JP2000133195A - 透過電子顕微鏡 - Google Patents

透過電子顕微鏡

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JP2000133195A
JP2000133195A JP10308053A JP30805398A JP2000133195A JP 2000133195 A JP2000133195 A JP 2000133195A JP 10308053 A JP10308053 A JP 10308053A JP 30805398 A JP30805398 A JP 30805398A JP 2000133195 A JP2000133195 A JP 2000133195A
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electron beam
energy
deflector
energy filter
transmission electron
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Yoshifumi Taniguchi
佳史 谷口
Toshimichi Taya
俊陸 田谷
Shigeto Isagozawa
成人 砂子沢
Koji Kimoto
浩司 木本
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Hitachi Ltd
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】歪みやぼけの少ないエネルギフィルタ像を得る
ことを目的とする。 【解決手段】STEMの光学系とEF−TEMのエネル
ギフィルタを組み合わせる。エネルギフィルタの電子光
学系は、EF−TEMにおいて回折パターンを観察する
光学系を採用する。試料面上を電子線走査し、他の偏向
系を用いて振り戻し、照射領域のみのエネルギ分析を行
い、点分析,線分析,面分析を実現する。電子線が試料
面上でラインフォーカスするようにわざと非点収差を与
えることにより、線分析を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は透過型電子顕微鏡に
係り、特に試料を透過した電子線から特定のエネルギを
有する電子に基づいて試料情報を画像化する装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】近年、原子レベルオーダで材料を観察
し、かつ原子レベルで観察された原子の種類や結合状態
で同定を行うことが、特に半導体の不良解析や新素材の
研究において極めて重要になってきている。
【0003】特定領域の分析方法には、透過型電子顕微
鏡(Transmission ElectronMicroscope:TEM)で、
エネルギ損失分光法(Electron Energy LossSpectrosco
py:EELS)を行う方法がある。この方法は試料を透
過した電子の内、エネルギを失った電子の電子線強度と
その失ったエネルギに基づいて試料内部で起こった現象
や元素の種類、結合状態を調べる方法である。そしてこ
の方法をさらに発展させたエネルギフィルタ電子顕微鏡
によるコアロス電子での元素分布表示方法がある。これ
は電子分光結像法(Electron Spectroscopic Imaging:
ESI)と呼ばれ、試料と非弾性散乱した電子のエネル
ギを分析し、特性X線を励起した電子線をエネルギフィ
ルタで抽出し、結像する方法である。
【0004】エネルギフィルタ電子顕微鏡(Energy−Fi
ltering Transmission ElectronMicroscope:EF−T
EM)は、試料を透過させた電子線の内、非弾性散乱し
た電子をエネルギフィルタで抽出し、当該抽出された電
子を投影面に結像することで、特定元素の元素分布像を
得るものである。このための透過型電子顕微鏡が、特開
昭61−13541号公報に開示されている。
【0005】また元素分布像を得るための他の方法とし
て、走査電子顕微鏡(ScanningElectron Microscope:
SEM)を使ったエネルギ分散型X線分光法(EnergyDi
spersive Method in X−ray spectroscopy:EDX)が
ある。当該方法は、試料に収束した電子線を二次元的に
走査し、その際に発生した特性X線のエネルギと強度を
測定し、電子線走査と同期して画像表示する方法であ
る。
【0006】一方、試料に照射される電子線を走査し、
試料を透過した電子線を検出することによって試料の内
部構造を観察する走査透過電子顕微鏡(ScanningTransm
ission Electron Microscope:STEM)が特開平9−1
67591 号公報に開示されている。このSTEMでEEL
Sを行うことが第12回分析電子顕微鏡討論会予稿集p
80−85に紹介されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記各分析方法は、試
料から発生した電子線のエネルギに基づいて試料の特定
領域の情報を得るためのものであるが、以下のような問
題がある。
【0008】TEM+EELSは、基本的に点分析なの
で画像化ができない。従って、EF−TEMのようにE
