JP2000311639A - 電子源の製造方法、画像形成装置の製造方法、電子源の製造装置および電子源の調整方法 - Google Patents

電子源の製造方法、画像形成装置の製造方法、電子源の製造装置および電子源の調整方法

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JP2000311639A
JP2000311639A JP2000043778A JP2000043778A JP2000311639A JP 2000311639 A JP2000311639 A JP 2000311639A JP 2000043778 A JP2000043778 A JP 2000043778A JP 2000043778 A JP2000043778 A JP 2000043778A JP 2000311639 A JP2000311639 A JP 2000311639A
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electron
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高弘 小口
Tomotake Suzuki
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 基板上に多数の電子放出素子をマトリクス状
または梯子状に並べた電子源を構成する各電子放出素子
の電子放出特性を均一にする。また、プロセス評価時間
を短くする。 【解決手段】 複数の表面伝導型放出素子を通常駆動す
る前に、それらの素子が共通に接続される第1配線とそ
れぞれに接続される複数の第2配線とに印加される電位
差により通常駆動時の印加電圧と特定の関係を有する電
圧を印加する予備駆動処理を行い、その際、第1配線に
接続された複数の各素子に印加される電圧の違いが緩和
されるように各第2配線の電位を設定する。 前記予備
駆動処理を同時に複数の第1配線について行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子放出素子を多
数個備える電子源であるマルチ電子源の製造方法、マル
チ電子源を用いた画像形成装置の製造方法、マルチ電子
源の製造装置およびマルチ電子源の調整方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、電子放出素子として熱陰極素
子と冷陰極素子の2種類が知られている。このうち冷陰
極素子では、例えば電界放出型素子(以下FE型と記
す)や、金属/絶縁層/金属型放出素子(以下MIM型
と記す)や、表面伝導型放出素子などが知られている。
【0003】FE型の例としては、例えば、W.P.D
yke & W.W.Dolan,“Field em
ission”,Advance in Electr
onPhysics,8,89(1956)や、あるい
は、C.A.Spindt,“Physical pr
operties of thin−film fie
ld emission cathodes with
molybdenium cones”,J.App
l.Phys.,47,5248(1976)などが知
られている。
【0004】また、MIM型の例としては、例えば、
C.A.Mead,“Operation of tu
nnel−emission Devices,J.A
ppl.Phys.,32,646(1961)などが
知られている。
【0005】また、表面伝導型放出素子としては、例え
ば、M.I.Elinson,Radio Eng.E
lectron Phys.,10,1290,(19
65)や、後述する他の例が知られている。
【0006】表面伝導型放出素子は、基板上に形成され
た小面積の薄膜に、膜面に平行に電流を流すことにより
電子放出が生ずる現象を利用するものである。この表面
伝導型放出素子としては、前記エリンソン等によるSn
2 薄膜を用いたものの他に、Au薄膜によるもの
[G.Dittmer:“Thin Solid Fil
ms”,9,317(1972)]や、In23 /S
nO2 薄膜によるもの[M.Hartwell and
C.G.Fonstad:“IEEE Trans.
ED Conf.”,519(1975)]や、カ−ボ
ン薄膜によるもの[荒木久 他:真空、第26巻、第1
号、22(1983)]等が報告されている。
【0007】これらの表面伝導型放出素子の素子構成の
典型的な例として、図67に前述のM.Hartwel
lらによる素子の平面図を示す。同図において、300
1は基板で、3004はスパッタで形成された金属酸化
物よりなる導電性薄膜である。導電性薄膜3004は図
示のようにH字形の平面形状に形成されている。該導電
性薄膜3004に後述の通電フォ−ミングと呼ばれる通
電処理を施すことにより、電子放出部3005が形成さ
れる。図中の間隔Lは、0. 5〜1[mm]、Wは、
0. 1[mm]で設定されている。なお、図示の便宜か
ら、電子放出部3005は導電性薄膜3004の中央に
矩形の形状で示したが、これは模式的なものであり、実
際の電子放出部の位置や形状を忠実に表現しているわけ
ではない。
【0008】M.Hartwellらによる素子をはじ
めとして上述の表面伝導型放出素子においては、電子放
出を行う前に導電性薄膜3004に通電フォ−ミングと
呼ばれる通電処理を施すことにより電子放出部3005
を形成するのが一般的であった。すなわち、通電フォ−
ミングとは、前記導電性薄膜3004の両端に一定の直
流電圧、もしくは、例えば1V/分程度の非常にゆっく
りとしたレ−トで昇圧する直流電圧を印加して通電し、
導電性薄膜3004を局所的に破壊もしくは変形もしく
は変質せしめ、電気的に高抵抗な状態の電子放出部30
05を形成することである。なお、局所的に破壊もしく
は変形もしくは変質した導電性薄膜3004の一部に
は、亀裂が発生する。前記通電フォ−ミング後に導電性
薄膜3004に適宜の電圧を印加した場合には、前記亀
裂付近において電子放出が行われる。
【0009】このように、表面伝導型放出素子の電子放
出部を形成する際には、導電性薄膜に電流を流して該薄
膜を局所的に破壊もしくは変形もしくは変質させて亀裂
を形成する処理(通電フォ−ミング処理)を行う。この
後さらに通電活性化処理を行うことにより電子放出特性
を大幅に改善することが可能である。
【0010】すなわち、通電活性化処理とは通電フォ−
ミング処理により形成された電子放出部に適宜の条件で
通電を行って、その近傍に炭素もしくは炭素化合物を堆
積せしめる処理のことである。例えば、適宜の分圧の有
機物が存在し、全圧が10-2ないし10-3[Pa]程度
の真空雰囲気中において、電圧パルスを定期的に印加す
ることにより、電子放出部の近傍に単結晶グラファイ
ト、多結晶グラファイト、非晶質カ−ボンのいずれか、
もしくはその混合物を500[Å]以下の膜厚で堆積さ
せる。但し、この条件はほんの一例であって、表面伝導
型放出素子の材質や形状により適宜変更されるべきであ
るのは言うまでもない。
【0011】このような処理を行うことにより、通電フ
ォ−ミング直後と比較して、同じ印加電圧における放出
電流を典型的には100倍以上増加させることが可能で
ある。なお、通電活性化終了後には、真空雰囲気中の有
機物の分圧を低減させるのが望ましい。これを安定化工
程と呼ぶ。
【0012】上述の表面伝導型放出素子は、構造が単純
で製造も容易であることから、大面積にわたり多数の素
子を形成できる利点がある。そこで、例えば本出願人に
よる特開昭64−31332において開示されるよう
に、多数の素子を配列して駆動するための方法が研究さ
れている。
【0013】また、表面伝導型放出素子の応用について
は、例えば、画像表示装置、画像記録装置などの画像形
成装置や、荷電ビ−ム源等が研究されている。特に、画
像表示装置への応用としては、例えば本出願人によるU
SP5,066,883や特開平2−257551にお
いて開示されているように、表面伝導型放出素子と電子
の照射により発光する螢光体とを組み合わせて用いた画
像表示装置が研究されている。表面伝導型放出素子と螢
光体とを組み合わせて用いた画像表示装置は、従来の他
の方式の画像表示装置よりも優れた特性が期待されてい
る。例えば、近年普及してきた液晶表示装置と比較して
も、自発光型であるためバックライトを必要としない点
や、視野角が広い点が優れていると言える。
【0014】本出願人らは、上記従来技術に記載したも
のをはじめとして、様々な材料、製法、構造の表面伝導
型放出素子の製作を試みてきた。さらに、多数の表面伝
導型放出素子を配列したマルチビーム電子源、並びにこ
のマルチビーム電子源を応用した画像表示装置について
研究を行ってきた。
【0015】本出願人らは、例えば図68に示す電気的
な配線方法によるマルチ電子ビーム源の製作を試みてき
た。すなわち、表面伝導型放出素子を2次元的に多数個
配列し、これらの素子を図示のようにマトリクス状に配
線したマルチ電子ビーム源である。図中、4001は表
面伝導型放出素子を模式的に示したもの、4002は行
方向配線、4003は列方向配線である。行方向配線4
002および列方向配線4003は、実際には有限の電
気抵抗を有するものであるが、図においては配線抵抗4
004および4005として示されている。上述のよう
な配線方法を、単純マトリクス配線と呼ぶ。
【0016】なお、図示の便宜上、6×6のマトリクス
で示しているが、マトリクスの規模はむろんこれに限っ
たわけではなく、例えば画像表示装置用のマルチ電子ビ
ーム源の場合には、所望の画像表示を行うのに足りるだ
けの素子を配列し配線するものである。
【0017】表面伝導型放出素子を単純マトリクス配線
したマルチ電子ビーム源においては、所望の電子ビーム
を出力させるため、行方向配線4002および列方向配
線4003に適宜の電気信号を印加する。例えば、マト
リクスの中の任意の1行の表面伝導型放出素子を駆動す
るには、選択する行の行方向配線4002には選択電圧
Vsを印加し、同時に非選択の行の行方向配線4002
には非選択電圧Vnsを印加する。これと同期して列方
向配線4003に電子ビームを出力するための駆動電圧
Veを印加する。この方法によれば、配線抵抗4004
および4005による電圧降下を無視すれば、選択する
行の表面伝導型放出素子には、Ve−Vsの電圧が印加
され、また非選択行の表面伝導型放出素子にはVe−V
nsの電圧が印加される。Ve、Vs、Vnsを適宜の
大きさの電圧にすれば選択する行の表面伝導型放出素子
だけから所望の強度の電子ビームが出力されるはずであ
り、また列方向配線の各々に異なる駆動電圧Veを印加
すれば、選択する行の素子の各々から異なる強度の電子
ビームが出力されるはずである。また、表面伝導型放出
素子の応答速度は高速であるため、駆動電圧Veを印加
する時間の長さを変えれば、電子ビ−ムが出力される時
間の長さも変えることができるはずである。したがっ
て、表面伝導型放出素子を単純マトリクス配線したマル
チ電子ビ−ム源にはいろいろな用途が考えられており、
例えば画像情報に応じた電圧信号を適宜印加すれば、画
像表示装置用の電子源として応用できるものと期待され
る。
【0018】一方、本発明者らは、表面伝導型放出素子
の特性を改善するための研究を鋭意行った結果、表面伝
導型放出素子に対し通常の駆動を行うに先立ち、通常の
駆動時の電圧に対して特定の関係を満たす電圧を印加す
る工程(以下、予備駆動処理ともいう)を行うことで、
経時的な変化が低減できることを見出している。
【0019】なお、表面伝導型の電子放出素子の製造工
程として、実際の駆動時に印加する電圧よりも大きい電
圧を印加しておくことにより、実際に駆動する際の素子
の特性の変化を抑制できることは、本出願人らにより提
案されている。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、この予備駆
動処理を、基板上に多数の電子放出素子をマトリクス状
または梯子状に並べた電子源に適用し、プロセス評価時
間を短く、かつ電子源を構成する各電子放出素子が均一
な電子放出特性を得られるような予備駆動装置および方
法並びに電子源の製造方法を提供することを目的として
いる。
【0021】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明の第1の局面にかかわる電子源の製造方法の
は以下のように構成される。 すなわち、電子放出素子を
複数有する電子源の製造方法であって、複数の素子が共
通に接続される第1配線と、該複数の素子がそれぞれ接
続される複数の第2配線とにそれぞれ電位を印加して、
該第1配線と複数の第2配線に与えられる電位により前
記第1配線に接続される複数の素子に電圧V1を印加す
る電圧印加工程を有しており、該電圧V1は、この電圧
印加工程の後、通常の駆動電圧として印加される電圧の
最大値V2との関係が、前記2つの電極間に電圧を印加
したときに電子放出を伴う電圧範囲内の電圧Vを前記素
子に印加したときに該電圧Vの印加に伴って流れる電流
Iを、
【0022】
【数7】 とし、f'(V)を電圧Vにおけるf(V)の微係数とす
るとき、
【0023】
【数8】 という条件を満たす電圧であり、前記第2配線のそれぞ
れに印加される電位は、前記第1配線により前記各素子
に与えられる電位と前記第2配線のそれぞれによって前
記各素子に与えられる電位との電位差として各素子に印
加される電圧V1の差を緩和するように設定されること
を特徴とする電子放出素子の製造方法、である。
【0024】特にこの発明においては、第1配線で生じ
る電圧降下による各素子への印加電圧の違いを各第2配
線に与える電位を異ならせることによって緩和すると好
適である。第1配線上の複数の位置で各素子が接続され
ると、第1配線により各素子に与えられる電位はそれぞ
れ異なってしまう。 このとき、各第2配線により各素子
に与える電位を同じにすると、各素子に印加される電圧
V1に大きな差が生じる。 そこで、本発明のように各第
2配線に与える電位を各素子に印加される電圧V1の違
いを緩和するように設定することで、好適に電子源を製
造することが可能となる。
【0025】本発明において、前記電圧印加工程は、高
真空雰囲気で行うと好適である。また、前記電圧印加工
程は、前記各素子の電子放出部となる部分に雰囲気中の
物質もしくは雰囲気中の物質に基づく物質の堆積が抑制
された雰囲気で行うと好適である。 具体的には、堆積物
となる物質の分圧が1×10-6Pa以下の雰囲気で行う
とよい。
【0026】また、本発明において、前記各素子はそれ
ぞれが2つの電極を有するものであり、かつ該2つの電
極はそれらの間に間隙部を有するものであり、前記電圧
印加工程は、該電圧印加工程において前記2つの電極の
間の間隙部が雰囲気中の物質もしくは雰囲気中の物質に
基づく物質の堆積により狭くならない雰囲気で行うと好
適である。
【0027】また特に、本発明において、前記電圧印加
工程は、雰囲気中の炭素および炭素化合物の分圧が1×
10-6Pa以下の雰囲気で行うと好適である。また特
に、本発明において、前記電圧印加工程は、前記各素子
の電子放出部となる部分に堆積物を堆積させる工程を終
えた後に行うと好適である。 具体的には、この堆積物と
しては、炭素を含むものが好適である。 該堆積物は炭素
化合物であってもよい。
【0028】なお、前記電子放出素子が冷陰極素子であ
る場合に、本発明の製造方法は特に好適に採用しうる。
特には電界放出方の電子放出素子や、表面伝導型の電子
放出素子や、2つの電極の間に絶縁層を挟んだ構成のM
IM型の電子放出素子である場合に好適に採用できる。
例えば、表面伝導型放出素子の製造工程として、電子放
出部となる間隙部に炭素もしくは炭素化合物を堆積させ
る活性化といわれる工程が知られている。 本発明でいう
電圧印加工程は該活性化を行った後に行う工程として好
適である。 本発明の電圧印加工程はそのような堆積工程
を行った後に、雰囲気中の堆積物となる物質の分圧を低
くしてから行うとよい。
【0029】また特に、本発明において、前記電圧印加
工程中に、前記第2配線のそれぞれに印加する電位の更
新を行うようにすると好適である。第2配線に印加する
電位の更新を行うことにより、各素子の特性の変化に応
じて好適な電圧印加状態を維持することができる。 例え
ば所定時間ごとに印加する電位を変更するなど、電圧印
加工程の進行に応じて更新することもできる。特には、
配線に流れる電流などを検出することなどにより状態を
検出してそれに応じて更新すると好適である。 より具体
的にいうと、電圧印加工程時に素子を流れる電流を計測
する計測回路と、該計測回路の出力に基づいて前記第2
配線に供給すべき電位を算出する算出回路と、該算出回
路により第2配線のそれぞれに印加すべき電位が設定さ
れる電位分布発生回路を用いて第2配線に好適な電位を
供給することができ、素子に流れる電流が変化しても、
それに応じて第2配線に印加する電位を好適に設定する
ことができる。 さらに具体的にいうと、前記電位分布発
生回路は、前記算出回路により算出された各第2配線の
電位を設定されるラッチ回路と、このラッチ回路の出力
をアナログ値に変換するD/Aコンバータとにより構成
することができる。 また素子に流れる電流は、前述した
ように配線に流れる電流を検出することにより直接的も
しくは間接的に検出することができる。 第1配線に流れ
る電流を検出する方法や、第2配線それぞれに流れる電
流を検出する方法をとりうる。
【0030】本発明において、前記電圧印加工程におけ
る電位の印加は、パルス状の電位の印加であると好適で
ある。また本発明において、前記電圧印加工程における
前記各素子への電圧の印加はパルス状の電圧の印加であ
り、各素子に複数回パルス状の電圧の印加が行われると
好適である。 パルス状の電圧印加は、第1配線に印加さ
れる電位と第2配線に印加される電位の少なくとも一方
をパルス状に印加することによって行われる。例えば、
第1配線の電位が所定の状態になっているときに第2配
線にパルス状の電位を与えることにより素子に対してパ
ルス状の電圧を与えることができる。 第1配線の電位が
所定の状態になっている間に、第2配線により複数回の
パルス状電位を与えることにより、複数回パルス状の電
圧を印加することができる。 また、第1配線に所定の電
位を与えるステップを複数回行い、素子に複数回パルス
状の電圧を与える機会を設けることもできる。
【0031】また特に、本発明において、前記第1配線
に与えられる電位は、前記複数の第2配線それぞれに印
加される電位が、電位0[V]を挟んで分布するように
設定されるとよい。
【0032】また特に、本発明において、前記電圧印加
工程は、複数の前記第1配線の一部を選択する工程を含
んでおり、選択した前記第1配線に所定の電位を与え、
該選択した第1配線に接続される前記複数の素子に前記
電圧V1が印加されるようにするとよい。そのとき、前
記選択した第1配線以外の第1配線に、前記選択した第
1配線に印加する電位とは異なる所定の電位を与えるよ
うにすると好適である。 特には、選択されていない第1
配線に印加する電位は、該選択されていない第1配線に
より電位を与えられる素子に流れる電流が抑制される電
位を印加すると好適である。
【0033】また特に、本発明において、前記選択した
第1配線に印加する電位とは異なる所定の電位は、前記
選択された第1配線に接続される複数の素子に前記電圧
V1を印加するために前記複数の第2配線に印加される
電位の内の最大値よりも小さく最小値よりも大きい電位
であると好適である。
【0034】また特に、前記電圧印加工程は、前記選択
する第1配線を順次変更しながら、各第1配線のそれぞ
れに接続される複数の素子に対して、電圧V1を印加す
るようにするとよい。また、前記電圧印加工程におい
て、同時に選択する第1配線は、前記複数の第1配線の
うちの一部かつ複数であるとよい。
【0035】ここで、前記同時に選択する第1配線を決
定するステップを有すると好適である。同時に選択する
第1配線を決定するステップは、同時に選択する第1配
線の数を決定するものであったり、同時に選択する第1
配線をどれにするかを選択するものであったりする。 こ
の同時に選択する第1配線を決定するステップは、電圧
印加工程中に行うことができる。 具体的には、配線の抵
抗値や、検出した電流値などに基づいて決定することが
できる。 また、同時に選択する第1配線を決定するため
の情報をメモリに入れておき、該情報を参照することに
よって決めることもできる。
【0036】また特に、本発明において、前記電圧印加
工程において同時に選択する第1配線は、前記複数の第
1配線のうちの一部であり、前記複数の第1配線から前
記選択の対象としない第1配線を決定するステップを有
すると好適である。
【0037】また、本発明は、第2の局面にかかわる電
子源の製造方法として以下の構成のものを含む。 すなわ
ち、複数の第1配線のそれぞれに複数の電子放出素子が
接続される電子源の製造方法であって、前記複数の第1
配線のうちの一部かつ複数の第1配線を選択し、該選択
された複数の第1配線のそれぞれに接続される複数の素
子に対して、該選択された第1配線に印加される電位
と、前記選択された複数の第1配線のそれぞれに接続さ
れる前記複数の素子が接続される第2配線に印加される
電位とにより、電圧V1を印加する電圧印加工程を有し
ており、該電圧V1は、この電圧印加工程の後、通常の
駆動電圧として印加される電圧の最大値V2との関係
が、前記2つの電極間に電圧を印加したときに電子放出
を伴う電圧範囲内の電圧Vを前記素子に印加したときに
該電圧Vの印加に伴って流れる電流Iを、
【0038】
【数9】 とし、f'(V)を電圧Vにおけるf(V)の微係数とす
るとき、
【0039】
【数10】 という条件を満たす電圧であることを特徴とする電子放
出素子の製造方法、である。
【0040】ここで、前記第2配線は複数存在するもの
であり、前記複数の第1配線と前記複数の第2配線と
は、互いに交差する方向に概略沿って設けられるもので
あり、前記複数の第1配線と前記複数の第2配線とでマ
トリックス状の配線を構成するものであったり、前記第
1配線と前記第2配線とは、互いに概略平行な方向に沿
って設けられるものであるとよい。後者はいわゆる梯子
形の接続構成を含む。
【0041】同時に複数の第1配線を選択しながらその
第1配線に接続された複数の電子放出素子に電圧V1を
印加することによって短時間で電子源の全素子を予備駆
動することが可能になり、その結果特性の変動の少ない
マルチ電子源が実現できる。また、第1配線上で発生す
る電圧降下を第2配線から補償する駆動法と組み合わせ
ること、さらにその場合同時に選択するラインの組み合
わせ方を工夫したり、補償電圧の計算方法を工夫したり
することで、さらに均一な素子特性を得ることができ
る。これらの電子源を用いて高品位な画像表示装置を実
現できる。
【0042】また、本発明の第3の局面にかかわる製造
方法は、電子源と、該電子源が出力する電子の照射によ
り画像を形成する画像形成部材とを有する画像形成装置
の製造方法であって、前記電子源の製造方法として、前
記各発明の電子源の製造方法を用いることを特徴とする
画像形成装置の製造方法、である。
【0043】また、本発明は、第4の局面として、前記
各局面の電子源の製造方法を実施するための製造装置で
あって、前記第1配線に電位を印加する第1の電位印加
手段と、前記第2配線のそれぞれに電位を印加する第2
の電位印加手段と、第2の電位印加手段により印加する
電位を決定する電位決定手段とを有することを特徴とす
る電子源の製造装置も含んでいる。
【0044】このような電子源の製造装置としては、行
および列方向の配線(第2および第1配線)の交点に、
それぞれ素子の一対の素子電極を多数結線して行列状に
電子源を構成した単純マトリクス構成の表面伝導型放出
素子の予備駆動装置であって、素子作製時に単純マトリ
クスの行または列方向配線を選択してライン単位で予備
駆動処理を行うためのライン選択回路と電源回路、予備
駆動処理時に素子を流れる電流をライン単位に計測する
予備駆動電流検出回路、予備駆動電流検出回路の出力値
を基にして、前記ライン選択回路が接続された行または
列方向の配線と直交する列または行方向に印加する電圧
分布を算出する制御回路、制御回路から算出された電圧
分布を発生する電圧分布発生回路、および前記電圧分布
発生回路出力により単純マトリクス構成の表面伝導型放
出素子の列または行を駆動する駆動回路を有する予備駆
動装置を例示することができる。
【0045】この構成によれば、マルチ電子源基板のそ
れぞれの電子放出素子の電子放出特性が、通電端から素
子端間の配線抵抗での電圧降下に起因して生じる各素子
の不均一性によりバラツキを生じるという問題点を解決
することができ、またその素子特性を安定して保つこと
が可能になる。また、ライン単位で予備駆動処理を行う
ために予備駆動処理時間が短くて済むことになる。
【0046】例えば、単純マトリクスの行または列方向
配線を選択してライン単位で予備駆動処理を行う際、配
線抵抗のためにライン方向に生じる電圧降下を、前記ラ
イン選択回路が接続された行または列方向の配線と交差
する列または行に電圧分布を発生する電圧分布印加回路
により補償することができる。この時、予備駆動電圧印
加に従って変化する素子電流に応じて電圧分布印加回路
出力を更新することにより、予備駆動時に、通電端から
の距離差による素子毎の予備駆動電圧値の不均一性を解
消することができる。これにより、沢山の表面伝導型放
出素子を構成したマルチ電子源を均一に作製することが
可能になる。
【0047】また、本発明の第5の局面にかかわる電子
源の調整方法は以下のように構成される。 すなわち、電
子放出素子を複数有する電子源の調整方法であって、複
数の電子放出素子が共通に接続される第1配線と、該複
数の電子放出素子がそれぞれ接続される複数の第2配線
とにそれぞれ電位を印加して、該第1配線と複数の第2
配線に与えられる電位により前記第1配線に接続される
複数の電子放出素子に電圧V1を印加する電圧印加工程
を有しており、該電圧V1は、この電圧印加工程の後、
通常の駆動電圧として印加される電圧の最大値V2との
関係が、前記2つの電極間に電圧を印加したときに電子
放出を伴う電圧範囲内の電圧Vを前記素子に印加したと
きに該電圧Vの印加に伴って流れる電流Iを、
【0048】
【数11】 とし、f'(V)を電圧Vにおけるf(V)の微係数とす
るとき、
【0049】
【数12】 という条件を満たす電圧であり、前記第2配線のそれぞ
れに印加される電位は、前記第1配線により前記各電子
放出素子に与えられる電位と前記第2配線のそれぞれに
よって前記各電子放出素子に与えられる電位との電位差
として各電子放出素子に印加される電圧V1の差を緩和
するように設定されることを特徴とする電子放出素子の
調整方法、である。この調整方法によれば、出荷後に必
要に応じてさらなる調整を行うことが可能となる。
【0050】
【実施例】以下、実施例に基づき本発明をさらに詳しく
説明する。 [実施例1]上述のように、本出願人らは表面伝導型放
出素子の特性を改善するための研究を鋭意行った結果、
通常の駆動に先立ち、通常駆動時の印加電圧に対して特
定の関係を有する電圧を印加する処理(予備駆動処理)
を行うことで経時的な変化が低減することが出来ること
を見い出した。
【0051】まず初めに、この予備駆動工程について説
明する。すでに述べたように、表面伝導型放出素子の電
子放出部を形成する際には、通電フォーミング処理後、
通電活性化処理により電子放出部の近傍に炭素もしくは
炭素化合物を堆積せしめている。さらに通電活性化終了
後には、安定化工程を行うことが好ましい。この工程
は、真空容器内の有機物質を排気する工程である。真空
容器を排気する真空排気装置は、装置から発生するオイ
ル等の有機物質が素子の特性に影響を与えないように、
オイルを使用しないものを用いるのが好ましい。具体的
には、磁気浮上型ターボ分子ポンプ、クライオポンプ、
ソープションポンプ、イオンポンプ等の真空排気装置を
挙げることが出来る。真空容器内の有機成分の分圧は、
上記の炭素および炭素化合物がほぼ新たに堆積しない分
圧で1×10-6Pa以下が好ましく、さらには1×10
-8Pa以下が特に好ましい。さらに真空容器内を排気す
るときには、真空容器全体を加熱して、真空容器内壁
や、電子放出素子に吸着した有機物質分子を排気し易く
するのが好ましい。安定化工程により得られるこのよう
な真空雰囲気中の有機物の分圧を低減した雰囲気で、通
常の駆動に先立って施される通電処理が予備駆動処理で
ある。
【0052】表面伝導型放出素子において駆動中の電子
放出部近傍の電界強度は極めて高い。このため同一の駆
動電圧で長期間駆動すると、放出電子量が徐々に低下す
るという問題があった。高い電界強度に起因する電子放
出部近傍の経時的な変化が、放出電子量の低下となって
現れているものと思われる。
【0053】この点について説明する。Fowlerと
Nordheimらによれば、FE型の電子放出素子か
ら放出される電流Iと、カソード−ゲート間に印加され
る電圧Vとの関係は
【0054】
【数13】 で表される。上記式中、AおよびBは、電子放出部近傍
の材料および放出面積に依存する定数であり、βは電子
放出部近傍の形状に依存するパラメータであり、電圧V
にβを乗じた値が電界強度となる。ここで、FE型の電
子放出素子を例に取って説明するのは、表面伝導型の電
子放出素子においても同式を一対の電極間に印加した電
圧Vに対して、電子電流または放出電流Iと置き換える
だけで同様に表現されることを見出したためである。
【0055】図62のグラフにプロットされた電気特性
を直線(図62中の破線)で近似すると、印加電圧Vを
近似直線の傾きSで除した値に負符号を付けた値
【0056】
【数14】 が、カソード23とゲート24間に形成される電界の強
度に比例することが分かる。
【0057】さらに、上記関係をもう少し一般化して表
現すると、放出電流Iと電圧Vとの関係を
【0058】
【数15】 なる関数で表現し、f'(V)を電圧Vにおけるf(V)
の微係数とする時、電圧Vにおける電界強度は(式3)
より、
【0059】
【数16】 と表され、
【0060】
【数17】 に比例することがわかる。
【0061】FE型電子放出素子における上記電界強度
の代表的な値は、およそ107 V/cmのオーダーと非
常に高い値である。この点もまた、表面伝導型電子放出
素子の一対の電極間に適用される。
【0062】このように大きな電界強度のもとで、通常
の方法によって長期間駆動を継続していくと、強電界下
における構成部材の変化が不定期に発生し、放出電流値
が不安定になる。また、上記変化が不可逆的に起こる
と、放出電流の低下を伴うことが多く、画像表示装置に
おいては輝度の低下となって現れる。上述の駆動中の電
流の不安定性は、通常の駆動に先立ち行われる駆動方法
である予備駆動を行うことで低減することが出来る。
【0063】本発明の予備駆動は、例えば以下のような
手順にて実施する。先ず、予備駆動を適用する電子放出
素子の、少なくとも二組の異なる駆動電圧における印加
電圧と放出電流、並びに、それぞれの印加電圧における
放出電流の微係数を求める。例えば、図63に示すよう
に、V1の印加電圧に対応する放出電流値I1と、V1
をdV1だけ微小変化させた時の放出電流の変化量dI
1から、放出電流の微係数I’1をI’1=dI1/d
V1より求め、同様に、V2に対応する放出電流値I2
と、微係数I’2を求める。
【0064】次に、各印加電圧V1、V2に対応する
(式7)中のf(V)をI1、I2とし、f'(V)を
I’1、I’2として、(式7)から求まる値を比較す
る。この時例えば、
【0065】
【数18】 という関係が得られた場合、V1を予備駆動電圧(以
下、Vpreと表記する)として採用し、V2を通常の
駆動電圧(以下、Vdrvと表記する)として採用す
る。逆に、
【0066】
【数19】 という関係が得られた場合、V2を予備駆動電圧(以
