JP2000280121A - ネジの切削加工方法およびその切削加工装置 - Google Patents

ネジの切削加工方法およびその切削加工装置

Info

Publication number
JP2000280121A
JP2000280121A JP11087166A JP8716699A JP2000280121A JP 2000280121 A JP2000280121 A JP 2000280121A JP 11087166 A JP11087166 A JP 11087166A JP 8716699 A JP8716699 A JP 8716699A JP 2000280121 A JP2000280121 A JP 2000280121A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cutting
shaft
tool
revolution
main shaft
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11087166A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroki Nonaka
博樹 野中
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP11087166A priority Critical patent/JP2000280121A/ja
Publication of JP2000280121A publication Critical patent/JP2000280121A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Turning (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 断続切削によるネジ加工を高能率化する。 【解決手段】 被削材の外周面もしくは内周面に沿って
切削工具1を移動させてネジを切削加工する方法におい
て、外周部に複数の切刃3を設けた切削工具1を、その
中心軸線を中心に自転させるとともに、前記ネジを加工
する周面の中心軸線に沿って公転させ、さらにその公転
の中心軸線に沿って軸線方向に移動させ、かつその工具
1の自転回転数と公転回転数との比率を37以下に設定
して前記周面にネジを切削する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、切削加工によっ
てネジを形成する方法およびその方法を実施するために
使用される切削加工装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ネジを形成するための方法として、旋盤
を使用した旋削やダイスの間に被削材を挟み込んで塑性
変形させる転造、あるいはネジ山に類似した断面形状の
砥石を回転する被削材に押し当てて被削材を研削する方
法などが知られている。これらのうち、転造による方法
では、精度が必ずしも高くなく、また小径のネジを製造
することに難点がある。また、砥石による研削方法で
は、ネジ精度を高くすることができ、その点でネジの仕
上げ加工としては優れているが、粗材からのネジの製造
には不向きである。これに対して旋削による方法では、
加工の自由度が高く、また精度の高いネジを加工するこ
とができるなどの利点がある。
【0003】その一例が特開平5−305501号公報
に記載されている。この公報に記載された方法は、被削
材の偏心位置に雌ネジを加工するための方法であり、被
削材をチャックによって保持して自転させる一方、自転
させることのできるバイトなどの切削工具を、その被削
材に向けて軸線方向に移動させ、かつその切削工具を半
径方向に移動させて切り込み量を調整することにより、
被削材にネジを切削する方法である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述した公報に記載さ
れている方法は、切削工具であるバイトに対して被削材
を回転させることにより切削をおこなう旋削法であり、
したがって切削工具の刃先を、形成するべきネジにおけ
るネジ山の断面とほぼ同一の形状とし、これを常時被削
材に作用させて連続的に切削をおこなう方法である。し
たがって、比較的精度の高いネジを加工することがで
き、また多種類のネジを加工することが可能である。し
かしながら、連続切削とならざるを得ないので、刃先温
度や切刃の強度などの点で切削速度が制約され、その結
果、加工能率を向上させることが困難である。
