JP3178958B2 - 新規な強靱化硬化性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物 - Google Patents

新規な強靱化硬化性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物

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JP3178958B2
JP3178958B2 JP04266194A JP4266194A JP3178958B2 JP 3178958 B2 JP3178958 B2 JP 3178958B2 JP 04266194 A JP04266194 A JP 04266194A JP 4266194 A JP4266194 A JP 4266194A JP 3178958 B2 JP3178958 B2 JP 3178958B2
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    • H05KPRINTED CIRCUITS; CASINGS OR CONSTRUCTIONAL DETAILS OF ELECTRIC APPARATUS; MANUFACTURE OF ASSEMBLAGES OF ELECTRICAL COMPONENTS
    • H05K1/00Printed circuits
    • H05K1/02Details
    • H05K1/03Use of materials for the substrate
    • H05K1/0313Organic insulating material
    • H05K1/0353Organic insulating material consisting of two or more materials, e.g. two or more polymers, polymer + filler, + reinforcement
    • H05K1/0373Organic insulating material consisting of two or more materials, e.g. two or more polymers, polymer + filler, + reinforcement containing additives, e.g. fillers

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は硬化性樹脂組成物および
これを硬化して得られる硬化体に関する。さらに本発明
は、該樹脂組成物と基材からなる硬化性複合材料、その
硬化体、および硬化体と金属箔からなる積層体に関す
る。本発明の樹脂組成物は、硬化後において優れた耐薬
品性、誘電特性、耐熱性、寸法安定性、強靱性を示し、
電子産業、宇宙・航空機産業等の分野において誘電材
料、絶縁材料、耐熱材料に用いることができる。
【0002】
【従来の技術】近年、通信用、民生用、産業用等の電子
機器の分野における実装方法の小型化、高密度化への指
向は著しいものがあり、それに伴って材料の面でもより
優れた耐熱性、寸法安定性、電気特性、成形性が要求さ
れつつある。例えばプリント配線基板としては、従来か
らのフェノ−ル樹脂やエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂
を基材とした銅張り積層板が用いられてきた。これらは
各種の性能をバランス良く有するものの、電気特性、特
に高周波領域での誘電特性が悪いという欠点を持ってい
る。この問題を解決する新しい材料としてポリフェニレ
ンエ−テルが近年注目をあび銅張り積層板への応用が試
みられている。
【0003】ポリフェニレンエーテルを利用する方法の
一つは、硬化性のポリマーやモノマーを配合して用いる
方法である。硬化性のポリマーやモノマーと組み合わせ
ることによってポリフェニレンエーテルの耐薬品性を改
善し、かつポリフェニレンエーテルの優れた誘電特性を
生かした材料を得ることができる。硬化性のポリマーや
モノマーとしては、エポキシ樹脂(特開昭58−690
46号など)、1,2−ポリブタジエン(特開昭59−
193929号など)、多官能性マレイミド(特開昭5
6−133355号など)、多官能性シアン酸エステル
(特開昭56−141349号など)、多官能性アクリ
ロイルまたはメタクリロイル化合物(特開昭57−14
9317号など)、トリアリルイソシアヌレートおよび
/またはトリアリルシアヌレート(特開昭61−218
652号など)、イソシアネート化合物等、数多くの例
が知られている。
【0004】しかしながらポリフェニレンエーテルは、
本来耐薬品性をまったく持たないため、たとえ硬化性の
ポリマーやモノマーを併用してもその改善には自ずと限
界があった。これは、ポリフェニレンエーテルを何ら変
性を行わずに用いていたためである。また、ポリフェニ
レンエ−テルは、熱膨張係数が従来のポリイミド樹脂な
どに比べて高いために、積層板用材料や封止材用途とし
ては寸法安定性という点で不十分な場合があった。ま
た、硬化させると脆くなり、機械的な衝撃や熱衝撃に弱
くなる場合もあった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は以上のような
事情に鑑みてなされたものであり、ポリフェニレンエー
テル樹脂の優れた誘電特性と機械特性を損なうこと無
く、かつ硬化後において優れた耐薬品性、耐熱性に加え
て熱膨張係数が低くしかも強靱性を有する新規な硬化性
ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を提供しようとす
るものである。
【0006】以上の部分はプリント配線板用積層板およ
び封止材を例に引いて述べたが、本発明の樹脂組成物に
より寸法安定性が良好でかつ強靱な硬化物が得られるの
で、この樹脂組成物を他の成形体の製造にも好適に用い
得ることはいうまでもない。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上述のよう
