JP2000219633A - 虚血性腎障害の予防・治療剤 - Google Patents

虚血性腎障害の予防・治療剤

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JP2000219633A
JP2000219633A JP11020915A JP2091599A JP2000219633A JP 2000219633 A JP2000219633 A JP 2000219633A JP 11020915 A JP11020915 A JP 11020915A JP 2091599 A JP2091599 A JP 2091599A JP 2000219633 A JP2000219633 A JP 2000219633A
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prophylactic
renal
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Kenji Okajima
研二 岡嶋
Toshihiro Nakagaki
智弘 中垣
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Chemo Sero Therapeutic Research Institute Kaketsuken
Original Assignee
Chemo Sero Therapeutic Research Institute Kaketsuken
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 移植時あるいはショック時にみられる虚血性
腎障害に対する新規な予防・治療剤を提供する。 【構成】 血漿由来または遺伝子組換え技術を駆使して
調製されるプロテインCもしくは活性化プロテインCを
有効成分とする虚血性腎障害の予防・治療剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本願発明は血漿蛋白質の新たな用
途に関する。さらに詳細には、本願発明は臓器移植時あ
るいは種々のショック時に生じる虚血性腎障害に対する
医薬品に関する。より詳しくはPCまたはAPCを有効
成分として含有する虚血性腎障害の予防・治療剤に関す
る。
【0002】
【従来の技術並びに発明が解決しようとする課題】腎臓
は第11胸椎〜第2腰椎の高さで後腹膜に左右一つづつ
存在する。右腎は左腎より1/2腰椎低い。大きさは1
0×5×3cm、重量は100〜130gである。実質
は皮質と髄質に別れ、皮質には糸球体が存在するので顆
粒様の外観を、髄質はヘレン係蹄が平行に走るので線系
様の外観を呈する。腎の機能単位をネフロンといい、個
々のネフロンは糸球体と尿細管から形成される。糸球体
は直径約200μmの卵球状をした毛細血管の集合で、
ここで血液の濾過が行なわれる。分子量7,000以下
の物質は自由に透過し、それより分子量が大きくなるの
に従い濾過率は低下し、分子量50,000以上の物質
は濾過されない。尿細管は近位尿細管、ヘンレ係蹄、遠
位尿細管及び集合管から形成され、ここで糸球体濾液か
ら必要物質の再吸収と、不要物質の分泌が行なわれる。
ネフロンは一つの腎臓に約100万個存在する。腎臓の
機能は、このネフロンによる尿の生成が主要なものであ
るが、尿の生成は単に老廃物の***だけでなく水電解質
代謝の調節(内部環境の維持)という重要な意義も持って
いる。また腎臓は尿の生成だけでなく血圧の調節・骨髄
赤血球産生調節を行なっており、またホルモンの不活性
化、ビタミンDの活性化、糖新生などの代謝的な機能も
営んでいる。
【0003】急性腎不全は、広い意味では、種々の原因
により急激に糸球体濾過能が廃絶される結果、高窒素血
症を生じる症候群と定義される。この定義に従えば、腎
性腎不全のみならず、腎実質障害を伴わない早期の腎前
性腎不全や腎後性腎不全も急性腎不全の範疇にはいる。
一方、腎虚血や腎毒性物質、またはその両者により急激
に糸球体濾過値(GRF)が低下し、高窒素血症をきたす
病態で腎実質に異常を伴うものを狭義の急性腎不全とい
う。この場合原因を取り除いても、すぐにGRFが正常
に回復することはない。腎虚血に起因する急性腎不全
は、重篤な心不全、高度の体液量減少、出血性ショッ
ク、敗血症ショック、腎梗塞、大動脈または腎動脈手術
などで腎虚血が長時間続く場合に起こる。
【0004】虚血性急性腎不全の予後は悪く、その死亡
率は高いため、治療に先立つ予防が重要であるとされて
いる。治療法としては、ループ利尿剤やドーパミン等の
投与がなされるが、確立された特異的な治療法は存在し
ない。
【0005】
【問題を解決するための手段、発明の構成】そこで、本
願発明者らは虚血性腎障害に対する予防・治療剤を開発
すべく鋭意研究した結果、驚くべきことに、従来試みら
れることのなかったPCもしくはAPCが、モデル動物
での実際の生体内投与によって、虚血性腎障害の予防・
治療剤として人間その他の動物に充分に適応できること
を見出し、この知見に基づいて本願発明を完成するに至
った。
【0006】PCは血漿中に4μg/mlの濃度で存在
するセリンプロテアーゼ前駆体で、血管内皮細胞上に存
在するトロンボモジュリンと複合体を形成したトロンビ
ンにより限定分解を受けて活性化され、セリンプロテア
ーゼ活性を有するAPCに変換される。PCはGlaド
メイン、EGF様ドメインからなる軽鎖(分子量約21,
000)と活性化ペプチドおよび触媒ドメインからなる
重鎖(分子量約41,000)とがジスルフィド結合した
2本鎖糖蛋白である(Proc. Natl. Acad.
