JP2000220504A - 筒内噴射式エンジンのアイドル回転数制御装置 - Google Patents

筒内噴射式エンジンのアイドル回転数制御装置

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JP2000220504A
JP2000220504A JP1888299A JP1888299A JP2000220504A JP 2000220504 A JP2000220504 A JP 2000220504A JP 1888299 A JP1888299 A JP 1888299A JP 1888299 A JP1888299 A JP 1888299A JP 2000220504 A JP2000220504 A JP 2000220504A
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combustion
engine
target
engine speed
speed
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English (en)
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Kiyotaka Mamiya
清孝 間宮
Michihiro Imada
道宏 今田
Masayuki Tetsuno
雅之 鐵野
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Mazda Motor Corp
Original Assignee
Mazda Motor Corp
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  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 筒内噴射式エンジンにおいて、燃焼状態に拘
らずアイドル運転時のエンジン回転数の変動を速やかに
抑えて、安定状態を良好に維持する 【解決手段】 アイドル運転時には、目標負荷設定手段
52において、運転モード(燃焼状態;ストイキオモー
ド又は成層燃焼モード)に応じた制御ゲインG1,G2
加味したF/B補正係数k1を求め、仮想充填効率ceimg
をこのF/B補正係数k1に基づいて補正して目標負荷
を求めるようにした。そして、この目標負荷に基づいて
スロットル弁およびインジェクタ22による燃料噴射量
を求めるようにした。また、アイドル運転時であって、
運転モードがストイキオモードの場合には、点火プラグ
の点火時期演算手段69において、実回転数neと目標回
転数nφとの偏差に基づきF/B補正係数k3を求め、こ
のF/B補正係数k3を加味して最終点火時期を設定す
るようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、燃料を直接燃焼室
内に噴射するインジェクタを備えた筒内噴射式エンジン
において、特に、アイドル運転時のエンジン回転数を制
御する筒内噴射式エンジンのアイドル回転数制御装置に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、アイドル運転中のエンジン回
転数(アイドル回転数という)を安定したものに維持す
べく現実のアイドル回転数と目標回転数との偏差に基づ
いてエンジン回転数変更要素をフィードバック制御する
ことは一般に知られており、通常の吸気管噴射型のエン
ジンでは、エアコン等の外部負荷の入力によりアイドル
回転数が変動すると、例えば、スロットルバルブやエア
バイパスバルブの開度を調節して吸入空気量を補正し、
さらに応答性よくアイドル回転数を増減させるべく点火
時期を一時的に調節してアイドル回転数を速やかに目標
回転数に収束させるようにしている。
【0003】ところで、近年、燃料を直接燃焼室に噴射
するインジェクタを備え、低負荷時に、上記インジェク
タから圧縮行程後期に燃料を噴射することで点火プラグ
まわりに混合気が偏在する状態として成層燃焼を行わ
せ、これにより燃焼安定性を確保しつつ空燃比をリーン
にして燃費改善を図るとともに、高負荷時には、吸気行
程で燃料を噴射することで燃料を拡散させて均一燃焼を
行い、これにより空燃比を理論空燃比もしくはリッチに
して高いエンジン出力を得るようにした筒内噴射火花点
火式エンジン(以下、筒内噴射式エンジンという)が開
発されており、この種のエンジンにおいてもアイドル回
転数を安定しものに維持すべく現実のアイドル回転数に
基づいてエンジン回転数変更要素をフィードバック制御
する必要がある。
【0004】しかし、筒内噴射式エンジンでは、上述の
ように燃焼状態が成層燃焼と均一燃焼とに切替えられる
ため、吸気管噴射型のエンジンと同様にアイドル回転数
を制御すると、成層燃焼時に燃焼性が悪化し、却って回
転数の安定性を阻害する虞れがある。すなわち、成層燃
焼時は、点火プラグまわりに混合気が偏在する状態で点
火することで燃焼安定性を確保しつつ空燃比をリーンと
するため、吸気管噴射型のエンジン同様に点火時期を調
節すると、点火時に燃料が拡散する等して所望の成層度
が得られず、これにより燃焼安定性が損なわれる虞れが
ある。
【0005】そこで、近年、このような筒内噴射式エン
ジンにおけるアイドル回転数制御の課題を解決するもの
として、例えば、均一燃焼時には、通常の吸気管噴射型
のエンジンと同様に吸入空気量の補正に加えて点火時期
を調節する一方、成層燃焼時には、吸入空気量の補正に
加えて燃料噴射量を調節するようにしたエンジンの制御
装置が提案されている(特開平10−68347号公
報)。
【0006】このエンジンの制御装置によれば、成層燃
焼時には点火時期の調整に代えて燃料噴射量の調整を行
うため、点火時期を制御する場合のように燃焼安定性を
損なうことがない。しかも、筒内噴射式エンジンにおい
て、燃料噴射量の調整は、点火時期を制御する場合と同
様に、アイドル回転数を速やかに増減させることができ
るため、成層燃焼時のアイドル回転数を速やかに目標回
転数に収束させることが可能となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、筒内噴射式
