JP2000267303A - 電子写真感光体及びその製造方法 - Google Patents

電子写真感光体及びその製造方法

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JP2000267303A
JP2000267303A JP11067404A JP6740499A JP2000267303A JP 2000267303 A JP2000267303 A JP 2000267303A JP 11067404 A JP11067404 A JP 11067404A JP 6740499 A JP6740499 A JP 6740499A JP 2000267303 A JP2000267303 A JP 2000267303A
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Hitoshi Takimoto
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電子写真感光体の品質バラツキを低減し、か
つ電子写真感光体の電気特性及び画像特性を向上しうる
電子写真感光体の製造方法、及び高品質な画像を長期間
安定に形成しうる電子写真感光体を提供する。 【解決手段】 少なくとも、基体上に加水分解縮合性材
料を含有する下引き層を形成する下引き層形成工程と、
前記下引き層上に、電荷発生材料と界面活性剤とを含有
する電荷発生層を形成する電荷発生層形成工程と、を有
することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。前記
加水分解縮合性材料が、有機金属化合物及び/又はシラ
ンカップリング剤であり、前記有機金属化合物が、有機
ジルコニウム化合物又は有機チタニウム化合物である態
様、前記界面活性剤が、非イオン性界面活性剤である態
様が好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、導電性基体上に、
積層型の感光層を有する電子写真感光体及びその製造方
法に関し、詳しくは、品質安定性に優れ、高画質な画像
を安定に形成しうる電子写真感光体及びその製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】電子写真装置は、高速でかつ印字品質が
高いことから、複写機及びレーザープリンタ等の分野に
おいて広く利用されている。現在では、これらの電子写
真装置に用いられる感光体としては、有機光導電材料を
用いた有機感光体(OPC)が汎用されている。また、
感光体の構造は、電荷移動型錯体や電荷発生材料を結着
樹脂中に分散した単層型の感光体から、電荷発生層と電
荷輸送層とを分離した機能分離型の感光体へと変遷し、
電子写真装置の性能の向上に大きく寄与している。この
機能分離型構造を有する感光体は、現在では、アルミニ
ウム基体上に、まず下引き層を形成し、その層上にさら
に、電荷発生層及び電荷輸送層を形成したものが主流と
なって普及しているが、電子写真技術の進歩に伴って、
より高品位な画質が要求される状況の下、画質を大きく
左右する感光体の性能のさらなる向上が求められてい
る。
【0003】このような状況の中、最近、レーザープリ
ンタ用等の感光体において、干渉縞の発生が問題とさ
れ、干渉縞を防止する方法として様々な方法が検討され
ており、特に、導電性基体表面を粗面化する方法が一般
に行われている。しかし、導電性基体表面を粗面化した
場合、この基体表面上に電荷発生層を塗布しようとする
と、はじき、ぶつ等の塗布欠陥が発生したり、導電性基
体から局所的に電荷が注入されることがあり、形成画像
中に黒ポチ、白抜け等が発生する等の問題があった。
【0004】上記問題を解決する手段として、一般に、
導電性基体と電荷発生層との間に下引き層が設けられ
る。下引き層を形成するための材料としては、ポリ酢酸
ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラー
ル、ポリビニルメチルエーテル、ポリアミド、熱可塑性
ポリエステル、フェノキシ樹脂、カゼイン、ゼラチン、
ニトロセルロース等の熱可塑性樹脂、ポリイミド、ポリ
エチレンイミン、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノ
ール樹脂、ポリウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂が知られ
ている。しかしながら、これらの樹脂を用いて下引き層
を形成した場合、概して感度の低下、繰り返し使用時の
残留電位の増大等の電気特性上の問題や画像欠陥等の画
像上の問題を招き、上記問題を解決するに至らなかっ
た。
【0005】これに対し、より高感度が得られ、画質及
び繰り返し安定性や環境安定性に優れた電子写真感光体
として、シランカップリング剤等の加水分解縮重合性化
合物を乾燥硬化した膜が、下引き層として優れた電子写
真特性を有することが知られている。ところで、この加
水分解縮重合性化合物は、硬化反応する際、適量の水を
必要とし、水との加水分解反応によりメトキシ基、エト
キシ基、ブトキシ基等のアルコキシ成分が脱離して縮重
合反応が進行するという反応形態を有する。従って、加
水分解縮重合性化合物を含有する層を効率よく硬化させ
るためには、水分の存在が不可欠である。この水分は、
通常、下引き層塗布液中に存在する水分が利用された
り、指触乾燥時の環境空気から供給されたり、或いは、
乾燥時に乾燥機内に含まれる空気から供給され、硬化反
応が進行する。
【0006】ところが、塗布液や指触乾燥時の環境空
気、乾燥機内の空気に存在する水分量は、加水分解縮重
合性化合物の硬化反応を十分に促進させるためには、必
ずしも十分な量とは言えない。また、季節や天候等の気
象条件によって、含有する水分量が変動するため、効果
反応終了後の下引き層の硬化状態としては、不完全な状
態で終了しており、形成された下引き層に多くのバラツ
キを有している。このため、製造後の感光体において
も、品質にバラツキが多く生じていた。特に、冬季の乾
燥した時期に、加水分解縮重合性化合物を用いて下引き
層を形成した場合には、加水分解縮重合反応が十分促進
されないために、電子写真特性上、製造された感光体の
残留電位の上昇や形成画質に欠陥の発生を生じていた。
【0007】しかし、十分な水分を確保するために、下
引き層用塗布液中の含有水分量を多くすると、下引き層
用塗布液の保管時に加水分解反応が進行し、液の経時変
化が極めて大きくなるため、塗布液自体のポットライフ
を低下させる要因となる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来に
