JP2000190610A - 孔版印刷装置 - Google Patents

孔版印刷装置

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JP2000190610A
JP2000190610A JP10371965A JP37196598A JP2000190610A JP 2000190610 A JP2000190610 A JP 2000190610A JP 10371965 A JP10371965 A JP 10371965A JP 37196598 A JP37196598 A JP 37196598A JP 2000190610 A JP2000190610 A JP 2000190610A
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plate
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ink
master
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JP10371965A
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Jun Sato
佐藤  淳
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Tohoku Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Tohoku Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 1工程両面印刷が可能であって裏移りの発生
を防止することが可能な孔版印刷装置を提供する。 【解決手段】 多数の開孔が形成された第1の多孔性支
持板44を具備する第1の版胴40と、多数の開孔が形
成された第2の多孔性支持板51を具備し、用紙搬送路
を介して第1の版胴と対向配置された第2の版胴41
と、第1の多孔性支持板44と第2の多孔性支持板51
とを互いに接離させる接離手段とを有し、1工程で印刷
用紙の両面あるいは片面に印刷を行う孔版印刷装置1に
おいて、各多孔性支持板44,51の画像領域における
前記開孔の開孔率を30〜65%とした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は孔版印刷装置に関
し、詳しくは版胴同士を圧接させることにより1工程で
印刷用紙の両面あるいは片面に印刷を行うことが可能な
孔版印刷装置に関する。
【0002】
【従来の技術】多孔性支持板で形成された円筒体にイン
キ保持部材(メッシュスクリーン)を巻回してなる支持
円筒体である版胴と、熱可塑性樹脂フィルムに多孔性支
持体を貼り合わせたラミネート構造のマスタとを用い、
マスタの熱可塑性樹脂フィルム面をサーマルヘッドで加
熱溶融穿孔製版した後に版胴に巻装し、版胴内部に設け
られたインキ供給手段で版胴の内周面に適量のインキを
供給して、プレスローラーや圧胴等の押圧部材で印刷用
紙を版胴に押圧することにより、版胴開孔部及びマスタ
穿孔部より滲出したインキを印刷用紙に転写させて印刷
を行うデジタル式感熱孔版印刷装置がよく知られてい
る。この孔版印刷装置を用いた孔版印刷においては、支
持円筒体(版胴)の多孔性支持板としては開孔率が10
〜45%のものが、インキ保持部材としては密度規格が
200〜500(1/inch)のものが、熱可塑性樹脂フィル
ムとしては厚み1〜5μmのものが、多孔性支持体とし
ては厚み5〜50μmのものが、インキとしては20℃
にてずり速度20(1/s)での見かけの粘度が1〜50Pa・
sのものがそれぞれ一般的に用いられている。
【0003】前述の孔版印刷装置においては、印刷装置
を一定時間放置した後や印刷を停止した後に再度印刷を
再開した場合等に、インキが蒸発することに起因して発
生する印刷不良の不具合を防止するため、蒸発しにくい
油性インキや油中水型エマルションインキが一般的に使
用されている。しかし、このインキは乾燥しにくいた
め、印刷時において印刷用紙に転移したインキが印刷用
紙内へ浸透して指等で擦っても汚れが発生しない、いわ
ゆる浸透乾燥した状態となるまでにはある程度の時間を
必要とする。
【0004】孔版印刷装置では、印刷済みの印刷用紙は
連続的に排紙トレイに排出積載されるが、このときに前
の印刷用紙上に次の印刷用紙がすぐに積載されると、イ
ンキの乾燥時間が短く前の印刷用紙に転写されたインキ
が次の印刷用紙の裏面に付着してしまう、いわゆる裏移
りという不具合が発生する。この裏移りはインキ転移量
の多い画像、とりわけ印刷用紙表面に形成されるインキ
層の厚さが厚い(インキ転移高さが高い)画像を印刷し
た場合に発生し易く、印刷用紙表面に形成されるインキ
層の厚さは支持円筒体とマスタとの間に形成されるイン
キ層の厚みに比例して増減することが判っている。従来
の孔版印刷装置に用いられるマスタや版胴では、マスタ
の穿孔径に対して多孔性支持体やインキ保持部材の開孔
径(空隙)が大きくなるように構成されており、マスタ
及び支持円筒体間でのインキ層の形成を抑えて転移する
インキ量を減少させることにより裏移りを防止する効果
がほとんど期待できなかった。
【0005】そこで、支持円筒体における多孔性支持板
の開孔率を17〜40%とすることでマスタ及び支持円
筒体間でのインキ層の形成を抑制し、印刷用紙に転写さ
れるインキ量を減少させて裏移りの発生を防止する技術
が特開平9−202031号公報において開示されてい
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述の孔版印刷におい
ては、近年、印刷用紙の消費量を低減させるために印刷
用紙の両面に印刷を行う両面印刷が多く用いられてい
る。この両面印刷は給紙部に積載した印刷用紙を印刷部
に通紙し、一面に印刷をした後に印刷用紙を裏返して通
紙して他面に印刷をすることで両面印刷物が得られるわ
けであるが、一度排紙された印刷用紙を再度給紙部にセ
ットしたり、片面印刷後の印刷用紙を揃える等の作業が
面倒であるという問題点があった。また、印刷終了後の
印刷物はインキが十分に乾燥していないため、すぐに裏
面に印刷を行おうとすると搬送部材や押圧部材等が画像
部に押し付けられて印刷画像が汚れたり乱れたりするた
