JP3670888B2 - 交流用超電導線とその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、交流用超電導線に関し、特に、超電導変圧器、超電導発電機、超電導限流器などの電力応用分野で使用される超電導線とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液体ヘリウム中で用いる合金系の交流用超電導線として、超電導フィラメントの直径を1μm以下に細径化し、銅合金からなる常電導マトリックス中に超電導フィラメントが複数本埋込まれた交流用ニオブチタン(NbTi)超電導素線が開発されつつある。
【0003】
一般に、超電導線を商用周波数の50/60Hzで用いるためには、印加される交流磁界下での交流損失を低減する必要がある。交流損失は、超電導フィラメントに発生するヒステリシス損失と、フィラメント間に誘起される結合電流による結合損失と、常電導マトリックスに発生する渦電流損失とに分けることができる。ヒステリシス損失は超電導フィラメントの直径に比例するため、超電導フィラメントを細径化することにより低減することができる。一般に商用周波数にて使用する場合には、超電導フィラメントをサブミクロンのオーダーまで細径化する。結合損失は超電導フィラメントのツイストピッチの二乗に比例するため、結合損失を低減するためにはツイストピッチを短くする必要がある。ツイストピッチは超電導素線の直径に依存するため、超電導素線の直径を小さくする必要がある。一般に商用周波数で使用することを目的とした交流用超電導素線の直径は、0.3〜0.1mm程度となっている。また、常電導マトリックスに高抵抗の銅合金を使用することにより、結合損失と渦電流損失の低減を図っている。
【0004】
このように、商用周波数で用いるために交流損失を低減するためにはマトリックスとして高抵抗の銅合金を使用する必要があり、一般的には銅−ニッケル(CuNi)合金が使用されている。銅−ニッケル合金は、超電導フィラメントとしてのニオブチタン合金と押出工程などの熱履歴により容易に反応し、ニオブチタン合金からなる超電導フィラメントの表面に銅−チタン(CuTi)などの化合物が生成する。これらの化合物は延性に劣り、その後工程の伸線加工中に超電導フィラメントの断線や超電導素線の断線等のトラブルの原因となる。その結果、超電導線の製造歩留まりの低下や超電導線の特性の劣化といった問題を引き起こす。
【0005】
一方、これらのトラブルを防止するため、通常、工業的には1μm以下の直径を有する交流用ニオブチタン超電導線を製造するために、たとえば、特公平6−003693号公報で提案されているように、ニオブ(Nb)等のバリア材を配置する手法が用いられている。このバリア材は超電導フィラメントの均一加工を阻害する上記の化合物の形成を防止するために配置される。NbTi合金からなる超電導フィラメントとCuNi合金からなるマトリックスとの間にNb材を拡散バリアとして配置し、化合物の生成を抑制する技術が一般的に用いられる。このように、超電導フィラメントの周りをCuNi/Nb/NbTiの層構造にすることにより、伸線加工が良好であり、かつ超電導特性の高い交流用NbTi超電導線が開発されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
交流用超電導線には交流損失を低減することが最も要求されている。実際に交流用超電導線を機器に適用するためには極限まで交流損失を低減した線材の開発が要求されている。
【0007】
上述のようにNbからなる拡散バリアを設けることにより、化合物の生成を抑制し、生産性に優れた、超電導特性の高い交流用超電導線を製造することができる。しかしながら、拡散バリアとして設けられるNbは、超電導線が使用される液体ヘリウム温度(4.2K)では超電導状態となるため、拡散バリアとして使用するNb自体に交流損失が生じ、超電導線全体としての交流損失が大きくなる。このため、実際に交流用超電導線を機器に適用する場合を考えると、交流損失による発熱のため、機器の安定性が低下するとともに、液体ヘリウムの消費量が増加し、ランニングコストが高くなるという問題があった。
【0008】
そこで、この発明の目的は、Nb等からなる拡散バリアを有しない構造で、良好な伸線加工性を実現するとともに、従来の交流用超電導線と同等以上の臨界電流特性を有し、かつ従来の超電導線に比べてさらに交流損失を低減することが可能な交流用超電導線とその製造方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明に従った交流用超電導線は、シリコンとマンガンを含む銅合金からなるマトリックス中にニオブチタン合金の超電導体からなるフィラメントが複数本埋込まれた多芯超電導線構造を備える。上記のマトリックスは、シリコンを2重量%以上、4重量%以下、マンガンを0.5重量%以上、1重量%以下含む銅合金からなる。フィラメントの外周面はマトリックスに接触している。フィラメントの直径は0.1μm以上、0.2μm以下である(請求項1)。
【0010】
好ましくは、本発明の交流用超電導線において、フィラメントの間隔が0.09μm以上、0.2μm以下である(請求項2)。
【0011】
また、この発明の交流用超電導線では、フィラメントの間隔の直径に対する比率が1以上、1.5以下であるのが好ましい(請求項3)。
【0012】
この発明の交流用超電導線の直径は0.15mm以上、0.3mm以下であるのが好ましい(請求項4)。
【0013】
この発明の交流用超電導線は、その直径の8倍以上、12倍以下のピッチでツイストされているのが好ましい(請求項5)。
【0014】
この発明の交流用超電導線に配置される安定化銅のニオブチタン合金に対する体積含有率は1以上、1.5以下であるのが好ましい(請求項6)。
【0015】
上記の安定化銅は、フィラメントが埋込まれたマトリックスを構成する銅合金と同一の組成の合金によって複数本の線部分に分割され、その分割された安定化銅の線部分の外径が10μm以下であるのが好ましい(請求項7)。
【0016】
また、この発明の交流用超電導線においては、ニオブチタン合金の体積含有率が10%以上であるのが好ましい(請求項8)。
【0017】
上述の構成を実現するために、本発明の交流用超電導線はダブルスタック法により製造されるのが好ましい(請求項9)。
