JPH10241472A - 多芯超電導線材およびその製造方法 - Google Patents

多芯超電導線材およびその製造方法

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JPH10241472A
JPH10241472A JP9043322A JP4332297A JPH10241472A JP H10241472 A JPH10241472 A JP H10241472A JP 9043322 A JP9043322 A JP 9043322A JP 4332297 A JP4332297 A JP 4332297A JP H10241472 A JPH10241472 A JP H10241472A
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JP
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copper alloy
superconducting wire
precipitation hardening
alloy
hardening type
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JP9043322A
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Naoki Ayai
直樹 綾井
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】極細フィラメントを得るため高い加工度まで加
工される多芯超電導線では、フィラメントとマトリック
スの強度差が非常に大きくなり、伸線加工で加えられる
外力が、線材全体に均一に伝達されずに、構造的に応力
が集中しやすい部分や、強度の弱い部分の変形が助長さ
れ不均一な変形が起こる。更に伸線加工を繰り返すと、
益々不均一な変形が顕著となり、フィラメントの損傷に
よる臨界電流の劣化や、多芯線材そのものが破断に至
る。 【解決手段】フィラメントがその周囲に連続的に析出硬
化型銅合金を配したマトリックスに埋め込まれてなるこ
とを特徴とする多芯超電導線材とその製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、核融合、超電導
エネルギー貯蔵、粒子加速器、またはその他の用途に用
いることのできる超電導マグネットに使用される多芯超
電導線材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】超電導マグネットに用いられる超電導線
材には、超電導状態の安定化のために断熱状態にある超
電導体が磁束跳躍によって発熱しないために超電導体の
直径が小さいこと、超電導体に侵入する磁束の速度を遅
くし、かつ、外部に熱を逃しやすいように、超電導体と
冷媒の間の熱伝導が良いこと、超電導状態が壊れたとき
にジュール熱により全体が臨界温度以上とならないよう
に電流がバイパスするための低抵抗金属が備えられてい
ることが必要である。そのために、多数の細い超電導体
のフィラメントが、熱伝導率が大きく、比抵抗の小さい
高純度銅に埋め込まれた極細多芯線が開発された。
【0003】交流用途を目的に開発されている超電導線
材では、マトリックスにCuNi合金や、CuMn合金等の固溶
硬化型銅合金を用いることにより、1ミクロン以下の極
細フィラメントを得るとともに、マトリックスを還流す
る誘導電流に起因する損失の低減に成功している。銅合
金は純銅に比べて強度が優れているため、銅合金マトリ
ックスは線材の高強度化の点でも優れている。しかしな
がら、固溶硬化型銅合金マトリックスの極低温における
熱伝導率は純銅の数百分の1以下、比抵抗は1000倍以上
となるため、加速器、超電導エネルギー貯蔵、核融合等
の高い安定性が要求されるマグネットへの使用は制限さ
れる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】多芯超電導線材を形成
する過程で行なわれる塑性加工において、高純度銅マト
