JP2000217521A - 長期保存可能な米飯の製造方法及び包装米飯 - Google Patents

長期保存可能な米飯の製造方法及び包装米飯

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 常温で長期保存が可能であり、しかも、喫食
時における食味や食感等が炊き立ての米飯と同等の品質
を得ることができる長期保存可能が米飯の製造方法及び
包装米飯を提供する。 【解決手段】 洗米した米をアジピン酸含有浸漬水に浸
漬した後、該浸漬水を水切りした浸漬米を水洗し、該水
洗した米を容器に充填するとともに炊き水を加えて加熱
処理する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、長期保存可能な米
飯の製造方法及び包装米飯に関し、詳しくは、喫食時の
香り及び食味が炊き立てのご飯と同等で、しかも、長期
保存可能な無菌状態の米飯を製造する方法及び該方法に
よって得られた米飯を包装した長期保存可能な包装米飯
に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】現在、
包装米飯と称する米飯商品類が市場に出回り、その販売
量は年々増加の一途を辿っている。この包装米飯の最大
の品質特性は、常温で長期間保存できることであるが、
その特性を達成するには、米穀中に存在する耐熱性芽胞
菌の殺菌又は静菌を行い、米飯を商業的無菌状態にする
必要がある。
【0003】この耐熱性芽胞菌の殺菌方法として、レト
ルトパウチ内に米飯を充填した後、密閉して加熱殺菌す
る方法(特開昭56−72655号公報)、あるいは、
炊き水と浸漬米とを充填後にレトルト殺菌する方法(特
開昭62−51959号公報)等が開示されているが、
いずれも通常の炊飯行為とは異なる熱処理を行うため、
通常の炊飯米と比べて外観,香り,食味の何れも劣って
おり、炊き立てのご飯とは程遠い品質となっている。
【0004】一方、耐熱性菌の静菌方法としては、浸漬
水や炊き水に食用有機酸を添加して炊飯後の米飯のpH
を4.0〜4.8に調整することにより、炊飯時の加熱
で死滅できなかった耐熱芽胞菌の生育を抑止(静菌)す
る方法(特公平7−89879号公報)が開示されてい
る。
【0005】また、レトルト殺菌とpH調整剤とを併用
する方法として、炊飯後の米飯のpHが5.0〜5.4
になるように炊き水にpH調整剤を添加し、耐熱性芽胞
菌の耐熱性をpH変動によって低下させることにより、
一般のレトルト殺菌(例えば120℃で20分)よりも
低い温度で商業的無菌状態を達成する方法が知られてい
る(特許第2692556号明細書)。しかしながら、
この方法においても、100℃以上で加熱することや、
炊き水にpH調整剤を添加することにより、食味・食感
を含む米飯の品質低下が生じていた。
【0006】さらに、通常の炊飯と同じ加熱処理を行っ
た場合でも、最終的な米飯のpHを4.8以下に抑える
ようなpH調整剤(静菌剤)の添加を行った米飯は、そ
のpH及びpH調整剤によりもたらされる酸味や酸臭を
有しているため、これも炊き立てのご飯の品質とは言い
難い。
【0007】そこで本発明は、常温で長期保存が可能で
あり、しかも、喫食時における食味や食感等が炊き立て
の米飯と同等の品質を得ることができる長期保存可能が
米飯の製造方法及び包装米飯を提供することを目的とし
ている。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の長期保存可能な米飯の製造方法は、洗米し
た米をアジピン酸(HOOC(CHCOOH)を
含有する浸漬水、好ましくは、アジピン酸の濃度が0.
