JP2000348548A - 交流用超電導線とその製造方法 - Google Patents

交流用超電導線とその製造方法

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JP2000348548A
JP2000348548A JP11157655A JP15765599A JP2000348548A JP 2000348548 A JP2000348548 A JP 2000348548A JP 11157655 A JP11157655 A JP 11157655A JP 15765599 A JP15765599 A JP 15765599A JP 2000348548 A JP2000348548 A JP 2000348548A
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洋康 湯村
Tomofumi Kasahara
奉文 笠原
Shinji Torii
慎治 鳥居
Mitsugi Akita
調 秋田
Kyoji Tachikawa
恭治 太刀川
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    • Y02E40/60Superconducting electric elements or equipment; Power systems integrating superconducting elements or equipment

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 Nb等からなる拡散バリアがない構造で、良
好な伸線加工性を実現することができ、従来の超電導素
線と同等以上の臨界電流値を有し、従来の超電導素線に
比べてさらに交流損失を低減することが可能な交流用超
電導線とその製造方法を提供する。 【解決手段】 超電導素線1は、シリコンとマンガンを
含む銅合金からなるマトリックス領域8中にニオブチタ
ン合金の超電導体からなる超電導フィラメント7が複数
本埋込まれた多芯超電導線構造を備える。マトリックス
領域8は、シリコンを2重量%以上、4重量%以下、マ
ンガンを0.5重量%以上、1重量%以下含む銅合金か
らなる。超電導フィラメント7の外周面はマトリックス
領域8に接触している。超電導フィラメント7の直径は
0.1μm以上、0.2μm以下である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、交流用超電導線
に関し、特に、超電導変圧器、超電導発電機、超電導限
流器などの電力応用分野で使用される超電導線とその製
造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】液体ヘリウム中で用いる合金系の交流用
超電導線として、超電導フィラメントの直径を1μm以
下に細径化し、銅合金からなる常電導マトリックス中に
超電導フィラメントが複数本埋込まれた交流用ニオブチ
タン(NbTi)超電導素線が開発されつつある。
【0003】一般に、超電導線を商用周波数の50/6
0Hzで用いるためには、印加される交流磁界下での交
流損失を低減する必要がある。交流損失は、超電導フィ
ラメントに発生するヒステリシス損失と、フィラメント
間に誘起される結合電流による結合損失と、常電導マト
リックスに発生する渦電流損失とに分けることができ
る。ヒステリシス損失は超電導フィラメントの直径に比
例するため、超電導フィラメントを細径化することによ
り低減することができる。一般に商用周波数にて使用す
る場合には、超電導フィラメントをサブミクロンのオー
ダーまで細径化する。結合損失は超電導フィラメントの
ツイストピッチの二乗に比例するため、結合損失を低減
するためにはツイストピッチを短くする必要がある。ツ
イストピッチは超電導素線の直径に依存するため、超電
導素線の直径を小さくする必要がある。一般に商用周波
数で使用することを目的とした交流用超電導素線の直径
は、0.3〜0.1mm程度となっている。また、常電
導マトリックスに高抵抗の銅合金を使用することによ
り、結合損失と渦電流損失の低減を図っている。
【0004】このように、商用周波数で用いるために交
流損失を低減するためにはマトリックスとして高抵抗の
銅合金を使用する必要があり、一般的には銅−ニッケル
(CuNi)合金が使用されている。銅−ニッケル合金
は、超電導フィラメントとしてのニオブチタン合金と押
出工程などの熱履歴により容易に反応し、ニオブチタン
合金からなる超電導フィラメントの表面に銅−チタン
(CuTi)などの化合物が生成する。これらの化合物
は延性に劣り、その後工程の伸線加工中に超電導フィラ
メントの断線や超電導素線の断線等のトラブルの原因と
なる。その結果、超電導線の製造歩留まりの低下や超電
導線の特性の劣化といった問題を引き起こす。
【0005】一方、これらのトラブルを防止するため、
通常、工業的には1μm以下の直径を有する交流用ニオ
ブチタン超電導線を製造するために、たとえば、特公平
6−003693号公報で提案されているように、ニオ
ブ(Nb)等のバリア材を配置する手法が用いられてい
る。このバリア材は超電導フィラメントの均一加工を阻
害する上記の化合物の形成を防止するために配置され
る。NbTi合金からなる超電導フィラメントとCuN
i合金からなるマトリックスとの間にNb材を拡散バリ
アとして配置し、化合物の生成を抑制する技術が一般的
に用いられる。このように、超電導フィラメントの周り
をCuNi/Nb/NbTiの層構造にすることによ
り、伸線加工が良好であり、かつ超電導特性の高い交流
用NbTi超電導線が開発されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】交流用超電導線には交
流損失を低減することが最も要求されている。実際に交
流用超電導線を機器に適用するためには極限まで交流損
失を低減した線材の開発が要求されている。
【0007】上述のようにNbからなる拡散バリアを設
けることにより、化合物の生成を抑制し、生産性に優れ
た、超電導特性の高い交流用超電導線を製造することが
できる。しかしながら、拡散バリアとして設けられるN
bは、超電導線が使用される液体ヘリウム温度(4.2
K)では超電導状態となるため、拡散バリアとして使用
するNb自体に交流損失が生じ、超電導線全体としての
交流損失が大きくなる。このため、実際に交流用超電導
線を機器に適用する場合を考えると、交流損失による発
熱のため、機器の安定性が低下するとともに、液体ヘリ
ウムの消費量が増加し、ランニングコストが高くなると
いう問題があった。
【0008】そこで、この発明の目的は、Nb等からな
る拡散バリアを有しない構造で、良好な伸線加工性を実
現するとともに、従来の交流用超電導線と同等以上の臨
界電流特性を有し、かつ従来の超電導線に比べてさらに
交流損失を低減することが可能な交流用超電導線とその
