JP2000302981A - 硬化性組成物 - Google Patents

硬化性組成物

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JP2000302981A
JP2000302981A JP11110768A JP11076899A JP2000302981A JP 2000302981 A JP2000302981 A JP 2000302981A JP 11110768 A JP11110768 A JP 11110768A JP 11076899 A JP11076899 A JP 11076899A JP 2000302981 A JP2000302981 A JP 2000302981A
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polymer
platinum
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group
complex
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JP11110768A
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English (en)
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Masato Kusakabe
正人 日下部
Kazuhide Fujimoto
和秀 藤本
Hiroshi Iwakiri
浩 岩切
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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  • Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ヒドロシリル化を利用する硬化系において、
高温での速硬化性を損なわずに、硬化物の機械強度を向
上すること。 【解決手段】 (a)一般式(1)または(2): H2C=C(R1)− (1) HC(R1)=CH− (2) (式中R1は炭素数10以下の炭化水素基)で示される
アルケニル基を末端に有する重合体、(b)分子中に2
個以上のヒドロシリル基を有する化合物、及び(c)強
酸の共役塩基を配位子として含まない白金錯体触媒を必
須成分とする硬化性組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ヒドロシリル化反
応によって硬化する、機械特性が改善された硬化性組成
物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、硬化してゴム状物質を生成する硬
化性組成物としては、各種のものが開発されている。こ
の中で、1分子中に1個以上のアルケニル基を有する重
合体を、1分子中に2個以上のヒドロシリル基を有する
硬化剤を用いて架橋するものは、常温付近で比較的長い
ポットライフを有し、加熱することによって急速に硬化
する等の特徴を有する。重合体の主鎖骨格としては、ポ
リシロキサン系、ポリエーテル系、炭化水素系等のもの
が開発され、電気・電子材料用封止剤、ポッティング
剤、歯科用印象材等に利用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】この、いわゆるヒドロ
シリル化反応を用いた硬化物は、架橋部分が柔軟でかつ
極性の低い炭素−珪素結合により構成されるため、極性
の高いウレタン架橋やエポキシ架橋を用いた硬化物に比
較して、機械強度、具体的には引張り破断強度、圧縮強
度、硬度等が低いという問題があった。機械強度の向上
のために、通常は炭酸カルシウム、カーボンブラック、
シリカ等の補強性充填剤が配合されるが、ポリマー骨格
および架橋構造の面から、その向上にも限界があった。
【0004】本発明の目的は、ヒドロシリル化反応を用
いる硬化系の特徴である、高温での速硬化性を損なうこ
となく、硬化物の機械強度を改良することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ヒドロシ
リル化反応を用いた硬化物の機械強度を向上させるべく
鋭意検討した結果、重合体の末端に特定のアルケニル基
を使用することにより上記目的が達成されることを見出
した。すなわち本発明は、(a)一般式1または2: H2C=C(R1)− (1) HC(R1)=CH− (2) (式中R1は炭素数10以下の炭化水素基)で示される
アルケニル基を末端に有する重合体、(b)分子中に2
個以上のヒドロシリル基を有する化合物、及び(c)強
酸の共役塩基を配位子として含まない白金錯体触媒を必
須成分とする硬化性組成物に関する。
【0006】好ましい実施形態としては、R1がメチル
基である、前記硬化性組成物に関する。
【0007】さらに好ましい実施形態としては、白金錯
体が、白金−ビニルシロキサン錯体である、前記硬化性
組成物に関する。
【0008】さらに好ましい実施形態としては、白金錯
体が、白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テト
ラメチルジシロキサン錯体または白金−1,3,5,7
−テトラビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロ
テトラシロキサン錯体である前記硬化性組成物に関す
る。
【0009】さらに好ましい実施形態としては、(a)
成分の重合体の主鎖が、ポリエーテル系重合体である前
記硬化性組成物に関する。
【0010】さらに好ましい実施形態としては、ポリエ
ーテル系重合体の、サイズ排除クロマトグラフィーで測
定した分子量分布が、1.6以下、分子量が3000〜
50000である前記硬化性組成物に関する。
【0011】さらに好ましい実施形態としては、(a)
成分が、水酸基末端ポリエーテルに対し、Willia
msonエーテル合成反応を2回以上に分割して行うこ