おける諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課
題とする。即ち、本発明は、電子写真感光体の品質バラ
ツキを低減し、かつ電子写真感光体の電気特性及び画像
特性を向上しうる電子写真感光体の製造方法、及び高品
質な画像を長期間安定に形成しうる電子写真感光体を提
供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、電子写真
感光体の基体上に設ける下引き層及び電子発生層を構成
する構成成分に関し鋭意検討を重ねた結果、基体上に、
加水分解縮合性材料を含有する下引き層を形成し、該下
引き層上に、界面活性剤を含有する水系溶媒中に電荷発
生材料を分散した分散液を塗布して電荷発生層を積層す
ることにより、電子写真感光体の製造品質のバラツキを
低減し、かつ高品質な画像を長期間安定に形成しうるこ
とを見出し、本発明を完成するに至った。前記課題を解
決するための手段は以下の通りである。即ち、
【0010】<1> 少なくとも、基体上に加水分解縮
合性材料を含有する下引き層を形成する下引き層形成工
程と、前記下引き層上に、電荷発生材料と界面活性剤と
を含有する電荷発生層を形成する電荷発生層形成工程
と、を有することを特徴とする電子写真感光体の製造方
法である。 <2> 加水分解縮合性材料が、有機金属化合物及び/
又はシランカップリング剤である前記<1>に記載の電
子写真感光体の製造方法である。 <3> 有機金属化合物が、有機ジルコニウム化合物又
は有機チタニウム化合物である前記<2>に記載の電子
写真感光体の製造方法である。 <4> 界面活性剤が、非イオン性界面活性剤である前
記<1>〜<3>のいずれかに記載の電子写真感光体の
製造方法である。
【0011】<5> 非イオン性界面活性剤が、下記一
般式(1)で表される非イオン性界面活性剤である前記
<4>に記載の電子写真感光体の製造方法である。
【0012】
【化3】
【0013】〔式中、R1は、水素原子、アルキル基、
アルキルカルボニル基を表す。n及びmは、n=m=0
の場合を除き、それぞれ独立に0以上の整数を表す。〕
【0014】<6> 非イオン性界面活性剤が、下記一
般式(2)で表される非イオン性界面活性剤である前記
<4>に記載の電子写真感光体の製造方法である。
【0015】
【化4】
【0016】〔式中、R2は、水素原子、アルキル基、
アルキルカルボニル基、アルコキシ基、アルコキシカル
ボニル基を表す。p及びqは、p=q=0の場合を除
き、それぞれ独立に0以上の整数を表す。〕
【0017】<7> 電荷発生材料が、クロロガリウム
フタロシアニン結晶物、無金属フタロシアニン結晶物、
ヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶物又はチタニル
フタロシアニン結晶物である前記<1>〜<6>のいず
れかに記載の電子写真感光体の製造方法である。
【0018】<8> 前記<1>〜<7>のいずれかに
記載の電子写真感光体の製造方法により得られることを
特徴とする電子写真感光体である。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明の電子写真感光体の製造方
法においては、少なくとも、基体上に加水分解縮合性材
料を含有する下引き層を形成し、該下引き層上に、界面
活性剤を含有する水系溶媒中に電荷発生材料を分散した
分散液を塗布して電荷発生層を積層する。本発明の電子
写真感光体は、基体上に、少なくとも下引き層と電荷発
生層とを有してなり、必要に応じて他の層を有してな
り、前記本発明の電子写真感光体の製造方法により製造
される。以下、本発明の電子写真感光体の製造方法につ
いて詳細に説明するとともに、該説明を通じて本発明の
電子写真感光体の詳細をも明らかにする。
【0020】<電子写真感光体の製造方法>本発明の電
子写真感光体の製造方法は、少なくとも、基体上に加水
分解縮合性材料を含有する下引き層を形成する下引き層
形成工程と、前記下引き層上に、電荷発生材料と界面活
性剤とを含有する電荷発生層を形成する電荷発生層形成
工程とを有してなる。即ち、前記下引き層形成工程を経
た後、電荷発生層形成工程を設ける。また、本発明にお
いては、前記電荷発生層形成工程の後に、電荷輸送層形
成工程を設け、また、該電荷輸送層形成工程の後に、さ
らに保護層形成工程を設けることもできる。
【0021】前記下引き層形成工程においては、加水分
解縮合性材料を含有する下引き層用塗布液を調製し、該
塗布液を基体上に塗布して下引き層を形成する。前記下
引き層用塗布液は、溶媒中に所望の加水分解縮合性材料
を加え、必要に応じて、結着樹脂や導電性の微粒子であ
る酸化スズ、酸化チタン、酸化インジウム、酸化アンチ
モン又は酸化アンチモンをドープした酸化スズ等を添加
して調製する。
【0022】前記加水分解縮合性材料としては、有機金
属化合物、シランカップリング剤等を挙げることができ
る。本発明においては、前記有機金属化合物及びシラン
カップリング剤の少なくとも一方を用いて下引き層を構
成する。特に、外部より供給される水分により硬化反応
を促進し、十分な重合硬化度を有する下引き層を形成す
る点で、有機金属化合物及びシランカップリング剤の両
方を併用することが好ましい。
【0023】前記有機金属化合物としては、ジルコニウ
ム、チタン又はアルミニウムを含有する有機金属化合
物、即ち、有機ジルコニウム化合物、有機チタニウム化
合物、有機アルミニウム化合物を挙げることができ、十
分に硬化し、安定に下引き層を形成する観点から、有機
ジルコニウム化合物、有機チタニウム化合物が好まし
い。
【0024】前記有機ジルコニウム化合物としては、例
えば、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムトリエタ
ノールアミネート、アセチルアセトンジルコニウムブト
キシド、アセト酢酸エチルジルコニウムブトキシド、ジ
ルコニウムアセテート、ジルコニウムオキサレート、ジ
ルコニウムラクテート、オクタン酸ジルコニウム、ナフ
テン酸ジルコニウム、ラウリン酸ジルコニウム、ステア
リン酸ジルコニウム、イソステアリン酸ジルコニウム、
ブトキシジルコニウムメタクリレート、ブトキシジルコ
ニウムステアレート、ブトキシジルコニウムイソステア
レート等が挙げられる。
【0025】前記有機チタン化合物としては、例えば、
テトライソプロピルチタネート、テトラn−ブチルチタ
ネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチ
ルヘキシル)チタネート、チタンオクチレングリコレー
ト、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテー
ト、エトキシチタンラクテート、チタントリエタノール