下、Vpreと表記する)として採用し、V1を通常の
駆動電圧(以下、Vdrvと表記する)として採用す
る。
【0067】以上予備駆動は、駆動時における電界強度
が安定するまでの時間行うことが望ましいが、予備駆動
時の電界強度の相対的な変化率が5%以内に収まるまで
予備駆動を継続すれば、引き続き駆動を行っても電界強
度の変動率は5%程度以内に収まり、予備駆動の効果が
十分実現されることがわかった。従って、(式7)よ
り、f(Vpre)/{Vpre・f'(Vpre)−2
f(Vpre)}の値の変化率が5%以内になるまでの
時間予備駆動を実施すればよい。
【0068】上記予備駆動時には、予備駆動時における
電界強度の変化率をモニタしながら、電圧の印加を行う
とよい。予備駆動電圧にはパルス電圧を好適に用いるこ
とができ、例えばパルス休止時間(パルス電圧が印加さ
れてから、次のパルス電圧が印加されるまでの間)に電
界強度の変化率を算出しながら電圧の印加を行い、上記
変化率が5%以内になったところで電圧の印加を停止す
ればよい。
【0069】予備駆動時の電界強度の変化率を見るため
には、例えば以下の方法を用いることができる。予備駆
動電圧としてV1を採用した場合、予備駆動時に、予備
駆動電圧V1およびV1と微少電圧dV1異なる電圧V
12を連続して印加し、それぞれの電圧を印加した時に
流れる電流I1、I12、およびI1、I12の差dI
1を求める。ここで、f'(V1)=dI1/dV1であ
り、また、(式5)よりf(V1)=I1であるから、
上記f(V1)/{V・f'(V1)−2f(V1)}は
【0070】
【数20】 となり、Epreの値の変化率を見ればよいことにな
る。
【0071】予備駆動における電圧波形としては、図6
4(a)、(b)、(c)に示すような電圧波形を用い
ることができる。図64(a)は予備駆動電圧V1をT
1時間印加した直後に電圧V12までT12時間かけて
電圧が変化する電圧波形である。図64(b)は、予備
駆動電圧V1をT1時間印加した直後に電圧V12をT
12時間印加する電圧波形である。また、図64(c)
は、予備駆動電圧V1をT1時間印加した後にV12の
電圧をT12時間印加する電圧波形である。各印加電圧
V1、V12における電流値より、上記Epreの値の
変化率を求め、変化率が5%以内になるまで予備駆動を
実施すればよい。
【0072】さらに、安定化工程を施した(式8)に該
当する電子放出素子においては、素子電流If、放出電
流Ieは素子電圧Vfに対してMI特性を有し、素子電
圧Vfに対して素子電流Ifおよび放出電流Ieが一義
的に決まる特性を有する。またこの時のIf−Vf特
性、Ie−Vf特性は、安定化工程後に印加された最大
電圧Vmaxに依存する。
【0073】この電子放出素子のI−V特性について、
図65(a)、(b)を用いて説明する。図65(a)
は素子電流Ifと素子電圧Vfの関係を示した図であ
り、図65(b)は放出電流Ieと素子電圧Vfとの関
係を示した図である。
【0074】図65(a)、(b)において、 実線で示
されるのは、 最大電圧Vmax=Vmax1で駆動した
素子のI−V特性である。この素子をVmaxlより以
下の素子電圧で駆動する時には、この実線で示されるI
−V特性と同じI−V特性を有する。しかし、Vmax
l以上の電圧Vmax2で駆動すると、 素子は図中破線
で示されるように異なるI−V特性を示すようになり、
この素子をVmax2以下の素子電圧で駆動する時に
は、 この破線で示されるI−V特性と同じI−V特性を
有するようになる。これは、 電子放出素子に印加される
最大電圧Vmaxによって、 電子放出部の形状や電子放
出面積等が変化するためと考えられる。
【0075】予備駆動工程において素子電圧V1なる電
圧で素子を予備駆動することにより、 電子放出素子は図
66に示すようにVmax=V1なる電圧によって一義
的に決められるlf−Vf特性およびIe−Vf特性を
有するようになる。
【0076】次に、 予備駆動終了時の素子電圧Vf1に
おける素子電流をIf1とし、 予備駆動により決められ
たIf−Vf特性より、If2≦0.7IflとなるV
f2を選択し駆動電圧とする(図66中のVf2)。こ
れは、If2≦0.7If1となる駆動電圧とすること
により、放出電流の低下を長時間抑制することができる
からである。
【0077】素子電圧Vf1で予備駆動を行った素子
に、 上述のようにIf2≦0.7Iflとなる駆動電圧
Vf2を印加しても、 電子放出部の形状や放出面積の変
化はほとんど生じないと考えられるため、 駆動時におい
ては、 予備駆動時とほぼ同じ放出面積を有しながら、 予
備駆動時よりも低い素子電流Ifで駆動することにな
る。そのため、 駆動時に電子放出部に流れる素子電流の
電流密度を下げることができ、電子放出部の熱的な劣化
を抑え、長時間安定に電子放出させることができるもの
と考えられる。
【0078】上記予備駆動は、予備駆動後に予備駆動電
圧よりも低い電圧で駆動する際に、電子放出素子のIf
−Vf特性およびIe−Vf特性が変化しないために必
要な時間行えばよく、パルス幅が数μsec〜数十ms
ec、好ましくは10μsec〜10msecのパルス
電圧を数パルス〜数十パルス以上印加することにより、
行うことができる。
【0079】なお、V1>V2なる電圧において、 (式
9)のような関係がある場合は、 予備駆動電圧Vpre
に対して通常の駆動電圧Vdrvが高い電圧となり、V
preの電圧にて変化させた電子放出部 (電子放出部A
と呼ぶ) に対しては、Vdrvの電圧を印加した時点で
さらに高い電界強度がかかることになる。しかし、 この
時点での電子放出量を左右する主たる電子放出源は異な
る別の電子放出部 (電子放出部Bと呼ぶ) となってお
り、 全放出電流に占める電子放出部Aの寄与は小さい。
このような関係であっても、 やはり予備駆動は有効であ
り、 予めVpreの電圧を印加することで、電子放出部
Aの大幅な変動要因を予め減少させ、その後のVdrv
の駆動電圧における破壊的な変動を未然に防ぐことが出
来る。
【0080】以上のように説明した予備駆動方法は、F
E型電子放出素子や表面伝導型電子放出素子以外の電子
放出素子、例えばMIM型の電子放出素子に対しても有
効である。
【0081】多数の電子放出素子を単純マトリクス配線
したマルチ電子源を製造する際においても、駆動に先立
って、マルチ電子源を構成する全ての素子に対し予備駆
動処理を行うことで安定した電子放出特性を有するマル
チ電子源を実現することができる。以上、予備駆動の定
義及び単素子における有効な駆動時間の出し方について
説明した。
【0082】次に、図1により本実施例に係る表面伝導
型放出素子の予備駆動装置について説明する。図中、1
01は予備駆動をするための表面伝導型放出素子基板で
ある。本実施例において、基板101には複数の表面伝
導型放出素子がマトリックス状に配線されており、既に
フォーミング処理および活性化処理が完了し、安定化工
程にあるものとする。基板101は不図示の真空排気装
置に接続されており、1×10 -7Pa以下程度に真空排
気されている。さらに行方向配線端子Dx1〜Dxmおよび
列方向配線端子Dy1〜Dynを介して外部の電気回路と接
続されている。102は予備駆動ラインを選択するライ
ン選択回路で、タイミング発生回路105の指示に従っ
て行方向配線を選択し、その選択した行方向配線に電源
104の電圧を印加している。103は電流モニタ回路
で、選択した行方向配線に電圧印加した際、その行に流
れる電流をモニタする。電流モニタ回路103は、検出
用抵抗Rmonと、抵抗の両端に発生する電圧を計測す
る計測アンプから成り立っており、これにより予備駆動
電流Iを検出し、予備駆動電流値109として制御回路
106に出力する。なお、検出用抵抗Rmonの抵抗値
は、予備駆動電流Iが流れて発生する電圧降下により、
表面伝導型放出素子への印加電圧が影響を受けないよう
に十分小さな値にしている。電源104は制御回路10
6からの指令値によって、電子源の行方向配線に印加す
る電圧を発生している。
【0083】一方、107はバッファアンプ回路で、タ
イミング発生回路105からの制御クロックHscan
信号に同期したタイミングで、表面伝導型放出素子基板
101の列方向配線の端子Dy1〜Dynを駆動する。バッ
ファアンプの入力値、すなわち端子Dy1〜Dynを駆動す
る電圧振幅値は電圧分布発生回路108で決定される。
【0084】本実施例においては、予備駆動の進行状況
を予備駆動時に流れる電流量、すなわち(電流モニタ回
路103の出力データ):(予備駆動電流109)で把
握している。そして、制御回路106は予備駆動開始の
指令と共に予備駆動を開始し、詳細は後述するが、予備
駆動の電流変化に応じて、列方向から素子に印加する電
圧分布を逐次補正する。すなわち、制御回路106は、
電流モニタ回路103出力を用いて各素子を流れる素子
電流を見積もり、この値から、素子の列方向に発生すべ
き電圧分布を算出する。算出された電圧設定値110
は、電圧分布発生回路108に転送され、バッファアン
プ107を通じて素子の列方向電極に印加される。この
駆動法によって、予備駆動電流と行方向配線抵抗で各素
子に生じる電圧分布が補正され、予備駆動ライン上の全
ての素子の両端に一定の電圧が印加される。予備駆動中
の電流変化に応じて逐次電圧分布発生回路108のデー
タを更新することで、指定ラインの予備駆動の終了時ま
で電圧分布補正が行われる。
【0085】次に、図2を参照してライン選択回路10
2を説明する。同回路は、内部にm個のスイッチング素
子(SWx1〜SWxm)を備えるもので、各スイッチング
素子は、電源104の出力電圧もしくは0V(グランド
レベル)のいずれか一方を選択し、表面伝導型放出素子
基板101の端子Dx1〜Dxmと電気的に接続するもので
ある。各スイッチング素子は、タイミング発生回路10
5が出力する制御信号Vscanに基づいて動作するも
のであるが、実際には例えばFETやリレーのようなス
イッチング素子を組み合わせることにより容易に構成す
ることが可能である。図2においては1行目(Sx1)の
ラインが選択され、行方向配線Dx1にのみ電源104の
出力電圧が印加され、他のラインはグランドに接続され
る。
【0086】図3は電圧分布発生回路108の構成を示
す回路図と、これを用いてあるラインを予備駆動してい
る様子を説明するブロック図である。電圧分布発生回路
108は、予備駆動の際、各素子を流れる素子電流Iと
行方向配線抵抗r1〜rnにより発生する電圧降下を補
正するために、列方向から印加すべき補償電圧量を発生
し、バッファアンプ107へ出力する。
【0087】本実施例においては、予備駆動の際生じる
電圧分布をキャンセルする様にバッファアンプ107出
力で(Sy1〜Syn)表面伝導型放出素子群101のDy1
〜Dyn端子を駆動する。
【0088】電圧分布発生回路108は、それぞれn個
のD/Aコンバータ132とラッチ回路133で構成し
た。n個のD/Aコンバータに対応したデジタル設定出
力値110は外部から独立に設定される。具体的には、
図1の制御回路106が電圧降下分布量を演算により算
出し、デジタル設定出力値110として設定する。各D
/Aコンバータ132には独立な電圧量が設定され、ラ
ッチクロック111により全出力が同期して更新され
る。
【0089】引き続き、本実施例の装置を用いて、表面
伝導型放出素子基板101を予備駆動する手順について
図1、3、4により説明する。予備駆動は全ての素子に
設定した予備駆動電圧Vpre が所定の時間印加されるよ
うに行う。この時の目標電流値は必要とする電子放出量
などから予め求められる。本実施例においては、パルス
幅1ミリ秒、パルス高16VのVpre 電圧を1分ずつ印
加した。
【0090】以下に予備駆動のフローについて説明す
る。図1の制御回路106が、予備駆動開始の指令を受
信すると、制御回路106は行単位で通電処理を行うた
めに、タイミング発生回路105、電源104を制御す
る。先ず、列方向配線端子Dy1〜Dynがグランド電位に
なるよう、設定電流値110を設定し、一方、行方向配
線端子Dx1〜Dxmに順次予備駆動電圧Vpre をパルス状
に印加する(パルス幅1ミリ秒、パルス高16V)。こ
れにより表面伝導型放出素子基板101は行方向単位に
順次パルス電圧が印加され、予備駆動がライン単位で開
始する。
【0091】本実施例においては、行方向配線端子Dx1
ライン上のn個の素子を予備駆動する場合の予備駆動に
ついて以下説明する。予備駆動電圧を印加している1行
目の表面伝導型素子群に着目し、その配線抵抗を含めた
モデルで表面伝導型放出素子群131を表し、この素子
群を予備駆動する様子を図3で説明する。図3におい
て、F1〜Fnは行方向配線端子Dx1ライン上の表面伝
導型放出素子、r1〜rnは行配線Ex1における各部の
配線抵抗、Ryは各配線Dy1〜Dynの給電端から表面伝
導型放出素子までの配線抵抗である。行配線は一定の線
幅、厚さ、材料で形成されるように設計されるため、製
造上のばらつきを除けばr1〜rnは等しいと考えてよ
い。また各配線は通常等しく設計されるため、各配線の
Ryは等しいと考えてよい。なお、予備駆動の前後で表
面伝導型放出素子の等価抵抗値は変化(減少)するが、
Ryの値に比べ各素子の等価抵抗は非常に大きく、Ry
の影響は、ほとんど無視して考えてよい。また表面伝導
型放出素子の等価抵抗値は、r1〜rnに比べて大きく
設計されている。
【0092】表面伝導型放出素子群131を予備駆動す
るため、制御回路106はタイミング発生回路105を
介してライン選択回路102を制御し、予備駆動電圧V
preを電源104、電流モニタ回路103を介して行方
向配線端子Dx1に印加する。これにより端子Dx1は予備
駆動電圧Vpre で駆動される。一方、Dx1ライン上の素
子のもう一方の電極端子であるDy1〜Dyn端子はバッフ
ァアンプ107により駆動される。バッファアンプ10
7は、各素子F1〜Fnからの予備駆動電流i1〜in
をシンクまたはソースするように動作するが、その出力
電圧振幅は電圧分布発生回路108によって決定され
る。
【0093】予備駆動を行う際、行配線Dx1上の素子群
の端子電圧をモニタすると配線抵抗r1〜rnの影響で
Gy1〜Gyn電圧は変化する。この電圧変化は予備駆動の
進行と共に大きくなり予備駆動の最後に最も大きくな
る。例えば、予備駆動電流2mA/素子、r1〜rn=
3mΩ、n=1000の場合、給電端から最も遠いFn
素子の端子Gynにおいては、
【0094】
【数21】 もの電圧差が生じることになる。
【0095】そこで、この電圧差分布と同じ電圧分布を
電圧分布発生回路108で発生させ、各素子に生じる電
圧分布をキャンセルする様にバッファアンプ107出力
Sy1〜Synにより、Dy1〜Dyn端子を駆動する。すなわ
ち予備駆動の際、各素子F1〜Fnに流れる電流による
端子Gy1〜Gynの電圧降下分布を、電圧分布発生回路1
08出力By1〜Bynで再現する。各素子F1〜Fnの予
備駆動がほぼ一様に進行すると仮定し、各素子を流れる
素子電流i1〜inは、ほぼ等しいと見なすと、その電
流値は電流モニタ回路103で検出される予備駆動電流
I(109)を用いて
【0096】
【数22】 で現される。
【0097】制御回路106は、このiave を各素子を
流れる電流値として、各素子端子での電圧降下量を算出
し、電圧分布発生回路108に設定する。これにより、
電圧分布発生回路108出力By1〜Bynには、各素子F
1〜Fnの素子端子Gy1〜Gynと同じ電圧降下分布が実
現される。この電圧量をバッファアンプ107出力Sy1
〜SynによりDy1〜Dyn端子に印加すれば、各素子F1
〜Fnの端子間に印加される電圧は素子番号によらずに
一定にできる。
【0098】本実施例において、予備駆動進行と共に発
生する素子電圧の分布は以下のようにして計算してい
る。予備駆動は、ほぼ、どの素子も同時に進行するもの
として、電流モニタ回路103で検出される予備駆動電
流I(109)から各素子F1〜Fnを流れる素子電流
値i1〜inを
【0099】
【数23】 として見積もる。この時、電圧分布発生回路108出力
端子に出力すべき電圧By1〜Bynは、配線抵抗値r1〜
rn≒rを用いて、
【0100】
【数24】 として算出される。
【0101】予備駆動の際、制御回路106は予備駆動
電流を逐次測定し、上式により各出力電圧By1〜Bynを
逐次算出する。引き続いて制御回路106は、出力電圧
By1〜Bynに対応したデジタル出力データを電圧分布回
路108のラッチ回路133に転送する。(電流計測→
出力データの演算→ラッチ回路へのデータの転送)の一
連の作業が完了すると、制御回路106は、D/Aデー
タの更新を行うためにラッチクロック110を全てのラ
ッチ回路133に印加し、同期してデータの更新を行
う。これにより電圧分布発生回路108は素子F1〜F
nの端子Gy1〜Gynに生じる電圧分布量と同じ電圧分布
を発生する。
【0102】図4は、予備駆動時に素子F1〜Fnの両
端に印加される電圧分布を示したものである。横軸は素
子番号F1〜Fnであり、素子の位置を示している。縦
軸は素子両端の端子電圧を示している。電源104から
印加する予備駆動電圧Vpre=16Vが各素子の端子Gy
1〜Gynに印加される間に配線抵抗の電圧降下の影響で
低下するが、この時、電圧分布発生回路108出力By1
〜Bynおよびバッファ107出力Sy1〜Syの分布はG
y1〜Gynの分布と同じになる。これにより各素子には一
定の印加電圧(ほぼ16V)が印加されて予備駆動が行
われる。
【0103】すなわち予備駆動の際、素子電流が変化す
ると配線抵抗の影響で素子端に発生する電圧分布が常に
変化する。この時素子電流に相当する電流値を逐次検出
し、電圧分布発生回路108出力By1〜Bynを逐次更新
することで全ての素子が一定の電圧Vpre で予備駆動さ
れる。
【0104】以上の説明においては、行配線Dx1上の素
子の予備駆動の説明を行ったが、他のライン上の素子を
予備駆動する際も全く同様に適用できる。このようにし
て全ての表面伝導型放出素子基板101の予備駆動を終
了する。
【0105】さてVpre =16Vを印加した表面伝導型
放出素子基板101から適当な素子を選んで、前述の
(式3)(式6)により、素子の電界強度を用いて算出
したところ、βが4.5×106 (1/cm)と見積も
られた。16V印加時の電界強度F=β×Vpre は、
7.2×107 (V/cm)であった。
【0106】そこで、その後Vdrv 電圧として、14.
5Vで駆動を行った。14.5Vにおけるβを測定した
ところ、βは4.5×106 (1/cm)であり、F=
6.5×107 (V/cm)と見積もられた。
【0107】別の表面伝導型放出素子基板を用意し、予
備駆動を行わずに最初から駆動電圧を14.5Vに設定
して駆動を行って、両者を比較した。すると予備駆動を
行った表面伝導型放出素子基板は、予備駆動を行わなか
った表面伝導型放出素子基板に比べて、駆動中の素子電
流並びに放出電流の減少と変動が少なく安定な電子放出
特性が得られた。
【0108】なおライン毎に微妙に行方向配線抵抗r1
〜rnが変化する場合は、この値もメモリ等にストア
し、電圧分布を更新する場合にライン毎の平均素子電流
値と共に適宜読み出して計算に使用してもよい。
【0109】また素子数nが大きくなった場合、(電流
計測→出力データの演算→データ転送)の一連の作業は
時間がかかる可能性があるため、各素子毎に並列して処
理することで時間の短縮が図れる。また本実施例におい
て電圧分布発生回路108は表面伝導型放出素子基板1
01の列方向配線数nと同じ数のD/Aコンバータで構
成したが、補償電圧分布の形は図4に示すように緩やか
に変化するため、D/Aコンバータの数を間引いて、間
引いた列方向配線端子に印加すべき電圧値を抵抗分割に
よって規定しても良い。D/Aコンバータの数を減らし
ことで計算時間の短縮やコストダウンを可能とする。
【0110】また本実施例においては、電源104出力
を正として、端子Dx1から端子Dy1〜Dynに電流を流す
方向で予備駆動を行ったが、これとは極性を逆にして端
子Dy1〜Dynから端子Dx1側に電流を流すように予備駆
動を行ってもよい。この場合は、電圧分布も逆になるた
め、バッファアンプ107を(−1)倍の反転バッファ
アンプとして、電流をソースするように設定することで
全く同様の効果が期待できる。
【0111】また本実施例においては、図3中Ryで示
される列方向配線抵抗の影響は、列方向配線の大きさが
表面伝導型放出素子の等価抵抗に比べ十分小さいとして
無視していた。しかしながら、取出し配線等の大きさが
大きくなって無視できない場合は、列方向配線抵抗によ
る電圧降下の補償を行ってもよい。すなわち図1におい
てライン選択回路102が選択する選択ライン番号が大
きくなると、Ryがライン番号に比例して大きくなると
考え、予備駆動を行っているライン番号に対応してRy
を見積もり、そこでの電圧降下分も電圧分布発生回路1
08で補償することもできる。
【0112】なおライン毎に微妙に行方向配線抵抗rl
〜rnが変化する場合は、この値もメモリ等にストア
し、電圧分布を更新する場合にライン毎の平均素子電流
値と共に適宜読み出して計算に使用してもよい。
【0113】また予備駆動の際、あるライン上の素子の
予備駆動が完全に終了後、ライン選択回路102を切り
替えて他のラインの予備駆動を行う方法だけでなく、予
備駆動ラインを順次切り替えながら複数同時進行で予備
駆動処理を行ってもよい。例えば本実施例においては、
パルス幅1ミリ秒、パルス周期10ミリ秒で処理を行っ
ているので、最大10本を切り替えながら予備駆動通電
処理することが可能である。この場合は、ライン毎に予
備駆動進行のばらつきがある可能性があるため、ライン
毎の平均素子電流を逐次メモリ等にストアし、ラインを
切替え時にメモリにストアされた平均素子電流を用いて
電圧分布発生回路108出力を高速に更新しながら予備
駆動を行うことで均一な予備駆動処理が高速に実現され
る。
【0114】これを説明したフローチャートが図5であ
る。説明を分かりやすくするため、表面伝導型放出素子
基板101の行方向配線数nは480本あるものとして
以下説明する。 (手順1):初期駆動条件設定 予備駆動開始の指令により、制御回路106は予備駆動
を開始する。先ず、予備駆動の開始時の初期駆動条件設
定を行う。初期駆動条件として設定する項目は、同時に
切り替えながら予備駆動処理するブロックの設定と分布
電圧の初期化(0v)である。
【0115】また通電はパルス幅1ミリ秒、パルス周期
10ミリ秒で行う場合、10本を1ブロックとして処理
するため、480本の行方向配線を通電処理する場合、
48ブロックの通電処理単位に分けられる。この48ブ
ロックの割付を行うのが“ブロックの設定”である。こ
こでは、予備駆動電圧印加時に表面伝導型放出素子基板
101上均等に電力が印加されるように、以下のように
組み合わせを設定した。
【0116】
【表1】
【0117】(手順2):スクロール駆動開始 手順1の設定に基づいて駆動条件を設定後、予備駆動を
開始する。駆動ラインの選択はブロックの設定値に基づ
いて決められ、ブロック設定値で決められたライン番号
が駆動ライン設定信号としてタイミング回路105に転
送される。タイミング発生回路105はラインセレクト
信号を出力し、ライン選択回路102で指定されたライ
ン電源104で駆動される。またこの時、予備駆動の進
行をモニタして予備駆動電流と配線抵抗により生じる電
圧降下の補償量を算出するため、電流検出回路103に
より各行方向配線を流れる電流値を検出し制御回路10
6のメモリ(不図示)に格納する。
【0118】(条件1):1スクロールの終了検出 1ブロック10本の予備駆動処理と各ラインの電流検出
の終了迄待つ。
【0119】(手順3):補償電圧値の算出 予備駆動の進行により、予備駆動電流と配線抵抗により
生じる電圧降下の補償電圧を算出する。前述の式によ
り、各ライン毎の予備駆動電流と配線抵抗から補償電圧
値を算出することが可能である。メモリに格納した各ラ
イン毎の予備駆動電流値とやはりメモリに格納された配
線抵抗値を用いて各ライン毎に補償電圧値を算出する。
【0120】(条件2):指定ブロックの予備駆動終了
検出 1ブロック30秒で予備駆動を終了する。予備駆動が終
了していない場合は、(手順2)に戻って、再びスクロ
ール駆動を開始する。電圧分布回路108からの補償電
圧値は、(手順3)で算出された値を用いる。
【0121】(条件3):全ブロックの予備駆動終了検
出 1ブロックの予備駆動を終了すると、次のブロックの予
備駆動を行うため、手順1にすすむ。全ブロックの予備
駆動終了したばあいは、基板のすべての素子の予備駆動
終了となる。
【0122】[実施例2]図6により本発明の第2の実
施例である表面伝導型放出素子の予備駆動装置について
説明する。図6においても、表面伝導型放出素子201
は図1の101と同じであり、装置全体の動作や予備駆
動の手順等は実施例1とほぼ同様なのでそれらの説明は
省略する。実施例2においては表面伝導型放出素子20
1のライン選択回路202の駆動方法が異なっているの
で説明する。
【0123】図7を参照してライン選択回路202の駆
動方法を説明する。同回路は、内部にm個のスイッチン
グ素子(SWx1〜SWxm)を備えるもので、各スイッチ
ング素子は、電源204の出力電圧もしくは可変電源2
13の出力電圧のいずれか一方を選択し、表面伝導型放
出素子基板101の端子Dx1〜Dxmと電気的に接続する
ものである。
【0124】各スイッチング素子は、タイミング発生回
路205が出力する制御信号Vscan基づいて動作するも
のであるが、実際にはたとえばFETやリレーのような
スイッチング素子を組み合わせることにより容易に構成
することが可能である。図7においては1行目(Sx1)
のラインが選択され、行方向配線Dx1にのみ電源204
の出力電圧が印加され、他のライン(Sx2〜Sxm)は可
変電源213の出力電圧に接続されている。可変電源2
13の出力電圧は制御回路206が出力する非選択電位
設定値212により設定される。
【0125】本実施例においては、予備駆動電圧を印加
しない非選択ライン(Sx2〜Sxm)の電位をグランドレ
ベルでなく非選択電位にしている。この理由を以下に記
す。行単位で予備駆動を行う場合、同一行上で列方向に
生じる電圧降下の分布を列方向配線端子Dy1〜Dynから
の電圧印加により補償するのが本発明の趣旨であるが、
表面伝導型放出素子基板が単純マトリクス構成であるた
め、列方向配線端子Dy1〜Dynからの印加電圧は予備駆
動ラインだけでなく、予備駆動を行っていないラインの
素子にも印加される。むろん列方向配線端子Dy1〜Dyn
は最大でも数Vと小さいが、予備駆動を行っていないラ
インを、GNDレベル(0V)にすると、非予備駆動ラ
インに接続された{(m−1)×n}個の素子に列方向配
線端子Dy1〜Dynからの電圧が印加される。この電圧印
加により各素子には微少な電流が流れ、基板全体では場
合によってはかなりの電流が流れる可能性があった。こ
の電流は、本来の予備駆動プロセス評価と関係ない、無
効な電流であり、プロセスにおいて基板に投入される消
費電力を無駄に増加させるだけであり、軽減する方が望
ましい。そこで予備駆動を行っていないライン(非予備
駆動ライン)を束ね、これらのラインに接続された素子
両端に印加される電圧の絶対値を極力小さくするよう
に、束ねたラインに非選択電位設定値212を印加し
た。
【0126】一般に、非選択電位の設定値としては、列
方向配線端子Dy1〜Dynからの補償電圧の最小値と最大
値の間から設定することが望ましい。本実施例において
は、非選択電位設定値212は以下のようにして制御回
路206で決定した。すなわち、電圧分布回路208出
力で各端子に発生する最大電圧と最小電圧の差を電圧降
下量として算出する。具体的には図6において電圧分布
回路208出力By1〜Bynの最大電圧分布量は
【0127】
【数25】 で算出される。そこで、
【0128】
【数26】 と決定した。
【0129】本実施例においても、実施例1と同様に電
圧分布回路208出力は電流モニタ回路203の予備駆
動電流値209(I)、配線抵抗値r1〜rn≒rを用
いて以下のように算出できる。
【0130】
【数27】 従って、非選択電位設定値212は、
【0131】
【数28】 として算出される。
【0132】非選択ラインの電圧をこのように設定して
駆動を行うと、非選択ライン上の素子両端には、
【0133】
【数29】 の電圧が印加されることになる。
【0134】もし、非選択電位設定値212がグランド
レベルの場合、非選択ライン上の素子両端にかかる電圧
(Voff−By1)〜(Voff−Byn)は、r×I〜
1/2×r×(n+1)×Iとなるので、非選択ライン
に、上記の非選択電位設定値212を印加することで非
選択ラインに接続された素子両端に印加される電圧の絶
対値を、ほぼ半分にすることができる。通常、nは10
00以上と大きいため、上式で、(n−5)≒(n+
3)≒(n+1)≒nと見なせるためである。
【0135】図8に、Dx1ライン上の素子を予備駆動
時、表面伝導型放出素子基板201の各端子に印加され
る駆動電圧波形を示す。前述のように、各素子は駆動電
圧Vpre =16V、パルス幅1msのパルス駆動され
る。図8(a)は、予備駆動を行っている端子Dx1への
駆動波形を示し、これは電源204によって駆動される
(駆動電圧16V、パルス幅1ms)。図8(b)は、
予備駆動を行っていない非選択ラインの端子Dx2〜Dxm
への駆動波形を示し、これは非選択電位設定値212で
設定される可変電源213によって駆動され、非選択電
位212はVoffで表される。図8(c)と図8
(d)は、表面伝導型放出素子基板201の列方向端子
の駆動波形を示し、これはバッファアンプ207で駆動
される。図8(c)は、電圧降下の最も小さな端子Dy1
の駆動波形を、図8(d)は電圧降下の最も大きな端子
Dynの駆動波形を示している。予備駆動中に、検出電流
が変化しても逐次補償電圧分布が変化し常に設定した電
圧Vpre =16Vが各素子に印加される。
【0136】なお各素子は、パルス駆動される。この
時、ライン選択回路202のパルス電圧出力開始タイミ
ングは、図8に示すように、電圧分布を発生するバッフ
ァアンプ207のパルス出力の変化よりもΔt(Δtは
数μsec)遅れて出力を開始し、パルスが出力を終了
する場合はバッファアンプ207のパルス出力の変化よ
りΔt先にパルス出力を終了するようにしたので、これ
について説明する。
【0137】これはバッファアンプ出力のアンプ毎の出
力ばらつきにより、出力タイミングにチャンネル間でデ
ィレイが生じる場合の問題に対応するためである。つま
り、ライン選択回路202のパルス電圧出力開始が、電
圧分布を発生するバッファアンプ207のパルス出力の
変化よりも先に出力を開始する場合、万一、出力タイミ
ングにチャンネル間でディレイが生じると、一瞬、選択
ライン上の素子の一部しか十分な駆動電圧が印加されな
い時間が生じる。この瞬間は、選択ライン上の全ての素
子が駆動されず、流れる予備駆動電流が小さくなる。し
かしながら、バッファアンプ出力は選択ライン上の素子
がすべて十分駆動されていると仮定して算出した電圧を
印加している。従って、この場合は素子に設定より大き
な駆動電圧が印加され、特性不均一を発生させる可能性
があった。
【0138】そこでライン選択回路202のパルス電圧
出力開始は、電圧分布を発生するバッファアンプ207
のパルス出力の変化よりもΔt遅れて出力を開始し、パ
ルスが出力を終了する場合はバッファアンプ207のパ
ルス出力の変化よりΔt先にパルス出力を終了するよう
に印加する。こうすれば、バッファアンプの出力タイミ
ングばらつきの影響を回避できる。
【0139】本実施例で用いた非選択ラインへの電圧印
加により、表面伝導型放出素子基板を予備駆動時に投入
される投入電力をより低減することができた。なお、オ
フセット電圧の決定方法は上述した方法だけでなく、表
