JP2000198651A - 乗客コンベアの速度制御装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 乗客が踏段の減速操作を確実に行なえるとと
もに、減速した踏段へ円滑に乗り込むことができる乗客
コンベアの速度制御装置の提供。 【解決手段】 操作体７が、櫛板４の歯先部４Ａより１
〜２．５ｍのいずれかの所定距離Ｌ、手前側に立設され
るとともに、床面６から９５０〜１０５０ｍｍのいずれ
かの所定高さの位置Ｈに配置され、床面６に対して２０
〜４０度のいずれかの所定角度θに傾斜する操作面７Ａ
を上部に有している。これにより、高齢者などの乗客が
踏段３に乗り込む前、操作体７上のスイッチ７Ｂを操作
すると、乗客が自然に乗り込める速度まで踏段３を減速
できるとともに、他の乗客に減速運転で迷惑をかける度
合いを少なくできる。また、高齢女性などの乗客が操作
面７Ａを見やすく、スイッチ７Ｂが押しやすい状態で使
用できるとともに、操作面７Ａを例えば５〜６歳児の目
の高さより高く配置できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、エスカレータなど
の乗客コンベアの速度制御装置に係り、高齢者などの乗
客が乗客コンベアを利用する際に踏段の減速運転を行な
う乗客コンベアの速度制御装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、例えば特開昭６１−１９２６９４
号公報に記載されているように、乗降床の特定部分に操
作体を設けて、乗客が乗降床から踏段に乗り込む際、前
記の操作体を踏み込むことにより、踏段を所定時間減速
するようにした乗客コンベアの速度制御装置が提案され
ている。

【０００３】また、特開平８−１９８５６４号公報に記
載されているように、乗客コンベアの乗込口および降り
口にそれぞれ低速化釦、高速化釦を設けて、乗客が乗込
口より踏段に乗り込む際に低速化釦を操作することによ
り踏段を減速させるとともに、乗客が踏段から降り口を
介して降りる際に高速化釦を操作することによりもとの
運転速度に戻すようにした乗客コンベアの速度制御装置
も提案されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、前述した乗
客コンベアの速度制御装置では、高齢者などの乗客が乗
客コンベアを利用する際に操作すると踏段の減速運転を
行なうことができるが、この踏段の減速運転を必要とし
ない他の乗客が誤って操作したり、あるいは子供がいた
ずらで操作するという懸念がある。

【０００５】なお、前記の問題を解決するため、踏段の
減速運転を必要としない乗客の誤操作や子供によるいた
ずらの可能性が比較的少ない位置に操作体を設置し、踏
段への乗り込みの際のみ踏段の減速運転を行なうことが
考えられるが、前記の操作体の構成によっては乗客の踏
段への乗り込みを妨げる可能性がある。

【０００６】本発明はこのような従来技術における実情
に鑑みてなされたもので、その目的は、乗客が踏段の減
速操作を確実に行なえるとともに、減速した踏段へ円滑
に乗り込むことのできる乗客コンベアの速度制御装置を
提供することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は、無端状に連結され、一方の乗降床から他
方の乗降床にかけて移動する多数の踏段を有する乗客コ
ンベアの速度制御装置において、前記乗降床の手前側の
所定位置に、前記踏段の減速信号を出力するスイッチを
備えた操作体を設けて、乗客が前記乗降床から前記踏段
に乗り込む際に前記スイッチを操作することにより前記
踏段の減速運転を行なう構成にした。

【０００８】このように構成した本発明では、乗降床の
手前側の所定位置に設けた操作体のスイッチを操作した
後、乗客が乗降床を通って踏段へ乗り込むので、乗客が
踏段の減速操作を確実に行なえるとともに、この減速操
作が原因となって乗り込みを妨げなることがなくて済
み、すなわち、減速した踏段へ円滑に乗り込むことがで
きる。

【０００９】また、前記操作体を、前記乗降床に設けら
れる櫛板歯先部より１〜２．５ｍのいずれかの所定距
離、手前側に設置することにより、乗客が操作体を操作
して標準的な歩行速度で踏段に乗り込む場合、この乗り
込む直前までに運転速度の減速を完了できるとともに、
前記の乗客の前を歩行する他の乗客に前記の減速運転に
より迷惑をかける度合いが少なくなる。

【００１０】また、前記操作体の操作面を床面から９５
０〜１０５０ｍｍのいずれかの所定高さ位置に設けるこ
とにより、高齢女性などの乗客が無理な体勢を取らず
に、かつ歩行を中断することなく容易に操作できるとと
もに、小さな子供、例えば大人が注意しても効果が少な
い年代である５〜６歳児の目の高さより操作面が高い位
置にあるので、前記の子供のいたずらを防止できる。

