JP3469104B2 - 指向性のない高光輝性塗装鋼板 - Google Patents

指向性のない高光輝性塗装鋼板

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JP3469104B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、メタリック感のある外
装材,内装材,表層材等に好適な意匠性に優れた指向性
のない高光輝性塗装鋼板に関する。
【0002】
【従来の技術】外装用プレコート鋼板等の塗装鋼板とし
ては、化成処理を施した鋼板に密着性,耐食性に優れた
防錆顔料を含有するエポキシ樹脂下塗り塗膜及びポリエ
ステル系樹脂,フッ素系樹脂等をベースにしたエナメル
又は艶消し塗膜を形成した複層塗装鋼板が一般的であ
る。意匠性を高めるため、上塗り塗料にメタリック顔料
を配合することもある。メタリック顔料には、アルミフ
レーク,銅フレーク,ステンレス鋼フレーク等の金属箔
やマイカ,板状酸化鉄等が使用されている。
【0003】従来から使用されている顔料は、何れも光
輝性及び耐候性を兼ね備えたものとはいえない。金属箔
は、ある程度の光輝性を呈するが、製造方法の相違から
金属被覆ガラスフレークに比較すると光輝性が劣る。す
なわち、金属箔は、ボールミル,スタンプミル等の機械
加工により製造されるため、加工に伴う微細な凹凸が箔
表面に残り、乱反射の原因になる。しかも、アルミフレ
ーク,銅フレーク等の金属箔は、外装建材として用途で
は耐食性に劣ることも問題になる。外装建材に使用され
るメタリック塗装鋼板には、意匠性に加えて高度の耐候
性が要求される。この点、液体から冷却・凝固して製造
されるガラスフレークは、表面が極めて平滑なため光輝
性に優れた鱗片状基体であり、この長所を活用して無電
解Niめっき,無電解Agめっき等によって金属被覆を
施した顔料が開発されている(特開平4−359937
号公報,特開平5−17710号公報等)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】鱗片状顔料を配合した
塗料を鋼板表面に塗布してメタリック塗膜を形成する
と、塗膜表面と平行に鱗片状顔料が配向しやすい。この
配向により、鱗片状顔料からの反射光が塗膜表面からの
反射光と重なる割合が高くなり、キラキラした光輝感が
発現しなくなる。また、鱗片状顔料を含む塗膜に光沢調
整剤を添加して艶消しすると、反射した光が塗膜内で吸
収され、光輝感が低下する。更に、塗膜に分散している
鱗片状顔料の末端が塗膜表面に突出していると、塗膜同
士の擦れ合いにより塗膜が摩耗することもある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、このような問
題を解消すべく案出されたものであり、耐候性に優れか
つ高光輝性を有する鱗片状顔料をランダムに配向させて
含有した塗膜を鋼板上に形成し、光輝感のある独特の意
匠を長期間保持すると共に耐摩耗性にも優れた外装用塗
装鋼板を提供することを目的とする。本発明の指向性の
ない高光輝塗装鋼板は、その目的を達成するため、鋼板
表面に複数の塗膜層が形成されており、上層塗膜は平均
粒径10〜300μm,平均厚さ0.1〜20μmの鱗
片状基体に金属をコーティングした顔料1〜30重量%
及び有機ビーズ1〜30重量%を含む着色塗膜であるこ
とを特徴とする。
【0006】具体的には、化成処理を施した鋼板に下塗
り塗膜を形成し、その上に鱗片状基体に金属をコーティ
ングした高光輝性顔料を1〜30重量%含有した着色塗
