JP2000333996A - ベッドからの移動リフト付き車椅子 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 ベッドに寝姿勢の病人を直接車椅子に移動す
るリフト付き車椅子。 【構成】 ４車輪車椅子の肘掛け部前の垂直部材の前面
に短パイプを固定し、体重支持柱を取外し可能なように
差込み固定し、柱上部を連結し前方に傾け、上部部材に
平行してリフトロープドラムと歯車を有する巻上軸を設
け、更に下部連結部材を設けて減速モータを取付け、そ
の小歯車と巻上軸の歯車と噛合わせてリフトを構成し、
又前後輪連結部材の前方に転倒防止部材を着脱可能に取
付けベッド下床に入れ、リフトロープ下端のフックに掛
けた体重支持具を寝姿勢の病人の肩に嵌め、吊上げて座
姿勢にし車椅子に背を向けさせ、一定高さに達したら下
降に切替えると共に、体重支持具に取付けた左右の後方
引きロープをドラムに巻込み、下降させてベッドから直
接着座させるリフト付き車椅子である。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は脚の障害者、病人、脚の
弱い老人（以下単に病人という）が自宅、病院、養護施
設などにおいて、介護人に労力を掛けずにヘッドから車
椅子に移動し又は車椅子からヘッドへ移動するのみでな
く、吊り布の使用により病人を水平又は座姿勢で吊上げ
ることを可能にし、介護者の労力を節減するものであ
る。

【０００２】

【発明の背景】車椅子は現状では運搬格納に便利なた
め、折畳み機能付きが最も普及していて病人の移動には
優れた不可欠の車であるが、折畳み機能のみのしか付加
されていないのは甚だ勿体なく、介護関係の更に他の機
能を持たせたものも欲しいと思われる。病人の介護は病
院、老人施設、自宅などにて行われているが、その大部
分はベッドの周辺は狭くて介護装置など置く余裕がない
状態である。病院や施設などでは別場所に収納できる
が、老人介護の大部分を占める自宅介護の場合は、６畳
程度の部屋に周囲に介護人が入れるようにベッドを置け
ば、車椅子１台を置くのが精一杯の状態で、リフトなど
を置く余裕はないのが普通である。

【０００３】介護人が最も苦労するのは病人の移動であ
る。長い水平移動は車椅子が解決してくれるが、ベッド
内及び周辺の水平と上下移動は僅かでも介護人の苦労は
非常に大きく、自宅介護の大部分を占める老女性などに
は不可能の場合が多い。この様な場合にリフトがあれば
良いのであるが、従来のリフトは場所を取るため置き場
所もなく値段も高いので、１人介護ごとに１台を所有す
るのと困難であった。

【０００４】

【発明が解決しようとする問題点】車椅子において単に
病人を運搬するのみならず、ベッドに寝ている病人の両
肩即ち脇の下を支持して吊上げ、車椅子の座席に座らせ
たり水平に吊上げ他の装置に移動させることなど可能
な、リフト部材を車椅子に着脱可能に取付け、リフト装
置の占有面積の節約と価格の低減を目的とする。

【０００５】

【問題点を解決するための手段】本発明は折り畳み機構
の有無に関係なく４輪車椅子に他の部材を取付け、リフ
トとしても使用可能にするものであって、付け加えた部
材を取外せば元の４輪車椅子として使用することができ
る装置である。４輪車椅子の肘掛け部の前部が垂直に曲
がって形成された垂直部材の前面に沿って底付き短パイ
プを固定し、その底付き短パイプに病人吊上げ用の体重
支持柱を取外し可能に差込み、左右の柱上部を前方に傾
斜させて上部を連結し、その上部連結部材と平行に両端
部にリフトロープの巻込みドラムを備えた巻上軸を取付
け、ロープ下端に病人の脇の下を吊る体重支持具を吊下
げ、巻上軸をそれと平行な部材に装着した減速モータに
て回転する構造にし、又前後車輪連結部材の前部の水平
部の内側に沿って別の底付き短パイプを水平に固定し、
車体の前方転倒防止用車輪支持棒又は単なる棒若しくは
パイプを取外し可能に差込み、更に一端のフックを体重
支持具に掛けた後方引ロープを、手押し部下側の左右の
滑車を通して一方の肘掛け部後端付近の背面に固定した
ウォーム減速機のロープドラムに手動又は電動で巻込む
構成とし、寝姿勢の病人の上半身を吊上げ、介護人が前
向き膝折り座姿勢に変え、一定高さに達すると下降させ
ながら、後方引ロープを巻込み病人を後方に引き寄せ着
座させるベッドからの移動リフト付き車椅子である。