な課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、(a)ポ
リフェニレンエーテルと不飽和カルボン酸または酸無水
物との反応生成物、(b)トリアリルイソシアヌレート
および/またはトリアリルシアヌレート、(c)シリ
カ、および(d)水添ブロック共重合体を混合すること
により、硬化後において耐薬品性、耐熱性に加えて優れ
た低熱膨張特性と強靱性を示す硬化ポリフェニレンエー
テル系樹脂組成物が得られることを見いだし本発明を完
成した。本発明は次に述べる5つの発明により構成され
る。
【0008】すなわち本発明の第1は、(a)、(a)
成分と(b)成分の和100重量部を基準として、98
〜40重量部のポリフェニレンエーテルと不飽和カルボ
ン酸または酸無水物との反応生成物、(b)、(a)成
分と(b)成分の和100重量部を基準として、2〜6
0重量部のトリアリルイソシアヌレートおよび/または
トリアリルシアヌレート、(c)、(a)成分と(b)
成分の和100重量部を基準として、10〜400重量
部のシリカ、(d)、(a)成分と(b)成分の和10
0重量部を基準として、1〜50重量部の少なくとも1
個のビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックA
および少なくとも1個の共役ジエン化合物を主体とする
重合体ブロックBとから成るブロック共重合体を水素添
加して得られる水添ブロック共重合体からなることを特
徴とする硬化性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を
提供する。
【0009】本発明の第2は、上記第1発明の硬化性ポ
リフェニレンエーテル系樹脂組成物を硬化して得られた
硬化ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を提供する。
本発明の第3は、(a)、(a)成分と(b)成分の和
100重量部を基準として、98〜40重量部のポリフ
ェニレンエーテルと不飽和カルボン酸または酸無水物と
の反応生成物、(b)、(a)成分と(b)成分の和1
00重量部を基準として、2〜60重量部のトリアリル
イソシアヌレートおよび/またはトリアリルシアヌレー
ト、(c)、(a)成分と(b)成分の和100重量部
を基準として、10〜100重量部のシリカ、(d)、
(a)成分と(b)成分の和100重量部を基準とし
て、1〜50重量部の少なくとも1個のビニル芳香族化
合物を主体とする重合体ブロックAおよび少なくとも1
個の共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBと
から成るブロック共重合体を水素添加して得られる水添
ブロック共重合体、および(e)、(a)〜(e)成分
の和100重量部を基準として、5〜90重量部の基材
からなることを特徴とする硬化性複合材料を提供する。
【0010】本発明の第4は、上記第3発明の硬化性複
合材料を硬化して得られた硬化複合材料を提供する。本
発明の第5は、上記第4発明の硬化複合材料と金属箔か
らなる積層体を提供する。これらの発明について以下に
詳しく説明する。
【0011】本発明において使用されるポリフェニレン
エーテルは下記式化1で表される。
【0012】
【化1】
【0013】一般式AにおけるR1〜R4の低級アルキル
基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル
基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基等が
挙げられる。アリール基の例としては、フェニル基等が
挙げられる。ハロアルキル基の例としては、ブロモメチ
ル基、クロロメチル基等が挙げられる。ハロゲン原子の
例としては臭素、塩素等が挙げられる。
【0014】化1のQの代表的な例としては、つぎの4
種の一般式化2で表される化合物群が挙げられる。
【0015】
【化2】
【0016】具体例として、下記化3〜化4等が挙げら
れる。
【0017】
【化3】
【0018】
【化4】
【0019】一般式化1中のJで表されるポリフェニレ
ンエーテル鎖中には、一般式Aで表される単位の他、次
の一般式化5で表される単位が含まれていてもよい。
【0020】
【化5】
【0021】本発明に用いられる一般式化1のポリフェ
ニレンエーテル樹脂の好ましい例としては、2,6−ジ
メチルフェノールの単独重合で得られるポリ(2,6−
ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,
6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)のスチレ
ングラフト重合体、2,6−ジメチルフェノールと2,
3,6−トリメチルフェノールの共重合体、2,6−ジ
メチルフェノールと2−メチル−6−フェニルフェノー
ルの共重合体、2,6−ジメチルフェノールと多官能フ
ェノール化合物
【0022】
【化6】
【0023】の存在下で重合して得られた多官能性ポリ
フェニレンエーテル樹脂、例えば特開昭63−3012
22号公報、特開平1−297428号公報に開示され
ているような一般式AおよびBの単位を含む共重合体等
が挙げられる。以上述べたポリフェニレンエーテル樹脂
の分子量については、30℃、0.5g/dlのクロロ
ホルム溶液で測定した粘度数ηsp/cが0.1〜1.
0の範囲にあるものが良好に使用できる。溶融樹脂流れ
を重視する硬化性樹脂組成物、例えば多層配線板用プリ
プレグとしては、粘度数の小さい樹脂が好ましい。
【0024】本発明に用いられる(a)成分は、上記の
ポリフェニレンエーテル樹脂を不飽和カルボン酸または
酸無水物と反応させることによって製造される。適当な
酸および酸無水物の例としては、アクリル酸、メタクリ
ル酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イ
タコン酸、無水グルタコン酸、無水シトラコン酸等が挙
