JP2000140470A - ミシン及びミシン部品の製造方法 - Google Patents

ミシン及びミシン部品の製造方法

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JP2000140470A
JP2000140470A JP11249368A JP24936899A JP2000140470A JP 2000140470 A JP2000140470 A JP 2000140470A JP 11249368 A JP11249368 A JP 11249368A JP 24936899 A JP24936899 A JP 24936899A JP 2000140470 A JP2000140470 A JP 2000140470A
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sewing machine
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coating layer
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diamond
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JP11249368A
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Yoshihide Shimizu
好秀 清水
Hideo Shinomiya
秀夫 篠宮
Akitoshi Itabashi
昭寿 板橋
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Yamato Sewing Machine Mfg Co Ltd
Citizen Watch Co Ltd
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Yamato Sewing Machine Mfg Co Ltd
Citizen Watch Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 摺動部品の摺動面の摩耗及び焼付きの発生を
有効に防止して、長期に亘って安定した高速運転が行え
るようにする。 【解決手段】 ミシン部品1の摺動面を熱処理により硬
化せしめて形成された熱処理層10の表面に、ダイヤモン
ドライクカーボン製の被覆層12を中間層11を介して形成
し、他部品との摺動を、高硬度であると共に、自己潤滑
性を有する被覆層12の表面にて行わせる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、他部品との摺動面
に、摩耗及び焼付き防止用の被覆層を形成してなる摺動
部品を備えるミシン、及び前記摺動部品の摺動面に前記
被覆層を形成する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年の工業用ミシンにおいては、縫製作
業の能率向上を図るために運転速度の高速化が進められ
ている。このような高速化の実現に当たっては、ミシン
の各部に存在する摺動部の摩耗を低減し、焼付きの発生
を防止することが重要な課題となっている。
【0003】摩耗及び焼付きの発生を防止するために
は、摺動面の硬度を高めることが有効である。従来にお
いては、針棒、ルーパ棒等、他部品に対して高速度にて
摺動する摺動部品の素材として、クロムモリブデン鋼
(JIS SCM415)等の高硬度の金属材を用い、
更に、これらの摺動面に、例えば、浸炭・焼入れ及び焼
戻し等の熱処理を行って硬度を高める対策が施されてい
る。
【0004】ところが、このような熱処理を行ったとし
ても、実際に得られる硬度は、高々Hv (ビッカース硬
さ)= 750〜800 (kgf/mm2 )程度であり、近年のミシ
ンにおける縫製速度の高速化の要求に対し十分に対応し
得ないという問題があり、更なる高硬度化が切望されて
いる。
【0005】このような要求に応えるために特開平6-7
1076号公報等には、熱処理が施された摺動部品の表面
を、窒化チタン(TiN)、炭化チタン(TiC)等の
高硬度のセラミックス層により被覆し、更なる高硬度化
を図る技術が開示されている。このようなセラミックス
層の硬度は、Hv =2000(kgf/mm2 )前後にも達し、近
年におけるミシンの高速化要求にある程度応え得るもの
となっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが以上の如きセ
ラミックス層は、PVD(物理蒸着)法により形成され
ており、十分な被着強度を得るためには、300 ℃以上、
望ましくは、 400〜450℃前後の処理温度が必要であ
り、この処理温度が前述した熱処理における焼戻し温度
