JP2000327904A - 硬化性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物 - Google Patents

硬化性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物

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JP2000327904A
JP2000327904A JP14138699A JP14138699A JP2000327904A JP 2000327904 A JP2000327904 A JP 2000327904A JP 14138699 A JP14138699 A JP 14138699A JP 14138699 A JP14138699 A JP 14138699A JP 2000327904 A JP2000327904 A JP 2000327904A
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Shozo Kinoshita
昌三 木下
Yoichi Yokota
洋一 横田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリフェニレンエーテル樹脂の優れた誘電特
性と機械特性を損なうことなく、かつ硬化後において優
れた耐薬品性、耐熱性に加え、熱膨張係数が低く、しか
も成形時の溶融粘度が低く、さらに微細配線化しても信
頼性が高く、高速信号用配線が可能な、生産性の高い樹
脂組成物および積層体を提供しようとするものである。 【解決手段】 (a)変成ポリフェニレンエーテル、
(b)トリアリルイソシアヌレートおよび/またはトリ
アリルシアヌレート、(c)ビニル芳香族化合物を主体
とする重合体ブロックと共役ジエン化合物を主体とする
ブロック共重合体を水素添加して得られる水添ブロック
共重合体、および(d)平均粒径が0.1〜3μmの破
砕型シリカからなる硬化性ポリフェニレンエーテル系樹
脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、硬化性ポリフェニ
レンエーテル樹脂組成物、および該樹脂組成物を硬化し
て得られる硬化体に関する。さらに本発明は、該樹脂組
成物と基材とからなる硬化性複合材料、該硬化性複合材
料を硬化してなる硬化体および該硬化体と金属箔および
/または金属板からなる積層体に関する。本発明の樹脂
組成物は、硬化後において優れた耐薬品性、誘電特性、
耐熱性、寸法安定性、強靱性を示し、電子産業、宇宙・
航空機産業等の分野において誘電材料、絶縁材料、耐熱
材料等に用いることができる。特に微細配線加工の要求
される多層プリント配線板に優れた基板として用いるこ
とができる。
【0002】
【従来の技術】近年、通信用、民生用、産業用等の電子
機器の分野における実装方法の小型化、高密度化への指
向は著しいものがあり、それに伴って材料の面でもより
優れた耐熱性、寸法安定性、高周波領域での電気特性が
要求されつつある。例えばプリント配線基板としては、
従来からのフェノール樹脂やエポキシ樹脂などの熱硬化
性樹脂を使用した銅張積層板が用いられてきた。これら
は各種の性能をバランス良く有するものの、電気特性、
特に高周波領域での誘電特性が悪いという欠点を持って
いる。この問題を解決する新しい材料としてポリフェニ
レンエーテルが近年注目を浴び銅張積層板への応用が試
みられている。
【0003】ポリフェニレンエーテルを利用する方法の
一つに、硬化性のポリマーやモノマーを配合して用いる
方法がある。硬化性のポリマーやモノマーを組み合わせ
ることによってポリフェニレンエーテルの耐薬品性を改
善し、かつポリフェニレンエーテルの優れた誘電特性を
活かした材料を得ることができる。硬化性のポリマーと
しては、エポキシ樹脂(特開昭58−69046号公報
など)、1,2−ポリブタジエン(特開昭59−193
929号公報など)、多官能性マレイミド(特開昭56
−133355号公報など)、多官能性シアン酸エステ
ル(特開昭56−141349号公報など)、多官能性
アクリロイルまたはメタクロイル化合物(特開昭57−
149317号公報など)、トリアリルイソシアヌレー
トおよび/またはトリアリルシアヌレート(特開昭61
−218652号公報など)、イソシアネート化合物
等、数多くの例が知られている。
【0004】ところで、ポリフェニレンエーテルは、熱
膨張係数がポリイミド樹脂などに比べて高いために、寸
法安定性という点で不十分な場合があった。熱膨張係数
が高いことに由来する弱点の改善にはシリカを配合する
ことがおこなわれている。しかしながら、シリカの配合
は成形時の樹脂の溶融粘度を上げる。このため小径のス
ルーホールやビアホールが埋まりきらないという新たな
問題が出てきている。さらに、スルーホールやビアホー
ルの小径化にともなって機械ドリルやレーザードリル後
のスルーホールやビアホールの壁面の悪化、その後のメ
ッキでの接続不良に起因する接続の信頼性の悪化や、生
産性を悪化させる新たな問題も出てきている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上の事情
に鑑みてなされたものであり、ポリフェニレンエーテル
樹脂の優れた誘電特性と機械特性を損なうことなく、か
つ硬化後において優れた耐薬品性、耐熱性に加え、熱膨
張係数が低く、しかも成形時の溶融粘度が低く、さらに
微細配線化しても信頼性が高く、高速信号用配線が可能
な、生産性の高い樹脂組成物および積層体を提供しよう
とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意研究し、本発明を完成するに至っ
た。即ち、本発明は、 1.(a)ポリフェニレンエーテルと不飽和カルボン酸