リックスは加工度がある程度以上になると硬度が飽和す
る。一方、フィラメントとして用いられる、Nb、Nb-Ti
合金等は、銅よりもずっと高い加工度まで硬度が飽和す
ることなく増加し続ける。極細フィラメントを得るため
高い加工度まで加工される多芯超電導線では、フィラメ
ントとマトリックスの強度差が非常に大きくなり、伸線
加工で加えられる外力が、線材全体に均一に伝達されず
に、構造的に応力が集中しやすい部分や、強度の弱い部
分の変形が助長され不均一な変形が起こる。更に伸線加
工を繰り返すと、益々不均一な変形が顕著となり、フィ
ラメントの損傷による臨界電流の低下や、多芯線材その
ものの破断に至る。
【0005】細線化する加工性、強磁場内での超電導線
材としての強度や交流損失および安定性のバランスを良
くするために、マトリックスの一部を固溶硬化型銅合金
とし、残部を安定化のために高純度銅とする構造も行な
われている。しかしながら、線材製作工程で線材に意図
的、あるいは、副次的に加えられる熱によって、固溶硬
化型銅合金部の含有元素が高純度銅部に拡散し、安定化
材としての高純度銅マトリックスの性能劣化が問題とな
る場合があった。この発明は、以上の状況を鑑み、細線
化する加工性、強磁場内における超電導線材としての強
度及び超電導の安定性に優れた多芯超電導線材およびそ
の製造方法を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明による多芯超電
導線では、複数のフィラメントがマトリックスに埋め込
まれた多芯超電導線材であって、フィラメントがその周
囲に連続的に析出硬化型銅合金を配したマトリックスに
埋め込まれていることを特徴とする。
【0007】また、その他の手段として、高純度銅から
なるパイプ内に複数の超電導用素材を析出硬化型銅合金
に埋込んだセグメントを積み重ねて配置し、その両端を
封止した構造のビレットを製作した後、細線化加工をし
ている。ここで配置させるとは、フィラメントをパイプ
等内の断面において所定の位置になるように、いわゆる
積層していくことを云う。以下同様である。また、高純
度銅からなる芯部を設け、この芯部のまわりに複数の超
電導用素材を析出硬化型銅合金に埋込んだものを配置し
て細線化させても良い。更に、析出硬化型銅合金よりな
るパイプ内に高純度銅からなる芯部を設け、この芯部の
まわりに複数の超電導用素材を高純度銅に埋込んで積み
重ねて配置させてパイプの両端を封止したビレットを製
作し、更にそのビレットを細線化加工をしている。
【0008】また更に、高純度銅または析出硬化型銅合
金よりなるパイプ内に高純度銅からなる芯部を設け、こ
の芯部のまわりに複数の超電導用素材を析出硬化型銅合
金に埋込んだセグメントを積み重ねて配置させたパイプ
の両端を封止したビレットを製作し、更にそのビレット
を細線化加工をしている。また、最外周に高抵抗層を設
けることもできる。高抵抗層の一つとしてはCrを用いる
ことができる。析出硬化型銅合金の含有元素としては、
Be、Cr、Mo、Nb、Ti、Ta、W、Zrよりなるグループから
少なくとも一つを選ぶことができる。析出硬化型銅合金
の銅以外の元素の重量比率は、0.01%以上で1%未満であ
ることが望ましい。フィラメントの構成元素としては、
Nb、V、Ti、Sn、Al、Ge、Ga、Si、Cuよりなるグループ
から少なくとも二つが含まれる。
【0009】より具体的には、フィラメントとしてNbTi
合金を用いることができる。また、NbまたはNb合金と、
これと反応して超電導性を示す化合物を形成する元素を
含む金属の複合体であってもよい。フィラメントとマト
リックスの間に拡散障壁層を備えることができる。線材
加工工程後にマトリックスの焼鈍を目的としてフィラメ
ントの含有元素が析出する温度よりも低温の熱処理を行
なうことが望ましい。また、フィラメントが化合物超電
導体により形成される場合には、化合物超電導体を生成
するための熱処理の後に、マトリックスの含有元素を析
出させるための熱処理は、化合物超電導体を生成するた
めの熱処理よりも低温の熱処理を行なうことが望まし
い。
【0010】
【発明の実施の形態】この発明による多芯超電導線にお