【0005】また、上記の方法を実施するための装置
は、上記の公報の記載によれば、偏心位置にネジを加工
する被削材を自転させ、その被削材に対して、自転可能
な主軸をその半径方向であるX方向と、軸線方向である
Z方向とに協調させて移動させるように構成されてい
る。そのため、刃先位置を被削材に対して相対的に螺旋
状に変位させてネジ加工をおこなうためには、被削材の
回転および主軸の回転ならびに主軸の半径方向への移動
の三者を協調として制御する必要があるので、制御の遅
れなどの制約で加工速度を高くすることが困難である。
【0006】この発明は、上記の事情を背景としてなさ
れたものであり、切削によるネジ加工を高能率でおこな
うことを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段およびその作用】上記の目
的を達成するために、請求項1の発明は、被削材の外周
面もしくは内周面に沿って切削工具を移動させてネジを
切削加工する方法において、外周部に複数の切刃を設け
た切削工具を、その中心軸線を中心に自転させるととも
に、前記ネジを加工する周面の中心軸線に沿って公転さ
せ、さらにその公転の中心軸線に沿って軸線方向に移動
させ、かつその工具の自転回転数と公転回転数との比率
を37以下に設定して前記周面にネジを切削することを
特徴とする方法である。
【0008】したがって請求項1の方法によれば、工具
を自転させることによりその外周部に設けた切刃が被削
材に順次作用する断続切削となり、しかも工具の自転回
転数と公転回転数との比率が37以下であって、工具の
公転回転数が高いことにより、1刃当たりの切削幅を小
さくしても切削量あるいは加工能率が低下しない。言い
換えれば、加工能率を低下させることなく、1刃当たり
の切削幅を小さくし、それに伴って発熱や切削抵抗、衝
撃力などを低下させることができるので、工具寿命を向
上させることができる。さらには、その工具寿命の範囲
で1刃当たりの切削量を増大させることにより、加工能
率を向上させることができる。
【0009】また、請求項2の発明は、切刃を外周部に
有する切削工具を先端部に装着して自転かつ公転する主
軸をその軸線方向に移動して、被削材の外周面もしくは
内周面にネジを切削加工する切削加工装置において、前
記主軸を回転中心軸線から外れた位置に該回転中心軸線
と平行に回転自在に保持した偏心軸と、その偏心軸を回
転中心軸線から外れた位置に該回転中心軸線と平行に回
転自在に保持し、かつ軸線方向に前後動される公転軸
と、前記主軸を自転させる第1駆動機構と、前記偏心軸
を回転させて前記主軸の前記公転軸の中心軸線からの距
離を変更する公転半径変更機構と、前記公転軸をその軸
線方向への移動に関連して自転させることにより前記工
具による前記被削材の切削箇所を螺旋状に変位させる第
2駆動機構とを備えていることを特徴とする装置であ
る。
【0010】したがって請求項2の発明では、工具を装
着した主軸を公転軸の偏心位置に回転自在に保持させた
構成であるから、主軸と公転軸とをそれぞれ自転させる
ことにより、工具が自転しつつ公転し、その際の工具の
公転回転数を自由に設定して工具を軸線方向に移動させ
ることができる。その結果、工具による被削材の切削位
置を、ネジを加工するべく螺旋状に移動させる際の1刃
当たりの切削量を多くして、高能率の切削をおこなうこ
とができる。
【0011】
【発明の実施の形態】つぎに、この発明を図面を参照し
て具体的に説明する。先ず、この発明に係る切削加工装
置の一例を説明すると、図1において、工具1は、シャ
ンク2の先端部の外周に複数の切刃3を設けたネジ加工
用のカッタであり、それらの切刃3は形成すべきネジ山
の断面とほぼ同一の形状の輪郭に形成されている。この
工具1を先端部に装着する主軸4が、保持軸5の内部に
配置されている。この保持軸5は、円筒状の軸であっ
て、図1に示す切削加工装置6全体のハウジング(すな
わち基台部)7に一体化されている。したがって保持軸
5は、被削材(図示せず)に対して移動させられるもの
の、自転することはない。なお、ハウジング7は、図示
しないコラムに装着されて、主軸4の軸線方向に前後動
し、したがって主軸4が、その軸線方向に移動するよう
に構成されている。
【0012】この保持軸5の内部には、公転軸8が軸受
9によって自転自在に保持されている。この公転軸8に
は、その軸心に対して偏心しかつ軸線方向に延びた孔が
形成され、その内部に偏心軸10が軸受11によって自
転自在に保持されている。したがってこの偏心軸10
は、公転軸8が自転することにより、公転軸8の軸心を