膜を形成した2層構造塗膜にする。着色塗膜に替えて透
明塗膜を形成することもでき、この場合には0.1〜5
重量%の高光輝性顔料を上層塗膜に含ませる。更には、
化成処理を施した鋼板表面に下塗り塗膜,着色中塗り塗
膜,高光輝性顔料を含む透明塗膜を形成した3層構造塗
膜とすることも可能である。高光輝性メタリック顔料と
しては、無電解Niめっき又は無電解Agめっきを施し
たガラスフレークが使用される。また、ガラスフレーク
又はパールマイカを鱗片状基体とし、オーステナイト構
造をもつFe基合金又はNi基合金を膜厚50〜300
Åでスパッタコーティングした高光輝性顔料も使用され
る。
【0007】上層塗膜には、光輝性顔料と共にポリアク
リロニトリル(PAN),アクリル樹脂,ナイロン,ポ
リオレフィン,シリコン樹脂等の有機ビーズが配合され
る。有機ビーズとしては、上層塗膜の厚みをTとすると
き、1≦R/T≦3の関係にある粒径Rをもつビーズが
好ましく、1〜30重量%の割合で上層塗膜に配合され
る。更に、ポリ4フッ化エチレン(PTFE)等のフッ
素樹脂粉末を好ましくは0.5〜10重量%添加する
と、塗膜の潤滑性が向上する。
【0008】
【実施の形態】本発明で使用される塗装原板には、亜鉛
めっき鋼板,亜鉛−アルミニウム合金めっき鋼板,アル
ミニウムめっき鋼板,ステンレス鋼板等がある。塗装原
板に洗浄,表面調整,クロメート等の化成処理を施し、
防錆顔料を含む下塗り塗料を塗布する。下塗り塗料とし
ては、本発明を拘束するものではないが、エポキシ樹脂
系,ポリエステル樹脂系等が使用される。下塗り塗膜の
上に、平均粒径10〜300μm,平均厚さ0.1〜2
0μmの鱗片状高光輝性顔料1〜30重量%及びPAN
等の有機樹脂ビーズを1〜30重量%を添加した上塗り
塗料を塗布し、上層塗膜を形成する。上塗り塗料には、
ポリエステル系,フッ素系,アクリル系,ウレタン系等
のエナメル塗料やポリエステル系のちぢみ模様形成塗料
が使用される。これにより、優れた光輝感及び耐摩耗性
を呈する2層構造塗膜の塗装鋼板が得られる。
【0009】透明な上層塗膜となる上塗り塗料に光輝性
顔料を配合するとき、より少ない顔料添加量で光輝感を
向上させた塗膜が得られる。塗装原板上に形成される塗
膜は、2層構造又は3層構造の何れであっても良い。2
層構造の塗膜では、防錆顔料及び着色顔料を含有する下
塗り塗料を塗装した後、鱗片状高光輝性顔料及び有機ビ
ーズを配合した透明塗料又は透明のちぢみ模様形成塗料
を塗布する。3層構造の塗膜では、防錆顔料を含有した
下塗り塗膜の上に着色顔料を含有するエナメル塗料を中
塗り塗装し、最上層に透明塗料又はちぢみ模様形成塗料
を塗布する。塗料の塗布には、プレコート鋼板の製造で
使用されているロールコート,スプレー,カーテンフロ
ー,ダイコート等が採用される。
【0010】上塗り塗料に配合される鱗片状高光輝性顔
料の鱗片状基体としては、平均粒径10〜300μm,
平均厚さ0.1〜20μmのパールマイカやガラスフレ
ークが好適である。平均粒径10μm未満の鱗片状基体
では、反射光強度が小さく十分な光輝感を発現しない。
反射光強度や製造性を考慮すると、平均粒径20〜20
0μmの鱗片状基体が望ましい。塗料用顔料として厚み
0.1〜1μmのパールマイカが市販されているが、市
販のパールマイカよりも厚い鱗片状基体も使用可能であ
る。鱗片状基体は、オーステナイト構造を有するFe基
合金又はNi基合金でコーティングされる。Fe基合金
又はNi基合金の被覆層は、空気との接触で自然発生す
る数十原子層の薄い不動態皮膜で最表層が覆われる。そ