( 200℃〜 250℃)を上回ることから、セラミックス層
の形成過程において母材となる摺動部品の表面硬度が、
v = 500(kgf/mm2 )程度に低下し、また前記処理温
度の影響によりミシン部品が変形して、その形状精度が
悪化するという問題があった。
【0007】このような硬度低下が生じた場合、ミシン
の動作中にセラミックス層を介して加わる負荷によりミ
シン部品の表面が局所的に変形し易くなり、この変形部
を覆うセラミックス層が剥離して、この剥離部において
摩耗及び焼付きが発生する虞れが高くなる。この問題を
解消すべく、前記特開平6-71076号公報には、ミシン部
品の表面に、これよりも硬度の高いNiP、NiB等の
メッキ層を形成し、このメッキ層の表面に前述したセラ
ミックス層を形成する2層構造とし、各層間の硬度差を
少なくすることが提案されているが、この場合、メッキ
層の形成のためのメッキ処理とセラミックス層の形成の
ための成膜処理とが併せて必要となる。
【0008】また一方、セラミックス層の形成において
は、 400〜450 ℃前後の処理温度が依然として必要であ
ることから、ミシン部品の形状精度が悪化するという問
題は解消されず、処理済みの対象部品の全品に対して形
状検査を実施し、形状不良が生じている場合、高硬度の
セラミックス層の表面に対し形状修正のための追加加工
を施す必要があり、これらの検査及び加工に多大の工数
を要するという問題があった。
【0009】更に、セラミックス層の表面粗度は、母材
となるミシン部品の表面粗度よりも低下することは避け
られないことから、ミシンに組み込んで使用した場合、
セラミックス層の表面に局所的な摺動抵抗が加わり、H
v =2000(kgf/mm2 )前後の表面硬度を有するにも拘わ
らず、満足すべき摩耗の低減効果が得られないという問
題があった。
【0010】この問題は、摺動部への潤滑油の供給量を
多くすることにより緩和されるが、例えば、ミシンアー
ムの先端部において上下に摺動する針棒の潤滑油量を多
くした場合、針棒の上下動に伴って潤滑油が外部に飛散
し、ミシンアームの下方にて縫製される縫製物を汚損す
る虞れがあり、潤滑油の供給量を増すことは望ましい対
策ではない。
【0011】本発明は斯かる事情に鑑みてなされたもの
であり、針棒、ルーパ棒等の摺動部品の摩耗及び焼付き
の発生を効果的に防止し、運転速度の高速化に対応し得
るミシンを提供し、またこのミシンに用いるミシン部品
の製造方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の第1発明に係る
ミシンは、他部品との摺動面に被覆層が形成された摺動
部品を備えるミシンにおいて、前記被覆層は、前記摺動
面に中間層を介して被着されたダイヤモンドライクカー
ボンによって形成してあることを特徴とする。
【0013】本発明においては、摺動部品の他部品の摺
動面に、TiN,TiC等のセラミックスよりも硬度が
高いダイヤモンドライクカーボン(DLC)製の被覆層
を中間層を介して形成し、焼付きの発生を効果的に防止
する。ダイヤモンドライクカーボン製の被覆層は、炭素
を含む反応ガス雰囲気中でのプラズマCVD法により、
150℃〜 200℃程度の低温下にて形成することができ、
処理温度の影響による対象部品の硬度低下及び形状精度
の悪化が抑制され、形状修正のための追加加工が不要と
なる。またダイヤモンドライクカーボン製の被覆層は、
前記中間層の作用により、摺動部品の摺動面に高強度に
被着させることができる。被覆層を構成するダイヤモン
ドライクカーボンは、ダイヤモンドによく似た構造及び
性質を有する非結晶の炭素であり、Hv =2000(kgf/mm
2 )以上の硬度を有し、耐摩耗性に優れており、また、
摩擦係数が極めて小さい上に自己潤滑性を有しており、
多くの潤滑油量を要することなく摩耗を低減することが
できる。
【0014】第2発明に係るミシンは、前記中間層が、
シリコン、チタン、タングステン、炭化チタン、炭化珪
素又は炭化クロムからなる単一層により構成してあるこ
とを特徴とする。
【0015】この発明においては、摺動部品の摺動面と
ダイヤモンドライクカーボン製の被覆層との間に、これ
ら双方との被着性に優れた材料、即ち、シリコン、チタ
ン、タングステン、炭化チタン、炭化珪素又は炭化クロ
ムからなる単一の中間層を介在させ、ダイヤモンドライ
クカーボン製の被覆層を、高い被着強度を有して簡素に
形成する。
【0016】また第3発明に係るミシンは、前記中間層
が、クロム又はチタンを主体とする材料からなる前記摺
動面側の第1層と、シリコン又はゲルマニウムを主体と
する材料からなる前記被覆層側の第2層とを備えること
を特徴とする。
【0017】この発明においては、摺動部品の摺動面と
ダイヤモンドライクカーボン製の被覆層との間に、クロ
ム又はチタンを主体とし、摺動面に対する被着性に優れ
た材料からなる第1層と、シリコン又はゲルマニウムを
主体とし、前記第1層及び被覆層に対する被着性に優れ
