JP2000290329A - グラフトポリマー、その製法およびそれを用いた撥水撥油剤組成物 - Google Patents

グラフトポリマー、その製法およびそれを用いた撥水撥油剤組成物

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JP2000290329A
JP2000290329A JP11103812A JP10381299A JP2000290329A JP 2000290329 A JP2000290329 A JP 2000290329A JP 11103812 A JP11103812 A JP 11103812A JP 10381299 A JP10381299 A JP 10381299A JP 2000290329 A JP2000290329 A JP 2000290329A
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graft polymer
polymer
meth
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JP11103812A
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Masayuki Yamana
雅之 山名
Kazunori Hayashi
和則 林
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Daikin Industries Ltd
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Daikin Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 撥水撥油性能が高く、製品安定性が高く、希
釈安定性が高い、ハロゲン系溶剤を含まない溶液または
エマルション型撥水撥油剤組成物を提供する。 【解決手段】 ハロメチル(−CH2X(X:ハロゲ
ン))基を有するモノマーから誘導された構成単位を有
する幹ポリマーのハロメチル基部分に、ポリフルオロア
ルキル基含有ビニルモノマーから誘導された構成単位を
有する枝ポリマーがグラフトされたグラフトポリマー;
および該グラフトポリマーからなる撥水撥油剤組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、グラフトポリマ
ー、その製法およびそれを用いた撥水撥油剤組成物に関
する。本発明の撥水撥油剤組成物は、一般に、有機溶媒
溶液または水性エマルションの形態である。
【0002】
【従来の技術】フロンの規制および環境問題の観点か
ら、撥水撥油剤製品の溶媒は、ハロゲン系溶剤、例え
ば、R113から石油系溶剤にシフトしつつある。しか
し、溶媒を変更しただけでは低温で製品が凝固又は析出
する問題がある。特に芳香族系化合物の含有率が少ない
溶剤など低溶解性石油溶剤を使用して、撥水撥油剤製品
を希釈した場合に、析出又は濃度分布が発生する問題が
ある。撥水撥油剤組成物に高い製品安定性および希釈安
定性を与えるために、撥水撥油剤有効成分におけるフッ
素濃度を低くすると、撥水撥油性能が低下する。特開昭
54−132694号公報は、OH基の反応性を利用し
たグラフト重合により得られたグラフトポリマーからな
る撥水撥油剤を開示し、特開平06−228534号公
報は、ブロックモノマーからなる撥水撥油剤を開示して
いるが、これら撥水撥油剤の性能は不十分なものであ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、撥水
撥油性能が高く、製品安定性が高く、希釈安定性が高
い、ハロゲン系溶剤を含まない溶液またはエマルション
型撥水撥油剤組成物を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、ハロメチル
(−CH2X(X:ハロゲン))基を有するモノマーか
ら誘導された構成単位を有する幹ポリマーのハロメチル
基部分に、ポリフルオロアルキル基含有ビニルモノマー
から誘導された構成単位を有する枝ポリマーがグラフト
されたグラフトポリマーを提供する。また、本発明は、
上記グラフトポリマーを有効成分として含有してなる撥
水撥油剤組成物を提供する。
【0005】さらに、本発明は、ハロメチル基を有する
モノマーから誘導された構成単位を有する幹ポリマー
に、ポリフルオロアルキル基含有ビニルモノマーを添加
し、ハロゲン化金属触媒の存在下で、ポリフルオロアル
キル基含有ビニルモノマーを重合させることからなる上
記グラフトポリマーの製造方法を提供する。
【0006】本発明のグラフトポリマーは、幹ポリマー
のハロメチル(−CH2X(X:ハロゲン))基部分
に、枝ポリマーがグラフトされたグラフトポリマーであ
る。グラフトポリマーは、幹ポリマーおよび枝ポリマー
を有する。枝ポリマーと幹ポリマーの重量比は、5:9
5〜95:5、例えば10:90〜90:10であって
よい。
【0007】幹ポリマーは、ハロメチル基を有するモノ
マーから誘導された繰り返し単位および別のモノマーか
ら誘導された繰り返し単位を有する。幹ポリマーにおい
て、ハロメチルモノマーと別のモノマーとの重量比は、
0.1:99.9〜70:30、例えば0.1:99.
