JP2001002478A - 複合材料およびその製造方法 - Google Patents

複合材料およびその製造方法

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JP2001002478A
JP2001002478A JP11169185A JP16918599A JP2001002478A JP 2001002478 A JP2001002478 A JP 2001002478A JP 11169185 A JP11169185 A JP 11169185A JP 16918599 A JP16918599 A JP 16918599A JP 2001002478 A JP2001002478 A JP 2001002478A
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aluminum
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low thermal
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JP11169185A
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Morimichi Watanabe
守道 渡邊
Yuji Katsuta
祐司 勝田
Masaaki Masuda
昌明 桝田
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NGK Insulators Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】アルミニウム相と、アルミニウムよりも低い熱
膨張係数を有する、セラミックス等の低熱膨張材料相と
を主体とする複合材料において、その破壊靱性値、ヤン
グ率、耐蝕性を向上させる。 【解決手段】低熱膨張材料の含有量が30重量%以上、
70重量%以下であり、複合材料中のアルミニウムおよ
び低熱膨張材料を構成する金属元素以外の金属元素の含
有量が、複合材料の重量に対して1重量%以下であり、
複合材料の密度が理論密度の95%以上である。好まし
くは、低熱膨張材料が、アルミニウム、珪素またはホウ
素の酸化物、炭化物または窒化物からなり、アルミニウ
ム相中の酸素の含有量が、複合材料の重量に対して1重
量%以下であり、複合材料の破壊靱性値が7MPam
1/2 以上である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルミニウム相
と、アルミニウムよりも低い熱膨張係数を有する、セラ
ミックス等の低熱膨張材料相とを主体とする複合材料に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】アルミニウムは、低コストの軽量構造材
料として、自動車部品、半導体製造部品等で実用化され
ているが、剛性が低く、熱膨張が大きいという問題があ
る。このため、アルミニウムと、低熱膨張材料、例えば
AlN、Si3 4 、Al23 、BN等との複合材料
の開発が進められている。
【0003】既存の技術では、低熱膨張材料の割合が少
ない組成範囲では、アルミニウム鋳造溶湯中に低熱膨張
材料を加える方法(鋳造法)が採用されており、低熱膨
張材料の割合が多い組成範囲では、低熱膨張材料の成形
体に対してアルミニウム溶湯を浸透させる方法(浸透
法)が採用されている。
【0004】しかし、一般にはセラミックスは溶融金属
に濡れないため、セラミックスと金属との複合化は困難
であった。このため、ランクサイド方式によって、セラ
ミックス基複合材料や金属基複合材料を製造することが
知られている(例えば、「セラミックス」32(199
7)No.2 第93頁−97頁、「ランクサイド方式
によるCMCおよびMMCのネットシェイプ製造技
術」)。例えば、炭化珪素/アルミニウム系、アルミナ
/アルミニウム系の各複合材料において、ランクサイド
法を適用し、溶融アルミニウムとセラミックスとの間の
濡れ性を良好にすることが知られている。この方法は、
一般に非加圧金属浸透法と呼ばれている。
【0005】この方法では、強化材である炭化珪素やア