アミネート、ポリヒドロキシチタンステアレート等が挙
げられる。
【0026】前記有機アルミニウム化合物としては、例
えば、アルミニウムイソプロピレート、モノブトキシア
ルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムブチレー
ト、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピ
レート等が挙げられる。
【0027】前記シランカップリング剤としては、例え
ば、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプ
ロピル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−
(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキ
シシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラ
ン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロ
ピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエト
キシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプ
ロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)
−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N,N
−ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピル
トリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシ
シラン等が挙げられる。
【0028】上記のうち、ビニルトリエトキシシラン、
ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メ
タクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシ
ドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エ
ポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N
−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメト
キシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプ
ロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルト
リエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピル
トリメトキシシラン、γ−ルカプトプロピルトリメトキ
シシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシランが好
ましい。
【0029】下引き層用塗布液とした場合の、該塗布液
中における加水分解縮合性材料の固形分濃度としては、
5〜50重量%が好ましく、15〜30重量%がより好
ましい。前記固形分濃度が、5重量%未満であると、膜
厚を厚く塗布することが困難となることがあり、50重
量%を超えると、塗布液がゲル化しやすくなることがあ
る。
【0030】有機金属化合物とシランカップリング剤と
を併用する場合、その使用量比(有機金属化合物:シラ
ンカップリング剤)としては、99:1〜5:95が好
ましく、95:5〜80:20がより好ましい。
【0031】前記溶媒としては、公知の溶媒の中から適
宜選択することができ、例えば、n−ブタノール、is
o−ブタノール、1−プロパノール、2−プロパノール
等を挙げることができる。前記溶媒の使用量としては、
加水分解縮合性材料の全重量に対し、50〜95重量%
が好ましく、70〜85重量%がより好ましい。前記使
用量が、50重量%未満であると、塗布液がゲル化しや
すくなるとなることがあり、95重量%を超えると、膜
厚を厚く塗布することが困難となることがある。
【0032】前記結着樹脂としては、前記シランカップ
リング剤及び有機金属化合物との相溶性を有する結着樹
脂であれば、公知の高分子化合物の中から適宜選択で
き、例えば、ポリビニルブチラール等のアセタール樹
脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド
樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、
ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポ
リ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル−
酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シ
リコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデ
ヒド樹脂、メラミン樹脂等が挙げられる。これらの樹脂
は、単独で、又は複数の化合物の混合物若しくはその縮
重合物として用いることができる。
【0033】前記結着樹脂の使用量としては、加水分解
縮合性材料の全重量に対し1〜50重量%が好ましく、
5〜25重量%がより好ましい。前記使用量が、1重量
%未満であると、膜厚を厚くしようとすると成膜性が低
下し、下引き層にクラックが入りやすくなることがあ
り、50重量%を超えると、塗布液がゲル化しやすくな
ることがある。
【0034】下引き層用塗布液を塗布する塗布方法とし
ては、公知の塗布方法の中から適宜選択することがで
き、例えば、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、ス
プレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイ
フ塗布法、カーテン塗布法等が挙げられる。
【0035】基体上に設ける下引き層の層厚としては、
0.1〜10μmが好ましく、0.1〜2μmがより好
ましい。前記層厚が、0.1μm未満であると、黒ポチ
や白抜け等の画像欠陥が発生することがあり、10μm
を超えると、下引き層にクラックが入りやすくなること
がある。
【0036】前記電荷発生層形成工程においては、水系
溶媒中に電荷発生材料と界面活性剤とを含有する電荷発