9〜60:40であってよい。
【0008】ハロメチル基を有するモノマーは、ハロメ
チル基およびスチレン基を有するモノマーであってよ
い。ハロメチル基を有するハロメチルモノマーは、式:
【化2】 [式中、Rは、−CH3またはHであり、R’は、直接
結合またはC1-3のアルキレン基、Xはハロゲン原子で
ある。]で示される化合物であってよい。
【0009】ハロメチルモノマーの例は、クロロメチル
スチレン、ブロモメチルスチレン、1−クロロエチルス
チレンなどである。ハロメチル基のハロゲンが塩素であ
ることが好ましい。
【0010】別のモノマーは、非フッ素系モノマーまた
はフッ素系モノマーのいずれであってもよい。非フッ素
系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリレートエ
ステルが挙げられる。(メタ)アクリレートエステル
は、(メタ)アクリル酸と、脂肪族アルコール、例え
ば、一価アルコールまたは多価アルコール(例えば、2
価アルコール)とのエステルであってもよい。非フッ素
系モノマーとしては、例えば以下のものを例示できる。
【0011】2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、
シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)
アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ヒドロ
キシアルキル(メタ)アクリレート、ポリオキシアルキレ
ン(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプ
ロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレ
ート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレー
ト、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレー
ト、ベンジル(メタ)アクリレートグリシジルメタクリ
レート、ヒドロキシプロピルモノメタクリレート、2−
ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2
−ヒドロキシエチルアクリレート、グリセロールモノメ
タクリレート、β−アクリロイルオキシエチルハイドロ
ジェンサクシネート、β−メタクリロイルオキシエチル
ハイドロジェンフタレート、2−アクリロイロキシエチ
ルヘキサヒドロフタル酸、2−アクリロイロキシエチル
フタル酸、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキ
シエチルフタル酸、メタクリル酸ヒドロキシプロピルト
リメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアミノエチ
ルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレー
ト、2−アクリロイロキシエチルアシッドホスフェー
ト、グルコシルエチルメタクリレート、メタクリルアミ
ド、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメ
タクリレート、2−メタクリロイロキシエチルアシッド
ホスフェート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリ
コールジアクリレート等の(メタ)アクリレート類;スチ
レン、p−イソプロピルスチレン等のスチレン類;(メ
タ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミ
ド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキ
シメチルアクリルアミド、2−アクリルアミド−2−メ
チルプロパンスルホン酸等の(メタ)アクリルアミド
類;ビニルアルキルエーテル等のビニルエーテル類。
【0012】さらに、エチレン、ブタジエン、酢酸ビニ
ル、クロロプレン、塩化ビニルなどのハロゲン化ビニ
ル、ハロゲン化ビニリデン、アクリロニトリル、ビニル