エンジンのアイドル回転数の制御では、上述のように成
層燃焼および均一燃焼のいずれの場合もスロットルバル
ブ等の開度を調節して吸入空気量を補正するようにして
いるが、この場合、従来のエンジンでは、燃焼状態に拘
らず、現実のアイドル回転数と目標回転数との偏差に基
づき、現在のバルブ開度を基準に一定の割合(すなわち
制御ゲイン(増加率)が一定)でスロットルバルブ等の
開度を調節するようにしているため応答性の上で改良の
余地がある。すなわち、成層燃焼時は、吸入空気量を多
く確保するように均一燃焼時に比べてスロットルバルブ
等の開度が十分大きく設定され、空気過剰率が大きいた
め、吸気負圧が小さい。従って、上記の回転数偏差に対
して吸入空気量による制御を十分に効かそうとすると、
回転数偏差が同じ値であっても均一燃焼時に比べてバル
ブ開度の調整量が大きくなり、このようにバルブ開度の
調整量が大きくなる結果、応答性が悪化し、吸入空気量
の変動が大きくなって回転数が安定しにくくなる。その
ため、成層燃焼時は、均一燃焼時に比べてアイドル回転
数が目標回転数に収束しにくい傾向にある。従って、こ
の点を改善する必要がある。
【0008】本発明は、上記問題を解決するためになさ
れたものであり、筒内噴射式エンジンにおいて、燃焼状
態に拘らずアイドル運転時のエンジン回転数の変動を速
やかに抑えて、エンジン回転数の安定状態を良好に維持
することができる筒内噴射式エンジンのアイドル回転数
制御装置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、燃料を燃焼室内に直接噴射するインジェ
クタを備え、インジェクタにより噴射された燃料を燃焼
室内の点火プラグ周りに偏在させて成層燃焼を行わせる
状態と、インジェクタにより噴射された燃料を燃焼室内
全体に拡散させて均一燃焼を行わせる状態とに燃焼状態
を切替え可能に構成されたエンジンの制御装置におい
て、燃焼状態が成層燃焼か均一燃焼かを判別可能な判別
手段と、インジェクタによる燃料噴射量を制御する燃料
噴射量制御手段と、点火プラグの点火時期を制御する点
火時期制御手段と、吸入空気量を制御する吸気量制御手
段と、アイドル運転時のエンジン回転数を所定の回転数
にすべく、判別手段による燃焼状態の判別結果に基づい
て、アイドル運転時の燃焼状態が均一燃焼であるときに
は、吸気量制御手段および点火時期制御手段を制御して
吸入空気量および点火時期を調整することによりアイド
ル運転時のエンジン回転数を制御する一方、アイドル運
転時の燃焼状態が成層燃焼であるときには、吸気量制御
手段および燃料噴射量制御手段を制御して吸入空気量お
よび燃料噴射量を調整することによりアイドル運転時の
エンジン回転数を制御するアイドル回転制御手段と、ア
イドル回転制御手段によるエンジン回転数の制御におい
て、吸気量制御手段による吸入空気量の調整度合いを成
層燃焼時と均一燃焼時とで変更する調整度合い変更手段
とを備えているものである(請求項1)。
【0010】この制御装置によると、アイドル回転数に
変動が生じると、均一燃焼時には吸入空気量および点火
時期の調整により、成層燃焼時には吸入空気量および燃
料噴射量の調整によりアイドル回転数が増減される。ま
た、吸入空気量の調整においては、成層燃焼時と均一燃
焼時とで吸入空気量の調整度合いが変更可能となってい
るため、燃焼状態に応じて吸入空気量の調整度合いが変
更される。
【0011】上記装置においては、成層燃焼時における
吸入空気量の調整度合いを均一燃焼時の調整度合いに比
べて小さくするように調整度合い変更手段が構成される
(請求項2)。このような構成によると、成層燃焼時に
おける吸気量制御手段による制御量を単独で小さく設定
することが可能となる。
【0012】なお、運転状態に基づいて基本充填効率を
求める手段と、現実のエンジン回転数を目標回転数に収
束させるための上記基本充填効率に対する補正係数を求
める手段と、上記基本充填効率および補正係数に基づい
て目標負荷を求める手段とを備え、この目標負荷に基づ
いて上記吸気量制御手段、燃料噴射量制御手段および点
火時期制御手段のうち複数の手段を制御するようにアイ
ドル回転制御手段を構成すれば(請求項3)、吸気量制
御手段等の複数のアイドル回転数変更要素に対する制御
ロジックを共通化することができ、これにより制御系を
簡素化することが可能となる。
【0013】この場合、上記目標負荷に基づいて吸気量
制御手段および燃料噴射量制御手段を制御する一方、現
実のエンジン回転数と上記目標回転数とに基づいて上記
点火時期制御手段を制御するように上記アイドル回転制
御手段を構成してもよい(請求項4)。
【0014】
【発明の実施の形態】図1は本発明に係るエンジンの制
御装置を適用した筒内噴射式エンジンの全体構造を概略
的に示したものである。この図において、エンジン本体
10は複数の気筒12を有し、各気筒12には、そのシ
リンダボアに挿入されたピストン14の上方に燃焼室1
5が形成されており、この燃焼室15には吸気ポート及
び排気ポートが開口し、これらのポートは吸気弁17及
び排気弁18によってそれぞれ開閉されるようになって
いる。
【0015】上記燃焼室15の中央部には点火プラグ2
0が配設され、そのプラグ先端が燃焼室15内に臨んで
いる。また、燃焼室15内には側方からインジェクタ2
2の先端部が臨み、このインジェクタ22から燃焼室1
5内に直接燃料が噴射されるようになっている。上記イ
ンジェクタ22には図外の高圧燃料ポンプ、プレッシャ
レギュレータ等を具備する燃料回路が接続され、各気筒
のインジェクタ22に燃料が供給されるとともにその燃
圧が圧縮行程における筒内圧力よりも高い所定圧力とな
るように燃料回路が構成されている。
【0016】上記エンジン本体10には吸気通路24及
び排気通路34が接続されている。上記吸気通路24に
は、その上流側から順に、エアクリーナ25、エアフロ
ーセンサ26、モータ27により駆動されるスロットル
弁28及びサージタンク30が設けられている。サージ
タンク30の下流には気筒別の独立吸気通路が設けら
れ、各独立吸気通路が吸気ポートに連通している。当実
施形態では、各独立吸気通路の下流側部分が第1,第2
の通路31a,31bに分岐し、その下流の2つの吸気
ポートが燃焼室に開口するとともに、第2の通路31b
