JP2000153609A - 記録装置及び記録方法 - Google Patents

記録装置及び記録方法

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JP2000153609A
JP2000153609A JP33161198A JP33161198A JP2000153609A JP 2000153609 A JP2000153609 A JP 2000153609A JP 33161198 A JP33161198 A JP 33161198A JP 33161198 A JP33161198 A JP 33161198A JP 2000153609 A JP2000153609 A JP 2000153609A
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ink
transfer
recording
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recording apparatus
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JP33161198A
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Eiki Hirano
栄樹 平野
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Sony Corp
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Sony Corp
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)
  • Ink Jet (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 プリンタヘッドと印画紙等の被記録体との間
のギャップの大きさに拘わらず高品位の画像等の情報を
適切に記録できると共に、被記録体の選択の自由度や装
置の設計の自由度を大幅に向上させてコストの低減と装
置の小型化を実現し、インクの汚れを低減して装置の寿
命を延ばし、光沢性を有する被記録体への高速転写を実
現し、更には、画像等の情報の保存安定性を向上させ
る。 【解決手段】 プリンタヘッド1と印画紙41との間に
転写ローラ42等の中間転写体を配設し、プリンタヘッ
ド1のインク飛翔部4から飛翔したインクを中間転写体
に付着させた後に印画紙41の記録面41aに転写す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、印画紙等の被記録
体に文字や画像等の情報を記録する記録装置及び記録方
法に関し、特に、インク飛翔部に保持されたインクを加
熱手段により加熱し、このインクの流動を利用してイン
クを飛翔させ記録を行う記録装置及び記録方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、例えばパーソナルコンピュータ等
で処理したカラー画像や、ディジタルビデオカメラ、デ
ィジタルスチルカメラ等で撮影したカラー画像をプリン
トアウトして、鑑賞その他の目的に供することが行われ
ている。このため、特に、個人向けや、例えば、「スモ
ールオフィス」或いは「ホームオフィス」と呼ばれる小
規模オフィス向けの比較的廉価のプリンタに対しても、
高品位なフルカラー画像を得ることが要求され始めてい
る。
【0003】カラープリント方式としては、従来、昇華
型熱転写方式、溶融熱転写方式、オンデマンド型インク
ジェット方式、電子写真方式等のカラーハードコピー方
式が提案されている。
【0004】これらの方式の中で、昇華型熱転写方式
は、銀塩カラー写真並みの高品位な画像を得ることがで
きるが、使い捨てのインクリボン等や専用の熱転写用紙
を用いることに起因してランニングコストが高くなり、
また、例えばA6サイズの画像で1分前後もの長い転写
時間を必要としている点で、個人向けや小規模オフィス
向けのプリンタに適用するには問題がある。
【0005】また、溶融熱転写方式は、普通紙の使用が
可能であるが、やはり使い捨てのインクリボン等を用い
る必要があるので、ランニングコストが高くなり、個人
向けや小規模オフィス向けのプリンタに適用するには問
題がある。さらに、この方式では、銀塩写真並みの高品
位な画像を得ることが困難である。
【0006】また、電子写真方式は、ランニングコスト
が低く転写時間が短いが、装置コストが著しく高く、こ
の方式も、個人向けや小規模オフィス向けのプリンタに
適用するには問題がある。さらに、この方式では、銀塩
写真並みの高品位な画像を得ることが困難である。
【0007】一方、オンデマンド型インクジェット方式
は、プリンタヘッドに設けられたノズルからインクの小
滴を噴出させ、それをプリンタ用紙等に付着させて印刷
を行うものであり、使い捨てのインクリボン等を使用せ
ず、また、普通紙の使用が可能であるのでランニングコ
ストが低く、且つ、装置コストも低い。このため、イン
クジェット方式は、個人向けや小規模オフィス向けのプ
リンタに適用され、普及が拡大している。
【0008】しかしながら、このオンデマンド型インク
ジェット方式は、インクの1滴が1画素を構成するの
で、画素内での濃度階調が原理的に困難であり、銀塩写
真と比較すると画像品位が極めて低い点が課題とされて
いる。
【0009】オンデマンド型インクジェット方式におい
ては、画像品位を向上させるべく、いくつかの試みがな
されている。
【0010】具体的には、例えば、それぞれ濃度の異な
るインクを保持する複数のプリンタヘッドを設けて、印
刷する画素の濃度に応じてこれら複数のプリンタヘッド
のうち最適な濃度のインクを保持するプリンタヘッドを
選択的に使用する方法が提案されているが、このように
濃度の異なるインクを保持する複数のプリンタヘッドを
設けることとすると、装置コストの上昇を招いてしま
い、好ましくない。
【0011】また、薄めたインク液滴を単一画素に重ね
て転写する方法が提案されているが、この場合も、何段
階かのプリンタヘッドを設ける必要があり、装置コスト
の上昇を招くことになるとともに、薄めたインク液滴を
重ねて転写するようにすると、同一画素内に多量の溶媒
を吸収させる必要が生じることから、印画紙の設計が困
難になりランニングコストが上がる等の問題がある。さ
らに、この方法では、1画素につき何回もの転写動作を
繰り返し行う必要があり、転写時間が長くなるという問
題があった。
【0012】また、小滴化したインク液滴を単一画素に
重ねて転写する方法が提案されているが、従来の熱モー
ドのオンデマンド型インクジェット方式では、インク液
滴のサイズを1ピコリットル以下とすることが原理的に
困難であり、単位画素内で64階調以上のきめ細やかな
濃度階調を得ることが難しかった。また、この方法も、
1画素につき何回もの転写動作を繰り返し行う必要があ
り、転写時間が長くなるという問題があった。
【0013】以上のような従来のオンデマンド型インク
ジェット方式の欠点を解消すべく、例えば、特開平9−
183235号公報、特開平9−183239号公報等
にて開示される熱転写記録方式のプリンタが提案されて
いる。この熱転写記録方式を適用したプリンタは、例え
ば、高さが1〜50μm、幅が1〜10μm程度の多数
の突起が、中心間距離2〜40μm程度の微小間隔で立
設配置されてなる凹凸構造のインク保持部と、このイン
ク保持部に保持されたインクを加熱する加熱手段とを備
えている。
【0014】この熱転写記録方式を適用したプリンタ
は、インク保持部の毛管現象を利用して、インクを常時
インク保持部に供給し、且つそこに保持することがで
き、この状態で加熱手段により記録する情報に応じた熱
量を選択的にインクに加えることにより、加熱したイン
クをインク蒸気を含む主に直径10μm以下のインクミ
ストとしてプリンタヘッドより飛翔させ、プリンタヘッ
ドと所定間隔を存して対向する印画紙に付着させて印画
を行うことができる。
【0015】したがって、この熱転写記録方式を適用し
たプリンタは、従来のオンデマンド型インクジェット方
式のプリンタと比較して、小さいサイズのインク液滴を
多数飛翔させることができ、且つ、インク保持部に保持
されたインクに対して加熱手段より加えられる記録情報
に対応した熱量に応じて、インク液的の生成数を自由に
制御することができるので、64階調以上の多値濃度階
調が可能となる。
【0016】また、この熱転写記録方式を適用したプリ
ンタは、インク粒の飛翔の周波数を50KHz以上とす
ることが可能であり、従来のオンデマンド型インクジェ
ット方式と比較して、高速転写が可能となる。また、こ
の熱転写記録方式を適用したプリンタのプリンタヘッド
は、半導体プロセスを応用して作製することが可能であ
るので、300dpi以上の解像度で且つ1000以上
のインク飛翔部を持つプリンタヘッドも容易に作製する
ことができる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】ところで、熱転写記録
方式においては、上述したように、インクをインク蒸気
を含む主に直径10μm以下のインクミストとしてプリ
ンタヘッドより噴出させ、プリンタヘッドより噴出した
インクミストを、所定間隔の空隙(ギャップ)を飛翔さ
せて印画紙に到達させるようになされている。
【0018】したがって、この熱転写記録方式によるプ
リンタにおいては、プリンタヘッドと印画紙との間のギ
ャップの大きさが画像品位に大きく影響を及ぼすことに
なる。例えば、プリンタヘッドと印画紙との間のギャッ
プが大きすぎると、プリンタヘッドより噴出したインク
ミストが印画紙に到達できず、転写感度の低下を招く場
合がある。また、インクミストは所定の立体角をもって
プリンタヘッドより噴出されるので、プリンタヘッドと
印画紙との間のギャップが大きすぎると、転写画素の面
積が増えて解像度が低下する。
【0019】一方、この熱転写記録方式によるプリンタ
においては、プリンタヘッドと印画紙との間のギャップ
が小さすぎると、以下のような問題が生じる。すなわ
ち、プリンタヘッドと印画紙との間のギャップが小さす
ぎると、表面に大きな凹凸がある印画紙の使用ができな
くなる等、使用可能な印画紙が限定されることになる。
また、プリンタヘッドと印画紙との間のギャップが小さ
すぎると、印画紙上の紙粉や空気中から沈着した塵埃が
プリンタヘッドに付着して、プリンタヘッドの目詰まり
を引き起こす可能性が高くなる。
【0020】また、プリンタヘッドと印画紙との間のギ
ャップをあまり小さく設定すると、プリンタヘッドと印
画紙との位置合わせが困難となり、プリンタのコスト上
昇の原因となる。また、プリンタヘッドと印画紙との間
のギャップが小さすぎると、プリンタヘッドのヒータの
電極とドライバICとを接続するための空間的余裕が少
なくなり、その結果、ヒータの設計の自由度が狭くなっ
てプリンタのコスト上昇の原因となると共に、インク保
