JP4382919B2 - シリコン含浸炭化珪素セラミックス部材の製造方法 - Google Patents

シリコン含浸炭化珪素セラミックス部材の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体製造工程においてシリコンウエハ等を熱処理する際のウエハボート、チューブ等熱処理用器具に用いられるシリコン含浸炭化珪素セラミックス部材の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
半導体製造においては、不純物金属等の不純物による汚染およびいわゆるパーティクル汚染等の微粒子による汚染を回避することが最も重要な問題である。
すなわち、これらによる汚染は、製品ウエハの結晶欠陥の発生、結晶の異常成長、抵抗値の変化、耐圧の変化等、製品ウエハの歩留まりを著しく低下させる原因となる。
これらの問題の発生を回避し半導体製品の歩留まり向上と安定操業を確保するため、半導体製造装置用の部材には、従来よりパーティクル発生が可及的に少ない石英ガラスやCVDコートシリコン含浸炭化珪素セラミックス等の高純度品が使用されてきた。
【0003】
石英ガラス部材は、比較的安価で容易に高純度品が得られるため、従来から半導体製造装置用の熱処理部材として多用されている。
しかし、熱処理温度が1100℃以上になると軟化して変形するため、高温領域での使用に制限がある。また、曲げ強度が100MPa程度と低いため、破損の心配がある。さらに、半導体製造プロセスでしばしば使用されるフッ酸やフッ酸と硝酸の混酸溶液等の洗浄液に対して耐性がなく、容易に腐食され、消耗してしまうことから、繰り返し使用に限界があり、結果として耐用性に劣るという欠点を有している。
【0004】
これに対し、CVDコートシリコン含浸炭化珪素セラミックス部材は、1200℃以上の高温においても安定して使用することができる。また、前記フッ酸、混酸等にも耐久性を有するため、耐用期間も長いという長所を有している。
しかし、CVDコートシリコン含浸炭化珪素セラミックス部材は、石英ガラス部材と比較するとコストが数倍も高く、特に、大口径シリコンウエハの処理に対応できる大型の部材については、そのコスト差がさらに広がる傾向にある。
【0005】
さらに、近年、半導体の高集積化が急速に進み、このため低温プロセスにおいても、CVDコートシリコン含浸炭化珪素セラミックス部材を使用する必要性が生じてきた。これは、半導体を形成する工程において、シリコンウエハにポリシリコン膜、酸化膜および窒化膜等を堆積(デポジション)する熱工程があり、この処理時に部材等にもシリコンウエハ同様に膜がデポジションし、使用を繰り返す度に追加堆積することに起因する。
これらの堆積したデポジション膜(デポ膜)は、部材の使用中に、部材との熱膨張率の違いから、剥離して、パーティクルとなり製品ウエハを汚染するため、定期的に洗浄を行い、該部材等に堆積したデポ膜を除去しなければならない。また、半導体の集積度が増すと、より細かいパーティクルをも十分に管理除去することが必要となり、堆積したデポ膜を除去するための洗浄サイクルも短くなる。
よって、たとえイニシャルコストが高くても、前記混酸等の洗浄液に耐性のあるCVDコートシリコン含浸炭化珪素セラミックス部材を使用する場合が増しており、このことからも、CVDコートシリコン含浸炭化珪素セラミックス部材の低コストおよび高品質に対する要求が益々強まっている。
【0006】
半導体製造装置用CVDコートシリコン含浸炭化珪素セラミックス部材(CVDコートSi−SiCセラミックス部材)の一般的な製造方法は、まず、炭化珪素粉末に炭素粉末とバインダーを加えて、静水圧プレス成形(CIP成形)、押出成形、排泥鋳込み成形(スリップ成形)等の方法により成形体を得た後、これを1500℃以上2300℃以下で焼成する。
そして、この焼成体にシリコンを含浸させるが、このシリコン含浸後のセラミックス部材は非常に硬いため、通常は前記焼成後におおよその所定形状に生加工を行い、これに高純度シリコンを溶融含浸させる。そして、最終形状に仕上げ加工した後、その表面にCVD法(化学気相成長法)により炭化珪素(SiC)薄膜を形成させて製作している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記CVDコートSi−SiCセラミックス部材の製造方法における問題点は、シリコン(Si)含浸工程における変形や歪みまたは未含浸部分の発生等による歩留まり低下と加工コストが高いことがその主なものであり、これがコストアップの大きな原因となっている。
すなわち、原料に混合したカーボン粉末は、シリコン含浸により、
Si+C → SiC
の反応を起こし、焼成体を構成する炭化珪素(通常α−SiC)粒子間に新たにβ−SiCを生成させて粒子間接合強度をさらに上げる働きをする。その一方で、体積が約2倍に膨張するため、この膨張が均一でないと応力歪みが発生し、変形、歪みまたは反り等を生じる。さらにそれがひどい場合には、クラックを生じて歩留まり低下を引き起こす。