とにより得られる重合体である、前記硬化性組成物に関
する。
【0012】別の好ましい実施形態としては、(a)成
分の重合体の主鎖が、炭化水素系重合体である前記硬化
性組成物に関する。
【0013】別の好ましい実施形態としては、(a)成
分の重合体の主鎖が(メタ)アクリル系重合体である前
記硬化性組成物に関する。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の目的は、(a)一般式1
または2: H2C=C(R1)− (1) HC(R1)=CH− (2) (式中R1は炭素数10以下の炭化水素基)で示される
アルケニル基を末端に有する重合体、(b)分子中に2
個以上のヒドロシリル基を有する化合物、及び(c)強
酸の共役塩基を配位子として含まない白金錯体触媒を必
須成分とする硬化性組成物により達成される。
【0015】(a)成分の重合体の、一般式1または2
で示されるアルケニル基におけるR 1としては例えば、
直鎖アルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、ブ
チル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニ
ル、デシル、分岐アルキル基、例えばイソプロピル、イ
ソブチル、イソペンチル、イソヘキシルやアリール基、
例えばフェニル基等を挙げることができ、1種類のみで
あっても、複数の種類の混合物であっても良い。さらに
反応性、および原料入手性の点からは、メチル基が特に
好ましい。本発明においては、R1が水素でないことが
重要である。これまでのヒドロシリル化反応を利用した
硬化系においては、通常、R1は水素であったため、硬
化物の機械的強度が不十分であった。本発明において
は、R1として炭素数10以下の炭化水素基を用いるこ
とにより、硬化物の機械的強度が向上する。
【0016】一般式1または2のアルケニル基は、重合
体の分子鎖末端に対し、平均して少なくとも0.1個存
在するのがよく、硬化性の点から好ましくは0.5〜5
個存在するのがよい。さらに好ましくは、0.8〜2個
存在するのがよい。良好なゴム弾性挙動を示す硬化物が
得られるという点からは、0.9〜1個存在するのが特
によい。重合体1分子中に含まれるアルケニル基の数と
しては、1個以上あればよいが、十分な硬化性を得るた
めには平均1.5〜4個が好ましい。重合体1分子中に
含まれるアルケニル基の数が1個未満になると、硬化性
が不十分となり、良好なゴム弾性挙動を発現しにくくな
る。
【0017】(a)成分の重合体の主鎖骨格としては特
に制限はなく各種のものを用いることができる。具体的
に例示するならば、ポリオキシエチレン、ポリオキシプ
ロピレン、ポリオキシテトラメチレン、ポリオキシエチ
レン−ポリオキシプロピレン共重合体等のポリエーテル
系重合体、アジピン酸等の二塩基酸とグリコールとの縮
重合、ε−カプロラクトン等のラクトン類の開環重合で
得られるポリエステル系重合体、エチレン−プロピレン
系共重合体、ポリイソブチレン、イソブチレンとイソプ
レン等との共重合体、ポリクロロプレン、ポリイソプレ
ン、イソプレンとブタジエン、アクリロニトリル、スチ
レン等との共重合体、ポリブタジエン、イソプレンある
いはブタジエンとアクリロニトリル、スチレン等との共
重合体を水素添加して得られるポリオレフィン系重合
体、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル
酸メチル等のモノマーを重合して得られる(メタ)アク
リル系エステル系(共)重合体、前記(メタ)アクリル
系モノマーと酢酸ビニル、アクリロニトリル、スチレン
等との共重合体、ポリサルファイド系重合体、ε−カプ
ロラクタムの開環重合によるナイロン−6、ヘキサメチ
レンジアミンとアジピン酸の縮重合によるナイロン−6
6、ヘキサメチレンジアミンとセバシン酸の縮重合によ
るナイロン610等のポリアミド系重合体、例えばビス
フェノールAと塩化カルボニルの縮重合によるポリカー
ボネート系重合体、ジアリルフタレート系重合体等が例
示される。
【0018】上記の各種主鎖骨格のうち、本発明の効果
がより発現しやすいという理由で、硬化後にゴム弾性を
有する柔軟な骨格のものが好ましい。それら骨格として
は、上記のポリエーテル系重合体、炭化水素系重合体、
(メタ)アクリル系重合体が挙げられるが、これらに限
定されるものではない。
【0019】(a)成分の主鎖がポリエーテル系重合体
であるものについて以下に詳述する。主鎖骨格として
は、−R−O−で示される構造を繰り返し単位とする重
合体であればよく、このとき、Rは炭素数1から20の
2価の有機基であればよい。また、繰り返し単位の全て
が同一である単独重合体であっても良く、2つ以上の種
類の繰り返し単位を含む共重合体であっても良い。さら
に、主鎖中に分岐構造を有していても良い。
【0020】Rの具体例としては、−CH2CH2−、−
CH(CH3)CH2−、−CH(C 25)CH2−、−
C(CH32CH2−、−CH2CH2CH2CH2−等が
挙げられる。Rとしては特に−CH(CH3)CH2−が
好ましい。
【0021】ポリエーテル系重合体の主鎖骨格は、例え
ば開始剤と触媒の存在下、モノエポキシドを開環重合す
ることによって得られる。
【0022】開始剤の具体例としては、エチレングリコ
ール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサ
メチレングリコール、メタリルアルコール、ビスフェノ
ールA、水素化ビスフェノールA、ネオペンチルグリコ
ール、ポリブタジエンジオール、ジエチレングリコー
ル、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレントリオ
ール、ポリプロピレンテトラオール、ジプロピレングリ
コール、グリセリン、トリメチロールメタン、トリメチ
ロールプロパン、ペンタエリスリトール等の2価アルコ
ールや多価アルコール、水酸基を有する各種のオリゴマ
ー等が挙げられる。