【０００６】又柱上部にモータを軸に平行に取付けるに
は更に１本の下部連結部材が必要であり、モータもあっ
て柱上部が重くなり、短パイプへの差込み組立てが女性
介護人にとつては困難になる。そのため上部連結部材を
含む柱上部枠を一旦切離し柱上部枠自体、連結部材、
軸、部品はできる限りアルミやプラスチックにして軽く
し、体重支持柱に取外し可能に取付ける。巻上軸の機械
部品及びモータには安全カバーを取付ける。

【０００７】巻上軸のロープドラム鍔にロープの両端を
固定し、中間部は寝姿勢の病人の頭部近くまで垂らし、
予め通しておいた胸幅程度の長さのプラスチックの長さ
調整管の両端にフックを取付け、これにＬ字形の体重支
持具を吊下げ、病人の脇の下に挿入する。長さ調整管は
病人の両肩と左右ドラムの距離が病人の姿勢により変動
するのを調節するためである。軸の両ドラムの間に軽い
プラスチツク歯車が固定されており、スイッチを入れる
と減速モータの小歯車と噛合ってドラムを回転し病人の
両肩を吊上げる。尚、柱及び底付き短パイプの断面は円
に限らず角でもよい。

【０００８】

【作用】ロープ巻上軸及び減速モータは、車体下部に取
付ける方が安定であるが、柱の強度やモータ能力を２倍
にしなければならず、価格を考慮して上部に取付けた。
脚の弱った病人をベッドから車椅子に移すには、先ず膝
を立て、片腕づつ持上げて脇の下に体重支持具を嵌め、
首がのぞけらないように頭部支持布を頭の下に敷き、そ
れらの左右のロープを長さ調整管両端のフックに掛け、
モータの上昇スイッチを入れる。先ず頭部が僅かに起こ
され次いで肩と共に引上げられ、上半身が起こされる。
その途中で首が座った時点で頭部支持布は自然にずり落
ち肩に掛かるので何時でも外すことができる。腰がベッ
ドから浮き上がった時、介護人は病人を車椅子の反対側
に９０度向きを変える。この時は介護人は殆ど労力は不
要である。病人の臀部が車椅子の座席面より１０ｃｍ程
度上がるとリフトを下降に切換えると共に、後方引きロ
ープを約水平に保つように下降スイッチを入り切りしな
がら、車椅子に引寄せ着座させる。約水平に保つことが
介護人には最も楽である。脚がベッド上に残っているの
で車椅子を後退させながら介護人が脚を支持して静かに
下ろす。車椅子からベッドに移動するには上記行程を逆
に行えば良い。

【０００９】

【実施例】本例においてはリフト装置は電動機を使用
し、後方引きロープの巻込ドラムは手動ハンドルを使用
する。図１，２，３に示すように、リフト装置と電動機
を柱上部に取付けると重くなり、女性一人で組立てる事
が困難になるため下記の如く分割して製作する。垂直部
材１の前面に沿って長さ３０ｃｍ程度の底付き短パイプ
２を固定し、それに床から１６０ｃｍ程度高さになる左
右体重支持柱３を、上部の４０ｃｍ程度を前方に斜め約
３０度に曲げて取外し可能に差込み、更に３０ｃｍ程度
の高さのアルミの柱上部枠４を取外し可能に差込み固定
する。その上端の上部連結部材５に平行に設けた巻上軸
６は、両端部のロープドラム１１とナイロン歯車１２を
装着し、左右の柱上部枠４の表面に嵌めた上アルミ円筒
７に溶接された軸受環９に、オイルレス軸受１０を介し
て支持され、更に下アルミ円筒８の内側に溶接された下
部連結部材１３にも鋼管製モータ支持円筒１４を予め嵌
めて、減速モータ１５の台板１６を溶接固定する。従っ
て減速モータ１５は下部連結部材１３に対し固定でな
く、その小歯車１７と歯車１２との噛合いを確定する必
要がある。本例では台板１６の一部を折曲げて減速モー
タ１５の外周を囲ませ、その一部を上部連結部材５に回
転可能に取付けた調節ボルト１８により両面を締付け固
定する。この構造によればモータを固定すると共に歯車
の組合わせを変え、リフト巻上げ速度の変更が可能であ
る。

