JP3348811B2 - 磁束密度が高く、鉄損の低い無方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

磁束密度が高く、鉄損の低い無方向性電磁鋼板の製造方法

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JP3348811B2
JP3348811B2 JP28228995A JP28228995A JP3348811B2 JP 3348811 B2 JP3348811 B2 JP 3348811B2 JP 28228995 A JP28228995 A JP 28228995A JP 28228995 A JP28228995 A JP 28228995A JP 3348811 B2 JP3348811 B2 JP 3348811B2
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  • Manufacturing Of Steel Electrode Plates (AREA)
  • Soft Magnetic Materials (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気機器の鉄心材
料として用いられる、磁束密度が高く、鉄損が低い優れ
た磁気特性を有する無方向性電磁鋼板の製造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】近年、電気機器、特に無方向性電磁鋼板
がその鉄心材料として使用される回転機および中、小型
変圧器等の分野においては、世界的な電力、エネルギー
節減、さらにはフロンガス規制等の地球環境保全の動き
の中で、高効率化の動きが急速に広まりつつある。この
ため、無方向性電磁鋼板に対しても、その特性向上、す
なわち、高磁束密度かつ低鉄損化への要請がますます強
まってきている。
【0003】ところで、無方向性電磁鋼板においては、
従来、低鉄損化の手段として一般に、電気抵抗増大によ
る渦電流損低減の観点からSiあるいはAl等の含有量
を高める方法がとられてきた。しかし、この方法では反
面、磁束密度の低下は避け得ないという問題点があっ
た。このような問題点の克服のために、熱延板結晶粒径
を粗大化することで磁束密度と鉄損の両方を改善させる
方法が行われてきた。
【0004】従来、変態を有する無方向性電磁鋼板製造
においては、α域の上限付近において熱延を終了するこ
とにより冷延前結晶粒径を確保し、結果として成品の磁
束密度、鉄損を向上させることが行われてきた。このよ
うな観点から、特開昭56−38420号公報には熱延
終了温度をAr3 点とAr1 点の中間温度以下として6
80℃以上の温度で巻き取ることにより熱延結晶組織の
粗大化を図る方法が開示されている。
【0005】しかしながら実際の仕上熱延機においては
噛み込み時の圧延速度と定常圧延状態の圧延速度が必然
的に異なることから、コイル長手方向の温度分布を解消
することが困難であり、α域の上限にて熱延を実施する
ために、圧延設定温度を低くせざるを得ないという不利
益があった。
【0006】また、一般的な無方向性電磁鋼板の低級品
ではそのA1 変態点が900℃付近であることから、熱
延終了温度を上昇させて熱延結晶組織の成長を図ること
に限度があり、冷延前結晶組織の増大による磁気特性の
向上には限界があった。さらに熱延終了温度がγ域に上
昇することは、熱延終了後にα相への変態が進行するこ
とから熱延組織が細粒化し、結果として磁気特性が悪化
するため、避けるべき事とされてきた。
【0007】このような制御熱延による冷延前結晶組織
粗大化の限界を打破する技術として、特開昭57−35
628号公報には熱延終了温度をAr3 点以上として熱
延結晶組織の細粒化を図った上で、Ac3 点以下の温度
で熱延板焼鈍を施し、冷延前結晶組織の粗大化を図る方