中心にして公転する。この偏心軸10は、前記主軸4の
公転半径を変更するためのものであって、その軸心に対
して偏心しかつ軸線方向に貫通した貫通孔が形成され、
その貫通孔の内部に主軸4が軸受12によって自転自在
に保持されている。
【0013】図2は、上述した各軸の半径方向での相対
位置を模式的に示しており、保持軸5に対して公転軸8
が同軸上に配置されている。この公転軸8の軸心O8 に
対して偏心した位置に軸心O10を持つ偏心軸10が、公
転軸8の内部に配置されている。この偏心軸10の内部
に自転自在に配置された主軸4は、偏心軸10の軸心O
10に対して偏心している。
【0014】したがって偏心軸10を自転させると、そ
の軸心O10から外れた位置にある主軸4が、その軸心O
10を中心とした円周C10上を移動する。その公転軸8に
対する偏心軸10の偏心量と、偏心軸10に対する主軸
4の偏心量とが等しい場合には、主軸4の軸心O4 が公
転軸8の軸心O8 に一致して公転軸8に対する主軸4の
偏心量がゼロとなることがある。すなわち、偏心軸10
を自転させることにより、その内部に配置した主軸4の
公転軸8に対する偏心量が変化する。そして、公転軸8
に対する偏心軸10の偏心量と、偏心軸10に対する主
軸4の偏心量とが等しい場合には、その偏心量の2倍を
限度として、公転軸8に対する主軸4の偏心量が、ゼロ
からそれ以上に変化する。
【0015】この主軸4に取り付けられた工具1は、主
軸4と共に自転する一方、主軸4が公転軸8の内部に保
持されているので、公転軸8が自転することにより、主
軸4すなわち工具2が、公転軸8の軸心O8 を中心に公
転する。その場合の公転半径が、前記偏心軸10を回転
させて設定される公転軸8に対する主軸4の偏心量とな
る。
【0016】前記公転軸8の図1における右側の端部
は、ハウジング7の後端部側まで延びており、その外周
に嵌合させた軸受13を介してハウジング7によって回
転自在に支持されている。この公転軸8における後端側
の部分には、軸心を中心とした貫通孔が形成されてお
り、その貫通孔の内部に入力軸14が軸受15を介して
回転自在に保持されている。この入力軸14は前記主軸
4を自転させるためのものであって、主軸用モータM1
に連結されている。なお、この主軸用モータM1 は、基
台部であるハウジング7に固定されている。またこの入
力軸14における図1での左側端部は、公転軸8の内部
で前記主軸4の後端部に接近した位置に延びている。
【0017】そしてこの入力軸14の端部には外径の異
なる複数のローラ16が接触した状態に配置されてい
る。これらのローラ16は、入力軸14の軸線と平行と
なるように公転軸8に取り付けた支持ピン17に回転自
在に取り付けられている。さらに、これら複数のローラ
16の全体を覆うように円筒体18が嵌合させられてい
る。なお、各ローラ16は、この円筒体18と入力軸1
4との間に圧入された状態となっており、それぞれの接
触圧力が高いことにより、摩擦力によってトルクを伝達
するようになっている。
【0018】円筒体18は、主軸4の後端部の外周を覆
っており、その主軸4の外周面と円筒体18の内周面と
の間に、前記ローラ16と同様に外径の異なる複数のロ
ーラ19が圧入されている。そのローラ19を回転自在
に取り付けてある支持ピン20が、主軸4の外周側に軸
受を介して回転自在に配置したリング状歯車21に連結
されている。さらにこのリング状歯車21が、前記偏心
軸10の後端部にピンによって連結されている。
【0019】したがって入力軸14のトルクが、その外
周面に接触しているローラ16の自転により円筒体18
に伝達され、またこの円筒体18のトルクが、その内周
面に密着している他の複数のローラ19の自転によって
主軸4に伝達される。すなわちモータM1 によって入力
軸14を回転させることにより、そのトルクが主軸4に
伝達されて主軸4が自転する。そして各ローラ16,1
9が相対的に公転することにより、入力軸14に対する
主軸4の偏心量すなわち主軸4の公転半径が変更され
る。
【0020】前記公転軸8のうちリング状歯車21の外
周側の部分に、内外周面に貫通した複数の切欠き部が形
成され、前記リング状歯車21に噛合した中間歯車22
が各切欠き部に配置されている。これらの中間歯車22
が配置されている各部分における公転軸8の肉厚が、そ
の内側の軸線方向に沿う孔の軸心が公転軸8の軸心に対
して偏心していることにより、相互に異なっており、し
たがって各中間歯車22の外径が、それぞれの部分にお
ける公転軸8の肉厚に合わせて大小に異なっている。す
なわち各中間歯車22の最も外周側の部分を結んだ円