この弊害の影響は、部材の大型化に伴いより顕著となり、このため、上記問題の解決は当業界において早急に解決されるべき課題となっていた。
【0008】
本発明は上記技術的課題を解決するためになされたものであり、多孔炭化珪素焼成体へのシリコン含浸処理工程での変形、歪みまたは反り等の発生が回避されるとともに、シリコンの未含浸部分の発生がなく、該工程での不良品発生率が少ないため、全体としての製品歩留まりが向上したシリコン含浸炭化珪素セラミックス部材の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、最大粒径が115μm以下で平均粒径が10μm以上25μm以下である炭化珪素粉末に、粒径が0.1μm以上1μm以下である炭素粉末を2重量%以上7重量%以下添加混合し、混合物を所定形状の成形体に成形する工程と、前記成形体を非酸化性雰囲気中1500℃以上2300℃以下で、かつ下記条件で求められた焼成時間で焼成する、気孔径が103nm以上104nm以下である多孔焼成体を得る工程と、得られた多孔焼成体を、高純度シリコンを用いてシリコン含浸処理し、炭素と反応焼結させる工程と、前記シリコン含浸処理後の焼結体表面をCVD気相成長法により炭化珪素膜コートする工程とを含むことを特徴とするシリコン含浸炭化珪素セラミックス部材の製造方法が提供される。
(条件)非酸化性雰囲気中1500℃以上2300℃以下の特定の温度で焼成されたサンプル成形体を、酸化性雰囲気中600℃以上1000℃以下で加熱処理し、サンプル成形体中に添加配合された炭素成分を焼き抜き除去し、3点曲げ強度を測定し、3点曲げ強度が1MPa以上15MPa以下となる、前記特定の焼成温度に対する焼成時間を求める。
【0010】
また、本発明によれば、上記製造方法の一好適態様として、前記炭素粉末が、カーボンブラック、天然黒鉛及び人造黒鉛から選ばれた少なくとも1種からなることを特徴とするシリコン含浸炭化珪素セラミックス部材の製造方法、および、前記炭化珪素粉末がα−SiC粉末からなることを特徴とするシリコン含浸炭化珪素セラミックス部材の製造方法がそれぞれ提供される。
【0011】
さらに、本発明によれば、上記シリコン含浸炭化珪素セラミックス部材の製造方法の他の好適態様として、前記炭化珪素粉末と炭素粉末の混合物に、さらにバインダーとしてフェノール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリ酢酸ビニルエマルジョン、アクリル樹脂エマルジョンから選ばれた少なくとも1種を配合したことを特徴とするシリコン含浸炭化珪素セラミックス部材の製造方法が提供される。
【0012】
また、さらに、本発明によれば、前記混合物が、静水圧プレス成形法により成形されることを特徴とするシリコン含浸炭化珪素セラミックス部材の製造方法、前記混合物が、押出成形法により成形されることを特徴とする製造方法、および、前記混合物が、排泥鋳込み成形法により成形されることを特徴とする製造方法がそれぞれ提供される。
【0014】
本発明に係る製造方法は、粗大粒子が存在せず、粒径分布の狭い、特定粒径の炭化珪素粉末を主原料とし、これに特定量の微粒炭素粉末を配合して成形後、非酸化性雰囲気中、特定の進行程度に焼成することにより、続いて実施される生加工処理に十分耐え得る程度の焼結強度を有し、かつ、気孔径が103 nm以上104 nm以下と、適度でほぼ揃った多孔質の焼成体を得る点を第1の構成上の特徴とするものである。
さらに、該焼成体をシリコン含浸処理する際、処理後の焼成体が特定範囲の体膨張率でほぼ均等に膨張するように、焼成体中に分散存在する前記微粒炭素とシリコンを十分に反応焼結させ、反応で生成したβ−SiCにより、焼成体を構成する炭化珪素焼成粒(通常α−SiCからなる)をさらに強固に結合させる点を第2の構成上の特徴とするものである。
このように、特定の均質気孔径を有する本発明に係る炭化珪素多孔焼成体は、それをシリコン含浸処理した場合、シリコンの該気孔内含浸速度が適度な速さとなり、かつ、含浸が焼成体内全体に均質に行き渡り、未含浸部分を生じることがない。
【0015】
上記シリコン含浸処理により焼成体の気孔内に滲入したシリコンは該焼成体組織内に存在する炭素と反応し、β−SiCとなり、焼成体組織を構成するα−SiC粒をより強固に接合する作用を奏する。
その一方で、該β−SiCの生成時には体積が約2倍になるため、均一に膨張しないと該多孔焼成体の組織内に局部応力歪みを発生させ、変形もしくは歪み、反り等を生じ、極端な場合には焼結体にひび割れ(クラック)を生じさせて製品の歩留まりを低下させる。
したがって、上記多孔焼成体のシリコン含浸処理が好適に実施されるには、シリコンが適度な速度で、かつ、組織内を万遍なく滲入でき、しかも該組織内に適量の炭素微粒子が均質に分散していることが重要となる。
【0016】