アルキルケトン、無水マレイン酸、N−ビニルカルバゾ
ール、ビニルピロリドン、(メタ)アクリル酸等が挙げら
れる。上記の非フッ素系モノマーは2種以上を混合して
用いることもできる。フッ素系モノマーは、含フッ素メ
タアクリレートまたはアクリレートであってよい。
【0013】例えば、幹ポリマーは、ハロメチル基を有
するモノマー、およびフッ素を含むかまたは含まない
(メタ)アクリレートエステルからなっていてよい。幹
ポリマーの合成方法は、アニオン重合、カチオン重合、
ラジカル重合のいずれであってもよいが、好ましくはコ
ストの面からラジカル重合である。
【0014】枝ポリマーは、ポリフルオロアルキル基含
有ビニルモノマー、ならびに要すれば他のフッ素系モノ
マーおよび非フッ素系モノマーからなる。枝ポリマーを
形成するポリフルオロアルキル基含有ビニルモノマー
は、ポリフルオロアルキル基を有する(メタ)アクリレ
ートであってよい。
【0015】ポリフルオロアルキル基含有(メタ)アク
リレートは、次の一般式で表されるものであってよい。 Rf−A−OCOR11=CH2 [式中、Rfは炭素数3〜21のポリフルオロアルキル
基、R11は水素またはメチル基、Aは2価の有機基であ
る。] ポリフルオロアルキル基含有(メタ)アクリレートとし
ては、例えば以下のものを例示できる。
【0016】
【化3】
【0017】
【化4】
【0018】[式中、Rfは炭素数3〜21のポリフルオ
ロアルキル基、R1は水素または炭素数1〜10のアル
キル基、R2は炭素数1〜10のアルキレン基、R3は水
素またはメチル基、Arは置換基を有することもあるア
リーレン基、nは1〜10の整数である。]
【0019】ポリフルオロアルキル基含有(メタ)アク
リレートの具体例は次のとおりである。 CF3(CF2)7(CH2)OCOCH=CH2、 CF3(CF2)6(CH2)OCOC(CH3)=CH2、 (CF3)2CF(CF2)6(CH2)2OCOCH=CH2、 CF3(CF2)7(CH2)2OCOC(CH3)=CH2、 CF3(CF2)7(CH2)2OCOCH=CH2、 CF3(CF2)7SO2N(CH3)(CH2)2OCOCH=C
2、 CF3(CF2)7SO2N(C25)(CH2)2OCOC(C
3)=CH2、 (CF3)2CF(CF2)6CH2CH(OCOCH3)CH2OCOC(CH3)=CH2、 (CF3)2CF(CF2)8CH2CH(OH)CH2OCOCH
=CH2、 CF3610(CF2)2SO2N(CH3)(CH2)2OCOC
H=CH2
【0020】
【化5】
【0021】上記のポリフルオロアルキル基含有(メ
タ)アクリレートは2種以上を混合して用いることもも
ちろん可能である。枝ポリマーにおいては、他のフッ素
系モノマーを使用してもよい。他のフッ素系モノマーと
しては、CF3(CF27CH=CH2などが挙げられ
る。
【0022】枝ポリマーにおいては、非フッ素系モノマ
ーを使用してもよい。枝ポリマーにおいて使用される非
フッ素系モノマーの例としては、幹ポリマーにおいて使
用される非フッ素系モノマーと同様のものが挙げられ
る。枝ポリマーにおける非フッ素モノマーは、(メタ)
アクリレートエステル、例えば、脂肪族一価アルコール
と(メタ)アクリル酸とのエステルであってよい。
【0023】枝ポリマーにおける非フッ素系モノマーの
量は、枝ポリマーに対して、70重量%以下、例えば、
60重量%以下、特に5〜50重量%であってよい。
【0024】本発明のグラフトポリマーの製造は次のよ
うにして行える。 (1) ハロメチルモノマー(例えば、クロロメチルス
チレン)と他のモノマーと溶媒と重合開始剤を用いて、
幹ポリマーを製造する。溶媒は、ハロゲンを含まない有
機溶媒である。幹ポリマー製造で用いる溶媒の例は、以
下の枝ポリマー製造で説明する溶媒の例と同様である。
幹ポリマーの典型的な重合条件の例は、重合温度110
℃、時間4hrである。重合開始剤としては、パーオキ
サイド等の通常の重合開始剤を使用できる。 (2)幹ポリマーに、フッ素系モノマーとハロゲン化金
属触媒を添加して、枝ポリマーが幹ポリマーに結合した
グラフトポリマーを得る。要すれば、他のモノマーをも
添加してもよい。
【0025】以下、枝ポリマーの重合方法および幹ポリ
マーへの枝ポリマーの結合方法について説明する。