が、公転軸8の軸心を中心とした円となるように構成さ
れている。なお、各中間歯車22は公転軸8に取り付け
た支持ピン23によって回転自在に支持されている。
【0021】また各中間歯車22が、内歯歯車である公
転半径変更歯車24に噛合している。この公転半径変更
歯車24は、円筒軸25の先端部の内周面に形成されて
いる。そしてこの円筒軸25は、前記公転軸8の外周側
に入力軸14と同軸上に嵌合させて配置され、かつ軸受
26によって回転自在に保持されている。
【0022】前記入力軸14の外周側に位置する公転軸
8の外周部に公転軸歯車27が固定され、またこの公転
軸歯車27に隣接して配置された中間軸歯車28が前記
円筒軸25に固定されている。その公転軸歯車27が、
差動機構29における入力歯車30に噛合し、また中間
軸歯車28が差動機構29における出力歯車31に噛合
している。
【0023】ここで差動機構29について説明すると、
この差動機構29は、図3に示す構成の機構を利用して
構成されている。すなわち図3において、リング状部材
100の内周面にスプラインなどの歯101が形成され
ており、その歯101より歯数の少ない外歯102が形
成された可撓性リング103が、前記リング状部材10
0の内周側に回転自在に配置されている。この可撓性リ
ング103の内周側には、楕円形の回転部材104がベ
アリング105を介して配置されており、その長径の両
端部で可撓性リング103がリング状部材100の歯1
01に押し付けられて噛合させられている。したがって
図3に示す機構では、可撓性リング103の歯数がリン
グ状部材100の歯数より少ないので、可撓性リング1
03を1回転させてもリング状部材100は1回転せず
に歯数の差だけ回転角度が少なくなる。
【0024】図4は、差動機構29を分解して模式的に
示す図であって、上記のリング状部材100に相当する
一対のサーキュラースプライン32,33と、これらに
噛合する前記可撓性リング103に相当するフレクスプ
ライン34と、その内周側に嵌合させられた楕円形状の
回転部材104に相当するウェーブジェネレータ35と
を有している。すなわち内周面にスプライン歯を形成し
た一対の円筒状のサーキュラスプライン32,33と、
そのサーキュラスプライン32,33のスプライン歯に
噛合するスプライン歯が外周面に形成され、かつ可撓性
のある円筒体であるフレクスプライン34と、楕円形の
カムの外周面にボールベアリングがはめ込まれ、そのボ
ールベアリングの外周に前記フレクスプライン34が嵌
合されるウェーブジェネレータ35とを備えている。
【0025】一方のサーキュラスプライン32の歯数と
フレクスプライン34の歯数とが等しく(例えば200
枚に)設定され、そのサーキュラスプライン32が入力
歯車30の内周側に嵌合固定されている。これに対して
他方のサーキュラスプライン33の歯数が、フレクスプ
ライン34の歯数よりわずか多く(例えば202枚に)
設定されており、このサーキュラスプライン33が出力
歯車31の内周側に嵌合固定されている。そしてそのウ
ェーブジェネレータ35が調整軸36に嵌合固定され、
かつその調整軸36が半径変更モータM2 に連結されて
いる。なお、この半径変更モータM2 は、この発明の基
台部に相当するハウジング7に固定されている。
【0026】したがってこの差動機構29では、ウェー
ブジェネレータ35すなわち調整軸36を固定した状態
で入力歯車30を回転させると、入力歯車30に固定し
たサーキュラスプライン32の歯数とフレクスプライン
34の歯数とが等しいので、フレクスプライン34が入
力歯車30と同一回転数で回転する。これに対して出力
歯車31に固定してあるサーキュラスプライン33の歯
数が、フレクスプライン34の歯数より多いので、出力
歯車31がその歯数差に応じて減速されて回転する。上
記の例では、フレクスプライン34の歯数が“200”
に対して、サーキュラスプライン33の歯数が“20
2”であるから、出力歯車31は、200/202=1
00/101に減速されて回転する。
【0027】このように回転数の差が生じるが、その場
合であっても主軸4の公転半径が変化しないように入力
歯車30と公転軸歯車27との歯数比および出力歯車3
1と中間軸歯車28との歯数比が設定されている。一例
として、入力歯車30の歯数が“100”で、公転軸歯
車27の歯数が“200”の場合、出力歯車31の歯数
が“101”で、かつ中間軸歯車27の歯数が“20
0”に設定される。このような構成の場合、調整軸36
すなわちウェーブジェネレータ35を固定した状態で例
えば入力歯車30を101rpmで回転させれば、出力
