JP2000263801A - インクジェット記録装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 インクジェット記録装置の搬送ベルトは、ベ
ルトを駆動するベルト駆動力のみを利用してクリーニン
グを行っているために払拭時にインクが拭き残り、ブレ
ード接触角が迎え角の時に摩擦力が過大となり、ベルト
の伸び等で正確に搬送できなく、印字品位向上液の予備
吐出と各色インクの予備吐出が混合し、ブレードによる
ベルトの十分な清掃ができない。 【解決手段】 ノズルからインクを吐出して搬送手段上
の記録媒体に記録を行うための記録ヘッドを用いるイン
クジェット記録装置において、前記記録ヘッドのノズル
が形成された面をキャッピング可能に配置されたキャッ
ピング部および前記搬送手段の搬送面を払拭可能に配置
されたクリーナー部を一体に有するキャッピング・払拭
部材と、該キャッピング・払拭部材を、前記面と前記搬
送手段との間の第１位置および該第１位置から離隔した
待機位置としての第２位置に設定可能な作動機構とを有
する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、記録媒体にインク
を吐出して記録を行うためのインクジェット記録装置、
詳細には、記録紙のような記録媒体の全幅に対応した記
録幅を有するフルライン型の記録ヘッドを搭載したイン
クジェット記録装置において、記録媒体搬送用の搬送ベ
ルトのクリーニングに用いて好適なものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、インクジェット記録装置におい
て、非使用時にインクが記録ヘッドのノズルにおいて固
まってノズルがインクによって詰まるのを防止するため
に、インクを予備吐出するインクジェット記録装置が知
られている。このような予備吐出を行うインクジェット
記録装置においては、インクを搬送ベルトに対して予備
吐出する型式のものがあり、搬送ベルト上に予備吐出さ
れたインクは、搬送ベルトの、紙等の記録媒体の搬送に
係わる領域以外の領域にベルトクリーナーを設け、搬送
ベルトにこのベルトクリーナーを押し付けて搬送ベルト
の移動に伴って搬送面をベルトクリーナーにより払拭し
てクリーニングを行っている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来のクリーニング方法では、ベルトクリーナーを
搬送ベルトに押し付けて搬送ベルトを払拭してクリーニ
ングしており、搬送ベルトを駆動する駆動力のみを用い
てクリーニングを行っているので、次のような問題が生
じることがあった。

【０００４】（１）ベルトクリーナーによる搬送ベルト
の一方向への払拭のために、搬送ベルト面上に拭き残り
インクが見られる。

【０００５】（２）ベルトクリーナーのブレードの接触
角を搬送ベルトの駆動方向に対して迎え角とした時に、
摩擦力が過大となり、搬送ベルトの伸び等により正確な
搬送ができなくなる。

【０００６】（３）ベルトクリーナーのブレードの接触
圧を高くすると、搬送ベルトの駆動負荷が大となり、電
動機の回転制御域が外れたり、搬送ベルトの損耗が大と
なる。

【０００７】（４）ＡＭＭ液（印字品位向上液）を吐出
するヘッドを用いる装置にあっては、予備吐出された各
色インクとＡＭＭ液とがブレード位置で混合してしま
い、搬送ベルト上でのインク固着が進行してブレードに
よる払拭程度では搬送ベルトの十分な清掃ができない。

【０００８】従って、本発明の目的は、このような従来
における問題を解決するために、記録紙等の記録媒体を
搬送する搬送ベルトのベルト面を良好に清掃する手段を
有するインクジェット記録装置を提供することにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明のインクジェット
記録装置は、ノズルからインクを吐出して搬送手段上の
記録媒体に記録を行うための記録ヘッドを用いるインク
ジェット記録装置において、前記記録ヘッドのノズルが
形成された面をキャッピング可能に配置されたキャッピ
ング部および前記搬送手段の搬送面を払拭可能に配置さ
れたクリーナー部を一体に有するキャッピング・払拭部
材と、該キャッピング・払拭部材を、前記面と前記搬送
手段との間の第１位置および該第１位置から離隔した待
機位置としての第２位置に設定可能な作動機構とを有す
ることを特徴とする。