または酸無水物との反応生成物、(b)トリアリルイソ
シアヌレートおよび/またはトリアリルシアヌレート、
(c)ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック
Аを少なくとも1個と共役ジエン化合物を主体とする重
合体ブロックBを少なくとも1個とからなるブロック共
重合体を水素添加して得られる水添ブロック共重合体、
および(d)平均粒径が0.1〜3μmの破砕型シリカ
からなり、(a)成分と(b)成分の和100重量部を
基準として、(a)成分98〜40重量部、(b)成分
2〜60重量部、(c)成分1〜50重量部、(d)成
分1〜400重量部含有してなる硬化性ポリフェニレン
エーテル系樹脂組成物、 2. 上記1の硬化性ポリフェニレンエーテル系樹脂組
成物を硬化して得られる硬化ポリフェニレンエーテル系
樹脂組成物、 3. 上記1の硬化性ポリフェニレンエーテル系樹脂組
成からなる硬化性フィルム、 4. 上記2の硬化ポリフェニレンエーテル系樹脂組成
物からなる硬化フィルム、 5. 上記1の硬化性ポリフェニレンエーテル系樹脂組
成物100重量部と、基材5〜90重量部からなること
を特徴とする硬化性ポリフェニレンエーテル系樹脂複合
材料、 6. 上記5の硬化性ポリフェニレンエーテル系樹脂複
合材料を硬化して得られる硬化ポリフェニレンエーテル
系樹脂複合材料、 7. 上記4の硬化フィルムと金属箔および/または金
属板とからなる積層体、 8. 上記6の硬化ポリフェニレンエーテル系樹脂複合
材料と金属箔および/または金属板とからなる積層体、 9. 上記4の硬化フィルムと上記6の硬化複合材料と
金属箔および/または金属板からなる積層体、 である。
【0007】以下、本発明を詳細に説明する。本発明に
用いられる(a)成分は、ポリフェニレンエーテルを不
飽和カルボン酸または酸無水物と反応させることによっ
て製造される(以下、変性ポリフェニレンエーテルとい
う。)。本発明に用いられるポリフェニレンエーテル
は、下記化1に示される式(1)で表される。
【0008】
【化1】
【0009】一般式AにおけるR1〜R4の低級アルキ
ル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル
基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基等が
挙げられる。アリール基の例としては、フェニル基等が
挙げられる。ハロゲン原子の例としては臭素、塩素等が
挙げられる。式(1)中のQの代表的な例としては、下
記化2に示される化合物が挙げられる。
【0010】
【化2】
【0011】具体例として、下記化3〜化4等が挙げら
れる。
【0012】
【化3】
【0013】
【化4】
【0014】上記化1の一般式(1)中のJで表わされ
るポリフェニレンエーテル鎖中には、一般式Aで表され
る単位の他、下記化5に示される一般式(B)で表され
る単位が含まれていてもよい。
【0015】
【化5】
【0016】本発明に用いられる一般式(1)のポリフ
ェニレンエーテル樹脂の好ましい例としては、2,6−
ジメチルフェノールの単独重合で得られるポリ(2,6
−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ
(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)の
スチレングラフト共重合体、2,6−ジメチルフェノー
ルと2,3,6−トリメチルフェノールの共重合体、
2,6−ジメチルフェノールと2,6−ジメチル−3−
フェニルフェノールの共重合体、2,6−ジメチルフェ
ノールを下記化6に示される多官能性フェノール化合物
の存在下で重合して得られた多官能性ポリフェニレンエ
ーテル樹脂、例えば、特開昭63−301222号公
報、特開平1−297428号公報に開示されているよ
うな一般式AおよびBの単位を含む共重合体等が挙げら
れる。
【0017】
【化6】
【0018】(式中、QおよびHは前述の化1における
と同様である。) 以上述べたポリフェニレンエーテル樹脂の分子量につい
ては、30℃、0.5g/dlのクロロホルム溶液で測
定した粘度数ηsp/Cが0.1〜1.0の範囲にある
ものが良好に使用できる。適当な不飽和カルボン酸およ
び酸無水物の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、
無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン
酸、無水グルタコン酸、無水シトラコン酸等が挙げられ
る。特に無水マレイン酸、フマル酸が好ましく使用でき
る。
【0019】反応は、ポリフェニレンエーテル樹脂と不
飽和カルボン酸または酸無水物を100〜390℃の温
度範囲で加熱することによって行われる。この際ラジカ
ル開始剤を共存させてもよい。溶液法と溶融混合法の両
方が使用できるが、押出し機等を用いる溶融混合法の方
が簡便に行うことができ、本発明の目的に適している。
【0020】不飽和カルボン酸または酸無水物の割合
は、ポリフェニレンエーテル樹脂100重量部に対し、
0.01〜5.0重量部、好ましくは0.1〜3.0重
量部である。本発明に用いられるトリアリルイソシアヌ
レートおよびトリアリルシアヌレートとは、下記化7に
示される構造式で表される3官能性モノマーである。
【0021】
【化7】
【0022】本発明において、トリアリルイソシアヌレ
ートおよびトリアリルシアヌレートは、可塑剤ならびに
架橋剤としての効果を発揮する。本発明の成分(c)と
して用いられる水添ブロック共重合体は、ビニル芳香族
化合物を主体とする重合体ブロックAを少なくとも1個
と、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBを
少なくとも1個とからなるブロック共重合体を水素添加
して得られるものである。該ビニル芳香族化合物−共役
ジエン化合物ブロック共重合体としては、例えば、下記
化8等の構造を挙げることができる。
【0023】
【化8】
【0024】(c)成分として用いられる水添ブロック
共重合体は、ビニル芳香族化合物を5〜85重量%、好
ましくは、10〜70重量%含むものである。さらにブ
ロック構造について言及すると、ビニル芳香族化合物を
主体とする水素添加された重合体ブロックAが、ビニル
芳香族化合物のみからなる重合体ブロックまたはビニル
芳香族化合物を50重量%を越え、好ましくは70重量
%以上含有するビニル芳香族化合物と水素添加された共
役ジエン化合物との共重合体ブロックの構造を有してお
り、そしてさらに、水素添加された共役ジエン化合物を
主体とする水素添加された重合体ブロックBが、水素添
加された共役ジエン化合物のみからなる重合体ブロッ
ク、または水素添加された共役ジエン化合物を50重量
%を越え、好ましくは70重量%以上含有する水素添加
された共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物との共重
合体ブロックの構造を有するものである。
【0025】また、これらのビニル芳香族化合物を主体
とする水素添加された重合体ブロックA、水素添加され
た共役ジエン化合物を主体とする水素添加された重合体
ブロックBは、それぞれの重合体ブロックにおける分子
鎖中の水素添加された共役ジエン化合物またはビニル芳
香族化合物の分布が、ランダム、テーパード(分子鎖に
沿ってモノマー成分が増加または減少するもの)、一部
ブロック状またはこれらの任意の組み合わせでなってい
てもよく、該ビニル芳香族化合物を主体とする水素添加
された重合体ブロックおよび該水素添加された共役ジエ
ン化合物を主体とする重合体ブロックがそれぞれ2個以
上ある場合は、各重合体ブロックはそれぞれが同一構造
であってもよく、異なる構造であってもよい。
【0026】水添ブロック共重合体を構成するビニル芳
香族化合物としては、例えばスチレン、α−メチルスチ
レン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−第三
ブチルスチレン等のうちから1種または2種以上が選択
でき、中でもスチレンが好ましい。また、水素添加され
た共役ジエン化合物を構成する水添前の共役ジエン化合
物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3
−ペンタジエン、1,3−ジメチル−1,3−ブタジエ
ン等のうちから1種または2種以上が選ばれ、中でもブ
タジエン、イソプレンおよびこれらの組み合わせが好ま
しい。
【0027】また、上記の構造を有する本発明に供する
水添ブロック共重合体の数平均分子量は特に限定されな
いが、数平均分子量は5000〜1000000、好ま
しくは10000〜500000、さらに好ましくは3
0000〜300000の範囲で用いることができる。
さらに水添ブロック共重合体の分子構造は、直鎖状、分
岐状、放射状あるいはこれらの任意の組み合わせのいず
れであってもよい。
【0028】これらのブロック共重合体の製造法として
は上記した構造を有するものであればどのような製造法
であってもかまわない。例えば、特公昭40−2379
8号公報に記載された方法により、リチウム触媒等を用
いて不活性溶媒中でビニル芳香族化合物−共役ジエン化
合物ブロック共重合体を合成し、次いで、例えば、特公
昭42−8704号公報、特公昭43−6636号公報
に記載された方法、特に好ましくは特公昭59−133
203号公報および特公昭60−79005号公報に記
載された方法により、不活性溶媒中で水素添加触媒の存
在下に水素添加して、本発明に供する水添ブロック共重
合体を合成することができる。その際、ビニル芳香族化
合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体の共役ジエン
化合物に基く脂肪族二重結合は少なくとも80重量%を
水素添加せしめ、共役ジエン化合物を主体とする共重合
体ブロックを形態的にオレフィン性化合物重合体ブロッ
クに変換させることができる。また、ビニル芳香族化合
物を主体とする重合体ブロックΑおよび必要に応じて、
共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBに共重
合されているビニル芳香族化合物に基く芳香族二重結合
の水素添加率については特に限定しないが、水素添加率
を20重量%以下にするのが好ましい。
【0029】本発明の成分(d)成分として用いられる
シリカとは、化学的には二酸化ケイ素(SiO2 )であ
る。以下一般に用いられている通称シリカを用いる。本
発明のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物には、必要
に応じて(d)成分と樹脂との界面における接着性を改
善する目的で、あらかじめカップリング剤処理した
(d)成分を用いることができる。カップリング剤とし
ては、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリ
ング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコアルミ
ネートカップリング剤等一般のものが使用できる。ま
た、(d)成分のシリカの形状は破砕型で、かつ平均粒
径は0.1〜3μmであることが必要であり、好ましく
は破砕型で、平均粒径0.5〜3μmである。
【0030】本発明のポリフェニレンエーテル系樹脂組
成物の(d)成分は、硬化後の樹脂組成物の寸法安定性
の向上に寄与するという特徴を有し、また破砕型でかつ