め、大抵の場合には表面印刷の数時間後に裏面への印刷
を行い、特にベタ画像がある場合には翌日になってから
裏面への印刷が行われていた。
【0007】このように両面印刷は裏面に印刷を行うま
で長時間待たねばならず、しかも2回の通紙を行うの
で、正味の印刷時間においても片面印刷に比べて2倍の
時間を要し、時間がかかりすぎるという問題点があっ
た。そこで、一対の版胴を対向配置し、各版胴同士を互
いに圧接させることにより1工程で両面印刷物を得る孔
版印刷装置が特開平6−71996号公報及び特開平6
−135111号公報に、また、対向配置された一対の
版胴の各外周面を互いに膨出させることにより1工程で
両面印刷物を得る孔版印刷装置が特開平10−1141
36号公報にそれぞれ開示されている。
【0008】しかし、上記各号公報に開示された孔版印
刷装置においても両面印刷時において支持円筒体(版
胴)とマスタとの間にインキ層が形成され、これにより
裏移りが発生していた。そこで、各版胴における多孔性
支持板の開孔率を片面印刷時と同様に17〜40%とし
て裏移り発生の防止を試みたが、裏移りの発生を防止す
ることはできなかった。
【0009】本発明は、上記問題点を解決し、1工程両
面印刷が可能であって裏移りの発生を防止することが可
能な孔版印刷装置の提供を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
多数の開孔が形成された第1の多孔性支持板を具備する
第1の版胴と、多数の開孔が形成された第2の多孔性支
持板を具備し、用紙搬送路を介して第1の版胴と対向配
置された第2の版胴と、第1の多孔性支持板と第2の多
孔性支持板とを互いに接離させる接離手段とを有し、1
工程で印刷用紙の両面あるいは片面に印刷を行う孔版印
刷装置において、前記各多孔性支持板の、前記印刷用紙
に転写される画像の画像領域における前記開孔の開孔率
が30〜65%であることを特徴とする。
【0011】請求項2記載の発明は、請求項1記載の孔
版印刷装置において、さらに、第1及び第2の多孔性支
持板がそれぞれ可撓性を有し、前記接離手段が第1及び
第2の版胴内に設けられた第1及び/または第2のイン
キローラーを移動させ、第1及び/または第2の多孔性
支持板を膨出させることにより1工程で前記印刷用紙の
両面あるいは片面に印刷を行うことを特徴とする。
【0012】請求項3記載の発明は、請求項1記載の孔
版印刷装置において、さらに、前記接離手段が第1また
は第2の版胴を揺動させることにより1工程で前記印刷
用紙の両面あるいは片面に印刷を行うことを特徴とす
る。
【0013】請求項4記載の発明は、請求項1記載の孔
版印刷装置において、さらに、マスタに穿孔製版を行う
製版手段と、片面印刷時に第2の版胴に代えて用いられ
るプレスローラーとを具備し、前記製版手段が、前記マ
スタを所定の穿孔径で穿孔する第1の製版モードと、第
1の製版モードよりも大きな穿孔径で穿孔する第2の製
版モードとに切換可能であり、両面印刷時には第1の製
版モードで前記マスタへの製版を行い、片面印刷時には
第2の製版モードで前記マスタへの製版を行うことを特
徴とする。
【0014】請求項5記載の発明は、請求項1記載の孔
版印刷装置において、さらに、インキローラーとこれに
近接配置されたドクターローラーとを有し第1の多孔性
支持板の内周面にインキを供給するインキ供給手段と、
片面印刷時に第2の版胴に代えて用いられるプレスロー
ラーとを具備し、前記ドクターローラーが、前記インキ
ローラーとの間隔を所定値とする第1の位置と、第1の
位置よりも間隔が広い第2の位置とに移動可能であり、
両面印刷時には前記ドクターローラーを第1の位置に位
置させ、片面印刷時には前記ドクターローラーを第2の
位置に位置させて印刷を行うことを特徴とする。
【0015】請求項6記載の発明は、請求項1ないし請
求項5のうちの何れか1つに記載の孔版印刷装置におい
て、さらに、前記各多孔性支持板は前記開孔が前記画像
領域の外部にも形成されていることを特徴とする。
【0016】
【実施例】図1は、本発明の第1の実施例に用いられる
孔版印刷装置1の概略正面図を示している。図1におい
て孔版印刷装置1は、画像読取部2、給紙部3、第1製
版部4、第2製版部5、第1排版部6、第2排版部7、
排紙部8、印刷部9、制御部10から主に構成されてい
る。なお、この孔版印刷装置1は特開平10−1141
36号公報に開示された孔版印刷装置1とほぼ同様の構
成であり、相違する部分を除いて個々の詳細な説明はで
きるだけ省略する。
【0017】筐体11の上部には画像読取部2が配設さ
れている。画像読取部2はコンタクトガラス、原稿搬送
ローラー対及び原稿搬送ローラー、ガイド板、原稿搬送
ベルト、切換板、反射ミラー及び蛍光灯、レンズ、CC
D等の画像センサー等から主に構成されている。
【0018】筐体11の右辺中段には給紙部3が配設さ
れている。給紙部3は、印刷用紙Pを積載する給紙トレ
イ12、給紙コロ13及び分離コロ対14、レジストロ
ーラー対15等から主に構成されている。
【0019】給紙部3の上方には第1製版部4が配設さ
れている。第1製版部4は、熱可塑性樹脂フィルムと多
孔性支持体とを貼り合わせてなりロール状に巻成された
マスタロール16aより引き出されたマスタ16の熱可
塑性樹脂フィルム面を加熱溶融穿孔製版するサーマルヘ
ッド17、図示しないステッピングモーターで回転駆動
されるプラテンローラー18、切断手段19、マスタ搬
送ローラー対20,21等から主に構成されている。
【0020】筐体11の左辺中段には第2製版部5が配
設されている。第2製版部5は、第1製版部4と同様
に、熱可塑性樹脂フィルムと多孔性支持体とを貼り合わ
せてなるマスタ22をロール状に巻成してなるマスタロ
ール22a、サーマルヘッド23、プラテンローラー2
4、切断手段25、マスタ搬送ローラー対26,27等
から主に構成されている。
【0021】第2製版部5の上方には第1排版部6が配
設されている。第1排版部6は、上排版部材28、下排
版部材29、排版ボックス30、圧縮板31等から主に
構成されており、下排版部材29は図示しない移動手段
によって、図1に示す位置とその外周面が後述する版胴
40の外周面に当接する位置とに選択的に位置決めされ
る。版胴40の外周面より剥離された使用済みマスタを
貯容する排版ボックス30は筐体11に対して着脱自在
に設けられており、排版ボックス30の内部に使用済み