【0023】モノエポキシドの具体例としては、エチレ
ンオキサイド、プロピレンオキサイド、α-ブチレンオ
キサイド、β-ブチレンオキサイド、ヘキセンオキサイ
ド、シクロヘキセンオキサイド、スチレンオキサイド、
α−メチルスチレンオキシド等のアルキレンオキサイド
類や、メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエ
ーテル、イソプロピルグリシジルエーテル、ブチルグリ
シジルエーテル等のアルキルグリシジルエーテル類、ア
リルグリシジルエーテル類、アリールグリシジルエーテ
ル類等が挙げられる。
【0024】触媒としてはKOH、NaOH等のアルカ
リ触媒、トリフルオロボラン−エーテラート等の酸性触
媒、アルミノポルフィリン金属錯体やシアン化コバルト
亜鉛−グライム錯体触媒等の複合金属シアン化物錯体触
媒等の既に公知のものが用いられる。KOHやNaOH
等、従来のアルカリ触媒を用いた場合は、連鎖移動反応
のために、数平均分子量が3000以上の重合体を得る
のは困難であるが、複合金属シアン化物錯体触媒を用い
ると連鎖移動が少なく、高分子量でかつ分子量分布の狭
い重合体が得られる。なお、数平均分子量の小さいポリ
エーテル系重合体に対し、塩基性化合物、例えばKO
H、NaOH、KOCH3、NaOCH3等を作用させ、
さらに2官能以上のハロゲン化アルキル、例えばCH2
BrCl、CH2Cl2、CH2Br2等を反応させること
による鎖延長反応によっても、高分子量のポリエーテル
系重合体を得ることができる。
【0025】本発明の目的である、硬化物の機械強度、
特に引張り破断強度や伸びを改良するためには、ポリエ
ーテル系重合体の分子量(サイズ排除クロマトグラフィ
ーで測定した数平均分子量、以下、数平均分子量と略
す)は3000〜50000が好ましく、さらに好まし
くは5000〜30000である。数平均分子量が30
00より小さいと、モジュラスは高くなるものの、伸び
が小さく、その結果破断強度の小さい硬化物しか得られ
ない。数平均分子量が50000を越えると、重合体が
非常に高粘度となるため、ハンドリングが困難になる。
【0026】ハンドリングの観点からは、数平均分子量
が同じであっても、分子量分布(サイズ排除クロマトグ
ラフィーで測定した重量平均分子量と数平均分子量の
比)が狭い方が粘度が低くなり好ましい。好ましい分子
量分布の範囲は1.6以下である。上記の複合金属シア
ン化物錯体触媒は、分子量分布の狭いポリエーテル系重
合体が得られるという面からも好ましい重合方法であ
る。
【0027】ポリエーテル系重合体の末端アルケニル基
としては、合成の容易さから、特に一般式3または4: H2C=C(R1)−R2−O− (3) HC(R1)=CH−R2−O− (4) (式中R1は前記に同じ、R2は水素、酸素、および窒素
からなる群より選択される1種以上を構成原子として含
有する炭素数1から20の2価の有機基)で示されるア
ルケニル基が好ましい。R2は炭素数1から20の2価
の有機基で、例えば;−CH2−、−C24−、−C3
6−、−C48−、−C510−、−C61 2−、−C7
14、−C816−、C918、−C1020−、−CH(C
3)−、−CH2−CH(CH3)−、−CH2−CH
(CH3)−CH2−、−C24−CH(CH3)−、−
54−、−CH2−C64−、−CH2−C64−CH
2−、−C24−C64−等の基が例示される。合成が
容易である点で−CH2−、−CH2CH2−、−CH2
H(CH3)−が好ましい。更に、原料入手の容易さか
ら、−CH2−が特に好ましい。
【0028】末端に一般式3または4で示されるアルケ
ニル基を有するポリエーテル系重合体の製造法として
は、従来公知の方法を用いればよく、例えば、上記の各
種重合法により得られる水酸基末端ポリエーテル重合体
に、一般式1または2のアルケニル基を有する化合物を
反応させて、エーテル結合、エステル結合、ウレタン結
合、カーボネート結合などにより結合させる方法等が挙
げられる。例えばエーテル結合によりアルケニル基を導
入する場合は、Williamsonエーテル合成反応
を適用することができ、ポリエーテル系重合体の水酸基
末端に、NaOH、KOH、CH3ONa、CH3OK、
t―BuOK等の塩基を作用させてメタルオキシ化によ
り−OM(MはNaまたはK等)を生成した後、一般式
5または6: H2C=C(R1)−R2−X (5) HC(R1)=CH−R2−X (6) (式中R1,R2は前記に同じ。Xは塩素、臭素またはヨ
ウ素)で示されるアルケニル基含有ハロゲン化物を反応
させる方法を用いることができる。
【0029】R1としては前記したものをすべて好適に
用いることができ、1種類のみであっても、複数の種類
の混合物であっても良い。反応性、および化合物の入手
性の面から、メチル基が特に好ましい。R2も前記した
ものをすべて用いることができ、1種類のみであって
も、複数の種類の混合物であっても良い。合成が容易で
ある点で−CH2−、−CH2CH2−、−CH2CH(C
3)−が好ましく、更に、反応性の高さ、原料入手の
容易さから、−CH2−が特に好ましい。
【0030】一般式(5)または(6)で示される不飽
和基含有化合物の具体例としては、H2C=C(CH3
−CH2−Cl、H2C=C(CH3)−CH2−Br、H
2C=C(CH3)−CH2−I、H2C=C(CH2
3)−CH2−Cl、H2C=C(CH2CH3)−CH2
−Br、H2C=C(CH2CH3)−CH2−I、H2
=C(CH2CH(CH32)−CH2−Cl、H2C=
C(CH2CH(CH32)−CH2−Br、H2C=C
(CH2CH(CH32)−CH2−I、HC(CH 3
=CH−CH2−Cl、HC(CH3)=CH−CH2
Br、HC(CH3)=CH−CH2−I等が挙げられ、
特に、反応性の点から、H2C=C(CH3)−CH2
Cl、H2C=C(CH3)−CH2−Br、HC(C
3)=CH−CH2−Cl、HC(CH3)=CH−C
2−Brが好ましい。更に、原料入手、および合成の
容易さからH2C=C(CH3)−CH2−Clが特に好