た材料からなる第2層とを備える2層構造の中間層を介
在させ、前記被覆層の被着強度をより一層高める。
【0018】更に第4発明に係るミシンは、前記被覆層
が、針棒及びルーパ棒の外面に形成してあることを特徴
とする。
【0019】この発明においては、高速度にて摺動する
針棒の外面、及び高い負荷が加わった状態で摺動と揺動
とを組み合わせた複雑な動作を行うルーパ棒の外面にダ
イヤモンドライクカーボン製の被覆層を形成し、これら
の摩耗及び焼付きの発生を防止する。
【0020】また本発明に係るミシン部品の第1の製造
方法は、他部品との摺動面にダイヤモンドライクカーボ
ン製の被覆層が形成されたミシンの摺動部品を製造する
方法であって、前記摺動面を洗浄した摺動部品を真空槽
内に配置する工程と、前記真空槽の内部を排気する工程
と、排気された真空槽の内部にアルゴンガスを導入して
イオン化し、シリコン、チタン、タングステン、炭化チ
タン、炭化珪素又は炭化クロムをターゲットとするスパ
ッタリング処理により、前記摺動面に中間層を形成する
工程と、前記真空槽の内部のアルゴンガスを排出し、該
真空槽内に炭素を含む反応ガスを導入する工程と、前記
真空槽の内部に導入された反応ガスをプラズマ化し、プ
ラズマCVD処理により前記中間層の表面にダイヤモン
ドライクカーボン製の被覆層を形成する工程とを含むこ
とを特徴とする。
【0021】また本発明に係るミシン部品の第2の製造
方法は、他部品との摺動面にダイヤモンドライクカーボ
ン製の被覆層が形成されたミシンの摺動部品を製造する
方法であって、前記摺動面を洗浄した摺動部品を真空槽
内に配置する工程と、前記真空槽の内部を排気する工程
と、排気された真空槽の内部にアルゴンガスを導入して
イオン化し、クロム又はチタンをターゲットとするスパ
ッタリング処理により、前記摺動面に第1層を形成する
工程と、該工程に続いて、シリコン又はゲルマニウムを
ターゲットとするスパッタリング処理により、前記第1
層の表面に第2層を形成する工程と、前記真空槽の内部
のアルゴンガスを排出し、該真空槽内に炭素を含む反応
ガスを導入する工程と、前記真空槽の内部に導入された
反応ガスをプラズマ化し、プラズマCVD処理により前
記第2層の表面にダイヤモンドライクカーボン製の被覆
層を形成する工程とを含むことを特徴とする。
【0022】これらの方法においては、ミシンの摺動部
品の摺動面へのダイヤモンドライクカーボン製の被覆層
を、摺動面との間に介在させる1層又は2層の中間層と
共に、一連の工程により一括して形成する。
【0023】
【発明の実施の形態】以下本発明をその実施の形態を示
す図面に基づいて詳述する。図1は、本発明に係るミシ
ンに用いられるミシン部品の要部拡大断面図である。図
示のミシン部品1は、クロムモリブデン鋼(JIS S
CM415)等の金属からなる棒状の部材であり、その
表面には、その硬度を高めるべく、例えば、浸炭・焼入
れの後に焼戻しを行って熱処理層10が形成されている。
【0024】またこの熱処理層10の表面には、ダイヤモ
ンドライクカーボン製の被覆層12が中間層11を介して被
着されている。該中間層11は、熱処理層10に対する被覆
層12の被着強度を高めるために設けてあり、図1に示す
中間層11は、ミシン部品1を構成するクロムモリブデン
鋼、及び被覆層12を構成するダイヤモンドライクカーボ
ンの双方に対する被着性に優れた材料、具体的には、シ
リコン(Si)、チタン(Ti)、タングステン
(W)、炭化チタン(TiC)、炭化珪素(SiC)及
び炭化クロム(CrC)の内のいずれか一つからなる単
一層として、1μm程度の厚さを有して形成されてい
る。
【0025】図2は、本発明に係るミシンに用いられる
ミシン部品の他の実施の形態を示す要部拡大断面図であ
る。本図において、クロムモリブデン鋼等の金属からな
るミシン部品1の表面には、図1におけると同様の熱処
理層10が形成され、該熱処理層10の表面には、ダイヤモ
ンドライクカーボン製の被覆層12が、両者の被着強度を
高めるための中間層13を介して被着されている。
【0026】図2に示す中間層13は、図1に示す中間層
11と異なり、クロム(Cr)又はチタン(Ti)を主体
とし、熱処理層10を構成するクロムモリブデン鋼に対す
る被着性に優れた材料からなる熱処理層10側の第1層 1
3aと、シリコン(Si)又はゲルマニウム(Ge)を主
体とし、前記第1層 13aの構成材料及び前記被覆層12を
構成するダイヤモンドライクカーボンの双方に対する被
着性に優れた材料からなる第2層 13bとを備える2層構
造として、両層 13a,13bの夫々が0.5μm程度の厚さ
を有して形成されている。
【0027】前記被覆層12は、以上の如き中間層11又は
中間層13の表面に1μm程度の厚さを有して形成されて
いる。このような被覆層12を構成するダイヤモンドライ
クカーボンは、ダイヤモンド状薄膜、硬質カーボン被
膜、水素アモルファスカーボン被膜等とも称される非結
