JP2000320761A - 波形管用継手 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 構造を複雑なものとすることなく、継手本体
どうしの接続面間での水密性の維持と、管周方向での水
密状態の維持とを確実にでき、延いては、漏水や浸水の
生じることのない波形管用継手の提供。 【解決手段】 円弧状部11の両端部から外周方向に向か
って突出する締め付け用突出縁12,12を備えた合成樹脂
製の継手本体１と、円弧状部21の両端部から外周方向に
向かって突出するフランジ縁22,22を備えた弾性素材製
の水密用パッキング２とからなり、前記継手本体１は、
軸線方向の両端部分ｂ，ｂの内周面に波形管の谷部と噛
み合う係合突起17,17が形成され、前記突出縁12,12の表
面側には、継手本体１の軸線方向に沿って突出する突条
14と、その外側に締め付け用ボルト穴16とが形成され、
前記水密用パッキング２は、フランジ縁22,22の背面側
に継手本体１における前記突条14と嵌合する凹溝24が軸
線方向に沿って形成され、かつ、前記継手本体１への取
り付け状態において、該凹溝24の表面側部分が、継手本
体１における突出縁12,12の表面よりも表面側に適宜厚
さｏだけ突出させてあるもの。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、外周面が凹凸波形
状に形成されている２本の合成樹脂製波形管どうしを水
密状態に接続連結するのに適した波形管用継手に関する
ものである。

【０００２】

【従来の技術】従来からこの種の波形管用継手には、多
種多様のものが製造され使用されている。これらを構造
的に大別すると、継手本体を凹凸のない円筒状に形成し
たものと接続する管体の凹凸波形に合わせた凹凸形状を
備えたものとがある。また、継手本体を筒状にしたもの
と二つ割り状にしたものとがある。

【０００３】而して、後者の継手本体を二つ割り状とし
たもので、その本体形状を接続する管体の螺旋凹凸に合
わせた螺旋凹凸状に形成したものは、例えば実開平６−
４４３３４号公開公報にみられるように公知である。

【０００４】ここに示されている螺旋波形管用の継手
は、螺旋凹凸状に形成した継手本体とは別に、外形をこ
の螺旋凹凸に一致するようにし、内形を接続する管体の
螺旋凹凸に合わせた螺旋凹凸状としたシール部材を別途
に形成し、このシール部材を継手本体に嵌合させた状態
で、接続しようとする２本の波形管の管端どうしの突き
合わせ部分を覆うように上下に配置し、継手本体のそれ
ぞれの対向する突出縁どうしを、同突出縁に形成されて
いるボルト穴を介して締め付け用ボルトとナットとで締
め付けて固定するようになっている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、該公知
の波形管用継手にあっては、前記のように、継手本体を
螺旋凹凸状に形成し、この螺旋凹凸に一致する螺旋凹凸
状の外形と、接続する管体の螺旋凹凸と一致する螺旋凹
凸状の内形とを備えたシール部材を形成し、これらを一
対として対向配置させて使用するようにしたものであ
る。そのため、シール部材の対向する凹凸波形状の端面
を、全域に亙ってぴったりと圧接密着させることが困難
で、シール部材どうしの圧接面から漏水若しくは浸水が
生じ易く、また、シール部材と管体との周方向の全周に
亙って水密状態を保持するように密着させることも成形
精度上困難で周方向での漏水若しくは浸水も確実に阻止
することができにくいという課題を有するものである。

【０００６】そこで、本発明は、このような従来公知の
波形管用継手が有していた課題を解決することを目的と
し、構造を複雑なものとすることなく、継手本体どうし
の接続面間での水密性の維持と、管周方向での水密状態
の維持とを確実にでき、延いては、漏水や浸水の生じる
ことのない波形管用継手をここに提供しようとするもの
である。

【０００７】

【課題を解決するための手段】該目的を達成するための
本発明の構成を、実施例説明に使用した符号を用いて説
明すると、本発明にいう波形管用継手の構成は、円弧状
部１１の両端部から外周方向に向かって突出する締め付
け用突出縁１２，１２を備えた合成樹脂製の継手本体１
と、円弧状部２１の両端部から外周方向に向かって突出
するフランジ縁２２，２２を備えた弾性素材製の水密用
パッキング２とからなり、前記継手本体１は、軸線方向
の両端部分ｂ，ｂの内周面に、波形管の谷部と噛み合う
係合突起１７，１７が形成され、前記突出縁１２，１２
の表面側には、継手本体１の軸線方向に沿って突出する
突条１４と、その外側に締め付け用ボルト穴１６とが形
成され、前記水密用パッキング２は、フランジ縁２２，
２２の背面側に継手本体１における前記突条１４と嵌合
する凹溝２４が軸線方向に沿って形成され、かつ、前記
継手本体１への取り付け状態において、該凹溝２４の表
面側部分が、継手本体１における突出縁１２，１２の表
面よりも表面側に適宜厚さｏだけ突出している構成とし
たものである。