マスタを押し込む圧縮板31は図示しない昇降手段によ
って上下動自在に支持されている。
【0022】第2製版部5の右下方には第2排版部7が
配設されている。第2排版部7は、第1排版部6と同様
に、上排版部材32、下排版部材33、排版ボックス3
4、圧縮板35等から主に構成されている。
【0023】第2製版部5と第1排版部6との間には排
紙部8が配設されている。排紙部8は、剥離爪36,3
7、排紙搬送部材38、排紙トレイ39から主に構成さ
れている。剥離爪36はその先端を版胴40の外周面に
対して進退自在に設けられており、剥離爪37はその先
端を後述する版胴41の外周面に対して進退自在に設け
られている。駆動ローラー、従動ローラー、無端ベル
ト、吸引ファンから構成される排紙搬送部材38は吸引
ファンの吸引力によって無端ベルト上に印刷用紙Pを吸
引し、駆動ローラーの回転によって印刷用紙Pを図1の
矢印方向に搬送する。排紙搬送部材38によって搬送さ
れる印刷用紙Pをその上面に積載する排紙トレイ39は
一対のサイドフェンスとエンドフェンスとを有してお
り、折り畳むことによって筐体11の内部に収納可能に
構成されている。
【0024】筐体11の中央部には印刷部9が配設され
ている。印刷部9は、第1の版胴としての版胴40、第
2の版胴としての版胴41、版胴駆動手段42等から主
に構成されている。
【0025】版胴40は、インキ供給パイプを兼ねた支
軸43をその中心に有しており、その外面に第1の多孔
性支持板である多孔性支持板44を、また、内部に第1
のインキ供給手段であるインキ供給手段45と図示しな
いインキローラー移動手段とを有している。インキ供給
手段45は第1のインキローラーであるインキローラー
46とドクターローラー47とから主に構成されてお
り、多孔性支持板44の内周面にインキを供給する。イ
ンキローラー46は図示しないインキローラー移動手段
によって移動され、これにより多孔性支持板44が膨出
する。
【0026】ステンレス板、ニッケル板、銅板、アルミ
ニウム板等の金属板にエッチング処理を施して開孔を形
成した多孔性支持板44の外周面には、テトロンやナイ
ロン等の合成樹脂繊維の不織布からなるインキ保持部材
が巻装されている。この多孔性支持板44に形成された
開孔の孔径及びピッチによって、画像領域に対する開孔
の占有面積率である開孔率が決定される。
【0027】多孔性支持板44としては金属板にプレス
加工あるいは電鋳処理で開孔を形成したもの、ステンレ
ス繊維のメッシュシート、金属あるいは樹脂等の粒子を
焼結したもの等を用いてもよく、インキ保持部材として
はメッシュスクリーン、マニラ麻や亜麻等の天然繊維、
テトロンやナイロン等の合成樹脂繊維、ステンレス、
鉄、銅、ニッケル、アルミニウム、チタン等の金属繊維
や合成樹脂繊維からなる不織布や焼結シート、ポリビニ
ルアセタール系またはポリビニルアルコール系の連続気
泡を有する多孔質弾性体、ポリエチレン等の合成樹脂や
無機物の微粉末を焼結した多孔質弾性体、ポリウレタン
等の液状焼結による多孔質弾性体、または多孔質ゴム等
の多孔質弾性体からなるもの等を用いてもよい。
【0028】多孔性支持板44の一部には平面状をなし
た非開孔部であるステージ部48が形成されており、ス
テージ部48上には、マスタ16の先端を挟持するクラ
ンパー49が配設されている。クランパー49は版胴4
0が所定の位置に停止したときに図示しない開閉手段に
よって開閉される。
【0029】版胴40の下方には版胴41が配設されて
いる。版胴41は、インキ供給パイプを兼ねた支軸50
をその中心に有しており、その外面に第2の多孔性支持
板である多孔性支持板51を、また、内部に第2のイン
キ供給手段であるインキ供給手段52と図示しないイン
キローラー移動手段とを有している。インキ供給手段5
2は第2のインキローラーであるインキローラー53と
ドクターローラー54とから主に構成されており、多孔
性支持板51の内周面にインキを供給する。インキロー
ラー53は図示しないインキローラー移動手段によって
移動され、これにより多孔性支持板51が膨出する。版
胴41は、多孔性支持板51の外周面が多孔性支持板4
4の外周面より所定の間隔(2〜5mm程度)だけ離間
した位置に配設される。
【0030】多孔性支持板44と同様に構成された多孔
性支持板51の外周面には、上述と同様のインキ保持部
材が巻装されている。多孔性支持板51の一部にもステ
ージ部48と同様のステージ部55が形成されており、
ステージ部55上には、マスタ22の先端を挟持するク
ランパー56が配設されている。クランパー56は版胴
41が所定の位置に停止したときに図示しない開閉手段
によって開閉される。
【0031】版胴41の下方には版胴駆動手段42が配
設されている。版胴駆動手段42は正逆転可能で互いに
逆方向に回転駆動される2個のモーターから主に構成さ
れており、各モーターの各出力軸にはベルトやギヤ等の
図示しない駆動力伝達手段がそれぞれ取り付けられてい
る。これにより各版胴40,41は各モーターの回転力
を伝達されて互いに同期して逆方向に回転駆動される。
【0032】筐体11の上部前面には図示しない操作パ
ネルが配設されている。操作パネルは、製版スタートキ
ー、印刷スタートキー、試し刷りキー、ストップキー、
テンキー、クリアキー、拡大縮小キー、印刷速度設定キ
ー、連写キー、7セグメントLEDからなる表示装置、
LCDからなる表示装置、両面印刷と片面印刷とを切り
換える印刷モード切換キー等をその上面に有している。
【0033】筐体11の内部下方には制御部10が配設
されている。制御部10は、CPU、ROM、RAM等
を有する周知のマイクロコンピューターより主に構成さ
れており、孔版印刷装置1の動作を制御する。
【0034】上述の構成に基づいて、以下に孔版印刷装
置1の動作を説明する。オペレーターは、2枚の原稿を
図示しない原稿受け台にセットし、所望する印刷物に合
わせて拡大縮小キーあるいは連写キー等を押した後、製
版スタートキーを押す。製版スタートキーが押される
と、版胴駆動手段42が作動して版胴40が図1におい
て反時計回り方向に回転すると共に、図示しない移動手
段が作動して下排版部材29が移動し、版胴40の外周
面上に巻装されている使用済みマスタが上排版部材28
及び下排版部材29によって剥離搬送され、使用済みマ
スタは排版ボックス30内に収納された後に圧縮板31
によって圧縮される。