ルミナを用いて、最終的な目的形状に近い形状を有する
プリフォームを成形し、プリフォームのうちアルミニウ
ム合金に接触する表面以外の表面に、成長停止用のバリ
アー膜を設ける。このプリフォームを、通常800℃程
度の窒素中でアルミニウム合金と接触させると、アルミ
ニウムがセラミックスを濡らしながらプリフォーム中の
空洞に浸透し、複合材料を形成する。そして、Mg(M
32 )を利用し、窒化アルミニウムのプリフォーム
中にアルミニウム溶融液または蒸気を浸透させることに
より、アルミニウムと窒化アルミニウムとの濡れ性を改
善し、緻密な複合材料を得ている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、こうした複合
材料は、破壊靱性値が低くなる傾向があり、大型の部品
に対する適用に制限があった。また、例えば、エッチン
グガスなどのハロゲン系腐食性ガスに対して暴露された
ときに、腐食を受けやすいという問題があった。
【0007】本発明の課題は、アルミニウム相と、アル
ミニウムよりも低い熱膨張係数を有する、セラミックス
等の低熱膨張材料相とを主体とする複合材料において、
そのヤング率、破壊靱性値を向上させることである。
【0008】また、本発明の課題は、アルミニウム相
と、アルミニウムよりも低い熱膨張係数を有する、セラ
ミックス等の低熱膨張材料相とを主体とする複合材料に
おいて、その腐食性ガスに対する耐蝕性を向上させるこ
とである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、アルミニウム
相と、アルミニウムよりも低い熱膨張係数を有する低熱
膨張材料相とを主体とする複合材料であって、前記低熱
膨張材料の含有量が30重量%以上、70重量%以下で
あり、複合材料の密度が理論密度の95%以上であり、
複合材料中のアルミニウムおよび低熱膨張材料を構成す
る金属元素以外の金属元素の含有量が、複合材料の重量
に対して1重量%以下であることを特徴とする。
【0010】本発明者は、低熱膨張材料の含有量を30
重量%以上、70重量%以下とし、複合材料の密度を理
論密度の95%以上とした場合に、複合材料中のアルミ
ニウムおよび低熱膨張材料を構成する金属元素以外の金
属元素の含有量を、複合材料の重量に対して1重量%以
下と高純度にすることによって、複合材料中の低熱膨張
材料の割合が同程度であっても、ヤング率は100GP
a以上の高剛性となり、熱膨張率は15ppm/k以下
となり、破壊靱性値が7MPam1/ 2 以上に維持でき、
更に腐食性ガスに対する耐蝕性を発揮することを見いだ
し、本発明に到達した。この理由は明らかではないが、
アルミニウム相の純度がそのヤング率等の機械的物性に
影響し、アルミニウム相と低熱膨張相との微視的な機械
的相互作用に影響しているものと思われる。
【0011】複合材料中のアルミニウムおよび低熱膨張
材料を構成する金属元素以外の金属元素の含有量は、複
合材料の重量に対して0.1重量%以下とすることが更
に好ましい。この下限値は特になく、アルミニウム以外
の金属元素が検出されない場合も含む。
【0012】複合材料の密度は、理論密度の98%以上
とすることが一層好ましい。
【0013】低熱膨張材料は、非金属であれば特に制限
はないが、セラミックスが好ましく、アルミニウム、珪
素またはホウ素の酸化物、炭化物、窒化物、またはこれ
らを主相として構成されている複合材が好ましい。この
複合材料には、例えば、Si−Al−O−N、Si−A
l−N、Si3N4/AlNの混合物が挙げられる。
【0014】複合材料の室温におけるヤング率は100
GPa以上とすることができる。
【0015】また、低熱膨張材料として、アルミニウ
ム、珪素またはホウ素の炭化物、窒化物、またはそれら
の複合材を使用した場合には、複合材料中の酸素の含有
量は、複合材料の重量に対して1.5重量%以下とする
ことが好ましく、これによってアルミニウム相と低熱膨
張材料相との濡れ性が著しく向上することを見いだし
た。この理由は明確ではない。複合材料に1.5重量%
を超える酸素が含有されていると、この酸素がアルミニ
ウム相の低熱膨張材料相との界面付近にアルミナとして
存在し、このアルミナがアルミニウム相と低熱膨張材料
相との濡れ性を低下させている可能性がある。アルミニ
ウム相中の酸素の含有量を減少させることによって、ア
