JP2000224806A - 動圧軸受モータ - Google Patents

動圧軸受モータ

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JP2000224806A
JP2000224806A JP11018498A JP1849899A JP2000224806A JP 2000224806 A JP2000224806 A JP 2000224806A JP 11018498 A JP11018498 A JP 11018498A JP 1849899 A JP1849899 A JP 1849899A JP 2000224806 A JP2000224806 A JP 2000224806A
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sintered
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pressure generating
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Shuji Matsumoto
修二 松本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】軸受部における潤滑性を損なうことなく軸受か
らの油漏れを完全に防止でき、さらに動圧発生溝を容易
かつ高精度に加工形成できる軽量な動圧軸受モータを提
供する。 【解決手段】回転軸3を回転自在に嵌合した焼結軸受7
aであり軸受内周面に動圧発生溝10を形成した軸受7
aを備え、回転軸3の回転動作に伴って動圧発生溝10
により発生する動圧によって回転軸3を非接触状態で回
転自在に支持するように形成した動圧軸受モータにおい
て、上記焼結軸受7aの一部分に金属材を溶浸した溶浸
層16aが形成されていることを特徴とする動圧軸受モ
ータである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、固定磁気ディスク
装置(HDD),デジタルビデオディスク装置(DV
D),フロッピーディスク駆動装置(FDD)等に使用
される動圧軸受モータに係り、特に軸受部における潤滑
性を損なうことなく軸受からの油漏れを完全に防止で
き、さらに動圧発生溝を容易かつ高精度に加工形成でき
る軽量な動圧軸受モータに関する。
【0002】
【従来の技術】コンピュータ等の電子機器や情報機器の
付属装置としてHDDやFDD,DVDが広く用いられ
ている。これらの付属装置にはフロッピーディスク(F
D)やハートディスク(HD)等の記録媒体を回転駆動
するためのスピンドルモータが内蔵されている。
【0003】近年における情報量の増大化に対応して記
録媒体における情報の記録密度を高めるために上記記録
媒体の回転速度を高速化する技術的要求が高まると同時
に、各種の電子機器に対する静音化,高精度化,耐振動
性の向上,高信頼性等が要求れている。特に携帯型の電
子機器に対しては、さらなる小型化や軽量化も希求され
ている。
【0004】従来、上記電子機器等の回転部において
は、ボールベアリングを軸受としたスピンドルモータが
一般に使用されている。しかしながら、転動体としての
ボールが接触しながら回転軸を支持しつつ回転させる構
造であるため、回転速度の高速化等の前記の要請に対応
することは困難であった。そこで前記の要請に応えるモ
ータとしてオイル動圧軸受モータや流体軸受を使用した
駆動モータの使用が検討されている。
【0005】上記オイル動圧軸受モータは、円筒状に形
成した焼結軸受とその軸受内に回転自在に嵌合した回転
軸とを備え、軸受の内周面に動圧発生溝を形成するとと
もに、回転軸と軸受内周面との空間に潤滑油(オイル)
を充填し、回転軸の回転動作に伴って動圧発生溝により
発生する動圧のポンプ作用によって回転軸を軸受内に浮
遊させ非接触状態を保持しつつ回転軸を高速回転自在に
支承するように構成されたものである。
【0006】図3は従来の動圧軸受モータの構成例を示
す図であり、この動圧軸受モータは、概略、回転する回
転部(ロータアセンブリ)1と固定された固定部(ステ
ータアセンブリ)2とから成り、いわゆる軸回転/軸受
固定型の基本構造を有している。
【0007】また、上記回転部1は直立した回転軸3
と、その回転軸に装着されたハブ4とから構成されてお
り、このハブ4の下部内側面にはバックヨーク5を介し
て駆動マグネット6が装着固定されている。一方、固定