面伝導型放出素子基板全体に印加される電力値が最小に
なるようにしてもよい。例えば、非選択ラインへの電圧
印加は行わずに、列方向配線端子Dy1〜Dynから印加さ
れる電圧の絶対値を極力小さくするようにオフセット電
圧を加算し駆動を行っても良い。
【0140】この時、印加するオフセット電圧値は以下
のようにして決定できる。電圧分布回路208出力で各
端子に発生する最大電圧と最小電圧の差を電圧降下量2
10210として算出する。具体的には図6において電
圧分布回路208出力By1〜Bynの電圧降下量は
【0141】
【数30】 で算出される。すなわち、
【0142】
【数31】 である。
【0143】このオフセット電圧をDy1〜Dynに印加す
る分布電圧と、電源213の設定値にオフセットとして
加算することで、列方向配線端子Dy1〜Dynから印加さ
れる電圧の絶対値を実施例1に比べ半分にすることがで
きた。
【0144】[実施例3]図9により本発明の第3の実
施例である表面伝導型放出素子の予備駆動装置について
説明する。図9においても、表面伝導型放出素子301
は図1の101と同じであり、装置全体の動作や予備駆
動の手順等は実施例1とほぼ同様なので省略する。また
電流モニタ回路303の構成は実施例1、2と若干異な
り、列方向配線端子Dy1〜Dynとバッファアンプ307
間に電流モニタ回路303を入れ、予備駆動時に各素子
を流れる素子電流を個別にモニタしている。電圧分布回
路308の構成は実施例1、2と同様に、各素子を流れ
る予備駆動電流値から制御回路306が電圧分布量を演
算により計算し、出力結果を電圧分布発生回路電圧分布
量に応じた出力値を転送するように設計されている。
【0145】実施例1、2と同様に、予備駆動電圧を印
加している1行目の表面伝導型素子群に着目し、その配
線抵抗を含めたモデルで表面伝導型放出素子群331を
表し、この素子群を予備駆動する様子を図10で説明す
る。
【0146】本実施例においても、予備駆動時にライン
上で生じる電圧分布をキャンセルする様にバッファアン
プ307出力Sy1〜Synにより、Dy1〜Dyn端子を駆動
する。この時電圧分布回路308をn個のD/Aコンバ
ータ332とラッチ回路333で構成した。これにより
外部からn個のD/Aコンバータに対応したデジタル設
定出力値310を印加してそれぞれ独立に駆動できるよ
うにした。デジタル設定出力値310は、制御回路30
6から、演算により算出された電圧降下分布量として設
定される。各D/Aコンバータには独立な電圧量が設定
され、ラッチクロック311により全出力が同期して更
新される。
【0147】電流モニタ回路303は、各素子を流れる
素子電流を個別にモニタできる。すなわち、電流モニタ
回路303は、検出用抵抗Rmonとこの両端に発生す
る電圧を計測する計測アンプから成り立っており、これ
により電流Ifを検出し、検出したn個の予備駆動電流
値309を出力する。本実施例に示すように各素子の予
備駆動電流を個別にモニタすることで、実施例1、2に
比較してより正確な電圧分布を再現できる。この電圧量
をバッファアンプ307出力Sy1〜SynによりDy1〜D
yn端子に印加する。
【0148】なお、バッファアンプ307出力が0Vで
ない場合、電流モニタ回路303で検出される電流値
は、必ずしも各素子を流れる素子電流と一致するわけで
はない。これについて説明する。前述したように 図1
0には図示していないが、列方向配線端子Dy1〜Dynか
らの印加電圧は、表面伝導型放出素子が単純マトリクス
構成であるため、予備駆動ラインだけでなく、予備駆動
を行っていないラインの素子にも印加される。従って電
流モニタ回路333で検出される電流I(Rmon番号
x)は、(素子Fxに16V印加時に流れる素子電流)
と(Dyxに接続された予備駆動されていない素子(m−
1個)にSyx電圧を印加時に流れる電流)との和とな
る。第一項目が真の素子電流であり、第二項目の電流分
が誤差として生じることになる。実際にSyx電圧は小さ
く、第二項目の電流分は小さいため無視してもよいが、
より正確に測定するためには以下のステップで計測を行
えばよい。
【0149】1)全ての行方向配線端子Dx1〜Dxmを0
Vにして列方向配線端子Dy1〜DynをSy1〜Synで駆動
する。この時計測される電流Iaは、Dyxに接続された
全ての素子にSyx電圧を印加時に流れる電流(m個)で
ある。 2)行方向配線端子の内1本を選択して、列方向配線端
子Dy1〜DynをSy1〜Synで駆動する。この時計測され
る電流Ibは、(素子Fxに16V印加時に流れる素子
電流)と(Dyxに接続された通電活性化を行わない素子
(m−1個)にSyx電圧を印加時に流れる電流)との和
である。
【0150】そこで、この2回の測定により(素子Fx
に16V印加時に流れる素子電流)はIb−Iaで算出
されるため、各素子を流れる電流値として、この値を用
い、さらに電圧分布を算出することで、より正確な電圧
設定が可能になった。
【0151】[実施例4]図11により本発明の第4の
実施例に係る表面伝導型放出素子の予備駆動装置につい
て説明する。図11において、403は予備駆動電圧パ
ルスを発生する予備駆動電源部、402は予備駆動電源
部403で発生した電圧パルスを必要なラインに印加す
るためのライン選択部、404は予備駆動電源部403
およびライン選択部402を制御するための制御部、4
01は予備駆動されるための、複数の表面伝導型電子放
出素子がM行×N列に単純マトリクス配線された電子源
基板である。なお、本実施例において、基板401は、
既にフォーミング処理および活性化処理が完了し、安定
化工程にあるものとする。基板401は不図示の真空排
気装置に接続されており、1×10-7Pa以下程度に真
空排気されている。
【0152】以下、図11を用いて本実施例における表
面伝導型電子放出素子の予備駆動方法について説明す
る。予備駆動電源部403は予備駆動に必要な電圧パル
スを発生するためのものであり、本実施例において、該
予備駆動電源部403は図12に示す電圧波形を出力す
る。T1(パルス幅)=1msec、T2(パルス間
隔)=10msec、電圧波高値Vpre は17Vであっ
た。この電圧波形および出力のオン/オフは、制御部4
04により制御される。予備駆動電源部403から出力
された電圧波形は、ライン選択部402に入力され、そ
こで選択されたラインに印加される。
【0153】ここで、ライン選択部402について、図
13を参照して説明する。ライン選択部402は例えば
リレーやアナログスイッチ等のスイッチで構成され、電
子源基板4がN×Mのマトリクスであるとき、Sw1〜
SwMのようにM個のスイッチが並列に並べられ、配線
Sx1〜SxMを介して電子源基板401のX配線端子
Dx1〜DxMに接続されている。また該スイッチSw
1〜SwMは制御部404にて制御され、予備駆動する
べきラインに予備駆動電源部403からの電圧波形が加
わるように作動する。図13の例ではSw1が作動する
ことにより第1ラインSx1が選択され、さらに同時に
Sw[m/2+1](ここでmは偶数とする)が作動する
ことで第m/2+1ラインSx[m/2+1]も選択され、
その他のラインはグランドに接続されている様子を示
す。
【0154】このようにして予備駆動を一定時間行なっ
た後、制御部404はライン選択部402を次の第2ラ
インおよび第(m/2+2)ラインに切り替えて同じ駆動
を繰り返し、さらに同様にして第m/2ラインおよび第m
ラインまで駆動をして終了した。
【0155】さてVpre =17Vを印加した表面伝導型
放出素子基板401から適当な素子を選んで、前述の
(式3)(式6)により、素子の電界強度を用いて算出
したところ、βが4.5×106 [1/cm]と見積も
られた。16V印加時の電界強度F=β×Vpre は、
7.2×107 [V/cm]であった。そこで、その後
Vdrv電圧として、14.5Vで駆動を行った。1
4.5Vにおけるβを測定したところ、βは4.5×1
6 [1/cm]で、F=6.5×107 [v/cm]
と見積もられた。別の表面伝導型放出素子基板を用意
し、予備駆動を行わずに最初から駆動電圧を14.5V
に設定して駆動を行って、両者を比較した。すると予備
駆動を行った表面伝導型放出素子基板は、予備駆動を行
わなかった表面伝導型放出素子基板に比べて、駆動中の
素子電流並びに放出電流の減少と変動が少なく安定な電
子放出特性が得られた。
【0156】この結果、予備駆動を行った各表面伝導型
電子放出素子の経時変化は実用上問題無いレベルに低減
し、該表面伝導型電子放出素子の複数を有する電子源を
利用して製作した画像表示装置(ディスプレイ装置)で
は高品位な画像が得られた。ここで予備駆動に必要な時
間は同じ条件で作成された1素子のデータから求めら
れ、1ライン毎に予備駆動する方法と比べてほぼ2分の
1の時間で予備駆動処理が終了した。なお、このように
複数のラインを同時に選択する駆動方法を以下、マルチ
ライン駆動と称する。
【0157】ここで、本発明を適用した画像表示装置の
表示パネルの構成と製造法について、具体的な例を示し
て説明する。図51は、本実施例に用いた表示パネルの
斜視図であり、内部構造を示すためにパネルの1部を切
り欠いて示している。後で本発明の実施例において説明
する排気管については本図においては簡略化のため省略
してある。図中、1005はリアプレート、1006は
側壁、1007はフェースプレートであり、1005〜
1007により表示パネルの内部を真空に維持するため
の気密容器を形成している。気密容器を組み立てるにあ
たっては、各部材の接合部に十分な強度と気密性を保持
させるため封着する必要があるが、例えばフリットガラ
スを接合部に塗布し、大気中あるいは窒素雰囲気中で、
摂氏400〜500度で10分以上焼成することにより
封着を達成した。気密容器内部を真空に排気する方法に
ついては後述する。
【0158】リアプレート1005には、基板1001
が固定されているが、該基板上には冷陰極素子1002
がN×M個形成されている。ここで、N、Mは2以上の
正の整数であり、目的とする表示画素数に応じて適宜設
定される。例えば、高品位テレビジョンの表示を目的と
した表示装置においては、N=3000、M=1000
以上の数を設定することが望ましい。また通常のテレビ
ジョンにおいてもその半分程度の画素数が必要であり、
本実施例においては、N=3072、M=480とし
た。前記N×M個の冷陰極素子は、M本の行方向配線1
003とN本の列方向配線1004により単純マトリク
ス配線されている。前記1001〜1004によって構
成される部分をマルチ電子ビ−ム源と呼ぶ。なお、マル
チ電子ビ−ム源の製造方法や構造については、後で詳し
く述べる。
【0159】本実施例においては、気密容器のリアプレ
ート1005にマルチ電子ビ−ム源の基板1001を固
定する構成としたが、マルチ電子ビ−ム源の基板100
1が十分な強度を有するものである場合には、気密容器
のリアプレートとしてマルチ電子ビ−ム源の基板100
1自体を用いてもよい。
【0160】また、フェースプレート1007の下面に
は、螢光膜1008が形成されている。本実施例はカラ
−表示装置であるため、螢光膜1008の部分にはCR
Tの分野で用いられる赤、緑、青の3原色の螢光体が塗
り分けられている。各色の螢光体は、例えば図52の
(a)に示すようにストライプ状に塗り分けられ、螢光
体のストライプの間には黒色の導電体1010が設けて
ある。黒色の導電体1010を設ける目的は、電子ビ−
ムの照射位置に多少のずれがあっても表示色にずれが生
じないようにすることや、外光の反射を防止して表示コ
ントラストの低下を防ぐこと、電子ビ−ムによる螢光膜
のチャ−ジアップを防止することなどである。黒色の導
電体1010には、黒鉛を主成分として用いたが、上記
の目的に適するものであればこれ以外の材料を用いても
良い。
【0161】また、3原色の螢光体の塗り分け方は前記
図52(a)に示したストライプ状の配列に限られるも
のではなく、例えば図52(b)に示すようなデルタ状
配列や、それ以外の配列であってもよい。なお、モノク
ロ−ムの表示パネルを作成する場合には、単色の螢光体
材料を螢光膜1008に用いればよく、また黒色導電材
料は必ずしも用いなくともよい。また、螢光膜1008
のリアプレート側の面には、CRTの分野では公知のメ
タルバック1009を設けてある。メタルバック100
9を設けた目的は、螢光膜1008が発する光の一部を
鏡面反射して光利用率を向上させることや、負イオンの
衝突から螢光膜1008を保護することや、電子ビ−ム
加速電圧を印加するための電極として作用させること
や、螢光膜1008を励起した電子の導電路として作用
させることなどである。メタルバック1009は、螢光
膜1008をフェースプレート基板1007上に形成し
た後、螢光膜表面を平滑化処理し、その上にAlを真空
蒸着する方法により形成した。なお、螢光膜1008に
低電圧用の螢光体材料を用いた場合には、メタルバック
1009は用いない。また、本実施例では用いなかった
が、加速電圧の印加用や螢光膜の導電性向上を目的とし
て、フェースプレート基板1007と螢光膜1008と
の間に、例えばITOを材料とする透明電極を設けても
よい。
【0162】また、Dx1〜DxmおよびDy1〜Dy
nおよびHvは、当該表示パネルと不図示の電気回路と
を電気的に接続するために設けた気密構造の電気接続用
端子である。Dx1〜Dxmはマルチ電子ビ−ム源の行
方向配線1003と、Dy1〜Dynはマルチ電子ビ−
ム源の列方向配線1004と、Hvはフェースプレート
のメタルバック1009と電気的に接続している。
【0163】また、気密容器内部を真空に排気するに
は、気密容器を組み立てた後、不図示の排気管と真空ポ
ンプとを接続し、気密容器内を10-7[Torr]程度
の真空度まで排気する。その後、排気管を封止するが、
気密容器内の真空度を維持するために、封止の直前ある
いは封止後に気密容器内の所定の位置にゲッター膜(不
図示)を形成する。ゲッター膜とは、例えばBaを主成
分とするゲッター材料をヒーターもしくは高周波加熱に
より加熱し蒸着して形成した膜であり、該ゲッター膜の
吸着作用により気密容器内は1×10-5ないしは1×1
-7[Torr]の真空度に維持される。
【0164】以上、本発明実施例の表示パネルの基本構
成と製法を説明した。次に、前記実施例の表示パネルに
用いたマルチ電子ビ−ム源の製造方法について説明す
る。本発明の画像表示装置に用いるマルチ電子ビ−ム源
は、冷陰極素子を単純マトリクス配線した電子源であれ
ば、冷陰極素子の材料や形状あるいは製法に制限はな
い。したがって、例えば表面伝導型電子放出素子やFE
型、あるいはMIM型などの冷陰極素子を用いることが
できる。
【0165】但し、表示画面が大きくてしかも安価な表
示装置が求められる状況のもとでは、これらの冷陰極素
子の中でも、表面伝導型電子放出素子が特に好ましい。
すなわち、FE型ではエミッタコーンとゲート電極の相
対位置や形状が電子放出特性を大きく左右するため、極
めて高精度の製造技術を必要とするが、これは大面積化
や製造コストの低減を達成するには不利な要因となる。
また、MIM型では、絶縁層と上電極の膜厚を薄くてし
かも均一にする必要があるが、これも大面積化や製造コ
ストの低減を達成するには不利な要因となる。その点、
表面伝導型電子放出素子は、比較的製造方法が単純なた
め、大面積化や製造コストの低減が容易である。
【0166】また、発明者らは、表面伝導型電子放出素
子の中でも、電子放出部もしくはその周辺部を微粒子膜
から形成したものがとりわけ電子放出特性に優れ、しか
も製造が容易に行えることを見い出している。したがっ
て、高輝度で大画面の画像表示装置のマルチ電子ビ−ム
源に用いるには、最も好適であると言える。そこで、上
記実施例の表示パネルにおいては、電子放出部もしくは
その周辺部を微粒子膜から形成した表面伝導型電子放出
素子を用いた。そこで、まず好適な表面伝導型電子放出
素子について基本的な構成と製法および特性を説明し、
その後で多数の素子を単純マトリクス配線したマルチ電
子ビ−ム源の構造について述べる。
【0167】(表面伝導型電子放出素子の好適な素子構
成と製法)電子放出部もしくはその周辺部を微粒子膜か
ら形成する表面伝導型電子放出素子の代表的な構成に
は、平面型と垂直型の2種類があげられる。 (平面型の表面伝導型電子放出素子)まず最初に、平面
型の表面伝導型電子放出素子の素子構成と製法について
説明する。図53に示すのは、平面型の表面伝導型電子
放出素子の構成を説明するための平面図(a)および断
面図(b)である。図中、1101は基板、11021
102と1103は素子電極、1104は導電性薄膜、
1105は通電フォ−ミング処理により形成した電子放
出部、1113は通電活性化処理により形成した薄膜で
ある。
【0168】基板1101としては、例えば、石英ガラ
スや青板ガラスをはじめとする各種ガラス基板や、アル
ミナをはじめとする各種セラミクス基板、あるいは上述
の各種基板上に例えばSiO2 を材料とする絶縁層を積
層した基板などを用いることができる。
【0169】また、基板1101上に基板面と平行に対
向して設けられた素子電極1102と1103は、導電
性を有する材料によって形成されている。例えば、N
i、Cr、Au、Mo、W、Pt、Ti、Cu、Pd、
Ag等をはじめとする金属、あるいはこれらの金属の合
金、あるいはIn23-SnO 2をはじめとする金属酸
化物、ポリシリコンなどの半導体、などの中から適宜材
料を選択して用いればよい。電極を形成するには、例え
ば真空蒸着などの製膜技術とフォトリソグラフィ、エッ
チングなどのパターニング技術を組み合わせて用いれば
容易に形成できるが、それ以外の方法(例えば印刷技
術)を用いて形成してもさしつかえない。
【0170】素子電極1102と1103の形状は、当
該電子放出素子の応用目的に合わせて適宜設計される。
一般的には、電極間隔Lは通常は数百オングストローム
から数百マイクロメータの範囲から適当な数値を選んで
設計されるが、なかでも表示装置に応用するために好ま
しいのは数マイクロメータより数十マイクロメータの範
囲である。また、素子電極の厚さdについては、通常は
数百オングストロームから数マイクロメータの範囲から
適当な数値が選ばれる。
【0171】また、導電性薄膜1104の部分には、微
粒子膜を用いる。ここで述べた微粒子膜とは、構成要素
として多数の微粒子を含んだ膜(島状の集合体も含む)
のことを指す。微粒子膜を微視的に調べれば、通常は、
個々の微粒子が離間して配置された構造か、あるいは微
粒子が互いに隣接した構造か、あるいは微粒子が互いに
重なり合った構造が観測される。
【0172】微粒子膜に用いた微粒子の粒径は、数オン
グストロームから数千オングストロームの範囲に含まれ
るものであるが、なかでも好ましいのは10オングスト
ロームから200オングストロームの範囲のものであ
る。また、微粒子膜の膜厚は、以下に述べるような諸条
件を考慮して適宜設定される。すなわち、素子電極11
02あるいは1103と電気的に良好に接続するのに必
要な条件、後述する通電フォーミングを良好に行うのに
必要な条件、微粒子膜自身の電気抵抗を後述する適宜の
値にするために必要な条件などである。具体的には、数
オングストロームから数千オングストロームの範囲のな
かで設定するが、なかでも好ましいのは10オングスト
ロームから500オングストロームの間である。
【0173】また、微粒子膜を形成するのに用いられう
る材料としては、例えば、Pd、Pt、Ru、Ag、A
u、Ti、In、Cu、Cr、Fe、Zn、Sn、T
a、W、Pbなどをはじめとする金属や、PdO、Sn
2、In 23、PbO、Sb23 などをはじめとする
酸化物や、HfB2 、ZrB2 、LaB6 、CeB6
YB4 、GdB4 などをはじめとする硼化物や、Ti
C、ZrC、HfC、TaC、SiC、WCなどをはじ
めとする炭化物や、TiN、ZrN、HfNなどをはじ
めとする窒化物や、Si、Geなどをはじめとする半導
体や、カ−ボンなどが挙げられ、これらの中から適宜選
択される。
【0174】以上述べたように、導電性薄膜1104を
微粒子膜で形成したが、そのシ−ト抵抗値については、
103 から107 [オ−ム/sq]の範囲に含まれるよ
う設定した。
【0175】なお、導電性薄膜1104と素子電極11
02および1103とは、電気的に良好に接続されるの
が望ましいため、互いの一部が重なりあうような構造を
とっている。その重なり方は、図53の例においては、
下から、基板、素子電極、導電性薄膜の順序で積層した
が、場合によっては下から基板、導電性薄膜、素子電極
の順序で積層しても差し支えない。
【0176】また、電子放出部1105は、導電性薄膜
1104の一部に形成された亀裂状の部分であり、電気
的には周囲の導電性薄膜よりも高抵抗な性質を有してい
る。亀裂は、導電性薄膜1104に対して、後述する通
電フォーミングの処理を行うことにより形成する。亀裂
内には、数オングストロームから数百オングストローム
の粒径の微粒子を配置する場合がある。なお、実際の電
子放出部の位置や形状を精密かつ正確に図示するのは困
難なため、図53においては模式的に示した。
【0177】また、薄膜1113は、炭素もしくは炭素
化合物よりなる薄膜で、電子放出部1105およびその
近傍を被覆している。薄膜1113は、通電フォーミン
グ処理後に、後述する通電活性化の処理を行うことによ
り形成する。薄膜1113は、単結晶グラファイト、多
結晶グラファイト、非晶質カ−ボンのいずれかか、もし
くはその混合物であり、膜厚は500[オングストロー
ム]以下とするが、300[オングストローム]以下と
するのがさらに好ましい。
【0178】なお、実際の薄膜1113の位置や形状を
精密に図示するのは困難なため、図53においては模式
的に示した。また、平面図(a)においては、薄膜11
13の一部を除去した素子を図示した。
【0179】以上、好ましい素子の基本構成を述べた
が、実施例においては以下のような素子を用いた。すな
わち、基板1101には青板ガラスを用い、素子電極1
102と1103にはNi薄膜を用いた。素子電極の厚
さdは1000[オングストローム]、電極間隔Lは2
[マイクロメータ]とした。微粒子膜の主要材料として
PdもしくはPdOを用い、微粒子膜の厚さは約100
[オングストローム]、幅Wは100[マイクロメ−
タ]とした。
【0180】次に、好適な平面型の表面伝導型電子放出
素子の製造方法について説明する。図54の(a)〜
(d)は、表面伝導型電子放出素子の製造工程を説明す
るための断面図で、各部材の表記は前記図53と同一で
ある。 1)まず、図54(a)に示すように、基板1101上
に素子電極1102および1103を形成する。形成す
るにあたっては、あらかじめ基板1101を洗剤、純
水、有機溶剤を用いて十分に洗浄後、素子電極の材料を
堆積させる。堆積する方法としては、例えば、蒸着法や
スパッタ法などの真空成膜技術を用ればよい。その後、
堆積した電極材料を、フォトリソグラフィ・エッチング
技術を用いてパターニングし、(a)に示した一対の素
子電極(1102と1103)を形成する。
【0181】2)次に、同図(b)に示すように、導電
性薄膜1104を形成する。形成するにあたっては、ま
ず前記(a)の基板に有機金属溶液を塗布して乾燥し、
加熱焼成処理して微粒子膜を成膜した後、フォトリソグ
ラフィ・エッチングにより所定の形状にパターニングす
る。ここで、有機金属溶液とは、導電性薄膜に用いる微
粒子の材料を主要元素とする有機金属化合物の溶液であ
る。具体的には、本実施例では主要元素としてPdを用
いた。また、実施例では塗布方法として、ディッピング
法を用いたが、それ以外の例えばスピンナー法やスプレ
ー法を用いてもよい。また、微粒子膜で作られる導電性
薄膜の成膜方法としては、本実施例で用いた有機金属溶
液の塗布による方法以外の、例えば真空蒸着法やスパッ
タ法、あるいは化学的気相堆積法などを用いる場合もあ
る。
【0182】3)次に、同図(c)に示すように、フォ
ーミング用電源1110から素子電極1102と110
3の間に適宜の電圧を印加し、通電フォーミング処理を
行って、電子放出部1105を形成する。通電フォーミ
ング処理とは、微粒子膜で作られた導電性薄膜1104
に通電を行って、その一部を適宜に破壊、変形、もしく
は変質せしめ、電子放出を行うのに好適な構造に変化さ
せる処理のことである。微粒子膜で作られた導電性薄膜
のうち電子放出を行うのに好適な構造に変化した部分
(すなわち電子放出部1105)においては、薄膜に適
当な亀裂が形成されている。なお、電子放出部1105
が形成される前と比較すると、形成された後は素子電極
1102と1103の間で計測される電気抵抗は大幅に
増加する。
【0183】通電方法をより詳しく説明するために、図
55に、フォーミング用電源1110から印加する適宜
の電圧波形の一例を示す。微粒子膜で作られた導電性薄
膜をフォーミングする場合には、パルス状の電圧が好ま
しく、本実施例の場合には同図に示したようにパルス幅
T1の三角波パルスをパルス間隔T2で連続的に印加し
た。その際には、三角波パルスの波高値Vpfを、順次
昇圧した。また、電子放出部1105の形成状況をモニ
タするためのモニタパルスPmを適宜の間隔で三角波パ
ルスの間に挿入し、その際に流れる電流を電流計111
1で計測した。実施例においては、例えば10-5[To
rr]程度の真空雰囲気下において、例えばパルス幅T
1を1[ミリ秒]、パルス間隔T2を10[ミリ秒]と
し、波高値Vpfを1パルスごとに0.1[V]ずつ昇
圧した。そして、三角波を5パルス印加するたびに1回
の割りで、モニタパルスPmを挿入した。フォーミング
処理に悪影響を及ぼすことがないように、モニタパルス
の電圧Vpmは0.1[V]に設定した。そして、素子
電極1102と1103の間の電気抵抗が1×10 6
[オ−ム]になった段階、すなわちモニタパルス印加時
に電流計1111で計測される電流が1×10-7[A]
以下になった段階で、フォーミング処理にかかわる通電
を終了した。
【0184】なお、上記の方法は、本実施例の表面伝導
型電子放出素子に関する好ましい方法であり、例えば微
粒子膜の材料や膜厚、あるいは素子電極間隔Lなど表面
伝導型電子放出素子の設計を変更した場合には、それに
応じて通電の条件を適宜変更するのが望ましい。
【0185】4)次に、図54の(d)に示すように、
活性化用電源1112から素子電極1102と1103
の間に適宜の電圧を印加し、通電活性化処理を行って、
電子放出特性の改善を行う。通電活性化処理とは、前記
通電フォーミング処理により形成された電子放出部11
05に適宜の条件で通電を行って、その近傍に炭素もし
くは炭素化合物を堆積せしめる処理のことである。図に
おいては、炭素もしくは炭素化合物よりなる堆積物を部
材1113として模式的に示した。なお、通電活性化処
理を行うことにより、行う前と比較して、同じ印加電圧
における放出電流を典型的には100倍以上に増加させ
ることができる。
【0186】具体的には、10-4ないし10-5[Tor
r]の範囲内の真空雰囲気中で、電圧パルスを定期的に
印加することにより、真空雰囲気中に存在する有機化合
物を起源とする炭素もしくは炭素化合物を堆積させる。
堆積物1113は、単結晶グラファイト、多結晶グラフ
ァイト、非晶質カ−ボンのいずれかか、もしくはその混
合物であり、膜厚は500[オングストローム]以下、
より好ましくは300[オングストローム]以下であ
る。
【0187】通電方法をより詳しく説明するために、図
56の(a)に、活性化用電源1112から印加する適
宜の電圧波形の一例を示す。本実施例においては、一定
電圧の矩形波を定期的に印加して通電活性化処理を行っ
たが、具体的には、矩形波の電圧Vacは14[V]、
パルス幅T3は1[ミリ秒]、パルス間隔T4は10
[ミリ秒]とした。なお、上述の通電条件は、本実施例
の表面伝導型電子放出素子に関する好ましい条件であ
り、表面伝導型電子放出素子の設計を変更した場合に
は、それに応じて条件を適宜変更するのが望ましい。
【0188】図54の(d)に示す1114は該表面伝
導型電子放出素子から放出される放出電流Ieを捕捉す
るためのアノ−ド電極で、直流高電圧電源1115およ
び電流計1116が接続されている。なお、基板110
1を、表示パネルの中に組み込んでから活性化処理を行
う場合には、表示パネルの螢光面をアノ−ド電極111
4として用いる。活性化用電源1112から電圧を印加
する間、電流計1116で放出電流Ieを計測して通電
活性化処理の進行状況をモニタし、活性化用電源111
2の動作を制御する。電流計1116で計測された放出
電流Ieの一例を図56(b)に示す。活性化電源11
12からパルス電圧を印加しはじめると、時間の経過と
ともに放出電流Ieは増加するが、やがて飽和してほと
んど増加しなくなる。このように、放出電流Ieがほぼ
飽和した時点で活性化用電源1112からの電圧印加を
停止し、通電活性化処理を終了する。
【0189】なお、上述の通電条件は、本実施例の表面
伝導型電子放出素子に関する好ましい条件であり、表面
伝導型電子放出素子の設計を変更した場合には、それに
応じて条件を適宜変更するのが望ましい。以上のように
して、図54(e)に示す平面型の表面伝導型電子放出
素子を製造した。
【0190】(垂直型の表面伝導型電子放出素子)次
に、電子放出部もしくはその周辺を微粒子膜から形成し
た表面伝導型電子放出素子のもうひとつの代表的な構
成、すなわち垂直型の表面伝導型電子放出素子の構成に
ついて説明する。
【0191】図57は、垂直型の基本構成を説明するた
めの模式的な断面図であり、図中の1201は基板、1
202と1203は素子電極、1206は段差形成部
材、1204は微粒子膜を用いた導電性薄膜、1205
は通電フォーミング処理により形成した電子放出部、1
213は通電活性化処理により形成した薄膜である。
【0192】垂直型が先に説明した平面型と異なる点
は、素子電極のうちの片方(1202)が段差形成部材
1206上に設けられており、導電性薄膜1204が段
差形成部材1206の側面を被覆している点にある。し
たがって、前記図53の平面型における素子電極間隔L
は、垂直型においては段差形成部材1206の段差高L
sとして設定される。なお、基板1201、素子電極1
202および1203、並びに微粒子膜を用いた導電性
薄膜1204については、前記平面型の説明中に列挙し
た材料を同様に用いることが可能である。また、段差形
成部材1206には、例えばSiO2 のような電気的に
絶縁性の材料を用いる。
【0193】次に、垂直型の表面伝導型電子放出素子の
製法について説明する。図58の(a)〜(f)は、製
造工程を説明するための断面図で、各部材の表記は前記
図57と同一である。 1)まず、図58(a)に示すように、基板1201上
に素子電極1203を形成する。 2)次に、同図(b)に示すように、段差形成部材を形
成するための絶縁層を積層する。絶縁層は、例えばSi
2 をスパッタ法で積層すればよいが、例えば真空蒸着
法や印刷法などの他の成膜方法を用いてもよい。 3)次に、同図(c)に示すように、絶縁層の上に素子
電極1202を形成する。 4)次に、同図(d)に示すように、絶縁層の一部を、
例えばエッチング法を用いて除去し、素子電極1203
を露出させる。
【0194】5)次に、同図(e)に示すように、微粒
子膜を用いた導電性薄膜1204を形成する。形成する
には、前記平面型の場合と同じく、例えば塗布法などの
成膜技術を用いればよい。 6)次に、前記平面型の場合と同じく、通電フォーミン
グ処理を行い、電子放出部を形成する(図54(c)を
用いて説明した平面型の通電フォーミング処理と同様の
処理を行えばよい)。 7)次に、前記平面型の場合と同じく、通電活性化処理
を行い、電子放出部近傍に炭素もしくは炭素化合物を堆
積させる(図54(d)を用いて説明した平面型の通電
活性化処理と同様の処理を行えばよい)。 以上のようにして、図58(f)に示す垂直型の表面伝