にスワール生成用のコントロール弁32(以下、S弁3
2と呼ぶ)が設けられている。
【0017】上記S弁32はアクチュエータ33により
駆動されて開閉作動するもので、このS弁32により第
2の通路31bが閉じられたときは第1の通路31aを
通る吸気によって燃焼室15内にスワールが生成され、
S弁32が開かれるにつれてスワールが弱められるよう
になっている。
【0018】上記排気通路34には排気ガス浄化用の触
媒35が設けられている。当実施形態のエンジンに設け
られる触媒35はリーン運転状態でもNOx浄化性能を
有するものであり、例えば、リーン運転状態のときに排
気中のNOxを吸蔵して、そのNOxを理論空燃比もし
くはこれよりリッチな空燃比の運転状態となったとき還
元させるNOx吸蔵触媒が用いられる。
【0019】さらに、排気通路34と吸気通路24との
間には、排気ガスを還流させるためのEGR通路37が
形成され、このEGR通路37に、EGR量を調節する
EGR弁38が介設されている。
【0020】このエンジンには、上記エアフローセンサ
26の他、さらにサージタンク30内の吸気負圧を検出
するブーストセンサ40、スロットル開度を検出するス
ロットル開度センサ41、エンジン回転数を検出する回
転数センサ42、アクセル開度を検出するアクセル開度
センサ43、吸気温を検出する吸気温センサ44、大気
圧を検出する大気圧センサ45、エンジン冷却水温を検
出する水温センサ46、排気ガス中の酸素濃度の検出に
よって空燃比を検出するO2 センサ47、EGR弁のリ
フト量を検出するEGR弁リフトセンサ48、インジェ
クタ22に与えられる燃料の燃圧を検出する燃圧センサ
49等のセンサ類が装備され、これらセンサの出力信号
(検出信号)がECU(コントロールユニット)50に
入力されている。
【0021】上記ECU50は、インジェクタ22から
の燃料噴射量及び噴射タイミングを制御するとともに、
スロットル弁28を駆動するモータ27に制御信号を出
力することによりスロットル弁28の制御を行ない、ま
た、点火回路21に制御信号を出力することにより点火
時期を制御し、さらに、アクチュエータ33に制御信号
を出力することによりS弁32の制御も行ない、また、
EGR弁38の制御も行なうようになっている。
【0022】当実施形態の筒内噴射式エンジンの基本的
な制御としては、上記インジェクタ22からの燃料噴射
形態が異なる各種運転モードが選択可能とされ、運転領
域によって運転モードが変更されるようになっている。
【0023】具体的には、後にも説明するように、低負
荷低回転側の所定領域が成層燃焼領域、それ以外の領域
が均一燃焼領域とされる(図5参照)。そして、成層燃
焼領域では、上記インジェクタ22から圧縮行程の後期
に燃料が噴射されることにより、点火プラグ20付近に
混合気が偏在する成層状態で燃焼が行なわれるような成
層燃焼モードとされ、この場合、スロットル弁28の開
度が大きくされて吸入空気量が多くされることにより燃
焼室全体の空燃比としては大幅なリーン状態(例えば3
0以上)とされる。一方、均一燃焼領域では、上記イン
ジェクタ22から吸気行程の前期に燃料が噴射されるこ
とにより、燃焼室15全体に均一に混合気が拡散する状
態で燃焼が行なわれる均一燃焼モードとされる。この均
一燃焼領域では空気過剰率λがλ=1、つまり理論空燃
比(A/F=14.7)とされる。なお、エンジンの回
転数が所定のアイドル回転数となるアイドル運転状態で
あって、かつエンジン始動直後の冷間時には、図5に示
す領域に拘りなく均一燃焼モードとされる。また、図5
中に斜線で示すように、均一燃焼領域のうちで、アクセ
ル全開域やその付近の高負荷域及び高回転域に、空燃比
を理論空燃比よりもリッチ(λ<1)に設定するエンリ
ッチ領域を設けるようにしてもよい。
【0024】図2は上記ECU50に機能的に含まれる
手段の構成を示している。上記ECU50は、吸気温セ
ンサ44及び大気圧センサ45からの信号に基づいて吸
気密度状態を検出する吸気密度状態検出手段51を有す
るとともに、アクセル開度センサ43及び回転数センサ
42からの信号に基づき、上記吸気密度状態を加味し
て、目標負荷に相当する値を設定する目標負荷設定手段
52を有している。
【0025】上記目標負荷設定手段52は、図3に示す
ように、仮想体積効率演算手段52a、仮想充填効率演
算手段52bと、なまし処理手段52c、目標図示平均
有効圧力演算手段52d、第1の回転数フィードバック
(F/B)補正係数設定手段52eおよび第2の回転数
フィードバック(F/B)補正係数設定手段52fを含
んでいる。
【0026】上記仮想体積効率演算手段52aは、アク
セル開度accel及びエンジン回転数neに応じて仮想体積
効率veimgを求める。この場合、予めベンチテスト等に
より標準大気状態下で、かつ空燃比を所定値(具体的に
は理論空燃比)に保った標準運転条件下において要求さ
れる出力性能が得られるように、アクセル開度accel及
びエンジン回転数neと仮想体積効率veimgとの対応関係
が定められ、その対応関係がマップとしてECU50内
のメモリに記憶されており、このメモリから実際のアク
セル開度accel及びエンジン回転数neに応じた仮想体積
効率veimgが求められる。
【0027】仮想充填効率演算手段52bは、上記仮想
体積効率veimgに対し、吸気密度状態検出手段51で求
められた吸気の密度を加味して仮想充填効率ceimgを求
める。これにより、空燃比を理論空燃比に保つ標準運転
条件を想定した場合の要求エンジントルクに見合う充填
効率が仮想充填効率ceimgとして求められる。この場
合、エンジンがアイドル運転状態のときには、パワース
テアリング等の外部負荷に対する各種補正値と、第1の
回転数F/B補正係数設定手段52eにおいて求められ
る後述のF/B補正係数k1に基づいて上記仮想充填効
率ceimgを補正する。
【0028】なまし処理手段52cは、上記仮想充填効
率ceimgを一次遅れ補正によりなまし処理する。また、
目標図示平均有効圧力演算52dは、上記仮想充填効率
ceimgからこれに対応した値である目標図示平均有効圧
力を求め、これを目標負荷とする。この場合、なまし処
理されない仮想充填効率ceimgから第1の目標図示平均
有効圧力Piobjが演算される一方、なまし処理された仮