【0018】
また、本発明の交流用超電導線の製造方法としては、加工度が3以上、4以下で塑性加工するステップの間に中間軟化熱処理するステップを介在させることが好ましい(請求項10)。
【0019】
上記の中間軟化熱処理の温度条件は300℃以上、500℃以下であるのが好ましい(請求項11)。
【0020】
さらに、本発明の交流用超電導線の製造方法としては、ツイスト加工の直前に軟化熱処理するのが好ましい(請求項12)。
【0021】
上記のツイスト加工直前の軟化熱処理の温度条件は300℃以上、400℃以下であるのが好ましい(請求項13)。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明は、交流損失の低減が要求される交流用超電導線において、マトリックスの材質、超電導フィラメントの直径、超電導フィラメント間の間隔、安定化銅の比率、安定化銅の線部分の直径、ツイストピッチ等の交流用超電導線の諸元を規定し、さらにはスタック方法や中間軟化熱処理等の製造方法の条件を規定することにより、従来の交流用NbTi超電導線では必須であったNb等からなる拡散バリアを有しない構造で良好な伸線加工性を実現することができるとともに、従来の交流用超電導線に比べてさらに交流損失を低減することができる、という本願発明者らの知見に基づくものである。以下、本発明に従った交流用超電導線の好ましい具体的な実施の形態について説明する。
【0023】
本発明者は、まず、シリコンとマンガンを含む銅合金からなるマトリックス中にニオブチタン合金の超電導体からなるフィラメントが複数本埋込まれた多芯超電導線において、マトリックスがシリコンを2重量%以上、4重量%以下、マンガンを0.5重量%以上、1重量%以下含む銅合金であること、マトリックスとフィラメントとの間にNb等からなる拡散バリアを有しない構造であること、すなわちフィラメントの外周面がマトリックスに接触していること、フィラメントの直径を0.1μm以上、0.2μm以下にすること、により、良好な伸線加工性を有し、高い臨界電流密度(Jc)を有し、さらに交流損失を低減することができることを見出した。これは、マトリックスに含まれるシリコンがフィラメントとマトリックスとの界面における拡散反応の抑制に寄与することによるものである。したがって、従来の交流用超電導線においては化合物の形成を防止するために必須であったNb等からなる拡散バリアがない構造においても、上記のシリコンによる拡散反応の抑制効果により、良好な伸線加工性をもたらすことができる。
【0024】
また、マトリックス中におけるシリコンの含有率を2重量%以上、4重量%以下にすることにより、伸線加工性を劣化させることなく、マトリックスの高抵抗化を実現することができ、交流損失の低減を達成することができる。シリコンの含有率が2重量%未満では、マトリックスの抵抗が低いため、交流損失の低減効果が小さい。また、シリコンの含有率が4重量%を超えると、マトリックス自体の伸線加工性が劣化するため、超電導線の伸線加工性も劣化することになる。
【0025】
さらに、上記のようにマトリックス中にマンガンを添加することにより、フィラメント間隔を狭めた場合においてもフィラメントの電磁気的な結合を抑制することができる。好ましくは、マトリックス中のマンガンの含有量を0.6重量%以上、0.9重量%以下にすることにより、伸線加工性を劣化させることなく、フィラメントの電磁気的な結合を防止することができ、ヒステリシス損失を低減することができる。
【0026】
なお、上記の交流用超電導線において、好ましくは、マトリックスが液体ヘリウム温度(4.2K)において2×10-7Ω・m以上の比抵抗を有し、かつフィラメントの直径を0.12μm以上、0.16μm以下にすることにより、上記の効果をさらに高めることができる。
【0027】
本発明の交流用超電導線では、フィラメントの間隔を0.09μm以上、0.2μm以下にするのが好ましく、さらに、0.12μm以上、0.16μm以下にするのが好ましい。このようにフィラメントの間隔を規定することにより、高い臨界電流値を確保するとともに、フィラメントの電磁気的な結合を抑制することができる。このため、ヒステリシス損失をさらに低減することができる。フィラメントの間隔が0.09μmよりも狭くなると、近接効果によりヒステリシス損失の増大が生じる。また、フィラメントの間隔が0.2μmよりも広くなると、超電導線に含まれるニオブチタン合金の量が少なくなるため、超電導線自体の臨界電流値が大きく低下してしまい、実用的ではなくなる。
【0028】
さらに、本発明の超電導線において、フィラメントの間隔の直径に対する比率が1以上、1.5以下であるのが好ましく、1程度であるのがより好ましい。このようにフィラメントの間隔の直径に対する比率を規定することにより、伸線加工によるフィラメントの不均一な変形を抑制することができ、ヒステリシス損失をさらに低減することができる。
【0029】
この発明の交流用超電導線の直径を0.15mm以上、0.3mm以下にするのが好ましく、さらに0.15mm以上、0.25mm以下にするのが好ましい。また、本発明の交流用超電導線は、その直径の8倍以上、12倍以下のピッチでツイストするのが好ましく、10倍以上、12倍以下のピッチでツイストするのがさらに好ましい。このように交流用超電導線の直径とツイストピッチを規定することにより、高い臨界電流値を維持するとともに、結合損失をさらに低減することができる。なお、ツイストピッチを超電導線の直径の10倍以上、12倍以下にするのは、長尺化を考慮するからである。
【0030】
さらに、本発明の超電導線に配置される安定化銅のニオブチタン合金に対する体積比率を1以上、1.5以下にすることにより、超電導素線の熱的な安定性を高めることができ、交流磁界の下、または交流通電時に交流損失による発熱が生じても速やかに熱拡散が行なわれ、安定に電流を流すことが可能となる。
【0031】
上記の安定化銅は、フィラメントが埋込まれたマトリックスを構成する銅合金と同一の組成の合金によって複数本の線部分に分割され、その分割された安定化銅の線部分の直径が10μm以下であるのが好ましく、5μm以上、9μm以下であるのがさらに好ましい。このように安定化銅を構成することにより、良好な伸線加工性を有し、渦電流損失の低減を図ることができる。
【0032】