【0035】版胴40の回転と同時に版胴41が図1に
おいて時計回り方向に回転すると共に、図示しない移動
手段が作動して下排版部材33が移動し、版胴41の外
周面上に巻装されている使用済みマスタは、上排版部材
32及び下排版部材33によって版胴41の外周面より
剥離されて排版ボックス34内に搬送され、圧縮板35
によって圧縮される。その後、各版胴40,41が、ク
ランパー49,56がマスタ搬送ローラー対21,27
とそれぞれ対応する給版待機位置まで回転して停止し、
排版動作が完了する。
【0036】画像読取部2では原稿画像の読取動作が行
われる。排版動作完了後、原稿搬送ローラー対が回転を
開始し、図示しない原稿の上部の1枚がコンタクトガラ
ス上を搬送される。原稿画像の読み取りは、蛍光灯によ
って露光されて反射した反射光を反射ミラーによって走
査することにより行われ、読み取られた原稿画像はレン
ズで集光された後に画像センサーに入射されて光電変換
され、光電変換された電気信号は筐体11内の図示しな
いA/D変換器に入力される。画像を読み取られた原稿
は、原稿搬送ベルト及び原稿搬送ローラーによって原稿
搬送ベルトの上部に配設された図示しない原稿トレイに
排出される。
【0037】原稿読取動作に並行して、第1製版部4で
は製版動作が行われる。排版動作完了後、プラテンロー
ラー18とマスタ搬送ローラー対20,21がそれぞれ
回転を開始し、マスタロール16aからマスタ16が引
き出される。引き出されたマスタ16はサーマルヘッド
17によって製版される。サーマルヘッド17の表面に
整列配置された複数の発熱素子は、A/D変換器及びそ
の他の図示しない製版基板で各種処理を施された後に送
られてきたデジタル画像信号に応じて各々選択的に発熱
し、マスタ16の熱可塑性樹脂フィルムを加熱溶融穿孔
する。
【0038】そして、プラテンローラー18を回転駆動
する図示しないステッピングモーターのステップ数よ
り、マスタ16の先端がステージ部48とクランパー4
9との間の所定位置まで到達したと制御部10が判断す
ると、図示しない開閉手段に動作信号が送られてクラン
パー49が回動し、ステージ部48とクランパー49と
でマスタ16の先端を挟持する。
【0039】その後、版胴40がマスタ16の搬送速度
と同じ周速度で図1の時計回り方向に回転し、マスタ1
6の版胴40への巻装動作が行われる。そして、図示し
ないステッピングモーターのステップ数より、1版分の
製版が完了したと制御部10が判断すると、プラテンロ
ーラー18及びマスタ搬送ローラー対20,21の回転
が停止すると共に、切断手段19が作動してマスタ16
が切断される。切断されたマスタ16は版胴40の回転
動作によって引き出され、版胴40が再びホームポジシ
ョンに到達すると制御部10からの指令によって版胴駆
動手段42が停止し、版胴40が位置決めされる。
【0040】版胴40の位置決め後、原稿搬送ローラー
対が再び回転を開始し、残り1枚の原稿がコンタクトガ
ラス上を搬送され、先の原稿と同様に読み取られた後、
図示しない原稿トレイに排出される。この実施例では2
枚の原稿よりそれぞれ画像を読み取ったが、1枚の原稿
の両面から画像を読み取る場合には、一方の面の読取完
了後、原稿搬送ベルト及び原稿搬送ローラーが回転する
と同時に切換板が図示しない機構により反時計回り方向
に回動することで、原稿の進行方向が変更されて再度コ
ンタクトガラス上に導かれ、他方の面が読み取られるよ
うに構成されている。
【0041】2枚目の原稿読取動作に並行して、第2製
版部5では第1製版部4と同様に製版動作が行われる。
排版動作完了後、プラテンローラー24とマスタ搬送ロ
ーラー対26,27がそれぞれ回転を開始し、マスタロ
ール22aからマスタ22が引き出される。引き出され
たマスタ22は、マスタ16と同様にサーマルヘッド2
3によって製版される。
【0042】そして、プラテンローラー24を回転駆動
する図示しないステッピングモーターのステップ数よ
り、マスタ22の先端が所定位置まで到達したと制御部
10が判断すると、図示しない開閉手段に動作信号が送
られてクランパー56が回動し、ステージ部55とクラ
ンパー56とでマスタ22の先端を挟持する。
【0043】その後、版胴41がマスタ22の搬送速度
と同じ周速度で図1の反時計回り方向に回転し、マスタ
22の版胴41への巻装動作が行われる。そして、図示
しないステッピングモーターのステップ数より、1版分
の製版が完了したと制御部10が判断すると、プラテン
ローラー24及びマスタ搬送ローラー対26,27の回
転が停止すると共に、切断手段25が作動してマスタ2
2が切断される。切断されたマスタ22は版胴41の回
転動作によって引き出され、版胴41が再びホームポジ
ションに到達すると制御部10からの指令によって版胴
駆動手段42が停止し、版胴41が位置決めされる。
【0044】各版胴40,41への給版動作が完了する
と同時に、給紙コロ13、分離コロ対14が回転すると
共に版胴駆動手段42が再び作動を開始し、給紙トレイ
12上に積載されている印刷用紙Pの最上位の1枚がレ
ジストローラー対15に向けて分離給送されると共に、
各版胴40,41が低速で回転を開始する。分離給送さ
れ、その先端をレジストローラー対15にくわえ込まれ
た印刷用紙Pは、レジストローラー対15が所定のタイ
ミングで回転することにより、各版胴40,41間に給
送される。
【0045】一方、各版胴40,41の内部では、図示
しない駆動手段によってそれぞれ回転駆動された各イン
キローラー46,53が、各版胴40,41の回転に伴
い、図示しないインキローラー移動手段によって同時に
揺動する。
【0046】この各インキローラー46,53の揺動動
作とほぼ同時に、レジストローラー対15から各版胴4
0,41間に向けて印刷用紙Pが給送される。これによ
り、多孔性支持板44、多孔性支持板51、多孔性支持
板44上に巻装されたインキ保持部材、多孔性支持板5
1上に巻装されたインキ保持部材、マスタ16、マスタ
22及び印刷用紙Pを介してインキローラー46とイン
キローラー53とが圧接し、印刷用紙Pの両面に同時に
印刷画像が転写される。
【0047】両面に印刷画像を転写された印刷用紙P
は、剥離爪36または剥離爪37によって版胴40また
は版胴41の外周面上より剥離され、排紙搬送部材38
によって搬送された後、排紙トレイ39上に排出され
る。