例えば、主原料として配合する炭化珪素(SiC)粉末の粒径が大きいと、得られる焼成体の加工性は向上するが、気孔径が大きくなり、また、その分布幅も広がり、シリコン含浸速度にもより大きなバラツキが生ずる。
シリコン含浸時に焼成体は周囲から加熱されるため、焼成体の内部と表面部では多少の温度差が生じ、表面部が幾分高く、シリコン含浸速度も内部に比べて速くなる。
したがって、気孔径が大きく、含浸速度が速すぎると、表面部の含浸が先に進行してしまい、内部に未含浸部分を発生させる傾向を助長させる。
このように、焼成体表面部と内部でシリコンの含浸速度の差が大きくなったり、未含浸部分の発生頻度が高まると、炭素(C)とシリコン(Si)の反応にバラツキが生じ、焼成体の変形量や歪みが増加する。
【0017】
一方、配合する炭化珪素(SiC)粉末の粒径が小さすぎると、得られる焼成体の加工性が低下し、かつ、シリコン含浸時に歪みが発生し易くなり、後の加工工程時等においてクラックの発生頻度を増加させる。
すなわち、SiCの粒径が小さくなると、それだけ比表面積が増大し、必要以上にSiC粒子間の焼結融着が進み、焼成体の組織構造が強固になりすぎるため、ここにシリコンを含浸するとSiとCとの反応により生成したSiCの膨張がうまく開放されず、内部応力歪みとして蓄積される。
このようにして蓄積された応力歪みは、含浸処理後の加工工程時にクラックを発生させる誘因となり、加工工程中のクラック発生頻度を増大させる。
【0018】
さらに、適度の大きさで揃った気孔径を有し、かつ、少なくとも生加工等の加工処理に耐え得る程度の結合強度を有する焼成体を得るためには、焼成温度や焼成雰囲気等の焼成条件の適正化が重要であり、特に、焼成進行程度の適正化を図ることが好ましい。
すなわち、該焼成工程で焼成された成形体を、酸化性雰囲気中600℃以上1000℃以下で加熱処理し、成形体中に添加配合された炭素成分を焼き抜き除去したものの3点曲げ強度を測定した場合、その強度が1MPa以上15MPa以下となる程度に焼成を進行させることが特に好ましい。この焼成進行程度が上記範囲を外れた場合、たとえSiCやC等の原料粉末が本発明で規定する範囲のものであっても、上記特性を十分に備えた好適な焼結体を得ることが困難となる。
【0019】
また、さらに、本発明に係る製造方法においては、前記焼成体のシリコン含浸工程において、滲入したシリコンが焼成体組織中に分散存在する炭素粒子と十分に反応焼結することが重要であり、その場合、該処理後の焼結体は、体積膨張が前記0.05%以上0.15%以下となる。
【0020】
このように、シリコン含浸前の焼成体の気孔径が103 nm以上104 nm以下となるように、また、シリコンを含浸し、SiCを生成させたときの体積膨張率が0.05%以上0.15%以下となるように条件設定する本発明の特定構成によれば、たとえ大口径半導体製造装置用の大型部材であっても、加工性が良好で高品質のものを歩留まり良く製造することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係るシリコン含浸炭化珪素セラミックス部材の製造方法をより具体的に説明する。
本発明に係る製造方法において、主原料として用いられる炭化珪素粉末は、最大粒径が115μm以下で、平均粒径が10μm以上25μm以下のものを用いる。
炭化珪素粉末の粒径が上記規定範囲より大きいと、加工性は向上するが、得られる焼成体の気孔径が大きくなるとともに、その分布幅も広がり、シリコン含浸速度にもより大きなバラツキが生じる。
シリコン含浸時に焼成体は周囲から加熱されるため、焼成体の内部と表面部で温度差が生じ、表面部が高く、シリコン含浸速度も内部に比べて速くなる。
したがって、気孔径が大きく、含浸速度が速すぎると、表面部の含浸が先に進行してしまい、内部に未含浸部分が残存しやすくなる。これにより、炭素とシリコンの反応が均一に進行せず、焼成体の各部分における体積膨張率の差が大きくなり、焼成体が変形し、場合によってはクラックを生じることとなる。
【0022】
一方、炭化珪素粉末の粒径が上記規定範囲より小さい場合は、加工性が低下するとともに、得られる焼成体の気孔径が小さくなり、シリコン含浸工程において、含浸速度が小さくなる。
また、炭化珪素粉末の粒径が小さくなると、それだけ比表面積が増大し、SiC粒子間の焼結融着が進み、焼成体の組織構造が強固になり過ぎる。したがって、ここにシリコンを含浸すると、SiとCとの反応により生成したSiCの膨張がうまく開放されず、内部応力歪みとして残留する。この残留応力歪みは、後の加工工程時にクラックを発生させる誘因となる。
【0023】
炭化珪素粉末には、1500℃程度で生成する立方晶形のβ−SiCと200℃以上で安定な六方晶形のα−SiCが存在し、いずれも市販されている。
本発明に係る製造方法で用いる炭化珪素粉末原料としては、特に限定されるものではない。本発明で規定した粒度条件を満たす限り、いずれの粉末を用いてもよいが、市販品として、高純度で金属不純物が少なく、粒度分布が良く管理されて粗大粒の混入がなく、かつ、フッ酸、混酸に対する耐食性に優れたα−SiC粉末の使用がより好ましい。