持部にインクを供給するためのインク供給路が複雑とな
り、インクの汚れの原因となる。
【0021】さらに、プリンタヘッドの一部を印画紙に
接触させてプリンタヘッドと印画紙とのギャップを設定
する場合には、プリンタヘッドの一部を印画紙に接触さ
せる前に印画紙に付着したインクが乾いていないと地汚
れの原因となるので、印画紙の吸収性能を向上させるた
めに印画紙を多孔質にする必要があるが、印画紙を多孔
質構造とすると、印画紙の光沢性が損なわれることにな
る。
【0022】また、上述した熱転写記録方式のプリンタ
は、インクをプリンタヘッドより飛翔させて印画紙に付
着させるのみで、印画紙に付着したインクを定着させる
ための手段が設けられていないので、印刷した画像の移
行性等、保存安定性が低いという問題があった。
【0023】本発明は以上の点に鑑みてなされたもので
あり、プリンタヘッドと印画紙等の被記録体との間のギ
ャップの大きさに拘わらず高品位の画像等の情報を適切
に記録できると共に、被記録体の選択の自由度や装置の
設計の自由度を大幅に向上させてコストの低減と装置の
小型化を実現し、インクの汚れを低減して装置の寿命を
延ばし、光沢性を有する被記録体への高速転写を実現
し、更には、画像等の情報の保存安定性を向上させるこ
とができる記録装置及び記録方法を提供することを目的
とする。
【0024】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上述した課
題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、プリンタヘッド
から飛翔させたインクを印画紙に直接付着させずに、プ
リンタヘッドと印画紙との間に中間転写体を設け、プリ
ンタヘッドから飛翔させたインクをこの中間転写体に一
時的に付着させてこの中間転写体に記録すべき画像等の
鏡像を形成した後に、この中間転写体に形成された鏡像
を印画紙に転写することにより、上記課題を解決して高
品位の画像を適切に得られることを見出した。
【0025】本発明に係る記録装置は、このような知見
に基づいて創案されたものであり、保持したインクを加
熱手段により記録する情報に応じて加熱することによ
り、このインク表面に表面張力勾配及び/又は界面張力
勾配を生じさせ、このインク表面の表面張力勾配及び/
又は界面張力勾配に起因する流動を利用してこのインク
を上記インク飛翔部から飛翔させるインク飛翔部と、こ
のインク飛翔部と上記情報が記録される被記録体との間
に配設される中間転写体を備え、インク飛翔部から飛翔
されたインクを中間転写体の転写面に付着させた後に、
中間転写体の転写面に付着したインクを被記録体に転写
して被記録体に情報の記録を行うことを特徴としてい
る。
【0026】この記録装置によれば、インク飛翔部に供
給されたインクは、このインク飛翔部において保持され
る。インク飛翔部は、例えば、高さが1〜50μm、幅
が1〜10μm、中心間距離が2〜40μmとされた少
なくとも4本の突起部を有する凹凸構造体よりなるイン
ク保持部を有し、このインク保持部の毛管現象を利用し
てインクを保持する。
【0027】インク飛翔部のインク保持部に保持された
インクは、加熱手段により、例えば、画像や文字等の被
記録体に記録すべき情報に応じて加熱される。これによ
り、インク保持部に保持されたインクの表面に、表面張
力勾配及び/又は界面張力勾配が生じる。そして、表面
張力勾配及び/又は界面張力勾配が生じたインクは、そ
の表面張力勾配及び/又は界面張力勾配に応じて流動
し、例えば、流動したインクがインク保持部の突起部に
衝突することにより、或いは、流動したインク同士が衝
突すること等により、インクの一部がインク蒸気を含む
主に直径10μm以下のインクミストとしてインク飛翔
部より飛翔する。
【0028】インク飛翔部より飛翔したインクは、イン
ク飛翔部と被記録体との間に配設された中間転写体の転
写面に付着し、中間転写体の転写面に、記録する画像や
文字等の情報の鏡像が形成される。そして、中間転写体
の転写面に形成された鏡像が被記録体に転写されて、被
記録体に所望の画像や文字等の情報が記録される。
【0029】以上のように、この記録装置によれば、イ
ンク飛翔部より飛翔したインクを被記録体に直接付着さ
せずに、中間転写体を介して被記録体に転写するように
しているので、インク飛翔部と被記録体との間の間隔
(ギャップ)の大きさに拘わらず、高品位の画像を適切
に記録することができるとともに、印画紙の選択の自由
度を高めることができる。
【0030】また、中間転写体は、印画紙等の被記録体
に比べて、その表面(転写面)を平滑性の高い面とする
ことが容易であるとともに、形状その他の自由度が大き
いので、このような中間転写体を用いる本発明に係る記
録装置は、画像品位の向上が容易に図れるとともに、コ
ストの低減と、装置全体の小型化を図ることが可能とな
る。
【0031】中間転写体は、転写面とインク飛翔部との
間の距離を適切に設定することができる形状であればど
のようなものでもよい。中間転写体としては、例えば、
周面が転写面とされた略円筒形を呈するものや、帯状の
耐熱部材が円環状に形成されてなるベルト体を備え、こ
のベルト体の主面が転写面とされたもの等が挙げられ
る。
【0032】なお、中間転写体は、その転写面の臨界表
面張力が、通常の使用温度である0〜200℃の温度範
囲内において30dyn/cm未満であることが望まし
い。中間転写体の転写面の臨界表面張力を0〜200℃
の温度範囲内において30dyn/cm未満とすること
により、中間転写体に形成された鏡像を被記録体に転写
する際に、鏡像が中間転写体側にオフセットすることを
有効に防止することができる。また、中間転写体の転写
面は、インクのしみ込みがなく、且つ、適当な耐熱性を
備えていることが望ましく、以上の条件を備える材料と
しては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン、シリ
コンゴム又はフッ素樹脂等が挙げられる。
【0033】また、本発明に係る記録装置においては、
インク飛翔部とこのインク飛翔部に対向する中間転写体
の転写面との間の距離が200μm以下とされているこ
とが望ましい。
【0034】このように、インク飛翔部とこのインク飛
翔部に対向する中間転写体の転写面との間の距離を20
0μm以下とすることにより、記録装置は、インク飛翔
部より飛翔したインクが中間転写体に到達せずに分散す
ることに起因する転写感度の低下を未然に防止すること
ができる。
【0035】また、本発明に係る記録装置は、中間転写
体の転写面に当接し、この中間転写体の転写面をクリー
ニングするクリーニング手段を備えることが望ましい。
記録装置は、以上のように、中間転写体の転写面に当接
し、この中間転写体の転写面をクリーニングするクリー
ニング手段を備えることにより、オフセットしたインク
を確実に除去してこのインクが被記録体に付着すること
を防止することができると共に、例えば、被記録体から
発生する紙粉や塵埃等がインク飛翔部に付着してインク
の飛翔に悪影響を及ぼすことを未然に防止することがで
きる。
【0036】また、本発明に係る記録装置は、被記録体
の転写が行われる箇所を加熱する加熱手段を備えること
が望ましい。記録装置は、以上のように、被記録体の転
写が行われる箇所を加熱する加熱手段を備えることによ
り、被記録体に転写された画像や文字等の情報を被記録
体に定着させて、保存安定性を向上させることができ
る。
【0037】また、本発明に係る記録方法は、上述した
知見に基づいて創案されたものであって、インク飛翔部
に保持されたインクを加熱手段により記録する情報に応
じて加熱することにより、このインク表面に表面張力勾
配及び/又は界面張力勾配を生じさせ、このインク表面
の表面張力勾配及び/又は界面張力勾配に起因する流動
を利用してこのインクをインク飛翔部から飛翔させて被
記録体に情報の記録を行うに際し、インク飛翔部と被記
録体との間に中間転写体を配設し、インク飛翔部から飛
翔されたインクを中間転写体の転写面に付着させた後
に、中間転写体の転写面に付着したインクを被記録体に
転写して被記録体に情報の記録を行うことを特徴として
いる。
【0038】この記録方法によれば、インク飛翔部より
飛翔したインクを被記録体に直接付着させずに、中間転
写体を介して被記録体に転写するようにしているので、
インク飛翔部と被記録体との間の間隔(ギャップ)の大
きさに拘わらず、高品位の画像を適切に記録することが
できるとともに、印画紙の選択の自由度を高めることが
できる。
【0039】また、中間転写体は、印画紙等の被記録体
に比べて、その表面(転写面)を平滑性の高い面とする
ことが容易であるとともに、形状その他の自由度が大き
いので、このような中間転写体を用いる本発明に係る記
録方法によれば、画像品位の向上が容易に図れるととも
に、コストの低減と、記録装置の小型化を図ることが可
能となる。
【0040】また、本発明に係る記録方法においては、
インク飛翔部とこのインク飛翔部と対向する中間転写体
の転写面との間の距離が200μm以下となるように、
中間転写体を配設することが望ましい。
【0041】このように、インク飛翔部とこのインク飛
翔部に対向する中間転写体の転写面との間の距離を20
0μm以下とすることにより、インク飛翔部より飛翔し
たインクが中間転写体に到達せずに分散することに起因
する転写感度の低下を未然に防止することができる。
【0042】また、本発明に係る記録方法においては、
中間転写体の転写面に当接し、この中間転写体の転写面
をクリーニングするクリーニング手段を設けることが望
ましい。以上のように、中間転写体の転写面に当接し、
この中間転写体の転写面をクリーニングするクリーニン
グ手段を設けることにより、オフセットしたインクを確
実に除去してこのインクが被記録体に付着することを防
止することができると共に、例えば、被記録体から発生
する紙粉や塵埃等がインク飛翔部に付着してインクの飛
翔に悪影響を及ぼすことを未然に防止することができ
る。
【0043】また、本発明に係る記録方法においては、
被記録体の転写が行われる箇所を加熱する加熱手段を設
けることが望ましい。以上のように、被記録体の転写が
行われる箇所を加熱する加熱手段を設けることにより、
被記録体に転写された画像や文字等の情報を被記録体に
定着させて、保存安定性を向上させることができる。
【0044】
【発明の実施の形態】以下、本発明の具体的な実施の形
態を図面を参照して説明する。
【0045】1.第1の実施の形態 先ず、本発明を適用した第1の実施の形態の記録装置に
ついて説明する。この記録装置は、被記録体である印画
紙に対して画像等の情報の記録を行う記録部が、インク
を飛翔させるプリンタヘッドと、このプリンタヘッドと
印画紙との間に配設される中間転写体とを備え、プリン
タヘッドから飛翔したインクを中間転写体に付着させた
後に、中間転写体に付着したインクを印画紙に転写する
ことにより、印画紙に所望の画像等を記録することを特
徴としている。