生層用分散液を調製し、該塗布液を前記下引き層上に積
層塗布して電荷発生層を形成する。前記電荷発生層用分
散液は、界面活性剤を溶解した水系溶媒中に電荷発生材
料を分散し、必要に応じて、結着樹脂等を添加して調製
する。
【0037】基体上に、加水分解縮合性材料を含有する
下引き層用塗布液を塗布して下引き層を形成した後、該
下引き層上にさらに、界面活性剤を溶解した水系溶媒中
に電荷発生材料を分散して調製した電荷発生層用分散液
を積層して塗布することにより、電荷発生層用分散液か
ら前記下塗り層に効率よく、且つ均一に水分を供給する
ことができ、下塗り層中に含有する加水分解縮合性材料
の硬化反応を効果的に促進させ、十分な重合硬化度を有
する下引き層を形成することができる。即ち、電荷発生
材料を分散する溶媒に水系溶媒を用いることにより、上
記のように、硬化反応を効果的に、且つ安定に促進させ
ることが可能となる。
【0038】前記硬化反応は、上述の通り、均一かつ安
定に水分が供給されることにより、加水分解縮合性材料
中のアルコール成分やカルボン酸成分等の加水分解性を
有する成分が効率よく脱離し、縮重合反応が促進され
る。その結果、感光体製造時における製造環境等の変化
の影響を受け難く、電子写真感光体の製造品質のバラツ
キを低減できるとともに、帯電特性に優れ、かつ長期間
安定に黒ポチ等の画像欠陥の発生のない高画質な画像を
形成しうる電子写真感光体を安定に製造することができ
る。
【0039】前記界面活性剤としては、公知の界面活性
剤の中から適宜選択することができるが、電荷発生層中
で電気的な障害が生じるのを防止するために、非イオン
性界面活性剤を用いることが好ましい。
【0040】非イオン性界面活性剤としては、ポリオキ
シアルケンアルキルエーテル、ポリオキシアルケンアル
キルフェニルエーテル、ポリオキシアルケンソルビタン
脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセライド、ポリエチレ
ングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシアルケンアル
キルアミン等が挙げられ、中でも、下記一般式(1)で
表わされるポリオキシアルケンアルキルエーテル又は一
般式(2)で表わされるポリオキシアルケンアルキルフ
ェニルエーテルが好ましい。
【0041】
【化5】
【0042】〔式中、R1は、水素原子、アルキル基、
アルキルカルボニル基を表す。m及びnは、m=n=0
の場合を除き、それぞれ独立に0以上の整数を表す。〕
【0043】
【化6】
【0044】〔式中、R2は、水素原子、アルキル基、
アルキルカルボニル基、アルコキシ基、アルコキシカル
ボニル基を表す。p及びqは、p=q=0の場合を除
き、それぞれ独立に0以上の整数を表す。〕
【0045】まず、一般式(1)で表わされるポリオキ
シアルケンアルキルエーテルについて説明する。一般式
(1)中、R1は、水素原子、アルキル基、アルキルカ
ルボニル基を表す。m及びnは、m=n=0の場合を除
き、それぞれ独立に0以上の整数を表す。前記m、nと
しては、それぞれ独立に、0〜50の整数が好ましく、
0〜20の整数がより好ましい。さらに、前記m及びn
の和m+nが、2〜50であることが好ましい。前記m
+nが、2未満であると、塗膜にクラックが入りやすく
なることがあり、50を超えると、塗布時に塗布液がは
じき易くなることがある。
【0046】前記アルキル基としては、炭素数6〜14
のアルキル基が好ましく、炭素数8〜12のアルキル基
がより好ましい。前記アルキル基は、直鎖状構造のみな
らず、分岐状構造のものであってもよい。具体的には、
オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデ
シル基等を挙げることができ、中でも、ノニル基が好ま
しい。
【0047】前記アルキルカルボニル基としては、炭素
数6〜14のアルキルカルボニル基が好ましく、炭素数
8〜12のアルキルカルボニル基がより好ましい。前記
アルキルカルボニル基は、直鎖状構造のみならず、分岐
状構造のものであってもよい。具体的には、オクチルカ
ルボニル基、ノニルカルボニル基、デシルカルボニル
基、ウンデシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基等
を挙げることができ、中でも、ノニルカルボニル基が好
ましい。
【0048】前記一般式(1)で表わされるポリオキシ
アルケンアルキルエーテルとしては、その分子量が、1
70〜3300のものが好ましく、400〜900のも
のがより好ましい。
【0049】以下に、一般式(1)で表わされるポリオ
キシアルケンアルキルエーテルの具体例を示すが、本発
明においては、これらに限定されるものではない。
【0050】
【化7】
【0051】次に、一般式(2)で表わされるポリオキ
シアルケンアルキルフェニルエーテルについて説明す
る。一般式(2)中、R2は、水素原子、アルキル基、
アルキルカルボニル基、アルコキシ基、アルコキシカル
ボニル基を表す。p及びqは、p=q=0の場合を除
き、それぞれ独立に0以上の整数を表す。前記p、qと
しては、それぞれ独立に、0〜50の整数が好ましく、
0〜20の整数がより好ましい。さらに、前記p及びq
の和p+qが、2〜50であることが好ましい。前記p
+qが、2未満であると、塗膜にクラックが入りやすく
なることがあり、50を超えると、塗布時に塗布液がは
じき易くなることがある。
【0052】前記アルキル基としては、炭素数6〜14
のアルキル基が好ましく、炭素数8〜12のアルキル基
がより好ましい。前記アルキル基は、直鎖状構造のみな
らず、分岐状構造のものであってもよい。具体的には、
オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデ
シル基等を挙げることができ、中でも、ノニル基が好ま
しい。
【0053】前記アルキルカルボニル基としては、炭素
数6〜14のアルキルカルボニル基が好ましく、炭素数
8〜12のアルキルカルボニル基がより好ましい。前記
アルキルカルボニル基は、直鎖状構造のみならず、分岐
状構造のものであってもよい。具体的には、オクチルカ
ルボニル基、ノニルカルボニル基、デシルカルボニル
基、ウンデシルカルボニル基、ドデシルカルボニル基等
を挙げることができ、中でも、ノニルカルボニル基が好
ましい。
【0054】前記アルコキシ基としては、炭素数6〜1
4のアルコキシ基が好ましく、炭素数8〜12のアルコ
キシ基がより好ましい。具体的には、オクトキシ基、ノ
ノキシ基、デコキシ基、ウンデコキシ基、ドデコキシ基
等を挙げることができ、中でも、ノノキシ基が好まし
い。
【0055】前記アルコキシカルボニル基としては、炭