【0048】その後、各版胴40,41がホームポジシ
ョンまで回転して停止し、版付け動作が完了する。版付
け動作が完了して孔版印刷装置1が印刷待機状態となっ
た後、オペレーターによって試し刷りキーが押される
と、版付け動作と同様に給紙トレイ12上の最上位の1
枚の印刷用紙Pが給紙コロ13及び分離コロ対14によ
って引き出され、レジストローラー対15にその先端を
くわえ込まれると共に、制御部10から指令が送られて
版胴駆動手段42が作動を開始し、各版胴40,41が
高速で回転駆動される。レジストローラー対15は、所
定のタイミングで、高速回転している各版胴40,41
間に印刷用紙Pを給送する。給送された印刷用紙Pはそ
の両面に同時に印刷画像を転写され、剥離爪36または
剥離爪37によって版胴40または版胴41の外周面よ
り剥離された後、排紙搬送部材38によって搬送されて
排紙トレイ39上に排出される。各版胴40,41は再
びホームポジションに復帰し、試し刷り動作が完了す
る。
【0049】この試し刷りによって印刷画像の濃度や位
置を確認し、これらを操作パネル上の各種キーで調整し
て再度試し刷りを行った後、テンキーで印刷枚数を表示
装置に置数し、印刷速度設定キーで印刷速度を設定した
後に印刷スタートキーを押すことにより、給紙部3より
印刷用紙Pが連続的に送られ、各版胴40,41がそれ
ぞれ高速で回転駆動されて印刷動作が行われる。
【0050】上述の版付け動作、試し刷り動作または印
刷動作中において、各版胴40,41の表面から印刷用
紙Pが剥離されるときに、マスタ16,22の表面のイ
ンキと印刷用紙Pとの接着力によってマスタ16,22
の穿孔部よりインキが引き出されるが、引き出されるイ
ンキ量はインキ保持部材の構造と関係があり、インキ保
持部材の表面の凹凸、すなわちマスタ16,22の内面
から各インキ保持部材の表面までの距離が大きければ大
きいほど引き出されるインキ量が増加することが、特開
平9−202031号公報に記載されているように既に
判っている。
【0051】また、インキローラー46,53から多孔
性支持板44,51とマスタ16,22との間に供給さ
れるインキの供給領域は、図2に示すように、インキロ
ーラー46,53の外周面と多孔性支持板44,51の
内周面とが接触する領域A1と、インキローラー46,
53の外周面と多孔性支持板44,51の内周面とで楔
状のインキ溜まり57,57が形成される領域A3とで
あり、インキローラー46,53と多孔性支持板44,
51との接触部でのインキローラー46,53の押圧及
びインキローラー46,53と多孔性支持板44,51
との回転によって生じるインキ溜まり57,57でのす
りこぎ作用によって、多孔性支持板44,51の開孔よ
りインキが供給される。
【0052】多孔性支持板44,51同士の押圧によっ
て印刷が行われると、領域A1において多孔性支持板4
4,51とマスタ16,22との間のインキがマスタ1
6,22の穿孔部を通って印刷用紙Pの表面に転移され
るが、図3に示すように、穿孔されていない部分のイン
キあるいは転写されずにインキ保持部材58,59内に
残ったインキは、マスタ16,22とインキ保持部材5
8,59の外周面との間に蓄積されてインキ層60,6
0を形成し、このインキ層60,60の厚みが大きけれ
ば大きいほど印刷用紙Pに転移されるインキ量が増大す
る。
【0053】一方、多孔性支持板44,51の外周面同
士のみでの押圧が行われる領域A2では、多孔性支持板
44,51とマスタ16,22との間の、特にインキ保
持部材58,59を圧縮することで、多孔性支持板4
4,51とマスタ16,22との間に残されたインキが
再び多孔性支持板44,51内に戻され、インキ層6
0,60の形成が抑制されていた。
【0054】この多孔性支持板44,51内へのインキ
の戻し量は多孔性支持板44,51の開孔率と関係があ
り、特開平9−202031号公報に開示された技術で
は開孔率を17〜40%とすることで版胴から引き出さ
れるインキ量を適正化し、裏移りの発生を防止してい
た。そこで、多孔性支持板44,51の開孔率が17〜
40%である孔版印刷装置1を用いて両面印刷を行った
ところ、良好な画像を得ることはできなかった。
【0055】これは、孔版印刷装置1のような1工程両
面印刷においては版胴40,41同士の圧接となるた
め、弾性体であるプレスローラーによる版胴押圧時に比
較すると圧接時におけるニップ幅が小さくなり、領域A
1,A3でのインキ供給能力及び領域A2でのインキ戻
し能力が共に低下してしまうためと考えられる。ただ
し、領域A3でのインキ供給能力は、ニップ幅の大きさ
よりもインキ溜まり57によるすりこぎ作用の寄与度が
大きいためにさほど低下せず、領域A2での戻し能力の
低下が影響してインキ保持部材58,59とマスタ1
6,22との間にインキ層60,60が形成され、裏移
りが発生してしまうのである。
【0056】上述の説明を簡単な数値比率例で示すと、 〈片面時〉 (A3供給量:2)+(A1供給量:5)−(A2戻し
量:7)=0 供給量と戻し量とが等しいためにインキ層が形成されず
裏移りがない 〈両面時〉 (A3供給量:1.8)+(A1供給量:4)−(A2
戻し量:5.6) =0.2 戻し量が少ないためにインキ層が形成され
裏移りが発生 となる。このように、インキ保持部材とマスタとの間に
インキ層が形成されると、裏移りの発生のみならず、イ
ンキ層の潤滑作用によりマスタが滑り易くなり、マスタ
へのしわの発生の原因ともなる。
【0057】そこで、インキ層60,60の形成を抑制
すべく多孔性支持板44,51の開孔率を変化させて印
刷を行い、そのときの裏移り及び画像品質を調査した。
実験では多孔性支持板の厚みが0.2mmである両面印
刷実験機を用いて印刷を行い、印刷条件は、印圧3.8
N/cm2 、印刷速度60枚/分に設定し、インキとし
てPriport Ink JP−10((株)リコー
製)を、マスタとしてPriport MASTER
JP−50((株)リコー製)を、インキ保持部材とし
て密度規格350(1/inch)のポリエステル製のもの
1枚をそれぞれ使用した。実験の結果を表1に示す。
【0058】
【表1】
【0059】表1より明らかなように、多孔性支持板4
4,51の開孔率を30〜65%とすると裏移りがなく
良好な画像を得ることができた。また、開孔率を30%
未満とした場合には裏移りが発生し、開孔率を65%よ