製造方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明に従った交流用
超電導線は、シリコンとマンガンを含む銅合金からなる
マトリックス中にニオブチタン合金の超電導体からなる
フィラメントが複数本埋込まれた多芯超電導線構造を備
える。上記のマトリックスは、シリコンを2重量%以
上、4重量%以下、マンガンを0.5重量%以上、1重
量%以下含む銅合金からなる。フィラメントの外周面は
マトリックスに接触している。フィラメントの直径は
0.1μm以上、0.2μm以下である(請求項1)。
【0010】好ましくは、本発明の交流用超電導線にお
いて、フィラメントの間隔が0.09μm以上、0.2
μm以下である(請求項2)。
【0011】また、この発明の交流用超電導線では、フ
ィラメントの間隔の直径に対する比率が1以上、1.5
以下であるのが好ましい(請求項3)。
【0012】この発明の交流用超電導線の直径は0.1
5mm以上、0.3mm以下であるのが好ましい(請求
項4)。
【0013】この発明の交流用超電導線は、その直径の
8倍以上、12倍以下のピッチでツイストされているの
が好ましい(請求項5)。
【0014】この発明の交流用超電導線に配置される安
定化銅のニオブチタン合金に対する体積含有率は1以
上、1.5以下であるのが好ましい(請求項6)。
【0015】上記の安定化銅は、フィラメントが埋込ま
れたマトリックスを構成する銅合金と同一の組成の合金
によって複数本の線部分に分割され、その分割された安
定化銅の線部分の外径が10μm以下であるのが好まし
い(請求項7)。
【0016】また、この発明の交流用超電導線において
は、ニオブチタン合金の体積含有率が10%以上である
のが好ましい(請求項8)。
【0017】上述の構成を実現するために、本発明の交
流用超電導線はダブルスタック法により製造されるのが
好ましい(請求項9)。
【0018】また、本発明の交流用超電導線の製造方法
としては、加工度が3以上、4以下で塑性加工するステ
ップの間に中間軟化熱処理するステップを介在させるこ
とが好ましい(請求項10)。
【0019】上記の中間軟化熱処理の温度条件は300
℃以上、500℃以下であるのが好ましい(請求項1
1)。
【0020】さらに、本発明の交流用超電導線の製造方
法としては、ツイスト加工の直前に軟化熱処理するのが
好ましい(請求項12)。
【0021】上記のツイスト加工直前の軟化熱処理の温
度条件は300℃以上、400℃以下であるのが好まし
い(請求項13)。
【0022】
【発明の実施の形態】本発明は、交流損失の低減が要求
される交流用超電導線において、マトリックスの材質、
超電導フィラメントの直径、超電導フィラメント間の間
隔、安定化銅の比率、安定化銅の線部分の直径、ツイス
トピッチ等の交流用超電導線の諸元を規定し、さらには
スタック方法や中間軟化熱処理等の製造方法の条件を規
定することにより、従来の交流用NbTi超電導線では
必須であったNb等からなる拡散バリアを有しない構造
で良好な伸線加工性を実現することができるとともに、
従来の交流用超電導線に比べてさらに交流損失を低減す
ることができる、という本願発明者らの知見に基づくも
のである。以下、本発明に従った交流用超電導線の好ま
しい具体的な実施の形態について説明する。
【0023】本発明者は、まず、シリコンとマンガンを
含む銅合金からなるマトリックス中にニオブチタン合金
の超電導体からなるフィラメントが複数本埋込まれた多
芯超電導線において、マトリックスがシリコンを2重量
%以上、4重量%以下、マンガンを0.5重量%以上、
1重量%以下含む銅合金であること、マトリックスとフ
ィラメントとの間にNb等からなる拡散バリアを有しな
い構造であること、すなわちフィラメントの外周面がマ
トリックスに接触していること、フィラメントの直径を
0.1μm以上、0.2μm以下にすること、により、
良好な伸線加工性を有し、高い臨界電流密度(Jc)を
有し、さらに交流損失を低減することができることを見
出した。これは、マトリックスに含まれるシリコンがフ
ィラメントとマトリックスとの界面における拡散反応の
抑制に寄与することによるものである。したがって、従
来の交流用超電導線においては化合物の形成を防止する
ために必須であったNb等からなる拡散バリアがない構
造においても、上記のシリコンによる拡散反応の抑制効
果により、良好な伸線加工性をもたらすことができる。
【0024】また、マトリックス中におけるシリコンの
含有率を2重量%以上、4重量%以下にすることによ
り、伸線加工性を劣化させることなく、マトリックスの
高抵抗化を実現することができ、交流損失の低減を達成
することができる。シリコンの含有率が2重量%未満で
は、マトリックスの抵抗が低いため、交流損失の低減効
果が小さい。また、シリコンの含有率が4重量%を超え
ると、マトリックス自体の伸線加工性が劣化するため、
超電導線の伸線加工性も劣化することになる。
【0025】さらに、上記のようにマトリックス中にマ
ンガンを添加することにより、フィラメント間隔を狭め
た場合においてもフィラメントの電磁気的な結合を抑制
することができる。好ましくは、マトリックス中のマン
ガンの含有量を0.6重量%以上、0.9重量%以下に
することにより、伸線加工性を劣化させることなく、フ
ィラメントの電磁気的な結合を防止することができ、ヒ
ステリシス損失を低減することができる。
【0026】なお、上記の交流用超電導線において、好
ましくは、マトリックスが液体ヘリウム温度(4.2
K)において2×10-7Ω・m以上の比抵抗を有し、か
つフィラメントの直径を0.12μm以上、0.16μ
m以下にすることにより、上記の効果をさらに高めるこ
とができる。
【0027】本発明の交流用超電導線では、フィラメン
トの間隔を0.09μm以上、0.2μm以下にするの
が好ましく、さらに、0.12μm以上、0.16μm
以下にするのが好ましい。このようにフィラメントの間
隔を規定することにより、高い臨界電流値を確保すると
ともに、フィラメントの電磁気的な結合を抑制すること
ができる。このため、ヒステリシス損失をさらに低減す
ることができる。フィラメントの間隔が0.09μmよ
りも狭くなると、近接効果によりヒステリシス損失の増
大が生じる。また、フィラメントの間隔が0.2μmよ
りも広くなると、超電導線に含まれるニオブチタン合金
の量が少なくなるため、超電導線自体の臨界電流値が大
きく低下してしまい、実用的ではなくなる。
【0028】さらに、本発明の超電導線において、フィ
ラメントの間隔の直径に対する比率が1以上、1.5以
下であるのが好ましく、1程度であるのがより好まし
い。このようにフィラメントの間隔の直径に対する比率
を規定することにより、伸線加工によるフィラメントの
不均一な変形を抑制することができ、ヒステリシス損失
をさらに低減することができる。
【0029】この発明の交流用超電導線の直径を0.1
5mm以上、0.3mm以下にするのが好ましく、さら
に0.15mm以上、0.25mm以下にするのが好ま