平均粒径が0.1〜3μmのシリカを用いることによ
り、成形時の溶融粘度の下げ、微細なスルーホールやビ
アホールへの埋め込み性が改善される。また、微細なス
ルーホールやビアホールの穴明け時の壁面が良好で、穴
明け後のメッキに起因にする接続信頼性、生産性に悪影
響を与えない。破砕型シリカの平均粒子径が0.1μm
未満であるとシリカの分散性が悪く、生産性を悪化させ
る。また、破砕型シリカの平均粒子径が3μmを越える
とスルーホールやビアの壁面があれ、穴明け後のメッキ
に起因にする接続信頼性が悪化する。
【0031】以上説明した(a)〜(d)の4つの成分
のうち(a)成分と(b)成分の配合割合は、両者の和
100重量部を基準として(a)成分が40〜98重量
部、(b)成分が60〜2重量部であり、より好ましく
は(a)成分が50〜95重量部、(b)成分が50〜
5重量部の範囲である。(b)成分が2重量部未満では
耐薬品性の改善が不十分であり好ましくない。60重量
部を越えると誘電特性、吸水特性が低下し、硬化後にお
いて非常に脆い材料になるので好ましくない。(c)成
分の配合割合は、(a)成分と(b)成分の和100重
量部を基準として1〜50重量部、好ましくは1〜30
重量部である。(c)成分1重量部未満のときは、硬化
物の強靱性の改善が不十分であり好ましくない。また5
0重量部を越えると、溶融成形時の樹脂の流動性が低下
するので好ましくない。
【0032】本発明の組成物に用いられる(d)成分の
配合割合は、(a)成分と(b)成分の和100重量部
を基準として10〜400重量部、好ましくは20〜3
00重量部、より好ましくは40〜200重量部であ
る。(d)成分が10重量部未満のときは、硬化後の樹
脂組成物の熱膨張特性の改善が不十分であり好ましくな
い。また400重量部を越えると、溶融成形ときの流動
性および、金属箔との積層体を作成したときの金属箔と
の密着性が低下するので好ましくない。
【0033】上記の(a)〜(d)の4成分を混合する
方法としては、4成分を溶媒中に均一に溶解または分散
させる溶液混合法、あるいは押し出し機等により加熱し
ておこなう溶融ブレンド法等が利用できる。溶液混合に
用いられる溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレ
ンなどの芳香族系炭化水素、ジクロロメタン、クロロホ
ルム、トリクロロエチレンなどのハロゲン系溶剤、さら
にはTHF等が挙げられるが、これらは単独もしくは混
合して使用できる。
【0034】本発明の硬化性樹脂組成物は、あらかじめ
その用途に応じて所望の形に成形してもよい。成形方法
は特に限定されない。通常は、樹脂組成物を上述した溶
媒に溶解させ好みの形に成形するキャスト法、または樹
脂組成物を加熱溶融し好みの形に成形する加熱溶融法が
用いられる。成形法であるキャスト法、加熱溶融法はそ
れぞれ単独で行ってもよいし、また組み合わせて行って
もよい。
【0035】本発明の硬化性樹脂組成物は、フィルムと
して良好に使用することができる。その製造法として
は、例えば通常の溶媒成膜法や押し出し機等による加熱
溶融して行う溶融溶媒成膜法が利用でき、任意の厚みの
ものが製造できる。
【0036】本発明の硬化性樹脂組成物は、後述するよ
うに加熱等の手段により架橋反応を起こして硬化する
が、その際の反応温度を低くしたり不飽和基の架橋反応
を促進する目的でラジカル開始剤を含有させて使用して
もよい。本発明の樹脂組成物に用いられるでラジカル開
始剤の量は、(a)成分と(b)成分の和100重量部
を基準として0.1〜10重量部、好ましくは0.1〜
8重量部である。
【0037】ラジカル開始剤の代表的な例を挙げると、
ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサ
イド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5ジハイドロロ
パーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−
ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジ−t−ブチルパー
オキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、α,α
−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベ
ンゼン、2,5−ヂメチル−2,5−ジ(t−ブチルパ
ーオキシ)ヘキサン、ジクミルパーオキサイド、ジ−t
−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオ
キシベンゾエート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキ
シ)ブタン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オ
クタン、2,5−ジメチル−2,5−2,5−ジ(ベン
ゾイルパーオキシ)ヘキサン、ジ(トリメチルシリル)
パーオキサイド、トリメチルシリルトリフェニルシリル
パーオキサイド等の過酸化物が挙げられるが、これらに
限定されない。
【0038】本発明の樹脂組成物は、その用途に応じて
所望の性能を付与させる目的で本来の性能を損なわない
範囲の量の充填材や添加剤を配合して用いることができ
る。充填材は繊維状であっても粉末状であってもよく、
カーボンブラック、アルミナ、タルク、雲母、ガラスビ
ーズ、ガラス中空球等が挙げることができる。添加剤と
しては、酸化防止剤、熱安定剤、帯電防止剤、可塑剤、
顔料、染料、着色剤等が挙げられる。また難燃性の一層
の向上を図る目的で塩素系、臭素系、リン系の難燃剤
や、Sb2 3 、NbSbO3 ・1/4H2 O等の難燃