り大きくすると画像がかすれて良好な印刷物を得ること
ができなかった。さらに、開孔率を65%より大きくし
た場合には、版胴40,41の剛性の低下により印刷時
において変形や破損が生じる虞がある。
【0060】以上のことから、1工程両面印刷装置にお
いては、各多孔性支持板の開孔率を30〜65%とする
ことにより、インキ保持部材の外周面とマスタとの間で
のインキ層の形成が防止されて裏移りがなく良好な両面
印刷物を得ることができる。なお、片面印刷を行う場合
には、何れか一方の版胴に未製版マスタを巻装すること
により、両面印刷時と同様に裏移りがなく良好な片面印
刷物を得ることができる。これにより、印刷装置側の一
般的な印刷条件を変えずに多孔性支持板の開孔率のみを
変化させることでインキ層の形成を防止でき、良好な印
刷物を得られることが判明した。
【0061】第1の実施例に用いた孔版印刷装置1で
は、インキ供給手段45とインキ供給手段52とをそれ
ぞれ移動可能な構成としたが、何れか一方のインキ供給
手段を、そのインキローラーの外周面が多孔性支持板の
内周面と近接した状態で固定し、他方のインキ供給手段
を移動させることにより、双方の多孔性支持板を当接可
能とした構成の孔版印刷装置を使用することも可能であ
る。
【0062】さらに、第1の実施例では各版胴40,4
1の支軸を移動させずに1工程両面印刷を行う、特開平
10−114136号公報に開示されたものと同様な孔
版印刷装置を示したが、一方の版胴を揺動させて他方の
版胴に対して圧接させる、特開平6−71996号公報
に開示されたものと同様な孔版印刷装置においても本実
施例は適用される。
【0063】図4、図5は、本発明の第2の実施例に用
いられる孔版印刷装置61の概略正面図を示している。
この孔版印刷装置61は、第1の実施例で示した孔版印
刷装置1と比較すると、第1製版部4に代えて第1製版
部62を、第2排版部7に代えて第2排版部63を、印
刷部9に代えて印刷部64を、制御部10に代えて制御
部65を、筐体11に代えて筐体66を有する点におい
て相違しており、他の構成は同一である。なお、この孔
版印刷装置61は特開平10−114136号公報に開
示された孔版印刷装置246とほぼ同様の構成であり、
相違する部分を除いて個々の詳細な説明はできるだけ省
略する。
【0064】第1製版部62は、マスタ16の熱可塑性
樹脂フィルム面を加熱溶融穿孔製版するサーマルヘッド
67、プラテンローラー18、切断手段19、マスタ搬
送ローラー対20,21等から主に構成されている。サ
ーマルヘッド67は、特開平6−320851号公報に
開示されたものと同様に、発熱エネルギーを制御するこ
とによりマスタ16に対する穿孔径を可変可能に構成さ
れている。
【0065】第2排版部63は、第2製版部5の下方で
あって筐体66の左下隅に配設されている。第2排版部
63は、第2排版部7と同様に、上排版部材68、下排
版部材69、排版ボックス70、圧縮板71等から主に
構成されている。下排版部材69は図示しない移動手段
によって移動自在に設けられており、図4に示す位置
と、図示しない版胴移動手段の作動によって版胴41が
図5に示す片面印刷位置に位置決めされたときに、駆動
ローラーの外周面が版胴41の外周面に当接する位置と
に選択的に位置決めされる。排版ボックス70は筐体6
6に対して着脱自在であり、圧縮板71は図示しない昇
降手段によって上下動される。
【0066】印刷部64は版胴40、版胴41、版胴駆
動手段42等から主に構成されており、版胴41は図示
しない版胴移動手段によって、図4に示す位置と図5に
示す位置とに選択的に移動される。
【0067】筐体66の版胴41の右方に位置する部位
にはプレスローラー72が配設されている。プレスロー
ラー72は図示しないプレスローラー移動手段に回転自
在かつ揺動自在に支持されており、図4に示す位置と図
5に示す位置との間を揺動される。
【0068】筐体66の内部下方に設けられた制御部6
5は、CPU、ROM、RAM等を有する周知のマイク
ロコンピューターより主に構成されており、孔版印刷装
置61の動作を制御する。制御部65には両面印刷時に
おける動作プログラムと片面印刷時における動作プログ
ラムとが記憶されており、両面印刷時における動作プロ
グラムでは版胴41を図4に示す位置に移動させて版胴
40,41間に印刷用紙Pを給送し、版胴40,41を
圧接させることで印刷用紙Pの両面に画像を転写させ、
片面印刷時における動作プログラムでは版胴41を図5
に示す位置に移動させて版胴40の下方に向けて印刷用
紙Pを給送し、プレスローラー移動手段を作動させてプ
レスローラー72を版胴40に圧接させることで印刷用
紙Pの片面に画像を転写させる。また、制御部65は両
面印刷時と片面印刷時とでサーマルヘッド67の発熱エ
ネルギーを変化させており、両面印刷時における発熱エ
ネルギーよりも片面印刷時における発熱エネルギーを大
きくし、片面印刷時においてマスタ16に穿孔される穿
孔径が両面印刷時での穿孔径よりも大きくなるようにプ
ログラムされている。
【0069】上述の構成に基づき、以下に孔版印刷装置
61を用いた両面印刷動作を説明する。2枚の原稿が図
示しない原稿受け台にセットされた後に図示しない製版
スタートキーが押されると、版胴移動手段が作動して版
胴41が図5に示す位置に移動され、第1排版部6と第
2排版部63とが作動して版胴40,41の外周面から
使用済みのマスタが剥離される。排版動作と並行して画
像読取部2において原稿画像が読み取られ、第1製版部
62と第2製版部5とが作動して版胴40,41の外周
面に製版されたマスタ16,22がそれぞれ巻装され
る。このとき、マスタ16への製版は通常の製版エネル
ギーで行われ、マスタ16,22には第1の実施例と同
じ大きさの穿孔製版が行われる。巻装動作完了後、版胴
移動手段が作動し、版胴41が図4に示す位置に移動さ
れる。
【0070】各版胴40,41への給版動作が完了する
と同時に、給紙コロ13、分離コロ対14が回転すると
共に版胴駆動手段42が作動し、第1の実施例と同様に
版付け動作が行われる。版付け動作完了後、オペレータ
ーによって試し刷りキーが押されると、第1の実施例と
同様に試し刷り動作が行われ、その後に印刷スタートキ
ーを押されると給紙部3より印刷用紙Pが連続的に送ら
れ、各版胴40,41がそれぞれ高速で回転駆動されて
印刷動作が行われる。
【0071】この1工程両面印刷時において、各多孔性