【０００８】

【発明の実施の形態】このような構成とした波形管用継
手を実施するに当たっては、前記継手本体１を半円弧状
の二分割体とし、それぞれの半円弧状部１１を半円より
も少し小円に形成されているものとして実施したり、継
手本体１を円の３分の１よりも少し小さい円弧状の三分
割体として実施したりすることができる。もし、必要で
あれば四分割体として実施することも可能である。

【０００９】また、継手本体１の両端部分ｂ，ｂに形成
されている前記係合突起１７，１７は、接続する波形管
の凹凸波形が螺旋波形の場合には、当該螺旋波形管の谷
部とうまく噛み合う螺旋方向に向けて形成され、接続す
る波形管が環状の凹凸波形管の場合には、当該環状凹凸
波形管の谷部とうまく噛み合う環状方向に形成されてい
るものとして実施される。

【００１０】本発明にいう継手本体１を形成する合成樹
脂素材は、特に限定されるものではないが、例えばポリ
エチレン，ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂や
ポリ塩化ビニール等の熱可塑性硬質樹脂素材、樹脂素材
をガラス繊維で強化させたＦＲＰ等が好ましく、殊に経
時劣化しにくく、引っ張り耐力に優れた素材を選択使用
するのがよい。また、水密用パッキング２の素材は、天
然ゴム・合成ゴムのほか、弾性を備えた軟質の合成樹脂
素材を用いることができる。また、継手本体１と水密用
パッキング２とはそれぞれ別体として形成し、両者を接
着させて一体物としてもよく、使用時に両者を嵌合させ
て用いる形態のものとしても実施することができる。

【００１１】

【実施例】以下本発明の実施例について図面に基づいて
説明する。図１乃至図８は本発明にいう波形管用継手の
第１実施例について示した図である。図１は半割り状態
の継手の内面形状を示す斜視図、図２及び図３はパッキ
ング及び継手本体の単体形状を示す斜視図、管体との関
係を示す継手の平面図である。また、図５は継手の形状
を説明するための側面図、図６は図４のＡ−Ａ線に沿っ
て切断した断面図、図７及び図８はパッキングと継手本
体との関係を説明する説明図である。

【００１２】該実施例に示した継手は螺旋凹凸波形管用
の継手である。この継手本体１は、上下二つ割り状とし
た半割り体であって、図１及び図３乃至５に示したよう
に、平面視形状を略長方形状とし、側面視形状を略半円
状としたものである。該半円状とした円弧状部１１には
図５，６にみられるように、軸線方向に沿った両端部か
ら外側に向かって突出し、かつ、上下方向において当該
半円弧の約３分の１程度の上下に長い締め付け幅を備え
た締め付け用突出縁１２，１２を一体的に備えている構
造としたガラス繊維入りポリプロピレン樹脂製の成型単
体品である。

【００１３】而して、該継手本体１は、その軸線方向の
両端部分ｂ，ｂの内周面に、連結する螺旋凹凸波形管
Ｐ，Ｐの谷部ｖと噛み合わせるために螺旋方向に向かっ
て傾斜した係合突起１７，１７…がそれぞれ２つづつ形
成されている。これらの両端部分ｂ，ｂの間の中間部分
ａは、パッキング２を嵌め込むために必要な凹入部とし
て、その内周面を一段低い凹入部１３に形成してある。
また、該凹入部１３に連なる前記突出縁１２，１２の切
断端面には、凹入部１３の内周面に沿って、切断端面方
向（図５において上方）に向かって突出する突条１４が
形成され、その外側（図５において左右方向）に一段低
い窪み部１５が形成され、この窪み部１５の長手方向２
か所に継手本体１，１どうしの締め付け用ボルト穴１
６，１６が形成されている。この実施例図では、窪み部
１５の外側に立ち上がりリブ１８が形成されているもの
として示してある。

【００１４】更に該継手本体１は、図５に示したよう
に、二分割した分割面が真円の中心ｃを通る二分割線に
対して図におけるｓだけ少し小さい円弧状に形成してあ
る。このようにすることによって、締め付け力が全周に
強力に伝達できるようにしてある。

【００１５】前記水密用パッキング２は、ゴムや軟質合
成樹脂のような弾性を備えた素材で全体が一体的に形成
されている単一体である。この主体部分は、図２その他
の図にみられるように、平面視形状が方形状で、側面視
形状が略半円状とした円弧状部２１と、その軸線方向に
沿った両端部から外側に向かって突出する略平坦なフラ
ンジ縁２２，２２とからなっている。