歯車31が100rpmで回転し、かつ公転軸歯車27
が101/2rpmで回転する。そして出力歯車31が
100rpmで回転することにより、これに噛合してい
る中間軸歯車28が、100×101/200=101
/2rpmで回転する。すなわち公転軸歯車27と中間
軸歯車28とが同速度で回転する。
【0028】したがって公転軸8の回転数と円筒軸25
との回転数とが等しくなるので、円筒軸25に形成した
公転半径変更歯車24とこれに噛合している中間歯車2
2とこれに噛合しているリング状歯車21とが一体とな
って回転する。すなわち各ローラ16,19の公転方向
の位相が一定に維持される。
【0029】また一方、フレクスプライン34と出力歯
車31側のサーキュラスプライン33との歯数に相違が
あるために、フレクスプライン34の回転に対してサー
キュラスプライン33の減速が生じ、その減速度は歯数
に差に応じたものとなる。上記の例では、歯数の差が
“2”であるから、フレクスプライン34の回転に対し
てサーキュラスプライン33は、2/200=1/10
0の割合で減速される。すなわち調整軸36と共にフレ
クスプライン34を100rpmで回転させると、サー
キュラスプライン33がマイナス(−)1rpmで相対
回転する。なお、入力歯車30側のサーキュラスプライ
ン32とフレクスプライン34とは歯数が同じであるた
め、回転数に差が生じない。結局、調整軸36と共にフ
レクスプライン34を回転させると、入力歯車30と出
力歯車31との回転位相に相違が生じる。すなわち調整
軸36の回転数の1/100の回転速度で入力歯車30
と出力歯車31との相対回転運動を生じさせることがで
きる。
【0030】このような相対回転は、公転軸8とリング
状歯車21との相対回転すなわち各ローラ16,19の
相対的な公転速度として現れる。そして各ローラ16,
19の相対的な公転によって主軸4の入力軸14に対す
る偏心量すなわち公転半径が変化するので、上記の装置
では、公転半径の微調整を容易におこなうことができ
る。なお、図1において符号37は公転歯車を示し、こ
の公転歯車37は前記入力歯車30に噛合している。そ
してこの公転歯車37に公転用モータM3 が連結されて
いる。なお、この公転用モータM3 は、この発明の基台
部に相当するハウジング7に固定されている。また、上
記の公転半径変更モータM2 と、差動機構29と、この
差動機構29から公転軸8にトルクを伝達する系統およ
び差動機構29から偏心軸10にトルクを伝達する系統
が、公転半径変更機構を構成している。
【0031】そして、図1に示す切削加工装置において
は、主軸4の公転運動を二次元方向の直線運動の組合せ
によって達成するのではなく、主軸4を内蔵している公
転軸8の自転によって達成するので、主軸4を高速で自
転かつ公転させることができる。また、上記の例では、
偏心軸10の自転によって主軸4の公転軸8に対する偏
心量を変更できるので、公転中にその半径を変更するこ
とができる。
【0032】なお、上述した主軸用モータM1 から主軸
4に到るトルクの伝達系統がこの発明の第1駆動機構に
相当し、また公転用モータM3 から公転軸8に到るトル
クの伝達系統がこの発明の第2駆動機構に相当し、さら
にこれら2つの伝動機構を併せた機構が、回転駆動機構
を構成している。
【0033】つぎに上記の切削加工装置6によってネジ
を切削加工する方法すなわちこの発明の方法の一例を説
明する。上記の主軸4に取り付けられる工具1は、形成
するべきネジ山の断面形状とほぼ同一の輪郭の切刃3を
備えているので、図5に示すように、主軸4を自転させ
て工具1を被削材41に押し当てることにより、切刃3
によって切削がおこなわれて、その形状と同一の溝形状
が被削材に形成される。その場合、工具1は、外周部に
複数の切刃3を設けたものであるから、主軸4と共に工
具1が回転することにより、それらの切刃3が順次被削
材に作用する断続切削となる。
【0034】また、主軸4は公転軸8の偏心位置に自転
自在に保持されているから、公転軸8を自転させると、
工具1が主軸4と共に公転軸8の軸心を中心に公転す
る。その結果、切刃3は図6に示すように、ループ状の
軌跡を描いて移動する。なお、図6において符号40は
ネジを加工するべき加工孔を示す。したがって切刃3に
よる切削速度は、工具1の自転よる周速と公転による移
動速度を加えた速度になる。
【0035】工具1が公転することによる切刃3の移動
軌跡は、被削材41の加工孔40に沿う軌跡となるか
ら、公転回転数が相対的に大きいほど、切刃3が1回ご
とに被削材41に作用している時間あるいは距離が長く