げられる。特に無水マレイン酸、フマル酸が最も良好に
使用できる。
【0025】反応はポリフェニレンエーテル樹脂と不飽
和カルボン酸または酸無水物を100℃〜390℃の温
度範囲で加熱することによって行われる。この際ラジカ
ル開始剤を共存させてもよい。溶液法と溶融混合法の両
方が使用できるが、押出し機等を用いる溶融混合法の方
が簡便に行うことができ、本発明の目的に適している。
【0026】不飽和カルボン酸または酸無水物の割合
は、ポリフェニレンエーテル樹脂100重量部に対し、
0.01〜5.0重量部、好ましくは0.1〜3.0重
量部である。本発明のポリフェニレンエーテル系樹脂組
成物の(b)成分として用いられるトリアリルイソシア
ヌレートおよび/またはトリアリルシアヌレートとは、
それぞれ次の構造式で表される3官能性モノマーであ
る。
【0027】
【化7】
【0028】本発明を実施する上においては、トリアリ
ルイソシアヌレートおよびトリアリルシアヌレートはそ
れぞれ単独で用いられるだけでなく、両者を任意の割合
で混合して用いることが可能である。本発明において、
トリアリルイソシアヌレートおよびトリアリルシアヌレ
ートは、可塑剤ならびに架橋剤としての効果を発揮す
る。すなわち、プレス時の樹脂流れの向上と架橋密度の
向上をもたらす。
【0029】本発明のポリフェニレンエーテル系樹脂組
成物の(c)成分として用いられるシリカとは、化学的
には二酸化ケイ素(SiO2 )である。以下一般に用い
られている通称であるシリカを用いる。本発明のポリフ
ェニレンエーテル系樹脂組成物には、必要に応じて
(c)成分と樹脂との界面における接着性を改善する目
的で、あらかじめカップリング剤処理した(c)成分を
用ることができる。カップリング剤としては、シランカ
ップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミニウ
ム系カップリング剤、ジルコアルミネートカップリング
剤等一般のものが使用できる。また、(a)〜(d)成
分を混合する際に上記カップリング剤を添加してもよ
い。
【0030】また、(c)成分の粒子形状や粒径は特に
規定しないが、好ましくは破砕タイプの粒子形状で平均
粒径4〜10μの粒度分布の広いものがよい。さらに、
破砕タイプと球状タイプを混合して用いてもよい。本発
明のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の(c)成分
は、硬化後の樹脂組成物の寸法安定性の向上に寄与する
という特徴を有し、かつ硬化組成物の機械的特性および
誘電特性に悪影響を与えない。
【0031】本発明のポリフェニレンエーテル系樹脂組
成物の(d)成分として用いられる水添ブロック共重合
体は、少なくとも1個のビニル芳香族化合物を主体とす
る重合体ブロックAと少なくとも1個の共役ジエン化合
物を主体とする重合体ブロックBとから成るブロック共
重合体を水素添加して得られるものであり、例えば、
【0032】
【化8】
【0033】等の構造を有するビニル芳香族化合物−共
役ジエン化合物ブロック共重合体の水素添加されたもの
である。この水添ブロック共重合体は、ビニル芳香族化
合物を5〜85重量%、好ましくは10〜70重量%含
むものである。さらにブロック構造について言及する
と、ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックA
が、ビニル芳香族化合物のみからなる重合体ブロックま
たはビニル芳香族化合物を50重量%を越え、好ましく
は70重量%以上含有するビニル芳香族化合物と水素添
加された共役ジエン化合物との共重合体ブロックの構造
を有しており、そしてさらに、水素添加された共役ジエ
ン化合物を主体とする重合体ブロックBが、水素添加さ
れた共役ジエン化合物のみからなる重合体ブロック、ま
たは水素添加された共役ジエン化合物を50重量%を越
え、好ましくは70重量%以上含有する水素添加された
共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物との共重合体ブ
ロックの構造を有するものである。また、これらのビニ
ル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックA、水素添
加された共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック
Bは、それぞれの重合体ブロックにおける分子鎖中の水
素添加された共役ジエン化合物またはビニル芳香族化合
物の分布が、ランダム、テーパード(分子鎖に沿ってモ
ノマー成分が増加または減少するもの)、一部ブロック
状またはこれらの任意の組み合わせで成っていてもよ
く、該ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック
および該水素添加された共役ジエン化合物を主体とする
重合体ブロックがそれぞれ2個以上ある場合は、各重合
体ブロックはそれぞれが同一構造であってもよく、異な
る構造であってもよい。
【0034】水添ブロック共重合体を構成するビニル芳
香族化合物としては、例えばスチレン、α−メチルスチ
レン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−第3
ブチルスチレン等のうちから1種または2種以上が選択
でき、中でもスチレンが好ましい。また水素添加された
共役ジエン化合物を構成する水添前の共役ジエン化合物
としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−
ペンタジエン、1,3−ジメチル−1,3−ブタジエン
等のうちから1種または2種以上が選ばれ、中でもブタ
ジエン、イソプレンおよびこれらの組み合わせが好まし
い。
【0035】また、上記の構造を有する本発明に供する
水添ブロック共重合の数平均分子量は特に限定されない
が、数平均分子量は5000〜1000000、好まし
くは10000〜500000、更に好ましくは300
00〜300000の範囲で用いることができる。更に