【0046】(1)プリンタヘッド 先ず、第1の実施の形態の記録装置の備えるプリンタヘ
ッドについて説明する。
【0047】第1の実施の形態の記録装置のプリンタヘ
ッドを被転写面(被記録体)側からみた模式図を図1に
示し、図1におけるX1−X2線断面図を図2に示す。
【0048】図1及び図2に示すように、このプリンタ
ヘッド1は、例えば、アルミニウム等が板状に成形され
てなるヘッドベース2を備えている。このヘッドベース
2は、プリンタヘッド1のベースを構成すると共に、ヒ
ートシンクとして機能するものである。ヘッドベース2
には、一方の主面2aから他方の主面2bに亘って貫通
するインク供給孔3が穿設されている。
【0049】ヘッドベース2の一方の主面1aには、イ
ンク飛翔部4を有するヒータチップ5が、例えば伝熱性
の接着剤等により接合されている。また、ヘッドベース
2の他方の主面2bには、内部にインク6が収容され
た、例えばステンレス等よりなるインクタンク7が取り
付けられている。このインクタンク7には、ヘッドベー
ス2の他方の主面2bに接合される面に、ヘッドベース
2に設けられたインク供給孔3と略同径の開口孔7aが
設けられている。そして、インクタンク7は、この開口
孔7aがインク供給孔3と連通し、インクタンク7内の
インク6が開口孔7aを介してインク供給孔3に供給さ
れるように、ヘッドベース2の他方の主面2bに取り付
けられている。
【0050】また、ヒータチップ5上からヘッドベース
2の一方の主面2a上のヒータチップ5が接合されない
領域に跨ってニッケルシート8が圧着され、このニッケ
ルシート8と、ヘッドベース2及びヒータチップ5によ
り囲まれた部分に、インク供給孔3と連通したインク供
給路9が形成されている。ニッケルシート8にはスリッ
ト10が設けられており、ニッケルシート8は、このス
リット10がヒータチップ5のインク飛翔部4上に位置
するように、ヒータチップ5上からヘッドベース2の一
方の主面2a上のヒータチップ5が接合されない領域に
跨って圧着されている。
【0051】また、ヘッドベース2の一方の主面2aの
ヒータチップ5が接合された領域に隣接する領域には、
プリント配線基板11が接合されている。このプリント
配線基板11には、画像データに応じた駆動信号に基づ
いてヒータチップ5に設けられたヒータを駆動するため
のドライバIC12が実装されている。ヘッドベース2
のプリント配線基板11が接合される部分は、その厚み
が、ヒータチップ5が接合される部分に比べてやや薄く
されており、プリント配線基板11がヘッドベース2に
接合された状態において、プリント配線基板11に実装
されたドライバIC12とヘッドベース2上のヒータチ
ップ5とがほぼ同じ高さ位置に位置するようになされて
いる。
【0052】プリント配線基板11は、コネクタ13及
びフラットケーブル14を介して、図示しない駆動制御
部に接続されている。そして、駆動制御部からの駆動信
号及び電力は、フラットケーブル14、コネクタ13及
びプリント配線基板11の配線を介してドライバIC1
2に入力され、最終的に、このドライバIC12に金線
等の接続線15を介して接続されたヒータチップ5上の
電極に供給される。
【0053】また、ヒータチップ5上の電極とドライバ
IC12との接続部及びドライバIC12とプリント配
線基板11の配線との接続部には、これらを接続する接
続線15を保護するために、例えばシリコーン系のコー
ティング材JCR(ジャンクション・コーティング・レ
ジン)等よりなる保護材16が塗布され、熱硬化されて
いる。
【0054】ヘッドベース2の左右側面には、ヒータチ
ップ5のインク飛翔部4と後述する中間転写体の転写面
との間の距離(ギャップ)を適正な値に維持するための
スペーサ17が取り付けられている。このスペーサ17
は、例えばテフロン(登録商標)等よりなる先端部がヒ
ータチップ5のインク飛翔部4よりも厚み方向に突出す
るように、ヘッドベース2の左右側面にそれぞれ取り付
けられ、先端部を後述する中間転写体の転写面に当接さ
せることにより、インク飛翔部4と中間転写体の転写面
との間のギャップを適正な値に維持する。
【0055】以上のように構成されるプリンタヘッド1
は、例えば、全体として、幅が約26mm、奥行きが約
22mm、高さが約18mm程度の大きさとされ、イン
クタンク7の容量が、例えば5cc程度とされている。
【0056】ヒータチップ5には、多数のインク飛翔部
4が、互いに隣接して設けられている。図1におけるA
部を拡大した平面図を図3に示し、図3におけるX3
4線断面図を図4に示す。
【0057】図3及び図4に示すように、隣接する多数
のインク飛翔部4は、例えば、高さが6μm程度のSi
2等よりなる隔壁20により、個々のインク飛翔部4
に区切られている。そして、個々のインク飛翔部4に
は、それぞれ隔壁20と同一の材料により隔壁20と一
体に形成された少なくとも4本の突起21が設けられて
いる。これら突起21は、例えば、高さが約6μmで、
縦横それぞれ約3μmの正方形の断面を有する四角柱状
に形成され、例えば中心間距離が約6μmとなるよう
に、個々のインク飛翔部4に格子状に配置されている。
【0058】このヒータチップ5においては、上記複数
の突起21と隣接する突起21間の凹部22とからなる
凹凸構造の毛管力により、インク飛翔部4に供給された
インク6を保持するようにしている。すなわち、この凹
凸構造がインク飛翔部4におけるインク保持部23を構
成している。
【0059】なお、この凹凸構造の突起21の形状は、
上述した四角柱に限定されるものではないが、凹凸構造
に有効に毛管力を生じさせるために、円、楕円又は三角
形、四角形を含む多角形の断面を有する柱状、錐状、錐
台状に形成されていることが望ましい。
【0060】また、凹凸構造の突起21は、高さが1〜
50μm、幅が1〜10μm、中心間距離が2〜40μ
mの範囲内で、個々のインク飛翔部4にそれぞれ配置さ
れていることが望ましい。突起21の高さが1μm未満
であると、毛管力が減少してインク6の保持量が少なく
なり、インク6の飛翔効率が低下する。一方、突起21
の高さが50μmを越えると、インク6表面への熱伝導
が遅くなり、インク6の飛翔効率が低下する。また、突
起21の幅が1μm未満であると、突起21の強度が低
下して動作中或いは保存時に突起21に損傷が生じてイ
ンク6の安定的な飛翔を阻害する場合がある。一方、突
起21の幅が10μmを越えると、或いは、突起21の
中心間距離が2μm未満であると、インク6の液面の面
積が狭くなり、インク6の飛翔効率が低下する。また、
突起21の中心間距離が40μmを越えると、十分な毛
管力を発揮できなくなる。特に好ましい突起21のサイ
ズは、高さが2〜10μm、幅が2〜5μm、中心間距
離が3〜10μmの範囲内である。
【0061】また、突起21は、有効に毛管力を生じさ
せるように個々のインク飛翔部4に配置されていれば、
周期的に配置されていてもよいし、非周期的に配置され
ていてもよい。
【0062】個々のインク飛翔部4には、凹凸構造より
なるインク保持部23の下方に位置して、インク保持部
23に保持されたインクを加熱するためのヒータ24が
それぞれ配設されている。これらヒータ24は、例えば
ポリシリコン等よりなり、縦横それぞれ20μm程度の
略正方形の板状に形成されている。そして、これらヒー
タ24は、アルミニウム等よりなる個別電極25と共通
電極26とにそれぞれ接続されている。
【0063】インク飛翔部4を有するヒータチップ5を
作製する際は、例えば、先ず、厚さが650μm程度の
シリコン基板30をベースとして、このシリコン基板3
0上に、SiO2等よりなる断熱層31が形成される。
そして、この断熱層31上に、リソグラフィー技術によ
って、個別電極25、共通電極26及びヒータ24が、
各インク飛翔部4に対応してそれぞれ形成される。具体
的には、ヒータ24は、例えば、84.7μm周期(3
00dpi)のピッチで一つのヒータチップ5につき2
56個配置される。したがって、この例のプリンタヘッ
ド1においては、21.7mmの幅を一度に印画できる
ことになる。
【0064】個別電極25、共通電極26及びヒータ2
4が形成された断熱層31上には、リソグラフィー技術
により、SiO2等よりなる凹凸構造(インク保持部
6)が形成される。これにより、インク飛翔部4を有す
るヒータチップ5が完成する。なお、ヒータチップ5の
作製プロセスの詳細な説明は、特開平9−183235
号公報に記載されている。
【0065】凹凸構造を形成する方法としては、上述し
たリソグラフィー技術を利用する方法の他に、例えば、
エンボス加工により形成する方法や、感光性樹脂を用い
たフォトエッチングにより形成する方法、感光性樹脂を
マスクとして用いたウェットエッチングにより形成する
方法、電気化学反応を応用した電解メッキプロセスによ
り形成する方法等が挙げられる。これらの中でも、特
に、電解メッキプロセスにより凹凸構造を形成するよう
にした場合は、比較的時間のかかる工程であるSiO2
を成膜する工程、メタルマスクを形成する工程、SiO
2をエッチングする工程等を行う必要がないので、Si
2を用いて凹凸構造を形成する場合に比べて非常に短
時間で凹凸構造を形成することが可能となり、工程時間
を短縮して量産性を向上させると共に、製造コストの削
減を図ることが可能となる。
【0066】また、以上は、凹凸構造よりインク保持部
6を構成した例について説明したが、本発明はこの例に
限定されるものではなく、凹凸構造と同様の機能を有す
るものであれば、例えば、ビーズ集合体や繊維体等の他
の構造体によりインク保持部6を構成するようにしても
よい。
【0067】以上のように作製されたヒータチップ5
は、上述したように、ヘッドベース2の一方の主面2a
に接合される。そして、ヘッドベース2の一方の主面2
aに接合されたヒータチップ5上には、例えば厚さが5
0μm程度のドライフィルム32が貼り合わされ、イン
ク飛翔部4を外部に臨ませる形状にパターニングされ
る。そして、ドライフィルム32が貼り合わされたヒー
タチップ5上に、上述したニッケルシート8が熱圧着等
により接合される。このとき、ニッケルシート8は、ス
リット10の中心がヒータチップ5に設けられたヒータ
24の中心と一致するように、ドライフィルム32を介
してヒータチップ5上に接合される。これにより、ヒー
タチップ5のインク飛翔部4はニッケルシート8のスリ
ット10を介してプリンタヘッド1の外部に臨まされる
ことになる。
【0068】インク供給孔3及びインク供給路9を通っ
てインク飛翔部4に供給されるインク6は、ニッケルシ
ート8のスリット10に沿うかたちで安定的にメニスカ
スを形成する。そして、インク飛翔部4に供給されるイ
ンク6は、凹凸構造の毛管力によりインク保持部23に
保持される。インク保持部23に保持されたインク6
は、画像データに応じた駆動信号に基づいて駆動される
ヒータ24によって加熱されることにより、その表面に
表面張力勾配及び/又は界面張力勾配が生じる。そし
て、このインク6は、表面張力勾配及び/又は界面張力
