペクトルについて先に記載した処理により結合エネルギー286eV付近に位置するピークおよびC−Hピークをそれぞれピーク分離した。分離した各ピークがC1sスペクトルに占める割合(ピーク面積率)を算出し、結合エネルギー286eV付近に位置するピークとC−Hピークとのピーク面積比を算出した。
次いで、実施例1で取得したC1sスペクトルにおいて、先に記載した処理により結合エネルギー286eV付近に位置するピークをピーク分離した。2,3−ジヒドロキシナフタレンおよびポリウレタン樹脂は、C1sスペクトルにおいて、結合エネルギー286eV付近に位置するピークを有するのに対し、脂肪酸(ステアリン酸)および脂肪酸アミド(ステアリン酸アミド)は、上記位置にピークを有さない。したがって、実施例1で取得したC1sスペクトルにおける結合エネルギー286eV付近に位置するピークは、2,3−ジヒドロキシナフタレンおよびポリウレタン樹脂に由来すると判断することができる。そこで、このピークを利用し、上記で算出したピーク面積比から、実施例1で取得したC1sスペクトルのC−Hピークにおける2,3−ジヒドロキシナフタレンおよびポリウレタン樹脂の寄与分を算出したところわずか10%程度であった。この結果から、実施例1で取得したC1sスペクトルのC−Hピークの多く(90%程度)が、脂肪酸(ステアリン酸)および脂肪酸アミド(ステアリン酸アミド)に由来すると判断することができる。
以上の結果から、表層部C−H由来C濃度が、脂肪酸および脂肪酸アミドの存在量の指標になり得ることが実証された。
3.低湿環境下、高湿環境下での繰り返し走行によるS/N比低下分の算出
低湿環境下(温度32℃相対湿度15%に温度および湿度を制御した雰囲気下)、高湿環境下((温度32℃相対湿度80%に温度および湿度を制御した雰囲気下)のそれぞれにおいて、以下の方法により、ヘッドを固定した1/2インチ(0.0127メートル)リールテスターを用いて、走行前および走行後のそれぞれで記録再生を行い電磁変換特性(S/N比(Signal-to-Noise-Ratio))を測定した。
電磁変換特性の測定は、以下に記載の方法で行った。搬送速度(ヘッド/テープ相対速度)を5.5m/secとし、記録はMIG(Metal-In-Gap)ヘッド(ギャップ長0.15μm、トラック幅1.0μm)を使い、記録電流は各テープの最適記録電流に設定した。再生ヘッドには素子厚み15nm、シールド間隔0.1μm、リード幅0.5μmのGMR(Giant-Magnetoresistive)ヘッドを用いた。線記録密度270KFciの信号を記録し、再生信号をシバソク社製のスペクトラムアナライザーで測定し、キャリア信号の出力と、スペクトル全帯域の積分ノイズとの比をS/N比とした。信号は、磁気テープ走行開始後に信号が十分に安定した部分を使用した。
走行は、上記リールテスターを用いて、搬送速度(ヘッド/テープ相対速度)を6.0m/secとして、磁気テープを、1パスあたり1,000mで5,000パス往復させて行った。
上記走行の前と後に、それぞれ上記方法で電磁変換特性の測定を行いS/N比を求め、走行前のS/N比と走行後(5,000パス往復後)のS/N比をそれぞれ求め、差分「(走行前のS/N比)−(走行後のS/N比)」をS/N比低下分として、表5に示す。S/N比低下分が2.0dB以下であれば、上記の環境下における繰り返し走行による電磁変換特性の低下が少なく長期にわたり優れた電磁変換特性を発揮することができる磁気テープと判定することができる。
4.AlFeSil摩耗幅
上記3.と同様の低湿環境下、高湿環境下のそれぞれにおいて、磁気テープの磁性層表面を、AlFeSil角柱(ECMA−288/AnnexH/H2 に規定されている角柱)の長手方向と直交するように、AlFeSil角柱の一稜辺(エッジ)にラップ角12度で接触させ、その状態で長さ580m磁気テープを1.0Nの張力下において3m/ 秒の速さで50往復させた。
上記角柱のエッジを光学顕微鏡を用いて上方から観察し、特開2007−026564号公報段落0015に同公報図1に基づき説明されている磨耗幅(AlFeSil摩耗幅)を測定した。測定結果を、表5に示す。こうして求められる摩耗幅が15μm以上であれば、磁気テープの磁性層側表面のヘッドクリーニング能が良好と判断することができ、53μm以下であれば、スペーシングロスの原因となる磁性層側表面の削れ屑の発生が少ないと判断することができる。
表5に示す結果から、実施例1〜14の磁気テープは、低湿環境下および高湿環境下の両湿度環境下において、ヘッドクリーニング能が良好であり、かつ磁性層側表面の削れ物の発生も少ないと判断することができる。
更に、実施例1〜14の磁気テープについては、温度32℃相対湿度50%に温度および湿度を制御した雰囲気下でも同様にAlFeSil摩耗幅を測定したところ、32〜37μmの範囲内であった。