の結果、高い光沢を保持した状態で、耐食性や耐候性が
著しく向上する。
【0011】Fe基合金又はNi基合金のコーティング
は、好ましくは粉末スパッタリング法で鱗片状基体に施
される。粉末スパッタリング法では、プラズマ状態まで
励起された合金を構成している複数の金属原子が鱗片状
基体の表面に高速で衝突する現象を繰り返す。この衝突
エネルギーによって、ガラスフレークやパールマイカを
構成しているSiO2,Al23,TiO2等の酸化物と
Fe基合金又はNi基合金とが反応し、界面にFe−T
i−O,Ni−Si−O,Cr−Al−O等の化合物が
形成される。化合物層は、Fe基又はNi基被覆層の鱗
片状基体に対する密着性を向上させ、塗料に対する分散
性,塗膜構成樹脂との層間密着性を改善する。また、化
合物層が被覆層形成の起点として働く核となり、極めて
高い密度で多数の核が形成される。したがって、少量の
Fe基合金又はNi基合金で鱗片状基体の表面が均一に
被覆され、形成された被覆層も欠陥のない緻密な構造と
なる。
【0012】鱗片状基体の表面に形成されたFe基又は
Ni基被覆層は、必要に応じてクロム酸系,リン酸系,
アルミナ系,ジルコニアゾル系等の無機系表面処理剤や
各種シランカップリング剤,チタネートカップリング剤
等を用いて表面処理される。この表面処理によって、F
e基又はNi基被覆層の塗膜構成樹脂に対する分散性及
び層間密着性が改善される。
【0013】
【作用】本発明の塗装鋼板は、光輝性顔料及び有機ビー
ズを分散させた上層塗膜をもっている。有機ビーズは、
上層塗膜中で立体障害として働き、鱗片状光輝性顔料の
配向方向をランダム化する。すなわち、鱗片状基体の面
が多方向に指向するため、観察角度に拘わらず顔料面で
反射した光が観察され、キラキラした光輝感が得られ
る。この点、有機ビーズを配合していない塗膜では、鱗
片状基体が塗膜表面と平行な方向に配向しやすく、結果
として光輝感に指向性が生じる。上層塗膜に分散してい
る有機ビーズは、塗膜表面を粗面化し、乱反射を促進さ
せる作用を呈する。そのため、シリカ等の光沢調整剤の
使用量を軽減でき、光沢調整剤添加に起因して高光輝性
顔料で反射した光が塗膜中で吸収されることが抑制され
る。これによっても、キラキラした光輝感が発現し易く
なる。
【0014】有機ビーズは、高光輝性顔料の頭出しに起
因する塗膜の摩耗を軽減する物理的緩衝効果をも奏す
る。有機ビーズのないメタリック塗膜では、塗膜表面か
ら顔料の端部が突出しているため、塗膜同士が擦れ合っ
た場合に塗膜が顔料の角で削られて摩耗する。これに対
し、本発明に従った塗膜では、有機ビーズを分散させて
いるので、塗膜同士の擦れ合いの際に有機ビーズが優先
的に接触し、顔料が接触する機会が少なくなる。したが
って、顔料の突出部で塗膜表面が削られることがなくな
り、耐摩耗性が改善される。このような物理的緩衝効果
は、上層塗膜の厚さT以上の粒径Rをもつ有機ビーズを
使用するときに顕著になる。しかし、R≧T×3の粒径
をもつ有機ビーズは、塗膜から脱落しやすくなり、塗膜
欠陥の原因となるので好ましくない。
【0015】
【実施例】実施例1:板厚0.5mm、片面当り亜鉛付
着量片面120g/m2 の溶融亜鉛めっき鋼板を酸洗
し、表面調整(NPC500、日本ペイント製)、塗布
型クロメート(NRC300NS、日本ペイント製)処
理を施して乾燥した後、クロム酸系防錆顔料を含有した
エポキシ系下塗り塗料を乾燥塗膜厚で5μmになるよう
に塗装した。次いで、着色ポリエステル系塗料,着色フ
ッ素系塗料又はちぢみ塗料(関西ペイント製ネオマッ