【００１１】また、前記操作体の操作面を床面に対して
２０〜４０度のいずれかの所定角度に傾斜させることに
より、操作面が見やすく、この操作面に設けられる操作
釦が押しやすい状態で使用できる。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下、本発明の乗客コンベアの速
度制御装置の実施の形態を図面に基づいて説明する。図
１は本発明の一実施形態に係る速度制御装置を備えた乗
客コンベアの乗降口付近を示す斜視図、図２は本実施形
態の速度制御装置に設けられる操作体を示す図、図３は
操作面の高さおよび傾斜角度の変化に伴う実用上の使い
やすさを説明する図である。なお、図２の（ａ）、
（ｂ）はそれぞれ操作体の正面図、側面図である。

【００１３】一般に図１に示す乗客コンベア１は、無端
状に連結され、一方の乗降床２から図示しない他方の乗
降床にかけて移動する踏段３を有している。乗降床２
は、通路となる平坦面２Ａと、この平坦面２Ａの先端が
踏段３に接近して傾斜する傾斜面２Ｂとを含み、この傾
斜面２Ｂの先端には、踏段３の踏面３Ａに形成された凹
溝３Ｂと非接触状態に噛み合う多数の歯先部４Ａと、そ
の根本部４Ｂとからなる櫛板４が取付けられ、これらの
乗降床２および櫛板４により乗降部５が構成されてい
る。

【００１４】そして、本実施形態の速度制御装置では、
同図１に示すように、乗降床２の側部で、かつ乗降床２
の手前側の所定位置に、操作体７が設けられている。こ
の操作体７は、例えば乗降床２に設けられる櫛板４の歯
先部４Ａより１〜２．５ｍのいずれかの所定距離Ｌ、手
前側の床面６に立設されている。また、操作体７は、円
筒柱状に形成され、踏段３の減速信号を出力するスイッ
チ７Ｂを備えた操作面７Ａを上部に有している。この操
作面７Ａは、図２に示すように、床面６から９５０〜１
０５０ｍｍのいずれかの所定高さの位置Ｈに配置され、
床面６に対して２０〜４０度のいずれかの所定角度θに
傾斜している。

【００１５】この実施形態にあっては、高齢者などの乗
客が踏段３に乗り込む前、床面６を歩行する際、操作面
７Ａ上のスイッチ７Ｂを操作すると、直ちに踏段３の運
転速度の減速制御が開始される。その後、乗客が床面６
および乗降部５上を歩行して踏段３に乗り込むまでに踏
段３の減速運転への移行を完了する。

【００１６】このとき、操作体７の設置位置と櫛板４の
歯先部４Ａとの距離Ｌを１〜２．５ｍとしているので、
例えば、減速の衝撃で乗客が転倒しない程度の減速度
０．１ｍ／ｓｅｃ²で所要時間１．６７〜２．５秒の間
に、乗客が自然に乗り込める速度１５〜２０ｍ／ｍｉｎ
まで踏段３を減速し、乗客が床面６および乗降部５上を
歩行して踏段３に乗り込むまでに踏段３の減速運転への
移行を完了する。

【００１７】このように構成した実施形態では、踏段３
を減速する操作が原因となって円滑な乗り込みを妨げる
ことがなく、乗客が操作体７上のスイッチ７Ｂを操作し
て減速した踏段３へ円滑に乗り込むことができるととも
に、前記の乗客の前を歩行する他の乗客に踏段３の減速
運転で迷惑をかける度合いを少なくできる。

【００１８】また、この実施形態では、操作面７Ａを床
面６から９５０〜１０５０ｍｍのいずれかの所定高さの
位置Ｈに設けたので、高齢女性などの乗客が操作面７Ａ
を見やすく、無理な体勢を取らずに歩行を中断すること
なくスイッチ７Ｂを操作できるとともに、小さな子供、
例えば大人が注意しても効果が少ない年代である５〜６
歳児の目の高さより操作面７Ａが高い位置にあるので、
前記の子供のいたずらを防止できる。

【００１９】また、この実施形態では、操作面７Ａを床
面６に対して２０〜４０度のいずれかの所定角度θに傾
斜させることにより、操作面７Ａが見やすく、この操作
面７Ａに設けられるスイッチ７Ｂが押しやすい状態で使
用できる。

【００２０】なお、本実施形態の想定使用者層である平
均年齢７１．６歳の高齢女性１０名が実際に使用してみ
ることにより、操作面７Ａの高さと傾斜角度を変えて実
用上の使いやすさが許容できる程度であるかを評価する
実験を本出願人が行なったところ、図３に示すように、
操作面７Ａが床面６から９５０〜１０５０ｍｍの所定高
さにあり、床面６に対して２０〜４０度に傾斜したと
き、実用上許容できる使いやすさであることが分かっ
た。

【００２１】なお、本実施形態では、櫛板４の歯先部４
Ａより１〜２．５ｍのいずれかの所定距離Ｌ、手前側の
床面６に操作体７を立設したが、前記の距離Ｌが１ｍよ
り短い場合、乗客が乗り込む直前までに踏段３の減速運
転への移行が完了しない可能性があり、その反対に、距
離Ｌが２．５ｍより長い場合、前記の乗客の前を歩行す
る他の乗客が乗り込む際に減速してしまう可能性があ
る。