ルミニウム相と低熱膨張材料相との界面付近のアルミナ
が減少し、両者の濡れ性が改善したものと思われる。
【0016】低熱膨張材料として、アルミニウム、珪素
またはホウ素の酸化物、またはこれらの複合材を使用し
た場合には、複合材料中の酸素の含有量と、複合材料中
の低熱膨張材料を構成する金属元素の含有量より換算し
た酸素量との差(即ち、低熱膨張材料を構成しない酸素
量)を、1.5重量%以下にすることが好ましい。これ
による作用効果は、上述したとおりである。
【0017】アルミニウム粉末中の酸素の含有量は、好
ましくは1重量%以下とする。これによる作用効果は、
上述したとおりである。
【0018】また、本発明は、アルミニウム相と、アル
ミニウムよりも低い熱膨張係数を有する低熱膨張材料相
とを主体とする複合材料を製造する方法であって、アル
ミニウム粉末と低熱膨張材料の粉末とを含む原料粉末を
成形して成形体を得、この成形体を10-2Torr以下
の雰囲気圧力で、50kgf/cm2 以上の軸圧力下
で、アルミニウムの融点以上の温度で熱処理することを
特徴とする。
【0019】このように、アルミニウム粉末中に、濡れ
性改善のための金属成分を添加することなく、真空下
で、軸圧力を加えながら熱処理することによって、複合
材料中のアルミニウムおよび低熱膨張材料を構成する金
属元素以外の金属元素の含有量を、複合材料の重量に対
して1重量%以下に保持しつつ、複合材料の密度を理論
密度の95%以上とすることに成功した。
【0020】熱処理時の雰囲気圧力は、10-3Torr
以下とすることが特に好ましい。圧力の下限値は特にな
い。熱処理時に成形体に対して負荷される軸圧力は、1
00kgf/cm2 以上とすることが好ましく、150
kgf/cm2 以上とすることが更に好ましい。軸圧力
の上限は特になく、設備の限界によってのみ制限を受け
る。
【0021】また、熱処理時の雰囲気圧力を低下させる
ことによって、アルミニウム相の酸化を防止し、アルミ
ニウム相の低熱膨張材料相への濡れ性を改善しえるもの
と思われる。
【0022】アルミニウム粉末中のアルミニウム以外の
金属元素の含有量は、好ましくは3.3重量%以下と
し、更に好ましくは1重量%以下とする。これによっ
て、複合材料のアルミニウム相中に残留する金属不純物
を減少させることができる。
【0023】アルミニウム粉末の平均粒径を30μm以
下とすることが好ましい。
【0024】また、低熱膨張材料の粉末を200kgf
/cm2 以下の軸圧力で圧縮成形したどきの圧粉体積
が、理論体積の60%以上となるように、粒径分布を制
御することが好ましい。これによって、アルミニウム粉
末と低熱膨張材料粉末とを成形して得られた成形体の密
度を向上させることができ、かつ熱処理後の複合材料の
密度を著しく向上させることができる。
【0025】このような性質を有する低熱膨張材料粉末
は、特に限定されないが、好ましくは、低熱膨張材料の
粉末は、平均粒径が20−100μmの粗粉と、平均粒
径が1−5μmの微粉との混合粉末である。これによっ
て、粉末を圧縮したときの全体の密度が上昇する。
【0026】熱処理に際して、成形体に対して還元性材
料からなる容器の中で軸圧力を負荷することが好まし
い。これによって、熱処理時に、雰囲気中の酸素を捕捉
し、アルミニウム相の酸化を一層確実に防止できる。還
元性材料としては、カーボン、C/Cコンポジットを例
示できる。
【0027】本発明の複合材料は、各種の腐食物に対し
て高い耐蝕性を有しており、特にNF3 、CF4 、SF
6 等のフッ素系腐食性ガス、Cl2 、BCl3 等の塩素
系腐食性ガスに対して特に高い耐食性を有している。
【0028】本発明の複合材料は、腐食性ガスに対して
曝露される、半導体製造装置や液晶ディスプレイ製造装
置内の部材やチャンバー、自動車部品に対して好適に使
用できる。例えば、こうした部材としては、発熱体、静
電チャック用電極、高周波発生用電極が埋設されている
サセプター、このサセプターに対して接合されているシ
ャフトや裏板、シャワー板、ドーム、ルーフなどを例示
できる。
【0029】
【実施例】(実施例1−10)表1−表4に、実施例1
−10の原料条件、処理条件、複合材料の特性を示す。
表1、表2に示す平均粒径、非アルミニウムの金属含有
量を有するAlNの粗粉と、表1、表2に示す平均粒