導型電子放出素子を製造した。
【0195】(表示装置に用いた表面伝導型電子放出素
子の特性)以上、平面型と垂直型の表面伝導型電子放出
素子について素子構成と製法を説明したが、次に表示装
置に用いた素子の特性について述べる。図59に、表示
装置に用いた素子の、(放出電流Ie)対(素子印加電
圧Vf)特性、および(素子電流If)対(素子印加電
圧Vf)特性の典型的な例を示す。なお、放出電流Ie
は素子電流Ifに比べて著しく小さく、同一尺度で図示
するのが困難である上、これらの特性は素子の大きさや
形状等の設計パラメ−タを変更することにより変化する
ものであるため、2本のグラフは各々任意単位で図示し
た。
【0196】表示装置に用いた素子は、放出電流Ieに
関して以下に述べる3つの特性を有している。第一に、
ある電圧(これを閾値電圧Vthと呼ぶ)以上の大きさ
の電圧を素子に印加すると急激に放出電流Ieが増加す
るが、一方、閾値電圧Vth未満の電圧では放出電流I
eはほとんど検出されない。すなわち、放出電流Ieに
関して、明確な閾値電圧Vthを持った非線形素子であ
る。第二に、放出電流Ieは素子に印加する電圧Vfに
依存して変化するため、電圧Vfで放出電流Ieの大き
さを制御できる。第三に、素子に印加する電圧Vfに対
して素子から放出される電流Ieの応答速度が速いた
め、電圧Vfを印加する時間の長さによって素子から放
出される電子の電荷量を制御できる。
【0197】以上のような特性を有するため、表面伝導
型電子放出素子を表示装置に好適に用いることができ
た。例えば多数の素子を表示画面の画素に対応して設け
た表示装置において、第一の特性を利用すれば、表示画
面を順次走査して表示を行うことが可能である。すなわ
ち、駆動中の素子には所望の発光輝度に応じて閾値電圧
Vth以上の電圧を適宜印加し、非選択状態の素子には
閾値電圧Vth未満の電圧を印加する。駆動する素子を
順次切り替えてゆくことにより、表示画面を順次走査し
て表示を行うことが可能である。また、第二の特性か、
または第三の特性を利用することにより、発光輝度を制
御することができるため、諧調表示を行うことが可能で
ある。
【0198】(多数素子を単純マトリクス配線したマル
チ電子ビ−ム源の構造)次に、上述の表面伝導型電子放
出素子を基板上に配列して単純マトリクス配線したマル
チ電子ビ−ム源の構造について述べる。図60に示すの
は、前記図51の表示パネルに用いたマルチ電子ビ−ム
源の平面図である。基板上には、前記図53で示したも
のと同様な表面伝導型電子放出素子が配列され、これら
の素子は行方向配線電極1003と列方向配線電極10
04により単純マトリクス状に配線されている。行方向
配線電極1003と列方向配線電極1004の交差する
部分には、電極間に絶縁層(不図示)が形成されてお
り、電気的な絶縁が保たれている。
【0199】図60のB−B’に沿った断面を、図61
に示す。なお、このような構造のマルチ電子源は、あら
かじめ基板上に行方向配線電極1003、列方向配線電
極1004、電極間絶縁層(不図示)、および表面伝導
型電子放出素子の素子電極と導電性薄膜を形成した後、
行方向配線電極1003および列方向配線電極1004
を介して各素子に給電して通電フォーミング処理と通電
活性化処理を行うことにより製造した。
【0200】以上説明したように本実施例のような予備
駆動装置を用いて複数の表面伝導型電子放出素子に対し
て予備駆動電圧をライン走査しながら印加することによ
り、予備駆動時間を短縮し、なおかつ、各素子の特性を
安定化することができる。なお、本実施例は、電子源基
板101が、図50に示すような複数の表面伝導型電子
放出素子が梯子型配線により接続されていてる電子源基
板であっても同様に適用可能である。
【0201】[実施例5]第5の実施例における予備駆
動装置の構成については実施例4で示した図11と同様
なので説明は省略する。本実施例において、特徴となる
のは制御部404によるライン選択部402の制御につ
いてなのでこれについて図14を用いて説明する。
【0202】図14は、ライン選択部の切り替えの仕方
を示したタイミングチャートである。まず一番上には電
源部403の出力電圧波形を示している。ここで示すと
おり、電源部の出力はDC電圧であり、パルス電圧を出
力していた実施例1とは異なっている。それより下は、
ライン選択部402のスイッチSwの切り替えタイミン
グである。ここで示したのは、Sw1〜Sw10、Sw
[m/2+1]〜Sw[m/2+10]のみであり、それ以
外のSwは、すべてGnd側に落ちている。本図で、T
1は実施例4のT1と同じ1msecである。まず最初
にSw1とSw[m/2+1]が同時にonされ、T1後
にはGnd側に戻るとともに今度はSw2とSw[m/2
+2]が同時にオンされる。これをSw10、Sw[m
/2+10]まで繰り返し、さらにこの後は最初のSw
1、Sw[m/2+1]に戻る。このように、2行選択を
10行単位で走査することで、T2は結果的に実施例4
と同様にほぼ10msecになる。
【0203】このようにして予備駆動を一定時間行なっ
た後、制御部404はライン選択部402を次の10行
走査の組Sw11〜Sw20、Sw[m/2+11]〜S
w[m/2+20]に切り替えて同じ駆動を繰り返し、さ
らに同様にしてm/2、mのラインまで駆動をして終了し
た。この結果、各表面伝導型電子放出素子の経時変化は
実用上問題無いレベルに低減し、該表面伝導型電子放出
素子の複数を有する電子源を利用して製作した画像表示
装置(ディスプレイ装置)では高品位な画像が得られ
た。ここで予備駆動に必要な時間は同じ条件で作成され
た1素子のデータから求められ、1ライン毎に予備駆動
する方法と比べてほぼ20分の1の時間で予備駆動処理
が終了した。
【0204】以上説明したように本実施例のような予備
駆動装置を用いて複数の表面伝導型電子放出素子に対し
て予備駆動電圧をライン走査しながら印加することによ
り、予備駆動時間を短縮し、なおかつ、各素子の特性を
安定化することができる。なお、本実施例は、実施例4
と同様に電子源基板が、複数の表面伝導型電子放出素子
が梯子型配線により接続されていてる電子源基板であっ
ても同様に適用可能である。
【0205】[実施例6]図15により第6の実施例に
係る表面伝導型電子放出素子の予備駆動装置の例につい
て説明する。図中401は予備駆動をするための表面伝
導型電子放出素子基板であり実施例4で示したものと同
様である。実施例4と同様真空排気装置および電気配線
に接続されている。402は予備駆動ラインを選択する
ライン選択回路で、タイミング発生回路505の指示に
従って同時に2本以上の行方向配線を選択し、その選択
した行方向配線に電源403の電圧を印加している。5
03は電流検出回路で、選択した行方向配線に電圧印加
した際、選択した各行に流れる電流を行毎に個別モニタ
している。電流検出回路503は、検出用抵抗Rmon
と、抵抗の両端に発生する電圧をサンプル/ホールドす
るサンプルホールドアンプと抵抗の両端に発生する電圧
を計測する計測アンプから成り立っている。これらによ
り電源403から選択したラインへ流れる電流Ifを検
出し、予備駆動電流値509として制御回路506に出
力する。なお、検出用抵抗Rmonの抵抗値は素子電流
Ifが流れることによる電圧降下で表面伝導型電子放出
素子への印加電圧が影響を受けないように十分小さな値
にしている。電源403は制御回路506からの指令値
によって、表面伝導型電子放出素子基板の行方向配線端
子に印加する電圧を発生している。
【0206】一方、507はバッファアンプ回路で、タ
イミング発生回路505からの制御クロックHscan信号
に同期したタイミングで、表面伝導型電子放出素子基板
401の列方向配線の端子Dy1〜Dynを駆動する。
バッファアンプの入力値、すなわち端子Dy1〜Dyn
を駆動する電圧振幅値は画素電極駆動回路508で決定
される。
【0207】本実施例においては制御回路506は予備
駆動開始の指令とともに予備駆動を開始し、詳細は後述
するが、予備駆動電流509の変化に応じて列方向の素
子の駆動電圧値分布を逐次補正する。すなわち、メモリ
511に格納された配線抵抗値データと、電流検出回路
503出力を用いて、各素子を補償する電圧量を算出
し、この値を画素電極駆動回路508に設定出力値51
0として設定する。画素電極駆動回路508は、設定出
力値510に応じて駆動電圧を発生する。さらに電圧
は、バッファアンプ507を通じて素子の列方向電極に
印加される。これにより、各素子において素子電流と列
方向配線抵抗によって生じる電圧分布が補正され、各素
子に常に一定の電圧が印加される。予備駆動電流の変化
に応じて逐次画素電極駆動回路508のデータを更新す
ることで、予備駆動の終了時まで電圧分布補正が行われ
る。また制御回路506は予備駆動電流値509から予
備駆動電流の変化をモニタし、ライン選択回路402を
介して電源403が同時に駆動する行方向配線を選択す
る。この動作の詳細も後述するが、制御回路506は駆
動ライン設定信号をタイミング回路505に送信し、駆
動すべき行方向配線を設定する。タイミング回路505
は、m本の行方向配線と電源403間のどのラインを接
続するのかをラインセレクト信号で設定し、表面伝導型
電子放出素子基板401を電源403で駆動する。な
お、メモリ511には、予備駆動電流の変化状況に応じ
て変化する列方向の素子の駆動電圧値分布を算出するた
めの予備駆動電流値と配線抵抗値を格納し、必要に応じ
て参照される。ライン選択回路402は、実施例4で示
したものと同一なので説明は省略する。
【0208】図16は画素電極駆動回路508の構成を
示す回路図である。画素電極駆動回路508はn個のラ
ッチ回路531とD/Aコンバータ532532で構成
され、表面伝導型電子放出素子基板401(図15)の
n本の列方向配線を駆動する駆動信号を発生する。制御
回路506(図15)は、後述する手順により予備駆動
電流値を基にして、各列方向配線を駆動する駆動電圧値
By1〜Bynを逐次更新する。制御回路506は駆動
電圧量に対応したデジタル出力データを画素電極駆動回
路508のD/Aコンバータ532に転送し、D/Aコ
ンバータ532はそれをアナログ値に変換してラッチ回
路531に転送する。(予備駆動電流計測→出力データ
の演算→ラッチ回路へのデータの転送)の一連の作業が
完了すると、制御回路506は、D/Aコンバータ53
2出力データの更新を行うためにラッチクロックを全て
のラッチ回路531に印加し、同期してデータの更新を
行う。
【0209】引き続き、本実施例の装置を用いて、表面
伝導型電子放出素子基板401を予備駆動する手順につ
いて図15、17、18により説明する。予備駆動は全
ての素子に設定した予備駆動電圧Vpre が所定の時間印
加されるように行う。
【0210】以下に予備駆動のフローについて説明す
る。制御回路506が、予備駆動開始の指令を受信する
と、制御回路506は行単位で通電処理を行うために、
タイミング発生回路505および電源403を制御す
る。先ず、列方向配線端子Dy1〜Dynをグランド電位に
なるよう、設定出力値510を設定する一方、行方向配
線端子Dx1〜Dxmに順次予備駆動電圧Vpre (例えば、
パルス幅1ミリ秒、パルス高16V)をパルス状に印加
する。これにより表面伝導型電子放出素子基板401は
行方向単位に順次パルス電圧が印加され、予備駆動がラ
イン単位で開始する。なお、詳細は後述するが、実施例
5と同様に、時間短縮のため予備駆動は同時に2ライン
を単位として10ラインを走査しながら通電処理を行っ
た。
【0211】以下、ラインを単位とした通電処理を行う
場合に給電端からの距離に依存して起きる素子特性のば
らつきを補正するために本実施例で用いた方法を説明す
る。本実施例では行方向配線端子Dx1とDx241の2本を
同時に駆動する際、2本の内1本に注目し、行方向配線
端子Dx1ライン上のn個の素子を予備駆動する場合につ
いて説明する。
【0212】予備駆動電圧を印加している1行目(Dx1
ライン)の表面伝導型素子群に着目する。各素子の配線
抵抗を含めたモデルで表面伝導型電子放出素子群541
を表し、この素子群を予備駆動する様子を図17で説明
する。図17において、F1〜Fnは行方向配線端子D
x1ライン上の表面伝導型電子放出素子、r1〜rnは行
配線Dx1における各部の配線抵抗、Ryは各配線Dy1〜
Dynの給電端から表面伝導型電子放出素子までの配線抵
抗である。一般に行配線は一定の線幅、厚さ、材料で形
成されるように設計されるため、製造上のばらつきを除
けばr1〜rnは等しいと考えてよい。また各配線は一
般にどれも等しく設計されるため各配線のRyは等しい
と考えてよい。なお、予備駆動の前後で表面伝導型電子
放出素子の等価抵抗値は変化(減少)するが、Ryの値
に比べ各素子の等価抵抗は非常に大きく、本実施例のよ
うに2ラインを同時に駆動した場合もRy両端での電圧
降下量は非常に小さく、Ryは無視して考えてよい。ま
た一般に、表面伝導型電子放出素子F1〜Fnの等価抵
抗値は、r1〜rnに比べて大きく設計されている。
【0213】表面伝導型電子放出素子群541を予備駆
動するため、制御回路506はタイミング発生回路50
5を介してライン選択回路402を制御し、予備駆動電
圧Vpre を出力する電源403と電流検出回路503を
行方向配線端子Dx1に接続する。これにより端子Dx1は
予備駆動電圧Vpre で駆動される。
【0214】一方、Dx1ライン上の素子のもう一方の電
極端子であるDy1〜Dyn端子はバッファアンプ507に
より駆動される。バッファアンプ507は、各素子F1
〜Fnからの予備駆動電流i1〜inをシンクするよう
に動作するが、その出力電圧振幅は画素電極駆動回路5
08によって決定される。
【0215】画素電極駆動回路508の出力設定方法を
説明するため、予備駆動を行う際の各素子への駆動電圧
分布について説明する。予備駆動を行う際、素子の電気
特性は図18に示すような変化をする。すなわち予備駆
動の開始時に素子電流は最大流れ、通電と共に素子電流
が減少する。この時、行配線Dx1上の素子群の端子電圧
をモニタすると配線抵抗r1〜rnの影響でGy1〜Gyn
電圧は変化する。この電圧変化は予備駆動電流ipre の
変化と共に少なくなり予備駆動の最初が最も大きい。例
えば、予備駆動電流2mA/1素子、r1〜rn=10
mΩ、n=1000の場合、給電端から最も遠いFn素
子の端子Gynにおいては、
【0216】
【数32】 もの電圧差が生じることになる。そこで、この電圧差分
布と同じ電圧分布を画素電極駆動回路508で発生さ
せ、各素子に生じる電圧分布をキャンセルする様にバッ
ファアンプ507出力Sy1〜Synにより、Dy1〜Dyn端
子を駆動する。すなわち、予備駆動電流の変化に伴っ
て、各素子F1〜Fnに流れる電流と配線抵抗r1〜r
nによって端子Gy1〜Gynに生じる電圧降下分布を、制
御回路506で演算し、画素電極駆動回路508のD/
Aコンバータ出力値を設定することで、出力By1〜Byn
に電圧降下分布を再現できる。各素子F1〜Fnの予備
駆動がほぼ一様に進行すると仮定すると、各素子を流れ
る素子電流i1〜inはほぼ等しく、その電流値は電流
検出回路503で検出される電流量Iを用いて
【0217】
【数33】 で現される。この時、各素子F1〜Fnに流れる電流と
配線抵抗r1〜rnによって端子Gy1〜Gynに生じる電
圧降下分布すなわち、画素電極駆動回路508出力端子
に出力すべき電圧By1〜Bynは、配線抵抗値r1〜rn
とiaveを用いて、
【0218】
【数34】 として算出される。
【0219】変化する予備駆動電流を測定し、上式によ
り各出力電圧By1〜Bynを逐次算出し、デジタル出力デ
ータを制御回路506は画素電極駆動回路508のラッ
チ回路531に転送する。(電流計測→出力データの演
算→ラッチ回路へのデータの転送)の一連の作業が完了
すると、制御回路506は、D/Aデータの更新を行う
ためにラッチクロックを全てのラッチ回路531に印加
し、同期してデータの更新を行う。これにより画素電極
駆動回路508は素子F1〜Fnの端子Gy1〜Gynに生
じる電圧分布量と同じ電圧分布を発生する。これにより
各素子F1〜Fnの端子間に印加される電圧は素子番
号、予備駆動電流の変化によらずに一定にすることがで
きる。
【0220】図19は、予備駆動の開始と終了時に素子
F1〜Fnの両端に印加される電圧分布を示したもので
ある。図19(a)は予備駆動開示直後の電圧分布を示
している。横軸は素子番号F1〜Fnであり、素子の位
置を示している。縦軸は素子両端の端子電圧を示してい
る。予備駆動の開始直後は前述したように各素子を流れ
る電流は、ほぼ2mAになっている。従って電源403
から印加する予備駆動電圧Vpre =16Vが各素子の端
子Gy1〜Gynに印加される間に配線抵抗の電圧降下の影
響で低下する。この時、画素電極駆動回路508の設定
電流値を2mAとすれば画素電極駆動回路508出力B
y1〜Bynおよびバッファ507出力Sy1〜Syの分布は
Gy1〜Gynの分布と同じになる。これにより各素子には
一定の印加電圧〜16Vが印加されて予備駆動が行われ
る。
【0221】また図19(b)は予備駆動終了時の電圧
分布を示している。予備駆動の終了時は前述したように
各素子を流れる電流は開始直後と比較すると小さい。従
って電源403から印加する予備駆動電圧Vpre =16
Vが各素子の端子Gy1〜Gynに印加される電圧値も上が
っている。また予備駆動電流が低下しているので画素電
極駆動回路508の設定電流値もほぼ小さくなり、画素
電極駆動回路508出力By1〜Bynおよびバッファ50
7出力Sy1〜Synも小さくなる。これにより各素子には
一定の印加電圧(実質16V)が印加され、予備駆動が
終了する。
【0222】すなわち予備駆動電流が変化すると配線抵
抗の影響で素子に印加される電圧に分布が常に変化す
る。この時、電圧分布量を算出しを画素電極駆動回路5
08の設定出力値として設定し、画素電極駆動回路50
8出力By1〜Bynを逐次更新することで予備駆動の開始
から終了まで全ての素子が一定の電圧で予備駆動され
る。そしてここで予備駆動に必要な時間は同じ条件で作
成された1素子のデータから求められ各素子の駆動時間
が1分間で予備駆動を終了した。
【0223】以上の説明においては、行配線Dx1上の素
子の予備駆動の説明を行ったが、他のライン上の素子を
予備駆動する際も全く同様に適用できる。本実施例にお
いては予備駆動ラインを順次切り替えながら複数同時進
行で予備駆動を行った。この時、本実施例においては2
本のラインを同時に予備駆動処理しているため、同時予
備駆動ラインの選択に関して考慮が必要となった。この
点に関して以下説明する。
【0224】予備駆動工程を短時間で終わらせるため
に、本実施例では同時に複数のラインに通電処理を行っ
た。本実施例においては、2ライン同時に駆動しながら
予備駆動処理を行った。前述したように本実施例では、
予備駆動時に予備駆動電流と配線抵抗により生じる各素
子印加電圧の不均一を画素電極駆動回路508からの補
償電圧印加により補償している。本実施例において、表
面伝導型電子放出素子基板401は単純マトリクス配線
によって素子を構成している。従って2ラインを同時に
駆動する場合、画素電極駆動回路508は2ラインに対
して共通なため、駆動ラインには同じ補償電圧量を印加
することしかできない。この時、2ラインの予備駆動特
性が全く同じ場合は、同じ補償電圧を印加して補償がで
きる。しかしながら実際には、製造ばらつきによりライ
ン毎の配線抵抗値ばらつきが生じたり、個々のライン毎
に予備駆動電流の変化速度が異なったりして、2本の駆
動ラインに印加すべき電圧補償量が異なる場合があっ
た。このように同時駆動ライン間に印加すべき電圧補償
量が異なる場合に対応するため、本実施例では予備駆動
電流の変化と共に同時に駆動すべきラインを逐次変更し
予備駆動電流の変化が同じライン2本を束ねて駆動し
た。
【0225】この詳細について図20のフローチャート
により説明する。説明を分かりやくすくするため、表面
伝導型電子放出素子基板401の行方向配線数nは48
0本あるものとして以下説明する。 (手順1):初期駆動条件設定 予備駆動開始の指令により、制御回路506(図15)
は予備駆動を開始する。先ず、予備駆動の開始時の初期
駆動条件設定を行う。初期駆動条件として設定する項目
は、画素電極駆動回路508出力電圧の初期電圧値設定
と、同時駆動ラインの設定の2つである。
【0226】画素電極駆動回路508の初期電圧値設定
は以下のように行った。駆動初期時、予備駆動電流は最
大になるが電流値は不明である。従って画素電極駆動回
路508から印加する補償電圧量は全て0Vとなるよう
に設定する。また通電は2ライン同時に駆動を行い10
ラインを走査するため、480本の行方向配線を通電処
理する場合、24ブロックの通電処理単位に分けられ
る。この24ブロックの割付を行うのが“同時駆動ライ
ンの設定”である。予備駆動の始まりにおいては、どの
ラインも補償を行わないため、どのように2本を組み合
わせても問題はない。ここでは、予備駆動電圧印加時に
表面伝導型電子放出素子基板401上で分割して電力が
印加されるように、以下のように組み合わせを設定し
た。
【0227】
【表2】
【0228】(手順2):スクロール駆動開始 手順1の設定に基づいて駆動条件を設定後、まずは1ブ
ロック目(ch1〜10、ch241〜250)の予備
駆動を開始する。行方向配線2本ずつ同時に駆動を行
う。駆動ラインの選択は同時駆動ラインの設定値に基づ
いて決められ、駆動ライン設定信号としてタイミング回
路505(図15)に転送される。タイミング発生回路
505はラインセレクト信号を出力し、ライン選択回路
402で2本のラインが同時に電源403で駆動され
る。またこの時、予備駆動電流の変化をモニタして予備
駆動電流と配線抵抗により生じる電圧降下の補償量を算
出するため、電流検出回路503により各行方向配線を
流れる電流値を検出しメモリ511に格納する。
【0229】(条件1):1スクロールの終了検出 1ブロックの予備駆動処理と各ラインの電流検出の終了
迄待つ。
【0230】(手順3):補償電圧値の算出 予備駆動電流の変化により、予備駆動電流と配線抵抗に
より生じる電圧降下の補償電圧を算出する。前述の(式
11)により、各ライン毎の予備駆動電流と配線抵抗か
ら補償電圧値を算出することが可能である。各ラインに
おいて配線抵抗r1〜rnは、ほぼ等しいと考えてよ
く、ラインごとのばらつきのみを補正するため、ライン
毎の配線抵抗値を予め測定してメモリ511に格納して
おく。同時に2ラインを駆動中も、電流モニタ回路50
3によりライン毎に予備駆動電流を検出し、手順2に従
ってメモリ511に格納した各ライン毎の予備駆動電流
値と配線抵抗値を用いて各ライン毎に補償電圧値を算出
する。
【0231】(手順4):同時選択ラインの設定 予備駆動電流の変化により、印加すべき補償電圧値がラ
イン毎に変化するため、同時選択ラインの組み合わせも
逐次更新する必要がある。そこで手順4により、同時に
駆動する選択ラインの設定を行う。予備駆動をすべきラ
インを手順2で算出した補償電圧値が大きいものから順
に並べ、補償電圧値の似たラインを2本ずつ同時選択ラ
インとして設定する。この時選択ラインとして隣り合っ
た2ラインが選択されると、表面伝導型電子放出素子基
板の一部に電力集中してしまう可能性がある。そこでラ
イン1〜480をライン1〜240からなるブロックA
とライン241〜480からなるブロックBの2つに分
け、2本の同時選択ラインをブロックAとブロックBか
ら各1本ずつ選択するようにした。
【0232】(条件2):1ブロックの予備駆動終了検
出 該ブロックの駆動時間が終了時間に達したかどうかを判
断する。予備駆動が終了していない場合は、手順2に戻
って、再びスクロール駆動を開始する。この時の同時選
択ラインの組み合わせと画素電極駆動回路508からの
補償電圧値は、手順3と手順4の設定された値を用い
る。
【0233】(条件3):全ブロックの終了判断 すべてのブロックが終了したかどうかを判断する。終了
していない場合は、次のブロックを走査する設定(手順
5)を行って、手順2に戻り、次のブロックについて予
備駆動を繰り返す。
【0234】このようにして表面伝導型電子放出素子基
板401の予備駆動を終了する。予備駆動電流と配線抵
抗による電圧降下を補償するため画素電極駆動回路50
8出力By1〜Bynを逐次更新することで予備駆動の開始
から終了まで全ての素子が一定の電圧で均一に予備駆動
され、かつ2ラインを同時に駆動し、10ラインを走査
することにより、1ラインずつを駆動していた場合に比
べ約20分の1の処理時間で予備駆動処理が完了した。
【0235】なお、本実施例においては、電源403出
力を正として、端子Dx1から端子Dy1〜Dynに電流を流
す方向で予備駆動を行ったが、これとは極性を逆にして
端子Dy1〜Dynから端子Dx1側に電流を流すように予備
駆動を行ってもよい。この場合は、電圧分布も逆になる
ため、バッファアンプ507を(−1)倍の反転バッフ
ァアンプとして、電流をソースするように設定すること
で全く同様の効果が期待できる。また本実施例において
電圧分布発生回路508は表面伝導型電子放出素子基板
401の列方向配線数nと同じ数のD/Aコンバータで
構成したが、補償電圧分布の形は図19に示すように緩
やかに変化するため、D/Aコンバータの数を間引い
て、間引いた列方向配線端子に印加すべき電圧値を抵抗
分割によって規定しても良い。これによりD/Aコンバ
ータの数を減らしてコストダウンを可能とする。
【0236】また列配線方向の素子数nが大きくなった
場合、(素子電流計測→出力データの演算→データ転
送)の一連の作業は時間がかかる可能性がある。これを
処理する際、各素子毎に並列して処理したり、電流値と
配線抵抗値と列方向配線上の位置から補償電圧値を発生
するようなルックアップテーブル(LUT)参照方式を
用いることで時間の短縮が図れる。また補償電圧値の更
新間隔も、本実施例に示したように1スクロール毎に行
わなくても、予備駆動電流の変化速度に合わせて適宜行
うようにしてもよい。
【0237】以上説明したように本実施例の予備駆動装
置によれば、前述した実施例4および5と比較して全て
の素子の電子放出特性がより均一化される。これによ
り、この電子源基板を用いて輝度または濃度のばらつき
が少ない高品位な画像表示装置が実現された。
【0238】[実施例7]図21により本発明の第7の
実施例に係る表面伝導型電子放出素子の予備駆動装置に
ついて説明する。図21において、表面伝導型電子放出
素子701は図11の401と同じであり、装置全体の
動作は実施例4と同様なので省略する。本実施例におい
ては、予備駆動時、同時に駆動するライン選択の選択方
法が異なっており、これにより一層通電処理時間の短縮
化を実現したので以下に説明する。本実施例において
は、同時に駆動するライン数を予備駆動の開始時から終
了時まで一定とせず逐次変更した。これを実現するため
に同時選択ライン数決定回路712を備えている。
【0239】予備駆動の際の同時選択ライン数を増やす
ことにより、通電処理時間は短縮化できる。一方、同時
選択ライン数をむやみに増やすことはできず、以下の様
な制限がある。 1.配線抵抗Ryに生じる電圧降下の影響 今まで、図17の等価回路で配線抵抗Ryの影響は小さ
いとして無視してきた。しかしながら同時駆動ライン数
が増えると、Ryの両端に生じる電圧降下の影響無視で
きなくなり、電圧降下補償の効果が損なわれてしまう。 2.表面伝導型電子放出素子基板への投入電力の問題 同時に複数のラインを駆動する場合、1本ずつ駆動する
場合に比べ表面伝導型電子放出素子基板に多くの電力が
投入されることになる。表面伝導型電子放出素子基板
は、ガラスのように熱伝導率の悪い材料を使用する場合
が多いため、余り多くの電力を投入すると表面伝導型電
子放出素子基板を熱で破壊する可能性がある。
【0240】このような、制限を考慮して、予備駆動電
流の変化に応じて最適な同時選択ライン数を決定するの
が同時選択ライン数決定回路712である。本実施例に
おいて、同時選択ライン数決定回路712は上記した制
限のうち、投入電力の制限の方が厳しかったため、投入
電力を基にして、同時選択ライン数を最大4本から最小
2本の間で予備駆動電流の変化と共に変化させた。
【0241】この詳細について図22のフローチャート
により説明する。説明を分かりやくすくするため、表面
伝導型電子放出素子基板701の行方向配線数nは48
0本あるものとして以下説明する。 (手順1):初期駆動条件設定 予備駆動開始の指令により、制御回路706は予備駆動
を開始する。先ず、予備駆動の開始時の初期駆動条件設
定を行う。初期駆動条件として設定する項目は、画素電
極駆動回路708出力電圧の初期電圧値設定と、同時駆
動ラインの設定の2つである。画素電極駆動回路708
の初期電圧値設定は以下のように行った。駆動初期時、
予備駆動電流は最大になるが電流値は不明である。従っ
て画素電極駆動回路508から印加する補償電圧量は全
て0Vとなるように設定する。また通電は2ライン同時
に駆動を行い10ラインを走査するため、480本の行
方向配線を通電処理する場合、24ブロックの通電処理
単位に分けられる。この24ブロックの割付を行うのが
“同時駆動ラインの設定”である。予備駆動の始まりに
おいては、どのラインも補償を行わないため、どのよう
に2本を組み合わせても問題はない。ここでは、予備駆
動電圧印加時に表面伝導型電子放出素子を基板701上
で分割して電力が印加されるように、以下のように組み
合わせを設定した。
【0242】
【表3】
【0243】(手順2):スクロール駆動開始 手順1の設定に基づいて駆動条件を設定後、予備駆動を
開始する。同時選択ライン数決定回路712で決められ
た行方向配線本ずつ同時に駆動を行う。駆動ラインの選
択は同時駆動ラインの設定値に基づいて決められ、駆動
ライン設定信号としてタイミング回路705に転送され
る。タイミング発生回路705はラインセレクト信号を
出力し、ライン選択回路702で2本のラインが同時に
電源704で駆動される。またこの時、予備駆動電流の
変化をモニタして予備駆動電流と配線抵抗により生じる
電圧降下の補償量を算出するため、電流検出回路703
により各行方向配線を流れる電流値を検出しメモリ71
1に格納する。
【0244】(条件1):1スクロールの終了検出 全ブロックの予備駆動処理と各ラインの電流検出の終了
迄待つ。
【0245】(手順3):補償電圧値の算出 予備駆動電流の変化により、予備駆動電流と配線抵抗に
より生じる電圧降下の補償電圧を算出する。前述の(式
11)により、各ライン毎の予備駆動電流と配線抵抗か
ら補償電圧値を算出することが可能である。各ラインに
おいて配線抵抗r1〜rNは、ほぼ等しいと考えてよ
く、ラインごとのばらつきのみを補正するため、ライン
毎の配線抵抗値を予め測定してメモリ711に格納して
おく。同時に複数ラインを駆動中も、電流モニタ回路7
03によりライン毎に予備駆動電流を検出し、手順2に
従ってメモリ711に格納した各ライン毎の予備駆動電
流値と配線抵抗値を用いて各ライン毎に補償電圧値を算
出する。
【0246】(手順4):同時選択ラインの設定 予備駆動電流の変化により、印加すべき補償電圧値がラ
イン毎に変化するため、同時選択ラインの組み合わせも
逐次更新する必要がある。そこで手順4により、同時に
駆動する選択ラインの設定を行う。先ず、予備駆動時間
に達したラインは予備駆動をしないため、選択ラインか
ら外す。次に、同時選択ライン数決定回路712がパネ
ル投入電力量を基に同時駆動ライン数(以下X本とす
る)を2から4本の間で決定する。次に予備駆動をすべ
きラインを手順2で算出した補償電圧値が大きい物から
順に並べ、補償電圧値の似たラインをX本ずつ同時選択
ラインとして設定する。つまり、前述のように予備駆動
処理時には素子電流が減少するためXの値は段々増える
ことになるがここで増えた場合は増えたライン数に応じ
て新たなラインを同一ブロックの中に組み込むことにな