想充填効率ceimgから第2の目標図示平均有効圧力Piobj
dが演算される。
【0029】第1及び第2の回転数F/B補正係数設定
手段52e,52fは、上記回転数センサ42から出力
される信号に基づいてエンジンがアイドル運転状態にあ
るか否かを判別し、アイドル運転状態にある場合には、
現実のエンジン回転数neが予め設定されている目標回転
数nφとなるように、現実のエンジン回転数neに基づき
回転数変更要素をフィードバック制御すべく、実回転数
neと目標回転数nφとの偏差に基づいてそれぞれF/B
補正係数k1,k2を演算する。
【0030】この場合、第1の回転数F/B補正係数設
定手段52eは、後述するように水温センサ46からの
出力に基づいてアイドル運転時の運転モードを判別し、
運転モードに応じた制御ゲイン(増加率)として、均一
燃焼モードでは制御ゲインG1を、成層燃焼モードでは
制御ゲインG2(G2<G1)を加味したF/B補正係数
1を演算するようになっている。
【0031】また、第2の回転数F/B補正係数設定手
段52fは、水温センサ46からの出力に基づいてアイ
ドル運転時の運転モードを判別し、運転モードが成層燃
焼モードの場合にのみ、第2の目標図示平均有効圧力Pi
objの演算に先立ってなまし処理された仮想充填効率cei
mgdを上記F/B補正係数k2に基づいて補正するように
なっている。
【0032】図2に示すECU50は、さらに、基本的
な運転モードmodsの設定を行う運転モード設定手段53
を有している。
【0033】運転モード設定手段53は、第1の目標図
示平均有効圧力Piobjとエンジン回転数neとに応じて基
本的な運転モードmodsを設定する。すなわち、図5に示
すように、第1の目標図示平均有効圧力Piobjが所定の
低負荷側閾値より低く、かつ、エンジン回転数が低い領
域(成層燃焼領域)では成層燃焼モードとし、それ以外
の領域(均一燃焼領域)ではλ=1の均一燃焼運転モー
ド(以下、ストイキオモードと呼ぶ)とする。但し、エ
ンジン回転数が所定回転数以下となるアイドル運転状態
であって、かつエンジン始動直後の冷間時、すなわち水
温センサ46による検出水温が所定温度以下のときに
は、第1の目標図示平均有効圧力Piobjの値に拘らず運
転モードmodsをストイキオモードとするようになってい
る。
【0034】さらにECU50は、エンジン出力に関係
する各種制御パラメータの値を決定する制御手段を有
し、当実施形態では、スロットル弁28で調節される吸
入空気量、EGR弁38で調節されるEGR量、S弁3
2で調節されるスワール、インジェクタ22からの燃料
噴射量、燃料噴射時期及び点火プラグ20の点火時期が
制御パラメータとされ、これら制御パラメータの値が目
標負荷及びエンジン回転数ne等に応じて決定される。こ
の場合、制御パラメータのうちの低速応答と高速応答と
の応答性を調整すべく、低速応答系の制御値を決定する
ための目標負荷としては第1の目標図示平均有効圧力Pi
objが用いられ、高速応答系の制御値を決定するための
目標負荷としては第2の目標図示平均有効圧力Piobjdが
用いられる。
【0035】すなわち、上記各制御パラメータのうちで
吸入空気量、EGR量及びスワールはそれぞれスロット
ル弁28、EGR弁38及びS弁32の作動に対する応
答性が比較的低い低速応答系であって、これらの制御量
であるスロットル開度、EGR弁38の制御量及びS弁
32の開度は第1の目標図示平均有効圧力Piobjとエン
ジン回転数ne等に応じて決定される。一方、燃料噴射
量、燃料噴射時期及び点火時期は制御信号に速やかに応
答する高速応答系であって、これら燃料噴射量、燃料噴
射時期及び点火時期は第2の目標図示平均有効圧力Piob
jdとエンジン回転数ne等に応じて決定されるようになっ
ている。
【0036】具体的に説明すると、吸入空気量制御のた
めの手段(吸気量制御手段)としては目標空燃比設定手
段54、目標充填効率演算手段55及びスロットル開度
演算手段56を有している。上記目標空燃比設定手段5
4は、吸入空気量制御用の目標空燃比afwbを、上記運転
モード設定手段53で設定される運転モード別に設定す
るものであり、成層燃焼モードでは第1の目標図示平均
有効圧力Piobjとエンジン回転数neとに応じ、予め作成
されているマップから目標空燃比afwbを求め、ストイキ
オモードでは目標空燃比afwbを理論空燃比(λ=1)と
するようになっている。
【0037】上記目標充填効率演算手段55は、第1の
目標図示平均有効圧力Piobjもしくはこれに対応する仮
想充填効率ceimgから、リーン運転される場合の目標空
燃比の空気過剰率分(afwb/14.7)と燃費改善効果
分とを加味して目標充填効率を求める。つまり、上記仮
想充填効率ceimgは理論空燃比で運転される状態を想定
した目標負荷に対応する値であり、これに対し、リーン
運転時に同等の燃料噴射量を確保するには上記空気過剰
率分を加味する必要があるが、このようにして理論空燃
比の場合と同等の燃料噴射量を確保すると、リーン運転
時は熱効率が高められて燃費が改善されるので、その分
だけトルクが理論空燃比の場合と比べて高くなってしま
う。そこで、目標負荷に対応するトルクを得るため、上
記空気過剰率分を加味するほかに、燃費改善効果分も加
味するようにしたものである。なお、燃費改善効果分を
加味するに際しては、燃費改善効果分に見合う程度に目
標充填効率を減少方向に補正する。
【0038】スロットル開度演算手段56は、上記目標
充填効率から吸気密度に応じた補正を行うことで目標体
積効率を求め、この目標体積効率及びエンジン回転数ne
に応じてスロットル開度を決定する。この際、体積効率
及びエンジン回転数とスロットル開度との対応関係は、
EGRの有無によって異なるため、その各場所について
それぞれ上記対応関係を示すマップを予め作成し、EG
Rの有無の判別に応じていずれかのマップから目標体積
効率に応じたスロットル開度を求めるようになってい
る。
【0039】EGR量制御のための手段としてはEGR
弁基本制御量設定手段59と、EGR弁制御量演算手段
60とを有している。
【0040】上記EGR弁基本制御量設定手段59は、
EGR弁38の基本制御量を上記運転モード設定手段5