晶の炭素薄膜であって、Hv =2000(kgf/mm2 )以上の
硬度を有し、耐摩耗性に優れ、摩擦係数が極めて小さ
く、更には自己潤滑性を有しており、被覆層12を備える
ミシン部品1は、その表面を摺動面として有利に用いる
ことができる。
【0028】またダイヤモンドライクカーボン製の被覆
層12は、後に詳述する如く、高真空状態に維持された真
空槽の内部に、ベンゼン(C6 6 )ガス等の炭素を含
むガスを反応ガスとして導入し、該反応ガスをプラズマ
化して、前記真空槽の内部に配された対象物品の表面に
被着させるプラズマCVD法により、前記熱処理層10の
焼戻し温度( 200℃〜 250℃)を下回る 150℃〜 200℃
程度の低温下にて形成可能であり、母材となるミシン部
品1表面の熱処理層10は、浸炭・焼入れ及び焼戻しによ
り実現された本来の表面硬度を保つことができ、また、
被覆槽12の形成に伴うミシン部品1の形状精度の悪化を
軽微に抑えることができ、形状修正のための加工が不要
となる。
【0029】また、以上の如く形成される被覆層12の表
面粗度は、母材となるミシン部品1表面の熱処理層10の
表面粗度に比較して低く、その表面を摺動面とする使用
状態において、被覆層12の表面に局所的な摺動抵抗が加
わることは避けられないが、被覆層12の構成材料である
ダイヤモンドライクカーボンは、前述の如く自己潤滑性
を有する硬質の薄膜であるから、その表面を摺動面とす
るミシン部品1の使用状態において発生する摩耗を、潤
滑油の過度の使用を強いることなく軽微に抑えることが
でき、高い耐久性が得られる。
【0030】更に前記被覆層12は、熱処理層10との間に
介在させた中間層11,13の作用により、高い被着強度を
有して熱処理層10に被着されている。従って、摺動部に
加わる負荷による熱処理層10の局所的な変形、及びこの
変形に伴う被覆層12の剥離を軽微に抑えることができ、
被覆層12の表面を摺動面とするミシン部品1の使用状態
において、摺動部における焼付きの発生を有効に回避す
ることができ、ミシン部品1の耐久性が飛躍的に向上
し、長期に亘って安定した高速運転を行わせることが可
能となる。
【0031】なお、1層構造の中間層11を設けた図1の
構成と、第1層 13aと第2層 13bとを備える2層構造の
中間層13を設けた図2の構成とを比較すると、図1の構
成においては、図2の構成に比較して、中間層11を含め
た被覆層12の形成工程が簡素化されるという利点があ
り、図2の構成においては、図1の構成に比較して、被
覆層12の被着強度をより一層高め得るという利点があ
る。即ち、図2の構成において第2層 13bを構成するシ
リコン(Si)又はゲルマニウム(Ge)は、ダイヤモ
ンドライクカーボンを構成する炭素と共に、周期律表上
にて第IVb 属に属し、いずれもダイヤモンド構造を有し
ているため、ダイヤモンドライクカーボン製の被覆層12
を高い被着強度にて形成することができる。
【0032】次に、ダイヤモンドライクカーボン製の被
覆層を形成してなる試料に対し、該被覆層の機械的性質
(主として耐摩耗性)を評価すべく行った引っかき試験
の結果について説明する。この試験は、前記被覆層の表
面物性を、該表面の引っかき時に生じる抵抗力を測定す
ることにより評価する構成としたHEIDON−14型
の表面物性試験機を用い、以下のA〜Eに示す5種の試
料に対して行い、夫々の結果を比較した。
【0033】試験に用いた試料は、いずれも、ミシンの
摺動部品として使用されるクロムモリブデン鋼からなる
基材の表面を研磨し、この研磨面に対し、以下に示す夫
々の条件にてダイヤモンドライクカーボンを被着して構
成されている。
【0034】A:基材の表面に直接ダイヤモンドライク
カーボン製の被覆層を形成した試料 B:基材の表面に、炭化チタン(TiC)からなる単一
の中間層を介してダイヤモンドライクカーボン製の被覆
層を形成した試料 C:基材の表面に、炭化シリコン(SiC)からなる単
一の中間層を介してダイヤモンドライクカーボン製の被
覆層を形成した試料 D:基材の表面に、チタン(Ti)からなる第1層とシ
リコン(Si)からなる第2層とを介してダイヤモンド
ライクカーボン製の被覆層を形成した試料 E:基材の表面に、チタン(Ti)からなる第1層と炭
化珪素(SiC)からなる第2層とを介してダイヤモン
ドライクカーボン製の被覆層を形成した試料
【0035】なお、夫々の試料におけるダイヤモンドラ
イクカーボン製の被覆層の厚さは、いずれも1.0μm
とし、各中間層の厚さは、いずれも0.5μmとしてあ
る。またこれらの試料に対する引っかき試験は、先端の
角度が90°、先端の曲率半径が30μmであるダイヤモン
ド圧子を用い、引っかき速度が30mm/分なる条件下に
て、10〜 500gなる範囲で引っかき荷重を10g毎に変化
させて行った。
【0036】図3は、以上の各試料に対する引っかき試
験の結果を示す図である。本図の横軸は引っかき荷重