しい。また、本発明の交流用超電導線は、その直径の8
倍以上、12倍以下のピッチでツイストするのが好まし
く、10倍以上、12倍以下のピッチでツイストするの
がさらに好ましい。このように交流用超電導線の直径と
ツイストピッチを規定することにより、高い臨界電流値
を維持するとともに、結合損失をさらに低減することが
できる。なお、ツイストピッチを超電導線の直径の10
倍以上、12倍以下にするのは、長尺化を考慮するから
である。
【0030】さらに、本発明の超電導線に配置される安
定化銅のニオブチタン合金に対する体積比率を1以上、
1.5以下にすることにより、超電導素線の熱的な安定
性を高めることができ、交流磁界の下、または交流通電
時に交流損失による発熱が生じても速やかに熱拡散が行
なわれ、安定に電流を流すことが可能となる。
【0031】上記の安定化銅は、フィラメントが埋込ま
れたマトリックスを構成する銅合金と同一の組成の合金
によって複数本の線部分に分割され、その分割された安
定化銅の線部分の直径が10μm以下であるのが好まし
く、5μm以上、9μm以下であるのがさらに好まし
い。このように安定化銅を構成することにより、良好な
伸線加工性を有し、渦電流損失の低減を図ることができ
る。
【0032】また、本発明の交流用超電導線において、
ニオブチタン合金の体積含有率を10%以上に設定する
ことにより、交流損失を低減することができるととも
に、高い臨界電流値を確保することが可能となる。
【0033】本発明の交流用超電導線は、スタック加工
を2回繰返すダブルスタック法によって製造されるのが
好ましい。スタック加工を3回繰返すトリプルスタック
法では、マトリックスのニオブチタン合金に対する割合
が大きくなり、実質的に超電導線自体の臨界電流値が小
さくなるため好ましくない。また、スタック回数が増え
ると押出回数が増加することになり、超電導線に加わる
熱履歴回数も増加し、化合物の生成する割合も大きくな
り、伸線加工性と超電導線の特性の低下を引き起こすこ
とになる。したがって、スタック回数を2回以下にする
のが好ましい。
【0034】また、シリコンとマンガンを含む銅合金で
は、塑性加工を加えれば加えるほど硬化が進行し、非常
にもろい状態となり、これ以上加工が不可能となる加工
硬化が生ずる。本発明の超電導線の製造方法では、ln
(So/S)[So:加工前の横断面積、S:加工後の
横断面積]で規定した加工度(ε)が4以下の塑性加工
が行なわれるごとに中間軟化熱処理を加えることによ
り、加工硬化に起因する断線等のトラブルを防止するこ
とができ、良好な伸線加工性を実現することができる。
なお、超電導線の特性、超電導線の製造容易性、納期の
短縮、製造コストの低減等の観点から、上記の軟化熱処
理の回数はできるだけ少ない方が好ましい。加工度が3
以上4以下の塑性加工が行なわれるごとに中間軟化熱処
理を加えるのが好ましい。
【0035】上記の中間軟化熱処理の温度条件を300
℃以上にすることにより、加工硬化したマトリックスを
軟化することができる。上記の温度を500℃よりも高
くすると、化合物が生成することによる伸線加工性の劣
化と超電導線の特性の低下を招くため、上記の熱処理温
度は500℃以下で行なわれるのが好ましい。したがっ
て、中間軟化熱処理の温度条件としては300℃以上、
500℃以下に規定するのが好ましい。
【0036】本発明の交流用超電導線の製造方法におい
ては、ツイスト加工の直前に軟化熱処理をするのが好ま
しい。このように軟化熱処理をすることにより、マトリ
ックス材料の捻回特性が向上し、より短いピッチでのツ
イスト加工が可能となり、超電導線の交流損失をさらに
低減することができる。
【0037】なお、ツイスト加工の直前ではフィラメン
トの直径はサブミクロンレベルに細径化されているた
め、塑性加工の途中に導入される中間軟化熱処理条件よ
りも低い温度で熱処理するのが好ましい。ツイスト加工
直前の軟化熱処理の温度条件を300℃以上、400℃
以下にすることにより、良好な捻回特性を実現すること
ができ、超電導線の特性の低下を抑制することが可能と
なる。
【0038】以上のように、本発明の交流用超電導線に
おいては、ニオブチタン合金からなるフィラメントと銅
合金からなるマトリックスとの間にNb等からなる拡散
バリアを配置しない構造で、良好な伸線加工性を有し、
従来の超電導線よりもさらに交流損失を低減することが
可能な交流用超電導線とその製造方法を提供することが
できる。
【0039】
【実施例】(実施例1)交流用超電導線のマトリックス
として使用するために、シリコンの含有率を変えた銅−
シリコン合金を作製し、伸線加工性、機械的特性、電気
的特性の評価を行なった。作製した銅−シリコン合金
は、Cu−1.1重量%Si合金、Cu−2.1重量%
Si合金、Cu−3.4重量%Si合金、Cu−4.5
重量%Si合金の4種類である。なお、原材料として
は、無酸素銅と純シリコンを使用し、誘導加熱炉を用い
た真空溶解によって上記の合金を作製した。銅とシリコ
ン以外の不純物は0.01重量%未満であった。切削加
工後の銅−シリコン合金のサンプルの直径は10mmで
あった。
【0040】直径が1mmになるまで減縮加工を20%
の割合で複数回行なうことにより、作製したサンプルを
伸線加工した。直径が10mmから1mmまで伸線加工
した場合の加工度(ε)は4.61であった。伸線加工
の結果、Cu−4.5重量%Si合金のサンプルは、直
径を4.62mmにする際の伸線加工時(加工度ε=
1.54)に断線が生じ、それ以降の伸線加工は不可能
であった。それ以外の3種類のサンプルは断線等のトラ
ブルが発生することなく、直径が1mmになるまで伸線
加工が可能であった。
【0041】図1は、各加工度で採取したサンプルにつ
いて実施したビッカース硬度の測定結果を示す。図1に
よれば、銅−シリコン合金におけるシリコンの含有率が
高まるに従って硬度(MHv)が高く、伸線加工によっ
て加工硬化が生じていることは明らかである。また、C
u−4.5重量%Si合金のサンプルは、直径を4.6
2mmに伸線加工する際(加工度ε=1.54)に断線
が生じたので、良好な伸線加工性を確保するためには、
シリコンの含有率を4重量%以下にする必要があること
が明らかとなった。
【0042】図2は、伸線加工後の各サンプルについて
実施した軟化熱処理温度とビッカース硬度(MHv)の
相関関係を調べた結果を示す。熱処理時間は各温度条件
で1時間保持して行なわれた。図2の結果から、銅−シ
リコン合金は300℃以上の温度で軟化が始まり、40
0℃の温度でほぼ完全に軟化されていることがわかる。
したがって、加工硬化を除去するためには、少なくとも
300℃以上の温度で熱処理を行なう必要があることが
わかった。
【0043】図3は、銅−シリコン合金の各サンプルの
液体ヘリウム温度(4.2K)における抵抗率(比抵
抗)の測定結果を示す。図3には、加工材と軟化材の2
種類の測定結果が示されており、従来の超電導線のマト
リックスとして一般的に使用されている銅−ニッケル合