る。また終了ラインが発生した場合も別のラインを組み
込むことになる。この時新たに組み込まれるラインに対
応する補償電圧は0Vに初期設定される。
【0247】(条件2):全ラインの予備駆動終了検出 全てのラインの予備駆動時間が目標値に達した場合は予
備駆動を終了する。予備駆動が終了していない場合は、
手順2に戻って、再びスクロール駆動を開始する。この
時の同時選択ラインの組み合わせと画素電極駆動回路7
08からの補償電圧値は、手順3および手順4の設定値
を用いる。
【0248】このようにして表面伝導型電子放出素子基
板701の予備駆動を終了する。予備駆動電流と配線抵
抗による電圧降下を補償するため画素電極駆動回路70
8出力By1〜Bynを逐次更新することで予備駆動の開始
から終了まで全ての素子が一定の電圧で均一に予備駆動
され、かつ複数ラインを同時に駆動し10ラインを1ブ
ロックで走査することで、1ラインずつを駆動していた
場合に比べほぼ1/30の処理時間で予備駆動処理が完
了した。なお、本実施例では、同時駆動するライン数を
2から4本の間で変化させたが、上述した制限の範囲内
でより大きく変化させても良い。
【0249】[実施例8]図23により本発明の第8の
実施例に係る表面伝導型放出素子の予備駆動装置につい
て説明する。図23においても、表面伝導型放出素子4
01は図11の401と同じであり、装置全体の動作や
予備駆動の手順等は実施例6とほぼ同様なので省略す
る。本実施例においては表面伝導型放出素子401のラ
イン選択回路402による駆動方法が異なっているので
説明する。
【0250】図24を参照してライン選択回路402の
駆動方法を説明する。同回路は、内部にm個のスイッチ
ング素子(Sw1〜Swm)を備えるもので、各スイッ
チング素子は、電源403の出力電圧もしくは可変電源
513の出力電圧のいずれか一方を選択し、表面伝導型
放出素子基板401の端子Dx1〜Dxmと電気的に接続す
るものである。各スイッチング素子は、タイミング発生
回路505が出力する制御信号Vscanに基づいて動作す
るものであるが、実際には例えばFETやリレーのよう
なスイッチング素子を組み合わせることにより容易に構
成することが可能である。図24においては第1行目の
ラインSx1および第(m/2+1)行目のラインSx[m/2
+1]が選択され、行方向配線Dx1およびDx[m/2+
1]に電源403の出力電圧が印加され、他のライン
(Sx2〜Sxm)は可変電源731の出力電圧に接続され
ている。可変電源731の出力電圧は制御回路506が
出力する非選択電位設定値732により設定される。
【0251】本実施例においては、予備駆動電圧を印加
しない非選択ライン(Sx2〜Sxm)の電位をグランドレ
ベルでなく非選択電位にしている。この理由を以下に記
す。行単位で予備駆動を行う場合、同一行上で列方向に
生じる電圧降下の分布を列方向配線端子Dy1〜Dyn
からの電圧印加により補償するのが実施例6および7の
趣旨であるが、表面伝導型放出素子基板が単純マトリク
ス構成であるため、列方向配線端子Dy1〜Dynから
の印加電圧は予備駆動ラインだけでなく、予備駆動を行
っていないラインの素子にも印加される。むろん列方向
配線端子Dy1〜Dynは最大でも数Vと小さいが、予
備駆動を行っていないラインの素子への電圧印加による
消費電力増加を軽減する方が望ましい。そこで予備駆動
を行っていないライン(非予備駆動ライン)を束ね、こ
れらのラインに接続された素子両端に印加される電圧の
絶対値を極力小さくするように、束ねたラインに非選択
電位設定値732を印加した。
【0252】この時、非選択電位設定値732は以下の
ようにして制御回路506で決定した。画素電極駆動回
路508出力で各端子に発生する最大電圧と最小電圧の
差を電圧降下量として算出する。具体的には図23にお
いて画素電極駆動回路508出力By1〜Bynの最大電圧
分布量は
【0253】
【数35】 で算出される。そこで、
【0254】
【数36】 と決定した。
【0255】本実施例においても、実施例6と同様に画
素電極駆動回路508出力は電流検出回路503の予備
駆動電流値509(I)、配線抵抗値r1〜rn≒rを
用いて以下のように算出できる。
【0256】
【数37】 従って、非選択電位設定値732は、
【0257】
【数38】 として算出される。
【0258】非選択ラインの電圧をこのように設定して
駆動を行うと、非選択ライン上の素子両端には、(Vo
ff−By1)〜(Voff−Byn)すなわち、
【0259】
【数39】 の電圧が印加されることになる。
【0260】もし、非選択電位設定値732がグランド
レベルの場合、非選択ライン上の素子両端の電圧(Vo
ff−By1)〜(Voff−Byn)は
【0261】
【数40】 となるので、非選択ラインに、上記の非選択電位設定値
732を印加することで非選択ラインに接続された素子
両端に印加される電圧の絶対値を、ほぼ半分にすること
ができる。通常nは1000以上と大きいため、上式
で、(n−5)≒(n+3)≒(n+1)≒nと見なせ
るためである。
【0262】図25に、Dx1ライン上の素子を予備駆動
時、表面伝導型放出素子基板801の各端子に印加され
る駆動電圧波形を示す。前述のように、各素子は駆動電
圧Vpre =16V、パルス幅1msのパルス駆動され
る。図25(a)は、予備駆動を行っている端子Dx1、
Dx[m/2+1]への駆動波形(駆動電圧16V、パルス
幅1ms)を示し、これは電源403によって駆動され
る。図25(b)は、予備駆動を行っていない非選択ラ
インの端子Dx2〜Dx[m/2]、Dx[m/2+2]〜Dxmへ
の駆動波形を示し、これは非選択電位設定値732(図
24)で設定される可変電源731によって駆動され、
非選択電位732はVoffで表される。図25(c)
と図25(d)は、表面伝導型放出素子基板401の列
方向端子の駆動波形を示し、これはバッファアンプ50
7で駆動される。図25(c)は、電圧降下の最も小さ
な端子Dy1の駆動波形を、図25(d)は電圧降下の最
も大きな端子Dynの駆動波形を示している。予備駆動中
に、検出電流が変化しても逐次補償電圧分布が変化し常
に設定した電圧Vpre =16Vが各素子に印加される。
【0263】なお各素子は、パルス駆動される。この
時、ライン選択回路402のパルス電圧出力開始タイミ
ングは、電圧分布を発生するバッファアンプ507のパ
ルス出力の変化よりもΔt(Δtは数μsec)遅れて
出力を開始し、パルスが出力を終了する場合はバッファ
アンプ507のパルス出力の変化よりΔt先にパルス出
力を終了するようにしたので、これについて説明する。
【0264】これはバッファアンプ出力のアンプ毎の出
力ばらつきにより、出力タイミングにチャンネル間でデ
ィレイが生じる場合の問題に対応するためである。つま
り、ライン選択回路402のパルス電圧出力開始が、電
圧分布を発生するバッファアンプ507のパルス出力の
変化よりも先に出力を開始する場合、万一、出力タイミ
ングにチャンネル間でディレイが生じると、一瞬、選択
ライン上の素子の一部しか十分な駆動電圧が印加されな
い時間が生じる。この瞬間は、選択ライン上の全ての素
子が駆動されず、流れる予備駆動電流が小さくなる。し
かしながら、バッファアンプ出力は選択ライン上の素子
がすべて十分駆動されていると仮定して算出した電圧を
印加している。従って、この場合は素子に設定より大き
な駆動電圧が印加され、特性不均一を発生させる可能性
があった。そこでライン選択回路402のパルス電圧出
力開始は、電圧分布を発生するバッファアンプ507の
パルス出力の変化よりもΔt遅れて出力を開始し、パル
スが出力を終了する場合はバッファアンプ507のパル
ス出力の変化よりΔt先にパルス出力を終了するように
印加する。こうすれば、バッファアンプの出力タイミン
グばらつきの影響を回避できる。
【0265】本実施例で用いた非選択ラインへの電圧印
加により、表面伝導型放出素子基板を予備駆動時に投入
される投入電力をより低減することができた。なお、オ
フセット電圧の決定方法は上述した方法だけでなく、表
面伝導型放出素子基板全体に印加される電力値が最小に
なるようにしてもよい。例えば、非選択ラインへの電圧
印加は行わずに、列方向配線端子Dy1〜Dynから印加さ
れる電圧の絶対値を極力小さくするようにオフセット電
圧を加算し駆動を行っても良い。この時、印加するオフ
セット電圧値は以下のようにして決定できる。画素電極
駆動回路508出力で各端子に発生する最大電圧と最小
電圧の差を電圧降下量として算出する。具体的には図2
3において画素電極駆動回路508出力By1〜Bynの電
圧降下量は
【0266】
【数41】 で算出される。すなわち、
【0267】
【数42】 である。このオフセット電圧をDy1〜Dynに印加する分
布電圧にオフセットとして加算することで、列方向配線
端子Dy1〜Dynから印加される電圧の絶対値を実施例7
に比べ半分にすることができた。
【0268】[実施例9]図26により本発明の第9の
実施例に係る表面伝導型電子放出素子の予備駆動装置の
例について説明する。図中401は予備駆動をするため
の表面伝導型電子放出素子基板である。実施例4で示し
たものと同様である。実施例4と同様真空排気装置およ
び電気配線に接続されている。402は構成は前述と同
様であるが、予備駆動ラインを選択するライン選択部
で、後述するように予め表面伝導型電子放出素子基板の
設計値に基づいて、決められた組み合わせを記憶する選
択ライン記憶部1607を参照して制御部506が指示
を出し、同時に2本以上の行方向配線を選択し、その選
択した行方向配線に電源403の電圧を印加している。
503は電流検出部で、この構成および基本的な動作は
前述の通りである。電源403は制御部506からの指
令値によって、表面伝導型電子放出素子基板の行方向配
線端子に印加する電圧を発生している。一方、1606
は駆動回路部で、制御部506からの制御クロックTla
tch 信号に同期したタイミングで、表面伝導型電子放出
素子基板401の列方向配線の端子Dy1〜Dynを駆動す
る。
【0269】本実施例においては、制御部506は予備
駆動開始の指令とともに予備駆動を開始し、詳細は後述
するが、予備駆動の進行状況に応じて変化する列方向の
素子の駆動電圧値分布を逐次補正する。すなわち、配線
抵抗記憶部1608に格納された配線抵抗値データと、
引き出し配線記憶部1609に格納された引き出し配線
抵抗値データと、電流検出部503出力を用いて、各素
子を補償する電圧量を算出し、この値を駆動回路部16
06に設定出力値として設定する。駆動回路部1606
は、設定出力値に応じて駆動電圧を発生し素子の列方向
電極に印加される。これにより、各素子において素子電
流と列方向配線抵抗によって生じる電圧分布が補正さ
れ、各素子に常に一定の電圧が印加される。予備駆動の
進行に応じて逐次駆動回路部1606のデータを更新す
ることで、予備駆動の終了時まで電圧分布補正が行われ
る。また制御部506は予備駆動電流値をモニタし、ラ
イン選択部402を介して電源403が同時に駆動する
行方向配線を選択する。この動作の詳細も後述するが、
制御部506は駆動ライン設定信号をライン選択部40
2に送信し、駆動すべき行方向配線を設定する。
【0270】図27は駆動回路部1606の構成を示す
回路図である。駆動回路部1606はn個のラッチ回路
641とD/Aコンバータ642およびバッファアンプ
507で構成され、表面伝導型電子放出素子基板401
のn本の列方向配線を駆動する駆動信号を発生する。制
御部506は、後述する手順により予備駆動電流値を基
にして、各列方向配線を駆動する駆動電圧値Sy1〜Syn
を逐次更新する。制御部506は駆動電圧量に対応した
デジタル出力データDataを駆動回路部1606のラ
ッチ回路641に転送する。(予備駆動電流計測→出力
データの演算→ラッチ回路へのデータの転送)の一連の
作業が完了すると、制御部506は、D/Aコンバータ
642出力データの更新を行うためにラッチクロックT
latch を全てのラッチ回路641に印加し、同期してデ
ータの更新を行う。
【0271】次に本実施例における同時選択ライン(本
実施例においては2ライン同時なので2本ずつのペア)
を決定する方法について説明する。予備駆動中の電圧降
下に違いが発生する原因の第1に引き出し配線抵抗の違
いが挙げられる。本実施例においてはこれを改善する方
法について述べる。まず、引き出し配線抵抗が行配線毎
に異なっている例を図28を用いて説明する。図28
(a)は、表面伝導型電子放出素子基板上の行配線パタ
ーン全体のアウトラインを模式的に表したもので、大き
くは、素子部配線と引き出し部配線に分けることができ
る。ここで、引き出し部は、所定の行配線数毎にパター
ンが絞り込まれて接続部につながっている。これら引き
出し部の1つであるP部を詳細に示したのが図28
(b)である。このようなパターンになるのは、所謂フ
レキシブル配線(以降フレキと記す)等を圧着するため
のもので、通常フレキの寸法精度などの理由から図28
(b)に示した接続部に圧着できるフレキの幅が制限さ
れ、その幅毎に両側にデッドスペースが必要になる。こ
のような場合に引き出し部の抵抗をそれぞれの行配線番
号に対してプロットすると図29(a)のようになる。
以降の説明においては行配線数mは480、フレキの配
線単位は80として説明する。このように、引き出し配
線抵抗は、配線パターンの繰り返しと同様に80行ごと
の繰り返しになっており、各フレキ単位毎に1〜40、
41〜80が対称になっている。ここで示した抵抗値
は、配線材料、配線の膜厚が決まっていると配線のパタ
ーンから容易に計算できるので、パターン設計が決まる
と求めることができる。このようにして求めた引き出し
配線抵抗はそれぞれRd1、Rd2、Rd3…Rd48
0として引き出し配線抵抗記憶部1609(図26)に
記憶される。次に、このようにして求められた引き出し
配線抵抗に基づいて同時選択行の組み合わせを図29
(b)に示すように行う。つまり配線パターンで対称に
なっている行配線同志を組み合わせて240組の同時駆
動行番号を設定し、これを選択ライン記憶部に記憶す
る。
【0272】引き続き、本実施例の装置を用いて、表面
伝導型電子放出素子基板401を予備駆動する手順につ
いて説明する。予備駆動は全ての素子に設定した予備駆
動電圧Vpre が所定の時間印加されるように行う。以下
に予備駆動のフローについて説明する。制御部506
(図26)が、予備駆動開始の指令(外部より装置操作
者が入力する)を受信すると、制御部506は行単位で
通電処理を行うために、ライン選択部402および電源
403を制御する。
【0273】先ず、列方向配線端子Dy1〜Dynがグラン
ド電位になるよう、信号値Dataを設定する一方、行
方向配線端子Dx1〜Dxmに順次予備駆動電圧(例えば、
パルス幅1ミリ秒、パルス高16V:以下この電圧をV
pre とする)を印加する。ライン選択部402の切り替
えシーケンスは実施例6で説明したとおり10ラインを
1ブロックとして走査を行う。これにより表面伝導型電
子放出素子基板401は行方向単位に順次パルス電圧が
印加され、予備駆動がライン単位で開始する。なお、前
述した選択ライン記憶部に記憶されたペアに基づいて、
時間短縮のため予備駆動は2ラインを単位として同時に
通電処理を行った。
【0274】以下、ラインを単位とした通電処理を行う
場合に給電端からの距離に依存して起きる素子特性のば
らつきを補正するために本実施例で用いた方法を説明す
る。本実施例では行方向配線端子Dx1とDx80 の2本を
同時に駆動する際、2本の内1本に注目し、行方向配線
端子Dx1ライン上のn個の素子を予備駆動する場合につ
いて説明する。予備駆動電圧を印加している1行目(D
x1ライン)の表面伝導型素子群に着目した場合その等価
回路は図30のようになるが両側から表面伝導型電子放
出素子基板に給電している以外は前述の図17と同じに
なるので説明は省略する。
【0275】表面伝導型電子放出素子群941を予備駆
動するため、制御部506はライン選択部402を制御
し、予備駆動電圧を出力する電源403と、電流検出部
503を行方向配線端子Dx1に接続する。これにより端
子Dx1は予備駆動電圧Vpreで駆動される。一方、Dx1
ライン上の素子のもう一方の電極端子であるDy1〜Dyn
端子は駆動回路部1606により駆動される。駆動回路
部1606は、各素子F1〜Fnからの予備駆動電流i
1〜inをシンクするように動作する。
【0276】駆動回路部1606の出力設定方法を説明
するため、予備駆動を行う際の各素子への駆動電圧分布
について説明する。予備駆動を行う際、素子の電気特性
は図18に示すような変化をする。すなわち予備駆動の
開始時に素子電流は最大流れ、通電と共に素子電流が減
少する。この時、引き出し配線抵抗rd1によって行配
線911上の端子Gy0、Gy0’の電位が徐々に変化す
る。該電圧降下量をΔV1、図30で示したように給電
端Dx1から行配線911に流れ込む電流をIとすると
【0277】
【数43】 で表せる。さらに、行配線911上の素子群の行配線上
の電位をモニタすると配線抵抗r1〜rnの影響でGy1
〜Gyn電位は降下する。この電圧降下は予備駆動の進行
と共に変化し予備駆動の最後に最も小さくなる。例え
ば、1素子当たりの予備駆動電流=2mA、r1〜rn
+1=10mΩ、n=1000の場合、給電端から最も
遠い素子Fn/2 の端子Gyn/2 においては、
【0278】
【数44】 程度の電圧降下が生じることになる。この時上述のΔV
1は、rd1が1Ωとすると
【数45】 となり、両方で約3.5V程度の電圧降下が生じる。
【0279】そこで、この電圧分布と同じ電圧分布を駆
動回路部1606で発生させ、各素子に生じる電圧分布
をキャンセルするようにDy1〜Dyn端子を駆動する。す
なわち、予備駆動の進行に伴って、引き出し配線抵抗r
d1での電圧降下および、各素子F1〜Fnに流れる電
流と配線抵抗r1〜rnによって端子Gy1〜Gynに生じ
る電圧降下分布を、制御部506で演算し、駆動回路部
1606のD/Aコンバータ642出力値を設定するこ
とで、出力Sy1〜Synに電圧降下分布を再現できる。各
素子F1〜Fnの予備駆動がほぼ一様に進行すると仮定
すると各素子を流れる素子電流i1〜inはほぼ等し
く、その電流値は電流検出部503で検出される電流量
Iを用いて
【0280】
【数46】 で表される。
【0281】この時、各素子F1〜Fnに流れる電流と
配線抵抗r1〜rn+1によって端子Gy1〜Gynに生じ
る電圧降下分布に上述のΔV1を加えた電圧降下すなわ
ち、駆動回路部1606出力端子に出力すべき電圧Sy1
〜Synは、配線抵抗値r1〜rnとiaveを用いて、
【0282】
【数47】 として算出される。
【0283】ここで配線抵抗r1〜rnは設計的には通
常同一であり実際もほぼ等しいので実効的にはr=R1
/n(ここでR1は予め測定した1行目の行配線抵抗
値)として問題無い。そこで(式12)は一般化して
【0284】
【数48】 となる。
【0285】予備駆動の進行に従って変化する予備駆動
電流を測定し、上式により各出力電圧Sy1〜Synを逐次
算出し、デジタル出力データを制御部506は駆動回路
部1606のラッチ回路641に転送する。(電流計測
→出力データの演算→ラッチ部へのデータの転送)の一
連の作業が完了すると、制御部506は、D/Aデータ
の更新を行うためにラッチクロックを全てのラッチ回路
641に印加し、同期してデータの更新を行う。これに
より駆動回路部1606は素子F1〜Fnの端子Gy1〜
Gynに生じる電圧降下量と同じ電圧分布を発生する。こ
れにより各素子F1〜Fnの端子間に印加される電圧は
素子番号、予備駆動の進行によらずに一定にすることが
できる。
【0286】図31は、予備駆動の開始と終了時に素子
F1〜Fnの両端に印加される電圧分布を示したもので
ある。図31(a)は予備駆動開始直後の電圧分布を示
している。横軸は素子番号F1〜Fnであり、素子の位
置を示している。縦軸は素子両端の端子電圧を示してい
る。ほぼ2mAになっている。従って電源403から印
加する予備駆動電圧Vpre =16Vが各素子の端子Gy1
〜Gynに印加される間に配線抵抗の電圧降下の影響で低
下する。この時、駆動回路部1606の設定電流値を2
mAとすれば駆動回路部1606出力Sy1〜Synの分布
はGy1〜Gynの分布と同じになる。これにより各素子に
は一定の印加電圧(ほぼ16V)が印加されて予備駆動
が行われる。
【0287】また図31(b)は予備駆動終了時の電圧
分布を示している。予備駆動の終了時は前述したように
各素子を流れる電流は開始直後と比較すると小さい。従
って電源403から印加する予備駆動電圧Vpre =16
Vが各素子の端子Gy1〜Gynに印加される電圧値も上が
っている。また予備駆動電流が低下しているので駆動回
路部1606の設定電流値もほぼ小さくなり、駆動回路
部1606出力Sy1〜Synも小さくなる。これにより各
素子には一定の印加電圧(ほぼ16V)が印加され、予
備駆動が終了する。
【0288】すなわち予備駆動の進行に伴って素子電流
が変化すると配線抵抗の影響で素子に印加される電圧に
分布が常に変化する。この時、電圧分布量を算出しを駆
動回路部1606の設定出力値として設定し、駆動回路
部1606出力Sy1〜Synを逐次更新することで予備駆
動の開始から終了まで全ての素子が一定の電圧で予備駆
動される。そして駆動時間が1分に達したところで予備
駆動を終了した。
【0289】以上の説明においては、行配線Dx1上の素
子の予備駆動の説明を行ったが、他のライン上の素子を
予備駆動する際も全く同様に適用できる。本実施例にお
いては実施例6と同様に予備駆動ラインを順次切り替え
ながら複数同時進行で予備駆動を行った。この時、本実
施例においては2本のラインを同時に予備駆動処理して
いるため、同時予備駆動ラインの選択に関して考慮が必
要となるがこれについては前述のように、予め選択ライ
ン記憶部1607に記憶したペアの行番号の配線を選択
して行うため、電圧降下量(すなわち駆動回路部160
6の電圧分布発生量)が同じになり同時駆動による素子
印加電圧のずれが発生しない。
【0290】このようにして表面伝導型電子放出素子基
板401の予備駆動を終了する。予備駆動電流と配線抵
抗による電圧降下を補償するため駆動回路部1606出
力Sy1〜Synを逐次更新することで予備駆動の開始から
終了まで全ての素子が一定の電圧で均一に予備駆動さ
れ、10ラインを1ブロックとして走査しかつ2ライン
を同時に駆動することにより、1ラインずつを駆動して
いた場合に比べ約20分の1の処理時間で予備駆動処理
が完了した。
【0291】なお、本実施例においては、電源403出
力を正として、端子Dx1から端子Dy1〜Dynに電流を流
す方向で予備駆動を行ったが、これとは極性を逆にして
端子Dy1〜Dynから端子Dx1側に電流を流すように予備
駆動を行ってもよい。この場合は、電圧分布も逆になる
ため、駆動回路部1606のバッファアンプ507を
(−1)倍の反転バッファアンプとして、電流をソース
するように設定することで全く同様の効果が期待でき
る。
【0292】また本実施例において駆動回路部1606
は表面伝導型電子放出素子基板401の列方向配線数n
と同じ数のD/Aコンバータで構成したが、補償電圧分
布の形は図31に示すように緩やかに変化するため、D
/Aコンバータの数を間引いて、間引いた列方向配線端
子に印加すべき電圧値を抵抗分割によって規定しても良
い。これによりD/Aコンバータの数を減らしてコスト
ダウンを可能とする。
【0293】また列配線方向の素子数nが大きくなった
場合、(素子電流計測→出力データの演算→データ転
送)の一連の作業は時間がかかる可能性がある。これを
処理する際、各素子毎に並列して処理したり、電流値と
配線抵抗値と列方向配線上の位置から補償電圧値を発生
するようなルックアップテーブル(LUT)参照方式を
用いることで時間の短縮が図れる。
【0294】以上説明したように本実施例に係る予備駆
動装置によれば、全ての素子の電子放出特性が均一化さ
れる。これにより、この電子源基板を用いて輝度または
濃度のばらつきが少ない高品位な画像表示装置が実現さ
れた。
【0295】以上実施例9で、予備駆動時に同じに選択
する行配線を予め設定するための設計値として、引き出
し配線抵抗について述べたが、予め予備駆動時の電圧分
布の違いを予測できるものであればこれらに限るもので
はなく、新しい相関が判明した時には適宜追加していけ
ば良い。また、同時駆動するライン数として2について
説明したが、これに限るものではなく、マルチ表面伝導
型電子放出素子基板の発熱強度などによって最大ライン
数が決定される。また、組み合わせる行配線に対応する
引き出し配線抵抗として完全に一致している場合だけで
はなく、電圧降下分布の差が誤差として無視できる程度
であれば、同時駆動の組み合わせとして使えることは言
うまでもない。
【0296】[実施例10]本発明の第10の実施例に
係る表面伝導型放出素子の予備駆動装置ついて説明す
る。本実施例における予備駆動装置は実施例9で説明し
た図26に示す構成の装置に対し、引き出し配線抵抗記
憶部1609を使用しないことを除きまったく同様であ
るので新たに図面で示すことは省略する。よって装置構
成部品の働きについても実施例9で既に説明した通りな
ので省略する。また、装置に接続されている表面伝導型
電子放出素子基板も同様である。
【0297】そこで本実施例における同時選択ライン
(本実施例においては2ライン同時なので2本ずつのペ
ア)を決定する方法について説明する。上述のように予
備駆動中の電圧降下に違いが発生する原因の第1に配線
抵抗のばらつきが挙げられる。本実施例においてはこれ
について改善する方法について述べる。
【0298】まず初めに、表面伝導型放出素子基板の配
線抵抗を測定する。配線抵抗を測定するのは、表面伝導
型放出素子を形成するための導電薄膜を基板上に形成す
る前に行うことが望ましい。導電薄膜を形成後は導電薄
膜に、配線抵抗を測定するための電流がリークしてしま
い正確な測定が困難になるためである。1行目の行配線
測定時の等価回路を図32に示す。このように配線両端
に測定プローブを接続し、順次m行目までの測定を行
う。本実施例においては、行配線単位で予備駆動を行っ
ていくため行配線抵抗を測定するのである。この時測定
された配線抵抗値をそれぞれ、R1、R2、R3、・・
・、Rmとする。この抵抗値自身は配線抵抗記憶部16
08にそのまま書き込んでおく。
【0299】次に、測定された配線抵抗値に基づいて同
じ選択ペアを組み合わせる方法について図33を用いて
説明する。配線抵抗値を大きい順ならべて、ならべた順
に2行ずつのペアを作り、さらにこれに番号をつけて選
択ライン記憶部の中に書き込んでおく。このような方法
で1〜m行目の配線でほぼ配線抵抗の揃ったペアがm/2
個作られる。
【0300】引き続き、本実施例の装置を用いて、表面
伝導型放出素子基板401を予備駆動する手順について
図により説明する。予備駆動は全ての素子のIf値が目
標となるように行う。この時、目標電流値は必要とする
電子放出量などから予め求められる。本実施例において
は、最終的に表面伝導型放出素子基板401上の各素子
の素子電流を2mAになるように電流検出部503出力
をモニタして、予備駆動処理を行った。
【0301】以下に予備駆動のフローについて説明す
る。制御部506(図26)が、予備駆動開始の指令
(外部より装置操作者が入力する)を受信すると、制御
部506は行単位で通電処理を行うために、ライン選択
部402、電源403を制御する。先ず、列方向配線端
子Dy1〜Dynをグランド電位になるよう、設定出力値D
ataを設定する一方、行方向配線端子Dx1〜Dxmに順
次予備駆動電圧Vpre (例えば、パルス幅1ミリ秒、パ
ルス高18V)をパルス状に印加する。これにより表面
伝導型放出素子基板401は行方向単位に順次パルス電
圧が印加され、予備駆動がライン単位で開始する。な
お、前述した選択ライン記憶部に記憶されたペアに基づ
いて、時間短縮のため予備駆動は2ラインを単位として
同時に通電処理を行った。この後の電圧分布の計算、駆
動のシーケンスなどについては既に説明した通りなので
説明を省略する。
【0302】予備駆動電流と配線抵抗による電圧降下を
補償するため駆動回路部1606出力Sy1〜Synを逐次
更新することで予備駆動の開始から終了まで全ての素子
が一定の電圧で均一に予備駆動され、10ライン単位で
走査をし、かつ2ラインを同時に駆動することにより、
1ラインずつを駆動していた場合に比べ約20分の1の
処理時間で予備駆動処理が完了した。
【0303】以上説明したように本実施例に係る予備駆
動装置によれば、全ての素子の電子放出特性が均一化さ
れる。これにより、この電子源基板を用いて輝度または
濃度のばらつきが少ない高品位な画像表示装置が実現さ
れた。
【0304】[実施例11]本発明の第11の実施例に
係る予備駆動装置の構成は第10の実施例と同じである
ので説明は省略する。第11の実施例において異なるの
は同時選択本数と選択組み合わせの方法なのでこれにつ
いて説明する。予備駆動を行う単位(本実施例の場合は
行)内で、同時に選択した単位でそれぞれの予備駆動電
流が異なった場合、素子印加電圧にずれが生じて特性ば
らつきの原因になる。このような予備駆動電流が異なっ
たものになる原因として活性化時に最終到達電流がばら
ついてしまいそれが予備駆動電流にそのまま反映してし
まうことが考えられる。そこで本実施例では、行配線毎
の活性化最終電流を記録しておきこれによって予備駆動
時の同時選択ラインをグルーピングするものである。行
配線毎の活性化最終電流をIac1〜Iacmとする。
【0305】次に、これらを組み合わせる方法について
図34を用いて説明する。まず測定した活性化最終電流
Iac1〜Iacmを電流値の大きい順にならべて、上
から順に3個ずつ組み合わせて、組み毎に番号を付け、
選択ライン記憶部に書き込む。これにより、行配線3個
ずつのグループがm/3個作成される。以上説明したよ
うに、グループ分けされた行配線番号同士が同時に選択
されて予備駆動され、本実施例に係る予備駆動装置によ
れば、全ての素子の電子放出特性が均一化される。これ
により、この電子源基板を用いて輝度または濃度のばら
つきが少ない高品位な画像表示装置が実現された。
【0306】[実施例12]本実施例に係る予備駆動装
置の構成については、実施例10および11と同じであ
るので説明は省略する。本実施例における特徴は同時選
択ラインを組み合わせる方法にあるのでこれについて図
35を用いて説明する。本実施例において、まず実施例
10と同様に行配線抵抗を測定しこれを、R1〜Rmと
する。次に、実施例11で行ったように行毎の活性化最
終電流を記憶しこれをIac1〜Iacmとする。ま
ず、R1〜Rmを大きい順にならべて2個ずつのペアを
作る(ステップ1およびステップ2)。次に、ここで形
成されたグループ(ペア)同士で配線抵抗の差を比較
し、差が0.1Ω以下のグループ同士についてはグルー
プを一度解いて、その中で今度は活性化電流(Iac1
〜Iacm)の大きさの順に並べ替える(ステップ
3)。ここでは、ステップ2で分けられたグループN
O.1〜3がこれに該当して並び替えを行っている。上
下のグループと比較して0.1Ω以上差があったグルー
プはそのままである(図35ではNO.m/2−1とm/2
がこれに当たる)。並び替えがあったグループについて
は、その中で再度上から2個ずつの新しいペアに分け
て、最終的な同じ選択行の組を作り、選択ライン記憶部
に書き込む(ステップ4)。
【0307】ここで、配線抵抗値の差0.1Ωを境にし
て並び替えを行った理由について説明する。前述の例
で、n=1000、r=10mΩの時、行配線上の電圧
降下の最大値は約2.5Vである。この時、配線抵抗の
差0.1Ωはrに換算すると0.1/1000で0.1
mΩであり、これによる、電圧降下のずれは、最大値で
0.025Vになる。このずれ量は予備駆動印加電圧1