を、縦軸は引っかき抵抗値を夫々示しており、図中の各
線は、前記A〜Eの各試料に対して前述した試験を実施
し、得られた測定値をグラフ上にプロットした各点を直
線近似して得られたものである。
【0037】本図に明らかな如く、前記試料A〜Eの夫
々において、引っかき荷重が所定の臨界荷重に達したと
き引っかき抵抗値が急激に増加する現象を示している。
このことは、前記臨界荷重以下においては、試験機の圧
子が被覆層の表面上にて滑っている状態にあり、臨界荷
重以上においては、前記圧子が被覆層の表面に発生した
亀裂に引っかかり、引っかき抵抗が急増するためである
と考えられる。従って図3上の各線の変曲点が、夫々に
対応する試料A〜E表面の被覆層に亀裂が発生する臨界
荷重であり、この値の大小により基材に対する被覆層の
被着性の良否を判定することができる。
【0038】図3に示す如く、基材の表面に直接ダイヤ
モンドライクカーボン製の被覆層が形成された試料Aの
臨界荷重は、80gである。これに対し、基材の表面に単
一の中間層を介してダイヤモンドライクカーボン製の被
覆層が形成され、図1に示す実施の形態に対応する試料
B及びCの臨界荷重は、試料Bの場合が180g、試料Cの
場合が220gである。更に、基材の表面に2層の中間層を
介してダイヤモンドライクカーボン製の被覆層が形成さ
れ、図2に示す実施の形態に対応する試料D及びEの臨
界荷重は、試料Dの場合が350g、試料Eの場合が380gに
も達している。以上の結果から本発明によった場合、ダ
イヤモンドライクカーボン製の被覆層を高い被着強度に
て形成し得ることが明らかである。
【0039】ダイヤモンドライクカーボン製の被覆層12
は、以下に示す一連の手順により、中間層11又は中間層
13と共に形成することができる。図4は、中間層11又は
中間層13の形成に使用するスパッタ装置の構成を模式的
に示す断面図である。
【0040】図示の如くスパッタ装置4は、ガス導入口
41と排気口42とを備える真空槽40内部に、一側壁の近傍
に配されたターゲットホルダ43と、他側壁の近傍に前記
ターゲットホルダ43に面して配された試料台44と、ター
ゲットホルダ43の配設部を他部と隔絶する図示しないシ
ャッタとを備えて構成されている。なお前記試料台44
は、その上部に後述の如くセットされるミシン部品1と
の間、又は前記真空槽40との間にて電気的絶縁を確保し
得るように設けられている。
【0041】このようなスパッタ装置4を用い、ミシン
部品1の表面に中間層11又は13を形成する場合、まず、
真空槽40内部のターゲットホルダ43に中間層11又は中間
層13の素材からなるターゲット46を取付け、ターゲット
電源47に接続する一方、対象となるミシン部品1を、そ
の表面を洗浄して真空槽40内に導入し、前記ターゲット
46に対向するように前記試料台44上にセットし、直流電
源48に接続する。
【0042】次に、前記シャッタを閉じ、真空槽40の内
部を排気口42を介して3×10-5Torr以下になるま
で真空排気し、その後、ガス導入口41からスパッタガス
となるアルゴンガスを適量導入して、真空槽40の内部の
真空度を3×10-3Torrとなるように調整する。
【0043】この状態で、直流電源48に接続されたミシ
ン部品1に−50Vの直流負電圧を、また、ターゲット
電源47に接続されたターゲット46に−500〜−600
Vの直流負電圧を夫々印加すると、真空槽40の内部にプ
ラズマが発生し、内部に導入されたアルゴンガスがイオ
ン化され、前記ミシン部品1の表面がイオンボンバード
されて該表面の酸化膜が除去される。
【0044】次いで、前記シャッタを開き、ターゲット
46を露出させると、該ターゲット46の表面が、前記プラ
ズマ中のアルゴンイオンによりスパッタリングされ、該
表面から叩き出されたターゲット46の構成分子が前記ミ
シン部品1の表面に付着し、該表面に前記ターゲット46
の材料からなる中間層が形成される。
【0045】図1に示す如く単一層として構成された中
間層11を形成する場合、前記ターゲット46として、シリ
コン(Si)、チタン(Ti)、タングステン(W)、
炭化チタン(TiC)、炭化珪素(SiC)又は炭化ク
ロム(CrC)を用いたスパッタリング処理を一回行え
ばよい。
【0046】なお、前記炭化チタン又は炭化珪素からな
る中間層11を形成する場合には、前記ターゲット46とし
て、チタン(Ti)又はシリコン(Si)を用い、アル
ゴンイオンによるスパッタリングを行うと共に、前記真
空槽40の内部に、ガス導入口41から、メタン(CH4
ガス等、炭素を含むガスを適量導入し、該ガス中の炭素
分子と、スパッタされたチタン又はシリコンの分子とを
反応させつつ前記ミシン部品1の表面に付着させる反応
スパッタリング処理により、炭化チタン又は炭化珪素か
らなる中間層11を形成することも可能である。
【0047】図2に示す如く、第1層 13aと第2層 13b
とを備える2層構造の中間層13を形成する場合、真空槽