部2の軸受7は、支持フレーム8と、固定軸受部9とを
一体にして焼結合金で形成される。なお、上記支持フレ
ーム8と固定軸受部9とは別体に調製された後に、相互
に嵌合して一体的に形成する構造も採用されている。固
定軸受部9は中空円筒状に形成され、その中空部の内孔
に回転軸3が回転自在に挿通される。さらに、固定軸受
部9の内周面には、塑性加工等によって動圧発生溝10
が形成されている。軸受7の固定軸受部9の外周面に
は、回転部1の駆動マグネット6に対向するようにステ
ータコア11が装着されており、このステータコア11
にはステータ巻線12が巻回されている。また、回転軸
3の下端部には回転軸3のスラスト荷重を受けるスラス
ト受け板13が配設され、このスラスト受け板13は固
定ねじ14によって軸受7の支持フレーム8に締着され
ている。さらに、上記回転軸3と固定軸受部9とスラス
ト受け板13とで形成される空間にはオイル漏れを防止
するためのシール材15が充填されている。上記軸受7
は一般に金属粉末を焼結して形成した多孔質金属焼結体
で構成されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の動圧軸受モータの軸受は、閉気孔(closed pore)
の他に多数の開気孔(open pore )を有する多孔質焼結
体で形成されているため、潤滑油が開気孔(連通孔)を
通って系外に漏れ出すことを防止することが困難であ
り、動圧が低下したり、油漏れによって周辺機器の機能
を喪失させたり、機器の動作信頼性を大きく損なうおそ
れがあった。
【0009】そこで、上記軸受を構成する焼結体の相対
密度を例えば、85%以上と高密度化することによって
可及的に気孔を減少させたり、気孔に樹脂を含浸させる
対策が施されている。しかしながら、軸受を構成する焼
結体の相対密度を85%以上に高めた場合においても、
開気孔(連通孔)を完全に閉塞させることは困難であ
り、油漏れを完全に防止することは困難であった。一
方、焼結体中に樹脂等を含浸させた構造の軸受において
は、使用当初には開気孔を効果的に閉塞することは可能
であるが、焼結体を構成する金属と樹脂との間の熱膨張
差が大きいため、機器に作用する熱サイクルによって次
第に金属と樹脂との間に間隙を生じ易く、その間隙を通
して油漏れが発生し易くなる問題点もあった。
【0010】また、上記焼結体の気孔の影響を解消する
ために、焼結体から成る軸受表面に鉄酸化物を形成して
気孔を閉塞させる封孔処理を実施したり、軸受全体を溶
製材で形成する場合もあった。しかしながら、封孔処理
を実施した焼結体では切削加工性が悪化するため、高い
寸法精度で精細な動圧発生溝を効率的に加工形成するこ
とが困難であった。
【0011】また、軸受全体を溶製材で形成した場合に
は、気孔による油漏れの問題は解決できるが、潤滑油を
含浸できる焼結孔も完全に消失するため、回転部に対す
る潤滑性が大幅に低下してしまう問題点がある一方、軸
受重量が増加するため、高速回転能が低下し易い難点が
あり、特に軽量化が希求されている固定磁気ディスク装
置(HDD)用の駆動モータとしては適用できないとい
う問題点があった。
【0012】ここで、動圧軸受モータにおいては、軸受
と回転軸との間隙,軸受内径の寸法,軸受の内面粗さ,
動圧発生溝の形状・寸法などは数ミクロンないしサブミ
クロンのレベルで高精度に仕上げる必要がある。しかし
ながら、従来の多孔質焼結体から成る軸受においては、
切削操作が焼結孔(気孔部)と本体金属部とを交互に切
削する断続切削となるため、円滑で高精度な切削加工が
困難となる欠点があった。特に複雑な形状を有する動圧
発生溝の加工に際しては、慎重な加工と調整とを繰り返
すことが必要になり、製造効率が低く加工工数が大幅に
増加し、モータの製造コストが急増する問題点もあっ
た。上記問題点は樹脂を含浸した焼結体から軸受を形成
しても全く解消されなかった。
【0013】本発明は上記問題点を解決するためになさ
れたものであり、軸受部における潤滑性を損なうことな
く軸受からの油漏れを完全に防止でき、さらに動圧発生
溝を容易かつ高精度に加工形成できる軽量な動圧軸受モ
ータを提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係る動圧軸受モータは、回転軸を回転自在
に嵌合した焼結軸受であり軸受内周面に動圧発生溝を形
成した軸受を備え、回転軸の回転動作に伴って動圧発生
溝により発生する動圧によって回転軸を非接触状態で回