水添ブロック共重合体の分子構造は、直鎖状、分岐状、
放射状あるいはこれらの任意の組み合わせのいずれであ
ってもよい。
【0036】これらのブロック共重合体の製造方法とし
ては上記した構造を有するものであればどのような製造
方法であってもかまわない。例えば、特公昭40−23
798号公報に記載された方法により、リチウム触媒等
を用いて不活性溶媒中でビニル芳香族化合物−共役ジエ
ン化合物ブロック共重合体を合成し、次いで、例えば特
公昭42−8704号公報、特公昭43−6636号公
報に記載された方法、特に好ましくは特開昭59−13
3203号公報および、特開昭60−79005号公報
に記載された方法により、不活性溶媒中で水素添加触媒
の存在下に水素添加して、本発明に供する水添ブロック
共重合体を合成することができる。その際、ビニル芳香
族化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体の共役ジ
エン化合物に基づく脂肪族二重結合は少なくとも80%
を水素添加せしめ、共役ジエン化合物を主体とする重合
体ブロックを形態的にオレフィン性化合物重合体ブロッ
クに変換させることができる。また、ビニル芳香族化合
物を主体とする重合体ブロックAおよび必要に応じて、
共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBに共重
合されているビニル芳香族化合物に基づく芳香族二重結
合の水素添加率については特に限定はないが、水素添加
率を20%以下にするのが好ましい。
【0037】また、このブロック共重合体には、その特
性を損なわない範囲でジカルボン酸基またはその誘導体
を含有する分子単位が結合した変性ブロック共重合体も
含まれる。ジカルボン酸基またはその誘導体を含有する
分子単位は、基体となるブロック共重合体に対して通常
0.05〜5重量部の範囲で用い得る。上記ジカルボン
酸基またはその誘導体を含有する変性剤としては、マレ
イン酸、フマル酸、クロロマレイン酸、イタコン酸、シ
ス−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸および
これらジカルボン酸の無水物、エステル、アミド、イミ
ドなどがある。好ましい変性剤の具体例としては、無水
マレイン酸、マレイン酸、フマル酸が挙げられる。
【0038】この変性ブロック共重合体の製法として
は、特に限定されないが、通常、ブロック共重合体と変
性剤を押出機等により溶融させた状態でラジカル開始剤
を使用あるいは使用せずに反応させる方法が用いられ
る。本発明のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物の
(d)成分は、硬化後の樹脂組成物の強靱性を向上さ
せ、かつ硬化組成物のその他の機械的特性および誘電特
性に悪影響を与えない。
【0039】以上説明した(a)〜(d)の4つの成分
のうち(a)成分と(b)成分の配合割合は、両者の和
100重量部を基準として(a)成分が98〜40重量
部、(b)成分が2〜60重量部であり、より好ましく
は(a)成分が95〜50重量部、(b)成分が5〜5
0重量部の範囲である。(b)成分が2重量部未満では
耐薬品性の改善が不十分であり好ましくない。逆に60
重量部を越えると誘電特性、吸湿特性が低下し、また硬
化後において非常に脆い材料になるので好ましくない。
【0040】本発明の樹脂組成物に用いられる(c)成
分の配合割合は、(a)成分と(b)成分の和100重
量部を基準として10〜400重量部、好ましくは10
0〜300重量部、より好ましくは150〜200重量
部である。(c)成分が10重量部未満のときは、硬化
後の樹脂組成物の熱膨張特性の改善が不十分であり好ま
しくない。また400重量部を越えると、溶融成形時の
樹脂の流動性および金属箔との積層体を作成したときの
金属箔との密着性が低下するので好ましくない。
【0041】(d)成分の配合割合は、(a)成分と
(b)成分の和100重量部を基準として1〜50重量
部、好ましくは1〜30重量部、より好ましくは5〜2
0重量部である。(d)成分が1重量部未満のときは硬
化物の強靱性の改善が不十分であり好ましくない。また
50重量部を越えると、溶融成形時の樹脂の流動性が低
下するので好ましくない。
【0042】上記の(a)〜(d)成分を混合する方法
としては、4成分を溶媒中に均一に溶解または分散させ
る溶液混合法、あるいは押し出し機等により加熱して行
う溶融ブレンド法等が利用できる。溶液混合に用いられ
る溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルム、トリ
クロロエチレンなどのハロゲン系溶媒;ベンゼン、トル
エン、キシレンなどの芳香族系溶媒;テトラヒドロフラ
ンが単独であるいは二種以上を組み合わせて用いられ
る。
【0043】本発明の樹脂組成物は、あらかじめその用
途に応じて所望の形に成形してもよい。成形方法は特に
限定されない。通常は、樹脂組成物を上述した溶媒に溶
解させ好みの形に成形するキャスト法、または樹脂組成
物を加熱溶融し好みの形に成形する加熱溶融法が用いら
れる。上述したキャスト法と加熱溶融法は単独で行って
もよい。またそれぞれを組み合わせて行ってもよい。例
えば、キャスト法で作成された本樹脂組成物のフィルム
を数〜数十枚積層し、加熱溶融法、例えばプレス成形機
で加熱溶融し、本樹脂組成物のシートを得ることができ
る。
【0044】本発明の硬化性樹脂組成物およびその硬化
性複合材料は後述するように加熱等の手段により架橋反
応を起こして硬化するが、その際の反応温度を低くした
り不飽和基の架橋反応を促進する目的でラジカル開始剤
を含有させて使用してもよい。本発明の樹脂組成物に用
いられるラジカル開始剤の量は(a)成分と(b)成分
の和100部を基準としてを基準として0.1〜10重
量部、好ましくは0.1〜8重量部である。
【0045】ラジカル開始剤の代表的な例を挙げると、
ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサ
イド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロ
パーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−
ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジ−t−ブチルパー
オキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、α,
α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピ
ル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブ
チルパーオキシ)ヘキサン、ジクミルパーオキサイド、
ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチル
パーオキシベンゾエート、2,2−ビス(t−ブチルパ
ーオキシ)ブタン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキ
シ)オクタン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾ
イルパーオキシ)ヘキサン、ジ(トリメチルシリル)パ
ーオキサイド、トリメチルシリルトリフェニルシリルパ
ーオキサイド等の過酸化物があるがこれらに限定されな
い。また過酸化物ではないが、2,3−ジメチル−2,
3−ジフェニルブタンもラジカル開始剤として使用でき
る。しかし、本樹脂組成物の硬化に用いられる開始剤は
これらの例に限定されない。
【0046】本発明の樹脂組成物は、その用途に応じて
所望の性能を付与させる目的で本来の性質を損なわない
範囲の量の充填剤や添加剤を配合して用いることができ
る。充填剤は繊維状であっても粉末状であってもよく、
カーボンブラック、アルミナ、タルク、雲母、ガラスビ
ーズ、ガラス中空球等を挙げることができる。添加剤と
しては、酸化防止剤、熱安定剤、帯電防止剤、可塑剤、
顔料、染料、着色剤等が挙げられる。また難燃性の一層
の向上を図る目的で塩素系、臭素系、リン系の難燃剤
や、Sb2 3 、Sb2 5 、NbSbO3 ・1/4H
2 O等の難燃助剤を併用することもできる。
【0047】さらには、他の熱可塑性樹脂、あるいは熱
硬化性樹脂を一種または二種以上配合することも可能で
ある。熱可塑性樹脂としてはポリエチレン、ポリプロピ
レン、ポリブテン、エチレン・プロピレン共重合体、ポ
リ(4−メチル−ペンテン)等のポリオレフィン類およ
びその誘導体、ナイロン4、ナイロン6、ナイロン6・
6、ナイロン6・10、ナイロン12などのポリアミド
類およびその誘導体、ポリエチレンテレフタレート、ポ
リブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレー
ト、ポリエチレンテレフタレート・ポリエチレングリコ
ールブロック共重合体などのポリエステル類およびその
誘導体、ポリフェニレンエーテル、変性ポリフェニレン
エーテル、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリス
ルフォン、ポリ塩化ビニルおよびその共重合体、ポリ塩
化ビニリデンおよびその共重合体、ポリメチルメタクリ
レート類、アクリル酸(またはメタクリル酸)エステル
共重合体類、ポリスチレン類、アクリロニトリルスチレ
ン共重合体類、アクリロニトリルスチレンブタジエン系
共重合体等のポリスチレン類およびその共重合体類、ポ
リ酢酸ビニル類、ポリビニルホルマール、ポリビニルア
セタール、ポリビニルブチラール類、エチレン酢酸ビニ
ル共重合体およびその加水分解物類、ポリビニルアルコ
ール類、スチレンブタジエンブロック共重合体類、ポリ
ブタジエン、ポリイソプレン等のゴム類、ポリメトキシ
エチレン、ポリエトキシエチレン等のポリビニルエーテ
ル類、ポリアクリルアマイド、ポリホスファーゼン類、
ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエー
テルイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミド
イミド、熱可塑性ポリイミド、芳香族ポリエステル等の
液晶ポリマー、側鎖に液晶成分を含有する側鎖型液晶ポ
リマー等が挙げられる。熱硬化性樹脂としてはエポキシ
樹脂、ポリイミド前駆体等が挙げられる。
【0048】本発明の硬化ポリフェニレンエーテル系樹
脂組成物は、以上に述べた硬化性ポリフェニレンエーテ
ル系樹脂硬化物組成物を硬化することにより得られるも
のである。硬化の方法は任意であり、熱、光、電子線等
による方法を採用することができる。加熱により硬化を
行う場合その温度は、ラジカル開始剤の種類によっても
異なるが、80〜300℃、より好ましくは120〜2
50℃の範囲で選ばれる。また時間は、1分〜10時間
程度、より好ましくは1分〜5時間である。
【0049】得られた硬化ポリフェニレンエーテル樹脂
組成物は、赤外吸収スペクトル法、高分解能固体核磁気
共鳴スペクトル法、熱分解ガスクロマトグラフィー等の
方法を用いて樹脂組成を解析することができる。またこ
の硬化性ポリフェニレンエーテル樹脂組成物は、第4発
明として後述する硬化複合材料と同様、金属箔及び/ま
たは金属板と張り合わせて用いることができる。
【0050】次に本発明の第3および第4である硬化性
複合材料とその硬化体について説明する。本発明の第3
である硬化性複合材料は、(a)ポリフェニレンエーテ
ルと不飽和カルボン酸または酸無水物との反応生成物、
(b)トリアリルイソシアヌレートおよび/またはトリ
アリルシアヌレート、(c)シリカ、(d)水添ブロッ
ク共重合体および(e)基材からなることを特徴とす
る。
【0051】(e)成分の基材としては、ロービングク
ロス、クロス、チョップドマット、サーフェシングマッ
トなどの各種ガラス布、アスベスト布、金属繊維布およ
びその他合成もしくは天然の無機繊維布;ポリビニルア