ましい。
【0031】この方法において式1、または2のアルケ
ニル基を導入する際、水酸基末端ポリエーテルに塩基を
作用させた時点で、メタルオキシ化の進行に伴い、末端
どうしが会合し、反応系が増粘するために、メタルオキ
シ化が完結せず、結果的にアルケニル基の導入率が低く
なることがある。この傾向は、ポリエーテルの分子量が
大きくなるほど顕著であり、本発明の目的である硬化物
の機械的強度の向上にはマイナス要因となる。
【0032】このような場合は、上記のWilliam
sonエーテル合成反応を2段階以上に分割すると、式
1または2のアルケニル基をほぼ定量的に末端に導入す
ることができるので好ましい。分割の回数は、2回以上
であれば何回でもかまわないが、製造上の効率から2回
が好ましい。2回に分割して行うだけで、定量的にアル
ケニル基を導入することができる。例えば、1回目の反
応で水酸基に対して1当量より少なく塩基を添加すれ
ば、メタルオキシ化の最終段階での急激な粘度の上昇が
回避され、メタルオキシ化された末端に対して十分な量
の、式5、6で示されるハロゲン化物を添加すれば、ア
ルケニル基が末端に導入されるので、ここで一旦、反応
系の粘度は塩基の添加前と同等となる。この後、残った
水酸基に対して過剰量の塩基を作用させても、反応系の
粘度上昇は微々たるものであり、さらにハロゲン化物を
添加することにより、アルケニル基をほぼ定量的に導入
することが可能となる。
【0033】なお、アルケニル基の導入率は、重合体の
1H NMRにおいて、オレフィンプロトンと主鎖のプ
ロトンの積分比より算出することができる。
【0034】アルケニル基の導入方法としては、これ以
外に、式1や2のアルケニル基を有するイソシアネート
化合物、カルボン酸、エポキシ化合物を用いることもで
きる。
【0035】(a)成分の他の好ましい重合体として、
炭化水素系重合体について詳述する。硬化してゴム弾性
を発現する炭化水素系重合体としては、ポリイソブチレ
ン、イソブチレンとイソプレンの共重合体、ポリイソプ
レン、イソプレンとブタジエンの共重合体、ポリブタジ
エン、水添ポリブタジエン、水添ポリイソプレン等が挙
げられる。
【0036】末端に式1または2のアルケニル基を有す
るポリイソブチレンは、例えば、p−ジクミルクロライ
ドや1,3,5−トリクミルクロライド等の開始剤を用
い、TiCl4等のルイス酸触媒の存在下、イソブチレ
ンモノマーをカチオン重合し、しかる後にカチオン末端
を各種の方法で変換することにより得られる。カチオン
末端の変換法としては、例えば、一般式7または8: H2C=C(R1)−CH2Si(R33 (7) HC(R1)=CH−CH2Si(R33 (8) (式中、R1は前記に同じ、R3は炭素数10以下の炭化
水素基)で示すアリルシラン類を反応させる方法(特開
平2―248406号公報等に記載)、一般式9また
は10; H2C=C−(CH2n−C(R1)=CH2 (9) H2C=C−(CH2n−CH=CH(R1) (10) (式中、R1は前記に同じ、nは0〜20の整数)で示
すジエン系化合物を反応させる方法(特開平4−103
606号公報に記載)、珪酸アルミや塩基性化合物を
作用させることにより脱ハロゲン化水素する方法(特開
平1−261405号公報に記載)等が挙げられる。
【0037】末端に式1または2のアルケニル基を有す
るポリイソプレン、イソプレンとブタジエンの共重合
体、ポリブタジエン、水素添加ポリブタジエン、水素添
加ポリイソプレンの合成法としては、それぞれ対応する
水酸基末端重合体に、上記のポリエーテル系重合体の製
造に用いた方法、すなわち、水酸基末端に各種塩基を作
用させてメタルオキシ化した後、一般式5または6の不
飽和基含有ハロゲン化物を反応させる方法を用いること
ができる。この場合も、Williamsonエーテル
合成反応を2回以上に分割して行うことが、アルケニル
基を定量的に導入することができるので好ましい。
【0038】この他に、一般式1、2の不飽和基を有す
るイソシアネート化合物、カルボン酸、エポキシ化合物
を反応させる方法を適用することもできる。
【0039】本発明の(a)成分として好ましい他の重
合体は、(メタ)アクリル系重合体である。分子末端に
一般式1または2のアルケニル基を有する(メタ)アク
リル系重合体は、種々の公知の方法により合成すること
ができる。例えば、特開平5−255415号公報に記
載されている、連鎖移動剤としてアルケニル基含有ジス
ルフィドを用いる方法、あるいは、特開平5−2628
08号公報に記載されている、水酸基を有するジスルフ
ィドを用いて両末端に水酸基を有する(メタ)アクリル
系重合体を合成し、さらに水酸基の反応性を利用してア
ルケニル基を導入する方法、等が利用できる。
【0040】分子末端に一般式1または2のアルケニル
基を有する(メタ)アクリル系重合体を得るための、よ
り効率的な方法は、特開平9−272714号公報等に
記載されている、有機ハロゲン化物またはハロゲン化ス
ルホニル化合物を開始剤、周期律表第8族、9族、10
族、または11族元素を中心金属とする金属錯体を触媒
として用いる重合方法によって得られる、一般式11: ―CH2−C(R4)(CO25)(X) (11) (式中、R4は水素またはメチル基、R5は炭素数が1〜
20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素
数7〜20のアラルキル基、Xは塩素、臭素、またはヨ
ウ素)で示す末端構造を有する(メタ)アクリル系重合
体のハロゲンを、式1または2のアルケニル基含有置換
基に変換する方法である。
【0041】本方法は、最近精力的に研究されている原
子移動ラジカル重合(Atom Transfer R
adical Polymerization)を利用
するものであり、本重合のリビング性により、末端に式
11で示すハロゲンを高い比率で有する(メタ)アクリ
ル系重合体が得られ、このハロゲンを定量的に変換する
ことにより、式1、2の不飽和基を高い比率で末端に有
する(メタ)アクリル系重合体を得ることが可能とな
る。