助剤を併用できる。
【0039】本発明の硬化ポリフェニレンエーテル系樹
脂組成物は、以上に述べた硬化性ポリフェニレンエーテ
ル系樹脂組成物を硬化することにより得られるものであ
る。硬化の方法は任意であり、熱、光、電子線等による
方法を採用することができる。加熱により硬化を行う場
合は、ラジカル開始剤の種類によっても異なるが、80
〜300℃、より好ましくは120〜250℃の範囲で
選ばれる。また時間は、1分〜10時間、より好ましく
は1分〜5時間である。
【0040】得られた硬化ポリフェニレンエーテル系樹
脂組成物は、赤外吸収スペクトル法、高分解能固体核磁
気共鳴スペクトル法、熱分解ガスクロマトグラフィー等
の方法を用いて組成物を解析できる。また本発明の硬化
性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物は、後述する硬
化複合材料と同様、金属箔および/または金属板と張り
合わせて用いることができる。
【0041】次に本発明の硬化性複合材料とその硬化体
について説明する。本発明の硬化性複合材料は、(a)
ポリフェニレンエーテルと不飽和カルボン酸または酸無
水物との反応生成物、(b)トリアリルイソシアヌレー
トおよび/またはトリアリルシアヌレート、(c)水添
ブロック共重合体、(d)平均粒径が0.1〜3μmの
破砕型シリカおよび(e)基材とからなる。すなわち、
本発明の硬化性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物と
(e)基材とからなる。
【0042】(e)成分の基材としては、ロービングク
ロス、クロス、チョップドマット、サーフェンシングマ
ットなどの各種ガラス布、アスベスト布、金属繊維布等
の合成もしくは天然の無機繊維布;ポリビニルアルコー
ル繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、全芳香族ポ
リアミド繊維、芳香族ポリエステル繊維、ポリベンザゾ
ール繊維等の液晶繊維、ポリテトラフルオロエチレン繊
維などの合成繊維から得られる織布または不織布;綿
布、麻布、フェルトなどの天然繊維;カーボン繊維布;
クラフト紙、コットン紙、紙−ガラス混繊紙等の天然セ
ルロース系布などがそれぞれ単独で、あるいは2種以上
併せて用いられる。
【0043】以上、説明した(a)〜(e)の5つの成
分のうち(a)成分と(b)成分の配合割合は、両者の
和100重量部を基準として(a)成分が40〜98重
量部、(b)成分が60〜2重量部であり、より好まし
くは(a)成分が50〜95重量部、(b)成分が50
〜5重量部の範囲である。(b)成分が2重量部未満で
は耐薬品性の改善が不十分であり好ましくない。60重
量部を越えると誘電特性、吸水特性が低下し、硬化後に
おいて非常に脆い材料になるので好ましくない。(c)
成分の配合割合は、(a)成分と(b)成分の和100
重量部を基準として1〜50重量部、好ましくは1〜3
0重量部である。(c)成分1重量部未満のときは、硬
化物の強靱性の改善が不十分であり好ましくない。また
50重量部を越えると、溶融成形時の樹脂の流動性が低
下するので好ましくない。
【0044】本発明の組成物に用いられる(d)成分の
配合割合は、(a)成分と(b)成分の和100重量部
を基準として10〜400重量部、好ましくは20〜3
00重量部、より好ましくは40〜200重量部であ
る。(d)成分が10重量部未満のときは、硬化後の樹
脂組成物の熱膨張特性の改善が不十分であり好ましくな
い。また400重量部を越えると、溶融成形ときの流動
性および、金属箔との積層体を作成したときの金属箔と
の密着性が低下するので好ましくない。
【0045】本発明の組成物に用いられる(e)成分の
割合は、(a)〜(e)成分の和100重量部を基準と
して、5〜90重量部、より好ましくは20〜70重量
部である。(e)成分が5重量部より少なくなると複合
材料の硬化後の寸法安定性や強度が不十分であり、また
基材が90重量部より多くなると複合材料の誘電特性が
劣り好ましくない。
【0046】本発明の複合材料には、必要に応じて樹脂
と基材の界面における接着性を改善する目的でカップリ
ング剤を用いることができる。カップリング剤として
は、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリン
グ剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコアルミネ
ートカップリング剤等一般のものが使用できる。本発明
の複合材料を製造する方法としては、例えば本発明の第
1の項で説明した(a)〜(d)成分と、必要に応じて
他の成分を前述のハロゲン系溶媒、芳香族系、ケトン系
溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドな
どの溶媒もしくは、その混合溶液中に均一に溶解また
は、分散させ、基材に含浸させた後乾燥する方法が挙げ
られる。
【0047】含浸は浸漬(デイッピング)、塗布等によ
って行われる。含浸は必要に応じて複数回繰り返すこと
も可能であり、またこの際組成や濃度の異なる複数の溶
液を用いて含浸を繰り返し、最終的に希望とする樹脂組
成および樹脂量に調整することも可能である。本発明の
硬化複合材料は、このようにして得た硬化性複合材料を
加熱等の方法により硬化することによって得られるもの
である。その製造方法はとくに限定されるものではな
く、例えば該硬化性複合材料を複数枚重ね合わせ、加熱
加圧下に各層間を接着せしめると同時に熱硬化を行い、
所望の厚みの硬化複合材料を得ることができる。また一
度接着硬化させた硬化複合材料と硬化性複合材料を組み
合わせて新たな層構成の硬化複合材料を得ることも可能
である。
【0048】積層成形と硬化は、通常熱プレス等を用い