法が開示されている。しかしながらγ域で熱延板焼鈍を
行うことは、冷却時にγ相からα相への変態に伴い結晶
組織が細粒化するため、実施温度に上限があり、前述の
制御熱延の熱延終了温度制御と同様におのずから限界が
あった。
【0008】同様に、熱延板焼鈍工程追加によるコスト
アップ上昇を抑え、冷延前結晶組織の粗大化を図る手法
として、高温で熱延板を巻取り、これをコイルの保有熱
で焼鈍する自己焼鈍法が特開昭54−76422号公
報、特開昭58−136718号公報に開示されてい
る。しかしながらこれらの先行発明における実施例にお
いても同様の理由により自己焼鈍はすべてα相域で行っ
ており、冷延前結晶組織の粗大化には限度があった。
【0009】このような従来の熱延板焼鈍、自己焼鈍に
よる無方向性電磁鋼板の磁気特性向上の限界を克服する
手法として、特開平3−204420号公報には、仕上
熱延の巻取温度をAr3 点以上としてAr3 点からAr
1 点までの平均冷却速度を50℃/秒以下に制御する技
術が開示されている。しかしながらAr3 点以上の高温
での巻取りにより、コイル内温度分布不均一に起因する
コイル長手方向の磁性が不均一になるという問題があっ
た。
【0010】また、特開平6−57332号公報には、
熱延板焼鈍をγ域で実施し、その後Ar3 点からAr1
点までの冷却速度を5℃/秒以下に制御する方法が、ま
た特開平6−240360号公報には、熱延板焼鈍をA
1 点以上の温度域で実施した後、Ar3 点からAr1
点までの冷却速度を50℃/秒以下に制御する技術が開
示されている。しかしながらこの技術においては冷却速
度を低くする必要があることから、その焼鈍時間が必然
的に長くなり、生産性の低下を招く問題点があった。ま
た、これら先行技術においてはAr3 点からAr1 点ま
での冷却速度の変化による磁気特性の変動が大きく、ス
トリップ長手方向の磁気特性が安定して優れた無方向性
電磁鋼板の製造は著しく困難であった。
【0011】一方で、成分制御による磁気特性向上の観
点からは、鉄損低減の為に、単にSiあるいはAl等の
含有量を高めるのみではなく、特公平6−80169号
公報に記載されているように、MnおよびSの低減によ
る高純度鋼化により析出物の無害化を図る方法が開示さ
れている。しかしながら鋼の高純化のみでは磁束密度の
改善は不十分であり、鉄損と磁束密度の両者の優れた無
方向性電磁鋼板の開発には限界があった。
【0012】またさらに、一次再結晶集合組織を改善す
ることで無方向性電磁鋼板の磁気特性を改善する方法と
して、特開昭55−158252号公報のごとくSn添
加、特開昭62−180014号公報のごときSn,C
u添加、もしくは特開昭59−100217号公報のご
ときSb添加による集合組織の改善による磁気特性の優
れた無方向性電磁鋼板の製造方法が開示されている。し
かしながら、集合組織制御元素であるSn,Cuもしく
はSb等の添加によりコストの上昇を招き、低コストな
無方向性電磁鋼板の製造法の提供には限界があった。
【0013】他にも、特開昭57−35626号公報に
記載されているような仕上げ焼鈍サイクルの工夫等の製
造プロセス上の処置もなされてきたが、いずれも低鉄損
化は図られても、磁束密度についてはそれほどの効果は
なかった。このように、従来技術では、磁束密度が高く
かつ鉄損が低い無方向性電磁鋼板を製造できるには至ら
ず、無方向性電磁鋼板に対する前記の要請に応えること
は出来なかった。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術に
おけるこのような問題点を解決し、高磁束密度かつ低鉄
損の無方向性電磁鋼板を提供することを目的とするもの
である。
【0015】
【問題を解決するための手段】本発明の要旨とするとこ
ろは、以下の通りである。すなわち、(1) 鋼中に重量%