けるマトリックスの全部または一部をなす析出硬化型銅
合金は、フィラメントに直接又は、高純度銅を介して間
接にその周囲に分布させたもので、適切な添加元素、そ
の添加量、時効熱処理条件を、加工条件を選択すること
により、伸線加工を行う過程で高純度銅よりも強い強度
を維持することができる。強加工された場合にも軟化温
度が高純度銅よりも高いため、加工発熱による軟化が起
こらないため、それ自体の良好な加工性は維持しつつ、
硬度-加工度特性をフィラメントのそれに近づけること
ができる。これによって、伸線加工の過程で不均一変形
の発生を抑制することができ、良好な加工性が得られ
る。超電導の安定性についても、析出硬化型銅合金は、
熱伝導率を高純度銅の数十分の1程度、比抵抗値を50倍
以下程度とすることが可能である。これにより、長尺で
強度と安定性が優れた多芯超電導線材が得られる。
【0011】更に低い比抵抗が要求される場合には、マ
トリックスの一部を高純度銅に置き換えることによって
線材全体の抵抗値を低減することができる。加工性と抵
抗値の要求に応じて、析出硬化型銅合金と高純度銅の配
置方法と、両者の比率を選ぶことができる。配置方法の
一例として、超電導用素材を析出硬化型銅合金に埋込ん
だセグメントを高純度銅からなるパイプ等内に積み重ね
して配置させることができる。この方法では、適切に硬
度を調整された超電導用素材と析出硬化型銅合金とを高
純度銅で被覆することにより、硬度の異なる素材が同心
円状に配置される。これによって、伸線加工による材料
の変形が周方向で均一になり、良好な加工性が可能とな
る。また、超電導用素材と析出硬化型銅合金とをその内
部に積み重ねして積層する高純度銅よりなるパイプの比
率を適当に選択することによって、線材全体の抵抗値を
調整することができる。
【0012】その他の配置例として、中心部に高純度銅
からなる芯部を設け、この芯部のまわりに複数の超電導
用素材をそれぞれ析出硬化型銅合金に埋込んだセグメン
トを積み重ねして配置させたり、更にその外周に析出硬
化型銅合金、あるいは、無酸素銅よりなる外周部を配置
しても、同様の効果が得られる。また上述したものとは
逆に、複数の超電導用素材を高純度銅合金に埋込んで配
置させ、そのまわりに析出硬化型銅合金からなるパイプ
等内に配置させた場合には、フィラメントと高純度銅合
金マトリックスに強度差が生じるが、外周に配置した析
出硬化型銅合金の弾性的性質によって、内側へ均一にせ
ん断応力が加えられることによって、フィラメントとマ
トリックスの間の摩擦力が高まり、両者の界面の滑べり
によって起る不均一変形を抑制することができる。
【0013】析出硬化型銅合金の添加元素としては、B
e、Cr、Mo、Nb、Ta、W、Zr等であり、1種類の元素であ
っても良いし、2種類以上の複数を添加しても良い。こ
れら銅以外の元素の比率は、重量比で0.01%以上で1%未
満であることが望ましい。1%未満とするのは、高熱伝導
率および低比抵抗と共に、析出硬化型銅合金自体の冷間
加工性が良好であるためである。0.01%以上とするの
は、冷間加工によってその硬度が高くなり、多芯超電導
線材としてのマトリックスとしたときに加工性および強
度改善の効果が得られるためである。
【0014】
【実施例】
(ビレット製作の実施例1)図1に示すように、超電導
材であるNbTiのインゴットの周りに、純Nbシートを巻い
た超電導用素材2'を無酸素銅パイプの中に挿入して、
伸線加工を行ない、さらに断面六角形状のセグメント2
を加工した。このようにして作製したCu/Nb/NbTi単芯
240本のセグメント2と無酸素銅の六角線3'の集合体で
ある芯部3をCu-Cr合金のパイプ4に挿入しながら積み
重ねて配置し、パイプ4の前後を銅製のブロックで蓋を
し、電子ビーム溶接により封じ、中心に銅芯部を有する
複合多芯超電導のビレット1を作製した。このときCu-C
r合金におけるCrの含有量は0.8重量%とした。なお、無
酸素銅は、室温抵抗と液体ヘリウム中4.2Kにおける
抵抗との比すなわち残留抵抗比が200〜300のもの
を用いている。
【0015】(ビレット製作の比較例1−1)NbTiイン
ゴットの周りに、純Nbシートを巻いたものを無酸素銅パ