Sci. USA, vol.82, p.4673−467
7,1985)。PCからAPCへの活性化は、重鎖のA
rg12−Leu13結合が限定分解を受け、12残基
のアミノ酸からなる活性化ペプチドが遊離されることに
よりなされる。
【0007】APCは、細胞膜リン脂質上で、血液凝固
系の活性化第V因子や第VIII因子を選択的に限定分解し
失活化させ、強力な抗凝固作用を発揮する(Bioch
emistry, vol.16, p.5824−583
1,1977; J. Biol.Chem., vol.25
8,p.1914−1920, 1982)。また、APC
は血管内皮細胞あるいは血小板由来の組織プラスミノー
ゲン・アクチベーター・インヒビター(PAI)を中和す
ることにより(Proc. Natl. Acad.Sci.
USA, vol.82, p.1121−1125,198
5)、また抗線溶因子のTAFI(Thrombin A
ctivatable Fibrinolysis In
hibitor)の活性化を抑制することにより、線溶
系の亢進に関与していると考えられている(Blood,
vol.88, p.2093−2100,1996)。さ
らに、APCは他の抗凝固剤が無効な敗血症モデルにお
いても有効性が示されていること(J. Clin. In
vest., vol.79, p.918−925,198
7)、また白血球からのサイトカイン産生を抑制する作
用も有することから(Am. J. Physiol., p.
L197−L202, 1997)、APCは抗炎症作用
を有することが示唆されている。
【0008】本願発明に使用されるAPCを製造する方
法は特に限定されるものではないが、例えばヒト血液よ
り分離した、あるいは遺伝子組換え技術により得られた
PCを活性化する方法、ヒト血液よりAPCを分離する
方法、あるいは遺伝子組換え技術により直接APCを調
製する方法などによって製造することができる。PCか
らAPCへの活性化の方法には特に制約はなく、例えば
ヒトやウシなどの血液より分離したトロンビンにより活
性化する方法、あるいは合成ペプチドにより活性化する
方法などにより実施できる。
【0009】血液由来のAPCの製法としては、以下の
方法が挙げられる。例えば、ヒト血漿から抗PC抗体を
用いたアフィニテイークロマトグラフィーにより精製さ
れたPCを、ヒトトロンビンで活性化した後、陽イオン
クロマトグラフィーを用いて精製する方法(Blood,
vol.63, p.115−121,1984)、あるいは
Kisielによる、ヒト血漿からクエン酸Ba吸着・
溶出、硫酸アンモニウム画分化、DEAE−セファデッ
クスカラムクロマトグラフィー、デキストラン硫酸アガ
ロースクロマトグラフィー及びポリアクリルアミドゲル
電気泳動の工程により精製して得られたPCを活性化し
てAPCとする方法(J.Clin.Invest.,vo
l.64, p.761−769,1979)、あるいは市販
のPCを含有する血液凝固製剤をTayer等の方法
(J.Clin.Invest.,vol.79, p.918
−925,1987)で活性化してAPCとする方法など
がある。
【0010】また、遺伝子組換え技術を用いてAPCを
調製する方法としては、例えば特開昭61-20548
7号、特開平1-2338号あるいは特開平1-8508
4号などに記載された方法などがある。
【0011】上述の方法で調製されたAPCの活性を最
大限に維持するために、本願発明のAPCは新鮮である
か、4℃で保存する場合には保存後約5日以内のものが
好ましい。あるいは、本願発明のAPCは好適な安定化
剤と共に凍結乾燥して保存することができるし、さらに
は、APC溶液を凍結し保存することも可能である。本
願発明では、有効成分としてのAPCと公知の適当な賦
形剤を組み合わせ、公知の方法で本願発明の虚血性腎障
害の予防・治療剤とすることができる。PCまたはAP
Cの有効投与量は、投与対象者の年齢、症状及び重症度
などにより変動し、最終的には医師の意図により変動す
るものである。例えば一般に成人一日当たり1〜10m