ト)を上塗り塗料として塗布した。なお、各上塗り塗料
には、平均粒径130μm,平均厚さ4μmのガラスフ
レークにNi基合金のハステロイを被覆した高光輝性顔
料又は平均粒径22μm,平均厚さ0.2μmのハステ
ロイ被覆パールマイカ10重量%及び平均粒径25μm
のPANビーズ10重量%添加した塗料を用意した。上
塗り塗膜は、ポリエステル系塗料で乾燥膜厚が15μ
m,フッ素系塗料及びちぢみ系塗料で乾燥膜厚が22μ
mとなるように設けた。各塗装鋼板から試験片を採取
し、耐摩耗性試験,光輝性試験及び耐候性試験に供し
た。
【0016】耐摩耗性試験では、塗膜面を外側にして幅
65mm×長さ100mmの試験片を半径8mmで曲げ
た。曲げた後の試験片凸部を同種の平板状塗装試験片の
表面とを擦り合せ、摺動距離70mm、加重5kg、速
さ300mm/分の摩耗条件下で塗膜が摩耗し下地が露
出するまでの摩擦回数(往復)をカウントし、摩耗回数
によって耐摩耗性を評価した。その回数が50回以上を
◎,40回以上50回未満を○,20回以上40回未満
を△,20回未満を×と判定した。光輝性試験では、3
00×200mmの試験片を用い、太陽光の下で目視観
察し、キラキラ感が非常に優れているものを◎,キラキ
ラ感が優れているものを○,キラキラ感があまりないも
のを△,キラキラ感が全く見られないものを×と判定し
た。耐候性試験では、150×60mmの塗装試験片を
サンシャインウェザーメーター(JIS K2246)
にセットし、連続紫外線照射と12分間/60分間の純
水噴霧を行い、1000時間経過後の色差ΔE及び光沢
保持率(GR)を測定した。
【0017】
【0018】No.1〜6の何れにおいても、優れた光
輝感のある表面を呈していた。また、それぞれの塗膜系
で外観は異なるものの、表1の試験結果にみられるよう
に、何れの塗装鋼板も耐摩耗性、耐候性に優れていた
(No.1〜3)。また、平均粒径22μm,平均厚さ
0.2μmのハステロイ被覆パールマイカ10重量%を
添加した上塗り塗膜でも、ハステロイ被覆ガラスフレー
クと同様な効果が得られた(No.4〜6)。
【0019】実施例2:板厚0.5mm、片面当り亜鉛
付着量片面120g/m2 の溶融亜鉛めっき鋼板を酸洗
した後、表面調整(NPC500、日本ペイント製),
塗布型クロメート(NRC300NS、日本ペイント
製)処理を施して乾燥した後、クロム酸系防錆顔料及び
着色顔料を含有したポリエステル系着色下塗り塗料を乾
燥塗膜厚で15μmになるように塗装した。次いで、ポ
リエステル系透明塗料,フッ素系透明塗料又は透明ちぢ
み塗料(関西ペイント製ネオマット)を上塗り塗料とし
て塗布した。なお、各上塗り塗料には、平均粒径130
μm,平均厚さ4μmのガラスフレークにNi基合金の
ハステロイを被覆した高光輝性顔料又は平均粒径22μ
m,平均厚さ0.2μmのハステロイ被覆パールマイカ
0.5重量%及び平均粒径25μmのPANビーズ2重
量%添加した塗料を用意した。上塗り塗膜は、ポリエス
テル系塗料で乾燥膜厚が15μm,フッ素系塗料及びち
ぢみ系塗料で乾燥膜厚が22μmとなるように設けた。
【0020】各塗装鋼板について、実施例1と同様に耐
摩耗性,光輝性及び耐候性を調査した。No.7〜12
の何れの塗装鋼板も、優れた光輝感のある塗膜面をもっ
ていた。また、それぞれの塗装系で外観は異なるが、表
2の調査結果にみられるように、耐摩耗性、耐候性に優
れていた(No.7〜9)。高光輝性顔料として平均粒
径22μm,平均厚さ0.2μmのハステロイ被覆パー
ルマイカ0.5重量%を上塗り塗膜に添加しても、ハス