支持板の開孔率を30〜65%に設定することにより、
第1の実施例と同様に裏移りがなく良好な両面印刷物を
得ることができる。
【0072】次に、孔版印刷装置61の片面印刷動作を
説明する。1枚の原稿が図示しない原稿受け台にセット
された後に製版スタートキーが押されると、版胴移動手
段が作動して版胴41が図5に示す位置に移動されると
共にプレスローラー移動手段が作動し、プレスローラー
72が版胴40の下方に移動される。その後、第1排版
部6によって版胴40の外周面から使用済みマスタが剥
離され、版胴40が給版待機位置に移動される。
【0073】排版動作と並行して画像読取部2において
原稿画像が読み取られ、第1製版部62が作動して版胴
40の外周面に製版されたマスタ16が巻装される。こ
のとき、マスタ16への製版は両面印刷時よりも大きい
製版エネルギーで行われ、マスタ16には第1の実施例
よりも穿孔径の大きい穿孔製版が行われる。
【0074】版胴40への給版動作が完了すると同時
に、給紙コロ13、分離コロ対14が回転すると共に版
胴駆動手段42が作動し、給紙トレイ12上に積載され
ている印刷用紙Pの最上位の1枚がレジストローラー対
15に向けて分離給送されると共に、版胴40が低速で
回転を開始する。分離給送され、その先端をレジストロ
ーラー対15にくわえ込まれた印刷用紙Pは、レジスト
ローラー対15が所定のタイミングで回転することによ
り、版胴40とプレスローラー72との間に給送され
る。
【0075】そして、プレスローラー移動手段が作動し
てプレスローラー72が揺動することにより、多孔性支
持板44、多孔性支持板44上に巻装されたインキ保持
部材、マスタ16及び印刷用紙Pを介してインキローラ
ー46とプレスローラー72とが圧接し、印刷用紙Pの
片面に印刷画像が転写される。印刷画像を転写された印
刷用紙Pは、剥離爪36によって版胴40の外周面上よ
り剥離され、排紙搬送部材38によって搬送された後、
排紙トレイ39上に排出される。
【0076】その後、版胴40がホームポジションまで
回転して停止し、版付け動作が完了する。版付け動作が
完了して孔版印刷装置61が印刷待機状態となった後、
オペレーターによって試し刷りキーが押されると、版付
け動作と同様に印刷用紙Pが引き出されてレジストロー
ラー対15にその先端をくわえ込まれると共に、制御部
65から指令が送られて版胴駆動手段42が作動を開始
し、版胴40が高速で回転駆動される。レジストローラ
ー対15は、所定のタイミングで、高速回転している版
胴40とプレスローラー72との間に印刷用紙Pを給送
する。給送された印刷用紙Pは印刷画像を転写され、剥
離爪36によって版胴40の外周面より剥離された後、
排紙搬送部材38によって搬送されて排紙トレイ39上
に排出される。版胴40は再びホームポジションに復帰
し、試し刷り動作が完了する。
【0077】この試し刷りによって印刷画像の濃度や位
置を確認し、これらを操作パネル上の各種キーで調整し
て再度試し刷りを行った後、テンキーで印刷枚数を表示
装置に置数し、印刷速度設定キーで印刷速度を設定した
後に印刷スタートキーを押すことにより、給紙部3より
印刷用紙Pが連続的に送られ、版胴40が高速で回転駆
動されて印刷動作が行われる。
【0078】上述の両面及び片面印刷動作中において、
多孔性支持板44の開孔率が第1の実施例と同様に30
〜65%に設定されているため、片面印刷時でのプレス
ローラー72による押圧時に多孔性支持板44の内部に
戻されるインキ量が両面印刷時よりも増大する。従っ
て、マスタ16及びインキ保持部材58の内部に残って
マスタ16の穿孔部から引き出されるインキ量が減少
し、図6に示すように片面印刷時におけるインキ73が
両面印刷時におけるインキ73よりも減少し、片面印刷
時と両面印刷時とで画像濃度差が発生するという不具合
が発生する。これを防止するため、片面印刷時における
サーマルヘッド67の発熱量を両面印刷時に比して大き
くし、図6に示すようにマスタ16の穿孔径を両面印刷
時の穿孔径d1よりも片面印刷時の穿孔径d2の方が大
きくなるように制御している。これにより、マスタ16
の穿孔部より引き出されるインキ73の高さが両面印刷
時(h1)と片面印刷時(h2)とで異なることを穿孔
径を変えることによって調整し、印刷用紙Pに転移され
るインキ73の体積を等しくさせることで、片面印刷時
での画像濃度と両面印刷時での画像濃度とをほぼ同じに
することができる。
【0079】第2の実施例の変形例として、第1製版部
62に代えて第1製版部4を用いると共に、インキ供給
手段45に代えて特開平7−257005号公報に開示
されたインキ供給量可変手段を用い、片面印刷時におけ
るインキローラー46とドクターローラー47との間隔
を両面印刷時におけるそれよりも大きくすることで、片
面印刷時においてマスタ16の穿孔部より引き出される
インキ量を増加させて片面印刷時での画像濃度と両面印
刷時での画像濃度とをほぼ同じにすることができる。
【0080】第1及び第2の実施例で用いた多孔性支持
板44,51は、図8(a)に示すように、開孔が形成
された開孔領域が画像領域に対応して設けられているた
め、版胴圧接時においてマスタ幅方向での開孔領域と非
開孔領域との剛性差により各領域の境界部において多孔
性支持板44,51が変形し、図7に示すように非開孔
領域での多孔性支持板44,51の密着性が悪化する。
このため、インキローラー46,53の端部より非開孔
領域側に滲出したインキは多孔性支持板44,51同士
の圧接力が作用しないために多孔性支持板44,51の
内部に戻れず、インキ保持部材58,59とマスタ1
6,22との間にインキ層60が形成されてこの厚みが
徐々に増加し、連続して大量の印刷が行われる場合に
は、やがてマスタ16,22の両側端部から脇漏れを生
じてしまう。これは、インキローラー46,53により
多孔性支持板44,51を膨出させるタイプの1工程両
面印刷機において特に顕著である。
【0081】この不具合を解消すべく、図8(b)、図
8(c)に示すように多孔性支持板44,51の非画像
領域である版胴両端部までを開孔領域とすることによ
り、画像領域と非画像領域との境界部付近での版胴の剛
性差がなくなり、図9に示すように版胴40,41の圧
接時において多孔性支持板44,51の密着性が向上
し、インキローラー46,53の端部より外方に滲出し
たインキは多孔性支持板44,51同士の圧接力によっ