素数6〜14のアルコキシカルボニル基が好ましく、炭
素数8〜12のアルコキシカルボニル基がより好まし
い。具体的には、オクトキシカルボニル基、ノノキシカ
ルボニル基、デコキシカルボニル基、ウンデコキシカル
ボニル基、ドデコキシカルボニル基等を挙げることがで
き、中でも、ノノキシカルボニル基が好ましい。
【0056】前記一般式(2)で表わされるポリオキシ
アルケンアルキルフェニルエーテルとしては、その分子
量が、250〜3400のものが好ましく、480〜1
000のものがより好ましい。
【0057】以下に、一般式(2)で表わされるポリオ
キシアルケンアルキルフェニルエーテルの具体例を示す
が、本発明においては、これらに限定されるものではな
い。
【0058】
【化8】
【0059】上記のように、本発明においては、電荷発
生材料を分散する溶媒に水系溶媒を用いるが、この場合
に界面活性剤を併用することにより、調製した電荷発生
層用分散液中における電荷発生材料に対する、十分な分
散安定性を得ることができる。従って、従来のように溶
剤に高分子のバインダ材料を溶解した溶媒を分散媒とし
て用いなくとも、十分な分散安定性が確保でき、電荷発
生材料の凝集を回避できるため、凝集を含む電荷発生層
が形成されることによる画像欠陥の防止、並びに電荷発
生層用分散液のポットライフの向上を図ることができ
る。この場合、特に、前記一般式(1)又は(2)で表
される非イオン性界面活性剤が有用である。
【0060】前記電荷発生材料としては、例えば、無金
属フタロシアニン,クロロガリウムフタロシアニン,ヒ
ドロキシガリウムフタロシアニン,ジクロロスズフタロ
シアニン,チタニルフタロシアニン等のフタロシアニン
顔料、クリドン顔料、キノン顔料、ペリレン顔料、イン
ジゴ顔料、ベンズイミダゾロン顔料、アントロン顔料、
スクエアリウム顔料等が挙げられ、中でも、分散時の分
散安定性に優れ、良好な成膜性が得られる点で、フタロ
シアニン顔料が好ましい。
【0061】前記フタロシアニン顔料としては、以下の
ものが挙げられるが、本発明においては、これらに限定
されるものではない。例えば、X線回折スペクトルにお
いて、CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ±
0.2゜)の、少なくとも、7.4゜、16.6゜、2
5.5゜及び28.3゜に強い回折ピークを有するクロ
ロガリウムフタロシアニン結晶物;X線回折スペクトル
において、CuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ
±0.2゜)の、少なくとも、7.7゜、9.3゜、1
6.9゜、17.5゜、22.4゜及び28.8゜に強
い回折ピークを有する無金属フタロシアニン結晶物;
【0062】X線回折スペクトルにおいて、CuKα特
性X線に対するブラッグ角(2θ±0.2゜)の、少な
くとも、7.5゜、9.9゜、12.5゜、16.3
゜、18.6゜、25.1゜及び28.3゜に強い回折
ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶
物;X線回折スペクトルにおいて、CuKα特性X線に
対するブラッグ角(2θ±0.2゜)の、少なくとも、
9.6゜、24.1゜及び27.2゜に強い回折ピーク
を有するチタニルフタロシアニン結晶物等が挙げられ
る。
【0063】中でも、塗布液とした時の分散安定性、電
子写真特性の点で、クロロガリウムフタロシアニン結晶
物、無金属フタロシアニン結晶物、ヒドロキシガリウム
フタロシアニン結晶物又はチタニルフタロシアニン結晶
物が好ましい。また、これらの電荷発生材料は、単独で
又は2種以上を混合して用いることができる。
【0064】電荷発生層用分散液とした場合の、該塗布
液中における電荷発生材料の固形分濃度としては、1〜
50重量%が好ましく、1〜10重量%がより好まし
い。前記固形分濃度が、1重量%未満であると、膜厚を
厚くすることが困難となることがあり、50重量%を超
えると、ポットライフが低下することがある。
【0065】界面活性剤と電荷発生材料の配合比(重
量)としては、1:10〜10:1が好ましく、1:5
〜5:1がより好ましい。前記配合比が、1:10未
満、即ち、界面活性剤量が少なすぎると、電荷発生層用
分散液の分散安定性が低下し、形成した電荷発生層中に
多数の電荷発生材料の凝集が形成して、黒ポチや白抜け
等の画質欠陥を生ずる原因となることがあるだけでな
く、分散液のポットライフを低下させてしまうことがあ
り、10:1を超える、即ち、界面活性剤量が多すぎる
と、残留電位が上昇、感度が低下することがある。
【0066】前記水系溶媒としては、イオン交換水、蒸
留水等の精製水が好ましく、界面活性剤を溶解する限り
においては、水以外の極性溶媒を混合して用いることが
できる。前記極性溶媒としては、メタノール、エタノー
ル、プロパノール、ブタノール、ジメチルスルホキシ
ド、ジメチルホルムアミド、エチレングリコール等を挙
げることができる。
【0067】前記水系溶媒の使用量としては、電荷発生
層の全重量に対し100〜10000重量%が好まし
く、200〜1000重量%がより好ましい。前記使用
量が、100重量%未満であると、分散できないことが
あり、10000重量%を超えると、膜厚を厚くするこ
とが困難となることがある。
【0068】電荷発生層に使用可能な結着樹脂として
は、例えば、天然系のものでは、アラビアガム、トラガ
ンガム、グーアガム、カラヤガム、ローカストビーンガ
ム、アラビノガラクトン、ペクチン、クインスシードデ
ンプン等の植物性高分子;アルギン酸、カラギーナン、
寒天等の海藻系高分子;ゼラチン、カゼイン、アルブミ
ン、コラーゲン等の動物系高分子;キサンテンガム、デ
キストラン等の微生物系高分子等が挙げられ、半合成系
のものでは、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒ
ドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロ
ース、カルボキシメチルセルロース等の繊維系高分子等
が挙げられる。また、純合成系のものでは、ポリビニル
アルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチル
エーテル等のビニル系高分子;非架橋ポリアクリルアミ
ド、水溶性スチレンアクリル樹脂等のアクリル系樹脂等
が挙げられる。
【0069】前記水系溶媒中に、電荷発生材料、界面活
性剤、必要に応じて結着樹脂等を加えて分散し、塗布液
状の電荷発生層用分散液を調製する場合、分散手段とし
ては、公知の分散機の中から適宜選択することができ、
例えば、サンドミル、コロイドミル、アトライター、ボ
ールミル、ダイノーミル、高圧ホモジナイザー、超音波