同時に行われるが、両者をそれぞれ単独で行ってもよ
い。すなわち、あらかじめ積層成形して得た未硬化ある
いは、半硬化の複合材料を熱処理または、別の方法で処
理することによって硬化させることができる。成形およ
び硬化は、温度80〜300℃、圧力0.1〜500k
g/cm2 、時間1分〜10時間の範囲、より好ましく
は、温度150〜250℃、圧力1〜100kg/cm
2 、時間1分〜5時間の範囲で行うことができる。
【0049】次に本発明の積層体について説明する。本
発明の積層体とは、本発明の硬化樹脂組成物からなる硬
化フィルムおよび/または上記の硬化複合材料と金属箔
および/または金属板より構成されるものである。ここ
で用いられる金属箔としては、例えば銅箔、アルミニウ
ム箔等が挙げられる。その厚みは特に限定されるもので
はないが、5μm以上200μm未満、より好ましくは
5〜100μmの範囲である。
【0050】また金属板としては、例えば鉄板、アルミ
ニウム板、ケイ素鋼板、ステンレス板等が挙げられる。
その厚みは特に限定されないが、0.2mm以上10m
m以下、より好ましくは0.2mm以上5mm以下の範
囲である。本発明の積層体を製造する方法としては、例
えば本発明の硬化性樹脂組成物からなるフィルムおよび
/または硬化性複合材料と金属箔および/または金属板
を目的に応じた層構成で積層し、加熱加圧下に各層間を
接着せしめると同時に熱硬化させる方法を挙げることが
できる。本発明の積層体においては、硬化性樹脂組成物
からなるフィルムおよび/または硬化性複合材料と金属
箔および/または金属板が任意の層構成で積層される。
金属箔および/または金属板は表層としても中間層とし
ても用いることができる。
【0051】上記の他、積層と硬化を複数回繰り返して
多層することも可能である。積層板においては、金属板
をベースとしその片面または両面に硬化性複合材料が積
層される。金属張り積層板においては、金属板をベース
としその片面または両面に硬化性樹脂組成物からなるフ
ィルムおよび/または硬化性複合材料を介して金属箔が
積層される。金属箔および/または金属板の接着には接
着剤を用いることもできる。接着剤としては、エポキシ
系、アクリル系、フェノール系、シアノアクリレート系
等が挙げられるが、特にこれらに限定されない。上記の
積層成形と硬化は、前述と同様の条件で行うことができ
る。
【0052】
【発明の実施の形態】以下、本発明を一層明確にするた
めに実施例を挙げて説明する。以下の実施例には、各成
分として次のようなものを用いた。 重合開始剤:2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチ
ルパーオキシ)ヘキシン−3(日本油脂(株)製 パー
ヘキシン25B) 破砕型シリカ:ヒューズレック(龍森(株)製)を原料
にして、分級機(((用いた機種を記載して戴きた
い。)))にて所望の平均粒径になるように分級したも
のを使用。 水添ブロック共重合体:タフテックH1041(旭化成
工業(株)製) 難燃剤:SAYTEX 8010(アルベマール浅野
(株)製)
【0053】
【製造例1】30℃、0.5gr/dlのクロロホルム
溶液で測定した粘度数ηsp/cが0.53のポリ
(2,6−ジメチル−1,4−ジフェニレンエーテル)
100重量部と、無水マレイン酸1.5重量部、および
2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキ
シ)ヘキサン(日本油脂(株)製 パーヘキサ25B)
1.0重量部を室温でドライブレンドした後、シリンダ
ー温度300℃、スクリュー回転数230rpmの条件
で2軸押し出し機により押し出した。30℃、0.5g
r/dlのクロロホルム溶液で測定した反応生成物も粘
度数ηsp/cは0.58であった。この反応生成物を
Mとする。
【0054】
【製造例2】30℃、0.5gr/dlのクロロホルム
溶液で測定した粘度数ηsp/cが0.40のポリ
(2,6−ヂメチル−1,4−ジフェニレンエーテル)
100重量部と、無水マレイン酸1.5重量部を室温で
ドライブレンドした後、シリンダー温度300℃、スク
リュー回転数230rpmの条件で2軸押し出し機によ
り押し出した。30℃、0.5gr/dlのクロロホル
ム溶液で測定した反応生成物も粘度数ηsp/cは0.
43であった。この反応生成物をNとする。
【0055】
【実施例1〜4】硬化性樹脂組成物および硬化性樹脂組
成物からなるフィルム、および硬化して得られた硬化フ
ィルムを下記のようにして製造した。MまたはN、水添
ブロック共重合体、および表1に示した平均粒径の破砕
型シリカを80℃のトルエン中で1時間攪拌した。その
後70℃まで冷却した後、トリアリルイソシアヌレー
ト、難燃剤および開始剤を表1に示した量を、該溶液に
溶解・分散させた。この溶液をテフロンシャーレにキャ
ストし、フィルムを得た。得られたフィルムは約100
μmの厚みであり、べたつき等がなく成膜に優れてい
た。
【0056】50℃で30分間エアーオーブンで乾燥
後、得られたフィルムを真空プレス成型機(北川精機
(株)製 型式VH2−1239)を用い、面圧20k
g/cm 2 、180℃にて積層硬化して約1mm厚みの
硬化物を作製した。この硬化物を6mm角に切り出し、
厚さ方向の熱膨張率を昇温速度20℃/分の早さで熱機
械分析装置(セイコー電子工業(株)製)により測定し
た。ここでいう熱膨張率は30℃から150℃に試料の
温度を上昇させたときの試料厚みの増加率を温度の変化
分である120℃で割った数値である。
【0057】また、上記のキャストしてえられたフィル
ムを、50℃で30分間エアーオーブンで乾燥後、得ら
れたフィルムを用いて、レオメトリック社製ダイナミッ
クアナライザーRDAにて、パラレルプレート法で、昇
温速度7℃/分の早さで、30〜240℃の温度範囲で