gであり、望ましくは2〜6mgを1〜2回に分けて投
与するのがよい。投与方法は単回大量(ボーラス)あるい
は点滴の静脈内投与が最適である。
【0012】本願発明のPCあるいはAPC含有製剤の
投与対象は、虚血性腎障害の患者であれば特に限定され
ることはない。虚血性腎障害の予防・治療剤としてPC
あるいはAPCを使用する場合、PCあるいはAPCを
単独で投与することもできるし、他の治療薬剤との併用
投与も効果を増大させるための有効な手段として期待で
きる。本願発明のPCあるいはAPC含有製剤は、患者
が虚血性腎障害を被った直後や、腎移植のための外科的
手術直後から投与されることが最も効果的である。ま
た、APCの特徴の一つとして出血傾向をきたさないこ
とから、術後直後からの投与でも何等支障はない。
【0013】今回の実施例に使用した血液由来のAPC
は、マウスでの単回静脈内投与毒性試験、反復静脈内投
与毒性試験、一般薬理試験(ビーグル犬を用いた呼吸循
環系に及ぼす影響)、ウイルス不活化試験などによりそ
の安全性が確認されている。さらに汎発性血管内血液凝
固症候群(DIC)を適応症とした臨床試験も実施されて
おりヒトでの安全性も確認されている。以下、実施例に
沿って本願発明をさらに詳細に説明するが、この実施例
は本願発明の範囲を何ら限定するものではない。
【0014】
【実施例】実施例 1 (APC投与による腎機能改善効果)APC投与による虚
血性腎障害改善効果が以下の実施例により確認できた。
本実験は主として移植後に起こる虚血性腎障害を反映す
るモデルとして確立されている方法を参考にして実施さ
れたものであり、最適な評価系と考えられる。ラット
(ウイスター系、雄、体重:300〜350g)をペント
バルビタールで麻酔下、左腎切除術施行後60分間右腎
茎をクランプすることによって腎臓を虚血状態にし、そ
の後再灌流した。APCを含む薬剤の投与は虚血30分
前に0.15mg/kgラット尾静脈より投与した。比較
のためにXa因子特異的なインヒビターであるDEGR
Xa(dansyl glutamyl-glycyl-arginyl-chloromethyl k
etone 処理Xa因子)をAPCと同様の抗凝固活性を有
する薬剤として3mg/kgを同様の手法で投与した。
腎虚血再灌流処理による腎障害の程度をBUN(血中尿
素窒素)、血清クレアチニン、TNF(腫瘍壊死因子)−
α、MPO(ミエロペルオキシダーゼ:myeloperoxidas
e)活性等を指標として測定することによって評価した。
なお、各種指標の測定方法は当業者によって広く用いら
れている常法に従った。結果を表1に示す。ラットの腎
臓を虚血再灌流(I/R)処理することによって腎機能障
害が観られたが(実験群B)、APCの投与によってその
障害を防止することができた(実験群C)。一方、抗凝固
剤として用いたDEGRXaは顕著な効果を示さなかっ
た(実験群D)。なお、各群の数値は統計学的解析によっ
て有意の差異を認めた。
【0015】
【表1】

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プロテインC(以下、PCと称すること
    がある)または活性化プロテインC(以下APCと称する
    ことがある)を含有することを特徴とする虚血性腎障害
    の予防・治療剤。
  2. 【請求項2】 腎臓移植時あるいは敗血性ショック時に
    みられる腎臓虚血・再灌流に起因する虚血性腎障害であ
    る請求項1記載の予防治療剤。
JP11020915A 1999-01-29 1999-01-29 虚血性腎障害の予防・治療剤 Pending JP2000219633A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003528153A (ja) * 2000-03-28 2003-09-24 イーライ・リリー・アンド・カンパニー 活性化プロテインcを用いた疾患の処置方法

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