径、非アルミニウムの金属含有量を有するAlNの微粉
とを、表に示す配合比で混合し、配合粉を得た。混合の
際には、配合はイソプロピルアルコールを溶媒とし、湿
式のポットミルを用い、得られたスラリーをN2 フロー
型の乾燥機で100℃で乾燥した。更に、乾燥物を30
目の篩を通し、顆粒状の粉末を得た。配合粉を、150
kgf/cm2 または200kgf/cm2 の軸圧下で
成形したときの圧粉の理論密度に対する相対密度を、表
に示す。また、表1、2に示す平均粒径、非Al金属含
有量、酸素量を有する、高純度アトマイズAl粉末を使
用した。
【0030】これらのAl粉末とAlN粉末とを、表
1、表2に示す重量比で、V型混合機により乾式混合
し、得られた混合粉末を、200kgf/cm2 の成形
圧力で一軸加圧成形し、直径80mm、厚さ12mmの
円盤状の成形体を得た。この成形体をカーボン治具の中
に入れ、カーボン発熱体炉中で、表3、4に示す炉内雰
囲気圧力、熱処理温度、軸方向の圧力下で熱処理した。
この際には、熱処理の全領域で所定雰囲気、軸圧力を保
持して行った。
【0031】得られた複合材料の室温におけるヤング
率、破壊靭性値、窒素量、酸素量、Alの割合、非Al
金属元素量を測定した。また、AlN量を窒素量の換算
により求めた。測定値を表3、4に示す。全Al量は、
複合材料を加圧酸溶解後、滴定により求めた。窒素量
は、複合材料を不活性ガス雰囲気下で融解して脱離した
2 のTCD 測定により定量した。酸素量は、複合材料を
不活性ガス雰囲気下で融解して発生したCOの赤外線吸収
スペクトル分析により得た。非Al金属元素量は、複合
材料を加圧酸処理後、ICP発光スペクトル分析により
定性、定量した。破壊靭性値は、シェブロンノッチ法、
ヤング率は四点曲げ試験の応力−歪み曲線より求めた。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
【表3】
【0035】
【表4】
【0036】実施例1では、AlN割合が48.2重量
%、Al割合が50.6重量%、酸素量1.09重量
%、非Al金属元素含有量0.06重量%の高純度複合材
料が得られた。また、得られた複合材料は、理論密度に
対する相対密度が95%であり、室温におけるヤング率
が121GPaであり、11MPam1/2 の高い破壊靭
性を有していた。実施例1−10で得られた複合材料
は、いずれも高い破壊靭性値を有し、酸素量が1.5重
量%以下、非Al金属元素量が1重量%以下と高純度で
あった。
【0037】(比較例1−9)比較例1−9では、表5
−表8に示す原料条件、処理条件に従って、実施例1−
10と同様に、原料の調合、成形、熱処理を行い、各特
性を測定した。ただし、比較例4、5では、Al粉末と
して、Al-Mg 合金またはAl-Si-Mg合金の粉末を用いた。
測定値を表7、表8に示す。
【0038】
【表5】
【0039】
【表6】
【0040】
【表7】
【0041】
【表8】
【0042】比較例1−3、6、8、9では、相対密度
95%に満たなかった。これは、処理雰囲気(比較例
1)、AlN/Al比(比較例2)、Alの粒径(比較
例3)、AlN 単味の圧粉体積(比較例6)、処理温度
(比較例8)、処理時の軸圧力(比較例9)、アルミニ
ウム粉末中の酸素量(比較例10)に起因すると考えら
れる。比較例4−5では、相対密度95%以上であった
が、Alの割合が同程度の実施例と比較すると、破壊靭性
値が低い結果となった。これは、Al合金を使用するこ
とにより、非Al金属量が増加したことによると考えられ
る。比較例7はAlの割合が多いため、破壊靭性値が非
常に高いが、室温におけるヤング率が低い結果となっ
た。比較例9は複合材料のAl割合が低く、多孔質体で脆
いものとなった。
【0043】(微構造の観察)実施例1−10の各複合
材料について、電子顕微鏡を用いて窒化アルミニウムの
分布状態を観察した。代表として実施例5の微構造写真
を図1に示す。その結果、複合材料中では、マトリック
スであるAl中にAlN 粒子が均一に分散しており、AlN と
Alの界面は良く濡れていることが明らかになった。マト
リックス中には1−2μmの微少な気孔が僅かに点在し
ているが、大きな気孔は確認されなかった。
【0044】(耐食試験)実施例1−10、比較例4、