40の内部に、各別のシャッタにより隔絶された2つのタ
ーゲットホルダ43,43を備えるスパッタ装置4を用い、
一方のターゲットホルダ43に、クロム又はチタンからな
るターゲット46を、他方のターゲットホルダ43に、シリ
コン又はゲルマニウムからなるターゲット46を夫々セッ
トし、これらのターゲット46,46に対するスパッタリン
グ処理を順次実行すればよい。
【0048】以上の手順により形成される中間層11又は
中間層13の厚さは、スパッタリング処理時間の長短に対
応するから、夫々のスパッタリング処理を所定の厚さが
得られた時点で停止することにより所望の厚さを有する
中間層11又は中間層13を形成することができる。
【0049】次に、以上の如く形成された中間層11又は
中間層13の表面にダイヤモンドライクカーボンからなる
被覆層12を形成する手順について説明する。図5は、被
覆層12の形成に使用するプラズマCVD装置の構成を模
式的に示す断面図である。
【0050】図示の如くプラズマCVD装置5は、ガス
導入口51と排気口52とを備える真空槽50の内側上部に、
アノード53及びフィラメント54を備える一方、内側下部
に前記アノード53に対向配置された試料台55を備えて構
成されている。
【0051】このようなプラズマCVD装置5を用い、
ダイヤモンドライクカーボンからなる被覆層12を形成す
る場合、前記中間層11又は中間層13の形成工程を終えた
ミシン部品1を真空槽50内に導入し、前記アノード53に
対向するように前記試料台55上にセットし、直流電源56
に接続する。
【0052】次に、真空槽50の内部を排気口52を介して
3×10-5Torr以下になるまで真空排気し、その
後、ガス導入口51から、炭素を含む反応ガス、例えば、
ベンゼン(C6 6 )ガスを適量導入し、真空槽50の内
部の真空度を3×10-3Torrとなるように調整す
る。
【0053】この状態で、前記直流電源56に接続された
ミシン部品1に−3kVの直流負電圧を、またアノード
電源57に接続されたアノード53に+50Vの直流電圧を
夫々印加し、更に、フィラメント電源58に接続されたフ
ィラメント54に、30Aの電流が流れるように10V前
後の交流電圧を印加する。これにより、真空槽50内部の
試料台55上にセットされたミシン部品1の周囲において
プラズマが発生し、前記反応ガスに含まれる炭素が、負
電圧が印加されたミシン部品1の表面に前記中間層11又
は13を介して蒸着せしめられてダイヤモンドライクカー
ボン製の被覆層12が形成される。
【0054】このように形成される被覆層12の厚さは、
以上の如きプラズマCVD処理の時間の長短に対応する
から、所定の時点で処理を停止することにより、所望の
厚さを有する被覆層12を形成することができる。
【0055】なお以上の説明においては、中間層11又は
13を形成するためのスパッタリング処理と、被覆層12を
形成するためのプラズマCVD処理とを別個の装置(ス
パッタ装置4及びプラズマCVD装置5)によって行う
こととしてあるが、これらの処理は共に真空槽内にて行
われるものであり、共通の装置により一括して行わせる
ことが可能である。この場合には、中間層11又は13の形
成工程を終えた後、真空槽内部のアルゴンガスを排出
し、炭素を含む反応ガスを導入すればよい。
【0056】また、被覆層12を形成するためのプラズマ
CVD処理において用いられる反応ガスは、前述したベ
ンゼン(C6 6 )ガスに限らず、メタン(CH4 )ガ
ス、エチレン(C2 4 )ガス等の炭素を含むガス、ヘ
キサン(C6 14)等の炭素を含む液体の蒸気を用いる
ことができる。
【0057】更に、被覆層12の形成に用いるプラズマC
VD装置は、図5に示す構成の装置に限らず、種々の構
成のものが実用化されており、これらの装置を被覆層12
の形成に用いてもよいことは言うまでもない。
【0058】図6は、以上の如く処理された摺動面を備
えるミシン部品の一例としてのルーパ棒の動作説明図で
ある。図示のルーパ棒2は、オーバロックミシンの針板
上において上ルーパ20を動作させる丸棒状の部材であ
る。ルーパ棒2の支持部材となるルーパ支持メタル21
は、図示しないミシンベッド内に固設されており、該ル
ーパ支持メタル21の先端部には、円柱形をなすルーパ案
内22が、その軸心を略水平に保って回動自在に嵌め込み
支持されている。ルーパ案内22は、径方向に貫通するガ
イド孔23を備えており、ルーパ棒2は、その中途部を前
記ガイド孔23に挿通させ、軸長方向への摺動自在に支持
されている。
【0059】ミシンベッド上に突出するルーパ棒2の上
端部には、上ルーパ20が取り付けてあり、またミシンベ
ッド内に位置するルーパ棒2の下端部は、ルーパクラン
ク24を介してルーパ軸Sに連結されている。ルーパ軸S
は、図示しない下軸からの伝動により所定の角度範囲内
において反復回動し、これに応じてルーパクランク24
は、その長手方向を含む面内において所定の角度範囲に
