JP2001000588A - 中空フィラメントを用いたストリング - Google Patents

中空フィラメントを用いたストリング

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JP2001000588A JP11178162A JP17816299A JP2001000588A JP 2001000588 A JP2001000588 A JP 2001000588A JP 11178162 A JP11178162 A JP 11178162A JP 17816299 A JP17816299 A JP 17816299A JP 2001000588 A JP2001000588 A JP 2001000588A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 反発能力およびこの反発能力を長期に亘り維
持する耐久性に優れ、かつ振動吸収性に富むストリング
を提供する。 【解決手段】 略円柱状の芯糸13と、その外周に螺旋
状に巻き付けられて、一体的に接着された複数の側糸5
と、更にその外周に形成された樹脂コーティング層7と
からなるストリング。前記芯糸は、第一小束フィラメン
ト3cと第二小束フィラメント15とを交互に隣接して
束ねて、一体的に接着しながら撚りを与えて形成され
る。この第一小束フィラメントは中空フィラメント3b
を複数束ねて構成され、第二小束フィラメント15は中
実フィラメント15bを複数束ねて構成される。前記中
空フィラメントの横断面中には長手方向に空孔3aが形
成される。前記側糸は複数の中実フィラメントからな
る。そして、ストリングの横断面中に占める前記空孔部
の面積の割合は3〜30パーセントに設定される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、テニス、バトミン
トン、スカッシュなどの各種ラケットに使用される、合
成樹脂繊維を素材としたストリングに係り、特に反発能
力と振動吸収性とを高めたストリングに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ラケットフレームの素材開発が進
み、カーボン、グラファイト、チタン等で強化した強化
樹脂が多用されており、ラケットは著しく軽量化されて
いる。このラケットの軽量化によって、従来の、ラケッ
トが重いことによって体に大きな負担がかかるという問
題は解消されつつある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記軽量化に
伴い、フレームは薄肉な剛直構造の傾向が強まり、これ
に伴い打球時のラケットの振動吸収性が低下して、肘へ
の負担が無視できなくなりつつあって、テニスエルボ
(肘を支える筋肉の炎症)等の対策を講じる必要が生じ
てきている。
【0004】このような背景の基、フレーム側の対策と
しては、従来よりフレームにシリコーンゴムなどででき
たバイブレーションストッパーを装着すること等が行わ
れているが、より振動吸収性の向上を図るために、スト
リング自体の振動吸収性を向上させることが求められ始
めている。ところが、このストリングの振動吸収性の向
上は、ラケットにそもそも要求される反発能力の向上と
二律背反の関係にあって、両者を両立させることは、以
前からストリング用素材として一般に使用されている、
中実フィラメントを多数束ねて形成したマルチフィラメ
ント(以下、中実ストリングと記す)では困難であっ
た。
【0005】本発明は、以上の課題を解決するものであ
って、その目的は、反発能力およびこの反発能力を長期
に亘り維持する耐久性に優れ、かつ振動吸収性に富む中
空フィラメントを用いたストリング(以下、中空ストリ
ングと記す)を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めに請求項1に示す発明は、長手方向に沿って内部に空
孔が形成された中空フィラメントを多数束ねて一体的に
接着したマルチフィラメントの外周に樹脂コーティング
層を形成したストリングであって、該ストリングの横断
面中に占める前記空孔部の面積の割合(以下、ストリン
グ中空率と記す)が3〜30パーセントであることを特
徴とする。
【0007】上記構成によれば、中実フィラメントに代
えて、長手方向に沿って内部に空孔が形成された中空フ
