JP2000297325A - 磁束密度が高く鉄損の低い無方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

磁束密度が高く鉄損の低い無方向性電磁鋼板の製造方法

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JP2000297325A
JP2000297325A JP11105824A JP10582499A JP2000297325A JP 2000297325 A JP2000297325 A JP 2000297325A JP 11105824 A JP11105824 A JP 11105824A JP 10582499 A JP10582499 A JP 10582499A JP 2000297325 A JP2000297325 A JP 2000297325A
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rolling
hot
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magnetic flux
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Ryutaro Kawamata
竜太郎 川又
Takeshi Kubota
猛 久保田
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Original Assignee
Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 高磁束密度かつ低鉄損の無方向性電磁鋼板を
提供する。 【解決手段】 重量%で、0.1%≦Si≦4%と、0.1%≦Mn≦
2%との一方若しくは双方を含み、さらに、0.01% ≦Sn≦
0.5%と、0.01% ≦Sb≦0.5%との一方若しくは双方を含有
し、残部がFeおよび不可避不純物からなるスラブを粗圧
延してシートバーとし、次いで、総圧下率が75%以上で
終了温度が 800℃以上1100℃以下であって、少なくとも
1パスでは下記式1を満足し、かつ下記式1を満足する
パスの圧下率の和が20%以上である仕上熱間圧延を施
して熱延板とし、得られた熱延板を750℃以上1050℃以
下の温度でコイルに巻取り、コイル自身の保有熱で5分
以上3時間以内の自己焼鈍を行なった後、1回の冷間圧
延工程に供し、その後仕上げ焼鈍を施した後、圧下率2
〜10%のスキンパス圧延を施すか或いは施さないことを
特徴とする磁束密度が高く鉄損の低い無方向性電磁鋼板
の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気機器の鉄心材
料として用いられる、磁束密度が高く、鉄損が低い優れ
た磁気特性を有する無方向性電磁鋼板の製造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】近年、電気機器、特に無方向性電磁鋼板
がその鉄心材料として使用される回転機および中、小型
変圧器等の分野においては、世界的な電力、エネルギー
節減、さらにはフロンガス規制等の地球環境保全の動き
の中で、高効率化の動きが急速に広まりつつある。この
ため、無方向性電磁鋼板に対しても、その特性向上、す
なわち、高磁束密度かつ低鉄損化への要請がますます強
まってきている。
【0003】ところで、無方向性電磁鋼板においては、
従来、低鉄損化の手段として一般に、電気抵抗増大によ
る渦電流損低減の観点からSiあるいはAl等の含有量
を高める方法がとられてきた。しかし、この方法では反
面、磁束密度の低下は避け得ないという問題点があっ
た。
【0004】また、単にSiあるいはAl等の含有量を
高めるのみではなく、特開昭61−231120号公報
に記載されているように、C,N,S,O等の低減によ
る高純度鋼化や、特開昭57−35626号公報に記載
されているような仕上げ焼鈍サイクルの工夫等の製造プ