イプの中に挿入して、伸線加工を行ない、さらに断面を
六角形状に加工した。このようにして作製したCu/Nb/
NbTi単芯超電導線240本と無酸素銅六角線を無酸素銅パ
イプに挿入して実施例1と同様に配置し、パイプの前後
を銅製のブロックで蓋をし、電子ビーム溶接により封
じ、中心に銅芯部を有する複合多芯超電導のビレットを
製作した。
【0016】(ビレット製作の比較例1−2)NbTiイン
ゴットの周りに、純Nbシートを巻いたものを無酸素銅パ
イプの中に挿入して、伸線加工を行ない、さらに断面を
六角形状に加工した。このようにして作製したCu/Nb/
NbTi単芯超電導線240本と無酸素銅六角線をCu-10wt%Ni
パイプに挿入して実施例1と同様に配置し、パイプの前
後を銅製のブロックで蓋をし、電子ビーム溶接により封
じ切り、中心に銅芯部を有する複合多芯超電導のビレッ
トを製作した。
【0017】[細線化例1]実施例1、および比較例1
−1、1−2に従った複合多芯超電導ビレットに対し、
それぞれ押出および伸線によって細線化し、これらに、
以下の(A)または(B)の熱処理を施した。 (A):380℃、80時間の熱処理を1回行なう。 (B):380℃、80時間の熱処理を行なった後伸線し、2
回目の熱処理を行ない、さらに伸線し、3回目の熱処理
を行なう。 上記の処理後、直径0.5mmまで細線化伸線し、200℃、1
時間の軟化熱処理を行なったときの、それぞれの複合多
芯超電導線におけるフィラメントの断線状況、および、
10°Kの臨界温度直上温度における比抵抗値を表1に
示す。この結果、フィラメントの周囲を析出硬化型銅合
金を配したものはフィラメントの断線数や安定化銅比抵
抗が良好であることが分かる。
【0018】
【表1】
【0019】(ビレット製作の実施例2)図1に示すよ
うに、ジェリーロール法に従いNbシートとAlシートを無
酸素銅棒の周りに積層した超電導用素材2'をCu-Zr合金
パイプの中に挿入して、伸線加工を行ない、さらに断面
を六角形状のセグメント2に加工した。このようにして
作製したCu-Zr/Nb/Al単芯超電導線240本のセグメント
2と無酸素銅の六角線3'の集合体である芯部3とを無
酸素銅のパイプ4に実施例1と同様に挿入して配置し、
パイプ4の前後を銅製のブロックで蓋をし、電子ビーム
溶接により封じ、中心に銅芯部を有する複合多芯超電導
のビレット1を作製した。このときCu-Zr合金におけるZ
rの含有量は0.02重量%とした。
【0020】(ビレット製作の比較例2−1)ジェリー
ロール法に従いNbシートとAlシートを無酸素銅棒の周り
に積層した複合材を無酸素銅パイプの中に挿入して、伸
線加工を行ない、さらに断面を六角形状に加工した。こ
のようにして作製したCu/Nb/Al単芯超電導線240本と
無酸素銅六角線を無酸素銅パイプに挿入して実施例2と
同様に配置し、パイプの前後を銅製のブロックで蓋を
し、電子ビーム溶接により封じ、中心に銅芯部を有する
複合多芯超電導のビレットを作製した。
【0021】(ビレット製作の比較例2−2)ジェリー
ロール法に従いNbシートとAlシートを無酸素銅棒の周り
に積層した複合材をCu-10wt%Niパイプの中に挿入して配
置し、伸線加工を行ない、さらに断面を六角形状に加工
した。このようにして作製したCu-Ni/Nb/Al単芯超電
導線240本と無酸素銅六角線を無酸素銅パイプに挿入し
て実施例2と同様に配置し、パイプの前後を銅製のブロ
ックで蓋をし、電子ビーム溶接により封じ、中心に銅芯
部を有する複合多芯超電導のビレットを作製した。
【0022】[細線化例2]実施例2および比較例2−
1、2−2に従った複合多芯超電導ビレットに対し、そ
れぞれ押出および伸線によって細線化し、直径0.8mmま
で伸線した。このとき、それぞれ長さ1mのマトリックス
を硝酸で溶解してフィラメントを露出し、フィラメント
の断線数を測定した。また、線材表面に厚さ約2μmのク
ロムメッキを施した状態で、それぞれ750℃、50時間の
熱処理を施して臨界温度直上温度における比抵抗値を測
定した。その後更に、500℃、2時間の時効熱処理を加
え、16Kの臨界温度直上温度における比抵抗値を測定