ィラメントを適用したので、反発能力および振動吸収性
を共に向上することができる。すなわち、同一ストリン
グ径で同一素材のストリングの反発能力については、ス
トリング内部に空孔が存在すると、打球時に生じるスト
リング長手方向荷重を受ける有効断面が前記空孔分だけ
少なくなり、ストリングの長手方向伸びが大きくなるの
で、ストリングに蓄積される弾性エネルギーが大きくな
る。そして、前記弾性エネルギーが大きくなると、ボー
ルに与える運動エネルギーも大きくなるため、打球後の
ボールの速度も速くなり、反発能力は向上する。したが
い、中空フィラメントの適用により反発能力を向上する
ことができる。そして、振動吸収性については、前記中
空フィラメントは中実フィラメントよりも打球時の局所
的な凹み変形が生じやすく、打球時に発生する衝撃荷重
をこの局所的な凹み変形によって吸収するので、中空フ
ィラメントの適用により、振動吸収性を向上することが
できる。
【0008】また、前記ストリング中空率を3〜30パ
ーセントの範囲内に設定することにより、反発能力を向
上させつつ、その初期の反発能力を長期に亘り持続する
ことが可能になる。すなわち、同一ストリング径で同一
素材のストリングにあっては、前記ストリング中空率が
大きい程前記有効断面が少なくなるため、打球時のスト
リングの長手方向伸びは大きくなってストリングに蓄積
される弾性エネルギーは大きくなる。つまり、ストリン
グ中空率の増加に従い反発能力も増加し、3パーセント
以上で顕著な効果が現れる。一方、ストリング中空率が
30パーセントを超えると、前記有効断面に作用する応
力が大きくなって、繰り返し作用する応力による早期破
損を生じ易くなる。すなわち、疲労破壊が生じやすくな
り、結果、初期の反発能力を持続できなくなる。これ
故、前記ストリング中空率を3〜30パーセントの範囲
内に設定することにより、反発能力の向上と耐久性(性
能持続性)とを両立させ得る。
【0009】更には、中空フィラメントを多数束ねたマ
ルチフィラメントを適用するので、前記中空フィラメン
ト横断面中に占める空孔の面積の割合(以下、フィラメ
ント中空率と記す)を調整することで、ストリング中空
率を前記した3〜30パーセントの範囲内の任意の値に
容易に設定でき、特に、30%近辺まで高く設定するこ
とが可能になる。
【0010】請求項2に示す発明は、長手方向に沿って
内部に空孔が形成された中空フィラメントを多数束ねて
一体的に接着したマルチフィラメントからなる芯糸の外
周に、多数の中実フィラメントからなる側糸を設けて一
体的に接着し、該側糸の外周に樹脂コーティング層を形
成したストリングであって、ストリング中空率が3〜3
0パーセントであることを特徴とする。
【0011】上記構成によれば、前記多数の中空フィラ
メントからなる芯糸の外周に、多数の中実フィラメント
からなる側糸を設けて一体的に接着し、さらにこの側糸
の外周に樹脂コーティング層を形成したので、耐久性に
乏しい前記中空フィラメントを前記側糸およびコーティ
ング層で保護して、ストリングの耐久性の向上が図れ
る。また、芯糸が、前記多数の中空フィラメントからな
るマルチフィラメントであるとともに、ストリング中空
率が3〜30%であるので、請求項1のストリングと同
様の作用を奏することができる。
【0012】請求項3に示す発明は、長手方向に沿って
内部に空孔が形成された中空フィラメントと内部に空孔
のない中実フィラメントとを多数束ねて一体的に接着し
たマルチフィラメントからなる芯糸の外周に、多数の中
実フィラメントからなる側糸を巻き付けて一体的に接着
し、該側糸の外周に樹脂コーティング層を形成したスト
リングであって、ストリング中空率が3〜30パーセン
トであることを特徴とする。
【0013】上記構成によれば、前記芯糸を、中空フィ
ラメントと中実フィラメントとを混合して束ねて形成し
ているので、両者の本数比率を変化させることによっ
て、ストリング外径やフィラメント中空率は一定に維持
して、ストリング中空率を自在に変化させることがで
き、反発能力および振動吸収性を自在に設定できて、ス
トリング設計の自由度が著しく向上する。
【0014】また、芯糸の外周に側糸を巻き付けて一体
的に接着し、さらにこの側糸の外周に樹脂コーティング
層を形成したので、請求項2のストリングと同様にその
耐久性を向上することができる。
【0015】更には、芯糸が、中空フィラメントを含む