て多孔性支持板44,51の内部に戻され、インキ保持
部材58,59とマスタ16,22との間でのインキ層
の形成が防止されて、マスタ16,22の両側端部から
のインキの脇漏れを防止することができる。なお、開孔
領域は図8(c)に示すように設けることにより、多孔
性支持板44,51の可撓性の均一化が図れるのでより
好ましい。
【0082】上記各実施例及び変形例では、マスタ1
6,22として熱可塑性樹脂フィルムと多孔性支持体と
を貼り合わせたものを用いたが、マスタとしては実質的
に熱可塑性樹脂フィルムのみからなるものを用いてもよ
い。この実質的に熱可塑性樹脂フィルムのみからなるマ
スタとは、マスタが熱可塑性樹脂フィルムのみからなる
ものの他、熱可塑性樹脂フィルムに帯電防止剤等の微量
成分を含有させてなるもの、更には熱可塑性樹脂フィル
ムの両主面、すなわち表面及び裏面の少なくとも一方に
オーバーコート層等の薄膜を1層または複数層形成して
なるものを含む。
【0083】
【発明の効果】本発明によれば、1工程両面印刷装置に
おいては、各多孔性支持板の開孔率を30〜65%とす
ることにより、インキ保持部材とマスタとの間でのイン
キ層の形成が防止されて裏移りがなく良好な両面印刷物
を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例に用いられる孔版印刷装
置の要部概略正面図である。
【図2】本発明の第1の実施例における1工程両面印刷
時でのインキの挙動を説明する図である。
【図3】本発明の第1の実施例における1工程両面印刷
時でのインキの挙動を説明する図である。
【図4】本発明の第2の実施例に用いられる孔版印刷装
置の要部概略正面図である。
【図5】本発明の第2の実施例に用いられる孔版印刷装
置の片面印刷時における状態を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施例における1工程両面印刷
時及び片面印刷時での印刷用紙へのインキの転移状態を
説明する図である。
【図7】本発明の第1及び第2の実施例における多孔性
支持板の状態を説明する図である。
【図8】(a)本発明の第1及び第2の実施例に用いら
れる多孔性支持板、(b)、(c)本発明の第1及び第
2の実施例の変形例に用いられる多孔性支持板の展開平
面図である。
【図9】本発明の第1及び第2の実施例の変形例におけ
る多孔性支持板の状態を説明する図である。
【符号の説明】
1 孔版印刷装置 16,22 マスタ 40 第1の版胴 41 第2の版胴 44 第1の多孔性支持板 45 第1のインキ供給手段 46 第1のインキローラー 47 ドクターローラー 51 第2の多孔性支持板 53 第2のインキローラー 62 製版手段(第1製版部) 72 プレスローラー P 印刷用紙

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】多数の開孔が形成された第1の多孔性支持
    板を具備する第1の版胴と、多数の開孔が形成された第
    2の多孔性支持板を具備し、用紙搬送路を介して第1の
    版胴と対向配置された第2の版胴と、第1の多孔性支持
    板と第2の多孔性支持板とを互いに接離させる接離手段
    とを有し、1工程で印刷用紙の両面あるいは片面に印刷
    を行う孔版印刷装置において、 前記各多孔性支持板の、前記印刷用紙に転写される画像
    の画像領域における前記開孔の開孔率が30〜65%で
    あることを特徴とする孔版印刷装置。
  2. 【請求項2】第1及び第2の多孔性支持板がそれぞれ可
    撓性を有し、前記接離手段が第1及び第2の版胴内に設
    けられた第1及び/または第2のインキローラーを移動
    させ、第1及び/または第2の多孔性支持板を膨出させ
    ることにより1工程で前記印刷用紙の両面あるいは片面
    に印刷を行うことを特徴とする請求項1記載の孔版印刷
    装置。
  3. 【請求項3】前記接離手段が第1または第2の版胴を揺
    動させることにより1工程で前記印刷用紙の両面あるい
    は片面に印刷を行うことを特徴とする請求項1記載の孔
    版印刷装置。
  4. 【請求項4】マスタに穿孔製版を行う製版手段と、片面
    印刷時に第2の版胴に代えて用いられるプレスローラー
    とを具備し、前記製版手段が、前記マスタを所定の穿孔
    径で穿孔する第1の製版モードと、第1の製版モードよ
    りも大きな穿孔径で穿孔する第2の製版モードとに切換
    可能であり、両面印刷時には第1の製版モードで前記マ
    スタへの製版を行い、片面印刷時には第2の製版モード
    で前記マスタへの製版を行うことを特徴とする請求項1
    記載の孔版印刷装置。
  5. 【請求項5】インキローラーとこれに近接配置されたド
    クターローラーとを有し第1の多孔性支持板の内周面に
    インキを供給するインキ供給手段と、片面印刷時に第2
    の版胴に代えて用いられるプレスローラーとを具備し、
    前記ドクターローラーが、前記インキローラーとの間隔
    を所定値とする第1の位置と、第1の位置よりも間隔が
    広い第2の位置とに移動可能であり、両面印刷時には前
    記ドクターローラーを第1の位置に位置させ、片面印刷
    時には前記ドクターローラーを第2の位置に位置させて
    印刷を行うことを特徴とする請求項1記載の孔版印刷装
    置。
  6. 【請求項6】前記各多孔性支持板は、前記開孔が前記画
    像領域の外部にも形成されていることを特徴とする請求
    項1ないし請求項5のうちの何れか1つに記載の孔版印
    刷装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002172839A (ja) * 2000-12-07 2002-06-18 Tohoku Ricoh Co Ltd 印刷方法および印刷装置

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JP2002172839A (ja) * 2000-12-07 2002-06-18 Tohoku Ricoh Co Ltd 印刷方法および印刷装置

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