【0024】
次に、本発明において、上記炭化珪素粉末と同時に用いられる炭素粉末原料としては、粒径が0.1μm以上1μm以下である微粒粉末を用いる。
上記炭素粉末の粒径が、上記規定範囲より大きい場合は、組織中での均一分散が困難となるだけでなく、シリコン含浸工程での均質反応焼結が期待し難くなり、シリコン含浸処理時の膨張にバラツキを生じやすくなる。
また、上記シリコン含浸工程中での反応の均一進行性を確保するためには、微粒の炭素がSiC粒子の周りに均一に分散していることが重要である。
したがって、粒径が微少なだけでなく、粒径分布が狭く、均一粒径に近いものが好ましく、粉末製造コスト上の観点も考慮して、本発明においては、炭素粉末は粒径0.1μm以上1μm以下のものを使用する。
【0025】
本発明に係る製造方法においては、上記炭素粉末を、前記炭化珪素粉末100重量%に対し2重量%以上7重量%以下、より好ましくは3重量%以上5重量%以下配合する。
炭素粉末の配合量が2重量%より少ないと、SiC粒子間の焼結が進むとともにシリコンの含浸性が低下し、未含浸部分が増加して、その部材を使用した際にクラックを生じる頻度が増す。
また、シリコン含浸工程におけるシリコンと炭素の反応が少なすぎて焼成体の組織(α−SiC粒子からなる)を強固に結合するβ−SiCの生成が少なすぎ、α−SiC粒子同士およびα−SiC粒子と含浸Siの接合が十分に向上しない。
一方、配合量が7重量%より多いと、焼成後の強度が得られず、該焼成体を十分にハンドリングできない等の不都合を生ずる。
【0026】
この炭素粉末は、焼成工程においては、SiC粒子間の過度の焼結を抑制する。また、シリコン含浸工程においては、シリコンとの良好な親和性により含浸性(濡れ性)を向上させるとともに、シリコンと反応してSiC粒子間に新しくSiCを形成し接合を強化する働きを奏する。
該炭素粉末の製造原料としては、不純物金属等を含まない所定純度を有する炭素源であれば特に限定されるものではないが、カーボンブラック、天然黒鉛もしくは人造黒鉛の粉末、または、これら粉末の1種または2種以上の混合粉末を使用することが好ましい。
【0027】
本発明に係る製造方法においては、上記炭化珪素粉末と炭素粉末の混合物に、成形体および焼成体の強度向上のため、有機高分子系のバインダー、例えば、フェノール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリ酢酸ビニルエマルジョン、アクリルエマルジョン、メチルカルボキシセルロース等から選ばれた1種または複数種を配合することが好ましい。
また、成形方法によっては、分散剤や溶媒を添加しても良い。
【0028】
次いで、この混合物を所定の成形体形状に成形する。
成形方法としては、この種のセラミック部材の成形に用いられる成形法、例えば、機械プレス成形法、静水圧プレス成形法、押出成形法、泥漿鋳込み成形法、射出成形法等を特に限定されることなく用いることができるが、これらのうちでも、比較的単純な形状の部材の成形には、静水圧プレス法(CIP成形法)や押出法が、やや複雑な形状の部材には、排泥鋳込み成形法(スリップ成形法)が好適である。
【0029】
本発明に係る製造方法において、上記成形体の焼成は、非酸化性雰囲気下、例えば、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスや窒素ガス、または、減圧下において、1500℃以上2300℃以下で焼成(熱処理)する。
焼成温度がシリコン含浸時の熱処理温度より低いと、シリコン含浸工程において寸法収縮が発生するため、該焼成温度はシリコン含浸時の熱処理温度より高い温度で行うことが好ましい。
また、炭化珪素は、2100℃を越えると徐々に分解や再結晶し始め、2300℃を越えるとそれらがさらに著しくなるため、焼成は1700℃以上2100℃以下で行うのがより好ましい。
【0030】
本発明の焼成工程においては、成形体の焼成進行程度を適正化することが特に好ましい。
すなわち、上記焼成工程で焼成されたサンプル成形体を、例えば、大気中等の酸化性雰囲気中600℃以上1000℃以下で加熱処理して、該サンプル成形体中に添加配合された炭素成分を焼き抜き除去する。この炭素焼き抜きサンプルの3点曲げ強度を測定した場合、その強度が1MPa以上15MPa以下となる程度に焼成を進行させることが好ましく、焼成進行程度が上記範囲をはずれた場合、たとえSiCやC等の原料粉末が本発明の規定範囲のものであっても、得られた焼成体の曲げ強度等が不足し、本発明の特性を十分に備えた好適な焼結体を得ることが困難となる。
【0031】
本発明の焼成工程における焼成進行程度決定のための上記炭素焼き抜き処理は、600℃以上1000℃以下の温度範囲で実施することが必要である。該処理温度が600℃より低いと、炭素成分の除去が十分ではなく、1000℃より高いと、目的とする炭化珪素焼成体そのものの焼成進行度がつかめない。