【００２２】さらに、本実施形態では、操作面７Ａを床
面６から９５０〜１０５０ｍｍのいずれかの所定高さの
位置Ｈに設けたが、前記の操作面７Ａが１０５０ｍｍよ
り高い場合、使用者の身長などによっては操作面が見に
くく、無理な体勢での操作を必要とすることになる。そ
の反対に、操作面７Ａが９５０ｍｍより低い場合、当該
乗客コンベアにおけるいたずら事故が多く、特に、大人
が注意しても効果が少ない年代である５〜６歳児の標準
的は目の高さ９５０ｍｍより操作面７Ａが低くなる場合
があるので、いたずらが発生する可能性が顕著である。

【００２３】さらに、本実施形態では、操作面７Ａを床
面６に対して２０〜４０度のいずれかの所定角度θに傾
斜させるが、前記の操作面７Ａが２０度より傾斜が小さ
いか、あるいは４０度より傾斜が大きい場合、スイッチ
７Ｂの操作のしやすさは低下する。

【００２４】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
乗客が乗降床から踏段に乗り込む際に、乗降床の手前側
の所定位置に設けた操作体を操作するようにしたので、
乗客が踏段の減速操作を確実に行なえるとともに、この
減速操作が原因となって乗り込みを妨げとなることがな
く、減速した踏段へ円滑に乗り込むことができる。

【００２５】また、乗降床に設けられる櫛板歯先部より
１〜２．５ｍのいずれかの所定距離、手前側に設置すれ
ば、乗客が操作体を操作して標準的な歩行速度で踏段に
乗り込む場合、この乗り込む直前までに運転速度の減速
を完了できるとともに、前記の乗客の前を歩行する他の
乗客に前記の減速運転により迷惑をかける度合いが少な
くなる。

【００２６】また、操作面を床面から９５０〜１０５０
ｍｍのいずれかの所定高さ位置に設ければ、高齢女性な
どの乗客が無理な体勢を取らずに、かつ歩行を中断する
ことなく容易に操作できるとともに、小さな子供、例え
ば大人が注意しても効果が少ない年代である５〜６歳児
の目の高さより操作面が高い位置にあるので、前記の子
供のいたずらを防止できる。

【００２７】また、操作面を床面に対して２０〜４０度
のいずれかの所定角度に傾斜させれば、操作面が見やす
く、この操作面に設けられるスイッチが押しやすい状態
で使用できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施形態に係る速度制御装置を備え
た乗客コンベアの乗降口付近を示す斜視図である。

【図２】本実施形態の速度制御装置に設けられる操作体
を示す図である。

【図３】操作面の高さおよび傾斜角度の変化に伴う実用
上の使いやすさを説明する図である。

【符号の説明】

１ 乗客コンベア ２ 乗降床 ３ 踏段 ４ 櫛板 ５ 乗降部 ６ 床面 ７ 操作体 ７Ａ 操作面 ７Ｂ スイッチ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松崎 義夫 東京都千代田区神田錦町１丁目６番地 株 式会社日立ビルシステム内 (72)発明者 山下 浩二 東京都千代田区神田錦町１丁目６番地 株 式会社日立ビルシステム内 (72)発明者 松本 通顕 神奈川県横浜市戸塚区吉田町292番地 株 式会社日立製作所マルチメディアシステム 開発本部内 (72)発明者 糟谷 清基 神奈川県横浜市戸塚区吉田町292番地 株 式会社日立製作所マルチメディアシステム 開発本部内 Ｆターム(参考） 3F321 AA04 DA05 DC01 DD01 GA00

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 無端状に連結され、一方の乗降床から他
   方の乗降床にかけて移動する多数の踏段を有する乗客コ
   ンベアの速度制御装置において、 前記乗降床の手前側の所定位置に、前記踏段の減速信号
   を出力するスイッチを備えた操作体を設けて、乗客が前
   記乗降床から前記踏段に乗り込む際に前記スイッチを操
   作することにより前記踏段の減速運転を行なうようにし
   たことを特徴とする乗客コンベアの速度制御装置。
2. 【請求項２】 前記操作体を、前記乗降床に設けられる
   櫛板歯先部より１〜２．５ｍのいずれかの所定距離、手
   前側に設置したことを特徴とする請求項１記載の乗客コ
   ンベアの速度制御装置。
3. 【請求項３】 前記操作体の操作面を床面から９５０〜
   １０５０ｍｍのいずれかの所定高さ位置に設けたことを
   特徴とする請求項１または２記載の乗客コンベアの速度
   制御装置。
4. 【請求項４】 前記操作体の操作面を床面に対して２０
   〜４０度のいずれかの所定角度に傾斜させたことを特徴
   とする請求項１〜３のいずれかに記載の乗客コンベアの
   速度制御装置。