した。その結果は、表2に示す通りであり、時効熱処理
を施した方が更にフィラメントの断線数や安定化銅比抵
抗が良好であることが分かる。
【0023】
【表2】
【0024】(ビレット製作の実施例3)図2に示すよ
うに、ジェリーロール法に従いNbシートとAlシートを無
酸素銅棒の周りに積層した超電導用素材12'をCu-Zr合
金パイプの中に挿入して、伸線加工を行ない、さらに断
面を六角形状のセグメント12に加工した。このように
して作製したCu-Zr/Nb/Al単芯超電導線241本のセグメ
ント12をCu-Zr合金のパイプ14に挿入して配置し、
パイプ14の前後を銅製のブロックで蓋をし、電子ビー
ム溶接により封じ、図2のような複合多芯超電導のビレ
ット11を作製した。このときCu-Zr合金におけるZrの
含有量は0.02重量%とした。
【0025】(ビレット製作の比較例3−1)ジェリー
ロール法に従いNbシートとAlシートを無酸素銅棒の周り
に積層した複合を無酸素銅パイプの中に挿入して、伸線
加工を行ない、さらに断面を六角形状のセグメントに加
工した。このようにして作製したCu/Nb/Al単芯超電導
線241本のセグメントを無酸素銅のパイプに挿入して実
施例3と同様に配置し、パイプの前後を銅製のブロック
で蓋をし、電子ビーム溶接により封じ、複合多芯超電導
のビレットを作製した。
【0026】(ビレット製作の比較例3−2)ジェリー
ロール法に従いNbシートとAlシートを無酸素銅棒の周り
に積層した複合をCu-10wt%Ni合金パイプの中に挿入し
て、伸線加工を行ない、さらに断面を六角形状のセグメ
ントに加工した。このようにして作製したCu-Ni/Nb/A
l単芯超電導線241本のセグメントをCu-10wt%Ni合金のパ
イプに挿入して実施例3と同様に配置し、パイプ4の前
後を銅製のブロックで蓋をし、電子ビーム溶接により封
じ、複合多芯超電導のビレットを作製した。
【0027】[細線化例3]実施例3および比較例3−
1、3−2に従った複合多芯超電導ビレットに対し、そ
れぞれ押出および伸線によって細線化し、直径0.8mmま
で伸線した。このとき、それぞれ長さ1mのマトリックス
を硝酸で溶解してフィラメントを露出し、フィラメント
の断線数を測定した。また、それぞれ750℃、50時間の
熱処理を施して臨界温度直上温度における比抵抗値を測
定した。その結果は、表3に示す通りであり、表1、表
2と同様にフィラメントの断線数や安定化銅比抵抗が良
好であることが分かる。
【0028】
【表3】
【0029】
【発明の効果】以上の構成による多芯超電導線は細線化
加工を施したとき、無酸素銅をマトリックスとする多芯
超電導線と比べて、明かにフィラメント断線が少なく、
Cu-Ni等の固溶型銅合金をマトリックスに用いた多芯超
電導線と同等の良好な加工性を有する。更に、固溶型銅
合金をマトリックスに用いた多芯超電導線よりも、極低
温での比抵抗値が小さい。安定性向上のためマトリック
スの一部に無酸素銅を配置した構造でも、マトリックス
のその他の部分を固溶型銅合金とした場合には、細線化
途中、または、細線化後に加えられる熱によって、固溶
型銅合金の添加元素が無酸素銅へ拡散し、極低温での比
抵抗値が増加するが、本発明の析出硬化型銅合金を用い
た多芯線材では、添加元素の無酸素銅への影響が小さ
く、無酸素銅領域の低い比抵抗値が維持される。
【0030】とりわけ、超電導体が化合物超電導体であ
る場合には細線化加工後の線材に化合物超電導体を生成
するために高温の熱処理が行なわれるため、上記の無酸
素銅の汚染が顕著になり、更に銅合金領域が軟化するこ
とにより強度も低下する。しかしながら、化合物超電導
体の生成熱処理として行なわれる600℃から900℃でも、
本発明の構成で用いられる元素は銅への溶解度が低いた
め、極低温における熱伝導率の低下と比抵抗の増加は小
さい。さらに、化合物超電導体を生成するための熱処理
の後に、これよりも低温の熱処理を行なうことにより、
マトリックスの含有元素が析出することにより、安定化
材として熱伝導率、比抵抗および、強度を回復させるこ
とができる。
【0031】また、析出硬化型銅合金の添加元素とし
て、Ca、La、Pr、S、Se、Te、Th、Zr等を銅と用いれ