【００１０】また、本発明のインクジェット記録装置
は、前記記録ヘッドが、前記記録媒体の幅の全体に対応
した範囲に亙って前記ノズルを配列して成るフルライン
型の記録ヘッドであることを特徴とする。

【００１１】さらに、本発明のインクジェット記録装置
は、前記記録ヘッドが複数個が並列して配置され、各記
録ヘッドのノズル面の位置に枢動可能に前記キャッピン
グ・払拭部材が配置されていることを特徴とする。

【００１２】さらにまた、本発明のインクジェット記録
装置は、前記作動機構が、前記キャッピング・払拭部材
を枢動するラックおよびピニオン部材を有することを特
徴とする。

【００１３】本発明のインクジェット記録装置は、前記
キャッピング・払拭部材が、一端が搬送手段の傍に枢支
されていることを特徴とする。

【００１４】また、本発明のインクジェット記録装置
は、前記搬送手段が無端状のベルトから成ることを特徴
とする。

【００１５】さらに、本発明のインクジェット記録装置
は、前記搬送手段の一側に沿って配置され、前記第２位
置において前記キャッピング・払拭部材の払拭面が摺接
するように設けられたクリーナーを有することを特徴と
する。

【００１６】さらにまた、本発明のインクジェット記録
装置は、前記キャッピング・払拭部材が、枢支側にアー
ム部を有するＬ字形リンク機構を形成していることを特
徴とする。

【００１７】本発明のインクジェット記録装置は、前記
クリーナーがインク吸収性の良い材料から作られている
ことを特徴とする。

【００１８】また、本発明のインクジェット記録装置
は、前記搬送手段によって搬送される記録媒体と後続の
記録媒体との間の前記搬送手段上の領域において前記記
録ヘッドを駆動して前記搬送手段上にインクの吐出を行
わせることを特徴とする。

【００１９】さらに、本発明のインクジェット記録装置
は、前記記録ヘッドがインクを吐出するために利用され
る熱エネルギーを発生する電気熱変換体を有することを
特徴とする。

【００２０】さらにまた、本発明のインクジェット記録
装置は、前記電気熱変換体が、インクに膜沸騰を生じさ
せる電気エネルギーを発生することを特徴とする。

【００２１】なお、本明細書において、「プリント」
（以下においては「記録」という場合もある）とは、文
字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意
無意を問わず、また人間が視覚で知覚し得るように顕在
化したものであるか否かを問わず、広くプリント媒体上
に画像、模様、パターン等を形成する、または媒体の加
工を行う場合も言うものとする。

【００２２】ここで、「プリント媒体」とは、一般的な
プリント装置で用いられる紙のみならず、広く、布、プ
ラスチック・フィルム、金属板等、インクを受容可能な
物も言うものとする。

【００２３】さらに、「インク」とは、上記「プリン
ト」の定義と同様広く解釈されるべきもので、プリント
媒体上に付与されることによって、画像、模様、パター
ン等の形成またはプリント媒体の加工に供され得る液体
を言うものとする。

【００２４】また、ノズルとは、本明細書において、特
にことわらない限り吐出口ないしこれに連通する液路お
よびインク吐出に利用されるエネルギを発生する素子を
総括して言うものとする。

【００２５】

【発明の実施の形態】このように構成された本発明のイ
ンクジェット記録装置においては、キャッピング部材が
記録ヘッドの数の分だけ有って、印字時には必ず退避動
作があるために、このキャッピング部材に払拭クリーニ
ング部材を一体的に設けてキャッピング・払拭部材とな
し、記録ヘッドの退避動作を払拭（ワイピング）動作に
利用したクリーニング手段を設けることによって、複数
回の払拭動作が追加されることになるので、搬送ベルト
の清掃効果が大幅に向上される。さらにまた、キャッピ
ング・払拭部材の退避位置、すなわち待機位置を搬送ベ
ルトの傍らに設けることによって、記録ヘッド間の間隔
を小さくすることが可能となり、フルライン型プリンタ
装置の大型化を防ぎ、小型、軽量に製作することができ
る。