3で設定される運転モードmods別に設定するものであ
り、成層燃焼モードでは第1の目標図示平均有効圧力Pi
objとエンジン回転数neとに応じ、予め作成されている
マップから基本制御量を求め、ストイキオモードではエ
アフローセンサ26の出力に基づいて求められる実充填
効率とエンジン回転数neとに応じ、予め作成されている
マップから基本制御量を求める。
【0041】EGR弁制御量演算手段60は、EGR弁
38の最終制御量を求めるもので、上記基本制御量に、
吸入空気量等による補正を加味して最終的なEGR弁制
御量を求める。
【0042】S弁開度制御のための手段としてはS弁開
度設定手段61を有している。このS弁開度設定手段6
2は、S弁開度を上記運転モード設定手段53で設定さ
れる運転モードmods別に、各モードで要求されるスワー
ルが得られるように設定するものであり、成層燃焼モー
ドでは第1の目標図示平均有効圧力Piobjとエンジン回
転数neとに応じ、予め作成されているマップからS弁開
度を求め、ストイキオモードでは実充填効率ceとエンジ
ン回転数neに応じ、予め作成されているマップからS弁
開度を求めるようになっている。
【0043】インジェクタ22からの燃料噴射を制御す
る手段としては、目標空燃比作成手段62、運転モード
設定手段63、分割比設定手段64、噴射量演算手段6
5(燃料噴射量制御手段)、噴射時期設定手段66及び
噴射制御手段67を有している。
【0044】上記目標空燃比作成手段62は、燃料噴射
量等の制御に用いる目標空燃比を求めるものであり、主
として過渡時に利用される目標空燃比afw0と、主として
定常時に利用される目標空燃比afwbdとを求める。
【0045】過渡時に利用される目標空燃比afw0は、実
充填効率の下で目標負荷に対応するトルクが得られるよ
うに、第2の目標図示平均有効圧力Piobjdもしくはこれ
に対応する仮想充填効率と実充填効率ceとに基づき、燃
費改善効果分を加味して求められる。一方、定常時に利
用される目標空燃比afwbdは、成層燃焼モードでは第2
の目標図示平均有効圧力Piobjdとエンジン回転数neとに
応じ、予め作成されているマップから求められ、ストイ
キオモードでは目標空燃比afwbdが理論空燃比(λ=
1)とされる。
【0046】そして、目標空燃比作成手段62は、吸入
空気量制御用の上記目標空燃比afwbと上述のようにして
求めた目標空燃比afw0との偏差dafwbを演算し、この偏
差dafwbが大きくなる過渡時には、上記目標空燃比afw0
を最終的な目標空燃比afwとし、偏差dafwbが小さい定常
時には、上記目標空燃比afwbdを最終的な目標空燃比afw
とするようになっている。
【0047】運転モード設定手段63は、高速系の制御
パラメータを決定するために用いる運転モードmodfを、
燃料噴射量等制御用の上記目標空燃比afw0とエンジン回
転数neとに応じて設定する。すなわち、図6に示すよう
に、目標空燃比afw0がストイキオ上限側基準値よりも大
きい値となるときは成層燃焼モードとし、それ以下の値
となるときはストイキオモードとする。
【0048】なお、ストイキオモードと成層燃焼モード
との間で運転モードmodfが変更される過渡時には、スト
イキオ上限側基準値付近(図6のハッチング部分)で一
時的に分割噴射モードを選択するようにしてもよい。こ
の分割噴射モードとは、燃料噴射を吸気行程と圧縮行程
とに分割して行うものであり、圧縮行程噴射の成層燃焼
モードから吸気行程噴射のストイキオモードへのモード
変更やこれとは逆のモード変更が行われるときに、分割
噴射モードを経由するようにすれば、急激な燃焼状態の
変化が避けられる。
【0049】分割比設定手段64は、運転モード設定手
段63により設定される運転モードmodfに応じて吸気行
程噴射と圧縮行程噴射の分割比を設定するものであっ
て、成層燃焼モードでは吸気行程噴射割合を0%とし、
ストイキオモードでは吸気行程噴射割合を100%とす
る。なお、上記分割噴射モードが選択されるときは、目
標空燃比afw及びエンジン回転数neに応じて分割比を設
定すればよい。
【0050】噴射量演算手段65は、エアフローセンサ
26の出力から求められた実充填効率ceと、上記目標空
燃比作成手段62により求められた目標空燃比afwと、
分割比設定手段64により設定された噴射割合とに基づ
いて燃料噴射量を演算する。この場合、吸気行程噴射及
び圧縮行程噴射の各基本噴射量を演算し、さらに、燃圧
に応じた吸気行程噴射、圧縮行程噴射の各補正値とその
他の補正値とを加味して吸気行程噴射及び圧縮行程噴射
の最終噴射量を演算し、この最終噴射量に比例した噴射
パルスTiを求める。
【0051】噴射時期設定手段66は、燃料噴射時期th
tinjを上記運転モード設定手段63で設定される運転モ
ード別に設定するものであり、成層燃焼モードでは第2
の目標図示平均有効圧力Piobjdとエンジン回転数neとに
応じて予め作成されているマップから圧縮行程噴射用の
噴射時期を求め、ストイキオモードではエンジン回転数
neに応じて予め作成されているテーブルから吸気行程噴
射用の噴射時期を求める。なお、分割噴射モードとされ
る場合は、圧縮行程噴射用の噴射時期として成層燃焼モ
ードにおけるデータを流用するとともに、目標空燃比af
w及びエンジン回転数neに応じて予め作成されているマ
ップから吸気行程噴射用の噴射時期を求める。
【0052】噴射制御手段67は、上記噴射時期設定手
段66により設定された噴射時期に、上記噴射量演算手
段65により演算された噴射パルス幅Tiに相当する時間
だけインジェクタ22を作動させるように、噴射パルス
Tiを出力する。
【0053】また、点火時期を制御する手段(点火時期
制御手段)としては、基本点火時期及び補正量を設定す
る設定手段68と、点火時期演算手段69とを有してい
る。
【0054】上記設定手段68は、上記運転モード設定
手段63で設定される運転モード別に基本点火時期や各
種の点火時期補正値を設定する。一方、点火時期演算手
段69は、最終的な点火時期を求めるもので、図4に示
すように回転数フィードバック(F/B)補正係数演算
手段69aと、最終点火時期設定手段69bとを有して
している。
【0055】回転数F/B補正係数演算手段69aは、
上記回転数センサ42及び水温センサ46からの信号に