【0026】本発明においては、幹ポリマーのハロメチ
ル基(−CH2X(X:ハロゲン原子))の反応性を使
用して、枝ポリマーを幹ポリマーに結合させる。ハロメ
チル基におけるハロゲン原子を枝ポリマーに置換する反
応が生じていると考えられる。このような反応手法は、
ATRP法(atomic transfer radical polymerizatio
n)またはATRA法(atom transfer radical additio
n)と呼ばれ、例えば、J.S.Wang, K.Matyjaszewsky, Ma
cromolecules, 28, 7572(1955)に記載されている。従
来において、ATRP法またはATRA法を用いて、フ
ッ素ポリマーである枝ポリマーを幹ポリマーにグラフト
させて、グラフトポリマーを製造することは、知られて
いなかった。本発明においては、ハロゲン原子を枝ポリ
マーに置換する置換反応と、枝ポリマーの重合反応が同
時に生じていると考えられる。
【0027】本発明の製法において、触媒として使用す
るハロゲン化金属のハロゲンは塩素であることが好まし
い。ハロゲン化金属の金属の例は、銅(Cu)および第
VIII族遷移金属[例えば、鉄(Fe)、ルテニウム
(Ru)]である。ハロゲン化金属の例は、CuCl、
CuCl2、FeCl2、NiCl2およびRuCl2であ
る。ハロゲン化金属(例えば、CuCl)の添加量は、ハ
ロメチルモノマー(例えば、クロロメチルスチレン)1
モルに対して、0.1〜5モル、好ましくは0.5〜
1.5、更に好ましくは0.8〜1.2モルであってよ
い。
【0028】ハロゲン化金属の可溶化剤または分散剤
(すなわち、促進剤)を用いることが好ましい。促進剤
はハロゲン化金属に配位して配位子となり、重合溶媒中
でのハロゲン化金属の溶解度を増大させる化合物である
ことが好ましい。促進剤の例は、有機窒素化合物または
有機リン化合物である。有機窒素化合物(例えば、アミ
ン)の例は、ビピリジル(2,2'−ジピリジン)、2,
2'−ジピリジンの誘導体、例えば4,4'−ビス(5−
ノニル)−2,2'−ジピリジン、トリフェニルアミン、
キノリン、テトラメチレンジアミン、アルキル基の炭素
数が2〜10のトリアルキルアミン、1,10−フェナ
ンスロリン、(CH32N(C24N(CH3))nCH
3[式中、n=1、2または3である。]で表される化
合物である。有機リン化合物の例は、P(C653
P(OC653、P(C253、P(OC253
ある。促進剤の量は、ハロゲン化金属1モルに対して、
10モル以下、例えば0.5〜8モル、好ましくは1〜
4モルで、更に好ましくは1.8〜3モルであってよ
い。
【0029】枝ポリマーを形成するATRP反応温度
は、50〜250℃、好ましくは60〜200℃、更に
好ましくは80〜150℃であってよい。反応温度は、
24時間以下、例えば1〜12時間であってよい。反応
は、溶媒の存在下で行うことが好ましい。溶媒として
は、種々の非フッ素系溶媒を使用できるが、炭化水素系
溶媒または極性溶媒およびその混合溶媒を使用すること
が好ましい。
【0030】炭化水素系溶媒は、炭素と水素のみからな
る溶媒であってよい。炭化水素系溶媒は、脂肪族炭化水
素であってよい。炭化水素溶媒の例は、n−ヘプタン、
n−ヘキサン、n−オクタン、シクロヘキサン、メチル
シクロヘキサン、シクロペンタン、メチルシクロペンタ
ン、メチルペンタン、2−エチルペンタン、イソパラフ
ィン系炭化水素、流動パラフィン、デカン、ウンデカ
ン、ドデカン、ミネラルスピリット、ミネラルターペン
などである。
【0031】極性溶媒は、分子中に極性基を有する溶媒
である。極性基は、水酸基、カルボキシル基、エステル
基、アシル基、エーテル酸素基などである。極性溶媒と
しては、アルコール系溶媒、グリコール系溶媒、エステ
ル系溶媒、ケトン系溶媒が挙げられる。
【0032】アルコール系溶媒の例は、ブチルアルコー
ル、イソプロピルアルコールなどである。グリコール系
溶媒の例は、プロピレングリコールモノメチルエーテ
ル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロ
ピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレング
リコールモノエチルエーテル、およびこれらのアセテー