【００２６】本発明の他の目的と特徴および利点は以下
の添付図面に沿っての詳細な説明から明らかになろう。

【００２７】（実施例１）図１乃至図３は本発明におけ
るインクジェット記録装置の第１の実施例を示すもの
で、図１は、フルライン型の記録ヘッド１と記録媒体Ｐ
の搬送手段２と回復手段３とを有するインクジェット記
録装置の斜視図で、図２は予備吐出時のインクジェット
記録装置の記録ヘッド１と搬送手段２の搬送ベルト２ａ
の側面概要図で、図３は搬送ベルト２ａの清掃時の同様
な側面概要図である。

【００２８】図１に示されるように、本発明が適用され
るインクジェット記録装置における記録ヘッド１はフル
ライン型の記録ヘッドで、記録紙のような記録媒体Ｐの
幅全体に対応した範囲に亙って複数のノズルを配列した
所謂フルライン型の複数個のヘッド１ａ〜１ｅから成
り、各ヘッド１ａ〜１ｅのノズル面４ａに設けられた複
数個のノズル４から単色または複数色のインクを記録情
報に応じて記録紙等の記録媒体Ｐの上に、例えば滴とし
て吐出して画像を形成するものである。例えば、５本の
ヘッド１ａ〜１ｅのうち４本を、Ｙ（イエロー）、Ｍ
（マゼンタ）、Ｃ（シアン）およびブラック（ＢＫ）の
インクを吐出するものとし、残余の１本を記録媒体上の
インクの定着性を向上して記録品位を向上するための処
理液（ＡＭＭ液）を吐出するものとすることができる。
記録方式としては、熱によるインクの膜沸騰によってイ
ンクを吐出するバブルジェットなどの電気熱変換素子を
利用するものや、ピエゾ素子等の圧電素子によってイン
クを吐出する圧電型によるもの等がある。

【００２９】フルライン型プリンタはその印刷高速性を
維持するために、記録ヘッドの回復が一連の印刷動作
中、すなわち記録時に、随時（例えば記録媒体間の搬送
間隙を利用して）インクを予備吐出しながら行われる。
また、フルライン型記録ヘッド１のヘッド１ａ〜１ｅと
記録媒体Ｐとは印字精度の関係で、できるだけ小さな間
隔に保つのが強く好ましく、また予備吐出は記録媒体Ｐ
と記録媒体Ｐとの間の搬送手段２である搬送ベルト２ａ
の上に行われるので、従って、このような予備吐出され
たインクを回収することが必要になる。このために、後
述するように、搬送ベルト２ａ上に予備吐出されたその
他のインクはキャッピング・払拭部材６の、ベルトを払
拭するクリーニング部材８や、ローラクリーナー１６に
よってインクが拭き取られたり、吸収されたりして清掃
される。

【００３０】搬送手段２を形成する搬送ベルト２ａは、
一対のローラ５ａ、５ｂに懸けられた無端ベルトから成
り、図示しない適宜な電動機のような駆動源によって駆
動され、このような搬送ベルト２ａの上に置かれた記録
媒体Ｐの上に記録ヘッド１からインクが吐出されて必要
な記録が行われる。また、搬送ベルト２ａは、ゴムや合
成ゴム等を布地と積層して接着して成る通常のベルト生
地材料から形成され、インク等の汚れが簡単かつ良好に
取れて落ちる材料から作られたものが好適である。

【００３１】本発明における回復手段３は、図１に示さ
れるように、搬送ベルト２ａの傍に配置され、かつ一端
において枢支された複数個のキャッピング・払拭部材６
と、キャッピング・払拭部材６の上面側に形成されたキ
ャップ開口部７と、キャッピング・払拭部材６の下面に
接着等により取付けられた、搬送ベルト２ａのベルト面
を払拭して清掃するクリーニング部材８と、キャッピン
グ・払拭部材６の上記一端に形成されたセクタピニオン
９と、このセクタピニオン９と噛み合うラック１０と、
ラック１０を作動する電動機１１と、搬送ベルト２ａの
一側に沿って設けられたローラクリーナーのようなクリ
ーナー部材１２とから構成されている。