勾配に起因してインク飛翔部4にて流動し、例えば、流
動したインク6がインク保持部23の突起21に衝突す
ることにより、或いは、流動したインク6同士が衝突す
ること等により、インク6の一部がインク蒸気を含む主
に直径10μm以下のインクミストとして、ニッケルシ
ート8のスリット10を介して、プリンタヘッド1の外
部に飛翔する。
【0069】なお、以上は、インク保持部23の下方
に、駆動信号に基づいて駆動されるヒータ24を設け、
このヒータ24によりインク保持部23に保持されたイ
ンク6を加熱する、いわゆる抵抗体加熱方式によりイン
ク6を加熱する例について説明したが、インク6を加熱
する方法はこの例に限定されるものではなく、1KHz
以下の周波数で駆動することが可能な加熱方法であれば
いかなる手法を適用してもよい。
【0070】具体的には、インク6を加熱する手法とし
ては、例えば、インク飛翔部4の一部或いはインク保持
部23に保持されたインク6の一部に電磁波を吸収する
電磁波吸収体を設け、この電磁波吸収体にプリンタヘッ
ド1の外部から電磁波を照射することによりインク6を
加熱する電磁波加熱方式を適用することができる。
【0071】電磁波加熱方式を適用した具体的な例とし
ては、例えば、インク飛翔部4の一部或いはインク保持
部23に保持されたインク6の一部をレーザ光のエネル
ギーを熱に変換する光熱変換材料より構成し、収束した
レーザ光をこの光熱変換材料に照射してインク6を加熱
する方法が挙げられる。この場合、レーザ光を出射する
レーザ光源としては、ガスレーザ、エキシマレーザ、固
体レーザ等あらゆる種類のレーザ光源が使用可能である
が、レーザ光源として半導体レーザを使用するようにす
れば、レーザ光源のサイズを小さくすることができると
ともに、インク6を加熱するために必要な電力を低く抑
えることが可能となる。また、レーザ光を照射してイン
ク6を加熱するようにした場合、ヒータチップ5のベー
スとしてシリコン基板30に代えて石英ガラス等の透明
基板を用いるようにすれば、レーザ光源をヒータチップ
5のインク6が飛翔する側とは反対側に配設して、レー
ザ光をインク6が飛翔する側とは反対側から照射するこ
とが可能となり、プリンタヘッド1の設計の自由度を高
めることができる。
【0072】(2)インク 次に、本発明を適用した第1の実施の形態の記録装置に
用いられるインク6について説明する。
【0073】この記録装置に用いられるインク6は、染
料、溶媒及び必要に応じて添加される添加剤より構成さ
れ、転写感度、熱安定性、画像品位、保存安定性等を最
適化するように、材料の選択と組成成分の比が調合され
ている。インク6は、ヒータ24等の加熱手段により加
熱されることにより、瞬間的に200℃以上の高温に達
する。したがって、インク6は、染料、溶媒等の構成材
料の熱分解温度が200℃以下であると、その一部が分
解して劣化物がインク飛翔部4に蓄積し、インク6の安
定的な飛翔を阻害してしまう場合がある。このため、こ
の記録装置に用いられるインク6は、それぞれ熱分解温
度が200℃以上の染料、溶媒及び添加剤より構成され
ていることが望ましい。具体的には、このインク6を構
成する染料、溶媒及び添加剤としては、大気中において
200℃で1時間加熱したときの熱分解物の割合が10
0ppm以下の材料を用いることが望ましい。
【0074】インク6の染料としては、以上の耐熱条件
を満足し、溶媒に対する十分な溶解性を有し、且つ、被
記録体である印画紙上における保存安定性をある程度満
足するものであればいかなるものを用いてもよいが、分
散染料或いは油溶性染料と称される極性の低い油溶性の
染料を用いることが特に好ましい。また、これらの染料
は、例えば、昇華精製法、再結晶法、ゾーンメルティン
グ法、カラム精製法等の手法により精製してから用いる
ことが望ましい。このように、染料を精製してから用い
ることにより、気化残滓を低減するとともに、熱分解物
がインク飛翔部4に付着することを有効に防止すること
が可能となる。
【0075】インク6の溶媒としては、上述した耐熱条
件を満足し、融点が50℃未満、沸点が250℃以上で
あり、上記染料に対する相溶性が高く、100℃におけ
る粘性率が100cp以上であり、人体に対する毒性が
低く、且つ、無色のものであればいかなるものを用いて
もよい。具体的には、インク6の溶媒としては、例え
ば、フタル酸エステル類、セバシン酸エステル類、リン
酸エステル類等の一般にプラスティック用可塑剤と呼ば
れる有機化合物類、又は、エチルナフタレン、プロピル
ナフタレン、ヘキシルナフタレン、オクチルベンゼン等
の芳香環とアレキル鎖が組み合わされた有機化合物類等
を用いることが好ましい。
【0076】インク6は、50℃以下の環境下で、上述
した溶媒に上述した染料を5重量%以上、好ましくは1
0重量%以上、更に好ましくは20重量%以上溶解する
ことにより生成する。このとき、染料の溶媒に対する溶
解度を高めるために、2種以上の染料を混合して用いる
ようにしてもよい。また、同時に、溶媒も2種以上を混
合して用いるようにしてもよい。また、インク6の物性
値を調整するために、必要に応じて、界面活性剤、粘度
調整剤等の添加剤を適宜添加してインク6を生成するよ
うにしてもよい。
【0077】以上のように生成されたインク6は、プリ
ンタヘッド1のインクタンク7に充填される。具体的に
は、例えば、昇華精製されたソルベントイエロー56が
フタル酸ジブチルに10重量%溶解されてなるイエロー
のインクと、昇華精製されたディスパースレッド1がフ
タル酸ジブチルに10重量%溶解されてなるマゼンタの
インクと、昇華精製されたソルベントブルー35がフタ
ル酸ジブチルに15重量%溶解されてなるシアンのイン
クがそれぞれ生成され、これらイエロー、マゼンタ、シ
アンの各色のインクがそれぞれイエロー、マゼンタ、シ
アンの各色のプリンタヘッド1のインクタンク7に充填
される。
【0078】インクタンク7に充填されたインク6は、
インクタンク7の開口孔7a、ヘッドベース2に設けら
れたインク供給孔3、ニッケルシート8とヘッドベース
2及びヒータチップ5により囲まれたインク供給路9を
介してヒータチップ5のインク飛翔部4に供給される。
そして、インク飛翔部4に供給されたインク6は、ニッ
ケルシート8に設けられたスリット10に沿ったかたち
で適切なメニスカスを形成すると共に、凹凸構造を有す
るインク保持部23の毛管力により、インク保持部23
に保持される。
【0079】インク保持部23に保持されたインク6
は、その高さがインク保持部23を構成する突起21の
高さと略等しくなり、例えば、約6μmとされる。突起
21の先端部及び隣接するインク飛翔部4を隔てる隔壁
20の先端部は撥液性を有するので、インク保持部23
に保持されたインク6は、突起21の先端部及び隔壁2
0の先端部を覆うことはない。
【0080】本発明を適用した記録装置に用いられるイ
ンク6は、上述したように、染料として分散染料或いは
油溶性染料が用いられるので、従来のインクジェット方
式のプリンタに用いられる水を溶媒とする酸性染料或い
は直接染料と比較すると、単位重量当たりの吸光度が2
倍程度大きくなっている。また、インク6に用いられる
染料は、溶媒である可塑剤に対して10〜25重量%の
溶解度を有するので、インク6は、従来のインクジェッ
ト方式のプリンタに用いられるインクと比較して2〜5
倍の濃度を有する。したがって、このインク6は、従来
のインクジェット方式のプリンタに用いられるインクと
比較して、4〜10倍の発色性能を有することになる。
【0081】すなわち、本発明を適用した記録装置は、
上述したインク6を用いることにより、少量のインク6
で高濃度転写を実現することができると共に、インクタ
ンク7の容量を小さくして装置全体の小型化を実現する
ことができる。また、上述したインク6を用いることに
より、被記録体である印画紙に対して要求される吸液性
等の性能が緩和されるので、印画紙の選択の幅が広がる
ことになる。
【0082】具体的には、本発明を適用した記録装置
は、上述したインク6を用いて画像等の記録を行うよう
にした場合、平均的な自然画のインク使用率が30%程
度であると仮定し、インクタンクの容量が5ccである
とすると、A6(印画面積:110mm×85mm)サ
イズの印画紙をイエロー、マゼンタの各色で1500枚
以上、シアンで1000枚以上記録することが可能であ
る。
【0083】(3)印画紙 次に、本発明を適用した第1の実施の形態の記録装置に
用いられる被記録体である印画紙について説明する。
【0084】この記録装置においては、原理的にどのよ
うな印画紙でも使用可能である。具体的には、PPC用
紙等の普通紙、アート紙等の上質紙等の使用が可能であ
る。特に、階調性が高く且つ濃度の高い画像を記録する
ために、基紙上に分散染料又は油溶性染料を発色させる
樹脂として、ポリエステル、ポリカーボネート、アセテ
ート、CAB、ポリ塩化ビニル等を塗布して作製した専
用紙の使用が望ましい。
【0085】また、インク6の吸収速度を向上させるた
めには、印画紙は、その表面に代表寸法が0.01〜5
0μmの多数の孔が形成されていることが望ましい。こ
のような印画紙を得るには、一方の成分が水溶性で他方
の成分が非水溶性の非相溶材料を印画紙の表面に塗布し
て印画紙表面に海島構造を形成した後に、この印画紙表
面に対して水処理を施して水溶性成分を除去することに
より多孔質構造を形成するようにすればよい。また、印
画紙表面に、例えば、シリカ、アルミナ等の多孔質顔料
を添加して多孔質構造を形成するようにしてもよい。た
だし、このように印画紙表面を多孔質構造とした場合、
多数の孔の平均的な大きさが可視光の波長に近いと、印
画紙表面に照射された光が印画紙表面にて散乱して、印
画紙表面の光沢が低下してしまう。そこで、このような
不都合を回避するために、多数の孔の平均的な大きさが
0.1μm以下となるように多孔質構造を形成すること
が望ましい。
【0086】また、記録された画像等の保存安定性を向
上させるためには、印画紙は、各種の添加剤が添加され
ていることが望ましい。また、画像等が記録された印画
紙に樹脂フィルム等の保護フィルムをラミネートするこ
とも、記録された画像等の保存安定性を向上させるため
には有効である。
【0087】(4)記録部 次に、本発明を適用した第1の実施の形態の記録装置の
記録部について説明する。
【0088】この記録装置の記録部の概略構成を図5に
示す。図5に示すように、記録部40には、インク飛翔
部4が印画紙41の記録面41aと対向するように、イ
エロー、マゼンタ、シアンの各色のプリンタヘッド1が
配設されている。そして、イエロー、マゼンタ、シアン
の各色のプリンタヘッド1と印画紙41との間には、そ
れぞれ中間転写体である転写ローラ42が配設されてい
る。
【0089】転写ローラ42は、ローラ本体43の周面
に転写面42aを構成する転写シート44が巻き付けら
れて直径約16mmの円筒形に形成されてなり、ローラ
本体43の回転軸43aを回転中心として、図5中矢印
A方向に回転可能に配設されている。
【0090】転写シート44は、例えば、厚さが約1m