ば、析出物が高温でも分解しにくいCaCu5等の金属間化
合物となる。よって、化合物超電導体を生成するための
熱処理を加えても、添加元素の銅への固溶が殆ど起こら
ないため、高熱伝導率、低比抵抗を維持できる。 撚線
が行なわれる場合には、素線間の結合損失を低減するた
めに、素線の細外周に高抵抗層を設けることが望まし
い。化合物系超電導線材の場合、生成熱処理を行なう都
合上、高抵抗層としては、しばしばCr等の耐熱材料が用
いられる。このとき、Crがマトリックスへ拡散するが、
マトリックスの添加元素として、Be等のCrと反応して析
出するものを用いているので、銅への固溶が抑制され、
マトリックスの比抵抗の増加を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のビレットの構成を示す断面図である。
【図2】本発明のビレットの他の構成を示す断面図であ
る。
【符号の説明】
1、11:ビレット 2、12:セグメント 3:芯部 4、14:パイプ

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フィラメントがその周囲に連続的に析出硬
    化型銅合金を配したマトリックスに埋め込まれてなるこ
    とを特徴とする多芯超電導線材。
  2. 【請求項2】高純度銅からなるパイプ内に超電導用素材
    を析出硬化型銅合金に埋込んだ複数のセグメントを配置
    させたものを細線化してなることを特徴とする多芯超電
    導線材。
  3. 【請求項3】高純度銅からなる芯部のまわりに超電導用
    素材を析出硬化型銅合金に埋込んだ複数のセグメントを
    配置したものを細線化してなることを特徴とする多芯超
    電導線材。
  4. 【請求項4】析出硬化型銅合金よりなるパイプ内に高純
    度銅からなる芯部と該芯部のまわりに超電導用素材を高
    純度銅に埋込んだ複数のセグメントとを配置させたもの
    を細線化してなることを特徴とする多芯超電導線材。
  5. 【請求項5】高純度銅または析出硬化型銅合金よりなる
    パイプ内に高純度銅からなる芯部と該芯部のまわりに超
    電導用素材を析出硬化型銅合金に埋込んだ複数のセグメ
    ントとを配置させたものを細線化してなることを特徴と
    する多芯超電導線材。
  6. 【請求項6】最外周に高抵抗層を設けた請求項1乃至請
    求項5のいずれか1項に記載の多芯超電導線材。
  7. 【請求項7】析出硬化型銅合金の含有元素が、Be、Cr、
    Mo、Nb、Ti、Ta、W、Zrよりなるグループから少なくと
    も一つを選択する請求項1乃至請求項6のいずれか1項
    に記載の多芯超電導線材。
  8. 【請求項8】析出硬化型銅合金の含有元素の重量比率
    が、0.01%以上で1%未満である請求項7に記載の多芯超
    電導線材。
  9. 【請求項9】フィラメントがNbまたはNb合金と、これと
    反応して超電導性を示す化合物を形成する元素を含む金
    属の複合体である請求項1乃至請求項8のいずれか1項
    に記載の多芯超電導線材。
  10. 【請求項10】フィラメントとマトリックスの間に拡散
    障壁層を備えた請求項1乃至請求項9のいずれか1項に
    記載の多芯超電導線材。
  11. 【請求項11】請求項1乃至請求項10のいずれか1項
    のビレットの細線化の加工工程後に行う析出硬化型銅合
    金の含有元素を析出させる熱処理は、超電導材フィラメ
    ントの含有元素が析出する温度よりも低温で行なうこと
    を特徴とする多芯超電導線材の製造方法。
  12. 【請求項12】請求項1乃至請求項10のいずれか1項
    の細線化の加工工程後において、化合物超電導体を生成
    するための熱処理の後に行う析出硬化型銅合金の含有元
    素を析出させる熱処理は、前記化合物超電導体を生成す
    るための熱処理よりも低温で行うことを特徴とする多芯
    超電導線材の製造方法。
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