6Vに対して約0.14%であり、実質的には無視でき
る量である。そのため、この程度の配線抵抗の差では、
予備駆動電流の差の方を優先してグループ分けした方が
実効的になるので、活性化最終電流によって再度グルー
プ分けすることにしたのである。ここで挙げた0.1Ω
の値は1実施例として挙げたもので、これに限られるも
のではなくnの数、配線抵抗の絶対値などに応じて適宜
決められるものである。
【0308】以上説明したように本実施例に係る予備駆
動装置によれば、全ての素子の電子放出特性が均一化さ
れる。これにより、この電子源基板を用いて輝度または
濃度のばらつきが少ない高品位な画像表示装置が実現さ
れた。
【0309】以上実施例010〜9で、予備駆動時に同
じに選択する行配線を予め設定するための測定値とし
て、配線抵抗および活性化最終電流とその組み合わせに
ついて述べたが、予め予備駆動時の電圧分布の違いを予
測できるものであればこれらに限るものではなく、新し
い相関が判明した時には適宜追加していけば良い。ま
た、同時駆動するライン数として2から3ラインについ
て説明したが、これらに限るものではなく、マルチ表面
伝導型放出素子基板の発熱強度などによって最大ライン
数が決定される。
【0310】[実施例13]本発明の第13の実施例に
係る表面伝導型放出素子の予備駆動装置について説明す
る。本実施例にて使用される予備駆動装置、表面伝導型
電子放出素子基板およびその接続は実施例6(図15)
と同様なので新たに図面を示すことは省略し、その構成
部品の説明も省略する。また電圧分布の計算方法、駆動
の基本的なシーケンスについても同様なので省略する。
【0311】本実施例では、実際にマルチライン駆動し
た行方向配線に印加される補償電圧の設定アルゴリズム
は幾つかの方法が考えられ、また補償電圧を算出するた
めの行方向配線電流値の設定も次のような方法がとられ
ている。例えば、マルチライン駆動している行方向配線
の平均If値を求め、そのIf値を基に補償電圧を算出
する方法や、マルチライン駆動している行方向配線の特
定のラインに注目して、そのラインのIf値を使用する
方法、さらには、行方向配線電流を逐次モニタし、If
値の揃っているもののみを逐次選択してマルチライン駆
動の対象とし、該If値を用いて補償電圧を算出する方
法等である。
【0312】例えば、平均If(=Ifave)を算出
した後に、補償電圧の算出を行う方法を試みた場合、行
方向配線への予備駆動電圧印加は、図30の等価回路に
示すようにF1〜Fnの配線の両側から電圧印加を行な
うため、配線抵抗による電圧降下としては列方向配線で
の中央付近が最も大きくなる。
【0313】従って、上記の印加方法の場合に補償電圧
出力は、iaveは平均予備駆動電流Ifaveとする
ためIfave/nとし、次に画素電極駆動回路508
から出力されるべき電圧By1〜Bynは、配線抵抗分
のr1〜rnとiaveを用いて以下のように求められ
る。
【0314】
【数49】 以上のような算出を行うことで、マルチライン駆動を行
なっている行配線側の予備駆動電流値の平均Ifをもと
にして、列方向配線側の補償電圧が決定される。補償電
圧は、画素電極駆動回路508からバッファアンプ50
7を通してDy1〜Dynの端子に出力され、補償電圧
の設定は予備駆動プロセスが終了するまで行われる。
【0315】そして、予備駆動の終了条件としては、予
め、同じ構成および製法の単素子の予備駆動実験から必
要な駆動時間を調べておき、マルチ表面伝導型電子放出
素子の場合も、この駆動時間に達するまで駆動を行うこ
とになる。以上の説明により、マルチライン駆動を行な
った時の基本的な補償電圧の印加方法について述べた。
次に、本実施例の予備駆動プロセス中にマルチライン駆
動を行っているラインをスクリーニングするシーケンス
について図36から図39を用いて述べる。図36は、
本実施例13で行われた予備駆動プロセスでの予備駆動
電流プロファイルで、プロセス途中にマルチライン駆動
しているラインの電流値Ifから、設定された駆動中止
条件に該当するラインが存在する場合にはその時点で駆
動を中止する模様を示している。また、予備駆動電圧は
約10Vから16Vまでスイープさせて印加する方法を
用い、予備駆動開始から約30数分後に16Vになるよ
うに設定しその後一定電圧としている。
【0316】予備駆動プロセス中でのライン選択では、
まず予備駆動開始からT1=約10秒後にchk1が実
行される。chk1ではマルチ駆動している全ラインか
ら予備駆動電流が著しく異なるラインを駆動中止とする
第1のスクリーニングが実行される。具体的にまず、マ
ルチ駆動しているラインの全平均電流値が求められる。
例えば、本実施例13ではマルチライン駆動の設定を複
数本同時駆動とした時に、選択された複数本のラインが
順次時分割にスクロールしながら電圧を印加していく駆
動方法がとられる。例えばそのスクロール数を10本と
し、マルチライン駆動によって駆動されるライン数を5
本とすると全部で5×10=50本となる。
【0317】ここでの、1次ラインスクリーニングでは
前述したようにライン全体に対して予備駆動の進行が乏
しく電流値の小さいラインや予備駆動電流値が非常に大
きいライン等を駆動中止条件に適合した場合には駆動中
止とするための検出を行っている。その理由として、c
hk1以降の予備駆動シーケンスでは補償電圧の算出方
法をマルチライン駆動しているラインの平均If(=I
fave)を基に算出している。上記に示したように予
備駆動電流値が全体のライン電流値からみて逸脱するよ
うな場合にはIfave値そのものにもずれが生じ、さ
らには補償電圧を算出する過程に至っては上記(式1
4)から個別のiave値にその影響を受けることは明
らかで、最適化された補償値の電圧を印加することがで
きなくなってしまう。そのためにも、chk1でのスク
リーニングが必要となってくる。
【0318】時間T1の設定は、或る程度予備駆動が進
行している状態が望ましく、実施例13では全予備駆動
時間を60秒とし予備駆動電流が各ラインとも数A程度
変化する時間を考慮して決定している。従ってT1の設
定時間の限定は特にない。
【0319】次に、求められた全予備駆動電流の平均
値、および標準偏差を算出する。図37には実施例13
のchk1で行われた全マルチライン駆動数に対しての
ヒストグラムを示している。
【0320】1次スクリーニングにおいては、駆動中止
条件に適合するラインの条件を次のように決定した。全
予備駆動電流から求められる平均Ifaveと標準偏差
σ値から変動係数のσ/Ifaveを求め、変動係数の
2倍の範囲外に存在しているライン電流を駆動中止条件
ラインとした。
【0321】中止条件を変動係数で行うことで予備駆動
プロセスごとに常に規格化された値で判断が行えること
と、条件範囲を変動変動係数の2倍としたのは、1次ス
クリーニングの段階では各素子の状態が予備駆動の最終
特性を示しているわけでなく、元々素子が劣化している
状態のものを除くという目的で行っていることによる。
【0322】実施例13では、上記の値を計算した結果
Ifaveが3.54A、変動係数が0.42と求めら
れた。これにより、1次スクリーニングで駆動中止条件
に該当するライン電流値は図37からIf=2.2Aと
なり、図36では駆動中止ラインAのラインに相当す
る。
【0323】次に、chk1の1次スクリーニングが終
了した後に、2次スクリーニングが実行される。chk
2の2次スクリーニングは、予備駆動がある程度進行し
た状態においてより均一な予備駆動を実現するためのも
ので、その手段としては、列方向配線に印加する補償電
圧値をより最適化させようとするものである。
【0324】そのためには、マルチライン駆動を行って
いる各ラインの予備駆動電流が理想的には均一であるこ
とが望まれる。前述にも述べたようにchk1以降では
補償電圧の算出に用いている個別予備駆動電流iave
は、マルチライン駆動しているラインの平均Ifave
から算出するシーケンスで行っている。従って、各ライ
ンの予備駆動電流をある程度揃っているものでIfav
eを求めてあげれば、補償電圧値もより最適値に近い値
で駆動することができる。上記を実現するためには、実
施例13のchk2ではchk1から予備駆動終了まで
の間にマルチ駆動しているラインのIfaveに対して
上限下限の電流許容値を反映させる。具体的には、図3
6を参考にするとラインスクリーニング更新時間ごとに
マルチライン駆動しているIfaveが求められ、その
値が○印で示されている。Ifaveに対して予め設定
されている許容値+A%、−B%が判定設定値とされ
る。各更新時間ごとに求められたIfaveに対して電
流許容値を超えるラインが存在した場合には、その時点
でライン駆動が中止される。例えば、予備駆動時間50
分の時点ではラインBがスクリーニングの更新時にIf
aveの下限値に対してそれを下回る予備駆動電流値と
なっているため、その時点で駆動中止ラインとしてい
る。
【0325】電流許容値の値は、補償電圧の最適値に反
映していくことから許容範囲を狭くすることでライン電
流の均一性が良くなるが逆に駆動中止ラインが増加して
しまう傾向にもある。本実施例13では、許容電流値の
設定を±10%とした。それによると補償電圧値のばら
つきは予備駆動特性のばらつきには大きく影響しないこ
とを確認した。
【0326】ラインスクリーニング更新時間は、本実施
例13においては約5秒間隔としたが設定時間の限定は
特に無く、補償電圧を印加するサイクルよりは長くな
る。補償電圧を印加するタイミングはラインスクリーニ
ング更新時間サイクルとは別の設定できるものとしてい
る。実際には、マルチライン駆動しているラインの電流
値検出と平均Ifaveをもとめ補償電圧を印加するサ
イクルは数sec単位とされる。図36から予備駆動時
間60秒とした時の最終予備駆動電流は、約2A相当に
減少した。以上図36を基に実施例13の予備駆動方法
を説明した。
【0327】1次、2次のスクリーニングの制御での設
定時間T1、電流許容値は初期設定時に図15の制御回
路506に入力される。また、マルチライン駆動時での
各予備駆動電流は、制御回路506を通してメモリ51
1にストアされる。次に、以上のような予備駆動プロセ
スを実現させるためのシーケンスについて図38を用い
て説明する。
【0328】(STEP1)予備駆動開始の指令により
制御回路506は予備駆動を開始する。まず、ラインス
クリーニングを行うための駆動ライン中断条件の設定を
行う。中断条件は、前記に述べたように予備駆動開始か
らchk1の1次スクリーニングを行うまでの時間T
1、chk2でマルチライン駆動しているライン平均電
流値Ifaveに対する上限、下限の電流許容値、そし
て2次スクリーニングを実行するための更新時間であ
る。
【0329】(STEP2)次に、予備駆動プロセスで
の初期設定駆動条件として、同時駆動ラインの設定を行
う。同時駆動の設定としては、マルチライン駆動を行う
に当たって同時駆動を行う本数の設定、駆動する行配線
方向のライン間隔、さらに間引き間隔の設定を行う。実
施例13で行われる予備駆動の駆動は、選択された複数
ラインを同時に順次時系列的にスクロールしながら電圧
を印加して行く方法がとられている。スクロールを行う
本数を1つのブロックとして扱い、実際はブロック単位
の指定でマルチライン駆動による予備駆動が行われる。
【0330】前記したように、本駆動方法としては、順
次駆動するスクロール本数を10本とし、同時駆動予備
駆動を行なった時には同時駆動本数にスクロール数をか
けた値がブロック単位とされる。同時駆動の本数の設定
は上記のブロック単位毎の駆動により、基板401の通
電される電力量と発熱を考慮して最適値が設定される。
次に、駆動ライン間隔は、実施例13のように複数本
同時駆動行なった場合には、行方向配線数に対して均等
分割される間隔で設定されることが望ましい。間引き間
隔の設定は、同時駆動を行う時のスクロール間隔の設定
をいう。例えば、行方向配線の1ライン目が選択され、
次にスクロール駆動で選択されるラインNoが11番め
としたときに間引き間隔は10本となる。
【0331】(STEP3)STEP2の初期設定駆動
条件の終了にした後、予備駆動が開始される。マルチラ
イン駆動として、駆動ラインの設定信号がタイミング回
路505に設定される。タイミング回路505は駆動さ
れるラインNoを認識し、ラインセレクト信号をライン
選択回路402に出力する。ラインセレクト信号によ
り、所定の行方向配線NoのリレーをONにし電源40
3側の接続を行い駆動する。スクロール駆動によって予
備駆動が開始されると電源検出回路503により1ブロ
ックの駆動ラインの予備駆動電流を検出しメモリ511
に格納する。
【0332】(STEP4)次に、STEP4で補償電
圧の算出が行われる。前述したように、実際にマルチラ
イン駆動した行方向配線に印加される補償電圧の設定ア
ルゴリズムは幾つかの方法が考えられるが実施例13で
は、マルチライン駆動している行方向配線の平均If値
を求め、そのIf値を基に補償電圧を算出する方法を用
いた。平均電流Ifaveは、予備駆動が時間とともに
進行して行く中で電流検出のサンプリング設定を行うこ
とで、所定の時間ごとにマルチライン駆動している行配
線の電流を検出し、最新のIfaveをメモリ511上
に格納していく。次に、求められたIfaveから、列
配線方向側の補償電圧の算出を行う。補償電圧の算出の
仕方については(式14)から求めることができる。配
線抵抗Rは、予め各行方向配線の配線抵抗を計測し、メ
モリ511に格納しておく。補償電圧もIfaveの更
新に伴い逐次計測が行われていく。また必要に応じて補
償電圧値もプロセスの進行に伴い変化するためメモリ5
11に格納することも可能である。
【0333】(STEP5)STEP5ではSTEP4
でマルチライン駆動ごとに算出された補償電圧値を制御
回路506を通して、画素電極駆動回路508、および
バッファアンプ507によって列方向配線に順次印加す
る。本実施例13では、マルチライン駆動をブロック単
位として行っていることから、1つの予備駆動プロセス
のライン数は数十本となる。予備駆動プロセスにおいて
は、1プロセス単位での設定はブロック単位として限定
することはなく、複数のプロセスを予め設定することも
可能である。
【0334】(STEP6)STEP6では、1次スク
リーニングを行うための設定時間に達したかの判断が行
われる。本実施例13では、1次スクリーニングを行う
時間を予備駆動開始してからT1=10秒とした。設定
時間に達しない場合には、STEP3に戻る。
【0335】(STEP7)次に、STEP7では予備
駆動を開始した後、設定時間に達するとマルチライン駆
動している全ラインに対してのライン選択1が実行され
る。ライン選択1は前述したライン1次スクリーニング
に相当する。まず、時間T1後での全駆動ラインの予備
駆動電流をメモリ511から読み出す。制御回路506
は読み出した予備駆動電流値に対して次のような演算を
実行する。すなわち、全駆動ラインの平均If値の算
出、全駆動ラインの電流値から標準偏差の算出、およ
び平均Ifと標準偏差値より変動係数の算出である。
そして、上記求められた値より1次スクリーニングでの
駆動中止条件となる変動係数の2倍の電流範囲の値の設
定を行う。
【0336】(STEP8)STEP7より、駆動中止
条件の設定に伴い制御回路506では、全駆動ラインに
対しての予備駆動電流値が駆動中止条件の範囲に相当す
るかどうかの比較検討を行う。図36のように駆動中止
条件に適するラインが存在した場合には、そのラインに
対しての駆動中止の設定をタイミング発生回路505に
設定する。タイミング発生回路505は、設定された情
報をもとにラインセレクト信号を使ってライン選択回路
402で駆動を中止するラインの設定を行う。以上、S
TEP6、7、8により、駆動ラインの1次スクリーニ
ングが実行され、中止ラインが決定しその設定が終了し
た時点で再度予備駆動プロセスが開始される。
【0337】(STEP9)STEP3と同様な制御に
より、予備駆動処理が行われ、マルチライン駆動してい
るラインについてに予備駆動電流が検出され、各々メモ
リ511に格納される。
【0338】(STEP10)次に、STEP10で補
償電圧の算出が行われる。前述したように、STEP1
0では図36でのchk2のマルチライン駆動に対して
の2次スクリーニングを行うために、ラインの平均If
値を求めている。平均電流Ifaveは、STEP4と
同じアルゴリズムでおこなわれるため、説明は省略す
る。
【0339】(STEP11)STEP11ではSTE
P10でマルチライン駆動ごとに算出された補償電圧値
を制御回路506を通して、画素電極駆動回路508お
よびバッファアンプ507によって列方向配線に順次印
加される。
【0340】(STEP12)STEP12では、予備
駆動がプロセスが進行し予備駆動終了条件に達した場合
には、予備駆動を終了する。予備駆動が未終了の場合に
は、STEP13のマルチライン駆動の2次スクリーニ
ングのシーケンスに進む。
【0341】(STEP13)次に、STEP13では
ライン選択2での2次スクリーニングを実行するため
に、ラインスクリーニングを行うための更新時間になっ
たかどうかの判断が行われる。2次スクリーニングを行
うための計測時間である場合にはSTEP14へ、更新
時間でない場合にはSTEP9の戻り予備駆動プロセス
が実行される。
【0342】(STEP14)次にSTEP14では、
ライン選択2の2次スクリーニングが実行される。2次
スクリーニングは、前述したようにマルチライン駆動で
の予備駆動プロセスにおいて、或る程度予備駆動が進行
した段階において、各素子特性をより均一に揃えるため
に列方向配線に印加する補償電圧をより最適化するため
に行われるもので、まずスクリーニング更新時間にきた
ら駆動ラインのIfaveを算出する。Ifaveは制
御回路506からメモリに格納されている。対応する駆
動ライン電流値を読み出し演算を行う。次に、制御回路
506において予め設定されている、平均If値に対す
る上限下限の許容値から、算出された平均Ifaveを
もとに上限If値、下限If値が決定される。
【0343】(STEP15)次に、STEP15では
STEP14で計算された上限Ifおよび下限Ifの範
囲に対してマルチライン駆動している各ラインの予備駆
動電流が許容値範囲内であるかどうかの判断が行われ
る。ライン電流値が範囲内であれば、駆動は継続される
が、許容値範囲外であれば駆動中止条件に相当すると判
断される。上記の処理は、制御回路506で行われ、そ
の結果STEP18と同様に駆動中止ラインの設定がタ
イミング発生回路505と、ライン選択回路402に行
われ継続して行われる予備駆動プロセスに反映される。
以上のようにSTEP1〜STEP15のシーケンスが
実行されることでスクリーニング処理を施した予備駆動
プロセスが実現される。
【0344】次に、1次、2次スクリーニングによって
駆動中止となったラインについての再予備駆動シーケン
スについて図39を用いて説明する。 (STEP21)図39では、再予備駆動シーケンスを
実行する前にSTEP21で初期設定が行われる。この
初期設定では、まず駆動条件の設定と予備駆動の終了条
件の設定が行われる。駆動条件の設定では、再予備駆動
プロセスをマルチライン駆動として行うのか、単ライン
の選択で行うのかの決定と、マルチライン駆動で行う場
合での同時駆動ラインの選択、ライン数が多い場合には
必要に応じて駆動間隔、間引き間隔等の設定が行われ
る。単ラインもしくはマルチライン駆動の判断は、駆動
中止となったラインの数とライン位置によって判断され
ることになる。例えば、駆動中止となった複数のライン
が基板401上において集中する場合には、そのライン
をマルチライン駆動した時には、電流値が基板401上
に集中することになり基板の発熱や場合によっては発熱
から生じる基板破損の問題が生じる恐れもある。そのた
め、その部分に関しては単ライン駆動を行い上記の問題
を回避するような駆動を行うことが望ましい。単ライン
駆動は、駆動時に選択される同時駆動ライン数が1本の
場合をいうもので、駆動間隔や間引き間隔はマルチライ
ン駆動の設定が反映される。従って単ライン駆動を行え
ば基板401に流れる電流値は低減し、発熱等の問題も
緩和されることになる。一方、駆動中止ラインがパネル
全体に分散しているような場合には、マルチライン駆動
を行い再予備駆動プロセス時間を短縮させる方法が可能
となる。
【0345】次に、予備駆動終了条件の設定を行う、再
予備駆動を行う場合には最低限予備駆動特性を得るため
に最低予備駆動電流値になるまで予備駆動処理を行う場
合と、図36でのシーケンスのように予備駆動時間で限
定する場合とがある。これらの判断は、駆動中止となっ
たラインがどのスクリーニングで中止となったかの判断
で決定してもよい。例えば、chk1の1次スクリーニ
ングで駆動中止となったラインについて(図36のライ
ンA等)は、予備駆動のプロファイルからみて予備駆動
電流の増加(傾き)が小さく、多くの予備駆動電流を望
ことは難しい、従ってこのようなラインについては、予
備駆動終了条件を時間で設定するほうが処理としては適
切であると思われる。逆に、図36での駆動中止となっ
たラインBは、或る程度予備駆動電流値が流れているこ
とから、再予備駆動処理を行うことによって予備駆動電
流の増加が見込まれる。このようなラインに関しては、
終了条件は予備駆動電流値での設定が望ましい。
【0346】(STEP22)次に、STEP22で再
予備駆動のプロセスが開始され、初期設定で選択された
ラインの駆動が行われる。再予備駆動でも、図38と同
様に駆動しているラインの電流計測が電流検出回路50
3によって行われ、検出データは制御回路506から、
メモリ511に格納される。
【0347】(STEP23)次にSTEP23で、補
償電圧印加のための電圧値の算出が行われる。補償電圧
は再予備駆動プロセスにおいても図38のシーケンスと
同様、マルチライン駆動しているライン電流値の平均I
faveをもとに算出される。平均Ifaveを求める
に当たっては、計測されたライン電流がメモリ511に
格納されているため、制御回路506により所定の電流
値を読み出し計算を行う。また、予備駆動プロセスの初
期設定で単ライン駆動を選択した場合には、計算対象と
なるライン電流は1本単位となることから、選択されて
いるライン電流値をそのまま補償電圧の計算対象ライン
とすることができる。
【0348】(STEP24)次に、STEP23の制
御回路506で計算された補償電圧値を、画素電極駆動
回路508、バッファアンプ507を通して基板401
の列方向配線に順次印加する。
【0349】(STEP25)STEP25では、予備
駆動のプロセスが進行し予備駆動終了条件に達した場合
には、予備駆動を終了する。予備駆動が未終了の場合に
は、STEP22のマルチライン駆動に戻り予備駆動シ
ーケンスが継続される。
【0350】以上の様にして、基板401の予備駆動が
終了する。上記のようなシーケンスを実行することで、
1ラインずつ駆動していた場合に比べ数分の一でプロセ
ス時間で予備駆動が終了した。また、1次、2次のスク
リーニングを行って、補償電圧値を算出するための対象
ライン決定することで、補償電圧値がより最適値に近い
値で駆動することができ、予備駆動プロセスでの均一性
が向上した。
【0351】なお、本実施例13でのマルチライン駆動
において、同時駆動数はこれに限定するものではなく予
備駆動の処理時間をさらに短縮させるためのは基板40
1内の発熱等を考慮し、同時駆動する行配線数を増やす
ことも可能である。また、本実施例13では、電源50
3からの出力を正極として印加したが、印加電圧の極性
はこれとは逆の負極性でもよく、その場合には列方向配
線側に流れ込む電流の向きが逆になるため、バファアン
プ507からの補償電圧の極性も逆となる。さらに、画
素電極駆動回路508では、列方向配線と同じ数のD/
Aコンバータが構成されているが、補償電圧の分布は図
19に示したように緩やかに変化するため、D/Aコン
バータの数を間引いて印加すべき電圧を抵抗等で分割し
て電圧を規定してもよい。また、予備駆動のプロセスに
おいては補償電圧値の更新も、本実施例13で示したよ
うに1スクロール毎に行なわなくても、予備駆動の進行
に合わせて適宜行なってもよい。
【0352】以上説明したように、本実施例13での予
備駆動プロセスを行うことで、すべての素子に対して電
子放出特性にばらつきの少ない比較的均一な素子が形成
することができる。これにより、基板401を用いて表
示パネルを作成した結果、ばらつきの少ない高品位な画
像表示装置が実現された。また、マルチライン駆動での
同時駆動ライン数を増やすことで、予備駆動プロセス時
間を著しく短縮させることが可能となった。
【0353】[実施例14]図40により本発明の実施
例14について説明する。本実施例14では、予備駆動
プロセスにおける装置および駆動回路構成は図15と同
じであり、表面伝導型放出素子基板の構成も基板401
と同じであるため説明は省略する。本実施例14では実
施例13に対して異なる点としては、ラインのスクリー
ニングを所定の予備駆動電流値に達したかどうかの判断
で、ラインの駆動中止が決定される所にある。
【0354】具体的には、図40において、予備駆動が
開始されてから設定時間10秒後にchkシーケンスが
実行される。chkシーケンスでは、マルチライン駆動
を行っている全ラインの予備駆動電流値を設定電流値を
下回っていないかどうかの比較が行われる。設定電流値
は、予備駆動が開始され或程度各素子の予備駆動が進行
してきた時点でのライン電流値で目安としては数A程度
とし、実施例では3Aに設定している。図40より、c
hk時間での予備駆動設定電流値に対して到達していな
いラインを駆動中止ラインとし、その時点で駆動を中止
していることが判る。
【0355】以下、図41の予備駆動シーケンスのフロ
ーチャートを用いて説明を行う。 (STEP31)まず、予備駆動の実行前にマルチライ
ン駆動を行っているラインに対して駆動中止条件の設定
が行われる。上記で述べた様に、駆動中止条件は、ch
kシーケンスで実行されることからchkシーケンスが
行われる時間と、その時の予備駆動電流値の設定を制御
回路506に対して行う。
【0356】(STEP32)実施例13と同様にまず
初期設定駆動条件の設定を行う。予備駆動開始の指令に
より、制御回路506は通電予備駆動を開始する。ま
ず、予備駆動の開始時の初期駆動条件設定として同時駆
動ラインの設定を行う。同時駆動の設定としては、マル
チライン駆動を行うに当たって同時駆動を行う本数の設
定、駆動する行方向配線のライン間隔の設定、さらに間
引き間隔の設定を行う。実施例14で行なわれる予備駆
動の駆動も、選択された複数のラインを同時に順次スク
ロールしながら電圧を印加していく方法がとられてい
る。従って実施例13と同様、順次駆動するスクロール
を10本スクロールとした。同時駆動の本数の設定は上
記のブロック単位毎の駆動により、基板401に通電さ
れる電力量と発熱を考慮して最適化が設定される。次
に、駆動ライン間隔としては、実施例14も同時駆動で
の各々のブロック間のライン間隔が、駆動ライン間隔に
相当する。駆動ラインの設定も、上記と同様に基板40
1での通電電力による熱分布の集中を考慮して、基板4
01の全域に均等に指定する必要がある。間引き間隔の
設定では、実施例13と同様スクロールを行う時に、最
初に駆動されたラインと次に選択されるラインを、間引
き間隔としている。以上の設定は制御回路506により
設定され、ライン選択回路402への設定が行われる。
【0357】(STEP33)STEP31の初期設定
駆動条件の設定が終了した後、予備駆動が開始される。
マルチライン駆動として複数本同時に駆動を行うため
に、駆動ラインの設定信号がタイミング回路505に設
定される。タイミング回路505は駆動されるラインN
oを認識しラインセレクト信号をライン選択回路402
に出力する。ラインセレクト信号により、所定の行方向
配線NoのリレーをONにし、電源403側の接続を行
い駆動される。スクロール駆動によって予備駆動が開始
されると電流検出回路503により駆動ラインの予備駆
動電流を検出しメモリ511に格納する。
【0358】(STEP34)次に、STEP34では
補償電圧を算出するために、マルチライン駆動している
ラインの電流値がメモリ511から求められる。メモリ
511から計測された行配線の各予備駆動電流値から平
均予備駆動電流値を算出する。平均Ifaveは、予備
駆動が時間とともに進行していく中で電流検出のサンプ
リング設定を行うことで、所定の時間ごとにマルチライ
ン駆動している行配線の電流を検出し、最新の平均If
aveをメモリ511上に格納していく。次に、求めら
れたIfaveから、列方向配線側の補償電圧の算出を
行う。補償電圧の算出の仕方については(式14)から
求めることができる。配線抵抗rは、予め各行方向配線
の配線抵抗を計測しメモリ511に格納しておく。補償
電圧も平均Ifaveの更新に伴い逐次計測が行われて
いく。また必要に応じて補償電圧値もプロセスの進行に
伴い変化するためメモリ511に格納することも可能で
ある。
【0359】(STEP35)STEP35ではSTE
P34でマルチライン駆動毎に算出された補償電圧値を
制御回路506を通して、画素電極駆動回路508およ
びバッファアンプ507によって列方向配線に順次印加
される。本実施例14では、マルチライン駆動をブロッ
ク単位として行なっていることから、1つの予備駆動プ
ロセスのライン数は30ラインとなる。予備駆動プロセ
スにおいては、1プロセス単位での設定はブロック単位
として限定することはなく複数のブロックを予め設定す
ることも可能である。
【0360】(STEP36)STEP36では、ライ
ンスクリーニングを行うための設定時間に達したかどう
かの判断が行われる。設定時間に達した場合には、図4
0でのchkシーケンスが実行され、設定時間に達して
なければ、STEP33に戻り予備駆動シーケンスが継
続される。
【0361】(STEP37)次に、chkシーケンス
であるライン選択が実行される。ライン選択によるライ
ンスクリーニングは、前記で説明したように、マルチラ
イン駆動を行っている全ラインの予備駆動電流値が設定
電流値に達しているかどうかの判断を行うための手段
で、制御回路506によりメモリ511に対して、ch
kシーケンスが行われる時での最新電流値を全ラインに
対して読み出し設定電流値に対しての比較判断を行う。
【0362】(STEP38)上記比較判断によって、
設定電流値に達していないラインを検出し、制御回路5
06によりタイミング発生回路505からライン選択回
路402に対して駆動中止のラインセレクト信号を出力
する。
【0363】(STEP39)最後に、予備駆動プロセ
スが進行し、マルチライン駆動しているラインの予備駆
動が終了したことを判断する。予備駆動が未終了の場合
には、STEP33に戻って再び予備駆動プロセスを継
続する。予備駆動の終了条件の設定は予備駆動電流を検
出しながら各素子の電流が一定値に達した場合に終了す
る方法と、予備駆動の開始から終了時間を規定して行う
方法とがある。各素子の電流値が一定値に達した場合に
終了する方法では、ライン毎に予備駆動状況を制御回路
506等によって把握する必要があり、一方時間で制御
する場合には予備駆動が均一になるような時間設定が必
要となってくる。本実施例14では、予備駆動時間の設
定により終了条件とした。
【0364】次に、駆動中止となったラインについての
再予備駆動プロセスが実行される。再予備駆動プロセス
は、実施例13と同様に図39に示したシーケンスに沿
って実行されることから、実施例14ではプロセスの説
明は省略する。以上の様な予備駆動処理を施すことで基
板401の予備駆動が終了する。上記のようなシーケン
スを実行することで、1ラインずつ駆動していた場合に
比べ数分の一でプロセス時間で予備駆動が終了した。ま
た、設定電流値によるラインスクリーニングを行って、