また、本発明の交流用超電導線において、ニオブチタン合金の体積含有率を10%以上に設定することにより、交流損失を低減することができるとともに、高い臨界電流値を確保することが可能となる。
【0033】
本発明の交流用超電導線は、スタック加工を2回繰返すダブルスタック法によって製造されるのが好ましい。スタック加工を3回繰返すトリプルスタック法では、マトリックスのニオブチタン合金に対する割合が大きくなり、実質的に超電導線自体の臨界電流値が小さくなるため好ましくない。また、スタック回数が増えると押出回数が増加することになり、超電導線に加わる熱履歴回数も増加し、化合物の生成する割合も大きくなり、伸線加工性と超電導線の特性の低下を引き起こすことになる。したがって、スタック回数を2回以下にするのが好ましい。
【0034】
また、シリコンとマンガンを含む銅合金では、塑性加工を加えれば加えるほど硬化が進行し、非常にもろい状態となり、これ以上加工が不可能となる加工硬化が生ずる。本発明の超電導線の製造方法では、ln(So/S)[So:加工前の横断面積、S:加工後の横断面積]で規定した加工度(ε)が4以下の塑性加工が行なわれるごとに中間軟化熱処理を加えることにより、加工硬化に起因する断線等のトラブルを防止することができ、良好な伸線加工性を実現することができる。なお、超電導線の特性、超電導線の製造容易性、納期の短縮、製造コストの低減等の観点から、上記の軟化熱処理の回数はできるだけ少ない方が好ましい。加工度が3以上4以下の塑性加工が行なわれるごとに中間軟化熱処理を加えるのが好ましい。
【0035】
上記の中間軟化熱処理の温度条件を300℃以上にすることにより、加工硬化したマトリックスを軟化することができる。上記の温度を500℃よりも高くすると、化合物が生成することによる伸線加工性の劣化と超電導線の特性の低下を招くため、上記の熱処理温度は500℃以下で行なわれるのが好ましい。したがって、中間軟化熱処理の温度条件としては300℃以上、500℃以下に規定するのが好ましい。
【0036】
本発明の交流用超電導線の製造方法においては、ツイスト加工の直前に軟化熱処理をするのが好ましい。このように軟化熱処理をすることにより、マトリックス材料の捻回特性が向上し、より短いピッチでのツイスト加工が可能となり、超電導線の交流損失をさらに低減することができる。
【0037】
なお、ツイスト加工の直前ではフィラメントの直径はサブミクロンレベルに細径化されているため、塑性加工の途中に導入される中間軟化熱処理条件よりも低い温度で熱処理するのが好ましい。ツイスト加工直前の軟化熱処理の温度条件を300℃以上、400℃以下にすることにより、良好な捻回特性を実現することができ、超電導線の特性の低下を抑制することが可能となる。
【0038】
以上のように、本発明の交流用超電導線においては、ニオブチタン合金からなるフィラメントと銅合金からなるマトリックスとの間にNb等からなる拡散バリアを配置しない構造で、良好な伸線加工性を有し、従来の超電導線よりもさらに交流損失を低減することが可能な交流用超電導線とその製造方法を提供することができる。
【0039】
【実施例】
(実施例1)
交流用超電導線のマトリックスとして使用するために、シリコンの含有率を変えた銅−シリコン合金を作製し、伸線加工性、機械的特性、電気的特性の評価を行なった。作製した銅−シリコン合金は、Cu−1.1重量%Si合金、Cu−2.1重量%Si合金、Cu−3.4重量%Si合金、Cu−4.5重量%Si合金の4種類である。なお、原材料としては、無酸素銅と純シリコンを使用し、誘導加熱炉を用いた真空溶解によって上記の合金を作製した。銅とシリコン以外の不純物は0.01重量%未満であった。切削加工後の銅−シリコン合金のサンプルの直径は10mmであった。
【0040】
直径が1mmになるまで減縮加工を20%の割合で複数回行なうことにより、作製したサンプルを伸線加工した。直径が10mmから1mmまで伸線加工した場合の加工度(ε)は4.61であった。伸線加工の結果、Cu−4.5重量%Si合金のサンプルは、直径を4.62mmにする際の伸線加工時(加工度ε=1.54)に断線が生じ、それ以降の伸線加工は不可能であった。それ以外の3種類のサンプルは断線等のトラブルが発生することなく、直径が1mmになるまで伸線加工が可能であった。
【0041】
図1は、各加工度で採取したサンプルについて実施したビッカース硬度の測定結果を示す。図1によれば、銅−シリコン合金におけるシリコンの含有率が高まるに従って硬度(MHv)が高く、伸線加工によって加工硬化が生じていることは明らかである。また、Cu−4.5重量%Si合金のサンプルは、直径を4.62mmに伸線加工する際(加工度ε=1.54)に断線が生じたので、良好な伸線加工性を確保するためには、シリコンの含有率を4重量%以下にする必要があることが明らかとなった。
【0042】
図2は、伸線加工後の各サンプルについて実施した軟化熱処理温度とビッカース硬度(MHv)の相関関係を調べた結果を示す。熱処理時間は各温度条件で1時間保持して行なわれた。図2の結果から、銅−シリコン合金は300℃以上の温度で軟化が始まり、400℃の温度でほぼ完全に軟化されていることがわかる。したがって、加工硬化を除去するためには、少なくとも300℃以上の温度で熱処理を行なう必要があることがわかった。
【0043】
図3は、銅−シリコン合金の各サンプルの液体ヘリウム温度(4.2K)における抵抗率(比抵抗)の測定結果を示す。図3には、加工材と軟化材の2種類の測定結果が示されており、従来の超電導線のマトリックスとして一般的に使用されている銅−ニッケル合金(Cu−10重量%Ni合金、Cu−30重量%Ni合金)の抵抗率のレベルについても併せて示されている。図3によれば、軟化材と加工材との間で抵抗率の差異は小さく、シリコンの含有率を2重量%以上にすることにより、銅−ニッケル合金と同等レベルの抵抗率を達成することができることが判明した。
【0044】
これらの結果から銅−シリコン合金のシリコンの含有率としては2重量%以上、4重量%以下にすることにより、良好な伸線加工性を維持するとともに、超電導線の交流損失の低減に寄与することが可能なマトリックスの材料を提供できることが明らかとなった。
【0045】
(実施例2)