【0032】
上記で規定した炭素焼き抜きサンプルの3点曲げ強度(1MPa以上15MPa以下)を達成する焼成進行程度を得るには、本発明で規定する範囲の炭化珪素、炭素混合粉末の成形体の焼成時間や焼成温度を適宜調整することにより、炭素焼き抜きサンプルが上記強度範囲となる条件を求め、該求めた条件に基づき焼成工程での焼成進行度条件を設定する。
このようにして得られた焼成体は、次に述べる生加工が十分可能な程度の機械強度を有し、かつ、次のシリコン含浸工程における適正速度でのシリコンの均等滲入に好都合である103 nm以上104 nm以下の気孔径を有する。
【0033】
シリコン含浸処理後の焼結体は非常に硬くなるため、上記焼成後におおよその形状に生加工を行い、純化処理した後、次の高純度シリコンの含浸処理に付すことが好ましい。
【0034】
純化処理には、HClやCl2 ガス雰囲気下で熱処理する等の一般的方法を採用してよい。例えば、前記生加工した炭化珪素焼成体を不活性ガス及び/又はHClやCl2 ガス雰囲気中で1200℃以上1800℃以下で加熱純化処理する方法等を挙げることができる。
【0035】
シリコン含浸工程は、例えば、真空または減圧アルゴンガスもしくは減圧窒素ガス等減圧不活性ガス雰囲気中1430℃以上1600℃以下で該生加工および純化処理した焼成体に高純度シリコンを含浸させる。
高純度シリコンとしては、例えば、半導体単結晶の原料として使用される高純度シリコン等を用いる。
シリコン含浸工程においては、焼成体の気孔中に滲入した溶融シリコンが該焼成体組織中に分散存在する炭素粒子と十分に反応するまでの間、上記温度に保持する。これにより、焼成体はシリコン含浸前に比べて0.05%以上0.15%以下の範囲で体積膨張する。
【0036】
上記シリコン含浸工程の後、最終形状に仕上加工し、該仕上加工後のシリコン含浸焼結体の表面にCVD法(化学気相成長法)により炭化珪素膜をコーティングし、製品である半導体製造装置用CVDコートシリコン含浸炭化珪素セラミックス部材を得る。
【0037】
【実施例】
以下、本発明に係る半導体熱処理用部材の製造方法を実施例に基づきさらに詳細に説明する。ただし、本発明は下記実施例に何ら制限されるものでない。
(実施例1)
粒径が115μm以下であり、かつ、平均粒径が20μmである炭化珪素粉末(SiC)に、平均粒径が0.5μm(粒径0.1μm以上1μm未満)のカーボンブラックと天然黒鉛の混合炭素粉末(C)を5重量%配合した。これに、バインダーとしてフェノール樹脂(前記混合粉末100重量部に対し3重量部)を加え、これらの原料をヘンシェルミキサーで混合した後、乾燥して造粒粉を得た。
この造粒粉を成形型に充填し、1000kg/cm2 の圧力でCIP成形により成形体を作製した。
この成形体をN2 雰囲気下、1800℃で熱処理(焼成)し、焼成体を得た。この焼成体の気孔径を測定し、表1に示した。また、下記に示した3点曲げ強度測定方法により、測定したこの焼成体の曲げ強度は11MPaであった。
【0038】
また、得られた焼成体のうちから一部をサンプルとして取り出し、これを炭素焼き抜き処理(電気炉内、大気雰囲気中で、800℃、48時間熱処理し、配合炭素粉末とバインダーによる炭素成分を焼抜き除去する処理)し、得られた炭素焼き抜き処理サンプルの3点曲げ強度を表1に示した。
なお、上記炭素焼き抜き処理サンプルの3点曲げ強度測定方法は下記の通りである。
すなわち、JISR1601に準じ、試験片10片を、強度試験装置を用いてクロスヘッド降下速度0.5mm/minで、それぞれの破壊荷重P(N)を測定し、各々の3点曲げ強さσf (Pa)を次式により算出し、その平均値を強度値とした。
σf =3PL/2bh2
ただし、Lは支点間距離(m)、bは試験片幅(m)、hは試験片厚さ(m)をそれぞれ表す。
【0039】
この焼成体を、図1に示すような半導体熱処理装置用シリコンウエハ保持用ボートの各パーツ(ウエハ保持溝付き棒状部材2、頂部盤部材3、底部盤部材4)に近い形状に生加工し、これらを原料と同じ処方の接着ペーストを用いて、図1に示したウエハ保持用ボートに組み立てた。
このウエハ保持用ボートは、ウエハ保持用溝部1を備えた3本のウエハ保持溝付き棒状部材2、該棒状部材2を上下で支える頂部盤部材3および底部盤部材4の各パーツから基本的に構成される。
このウエハ保持用ボートに組み立てた焼成体を常法で純化処理し、減圧N2 雰囲気下、1600℃で高純度シリコンを含浸させた。
シリコン含浸工程における体積膨張率は0.13%であり、変形も許容範囲内であり、未含浸部分も見られなかった。
【0040】
なお、体積膨張率は、室温で、マイクロメーターおよびレーザー3次元測定器を用いて焼成体のシリコン含浸前と含浸後の体積を測定して下記式により求めた。
体積膨張率=(Si含浸後焼成体の体積−Si含浸前焼成体の体積)
/Si含浸前焼成体の体積×100(%)