ルコール繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、全芳
香族ポリアミド繊維、ポリテトラフルオロエチレン繊維
などの合成繊維から得られる織布または不織布;綿布、
麻布、フェルトなどの天然繊維布;カーボン繊維布;ク
ラフト紙、コットン紙、紙ーガラス混繊紙などの天然セ
ルロース系布などがそれぞれ単独で、あるいは2種以上
併せて用いられる。
【0052】(a)成分と(b)成分の配合割合は、両
者の和100重量部を基準として(a)成分が98〜4
0重量部、(b)成分が2〜60重量部であり、より好
ましくは(a)成分が95〜50重量部、(b)成分が
5〜50重量部の範囲である。(b)成分が2重量部未
満では耐薬品性の改善が不十分であり好ましくない。逆
に60重量部を越えると誘電特性、吸湿特性が低下し、
また硬化後において非常に脆い材料になるので好ましく
ない。
【0053】(c)成分の配合割合は、(a)成分と
(b)成分の和100重量部を基準として10〜100
重量部、好ましくは20〜70重量部、より好ましくは
30〜50重量部である。(c)成分が10重量部未満
のときは、硬化後の樹脂組成物の熱膨張特性の改善が不
十分であり好ましくない。また100重量部を越えると
金属との接着力が低下するので好ましくない。
【0054】(d)成分の配合割合は、(a)成分と
(b)成分の和100重量部を基準として1〜50重量
部、好ましくは1〜30重量部、より好ましくは5〜2
0重量部である。(d)成分が1重量部未満のときは硬
化物の強靱性の改善が不十分であり好ましくない。また
50重量部を越えると、溶融成形時の樹脂の流動性が低
下するので好ましくない。
【0055】(e)成分の占める割合は、硬化性複合材
料100重量部を基準として5〜90重量部、より好ま
しくは10〜80重量部、さらに好ましくは20〜70
重量部である。(e)成分が5重量部より少なくなると
複合材料の硬化後の寸法安定性や強度が不十分であり、
また基材が90重量部より多くなると複合材料の誘電特
性が劣り好ましくない。
【0056】本発明の複合材料には、必要に応じて樹脂
と基材の界面における接着性を改善する目的でカップリ
ング剤を用いることができる。カップリング剤として
は、シランカップリング剤、チタネートカップリング
剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコアルミネー
トカップリング剤等一般のものが使用できる。本発明の
複合材料を製造する方法としては、例えば本発明の第1
の項で説明した(a)〜(d)成分と必要に応じて他の
成分を前述のハロゲン系、芳香族系、ケトン系等の溶媒
もしくはその混合溶媒中に均一に溶解または分散させ、
基材に含浸させた後乾燥する方法が挙げられる。
【0057】含浸は浸漬(ディッピング)、塗布等によ
って行われる。含浸は必要に応じて複数回繰り返すこと
も可能であり、またこの際組成や濃度の異なる複数の溶
液を用いて含浸を繰り返し、最終的に希望とする樹脂組
成および樹脂量に調整することも可能である。本発明の
第4の硬化複合材料は、このようにして得た硬化性複合
材料を加熱等の方法により硬化することによって得られ
るものである。その製造方法は特に限定されるものでは
なく、例えば該硬化性複合材料を複数枚重ね合わせ、加
熱加圧下に各層間を接着せしめると同時に熱硬化を行
い、所望の厚みの硬化複合材料を得ることができる。ま
た一度接着硬化させた硬化複合材料と硬化性複合材料を
組み合わせて新たな層構成の硬化複合材料を得ることも
可能である。積層成形と硬化は、通常熱プレス等を用い
同時に行われるが、両者をそれぞれ単独で行ってもよ
い。すなわち、あらかじめ積層成形して得た未硬化ある
いは半硬化の複合材料を、熱処理または別の方法で処理
することによって硬化させることができる。
【0058】成形および硬化は、温度80〜300℃、
圧力0.1〜1000Kg/cm2、時間1分〜10時
間の範囲、より好ましくは、温度150〜250℃、圧
力1〜500Kg/cm2 、時間1分〜5時間の範囲で
行うことができる。最後に本発明の第5である積層体に
ついて説明する。本発明の積層体とは、本発明の第4と
して上述した硬化複合材料と金属箔より構成されるもの
である。ここで用いられる金属箔としては、例えば銅
箔、アルミニウム箔等が挙げられる。その厚みは特に限
定されないが、5〜200μm、より好ましくは5〜1
05μmの範囲である。
【0059】本発明の積層体を製造する方法としては、
例えば本発明の第3として上で説明した硬化性複合材料
と、金属箔および/または金属板を目的に応じた層構成
で積層し、加熱加圧下に各層間を接着せしめると同時に
熱硬化させる方法を挙げることができる。本発明の積層
体においては、硬化性複合材料と金属箔が任意の層構成
で積層される。金属箔は表層としても中間層としても用
いることができる。
【0060】上記の他、積層と硬化を複数回繰り返して
多層化することも可能である。金属箔の接着には接着剤
を用いることもできる。接着剤としては、エポキシ系、
アクリル系、フェノール系、シアノアクリレート系等が
挙げられるが、特にこれらに限定されない。上記の積層
成形と硬化は、本発明の第4と同様の条件で行うことが
できる。
【0061】
【実施例】以下、本発明を一層明確にするために実施例
を挙げて説明するが、本発明の範囲をこれらの実施例に
限定するものではない。以下の実施例には、各成分とし
て次のようなものを用いた。 重合開始剤:2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチ
ルパーオキシ)ヘキシン−3(日本油脂 パーヘキシン
25B;PH25Bと略す) シリカ:ヒュウズレックス E−2(龍森(株)社製) ヒュウズレックス シランカップリング処理E−2(龍
森(株)社製) グラスレイン CUS−85K(東芝セラミックス
(株)社製) 水添ブロック共重合体:H1041(旭化成工業(株)
社製) H1051(旭化成工業(株)社製) 難燃剤:デカブロモジフェニルエーテル (旭硝子 A