なる。このようにすれば、切刃3が1回、被削材に作用
ごとの切削長さが長くなるので、切削量を低下させるこ
となく、最大切削面積を小さくすることができる。ま
た、それに伴って断続切削によって切刃3に掛かる衝撃
力あるいは切削荷重が抑制されるので、工具寿命を長く
することができる。
【0036】前述したこの発明に係る切削加工装置6で
は、主軸4およびこれに取り付けた工具1の公転を、主
軸4を自転自在に保持している公転軸8を自転させるこ
とによりおこなうので、工具1の公転回転数を大きくし
て自転回転数に対する比率(自転回転数/公転回転数=
K)を任意に設定することができる。図7は、自転/公
転比Kと加工能率との関係を測定した結果を示す図であ
る。ここで、加工能率は、単位時間(min)当たりの
切削容積(cc)であり、内径55mmの孔を切削速度
200m/min、切削幅0.6mmで切削した場合の
測定結果である。使用した工具は外径20mmのエンド
ミルと外径50mmのエンドミルである。
【0037】図7に示すように、公転回転数が大きいこ
とにより自転/公転比Kが小さいほど加工能率が増大
し、自転/公転比Kが“37”以下になるとその増大傾
向が顕著になり、特に“20”以下であれば、従来一般
の自転/公転比Kを“100”程度に設定した際の加工
能率の2倍以上の加工能率を得ることができる。なお、
図7において自転/公転比Kが“1”の加工能率は、連
続切削であるボーリング加工の加工能率を示す。
【0038】前述したようにコンタリング加工における
切削速度は、工具の自転による切刃の回転速度と公転に
よる切刃の送り速度との和となるが、この発明に係る上
記の切削加工装置では、公転回転数の制約がないので、
公転による切刃の送り速度を大きくする。具体的には、
この発明では、切削速度のうち工具の公転による速度の
割合が7%以上となるように設定する。これは、公転半
径の変更あるいは公転回転数の変更のいずれによって設
定してもよい。
【0039】工具を自転かつ公転させるコンタリング加
工では、切刃が1回転する間に工具が所定寸法送られる
から、刃先の軌跡は図6に示すように、加工孔40の内
周面に沿ったループ状になる。その結果、切刃が被削材
に作用していない間に工具が送られる部分が生じ、この
部分がいわゆる切り残し部分となって加工孔40の中心
に向けて突出した状態となる。その高さHを加工精度の
指標とすることができる。図8は自転/公転比Kと加工
精度H(μm)との関係を測定した結果を示している。
この測定をおこなった切削条件は、加工孔の内径55m
m、切削速度200m/min、切削幅0.6mmであ
る。また使用した工具は、外径20mmの8枚刃、外径
20mmの16枚刃、外径50mmの8枚刃、外径50
mmの16枚刃の各エンドミルである。
【0040】上述のようにして工具1を自転および公転
させつつ主軸4を公転速度(公転軸8の自転速度)に関
連させて主軸4の軸線方向へ被削材41に対して移動さ
せる。すなわち切削加工装置6の全体を被削材41に対
して前進させる。その結果、工具1は公転しつつ軸線方
向に前進するので、切刃3による切削点が円周方向およ
び軸線方向の両方向に変位し、螺旋状の切削がおこなわ
れる。すなわち主軸4の公転速度と軸線方向への送り速
度とによって決まるリード角のネジの切削加工がおこな
われる。
【0041】前記加工孔40の内周面にネジを加工する
場合、先ず荒切削をおこない、ついで仕上げ切削をおこ
なう。すなわち、主軸4および工具1を軸線方向に前進
させる最初の切削の際には、刃先の公転半径が、加工す
るべきネジの径よりわずか小さくなるように、すなわち
仕上げ代が残るように公転半径を設定する。これは、半
径変更モータM2 を駆動して偏心軸10を公転軸8に対
して相対的に回転させることによりおこなう。主軸4と
共に工具1を前進させて荒加工をおこなった後、半径変
更モータM2 を更に駆動して工具1の公転半径を僅かに
増大させ、その状態で工具1を自転かつ公転させつつ軸
線方向に後退移動させることにより、ネジの仕上げ加工
をおこなう。その仕上げ加工の場合、工具1の公転回転
数を荒加工の場合より小さくし、前述した自転/公転比
Kを大きくする。こうすることにより、前述した加工精
度Hが小さい値になり、加工面精度が高くなる。
【0042】
【発明の効果】以上説明したように請求項1の発明によ
れば、工具を自転させることによりその外周部に設けた
切刃が被削材に順次作用する断続切削となり、しかも工
具の自転回転数と公転回転数との比率が37以下であっ
て、工具の公転回転数が高いことにより、1刃当たりの
切削幅を小さくしても切削量あるいは加工能率が低下し