ロセス上の処置もなされてきたが、いずれも低鉄損化は
図られても、磁束密度についてはそれほどの効果はなか
った。
【0005】一方で、製品における集合組織を改善し磁
束密度を向上させるために、一次再結晶集合組織中にお
いて製品板面内に結晶軸の磁化容易軸である<100>
方向を有し磁束密度の改善に有効であるND//<11
0>方位、ND//<100>方位を富化させると同時
に、結晶軸の難磁化方向である<111>方向を製品板
面内に有するND//<111>系方位集積度を低下さ
せることを目的に、仕上げ焼鈍前の冷延圧下率を適正範
囲に制御することや、同様の目的で冷延前結晶組織を粗
大化させるために熱延板焼鈍を施すこと、あるいは熱延
条件の工夫等による高磁束密度化が図られてきたが、磁
束密度が高くかつ鉄損が低い無方向性電磁鋼板を製造で
きるには至らず、無方向性電磁鋼板に対する前記の要請
に応えることは出来なかった。
【0006】本発明者らは、このような従来技術の限界
を打破すべく、フルプロセスおよびセミプロセス無方向
性電磁鋼板の製造方法において、制御熱延条件が無方向
性電磁鋼板の磁気特性に及ぼす影響について注意深く調
査を行った。
【0007】従来から、無方向性電磁鋼板の熱間圧延工
程においては、製品の磁気特性向上の観点から、制御熱
延が行われてきた。熱延板の自己焼鈍については特開昭
54−76422号公報にその技術が公開されており、
自己焼鈍時のコイル温度確保のための保熱カバー使用に
ついては特開昭56−33436号公報に規定されてい
る。
【0008】また、自己焼鈍時条件を適切に設定するこ
とにより熱延板の結晶組織を粗大化し製品の磁気特性改
善をはかる方法については特開昭57−57829号公
報、特開昭60−50117号公報、仕上熱延終了温度
をγ相域としてその後自己焼鈍を実施する技術について
は特開昭58−136718号公報に開示されている。
【0009】しかしながらこれらの方法においては前記
の需要家の鉄損が低くかつ、磁束密度が高い無方向性電
磁鋼板の供給に対する要請に応えうるものではなく、更
なる磁気特性の優れた製品の開発が求められていた。
【0010】そこで、本発明者等は特開平7−9762
8号公報において変態を有する成分系の無方向性電磁鋼
板の制御熱延において仕上熱延終了温度を(Ar3 +5
0)℃以上とすると共に、巻取り温度をAr1変態点以上
とし、その後自己焼鈍を(A1 −50)℃以上{(A1
+A3 )/2}℃以下にて行うことにより、従来よりも
磁束密度が高く、鉄損が低い無方向性電磁鋼板を製造し
うる方法を開示している。また、特開平9−12514
8号公報においては、自己焼鈍時の熱延鋼板の板厚とコ
イル巻取り半径とを規定することにより、従来よりも高
磁束密度を有する無方向性電磁鋼板製造法を開示してい
る。
【0011】しかしながらこれらの技術における仕上熱
延後の自己焼鈍による磁気特性改善においては、仕上熱
延における熱延仕上げ温度、巻取温度等について規定さ
れていることはあっても、自己焼鈍前の金属組織の粒成
長の駆動力を制御する観点から、精密に仕上げ熱延を制
御する技術は見られなかった。また、この結果として、
自己焼鈍後の熱延板のコイル内の結晶組織の成長がばら
つきやすく、熱延板において混粒組織の発現を招き、冷
延、焼鈍後の磁気特性がコイル内で大きくばらつく課題
があった。
【0012】一方、特開昭60−194019号公報に
は自己焼鈍後の冷却を制御することにより、自己焼鈍法
により得られる熱延組織の不均一性を改善する方法が開
示されている。しかし熱延組織が混粒になる現象は自己
焼鈍中の熱延組織の駆動力がコイル内において不均一で
ある結果、結晶粒成長速度が不均一であることが原因で
あり、自己焼鈍終了後の冷却速度はこの現象とは無関係
であるので、この課題を改善する事は不可能であった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、自己焼鈍法
を前提とする無方向性電磁鋼板製造法において、従来技
術での結晶組織制御性の問題点を解決するとともに、昨