【0042】本方法においては、例えば、o−,m−,
p−XCH2−C64−CH2X、R 52C−C(H)
(X)−(CH2n−C(H)(X)−CO25(但
し、R5、Xは上記に同じ、nは0〜20の整数)等の
α位にハロゲンを有するエステル化合物やベンジル位に
ハロゲンを有する化合物を開始剤として用い、塩化第一
銅、臭化第一銅等の一価銅化合物と2,2’−ビピリジ
ルから得られる銅錯体等の触媒存在下に、(メタ)アク
リル系モノマーを重合することにより、上記式11の末
端を有する(メタ)アクリル系重合体を得た後、末端の
ハロゲンを適当な方法で変換することにより、目的とす
る重合体を得ることができる。
【0043】末端ハロゲンの変換方法としては、上記
重合後に、重合性のアルケニル基と、一般式1または2
で示されるアルケニル基を併せ有する化合物を第二のモ
ノマーとして反応させる方法、一般式1、2のアルケ
ニル基を有する有機錫化合物を反応させる方法、式1
1の末端ハロゲンに対し、金属単体あるいは有機金属化
合物を作用させてメタル化し、しかる後に式1、2のア
ルケニル基を有する求電子化合物を反応させる方法、
一般式1、2のアルケニル基を有するカルボン酸、フェ
ノール、アミン系化合物を反応させる方法等が挙げられ
る。
【0044】本発明の(b)成分である、分子中に2個
以上のヒドロシリル基を有する化合物は、(a)成分の
硬化剤として作用するものである。(b)成分の化合物
としては特に制限はなく、各種のものを用いることがで
きる。すなわち、一般式12または13: R6 3SiO−[Si(R62O]a−[Si(H)(R7)O]b−[Si(R7)(R8 )O]c―SiR6 3 (12) HR6 2SiO−[Si(R62O]a−[Si(H)(R7)O]b−[Si(R7)( R8)O]c―SiR6 2H (13) (式中、R6、R7は炭素数1〜6のアルキル基、または
フェニル基、R8は炭素数1〜10のアルキル基または
炭素数7〜10のアラルキル基、aは0≦a≦100、
bは2≦b≦100、cは0≦c≦100の整数を示
す)で表される鎖状ポリシロキサン、一般式14:
【0045】
【化1】 (式中、R9およびR10は炭素数1〜6のアルキル基ま
たはフェニル基、R11は炭素数1〜10のアルキル基、
炭素数7〜10のアラルキル基、dは0≦d≦8、eは
2≦e≦10、fは0≦f≦8の整数を示し、かつ、3
≦d+e+f≦10である)で表される環状シロキサン
を用いることができる。これらは単独で用いても2種以
上を混合して用いてもかまわない。これらシロキサンの
中でも、(a)成分の有機重合体との相溶性の観点か
ら、フェニル基を有する一般式15、16: (CH33SiO−[Si(H)(CH3)O]g−[Si(C652O]h−Si( CH33 (15) (CH33SiO−[Si(H)(CH3)O]g−[Si(CH3)[CH2CH)( R12)C65]O]h−Si(CH33 (16) (式中、R12は水素またはメチル基、gは2≦g≦10
0、hは0≦h≦100の整数、C65はフェニル基を
示す)で示される鎖状シロキサンや、一般式17または
18:
【0046】
【化2】 (式中、R12は上記に同じ、iは2≦i≦10、jは0
≦j≦8、かつ3≦i+j≦10である整数、C65
フェニル基を示す)で示される環状シロキサンが好まし
い。
【0047】(b)成分の分子中に2個以上のヒドロシ
リル基を有する化合物としてはさらに、分子中に2個以
上のアルケニル基を有する化合物に対し、式12〜18
に示したヒドロシリル基含有化合物を、反応後にも一部
のヒドロシリル基が残るように付加反応させて得られる
化合物を用いることができる。分子中に2個以上のアル
ケニル基を有する化合物としては、各種のものを用いる
ことができる。例示するならば、1,4−ペンタジエ
ン、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、
1,7−オクタジエン、1,8−ノナジエン、1,9−
デカジエン等の炭化水素系化合物、O,O’−ジアリル
ビスフェノールA、3,3’−ジアリルビスフェノール
A等のエーテル系化合物、ジアリルフタレート、ジアリ
ルイソフタレート、トリアリルトリメリテート、テトラ
アリルピロメリテート等のエステル系化合物、ジエチレ
ングリコールジアリルカーボネート等のカーボネート系
化合物等が挙げられる。
【0048】式12〜18に示した過剰量のヒドロシリ
ル基含有化合物に対し、ヒドロシリル化触媒の存在下、
上記のアルケニル基含有化合物をゆっくりと滴下するこ
とにより、該化合物を得ることができる。このような化
合物のうち、原料の入手容易性、過剰に用いたシロキサ
ンの除去のしやすさ、さらには(a)成分の重合体との
相溶性を考慮して、下記のものが好ましい。
【0049】
【化3】 この他、(b)成分の具体例としては、特開平3−95
266号公報、特開平3−200807号公報等に記さ
れているものを使用できる。(a)成分の重合体と
(b)成分のヒドロシリル基含有化合物は、任意の割合
で混合することができるが、硬化性の面から、アルケニ
ル基とヒドロシリル基のモル比が5〜0.2の範囲にあ
ることが好ましく、さらに2.5〜0.4であることが
特に好ましい。モル比が5を越えると、硬化が不十分で
べとつきのある強度の小さい硬化物しか得られず、ま
た、0.2より小さいと、硬化後も硬化物中に活性なヒ
ドロシリル基が大量に残るので、クラック、ボイドが発
生し、均一で強度のある硬化物が得られない。
【0050】(a)成分の重合体と(b)成分のヒドロ
シリル基含有化合物との硬化反応は、2成分を混合して
加熱することにより進行するが、反応をより迅速に進め
るために、ヒドロシリル化触媒が添加される。本発明に
おいて使用される(c)成分のヒドロシリル化触媒とし
ては、特に、強酸の共役塩基を配位子として含まない白
金錯体触媒が好適に用いられる。
【0051】本発明においては、硬化物の機械的強度を
向上させるため、一般式1あるいは2で示される不飽和
基を末端に有する重合体を使用する。これらはいずれも
二置換アルケニル基であり、これまでヒドロシリル化反