で、 0.10%≦Si≦2.50%、 C≦0.0025%、 N≦0.0020%、 S≦0.0020%、 Ti≦0.0030%、 Nb≦0.0030%、 V≦0.0050%、 As≦0.0030% を満足し、残部がFeおよび不可避的不純物からなるα
γ変態を有する成分のスラブを用い、熱間圧延して熱延
板とし、熱延板焼鈍および1回の冷間圧延工程を施し次
いで仕上げ焼鈍を施す無方向性電磁鋼板の製造方法にお
いて、熱延板焼鈍をAc3 点以上の温度域で10秒〜5
分の間実施することを特徴とする無方向性電磁鋼板の製
造方法であり、また、(2) 鋼中に重量%で、 0.10%≦Si≦2.50%、 Mn,Alの少なくとも1種であって0.10%≦Al
≦1.00%、0.10%≦Mn≦2.00%とし、か
つ、SiとAlの合計量がSi+2Al≦2.50%で
あり、 C≦0.0025%、 N≦0.0020%、 S≦0.0020%、 Ti≦0.0030%、 Nb≦0.0030%、 V≦0.0050%、 As≦0.0030% を満足し、残部がFeおよび不可避的不純物からなるα
γ変態を有する成分のスラブを用い、熱間圧延して熱延
板とし、熱延板焼鈍をおよび1回の冷間圧延工程を施し
次いで仕上げ焼鈍を施す無方向性電磁鋼板の製造方法に
おいて、熱延板焼鈍をAc3 点以上の温度域で10秒〜
5分の間実施することを特徴とする無方向性電磁鋼板の
製造方法。
【0016】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に説明す
る。発明者らは、低鉄損と高磁束密度を同時に達成すべ
く従来技術における問題点を鋭意検討を重ねた結果、変
態を有する無方向性電磁鋼板にあって、Siを0.10
%〜2.5%、Alを0.10%〜1.0%、Mnを
0.10%〜2.0%含有しαγ変態を有する鋼にあっ
て、C,SおよびN含有量を低減し、さらに、Ti,
V,Nb,As含有量をも同時に低減することにより高
純度鋼化し、熱延板焼鈍温度をAc3 点以上の温度域と
することにより、短時間の熱延板焼鈍で従来以上に熱延
結晶組織を粗大化し、磁束密度が高く鉄損の低い無方向
性電磁鋼板を製造することが可能であることを見出し
た。
【0017】無方向性電磁鋼板の磁気特性は冷延前結晶
組織を粗大化することで改善することが可能である。こ
のため従来、仕上熱延において熱延終了温度を上昇させ
るか、さらに効果的な方法として熱延板焼鈍で結晶組織
の粗大化を図り、製品の磁束密度を高め、鉄損を低減さ
せることが行われてきた。しかしながら熱延板焼鈍温度
を上昇させてα+γ2相域もしくはγ域に達すると、焼
鈍終了後にγ相からα相への変態が進行することから熱
延組織が細粒化し、結果として磁気特性が悪化するた
め、避けるべきとされてきた。
【0018】また、Si含有量の少ない無方向性電磁鋼
板の低級品ではそのA1 変態点が900℃付近あること
から、熱延板焼鈍温度の上昇には限度があり、冷延前結
晶組織の増大による磁気特性の向上には限界があった。
【0019】このような従来の熱延板焼鈍における無方
向性電磁鋼板の磁気特性向上の限界を克服する手法とし
て、特開平6−57332号公報および特開平6−24
0360号公報には、熱延板焼鈍をAc1 点以上の温度
域で実施した後、Ar3 点からAr1 点までの冷却速度
を一定以下に制御する方法が開示されている。しかしな
がらこの技術においては冷却速度を低下のために、生産
性の低下を招くのみならず、Ar3 点からAr1 点まで
の冷却速度が変化すると製品の磁気特性が大きく変動
し、ストリップ長手方向の磁気特性が安定した無方向性
電磁鋼板の製造が著しく困難であった。
【0020】発明者等は従来のこのような変態を有する
無方向性電磁鋼板の磁気特性向上に対する従来技術の限
界を打破すべく鋭意検討を進めた結果、変態を有する無
方向性電磁鋼板にあって、Siを0.10%〜2.5
%、Alを0.10%〜1.0%、Mnを0.10%〜