マルチフィラメントであるとともに、ストリング中空率
が3〜30%であるので、請求項1のストリングと同様
の作用も奏することができる。
【0016】ここで、請求項4に示す発明のように、請
求項3記載のストリングにおいて、前記芯糸は、その中
空フィラメントと中実フィラメントとをそれぞれ個別に
複数組に分割して小束のマルチフィラメントに形成し、
該小束のマルチフィラメントを撚り束ねて一体的に接着
形成する構成とすることもできる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施形態
につき、添付図面を参照して詳細に説明する。本発明に
係るテニス用ストリングとして、その特性たる反発能
力、耐久性を調査する目的で、第一〜第四実施形態のス
トリングを、およびその比較用として、従前の中実フィ
ラメントからなるストリングである比較例1を試作し
た。図1〜5にその径方向断面図を各々示す。
【0018】更に、本発明に係るバトミントン用ストリ
ングとして、その特性たる振動吸収性を調査する目的
で、第五実施形態のストリングを、およびその比較用と
して、従前の中実フィラメントからなるストリングであ
る比較例2を試作した。図6、7にその径方向断面図を
各々示す。
【0019】図1に示す第一実施形態のストリング1
は、中央に位置する略円柱状の芯糸3と、その芯糸3の
外周に螺旋状に巻き付けられて、ナイロン共重合接着剤
で一体的に接着された22本の側糸5と、更にその外周
に形成された樹脂コーティング層7とからなる三層構造
であり、その外形は断面円形状である。
【0020】前記芯糸3は、5040デニールのマルチ
フィラメントであり、長手方向に沿って空孔3aが形成
されたナイロン6からなる断面矩形状の中空フィラメン
ト3bを420本束ねて、ナイロン共重合接着剤で一体
的に接着しながら100回/mで撚りを与えて形成され
る。前記空孔3aは円形状で、フィラメント横断面中に
4つ形成されており、その横断面中に占める前記空孔の
面積の割合(フィラメント中空率)は20パーセントで
ある。
【0021】前記側糸5は、内部に空孔のない7本の中
実フィラメント5bからなり、その太さは210デニー
ルに設定されている。この中実フィラメント5bは断面
円形状である。この側糸5と後述する樹脂コーティング
層7は、前記中空フィラメント3bとボールの直接接触
を断って中空フィラメント3bを保護するもので、その
耐久性を向上することができる。
【0022】前記最外層の樹脂コーティング層7は、ナ
イロン6樹脂を用いて押出しコーティングをして形成さ
れる。
【0023】以上の構造よりなる第一実施形態のストリ
ング1は、直径1.27mm、ストリング中空率15パ
ーセントに設定されている。
【0024】図2に示す第二実施形態のストリング11
は、中央に位置する略円柱状の芯糸13と、その芯糸1
3の外周に螺旋状に巻き付けられて、ナイロン共重合接
着剤で一体的に接着された20本の側糸5と、更にその
外周に形成された樹脂コーティング層7とからなる三層
構造であり、その外形は断面円形状である。
【0025】前記芯糸3はマルチフィラメントであり、
840デニールの第一小束フィラメント3cと同840
デニールの第二小束フィラメント15とを交互に各々3
束ずつ隣接して束ねて、ナイロン共重合接着剤で一体的
に接着しながら100回/mで撚りを与えて形成され
る。この第1小束フィラメント3cは、中空フィラメン
ト3bを70本束ねて構成される。また、第二小束フィ
ラメント15は、内部に空孔のない、ナイロン6からな
る断面円形状の中実フィラメント15bを140本束ね
て構成される。前記中空フィラメント3bはナイロンか
らなる断面矩形状のフィラメントであり、長手方向に沿
って空孔3aが形成されている。そして、この空孔3a
は円形状でフィラメント横断面中に4つ形成されてお
り、そのフィラメント中空率は20パーセントである。
【0026】前記側糸5は、内部に空孔のない7本の中
実フィラメント5bからなり、210デニールに設定さ
れている。この中実フィラメント5bは断面円形状であ
る。この側糸5と後述する樹脂コーティング層7は、前
記中空フィラメント3bとボールの直接接触を断って中
空フィラメント3bを保護するもので、その耐久性を向
上することができる。
【0027】前記最外層の樹脂コーティング層7は、ナ
イロン6樹脂を用いて押出しコーティングをして形成さ