転自在に支持するように形成した動圧軸受モータにおい
て、上記焼結軸受の一部分に金属材を溶浸した溶浸層が
形成されていることを特徴とする。
【0015】また、上記溶浸層を、回転軸側と反対側の
軸受の外表面部に部分的に形成することにより、軸受の
外表面部の気孔が効果的に閉塞されるため、油漏れを完
全に防止することが可能になる。一方、軸受の回転軸側
には潤滑油を含浸するための焼結孔(気孔)が残存する
ため、回転部の潤滑性が良好に維持できる。
【0016】一方、前記溶浸層を、回転軸に対向する動
圧発生溝側の軸受の内表面部に部分的に形成することに
より、軸受の内表面部の気孔が効果的に閉塞されるた
め、同様に油漏れを完全に防止することが可能になる。
特に溶浸層は実質的に金属から成る連続相となるため、
切削加工性が飛躍的に向上する。したがって、この溶浸
層が軸受の内表面部に設けられることにより、複雑な形
状を有する動圧発生溝を、切削加工により容易かつ効率
的に高い寸法精度で形成することが可能になる。
【0017】なお、上記動圧発生溝の形成方法は特に限
定されず、塑性加工法によって形成してもよいが、特に
形状精度を高め加工操作を容易にするために切削加工法
によって形成するとよい。
【0018】上記のいずれの場合においても、溶浸層は
軸受の一部分のみに形成され、他の部分には軽量な多孔
質焼結体が残存する構造であるため、軸受全体としては
軽量に形成でき、特に軽量化を前提にした高速回転性や
携帯性を指向するHDD用のモータ用軸受材として極め
て有用である。
【0019】また、上記溶浸層を形成した焼結軸受の一
方の表面に、圧力が0.5MPaの窒素ガスを作用させ
た場合に、焼結軸受の他方の表面から漏出する標準状態
の窒素ガスの流量で表わされる気密度が1ml/cm2 ・H
r以下とすることにより、焼結軸受からの油漏れをより
確実に防止することができる。
【0020】ここで、焼結軸受の一部分に金属材を溶浸
した溶浸層を形成する方法は以下の通りである。まず、
所定の気孔率を有するように金属粉末を成形・焼結して
焼結体を調製し、この焼結体において溶浸層を形成する
部位のみを再加圧して密度を高める。このとき、溶浸層
を形成する部位とそれ以外の部位との焼結密度差が0.
2g/cm3 以上となるように部分的に再加圧(再圧縮)
操作を実施する。
【0021】このように部分的に密度を変えた焼結体に
対して溶浸処理を実施すると、毛細管現象による溶浸材
の吸引力の差によって、焼結密度がより高い部位、すな
わち焼結孔(気孔)の径がより小さい部位に溶浸材が集
中して充填される。したがって、このような再加圧操作
と溶浸操作とを組み合せることにより、ひとつの焼結体
内における溶浸材の分布を適宜、調整することが可能に
なり、溶浸層を部分的に形成することができる。
【0022】なお、上記軸受を構成する焼結体および溶
浸材の種類・組成等は特に限定されるものではないが、
特に軸受を構成する焼結体がステンレス鋼合金粉から成
る多孔質焼結体である一方、溶浸される金属材が青銅合
金である組合せとした場合には、溶浸層における焼結体
と溶浸材との結合力がより増加する。したがって、この
ような溶浸層を形成した軸受を使用した場合には、長期
間に亘って油漏れを完全に防止できる動圧軸受モータが
得られる。
【0023】上記のように構成された動圧軸受モータに
よれば、焼結軸受の一部分に金属材を溶浸した溶浸層が
形成されているため、この溶浸層の遮断効果によって油
漏れを完全に防止することができる。一方、上記溶浸層
が形成されない部位は軽量な多孔質焼結体で形成され、
かつ潤滑油を含浸できる焼結孔(気孔)が残るため、軸
受部の潤滑性が良好に維持されるとともに、軽量で高速
回転化に対応できる動圧軸受モータを提供することがで
きる。
【0024】また、上記溶浸層は切削性が極めて良好で
あるため、複雑形状の動圧発生溝であっても、切削加工
により動圧発生溝をこの溶浸層に容易かつ効率的に、さ
らに高い寸法精度で形成することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】次に本発明の実施形態について以
下の実施例および添付した図面を参照してより具体的に
説明する。
【0026】実施例1 図1は本発明に係る動圧軸受モータの一実施例を示す要
部断面図であり、特に焼結軸受7aおよび回転軸3の構
造・形状のみを示している。しかしながら、その他の構
成要素は図3に示す従来の動圧軸受モータの構成要素と
同一である。
【0027】上記焼結軸受7aは以下のような手順で調