今の需要家のより高磁束密度かつ低鉄損の無方向性電磁
鋼板の提供に対する要請に応えることを目的とするもの
である。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨とするとこ
ろは、以下の通りである。 (1) 重量%で、0.1%≦Si≦4%と、0.1%
≦Mn≦2%との一方若しくは双方を含み、さらに、
0.01%≦Sn≦0.5%と、0.01%≦Sb≦
0.5%との一方若しくは双方を含有し、残部がFeお
よび不可避不純物からなるスラブを粗圧延してシートバ
ーとし、次いで、総圧下率が75%以上で終了温度が8
00℃以上1100℃以下であって、少なくとも1パス
では下記式1を満足し、かつ下記式1を満足するパスの
圧下率の和が20%以上である仕上熱間圧延を施して熱
延板とし、得られた熱延板を750℃以上1050℃以
下の温度でコイルに巻取り、コイル自身の保有熱で5分
以上3時間以内の自己焼鈍を行なった後、1回の冷間圧
延工程に供し、その後仕上げ焼鈍を施した後、圧下率2
〜10%のスキンパス圧延を施すか或いは施さない磁束
密度が高く鉄損の低い無方向性電磁鋼板の製造方法。
【数2】 (2) スラブが、鋼成分として、さらに重量%で、 0.1%≦sol-Al≦1.5% 含有することを特徴とする前記(1)記載の磁束密度が
高く鉄損の低い無方向性電磁鋼板の製造方法。
【0015】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に説明す
る。発明者らは、自己焼鈍もしくは熱延板焼鈍法を前提
とする無方向性電磁鋼板製造法の制御熱延について鋭意
検討を重ねた結果、無方向性電磁鋼板製造法において、
仕上げ熱間圧延時の最終パス付近の圧延を適切な条件下
で行い、また微量の粒界偏析元素を含有させることで、
製品における磁気特性が安定するとともに、磁束密度が
極めて高く、鉄損が良好な(鉄損値が低い)無方向性電
磁鋼板を製造することに成功した。
【0016】まず、成分について説明する。Si、Mn
は鋼板の固有抵抗を増大させ渦流損を低減させ、鉄損値
を改善するため、本発明ではSiとMnとの一方若しく
は双方を添加する。Si含有量が0.1%未満であると
固有抵抗が十分に得られないので0.1%以上添加する
必要がある。一方、Si含有量が4%を超えると熱間圧
延が困難となるので4%以下とする必要がある。同様
に、Mn含有量は0.1%以上とする必要がある。一
方、Mn含有量が2%を超えると熱延時の変形抵抗が増
加し熱延が困難となるとともに、熱延後の結晶組織が微
細化しやすくなり、製品の磁気特性が悪化するので、M
n含有量は2%以下とする必要がある。
【0017】Alも、Mn、Siと同様に、鋼板の固有
抵抗を増大させ渦電流損を低減させる効果を有する元素
であり、必要に応じて0.1%以上添加する。一方、A
l含有量が1.5%を超えると、磁束密度が低下し、コ
スト高ともなるので1.5%以下とする。また、鋼中の
Al含有量が0.1%未満であっても本発明の効果はな
んら損なわれるものではない。
【0018】Sn、Sbは本発明のごとき高磁束密度を
得る上で肝要な元素である。含有する元素はSn、Sb
のいずれか一種でも構わないが、その含有量が0.01
%未満であると高磁束密度化の効果が得られないので
0.01%以上とする。また、これらの元素の重量濃度
の和が0.5%を超えるとその効果が飽和し、鉄損特性
をかえって悪化させるのでそれぞれ0.5%未満とす
る。
【0019】また、製品の機械的特性の向上、磁気的特
性、耐錆性の向上あるいはその他の目的のために、P、
B、Ni、Cr、Cuの1種または2種以上を鋼中に含
有させても本発明の効果は損なわれない。
【0020】C、N、S、B、Pは本発明の請求項では
規定していないが、良好な磁気特性あるいは加工性を有
する無方向性電磁鋼板の製造にあたってはその含有量を
注意深く制御する必要があるので、以下に言及する。
【0021】Cは磁気時効を回避し鉄損の圧下を防止す
るため0.0050%以下であれば本発明の目的を達成
することが出来る。