れたものである。
【0028】以上の構造よりなる第二実施形態のストリ
ング11は、直径1.27mm、ストリング中空率10
パーセントに設定されている。
【0029】図3に示す第三実施形態のストリング21
は、中央に位置する略円柱状の芯糸23と、その外周に
形成された樹脂コーティング層7とからなる二層構造で
あり、その外形は断面円形状である。
【0030】前記芯糸23は11760デニールのマル
チフィラメントであり、長手方向に沿って空孔3aが形
成されたナイロン6からなる断面矩形状の中空フィラメ
ント3bと、内部に空孔のない、ナイロン6からなる断
面円形状中実フィラメント15bとを複数本束ねて、ナ
イロン共重合接着剤で一体的に接着しながら100回/
mで撚りを与えて形成される。前記空孔3aは円形状で
フィラメント横断面中に4つ形成されており、そのフィ
ラメント中空率は20パーセントである。
【0031】前記外層の樹脂コーティング層7は、ナイ
ロン6樹脂を用いて押出しコーティングをして形成され
る。この樹脂コーティング層7は、前記中空フィラメン
ト3bとボールの直接接触を断って中空フィラメント3
bを保護するもので、その耐久性を向上することができ
る。
【0032】以上の構造よりなる第三実施形態のストリ
ング21は、直径は1.27mmに、またストリング中
空率は、中空フィラメントと中実フィラメントの本数比
率を調整して3パーセントに設定されている。
【0033】図4に示す第四実施形態のストリング31
は、中央に位置する略円柱状の芯糸33と、その外周に
形成された樹脂コーティング層7とからなる二層構造で
あり、その外形は断面円形状である。
【0034】前記芯糸33は10080デニールのマル
チフィラメントであり、長手方向に沿って空孔3aが形
成されたナイロン6からなる中空フィラメント3bを複
数本束ねて、ナイロン共重合接着剤で一体的に接着しな
がら100回/mで撚りを与えて形成される。前記空孔
3aは円形状でフィラメント横断面中に4つ形成されて
おり、そのフィラメント中空率は30パーセントであ
る。
【0035】前記外層の樹脂コーティング層7は、ナイ
ロン6樹脂を用いて押出しコーティングをして形成され
る。この樹脂コーティング層7は、前記中空フィラメン
ト3bとボールの直接接触を断って中空フィラメント3
bを保護するもので、その耐久性を向上することができ
る。
【0036】以上の構造よりなる第四実施形態のストリ
ング31は、直径1.35mm、ストリング中空率は概
ね30パーセントに設定されている。
【0037】図5に示す比較例1のストリング41は、
中央に位置する略円柱状の芯糸43と、その芯糸43の
外周に螺旋状に巻き付けられて、ナイロン共重合接着剤
で一体的に接着された20本の側糸5と、更にその外周
に形成された樹脂コーティング層7とからなる三層構造
であり、その外形は断面円形状である。
【0038】前記芯糸43は、5040デニールのマル
チフィラメントであり、ナイロン6からなる中実フィラ
メント15bを840本束ねて、ナイロン共重合接着剤
で一体的に接着しながら100回/mで撚りを与えて形
成される。
【0039】前記側糸5は、7本の中実フィラメント5
bからなり、210デニールに設定されている。この中
実フィラメント5bは断面円形状である。
【0040】前記最外層の樹脂コーティング層7は、ナ
イロン6樹脂を用いて押出しコーティングをして形成さ
れる。
【0041】以上の構造よりなる比較例1のストリング
41は、直径1.27mm、ストリング中空率0パーセ
ントに設定されている。
【0042】図6に、第五実施形態のストリング51と
してバトミントン用ストリングを示す。このストリング
51は、中央に位置する略円柱状の芯糸53と、その芯
糸53の外周に組紐状に製紐加工された16本の側糸5
5と、その側糸55を包含して、その芯糸53の外周に
形成された樹脂コーティング層7とからなる略二層構造
であり、その外形は断面円形状である。
【0043】前記芯糸53は、1680デニールのマル
チフィラメントであり、長手方向に沿って空孔3aが形
成されたナイロン6からなる断面矩形状の中空フィラメ
ント3bを140本束ねて、ナイロン共重合接着剤で一
体的に接着しながら150回/mで撚りを与えて形成さ
れる。前記空孔3aは円形状でフィラメント横断面中に
4つ形成されており、そのフィラメント中空率は15パ
ーセントである。