mのLTVシリコンゴムの単層で構成されており、表面
(転写面42a)の表面エネルギーが印画紙41の表面
エネルギーよりも低く、且つ表面の平滑性が印画紙41
の表面の平滑性よりも高く設定されている。具体的に
は、転写シート44は、表面(転写面42a)の臨界表
面張力が、通常の使用温度である0〜200℃の温度範
囲内において30dyn/cm未満とされている。
【0091】転写ローラ42は、このように転写シート
44の表面(転写面42a)の臨界表面張力が0〜20
0℃の温度範囲内において30dyn/cm未満とされ
ることにより、当該転写ローラ42に付着したインク6
を印画紙41に転写する際に当該転写ローラ42側にオ
フセットすることを有効に防止することができる。ま
た、転写ローラ42は、転写シート44として上記LT
Vシリコンゴムを用いることにより、当該転写ローラ4
2に付着したインク6が転写シート44にしみ込むとい
った不都合が回避されると共に、転写面42aに適当な
耐熱性を持たせることができる。なお、転写ローラ42
は、転写シート44として、上記LTVシリコンゴムの
他に、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン、フッ素
樹脂等を用いた場合にも同様の効果を得ることができ
る。
【0092】転写ローラ42は、転写面42aの一部が
プリンタヘッド1のスペーサ17の先端部に当接し、転
写面42aの他の一部が印画紙41の記録面41aに当
接するように、プリンタヘッド1と印画紙41との間に
配設される。このように、プリンタヘッド1のスペーサ
17の先端部に転写ローラ42の転写面42aの一部を
当接させることにより、プリンタヘッド1のインク飛翔
部4と転写ローラ42の転写面42aとの間の距離(ギ
ャップ長)は、常に一定に保たれることになる。
【0093】なお、このギャップ長は、スペーサ17の
突出量によって規定されるが、本発明を適用した記録装
置においては、スペーサ17の突出量を調整して、ギャ
ップ長を200μm以下に設定することが望ましい。こ
の記録装置のギャップ長とこの記録装置により記録され
た画像の反射濃度との関係を図6に示す。この図6にお
いて、横軸はギャップ長を示し、縦軸はこの記録装置に
より転写されたマゼンタ色のインクの反射濃度をマクベ
ス濃度計により測定した最高値を示している。この図6
から、この記録装置においては、ギャップ長が200μ
mを越えると、記録された画像の反射濃度が急激に低下
していることが分かる。これは、ギャップ長が200μ
mを越えると、インク飛翔部4から飛翔するインク6が
転写ローラ42の転写面42aに到達せずに、インク飛
翔部4にて貫流してしまうことに起因するものと考えら
れる。図6に示した測定結果から分かるように、本発明
を適用した記録装置においては、ギャップ長を200μ
m以下に設定することにより、反射濃度の高い高品位な
画像を記録することができる。
【0094】また、記録部40は、転写ローラ42に隣
接する位置に、この転写ローラ42の転写面42aに付
着した塵埃等を除去するためのクリーニングローラ45
を備えている。このクリーニングローラ45は、転写ロ
ーラ42の回転方向Aにおける後段側、すなわち、転写
ローラ42の印画紙41に当接する部分からスペーサ1
7に当接する部分までの間の所定の位置にて、転写ロー
ラ42の転写面42aに当接するように配設されてい
る。
【0095】クリーニングローラ45は、ローラ本体の
周面に、例えばポリエチレン等よりなる不織布が巻き付
けられて、直径約6mmの円筒形に形成されてなり、不
織布が常に所定の圧力で転写ローラ42の転写面42a
に接触するように、転写ローラ42に押し当てられてい
る。
【0096】プリンタヘッド1のインク飛翔部4と対向
する転写ローラ42の転写面42aには、インク飛翔部
4から飛翔したインク6が付着する。そして、転写ロー
ラ42の転写面42aのインク6が付着した箇所は、転
写ローラ42が矢印A方向に回転することに伴って矢印
A方向に移動し、印画紙41に当接することにより、付
着したインク6を印画紙に転写する。そして、転写面4
2aの転写が完了した箇所は、転写ローラ42が矢印A
方向に更に回転することに伴って更に矢印A方向に移動
し、クリーニングローラ45に当接することによりクリ
ーニングされ、印画紙41より発生し転写面42aに付
着した紙粉等の塵埃や、残存したインク等が除去され
る。
【0097】第1の実施の形態の記録装置は、このよう
に記録部にクリーニングローラ45を備えることによ
り、転写ローラ42の転写面42aに付着した塵埃や残
存したインク等を除去して、これら塵埃やインク等がイ
ンク飛翔部4に付着することに起因するインク6の飛翔
不良を未然に防止することが可能となる。
【0098】この記録装置の記録部40においては、プ
リンタヘッド1のインク飛翔部4側と転写ローラ42及
びクリーニングローラ45がカバー部材46により覆わ
れており、プリンタヘッド1、転写ローラ42及びクリ
ーニングローラ45が一体化されている。カバー部材4
6には、印画紙41の記録面41aと対向する側に開口
部46aが設けられており、この開口部46aから転写
ローラ42の転写面42aの一部が外方に臨まされ、印
画紙41への転写が行えるようになされている。
【0099】本発明を適用した記録装置は、インク飛翔
部4から飛翔したインク6を転写ローラ42等の中間転
写体を介して印画紙41に転写するようにしているた
め、インク飛翔部4から飛翔したインク6が印画紙41
に転写されるまでに所定の空間を移動することになる。
しかしながら、上述したように、プリンタヘッド1のイ
ンク飛翔部4側と転写ローラ42とをカバー部材46で
覆うようにすれば、空気中の塵埃等がインク6やインク
飛翔部4に付着するといった不都合を有効に防止するこ
とができる。
【0100】印画紙41の裏面41b側には、この印画
紙41に当接する各転写ローラ42に対応して、加圧ロ
ーラ47が配設されている。すなわち、この記録部40
においては、転写ローラ42と加圧ローラ47とにより
印画紙41を挟み込む構造となっている。
【0101】加圧ローラ47は、ローラ本体48の周面
に加圧シート49が巻き付けられて直径約16mmの円
筒形に形成されてなり、ローラ本体48の回転軸48a
を回転中心として、図5中矢印B方向に回転可能に配設
されている。加圧シート49は、例えば、厚さが約2m
mのHTVシリコンゴムの単層で構成されている。加圧
ローラ47は、この加圧シート49が、印画紙41の転
写ローラ42が当接する箇所における裏面41bに所定
の圧力で当接するように、印画紙41の裏面41b側に
配設される。
【0102】この第1の実施の形態の記録装置において
は、このように、転写ローラ42に当接する印画紙41
の裏面41b側に加圧ローラ47を配設し、印画紙41
に所定の圧力をかけた状態で転写ローラ42に付着した
インク6を印画紙41に転写させるようにしているの
で、印画紙41へのインク6の転写を適切に行うことが
できる。
【0103】以上のように構成された記録部により、印
画紙41に対してシリアル方式で印画を行う様子を図7
に示す。シリアル方式の印画プロセスにおいては、印画
紙41を図7中矢印Bで示す主走査方向へ送り動作させ
ると共に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン
(C)の各色のプリンタヘッド1と、このプリンタヘッ
ド1と一体化された転写ローラ42及びクリーニングロ
ーラ45と、加圧ローラ47とを、図7中矢印Dで示す
副走査方向へスキャンさせることにより、印画紙41の
全面に亘って印画を行えるようにしている。
【0104】イエロー、マゼンタ、シアンの各色のプリ
ンタヘッド1と、このプリンタヘッド1と一体化された
転写ローラ42及びクリーニングローラ45は、送りね
じ機構よりなるヘッド送り軸51と図示しないヘッド支
持軸とにより、各色のプリンタヘッド1が副走査方向D
に沿って並ぶように支持されている。そして、イエロ
ー、マゼンタ、シアンの各色のプリンタヘッド1と、こ
のプリンタヘッド1と一体化された転写ローラ42及び
クリーニングローラ45は、ヘッド送り軸51に接続さ
れた図示しないモータによりヘッド送り軸51が回転操
作されることにより、ヘッド送り軸51とヘッド支持軸
とに沿って副走査方向Dへ移動操作される。このとき、
加圧ローラ47も、プリンタヘッド1等の移動に同期し
て副走査方向Dへ移動操作され、加圧ローラ47と転写
ローラ42とが印画紙41を挟んで常に対向した状態と
される。
【0105】また、印画紙41は、一対の紙送りローラ
52,53に挟み込まれた状態で支持される。一対の紙
送りローラ52,53のうち一方の紙送りローラ52
は、図示しないステッピングモータに接続されている。
そして、印画紙41は、プリンタヘッド1等のスキャン
に同期してプリンタヘッド1等が1回スキャンする毎に
一対の紙送りローラ52,53により主走査方向Bへス
キャン幅分だけ間欠送りされる。
【0106】以上のように構成された記録装置により印
画紙41に画像等の記録を行う際は、先ず、記録する画
像等に応じた駆動パルスが、ドライバIC12を介して
イエロー、マゼンタ、シアンの各色のプリンタヘッド1
のインク飛翔部4に設けられたヒータ24に印加され
る。
【0107】駆動パルスの一例を図8に示す。この図8
に示した例では、6msecが1画素に相当し、その中
に間隔が20μsec、ON時間が16μsecの単位
パルスが画像等の階調情報に応じて0〜255回繰り返
されてヒータ24に印加されるようになっている。単位
パルスの繰り返し数nは、転写濃度の濃さにしたがって
多くなる。
【0108】ヒータ24に駆動パルスが印加されると、
この駆動パルスの繰り返し数nに応じてインク飛翔部4
の温度が上昇し、インク保持部23に保持されたインク
6が加熱される。これにより、インク保持部23に保持
されたインク6の一部は、色素及び溶剤が蒸発し、空中
で凝集しながらインク蒸気として飛翔し、インク飛翔部
4から所定のギャップ分だけ離れた転写ローラ42の転
写面42aに付着する。
【0109】また、インク保持部23に保持されたイン
ク6は、ヒータ24に駆動パルスが印加されると、単位
パルス毎に表面張力勾配及び/又は界面張力勾配が生
じ、この表面張力勾配及び/又は界面張力勾配に起因し
て、例えばマランゴニ対流等の流動が発生する。そし
て、インク6は、この流動を駆動力として、1パルス毎
に主として0.1ピコリットル、最大でも1ピコリット
ル以下の体積のインクミストとしてインク飛翔部4より
飛翔し、インク飛翔部4から所定のギャップ分だけ離れ
た転写ローラ42の転写面42aに付着する。これによ
り、転写ローラ42の転写面42aに、記録する画像等
の鏡像が形成される。
【0110】この記録装置においては、以上のように、
インク飛翔部4から飛翔して転写ローラ42の転写面4
2aに付着するインク6の量は、ヒータ24に印加され
る駆動パルスの単位パルスの繰り返し数nによって正確