以上の結果から、実施例1〜14の磁気テープは、低湿〜高湿の幅広い湿度環境下において、ヘッドクリーニング能が良好であり、かつ磁性層側表面の削れ物の発生も少ないと判断することができる。
5.磁性層側表面の非接触表面形状測定機により測定される中心線平均表面粗さRa
非接触光学式粗さ測定機Zygo社製NewView 5022を用いて、先に記載した方法により磁性層側表面の中心線平均表面粗さRaを測定した。測定結果を、表5に示す。
表5に示す結果から、以下の点が確認できる。
(1)総厚が4.80μmを超える比較例1〜6の磁気テープでは、表層部C−H由来C濃度が45原子%以上であっても45原子%未満であっても、低湿環境下、高湿環境下のいずれにおいても、繰り返し走行によるS/N比低下分は少ない。即ち、表層部C−H由来C濃度と上記環境下での繰り返し走行によるS/N比低下分との間には相関は見られない。
(2)これに対し、実施例1〜14と比較例7〜13との対比から、総厚が4.80μm以下の磁気テープでは、表層部C−H由来C濃度が45原子%以上であると、低湿環境下および高湿環境下での繰り返し走行によるS/N比低下の抑制が可能であることが確認できる。
本発明は、バックアップテープ等の磁気テープの製造分野において有用である。

Claims (15)

  1. 非磁性支持体上に非磁性粉末および結合剤を含む非磁性層を有し、該非磁性層上に強磁性粉末および結合剤を含む磁性層を有する磁気テープであって、
    磁気テープ総厚が4.80μm以下であり、
    脂肪酸および脂肪酸アミドからなる群から選ばれる成分の一種以上を、少なくとも前記磁性層に含み、かつ
    磁気テープの前記磁性層側の表面にて光電子取り出し角10度で行われるX線光電子分光分析により得られるC1sスペクトルにおけるC−Hピーク面積率から算出されるC−H由来C濃度が、45原子%以上である磁気テープ。
  2. 前記C−H由来C濃度が45〜80原子%の範囲である請求項1に記載の磁気テープ。
  3. 前記C−H由来C濃度が45〜70原子%の範囲である請求項1または2に記載の磁気テープ。
  4. 前記C−H由来C濃度が50〜65原子%の範囲である請求項1〜3のいずれか1項に記載の磁気テープ。
  5. 前記磁性層および非磁性層に、それぞれ脂肪酸および脂肪酸アミドからなる群から選ばれる成分の一種以上を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の磁気テープ。
  6. 前記磁性層および非磁性層の一方または両方に、脂肪酸エステルを更に含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の磁気テープ。
  7. 前記磁性層および非磁性層とは反対側の非磁性支持体上にバックコート層を有する請求項1〜6のいずれか1項に記載の磁気テープ。
  8. 磁気テープの前記磁性層側の表面にて非接触表面形状機により測定される中心線平均表面粗さRaは、1.8nm以下である請求項1〜7のいずれか1項に記載の磁気テープ。
  9. 前記強磁性粉末は、強磁性六方晶フェライト粉末および強磁性金属粉末からなる群から選ばれる強磁性粉末である請求項1〜8のいずれか1項に記載の磁気テープ。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の磁気テープの製造方法であって、
    非磁性層形成工程および磁性層形成工程を含み、
    前記非磁性層形成工程は、
    脂肪酸および脂肪酸アミドからなる群から選ばれる成分の一種以上、非磁性粉末、結合剤および溶媒を含む非磁性層形成用組成物を非磁性支持体上に塗布することにより塗布層を形成する塗布工程、
    前記塗布層を加熱処理により乾燥させる加熱乾燥工程、
    を含み、かつ、
    前記塗布工程と加熱乾燥工程との間に、前記塗布層を冷却する冷却工程を更に含む、前記磁気テープの製造方法。
  11. 前記冷却工程を、前記塗布層を−10℃〜0℃の冷却雰囲気下に置くことにより行う請求項10に記載の磁気テープの製造方法。
  12. 前記非磁性層形成用組成物に含まれる溶媒は、ケトン溶媒を含む請求項10または11に記載の磁気テープの製造方法。
  13. 前記磁性層形成工程は、
    強磁性粉末、結合剤および溶媒を含む磁性層形成用組成物を前記非磁性層上に塗布することにより塗布層を形成する塗布工程、
    前記塗布層を加熱処理により乾燥させる加熱乾燥工程、
    を含む請求項10〜12のいずれか1項に記載の磁気テープの製造方法。
  14. 前記磁性層形成用組成物は、脂肪酸および脂肪酸アミドからなる群から選ばれる成分の一種以上を更に含む請求項13に記載の磁気テープの製造方法。
  15. 前記非磁性層形成用組成物および磁性層形成用組成物の一方または両方に、脂肪酸エステルを更に含む請求項13または14に記載の磁気テープの製造方法。
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