05〜1%であるアジピン酸含有浸漬水に浸漬した後、
該浸漬水を水切りした浸漬米を水洗し、該水洗した米を
容器に充填するとともに炊き水を加えて加熱処理するこ
とを特徴としている。
【0009】また、前記アジピン酸含有浸漬水のpH
を、ナトリウム,カリウム又はカルシウムのアジピン酸
塩及びアルカリの少なくとも一種により調整すること、
特に、前記アジピン酸塩を用いる場合は、そのpHを4
〜8に調整することを特徴としている。さらに、アジピ
ン酸含有浸漬水への米の浸漬時間は、少なくとも2分以
上で、通常の浸漬処理の時間までの範囲とすることが好
ましく、この浸漬の際に超音波処理を併用することも効
果的である。
【0010】前記浸漬米の水洗は、5〜70℃の水を使
用して行うことが好ましく、この水洗の際にも、超音波
処理を併用することで効果的な水洗処理を行うことがで
きる。さらに、前記加熱処理は、通常行われている常圧
での炊飯処理で行うことが好ましく、必要に応じて具材
や調味料を加えることにより、調理米飯を製造すること
もできる。
【0011】また、本発明の長期保存可能な包装米飯
は、上述の方法によって加熱処理した米飯を、ガスバリ
ア性フィルムで密封したものであって、特に、アジピン
酸含有量が0.07重量%以下であること、米飯のpH
が5〜8であることを特徴としている。
【0012】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の長期保存可能な
米飯の製造方法を実施する標準的な工程を示すフローチ
ャートである。
【0013】まず、最初の洗米工程11は、通常の洗米
方法で行われるものであって、常法通り、水道水等の通
常の水を使用して通常の洗米処理を行えばよい。次の浸
漬工程12は、洗米工程11を終えた米をアジピン酸を
含む浸漬水(アジピン酸含有浸漬水)に浸漬する工程で
ある。この浸漬工程12で使用するアジピン酸含有浸漬
水におけるアジピン酸の濃度は、特に制限はないが、
0.05%未満ではアジピン酸を加えた効果、すなわ
ち、耐熱性芽胞菌の耐熱性を低下させる効果が十分に得
られないときがあり、1%を超えると、浸漬米からアジ
ピン酸を取り除くための水洗工程を長時間行わなければ
ならず、大量の水を消費することになるので、通常は、
0.05〜1%の範囲、好ましくは、0.1〜0.5%
の範囲が適当である。
【0014】また、浸漬工程12の時間は、アジピン酸
含有浸漬水におけるアジピン酸の濃度や処理温度にもよ
るが、2分未満では米へのアジピン酸の含浸が不十分と
なって耐熱性芽胞菌の耐熱性を低下させる効果が十分に
得られないときがあり、120分を超えると、米に必要
以上のアジピン酸が含浸してしまい、炊飯後の食味を低
下させることがあるので、通常は2〜120分の範囲、
好ましくは10〜90分の範囲が好適である。
【0015】さらに、アジピン酸含有浸漬水は、水道水
等の通常の水に適当量のアジピン酸を加えて溶解させた
ものであってもよいが、アジピン酸ナトリウム,アジピ
ン酸カリウム,アジピン酸カルシウムのようなアジピン
酸塩を使用あるいは併用してもよい。また、アジピン酸
と、これらのアジピン酸塩や水酸化ナトリウム,水酸化
カリウム,水酸化カルシウムのようなアルカリとを併用
することによってアジピン酸含有浸漬水のpHを適当な
範囲に調節することができる。
【0016】アジピン酸含有浸漬水のpHは、アジピン
酸の濃度や処理温度等にもよるが、4〜8の範囲が適当
である。pHが低すぎたり、高すぎたりすると、耐熱性
低下効果が得られなくなったり、水洗工程の負担が増し
たり、炊飯後の米飯の食味が低下したりすることがあ
る。
【0017】また、浸漬工程12における処理温度(水
温)は任意であり、温度が高い方が効果的ではあるが、
70℃を超えると米表層の澱粉の糊化が発生し、この糊
化がある程度以上進行すると水洗工程でアジピン酸を除
去するのが困難になる。一方、温度が低い場合、例えば
5℃未満になると、所定の効果を得るために長時間を要
するだけでなく、水に対するアジピン酸の溶解度が低い
ためにアジピン酸が析出するおそれもある。したがっ
て、処理温度は5〜70℃の範囲が適当であり、水を加
温したり冷却したりするエネルギーを考慮すると、通常
の水温に近い10〜30℃が最適である。
【0018】さらに、この浸漬工程12において超音波
処理を併用することにより、米の細部まで十分にアジピ
ン酸含有浸漬水を行き渡らせることができるので、耐熱
性芽胞菌の耐熱性を低下させる効果をより一層高めるこ
とができる。
【0019】上述のような浸漬工程12を終えた米(浸
漬米)は、水切り工程13を経て水洗工程14に入り、
浸漬米からアジピン酸含有浸漬水が取り除かれる。この