【0044】前記側糸55は、3本の中実フィラメント
55aからなり、90デニールに設定されている。この
中実フィラメント55aは断面円形状である。この側糸
55と後述する樹脂コーティング層7は、前記中空フィ
ラメント3bとボールの直接接触を断って中空フィラメ
ント3bを保護するもので、その耐久性を向上すること
ができる。
【0045】前記外層の樹脂コーティング層7は、ナイ
ロン6樹脂を用いて押出しコーティングをして形成され
る。
【0046】以上の構造よりなる第五実施形態のストリ
ング51は、直径0.75mm、ストリング中空率8パ
ーセントに設定されている。
【0047】図7に、比較例2として従前のバトミント
ン用ストリングを示す。このストリング61は、中央に
位置する略円柱状の芯糸63と、その芯糸63の外周に
組紐状に製紐加工された16本の側糸55と、その側糸
55を包含して、外周に形成された樹脂コーティング層
7とからなる略二層構造であり、その外形は断面円形状
である。
【0048】前記芯糸63は、1680デニールのマル
チフィラメントであり、ナイロン6からなる中実フィラ
メント15bを340本束ねて、ナイロン共重合接着剤
で一体的に接着しながら150回/mで撚りを与えて形
成される。
【0049】前記側糸55は、3本の中実フィラメント
55aからなり、90デニールに設定されている。この
中実フィラメント55aは断面円形状である。
【0050】前記外層の樹脂コーティング層7は、ナイ
ロン6樹脂を用いて押出しコーティングをして形成され
る。
【0051】以上の構造よりなる比較例2のストリング
61は、直径0.75mm、ストリング中空率0パーセ
ントに設定されている。
【0052】上記のように、各ストリングとも概ね同一
外径になるように揃えて試作し、テニス用ストリング5
種類については反発能力および耐久性を、バトミントン
用ストリング2種類については振動吸収性を調査した。
【0053】反発能力の調査方法は、前記テニス用スト
リングをテニスラケット”SRQチタン700(商品
名:ヨネックス社製)”に前記ストリングを縦横共に5
5ポンドに張設して、このテニスラケットに初速80
(km/時)のボールを所定回数(10発、5000
発)衝突させて、その時の衝突前後のボールの速度を高
速ビデオカメラで測定し反発能力を評価した。
【0054】
【表1】
【0055】表1に示す10発目の反発係数の結果よ
り、同一のストリング径にあっては、ストリング中空率
が大きい程反発係数は大きくなる。これは、ストリング
中空率が大きい方が、打球時に生じるストリング長手方
向荷重を受ける有効断面が小さく、ストリングは長手方
向に大きく伸びて、ストリングに蓄積される弾性エネル
ギーが大きくなるためである。また、ストリング中空率
が3%の反発係数が0.40であることから、少なくと
もストリング中空率は3%以上は必要である。
【0056】前記反発能力の持続性たる耐久性の評価指
標として調査した、5000発目の反発係数の結果を看
ると、ストリング中空率が30パーセントになると、1
0発目と比較して著しく反発係数が低下しており、経時
劣化していることがわかる。顕微鏡によりこのストリン
グの横断面を観察したところ、中空を形成している膜が
破壊されていた。すなわち、これは、ストリング中空率
が大きいと、ストリングに作用する応力に中空隔壁が耐
えきらず、疲労破壊を生じやすくなるためと考えられ
る。このため、経時劣化を極力防止して長期に亘り初期
の反発能力を維持するには、ストリング中空率は30パ
ーセント以下に留めてその上限値は30パーセントとす
ることが望ましい。
【0057】尚、表1には結果を示してはいないが、ス
トリング中空率が30パーセントを超えると、中空部の
伸び変形の回復速度が遅くなり反発能力も低下傾向とな
る。このため、初期の反発能力の観点からもストリング
中空率の上限値は30パーセントに留めるのが望まし
い。
【0058】以上の結果を考慮して、反発能力および耐
久性の観点から好ましいストリング中空率は3〜30パ
ーセントの範囲内であることが明らかとなった。
【0059】振動吸収性に関しては、中空ストリングの
効果をバトミントン用のストリングによって調査した。
中空ストリングとして図6に示す第五実施形態、中実ス
トリングとしては図7に示す比較例2を用いて比較し
た。調査方法は、バトミントンラケット”チタン10
(商品名:ヨネックス社製)”に前記ストリングを縦2