応を用いた硬化系に一般的に使用されてきた一置換アル
ケニル基(一般式1、2においてR1が水素であるも
の)に比較して、立体障害が大きく、硬化反応が遅くな
る。従って、ヒドロシリル化反応を利用した硬化系の特
徴である、高温での速硬化性を保持するためには、より
高活性な触媒が必要である。このような要求を満たす触
媒が、前記した強酸の共役塩基を配位子として含まない
白金錯体触媒である。
【0052】このような白金錯体における配位子として
好ましいのは、オレフィン、アルキン、ビニルシロキサ
ン等の炭素−炭素不飽和結合を有する化合物、β−ジケ
トンまたはβ−ケトエステル等である。白金−オレフィ
ン錯体のオレフィン配位子の具体例は1,5−ヘキサジ
エン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエン、
1,11−ドデカジエン、1,5−シクロオクタジエン
等である。また、白金−ビニルシロキサン錯体の配位子
の具体例としては、1,3−ジビニル−1,1,3,3
−テトラメチルジシロキサン、1,3,5,7−テトラ
ビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシ
ロキサン等が挙げられる。
【0053】強酸の共役塩基を配位子として含まない白
金錯体触媒としてはこの他、白金−ホスフィン錯体(例
えば、Pt(PPh34、Pt(PBu34)、白金−
ホスファイト錯体(例えば、Pt[P(OPh)3]4、P
t[P(OBu)3]4)、Ashbyの米国特許第315
9601および3159662号明細書中に記載された
白金−炭化水素複合体、ならびに、Lamoreaux
の米国特許第3516946号明細書中に記載された塩
化白金−オレフィン複合体等が挙げられる。
【0054】これらの白金錯体の中でも、反応性の高
さ、錯体の安定性、および入手性の点から、白金−ビニ
ルシロキサン錯体が好ましく、特に、白金−1,3−ジ
ビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯
体または白金−1,3,5,7−テトラビニル−1,
3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン錯体
触媒が好ましい。
【0055】これらの白金錯体触媒は、単独で使用して
もよく、二種類以上を併用しても構わない。
【0056】触媒の使用量としては特に制限はないが、
(a)成分中の不飽和基1molに対して10-1〜10
-8molの範囲で用いるのがよい。好ましくは、10-3
〜10-6の範囲で用いるのがよい。使用量が10-8mo
lより少ないと、硬化反応が非常に遅くなり、実用上好
ましくなく、10-1molより多いと、経済的に不利と
なる。
【0057】上記の強酸の共役塩基を配位子として含ま
ない白金錯体触媒以外にも、ヒドロシリル化触媒は数多
く知られている。例えば、有機過酸化物やアゾ化合物等
のラジカル開始剤、および上記以外の遷移金属触媒であ
る。
【0058】ラジカル開始剤を例示するならば、ジ−t
−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ
(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル
−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3−ヘキシ
ン、ジクミルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキ
シド、α,α’−ビス(t−ブチルペルオキシ)イソプ
ロピルベンゼンのようなジアルキルペルオキシド、ベン
ゾイルペルオキシド、p−クロロベンゾイルペルオキシ
ド、m−クロロベンゾイルペルオキシド、2,4−ジク
ロロベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド
のようなジアシルペルオキシド、過安息香酸−t−ブチ
ルのような過酸エステル、過ジ炭酸ジイソプロピル、過
ジ炭酸−2−エチルヘキシルのようなペルオキシジカー
ボネート、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)シクロ
ヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルペルオキシ)−3,
3,5−トリメチルシクロヘキサンのようなペルオキシ
ケタール等が挙げられる。
【0059】また、遷移金属触媒としては、例えば、塩
化白金酸(H2PtCl6・6H2O)、Ptメタル、P
tメタルをアルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担
体に担持させたもの、ジカルボニルジクロロ白金、Rh
Cl(PPh33、RhCl 3、Rh/Al23、Ru
Cl3、IrCl3、FeCl3、PdCl2・2H2O、
NiCl2、AlCl3やTiCl4等が挙げられる。し
かし、これら触媒を用いた場合、硬化速度が遅くなり好
ましくない。
【0060】本発明の(a)、(b)、(c)成分を混
合し、加熱すれば発泡等の現象を伴うことなく深部硬化
性に優れた均一な硬化物を得ることができる。硬化条件
については特に制限はないが、一般に0〜200℃、好
ましくは30〜150℃で、5秒〜4時間硬化するのが
よい。特に80〜150℃の高温では、5秒〜1時間程
度の短時間で硬化するものも得られる。
【0061】本発明の硬化性組成物には、(a)、
(b)、(c)の必須3成分の他に、その使用目的に応
じて、溶剤、接着性改良剤、ポットライフ延長剤、可塑
剤、垂れ防止剤、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、
光安定化剤、滑剤、顔料、発泡剤、増量剤等を適宜添加
することができる。
【0062】本硬化性組成物から得られる硬化物の具体
的な用途を挙げるならば、シーリング材、接着剤、粘着
剤、弾性接着剤、塗料、塗膜防水材、発泡体、電子電気