FR−1021) 難燃助剤:Sb2 3 (日本精鋼 PATOX−M) ガラスクロス:Eガラス製、目付48g/m2
【0062】
【参考例1】30℃、0.5g/dlのクロロホルム溶
液で測定した粘度数ηsp/cが0.53のポリ(2,6
−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)100重量
部と、無水マレイン酸1.5重量部、および2,5−ジ
メチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン
(日本油脂(株)製 パーヘキサ25B)1.0重量部
を室温でドライブレンドした後、シリンダー温度300
℃、スクリュー回転数230rpmの条件で2軸押し出
し機により押出した。30℃、0.5g/dlのクロロ
ホルム溶液で測定した反応生成物の粘度数ηsp/cは
0.48であった。この反応生成物をAとする。
【0063】
【参考例2】参考例1と同様の方法で測定した粘度数η
sp/cが0.40のポリ(2,6−ジメチル−1,4−
フェニレンエーテル)100重量部と、無水マレイン酸
1.5重量部を室温でドライブレンドした後、シリンダ
ー温度300℃、スクリュー回転数230rpmの条件
で2軸押し出し機により押出した。30℃、0.5g/
dlのクロロホルム溶液で測定した反応生成物の粘度数
ηsp/cは0.43であった。この反応生成物をBとす
る。
【0064】
【実施例1〜10】硬化性ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物および硬化
ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物 参考例1および2で合成したポリフェニレンエーテル樹
脂、トリアリルイソシアヌレート、シリカおよび水添ブ
ロック共重合体を表1に示した組成でヘンシェルミキサ
ーを用いて混合し、プレス成形機により200℃、30
分の条件で成形・硬化させ、厚み約1mmの硬化物を作
成した。
【0065】この硬化物を、7mm角に切り出し、厚さ
方向の熱膨張率を昇温速度20℃/分の速さで熱機械分
析装置により測定した。ここでいう熱膨張率は30℃か
ら150℃に試料の温度を上昇させたときの試料厚みの
増加率を温度の変化分である120℃(150℃−30
℃)で割った数値である。いずれの実施例においても、
熱膨張率が小さく、強靱でかつ樹脂流動性を持った硬化
物が得られた。結果を表1に示した。
【0066】
【比較例1】シリカおよび水添ブロック共重合体を加え
なかった点を除いては実施例1と同一の組成で、同様な
手法で硬化物を作成した。熱膨張率が実施例1に比べて
極めて大であった。
【0067】
【比較例2】シリカを加えなかった点を除いては実施例
8と同一の組成で硬化物を作成した。熱膨張率が実施例
8に比べて極めて大であった。
【0068】
【比較例3】水添ブロック共重合体を加えない点を除い
ては実施例6と同一の組成で硬化物を作成した。硬化物
はやすりにこすりつけると割れが生じた。
【0069】
【比較例4】シリカを500部とした点を除いては実施
例8と同一の組成で硬化物を作成した。硬化物は脆く、
表面にむらがあった。
【0070】
【比較例5】水添ブロック共重合体を60部とした点を
除いては実施例9と同一の組成で硬化物を作成した。熱
膨張率が実施例8に比べて極めて大であった。以上の比
較例の結果は実施例1〜10と併せて表1に示した。
【0071】
【表1】
【0072】
【実施例11〜20】硬化性複合材料 表2に示した各々の組成で、組成物の全量200gを8
0℃のトルエン1000ml中に溶解または分散させ
た。この溶液を50℃に冷却して50℃でガラスクロス
を浸漬して含浸を行い、50℃のエアーオーブン中で3
0分間乾燥させ、硬化性複合材料を得た。
【0073】積層体 成形後の厚みが0.8mmになるように上記の硬化性複
合材料を複数枚重ね合わせ、その両面に厚さ35μmの
銅箔を置いてプレス成形機により成形硬化させて積層体
を得た。各実施例の硬化条件を表3に示した。圧力はい
ずれも20kg/cm2 とした。諸物性については表3
の通りであった。
【0074】このようにして得られた積層体の諸物性を
以下の方法で測定した。 1.耐トリクロロエチレン性 銅箔を除去した積層体を25mm角に切り出し、トリク
ロロエチレン中で5分間煮沸し、外観の変化を目視によ
り観察した。 2.誘電率、誘電正接 1MHzで測定を行った。 3.ハンダ耐熱性 銅箔を除去した積層体を25mm角に切り出し、260
℃のハンダ浴中に120秒間浮かべ、外観の変化を目視
により観察した。 4.銅箔引き剥し強さ 積層体から幅20mm、長さ100mmの試験片を切り
出し、銅箔面に幅10mmの平行な切り込みを入れた
後、面に対して垂直なる方向に50mm/分の速さで連
続的に銅箔を引き剥し、その時の応力を引張り試験機に
て測定し、その応力の最低値を示した。 5.熱膨張特性 銅箔を除去した積層体を7mm角に切り出し、厚さ方向
の熱膨張量を昇温速度20℃/分の速さで熱機械分析装
置により測定した。 6.難燃性 UL94規格に相当する燃焼性試験を行った。 6.樹脂流れ性 硬化性複合材料材料を3枚重ね170℃にて10分間プ
レス成形機により面圧22kg/cm2 でプレスし、は
み出した樹脂組成物を秤量し、樹脂組成物の体積を求め
る。これをプレス前の硬化性複合材料中の樹脂組成物の
みの体積で割った値を示した。 7.クラック 樹脂の強靱性を調べるために多層プリント配線板を作成
し、−65℃と125℃の間の冷熱衝撃を100回与え
て配線板内部に樹脂クラックが発生するかどうか調べ
た。
【0075】いずれの実施例においても、熱膨張率が小
さく、強靱で、樹脂流動性を持ち、優れた誘電特性を持
った硬化物が得られた。諸物性については表3の通りで
あった。
【0076】
【比較例6】シリカおよび水添ブロック共重合体を加え
なかった点を除いては実施例11と同一の組成で、同様
な手法で硬化物を作成した。熱膨張率が実施例11に比
べて大であり、クラックが発生した。
【0077】