試料を加温して溶融粘度の測定した。溶融粘度の低さの
指標として、この温度領域での最低溶融粘度を採用し
た。いずれの実施例においても最低溶融粘度は低いフィ
ルムが得られ、その硬化体は低い熱膨張率性を有してい
た。結果を表1に示した。
【0058】
【比較例1】平均粒径委1.3〜2.0μmの球状シリ
カ(ヒューズレック SO−C5(株)龍森社製を原料
にして分級したもの)を用いた以外は、実施例1〜3と
同様の操作を繰り返し、同様に最低溶融粘度と熱膨張率
を算出した。実施例1〜3よりも最低溶融粘度が劣って
いる。結果を表1に示す。
【0059】
【実施例4〜6】硬化性複合材料 表2に示した割合で組成物を250gを60℃のトルエ
ン750g中に溶解または分散させた。この溶液にガラ
スクロス(Eガラス、目付71g/m2 )を浸漬して含
浸をおこない、50℃のエアーオーブン中で30分間乾
燥させた。得られたプリプレグのレジンコンテンツ
(R.C.)は71%であった。溶融粘度の測定したと
ころ、最低溶融粘度は1000であった。結果を表2に
示す。
【0060】このプリプレグを使用し直径100μmの
スルーホールが2.5mmピッチで配置されている厚み
0.4mmのコア材を張り合わせたところ樹脂が充填さ
せていないスルーホールは10000穴中0であった。 積層体 成形後の厚みが約0.4mm〜0.8mmになるように
上記の硬化性複合材料を必要に応じて複数枚重ね合わ
せ、その両面に厚さ12μmの銅箔を置いてプレス成形
機により成形硬化させて積層体を得た。各実施例の硬化
条件は7℃/分で昇温させ、200℃で1時間保持し
た。圧力はいずれも50kg/cm2 とした。
【0061】このようにして得られた積層体の諸物性を
以下の方法で測定した。また、熱膨張率は実施例1ど同
様の方法で測定した。 1.耐トリクロロエチレン性 銅箔を除去した積層体を25mm角に切り出し、トリク
ロロエチレン中で5分間煮沸し、外観の変化を目視によ
り観察した。 2.誘電率、誘電正接 1MHzで測定を行った。 3.ハンダ耐熱性 銅箔を除去した積層体を25mm角に切り出し、260
℃のハンダ浴中に120秒浮かべ、外観の変化を目視に
より観察した。 4.銅箔引き剥がし強さ 積層体から幅20mm、長さ100mmの試験片を切り
出し、銅箔面に幅10mmの平行な切り込みを入れた
後、面に対して垂直なる方向に50mm/分の速さで連
続的に銅箔を引き剥し、その時の応力を引張り試験機に
て測定し、その応力の最低値を示した。 5.ガラス転移温度(Tg) 積層体から切り出した試料をTMAにて測定した。
【0062】結果は表3に示した。いずれの実施例にお
いても耐トリクロロエチレン性、耐熱性(Tgおよびハ
ンダ耐熱性)、誘電特性、熱膨張率、金属との接着性に
優れた硬化複合材料、積層体が得られ、破砕型シリカに
よる性能低下は認められない。
【0063】
【比較例2】球状シリカ(ヒューズレック SO―C5
龍森(株)社製)を用いた以外は、実施例4と同様の
操作を繰り返し、同様に各特性評価をおこなった。結果
を表2に示す。また本プリプレグを使用し、実施例4と
同じコア材を張り合わせたところ、樹脂の充填されてい
ないスルーホールは10000穴中250穴であった。
最低溶融粘度と熱膨張率を算出した。実施例1〜3より
も最低溶融粘度が劣っている。結果を表3に示す。
【0064】
【実施例5】積層体 成形後の厚みが0.6mmになるように実施例4と同様
の硬化性複合材料を、必要に応じて数枚重ね合わせ、そ
の両面に12μmの銅箔を置いてプレス成形機により成
形硬化させて積層体を得た。この積層体に内層回路を形
成し、必要な箇所にYAGレーザーで直径100μmの
スルーホールを形成し、通常デスミア処理をおこなった
後、無電解または電解銅メッキ法にてスルーホール接続
をとりさらに、その両面に実施例1のフィルム、さらに
その上に12μmの銅箔を置いてプレス成形機により成
形硬化させて積層体を得た。得られた積層体にバイア接
続する箇所にYAGレーザーで、レーザー穴明け後の穴
径が50μm、100μmになるように積層体に穴明け
し、通常の銅メッキ法でバイア接続を形成した。さらに
外層回路を形成し、4層の配線を有した積層体を得た。
同様の操作をさらに1回繰り返し、逐次積層部はデージ
ー状にバイア接続された150×150mmの大きさの
6層の配線を有した積層体を作製した。
【0065】得られた6層板のスルーホール接続および
バイア接続部の電気的接続を調べたところ、各100枚
の作製基板において、直径100μmのスルーホール接
続および穴径が50μm、100μmのバイア接続部と
も断線はみられなかった。またスルーホール断面および
バイア断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、樹脂
の充填されていないスルーホールやバイアのある樹脂基
板はなく、スルーホールやバイアの穴形状は壁面のあれ
が少なく良好で、メッキに異常はみられなかった。さら
に上記の作製基板を冷熱衝撃試験(1サイクルが−65
℃×30分と125℃×30分の気層での熱衝撃サイク
ルテスト)で1000サイクル後に電気的接続を調べた
が、各100枚で断線はみられず同様の結果が得られ
た。またバイア断面を走査型電子顕微鏡で観察したとこ
ろ、レーザー穴明け時の穴形状は壁面のあれが少なく良
好で、メッキに異常はみられなかった。
【0066】
【比較例3】平均粒径が5.0μmの粒状シリカを用い
た以外は、実施例5と同じ操作を繰り返し、同様に調べ
た。レーザー穴径が50μmのバイア接続基板では10
0枚中87枚で、100μmのバイア接続部では100
枚中95枚で断線はみられなかったが、スルーホールお
よびバイア断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、