基づいてエンジンがアイドル運転状態で、かつ運転モー
ドがストイキオモードか否かを判別し、アイドル運転
で、かつ成層燃焼モードの場合には、現実のエンジン回
転数neが予め設定されている目標回転数nφとなるよう
に、現実のエンジン回転数neに基づき点火時期をフィー
ドバック制御すべく、実回転数neと目標回転数nφとの
偏差に基づいて、上記設定手段68で設定された基本点
火時期に対するF/B補正係数k3を演算する。
【0056】最終点火時期設定手段69bは、上記設定
手段68で設定された基本点火時期及び各種補正値から
最終点火時期を求める。この場合、回転数F/B補正係
数演算手段69aにおいてF/B補正係数k3が演算さ
れている場合には、このF/B補正係数k3をさらに加
味して点火時期を求める。
【0057】図7及び図8は、上記ECU50により行
われる各種演算、制御等の処理のうち、主としてアイド
ル運転時のエンジン回転数変更要素に関する制御をフロ
ーチャートで示しており、図7はスロットル弁28の開
度制御(吸入空気量の制御)及びインジェクタ22によ
る燃料噴射量の制御を、図8は点火プラグ20による点
火時期の制御をそれぞれ示している。
【0058】まず、図7に示すフローチャートがスター
トすると、ステップS1でエンジンがアイドル運転状態
にあるか否かが判断され、アイドル運転状態であると判
断されると、次いでステップS2で運転モードが成層燃
焼モードか否かが判断される。
【0059】ここで、成層燃焼モードでないと判断され
た場合には、ステップS3に移行され、現実のエンジン
回転数neと目標回転数nφとの偏差に基づき、ストイキ
オモード用の制御ゲインG1を加味した上でF/B補正
係数k1が求められる。一方、ステップS2で成層燃焼
モードであると判断された場合には、ステップS11に
移行され、現実のエンジン回転数neと目標回転数nφと
の偏差に基づき、成層燃焼モード用の制御ゲインG2
加味してF/B補正係数k1が求められる。
【0060】そして、ステップS4で、仮想体積効率ve
imgに対して仮想充填効率ceimgが求めらて、この仮想充
填効率ceimgが上記F/B補正係数k1に基づいて補正さ
れるとともにこの仮想充填効率ceimgになまし処理を施
した仮想充填効率ceimgdが求められる。そして、ステッ
プS5に移行され、ここで運転モードが成層燃焼モード
か否かが判断される。
【0061】ステップS5で成層燃焼モードであると判
断されると、上記第2の回転数F/B補正係数設定手段
52fで求められるF/B補正係数k2に基づいて仮想
充填効率ceimgdが補正されてステップS8に移行され
る。一方、ステップS5で成層燃焼モードでないと判断
された場合には、仮想充填効率ceimgdの補正が行われる
ことなく直接ステップS8に移行される。
【0062】ステップS8では、なまし処理されない仮
想充填効率ceimgから第1の目標図示平均有効圧力Piobj
が演算されるとともに、なまし処理された仮想充填効率
ceimgから第2の目標図示平均有効圧力Piobjdが演算さ
れる。
【0063】次いで、ステップS9で、第1の目標図示
平均有効圧力Piobjに基づいて目標充填効率が求められ
るとともに、この目標充填効率に吸気密度に応じた補正
を行うことで目標体積効率が求められ、この目標体積効
率及びエンジン回転数neに応じてスロットル開度が求め
られる。また、成層燃焼モードでは第2の目標図示平均
有効圧力Piobjdとエンジン回転数neとに応じて目標空燃
比が求められ、ストイキオモードでは理論空燃比が目標
空燃比とされ、この目標空燃比と実充填効率ce等とに基
づいてインジェクタ22による燃料噴射量が演算され
る。
【0064】そして、ステップS10において、上述の
ように求められたスロットル開度に比例した制御信号が
出力されてスロットル弁28の開度が制御されるととも
に、燃料噴射量に比例した噴射パルスTiが出力されてイ
ンジェクタ22による燃料噴射量が制御され、その後ス
テップS1にリターンされる。
【0065】一方、図8に示すフローチャートがスター
トすると、先ずステップS21で基本点火時期が求めら
れ、次いでステップS22で、エンジンがアイドル運転
状態にあるか否かが判断される。ここで、アイドル運転
状態であると判断されると、さらに、ステップS23で
運転モードがストイキオモードか否かが判断され、スト
イキオモードであると判断された場合には、ステップS
24に移行されて、ステップS21で設定された基本点
火時期に対するF/B補正係数k3が演算される。
【0066】そして、ステップS24において最終的な
点火時期が設定される。この際、エンジンがアイドル運
転状態にあり、かつ運転モードがストイキオモードであ
る場合には、ステップS24で求められたF/B補正係
数k3を加味して最終点火時期が設定される。一方、エ
ンジンがアイドル運転状態でない場合、あるいは運転モ
ードがストイキオモードでない場合には、ステップS2
1で求められた基本点火時期が最終点火時期とされる。
【0067】そして、ステップS26において、上述の
ように求められた最終点火時期に比例した制御信号が点
火回路21に出力されて点火時期が制御された後、ステ
ップS21にリターンする。
【0068】以上のような制御装置を備えた筒内噴射式
エンジンによると、エンジンがアイドル運転にあるとき
には、エンジン回転数を安定したものに維持すべくエン
ジン回転数変更要素が現実のエンジン回転数に基づいて
フィードバック制御される。
【0069】この際、運転モードがストイキオモードの
場合には、エンジン回転数変更要素としてスロットル弁
28の開度及び点火プラグ20の点火時期がフィードバ
ック制御され、運転モードが成層燃焼モードの場合に
は、スロットル弁28の開度及びインジェクタ22によ
る燃料噴射量がフィードバック制御される。そのため、
成層燃焼モード時には、従来のこの種の筒内噴射式エン
ジンと同様、燃焼安定性を損なうことなくアイドル運転
時のエンジン回転数を増減させることができる。
【0070】しかも、スロットル弁28の上記フィード
バック制御においては、運転モードに応じた制御ゲイン
(増加率)として、ストイキオモードの制御ゲインG1
と成層燃焼モードの制御ゲインG2(G2<G1)とが予