【００１６】該水密用パッキング２は、その軸線方向の
長さが継手本体１における前記凹入部１３とぴったりと
嵌まり込む長さとされ、その肉厚は凹入部１３の深さよ
りも厚肉に形成され、凹入部１３から継手本体１の内面
側に適宜厚さ突出する厚さに形成してある。また、前記
フランジ縁２２，２２は、その背面側に継手本体１にお
ける前記突条１４と嵌合する凹溝２４と、その外側に継
手本体１における前記窪み部１５と接当する厚肉部２５
を備え、この厚肉部２５に継手本体１における前記締め
付け用ボルト穴１６，１６と対応する箇所にボルト貫通
用穴２６，２６または平面視Ｕ字形の切欠穴が形成され
ている構造としてある。

【００１７】而して、該水密用パッキング２は、継手本
体１に取り付けた非圧縮・非締め付け状態において、継
手本体１における前記突条１４と嵌合した前記凹溝２４
部分の表面部が、継手本体１の突出縁１２の表面、該実
施例のものでは、窪み部１５の外側のリブ１８の表面並
びに前記両端部分ｂ，ｂの表面よりも、図８に拡大して
示したように、表面側に向かって適宜厚さｏだけ突出し
ている構造としてある。

【００１８】このような構造とした波形管用継手を使用
するに当たっては、先ず、接着剤なり両面接着テープな
りを利用して、または、該実施例のもののように継手本
体１に形成した凹入部１３に嵌合させるなり、その他適
宜の手段によって、継手本体１にパッキング２を取り付
けた半割り継手の一つを所定位置に配置し、図４に示し
たように、接続しようとする２本の管体Ｐ，Ｐの切断端
面ｅを突き合わせ状とし、それぞれの管体Ｐ，Ｐの谷部
ｖ，ｖが継手本体１の係合突起１７，１７と噛み合うよ
うにしてその上に配置し、これら両管体Ｐ，Ｐの谷部
ｖ，ｖに、谷部を埋める図外の止水駒を配置し、図５に
示したように、その上から他の半割り継手を対向配置し
て、それぞれ対向する突出縁１２，１２どうしを締め付
け用ボルト穴１６，１６…を介してボルトとナットで締
め付けて固定すればよい。

【００１９】このときボルトを締め付けると、突出縁１
２，１２どうしが接近し、管体Ｐ，Ｐの螺旋頂部の全周
面を止水駒とともにパッキング２，２の円弧状部２１，
２１が圧縮し、同時に対向するパッキング２，２の凹溝
２４，２４の表面部分どうしが接当する。この状態から
更に締め付けると、この凹溝２４，２４の接当部分が凹
溝２４，２４と嵌合する突条１４，１４によって強力に
集中的に圧縮されることとなり、確実な止水ができる。

【００２０】以上本発明の代表的と思われる実施例につ
いて説明したが、本発明は必ずしもこの実施例のみに限
定されるものではない。例えば、継手本体１を半割り状
のものとすることのみならず、大径管用としては、三つ
割り状のものとしたり、四つ割り状のものとして、管体
に対して三方向または四方向から当てがって使用する形
態のものとして実施することもできる。

【００２１】また、継手本体１に形成してある突条１４
は、図９に要部を示したように、凹入部１３の内面から
少し外側に片寄った位置に形成してあるものとしてもよ
い。また、前記実施例に示した継手本体１の凹入部１３
は省略して実施することができる。

【００２２】また、図１０及び図１１に示したように、
継手本体１に形成してある締め付け用ボルト穴１６の周
りの部分１９を他の窪み部１５よりも高く、この実施例
では両端部ｂ，ｂの高さと同じ高さに形成し、図１１に
みられるように、パッキング２のフランジ縁２２にも、
この穴周りの部分１９に対応する形状の切欠き穴２６を
備えているものとして実施することができる。この場合
も、突条１４と嵌合したパッキング２の凹溝２４部分の
表面部は、該穴まわりの部分１９の表面よりも表面側に
向かって適宜厚さｏだけ突出している構造としてある。

【００２３】以上に示した実施例は、何れも螺旋凹凸波
形管用のものであるが、図１２に示した継手は、環状凹
凸波形管用の継手である。この継手本体１も、前記実施
例の場合と同様に、上下二つ割り状の半割り体としたも
のである。しかし、該継手本体１は、軸線方向両端部分
ｂ，ｂの内周面に突出形成させた係合突起１７，１７…
を、連結する環状凹凸波形管Ｐ，Ｐの環状の谷部ｖと噛
み合わせるために、環状方向に向かって突出形成させて
ある点で相違している。その他は、前記第１実施例に準
じた構造としてある。