【００３２】電動機１１は軸端にピニオン１４が設けら
れており、このピニオン１４がラック１０の歯と噛み合
っていて、電動機１１の作動によってラック１０が作動
される。従って、このラック１０の作動によって、ラッ
ク１０と噛み合うキャッピング・払拭部材６のセクタピ
ニオン９によってキャッピング・払拭部材６が枢支ピン
１３周りに枢動されることによって、図１に示される待
機位置（第２位置）から、キャップ開口部７が記録ヘッ
ド１のヘッド１ａ〜１ｅのノズル面に対向する位置（第
１位置）にまでキャッピング・払拭部材６が枢動され
る。

【００３３】また、回復手段３におけるキャッピング・
払拭部材６は枢支側となる端部において枢支ピン１３に
よってフレーム等の固定部材（図示しない）に枢支され
ており、この枢支側の端部にセクタピニオン９が設けら
れていてラック１０の歯と噛み合っている。さらに、キ
ャッピング・払拭部材６の自由端部側から枢支端側に向
かってキャッピング・払拭部材６の上面の大半に亙って
延びる細長い窪み溝のようなキャップ開口部７が形成さ
れており、記録ヘッド１から予備吐出されたインクをこ
のキャップ開口部７によって受容できると共に、記録ヘ
ッド１のノズル面４ａを保護すべく覆うことができるよ
うになっている。従って、このキャップ開口部７は記録
ヘッド１のノズル面４ａのノズル４を覆うよう十分な長
さをなしている。

【００３４】また、クリーニング部材８は搬送ベルト２
ａの上面を払拭して清掃するよう硬質のゴムや合成ゴム
等のような弾性材料で作られるのが好適である。さら
に、ローラクリーナーのようなクリーナー部材１２は、
キャッピング・払拭部材６のクリーニング部材８に付着
したインクを吸収するよう適宜なインク吸収性を有し
た、例えばポリウレタンやポリエチレン等のような吸水
性の優れた材料で作られ、キャッピング・払拭部材６の
クリーニング部材８と摺接するように図１に示されるよ
うに搬送ベルト２ａの一方の側辺に沿って搬送方向とほ
ぼ平行な方向に配置されるのが好適である。また、この
クリーナー部材１２に関連して、吸引あるいは搾り動作
により、吸引したインクを除去させる手段を設けてもよ
い。

【００３５】一端において枢支ピン１３によって固定部
材（図示しない）等に枢支されたキャッピング・払拭部
材６は、記録時には図１に示されるキャッピング・払拭
部材待機位置（第２位置）に位置されていて、搬送ベル
ト２ａ上の記録媒体Ｐに記録ヘッド１のヘッド１ａ〜１
ｅによって図２に示されるように予備吐出が行われる。
従って、予備吐出は記録媒体Ｐと記録媒体Ｐの間の搬送
ベルト２ａの上に行われるが、搬送ベルト２ａ上に予備
吐出されたインクは、常時は搬送ベルト２ａの下側に設
けられたローラクリーナー１６によって吸収されて清掃
が行われるが、キャッピング・払拭部材６の下面側に設
けられたクリーニング部材８によっても清掃されて回収
処理することができる。

【００３６】また、キャッピング・払拭部材６の待機位
置においては、キャッピング・払拭部材６の先端部分が
ローラクリーナー１６の上に摺接して載置されており、
搬送ベルト２ａ上の記録媒体Ｐ等には何等影響を及ぼす
ことがなく、従って、搬送ベルト２ａ上の記録媒体Ｐに
記録ヘッド１によって記録が好適に行われる。