【比較例7】シリカを加えなかった点を除いては実施例
18と同一の組成で、同様な手法で硬化物を作成した。
熱膨張率が実施例18に比べて大であり、クラックが発
生した。
【0078】
【比較例8】水添ブロックコポリマーを加えなかった点
を除いては実施例16と同一の組成で、同様な手法で硬
化物を作成した。クラックが発生した。
【0079】
【比較例9】シリカを125部とした点を除いては実施
例18と同一の組成で、同様な手法で硬化物を作成し
た。樹脂の流れ性が悪く、銅箔引き剥し強さが低下し
た。
【0080】
【比較例10】水添ブロックコポリマーを60部とした
点を除いては実施例18と同一の組成で、同様な手法で
硬化物を作成した。樹脂の流れ性が悪く、熱膨張率が大
であった。以上の比較例の諸物性は実施例11〜20と
併せて表3に示した。
【0081】
【表2】
【0082】
【表3】
【0083】実施例1および2と比較例1、実施例8と
比較例2、および実施例6と比較例3との比較から明ら
かなように、硬化樹脂組成物の熱膨張特性および強靱性
は10〜400重量部のシリカおよび1〜50重量部の
水添ブロック共重合体を混合することによって改善され
た。実施例8と比較例4、および実施例8と比較例5の
比較により、シリカを400重量部を越えて、あるいは
水添ブロック共重合体を50重量部を越えて添加すると
樹脂の流動性が低下して好ましくないことが明らかであ
る。
【0084】また、硬化複合材料の熱膨張特性および強
靱性は実施例11と比較例6、実施例18と比較例7、
および実施例16と比較例8との比較から明らかなよう
に10〜100重量部のシリカおよび1〜50重量部の
水添ブロック共重合体を混合する事によって改善され
た。実施例18と比較例9との比較により、シリカを1
00重量部を越えて添加すると樹脂の流動性が低下し、
かつ銅箔引き剥し強さが低下して好ましくないことが明
らかである。実施例18と比較例10との比較により、
水添ブロック共重合体を50重量部を越えて添加すると
樹脂流動性が低下し、かつ線膨張率が大きくなって好ま
しくないことが明らかである。また、これらの実施例と
比較例から、シリカを混合しても従来の組成物と比較し
て硬化性複合材料および硬化複合材料の化学的性質およ
び電気的性質は同等であることがわかる。このことは本
発明の積層体が多層プリント配線板用材料として好まし
いことを示している。
【0085】
【発明の効果】本発明の硬化性ポリフェニレンエーテル
系樹脂組成物を用いることにより優れた誘電特性、機械
特性、耐薬品性、耐熱性を有しかつ従来にない低熱膨張
率と強靱性を有する硬化ポリフェニレンエーテル系樹脂
組成物が得られる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08L 53/02 C08L 53/02 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 1/00 - 101/16

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)、(a)成分と(b)成分の和1
    00重量部を基準として、98〜40重量部のポリフェ
    ニレンエーテルと不飽和カルボン酸または酸無水物との
    反応生成物、(b)、(a)成分と(b)成分の和10
    0重量部を基準として、2〜60重量部のトリアリルイ
    ソシアヌレートおよび/またはトリアリルシアヌレー
    ト、(c)、(a)成分と(b)成分の和100重量部
    を基準として、10〜400重量部のシリカ、(d)、
    (a)成分と(b)成分の和100重量部を基準とし
    て、1〜50重量部の少なくとも1個のビニル芳香族化
    合物を主体とする重合体ブロックAおよび少なくとも1
    個の共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBと
    から成るブロック共重合体を水素添加して得られる水添
    ブロック共重合体からなることを特徴とする硬化性ポリ
    フェニレンエーテル系樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の硬化性ポリフェニレンエ
    ーテル系樹脂組成物を硬化して得られた硬化ポリフェニ
    レンエーテル系樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 (a)、(a)成分と(b)成分の和1
    00重量部を基準として、98〜40重量部のポリフェ
    ニレンエーテルと不飽和カルボン酸または酸無水物との
    反応生成物、(b)、(a)成分と(b)成分の和10
    0重量部を基準として、2〜60重量部のトリアリルイ
    ソシアヌレートおよび/またはトリアリルシアヌレー
    ト、(c)、(a)成分と(b)成分の和100重量部
    を基準として、10〜100重量部のシリカ、(d)、
    (a)成分と(b)成分の和100重量部を基準とし
    て、1〜50重量部の少なくとも1個のビニル芳香族化
    合物を主体とする重合体ブロックAおよび少なくとも1
    個の共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックBと
    から成るブロック共重合体を水素添加して得られる水添
    ブロック共重合体、および(e)、(a)〜(e)成分
    の和100重量部を基準として、5〜90重量部の基材
    からなることを特徴とする硬化性複合材料。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の硬化性複合材料を硬化し
    て得られた硬化複合材料。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の硬化複合材料と金属箔か
    らなる積層体。
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