【００１０】上記アルミの柱上部枠５内装置は巻上軸６
の軸受部、モータ支持円筒１４、台板１６及びボルト類
のみが鋼材であり、他の部品はアルミかプラスチックで
ある。但し減速モータ１５は外枠のみ鋳造アルミである
が、中身は従来材質である。従って柱上部枠内装置はか
なり軽くなり、殆ど全ての女性が持上げられると思われ
る。しかし車椅子を床に前又は後ろ倒しにして取付ける
方が安全である。又前後車輪連結部材２０の前部内側に
沿って水平に底付き短パイプ２１を、足乗せ部支持の傾
斜部材２３より前に出ないように溶接固定し、先端にキ
ャスター２２を設けた４０ｃｍ程度の柄の反対端を短パ
イプ２１に差込み、キャスターが床から１ｃｍ程度浮く
ように取外し可能に固定する。ベッドの下が低くてキャ
スター差込みができない場合は両端を連結した支持棒又
は支持パイプ２２でもよい。

【００１１】更に図４図５のように両端をロープドラム
１１に固定されたリフトロープ２４は中間部を寝姿勢の
病人の頭の上方に垂らし、予め通しておいた長さ調整管
２５の両端にフック２６を設け、これに頭部支持布２７
の長さ調節可能な紐の両端と、脇の下に挿入するＬ字形
体重支持具２８を吊るしたロープの両端を引掛ける。リ
フトロープの左右の長さは病人の姿勢と車椅子の位置に
より変動するので、長さ調整管２５にて左右の長さを調
節させる。病人の膝を立てモータ１５のスイッチを上昇
に入れ、軸６を回転すると体重支持具２８は多少空転す
るので、頭部が先に上げられ続いて肩が引上げられ上半
身が起上がる。その為に頭部支持布２７を長さ調節可能
にして首に無理が掛からないように調節する。続いて臀
部が浮いて来るので軽く体の向きを車椅子と反対方向に
変え、両膝は立てたまま更に吊上げる。臀部が車椅子の
座席面より多少上がったら下降スイッチに切り替える。
後方引きロープ３２は約水平に引くと楽であり、一端を
体重支持具２８の下部穴２９に引掛け、他端は手押し部
下の左右の滑車３０を経て肘掛け部後方背面に固定され
たウォーム減速機３１の後方引きドラム３３に巻込まれ
ているので、取外し可能なハンドル３４を回し上半身を
座席の上方まで引張り着座させることができる。

【発明の効果】本発明によれば介護人は殆ど労力を使用
することなく病人をベッドから直接車椅子に移動する事
が可能である。又リフト用部品は取り外せば小さな箱に
収まり部屋を狭くする事はない。体重支持具と共に頭
部、腰部、太腿部、脚部などの支持布を使用することに
より、病人をベッドから水平又は座姿勢に吊上げ、移動
その他の各種介護作業に役立てる事ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施例車椅子の組立て側面図である。

【図２】柱上部枠の背面図である。

【図３】柱上部枠の側面図である。

【図４】リフトロープ下部と頭部の正面図である。

【図５】リフトロープ下部と頭部と肩部の側面図であ
る。

【符号の説明】

１垂直部材 ２短パイプ ３体重支持柱
４柱上部枠 ５上部連結部材 ６巻上軸 ７上アルミ円
筒 ８下アルミ円筒 ９軸受環 １０オイルレス軸受 １１ロープドラ
ム １２歯車 １３下部連結部材 １４モータ支持円筒 １５減速モー
タ １６台板 １７小歯車 １８調節ボルト ２０前後車輪連
結材 ２１短パイプ ２２支持パイプ ２３傾斜部材 ２４リフトロー
プ ２５長さ調整管 ２６フック ２７頭部支持布 ２８体重支持具
２９下部穴 ３０後方引き滑車 ３１減速機 ３２後方引きロー
プ ３３後方引きドラム ３４ハンドル

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ４輪車椅子において、肘掛け部前の垂直
   部材の前面に沿って底付き短パイプを固定し、それに病
   人吊上げ用の体重支持柱を取外し可能なように差込み、
   左右の柱上部を前方に傾斜させると共に連結部材にて連
   結し、連結部材と平行に両端部に病人吊上げリフトロー
   プの巻込みドラムを備えた巻上軸を取付け、ロープ下端
   に病人の両脇の下を吊る体重支持具を吊下げ、巻上軸を
   減速モータにて回転する構造とし、又前後車輪連結部材
   の前部の水平部の内側に沿って短パイプを固定し、車体
   の前方転倒防止用車輪支持棒又は単なる棒若しくはパイ
   プを取外し可能に取付け、更に一端のフックを体重支持
   具に掛けた後方引ロープを、手押し部下側の左右滑車を
   通し、一方の肘掛け部後端付近の背面に取付けたウォー
   ム減速機のロープドラムに巻込む構成とし、寝姿勢の病
   人の上半身を吊上げ前向き座姿勢にし、一定高さに達す
   ると下降に切替えると共に後方引ロープを巻込み、後方
   に引き寄せ座席に座らせるベッドからの移動リフト付き
   車椅子