さらに、交流用超電導線のマトリックスとして使用するために、シリコンとマンガンを含む銅−シリコン−マンガン合金を作製し、伸線加工性、機械的特性、電気的特性の評価を行なった。作製した銅−シリコン−マンガン合金は、Cu−2.9重量%Si−0.66重量%Mnの組成を有する合金である。なお、原材料としては、無酸素銅と純シリコンと純マンガンを使用し、誘導加熱炉を用いた真空溶解によって合金を作製した。また、銅、シリコン、マンガン以外の不純物は0.01重量%未満であった。作製した合金のサンプルを加工度(ε)が5のレベルまで伸線加工した結果、断線等のトラブルが発生することなく、伸線加工性は良好であった。
【0046】
図4は、各加工度で採取した合金のサンプルについて実施したビッカース硬度の測定結果を示す。図4によれば、同じレベルのシリコン含有率を有するCu−3.4重量%Si合金とCu−2.9重量%Si−0.66重量%Mn合金の硬度の測定結果を比較すると、0.66重量%のマンガンを添加したことによる硬度の差異はほとんどなく、銅−シリコン−マンガン合金も良好な伸線加工性を有することが明らかとなった。これは、シリコンとマンガンを合わせた含有率(3.56重量%)がシリコンの含有率(3.4重量%)に相当することを意味する。したがって、銅−シリコン合金において良好な伸線加工性を達成するためのシリコンの含有率の上限値(4重量%)を考慮すると、銅−シリコン−マンガン合金においてはマンガンの含有率の上限値を1重量%にする必要があることがわかった。
【0047】
また、マンガンは超電導フィラメントの近接効果を抑制する効果を有する。この効果を発揮するためのマンガンの含有率としては0.5重量%以上必要であると考えられる。したがって、良好な伸線加工性を有し、かつ超電導線の交流損失を低減するためには、シリコンの含有率を2重量%以上、4重量%以下、マンガンの含有率を0.5重量%以上、1重量%以下にする必要があることが判明した。
【0048】
図5は、伸線加工後の合金サンプルについて実施した軟化熱処理温度とビッカース硬度(MHv)の相関関係を調査した結果を示す。なお、熱処理は各温度条件で1時間保持して行なわれた。図5の結果から、銅−シリコン−マンガン合金は銅−シリコン合金と同様に300℃以上の温度で軟化が始まり、400℃の温度でほぼ完全に軟化されることがわかる。したがって、銅−シリコン−マンガン合金についても加工硬化を除去するためには少なくとも300℃以上の温度で熱処理する必要があることがわかった。
【0049】
図6は、銅−シリコン−マンガン合金のサンプルの抵抗率(比抵抗)の温度依存特性の測定結果を示す。なお、図6には、従来の超電導線のマトリックスとして一般的に使用されている銅−ニッケル合金(Cu−10重量%Ni合金、Cu−30重量%Ni合金)と、実施例1で作製された銅−シリコン合金との抵抗率の温度依存特性も併せて示されている。銅−シリコン−マンガン合金と銅−シリコン合金との間の抵抗率の差異は小さく、銅−ニッケル合金と同等レベルの高抵抗特性を維持できることが明らかとなった。
【0050】
(実施例3)
実施例2で作製したCu−2.9重量%Si−0.66重量%Mn合金をマトリックスとした交流用NbTi超電導線を試作した。図7は、実施例3で作製した超電導線の断面構造を模式的に示す横断面図である。図7に示すように、超電導素線1は、1次スタック10をさらにスタック加工した構造を有し、外周部2とNbTiフィラメント配置領域3と安定化銅配置領域4とを備える。外周部2はCu−2.9重量%Si−0.66重量%Mn合金からなる。NbTiフィラメント配置領域3は、NbTi合金からなる超電導フィラメント7がCu−2.9重量%Si−0.66重量%Mn合金からなるマトリックス領域8中に複数本埋込まれた構造を有する。超電導素線1の横断面中央部に配置された安定化銅配置領域4は、安定化銅5がCu−2.9重量%Si−0.66重量%Mn合金からなるマトリックス領域6によって複数本の線部分に分割された構造を有する。なお、超電導フィラメント7とマトリックス領域8との間にはNb等からなる拡散バリアは配置されていない。すなわち、超電導フィラメント7の外周面はマトリックス領域8に接触している。
【0051】
図7に示された超電導素線1は、いわゆるダブルスタック法を用いて作製した。以下、超電導素線1の作製方法について説明する。
【0052】
まず、直径10mmのNbTi合金からなる丸棒をCu−2.9重量%Si−0.66重量%Mn合金からなるパイプに挿入して伸線加工(いわゆる嵌合)することにより単芯線を作製した。ここで、フィラメントの間隔の直径に対する比率が1となるようにCu−2.9重量%Si−0.66重量%Mn合金からなるパイプの寸法と嵌合回数を選定した。作製した単芯線を六角形の横断面を有するように伸線加工し(六角形の対辺間の距離が2.18mm)、所定の長さに切断することにより、六角単芯セグメントを作製した。外径が68mm、内径が61.5mmのパイプ形状のCu−2.9重量%Si−0.66重量%Mn合金からなるビレット中に、作製した六角単芯セグメントを649本挿入し、1次ビレットを作製した。なお、六角単芯セグメントのみではビレット内部の充填率が低く、伸線加工時に不均一な変形が起こるため、残った隙間にはCu−2.9重量%Si−0.66重量%Mn合金からなる丸線材(フィラー)を挿入することにより、ビレット内部の充填率を95%程度まで高めた。
【0053】
次に、作製した1次ビレットのサイズが直径で30mmになるように450℃の温度で1次ビレットに静水圧の押出加工を施した。これによって得られた1次ビレットの押出材を伸線加工、六角伸線加工、切断することにより、対辺間の距離が2.31mmの六角形横断面を有する多芯六角セグメントを作製した。
【0054】
さらに、1次ビレットの作製と同様に、外径が68mm、内径が61.5mmのパイプ形状のCu−2.9重量%Si−0.66重量%Mn合金からなるビレット中に、中央部に作製した多芯六角セグメントを444本、外周部にCu−2.9重量%Si−0.66重量%Mn合金からなる銅セグメントを151本挿入し、2次ビレットを作製した。なお、1次ビレットの作製と同様にビレットの内部に残った隙間にはCu−2.9重量%Si−0.66重量%Mn合金からなる丸線材(フィラー)を挿入することにより、ビレット内部の充填率を95%程度まで高めた。
【0055】
このようにして作製した2次ビレットのサイズが直径で30mmとなるように450℃の温度で2次ビレットに静水圧の押出加工を施した。その後、所定の超電導素線の外径になるまで伸線加工し、最終的にツイスト加工することにより、交流用NbTi超電導素線を作製した。