【００３７】他方、記録ヘッド１に対しては、この予備
吐出とは別に、記録ヘッド１が上方に移動された退避位
置において、記録ヘッド１のノズル面４ａのキャッピン
グや、回復操作が行われる。すなわち、非記録動作時等
において記録ヘッド１のノズル４のインク乾燥を防ぐた
めには、記録ヘッド１のノズル面４ａがキャッピングさ
れることが望ましく、このために記録ヘッド１が一旦上
方に移動されてキャッピング部材をノズル面に対向させ
た後、再度記録ヘッド１を下方に変位させることによっ
てノズル面４ａが覆われて保護される。この場合に、キ
ャッピング部材はキャッピング・払拭部材６のキャップ
開口部７である。また、キャップ開口部７に対向した状
態でインクを予備吐出する回復処理や、インク供給等の
加圧等によってインクをノズルから強制排出する回復処
理を行うことができ、この際に記録ヘッド１から吐出さ
れたインクはキャッピング・払拭部材６のキャップ開口
部７により受けられて、このキャップ開口部７内に収容
される。また、このインクが、クリーナー部を構成する
吸収体等によって保持されるようにしてもよい。

【００３８】キャッピング状態が図３に示されている。
すなわち、図示されるように、記録ヘッド１は図１に示
される記録位置から上方の待避位置に移動されて搬送ベ
ルト２ａと記録ヘッド１のノズル面４ａとの間に十分な
隙間が形成され、キャッピング・払拭部材６が図１に示
される待機位置（第２位置）から、ほぼ９０度ほど搬送
ベルト２ａ上を摺動されてキャッピング作動位置（第１
位置）に位置されて、各キャッピング・払拭部材６が記
録ヘッド１のヘッド１ａ〜１ｅ下に位置される。

【００３９】このように、記録を行わない時には、キャ
ッピング・払拭部材６により記録ヘッド１の各ヘッド１
ａ〜１ｅのノズル面４ａをキャッピングしてノズル面４
ａを保護すると共に、インクの乾燥を防止することがで
きる。また、この状態で搬送ベルト２ａを駆動すれば、
キャッピング・払拭部材６のクリーニング部材８によっ
ても搬送ベルト２ａの表面が好適に清掃されるので、ロ
ーラクリーナー１６のみを用いる場合に比して搬送ベル
ト２ａのベルト面上に予備吐出されたインクを良好に除
去することができる。さらに、このような搬送ベルト２
a の清掃は記録媒体Ｐの搬送精度に関わりなく行うこと
ができる。また、駆動ローラクリーナー１７により駆動
されるローラクリーナー１６に対しては、それのみで清
掃を行う場合に比べて案内ローラ１５によってそれほど
大きな負荷を与える必要がなくなり、従って、記録時に
おいて記録媒体Ｐの搬送精度に悪影響を与えることがな
くなる。なお、ローラクリーナー１６はインク吸収性の
良好な材料、所謂吸水性の良い材料で作られるのが好適
である。また、キャッピング・払拭部材６による清掃で
十分であれば、ローラクリーナー１６等の保持機構を省
略してもよい。

【００４０】従って、このように構成された回復手段を
有する本発明のインクジェット記録装置においては、図
１に示される位置において、記録ヘッド１からインクが
吐出されて搬送ベルト２ａ上の記録紙等の記録媒体Ｐに
記録が行われると共に、予備吐出が行われる。この予備
吐出は、図２に示されるように記録ヘッド１のヘッド１
ａ〜１ｅによって記録媒体Ｐと記録媒体Ｐとの間の搬送
ベルト２ａの上に行われる。従って、搬送ベルト２ａ上
に予備吐出されたインクは、記録中はローラクリーナー
１６により清掃される。