分散機、コボールミル、ロールミル等が挙げられる。
【0070】電荷発生層用分散液を塗布する塗布方法と
しては、公知の塗布方法の中から適宜選択することがで
き、例えば、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、ス
プレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイ
フ塗布法、カーテン塗布法等が挙げられる。
【0071】電荷発生層の層厚としては、0.01〜5
μmが好ましく、0.03〜2μmがより好ましい。前
記層厚が、0.01μm未満であると、感度が低下し、
濃度ムラが生ずることがあり、5μmを超えると、塗布
の際に塗膜にクラックが入りやすくなることがある。
【0072】本発明の電子写真感光体においては、上記
のようにして、基体上に下引き層、電荷発生層をこの順
に設けた後、前記電荷発生層形成工程の後に、さらに電
荷輸送層形成工程を設けて電荷輸送層を形成する。前記
電荷輸送層形成工程においては、電荷輸送材料を含有す
る電荷輸送層用塗布液を調製し、該塗布液を前記電荷発
生層上に塗布して電荷輸送層を形成する。前記電荷輸送
層用塗布液は、溶媒中に電荷輸送材料、結着樹脂等を加
えて調製する。
【0073】前記電荷輸送材料としては、公知の材料の
中から適宜選択することができ、アミノ系化合物、ヒド
ラゾン化合物、ピラゾリン化合物、オキサゾール化合
物、オキサジアオール化合物、スチルベン化合物、カル
バゾール化合物、ベンジジン化合物等が挙げられる。ま
た、これら電荷輸送材料は、単独で又は2種以上を混合
して用いることができる。
【0074】電荷輸送層用塗布液とした場合の、該塗布
液中における電荷輸送材料の固形分濃度としては、5〜
40重量%が好ましく、10〜30重量%がより好まし
い。前記固形分濃度が、5重量%未満であると、膜厚を
厚くすることが困難となることがあり、40重量%を超
えると、塗布速度が低下して生産性に劣ることがある。
【0075】電荷輸送層に使用可能な結着樹脂として
は、例えば、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリ
スチレン、ポリエステル、スチレン-アクリロニトリル
共重合体、ポリスルホン、ポリメタクリル酢エステル、
スチレン-メタクリル酢酸エステル共重合体、ポリオレ
フィン等が挙げられる。
【0076】電荷輸送材料と結着樹脂との配合比(重
量)としては、1:5〜5:1が好ましく、1:3〜
3:1がより好ましい。前記混合比が、1:5未満、即
ち、電荷輸送材料含有比が低すぎると、感度が低下する
ことがあり、5:1を超える、即ち、電荷輸送材料の含
有比率が高すぎると、電荷輸送材料の機械的強度が低下
することがある。また、電荷輸送材料が、それ自体で成
膜性を有する場合には、前記結着樹脂を省くこともでき
る。
【0077】前記溶媒としては、例えば、モノクロロベ
ンゼン、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、シ
クロヘキサン、塩化メチレン、クロロホルム等が挙げら
れる。
【0078】電荷輸送層用塗布液を塗布する塗布方法と
しては、公知の塗布方法の中から適宜選択でき、例え
ば、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗
布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、カーテン塗布法等が
挙げられる。
【0079】さらに、前記電荷輸送層形成工程の後に、
保護層形成工程を設けることもできる。保護層形成工程
においては、保護層用塗布液を調製し、該塗布液を基体
上に塗布して、或いは、シート状のフィルムを貼付して
保護層を形成することができる。前記保護層層用塗布液
は、溶媒中に導電性材料、結着樹脂等を加えて調製す
る。前記導電性材料としては、酸化スズ、酸化チタン、
酸化アンチモン、酸化アンチモンをドープした酸化スズ
等の導電性の微粒子を使用することができる。
【0080】上述のように、本発明の電子写真感光体の
製造方法により、基体上に形成する下引き層の硬化反応
性の向上が可能となり、製造後の電子写真感光体の製品
品質のバラツキを低減し、かつ画像特性を向上すること
ができる。また、電荷発生層用分散液としたときの分散
安定性が向上し、電荷発生材料の凝集が抑制されること
により、分散液の保管時におけるポットライフが延びる
とともに、画像欠陥の発生を防止することができる。
【0081】<電子写真感光体>本発明の電子写真感光
体は、前記本発明の電子写真感光体の製造方法により製
造され、基体上に、少なくとも下引き層と電荷発生層と
をこの順に積層して構成される。また、前記電荷発生層
上には電荷輸送層を設け、さらに該電荷輸送層上に、他
の層を設けることもできる。
【0082】前記下引き層は、前記本発明の電子写真感
光体の製造方法により基体上に形成され、加水分解縮合
性材料を含有して構成される。また、前記電荷発生層
は、前記本発明の電子写真感光体の製造方法により下引
き層上に形成され、電荷発生材料と界面活性剤を含有し
て構成される。
【0083】前記基体としては、公知の基体の中から選
択することができるが、中でも、導電性を有する基体が
好ましく、導電性を有する、従来から電子写真感光体の
基体として用いられているもの(以下、「導電性基体」
という。)の中から適宜選択することができる。基体の
材質としては、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロ
ム、ステンレス鋼等が挙げられる。また、導電性基体の
表面は、必要に応じて、画質に影響のない範囲で各種処
理を施すことができる。例えば、表面の陽極酸化処理、
薬品処理、着色処理等を行うことができる。
【0084】本発明の電子写真感光体のように、下引き
層上に電荷発生層を設けた機能分離型構造の場合には、
前記電荷発生層上にさらに電荷輸送層を形成して構成さ
れる。
【0085】前記電荷輸送層上には、耐刷性を向上する
目的で保護層を設けることもできる。保護層の層厚とし
ては、0.5〜20μmが好ましく、1〜10μmがよ
り好ましい。前記層厚が、0.5μm未満であると、耐
刷性を向上することが困難となることがあり、20μm
を超えると、残留電位が上昇し、非画像部のカブリ濃度
が高くなることがある。
【0086】本発明においては、電子写真装置中で発生
するオゾン、酸化性ガス又は光、熱による感光体の劣化
を防止する目的で、前記電荷発生層及び/又は電荷輸送
層中に、酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤等の添加剤を
添加することができる。酸化防止剤としては、例えば、
ヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、p−フェニ
レンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、ス
ピロクマロン、スピロインダノン及びそれらの誘導体、
有機硫黄化合物、有機燐化合物等が挙げられる。光安定
剤としては、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾ
ール、ジチオカルバメート、テトラメチルピペリジン等
の誘導体が挙げられる。
【0087】また、電子写真感光体の感度の向上、残留
電位の低減、繰り返し使用時の疲労低減等を図る目的
で、少なくとも1種の電子受容性物質を含有させること
もできる。前記電子受容性物質としては、例えば、無水
コハク酸、無水マレイン酸、ジブロモ無水マレイン酸、
無水フタル酸、テトラブロモ無水フタル酸、テトラシア
ノエチレン、テトラシアノキノジメタン、o−ジニトロ
ベンゼン、m−ジニトロベンゼン、クロラニル、ジニト
ロアントラキノン、トリニトロフルオレノン、ピクリン
酸、o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、フタル
酸等が挙げられ、中でも、フルオレノン系、キノン系や
塩素原子、シアノ基、ニトロ基等の電子吸引基を置換し
たベンゼン誘導体が特に好ましい。
【0088】本発明の電子写真感光体は、ライトレンズ
系複写機、近赤外光若しくは可視光に発光するレーザー
プリンタ、デジタル複写機、LEDプリンタ、レーザー
ファクシミリ等の電子写真装置に適用することができ
る。また、電子写真感光体は、一成分系、二成分系の正
規現像剤又は反転現像剤と組合わせて使用することがで
きる。
【0089】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明するが、本
発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、
以下実施例中の「部」及び「%」は、それぞれ「重量
部」、「重量%」を表す。 (実施例1)まず、n−ブチルアルコール152部にポ
リビニルブチラール(商品名:エスレックBM−1、積
水化学工業(株)製)8部を加えて攪拌溶解し、5%ポ
リビニルブチラール溶液を作製した。次に、トリブトキ
シジルコニウム・アセチルアセトネートの50%トルエ
ン溶液(商品名:ZC540,松本交商(株)製)10
0部、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン(商品
名:A1100、日本ユニカー(株)製)10部及びn
−ブチルアルコール130部を混合した溶液を、前記ポ
リビニルブチラール溶液中に加え、スターラーで攪拌
し、下引き層用塗布液を調製した。
【0090】上記より得られた下引き層用塗布液を30
φ×340mmの鏡面アルミパイプ上に、浸漬塗布装置
を用いて塗布し、150℃の下で加熱乾燥し、層厚1.
15μmの下引き層を形成した。
【0091】一方、予め、ポリオキシエチレンオクチル
エーテル(例示化合物1−1)3部を精製水150部に
溶解した界面活性剤2%水溶液に、CuKα特性X線に
対するブラッグ角度(2θ±0.2°)の7.4°、1
6.6°、25.5°及び28.3°に強い回折ピーク
を有するクロロガリウムフタロシアニン結晶物3部を加
え、24時間サンドミルで分散し、固形分濃度4%の電
荷発生層用分散液を調製した。
【0092】上記より得られた電荷発生層用分散液を前
記下引き層上に、浸漬塗布装置を用いて積層塗布し、1
00℃の下で加熱乾燥し、層厚0.15μmの電荷発生
層を形成した。
【0093】さらに、モノクロロベンゼン40部に、電
荷輸送材料としてN,N−ビス(3、4−ジメチルフェ
ニル)ビフェニル−4−アミン4部をポリカーボネート
Z樹脂6部とともに溶解し、固形分濃度20%の電荷輸
送層用塗布液を調製した。得られた電荷輸送層用塗布液
を、浸漬塗布装置を用いて、前記電荷発生層上にさらに
積層塗布し、115℃の下で加熱乾燥して、膜厚24μ
mの電荷輸送層を形成し、本発明の電子写真感光体
(1)を作製した。
【0094】<帯電量の測定>上記より得られた電子写
真感光体(1)をレーザープリンタ(商品名:XP−1
1、富士ゼロックス(株)製)に装着し、以下のように
して電子写真感光体(1)表面上の帯電量を測定した。
20℃、50%RH環境下で、グリッド印加電圧−60
0Vとしたスコロトロン帯電器により電子写真感光体
(1)表面を帯電し(VH)、1.0秒経過後、波長7
80nmの半導体レーザーを用い、照射エネルギー7.
0mJ/m2のレーザー光を照射し放電を行った(V
L)。その後、3秒経過後に、赤色LEDを用い、照射
エネルギー50mJ/m2の赤色光を照射して除電を行
った(VR)。前記各プロセスにおける電位(VH,V
L,VRP)を測定した。また、10000回の繰り返
し帯電・露光後における、前記同様の各電位(ΔVH,
ΔVL,ΔVRP)を測定した。測定した結果を以下の
表1に示す。
【0095】<画像評価>電子写真感光体(1)を用
い、上記10000回の繰り返し帯電・露光後のプリン
ト画像について、画像中の黒点数(黒ポチの数)の発生
量を評価した。評価した結果を以下の表1に示す。
【0096】(実施例2)実施例1の下引き層に用い
た、n−ブチルアルコール(全282部)をイソプロピ
ルアルコール(全282部)に代え、トリブトキシジル
コニウム・アセチルアセトネートの50%トルエン溶液
をチタンアセチルアセトネート(商品名:オルガチック
スTC100,松本交商(株)製)50部に代え、γ−
アミノプロピルトリエトキシシランをγ−(2−アミノ
エチル)アミノプロピルトリメトキシシラン(商品名:
A1120,日本ユニカー(株)製)5部に代え、さら
に下引き層の膜厚を0.5μmとしたこと以外、実施例
1と同様にして本発明の電子写真感光体(2)を作製し
た。また、実施例1と同様の方法により、帯電量の測定
及び画像評価を行い、その結果を以下の表1に示す。
【0097】(実施例3)実施例1で用いたポリオキシ
エチレンオクチルエーテル(例示化合物1−1)をポリ
オキシアルケンアルキルフェニルエーテル(例示化合物
2−9)に代えたこと以外、実施例1と同様にして本発
明の電子写真感光体(3)を作製した。また、実施例1
と同様の方法により、帯電量の測定及び画像評価を行
い、その結果を以下の表1に示す。
【0098】(実施例4〜6)実施例1の電荷発生層で
用いたクロロガリウムフタロシアニン結晶物を、それぞ
れ、X線回折スペクトルにおけるCuKα特性X線に対
するブラッグ角(2θ±0.2゜)の、少なくとも、
7.7゜、9.3゜、16.9゜、17.5゜、22.