トなどである。エステル系溶媒の例は、酢酸メチル、酢
酸エチル、酢酸ブチルなどの一塩基酸エステル、コハク
酸ジエチル、アジピン酸ジエチル、フタル酸ジブチル、
フタル酸ジオクチルなどの二塩基酸エステルなどであ
る。ケトン系溶媒の例は、メチルイソブチルケトン、メ
チルエチルケトン、アセトンなどである。
【0033】炭化水素系溶媒と極性溶媒の混合物を使用
しても良い。炭化水素系溶媒と極性溶媒の重量比は、1
00:0〜0:100、例えば5:95〜95:5であ
ってよい。ATRP反応を行った後に、触媒(即ち、ハ
ロゲン化金属)および促進剤を除去することが好まし
い。触媒除去のために、触媒除去吸着剤を用いることが
好ましい。触媒除去吸着剤は特に限定しないが、酸化マ
グネシウム、水酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水
酸化カルシウム、アルミナ、シリカゲル、活性炭等が好
適である。触媒の除去は、グラフトポリマー溶液または
グラフトポリマーエマルションに触媒除去吸着剤(一般
的に、粒子または粉末の形態である)を添加し、触媒を
触媒除去吸着剤に吸着させた後、触媒除去吸着剤粒子ま
たは粉末を濾去することによって行える。
【0034】出来上がりのグラフトポリマーの有機溶媒
溶液または水性エマルションは、撥水撥油剤組成物であ
る。本発明の撥水撥油剤組成物には、必要に応じて他の
撥水撥油剤や柔軟剤、帯電防止剤、架橋剤、防しわ剤な
どの添加剤を配合してよい。
【0035】本発明の撥水撥油剤組成物で処理される被
処理物としては、種々の物が挙げられる。被処理物の例
は、繊維製品、ガラス、紙、木、皮革、毛皮、石綿、レ
ンガ、セメント、金属および酸化物、窯業製品、プラス
チック、塗面およびプラスターなどである。繊維製品の
例は、綿、麻、羊毛、絹などの動植物性天然繊維、ポリ
アミド、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリア
クリルニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレンなど
の合成繊維、レーヨン、アセテートなどの半合成繊維、
或いはこれらの混合繊維である。本発明の撥水撥油剤組
成物を非処理物に適用するには、浸漬塗布などのような
既知の方法により、被処理物の表面に付着させ、乾燥す
る方法が採られる。
【0036】
【実施例】以下に実施例をもって本発明をさらに具体的
に説明するが、本発明がこれらの実施例に限定されるも
のではないことはいうまでもない。
【0037】特性は、次のようにして測定した。撥水撥油性 重合体溶液を、固形分濃度が0.8重量%になるようミ
ネラルスピリットで希釈し、ハンドスプレーでしっとり
ぬれる程度に布に塗布する。布としては、ポリエステル
布とポリエステル/綿混紡布を使用する。室温で10時
間乾燥後、以下の方法で、撥水性および撥油性を評価す
る。
【0038】撥水性はJIS−L−1092(199
8)のスプレー法による撥水性No.(下記表1参照)を
もって表す。撥油性はAATCC−TM118によって
下記表2に示す試験溶液を試験布上、2箇所に数滴たら
し、30秒後の浸透状態を観察し、浸漬を示さない試験
溶液が与える撥油性の最高点を撥油性とする。
【0039】
【表1】 表1 撥水性No. 状 態 5 表面に付着湿潤のないもの 4 表面にわずかに付着湿潤を示すもの 3 表面に部分的湿潤を示すもの 2 表面に湿潤を示すもの 1 表面全体に湿潤を示すもの
【0040】
【表2】 表2 撥油性 試験溶液 表面張力(dyne/cm、25℃) 8 n−ヘプタン 20.0 7 n−オクタン 21.8 6 n−デカン 23.5 5 n−ドデカン 25.0 4 n−テトラデカン 26.7 3 n−ヘキサデカン 27.3 2 n−ヘキサデカン35/ 29.6 ヌジョール65混合溶液 1 ヌジョール 31.2 0 1に及ばないもの −
【0041】製品安定性 重合体溶液(固形分15重量%)を、−5℃で1ヶ月保
存し、固化又は析出を生ずるかを評価する。 ○: 均一な液状を保つ ×: 固化又は析出
【0042】希釈安定性 重合体溶液を溶剤(n−デカン)で、固形分濃度0.8
重量%になるように希釈し、−5℃で1ヶ月保存し、固