め設定され、これら制御ゲインG1,G2を加味してF/
B補正係数k1が求められる。そして、仮想充填効率cei
mgがF/B補正係数k1に基づいて補正され、この補正
後の仮想充填効率ceimgに基づいてスロットル弁28の
調整量が演算される。そのため、運転モードに拘らず制
御ゲインを一定としている従来のこの種のエンジンに比
べると、成層燃焼モード時のスロットル弁28の調整量
が小さい値となる。従って、このようにスロットル弁2
8の調整量が小さくなる分、スロットル弁28の調整時
間や弁開閉に伴う吸入空気量の変動幅が縮小され、この
状態で応答性の良い燃料噴射量によるフィードバック制
御が働くため、成層燃焼モード時のエンジン回転数の増
減が速やかに目標回転数nφに収束することとなる。な
お、このようにスロットル弁28の調整量を小さくする
と回転数偏差に応じた燃料噴射量の変化に対し吸入空気
量の変化が少くなって燃焼性に影響を与えるという懸念
があるが、成層燃焼モードでは、吸入空気量を多く確保
するべくスロットル弁28の開度がもともと十分大きく
設定されているため、例えば、スロットル弁28の調整
量が多少小さくなっても燃焼性へ及ぼす影響は少ない。
【0071】従って、上記実施形態の筒内噴射式エンジ
ンによると、アイドル運転時のエンジン回転数の制御に
おいて、成層燃焼モードの燃焼安定性を良好に保つこと
ができ、しかも、燃焼状態に拘らずエンジン回転数の変
動を速やかに収束させて、エンジン回転数の安定状態を
良好に維持することができる。
【0072】ところで、以上説明した筒内噴射式エンジ
ンは、本発明に係るエンジンの制御装置を適用した筒内
噴射式エンジンの一例であって、その具体的構成、ある
いは具体的な制御内容等は、本発明の要旨を逸脱しない
範囲で適宜変更可能である。
【0073】例えば、上記実施形態では、スロットル弁
28の開度をフィードバック制御するに際し、運転モー
ドに応じた制御ゲインG1,G2を加味したF/B補正係
数k1を求め、仮想充填効率ceimgをこのF/B補正係数
1に基づいて補正するようにしているが、目標図示平
均有効圧力を演算するに先立って仮想充填効率ceimg,c
eimgdをF/B補正係数k1に基づいてそれぞれ補正する
ようにしてもよい。要は、運転モードに応じた制御ゲイ
ンG1,G2を加味してスロットル弁28の開度をフィー
ドバック補正すればよく、いずれの段階でフィードバッ
ク補正をかけるかは特に問題としない。但し、上記実施
形態のように仮想充填効率ceimgを演算する段階でフィ
ードバック補正をかけるようにすれば、目標図示平均有
効圧力を演算するに先立って仮想充填効率ceimg,ceimg
dをそれぞれフィードバック補正する場合のように複数
系統に対してフィードバック補正をかける必要がなく制
御が簡素化されるという利点がある。
【0074】また、上記実施形態では、目標負荷設定手
段52において、F/B補正係数k1に基づいて仮想充
填効率ceimgを補正し、この補正後の仮想充填効率ceimg
に基づいてを加味して目標図示平均有効圧力を演算する
ことにより、アイドル運転時のエンジン回転数を目標回
転数nφとし得るように燃料噴射料や吸入空気量を調整
する一方、点火時期演算手段69において、基本点火時
期にF/B補正係数k3を加味して最終点火時期を設定
することにより、アイドル運転時のエンジン回転数を目
標回転数nφとし得るように点火時期を調整するように
しており、つまり、目標負荷設定手段52および点火時
期演算手段69が本発明のアイドル回転制御手段として
機能するようにしているが、例えば、アイドル回転制御
手段として、これらの制御を統括的に行う単一の手段を
ECU50に設けるようにしてもよい。
【0075】さらに、上記実施形態では、運転モードが
成層燃焼モードの場合には、第2の目標図示平均有効圧
力Piobjの演算に先立って、なまし処理された仮想充填
効率ceimgdをF/B補正係数k2に基づいて補正するよ
うにしているが、上述のように、エンジン回転数をフィ
ードバック制御すべく仮想充填効率ceimgを演算する段
階で既にF/B補正係数k1を設定して補正をかけてい
るため、必ずしもこの処理を行う必要はなく省略するよ
うにしてもよい。但し、第2の目標図示平均有効圧力Pi
objは、インジェクタ22による燃料噴射量を決定する
要素であるため、上記のように仮想充填効率ceimgを求
める段階となまし処理後の段階とで二重に補正をかけれ
ば、燃料噴射量に対するフィードバック補正がより有効
に働くこととなり、これによりエンジンの回転数がより
速やかに安定するという利点がある。
【0076】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、燃料を
燃焼室内に直接噴射するインジェクタを備え、インジェ
クタにより噴射された燃料を燃焼室内の点火プラグ周り
に偏在させて成層燃焼を行わせる状態と、インジェクタ
により噴射された燃料を燃焼室内全体に拡散させて均一
燃焼を行わせる状態とに燃焼状態を切替え可能に構成さ
れたエンジンの制御装置であって、アイドル運転中の回
転数に変動が生じると、均一燃焼時には、吸入空気量お
よび点火時期の調整により、成層燃焼時には、吸入空気
量および燃料噴射量の調整によりそれぞれエンジン回転
数を増減させてエンジン回転数を所定回転数に安定させ
るようにしたので、成層燃焼時であっても燃焼性を損な
うことなく適切にエンジン回転数を安定させることがで
きる。しかも、吸入空気量の調整においては、成層燃焼
時と均一燃焼時とで吸入空気量の調整度合いを変更可能
としているため、燃焼状態に応じて吸入空気量の調整度
合いを変更することで、吸気量制御手段による制御量を
燃焼状態に応じて個別に設定することができる。従っ
て、燃焼状態に拘らず調整度合いを一定とする場合に比
べると、このように燃焼状態に応じて吸気量制御手段に
よる制御量を個別に設定できる分、エンジン回転数を速
やかに所望の回転数に収束させることができ、その結
果、アイドル運転時のエンジン回転数の変動を速やかに
抑えて安定したものに維持することができる。
【0077】特に、成層燃焼時における吸入空気量の調
整度合いを均一燃焼時の調整度合いに比べて小さくすれ
ば、成層燃焼時における吸気量制御手段による制御量が