【0056】
なお、上記のダブルスタック法において、1次ビレット押出材の伸線加工時に押出加工後の加工度(ε)が4.0で伸線加工する際に銅−シリコン−マンガン合金からなるマトリックスの加工硬化に起因する断線が生じ、それ以上の伸線加工が不可能となった。このため、本実施例の製造工程においては、押出加工後の伸線加工において加工度(ε)が3.7の伸線加工が行なわれるごとに中間軟化熱処理を介在させた。なお、軟化熱処理温度は、実施例2の結果に基づき、銅−シリコン−マンガン合金がほぼ完全に軟化される400℃とした。このように加工度が3.7の伸線加工が行なわれるごとに中間軟化熱処理を介在させることにより、伸線加工時において断線が生じることなく、良好な伸線加工が行なわれることが明らかとなった。
【0057】
表1は本実施例で作製した超電導素線の詳細な諸元を示す。超電導素線は銅−シリコン−マンガン合金と安定化銅とニオブチタン合金とから構成されており、マトリックスとNbTi合金からなる超電導フィラメントとの間にはNb等からなる拡散バリアが配置されていない。また、安定化銅を除く超電導フィラメントの周囲と外周部を含むマトリックスはすべてCu−2.9重量%Si−0.66重量%Mn合金からなる。フィラメントの間隔の直径に対する比率は1.0であり、超電導素線の直径が0.2mmのとき、超電導フィラメントの直径と間隔は0.12μmである。なお、超電導フィラメントは1次スタック中の本数である649本と2次スタック中の1次スタックの数である444本とを掛け合わせた288,156本である。さらに、安定化銅は超電導素線の交流損失を低減するために銅−シリコン−マンガン合金により分割されており、超電導素線の直径が0.2mmのときの安定化銅の線部分の直径、すなわち安定化銅のコア径は6.3μmまで細径化されている。超電導素線の熱的な安定性を高めるために、超電導素線中に含まれる安定化銅のニオブチタン合金に対する体積比率は1.4まで高められている。また、ニオブチタン合金に対するその他のマトリックスの比率は8.2であり、ダブルスタック化により9以下を達成している。さらに、超電導素線中のニオブチタン合金の体積含有率として10%以上を達成することができる。これらにより、本実施例の超電導素線は高い臨界電流値を実現可能な構成を有する。
【0058】
なお、評価用サンプルとして、超電導素線の直径を変更することにより、超電導フィラメントの直径と間隔を種々変更したサンプルを作製し、特性評価実験を実施した。
【0059】
(比較例1)
比較のために、マンガンを添加しない銅−シリコン合金をマトリックスとした超電導素線を試作した。試作した超電導素線は図7で示した実施例3で作製した超電導素線と同等の横断面構造を有する。なお、実施例3ではマトリックスがCu−2.9重量%Si−0.66重量%Mn合金からなるのに対して、比較例1ではマトリックスがCu−3.0重量%Si合金からなる。また、実施例3と同様にNbTi合金からなる超電導フィラメントとCu−3.0重量%Si合金からなるマトリックスとの間にはNb等からなる拡散バリアを配置していない。すなわち、超電導フィラメントの外周面はマトリックスに接触している。
【0060】
超電導素線の作製法は実施例3と同様のダブルスタック法を採用した。ただし、単芯線の作製時にはフィラメントの間隔の直径に対する比率を0.55となるようにした。また、マトリックスの材料に合せてビレットとフィラーの材料としてCu−3.0重量%Si合金を使用した。1次ビレットと2次ビレットに加えられる静水圧の押出加工において熱処理温度は450℃、押出加工後の寸法は直径で30mmとし、実施例3と同一条件とした。比較例1においても、銅−シリコン合金からなるマトリックスの加工硬化を考慮して、実施例3と同様に伸線加工の間に中間軟化熱処理を介在させた。ただし、比較例1では、実施例3で断線が生じた押出加工後の加工度が4.0の伸線加工において断線等のトラブルが生じなかったため、押出加工後の加工度が4.4の伸線加工が行なわれるごとに中間軟化熱処理を介在させた。中間軟化熱処理温度は実施例3と同様に400℃とした。
【0061】
表1には、比較例1で作製した超電導素線の諸元を実施例3の諸元と比較して示す。超電導素線は銅−シリコン合金と安定化銅とNbTi合金とから構成されており、マトリックスとNbTi合金からなる超電導フィラメントとの間にはNb等からなる拡散バリアが配置されていない。また、安定化銅を除く超電導フィラメントの周囲と外周部を含むマトリックスはすべてCu−3.0重量%Si合金からなる。超電導フィラメントの間隔の直径に対する比率は0.55であり、実施例3の超電導素線に比べてフィラメントの間隔を狭めた構成となっている。超電導素線の直径が0.2mmのとき、超電導フィラメントの直径は0.1μm、超電導フィラメントの間隔は0.06μmである。超電導フィラメントの本数は、1次スタック中の本数である1,069本と2次スタック中の1次スタックの数である510本とを掛け合わせた545,190本である。このように比較例1ではフィラメント間隔を狭めた効果により、フィラメント本数は実施例3に比べて増加している。さらに、安定化銅は超電導素線の交流損失を低減するために銅−シリコン合金により分割されており、超電導素線の直径が0.2mmのときの各Cuコア径は5μmまで細径化されている。なお、実施例3と同様に、超電導素線の熱的な安定性を高めるために、超電導素線中に含まれる安定化銅のNbTi合金に対する体積比率は1.5まで高められている。NbTi合金に対するその他のマトリックスの比率は5.4であり、フィラメント間隔が実施例3に比べて狭いため、マトリックスの比率が低減されている。これにより、比較例1の超電導素線は高い臨界電流値を達成可能な構成を有する。
【0062】
なお、評価用サンプルとして、超電導素線の直径を変更することにより、超電導フィラメントの直径と間隔を種々変更したサンプルを作製し、特性評価実験を実施した。
【0063】
(比較例2)