ない。言い換えれば、加工能率を低下させることなく、
1刃当たりの切削幅を小さくし、それに伴って発熱や切
削抵抗、衝撃力などを低下させることができるので、工
具寿命を向上させることができ、さらには、その工具寿
命の範囲で1刃当たりの切削量を増大させることによ
り、加工能率を向上させることができる。
【0043】また、請求項2の発明によれば、工具を装
着した主軸を公転軸の偏心位置に回転自在に保持させた
構成であるから、主軸と公転軸とをそれぞれ自転させる
ことにより、工具が自転しつつ公転し、その際の工具の
公転回転数を自由に設定して工具を軸線方向に移動させ
ることができ、その結果、工具による被削材の切削位置
を、ネジを加工するべく螺旋状に移動させる際の1刃当
たりの切削量を多くして、高能率の切削をおこなうこと
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の装置の一例を示す断面図である。
【図2】 その主軸、偏心軸、公転軸ならびに保持軸の
半径方向での相対位置を説明するための図である。
【図3】 差動機構に使用されている基本的な機構を説
明するための機構図である。
【図4】 差動機構の構成要素を分解して示す模式図で
ある。
【図5】 ネジの切削状況を説明するための概略的な断
面図である。
【図6】 この発明の方法による刃先の軌跡を示す図で
ある。
【図7】 自転/公転比と加工能率との関係を測定した
結果を示す線図である。
【図8】 自転/公転比と加工精度との関係を測定した
結果を示す線図である。
【符号の説明】 1…工具、 3…切刃、 4…主軸、 6…切削加工装
置、 8…公転軸、10…偏心軸、 M1 …主軸用モー
タ、 M3 …公転用モータ、 40…加工孔、 41…
被削材。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被削材の外周面もしくは内周面に沿って
    切削工具を移動させてネジを切削加工する方法におい
    て、 外周部に複数の切刃を設けた切削工具を、その中心軸線
    を中心に自転させるとともに、前記ネジを加工する周面
    の中心軸線に沿って公転させ、さらにその公転の中心軸
    線に沿って軸線方向に移動させ、かつその工具の自転回
    転数と公転回転数との比率を37以下に設定して前記周
    面にネジを切削することを特徴とするネジの切削加工方
    法。
  2. 【請求項2】 切刃を外周部に有する切削工具を先端部
    に装着して自転かつ公転する主軸をその軸線方向に移動
    して、被削材の外周面もしくは内周面にネジを切削加工
    する切削加工装置において、 前記主軸を回転中心軸線から外れた位置に該回転中心軸
    線と平行に回転自在に保持した偏心軸と、 その偏心軸を回転中心軸線から外れた位置に該回転中心
    軸線と平行に回転自在に保持し、かつ軸線方向に前後動
    される公転軸と、 前記主軸を自転させる第1駆動機構と、 前記偏心軸を回転させて前記主軸の前記公転軸の中心軸
    線からの距離を変更する公転半径変更機構と、 前記公転軸をその軸線方向への移動に関連して自転させ
    ることにより前記工具による前記被削材の切削箇所を螺
    旋状に変位させる第2駆動機構とを備えていることを特
    徴とするネジの切削加工装置。
JP11087166A 1999-03-29 1999-03-29 ネジの切削加工方法およびその切削加工装置 Pending JP2000280121A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11087166A JP2000280121A (ja) 1999-03-29 1999-03-29 ネジの切削加工方法およびその切削加工装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11087166A JP2000280121A (ja) 1999-03-29 1999-03-29 ネジの切削加工方法およびその切削加工装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000280121A true JP2000280121A (ja) 2000-10-10

Family

ID=13907415