【0022】S、Nは熱間圧延工程におけるスラブ加熱
中に一部再固溶し、熱間圧延中にMnS、AlN等の析
出物を形成し、仕上げ焼鈍時に再結晶粒の成長を妨げた
り製品が磁化されるときに磁壁の移動を妨げるいわゆる
ピニング効果を発揮し製品の低鉄損化を妨げる原因とな
る。従って、S≦0.0050%、N≦0.0050%
とすることが好ましい
【0023】Bは熱間圧延時にBNを形成させてAlN
の微細析出を妨げ、Nを無害化させるために添加され
る。B含有量はNとの量のバランスが必要であり、その
含有量は両者の比:B%/N%が0.5から1.5の範
囲を満たすことが好ましい。
【0024】Pは、製品の打ち抜き性を良好ならしめる
ために0.1%までの範囲内において添加される。P≦
0.2%であれば、製品の磁気特性の観点から問題がな
い。
【0025】次に本発明のプロセス条件について説明す
る。前記成分からなる鋼スラブは、転炉で溶製され連続
鋳造あるいは造塊−分塊圧延により製造される。鋼スラ
ブは公知の方法にて加熱される。このスラブに粗圧延、
仕上熱間圧延からなる熱間圧延を施し所定の厚みとす
る。以下に本発明の仕上熱間圧延条件を規定する理由に
ついて述べる。
【0026】仕上熱間圧延の終了温度は、800℃未満
であると熱間変形抵抗が急激に増大し圧延が困難となる
ので800℃以上とする。また、1100℃超である
と、熱延板の剛性が不足し、コイルの巻取りが著しく不
安定となるので1100℃以下とする。
【0027】コイルの巻取り温度は750℃未満である
と自己焼鈍時の結晶粒成長が不十分となり、製品の磁束
密度が本発明が意図する高磁束密度が得られなくなるの
で750℃以上と定める。また、1050℃超であると
自己焼鈍時の酸化を抑制することが困難となり、酸洗歩
留まりが低下し、生産性が低下するので1050℃以下
と定める。
【0028】自己焼鈍時間については5分未満であると
焼鈍による結晶粒成長が不十分であり、本発明が意図す
る高磁束密度が得られないので5分以上とする。自己焼
鈍時間が3時間超であると自己焼鈍時の酸化を抑制する
ことが困難となり、酸洗歩留まりが低下し、生産性が低
下するので3時間以内と定める。
【0029】仕上熱延におけるシートバー厚から熱延板
仕上板厚に至る仕上圧延総圧下率は次に述べる式1によ
る規定と併せ、自己焼鈍中の結晶粒成長の駆動力を制御
するために本発明の最も肝要な点である。すなわち、シ
ートバー厚から熱延板仕上板厚に至る仕上圧延総圧下率
が75%未満であると自己焼鈍時の結晶粒成長の駆動力
が不足し、本発明が意図する高磁束密度低鉄損無方向性
電磁鋼板が得られなくなるので75%以上とする必要が
ある。
【0030】本発明では仕上げ熱延において少なくとも
1パスは式1を満足することが必要である。式1で定め
るZパラメーターの値が12.1−x、(xはSn、S
bの含有量の重量濃度の総和)未満であると、自己焼鈍
時の結晶粒成長の駆動力が不足し、本発明が意図する高
磁束密度低鉄損無方向性電磁鋼板が得られなくなるので
式1で定めるZパラメーターの値は12.1−x以上で
ある必要がある。また、Zの値には上限を特に設けない
が、16.0以下であることが好ましい。Zの値は圧延
温度が低くなるか、歪み速度が大きくなると増加する
が、圧延温度が低すぎると熱延時の圧延反力が大きくな
りすぎるのでその下限値は熱延機の性能により自ずから
決まり、歪速度の上限も圧延速度の限界から熱延機の能
力により自ずから決まる。
【0031】
【数3】
【0032】さらに、その際、式1を満足するパスの圧
下率の和が20%未満であると、自己焼鈍時の結晶粒成
長の駆動力が不足し、本発明が意図する高磁束密度低鉄
損無方向性電磁鋼板が得られなくなるので、式1を満足
するパスの圧下率の和が20%以上であることが必要で
ある。この時、式1を満足するパスの圧下率の和とは、
式1を満足するパスの圧下率を足して計算した和を示し
て言う。
【0033】ここで、Zパラメーターの値を求めるには
歪み速度εを求める必要がある。その方法としては諸方
法があるが、本発明では下記の式2に従って歪み速度を