化又は析出を生ずるかを評価する。 ○: 均一な液状で透明 △: 濁りがあるが、均一で使用可能なレベル ×: 析出又は固化
【0043】実施例1 500mlガラス製重合アンプルに以下のものを投入し、
窒素雰囲気下で振とうしながら、80℃で8時間反応さ
せ、幹ポリマーを得た。 2−エチルヘキシルメタクリレート(2EHMA) 90g ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA) 9g クロロメチルスチレン(CMA) 5g コハク酸ジエチル 100g ターシャリーブチルパーオキシピバレート 4g (日本油脂製、パーブチルPV) この時、モノマーの消費率はガスクロ分析で100%で
あった。
【0044】次に、幹ポリマー溶液に以下のものを添加
した。 CF3(CF2)nCH2CH2OCOCH=CH2(nの平均=8)(FA) 50g 2−エチルヘキシルメタクリレート(2EHMA) 5g 塩化第一銅 3g ビピリジル 10g ミネラルターペン 100g
【0045】さらに、窒素雰囲気下で、振とうしながら
110℃で、8時間反応させ、枝ポリマーが幹ポリマー
に結合したグラフトポリマーを得た。この時、モノマー
消費率はガスクロ分析で100%であった。次に、ミネ
ラルターペンで固形分15%となるよう調製し、溶液に
対して、10重量%の割合で活性炭を投入した。室温で
2時間振とうした後、濾紙で活性炭を濾去した。得られ
た濾液は、プラズマ発光分析(ICP)で、銅が残存し
ていないこと、及びガスクロ分析によりビピリジルが残
存していないことが確認された。得られた重合体溶液に
ついて、撥水撥油性、製品安定性および希釈安定性を測
定した。結果を表Bに示す。
【0046】実施例2および3 表Aに示すモノマーを用いる以外は、実施例1の手順を
繰り返した。幹ポリマーおよび枝ポリマーのそれぞれの
製造において、モノマー消費率は100%であた。得ら
れた重合体溶液について、撥水撥油性、製品安定性およ
び希釈安定性を測定した。結果を表Bに示す。比較例1〜3 実施例1の1段目重合と同様の手順で、表Aに示すモノ
マーを重合し、重合体の溶液を得た。比較例1〜3の重
合体は、グラフトポリマーではない。これにミネラルス
ピリットを加えて固形分15重量%に調整した。得られ
た重合体溶液について、撥水撥油性、製品安定性および
希釈安定性を測定した。結果を表Bに示す。
【0047】
【表3】表A モノマーの量(g)
【0048】
【表4】表A(続き) モノマーの量(g) 注) 2EHMA:2−エチルヘキシルメタクリレート HEMA: ヒドロキシエチルメタクリレート LMA: ラウリルメタクリレート CMS: クロロメチルスチレン FA: CF3(CF2)3CH2CH2OCOCH=CH2(平均n=8)
【0049】
【表5】表B
【0050】
【発明の効果】本発明においては、幹ポリマーに枝モノ
マーが付加する形で枝部分が成長するので、「ホモポリ
マーが混入する」および「枝の長さが不揃い」などの問
題がない。このため、効率良くポリマーの機能が発現す
る。フッ素系成分と炭化水素系成分の機能を同時に発現
可能である。例えば、処理物品(特に、繊維製品)の柔
軟性と撥水撥油剤のはじき効果が両立でき、撥水撥油剤
の溶解性とはじき効果が両立できる。さらに、少量の撥
水撥油剤でも高い撥水撥油性を付与できる。グラフトポ
リマーにおけるポリフルオロアルキル基含有ビニルモノ
マーの含有量が少なくても、良好な性能を発揮できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4H020 BA12 4J026 AA12 AA17 AA21 AA23 AA25 AA37 AA43 AA45 AA46 AA47 AA49 AA50 AA55 AA57 AA60 AA68 AA71 AB20 AC09 AC25 BA27 BB01 DA02 DB02 GA01 GA02 GA06

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ハロメチル(−CH2X(X:ハロゲン
    原子))基を有するモノマーから誘導された構成単位を
    有する幹ポリマーのハロメチル基部分に、ポリフルオロ
    アルキル基含有ビニルモノマーから誘導された構成単位