に制御されるので、転写ローラ42の転写面42aに、
画像等を正確に反映した鏡像を転写ローラ42の転写面
42aに形成することができる。
【0111】転写ローラ42の転写面42aに付着した
インク6は、転写ローラ42が図5中矢印A方向に回転
操作されることにより、転写ローラ42が印画紙41に
当接する転写領域に移動し、この転写領域において印画
紙41に転写され、画像等として記録される。印画紙4
1に転写されたインク6は、例えば印画紙41表面が多
孔質構造とされている場合には、印画紙41表面の多数
の孔にしみ込んで、画像等として印画紙41に定着す
る。
【0112】ここで、転写ローラ42の転写面42aか
ら印画紙41に転写されたインク6の形状は、直径10
0μm以下の円形となる。したがって、この記録装置に
よれば、300dpiを満足する画像等を印画紙41に
記録することができる。
【0113】なお、転写ローラ42の転写面42aに付
着したインク6の一部が印画紙41に転写されなかった
場合には、転写されなかったインク6は、クリーニング
ローラ45により除去される。クリーニングローラ45
は、転写ローラ42の転写面42aに当接する部分が除
去したインクにより汚れたときは、例えば約5°回転し
て、汚れていない面を転写ローラ42の転写面42aに
当接させる。
【0114】この記録装置においては、上述したよう
に、イエロー、マゼンタ、シアンの各色のプリンタヘッ
ド1にそれぞれ256個ずつのヒータ24が設けられて
いるので、プリンタヘッド1等が副走査方向Dへ1回ス
キャンする毎に、256ライン分のインク6を印画紙4
1に記録することができる。なお、副走査方向Dに沿っ
て並ぶように配設されたイエロー、マゼンタ、シアンの
各色のプリンタヘッド1は、印画紙41上の所定の位置
からそれぞれ印画を開始するように、各プリンタヘッド
1毎にタイミングを変えて印画を開始するようにしてい
る。
【0115】プリンタヘッド1等が1回のスキャンを終
了すると、紙送りローラ52,53が回転操作されるこ
とに伴って、印画紙41が主走査方向Bへ256ライン
分間欠送りされる。そして、印画紙41が主走査方向C
へ256ライン分間欠送りされると、再びプリンタヘッ
ド1等がスキャンを開始する。記録装置は、以上の動作
を繰り返すことにより、印画紙41に所望の画像等を記
録する。具体的には、例えばA6サイズの印画紙41の
転写エリアの横方向の長さである85mmを印画するに
は、300dpiの解像度で1000ドットが必要であ
るので、プリンタヘッド1等を4回スキャンさせる必要
がある。
【0116】以上説明した第1の実施の形態の記録装置
は、上記駆動パルスのON時間である1.6μmの通電
時毎にフル階調の1/256のインクが転写される。し
たがって、この記録装置は、原理的に256階調の滑ら
かな階調表現が可能である。また、この記録装置におい
ては、最高濃度、すなわちOD=2.0で各色とも1J
/cm2以下の低い転写エネルギーで画像等の印画が可
能である。この値は、従来の昇華型プリンタの1/5以
下である。
【0117】また、この記録装置は、転写ローラ42の
転写面42aにオフセットしたインク及び塵埃等をクリ
ーニングローラ45により除去するようにしているの
で、余分なインクや塵埃等がインク飛翔部4へ付着する
ことに起因するインクの飛翔不良が未然に防止される。
実際に、この記録装置でA6サイズの印画紙1000枚
に印画を行ったところ、インク飛翔部4への余分なイン
クや塵埃等の付着が全くみられず、その結果、A6サイ
ズの印画紙1000枚への印画を行った後の感度変化が
10%以内に抑えられていることが分かった。
【0118】また、この記録装置は、プリンタヘッド1
のインク飛翔部4より飛翔したインク6を印画紙41に
直接付着させずに、中間転写体である転写ローラ42を
介して印画紙41に転写するようにしているので、印画
紙41の特性に依存することなく、高品位の画像を適切
に記録することが可能となる。
【0119】すなわち、図9及び図10に示すように、
プリンタヘッド1のインク飛翔部4より飛翔したインク
6を印画紙41に直接付着させるようにした記録装置に
おいては、印画紙41の記録面41aにプリンタヘッド
1のスペーサ17を当接させて、インク飛翔部4と印画
紙41の記録面41aとの間のギャップを適切な値に保
つ必要があるので、高品位な画像を得るためには印画紙
41にスペーサ17との接触状態を良好にする表面性等
の特性が要求される。また、プリンタヘッド1のインク
飛翔部4より飛翔したインク6を印画紙41に直接付着
させる場合、高品位な画像を得るためには印画紙41に
飛翔するインク6を良好に付着させるための特性が要求
される。換言すると、このような特性を有しない印画紙
41を用いた場合は、記録された画像の品位が劣化する
ことになる。
【0120】しかしながら、プリンタヘッド1のインク
飛翔部4より飛翔したインク6を印画紙41に直接付着
させずに、中間転写体である転写ローラ42を介して印
画紙41に転写するようにした本発明に係る記録装置に
よれば、中間転写体である転写ローラ42に以上のよう
な特性を持たせるようにすれば、印画紙41の特性に依
存することなく、高品位の画像を適切に記録することが
可能となる。
【0121】2.第2の実施の形態 次に、本発明を適用した第2の実施の形態の記録装置に
ついて説明する。この第2の実施の形態の記録装置は、
イエロー、マゼンタ、シアンの各色のプリンタヘッドの
各インク飛翔部から飛翔したインクを1つの転写ローラ
に付着させるようにしている点、加圧ローラが加熱手段
を備え印画紙の転写が行われる箇所を加熱するようにし
ている点を特徴としている。なお、この第2の実施の形
態の記録装置は、以上の特徴点を除いては、第1の実施
の形態の記録装置と同様の構成とされるので、以下の説
明において、第1の実施の形態の記録装置と同様の構成
については、同一の符号を付して詳細な説明を省略す
る。
【0122】この第2の実施の形態の記録装置の記録部
の概略構成を図11に示す。この第2の実施の形態の記
録装置は、図11に示すように、第1の実施の形態の記
録装置が備える転写ローラ42よりも大径の転写ローラ
60を備えている。この転写ローラ60は、図11中矢
印E方向に回転可能に配設されている。そして、この第
2の実施の形態の記録装置においては、イエロー、マゼ
ンタ、シアンの各色のプリンタヘッド1が、それぞれの
インク飛翔部4が転写ローラ60の転写面60aと対向
するように、転写ローラ60の転写面60aに沿って配
設されている。
【0123】また、転写ローラ60の転写面60aに
は、第1の実施の形態の記録装置と同様にクリーニング
ローラ45が当接されており、オフセットしたインク6
や印画紙41から発生する紙粉等の塵埃を除去して、こ
れらがプリンタヘッド1のインク飛翔部4に付着するこ
とを防止するようにしている。
【0124】イエロー、マゼンタ、シアンの各色のプリ
ンタヘッド1のインク飛翔部4側と転写ローラ60及び
クリーニングローラ45は、カバー部材61により覆わ
れて一体化されており、空気中の塵埃等がインク6やプ
リンタヘッド1のインク飛翔部4に付着することが防止
されている。カバー部材61には印画紙41の記録面4
1aと対向する側に開口部61aが設けられており、こ
の開口部61aから転写ローラ60の転写面60aの一
部が外方に臨まされ、印画紙41への転写が行えるよう
になされている。
【0125】印画紙41の裏面41b側には、転写ロー
ラ60が当接する箇所に位置して加圧ローラ62が配設
されており、印画紙41が転写ローラ60と加圧ローラ
62とにより所定の圧力で挟み込まれる構造となってい
る。
【0126】また、加圧ローラ62には、その内部に図
示しない加熱手段が設けられており、印画紙41の転写
が行われる部分を裏面41b側から加熱して、印画紙4
1の転写が行われる部分の温度を例えば80℃程度にま
で上昇させるようになされている。
【0127】第2の実施の形態の記録装置は、以上のよ
うに、印画紙41の転写が行われる部分を転写ローラ6
0と加圧ローラ62とにより所定の圧力で挟み込むと共
に、加圧ローラ62の加熱手段により所定の温度に加熱
するようにしているので、印画紙41に転写したインク
6の最高濃度を高めることができる。すなわち、印画紙
41の記録面41aに転写されたインク6は、印画紙4
1が加熱されることにより印画紙41の内方へと拡散
し、これにより印画紙41に転写されたインク6の最高
濃度が高まる。具体的には、例えば、印画紙41の転写
が行われる部分が80℃程度にまで加熱されると、印画
紙41に転写されたインク6の最高濃度が3%程度高め
られる。また、この第2の実施の形態の記録装置におい
ては、加圧ローラ60の加熱手段により印画紙41を加
熱することにより、転写後のグリーディングを30%以
上緩和させることができる。
【0128】また、第2の実施の形態の記録装置におい
ては、イエロー、マゼンタ、シアンの各色のプリンタヘ
ッド1が1つの転写ローラ60の転写面60aに沿って
配設され、各プリンタヘッド1の各インク飛翔部4から
飛翔したインク6がこの転写ローラ60の転写面60a
に付着するようになされているので、記録部の構成の簡
素化が図られると共に、記録部の小型化が図られる。
【0129】また、この第2の実施の形態の記録装置に
おいて、転写時間や記録された画像の階調性、解像度及
び必要な転写エネルギーについては、第1の実施の形態
の記録装置と同様であり、第1の実施の形態の記録装置
と同様の効果を得ることができる。従来のインクジェッ
ト方式のプリンタにおいて、一つの転写ローラにイエロ
ー、マゼンタ、シアンの各色のインクを付着させた場合
には、転写ローラ上で各色のインクが混ざり合い、にじ
みや色の濁りの原因となる。しかしながら、本発明に係
る記録装置においては、転写ローラに付着するインクの
粒が従来のインクジェット方式のプリンタにより吐出さ
れるインクの粒に比べて非常に小さいので、転写ローラ
上で各色のインクが混ざり合うということがほとんどな
い。したがって、第2の実施の形態の記録装置において
も、第1の実施の形態の記録装置と同様の高品位は画像
を記録することができる。
【0130】3.第3の実施の形態 次に、本発明を適用した第3の実施の形態の記録装置に
ついて説明する。この第3の実施の形態の記録装置は、
中間転写体として、転写ローラに代えてエンドレスベル
ト状の転写フィルムを用いている点、この転写フィルム
を加熱ローラにより印画紙の記録面に押し当てている点
を特徴としている。なお、この第3の実施の形態の記録
装置は、以上の特徴点を除いては、第1の形態の記録装
置と同様の構成とされるので、以下の説明において、第
1の実施の形態の記録装置と同様の構成については、同
一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0131】この第3の実施の形態の記録装置の記録部
の概略構成を図12に示す。この第3の実施の形態の記
録装置は、図12に示すように、第1の実施の形態の記