【００４１】一方、図３に示されるように、記録ヘッド
１のノズル面４ａのキャッピング時または回復時に、記
録ヘッド１が上方の待避位置に移動された際に記録ヘッ
ド１のノズル面４ａの下に向かって回復手段３のキャッ
ピング・払拭部材６が枢支ピン１３周りにほぼ９０度の
角度をもって枢動、すなわち回動されて、記録ヘッド１
のノズル面４ａの位置にまで枢動された時に、記録ヘッ
ド１のノズル面４ａがキャッピング・払拭部材６により
キャッピングされ、また、記録ヘッド１のノズル４から
インクが吐出されること等によって所要の回復処理が行
われる。この時に記録ヘッド１のノズル４から吐出され
たインクはキャッピング・払拭部材６のキャップ開口部
７によって受容される。また、キャッピング・払拭部材
６のキャッピング位置への移動およびキャッピング位置
から待機位置への復帰の際にも、クリーニング部材８が
ベルト２ａを払拭（ワイピング）し、清掃動作が行われ
る。

【００４２】（実施例２）図４には、本発明のインクジ
ェット記録装置における回復手段の第２の実施例が示さ
れており、図示されるように、この第２の実施例におい
ては、インクジェット記録装置は記録ヘッド２１（２１
ａ〜２１ｅ）と搬送手段２２と回復手段２３とを有して
おり、各ヘッド２１ａ〜２１ｅに並列して設けられたヒ
ーター２４を有する記録ヘッド２１に対して回復手段２
３が設けられている。このような回復手段２３は払拭部
材２５と、キャッピング・払拭部材２５を枢動するため
のリンク作動機構２６とを有している。

【００４３】キャッピング・払拭部材２５は、その上面
に記録ヘッド２１のノズルから吐出されたインクを受容
すると共に、記録ヘッド２１のノズル面をカバーして保
護するためのキャップ開口部２７が設けられており、先
の実施例１と同様に下面に、ベルトを払拭して清掃する
クリーニング部材（図示しない）が接着されている。こ
のキャップ開口部２７はキャッピング・払拭部材２５の
ほぼ全体に亙って延びるよう設けられている。また、こ
のキャッピング・払拭部材２５の一端にはほぼＴ字形の
アーム部２８が設けられていて、このアーム部２８の一
方の脚部２８ａが枢支ピンによって固定部材に枢支さ
れ、他方の脚部が連結ピン３１によってリンク作動機構
２６のコンロッド３０に枢着連結されている。

【００４４】リンク作動機構２６はＬ字形リンク構造を
成していて、キャッピング・払拭部材２５の一端のアー
ム部２８とコンロッド３０とから形成されており、キャ
ッピング・払拭部材２５の上面には、予備吐出されたイ
ンクを受け、かつ記録ヘッド２１のノズル面をキャッピ
ングするためのキャップ開口部２７が同様に設けられて
いる。従って、コンロッド３０の作動によって、キャッ
ピング・払拭部材２５が記録ヘッド２１のノズル面の下
方位置にまで枢動されて、記録ヘッド２１のノズル面を
キャッピングすることができるように構成されている。

【００４５】（実施例３）図示されていないが、本発明
のインクジェット記録装置における第３の実施例では、
上記第１の実施例のローラクリーナー１６に相当すると
同様なローラクリーナーがインク等の液体の吸収性の良
好な、例えばポリウレタンやポリスチレン等の材料から
作られて、このローラクリーナーに、搬送ベルトの表面
を洗浄するための洗浄液が含ませられ、これによって搬
送ベルトが湿式清掃されるように構成されており、一層
の清掃効果が向上されるように作られている。

【００４６】このように構成された本発明のインクジェ
ット記録装置によれば、ベルトの速度変動を押さえ、装
置の大型化を招くことなく、ローラクリーナーまたはそ
れに含浸された洗浄液等による搬送ベルト上の予備吐出
されたインクの拭き残りを生じることなく良好に清掃し
て完全に除去することができる。

【００４７】

【発明の効果】本発明の請求項１記載のインクジェット
記録装置は、ノズルからインクを吐出して搬送手段上の
記録媒体に記録を行うための記録ヘッドを用いるインク
ジェット記録装置において、前記記録ヘッドのノズルが
形成された面をキャッピング可能に配置されたキャッピ
ング部および前記搬送手段の搬送面を払拭可能に配置さ
れたクリーナー部を一体に有するキャッピング・払拭部
材と、該キャッピング・払拭部材を、前記面と前記搬送
手段との間の第１位置および該第１位置から離隔した待
機位置としての第２位置に設定可能な作動機構とを有す
るので、キャッピング・払拭機構を簡単な構成に製作す
ることができると共に、良好な記録を行うことができ、
かつ搬送手段の搬送面を良好に清掃することができる。