金(Cu−10重量%Ni合金、Cu−30重量%Ni
合金)の抵抗率のレベルについても併せて示されてい
る。図3によれば、軟化材と加工材との間で抵抗率の差
異は小さく、シリコンの含有率を2重量%以上にするこ
とにより、銅−ニッケル合金と同等レベルの抵抗率を達
成することができることが判明した。
【0044】これらの結果から銅−シリコン合金のシリ
コンの含有率としては2重量%以上、4重量%以下にす
ることにより、良好な伸線加工性を維持するとともに、
超電導線の交流損失の低減に寄与することが可能なマト
リックスの材料を提供できることが明らかとなった。
【0045】(実施例2)さらに、交流用超電導線のマ
トリックスとして使用するために、シリコンとマンガン
を含む銅−シリコン−マンガン合金を作製し、伸線加工
性、機械的特性、電気的特性の評価を行なった。作製し
た銅−シリコン−マンガン合金は、Cu−2.9重量%
Si−0.66重量%Mnの組成を有する合金である。
なお、原材料としては、無酸素銅と純シリコンと純マン
ガンを使用し、誘導加熱炉を用いた真空溶解によって合
金を作製した。また、銅、シリコン、マンガン以外の不
純物は0.01重量%未満であった。作製した合金のサ
ンプルを加工度(ε)が5のレベルまで伸線加工した結
果、断線等のトラブルが発生することなく、伸線加工性
は良好であった。
【0046】図4は、各加工度で採取した合金のサンプ
ルについて実施したビッカース硬度の測定結果を示す。
図4によれば、同じレベルのシリコン含有率を有するC
u−3.4重量%Si合金とCu−2.9重量%Si−
0.66重量%Mn合金の硬度の測定結果を比較する
と、0.66重量%のマンガンを添加したことによる硬
度の差異はほとんどなく、銅−シリコン−マンガン合金
も良好な伸線加工性を有することが明らかとなった。こ
れは、シリコンとマンガンを合わせた含有率(3.56
重量%)がシリコンの含有率(3.4重量%)に相当す
ることを意味する。したがって、銅−シリコン合金にお
いて良好な伸線加工性を達成するためのシリコンの含有
率の上限値(4重量%)を考慮すると、銅−シリコン−
マンガン合金においてはマンガンの含有率の上限値を1
重量%にする必要があることがわかった。
【0047】また、マンガンは超電導フィラメントの近
接効果を抑制する効果を有する。この効果を発揮するた
めのマンガンの含有率としては0.5重量%以上必要で
あると考えられる。したがって、良好な伸線加工性を有
し、かつ超電導線の交流損失を低減するためには、シリ
コンの含有率を2重量%以上、4重量%以下、マンガン
の含有率を0.5重量%以上、1重量%以下にする必要
があることが判明した。
【0048】図5は、伸線加工後の合金サンプルについ
て実施した軟化熱処理温度とビッカース硬度(MHv)
の相関関係を調査した結果を示す。なお、熱処理は各温
度条件で1時間保持して行なわれた。図5の結果から、
銅−シリコン−マンガン合金は銅−シリコン合金と同様
に300℃以上の温度で軟化が始まり、400℃の温度
でほぼ完全に軟化されることがわかる。したがって、銅
−シリコン−マンガン合金についても加工硬化を除去す
るためには少なくとも300℃以上の温度で熱処理する
必要があることがわかった。
【0049】図6は、銅−シリコン−マンガン合金のサ
ンプルの抵抗率(比抵抗)の温度依存特性の測定結果を
示す。なお、図6には、従来の超電導線のマトリックス
として一般的に使用されている銅−ニッケル合金(Cu
−10重量%Ni合金、Cu−30重量%Ni合金)
と、実施例1で作製された銅−シリコン合金との抵抗率
の温度依存特性も併せて示されている。銅−シリコン−
マンガン合金と銅−シリコン合金との間の抵抗率の差異
は小さく、銅−ニッケル合金と同等レベルの高抵抗特性
を維持できることが明らかとなった。
【0050】(実施例3)実施例2で作製したCu−
2.9重量%Si−0.66重量%Mn合金をマトリッ
クスとした交流用NbTi超電導線を試作した。図7
は、実施例3で作製した超電導線の断面構造を模式的に
示す横断面図である。図7に示すように、超電導素線1
は、1次スタック10をさらにスタック加工した構造を
有し、外周部2とNbTiフィラメント配置領域3と安
定化銅配置領域4とを備える。外周部2はCu−2.9
重量%Si−0.66重量%Mn合金からなる。NbT
iフィラメント配置領域3は、NbTi合金からなる超
電導フィラメント7がCu−2.9重量%Si−0.6
6重量%Mn合金からなるマトリックス領域8中に複数
本埋込まれた構造を有する。超電導素線1の横断面中央
部に配置された安定化銅配置領域4は、安定化銅5がC
u−2.9重量%Si−0.66重量%Mn合金からな
るマトリックス領域6によって複数本の線部分に分割さ
れた構造を有する。なお、超電導フィラメント7とマト
リックス領域8との間にはNb等からなる拡散バリアは
配置されていない。すなわち、超電導フィラメント7の
外周面はマトリックス領域8に接触している。
【0051】図7に示された超電導素線1は、いわゆる
ダブルスタック法を用いて作製した。以下、超電導素線
1の作製方法について説明する。
【0052】まず、直径10mmのNbTi合金からな
る丸棒をCu−2.9重量%Si−0.66重量%Mn
合金からなるパイプに挿入して伸線加工(いわゆる嵌
合)することにより単芯線を作製した。ここで、フィラ
メントの間隔の直径に対する比率が1となるようにCu
−2.9重量%Si−0.66重量%Mn合金からなる
パイプの寸法と嵌合回数を選定した。作製した単芯線を
六角形の横断面を有するように伸線加工し(六角形の対
辺間の距離が2.18mm)、所定の長さに切断するこ
とにより、六角単芯セグメントを作製した。外径が68
mm、内径が61.5mmのパイプ形状のCu−2.9
重量%Si−0.66重量%Mn合金からなるビレット
中に、作製した六角単芯セグメントを649本挿入し、
1次ビレットを作製した。なお、六角単芯セグメントの
みではビレット内部の充填率が低く、伸線加工時に不均
一な変形が起こるため、残った隙間にはCu−2.9重
量%Si−0.66重量%Mn合金からなる丸線材(フ
ィラー)を挿入することにより、ビレット内部の充填率
を95%程度まで高めた。
【0053】次に、作製した1次ビレットのサイズが直
径で30mmになるように450℃の温度で1次ビレッ
トに静水圧の押出加工を施した。これによって得られた
1次ビレットの押出材を伸線加工、六角伸線加工、切断
することにより、対辺間の距離が2.31mmの六角形
横断面を有する多芯六角セグメントを作製した。
【0054】さらに、1次ビレットの作製と同様に、外
径が68mm、内径が61.5mmのパイプ形状のCu
−2.9重量%Si−0.66重量%Mn合金からなる
ビレット中に、中央部に作製した多芯六角セグメントを
444本、外周部にCu−2.9重量%Si−0.66
重量%Mn合金からなる銅セグメントを151本挿入
し、2次ビレットを作製した。なお、1次ビレットの作
製と同様にビレットの内部に残った隙間にはCu−2.