2.0%含有しαγ変態を有する鋼にあって、C,Sお
よびN含有量を低減し、さらに、Ti,V,Nb,As
含有量をも同時に低減することにより高純度鋼化すれ
ば、熱延板焼鈍温度をγ域まで高めても変態後のα相の
結晶組織が細粒化せず、仕上げ焼鈍後の製品における磁
束密度が極めて高く、鉄損が良好(鉄損値が低い)であ
るばかりでなく、さらに熱延板焼鈍後の冷却速度に対し
て磁気特性の依存性が小さく安定的に高磁束密度低鉄損
の無方向性電磁鋼板を製造しうることを知見した。
【0021】まず、成分について説明する。Siは鋼板
の固有抵抗を増大させ渦流損を低減させ、鉄損値を改善
するために添加される。Si含有量が0.10%未満で
あると固有抵抗が十分に得られないので0.10%以上
添加する必要がある。一方、Si含有量が2.50%を
超えるとαγ変態を生じなくなるので2.50%以下と
する必要がある。
【0022】Alも、Siと同様に、鋼板の固有抵抗を
増大させ渦電流損を低減させる効果を有する。このため
には、0.10%以上添加する必要がある。一方、Al
含有量が1.00%を超えると、磁束密度が低下し、コ
スト高ともなるので1.00%以下とする。さらに、
(Si+2Al)が2.50%を超えると、αγ変態を
生じなくなるので、(Si+2Al)≦2.50%でな
くてはならない。また、鋼中のAl含有量が0.10%
未満であっても本発明の効果はなんら損なわれるもので
はない。
【0023】Mnは、Al,Siと同様に鋼板の固有抵
抗を増大させ渦電流損を低減させる効果を有する。この
ため、Mn含有量は0.10%以上とする必要がある。
一方、Mn含有量が2.0%を超えると熱延時の変形抵
抗が増加し熱延が困難となるとともに、熱延後の結晶組
織が微細化しやすくなり、製品の磁気特性が悪化するの
で、Mn含有量は2.0%以下とする必要がある。ま
た、Mn添加によりαγ変態点が低下するため、本発明
における熱延板焼鈍温度の下限であるAc3 点を引き下
げることが可能となり、焼鈍時の加熱に要するエネルギ
ーを節約しコスト低減となるとともに、鋼板表面の酸化
物形成を抑制することが可能になり酸洗歩留りが向上す
るなどの点でMn添加は有効である。このような変態点
制御の観点からはMn含有量は0.30%〜1.50%
であることが好ましい。
【0024】C含有量の制御は本発明の成分規定の肝要
な点であり、0.0025%以下に制御することが必要
である。C含有量が0.0025%を超えると、熱延板
焼鈍後のα+γ域もしくはγ相からα相への変態により
結晶組織が細粒化するため、0.0025%以下とする
必要がある。
【0025】S,Nは熱間圧延工程におけるスラブ加熱
中に一部再固溶し、熱間圧延中にMnS等の硫化物、A
lN等の窒化物を形成する。これらが存在することによ
り熱延板焼鈍後のγ相からα相への変態時にα相の核を
提供するとともに変態後のα相結晶組織の粒成長を妨げ
るためその含有量はともに0.0020%以下とする必
要がある。
【0026】また、Ti含有量、V含有量、Nb含有量
がそれぞれ0.0030%、0.0030%、0.00
50%を超えるとTiN,VN,NbN等の窒化物の析
出が顕著となり、熱延結晶組織の粗大化が阻害されると
ともに仕上焼鈍工程での結晶粒成長が阻害され磁気特性
が悪化する。
【0027】さらに、結晶粒成長を阻害する析出物の形
成に影響を及ぼす要因として、As含有量を抑制する必
要がある。Asは、それ自体では、本発明の成分範囲内
の鋼では、上記の硫化物や窒化物等の析出物を形成する
ことは無い。しかし、鋼中に、一定量以上のAsが含有
されると、硫化物サイズが微細になるため、熱延結晶組
織の粗大化を著しく阻害する。このような観点から、A
s含有量は0.0030%以下にする必要がある。
【0028】また、製品の機械的特性の向上、磁気的特
性、耐錆性の向上あるいはその他の目的のために、P,
B,Ni,Cr,Sb,Sn,Cuの1種または2種以