5について、腐食性ガスに対する耐食試験を行った。試
験条件は、腐食性ガスとして、NF3 :75sccm/
2 :100sccmの混合ガスを使用した。圧力を
0.1Torr以下とし、試験温度:550 ℃、試験時
間:5時間、印加RF出力:800Wで試験した。試験
前後の複合材料の重量変化を、表3、4、7に示す。
【0045】代表として実施例1、6、比較例4、比較
例5について記述する。実施例6では、試験前後で重量
変化が起こらなかった。実施例1では、0.06mg/cm
2 、重量が増加した。実施例1では、Alの含有量が実施
例6と比較して多いため、Alのフッ化物が複合材料の
表面に析出して、重量が増加したと考えられる。比較例
4、5では、試験前後で、それぞれ3.7mg/cm
2 、2.4mg/cm2 の重量増加が確認された。含有
する非Al金属が、Alのフッ化反応を促進しているた
めと考えられる。
【0046】(実施例11−13)表9、表10に、実
施例11−13の原料条件、処理条件を示す。実施例1
1を代表として詳細を記述する。SiC 粉は、平均粒径1
00μm、非Al金属含有量0.2重量%の粗粉と、平均
粒径3μm、非Al金属含有量0.1重量%の微粉を重量
比70:30で、イソプロピルアルコールを溶媒とした湿式
のポットミルを用いて混合し、得られたスラリーをN2
フロー型の乾燥機で110℃で乾燥し、配合SiC 粉を得
た。更に、乾燥物を30目の篩をとおして顆粒状粉末を
得た。配合粉を軸圧200kgf/cm2 で成形した時
の圧粉体積は理論密度の64% となった。Al粉は、平均粒
径2μm、非Al金属元素量0.15重量%以下、酸素量
0.98重量%の高純度アトマイズAl粉を使用した。
【0047】これらのAl粉と配合SiC 粉を混合比70:30
でV型混合機により乾式混合し、得られたSiC/Al混合粉
末を200kgf/cm2 の圧力で一軸加圧成形し、直
径80mm、厚さ12mmの円盤状の成形体を得た。この
成形体をカーボン治具の中に入れ、カーボン発熱体炉中
で、炉内雰囲気6×10-4Torr、温度700℃、軸
圧力200kgf/cm2 下で熱処理した。この際に
は、熱処理の全領域で所定雰囲気、軸圧力を保持して行
った。
【0048】得られた複合材料の室温におけるヤング
率、破壊靭性値、炭素量、酸素量、Al量、非Al金属元素
量を測定した。また、SiC 量を炭素量の換算により求め
た。各測定値を表10に示す。全Al量は、複合材料を
加圧酸溶解後,滴定により求めた。炭素量は、複合材料
を加圧酸処理後、高周波加熱によって脱離したCO、C
2 の赤外線吸収スペクトル分析から求めた。酸素量
は、複合材料を不活性ガス雰囲気下で融解して発生した
COの赤外線吸収スペクトル分析から求めた。非Al金属
元素量は、複合材料を加圧酸処理後、ICP発光スペク
トル分析により定性、定量した。破壊靭性はシェブロン
ノッチ法によって測定し、ヤング率は四点曲げ試験の応
力−歪み曲線より求めた。
【0049】
【表9】
【0050】
【表10】
【0051】実施例11では、Al割合67.0重量%、
SiC 割合32.2重量%、酸素量0.71重量%、非Al
金属元素量0.08重量%の高純度複合材料が得られ
た。また、得られた複合材料は、理論密度に対する相対
密度が97%、室温におけるヤング率が130GPaで、13.6
MPam1/2 の高い破壊靭性を有していた。
【0052】実施例12、13においても、実施例11
と同様に、原料の調合、成形、熱処理を行い、各特性を
測定した。実施例11−13で得られた複合材料は、い
ずれも高い破壊靭性を有し、酸素量、非Al金属元素量が
1重量%以下と高純度であった。また、SiC 割合30〜
70wt%、Al割合70〜30wt%であり、本発明の製法
は、SiC/Al比の自由度が高いことを特徴とする。
【0053】(比較例11)比較例11では、表9、1
0に示す原料条件、処理条件に従って、実施例11−1
3と同様に、原料の調合、成形、熱処理を行い、各特性
を測定した。測定値を表10に示す。ただし使用するAl
には、4重量%の珪素を含むアトマイズAl粉末を用いて
実施した。
【0054】比較例11で得られた複合材料は、同程度
のAl割合の実施例13と比較して、破壊靭性が低い結果
となった。これは、複合材料中に珪素を中心とした1.