補償電圧値を算出するための対象ライン決定すること
で、補償電圧値がより最適値に近い値で駆動することが
でき、予備駆動プロセスでの均一性が向上した。
【0365】なお、本実施例14でのマルチライン駆動
において、同時駆動数はこれに限定するものではなく予
備駆動の処理時間をさらに短縮させるためのは基板40
1内の発熱等を考慮し、同時駆動する行配線数を増やす
ことも可能である。
【0366】[実施例15]図42により本発明の実施
例15について説明する。本実施例15では、予備駆動
プロセスにおける装置および駆動回路構成は図15と同
じであり、表面伝導型放出素子基板の構成も基板401
と同じであるため説明は省略する。本実施例15で実施
例13に対して異なる点としては、ラインのスクリーニ
ングを設定された予備駆動時間内に、予備駆動電流値が
所定以上の変化をしたかどうかの判断で、ラインの駆動
中止が決定される所にある。
【0367】具体的には、図42において、予備駆動が
開始されてから第1の計測時間t1でマルチライン駆動
を行っているラインについての電流計測を行う。次に、
第2の計測時間t2まで通常の予備駆動を行なった後、
t2において再度t1で計測したラインについての電流
計測が行われ、電流値変化量 △If=If変化量/
(t2−t1)が求められる。この電流変化量を求める
時間は、予備駆動電圧を昇圧していく途中での素子の電
流変化量を計測した方が△If1のようにその変化が顕
著であり、予備駆動状態をみきわめるのに適していると
思われる。そのため実施例15では、t1、t2の時間
を予備駆動を開始してから比較的早い時間に設定した。
駆動中止条件となる電流変化量は、予め固定値として設
定しておいてもよいが、実際にはマルチライン駆動を行
って各ラインの電流変化量を算出し、そのラインの中で
著しく電流変化量が大きいものを駆動中止ラインとして
もよい。
【0368】例えばマルチライン駆動しているラインの
電流変化量の平均値を基準にして駆動中止する条件を決
定してもよく、また、特定のラインの変化量を基準にし
てその値から決めてもよい。以上より、実施例15で
は、予備駆動電流値の変化量の設定値をマルチライン駆
動している電流変化量から1Aとし、それ以上の電流変
化量のラインについて駆動中止ラインとした。図42に
おいては、駆動中止ラインと指示されたラインについて
t2−t1の予備駆動電流値の変化量が大きいライン△
If2に相当するラインを駆動中止ラインとした。
【0369】以下、図43の予備駆動シーケンスのフロ
ーチャートを用いて説明を行う。 (STEP41)まず、予備駆動に実行前にマルチライ
ン駆動を行っているラインに対して駆動中止条件の設定
が行われる。上記で述べたように、駆動中止条件は、予
備駆動電流計測時間t1、t2の時間と、その時の予備
駆動電流値の変化量の設定を制御回路506に対して行
う。
【0370】(STEP42)実施例13と同様にまず
初期設定駆動条件の設定を行う。予備駆動開始の指令に
より、制御回路506は通電予備駆動を開始する。ま
ず、予備駆動の開始時の初期駆動条件設定として同時駆
動ラインの設定を行う。同時駆動の設定としては、マル
チライン駆動を行うに当たって同時駆動を行う本数の設
定、駆動する行方向配線のライン間隔の設定、さらに、
間引き間隔の設定を行う。実施例15で行なわれる予備
駆動の駆動も、選択された複数のラインを同時に順次ス
クロールしながら電圧を印加していく方法がとられてい
る。従って実施例13と同様、順次駆動するスクロール
の本数を10本スクロールとした。同時駆動の本数の設
定は上記のブロック単位毎の駆動により、基板401に
通電される電力量と発熱を考慮して最適化が設定され
る。次に、駆動ライン間隔としては、実施例15も同時
駆動での各々のブロック間のライン間隔が、駆動ライン
間隔に相当する。駆動ラインの設定も、上記と同様に基
板401での通電電力による熱分布の集中を考慮して、
基板401の全域に均等に指定する必要がある。間引き
間隔の設定では、実施例13と同様、スクロールを行う
時に、最初に駆動されたラインと次に選択されるライン
を、間引き間隔としている。以上の設定は制御回路50
6により設定され、ライン選択回路402への設定が行
われる。
【0371】(STEP43)STEP41の初期設定
駆動条件の設定が終了した後、予備駆動が開始される。
マルチライン駆動として複数本同時に駆動を行うため
に、駆動ラインの設定信号がタイミング回路505に設
定される。タイミング回路505は駆動されるラインN
oを認識しラインセレクト信号をライン選択回路402
に出力する。ラインセレクト信号により、所定の行方向
配線NoのリレーをONにし、電源403側の接続を行
い駆動する。スクロール駆動によって予備駆動が開始さ
れると電流検出回路503により駆動ラインの予備駆動
電流を検出しメモリ511に格納する。
【0372】(STEP44)次に、STEP44では
補償電圧を算出するために、マルチライン駆動している
ラインの電流値が制御回路506からメモリ511に対
して読み出され、各予備駆動電流値から平均予備駆動電
流値をIfaveの算出を行う。次に、求められたIf
aveから、列方向配線側の補償電圧の算出を行う。補
償電圧の算出の仕方については実施例13の(式14)
から求めることができる。配線抵抗rは、予め各行方向
配線の配線抵抗を計測しメモリ511に格納しておく。
補償電圧も平均Ifaveの更新に伴い逐次計測が行わ
れていく。また必要に応じて補償電圧値もプロセスの進
行に伴い変化するためメモリ511に格納することも可
能である。
【0373】(STEP45)STEP45ではSTE
P44でマルチライン駆動毎に算出された補償電圧値を
制御回路506を通して、画素電極駆動回路508およ
びバッファアンプ507によって列方向配線に順次印加
される。
【0374】(STEP46)次に、STEP46でマ
ルチライン駆動しているラインに予備駆動電流計測時間
t1に達したどうかの判断が行われる。計測時間の場合
には予備駆動電流計測に進み、そうでない場合にはST
EP48に進む。
【0375】(STEP47)次に、STEP47で予
備駆動プロセスで駆動しているラインに対しての予備駆
動電流の計測が実行される。電流計測は、STEP43
と同様にライン選択回路402より選択されたラインの
電流値を電流検出回路503より計測が行われ、計測値
はメモリ511に格納する。電流計測後は、STEP4
3に戻る。
【0376】(STEP48)次に、STEP48でマ
ルチライン駆動しているラインに予備駆動電流計測時間
t2に達したどうかの判断が行われる。計測時間の場合
には予備駆動電流計測に進み、そうでない場合にはST
EP51に進む。
【0377】(STEP49)次に、STEP49で予
備駆動プロセスで駆動しているラインに対しての予備駆
動電流の計測が実行される。電流計測は、STEP47
と同様にライン選択回路402より選択されたラインの
電流値を電流検出回路503より計測が行われ、計測値
はメモリ511に格納する。電流計測後は、STEP5
0の駆動中断ラインの選択に進む。
【0378】(STEP50)制御回路506におい
て、時間t1、t2の設定時間で計測された予備駆動電
流値の値をメモリ511から読み出し予備駆動電流値の
変化量の計算を行う。その結果、マルチライン駆動して
いるラインに対して、所定の電流変化量(増加量)に達
していないラインについては、駆動中止ラインとして決
定し、タイミング回路505からライン選択回路402
のラインセレクト信号によって駆動中止ラインの設定が
行われる。ライン選択シーケンスの実行が終了すると、
STEP43に戻り予備駆動プロセスシーケンスが継続
される。
【0379】(STEP51)STEP45以降、各ラ
インの予備駆動が進行しライン選択によるラインスクリ
ーニング以後、予備駆動プロセスの終了条件に達した場
合には予備駆動を終了する。予備駆動が未終了の場合に
は、STEP43に戻って再びスクロール駆動を開始す
る。予備駆動の終了条件の設定は予備駆動電流を検出し
ながら各素子の電流が一定値に達した場合に終了する方
法と、予備駆動の開始から終了時間を規定して行う方法
とがある。各素子の電流値が一定値に達した場合に終了
する方法では、ライン毎に予備駆動状況を制御回路50
6等によって把握する必要があり、一方時間で制御する
場合には予備駆動が均一になるような時間設定が必要と
なってくる。本実施例15では、予備駆動時間の設定に
より終了条件とした。次に、駆動中止となったラインに
ついての再予備駆動プロセスが実行される。再予備駆動
プロセスは、実施例13と同様に図39に示したシーケ
ンスに沿って実行されることから、実施例15ではプロ
セスの説明は省略する。
【0380】以上のような予備駆動処理を施すことで基
板401の予備駆動が終了する。上記のようなシーケン
スを実行することで、1ラインずつ駆動していた場合に
比べ数分の一でプロセス時間で予備駆動が終了した。ま
た、予備駆動電流の変化量を算出することでラインスク
リーニングが行われ、補償電圧値を算出するための対象
ライン決定することで、補償電圧値がより最適値に近い
値で駆動することができ、予備駆動プロセスでの均一性
が向上した。なお、本実施例15でのマルチライン駆動
において、同時駆動数は限定するものではなく予備駆動
の処理時間をさらに短縮させるためのは基板401内の
発熱等を考慮し、同時駆動する行配線数をふやすことも
可能である。
【0381】[実施例16]本実施例における予備駆動
装置、表面伝導型電子放出素子基板の接続方法等につい
ては、実施例6と同様であるので、その構成、個別の部
品の働きなどについての説明は省略する。引き続き、図
15の装置を用いて表面伝導型放出素子基板401を予
備駆動する手順について説明する。以下に予備駆動の手
順について説明する。制御回路506が、予備駆動開始
の指令を受信すると制御回路506は行単位で通電処理
を行うためにタイミング発生回路505、電源403を
制御する。
【0382】まず、列方向配端子Dy1〜Dynをグラ
ンド電位になるように設定出力110を設定する一方、
行方向配線端子Dx1〜Dxmに順次予備駆動電圧Vp
re(例えば、パルスは幅1msec、パルス高18
V)をパルス状に印加する。これにより基板401は行
方向単位に順位パルス電圧が印加され、予備駆動がライ
ン単位で開始する。
【0383】なお、本実施例16では予備駆動工程時間
短縮のために行方向配線3本を同時に通電処理した。そ
の際、基板401での行方向配線ライン数を仮に480
本とした時、行方向配線端子Dx1、Dx161、Dx
321の3本を同時駆動する開始ラインとし、3本の予
備駆動電流の平均値から列方向側の印加する補償電圧を
決定している。
【0384】それらについて図44を用いて予備駆動電
圧を印加している3本(Dx1、Dx161、Dx32
1)の中のDx1のラインに着目し、各素子の配線抵抗
を含めたモデルで表面伝導型放出素子群を予備駆動する
様子を説明する。図44において、F1〜Fnは行方向
配線端子Dx1ライン上の表面伝導型放出素子、r1〜
rnは行方向Dx1における各部の配線抵抗、Ry0は
各配線Dy1〜Dynの給電端から表面伝導型放出素子
までの配線抵抗、Ry1とRy2は各々Dx1とDx1
61、Dx161とDx321間の列方向配線抵抗であ
る。
【0385】一般に、行方向配線、列方向配線とも一定
の線幅、厚さ、材料で形成されるように設計されている
ため、製造上のばらつきを除けばr1〜rnは等しいと
考えてよく、またRy0、Ry1、Ry2の各々の抵抗
値もほぼ同抵抗値で製造されていると考えて良い。な
お、通電予備駆動の前後で表面伝導型放出素子の等価抵
抗値は変化(減少)するが、Ry0、Ry1、Ry2の
値に比べ各素子の等価抵抗は非常に大きいため、列方向
配線の電圧降下の影響は無視して考えてよい。また表面
伝導型放出素子F1〜Fnの等価抵抗値はr1〜rnに
比べて大きく設計されている。Dx1、Dx161、D
x321の3ラインを同時に予備駆動するために、制御
回路506はタイミング発生器505を介してライン選
択回路402を制御し、予備駆動電圧Vpreを出力す
る電源403、電流検出回路503を行方向配線端子D
x1、Dx161、Dx321に接続する。これにより
上記3ラインは予備駆動電圧Vpreで駆動される。
【0386】一方、Dy1〜Dyn端子はバッファアン
プ507により駆動される。バッファアンプ507は、
Dx1においてはF1〜Fnからの予備駆動電流i1〜
inとDx161、Dx321のラインの各々の予備駆
動電流をシンクするように動作し、その出力電圧振幅は
画素電極駆動回路508によって決定される。
【0387】次に、画素電極駆動回路508の補償電圧
出力設定方法として、本実施例16を基とする基本的な
駆動方法について説明する。通電予備駆動を行う際、素
子の電気特性は図45に示すような変化をする。すなわ
ち、予備駆動の開始時は素子電流は最大で、通電ととも
に素子電流が減少する。この時、行方向配線Dx1上の
素子群の端子電圧をモニタすると配線抵抗r1〜rnの
影響でv1〜vnの電圧は変化する。この電圧変化は予
備駆動の進行と共に大きくなる。例えば、予備駆動電流
2mA/1素子、r1〜rn=10Ω、n=1000の
場合、片側(F1側)からのみ電源403によって給電
した場合には、給電端から最も遠いFn素子の端子vn
においては、
【0388】
【数50】 となり、最大10Vもの電圧差が生じることになる。そ
こで、この電圧差分布と同じ電圧分布を画素電極駆動回
路508で発生させ、各素子に生じる電圧分布をキャン
セルするようにバッファアンプ507から、Dy1〜D
yn端子を駆動する。すなわち、予備駆動の進行に伴っ
て各素子F1〜Fnに流れる電流と配線抵抗r1〜rn
によって端子v1〜vnに生じる電圧降下分布を制御回
路506で演算し、画素電極駆動回路508のD/Aコ
ンバータ出力値を設定することで、列方向配線側に電圧
降下分による補償電圧の設定が実現できる。
【0389】本実施例16では、行配線を複数同時に駆
動する手法(以後マルチライン駆動とする)を行なって
おり、Dx1、Dx161、Dx321の3本を同時に
駆動している。また、行方向配線への予備駆動電圧印加
は、F1〜Fnの配線の両側から電圧印加を行うことと
した。
【0390】ライン選択402より電源403に選択さ
れ、行配線の両側の所定の電圧が印加されるとDx1、
Dx161、Dx321行配線の各々If1、If16
1、If321の予備駆動電流が流れる。図45にマル
チライン駆動時での予備駆動特性を示した。3ラインと
も予備駆動初期状態では電流が流れず、徐々に予備駆動
が進行し電流が流れていることが判る。予備駆動が或る
程度進行するとIf1、If161、If321で予備
駆動電流が異なる現象が見られる。これらの予備駆動電
流のばらつきの要因としては、例えば基板の大面積化に
伴い表面伝導型放出素子の形成時でのばらつきや、フォ
ーミング時での亀裂形成のばらつき等が考えられる。
【0391】次に、図46に予備駆動時での電圧分布を
示す。縦軸は素子両端の端子電圧を示している。横軸は
素子番号F1〜Fnであり素子の位置を示している。電
源403からは、予備駆動電圧Vpre=16Vが各ラ
インに印加されている。図46では、予備駆動が進行し
た場合での分布図を示しているが、予備駆動の初期状態
では、未だ予備駆動電流がどのぐらいになるかわからな
いので補償電圧は0V近辺に設定される。
【0392】本実施例16ではマルチライン駆動した行
方向配線の平均Ifaveを算出し、そのIfaveに
対する列方向配線側の補償電圧を印加する方式を用いて
いる。平均Ifaveは、制御回路506から設定時間
ごとにマルチライン駆動しているラインの電流値の検出
を逐次行い、検出された電流値は電流検出回路503に
より予備駆動電流509として制御回路506に入力さ
れることによって算出される。
【0393】次に、平均Ifaveを算出した後、補償
電圧の算出を行う。本実施例16では行方向配線への予
備駆動電圧印加は、図30に示したようにF1〜Fnの
配線の両側から電圧印加を行なったため、配線抵抗によ
る電圧降下としては列方向配線での中央付近が最も大き
くなる。両側印加を行う場合には図44での電源403
からDx1ではa−a’、Dx161ではb−b’、D
x321ではc−c’間が接続される。
【0394】従って、上記の印加方法により補償電圧出
力は、iaveは平均予備駆動電流Ifaveとするた
めIfave/nとし、次に画素電極駆動素子508か
ら出力されるべき電圧By1〜Bynは、配線抵抗分の
r1〜rnとiaveを用いて以下のように求められ
る。
【0395】
【数51】 以上のような算出を行うことで、マルチライン駆動を行
なっている行配線側の予備駆動電流値の平均Ifをもと
にして、列方向配線側の補償電圧を決定している。補償
電圧は、画素電極駆動回路508からバッファアンプ5
07を通してDy1〜Dynの端子に出力され、補償電
圧の設定は予備駆動プロセスが終了するまで行われる。
【0396】そして、予備駆動の終了条件としては、予
め、同じ構成、製法の単素子の予備駆動実験から必要な
駆動時間を調べておき、マルチ表面伝導型電子放出素子
の場合も、この駆動時間に達するまで駆動を行うことに
なる。
【0397】以上説明したように、本実施例16では行
方向配線の3本を同時に駆動して、予備駆動を同時進行
させることで工程時間の短縮を計ってきた。本実施例に
おいては、基板401は単純マトリクス配線よる素子の
構成がなされているため、補償電圧の印加はマルチライ
ン駆動している行配線に対して共通である。しかしなが
ら、行配線ことの予備駆動特性(予備駆動電流)は必ず
しも一定ではなく、各々特性のばらつきがある。従っ
て、各行配線ごとに算出される補償電圧にも当然電圧差
が生じてしまう。そのためマルチライン駆動を行う時に
は、列方向配線側に印加する電圧の設定が重要となって
くる。補償電圧の設定は、実際に予備駆動される素子に
印加される電圧のばらつきを少なくなることが必要で、
特定の行配線の予備駆動電流にあわせたりすると印加電
圧にもばらつきが大きくなることが懸念される。
【0398】本実施例では、このような行配線のライン
毎の特性ばらつきに対してより均一に素子の予備駆動を
行うために、列方向配線からの補償電圧をマルチライン
駆動している行配線の平均予備駆動電流を用いることに
より、行配線のラインごとの素子ばらつきを最小限に抑
えるための駆動を行なっている。
【0399】次に、以上のような予備駆動を実現させる
ためのシーケンスについて図47を用いて説明する。 (STEP61)予備駆動開始の指令により、制御回路
506は通電予備駆動を開始する。まず、予備駆動の開
始時の初期駆動条件設定として同時駆動ラインの設定を
行う。同時駆動の設定としては、マルチライン駆動を行
うに当たって同時駆動を行う本数の設定、駆動する行方
向配線のライン間隔の設定、さらに、間引き間隔の設定
を行う。実施例16で行なわれる予備駆動の駆動は、選
択されたラインを1本ずつ順次スクロールしながら電圧
を印加していく方法がとられている。スクロールを行う
本数を1つのブロックとして扱い、実際はブロック単位
の指定でマルチライン駆動による予備駆動が行われてい
る。本駆動方法としては、順次駆動するスクロールの本
数を10本とし、3ライン同時予備駆動の場合には3×
10=30本がブロック単位とされる。同時駆動の本数
の設定は上記のブロック単位毎の駆動により、基板40
1に通電される電力量と発熱を考慮して最適化が設定さ
れる。
【0400】次に、駆動ライン間隔としては、実施例1
6のように3ライン同時駆動でのラインNo Dx1、
Dx161、Dx321の各々のライン間隔が駆動ライ
ン間隔に相当する。本実施例16では、駆動ライン間隔
を160本とした。駆動ラインの設定も、上記と同様に
基板401での通電電力による熱分布の集中を考慮し
て、基板401の全域に均等に指定する必要がある。間
引き間隔の設定では、同時駆動を行う時のスクロール間
隔の設定を言う。実施例16では、最初にDx1、Dx
161、Dx321の駆動がされた後次に選択されるラ
インとしては、間引き間隔を10本と指定して、Dx1
1、Dx171、Dx331が選択される。
【0401】以上よりブロック単位としての同時駆動ラ
インの選定を以下のようにした。
【0402】
【表4】
【0403】(STEP62)STEP61の初期設定
駆動条件の設定が終了した後、予備駆動が開始される。
マルチライン駆動として3本同時に駆動を行うために、
駆動ラインの設定信号がタイミング回路505に設定さ
れる。タイミング回路505は駆動されるラインNoを
認識しラインセレクト信号をライン選択回路402に出
力する。ラインセレクト信号により、所定の行方向配線
NoのリレーをONにし、電源403側の接続を行い駆
動される。スクロール駆動によって予備駆動が開始され
ると503に電流検出回路により駆動ラインの予備駆動
電流を検出しメモリ511に格納する。
【0404】(STEP63)1ブロック内(本実施例
16では30本)のスクロール終了と電流検出の終了ま
で待つ。
【0405】(STEP64)次に、STEP64で補
償電圧の算出が行われる。まず、STEP62および6
3によりマルチライン駆動している行配線の予備駆動電
流を検出し、メモリ511の格納した後予備駆動電流の
平均Ifaveの算出を行う。平均Ifaveは、マル
チライン駆動を行なっているラインごとに算出行う。従
って、STEP61で述べたように選択されたラインを
1本ずつ順次スクロールし、スクロール本数を10本と
していることから、3本同時予備駆動した場合にはスク
ロール分の平均Ifaveが求められる。また、平均I
faveは、予備駆動が時間とともに進行していく中で
電流検出のサンプリング設定を行うことで、所定の時間
ごとにマルチライン駆動している行配線の電流を検出
し、最新の平均Ifaveをメモリ511上に格納して
いく。次に、求められたIfaveから、列方向配線側
の補償電圧の算出を行う。補償電圧の算出の仕方につい
ては(式16)から求めることができる。配線抵抗r
は、予め各行方向配線の配線抵抗を計測しメモリ511
に格納しておく。補償電圧も平均Ifaveの更新に伴
い逐次計測が行われていく。また必要に応じて補償電圧
値もプロセスの進行に伴い変化するためメモリ511に
格納することも可能である。
【0406】(STEP65)STEP65ではSTE
P64でマルチライン駆動毎に算出された補償電圧値を
制御回路506を通して、画素電極駆動回路508およ
びバッファアンプ507によって列方向配線に順次印加
される。本実施例16では、マルチライン駆動をブロッ
ク単位として行なっていることから、1つの予備駆動プ
ロセスのライン数は30ラインとなる。予備駆動プロセ
スにおいては、1プロセス単位での設定はブロック単位
として限定することはなく複数のブロックを予め設定す
ることも可能である。
【0407】(STEP66)最後に、予備駆動プロセ
スが進行し、マルチライン駆動しているラインの予備駆
動が終了したことを判断する。予備駆動が未終了の場合
には、STEP62に戻って再びスクロール駆動を開始
する。予備駆動の終了条件の設定は予備駆動電流を検出
しながら各素子の電流が一定値に達した場合に終了する
方法と、予備駆動の開始から終了時間を規定して行う方
法とがある。各素子の電流値が一定値に達した場合に終
了する方法では、ライン毎に予備駆動状況を制御回路5
06等によって把握する必要があり、一方時間で制御す
る場合には予備駆動が均一になるような時間設定が必要
となってくる。本実施例16では、予備駆動時間の設定
により終了条件とした。
【0408】以上のようにして、基板401の予備駆動
が終了する。上記のようなシーケンスを実行すること
で、1ラインずつ駆動していた場合に比べ1/3のプロ
セス時間で予備駆動が終了した。
【0409】なお、本実施例16ではマルチライン駆動
を3本で行なった場合について述べたが、同時駆動数は
これに限定するものではなく、予備駆動の処理時間をさ
らに短縮させるためのは基板401内の発熱等を考慮
し、同時駆動する行配線数をふやすことも可能である。
また、本実施例16では、電源403からの出力を正極
として印加したが、印加電圧の極性はこれとは逆の負極
性でもよく、その場合には列方向配線側に流れ込む電流
のむきが逆になるため、バファアンプ507からの補償
電圧の極性も逆となる。さらに、画素電極駆動回路50
8では、列方向配線と同じ数のD/Aコンバータが構成
されているが、補償電圧の分布は図19に示したように
緩やかに変化するため、D/Aコンバータの数を間引い
て印加すべき電圧を抵抗等で分割して電圧を規定しても
よい。また、予備駆動のプロセスにおいては補償電圧値
の更新も、本実施例16で示したように1スクロール毎
に行なわなくても、予備駆動の進行に合わせて適宜行な
ってもよい。
【0410】以上説明したように、本実施例16での形
態で予備駆動プロセスを行うことで、すべての素子に対
して電子放出特性にばらつきの少ない比較的均一な素子
が形成することができる。これにより、基板401を用
いて表示パネルを作成した結果、ばらつきの少ない高品
位な画像表示装置が実現された。また、マルチライン駆
動での同時駆動ライン数を増やすことで、予備駆動プロ
セス時間を著しく短縮させることが可能となった。
【0411】[実施例17]図48により本発明の実施
例17に示したフローチャートについて説明する。本実
施例17では、予備駆動プロセスにおける装置および駆
動回路構成は図15と同じであり、表面伝導型放出素子
基板の構成も基板401と同じであるため説明は省略す
る。本実施例17においては、実施例16に対して補償
電圧を算出するために平均If値を用いることは同じで
あるが、平均If値を算出する過程において、計算対象
となるラインの選択手順をいれたことにより、より特性
の揃っているラインの対しての補償電圧の精度が高まる
ことが実現できたので以下に説明する。
【0412】マルチライン駆動を行い、複数の行配線を
駆動した場合には、ばらつきの要因として以下のことが
考えられる。 1)実施例16でも述べた様に各行配線ごとに元々の表
面伝導型放出素子の特性のばらつき或いは、フォーミン
グ時での素子形成時でのばらつき。 2)マトリクス配線上での物理的な欠陥(断線/ショー
ト)。
【0413】実際パネルを作成していく上では、2)の
原因によるものはほとんど少なく、1)によるものが支
配的である。しかしながら、マルチライン駆動をしてい
くなかで駆動ラインの中に、他のラインと比べ著しく予
備駆動電流が大きいか或いは小さい場合があると、同時
駆動ラインの平均Ifは、そのラインの影響を受けてし
まい、算出される補償電圧値も最適値とならない場合が
生じる。
【0414】このような問題点を考慮して、実施例17
ではマルチライン駆動している各行配線ごとの予備駆動
電流を求めた後に、一旦平均Ifaveを算出し次にマ
ルチライン駆動の各ラインの予備駆動電流のMAX値と
MIN値に相当するラインを抜粋し、予め求めた平均I
fave値に対しての差を各々求める。次に平均Ifa
veと、抜粋したMAX、MINの各々ラインの電流値
の差を計算し、その値によって抜粋したラインが補償電
圧の算出用の対象ラインとなるかどうか判断を行う。以
上の処理を施した後、あらためて補償電圧の算出のため
の平均Ifaveを求め、列方向側の補償電圧を算出す
る。
【0415】以下、図48のフローチャートを用いて説
明する。説明をわかりやすくするために、基板401の
行方向配線数とマルチライン駆動ラインは実施例16と
同様とする。
【0416】(STEP71)実施例16と同様にまず
初期設定駆動条件の設定が行われる。予備駆動開始の指
令により、制御回路506は通電予備駆動を開始する。
まず、予備駆動の開始時の初期駆動条件設定として同時
駆動ラインの設定を行う。同時駆動の設定としては、マ
ルチライン駆動を行うに当たって同時駆動を行う本数の
設定、駆動する行方向配線のライン間隔の設定、さら
に、間引き間隔の設定を行う。
【0417】実施例17で行なわれる予備駆動の駆動
も、選択されたラインを1本ずつ順次スクロールしなが
ら電圧を印加していく方法がとられている。したがって
実施例16と同様、順次駆動するスクロールの本数を1
0本とし、3ライン同時予備駆動の場合には3×10=
30本がブロック単位とされる。同時駆動の本数の設定
は上記のブロック単位毎の駆動により、基板401に通
電される電力量と発熱を考慮して最適化が設定される。
次に、駆動ライン間隔としては、実施例17も3ライン
同時駆動でのラインNo Dx1、Dx161、Dx3
21の各々のライン間隔が駆動ライン間隔に相当する。
駆動ライン間隔を160本とした。駆動ラインの設定
も、上記と同様に基板401での通電電力による熱分布
の集中を考慮して、基板401の全域に均等に指定する
必要がある。間引き間隔の設定では、同時駆動を行う時
のスクロール間隔の設定を言う。実施例16と同様、最
初にDx1、Dx161、Dx321の駆動がされた後
次に選択されるラインとしては、間引き間隔を10本と
指定して、Dx11、Dx171、Dx331が選択さ
れる。よって、1ブロックの駆動パターンは実施例16
と同様なものとなる。
【0418】(STEP72)STEP71の初期設定
駆動条件の設定が終了した後、予備駆動が開始される。
マルチライン駆動として3本同時に駆動を行うために、
駆動ラインの設定信号がタイミング回路505に設定さ
れる。タイミング回路505は駆動されるラインNoを
認識しラインセレクト信号をライン選択回路402に出
力する。ラインセレクト信号により、所定の行方向配線
NoのリレーをONにし、電源403側の接続を行い駆
動される。スクロール駆動によって予備駆動が開始され
ると電流検出回路503により駆動ラインの予備駆動電
流を検出しメモリ511に格納する。
【0419】(STEP73)1ブロック内(本実施例
17では30本)のスクロール終了と電流検出の終了ま
で待つ。
【0420】(STEP74)次に、STEP74では
補償電圧を算出するために、マルチライン駆動している
ラインから算出対象ラインの選択処理が行われる。図4
5において、まずDx1、Dx161、Dx321の各
々ラインについて予備駆動電流の平均値Ifave1が
メモリ511から求められる。次に、メモリ511から
計測された行配線の各予備駆動電流値からのMAX、M
IN値を検出する。検出される電流値は、計測更新時の
最新値が選択される。本実施例では、マルチライン駆動
をしているラインが3本であるため、その中の2本が選
択されることになる。そして、選択されたMAX、MI
N値に対し、予め求めた平均Ifave1値をもとに
【0421】
【数52】 の計算を行う。以上の計算によって求められた△If
a、△Ifbから、抜粋したMAX、MINのラインが
補償電圧の算出用の対象ラインとなるかどうか判断処理
を行う。判断処理では、△Ifa、△Ifbがマルチラ
イン駆動している中で、著しく特性が異なっているかど
うかの判断を行うもので、予め設定された許容値と比較
される。本実施例では、設定許容値を1Aと設定し平均
Ifave1に対して1A以上の電流差のあるラインを
対象ライン外としている。この判断シーケンスを行うこ
とで、前述したばらつき要因による補償電圧のずれを少
なくすることができる。また、本実施例では比較的マル
チライン駆動をしているラインが多いほど有効であり、
例えば2ラインのマルチライン駆動時では、実施例16
の方法が最適である。
【0422】本実施例17では、マルチライン数を3本
として説明したが、同時に駆動されるライン数が増えM
AX、MIN値のライン電流以外に設定値以上のライン
が存在する場合には、対象ラインの判断処理として以下
の手順を踏むことで実現される。まず、STEP74で
説明した様にMAX、MIN値のライン電流値の抜粋お
よび比較を行い、対象ラインの判別を行なった後、例え
ばMAX値のラインが許容値以上で対象ラインから外れ
た場合に、次にMAX値ラインの次に電流値が流れてい