0ポンド、横30ポンドに張設して、前記バトミントン
ラケットのフレームとシャフトが交叉するジョイント部
に装着した加速度センサーによって、インパルスハンマ
ーで衝撃を加えた後の振動を測定し、振動減衰性を評価
した。図10、図11に実施形態5および比較例2の振
動波形を、縦軸に加速度、横軸に時間をとって各々示
す。中空ストリングの方が、振動減衰に要する時間が二
分の一と著しく小さくなっていることがわかる。これ
は、打球時に発生する衝撃荷重を中空フィラメントの局
所的な凹み変形によって吸収するためと考えられる。
【0060】以上より、ストリング中空率を3〜30パ
ーセントの範囲内にすると、従前の中実フィラメントの
みからなるストリングと比較して、同一のストリング径
にあっては、反発能力および振動吸収性を共に向上する
ことができることが判明した。また、上記範囲であれ
ば、前記反発能力も長期に亘り持続することができ、耐
久性も低下し難いことが明らかとなった。
【0061】以上、本発明の実施形態について説明した
が、本発明は、かかる実施形態に限定されるものではな
く、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であ
る。
【0062】例えば、本実施形態においては、フィラメ
ント素材としてナイロン6を使用したが、使用ラケット
や打感等のプレーヤの要求仕様等、使用条件によって別
素材を選定することもでき、ナイロン66、ナイロン共
重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテ
レフタレート等も必要に応じて適用できる。
【0063】また、本実施形態においては、中空フィラ
メントとして外形が断面矩形状で四つの円形の空孔を有
するフィラメントを使用したが、上記と同様に使用条件
によって別形状のフィラメントを選定することもでき、
例えば図9に示すように、外径が断面円形状で、中心に
一つまたは前記中心軸対称に三つ若しくは四つの円形空
孔が形成された中空フィラメント等を適宜選択して適用
できる。
【0064】更には、本実施形態においては、前記空孔
には何も充填しなかったが、色素を有する顔料や染料な
どを充填して、内部からストリングを着色しても良い。
この場合空孔内部に前記顔料、染料を充填しているた
め、競技に使用しても色落ちすることなく、意匠的な効
果を長期に亘り持続することができる。尚、この着色を
ストリング仕様の視認に使用しても良い。
【0065】また、前記空孔に粘性材を充填することに
より、振動吸収性を一層向上することもできる。
【0066】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に示す発
明によれば、中実フィラメントに代えて中空フィラメン
トを多数束ねたマルチフィラメントを適用したので、反
発能力および振動吸収性を共に向上することができる。
また、ストリング中空率を3〜30パーセントの範囲内
に設定することにより、反発能力を向上させつつ、その
初期の反発能力を長期に亘り持続することが可能にな
る。更には、中空フィラメントを多数束ねたマルチフィ
ラメントを適用するので、フィラメント中空率を調整す
ることで、ストリング中空率を前記した3〜30パーセ
ントの範囲内の任意の値に容易に設定でき、特に、30
%近辺まで高く設定することが可能になる。以上より、
耐久性を落とさずに反発能力および振動吸収性を向上し
て、テニスエルボの発生を可及的に防止することができ
る。
【0067】請求項2に示す発明によれば、前記多数の
中空フィラメントからなる芯糸の外周に、多数の中実フ
ィラメントからなる側糸を巻き付けて一体的に接着し、
さらにこの側糸の外周に樹脂コーティング層を形成した
ので、耐久性に乏しい前記中空フィラメントを前記側糸
およびコーティング層で保護して、ストリングの耐久性
の向上が図れる。また、芯糸が、前記多数の中空フィラ
メントからなるマルチフィラメントであるとともに、ス
トリング中空率が3〜30%であるので、請求項1のス
トリングと同様の効果を奏することができる。
【0068】請求項3に示す発明によれば、前記芯糸
を、中空フィラメントと中実フィラメントとを混合して
束ねて形成しているので、ストリング外径やフィラメン
ト中空率は一定に維持してストリング中空率を自在に変
化することができ、反発能力および振動吸収性を自在に