上を鋼中に含有させても本発明の効果は損なわれない。
例えばPは、製品の打ち抜き性を良好ならしめるために
0.1%までの範囲内において添加される。P≦0.2
%であれば、製品の磁気特性の観点から問題がない。B
は熱間圧延時にBNを形成させてAlNの微細析出を妨
げ、Nを無害化させるために添加される。B含有量はN
との量のバランスが必要であり、その含有量は両者の比
B%/N%が0.5から1.5の範囲を満たすことが好
ましい。
【0029】次に本発明のプロセス条件について説明す
る。発明者らは鋭意検討を重ねた結果、C,N,Sをは
じめとしてTi,V,Nb,As等の不純物含有量を制
御し、鋼の不純物成分を制御することにより熱延板焼鈍
をγ相において実施した場合に、熱延結晶組織が従来の
α相域での熱延板焼鈍以上に粗大化されるとともに、成
品磁気特性に対する焼鈍後の冷却速度の変化の影響が小
さく、安定して優れた磁気特性が達成され得ることを発
見し本発明の完成に至った。
【0030】このような鋼の純度の熱延板焼鈍条件およ
び冷却速度に対する熱延結晶組織形成の相違を調べるた
め、以下のような実験を行った。表1に示す成分の鋼を
溶製し仕上げ熱延を実施し、2.5mm厚に仕上げた。熱
延板焼鈍温度は800℃から1050℃の範囲とした。
これを酸洗、冷延して0.5mm厚とした。さらに脱脂
し、720℃×30秒焼鈍し、エプスタイン試料を切り
出して磁気特性を測定した。熱延板焼鈍後の冷却方法は
700℃までの平均冷却速度を気水冷却により60℃/
秒とした。熱延板焼鈍温度に対する熱延板結晶粒径の変
化、製品鉄損、製品磁束密度をそれぞれ図1、図2、図
3に示した。成分1の高純度鋼では熱延板焼鈍温度がA
3 点以上になっても熱延結晶組織が粗大化するが、成
分2の比較材では熱延板焼鈍温度がαγ変態点以上にな
ると熱延結晶組織が細粒化する。
【0031】
【表1】
【0032】同時に、熱延板焼鈍温度1000℃の場合
において焼鈍後の700℃までの平均冷却速度を5℃秒
から気水冷却量を制御して100℃/ 秒まで変化させ、
熱延板結晶粒径、成品鉄損、磁束密度に対する冷却速度
の影響を調べた。その結果を図4、図5、図6にそれぞ
れ示す。成分1の高純度鋼では熱延板焼鈍後の冷却速度
に対する熱延結晶組織、磁気特性の影響が小さいが、成
分2の比較材では熱延板焼鈍後の冷却速度を高めると熱
延結晶組織が細粒化し、磁気特性も悪化している。
【0033】このようにC,N,SをはじめとしてT
i,V,Nb,As等の不純物を低減した高純度鋼をA
3 点以上の熱延板焼鈍温度で仕上げることにより、製
品における鉄損を低減し、磁束密度の高め、優れた磁気
特性の無方向性電磁鋼板を製造することが可能である。
【0034】前記成分からなる鋼スラブは、転炉で溶製
され連続鋳造あるいは造塊−分塊圧延により製造され
る。鋼スラブは公知の方法にて加熱される。このスラブ
に熱間圧延を施し所定の厚みとする。
【0035】熱延板焼鈍温度はAc3 点以上とする。熱
延板焼鈍温度がAc3 点を下まわると、熱延結晶組織の
成長が不十分となり、優れた磁気特性を有する無方向性
電磁鋼板を得ることができない。このため熱延板焼鈍温
度はAc3 点以上であることが好ましい。熱延板焼鈍温
度には上限を設けないが、焼鈍炉の能力、また酸洗性か
らその上限が自ずから決まる。熱延板焼鈍時間は10秒
以上5分以下であり、好ましくは30秒以上3分以下で
ある。10秒以下では焼鈍の効果は不十分であり、5分
以上ではその効果が飽和するとともに生産性の低下を招
いたり、酸洗不良の原因ともなるので、5分以下とす
る。
【0036】熱延板焼鈍時間の製品磁気特性への影響を
調査するために、表1に示した成分および変態点を有す
る無方向性電磁鋼用スラブを通常の方法にて加熱し、熱
延により2.5mmに仕上げた。この熱延板に連続焼鈍炉
を用いて1000℃で均熱時間を変化させて熱延板焼鈍