シリコン含浸処理後、ウエハ保持用ボートの形状に最終仕上加工した。この工程では切削抵抗が後記の従来例1より低く、加工性が良好であり、加工時間も従来例1の約1/2に短縮され、破損もしなかった。
最終加工後、CVD法により、表面を炭化珪素膜でコーティングし、半導体熱処理装置用シリコンウエハ保持用ボート製品を得た。
この製品ウエハ保持用ボートを半導体製造の熱処理工程で試用したところ、特に問題もなく、従来品と同様に用いることができた。
従来の製法(従来例1)では、シリコン含浸工程における歩留まりは70%以下であったが、本発明の製法(実施例1)では、歩留まりを95%以上に向上させることができた。
【0041】
(実施例2)
粒径が115μm以下であり、かつ、平均粒径が10μmである炭化珪素粉末に平均粒径が0.5μm(粒径0.1μm以上1μm未満)のカーボンブラック粉末を5重量%配合した。これに、バインダーとしてフェノール樹脂(前記混合粉末100重量部に対し3重量部)、分散剤(同0.1重量部)および溶媒として水(20重量部)を加え、これらの原料をポット混合してスラリーを得た。
このスラリーを石膏型に鋳込み、チューブ形状の成形体を得た。
この成形体をN2 雰囲気下、1800℃で熱処理し、焼成体とした。この焼成体の気孔径を表1に示した。この焼成体の3点曲げ強度は15MPaであった。
【0042】
実施例1と同様の方法で測定した炭素焼き抜き処理サンプルの3点曲げ強度を表1に示した。
焼成体を純化処理し、減圧N2 雰囲気下、1600℃で高純度シリコンを含浸させた。
シリコン含浸工程における体積膨張率は0.07%であり、変形も許容範囲内であり、未含浸部分もなかった。
シリコン含浸後、半導体熱処理装置用チューブの形状に最終加工した。この工程では切削抵抗が従来品より低く、加工性が良好であり、破損もしなかった。
最終加工後、CVD法により、表面を炭化珪素膜でコーティングし、半導体熱処理装置用チューブを得た。
【0043】
この半導体熱処理装置用チューブを半導体製造の熱処理工程で試用したところ、特に問題もなく、従来品と同様に用いることができた。
従来の製法では、変形や径方向のつぶれにより歩留まりが低く、その対策として、肉厚に成形した後、最終加工で研削加工を行っていたが、本発明に係る製法によれば、変形やつぶれ等が小さいため、最終加工の加工時間を約1/3に短縮できるとともに、歩留まりも向上させることができた。
【0044】
(従来例1)
粒径が160μm以下であり、かつ、平均粒径が30μmである炭化珪素粉末に平均粒径が0.3μmのカーボンブラックと天然黒鉛の混合粉末を5重量%配合した。これに、バインダーとしてフェノール樹脂(前記混合粉末100重量部に対し3重量部)を加え、これらの原料をヘンシェルミキサーで混合した後、乾燥して造粒粉を得た。
この造粒粉を成形型に充填し、1000kg/cm2 の圧力でCIP成形により成形体を得た。
この成形体をN2 雰囲気下、1800℃で熱処理し、焼成体を得た。この焼成体の気孔径を表1に示した。また、この焼成体の3点曲げ強さは10MPaであった。
【0045】
炭素焼き抜き処理(大気中800℃で48時間熱処理)後の焼成体サンプルは、非常に脆く、ハンドリングが困難であり、3点曲げ強度の測定をすることができなかった。
焼成体を、図1に示す半導体熱処理装置用ウエハ保持用ボートの各パーツに近い形状に生加工し、これを接着ペーストを用いて図1のように組み立てた。
このウエハ保持用ボートに組み立てた焼成体を純化処理し、減圧N2 雰囲気下、1600℃で高純度シリコンを含浸させた。
シリコン含浸工程における体積膨張率は0.20%であり、歩留まりは70%以下であった。不良の主な原因は、変形であった。
【0046】
(従来例2)
粒径が44μm以下であり、かつ、平均粒径が5μmである炭化珪素粉末に平均粒径が0.5μmのカーボンブラックを5重量%配合した。これに、バインダーとしてフェノール樹脂(前記混合粉末100重量部に対し3重量部)、分散剤(同0.1重量部)および溶媒として水(同20重量部)を加え、これらの原料をポット混合し、スラリーを得た。
このスラリーを石膏型に鋳込み、チューブ形状の成形体を得た。
この成形体をN2 雰囲気下、1800℃で熱処理し、焼成体を得た。この焼成体の気孔径を表1に示した。また、この焼成体の3点曲げ強さは30MPaであった。
【0047】
炭素焼き抜き処理(大気中800℃で48時間熱処理)後のサンプルの3点曲げ強度を測定し表1に示した。
この焼成体を純化処理し、減圧N2 雰囲気下、1600℃で高純度シリコンを含浸させた。シリコン含浸工程における体積膨張率は0.04%であり、歩留まりは50%以下であった。不良の主な原因は、シリコン未含浸部分を有することおよびシリコン含浸中の割れであり、また、シリコン未含浸に起因すると思われる不均一な膨張による変形も見られた。
【0048】
(比較例1)
粒径が115μm以下であり、かつ、平均粒径が30μmである炭化珪素粉末に平均粒径が0.5μmのカーボンブラックと天然黒鉛の混合物を5重量%配合した。これに、バインダーとしてフェノール樹脂(前記混合粉末100重量部に対し3重量部)を加え、これらの原料をヘンシェルミキサーで混合した後、乾燥して造粒粉を得た。