部品用封止剤、ポッティング剤、フィルム、ガスケッ
ト、各種成型材料、歯科印象材等である。
【0063】
【実施例】以下に、この発明の具体的な実施例を示す
が、この発明は、下記実施例に限定されるものではな
い。 (製造例1)数平均分子量が3000のポリプロピレン
グリコールとCH3ONa(メタノール溶液)を60℃
で攪拌し、塩化メチレンを加えて分子量を増大させた。
次に、3−クロロ−2−メチル−1−プロペンを添加
し、110℃で反応を行い、末端にメタリル基を有する
ポリプロピレングリコールを得た(ポリマーA)。 (比較製造例1)製造例1において、3−クロロ−2−
メチル−1−プロペンの代わりに3−クロロ−1−プロ
ペンを用いた以外は全く同様にして、末端にアリル基を
有するポリプロピレングリコールを得た。(ポリマー
B) (製造例2)数平均分子量が2000のポリプロピレン
グリコールを開始剤とし、亜鉛ヘキサシアノコバルテー
トグライム錯体触媒の存在下、プロピレンオキシドの重
合を行い、数平均分子量が10000のポリプロピレン
グリコールを得た。続いてこのオリゴマーの末端水酸基
に対して1.2倍当量のCH3ONa(メタノール溶
液)を添加し、減圧下にメタノールを除去しながら、末
端をメタルオキシ化した。ここに1.3倍当量の3−ク
ロロ−2−メチル−1−プロペンを添加し、末端にメタ
リル基を有するポリプロピレングリコールを得た(ポリ
マーC)。 (製造例3)数平均分子量が2000のポリプロピレン
グリコールを開始剤とし、亜鉛ヘキサシアノコバルテー
トグライム錯体触媒の存在下、プロピレンオキシドの重
合を行い、数平均分子量が10000のポリプロピレン
グリコールを得た。続いてこのオリゴマーの末端水酸基
に対して0.8倍当量のCH3ONa(メタノール溶
液)を添加し、減圧下にメタノールを除去しながら、末
端をメタルオキシ化した。ここに0.9倍当量の3−ク
ロロ−2−メチル−1−プロペンを添加し反応させた。
さらに、0.5倍当量のCH3ONa(メタノール溶
液)を添加し、減圧下にメタノールを除去しながら、残
った水酸基末端をメタルオキシ化した後、0.8倍当量
の3−クロロ−2−メチル−1−プロペンを添加し反応
させることにより、末端にメタリル基を有するポリプロ
ピレングリコールを得た(ポリマーD)。 (比較製造例2)製造例3において、3−クロロ−2−
メチル−1−プロペンのかわりに3−クロロ−1−プロ
ペンを用いる以外は全く同様にして、末端にアリル基を
有するポリプロピレングリコールを得た(ポリマー
E)。 (製造例4)数平均分子量が2000のポリプロピレン
グリコールを開始剤とし、亜鉛ヘキサシアノコバルテー
トグライム錯体触媒の存在下、プロピレンオキシドの重
合を行い、数平均分子量が20000のポリプロピレン
グリコールを得た。続いてこのオリゴマーの末端水酸基
に対して0.8倍当量のCH3ONa(メタノール溶
液)を添加し、減圧下にメタノールを除去しながら、末
端をメタルオキシ化した。ここに0.9倍当量の3−ク
ロロ−2−メチル−1−プロペンを添加し反応させた。
さらに、0.5倍当量のCH3ONa(メタノール溶
液)を添加し、減圧下にメタノールを除去しながら、残
った水酸基末端をメタルオキシ化した後、0.8倍当量
の3−クロロ−2−メチル−1−プロペンを添加し反応
させることにより、末端にメタリル基を有するポリプロ
ピレングリコールを得た(ポリマーF)。 (製造例5)数平均分子量が2000のポリプロピレン
グリコールを開始剤とし、亜鉛ヘキサシアノコバルテー
トグライム錯体触媒の存在下、プロピレンオキシドの重
合を行い、数平均分子量が25000のポリプロピレン
グリコールを得た。続いてこのオリゴマーの末端水酸基
に対して0.8倍当量のCH3ONa(メタノール溶
液)を添加し、減圧下にメタノールを除去しながら、末
端をメタルオキシ化した。ここに0.9倍当量の3−ク
ロロ−2−メチル−1−プロペンを添加し反応させた。
さらに、0.5倍当量のCH3ONa(メタノール溶
液)を添加し、減圧下にメタノールを除去しながら、残
った水酸基末端をメタルオキシ化した後、0.8倍当量
の3−クロロ−2−メチル−1−プロペンを添加し反応
させることにより、末端にメタリル基を有するポリプロ
ピレングリコールを得た(ポリマーG)。 (製造例6)数平均分子量が3000のポリプロピレン
トリオールを開始剤とし、亜鉛ヘキサシアノコバルテー
トグライム錯体触媒の存在下、プロピレンオキシドの重
合を行い、数平均分子量が19000のポリプロピレン
トリオールを得た。続いてこのオリゴマーの末端水酸基
に対して0.8倍当量のCH3ONa(メタノール溶
液)を添加し、減圧下にメタノールを除去しながら、末
端をメタルオキシ化した。ここに0.9倍当量の3−ク
ロロ−2−メチル−1−プロペンを添加し反応させた。
さらに、0.5倍当量のCH3ONa(メタノール溶
液)を添加し、減圧下にメタノールを除去しながら、残
った水酸基末端をメタルオキシ化した後、0.8倍当量
の3−クロロ−2−メチル−1−プロペンを添加し反応
させることにより、末端にメタリル基を有するポリプロ
ピレントリオールを得た(ポリマーH)。 (比較製造例3)製造例6において、3−クロロ−2−
メチル−1−プロペンの代わりに3−クロロ−1−プロ
ペンを用いる以外は全く同様にして、末端にアリル基を
有するポリプロピレントリオールを得た(ポリマー
I)。
【0064】以上のようにして製造したポリマーA〜I
の分子量(Mn)、および分子量分布(Mw/Mn)を
サイズ排除クロマトグラフィーにより分析した。サイズ
排除クロマトグラフィーは、ポリスチレンゲル(東ソー
株式会社製)を充填したカラムに、移動相としてテトラ
ヒドロフランを用いて、カラム温度40℃で測定した。
アルケニル基の導入率は日本電子製JNM−LA400
(400MHz)を用いた1H NMR分析により算出
した。また、粘度をB型粘度計(BMタイプ、ローター
No.4)により測定した。結果を表1に示す。
【0065】
【表1】 (実施例1〜6および比較例1〜3)製造例1〜6およ
び比較製造例1〜3で得られた各種ポリマーに、酸化防