求めるものとする。
【0034】
【数4】
【0035】このようにして得られた熱延板はその後、
一回の冷間圧延と連続焼鈍によりセミプロセスの製品と
するか、あるいはさらにスキンパス圧延工程を付加して
フルプロセスの製品としてもよい。スキンパス圧延率は
2%未満ではその鉄損改善効果が得られず、10%超で
はかえって鉄損が悪化するため2%以上10%以下とす
る。
【0036】本発明における熱延条件と磁気特性との関
係を調査するため、以下の2種類の実験を行った。まず
第1に、表1に示す成分及び残部Fe及び不可避不純物
からなる鋼を転炉により溶製し連続鋳造設備により厚さ
220mmのスラブとした。このスラブを通常の方法にて
1250℃に加熱し、粗圧延により55mmのシートバー
とした。さらに仕上熱延により3.0mmに仕上げた。こ
れにより仕上熱延におけるシートバーから熱延板に至る
圧下率は94.5%であり、75%以上という本発明の
構成要件を満たしている。
【0037】実験の際、熱延条件の指標であるZパラメ
ーターの値を、最終パスにおいて種々の値を採るように
圧延速度、パススケジュール、圧延温度を調整した。仕
上げ熱延終了後、800℃で巻き取った。巻き取ったコ
イルは直ちに保熱カバー内に装入し800℃、1時間の
自己焼鈍を行った。得られた熱延板を酸洗後冷間圧延に
より0.5mmに仕上げ、連続焼鈍炉で850℃、20秒
の焼鈍を施し磁気特性を測定した。この時の熱延条件の
指標であるZの値と、製品磁気特性の関係を図1、図2
に示す。図1、図2に示した結果より、Sn含有量が
0.1%であるので、Zの値が12.0以上の場合にお
いて優れた磁気特性が得られていることが分かる。この
ように本発明の熱延条件を満たす様に仕上げ熱延を実施
することにより、低鉄損かつ高磁束密度の無方向性電磁
鋼板を得ることが可能である。
【0038】
【表1】
【0039】次に、第2の実験として、表2に示す成分
及び残部Fe及び不可避不純物からなる鋼を転炉により
溶製し連続鋳造設備により厚さ180mmのスラブとし
た。このスラブを通常の方法にて1100℃に加熱し、
粗圧延により14mm〜50mmのシートバーとした。さら
に仕上熱延により4.0mmに仕上げた。これにより仕上
熱延におけるシートバーから熱延板に至る圧下率は7
1.4%〜92.0%とした。
【0040】実験の際、熱延条件の指標であるZパラメ
ータの値を、最終パスにおいて12.30となるように
圧延速度、圧延温度を調整した。また、最終パスの圧下
率は21%に固定して実験を行った。仕上げ熱延終了
後、870℃で熱延板をコイルに巻き取った。巻き取っ
たコイルは直ちに保熱カバー内に装入し850℃、1時
間の自己焼鈍を行った。得られた熱延板を酸洗後冷間圧
延により0.5mmに仕上げ、連続焼鈍炉で850℃、2
5秒の焼鈍を施し磁気特性を測定した。この時の仕上げ
熱延におけるシートバーから熱延板に至る仕上圧延総圧
下率と、製品磁気特性の関係を図3、図4に示す。図
3、図4に示した結果より、仕上げ熱延におけるシート
バーから熱延板に至る総圧下率の値が75%以上の場合
において優れた磁気特性が得られていることが分かる。
このように本発明の熱延条件を満たす様に仕上げ熱延を
実施することにより、低鉄損かつ高磁束密度の無方向性
電磁鋼板を得ることが可能である。
【0041】
【表2】
【0042】
【実施例】次に、本発明の実施例について述べる。 [実施例1]表3に示す成分及び残部Fe及び不可避不
純物からなる鋼を転炉により溶製し連続鋳造設備により
厚さ220mmのスラブとした。このスラブを通常の方法
にて1250℃に加熱し、粗圧延により55mmのシート
バーとした。さらに7スタンドのタンデム仕上熱延機に
より成分1の鋼は2.7mm、成分2の鋼は3.0mm厚み
に仕上げた。これによりシートバーから熱延板に至る仕
上圧延総圧下率はそれぞれ95.1%、94.5%であ
り、仕上圧延の総圧下率が75%以上という本発明の構
成要件を満たしている。
【0043】仕上圧延の際、熱延条件の指標であるZパ
ラメーターの値を、最終パスにおいて種々の値を取るよ