この造粒粉を成形型に充填し、1000kg/cm2 の圧力でCIP成形により成形体を得た。
この成形体をN2 雰囲気下、1800℃で熱処理し、焼成体を得た。この焼成体の気孔径を表1に示した。また、この焼成体の3点曲げ強さは5MPaであった。
なお、炭素焼き抜き処理サンプルは、非常に脆く、ハンドリングが困難であった。
【0049】
焼成体は、十分な生加工を施すには、やや強度が不足していたが、時間をかけ、図1に示すような半導体熱処理装置用ウエハ保持用ボートの各パーツに近い形状に生加工し、これを接着ペーストを用いて図1のように組み立てた。
このシリコンウエハ保持用ボートに組み立てた焼成体を純化処理し、減圧N2 雰囲気下、1600℃で高純度シリコンを含浸させた。シリコン含浸工程における体積膨張率は0.20%であった。シリコンウエハを保持するための溝棒が外側に膨張するように変形し、寸法が許容範囲外であった。また、ウエハ保持溝付き棒部材の内部には数カ所のシリコン未含浸部分が観察された。
【0050】
(比較例2)
粒径が115μm以下であり、かつ、平均粒径が2μmである炭化珪素粉末に粒径が0.5μmのカーボンブラックと天然黒鉛の混合物を5重量%配合した。これに、バインダーとしてフェノール樹脂(前記混合粉末100重量部に対し3重量部)を加え、これらの原料をヘンシェルミキサーで混合した後、乾燥して造粒粉を得た。
この造粒粉を成形型に充填し、1000kg/cm2 の圧力でCIP成形により成形体を得た。
この成形体をN2 雰囲気下、1800℃で熱処理し、焼成体を得た。この焼成体の気孔径を表1に示した。この焼成体の3点曲げ強さは40MPaであった。
なお、炭素焼き抜き処理後のサンプルの3点曲げ強度を測定し表1に示した。
この焼成体は、非常に硬く、従来の乾式加工ができなかった。
また、湿式加工では、焼成体中のカーボン分が冷却水とともに流れてしまうため、生加工を行うことはできなかった。
【0051】
よって、生加工を行わずに、図1に示すようなウエハ保持用ボートの各パーツに加工し、これを接着ペーストを用いて図1のように組み立てた。
このウエハ保持用ボートに組み立てた焼成体を純化処理し、減圧N2 雰囲気下、1600℃で高純度シリコンを含浸させた。シリコン含浸工程における体積膨張率は0.01%であり、変形は許容範囲内であった。
シリコン含浸後、シリコンウエハを保持するためのウエハ保持用溝付き棒状部材の溝加工の際、該棒部材が破損した。
【0052】
(比較例3)
粒径が115μm以下であり、かつ、平均粒径が20μmである炭化珪素粉末に粒径が0.5μmのカーボンブラックと天然黒鉛の混合物を10重量%配合した。これに、バインダーとしてフェノール樹脂(前記混合粉末100重量部に対し3重量部)を加え、これらの原料をヘンシェルミキサーで混合した後、乾燥して造粒粉を得た。
この造粒粉を成形型に充填し、1000kg/cm2 の圧力でCIP成形により成形体を得た。この成形体をN2 雰囲気下、1800℃で熱処理し、焼成体を得た。この焼成体は、強度が非常に低く、ハンドリングも困難であった。
【0053】
(比較例4)
粒径が115μm以下であり、かつ、平均粒径が20μmである炭化珪素粉末に粒径が0.5μmのカーボンブラックと天然黒鉛の混合物を1重量%配合した。これに、バインダーとしてフェノール樹脂(前記混合粉末100重量部に対し3重量部)を加え、これらの原料をヘンシェルミキサーで混合した後、乾燥して造粒粉を得た。
この造粒粉を成形型に充填し、1000kg/cm2 の圧力でCIP成形により成形体を得た。
この成形体をN2 雰囲気下、1800℃で熱処理し、焼成体を得た。この焼成体の気孔径を表1に示した。この焼成体の3点曲げ強さは35MPaであった。
【0054】
なお、炭素焼き抜き処理後サンプルの3点曲げ強度を測定し表1に示した。
この焼成体を、図1に示すような半導体熱処理装置用シリコンウエハ保持用ボートの各パーツに近い形状に生加工し、これを接着ペーストを用いて図1のように組み立てた。
この焼成体は、比較例2ほどではないが、生加工するのには硬かった。
このウエハ保持用ボートに組み立てた焼成体を純化処理し、減圧N2 雰囲気下、1600℃で高純度シリコンを含浸させた。シリコン含浸工程における体積膨張率は0.03%であり、変形も許容範囲内であった。
シリコン含浸後、ウエハ保持用溝付き棒状部材の溝加工の際、数カ所にシリコン未含浸部分が観察された。また、切削抵抗および最終加工時間は従来と同様であった。
【0055】
(比較例5)
粒径が115μm以下であり、かつ、平均粒径が20μmである炭化珪素粉末に平均粒径が2μmのカーボンブラックと天然黒鉛の混合粉末を5重量%配合した。これに、バインダーとしてフェノール樹脂(前記混合粉末100重量部に対し3重量部)を加え、これらの原料をヘンシェルミキサーで混合した後、乾燥して造粒粉を得た。