止剤としてチバスペシャリティーケミカルズ社製のイル
ガノックス−1010を1部、それぞれ添加し溶解し
た。さらに、白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3
−テトラメチルジシロキサン錯体(以下、PtVTSと
略記する)のキシレン溶液(白金として3重量%)、ま
たは塩化白金酸のイソプロパノール溶液(白金原子とし
て3重量%)を、白金原子/アルケニル基がモル比で5
×10-4当量となるように添加し、十分攪拌した。ここ
に、表4で示されるポリハイドロジェンシロキサン化合
物を、ヒドロシリル基/アルケニル基がモル比で1.1
となるように添加した。
【0066】
【化4】 得られた硬化性組成物を少量、爪楊枝ですくいとり、1
20℃に加熱したホットプレート上に滴らし、ゆっくり
とかきまぜながらゲルが生成するまでの時間(硬化時
間)を測定した。結果を表1に示す。
【0067】次に、白金触媒としてPtVTSを添加し
た各組成物を、厚さ3mmの型枠に流し込み、減圧下に
脱泡した後、80℃のオーブンで10分、さらに120
℃のオーブンで30分加熱することにより、発泡のな
い、均一な硬化物を得た。これら硬化物からJISK−
6301に準拠した3号ダンベルを打ち抜き、引張り速
度200mm/min、23℃で引張り試験を実施し、
30%伸長時モジュラス(M30)、50%伸長時モジュ
ラス(M50)、100%伸長時モジュラス(M10 0)、
破断強度(TB)、および破断伸び(EB)を測定した。
測定は、1サンプルについてN=3で行い、その平均値
を測定値とした。結果を表1にまとめた。また、上記の
厚さ3mmの硬化物を4枚重ね合わせ、硬度計によりS
horeA硬度を測定した。測定は5回行い、その平均
値を測定値とした。結果を表1に示す。 <硬化時間>表1より硬化触媒にPtVTSを用いた場
合、メタリル末端ポリマーは、アリル末端ポリマーに比
較して、硬化時間が若干長くなるものの、その差は小さ
い(実施例1と比較例1の比較、実施例2、3と比較例
2の比較、実施例6と比較例3の比較)。一方、塩化白
金酸を触媒として用いた場合は、メタリル末端ポリマー
では、硬化が顕著に遅くなる。 <機械強度>表1より実施例1と比較例1の比較、実施
例2,3と比較例2の比較、および実施例6と比較例3
の比較より、主鎖骨格が同一で、末端構造をアリル基か
らメタリル基に置き換えることにより、硬化物のモジュ
ラス及び硬度が向上することが明らかである。実施例
3,4,5の比較より、主鎖骨格の分子量の増大ととも
に破断強度と伸びが向上することが明らかである。ま
た、実施例2と3の比較より、メタリル基の導入を2段
階に分割して行うことにより、硬化物のモジュラスと硬
度が向上することがわかる。
【0068】
【発明の効果】本発明においては、(a)成分として一
般式1または2のアルケニル基を末端に有する重合体を
用い、(c)成分の硬化触媒として、強酸の共役塩基を
配位子として含まない白金錯体を用いることにより、ヒ
ドロシリル化を利用する硬化系の特徴である高温での速
硬化性を損なうことなく、従来よりも機械強度の改善さ
れた硬化物を得ることができる。
フロントページの続き Fターム(参考) 4F070 AA06 AA12 AA32 AA52 AC25 AC52 AC67 AE08 GA01 GC06 4J002 AA03W AC11W BB20W CH05W CP04X CP12W CP16W CP18W EE047 EX006 EX007 FD14X FD146 GH00 GJ01 GJ02 GQ00 4J100 AA02P AA03Q AA06P AB02P AB02Q AG04Q AL03P AM02P AM02Q AS02P AS02Q AS03P AS03Q AS07P CA01 CA04 CA31 HA03 HA35 HA53 HA55 HA62 HC29 HC34 HC39 HC51

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)一般式1または2: H2C=C(R1)− (1) HC(R1)=CH− (2) (式中R1は炭素数10以下の炭化水素基)で示される
    アルケニル基を末端に有する重合体、(b)分子中に2
    個以上のヒドロシリル基を有する化合物、及び(c)強
    酸の共役塩基を配位子として含まない白金錯体触媒を必
    須成分とする硬化性組成物。
  2. 【請求項2】R1がメチル基である、請求項1記載の硬
    化性組成物。
  3. 【請求項3】白金錯体が、白金−ビニルシロキサン錯体
    である、請求項1または2記載の硬化性組成物。
  4. 【請求項4】白金錯体が、白金−1,3−ジビニル−
    1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体または
    白金−1,3,5,7−テトラビニル−1,3,5,7
    −テトラメチルシクロテトラシロキサン錯体である、請
    求項1〜3記載の硬化性組成物。
  5. 【請求項5】(a)成分の重合体の主鎖が、ポリエーテ
    ル系重合体である請求項1〜4記載の硬化性組成物。
  6. 【請求項6】ポリエーテル系重合体の、サイズ排除クロ
    マトグラフィーで測定した分子量分布が、1.6以下、
    分子量が3000〜50000である請求項5記載の硬
    化性組成物。
  7. 【請求項7】(a)成分が、水酸基末端ポリエーテルに
    対し、Williamsonエーテル合成反応を2回以
    上に分割して行うことにより得られる重合体である、請
    求項5または6記載の硬化性組成物。
  8. 【請求項8】(a)成分の重合体の主鎖が、炭化水素系
    重合体である請求項1〜4記載の硬化性組成物。
  9. 【請求項9】(a)成分の重合体の主鎖が(メタ)アク
    リル系重合体である請求項1〜4記載の硬化性組成物。
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