スルーホールおよびバイア部への樹脂充填不良はにられ
なかったが、レーザー穴明け時の形状はいびつで、壁面
のあれが大きく、異常成長したメッキ層がみられた。ま
た熱衝撃試験(1サイクルが−65℃×30分と125
℃×30分の気層での熱衝撃サイクルテスト)で100
0サイクル後に電気的接続を調べたところ、レーザー穴
径が50μmのバイア接続部では87枚中すべてで断線
はみられ、100μmのバイア接続部では95枚中32
枚で断線はみられた。実施例5よりレーザー穴明け時の
穴形状、電気的接続信頼性に劣っている。
【0067】
【比較例4】平均径が1.8μmの球状シリカを用いた
以外は、実施例5と同じ操作を繰り返し、同様に調べ
た。レーザー穴径が50μmおよび100μmのバイア
接続基板とも断線はみられなかった。スルーホールおよ
びバイア断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、ス
ルーホール部への樹脂充填不良はいたるところでみら
れ、バイア部への樹脂充填不良も皆無ではなかった。レ
ーザー穴明け時の形状および壁面のあれが少なく良好
で、メッキに異常はみられなかった。また熱衝撃試験
(1サイクルが−65℃×30分と125℃×30分の
気層での熱衝撃サイクルテスト)で1000サイクル後
に電気的接続を調べたところ、レーザー穴径が50μm
のバイア接続部では52枚で断線はみられ、100μm
のバイア接続部では32枚で断線はみられた。実施例5
よりスルーホール部やバイア部への樹脂充填性および電
気的接続信頼性に劣っている。
【0068】
【表1】
【0069】
【表2】
【0070】
【表3】
【0071】
【発明の効果】本発明の硬化性ポリフェニレンエーテル
系樹脂組成物は、加熱硬化時の溶融粘度が低く、スルー
ホール穴やバイア穴への樹脂の充填性に優れると同時
に、硬化後は低熱線膨張率を有する優れた材料である。
本発明の硬化性ポリフェニレンエーテル系複合材料は、
金属との接着性に優れる。また、本発明の硬化性ポリフ
ェニレンエーテル系複合材料および/または硬化性ポリ
フェニレンエーテル系樹脂組成物からなるフィルムは、
耐熱性、耐薬品性および優れた誘電特性を兼ね備えてお
り優れた材料である。
【0072】従って本発明の材料は、電気産業、電子産
業、宇宙・航空機産業等の分野において誘電材料、絶縁
材料、耐熱材料等として用いることができる。特に本発
明の硬化性ポリフェニレンエーテル系複合材料および/
または硬化性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物から
なるフィルムは、片面、両面、多層プリント基板、セミ
リジット基板、金属ベース基板、多層プリント基板用プ
リプレグとして好適に用いられる。中でも小径のスルー
ホールやバイアホールに樹脂を埋め込む必要のある基
板、特にビルドアップ工法による微細配線基板に好適に
使用できる。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)ポリフェニレンエーテルと不飽和
    カルボン酸または酸無水物との反応生成物、(b)トリ
    アリルイソシアヌレートおよび/またはトリアリルシア
    ヌレート、(c)ビニル芳香族化合物を主体とする重合
    体ブロックАを少なくとも1個と共役ジエン化合物を主
    体とする重合体ブロックBを少なくとも1個とからなる
    ブロック共重合体を水素添加して得られる水添ブロック
    共重合体、および(d)平均粒径が0.1〜3μmの破
    砕型シリカからなり、(a)成分と(b)成分の和10
    0重量部を基準として、(a)成分98〜40重量部、
    (b)成分2〜60重量部、(c)成分1〜50重量
    部、(d)成分1〜400重量部を含有してなる硬化性
    ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の硬化性ポリフェニレンエ
    ーテル系樹脂組成物を硬化して得られる硬化ポリフェニ
    レンエーテル系樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の硬化性ポリフェニレンエ
    ーテル系樹脂組成からなる硬化性フィルム。
  4. 【請求項4】 請求項2記載の硬化ポリフェニレンエー
    テル系樹脂組成物からなる硬化フィルム。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の硬化性ポリフェニレンエ
    ーテル系樹脂組成物100重量部と、基材5〜90重量
    部からなることを特徴とする硬化性ポリフェニレンエー
    テル系樹脂複合材料。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の硬化性ポリフェニレンエ
    ーテル系樹脂複合材料を硬化して得られる硬化ポリフェ
    ニレンエーテル系樹脂複合材料。
  7. 【請求項7】 請求項4記載の硬化フィルムと金属箔お
    よび/または金属板からなる積層体。
  8. 【請求項8】 請求項6記載の硬化ポリフェニレンエー
    テル系樹脂複合材料と金属箔および/または金属板から
    なる積層体。
  9. 【請求項9】 請求項4記載の硬化フィルムと請求項6
    記載の硬化複合材料と金属箔および/または金属板から
    なる積層体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003261762A (ja) * 2002-03-11 2003-09-19 Kyocera Chemical Corp 難燃性樹脂組成物、プリプレグおよび積層製品

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