この造粒粉を成形型に充填し、1000kg/cm2 の圧力でCIP成形により成形体を得た。
この成形体をN2 雰囲気下、1800℃で熱処理し、焼成体を得た。この焼成体の気孔径を表1に示した。この焼成体の3点曲げ強さは7MPaであった。
炭素焼き抜き処理(大気中800℃で48時間熱処理)後のサンプルは非常に脆く、ハンドリングが困難であった。
【0056】
この焼成体を、図1に示すような半導体熱処理装置用シリコンウエハ保持用ボートの各パーツに近い形状に生加工し、これを接着ペーストを用いて図1のように組み立てた。
このウエハ保持用ボートに組み立てた焼成体を純化処理し、減圧N2 雰囲気下、1600℃で高純度シリコンを含浸させた。シリコン含浸工程における体積膨張率は0.20%であった。
シリコン含浸後、ウエハ保持用ボートの形状に最終加工した。加工性に問題はなかったが、不均一な体積膨張により変形した。
【0057】
【表1】
Figure 0004382919
【0058】
【発明の効果】
以上のように、本発明に係る半導体製造装置用CVDコートシリコン含浸炭化珪素セラミックス部材の製造方法によれば、従来の製法よりも焼成体の加工性が向上し、かつ、シリコン含浸工程における変形、歪みおよび未含浸等による不良を低減させることができ、歩留まりを向上させることができる。
したがって、本発明によれば、加工性および歩留まりが向上するため、シリコンウエハの熱処理工程で使用されるボート、チューブ等の半導体製造装置用CVDコートシリコン含浸炭化珪素セラミックス部材を、従来よりも安価に製造することができる。
さらに、大型の部材であっても、低コストで製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】半導体熱処理装置用のウエハ保持用ボートの側面概略図である。
【符号の説明】
1 ウエハ保持溝部
2 ウエハ保持溝付き棒状部材
3 頂部盤部材
4 底部盤部材

Claims (7)

  1. 最大粒径が115μm以下で平均粒径が10μm以上25μm以下である炭化珪素粉末に、粒径が0.1μm以上1μm以下である炭素粉末を2重量%以上7重量%以下添加混合し、混合物を所定形状の成形体に成形する工程と、
    前記成形体を非酸化性雰囲気中1500℃以上2300℃以下で、かつ下記条件で求められた焼成時間で焼成する、気孔径が103nm以上104nm以下である多孔焼成体を得る工程と、
    得られた多孔焼成体を、高純度シリコンを用いてシリコン含浸処理し、炭素と反応焼結させる工程と、
    前記シリコン含浸処理後の焼結体表面をCVD気相成長法により炭化珪素膜コートする工程と
    を含むことを特徴とするシリコン含浸炭化珪素セラミックス部材の製造方法。
    (条件)非酸化性雰囲気中1500℃以上2300℃以下の特定の温度で焼成されたサンプル成形体を、酸化性雰囲気中600℃以上1000℃以下で加熱処理し、サンプル成形体中に添加配合された炭素成分を焼き抜き除去し、3点曲げ強度を測定し、3点曲げ強度が1MPa以上15MPa以下となる、前記特定の焼成温度に対する焼成時間を求める。
  2. 前記炭素粉末が、カーボンブラック、天然黒鉛及び人造黒鉛から選ばれた少なくとも1種からなることを特徴とする請求項1記載のシリコン含浸炭化珪素セラミックス部材の製造方法。
  3. 前記炭化珪素粉末がα−SiC粉末からなることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載のシリコン含浸炭化珪素セラミックス部材の製造方法。
  4. 前記炭化珪素粉末と炭素粉末の混合物に、さらにバインダーとしてフェノール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリ酢酸ビニルエマルジョン、アクリル樹脂エマルジョンから選ばれた少なくとも1種を配合したことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載のシリコン含浸炭化珪素セラミックス部材の製造方法。
  5. 前記混合物が、静水圧プレス成形法により成形されることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかに記載のシリコン含浸炭化珪素セラミックス部材の製造方法。
  6. 前記混合物が、押出成形法により成形されることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかに記載のシリコン含浸炭化珪素セラミックス部材の製造方法。
  7. 前記混合物が、排泥鋳込み成形法により成形されることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかに記載のシリコン含浸炭化珪素セラミックス部材の製造方法。
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