るラインを抜粋し比較判断処理を行うこととする。その
結果により対象ラインとなるか否かによって、さらにそ
の次に電流値が流れているラインの比較が行われるかが
決定する。このような判断処理を順次繰り返して行う。
一方、MIN電流値の判断処理も上記と同様な処理を施
す。以上のようなシーケンスを繰り返し実行すること
で、同時駆動本数が増加した場合においても対象ライン
の選択を実現することができる。
【0423】(STEP75)以上の処理を施した後、
あらためて補償電圧の算出のための平均Ifaveをも
とめ、列方向側の補償電圧を算出する。次に、STEP
75で補償電圧の算出が行われる。平均Ifaveは、
予備駆動が時間とともに進行していく中で電流検出のサ
ンプリング設定を行うことで、所定の時間ごとにマルチ
ライン駆動している行配線の電流を検出し、最新の平均
Ifaveをメモリ511上に格納していく。次に、求
められたIfaveから、列方向配線側の補償電圧の算
出を行う。補償電圧の算出の仕方については(式17)
から求めることができる。配線抵抗rは、予め各行方向
配線の配線抵抗を計測しメモリ511に格納しておく。
補償電圧も平均Ifaveの更新に伴い逐次計測が行わ
れていく。また必要に応じて補償電圧値もプロセスの進
行に伴い変化するためメモリ511に格納することも可
能である。
【0424】(STEP76)STEP76ではSTE
P75でマルチライン駆動毎に算出された補償電圧値が
制御回路506を通して、画素電極駆動回路508およ
びバッファアンプ507によって列方向配線に順次印加
される。本実施例17では、マルチライン駆動をブロッ
ク単位として行なっていることから、1つの予備駆動プ
ロセスのライン数は30ラインとなる。予備駆動プロセ
スにおいては、1プロセス単位での設定はブロック単位
として限定することはなく複数のブロックを予め設定す
ることも可能である。
【0425】(STEP77)最後に、予備駆動プロセ
スが進行し、マルチライン駆動しているラインの予備駆
動が終了したことを判断する。予備駆動が未終了の場合
には、STEP72に戻って再びスクロール駆動を開始
する。予備駆動の終了条件の設定は予備駆動の開始から
終了時間を規定して行う。
【0426】[実施例18]本発明の実施例18を図4
9に示したフローチャートについて説明する。本実施例
18では、予備駆動プロセスにおける装置および駆動回
路構成は図15と同じであり、表面伝導型放出素子基板
の構成も基板401と同じであるため説明は省略する。
本実施例18では、各素子に印加される予備駆動電圧の
最低値を補償することを目的としている。
【0427】予備駆動プロセス時に、表面伝導型放出素
子に流れる予備駆動電流Ifと行方向の配線抵抗の影響
によって生じる電圧降下分が最も大きいラインを選択
し、そのラインのIf値が最低予備駆動電圧を補償する
ために、予め決められた規定If値に対してどの程度の
Ifの差(△If)であるかを算出する。そして、△I
fに対応する△X(列方向側の補償電圧値)を求め、上
記選択されたラインの補償電圧に加えることで、ライン
内に印加される予備駆動電圧が最低予備駆動電圧として
確保される。
【0428】つまり、電圧降下が最も大きいラインで
は、行方向配線の中央部での電圧降下が最も大きくなる
ことから、実際に素子に印加されている電圧値は逆に低
く、マルチライン予備駆動プロセスを行なった時には複
数駆動しているラインから求められる補償電圧で印加さ
れる予備駆動電圧としては、電圧値として経験する値も
小さい状態で素子特性が決定してしまうことになる。ま
た、予備駆動プロセス以降の処理プロセスで、単ライン
ずつに駆動を行うプロセスがあった場合には、上記の様
な予備駆動時に低い電圧を経験した素子に対して、予備
駆動電圧以上の素子電圧が印加されてしまう可能性も出
てくる。そのような場合には、予備駆動プロセスによっ
て決定された素子特性が補償されず、ライン毎もしくは
素子ごとに特性がばらついたパネルとなってしまう。以
上のような問題に対して、実施例18ではマルチライン
駆動しているライン内のMAXライン電流値を選択し、
そのラインを基準にして最低予備駆動電圧が補償される
ように列方向配線側の補償電圧を決定する。
【0429】以下図49のフローチャートを用いて説明
する。 (STEP81)まず、STEP81で初期設定駆動条
件の設定を行う。初期駆動設定条件では、行方向配線の
ライン間隔の設定、さらに、間引き間隔の設定を行う。
実施例18で行なわれる予備駆動の駆動も、選択された
ラインを1本ずつ順次スクロールしながら電圧を印加し
ていく方法がとられている。従って実施例16と同様、
順次駆動するスクロールの本数を10本とし、3ライン
同時予備駆動の場合には3×10=30本がブロック単
位とされる。同時駆動の本数の設定は上記のブロック単
位毎の駆動により、基板401に通電される電力量と発
熱を考慮して最適化が設定される。
【0430】次に、駆動ライン間隔としては、実施例1
8も3ライン同時駆動でのラインNo Dx1、Dx1
61、Dx321の各々のライン間隔が駆動ライン間隔
に相当する。駆動ライン間隔を160本とした。駆動ラ
インの設定も、上記と同様に基板401での通電電力に
よる熱分布の集中を考慮して、基板401の全域に均等
に指定する必要がある。間引き間隔の設定では、同時駆
動を行う時のスクロール間隔の設定を言う。実施例16
と同様、最初にDx1、Dx161、Dx321の駆動
がされた後次に選択されるラインとしては、間引き間隔
を10本と指定して、Dx11、Dx171、Dx33
1が選択される。よって、1ブロックの駆動パターンは
実施例16と同様なものとなる。
【0431】(STEP82)STEP81の初期設定
駆動条件の設定が終了した後、予備駆動が開始される。
マルチライン駆動として3本同時に駆動を行うために、
駆動ラインの設定信号がタイミング回路505に設定さ
れる。タイミング回路505は駆動されるラインNoを
認識しラインセレクト信号をライン選択回路402に出
力する。ラインセレクト信号により、所定の行方向配線
NoのリレーをONにし、電源403側の接続を行い駆
動される。スクロール駆動によって予備駆動が開始され
ると503に電流検出回路により駆動ラインの予備駆動
電流を検出しメモリ511に格納する。
【0432】(STEP83)1ブロック内(本実施例
18では30本)のスクロール終了と電流検出の終了ま
で待つ。
【0433】(STEP84)次に、STEP84では
最低予備駆動電圧を確保するために、マルチライン駆動
しているラインから算出対象ラインの選択処理が行われ
る。図45において、まずDx1、Dx161、Dx3
21の各々ラインについて予備駆動電流If1、If1
61、If321が求められ、各々のラインの予備駆動
電流は、メモリ511に格納される。次に、メモリ51
1から計測された行配線の各予備駆動電流値からのMA
Xを検出する。検出される電流値は、計測更新時の最新
値が選択される。図45により、3ライン同時予備駆動
を行なった時のIfmaxラインは、Dx1と選択され
る。次に、選択されたDx1のIf値を予め予備駆動電
圧を補償するために定められている規定値Ifとの比較
を行う。
【0434】この規定値Ifの定義は、最低予備駆動電
圧として印加されるべき素子電圧が、配線抵抗と個別素
子電流から生じる最大電圧降下値を基に決められる。例
えば最低予備駆動電圧Va(行方向配線側)とした時、
予備駆動電圧Vpreを印加したときの差Vpre/2
−Va=△Vdを最大電圧降下値とし、その時の各個別
素子電流IfNを電圧降下の式
【0435】
【数53】 から求める。次に、IfN×N(個別電流×素子数)を
計算し、規定値Ifとして決定される。つまり、規定値
Ifは電圧降下によって減衰する素子への予備駆動電圧
が、最低予備駆動電圧以上であることを確保するための
ライン電流値としての目安値として考えらえる。
【0436】さらに実施例18では、予備駆動処理のプ
ロセス中に逐次各ライン電流を電流検出回路503によ
って検出することから、その周期毎に最低予備駆動電圧
Va値を変更し規定値Ifをプロセス状態に合わせて変
えている。特に、予備駆動初期時では、ライン電流はほ
とんど流れないことから電圧降下による電圧の減衰の影
響もほとんど無視できVaは、予備駆動電圧Vpre/
2とほぼ同じとなる。
【0437】そして、判断処理ではIfmax−規定値
If=△Ifとして、△If>0の場合にはDx1ライ
ンの素子が、電圧降下等によって最低予備駆動電圧に到
達していないことの判断がなされる。また、△If≦0
の場合には少なくとも最低予備駆動電圧が印加されてい
るものと判断する。この規定値Ifの設定は、電圧降下
分の要因を素子電流の変化と考えることから、パネル内
の各ラインの配線抵抗値が一定値である必要がでてく
る。ライン内の電圧降下は、上記の(式18)から決定
されるため、各ラインごとのrNが同じであれば電圧降
下はIfNが支配的とみることができる。
【0438】ラインごとに配線抵抗値がばらついている
場合には、マルチライン駆動ごとでの規定値If値を個
別に設定する必要がある。その場合には、マルチライン
駆動を行うラインに対して予め配線抵抗値をメモリ51
1に設定しておき、マルチライン駆動を行なった時の選
択されたIfmaxラインの配線抵抗値をメモリ511
から読み込み、その値を使って規定値Ifを決定する。
以上より、STEP84で△If値の算出と、△If値
から最低予備駆動電圧が確保されているかどうかの判断
がなされる。
【0439】(STEP85)次に、STEP85では
補償電圧の算出が行われる。STEP84で△If値の
判定が行われた結果に基づいて、補償電圧値が変わる。
△If値>0の場合には、最低電圧が印加されていない
との判断がなされていることから、まず△If値に対す
る補償電圧△Xの算出を行う。△Xは実施例16で算出
する方法と同じである。次に、予め設定されている規定
値Ifの補償電圧を算出する。規定値Ifの補償電圧は
予め求めておいてもよくその場合には、メモリ511に
値を格納しておく。
【0440】そして、上述して求めた補償電圧△Xを規
定値Ifの補償電圧に加える。以上の処理によって求め
られた補償電圧は、マルチライン駆動のIfmaxライ
ンに対して最低予備駆動電圧を確保するための列方向配
線側からの印加電圧を設定することができる。また、そ
の他のラインの対して(図45のDx161、Dx32
1)は予備駆動電流がDx1に対して小さいため、上述
で求めた補償電圧を印加すると、最低予備駆動電圧以上
の印加電圧がかけられるため電圧値として問題はない。
【0441】△If<=0の場合には、Ifmaxライ
ンには少なくとも最低予備駆動電圧が印加されているも
のと判断されていることから、△If>0の場合のよう
な処理は必要なくなり、列方向配線側の補償電圧は例え
ばマルチライン駆動しているラインの平均Ifを求めて
補償電圧を算出してもよい。その場合にも、平均If値
で決定される補償電圧値はIfmaxラインに対して充
分予備駆動電圧が確保される値である。
【0442】(STEP86)STEP86ではSTE
P85でマルチライン駆動毎に算出された補償電圧値を
制御回路506を通して、画素電極駆動回路508およ
びバッファアンプ507によって列方向配線に順次印加
される。本実施例18では、マルチライン駆動をブロッ
ク単位として行なっていることから、1つの予備駆動プ
ロセスのライン数は30ラインとなる。予備駆動プロセ
スにおいては、1プロセス単位での設定はブロック単位
として限定することはなく複数のブロックを予め設定す
ることも可能である。
【0443】(STEP87)最後に、予備駆動プロセ
スが進行し、マルチライン駆動しているラインの予備駆
動が終了したことを判断する。予備駆動が未終了の場合
には、STEP82に戻って再びスクロール駆動を開始
する。予備駆動の終了条件の設定は予備駆動電流を検出
しながら各素子の電流が一定値に達した場合に終了する
方法と、予備駆動の開始から終了時間を規定して行う方
法とがある。各素子の電流値が一定値に達した場合に終
了する方法では、ライン毎に予備駆動状況を制御回路5
06等によって把握する必要があり、一方時間で制御す
る場合には予備駆動が均一になるような時間設定が必要
となってくる。本実施例18では、実施例16と同様予
備駆動時間の設定により終了条件とした。
【0444】以上説明したように、本実施例18に係る
予備駆動プロセスを行うことですべての素子に対して最
低予備駆動電圧を印加し、規定値の電圧の確保が可能と
なる。それにより、予備駆動プロセス以降の駆動プロセ
スで印加される電圧によって、素子の特性が変化する懸
念もなくなり、比較的特性が補償されたパネルを作成す
ることができる。なお、本実施例18においてもマルチ
ライン駆動を3本で行なった場合について述べたが、同
時駆動数はこれに限定するものではなく、予備駆動の処
理時間をさらに短縮させるためのは基板401内の発熱
等を考慮し、同時駆動する行配線数を増やすことも可能
である。また、本実施例16と同様、電源403からの
出力を正極として印加したが、印加電圧の極性はこれと
は逆の負極性でもよく、その場合には列方向配線側に流
れ込む電流の向きが逆になるため、バファアンプ507
からの補償電圧の極性も逆となる。さらに、画素電極駆
動回路508では、列方向配線と同じ数のD/Aコンバ
ータが構成されているが、補償電圧の分布は図46に示
したように緩やかに変化するため、D/Aコンバータの
数を間引いて印加すべき電圧を抵抗等で分割して電圧を
規定してもよい。
【0445】なお、上述においては、本発明をマトリッ
クス配線された表面伝導型電子放出素子からなる電子源
に適用した例について説明したが、本発明は図50に示
すような梯子型配線された表面伝導型電子放出素子から
なる電子源にも適用可能である。また、表面伝導型電子
放出素子に限らず、FE型やMIM型など他の形式の電
子放出素子を用いた電子源にも適用可能である。
【0446】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、電
子源基板上にマトリックス状または梯子型状に配線され
た複数の表面伝導型放出素子をそれらの素子が共通に接
続される第1配線とそれぞれに接続される複数の第2配
線とに印加される電位差により予備駆動する際、配線抵
抗と予備駆動電流による電圧降下等の影響で、素子に印
加される電圧に不均一が生じて特性ばらつきが発生する
現象を防いで、前記複数の素子の電子放出特性を均一に
することができる。これにより、この電子源基板を用い
て輝度または濃度のばらつきが少ない高品位な画像表示
装置が実現される。
【0447】また、電子源基板上にマトリックス状また
は梯子型状に配線された複数の表面伝導型放出素子をそ
れらの素子が共通に接続される第1配線とそれぞれに接
続される複数の第2配線とに印加される電位差により予
備駆動する際、同時に複数の第1配線を選択しながら予
備駆動することによって短時間で全素子を予備駆動する
ことが可能になり、その結果特性の変動の少ないマルチ
電子源が実現できる。これと、上記の第1配線上で発生
する電圧降下を第2配線から補償する駆動法と組み合わ
せること、さらにその場合同時に選択する第2配線の組
み合わせ方を工夫したり、補償電圧の計算方法を工夫し
たりすることで、さらに均一な素子特性を得ることがで
きる。これらの電子源を用いて高品位な画像表示装置を
実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施例に係る予備駆動装置の
概略構成を示すブロック回路図である。
【図2】 図1におけるライン選択回路の構成を示す回
路図である。
【図3】 図1における電圧分布発生回路の構成を示す
回路図である。
【図4】 図1の装置において、ある1ライン上の素子
を予備駆動している時の各素子の駆動電圧分布を示す説
明図である。
【図5】 図1の装置においてラインを複数本ずつ選択
して予備駆動を行う場合の動作を示すフローチャートで
ある。
【図6】 本発明の第2の実施例に係る予備駆動装置の
概略構成を示すブロック回路図である。
【図7】 図6におけるライン選択回路の構成を示す回
路図である。
【図8】 第2の実施例で、表面伝導型放出素子基板の
各端子に印加する駆動電圧波形の波形図である。
【図9】 本発明の第3の実施例に係る予備駆動装置の
概略構成を示すブロック回路図である。
【図10】 図9における電圧分布発生回路の構成を示
す回路図である。
【図11】 本発明の第4の実施例に係る予備駆動装置
のブロック回路図である。
【図12】 図11の表面伝導型放出素子に印加される
予備駆動電圧の波形図である。
【図13】 図11の装置におけるライン選択部の詳細
回路図である。
【図14】 本発明の第5の実施例に係る電源部とライ
ン選択部の出力波形図である。
【図15】 本発明の第6の実施例に係る予備駆動装置
のブロック回路図である。
【図16】 図15の装置における画素電極駆動回路の
構成を示す回路図である。
【図17】 マトリクス型電子源の予備駆動状態の説明
図である。
【図18】 電子放出素子の両端に印加される電圧の予
備駆動の開始と終了時における分布図である。
【図19】 予備駆動による電子放出素子の電気特性の
変化を示すグラフである。
【図20】 本発明の第6の実施例に係る予備駆動のフ
ローチャートである。
【図21】 本発明の第7の実施例に係る予備駆動装置
のブロック回路図である。
【図22】 本発明の第7の実施例に係る予備駆動のフ
ローチャートである。
【図23】 本発明の第8の実施例に係る予備駆動装置
のブロック回路図である。
【図24】 図23の装置におけるライン選択部の詳細
回路図である。
【図25】 図23の装置において各列配線に印加され
る電圧波形図である。
【図26】 本発明の第9の実施例に係る予備駆動装置
のブロック回路図である。
【図27】 図26の装置における駆動回路部の詳細回
路図である。
【図28】 図26の装置における素子基板の配線パタ
ーンの状態を示す図である。
【図29】 上記第9の実施例における同時選択ライン
の組み合わせ処理の説明図である。
【図30】 図26の装置における素子基板の電気的等
価回路図である。
【図31】 図26の装置において電子放出素子の両端
に印加される電圧の予備駆動の開始と終了時における分
布図である。
【図32】 本発明の第10の実施例における配線抵抗
測定の説明図である。
【図33】 測定された配線抵抗値に基づく選択ペア組
み合わせ方法の説明図である。
【図34】 本発明の第11の実施例に係る活性化最終
電流値に基づく選択ペア組み合わせ方法の説明図であ
る。
【図35】 本発明の第12の実施例に係る配線抵抗値
と活性化最終電流値に基づく選択ペア組み合わせ方法の
説明図である。
【図36】 本発明の第13の実施例に係る予備駆動電
流プロファイル図である。
【図37】 上記第13の実施例に係る予備駆動電流ヒ
ストグラム図である。
【図38】 上記第13の実施例に係る予備駆動のフロ
ーチャートである。
【図39】 上記第13の実施例に係る再予備駆動のフ
ローチャートである。
【図40】 本発明の第14の実施例に係る予備駆動電
流プロファイル図である。
【図41】 上記第14の実施例に係る再予備駆動のフ
ローチャートである。
【図42】 本発明の第15の実施例に係る予備駆動電
流プロファイル図である。
【図43】 上記第15の実施例に係る予備駆動のフロ
ーチャートである。
【図44】 本発明の第16の実施例に係る予備駆動装
置の列配線駆動部を示す回路図である。
【図45】 図44の装置において3ラインを同時に予
備駆動した場合の予備駆動特性図である。
【図46】 図44の装置における予備駆動時の電圧分
布図である。
【図47】 上記第16の実施例に係る予備駆動のフロ
ーチャートである。
【図48】 本発明の第17の実施例に係る予備駆動の
フローチャートである。
【図49】 本発明の第18の実施例に係る予備駆動の
フローチャートである。
【図50】 表面伝導型放出素子を梯子型配線した電子
源の構成説明図である。
【図51】 本発明を適用可能な表示パネルの一部を切
り欠いた斜視図である。
【図52】 本発明を適用可能な表示パネルに用いられ
る螢光体および黒色導体の配置を示す図である。
【図53】 本発明を適用可能な平面型の表面伝導型放
出素子を示す概略平面図および断面図である。
【図54】 図53の電子放出素子の製造工程を示す図
である。
【図55】 図54の製造工程におけるフォーミング工
程で使用する電圧パルスを示す図である。
【図56】 図54の製造工程における予備駆動工程で
使用する電圧パルスを示す図である。
【図57】 本発明を適用可能な垂直型の表面伝導型電
子放出素子を示す概略平面図および断面図である。
【図58】 図57の電子放出素子の製造工程を示す図
である。
【図59】 本発明を適用可能な表面伝導型電子放出素
子の電気特性を示す図である。
【図60】 図51の表示パネルに用いられるマルチ電
子ビーム源の平面図である。
【図61】 図60のB−B’に沿った断面図である。
【図62】 本発明の適用が可能な電子放出素子の電気
特性の一例を示すグラフである。
【図63】 図52の目盛りを変更して表した電気特性
図である。
【図64】 本発明の実施例に係る予備駆動に使用され
る電圧波形を示す図である。
【図65】 本発明の実施例に係る電子放出素子につい
ての、放出電流Ieおよび素子電流Ifと素子電圧Vf
の関係の一例を示すグラフである。
【図66】 本発明の実施例に係る電子放出素子につい
ての、放出電流Ieおよび素子電流Ifと素子電圧Vf
の関係の一例を示すグラフである。
【図67】 表面伝導型放出素子の概略平面図である。
【図68】 単純マトリクス配置の電子源の概略図であ
る。
【符号の説明】
101:表面伝導型放出素子基板、102:ライン選択
回路、103:電流モニタ回路、104:電源、10
5:タイミング発生回路、106:制御回路、107:
バッファアンプ回路、108:電圧分布発生回路、10
9:予備駆動電流値、110:デジタル設定出力値、1
11:ラッチクロック、401:表示パネル、402:
ライン選択部、403:電源部、506:制御部。

Claims (23)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電子放出素子を複数有する電子源の製造
    方法であって、 複数の素子が共通に接続される第1配線と、該複数の素
    子がそれぞれ接続される複数の第2配線とにそれぞれ電
    位を印加して、該第1配線と複数の第2配線に与えられ
    る電位により前記第1配線に接続される複数の素子に電
    圧V1を印加する電圧印加工程を有しており、該電圧V
    1は、この電圧印加工程の後、通常の駆動電圧として印
    加される電圧の最大値V2との関係が、 前記2つの電極間に電圧を印加したときに電子放出を伴
    う電圧範囲内の電圧Vを前記素子に印加したときに該電
    圧Vの印加に伴って流れる電流Iを、 【数1】 とし、f'(V)を電圧Vにおけるf(V)の微係数とす
    るとき、 【数2】 という条件を満たす電圧であり、 前記第2配線のそれぞれに印加される電位は、前記第1
    配線により前記各素子に与えられる電位と前記第2配線
    のそれぞれによって前記各素子に与えられる電位との電
    位差として各素子に印加される電圧V1の差を緩和する
    ように設定されることを特徴とする電子放出素子の製造
    方法。
  2. 【請求項2】 前記電圧印加工程は、高真空雰囲気で行
    う請求項1に記載の電子源の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記電圧印加工程は、前記各素子の電子
    放出部となる部分に雰囲気中の物質もしくは雰囲気中の
    物質に基づく物質の堆積が抑制された雰囲気で行う請求
    項1もしくは2に記載の電子源の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記各素子はそれぞれが2つの電極を有
    するものであり、かつ該2つの電極はそれらの間に間隙
    部を有するものであり、前記電圧印加工程は、該電圧印
    加工程において前記2つの電極の間の間隙部が雰囲気中
    の物質もしくは雰囲気中の物質に基づく物質の堆積によ
    り狭くならない雰囲気で行う請求項1乃至3いずれかに
    記載の電子源の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記電圧印加工程は、雰囲気中の炭素お
    よび炭素化合物の分圧が1×10-6Pa以下の雰囲気で
    行う請求項1乃至4いずれかに記載の電子放出素子の製
    造方法。
  6. 【請求項6】 前記電圧印加工程は、前記各素子の電子
    放出部となる部分に堆積物を堆積させる工程を終えた後
    に行う請求項1乃至5いずれかに記載の電子源の製造方
    法。
  7. 【請求項7】 前記電圧印加工程中に、前記第2配線の
    それぞれに印加する電位の更新を行う請求項1乃至6い
    ずれかに記載の電子源の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記電圧印加工程における電位の印加
    は、パルス状の電位の印加である請求項1乃至7いずれ
    かに記載の電子源の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記電圧印加工程における前記各素子へ
    の電圧の印加はパルス状の電圧の印加であり、各素子に
    複数回パルス状の電圧の印加が行われる請求項1乃至8
    いずれかに記載の電子源の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記第1配線に与えられる電位は、前
    記複数の第2配線それぞれに印加される電位が、電位0
    [V]を挟んで分布するように設定される請求項1乃至
    9いずれかに記載の電子源の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記電圧印加工程は、複数の前記第1
    配線の一部を選択する工程を含んでおり、選択した前記
    第1配線に所定の電位を与え、該選択した第1配線に接
    続される前記複数の素子に前記電圧V1が印加される請
    求項1乃至10いずれかに記載の電子源の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記選択した第1配線以外の第1配線
    に、前記選択した第1配線に印加する電位とは異なる所
    定の電位を与える請求項11に記載の電子源の製造方
    法。
  13. 【請求項13】 前記選択した第1配線に印加する電位
    とは異なる所定の電位は、前記選択された第1配線に接
    続される複数の素子に前記電圧V1を印加するために前
    記複数の第2配線に印加される電位の内の最大値よりも
    小さく最小値よりも大きい電位である請求項12に記載
    の電子源の製造方法。
  14. 【請求項14】 前記電圧印加工程は、前記選択する第
    1配線を順次変更しながら、各第1配線のそれぞれに接
    続される複数の素子に対して、電圧V1を印加する請求
    項11乃至13いずれかに記載の電子源の製造方法。
  15. 【請求項15】 前記電圧印加工程において、同時に選
    択する第1配線は、前記複数の第1配線のうちの一部か
    つ複数である請求項11乃至14いずれかに記載の電子
    源の製造方法。
  16. 【請求項16】 前記同時に選択する第1配線を決定す
    るステップを有する請求項15に記載の電子源の製造方
    法。
  17. 【請求項17】 前記電圧印加工程において、同時に選
    択する第1配線は、前記複数の第1配線のうちの一部で
    あり、前記複数の第1配線から前記選択の対象としない
    第1配線を決定するステップを有する請求項1乃至16
    いずれかに記載の電子源の製造方法。
  18. 【請求項18】 複数の第1配線のそれぞれに複数の電
    子放出素子が接続される電子源の製造方法であって、 前記複数の第1配線のうちの一部かつ複数の第1配線を
    選択し、該選択された複数の第1配線のそれぞれに接続
    される複数の素子に対して、該選択された第1配線に印
    加される電位と、前記選択された複数の第1配線のそれ
    ぞれに接続される前記複数の素子が接続される第2配線
    に印加される電位とにより、電圧V1を印加する電圧印
    加工程を有しており、該電圧V1は、この電圧印加工程
    の後、通常の駆動電圧として印加される電圧の最大値V
    2との関係が、 前記2つの電極間に電圧を印加したときに電子放出を伴
    う電圧範囲内の電圧Vを前記素子に印加したときに該電
    圧Vの印加に伴って流れる電流Iを、 【数3】 とし、f'(V)を電圧Vにおけるf(V)の微係数とす
    るとき、 【数4】 という条件を満たす電圧であることを特徴とする電子放
    出素子の製造方法。
  19. 【請求項19】 前記第2配線は複数存在するものであ
    り、前記複数の第1配線と前記複数の第2配線とは、互
    いに交差する方向に概略沿って設けられるものであり、
    前記複数の第1配線と前記複数の第2配線とでマトリッ
    クス状の配線を構成するものである請求項18に記載の
    電子源の製造方法。
  20. 【請求項20】 前記第2配線は複数存在するものであ
    り、前記第1配線と前記第2配線とは、互いに概略平行
    な方向に沿って設けられるものである請求項18に記載
    の電子源の製造方法。
  21. 【請求項21】 電子源と、該電子源が出力する電子の
    照射により画像を形成する画像形成部材とを有する画像
    形成装置の製造方法であって、 前記電子源の製造方法として、請求項1乃至20いずれ
    かに記載の電子源の製造方法を用いることを特徴とする
    画像形成装置の製造方法。
  22. 【請求項22】 請求項1乃至20いずれかに記載の電
    子源の製造方法を行う電子源の製造装置であって、前記
    第1配線に電位を印加する第1の電位印加手段と、前記
    第2配線のそれぞれに電位を印加する第2の電位印加手
    段と、第2の電位印加手段により印加する電位を決定す
    る電位決定手段とを有することを特徴とする電子源の製
    造装置。
  23. 【請求項23】 電子放出素子を複数有する電子源の調
    整方法であって、 複数の電子放出素子が共通に接続される第1配線と、該
    複数の電子放出素子がそれぞれ接続される複数の第2配
    線とにそれぞれ電位を印加して、該第1配線と複数の第
    2配線に与えられる電位により前記第1配線に接続され
    る複数の電子放出素子に電圧V1を印加する電圧印加工
    程を有しており、該電圧V1は、この電圧印加工程の
    後、通常の駆動電圧として印加される電圧の最大値V2
    との関係が、 前記2つの電極間に電圧を印加したときに電子放出を伴
    う電圧範囲内の電圧Vを前記素子に印加したときに該電
    圧Vの印加に伴って流れる電流Iを、 【数5】 とし、f'(V)を電圧Vにおけるf(V)の微係数とす
    るとき、 【数6】 という条件を満たす電圧であり、 前記第2配線のそれぞれに印加される電位は、前記第1
    配線により前記各電子放出素子に与えられる電位と前記
    第2配線のそれぞれによって前記各電子放出素子に与え
    られる電位との電位差として各電子放出素子に印加され
    る電圧V1の差を緩和するように設定されることを特徴
    とする電子放出素子の調整方法。
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