9重量%Si−0.66重量%Mn合金からなる丸線材
(フィラー)を挿入することにより、ビレット内部の充
填率を95%程度まで高めた。
【0055】このようにして作製した2次ビレットのサ
イズが直径で30mmとなるように450℃の温度で2
次ビレットに静水圧の押出加工を施した。その後、所定
の超電導素線の外径になるまで伸線加工し、最終的にツ
イスト加工することにより、交流用NbTi超電導素線
を作製した。
【0056】なお、上記のダブルスタック法において、
1次ビレット押出材の伸線加工時に押出加工後の加工度
(ε)が4.0で伸線加工する際に銅−シリコン−マン
ガン合金からなるマトリックスの加工硬化に起因する断
線が生じ、それ以上の伸線加工が不可能となった。この
ため、本実施例の製造工程においては、押出加工後の伸
線加工において加工度(ε)が3.7の伸線加工が行な
われるごとに中間軟化熱処理を介在させた。なお、軟化
熱処理温度は、実施例2の結果に基づき、銅−シリコン
−マンガン合金がほぼ完全に軟化される400℃とし
た。このように加工度が3.7の伸線加工が行なわれる
ごとに中間軟化熱処理を介在させることにより、伸線加
工時において断線が生じることなく、良好な伸線加工が
行なわれることが明らかとなった。
【0057】表1は本実施例で作製した超電導素線の詳
細な諸元を示す。超電導素線は銅−シリコン−マンガン
合金と安定化銅とニオブチタン合金とから構成されてお
り、マトリックスとNbTi合金からなる超電導フィラ
メントとの間にはNb等からなる拡散バリアが配置され
ていない。また、安定化銅を除く超電導フィラメントの
周囲と外周部を含むマトリックスはすべてCu−2.9
重量%Si−0.66重量%Mn合金からなる。フィラ
メントの間隔の直径に対する比率は1.0であり、超電
導素線の直径が0.2mmのとき、超電導フィラメント
の直径と間隔は0.12μmである。なお、超電導フィ
ラメントは1次スタック中の本数である649本と2次
スタック中の1次スタックの数である444本とを掛け
合わせた288,156本である。さらに、安定化銅は
超電導素線の交流損失を低減するために銅−シリコン−
マンガン合金により分割されており、超電導素線の直径
が0.2mmのときの安定化銅の線部分の直径、すなわ
ち安定化銅のコア径は6.3μmまで細径化されてい
る。超電導素線の熱的な安定性を高めるために、超電導
素線中に含まれる安定化銅のニオブチタン合金に対する
体積比率は1.4まで高められている。また、ニオブチ
タン合金に対するその他のマトリックスの比率は8.2
であり、ダブルスタック化により9以下を達成してい
る。さらに、超電導素線中のニオブチタン合金の体積含
有率として10%以上を達成することができる。これら
により、本実施例の超電導素線は高い臨界電流値を実現
可能な構成を有する。
【0058】なお、評価用サンプルとして、超電導素線
の直径を変更することにより、超電導フィラメントの直
径と間隔を種々変更したサンプルを作製し、特性評価実
験を実施した。
【0059】(比較例1)比較のために、マンガンを添
加しない銅−シリコン合金をマトリックスとした超電導
素線を試作した。試作した超電導素線は図7で示した実
施例3で作製した超電導素線と同等の横断面構造を有す
る。なお、実施例3ではマトリックスがCu−2.9重
量%Si−0.66重量%Mn合金からなるのに対し
て、比較例1ではマトリックスがCu−3.0重量%S
i合金からなる。また、実施例3と同様にNbTi合金
からなる超電導フィラメントとCu−3.0重量%Si
合金からなるマトリックスとの間にはNb等からなる拡
散バリアを配置していない。すなわち、超電導フィラメ
ントの外周面はマトリックスに接触している。
【0060】超電導素線の作製法は実施例3と同様のダ
ブルスタック法を採用した。ただし、単芯線の作製時に
はフィラメントの間隔の直径に対する比率を0.55と
なるようにした。また、マトリックスの材料に合せてビ
レットとフィラーの材料としてCu−3.0重量%Si
合金を使用した。1次ビレットと2次ビレットに加えら
れる静水圧の押出加工において熱処理温度は450℃、
押出加工後の寸法は直径で30mmとし、実施例3と同
一条件とした。比較例1においても、銅−シリコン合金
からなるマトリックスの加工硬化を考慮して、実施例3
と同様に伸線加工の間に中間軟化熱処理を介在させた。
ただし、比較例1では、実施例3で断線が生じた押出加
工後の加工度が4.0の伸線加工において断線等のトラ
ブルが生じなかったため、押出加工後の加工度が4.4
の伸線加工が行なわれるごとに中間軟化熱処理を介在さ
せた。中間軟化熱処理温度は実施例3と同様に400℃
とした。
【0061】表1には、比較例1で作製した超電導素線
の諸元を実施例3の諸元と比較して示す。超電導素線は
銅−シリコン合金と安定化銅とNbTi合金とから構成
されており、マトリックスとNbTi合金からなる超電
導フィラメントとの間にはNb等からなる拡散バリアが
配置されていない。また、安定化銅を除く超電導フィラ
メントの周囲と外周部を含むマトリックスはすべてCu
−3.0重量%Si合金からなる。超電導フィラメント
の間隔の直径に対する比率は0.55であり、実施例3
の超電導素線に比べてフィラメントの間隔を狭めた構成
となっている。超電導素線の直径が0.2mmのとき、
超電導フィラメントの直径は0.1μm、超電導フィラ
メントの間隔は0.06μmである。超電導フィラメン
トの本数は、1次スタック中の本数である1,069本
と2次スタック中の1次スタックの数である510本と
を掛け合わせた545,190本である。このように比
較例1ではフィラメント間隔を狭めた効果により、フィ
ラメント本数は実施例3に比べて増加している。さら
に、安定化銅は超電導素線の交流損失を低減するために
銅−シリコン合金により分割されており、超電導素線の
直径が0.2mmのときの各Cuコア径は5μmまで細
径化されている。なお、実施例3と同様に、超電導素線
の熱的な安定性を高めるために、超電導素線中に含まれ
る安定化銅のNbTi合金に対する体積比率は1.5ま
で高められている。NbTi合金に対するその他のマト
リックスの比率は5.4であり、フィラメント間隔が実
施例3に比べて狭いため、マトリックスの比率が低減さ
れている。これにより、比較例1の超電導素線は高い臨
界電流値を達成可能な構成を有する。
【0062】なお、評価用サンプルとして、超電導素線
の直径を変更することにより、超電導フィラメントの直
径と間隔を種々変更したサンプルを作製し、特性評価実
験を実施した。
【0063】(比較例2)比較例2として、従来一般的