【００２４】本発明は、このように螺旋凹凸波形管用の
ものと環状凹凸波形管用のものとを実施することがで
き、これらの実施例に示したものの他、本発明にいう前
記の構成要件を備え、かつ、本発明にいう目的を達成
し、以下にいう効果を有する範囲内において適宜改変し
て実施することができるものである。

【００２５】

【発明の効果】以上の説明から既に明らかなように、本
発明にいう波形管用継手は、軸線方向に沿って分割した
分割体とし、締め付け用の突出縁を備えている継手本体
の両端部分ｂ，ｂの内面に、波形管の谷部と噛み合う係
合突起を突出させて管体の軸線方向の抜け出し移動を阻
止させ、継手本体の中間部分ａにおいて、継手本体の突
出縁の間に挟み込ませるフランジ縁を備えたパッキング
部材を継手本体の内面に取り付けて使用するようにした
ものであって、継手本体のこの突出縁に軸線方向に沿う
突条を設け、パッキングのフランジ縁の背面には凹溝を
設けてこれらを嵌合させ、この嵌合状態において、凹溝
の表面側部分が、継手本体の表面よりも表面側に適宜厚
さｏだけ突出している構成としてあるので、使用時にお
いて、対向させた突出縁どうしをボルト・ナットで締め
付けることにより、パッキングの凹溝の表面側が先ず接
当し、続いてこの接当面が凹溝と嵌合する継手本体の突
条によって強力に集中的に圧縮されることとなるので、
簡単なボルト・ナットの締め付け操作によって、容易か
つ迅速に確実な水密状態に管体の接続ができるという顕
著な効果を有する。

【図面の簡単な説明】

【図１】半割り状とした螺旋波形管用継手の斜視図。

【図２】同波形管用継手を構成するパッキングの斜視
図。

【図３】同波形管用継手を構成する継手本体の斜視図。

【図４】継手と管体との関係を示す継手内面の平面図。

【図５】継手と管体との関係を示す継手の側面図。

【図６】図４におけるＡ−Ａ線断面図。

【図７】継手本体とパッキングとの分離状態を示す部分
断面図。

【図８】継手本体とパッキングとの取り付け状態を示す
部分断面図。

【図９】別実施例の継手本体の突条部分を示す断面図。

【図１０】別の螺旋波形管用継手の継手本体を示す平面
図。

【図１１】図１０の継手本体に用いるパッキングを示す
平面図。

【図１２】環状凹凸波形管用継手の図４相当部分を示す
平面図。

【符号の説明】

１ 継手本体 １１ 円弧状部 １２ 突出縁 １４ 突条 １６ ボルト穴 １７ 係合突起 ２ 水密用パッキング ２１ 円弧状部 ２２ フランジ部 ２４ 凹溝 ２５ 厚肉部 ａ 中間部分 ｂ 端部分 Ｐ 波形管

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 菊森 康博 大阪府高槻市栄町１丁目２番１号 東拓工 業株式会社内 Ｆターム(参考） 3H017 CA03

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 円弧状部(11)の両端部から外周方向に向
   かって突出する締め付け用突出縁(12)，(12)を備えた合
   成樹脂製の継手本体(1)と、円弧状部(21)の両端部から
   外周方向に向かって突出するフランジ縁(22)，(22)を備
   えた弾性素材製の水密用パッキング(2)とからなり、前
   記継手本体(1)は、軸線方向の両端部分ｂ，ｂの内周面
   に波形管の谷部と噛み合う係合突起(17)，(17)が形成さ
   れ、前記突出縁(12)，(12)の表面側には、軸線方向に沿
   って突出する突条(14)と、その外側に締め付け用ボルト
   穴(16)とを備え、前記水密用パッキング(2)は、フラン
   ジ縁(22)，(22)の背面側に継手本体(1)における前記突
   条(14)と嵌合する凹溝(24)が軸線方向に沿って形成さ
   れ、かつ、前記継手本体(1)への取り付け状態におい
   て、該凹溝(24)の表面側部分が、継手本体１における突
   出縁(12)，(12)の表面よりも表面側に適宜厚さｏだけ突
   出している構成としてある波形管用継手。
2. 【請求項２】 継手本体(1)が半円弧状の二分割体であ
   って、前記円弧状部(11)が半円よりも少し小円に形成さ
   れている請求項１に記載の波形管用継手。
3. 【請求項３】 継手本体(1)の両端部分ｂ，ｂに形成さ
   れた前記係合突起(17)，(17)が、螺旋波形管の谷部と噛
   み合う螺旋方向に形成されている請求項１または２に記
   載の波形管用継手。
4. 【請求項４】 継手本体(1)の両端部分ｂ，ｂに形成さ
   れた前記係合突起(17)，(17)が、環状凹凸波形管の谷部
   と噛み合う環状方向に形成されている請求項１または２
   に記載の波形管用継手。