【００４８】本発明の請求項２記載のインクジェット記
録装置は、前記記録ヘッドが、前記記録媒体の幅の全体
に対応した範囲に亙って前記ノズルを配列して成るフル
ライン型の記録ヘッドであるので、記録媒体の全幅に亙
って好適に記録することができ、良好な記録を行うこと
ができる。

【００４９】本発明の請求項３記載のインクジェット記
録装置は、前記記録ヘッドが複数個が並列して配置さ
れ、各記録ヘッドのノズル面の位置に枢動可能に前記キ
ャッピング・払拭部材が配置されているので、記録ヘッ
ドを夫々キャッピング・払拭部材によってキャッピング
して保護することができ、キャップ開口部にインクを予
備吐出して回復できると共に、搬送手段の搬送ベルトを
払拭して清掃することができる。

【００５０】本発明の請求項４記載のインクジェット記
録装置は、前記作動機構が、前記キャッピング・払拭部
材を枢動するラックおよびピニオン部材を有するので、
作動機構を簡単な構成に確実に作動するよう製作するこ
とができる。

【００５１】本発明の請求項５記載のインクジェット記
録装置は、前記キャッピング・払拭部材が、一端が搬送
手段の傍に枢支されているので、払拭レバーを枢動可能
な簡単な構成に作ることができる。

【００５２】本発明の請求項６記載のインクジェット記
録装置は、前記搬送手段は無端状のベルトから成るの
で、簡単に、かつ安価に搬送手段を構成することができ
る。

【００５３】本発明の請求項７記載のインクジェット記
録装置は、前記搬送手段の一側に沿って配置され、前記
第２位置において前記キャッピング・払拭部材の払拭面
が摺接するように設けられたクリーナーを有するので、
キャッピング・払拭部材に付着したインクをローラクリ
ーナーにより好適に回収することができる。

【００５４】本発明の請求項８記載のインクジェット記
録装置は、前記キャッピング・払拭部材が、枢支側にア
ーム部を有するＬ字形リンク機構を形成しているので、
キャッピング・払拭部材に付着したインクをローラクリ
ーナーにより好適に回収することができる。

【００５５】本発明の請求項９記載のインクジェット記
録装置は、前記クリーナーがインク吸収性の良い材料か
ら作られているので、搬送ベルトに付着したインクを払
拭した払拭レバーのベルト払拭部材のインクを良好に吸
収して回収することができる。

【００５６】本発明の請求項１０記載のインクジェット
記録装置は、前記搬送手段によって搬送される記録媒体
と後続の記録媒体との間の前記搬送手段上の領域におい
て前記記録ヘッドを駆動して前記搬送手段上にインクの
吐出を行わせるので、記録ヘッドによって搬送手段上の
記録媒体に好適に記録を行うことができる。

【００５７】本発明の請求項１１記載のインクジェット
記録装置は、前記記録ヘッドがインクを吐出するために
利用される熱エネルギーを発生する電気熱変換体を有す
るので、熱エネルギーを利用してインクを吐出すること
により記録の高密度化と高精細化を達成でき、きれいな
記録が得られる。

【００５８】本発明の請求項１２記載のインクジェット
記録装置は、前記電気熱変換体が、インクに膜沸騰を生
じさせる電気エネルギーを発生するので、電気エネルギ
ーを利用してインクを吐出し、これによって記録の高密
度化と高精細化を達成でき、きれいな記録が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のインクジェット記録装置の第１実施例
におけるフルラインマルチ型の記録ヘッドと記録媒体の
搬送手段と回復手段との斜視図である。