おいて揺動する。
【0060】このような揺動が生じた場合、ルーパ棒2
は、その下端の押し上げ及び引き下げにより、ルーパ案
内22のガイド孔23内にて高速度にて摺動しつつ、ルーパ
案内22の転動を伴って揺動し、図6(a)に示す状態と
図6(b)に示す状態とを反復する動作を行い、該ルー
パ棒2の上端に取り付けた上ルーパ20は、図6(a)に
示す左進位置と図6(b)に示す右退位置との間にて反
復動作する。
【0061】以上の動作をなすルーパ棒2には、ガイド
孔23の内面に対する摺動抵抗が作用すると共に、前記揺
動に伴って曲げ力が作用し、特に、ガイド孔23の開口縁
との接触部に摩耗及び焼付きが発生し易い。このような
摩耗及び焼付きは、ガイド孔23に対しての摺動面となる
ルーパ棒2の外面に、前述した如く、中間層11,13を介
して強固に被着されたダイヤモンドライクカーボン製の
被覆層12を形成することにより効果的に防止することが
でき、長期に亘って安定した動作を行わせることが可能
となる。なお前記被覆層12は、ガイド孔23の内面に形成
してもよい。
【0062】図7は、以上の如く処理された摺動面を備
えるミシン部品の他の一例としての針棒の動作説明図で
ある。図示の如く針棒3は、ミシンアームAの上,下壁
に夫々嵌着固定されたブッシュ30,31により軸長方向の
2か所を支持され、これらのブッシュ30,31の間に装着
された針棒抱き32を含む公知の伝動機構を介して、ミシ
ンアームA内部の図示しない上軸に連結されており、該
上軸の回転に応じて、上下のブッシュ30,31をガイドと
して上下動するようになしてある。
【0063】ミシンアームAの下部に突出する針棒3の
下端部には、針止め33を介して針34が取り付けてある。
針棒3の上下動は、前記針34を上下動させるべく、図中
にHとして示す如く比較的長いストロークにて生じ、こ
の上下動に伴って針棒3の外面は、上下のブッシュ30,
31の内面に対して摺動し、この摺動速度はミシンの高速
化に伴って増大して摩耗及び焼付きの発生を招来する。
【0064】このような摩耗及び焼付きは、高速での摺
動面となる針棒3の外面に、前述した如く、中間層11,
13を介して強固に被着されたダイヤモンドライクカーボ
ン製の被覆層12を形成することにより効果的に防止する
ことができ、長期に亘って安定した動作を行わせること
が可能となる。なお前記被覆層12は、ブッシュ30,31の
内面に形成してもよい。
【0065】また被覆層12を構成するダイヤモンドライ
クカーボンは、高硬度を有する非結晶の炭素薄膜であ
り、摩擦係数が極めて小さく、自己潤滑性を有してお
り、ミシンアームAの内部に比較的少量の潤滑油を供給
することにより良好な潤滑状態が得られ、下部のブッシ
ュ31との嵌合隙間を経て潤滑油が漏れ出し、針34により
縫製中の生地を汚損する虞れを緩和することができる。
【0066】なお、以上の如きダイヤモンドライクカー
ボン製の被覆層12の形成は、前述したルーパ棒2及び針
棒3の摺動面に限らず、摩耗及び焼付きの発生の虞れが
ある他部品との摺動面を有するミシン部品の全般に対し
て実施することができ、これにより、運転速度の高速化
に対応することができる。
【0067】
【発明の効果】以上詳述した如く本発明に係るミシンに
おいては、摺動部品の他部品との摺動面に、高硬度であ
ると共に摩擦係数が小さいダイヤモンドライクカーボン
製の被覆層を形成したから、摺動部における摩耗及び焼
付きの発生を有効に防止することができ、また前記被覆
層を中間層を介して被着させたから、強固な被着状態が
得られ長期に亘って安定した高速運転が可能となる。
【0068】また摺動面と被覆層との間の中間層を、摺
動面及び被覆層の双方に対する被着性に優れた材料から
なる単一層により構成したから、この中間層を含めた被
覆層の形成工程を簡素化でき、形成された被覆層に十分
な被着強度を実現することができる。
【0069】また摺動面と被覆層との間の中間層を、摺
動面に対する被着性に優れた材料からなる第1層と、第
1層及び被覆層の双方に対する被着性に優れた材料から
なる第2層とを備える2層構造としたから、前記被覆層
を良好な被着強度を有して形成することができ、摩耗及
び焼付きの発生をより確実に防止することができる。
【0070】またダイヤモンドライクカーボン製の被覆
層は、母材となる摺動部品表面の熱処理温度よりも低い
温度下にて形成することができ、母材の表面硬度が低下
することがなく、母材の変形に伴う被覆層の剥離を防止
して焼付きの発生をより効果的に防止することができ
る。
【0071】また被覆層を構成するダイヤモンドライク
カーボンは、非結晶の炭素薄膜であり、自己潤滑性を有
するから、高速下においても少量の潤滑油により良好な
潤滑性能が得られ、余剰な潤滑油の飛散により縫製中の
生地が汚損される虞れが緩和される。
【0072】更に、高速度にて摺動する針棒、及び高負
荷の作用下にて摺動するルーパ棒の外面にダイヤモンド