テロイ被覆ガラスフレークと同様の効果が得られた(N
o.10〜12)。
【0021】
【0022】実施例3:板厚0.5mm、片面当り亜鉛
付着量片面120g/m2 の溶融亜鉛めっき鋼板を酸洗
した後、表面調整(NPC500、日本ペイント製),
塗布型クロメート(NRC300NS、日本ペイント
製)処理を施して乾燥した後、クロム酸系防錆顔料を含
有したエポキシ系下塗り塗料を乾燥塗膜厚で5μmにな
るように塗装し、更に着色ポリエステル塗料又は着色フ
ッ素系塗料を用いて中塗り塗装した。中塗り塗膜は、着
色ポリエステル塗料で乾燥膜厚10μm,着色フッ素系
塗料で乾燥膜厚12μmに設定した。次いで、ポリエス
テル系透明塗料,フッ素系透明塗料又は透明ちぢみ塗料
(関西ペイント製ネオマット)を上塗り塗料として塗布
した。なお、各上塗り塗料には、平均粒径130μm,
平均厚さ4μmのガラスフレークにNi基合金のハステ
ロイを被覆した高光輝性顔料又は平均粒径22μm,平
均厚さ0.2μmのハステロイ被覆パールマイカ0.5
重量%及び平均粒径25μmのPANビーズ2重量%添
加した塗料を用意した。上塗り塗膜は、ポリエステル系
塗料で乾燥膜厚が15μm,フッ素系塗料及びちぢみ系
塗料で乾燥膜厚が22μmとなるように設けた。
【0023】各塗装鋼板について、実施例1と同様に耐
摩耗性,光輝性及び耐候性を調査した。No.13〜1
8の塗装鋼板は、何れも光輝感が高く耐摩耗性に優れた
塗膜面をもっていた。また、それぞれの塗装系で外観は
異なるものの、表3の調査結果にみられるように、耐候
性に優れており、色差ΔEも小さな値を示した(No.
13〜15)。高光輝性顔料として平均粒径22μm,
平均厚さ0.2μmのハステロイ被覆パールマイカを上
塗り塗膜中に0.5重量%添加した場合でも、ハステロ
イ被覆ガラスフレークと同様の効果が得られた(No.
16〜18)。
【0024】
【0025】比較例1:平均粒径,添加量が本発明で規
定した範囲を外れる高光輝性顔料を上塗り塗膜に分散さ
せた以外は実施例1と同様な着色塗料系の2層構造塗膜
を形成した塗装鋼板(No.19〜20),平均粒径,
添加量が本発明で規定した範囲を外れる高光輝性顔料を
上塗り塗膜に分散させた以外は実施例2と同様な着色下
塗り塗膜の上に透明上塗り塗膜を形成した塗装鋼板(N
o.21〜23)を作製し、同様に耐摩耗性,光輝性及
び耐候性を調査した。表4の調査結果にみられるよう
に、上塗り塗膜に分散させる高光輝性顔料の平均粒径が
小さすぎるNo.19−1,高光輝性顔料の添加量が少
なすぎるNo.19−2では、十分な光輝性が得られな
い塗膜表面であった。平均粒径が大きすぎるNo.20
−1,高光輝性顔料を過剰に添加したNo.20−2で
は、塗装に支障をきたした。
【0026】No.21〜23は、表4に示した下塗り
塗膜に先立ってエポキシ系のプライマーを塗装すると実
施例3と同様な3層構造の塗膜になるものであるが、プ
ライマー層のない塗膜構造では高光輝性顔料の平均粒径
が10μmより小さいNo.21−1及び高光輝性顔料
の添加量が0.1%未満のNo.21−2にみられるよ
うに光輝感がほとんど発現せず、意匠性に劣る塗膜表面
であった。また、高光輝性顔料の平均粒径が300μm
を超えるNo.22では、添加量の多少に拘わらず塗装
が困難であった。このようなことから、No.19〜2
3では、光輝性試験,耐候性試験に供し得る試験片が得
られなかった。また、ポリエステル系に代えてフッ素系
をベース樹脂とした場合でも、同様な傾向を示した。
【0027】