水洗工程14は、炊飯後の米飯にアジピン酸の影響が出
なくなる程度までにアジピン酸を除去するものであっ
て、水洗処理方法自体は、従来からの通常の方法で行う
ことができる。例えば、水道水等の通常の水に浸して適
宜撹拌したり、流水中に浸したり、シャワリングした
り、あるいは水中への浸漬と水切りとを交互に繰返した
りすることによって行うことができ、水中での超音波洗
浄も併用することができる。このときの温度も特に限定
はされるものではなく、温度を高くすればアジピン酸の
除去効率が向上するが、70℃を超えると前述のように
澱粉の糊化が発生してアジピン酸を十分に除去するのが
困難となり、一方、5℃未満では十分な水洗を行うのに
長時間を必要とするので、通常は5〜70℃、好ましく
は10〜30℃が適当である。
【0020】アジピン酸を除去するための水洗工程14
を終了した米(水洗米)は、充填工程15で所定量の炊
き水と共に適当な容器に充填された後、所定の加熱工程
16、即ち炊飯処理が行われる。この加熱工程16で使
用する容器は任意であるが、一食分を包装した包装米飯
を製造する場合は、所定の大きさの耐熱性プラスチック
トレイ(個食容器)を用いればよい。また、炊き水に
は、通常の水道水を使用することができ、炊き水と共に
適宜な具材や調味料を加えることにより、各種調理米飯
を得ることができる。
【0021】さらに、耐熱性プラスチックトレイの開口
を蒸気透過性及びバクテリアバリア性を有するフィルム
で覆っておくこともできる。また、加熱方法も任意であ
り、上述の個食容器を使用する場合は、通常、高温蒸気
を使用するが、釜等の金属製容器を使用して炊飯を行う
場合は、直火で加熱することもできる。
【0022】加熱工程16で炊飯された米飯は、個食容
器のまま、あるいは適宜な容器に移し替えた後、密封工
程17においてガスバリア性フィルムで密封することに
より、製品として長期保存が可能な包装米飯が得られ
る。また、ガスバリア性フィルム内には、必要に応じて
脱酸素剤を封入してもよい。さらに、レトルトパウチの
ような包装形態を採用することもできる。
【0023】このようにして得られた包装米飯は、アジ
ピン酸含有浸漬水を使用した浸漬工程12におけるアジ
ピン酸の作用により、米穀中に存在する耐熱性芽胞菌の
耐熱性を低下させることができ、加熱工程16における
加熱で商業的無菌状態を達成することができるので、長
期保存が可能となり、電子レンジ等で加熱することによ
って喫食することができる。
【0024】このとき、上記包装米飯におけるアジピン
酸残存濃度は、0.07%以下になっていることが好ま
しく、特に、0.05%以下、さらに0.03%以下で
あることが好ましい。このアジピン酸残存濃度が0.0
7%以下であれば、通常の炊飯米との比較において、食
味の違いは識別可能ではあるが、実質的に同等であり、
0.05%以下であれば、通常の方法で炊飯した米飯と
識別できないほど、良好な食味である。
【0025】また、炊飯後の米飯のpHは、5.0〜
8.0の範囲になるように設定すべきである。すなわ
ち、米飯のpHが5未満、あるいは8を超える場合は、
食味が低下して商品価値が損なわれることがある。さら
に、pHが5.2〜7.8の範囲内ならば、通常の炊飯
方法で炊飯した米飯と同等の食味が得られ、特に、pH
を5.5〜7.5の範囲にすることにより、通常の米飯
との識別が困難な良好な食味が得られる。
【0026】上述のようなアジピン酸残存濃度及びpH
範囲は、浸漬工程12や水洗工程14での処理条件を適
当に設定することにより、商業的無菌を達成できる程度
の耐熱性低下効果を失わずに容易に達成することができ
る。なお、米飯のpHは、米飯の9倍量の蒸留水を加え
て米飯を破砕し、その上澄みのpHを測定した値であ
る。
【0027】このようにして長期保存が可能な包装米飯
を製造することにより、製造ライン環境を無菌化するた
めのクリーンブースのような高価な設備を設ける必要が
なくなるので、設備コストの低減も図れる。
【0028】
【実施例】実施例1 まず、アジピン酸含有浸漬水を使用して浸漬工程を行う
ことにより、耐熱性芽胞菌の耐熱性を低下させる効果を
検証した。あらかじめ加圧加熱殺菌した米の研ぎ汁に、
米穀から釣菌した極めて高い耐熱性を有する芽胞を懸濁
させて菌液とした。
【0029】そして、表1に示すように、アジピン酸処
理を行わなかったもの、すなわちアジピン酸を添加しな
い水(アジピン酸濃度0%)で浸漬処理を行ったもの
(実験番号1)をベースとし、実験番号11〜17、実
験番号21〜25及び実験番号31〜35の各種条件で
アジピン酸処理を施したものと比較した。なお、アジピ
ン酸処理は、菌液におけるアジピン酸の濃度が設定値に
なるように所定量のアジピン酸を加え、水酸化ナトリウ