に作製されている銅−ニッケル合金をマトリックスとし
て用いた超電導素線を試作した。試作した超電導素線
は、図7で示した実施例3で作製した超電導素線と同等
の横断面構造を有する。ただし、マトリックスは、一般
的に交流損失を低減するために高抵抗銅合金として使用
されているCu−30重量%Ni合金からなる。比較例
2では、NbTi合金からなる超電導フィラメントとC
u−3.0重量%Si合金からなるマトリックスとの間
には、化合物の形成を防止するためにNbからなる拡散
バリアを配置することにより、伸線加工性の劣化と超電
導特性の低下を回避する構造を採用した。
【0064】また、比較例2の超電導素線の作製法は実
施例3と同様のダブルスタック法を採用したが、比較例
2では中間軟化熱処理を施さなくても良好な伸線加工を
行なうことができるので、実施例3や比較例1で採用し
た中間軟化熱処理を実施していない。
【0065】なお、マトリックスの材料としてCu−3
0重量%Ni合金を使用していることと、Nbからなる
拡散バリアを配置していることと、軟化熱処理を採用し
ていないこと以外は比較例1と全く同じ製造工程で超電
導素線を作製した。
【0066】表1に比較例2で作製した超電導素線の諸
元を実施例3と比較例1の超電導素線の諸元と比較して
示す。比較例2で作製した超電導素線は、高い臨界電流
密度と低い交流損失の観点から最適化されたものであ
る。また、マトリックスが銅−30重量%ニッケル合金
からなること、Nbからなる拡散バリアを有すること以
外は、比較例2の超電導素線は比較例1と同一の諸元を
有する。すなわち、超電導素線は銅−ニッケル合金と安
定化銅とNbTi合金とから構成されているが、マトリ
ックスとNbTi合金からなる超電導フィラメントとの
間にはNbからなる拡散バリアが配置されている。安定
化銅を除く超電導フィラメントの周囲と外周部を含むマ
トリックスはすべてCu−30重量%Ni合金からな
る。超電導フィラメントの間隔の直径に対する比率は
0.55であり、実施例3に比べて間隔を狭めた構成と
なっている。超電導素線の直径は0.2mmであり、超
電導フィラメントの直径は0.11μm、超電導フィラ
メントの間隔は0.06μmである。なお、超電導フィ
ラメントの本数は、1次スタック中の本数である1,0
69本と2次スタック中の1次スタックの数である51
0本とを掛け合わせた545,190本である。このよ
うに、フィラメント間隔を狭めた効果により、フィラメ
ント本数は実施例3に比べて増加している。さらに、安
定化銅は超電導素線の交流損失を低減するために銅−ニ
ッケル合金により分割されており、各Cuコア径は5μ
mまで細径化されている。なお、実施例3と同様に、超
電導素線の熱的な安定性を高めるために、超電導素線中
に含まれる安定化銅のNbTi合金に対する体積比率は
1.5まで高められている。また、NbTi合金に対す
るその他のマトリックスの比率は5.4であり、フィラ
メント間隔が実施例3に比べて狭いため、マトリックス
の比率が低減されている。これにより、比較例2の超電
導素線は、高い臨界電流値を達成可能な構成を有する。
【0067】
【表1】
【0068】(実験1)実施例3で作製した超電導素線
について、超電導素線の直径を変更することにより超電
導フィラメントの直径や間隔を種々に変更したサンプル
を作製し、直流臨界電流試験を実施した。
【0069】図8は、各外部磁界(0T〜2T)の存在
下における超電導フィラメント(NbTi合金)あたり
の直流臨界電流密度(Jc)の、超電導フィラメントの
直径と超電導素線の直径に対する依存性を示す。図8に
は、従来一般的に作製され、最適化された銅−ニッケル
合金をマトリックスの材料として用いた比較例2の臨界
電流密度も示している。
【0070】図8によれば、実施例3の超電導素線で
は、超電導フィラメントの直径が0.1μmレベルまで
細径化するに従い、臨界電流密度が向上し、0.1μm
のレベル以下では臨界電流密度が大きく低下する。特
に、交流用超電導素線が使用される0.3Tから1Tま
での外部磁界の存在下においては、超電導フィラメント
の直径を0.1μm以上、0.2μm以下にすることに
より、高い臨界電流密度が得られることが判明した。よ
り好ましくは超電導フィラメントの直径を0.12μm
以上、0.16μm以下にすることにより、さらに高い
臨界電流密度を達成することができることが明らかとな
った。
【0071】また、超電導素線の設計として従来から最
適化されている比較例2の臨界電流密度のレベルと比較
しても、実施例3の臨界電流密度は同等以上であり、N
b等からなる拡散バリアを配置しない構造でも、Nbか
らなる拡散バリアを有する従来の銅−ニッケル合金から
なるマトリックスを配置した超電導素線の臨界電流密度
を達成することができることが明らかとなった。
【0072】(実験2)実施例3で作製した超電導素線
について、超電導素線の直径を変更することにより、超
電導フィラメントの直径と間隔を変更したサンプルを種
々作製し、交流損失(ヒステリシス損失)の測定を実施
した。また、比較のため、比較例1と2で作製した超電
導素線についても超電導素線の直径を変更したサンプル
を作製し、交流損失(ヒステリシス損失)の測定を実施
した。
【0073】図9は交流損失の測定結果を示す。図9の
横軸は超電導フィラメントの直径(μm)、縦軸はヒス
テリシス損失(J/m3)である。
【0074】実施例3の超電導素線では超電導フィラメ
ントの直径と間隔が等しいため、超電導フィラメントの
直径=超電導フィラメントの間隔である。実施例3のサ
ンプルについては、外部変動磁界の振幅が±0.1T、
±0.5T、±1Tの条件下で測定したヒステリシス損
失の超電導フィラメントの直径に対する依存性を示して
いる。また、比較例1のサンプルについては、外部変動
磁界の振幅が±0.5Tの条件で測定した結果を示して
いる。なお、比較例1のサンプルについては超電導フィ
ラメントの間隔の直径に対する比率が0.55であるた
め、図9の横軸の超電導フィラメントの直径を0.55
倍すると超電導フィラメントの間隔に変換することがで
きる。さらに、従来の最適化された比較例2の超電導素
線については、外部変動磁界の振幅が±0.1T、±
0.5t、±1Tの条件下で測定したヒステリシス損失
レベルを図9において矢印で示している。
【0075】図9の測定結果から、実施例3で作製した
超電導素線では、0.5Tの外部変動磁界の振幅におい
て超電導フィラメントの直径が0.09μmのレベルま
で減少すると交流損失が低下し、さらに超電導フィラメ
ントの直径が小さくなると交流損失が逆に増大する結果
が得られた。これは、超電導フィラメントの間隔が0.