ライクカーボン製の被覆層を形成したから、重要部品で
ある針棒及びルーパ棒における摩耗及び焼付きの発生を
有効に防止することができ、運転速度の高速化に対応し
得るようになる。
【0073】また本発明に係るミシン部品の製造方法に
おいては、ミシンの摺動部品の摺動面へのダイヤモンド
ライクカーボン製の被覆層を、前記摺動面との間に介在
させる中間層と共に一連の工程により一括して形成する
ことができる等、本発明は優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るミシンに用いられるミシン部品の
要部拡大断面図である。
【図2】本発明に係るミシンに用いられるミシン部品の
他の実施の形態を示す要部拡大断面図である。
【図3】種々の条件にてダイヤモンドライクカーボンの
被覆層を形成してなる試料に対して行った引っかき試験
の結果を示す図である。
【図4】中間層の形成に使用するスパッタ装置の構成を
模式的に示す断面図である。
【図5】被覆層の形成に使用するプラズマCVD装置の
構成を模式的に示す断面図である。
【図6】ミシン部品の一例としてのルーパ棒の動作説明
図である。
【図7】ミシン部品の他の一例としての針棒の動作説明
図である。
【符号の説明】
1 ミシン部品 2 ルーパ棒 3 針棒 4 スパッタ装置 5 プラズマCVD装置 10 熱処理層 11 中間層 12 被覆層 13 中間層 13a 第1層 13b 第2層 22 ルーパ案内 23 ガイド孔 30 ブッシュ 31 ブッシュ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 篠宮 秀夫 東京都田無市本町6丁目1番12号 シチズ ン時計株式会社田無製造所内 (72)発明者 板橋 昭寿 東京都田無市本町6丁目1番12号 シチズ ン時計株式会社田無製造所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 他部品との摺動面に被覆層が形成された
    摺動部品を備えるミシンにおいて、 前記被覆層は、前記摺動面に中間層を介して被着された
    ダイヤモンドライクカーボンによって形成してあること
    を特徴とするミシン。
  2. 【請求項2】 前記中間層は、シリコン、チタン、タン
    グステン、炭化チタン、炭化珪素又は炭化クロムからな
    る単一層により構成してある請求項1記載のミシン。
  3. 【請求項3】 前記中間層は、クロム又はチタンを主体
    とする材料からなる前記摺動面側の第1層と、シリコン
    又はゲルマニウムを主体とする材料からなる前記被覆層
    側の第2層とを備える請求項1記載のミシン。
  4. 【請求項4】 前記被覆層は、針棒及びルーパ棒の外面
    に形成してある請求項1乃至請求項3のいずれかに記載
    のミシン。
  5. 【請求項5】 他部品との摺動面にダイヤモンドライク
    カーボン製の被覆層が形成されたミシンの摺動部品を製
    造する方法であって、 前記摺動面を洗浄した摺動部品を真空槽内に配置する工
    程と、 前記真空槽の内部を排気する工程と、 排気された真空槽の内部にアルゴンガスを導入してイオ
    ン化し、シリコン、チタン、タングステン、炭化チタ
    ン、炭化珪素又は炭化クロムをターゲットとするスパッ
    タリング処理により、前記摺動面に中間層を形成する工
    程と、 前記真空槽の内部のアルゴンガスを排出し、該真空槽内
    に炭素を含む反応ガスを導入する工程と、 前記真空槽の内部に導入された反応ガスをプラズマ化
    し、プラズマCVD処理により前記中間層の表面にダイ
    ヤモンドライクカーボン製の被覆層を形成する工程とを
    含むことを特徴とするミシン部品の製造方法。
  6. 【請求項6】 他部品との摺動面にダイヤモンドライク
    カーボン製の被覆層が形成されたミシンの摺動部品を製
    造する方法であって、 前記摺動面を洗浄した摺動部品を真空槽内に配置する工
    程と、 前記真空槽の内部を排気する工程と、 排気された真空槽の内部にアルゴンガスを導入してイオ
    ン化し、クロム又はチタンをターゲットとするスパッタ
    リング処理により、前記摺動面に第1層を形成する工程
    と、 該工程に続いて、シリコン又はゲルマニウムをターゲッ
    トとするスパッタリング処理により、前記第1層の表面
    に第2層を形成する工程と、 前記真空槽の内部のアルゴンガスを排出し、該真空槽内
    に炭素を含む反応ガスを導入する工程と、 前記真空槽の内部に導入された反応ガスをプラズマ化
    し、プラズマCVD処理により前記第2層の表面にダイ
    ヤモンドライクカーボン製の被覆層を形成する工程とを
    含むことを特徴とするミシン部品の製造方法。
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