製された。すなわち、フェライト系ステンレス合金(S
US 430L)から成る金属粉末に対して粉末潤滑剤
を1〜3重量添加して原料混合体とした。次に、得られ
た原料混合体を400〜700MPaの加圧力で圧縮成
形することにより、内径10mm×外径30mm×高さ40
mmの成形体を多数調製した。この成形体を温度500〜
900℃で仮焼結した後に、回転軸側と反対側の軸受の
外表面側のみを400〜700MPaの加圧力で再圧縮
し、仮焼結体の外側部分と内側部分との密度差が0.2
〜0.5g/cm 3 となるように加工して軸受素材とし
た。
【0028】次に得られた各軸受素材を青銅系溶浸材に
接触させた状態で、溶浸材の融点以上に加熱して各軸受
素材に溶浸材を15〜28gの範囲で溶浸させた。溶浸
処理した各軸受素材を図1に示す形状に加工するととと
もに、軸受素材の内周面に動圧発生溝10を切削加工し
て、図1に示すように外表面部に所定の溶浸層16aを
有する実施例1用の焼結軸受7aを多数調製した。各焼
結軸受7aの気密度は0.1〜0.3ml/cm2 ・Hrの
範囲であった。
【0029】得られた各焼結軸受7aに回転軸3を嵌合
させるとともに、図3に示すように他の要素部品を組み
込み実施例1に係る動圧軸受モータを製造した。得られ
た軸受モータについて延べ5000時間に亘る断続運転
試験を実施したところ、各試験用モータについて温度変
化に伴う油漏れは一切観察されず、優れた運転特性が確
認できた。また、各軸受7aの中心部(回転軸側)には
潤滑油を含浸できる焼結孔が残されているため、長期に
亘って安定した潤滑効果が得られ、回転軸の良好な回転
特性が維持できることも判明した。
【0030】一方、比較例として、実施例1で調製した
軸受素材の全体に樹脂を含浸させた焼結軸受を作成して
同様に運転試験を実施したところ、実施例1における延
べの試験時間の約1/3の時間が経過した時点で油漏れ
を生じた。
【0031】実施例2 図2は本発明に係る動圧軸受モータの他の実施例を示す
要部断面図であり、特に焼結軸受7bおよび回転軸3の
構造・形状のみを示している。しかしながら、その他の
構成要素は図3に示す従来の動圧軸受モータの構成要素
と同一である。
【0032】上記焼結軸受7bは以下のような手順で調
製された。すなわち、フェライト系ステンレス合金(S
US 430F)から成る金属粉末に対して粉末潤滑剤
を1〜3重量%添加して原料混合体とした。次に、得ら
れた原料混合体を400〜700MPaの加圧力で圧縮
成形することにより、内径10mm×外径30mm×高40
mmの成形体を多数調製した。この成形体を温度500〜
900℃で仮焼結した後に、軸受の回転軸側の内表面側
のみを400〜700MPaの加圧力で再圧縮し、仮焼
結体の外側部分と内側部分との密度差が0.2〜0.5
g/cm3 となるように加工して軸受素材とした。
【0033】次に得られた各軸受素材を青銅系溶浸材に
接触させた状態で、溶浸材の融点以上に加熱して各軸受
素材に溶浸材を15〜28gの範囲で溶浸させた。溶浸
処理した各軸受素材を図2に示す形状に加工するととと
もに、軸受素材の内周面に動圧発生溝10を切削加工し
て、図2に示すように内表面部に所定の溶浸層16bを
有する実施例2用の焼結軸受7bを多数調製した。各焼
結軸受7bの気密度は0.1〜0.25ml/cm2 ・Hr
の範囲であった。
【0034】得られた各焼結軸受7bに回転軸3を嵌合
させるとともに、図3に示すように他の要素部品を組み
込み実施例2に係る動圧軸受モータを製造した。得られ
た軸受モータについて延べ5000時間に亘る断続運転
試験を実施したところ、各試験用モータについて温度変
化に伴う油漏れは一切観察されず、優れた運転特性が確
認できた。また、各軸受7bの外周部には潤滑油を含浸
できる焼結孔が残されているため、長期に亘って安定し
た潤滑効果が得られ、回転軸の良好な回転特性が維持で
きることも判明した。
【0035】一方、比較例として、実施例1で調製した
軸受素材の全体に樹脂を含浸させた焼結軸受を作成し
て、その内周面に切削加工により動圧発生溝を形成して
両者の切削性を比較した。その結果、溶浸層16bに動
圧発生溝10を形成した実施例2の場合には、溶浸層1
6bにおける切削性が極めて良好であるため、複雑形状
を有する動圧発生溝であっても、高い寸法精度で効率的
に形成することが可能であった。一方、樹脂含浸を行っ
た焼結体の内表面に動圧発生溝を形成した場合には、切
削性が悪いため、割れや欠けが発生し易く軸受の製造歩