09μmになるまでは超電導フィラメントの電磁気的な
結合が抑制されており、それより間隔が狭くなると、超
電導フィラメントの電磁気的な結合が生じ、ヒステリシ
ス損失が増大することを示している。
【0076】また、外部変動磁界の振幅が0.5Tと1
Tにおける測定結果によれば、超電導フィラメントの直
径を0.1μmのレベルまで細径化することにより、実
施例3の超電導素線において比較例2の従来の最適化さ
れた超電導素線と同等以下の交流損失を実現できること
が明らかとなった。
【0077】なお、比較例1の超電導素線のサンプルで
は、実施例3の超電導素線のサンプルに比べて交流損失
が1桁以上も大きい結果を示す。これは、超電導フィラ
メント間の電磁気的な結合による交流損失の増大による
ものと考えられる。この結果より、マトリックスにマン
ガンを添加した銅−シリコン−マンガン合金を採用する
ことにより、交流損失を低減することができることが判
明した。
【0078】また、外部変動磁界の振幅が0.1Tの下
では実施例3の超電導素線は、超電導フィラメントの直
径と間隔が0.1μm以上、0.3μm以下の範囲のと
き、比較例2の従来の超電導素線に比べて1桁も低い交
流損失を有することが明らかとなった。この結果は、実
施例3の超電導素線がNbからなる拡散バリアを有しな
い構造であるため、Nb自体の交流損失を除去すること
ができた結果に基づくものであり、本発明の作用効果を
実証している。
【0079】実験1と2の結果を併せて考慮すると、実
施例3の超電導素線では超電導フィラメントの直径を
0.1μm以上、0.2μm以下にし、超電導フィラメ
ントの間隔を0.09μm以上、0.2μm以下にする
ことにより、高い臨界電流密度と低い交流損失とを兼ね
備えた超電導素線を実現することが可能であることがわ
かる。また、0.1Tレベルの低い外部磁界の存在下に
おいては、超電導フィラメントの直径を0.12μm以
上、0.16μm以下にし、超電導フィラメントの間隔
を0.12μm以上、0.16μm以下にすることによ
り、従来の超電導素線と同等の高い臨界電流密度を有
し、従来の超電導素線よりも1桁もオーダーの小さい交
流損失を実現できることが明らかとなった。
【0080】(実験3)実施例3で作製した超電導素線
の直径を種々変更したサンプルのうち、直径の小さいサ
ンプルでは超電導素線の直径の12倍以下のピッチでツ
イスト加工を行なうと、マトリックスの加工硬化に起因
すると考えられる断線が多発する結果が得られた。交流
損失を低減するという観点から考えると、結合損失はツ
イストピッチの二乗に比例するため、伸線加工性を損な
わないレベルで、できるだけ短いピッチでツイスト加工
を実施する必要がある。
【0081】そこで、ツイスト加工性を改善するために
ツイスト加工直前に軟化熱処理を行なう方法を考えた。
実施例3のサンプルでは、加工硬化による伸線加工性の
劣化を抑制するために400℃の温度で中間軟化熱処理
を伸線加工の間に介在させることにより、マトリックス
を軟化させて良好な伸線加工性を実現させた。しかしな
がら、ツイスト加工の直前では超電導素線の直径は0.
15mmから0.3mmまでの範囲内に細径化されてお
り、超電導フィラメントの直径は0.1μmから0.2
μmまでの範囲内に超極細化されている。このため、軟
化熱処理により化合物が生成する等の問題が引き起こさ
れ、超電導特性が低下することが考えられる。本実験で
は、細径化された超電導素線の熱処理温度と直流臨界電
流値(Ic)との関係を測定し、ツイスト加工直前にお
ける軟化熱処理温度の最適化を検討した。
【0082】測定に使用したサンプルは、超電導素線の
直径が0.27mm、超電導フィラメントの直径が0.
16μmの実施例3によるサンプルと、超電導素線の直
径が0.214mm、超電導フィラメントの直径が0.
13μmの実施例3によるサンプルとの2種類である。
これら2種類のサンプルについて300℃から500℃
までの温度領域で2時間の軟化熱処理を実施した後、直
流臨界電流値の測定を実施した。なお、熱処理が施され
ていないサンプルについても直流臨界電流値の測定を実
施し、熱処理されたサンプルとの比較を行なった。
【0083】図10は、超電導素線の直径が0.27m
mのサンプルについて実施した、各外部磁界(0T〜1
T)の存在下の直流臨界電流値と熱処理温度との関係の
測定結果を示す。また、図11は、超電導素線の直径が
0.214mmのサンプルについて実施した、各外部磁
界(0T〜1T)の存在下の直流臨界電流値と熱処理温
度との関係の測定結果を示す。これらの測定結果から、
400℃以下の熱処理温度では熱処理前(図では0℃)
の直流臨界電流値(Ic)と比較すると、直流臨界電流
値の低下はほとんど認められないが、400℃より高い
500℃で熱処理した後の直流臨界電流値は大きく低下
することが認められた。特に、超電導素線の直径、すな
わち超電導フィラメントの直径がより細径化された、超
電導素線の直径が0.214mmのサンプルの方がその
低下の度合いが大きく、熱処理前に比べて1/2のレベ
ルに低下することが明らかとなった。これは、超電導フ
ィラメントの直径がより細径化されているため、超電導
フィラメントとマトリックスとの界面において化合物が
生成しやすいためであると考えられる。
【0084】また、マトリックスを構成する銅−シリコ
ン−マンガン合金を軟化するためには300℃以上の温
度で熱処理する必要がある。上記の測定結果から、超電
導フィラメントの直径が細径化された超電導素線のサン
プルにおいてツイスト加工直前の軟化熱処理温度として
は300℃以上、400℃以下の条件にすることによ
り、超電導特性、すなわち直流臨界電流値を低下させる
ことなく、マトリックスを軟化させることが可能である
ことがわかる。
【0085】(実験4)実験3で得られた最適なツイス
ト加工直前の熱処理温度でマトリックスを軟化させ、そ
の後、ツイスト加工を実施することによりサンプルを作
製した。ツイスト加工を行なったサンプルは超電導素線
の直径が0.214mmのサンプルである。
【0086】温度300℃で軟化熱処理したサンプルで
は、超電導素線の直径の10倍から12倍までのピッチ
でツイスト加工を行なっても断線が生じないで長尺のツ
イスト加工が可能であった。また、温度350℃で軟化
熱処理したサンプルでは、超電導素線の8倍から10倍
までのピッチでツイスト加工を行なっても断線が生じる
ことなく、長尺のツイスト加工が可能であった。さら
に、温度400℃で軟化熱処理したサンプルについても
超電導素線の直径の8倍のピッチでツイスト加工を行な
っても断線が生じることなく、長尺のツイスト加工が可
能であった。
【0087】このように、ツイスト加工の直前において
300℃以上、400℃以下の温度で軟化熱処理を実施
することにより、超電導素線の超電導特性を低下させる
ことなく、超電導素線の直径の8倍以上、12倍以下の
短いピッチで長尺線材のツイスト加工が可能であるとい
う結果が得られた。
【0088】以上に開示された実施の形態および実施例
は、すべての点で例示であって制限的なものではないと
考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の実施の
形態や実施例ではなく、特許請求の範囲によって示さ