【図２】図１の本発明のインクジェット記録装置におけ
る予備吐出時の記録ヘッドと搬送手段の搬送ベルトとの
側面概要図である。

【図３】図１の本発明のインクジェット記録装置におけ
るベルト清掃時の同様な側面概要図である。

【図４】本発明のインクジェット記録装置の第２実施例
における記録ヘッドと回復手段の平面図である。

【符号の説明】

１ 記録ヘッド ２ 搬送手段 ３ 回復手段 ４ ノズル ５ａ ローラ ５ｂ ローラ ６ キャッピング・払拭部材 ７ キャップ開口部 ８ クリーニング部材 ９ セクターピニオン １０ ラック １１ 電動機 １２ ローラクリーナー １３ 枢支ピン １４ ピニオン １５ 案内ローラ １６ ローラクリーナー １７ 駆動ローラクリーナー ２１ 記録ヘッド ２２ 搬送手段 ２３ 回復手段 ２４ ヒーター ２５ キャッピング・払拭部材 ２６ リンク作動機構 ２７ キャップ開口部 ２８ アーム部 ２９ 枢支ピン ３０ コンロッド ３１ 連結ピン

Claims (12)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ノズルからインクを吐出して搬送手段上
   の記録媒体に記録を行うための記録ヘッドを用いるイン
   クジェット記録装置において、 前記記録ヘッドのノズルが形成された面をキャッピング
   可能に配置されたキャッピング部および前記搬送手段の
   搬送面を払拭可能に配置されたクリーナー部を一体に有
   するキャッピング・払拭部材と、該キャッピング・払拭
   部材を、前記面と前記搬送手段との間の第１位置および
   該第１位置から離隔した待機位置としての第２位置に設
   定可能な作動機構とを有することを特徴とするインクジ
   ェット記録装置。
2. 【請求項２】 前記記録ヘッドは、前記記録媒体の幅の
   全体に対応した範囲に亙って前記ノズルを配列して成る
   フルライン型の記録ヘッドであることを特徴とする請求
   項１記載のインクジェット記録装置。
3. 【請求項３】 前記記録ヘッドは複数個が並列して配置
   され、各記録ヘッドのノズル面の位置に枢動可能に前記
   キャッピング・払拭部材が配置されていることを特徴と
   する請求項１または２記載のインクジェット記録装置。
4. 【請求項４】 前記作動機構は、前記キャッピング・払
   拭部材を枢動するラックおよびピニオン部材を有するこ
   とを特徴とする請求項３記載のインクジェット記録装
   置。
5. 【請求項５】 前記キャッピング・払拭部材は一端が搬
   送手段の傍に枢支されていることを特徴とする請求項２
   または４記載のインクジェット記録装置。
6. 【請求項６】 前記搬送手段は無端状のベルトから成る
   ことを特徴とする請求項１記載のインクジェット記録装
   置。
7. 【請求項７】 前記搬送手段の一側に沿って配置され、
   前記第２位置において前記キャッピング・払拭部材の払
   拭面が摺接するように設けられたクリーナーを有するこ
   とを特徴とする請求項１記載のインクジェット記録装
   置。
8. 【請求項８】 前記キャッピング・払拭部材は、枢支側
   にアーム部を有するＬ字形リンク機構を形成しているこ
   とを特徴とする請求項２または５記載のインクジェット
   記録装置。
9. 【請求項９】 前記クリーナーはインク吸収性の良い材
   料から作られていることを特徴とする請求項７記載のイ
   ンクジェット記録装置。
10. 【請求項１０】 前記搬送手段によって搬送される記録
    媒体と後続の記録媒体との間の前記搬送手段上の領域に
    おいて前記記録ヘッドを駆動して前記搬送手段上にイン
    クの吐出を行わせることを特徴とする請求項１または３
    記載のインクジェット記録装置。
11. 【請求項１１】 前記記録ヘッドはインクを吐出するた
    めに利用される熱エネルギーを発生する電気熱変換体を
    有することを特徴とする請求項１または３記載のインク
    ジェット記録装置。
12. 【請求項１２】 前記電気熱変換体は、インクに膜沸騰
    を生じさせる電気エネルギーを発生することを特徴とす
    る請求項１１記載のインクジェット記録装置。