設定できて、ストリング設計の自由度が向上する。
【0069】また、芯糸が、中空フィラメントを含むマ
ルチフィラメントであるとともに、ストリング中空率が
3〜30%であるので、請求項1のストリングと同様の
効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる第一実施形態を示す径方向断面
図である。
【図2】本発明にかかる第二実施形態を示す径方向断面
図である。
【図3】本発明にかかる第三実施形態を示す径方向断面
図である。
【図4】本発明にかかる第四実施形態を示す径方向断面
図である。
【図5】比較例1として、従前のストリングを示す径方
向断面図である。
【図6】本発明にかかる第五実施形態を示す径方向断面
図である。
【図7】比較例2として、従前のストリングを示す径方
向断面図である。
【図8】図6、図7における8−8線矢視の側面図であ
る。
【図9】本発明に適用可能な中空フィラメントの径方向
断面図である。
【図10】本発明にかかる第五実施形態の振動吸収性を
示す加速度の波形である。
【図11】比較例2の振動吸収性を示す加速度の波形で
ある。
【符号の説明】
1,11,21,31,51 ストリング 3,13,23,33,53 マルチフィラメントから
なる芯糸 3a 空孔 3b 断面矩形状中空フィラメント(中空フィラメン
ト) 5,55 側糸 5b,15b,55a 断面円形状中実フィラメント
(中実フィラメント) 7 樹脂コーテイング層 3c 第一小束フィラメント(小束のマルチフィラメン
ト) 15 第二小束フィラメント(小束のマルチフィラメン
ト)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 長手方向に沿って内部に空孔が形成され
    た中空フィラメントを多数束ねて一体的に接着したマル
    チフィラメントの外周に樹脂コーティング層を形成した
    ストリングであって、該ストリングの横断面中に占める
    前記空孔部の面積の割合が3〜30パーセントであるこ
    とを特徴とする中空フィラメントを用いたストリング。
  2. 【請求項2】 長手方向に沿って内部に空孔が形成され
    た中空フィラメントを多数束ねて一体的に接着したマル
    チフィラメントからなる芯糸の外周に、多数の中実フィ
    ラメントからなる側糸を設けて一体的に接着し、該側糸
    の外周に樹脂コーティング層を形成したストリングであ
    って、該ストリングの横断面中に占める前記空孔部の面
    積の割合が3〜30パーセントであることを特徴とする
    中空フィラメントを用いたストリング。
  3. 【請求項3】 長手方向に沿って内部に空孔が形成され
    た中空フィラメントと内部に空孔のない中実フィラメン
    トとを多数束ねて一体的に接着したマルチフィラメント
    からなる芯糸の外周に、多数の中実フィラメントからな
    る側糸を設けて一体的に接着し、該側糸の外周に樹脂コ
    ーティング層を形成したストリングであって、該ストリ
    ングの横断面中に占める前記空孔部の面積の割合が3〜
    30パーセントであることを特徴とする中空フィラメン
    トを用いたストリング。
  4. 【請求項4】 前記芯糸は、その中空フィラメントと中
    実フィラメントとがそれぞれ個別に複数組に分割されて
    小束のマルチフィラメントに形成され、該小束のマルチ
    フィラメントが撚り束ねられて一体的に接着されて形成
    されていることを特徴とする請求項3記載の中空フィラ
    メントを用いたストリング。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007181553A (ja) * 2006-01-06 2007-07-19 Yonex Co Ltd ラケット用ストリング
GB2461100A (en) * 2008-06-20 2009-12-23 Yao I Fabric Co Ltd Sport racquet string with hollow portion
WO2017082015A1 (ja) * 2015-11-12 2017-05-18 ヨネックス株式会社 ラケット用ストリング

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