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11087166A Pending JP2000280121A (ja) 1999-03-29 1999-03-29 ネジの切削加工方法およびその切削加工装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000280121A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103273145A (zh) * 2013-05-24 2013-09-04 上海淳瑞机械科技有限公司 一种转杯纺纱机的蜗杆轴套螺旋齿的加工方法
CN109365928A (zh) * 2018-11-28 2019-02-22 重庆交通大学 城市下水管道螺纹铣削设备
CN109551064A (zh) * 2018-12-24 2019-04-02 内蒙古北方重工业集团有限公司 大直径非标右旋内螺纹的拉铣加工方法
CN110280818A (zh) * 2019-07-01 2019-09-27 苏州真懿精密器械有限公司 提升微小零件铣削加工表面粗糙度的方法

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103273145A (zh) * 2013-05-24 2013-09-04 上海淳瑞机械科技有限公司 一种转杯纺纱机的蜗杆轴套螺旋齿的加工方法
CN109365928A (zh) * 2018-11-28 2019-02-22 重庆交通大学 城市下水管道螺纹铣削设备
CN109365928B (zh) * 2018-11-28 2020-04-28 重庆交通大学 城市下水管道螺纹铣削设备
CN109551064A (zh) * 2018-12-24 2019-04-02 内蒙古北方重工业集团有限公司 大直径非标右旋内螺纹的拉铣加工方法
CN110280818A (zh) * 2019-07-01 2019-09-27 苏州真懿精密器械有限公司 提升微小零件铣削加工表面粗糙度的方法
CN110280818B (zh) * 2019-07-01 2021-02-02 苏州真懿精密器械有限公司 提升微小零件铣削加工表面粗糙度的方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3518443B2 (ja) 機械加工方法
US4651599A (en) Method for producing workpieces having polygonal outer and/or inner contours
KR102100516B1 (ko) 편심 운동된 연삭 도구를 사용하여 베벨 기어를 가공하기 위한 장치 및 방법
JP5717020B1 (ja) エルボの製造方法
US6536315B1 (en) Spinning device
US6840722B1 (en) Machining apparatus and machining method
EP1635975B1 (en) Orbital machining apparatus with drive element with drive pins
JPH0655304A (ja) 周面に凹部を有する工作物を製作する方法およびこの方法を実施するための装置
JP3733712B2 (ja) 回転動力伝達装置
JP2000280121A (ja) ネジの切削加工方法およびその切削加工装置
JP2001096421A (ja) パイプ切断装置
JP4456208B2 (ja) スピニング加工装置
JPH0533201Y2 (ja)
JPH07204916A (ja) 可変2軸ミーリングヘッド
JPH04365503A (ja) U軸ボーリングヘッド
JP2000141120A (ja) トロコイド工具およびトロコイド工具による加工法
JP3979329B2 (ja) 機械加工装置
JPH10175036A (ja) 円錐歯歯車と鼓形ウォームおよびその工作方法
JP2588353B2 (ja) 歯車加工装置
JP3394231B2 (ja) ログ切断機のストローク調節装置
JP2001219311A (ja) 切削加工方法及び切削加工ユニット
JPH0557513A (ja) 多軸ヘツドのコンタリング装置
CN117794660A (zh) 工件冷变形成形装置和方法
CN112719467A (zh) 面齿轮刮齿加工方法
JPH074684B2 (ja) 切込量調整可能な2重主軸構造

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040106

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20040727