録装置が備える転写ローラ42に代えてエンドレスベル
ト状の転写フィルム70を備えている。この転写フィル
ム70は、イエロー、マゼンタ、シアンの各色のプリン
タヘッド1の各インク飛翔部4と対向する位置に配設さ
れた3本の搬送ローラ71,72,73と、印画紙41
の記録面41aと対向する位置に配設された加熱ローラ
74とに架け渡されており、一方の主面(転写面70
a)が、イエロー、マゼンタ、シアンの各色のプリンタ
ヘッド1のスペーサ17及び印画紙41の記録面41a
に当接するようになされている。
【0132】転写フィルム70は、耐熱性、離型性、強
靭性を有する単層フィルム、或いは所定の表面処理が施
された複合層フィルムよりなる。具体的には、例えば、
耐熱処理加工が施された厚さ約50μmのポリエステル
(PET)ポリイミド(PI)の単層フィルムや、この
単層フィルム上にさらに4フッ化エチレン(PTFE)
よりなる離型層が形成されてなる複合層フィルム等がエ
ンドレスベルト状(円環状)に形成されてなる。
【0133】3本の搬送ローラ71,72,73は、転
写フィルム70を搬送するために必要な摩擦係数を得る
ために、転写フィルム70が当接する周面が適度な表面
粗さを有するよう加工されている。そして、これら3本
の搬送ローラ71,72,73は、回転軸71a,72
a,73aを回転中心として図12中矢印F方向に回転
可能に設けられており、矢印F方向に回転操作されるこ
とにより転写フィルムを図12中矢印G方向に搬送す
る。
【0134】また、転写フィルム70の搬送方向Gの後
段側には、第1及び第2の実施の形態の記録装置の備え
るクリーニングローラ45と同様の機能を有するクリー
ニングベルト75が配設されている。このクリーニング
ベルト75は、表面に多孔質ポリエチレンのクリーニン
グ層を有し、このクリーニング層が転写フィルム70の
転写面70aに当接するように、転写フィルム70の搬
送方向Gの後段側に配設されている。
【0135】加熱ローラ74は、転写フィルム70が架
け渡されることにより転写フィルム70の搬送経路を形
成する。また、この加熱ローラ74は、内部に図示しな
い加熱手段を有しており、転写フィルム70を挟んで対
向する印画紙41の記録面41aを所定の温度に加熱す
る機能を有する。
【0136】第3の実施の形態の記録装置は、以上のよ
うに、加熱ローラ74により印画紙41の記録面41a
を加熱するようにしているので、第2の実施の形態の記
録装置と同様に、印画紙41に転写したインク6を印画
紙41の内方へ拡散させて、印画紙41に転写したイン
ク6の最高濃度を高めることができる。
【0137】また、この記録装置においては、転写フィ
ルム70を挟んで印画紙41の記録面41aと対向する
ように配設された加熱ローラ74により、印画紙41を
その記録面41a側から加熱するようにしているので、
印画紙41全体を加熱することなく、印画紙41の記録
面41aの温度を効率的に所望の温度にまで高めること
ができる。
【0138】印画紙41の裏面41b側には、加熱ロー
ラ74に架け渡された転写フィルム70が当接する箇所
に位置して加圧ローラ76が配設されている。この加圧
ローラ76は、第1の実施の形態の記録装置の備える加
圧ローラ47と同様に、印画紙41の裏面41b側に所
定の圧力で当接し、加熱ローラ74及び転写フィルム7
0との間に印画紙41を所定の圧力で挟み込むようにな
されている。
【0139】この記録装置において、プリンタヘッド1
のインク飛翔部4から飛翔したインク6は、転写フィル
ム70の転写面70aに付着する。そして、転写フィル
ム70が図12中G方向へ搬送されることにより、転写
フィルム70の転写面70aに付着したインク6は、加
熱ローラ74と加圧ローラ76とにより挟み込まれた転
写領域にて印画紙41の記録面41aに転写される。
【0140】この第3の実施の形態の記録装置におい
て、転写時間や記録された画像の階調性、解像度及び必
要な転写エネルギーについては、第1の実施の形態の記
録装置と同様であり、第1の実施の形態の記録装置と同
様の効果を得ることができる。
【0141】4.第4の実施の形態 次に、本発明を適用した第4の実施の形態の記録装置に
ついて説明する。この第4の実施の形態の記録装置は、
プリンタヘッドのヒータチップに2つのインク飛翔部4
が設けられ、1つのプリンタヘッドに独立した2つのイ
ンク系統が構成されている点を特徴としている。なお、
この第4の実施の形態の記録装置は、以上の特徴点を除
いては、第1の形態の記録装置と同様の構成とされるの
で、以下の説明において、第1の実施の形態の記録装置
と同様の構成については、同一の符号を付して詳細な説
明を省略する。
【0142】この第4の実施の形態の記録装置のプリン
タヘッド80を被転写面(印画紙41)側からみた模式
図を図13に示し、図13におけるX5−X6線断面図を
図14に示す。このプリンタヘッド80は、図13及び
図14に示すように、ヘッドベース2に接合されたヒー
タチップ5に2つのインク飛翔部4a,4bが設けられ
ている。このヒータチップ5に設けられた2つのインク
飛翔部4a,4b同士は、ドライフィルムの隔壁により
完全に隔離されている。
【0143】また、このプリンタヘッド80において
は、ヒータチップ5に設けられた2つのインク飛翔部4
a,4bにそれぞれ独立してインク6を供給し得るよう
に、ニッケルシート8のスリット10、インク供給路
9、ヘッドベース2のインク供給孔3、インクタンク7
がそれぞれのインク飛翔部4に対応して独立して形成さ
れている。また、このプリンタヘッド80においては、
2つのインク飛翔部4a,4bに対応してヒータ24が
2列に配列されており、これら2列に配列されたヒータ
24にそれぞれ独立して駆動信号及び電流を供給し得る
ように、フラットケーブル14、コネクタ13、プリン
ト配線基板11及びドライバICが、それぞれのインク
飛翔部4に対応して独立して設けられている。すなわ
ち、このプリンタヘッド80においては、独立した2つ
のインク系統が構成されている。
【0144】第4の実施の形態の記録装置は、プリンタ
ヘッド80が以上のように独立した2つのインク系統を
有するので、1つのプリンタヘッド80で2種類のイン
クを転写することが可能である。したがって、第4の実
施の形態の記録装置においては、2つのプリンタヘッド
80でイエロー、マゼンタ、シアンの各色のインクを転
写することが可能であり、また、上記3色のインクの他
に、例えば、ソルベントイエロー56、ディスパーレッ
ド1、ソルベントブルー35を適量溶媒に溶解してなる
黒色のインク等の他の色のインクを用いることも可能と
なる。
【0145】この第4の実施の形態の記録装置は、4色
のインクを転写することが可能であるので、印画紙41
に記録される画像の色再現領域を広げて画像品位を向上
させることが可能となる。また、この記録装置は、2つ
のプリンタヘッドで上記4色のインクを転写するように
しているので、転写時間を例えば5%程度短縮すること
が可能となる。
【0146】また、この第4の実施の形態の記録装置に
おいては、プリンタヘッド1の有する独立した2つのイ
ンク系統を同じ色のインクの転写に使用するようにした
場合は、転写時間を半分に短縮することが可能となる。
【0147】また、この記録装置においては、2つのイ
ンク飛翔部4のヒータ24の大きさを半分にして、且つ
それぞれのインク飛翔部4のヒータ24の相対位置をハ
ーフピッチずらすことにより、600dpiの転写が可
能となる。600dpi相当の配線を一つのヒータチッ
プ5上で行うには、ヒータチップ5の面積が小さく、ま
た、現状では600dpi相当のドライバIC12の入
手が困難であることから、以上のようにして600dp
iの転写を行うことは非常に有効である。
【0148】また、この第4の実施の形態の記録装置に
おいて、その他の特性については、第1の実施の形態の
記録装置と同様であり、第1の実施の形態の記録装置と
同様の効果を得ることができる。
【0149】5.第5の実施の形態 次に、本発明を適用した第5の実施の形態の記録装置に
ついて説明する。この第5の実施の形態の記録装置は、
プリンタヘッドが4つのヒータチップを備え、1つのプ
リンタヘッドに独立した4つのインク系統が構成されて
おり、インク飛翔部が中間転写体である転写ローラに沿
って千鳥状に配列されてライン型ヘッドとして構成され
ている点を特徴としている。なお、この第5の実施の形
態の記録装置は、以上の特徴点を除いては、第1乃至第
4の実施の形態の記録装置と同様の構成とされるので、
以下の説明において、第1乃至第4の実施の形態の記録
装置と同様の構成については、同一の符号を付して詳細
な説明を省略する。
【0150】この第5の実施の形態の記録装置のプリン
タヘッド90を縦方向に断面した状態の模式図を図15
に示し、この記録装置の記録部の模式図を図16及び図
17に示す。なお、図15乃至図17においては、記録
装置の備える3つのプリンタヘッド90のうちの一つを
例示しており、実際には、図15乃至図17に図示され
たプリンタヘッド90が印画紙41の搬送方向に沿って
3つ配列されることになる。
【0151】プリンタヘッド90は、図15乃至図17
に示すように、印画紙41の幅と略同じ長さを有する第
1のヘッドベース91の側面に、第1のヘッドベース9
1よりも長さの短い2つの第2のヘッドベース92が所
定の間隔をあけて取り付けられている。そして、第2の
ヘッドベース92が取り付けられない位置における第1
のヘッドベース91の転写ローラ42の転写面42aと
対向する面に、所定の間隔をあけて2つのヒータチップ
93a,93bが接合されている。また、第2のヘッド
ベース92の転写ローラ42の転写面42aと対向する
面にも、それぞれヒータチップ93c,93dが接合さ
れている。すなわち、このプリンタヘッド90は、4つ
のヒータチップ93a,93b,93c,93dを有
し、これら4つのヒータチップ93a,93b,93
c,93dが、転写ローラ42に沿って千鳥状に配列さ
れている。
【0152】これら4つのヒータチップ93a,93
b,93c,93dのヒータ24には、各ヒータチップ
93a,93b,93c,93dのインク飛翔部4から
飛翔するインク6が印画紙41の所定の位置に付着する
ように、すなわち、印画紙41の所定の位置から印画が
開始されるように、順次タイミングを変えた駆動信号が
供給される。
【0153】各ヒータチップ93a,93b,93c,
93dは、それぞれのインク飛翔部4からインク6を飛
翔させてこのインク6を転写ローラ42の転写面42a
に付着させたときに、隣接するインク飛翔部4間のつな
ぎ目に対応する位置の転写ローラ42の転写面42a
に、インク6が付着しない空白部が形成されないように
配設されている。
【0154】そして、各ヒータチップ93a,93b,
93c,93dには、例えばそれぞれ256個のヒータ
24が設けられている。したがって、このプリンタヘッ
ド90は、擬似的に、例えば1024個のヒータ24を
同時に駆動できるように構成されており、A6サイズの