を施し、700℃までの平均冷却速度を60℃/秒に制
御した。その後、酸洗を施し、冷間圧延により0.50
mmに仕上げた。その後連続焼鈍炉にて730℃で30秒
間焼鈍した。これらの試料からエプスタイン試験片を切
り出し、磁気特性を測定した。図7、図8にそれぞれ熱
延板焼鈍時間と鉄損、磁束密度の関係を示した。
【0037】図7、図8より明らかなように、本発明の
熱延板焼鈍時間の範囲において優れた磁気特性が達成さ
れる。また、熱延板焼鈍時間が5分を超えるものでは、
酸洗不良が発生した。エプスタイン試験片の測定結果で
はさほどの磁気特性の劣化は見られないが、酸洗不良は
鋼板の肌荒れにつながり、無方向性電磁鋼板を回転機等
で実際に使用する際に積層した鉄心の占積率の低下を招
き、性能が悪化するので好ましくない。
【0038】このようにして得られた熱延板は1回の冷
間圧延と連続焼鈍により製品とする。またさらにスキン
パス圧延工程を付加して製品としてもよい。スキンパス
圧延率は2%未満ではその効果が得られず、20%以上
では磁気特性が悪化するため2%から20%とする。
【0039】
【実施例】次に、本発明の実施例について述べる。 〔実施例1〕表2に示した成分および変態点を有する無
方向性電磁鋼用スラブを通常の方法にて加熱し、熱延に
より2.5mmに仕上げた。続いてこの熱延板焼鈍を連続
焼鈍炉にて施した。熱延板焼鈍温度は1000℃とし、
いずれの成分系においてもAc3 点以上とした。焼鈍
後、700℃までの平均冷却速度は60℃/秒とした。
その後、酸洗を施し、冷間圧延により0.50mmに仕上
げた。これを連続焼鈍炉にて730℃で30秒間焼鈍し
た。その後、エプスタイン試料に切断し、磁気特性を測
定した。表2に本発明と比較例の成分と磁気測定結果を
あわせて示す。このように鋼の純度を制御すれば、熱延
板焼鈍温度をAc3 点以上にすることにより磁束密度の
値が高く、鉄損値の低い材料を得ることが可能である。
【0040】
【表2】
【0041】〔実施例2〕表3に示した成分および変態
点を有する無方向性電磁鋼用スラブを通常の方法にて加
熱し、熱延により2.5mmに仕上げた。この熱延板に連
続焼鈍炉を用いて30秒の熱延板焼鈍を施した。焼鈍温
度はAc1 点以下の850℃とAc3 点以上の1000
℃とし、700℃までの平均冷却速度を60℃/ 秒に制
御した。その後、酸洗を施し、冷間圧延により0.50
mmおよび0.55mmに仕上げた。板厚0.50mmのもの
は連続焼鈍炉にて730℃で30秒間焼鈍した。さら
に、750℃で2時間の需要家相当の焼鈍を施した。ま
た、板厚0.55mmのものは、連続焼鈍炉にて700℃
で20秒焼鈍を施し、圧下率9%のスキンパス圧延によ
り0.50mm厚に仕上げ、750℃2時間の需要家相当
の焼鈍を施した。これらの試料からエプスタイン試験片
を切り出し、磁気特性を測定した。表4、表5に実施例
中で述べた本発明と比較例の熱延板焼鈍温度と磁気測定
結果をあわせて示す。
【0042】
【表3】
【0043】
【表4】
【0044】
【表5】
【0045】このように熱延板焼鈍温度をAc3 点以上
にとることにより、1回法、スキンパス圧延法とも磁束
密度の値が高く、鉄損値の低い材料が得られることがわ
かる。
【0046】〔実施例3〕表6に示した成分および変態
点を有する無方向性電磁鋼用スラブを通常の方法にて加
熱し、熱延により2.5mmに仕上げた。この熱延板に連
続焼鈍炉を用いて1000℃で均熱時間を変化させて熱
延板焼鈍を施し、700℃までの平均冷却速度を60℃
/ 秒に制御した。その後、酸洗を施し、冷間圧延により
0.50mmに仕上げた。その後連続焼鈍炉にて730℃
で30秒間焼鈍した。さらに、750℃で2時間の需要
家相当の焼鈍を施した。これらの試料からエプスタイン
試験片を切り出し、磁気特性を測定した。表7に実施例
中で述べた本発明と比較例の熱延板焼鈍温度と磁気測定
結果をあわせて示す。
【0047】