比較例2として、従来一般的に作製されている銅−ニッケル合金をマトリックスとして用いた超電導素線を試作した。試作した超電導素線は、図7で示した実施例3で作製した超電導素線と同等の横断面構造を有する。ただし、マトリックスは、一般的に交流損失を低減するために高抵抗銅合金として使用されているCu−30重量%Ni合金からなる。比較例2では、NbTi合金からなる超電導フィラメントとCu−3.0重量%Si合金からなるマトリックスとの間には、化合物の形成を防止するためにNbからなる拡散バリアを配置することにより、伸線加工性の劣化と超電導特性の低下を回避する構造を採用した。
【0064】
また、比較例2の超電導素線の作製法は実施例3と同様のダブルスタック法を採用したが、比較例2では中間軟化熱処理を施さなくても良好な伸線加工を行なうことができるので、実施例3や比較例1で採用した中間軟化熱処理を実施していない。
【0065】
なお、マトリックスの材料としてCu−30重量%Ni合金を使用していることと、Nbからなる拡散バリアを配置していることと、軟化熱処理を採用していないこと以外は比較例1と全く同じ製造工程で超電導素線を作製した。
【0066】
表1に比較例2で作製した超電導素線の諸元を実施例3と比較例1の超電導素線の諸元と比較して示す。比較例2で作製した超電導素線は、高い臨界電流密度と低い交流損失の観点から最適化されたものである。また、マトリックスが銅−30重量%ニッケル合金からなること、Nbからなる拡散バリアを有すること以外は、比較例2の超電導素線は比較例1と同一の諸元を有する。すなわち、超電導素線は銅−ニッケル合金と安定化銅とNbTi合金とから構成されているが、マトリックスとNbTi合金からなる超電導フィラメントとの間にはNbからなる拡散バリアが配置されている。安定化銅を除く超電導フィラメントの周囲と外周部を含むマトリックスはすべてCu−30重量%Ni合金からなる。超電導フィラメントの間隔の直径に対する比率は0.55であり、実施例3に比べて間隔を狭めた構成となっている。超電導素線の直径は0.2mmであり、超電導フィラメントの直径は0.11μm、超電導フィラメントの間隔は0.06μmである。なお、超電導フィラメントの本数は、1次スタック中の本数である1,069本と2次スタック中の1次スタックの数である510本とを掛け合わせた545,190本である。このように、フィラメント間隔を狭めた効果により、フィラメント本数は実施例3に比べて増加している。さらに、安定化銅は超電導素線の交流損失を低減するために銅−ニッケル合金により分割されており、各Cuコア径は5μmまで細径化されている。なお、実施例3と同様に、超電導素線の熱的な安定性を高めるために、超電導素線中に含まれる安定化銅のNbTi合金に対する体積比率は1.5まで高められている。また、NbTi合金に対するその他のマトリックスの比率は5.4であり、フィラメント間隔が実施例3に比べて狭いため、マトリックスの比率が低減されている。これにより、比較例2の超電導素線は、高い臨界電流値を達成可能な構成を有する。
【0067】
【表1】
Figure 0003670888
【0068】
(実験1)
実施例3で作製した超電導素線について、超電導素線の直径を変更することにより超電導フィラメントの直径や間隔を種々に変更したサンプルを作製し、直流臨界電流試験を実施した。
【0069】
図8は、各外部磁界(0T〜2T)の存在下における超電導フィラメント(NbTi合金)あたりの直流臨界電流密度(Jc)の、超電導フィラメントの直径と超電導素線の直径に対する依存性を示す。図8には、従来一般的に作製され、最適化された銅−ニッケル合金をマトリックスの材料として用いた比較例2の臨界電流密度も示している。
【0070】
図8によれば、実施例3の超電導素線では、超電導フィラメントの直径が0.1μmレベルまで細径化するに従い、臨界電流密度が向上し、0.1μmのレベル以下では臨界電流密度が大きく低下する。特に、交流用超電導素線が使用される0.3Tから1Tまでの外部磁界の存在下においては、超電導フィラメントの直径を0.1μm以上、0.2μm以下にすることにより、高い臨界電流密度が得られることが判明した。より好ましくは超電導フィラメントの直径を0.12μm以上、0.16μm以下にすることにより、さらに高い臨界電流密度を達成することができることが明らかとなった。
【0071】
また、超電導素線の設計として従来から最適化されている比較例2の臨界電流密度のレベルと比較しても、実施例3の臨界電流密度は同等以上であり、Nb等からなる拡散バリアを配置しない構造でも、Nbからなる拡散バリアを有する従来の銅−ニッケル合金からなるマトリックスを配置した超電導素線の臨界電流密度を達成することができることが明らかとなった。
【0072】
(実験2)
実施例3で作製した超電導素線について、超電導素線の直径を変更することにより、超電導フィラメントの直径と間隔を変更したサンプルを種々作製し、交流損失(ヒステリシス損失)の測定を実施した。また、比較のため、比較例1と2で作製した超電導素線についても超電導素線の直径を変更したサンプルを作製し、交流損失(ヒステリシス損失)の測定を実施した。
【0073】
図9は交流損失の測定結果を示す。図9の横軸は超電導フィラメントの直径(μm)、縦軸はヒステリシス損失(J/m3)である。
【0074】
実施例3の超電導素線では超電導フィラメントの直径と間隔が等しいため、超電導フィラメントの直径=超電導フィラメントの間隔である。実施例3のサンプルについては、外部変動磁界の振幅が±0.1T、±0.5T、±1Tの条件下で測定したヒステリシス損失の超電導フィラメントの直径に対する依存性を示している。また、比較例1のサンプルについては、外部変動磁界の振幅が±0.5Tの条件で測定した結果を示している。なお、比較例1のサンプルについては超電導フィラメントの間隔の直径に対する比率が0.55であるため、図9の横軸の超電導フィラメントの直径を0.55倍すると超電導フィラメントの間隔に変換することができる。さらに、従来の最適化された比較例2の超電導素線については、外部変動磁界の振幅が±0.1T、±0.5t、±1Tの条件下で測定したヒステリシス損失レベルを図9において矢印で示している。
【0075】
図9の測定結果から、実施例3で作製した超電導素線では、0.5Tの外部変動磁界の振幅において超電導フィラメントの直径が0.09μmのレベルまで減少すると交流損失が低下し、さらに超電導フィラメントの直径が小さくなると交流損失が逆に増大する結果が得られた。これは、超電導フィラメントの間隔が0.09μmになるまでは超電導フィラメントの電磁気的な結合が抑制されており、それより間隔が狭くなると、超電導フィラメントの電磁気的な結合が生じ、ヒステリシス損失が増大することを示している。