印画紙41の転写エリアの横方向の長さである85mm
を1度に印画することが可能なライン型ヘッドとして使
用することができる。
【0155】この第5の実施の形態の記録装置は、以上
のようにプリンタヘッド1がライン型ヘッドとして構成
され、プリンタヘッド1を副走査方向へスキャンさせる
必要がないので、転写時間を大幅に短縮することができ
る。具体的には、A6サイズの印画紙41に対して約1
1秒でフルカラーの画像を印画することができる。
【0156】また、この第5の実施の形態の記録装置に
おいては、プリンタヘッド1の備える4つのヒータチッ
プ93a,93b,93c,93dは、転写ローラ42
に沿って千鳥状に配列され、各ヒータチップ93a,9
3b,93c,93dの端部の設計の自由度が向上され
ているので、これらヒータチップ93a,93b,93
c,93dの端部を適切な量のインクが飛翔されるよう
に設計することにより、ヒータチップ間のつなぎ目とな
る部分の濃度変化を抑制することができる。すなわち、
複数の小型のヒータチップを直線的に並べてライン型ヘ
ッドを構成した場合、これらヒータチップ間のつなぎ目
となる部分はインクの飛翔が不均一となり、印画紙に転
写されたインクに、ヒータチップ間のつなぎ目の部分に
対応して濃度変化が生じ、縞模様のノイズとして記録さ
れてしまう場合がある。しかしながら、この第5の実施
の形態の記録装置においては、4つのヒータチップ93
a,93b,93c,93dを転写ローラ42に沿って
千鳥状に配列しているので、以上のような不都合を回避
して良好な画像を記録することが可能となる。
【0157】また、この第5の実施の形態の記録装置に
おいて、その他の特性については、第1の実施の形態の
記録装置と同様であり、第1の実施の形態の記録装置と
同様の効果を得ることができる。
【0158】
【発明の効果】本発明に係る記録装置は、インク飛翔部
より飛翔するインクを中間転写体に付着さ、この中間転
写体に付着したインクを被記録体に転写するようにして
いるので、インク飛翔部と被記録体との間の間隔の大き
さに拘わらず、高品位の画像を適切に記録することがで
きるとともに、被記録体の選択の自由度を高めることが
できる。
【0159】また、中間転写体は、印画紙等の被記録体
に比べて、その表面(転写面)を平滑性の高い面とする
ことが容易であるとともに、形状その他の自由度が大き
いので、このような中間転写体を用いる本発明に係る記
録装置は、画像品位の向上が容易に図れるとともに、コ
ストの低減と、装置全体の小型化を図ることが可能とな
る。
【0160】また、本発明に係る記録方法は、インク飛
翔部より飛翔するインクを中間転写体に付着さ、この中
間転写体に付着したインクを被記録体に転写するように
しているので、インク飛翔部と被記録体との間の間隔の
大きさに拘わらず、高品位の画像を適切に記録すること
ができるとともに、被記録体の選択の自由度を高めるこ
とができる。
【0161】また、中間転写体は、印画紙等の被記録体
に比べて、その表面(転写面)を平滑性の高い面とする
ことが容易であるとともに、形状その他の自由度が大き
いので、このような中間転写体を用いる本発明に係る記
録方法は、画像品位の向上が容易に図れるとともに、コ
ストの低減と、装置全体の小型化を図ることが可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した第1の実施の形態の記録装置
のプリンタヘッドを被記録体側からみた平面図である。
【図2】図1におけるA−A線断面図である。
【図3】上記記録装置のプリンタヘッドのインク飛翔部
近傍を拡大して示す要部平面図である。
【図4】図3におけるB−B線断面図である。
【図5】上記記録装置の記録部を模式的に示す縦断面図
である。
【図6】ギャップ長と印画紙に転写されたインクの反射
濃度との関係を説明する図である。
【図7】上記記録装置の記録部を模式的に示す斜視図で
ある。
【図8】上記記録装置のプリンタヘッドのヒータに印加
する駆動パルスの一例を示す図である。
【図9】他の記録装置のプリンタヘッドを模式的に示す
縦断面図である。
【図10】他の記録装置の記録部を模式的に示す斜視図
である。
【図11】本発明を適用した第2の実施の形態の記録装
置の記録部の模式面図である。
【図12】本発明を適用した第3の実施の形態の記録装
置の記録部の模式図である。
【図13】本発明を適用した第4の実施の形態の記録装
置のプリンタヘッドを被記録体側からみた平面図であ
る。
【図14】図13におけるC−C線断面図である。
【図15】本発明を適用した第5の実施の形態の記録装
置のプリンタヘッドを模式的に示す縦断面図である。
【図16】上記記録装置の記録部を示す図であり、ヒー
タチップの配列を説明する模式図である。
【図17】上記記録装置の記録部を示す斜視図である。
【符号の説明】
1,80,90 プリンタヘッド、4 インク飛翔部、
6 インク、21 突起、22 凹部、23 インク保
持部、24 ヒータ、40 記録部、41 印画紙、4
2,60 転写ローラ、42a,60a,70a 転写
面、45 クリーニングローラ、47,62,76 加
圧ローラ、70 転写フィルム、71,72,73 搬
送ローラ、74 加熱ローラ

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 保持したインクを加熱手段により記録す
    る情報に応じて加熱することにより、このインク表面に
    表面張力勾配及び/又は界面張力勾配を生じさせ、この
    インク表面の表面張力勾配及び/又は界面張力勾配に起
    因する流動を利用してこのインクを上記インク飛翔部か
    ら飛翔させるインク飛翔部と、 上記インク飛翔部と上記情報が記録される被記録体との
    間に配設される中間転写体とを備え、 上記インク飛翔部から飛翔されたインクを上記中間転写
    体の転写面に付着させた後に、上記中間転写体の転写面
    に付着したインクを上記被記録体に転写して上記被記録
    体に上記情報の記録を行うことを特徴とする記録装置。
  2. 【請求項2】 上記インク飛翔部は、毛管現象により上
    記インクを保持するインク保持部を有することを特徴と
    する請求項1記載の記録装置。
  3. 【請求項3】 上記インク保持部は、高さが1〜50μ
    m、幅が1〜10μm、中心間距離が2〜40μmとさ
    れた少なくとも4本の突起部を有する凹凸構造体よりな
    ることを特徴とする請求項2記載の記録装置。
  4. 【請求項4】 上記インク飛翔部とこのインク飛翔部に
    対向する上記中間転写体の転写面との間の距離が200
    μm以下とされていることを特徴とする請求項1記載の
    記録装置。
  5. 【請求項5】 上記中間転写体は、上記転写面の臨界表
    面張力が0〜200℃の温度範囲内において30dyn
    /cm未満であることを特徴とする請求項1記載の記録
    装置。
  6. 【請求項6】 上記中間転写体の転写面に当接し、上記
    中間転写体の転写面をクリーニングするクリーニング手
    段を備えることを特徴とする請求項1記載の記録装置。
  7. 【請求項7】 上記中間転写体は略円筒形を呈し、その
    周面が上記転写面とされていることを特徴とする請求項
    1記載の記録装置。
  8. 【請求項8】 上記被記録体の上記転写が行われる箇所
    を加熱する加熱手段を備えることを特徴とする請求項1
    記載の記録装置。
  9. 【請求項9】 上記中間転写体は可撓性を有する帯状の
    耐熱部材が円環状に形成されてなるベルト体と、このベ
    ルト体に当接する加熱ローラとを備え、上記ベルト体の
    主面が上記転写面とされていることを特徴とする請求項
    1記載の記録装置。
  10. 【請求項10】 インク飛翔部に保持されたインクを加
    熱手段により記録する情報に応じて加熱することによ
    り、このインク表面に表面張力勾配及び/又は界面張力
    勾配を生じさせ、このインク表面の表面張力勾配及び/
    又は界面張力勾配に起因する流動を利用してこのインク
    を上記インク飛翔部から飛翔させて被記録体に上記情報
    の記録を行うに際し、 上記インク飛翔部と上記被記録体との間に中間転写体を
    配設し、上記インク飛翔部から飛翔されたインクを上記
    中間転写体の転写面に付着させた後に、上記中間転写体
    の転写面に付着したインクを上記被記録体に転写して上
    記被記録体に上記情報の記録を行うことを特徴とする記
    録方法。
  11. 【請求項11】 上記インク飛翔部に、毛管現象により
    上記インクを保持するインク保持部を設けることを特徴
    とする請求項10記載の記録方法。
  12. 【請求項12】 上記インク保持部を、高さが1〜50
    μm、幅が1〜10μm、中心間距離が2〜40μmと
    された少なくとも4本の突起部を有する凹凸構造体より
    構成することを特徴とする請求項11記載の記録方法。
  13. 【請求項13】 上記中間転写体を、上記インク飛翔部
    と対向する転写面と上記インク飛翔部との間の距離が2
    00μm以下となるように配設することを特徴とする請
    求項10記載の記録方法。
  14. 【請求項14】 上記中間転写体として、上記転写面の
    臨界表面張力が0〜200℃の温度範囲内において30
    dyn/cm未満であるものを用いることを特徴とする
    請求項10記載の記録方法。
  15. 【請求項15】 上記中間転写体の転写面に当接し、上
    記中間転写体の転写面をクリーニングするクリーニング
    手段を設けることを特徴とする請求項10記載の記録方
    法。
  16. 【請求項16】 上記中間転写体として、略円筒形を呈
    し、その周面が上記転写面となるものを用いることを特
    徴とする請求項10記載の記録方法。
  17. 【請求項17】 上記被記録体の上記転写が行われる箇
    所を加熱する加熱手段を設けることを特徴とする請求項
    10記載の記録方法。
  18. 【請求項18】 上記中間転写体として、可撓性を有す
    る帯状の耐熱部材が円環状に形成されてなるベルト体
    と、このベルト体に当接する加熱ローラとを備え、上記
    ベルト体の主面が上記転写面となるものを用いることを
    特徴とする請求項10記載の記録方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002248171A (ja) * 2001-01-16 2002-09-03 Hewlett Packard Co <Hp> エアロゾルの液滴の熱生成
JP2008087285A (ja) * 2006-09-29 2008-04-17 Fujifilm Corp 画像形成装置および画像形成方法

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