留り(良品率)が大幅に低下した。ちなみに、実施例2
に係る構造によれば、動圧発生溝を形成する際に生じる
割れや欠け、形状精度不良等に起因する不良率が上記比
較例の場合の1/4〜1/5以下と大幅に低減できるこ
とも判明した。
【0036】また、上記実施例1〜2においては、焼結
軸受素材の全体に溶浸処理を施すことをせず、共に溶浸
層を軸受の一部分にのみ形成し、他の部分は軽量な多孔
質焼結体として残すという特徴的構成を有しているた
め、焼結軸受全体として比較的に軽量に形成できる。ち
なみに、各実施例で調製した焼結軸受の重量は、溶製材
で製作した同一寸法の従来の軸受と比較して5〜10%
程度軽量化することが可能になり、より高速回転や携帯
性を指向する電子機器の駆動モータ用軸受として極めて
有効となる。
【0037】
【発明の効果】以上説明の通り、本発明に係る動圧軸受
モータによれば、焼結軸受の一部分に金属材を溶浸した
溶浸層が形成されているため、この溶浸層の遮断効果に
よって油漏れを完全に防止することができる。一方、上
記溶浸層が形成されない部位は軽量な多孔質焼結体で形
成され、かつ潤滑油を含浸できる焼結孔(気孔)が残る
ため、軸受部の潤滑性が良好に維持されるとともに、軽
量で高速回転化に対応できる動圧軸受モータを提供する
ことができる。
【0038】また、上記溶浸層は切削性が極めて良好で
あるため、複雑形状の動圧発生溝であっても、切削加工
により動圧発生溝をこの溶浸層に容易かつ効率的に、さ
らに高い寸法精度で形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る動圧軸受モータの一実施例を示す
要部断面図。
【図2】本発明に係る動圧軸受モータの他の実施例を示
す要部断面図。
【図3】従来の動圧軸受モータの構造例を示す断面図。
【符号の説明】
1 回転部(ロータアセンブリ) 2 固定部(ステータアセンブリ) 3 回転軸 4 ハブ 5 バックヨーク 6 駆動マグネット 7,7a,7b 軸受 8 支持フレーム 9 固定軸受部 109 動圧発生溝 11 ステータコア 12 ステータ巻線 13 スラスト受け板 14 固定ねじ 15 オイル漏れ防止シール材 16a,16b 溶浸層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3J011 AA07 BA02 CA02 DA01 DA02 JA02 LA01 MA24 QA01 SB02 SB03 SB05 SB12 SB15 SB19 5H605 BB05 BB19 CC04 DD09 EB06 EB28 EB38 GG04 GG21 5H607 AA04 BB01 BB14 BB17 CC01 FF01 GG01 GG10 GG12 GG14

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転軸を回転自在に嵌合した焼結軸受で
    あり軸受内周面に動圧発生溝を形成した軸受を備え、回
    転軸の回転動作に伴って動圧発生溝により発生する動圧
    によって回転軸を非接触状態で回転自在に支持するよう
    に形成した動圧軸受モータにおいて、上記焼結軸受の一
    部分に金属材を溶浸した溶浸層が形成されていることを
    特徴とする動圧軸受モータ。
  2. 【請求項2】 溶浸層は、回転軸側と反対側の軸受の外
    表面部に形成されていることを特徴とする請求項1記載
    の動圧軸受モータ。
  3. 【請求項3】 溶浸層は、回転軸に対向する動圧発生溝
    側の軸受の内表面部に形成されていることを特徴とする
    請求項1記載の動圧軸受モータ。
  4. 【請求項4】 溶浸層を形成した焼結軸受の一方の表面
    に、圧力が0.5MPaの窒素ガスを作用させた場合
    に、焼結軸受の他方の表面から漏出する窒素ガスの流量
    で表わされる気密度が1ml/cm2 ・Hr以下であること
    を特徴とする動圧軸受モータ。
  5. 【請求項5】 前記動圧発生溝は切削加工により形成さ
    れていることを特徴とする請求項1記載の動圧軸受モー
    タ。
  6. 【請求項6】 軸受を構成する焼結体がステンレス鋼合
    金粉から成る多孔質焼結体である一方、溶浸される金属
    材が青銅合金であることを特徴とする請求項1記載の動
    圧軸受モータ。
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