【0076】
また、外部変動磁界の振幅が0.5Tと1Tにおける測定結果によれば、超電導フィラメントの直径を0.1μmのレベルまで細径化することにより、実施例3の超電導素線において比較例2の従来の最適化された超電導素線と同等以下の交流損失を実現できることが明らかとなった。
【0077】
なお、比較例1の超電導素線のサンプルでは、実施例3の超電導素線のサンプルに比べて交流損失が1桁以上も大きい結果を示す。これは、超電導フィラメント間の電磁気的な結合による交流損失の増大によるものと考えられる。この結果より、マトリックスにマンガンを添加した銅−シリコン−マンガン合金を採用することにより、交流損失を低減することができることが判明した。
【0078】
また、外部変動磁界の振幅が0.1Tの下では実施例3の超電導素線は、超電導フィラメントの直径と間隔が0.1μm以上、0.3μm以下の範囲のとき、比較例2の従来の超電導素線に比べて1桁も低い交流損失を有することが明らかとなった。この結果は、実施例3の超電導素線がNbからなる拡散バリアを有しない構造であるため、Nb自体の交流損失を除去することができた結果に基づくものであり、本発明の作用効果を実証している。
【0079】
実験1と2の結果を併せて考慮すると、実施例3の超電導素線では超電導フィラメントの直径を0.1μm以上、0.2μm以下にし、超電導フィラメントの間隔を0.09μm以上、0.2μm以下にすることにより、高い臨界電流密度と低い交流損失とを兼ね備えた超電導素線を実現することが可能であることがわかる。また、0.1Tレベルの低い外部磁界の存在下においては、超電導フィラメントの直径を0.12μm以上、0.16μm以下にし、超電導フィラメントの間隔を0.12μm以上、0.16μm以下にすることにより、従来の超電導素線と同等の高い臨界電流密度を有し、従来の超電導素線よりも1桁もオーダーの小さい交流損失を実現できることが明らかとなった。
【0080】
(実験3)
実施例3で作製した超電導素線の直径を種々変更したサンプルのうち、直径の小さいサンプルでは超電導素線の直径の12倍以下のピッチでツイスト加工を行なうと、マトリックスの加工硬化に起因すると考えられる断線が多発する結果が得られた。交流損失を低減するという観点から考えると、結合損失はツイストピッチの二乗に比例するため、伸線加工性を損なわないレベルで、できるだけ短いピッチでツイスト加工を実施する必要がある。
【0081】
そこで、ツイスト加工性を改善するためにツイスト加工直前に軟化熱処理を行なう方法を考えた。実施例3のサンプルでは、加工硬化による伸線加工性の劣化を抑制するために400℃の温度で中間軟化熱処理を伸線加工の間に介在させることにより、マトリックスを軟化させて良好な伸線加工性を実現させた。しかしながら、ツイスト加工の直前では超電導素線の直径は0.15mmから0.3mmまでの範囲内に細径化されており、超電導フィラメントの直径は0.1μmから0.2μmまでの範囲内に超極細化されている。このため、軟化熱処理により化合物が生成する等の問題が引き起こされ、超電導特性が低下することが考えられる。本実験では、細径化された超電導素線の熱処理温度と直流臨界電流値(Ic)との関係を測定し、ツイスト加工直前における軟化熱処理温度の最適化を検討した。
【0082】
測定に使用したサンプルは、超電導素線の直径が0.27mm、超電導フィラメントの直径が0.16μmの実施例3によるサンプルと、超電導素線の直径が0.214mm、超電導フィラメントの直径が0.13μmの実施例3によるサンプルとの2種類である。これら2種類のサンプルについて300℃から500℃までの温度領域で2時間の軟化熱処理を実施した後、直流臨界電流値の測定を実施した。なお、熱処理が施されていないサンプルについても直流臨界電流値の測定を実施し、熱処理されたサンプルとの比較を行なった。
【0083】
図10は、超電導素線の直径が0.27mmのサンプルについて実施した、各外部磁界(0T〜1T)の存在下の直流臨界電流値と熱処理温度との関係の測定結果を示す。また、図11は、超電導素線の直径が0.214mmのサンプルについて実施した、各外部磁界(0T〜1T)の存在下の直流臨界電流値と熱処理温度との関係の測定結果を示す。これらの測定結果から、400℃以下の熱処理温度では熱処理前(図では0℃)の直流臨界電流値(Ic)と比較すると、直流臨界電流値の低下はほとんど認められないが、400℃より高い500℃で熱処理した後の直流臨界電流値は大きく低下することが認められた。特に、超電導素線の直径、すなわち超電導フィラメントの直径がより細径化された、超電導素線の直径が0.214mmのサンプルの方がその低下の度合いが大きく、熱処理前に比べて1/2のレベルに低下することが明らかとなった。これは、超電導フィラメントの直径がより細径化されているため、超電導フィラメントとマトリックスとの界面において化合物が生成しやすいためであると考えられる。
【0084】
また、マトリックスを構成する銅−シリコン−マンガン合金を軟化するためには300℃以上の温度で熱処理する必要がある。上記の測定結果から、超電導フィラメントの直径が細径化された超電導素線のサンプルにおいてツイスト加工直前の軟化熱処理温度としては300℃以上、400℃以下の条件にすることにより、超電導特性、すなわち直流臨界電流値を低下させることなく、マトリックスを軟化させることが可能であることがわかる。
【0085】
(実験4)
実験3で得られた最適なツイスト加工直前の熱処理温度でマトリックスを軟化させ、その後、ツイスト加工を実施することによりサンプルを作製した。ツイスト加工を行なったサンプルは超電導素線の直径が0.214mmのサンプルである。
【0086】
温度300℃で軟化熱処理したサンプルでは、超電導素線の直径の10倍から12倍までのピッチでツイスト加工を行なっても断線が生じないで長尺のツイスト加工が可能であった。また、温度350℃で軟化熱処理したサンプルでは、超電導素線の8倍から10倍までのピッチでツイスト加工を行なっても断線が生じることなく、長尺のツイスト加工が可能であった。さらに、温度400℃で軟化熱処理したサンプルについても超電導素線の直径の8倍のピッチでツイスト加工を行なっても断線が生じることなく、長尺のツイスト加工が可能であった。