【表6】
【0048】
【表7】
【0049】表7に示されたとおり、熱延板焼鈍時間が
10秒以下では熱延板の結晶組織の成長が不十分であり
製品磁気特性の改善が不十分である。また、熱延板焼鈍
時間が5分を超えるものでは、酸洗不良が発生した。エ
プスタイン試験の結果ではさほどの磁気特性の劣化は見
られないが、酸洗不良は鋼板の肌荒れにつながり、無方
向性電磁鋼板を回転機等で実際に使用する際に積層した
鉄心の占積率の低下を招き、性能が悪化するので好まし
くない。以上のように熱延板焼鈍時間を10秒以上5分
以下にとることにより、磁束密度の値が高く、鉄損値の
低い材料が得られることがわかる。
【0050】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、磁束密度
が高く鉄損の低い、磁気特性の優れた無方向性電磁鋼板
を製造することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】熱延板焼鈍温度と熱延板結晶粒径との関係を示
す図。
【図2】熱延板焼鈍温度と製品鉄損との関係を示す図。
【図3】熱延板焼鈍温度と製品磁束密度との関係を示す
図。
【図4】熱延板焼鈍後の冷却速度と熱延板結晶粒径との
関係を示す図。
【図5】熱延板焼鈍後の冷却速度と製品鉄損との関係を
示す図。
【図6】熱延板焼鈍後の冷却速度と製品磁束密度との関
係を示す図。
【図7】熱延板焼鈍時間と製品鉄損との関係を示す図。
【図8】熱延板焼鈍時間と製品磁束密度との関係を示す
図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−182831(JP,A) 特開 平7−173538(JP,A) 特開 平4−325629(JP,A) 特開 平6−108149(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C21D 8/12 C22C 38/00 303 C22C 38/14 H01F 1/16

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼中に重量%で、 0.10%≦Si≦2.50%、 C≦0.0025%、 N≦0.0020%、 S≦0.0020%、 Ti≦0.0030%、 Nb≦0.0030%、 V≦0.0050%、 As≦0.0030%を満足し、残部がFeおよび不可
    避的不純物からなるαγ変態を有する成分のスラブを用
    い、熱間圧延して熱延板とし、熱延板焼鈍および1回の
    冷間圧延工程を施し、次いで仕上げ焼鈍を施す無方向性
    電磁鋼板の製造方法において、熱延板焼鈍をAc3 点以
    上の温度域で10秒〜5分の間実施することを特徴とす
    る無方向性電磁鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】 鋼中に重量%で、 0.10%≦Si≦2.50%、 Mn,Alの少なくとも1種であって0.10%≦Al
    ≦1.00%、 0.10%≦Mn≦2.00%とし、 かつ、SiとAlの合計量がSi+2Al≦2.50%
    であり、 C≦0.0025%、 N≦0.0020%、 S≦0.0020%、 Ti≦0.0030%、 Nb≦0.0030%、 V≦0.0050%、 As≦0.0030%を満足し、残部がFeおよび不可
    避的不純物からなるαγ変態を有する成分のスラブを用
    い、熱間圧延して熱延板とし、熱延板焼鈍および1回の
    冷間圧延工程を施し、次いで仕上げ焼鈍を施す無方向性
    電磁鋼板の製造方法において、熱延板焼鈍をAc3 点以
    上の温度域で10秒〜5分の間実施することを特徴とす
    る無方向性電磁鋼板の製造方法。
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