3重量%の非Al金属元素を含有するからであると考えら
れる。
【0055】(微構造の観察)実施例11−13の各複
合材料について、電子顕微鏡を用いて炭化珪素およびア
ルミナの分布状態を観察した。この結果、マトリックス
であるAl中にSiC 粒子が均一に分散しており、SiC とAl
の界面は良く濡れていることが明らかとなった。
【0056】(耐蝕試験)実施例11−13、比較例1
0について、Cl2 :300sccmとN2 :100s
ccmの混合ガスを用い、圧力0.1Torr下、46
0℃の条件においてRFパワー800Wを印加して、5
時間耐蝕試験を行った。
【0057】代表として実施例13、比較例10につい
て詳細を記述する。試験前後の複合材料の重量変化を調
べたところ、実施例13では重量が変化せず、比較例1
0では、2.5g/cm3 、重量が減少した。これは、
比較例10中に珪素を中心とした非Al金属元素が1.3
重量%含まれているため、非Al金属部から腐食が進行す
るためであると考えられる。
【0058】これらの結果から、本発明の複合材料が塩
素系腐食性ガスに対する耐食性が高いことが示された。
【0059】(実施例14)表11に、実施例14の原
料条件、処理条件、複合材料特性を示す。Al2O3粉
は、平均粒径70μm、非Al金属含有量0.1重量%
の粗粉と、平均粒径3μm、非Al金属含有量0.2重
量%の微粉とを、重量比70:30で混合し、混合粉を
得た。配合の際には、イソプロピルアルコールを溶媒と
し、湿式のポットミルを用い、得られたスラリーをN2
フロー型の乾燥機で110℃で乾燥した。更に、乾燥物
を30目の篩を通し、顆粒状の粉末を得た。配合粉を、
200kgf/cm2 または200kgf/cm2 の軸
圧下で成形したときの圧粉の理論密度に対する相対密度
は、66%となった。Al粉としては、平均粒径2μ
m、非Al金属含有量0.15重量%以下の高純度アト
マイズAl粉を使用した。
【0060】これらのAl粉末とAl2O3粉末とを、
重量比40:60で、V型混合機により乾式混合し、得
られたAl/Al2O3混合粉末を、200kgf/c
2 の成形圧力で一軸加圧成形し、直径80mm、厚さ
12mmの円盤状の成形体を得た。この成形体をカーボ
ン治具の中に入れ、カーボン発熱体炉中で、炉内雰囲気
6×10-4Torr、温度900℃、軸圧力200kg
f/cm2で熱処理した。この際には、熱処理の全領域
で所定雰囲気、軸圧力を保持して行った。
【0061】得られた複合材料の室温におけるヤング
率、破壊靱性値、酸素量、Al量、非Al金属元素量を
測定した。複合材料を不活性ガス雰囲気下で融解して発
生したCO、CO2 の赤外線吸収スペクトル分析によ
り、酸素量を求めた。複合材料中のAl23 量および
マトリックスのAl量は、断面の走査型電子顕微鏡写真
画像のコントラストを画像処理することによって、定量
した。複合材料中の全酸素量と低熱膨張材料中の酸素量
との差から、マトリックス中の酸素量を求めた。非Al
金属元素量は、複合材料を加圧酸処理後、ICP(誘導
結合プラズマ)発光スペクトル分析により定性、定量し
た。破壊靱性値は、シェブロンノッチ法、ヤング率は四
点曲げ試験の応力−歪み曲線より求めた。
【0062】
【表11】
【0063】Al2O3の割合が65.2重量%、Al
の割合が34.3重量%、マトリックス中の酸素量0.