4゜及び28.8゜に強い回折ピークを有する無金属フ
タロシアニン結晶物[実施例4]、X線回折スペクトルに
おけるCuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ±
0.2゜)の、少なくとも、7.5゜、9.9゜、1
2.5゜、16.3゜、18.6゜、25.1゜及び2
8.3゜に強い回折ピークを有するヒドロキシガリウム
フタロシアニン結晶物[実施例5]又はX線回折スペクト
ルにおけるCuKα特性X線に対するブラッグ角(2θ
±0.2゜)の、少なくとも、9.6゜、24.1゜及
び27.2゜に強い回折ピークを有するチタニルフタロ
シアニン結晶物[実施例6]に代えたこと以外、実施例1
と同様にして本発明の電子写真感光体(4)〜(6)を
作製した。また、実施例1と同様の方法により、帯電量
の測定及び画像評価を行い、その結果を以下の表1に示
す。
【0099】(比較例1〜2)実施例1及び2におけ
る、界面活性剤水溶液を用いた電荷発生層用分散液を、
予め酢酸(n-)ブチル100部に塩化ビニル−酢酸ビニル
共重合体樹脂(商品名:VMCH、ユニオンカーバイド
社製)3部を溶解した溶液に、CuKα特性X線に対す
るブラッグ角度(2θ±0.2°)の7.4°、16.
6°、25.5°及び28.3°に強い回折ピークを有
するクロロガリウムフタロシアニン結晶物3部を加え、
24時間サンドミルで分散した後、酢酸n−ブチルで希
釈して固形分濃度4%の電荷発生層用分散液に代えたこ
と以外、実施例1と同様にして電子写真感光体(7)及
び(8)を作製した。また、実施例1と同様の方法によ
り、帯電量の測定及び画像評価を行い、その結果を以下
の表1に示す。
【0100】(比較例3)実施例1の電荷発生層用分散
液で用いたポリオキシエチレンオクチルエーテル(例示
化合物1−1)を、イオン性界面活性剤である塩化ステ
アリルトリメチルアンモニウムに代えたこと以外、実施
例1と同様にして電子写真感光体(9)を作製した。ま
た、実施例1と同様の方法により、帯電量の測定及び画
像評価を行い、その結果を以下の表1に示す。
【0101】
【表1】
【0102】表1より明らかなように、基体上に加水分
解縮合性材料を含有する下引き層を設けた後、該下引き
層上に、界面活性剤含有水系溶媒に電荷発生材料を分散
した電荷発生層用分散液を塗布する本発明の電子写真感
光体の製造方法を用いた実施例1〜6では、帯電特性に
優れ、かつ長期間安定に黒ポチ等の画像欠陥の発生のな
い高画質な画像を形成しうる電子写真感光体を作製する
ことができた。一方、下引き層上に積層塗布する電荷発
生層用分散液に界面活性剤含有水系溶媒を用いなかった
比較例1及び2では、得られた電子写真感光体表面上の
帯電電位がプリント枚数の増加に伴い大きく変動し、ま
た、形成した画像中における黒ポチ等の画像欠陥の発生
も多く、高画質な画像を安定に得ることができなかっ
た。また、界面活性剤としてイオン性界面活性剤を用い
た比較例3では、帯電不良によりプリント画像を得るこ
とができなかった。
【0103】
【発明の効果】本発明によれば、品質バラツキが少な
く、電子写真感光体の電気特性及び画像特性を向上しう
る電子写真感光体の製造方法を提供することができる。
本発明の電子写真感光体によれば、高品質な画像を長期
間安定に形成することができる。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも、基体上に加水分解縮合性材
    料を含有する下引き層を形成する下引き層形成工程と、
    前記下引き層上に、電荷発生材料と界面活性剤とを含有
    する電荷発生層を形成する電荷発生層形成工程と、を有
    することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
  2. 【請求項2】 加水分解縮合性材料が、有機金属化合物
    及び/又はシランカップリング剤である請求項1に記載
    の電子写真感光体の製造方法。
  3. 【請求項3】 有機金属化合物が、有機ジルコニウム化
    合物又は有機チタニウム化合物である請求項2に記載の
    電子写真感光体の製造方法。
  4. 【請求項4】 界面活性剤が、非イオン性界面活性剤で
    ある請求項1から3のいずれかに記載の電子写真感光体
    の製造方法。
  5. 【請求項5】 非イオン性界面活性剤が、下記一般式
    (1)で表される非イオン性界面活性剤である請求項4
    に記載の電子写真感光体の製造方法。 【化1】 〔式中、R1は、水素原子、アルキル基、アルキルカル
    ボニル基を表す。n及びmは、n=m=0の場合を除
    き、それぞれ独立に0以上の整数を表す。〕
  6. 【請求項6】 非イオン性界面活性剤が、下記一般式
    (2)で表される非イオン性界面活性剤である請求項4
    に記載の電子写真感光体の製造方法。 【化2】 〔式中、R2は、水素原子、アルキル基、アルキルカル
    ボニル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基を表
    す。p及びqは、p=q=0の場合を除き、それぞれ独
    立に0以上の整数を表す。〕
  7. 【請求項7】 電荷発生材料が、クロロガリウムフタロ
    シアニン結晶物、無金属フタロシアニン結晶物、ヒドロ
    キシガリウムフタロシアニン結晶物又はチタニルフタロ
    シアニン結晶物である請求項1〜6のいずれかに記載の
    電子写真感光体の製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項1から7のいずれかに記載の電子
    写真感光体の製造方法により得られることを特徴とする
    電子写真感光体。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6813458B2 (en) 2001-09-14 2004-11-02 Seiko Epson Corporation Image forming apparatus
US7479359B2 (en) 2004-05-14 2009-01-20 Konica Minolta Business Technologies, Inc. Photoconductor for electrophotography
JP2010282194A (ja) * 2009-06-04 2010-12-16 Xerox Corp 電荷ブロッキング層を形成するためのコーティング溶液及び画像形成部材

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