うに圧延速度、圧延温度、パススケジュールを調整し
た。このため、熱延終了温度は1000℃〜1090℃
とし、本発明の構成要件である800℃以上1100℃
以下を満たすようにした。また、最終パスの圧下率は2
0〜25%に変化させて実験を行った。仕上げ熱延終了
後、865℃で熱延板をコイルに巻き取った。巻き取っ
たコイルは直ちに保熱カバー内に装入し845℃、1時
間の自己焼鈍を行った。得られた熱延板を酸洗後、冷間
圧延により0.50mmに仕上げ、連続焼鈍炉で成分1は
800℃、30秒、成分2は950℃、30秒の焼鈍を
施し磁気特性を測定した。
【0044】この時の熱延条件の指標である最終パスに
おけるZパラメータの値と、磁気測定結果の関係を表
4、表5に示す。表4、表5に示した結果より、成分
1、2ともSn含有量が0.05%であるので、Zパラ
メータの値が12.05以上の場合において優れた磁気
特性が得られていることが分かる。このように本発明で
定めた熱延条件を満たす様に仕上げ熱延を実施すること
により、低鉄損かつ高磁束密度の無方向性電磁鋼板を得
ることが可能である。
【0045】
【表3】
【0046】
【表4】
【0047】
【表5】
【0048】[実施例2]実施例1で得られた成分1の
熱延鋼板を酸洗後、冷間圧延により0.55mmに仕上
げ、連続焼鈍炉で780℃、20秒の焼鈍を施した。さ
らにこれをスキンパス圧延により0.50mmに圧下し、
750℃2時間の磁性焼鈍を施した後、磁気特性を測定
した。
【0049】この時の熱延条件の指標である最終パスに
おけるZパラメータの値と、磁気測定結果の関係を表6
に示す。表6に示した結果より、成分1の鋼にはSnが
0.05%含まれているので、Zパラメータの値が1
2.05以上の場合において優れた磁気特性が得られて
いることが分かる。このように本発明で定めた熱延条件
を満たす様に仕上げ熱延を実施することにより、セミプ
ロセス無方向性電磁鋼板においても低鉄損かつ高磁束密
度の無方向性電磁鋼板を得ることが可能である。
【0050】
【表6】
【0051】[実施例3]表7に示す成分及び残部Fe
及び不可避不純物からなる鋼を転炉により溶製し連続鋳
造設備により厚さ180mmのスラブとした。このスラブ
を通常の方法にて1100℃に加熱し、粗圧延により1
4mm〜50mmのシートバーとした。さらに6スタンドの
タンデム仕上熱延機により4.0mm厚みに仕上げた。こ
れによりシートバーから熱延板に至る仕上圧延総圧下率
を71.4%〜92.0%とした。
【0052】仕上圧延の際、熱延条件の指標であるZパ
ラメーターの値を、最終パスにおいて13.36の値を
とるように圧延速度、圧延温度を調整し、特に熱延終了
温度は990℃程度とし、本発明の構成要件である80
0℃以上1100℃以下を満たすようにした。また、最
終パスの圧下率は20%に固定して実験を行った。仕上
げ熱延終了後、840℃で熱延板をコイルに巻き取っ
た。巻き取ったコイルは直ちに保熱カバー内に装入し8
40℃、1時間の自己焼鈍を行った。得られた熱延板を
酸洗後、冷間圧延により0.50mmに仕上げ、連続焼鈍
炉で850℃、30秒の焼鈍を施し磁気特性を測定し
た。
【0053】この時の仕上熱延総圧下率と、磁気測定結
果の関係を表8に示す。表8に示した結果より、シート
バーから熱延鋼板に至る仕上熱延時の総圧下率が75%
以上の場合において優れた磁気特性が得られていること
が分かる。このように本発明で定めた熱延条件を満たす
様に仕上げ熱延を実施することにより、低鉄損かつ高磁
束密度の無方向性電磁鋼板を得ることが可能である。
【0054】
【表7】
【0055】
【表8】
【0056】[実施例4]表9に示す成分及び残部Fe
及び不可避不純物からなる鋼を転炉により溶製し連続鋳
造設備により厚さ220mmのスラブとした。このスラブ
を通常の方法にて1250℃に加熱し、粗圧延により5
5mmのシートバーとした。さらに6スタンドのタンデム
仕上熱延機により2.7mm厚みに仕上げた。これにより
シートバーから熱延板に至る仕上熱延総圧下率は95.