42重量%、非Al金属元素含有量0.07重量%の高
純度複合材料が得られた。また、得られた複合材料は、
理論密度に対する相対密度が96%、室温におけるヤン
グ率が220GPaで、14.8Pam1/2の高い破
壊靱性値を有していた。
【0064】(微構造の観察)実施例14の複合材料に
ついて、電子顕微鏡を用いてアルミナ粒子の分布状態を
観察した。この結果、マトリックスであるAl中にAl2
3 粒子が均一に分散しており、Al23 とAlとの
界面は良く濡れていることが明らかとなった。
【0065】(耐蝕試験)実施例14で得られた複合材
料について、腐食性ガスに対する耐蝕試験を行った。試
験条件は、腐食性ガス:NF3 75sccm/N2
100sccmの混合ガスを用い、圧力0.1Tor
r、試験温度550℃、試験時間5時間、印加高周波出
力800Wであった。試験前後の複合材料の重量を比較
すると、試験後には0.01g/cm2 、重量が減少し
た。重量減少は、複合材料の表面に露出したAl相の減
少によるものと考えられる。
【0066】以上述べたように、本発明によれば、アル
ミニウム相と、アルミナ相とを主体とする複合材料にお
いて、純度、破壊靭性、室温におけるヤング率、耐蝕性
が高い複合材料を提供できる。
【0067】
【発明の効果】以上から明らかなように、本発明によれ
ば、アルミニウム相と、アルミニウムよりも低い熱膨張
係数を有する低熱膨張材料相とを主体とする複合材料に
おいて、純度、破壊靭性、室温におけるヤング率、耐蝕
性が高く、アルミニウム相/低熱膨張材料相の割合の自
由度が高い複合材料を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例5の微構造写真を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 桝田 昌明 愛知県名古屋市瑞穂区須田町2番56号 日 本碍子株式会社内 Fターム(参考) 4K018 AA15 AB02 AB03 AB04 BB04 CA02 DA32

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルミニウム相と、アルミニウムよりも低
    い熱膨張係数を有する低熱膨張材料相とを主体とする複
    合材料であって、前記低熱膨張材料の含有量が30重量
    %以上、70重量%以下であり、前記複合材料の密度が
    理論密度の95%以上であり、複合材料中のアルミニウ
    ムおよび前記低熱膨張材料を構成する金属元素以外の金
    属元素の含有量が、前記複合材料の重量に対して1重量
    %以下であることを特徴とする、複合材料。
  2. 【請求項2】前記低熱膨張材料が、アルミニウム、珪素
    またはホウ素の炭化物、窒化物またはこれらの複合材か
    らなることを特徴とする、請求項1記載の複合材料。
  3. 【請求項3】前記複合材料中の酸素の含有量が1.5重
    量%以下であることを特徴とする、請求項1または2記
    載の複合材料。
  4. 【請求項4】前記低熱膨張材料が、アルミニウム、珪
    素、またはホウ素の酸化物またはこれらの複合材からな
    ることを特徴とする、請求項1記載の複合材料。
  5. 【請求項5】前記複合材料中の酸素の含有量と、前記複
    合材料中の前記低熱膨張材料を構成する金属元素の含有
    量より換算した酸素量との差が1.5重量%以下である
    ことを特徴とする、請求項4記載の複合材料。
  6. 【請求項6】前記複合材料の室温におけるヤング率が1
    00GPa以上であることを特徴とする、請求項1−5
    のいずれか一つの請求項に記載の複合材料。
  7. 【請求項7】前記複合材料の破壊靱性値が7MPam
    1/2 以上であることを特徴とする、請求項1−6のいず
    れか一つの請求項に記載の複合材料。
  8. 【請求項8】アルミニウム相と、アルミニウムよりも低
    い熱膨張係数を有する低熱膨張材料相とを主体とする複
    合材料を製造する方法であって、アルミニウム粉末と低
    熱膨張材料の粉末とを含む原料粉末を成形して成形体を
    得、この成形体を10-2Torr以下の雰囲気圧力で、
    50kgf/cm2 以上の軸圧力下で、アルミニウムの
    融点以上の温度で熱処理することを特徴とする、複合材
    料の製造方法。
  9. 【請求項9】前記アルミニウム粉末中の酸素量が1重量
    %以下であり、アルミニウム以外の金属元素の含有量が
    3.3重量%以下であり、前記アルミニウム粉末の平均
    粒径が30μm以下であることを特徴とする、請求項8
    記載の複合材料の製造方法。
  10. 【請求項10】前記低熱膨張材料の粉末を200kgf
    /cm2 以下の軸圧力で圧縮成形したときの圧粉体積が
    理論体積の60%以上であることを特徴とする、請求項
    8または9記載の複合材料の製造方法。
  11. 【請求項11】前記低熱膨張材料の粉末が、平均粒径2
    0−100μmの粗粉と、平均粒径1−5μmの微粉と
    の混合粉末であることを特徴とする、請求項10記載の
    複合材料の製造方法。
  12. 【請求項12】前記熱処理に際して、前記成形体に対し
    て還元性材料からなる容器の中で前記軸圧力を負荷する
    ことを特徴とする、請求項8−11のいずれか一つの請
    求項に記載の複合材料の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013004367A (ja) * 2011-06-17 2013-01-07 Neive:Kk 多孔質焼結体
JP2013004366A (ja) * 2011-06-17 2013-01-07 Neive:Kk 発熱体

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