【0087】
このように、ツイスト加工の直前において300℃以上、400℃以下の温度で軟化熱処理を実施することにより、超電導素線の超電導特性を低下させることなく、超電導素線の直径の8倍以上、12倍以下の短いピッチで長尺線材のツイスト加工が可能であるという結果が得られた。
【0088】
以上に開示された実施の形態および実施例は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の実施の形態や実施例ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正や変形を含むものである。
【0089】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、従来の交流用超電導線の構造では必須であった、超電導フィラメントとマトリックスとの間に配置されるNb等からなる拡散バリアがない構造で、良好な伸線加工性を実現することができるとともに、従来の超電導線と同等以上の高い臨界電流値を有し、さらに交流損失を低減することが可能な交流用超電導線とその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で作製した銅−シリコン合金の加工度とビッカース硬度との関係の測定結果を示す図である。
【図2】実施例1で作製した銅−シリコン合金の伸線加工後のサンプルについて実施した軟化熱処理温度とビッカース硬度との関係を示す図である。
【図3】実施例1で作製した銅−シリコン合金のサンプルの液体ヘリウム温度における比抵抗(抵抗率)のシリコン含有率依存性を示す図である。
【図4】実施例2で作製した銅−シリコン−マンガン合金の加工度とビッカース硬度との関係の測定結果を、実施例1で作製した銅−シリコン合金と従来一般的に使用されている銅−ニッケル合金の測定結果と比較して示す図である。
【図5】実施例2で作製した銅−シリコン−マンガン合金の伸線加工後のサンプルについて実施した軟化熱処理温度とビッカース硬度との関係を、実施例1で作製した銅−シリコン合金と従来一般的に使用されている銅−ニッケル合金の測定結果と比較して示す図である。
【図6】実施例2で作製した銅−シリコン−マンガン合金のサンプルの抵抗率の温度依存性の測定結果を、実施例1で作製した銅−シリコン合金のサンプルと従来一般的に使用されている銅−ニッケル合金の測定結果と比較して示す図である。
【図7】実施例3で作製した超電導素線の横断面構造を模式的に示す断面図である。
【図8】実施例3で作製した超電導素線のサンプルにおいて超電導フィラメント(NbTi)あたりの直流臨界電流密度(Jc)の、超電導素線の直径と超電導フィラメントの直径に対する依存性を、比較例2で作製したサンプルと比較して示す図である。
【図9】実施例3で作製した超電導素線のサンプルのヒステリシス損失の、超電導フィラメントの直径に対する依存性を、比較例1と2で作製したサンプルの測定結果と比較して示す図である。
【図10】実施例3で作製した超電導素線の直径が0.27mmのサンプルのツイスト加工直前に実施した熱処理温度と直流臨界電流値(Ic)との関係を示す図である。
【図11】実施例3で作製した超電導素線の直径が0.214mmのサンプルのツイスト加工直前に実施した熱処理温度と直流臨界電流値(Ic)との関係を示す図である。
【符号の説明】
1 超電導素線
2 外周部
3 NbTiフィラメント配置領域
4 安定化銅配置領域
5 安定化銅
6 マトリックス領域
7 超電導フィラメント
8 マトリックス領域

Claims (13)

  1. シリコンとマンガンを含む銅合金からなるマトリックス中にニオブチタン合金の超電導体からなるフィラメントが複数本埋込まれた多芯超電導線構造を備えた交流用超電導線であって、
    前記マトリックスが、シリコンを2重量%以上、4重量%以下、マンガンを0.5重量%以上、1重量%以下含む銅合金からなり、
    前記フィラメントの外周面は前記マトリックスに接触しており、
    前記フィラメントの直径が0.1μm以上、0.2μm以下であることを特徴とする、交流用超電導線。
  2. 前記フィラメントの間隔が0.09μm以上、0.2μm以下であることを特徴とする、請求項1に記載の交流用超電導線。
  3. 前記フィラメントの間隔に直径に対する比率が1以上、1.5以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載の交流用超電導線。
  4. 前記交流用超電導線の直径が0.15mm以上、0.3mm以下であることを特徴とする、請求項1から3までのいずれかに記載の交流用超電導線。
  5. 前記交流用超電導線がその直径の8倍以上、12倍以下のピッチでツイストされていることを特徴とする、請求項1から4までのいずれかに記載の交流用超電導線。
  6. 前記交流用超電導線に配置される安定化銅のニオブチタン合金に対する体積含有率が1以上、1.5以下であることを特徴とする、請求項1から5までのいずれかに記載の交流用超電導線。
  7. 前記安定化銅は、前記銅合金と同一の組成の合金によって複数本の線部分に分割されており、その分割された安定化銅の線部分の外径が10μm以下であることを特徴とする、請求項6に記載の交流用超電導線。
  8. ニオブチタン合金の体積含有率が10%以上であることを特徴とする、請求項1から7までのいずれかに記載の交流用超電導線。
  9. ダブルスタック法により製造することを特徴とする、請求項1から8までのいずれかに記載の交流用超電導線の製造方法。
  10. 加工度が3以上、4以下で塑性加工するステップの間に中間軟化熱処理するステップを介在させることを特徴とする、請求項9記載の交流用超電導線の製造方法。
  11. 前記中間軟化熱処理の温度条件が300℃以上、500℃以下であることを特徴とする、請求項10に記載の交流用超電導線の製造方法。
  12. ツイスト加工の直前に軟化処理することを特徴とする、請求項から11までのいずれかに記載の交流用超電導線の製造方法。
  13. 前記ツイスト加工直前の軟化熱処理の温度条件が300℃以上、400℃以下であることを特徴とする、請求項12に記載の交流用超電導線の製造方法。
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