1%であり、仕上圧延の総圧下率が75%以上という本
発明の構成要件を満たしている。
【0057】仕上圧延の際、熱延条件の指標であるZパ
ラメーターの値を、最終パス付近において種々の値を取
るように圧延速度、圧延温度、パススケジュールを調整
した。熱延終了温度は1050℃とし、本発明の構成要
件である800℃以上1100℃以下を満たすようにし
た。また、最終パスの圧下率は20%に設定して実験を
行った。仕上げ熱延終了後、820℃で熱延板をコイル
に巻き取った。巻き取ったコイルは直ちに保熱カバー内
に装入し820℃、1時間の自己焼鈍を行った。得られ
た熱延板を酸洗後、冷間圧延により0.50mmに仕上
げ、連続焼鈍炉で成分1は850℃、15秒の焼鈍を施
し磁気特性を測定した。
【0058】この時の熱延条件の指標である最終パス付
近の各パスにおけるZパラメータの値と、磁気測定結果
の関係を表10、に示す。表10、に示した結果より、
成分4に0.1%のSnが含まれるので、Zパラメータ
の値が12.0以上の場合において優れた磁気特性が得
られていることが分かる。このように本発明で定めた熱
延条件を満たす様に仕上げ熱延を実施することにより、
低鉄損かつ高磁束密度の無方向性電磁鋼板を得ることが
可能である。
【0059】
【表9】
【0060】
【表10】
【0061】
【発明の効果】このように本発明によれば、自己焼鈍法
による無方向性電磁鋼板の製造法において、磁束密度が
高く鉄損の低い、磁気特性の優れた無方向性電磁鋼板を
提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】磁束密度とZパラメータとの関係を示す図であ
る。
【図2】鉄損とZパラメータとの関係を示す図である。
【図3】磁束密度と仕上圧延総圧下率との関係を示す図
である。
【図4】鉄損と仕上圧延総圧下率との関係を示す図であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4K033 AA01 CA02 CA03 CA09 FA03 FA05 FA10 FA11 FA12 HA01 JA07 5E041 AA02 AA11 AA19 CA02 HB05 HB07 HB11 NN01 NN17 NN18

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、 0.1%≦Si≦4%と、 0.1%≦Mn≦2%との一方若しくは双方を含み、さ
    らに、 0.01%≦Sn≦0.5%と、 0.01%≦Sb≦0.5%との一方若しくは双方を含
    有し、残部がFeおよび不可避不純物からなるスラブを
    粗圧延してシートバーとし、次いで、総圧下率が75%
    以上で終了温度が800℃以上1100℃以下であっ
    て、少なくとも1パスでは下記式1を満足し、かつ下記
    式1を満足するパスの圧下率の和が20%以上である仕
    上熱間圧延を施して熱延板とし、得られた熱延板を75
    0℃以上1050℃以下の温度でコイルに巻取り、コイ
    ル自身の保有熱で5分以上3時間以内の自己焼鈍を行な
    った後、1回の冷間圧延工程に供し、その後仕上げ焼鈍
    を施した後、圧下率2〜10%のスキンパス圧延を施す
    か或いは施さない磁束密度が高く鉄損の低い無方向性電
    磁鋼板の製造方法。 【数1】
  2. 【請求項2】 スラブが、鋼成分として、さらに重量%
    で、 0.1%≦sol-Al≦1.5% 含有することを特徴とする請求項1記載の磁束密度が高
    く鉄損の低い無方向性電磁鋼板の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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