【0028】比較例2:実施例1と同様の着色塗料系の
2層構造塗膜でPANビーズを配合しない塗装鋼板(N
o.24〜29),実施例2と同様な透明塗膜にPAN
ビーズを配合しない塗装鋼板(No.30〜35)を製
造し、PANビーズの有無が耐摩耗性,光輝性,耐候性
に及ぼす影響を調査した。耐候性に関しては表5の調査
結果にみられるように本発明例と大差はないが、塗膜の
耐摩耗性が極端に劣っていた。また、観察方向によって
は、メタリック感に差が生じた。この結果を実施例1〜
3と比較したとき、塗膜に分散しているPANビーズの
物理的緩衝効果により高光輝性顔料により塗膜表面の疵
付きが防止され、しかも高光輝性顔料の配向方向が不均
一化されることが窺がわれる。
【0029】
【0030】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明の高光輝
性塗装鋼板は、偏平状の光輝性顔料及び有機ビーズを配
合した上層塗膜を形成しているので、有機ビーズにより
光輝性顔料の配向方向がランダム化され、指向性のない
メタリック感を呈する塗膜表面が得られる。また、光輝
性顔料の突出部が他の塗膜表面を削り取ることが有機ビ
ーズの物理的緩衝効果により防止されるため、塗膜の耐
摩耗性も向上する。しかも、オーステナイト構造のFe
基合金又はNi基合金を鱗片状基体にコーティングした
光輝性顔料では、顔料の表面に不動態皮膜が形成されて
いるため、太陽光線に長期間曝される用途でも光輝性が
劣化することはない。このようにして、本発明の高光輝
性塗装鋼板は、優れた光輝性,耐摩耗性,耐候性を活用
し、外装用,内装用等の高級建材として使用される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川野辺 啓之 千葉県市川市高谷新町7番1号 日新製 鋼株式会社技術研究所内 (56)参考文献 特開 平4−11672(JP,A) 特開 平10−259316(JP,A) 特開 平5−1248(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B05D 1/00 - 7/26 B32B 15/08

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼板表面に複数の塗膜層が形成されてお
    り、上層塗膜は平均粒径10〜300μm,平均厚さ
    0.1〜20μmの鱗片状基体に金属をコーティングし
    た顔料1〜30重量%及び有機ビーズ1〜30重量%を
    含む着色塗膜である指向性のない高光輝性塗装鋼板。
  2. 【請求項2】 鋼板表面に複数の塗膜層が形成されてお
    り、上層塗膜は平均粒径10〜300μm,平均厚さ
    0.1〜20μmの鱗片状基体に金属をコーティングし
    た顔料0.1〜5重量%及び有機ビーズ1〜30重量%
    を含む透明塗膜である指向性のない高光輝性塗装鋼板。
  3. 【請求項3】 ガラスフレーク又はパールマイカを鱗片
    状基体とし、オーステナイト構造をもつFe基合金又は
    Ni基合金を膜厚50〜300Åでスパッタコーティン
    グした高光輝性顔料を使用する請求項1又は2記載の
    向性のない高光輝性塗装鋼板。
  4. 【請求項4】 上層塗膜の厚さTに対し1≦R/T≦3
    の関係にある粒径Rをもつ有機ビーズを使用する請求項
    1又は2記載の指向性のない高光輝性塗装鋼板。
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