ム水溶液でpHを7.0に調節して所定時間、所定温度
で放置することにより行い、続けて、この菌液6mlを
遠心分離(1回目)し、上澄みの5mlを捨て、新たな
殺菌済みの研ぎ汁を5ml加えて懸濁し、さらに2回目
の遠心分離を行い、上澄みの5mlを捨てて、新たな殺
菌済みの研ぎ汁5mlを加えて再懸濁させる水洗を模擬
した処理を行い、これを試料菌液とした。
【0030】各実験における比較は、アジピン酸処理を
行わなかった試料菌液及びアジピン酸処理を行った試料
菌液の一定量を100℃の温度に保ち、所定時間ごとの
残存菌数を測定し、得られたデータに基づいて生存曲線
を描き、D値(菌数を1/10にするのに必要な時間)
を求めることにより行った。その結果を表1に示す。な
お、この実験では、米の研ぎ汁を対象にしているが、実
際の米粒をアジピン酸含有浸漬水に浸漬し、その後に水
洗浄した場合にも、本実験で認められる芽胞の耐熱性低
下効果が得られることは明白である。なお、D値は、約
25(分)以下であれば実用的には十分である。
【0031】
【表1】
【0032】実施例2 実施例1と同じ菌液を試料とし、表2に示す条件でアジ
ピン酸処理を行った後、実施例1と同じ方法で菌の生存
数を調べた。その結果を表2に示す。このことから、加
熱時のアジピン酸残存濃度を同一にした場合、すなわ
ち、炊飯後の米飯中に残留するアジピン酸の濃度を同一
にしようとした場合、比較的高濃度のアジピン酸含有浸
漬水で短時間処理したものの方が、低濃度で長時間処理
したものよりも、芽胞の耐熱性低下効果が大きいことと
がわかる。
【0033】
【表2】
【0034】実施例3 炊飯後の米飯中に残留するアジピン酸の濃度が米飯の品
質に与える影響を確認するため、常法により洗米した米
を表3に示す条件で炊飯した後、米飯中のアジピン酸濃
度の測定及び官能試験を行った。
【0035】米飯中のアジピン酸濃度は、水洗を行うこ
とにより低下し、その量が0.07%以下になれば、十
分に良好な食味の米飯が得られることがわかった。
【0036】
【表3】
【0037】実施例4 100kgのうるち米を常法により洗米・水切り(表面
付着の水を除去)を行った後、0.3%のアジピン酸水
溶液(熱水にアジピン酸を溶解させて高濃度のアジピン
酸水溶液を製作し、これを常温の水で希釈して0.3%
均一濃度の溶液としたもの。)30リットルに入れて1
時間浸漬した。浸漬水をザルを用いて水切りした後、水
を張った容器にザルごと浸漬米が水没するように漬込
み、上部から水を供給し、オーバーフローするような状
態で浸漬米を攪拌しつつ水洗いした。この際、必要に応
じて新水を張った容器に浸漬米を移し替え、水洗いを継
続した。
【0038】米表面のアジピン酸を十分に洗い落として
水切りした浸漬米を、酸素バリア素材(EVOH)を含
むプラスチック成型容器に110g充填し、同時に、炊
き水として活性炭処理水を90ml充填した。次に、容
器上面を、一部に蒸気透過性フィルムを設けたフィルム
(一次フィルム)でシールした。その後、加熱装置(蒸
し機)に入れ、100℃で60分間炊飯した。炊飯終了
後、フィルム上面に残った蒸気の凝縮水を除去してか
ら、酸素バリア材(EVOH)を含むフィルム(二次フ
ィルム)でシールして包装米飯とした。
【0039】そして、一次フィルムと二次フィルムとの
間隙に脱酸素剤(商品名:エージレス)を封入した試料
1000食と、脱酸素剤を封入しない試料1000食と
をそれぞれ作成した。これらを、35℃の恒温室に2週
間保存した後、容器包装詰加圧加熱殺菌食品、いわゆる
レトルト食品の衛生試験法に準じて腐敗の状況を調べ
た。
【0040】脱酸素剤を封入したものも、封入しなかっ
たものも、いずれも腐敗は一切認められなかった。した
がって、本実施例の包装米飯は、商業的無菌状態を達成
していたといえる。さらに、脱酸素剤を封入した方の米
飯は、酸味・酸臭をほとんど感じることがなく、炊き立
てご飯と同等の品質を有していた。また、この実施例に
おける米飯のpHは5.2であった。
【0041】一方、対照実験区として、アジピン酸浸漬
処理は同様にして行ったが、その後の水洗工程を行わな
いで加熱処理した包装米飯を1000食作成し、同様に
35℃で2週間保存した。この対照実験区の米飯は、商
業的無菌状態は達成されたが、酸味・酸臭を有してお
り、品質的には、炊き立てのご飯に比べて劣っていた。
この場合の米飯のpHは4.5であった。
【0042】もう一つの対照実験区として、アジピン酸
浸漬を行わずに、水道水に浸漬しただけの米を用いて包
装米飯1000食を作成し、35℃で2週間保存した。
その結果、腐食が進んでいるものが2検体あり、商業的
無菌状態が達成されておらず、喫食には不適であった。