小さくなり、この状態で、応答性の良い燃料噴射量によ
る制御が働くことにより、エンジン回転数を速やかに所
望の回転数に収束させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のエンジンの制御装置が適用され筒内噴
射式エンジンの一の実施の形態を示す全体概略図であ
る。
【図2】ECUの機能的構成を示すブロック図である。
【図3】図2中の目標負荷設定手段の具体的構成を示す
ブロック図である。
【図4】図2中の点火時期演算手段の具体的構成を示す
ブロック図である。
【図5】運転モードの領域設定を示す説明図である。
【図6】燃料噴射量等の演算に用いる運転モードの設定
を示す説明図である。
【図7】スロットル弁及び燃料噴射量の制御を示すフロ
ーチャートである。
【図8】点火時期の制御を示すフローチャートである。
【符号の説明】
10 エンジン本体 15 燃焼室 20 点火プラグ 22 インジェクタ 28 スロットル弁 52 目標負荷設定手段 53 運転モード設定手段 54 目標空燃比設定手段 55 目標充填効率演算手段 56 スロットル開度演算手段 62 目標空燃比作成手段 63 運転モード設定手段 65 噴射量演算手段 67 噴射制御手段 68 基本点火時期及び補正量設定手段 69 点火時期演算手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鐵野 雅之 広島県安芸郡府中町新地3番1号 マツダ 株式会社内 Fターム(参考) 3G084 AA04 BA03 BA05 BA13 BA15 BA17 BA20 BA21 CA01 CA03 CA05 DA11 DA25 EA11 EB08 EB11 EB13 EB25 EC02 EC03 FA07 FA10 FA18 FA20 FA21 FA29 FA33 FA34 3G301 HA04 HA13 HA16 HA17 JA04 JA12 JA14 KA01 KA07 KA08 KA21 LA00 LA03 LA05 LB04 LC03 MA01 MA11 MA19 MA26 NA01 NA08 NB02 NC02 ND01 ND05 NE14 NE15 PA01Z PA07Z PA09Z PA10Z PA11Z PA17A PB08Z PC00Z PC02A PD03A PD15Z PE01A PE02Z PE08Z PF03Z PF14Z

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 燃料を燃焼室内に直接噴射するインジェ
    クタを備え、インジェクタにより噴射された燃料を燃焼
    室内の点火プラグ周りに偏在させて成層燃焼を行わせる
    状態と、インジェクタにより噴射された燃料を燃焼室内
    全体に拡散させて均一燃焼を行わせる状態とに燃焼状態
    を切替え可能に構成されたエンジンの制御装置であっ
    て、 燃焼状態が成層燃焼か均一燃焼かを判別可能な判別手段
    と、 上記インジェクタによる燃料噴射量を制御する燃料噴射
    量制御手段と、 上記点火プラグの点火時期を制御する点火時期制御手段
    と、 吸入空気量を制御する吸気量制御手段と、 アイドル運転時のエンジン回転数を所定の回転数にすべ
    く、上記判別手段による燃焼状態の判別結果に基づい
    て、アイドル運転時の燃焼状態が均一燃焼であるときに
    は、上記吸気量制御手段および点火時期制御手段を制御
    して吸入空気量および点火時期を調整することによりエ
    ンジン回転数を制御する一方、アイドル運転時の燃焼状
    態が成層燃焼であるときには、上記吸気量制御手段およ
    び燃料噴射量制御手段を制御して吸入空気量および燃料
    噴射量を調整することによりエンジン回転数を制御する
    アイドル回転制御手段と、 上記アイドル回転制御手段によるエンジン回転数の制御
    において、吸気量制御手段による吸入空気量の調整度合
    いを上記成層燃焼時と均一燃焼時とで変更する調整度合
    い変更手段とを備えていることを特徴とする筒内噴射式
    エンジンのアイドル回転数制御装置。
  2. 【請求項2】 上記調整度合い変更手段は、成層燃焼時
    における吸入空気量の調整度合いを均一燃焼時の調整度
    合いに比べて小さくすることを特徴とする請求項1記載
    の筒内噴射式エンジンのアイドル回転数制御装置。
  3. 【請求項3】 上記アイドル回転制御手段は、運転状態
    に基づいて基本充填効率を求める手段と、現実のエンジ
    ン回転数を目標回転数に収束させるための上記基本充填
    効率に対する補正係数を求める手段と、上記基本充填効
    率および補正係数に基づいて目標負荷を求める手段とを
    備え、この目標負荷に基づいて上記吸気量制御手段、燃
    料噴射量制御手段および点火時期制御手段のうち複数の
    手段を制御することを特徴とする請求項1又は2記載の
    筒内噴射式エンジンのアイドル回転数制御装置。
  4. 【請求項4】 上記アイドル回転制御手段は、上記目標
    負荷に基づいて上記吸気量制御手段および燃料噴射量制
    御手段を制御する一方、現実のエンジン回転数と上記目
    標回転数とに基づいて上記点火時期制御手段を制御する
    ことを特徴とする請求項3記載の筒内噴射式エンジンの
    アイドル回転数制御装置。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004506122A (ja) * 2000-08-10 2004-02-26 ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング 内燃機関の運転変数の制御方法および装置
JP2006299816A (ja) * 2005-04-15 2006-11-02 Toyota Motor Corp 内燃機関の制御装置
JP2009068497A (ja) * 2001-02-21 2009-04-02 Robert Bosch Gmbh 内燃機関の動作方法および内燃機関のための制御装置

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