    を有する枝ポリマーがグラフトされたグラフトポリマ
    ー。
  2. 【請求項2】 ハロメチル基を有するモノマーが、ハロ
    メチル基およびスチレン基を有する請求項1に記載のグ
    ラフトポリマー。
  3. 【請求項3】 ハロメチル基のハロゲン原子が塩素であ
    る請求項1または2に記載のグラフトポリマー。
  4. 【請求項4】 ハロメチル基を有するモノマーが、一般
    式: 【化1】 [式中、Rは、−CH3またはHであり、R’は、直接
    結合またはC1-3のアルキレン基、Xはハロゲン原子で
    ある。]で示される化合物であり、特に、クロロメチル
    スチレンである請求項1〜3のいずれかに記載のグラフ
    トポリマー。
  5. 【請求項5】 幹ポリマーが、ハロメチル基を有するモ
    ノマーおよび(メタ)アクリレートエステルから構成さ
    れている請求項1〜4のいずれかに記載のグラフトポリ
    マー。
  6. 【請求項6】 幹ポリマーにおける(メタ)アクリレー
    トエステルが、フッ素を含まない化合物である請求項1
    〜5のいずれかに記載のグラフトポリマー。
  7. 【請求項7】 幹ポリマーにおける(メタ)アクリレー
    トエステルが、(メタ)アクリル酸と、脂肪族アルコー
    ルとのエステルを含む請求項1〜6のいずれかに記載の
    グラフトポリマー。
  8. 【請求項8】 枝ポリマーを形成するポリフルオロアル
    キル基含有ビニルモノマーが、ポリフルオロアルキル基
    を有する(メタ)アクリレートエステルである請求項1
    〜7のいずれかに記載のグラフトポリマー。
  9. 【請求項9】 枝ポリマーが、ポリフルオロアルキル基
    含有ビニルモノマーおよび非フッ素モノマーによって形
    成される請求項1〜8のいずれかに記載のグラフトポリ
    マー。
  10. 【請求項10】 枝ポリマーにおける非フッ素モノマー
    が(メタ)アクリレートエステルである請求項1〜9の
    いずれかに記載のグラフトポリマー。
  11. 【請求項11】 請求項1に記載のグラフトポリマーを
    有効成分として含有してなる撥水撥油剤組成物。
  12. 【請求項12】 撥水撥油剤組成物が、溶液(有機溶媒
    中の溶液)および乳化液(水中のエマルション)の形態
    である請求項11に記載の撥水撥油剤組成物。
  13. 【請求項13】 ハロメチル基を有するモノマーから誘
    導された構成単位を有する幹ポリマーに、ポリフルオロ
    アルキル基含有ビニルモノマーを添加し、ハロゲン化金
    属触媒の存在下で、ポリフルオロアルキル基含有ビニル
    モノマーを重合させることからなる請求項1に記載のグ
    ラフトポリマーの製造方法。
  14. 【請求項14】 ハロゲン化金属のハロゲンが塩素であ
    る請求項13に記載の方法。
  15. 【請求項15】 ハロゲン化金属の金属が銅(Cu)ま
    たは第VIII族遷移金属である請求項13または14
    に記載の方法。
  16. 【請求項16】 ハロゲン化金属がCuCl、CuCl
    2、FeCl2、NiCl2またはRuCl2である請求項
    13〜15のいずれかに記載の方法。
  17. 【請求項17】 ハロゲン化金属の可溶化剤または分散
    剤を用いる請求項13〜16のいずれかに記載の方法。
  18. 【請求項18】 可溶化剤または分散剤が、有機窒素化
    合物または有機リン化合物である請求項17に記載の方
    法。
  19. 【請求項19】 有機窒素化合物がビピリジル、ビピル
    ジルの誘導体、トリフェニルアミン、キノリン、テトラ
    メチレンジアミン、アルキル基の炭素数が2〜10のト
    リアルキルアミン、1,10−フェナンスロリンまたは
    (CH32N(C24N(CH3))nCH3[式中、n
    =1、2または3である。]で表される化合物であり、
    有機リン化合物が、P(C653、P(OC653
    P(C 253またはP(OC253である請求項18
    に記載の方法。
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