【0043】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
米穀に付着している微生物の耐熱性を低下させることが
できるので、通常の炊飯条件、すなわち、100℃を超
す加熱を伴わない条件でも耐熱性芽胞菌を死滅させるこ
とができ、商業的無菌状態を達成できるとともに、米飯
の味や香りが炊き立てのご飯と同等の品質を有する包装
米飯を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明方法の一工程例を示すフローチャート
である。
【符号の説明】
11…洗米工程、12…浸漬工程、13…水切り工程、
14…水洗工程、15…充填工程、16…加熱工程、1
7…密封工程
フロントページの続き (72)発明者 吉田 修 東京都港区西新橋1−16−7 日本酸素株 式会社内 Fターム(参考) 3E035 AA20 BA08 BC02 BD02 BD04 BD06 CA07 4B021 LA24 LP09 LW09 MQ05 4B023 LC08 LE11 LG01 LK04 LL01 LL05 LP03 LP05 LP10 LP18 LQ03

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 洗米した米をアジピン酸含有浸漬水に浸
    漬した後、該浸漬水を水切りした浸漬米を水洗し、該水
    洗した米を容器に充填するとともに炊き水を加えて加熱
    処理することを特徴とする長期保存可能な米飯の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 前記アジピン酸含有浸漬水のアジピン酸
    の濃度が0.05〜1%であることを特徴とする請求項
    1記載の長期保存可能な米飯の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記アジピン酸含有浸漬水のpHを、ナ
    トリウム,カリウム又はカルシウムのアジピン酸塩及び
    アルカリの少なくとも一種により調整することを特徴と
    する請求項1記載の長期保存可能な米飯の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記アジピン酸含有浸漬水が、水にナト
    リウム,カリウム又はカルシウムのアジピン酸塩を溶解
    したものであり、そのpHが4〜8であることを特徴と
    する請求項1記載の長期保存可能な米飯の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記アジピン酸含有浸漬水への米の浸漬
    時間が2分以上でことを特徴とする請求項1記載の長期
    保存可能な米飯の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記アジピン酸含有浸漬水に米を浸漬す
    る際に、超音波処理を併用することを特徴とする請求項
    1記載の長期保存可能な米飯の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記浸漬米の水洗を、5〜70℃の水を
    使用して行うことを特徴とする請求項1記載の長期保存
    可能な米飯の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記浸漬米を水洗する際に、超音波処理
    を併用することを特徴とする請求項1記載の長期保存可
    能な米飯の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記加熱処理は、常圧での炊飯処理であ
    ることを特徴とする請求項1記載の長期保存可能な米飯
    の製造方法。
  10. 【請求項10】 前記炊き水と共に、具材及び調味料の
    少なくともいずれか一方を加えることを特徴とする請求
    項1記載の長期保存可能な米飯の製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項1乃至10のいずれか1項記載
    の製造方法によって加熱処理した米飯を、ガスバリア性
    フィルムで密封したことを特徴とする包装米飯。
  12. 【請求項12】 前記米飯のアジピン酸含有量が0.0
    7重量%以下であることを特徴とする請求項11記載の
    包装米飯。
  13. 【請求項13】 前記米飯のpHが5〜8であることを
    特徴とする請求項11記載の包装米飯。
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