れ、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべ
ての修正や変形を含むものである。
【0089】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
従来の交流用超電導線の構造では必須であった、超電導
フィラメントとマトリックスとの間に配置されるNb等
からなる拡散バリアがない構造で、良好な伸線加工性を
実現することができるとともに、従来の超電導線と同等
以上の高い臨界電流値を有し、さらに交流損失を低減す
ることが可能な交流用超電導線とその製造方法を提供す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で作製した銅−シリコン合金の加工度
とビッカース硬度との関係の測定結果を示す図である。
【図2】実施例1で作製した銅−シリコン合金の伸線加
工後のサンプルについて実施した軟化熱処理温度とビッ
カース硬度との関係を示す図である。
【図3】実施例1で作製した銅−シリコン合金のサンプ
ルの液体ヘリウム温度における比抵抗(抵抗率)のシリ
コン含有率依存性を示す図である。
【図4】実施例2で作製した銅−シリコン−マンガン合
金の加工度とビッカース硬度との関係の測定結果を、実
施例1で作製した銅−シリコン合金と従来一般的に使用
されている銅−ニッケル合金の測定結果と比較して示す
図である。
【図5】実施例2で作製した銅−シリコン−マンガン合
金の伸線加工後のサンプルについて実施した軟化熱処理
温度とビッカース硬度との関係を、実施例1で作製した
銅−シリコン合金と従来一般的に使用されている銅−ニ
ッケル合金の測定結果と比較して示す図である。
【図6】実施例2で作製した銅−シリコン−マンガン合
金のサンプルの抵抗率の温度依存性の測定結果を、実施
例1で作製した銅−シリコン合金のサンプルと従来一般
的に使用されている銅−ニッケル合金の測定結果と比較
して示す図である。
【図7】実施例3で作製した超電導素線の横断面構造を
模式的に示す断面図である。
【図8】実施例3で作製した超電導素線のサンプルにお
いて超電導フィラメント(NbTi)あたりの直流臨界
電流密度(Jc)の、超電導素線の直径と超電導フィラ
メントの直径に対する依存性を、比較例2で作製したサ
ンプルと比較して示す図である。
【図9】実施例3で作製した超電導素線のサンプルのヒ
ステリシス損失の、超電導フィラメントの直径に対する
依存性を、比較例1と2で作製したサンプルの測定結果
と比較して示す図である。
【図10】実施例3で作製した超電導素線の直径が0.
27mmのサンプルのツイスト加工直前に実施した熱処
理温度と直流臨界電流値(Ic)との関係を示す図であ
る。
【図11】実施例3で作製した超電導素線の直径が0.
214mmのサンプルのツイスト加工直前に実施した熱
処理温度と直流臨界電流値(Ic)との関係を示す図で
ある。
【符号の説明】
1 超電導素線 2 外周部 3 NbTiフィラメント配置領域 4 安定化銅配置領域 5 安定化銅 6 マトリックス領域 7 超電導フィラメント 8 マトリックス領域
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 笠原 奉文 東京都狛江市岩戸北二丁目11番1号 財団 法人電力中央研究所内 (72)発明者 鳥居 慎治 東京都狛江市岩戸北二丁目11番1号 財団 法人電力中央研究所内 (72)発明者 秋田 調 東京都狛江市岩戸北二丁目11番1号 財団 法人電力中央研究所内 (72)発明者 太刀川 恭治 東京都世田谷区成城3−13−29 Fターム(参考) 5G321 AA12 BA14 CA09 CA11 CA36 CA42 DD01

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリコンとマンガンを含む銅合金からな
    るマトリックス中にニオブチタン合金の超電導体からな
    るフィラメントが複数本埋込まれた多芯超電導線構造を
    備えた交流用超電導線であって、 前記マトリックスが、シリコンを2重量%以上、4重量
    %以下、マンガンを0.5重量%以上、1重量%以下含
    む銅合金からなり、 前記フィラメントの外周面は前記マトリックスに接触し
    ており、 前記フィラメントの直径が0.1μm以上、0.2μm
    以下であることを特徴とする、交流用超電導線。
  2. 【請求項2】 前記フィラメントの間隔が0.09μm
    以上、0.2μm以下であることを特徴とする、請求項
    1に記載の交流用超電導線。
  3. 【請求項3】 前記フィラメントの間隔の直径に対する
    比率が1以上、1.5以下であることを特徴とする、請
    求項1または2に記載の交流用超電導線。
  4. 【請求項4】 前記交流用超電導線の直径が0.15m
    m以上、0.3mm以下であることを特徴とする、請求
    項1から3までのいずれかに記載の交流用超電導線。
  5. 【請求項5】 前記交流用超電導線がその直径の8倍以
    上、12倍以下のピッチでツイストされていることを特
    徴とする、請求項1から4までのいずれかに記載の交流
    用超電導線。
  6. 【請求項6】 前記交流用超電導線に配置される安定化
    銅のニオブチタン合金に対する体積含有率が1以上、
    1.5以下であることを特徴とする、請求項1から5ま
    でのいずれかに記載の交流用超電導線。
  7. 【請求項7】 前記安定化銅は、前記銅合金と同一の組
    成の合金によって複数本の線部分に分割されており、そ
    の分割された安定化銅の線部分の外径が10μm以下で
    あることを特徴とする、請求項6に記載の交流用超電導
    線。
  8. 【請求項8】 ニオブチタン合金の体積含有率が10%
    以上であることを特徴とする、請求項1から7までのい
    ずれかに記載の交流用超電導線。
  9. 【請求項9】 ダブルスタック法により製造することを
    特徴とする、請求項1から8までのいずれかに記載の交
    流用超電導線の製造方法。
  10. 【請求項10】 加工度が3以上、4以下で塑性加工す
    るステップの間に中間軟化熱処理するステップを介在さ
    せることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか
    に記載の交流用超電導線の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記中間軟化熱処理の温度条件が30
    0℃以上、500℃以下であることを特徴とする、請求
    項10に記載の交流用超電導線の製造方法。
  12. 【請求項12】 ツイスト加工の直前に軟化熱処理する
    ことを特徴とする、請求項1から11までのいずれかに
    記載の交流用超電導線の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記ツイスト加工直前の軟化熱処理の
    温度条件が300℃以上、400℃以下であることを特
    徴とする、請求項12に記載の交流用超電導線の製造方
    法。
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