SIによる元素分析像を得ることができず、電源等が発
生する磁界型のノイズがのりやすいという問題がある。
【0009】EF−TEMは、試料の電子線照射領域を
結像レンズを用いてエネルギフィルタの入力像面に結像
させ、エネルギ分光された電子線を観察スクリーンに投
影するものである。このような構成では、観察領域を透
過した電子がエネルギフィルタや電子レンズのレンズ収
差の影響を受けるため、像が歪んだりボケたりするとい
う問題がある。換言すれば試料像を形成する電子が電子
レンズやエネルギフィルタを介して観察スクリーンに投
影されるために、エネルギフィルタの収差の影響が観察
スクリーンに投影される試料像の歪みやボケとして反映
されることになり、エネルギー分解能が低下するという
問題がある。
【0010】エネルギフィルタは高度なシュミレーショ
ンを駆使して設計され、更に極めて精巧な機械加工技術
と組立技術、および高度な軸調技術が要求されるため、
上記課題を構造的な精度の向上に頼るのは限界がある。
【0011】また点分析を行う場合、制限視野絞りを用
いて視野を選択する必要があり、微小領域の分析には限
界がある。照射電子線を試料上で収束した場合、エネル
ギ分散面上では逆にスペクトルがぼけてしまい、エネル
ギ分解能が低下するという問題がある。
【0012】STEM+EDXでは、実像を観察するこ
とができないという問題がある。そのため、観察希望視
野を探すために時間がかかったり、そのため電子線を長
く照射し続けることになり、試料へのダメージの影響も
生じる。またEDXのエネルギ分解能は低いため、状態
分析を行うことができない。更にEDXに用いられるX
線検出器は立体角が小さいので感度が不足するという問
題がある。
【0013】STEM+EELSもSTEM+EDXと
同様実像が観察できず、上記のような問題が発生する。
またSTEM+EELSではESIを実施することがで
きない。
【0014】本発明の目的は、上記課題を解決し得る透
過電子顕微鏡の提供を目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するべく、電子源と、該電子源から発生した電子線を収
束して照射する電子レンズと、前記試料からの透過電子
線をエネルギ分光するエネルギフィルタを備えた透過電
子顕微鏡において、前記電子線を前記試料上で走査させ
る第1の偏向器と、前記透過電子線を前記エネルギフィ
ルタの所定の位置に偏向する第2の偏向器と、前記エネ
ルギフィルタを通過した電子線の強度を検出する検出器
と、当該検出器の出力に基づいて輝度を変化させる表示
装置と、前記第1,第2の偏向器に偏向信号を与える偏
向系制御装置を備えたことを特徴とする透過電子顕微鏡
を提供する。
【0016】本発明によれば、試料を透過した電子はエ
ネルギフィルタに導入され、エネルギフィルタによって
分光され、特定エネルギの電子線のみを抽出することが
できる。抽出された特定エネルギの電子線は、検出器に
よって検出され第1の偏向器の走査と同期して偏向され
る表示装置の輝度情報となるので、表示装置には画素単
位で、特定エネルギを持つ電子線の強度が表示される。
【0017】従来のEF−TEMは観察領域像を形成す
る電子がエネルギフィルタに導入され、エネルギ分光さ
れるが、本発明は観察領域の一部である電子線の照射部
分を透過した電子が、第1の偏向器の偏向に伴って順次
エネルギフィルタに導入され、エネルギ分光される。
【0018】即ちEF−TEMは観察領域像を形成する
電子がエネルギフィルタに導入されるので、エネルギフ
ィルタによる歪みやボケの影響が像に反映されてしまう
のに対し、本発明ではエネルギフィルタに観察領域像を
形成する電子を導入するわけではないので、表示装置に
表示される観察領域像がエネルギフィルタの歪みやボケ
の影響を受けることがない。
【0019】本発明では第1の偏向器で偏向された電子
線を順次エネルギフィルタに導入してエネルギ分光し、
該エネルギ分光された電子の電子線量に基づいて表示装
置の輝度変調を行うと共に、表示装置の偏向を第1の偏
向器と同期させることで、歪みやボケの影響の少ないエ
ネルギフィルタ像を構築することが可能になる。またE
F−TEMに比べ、試料に照射する電子線をより細く絞
って照射することになるので、観察領域像の分解能が向
上する。
【0020】また、本特許において第2の偏向器を備え
る理由は、エネルギフィルタの入力像面の所定の位置に
試料を透過した電子線を位置づける必要があるからであ
る。即ち本特許では第1の偏向器で試料に照射される電
子線を走査しているため、第1の偏向器による電子線の
走査によってエネルギフィルタの入力像面上の電子線の
照射位置も変化することになる。
【0021】エネルギフィルタはレンズ作用を持ってい
るので、入力像面上の電子線の照射位置が変化した場
合、相対的に出力像面(色消像面)での電子線の位置が
変化する。すると照射位置の違いによって、エネルギフ
ィルタの下段に設けられるエネルギ選択スリットを通過
する電子線のエネルギが変化してしまう。
【0022】本発明は、エネルギフィルタの入力像面上
で電子線の照射位置を振り戻すように(エネルギフィル
タの入力像面上での照射電子線の位置を維持するよう
に)、第2の偏向器を機能させているので、第1の偏向
器による電子線の偏向によらず、特定エネルギの電子線
を選択的に検出することが可能になる。
【0023】以下、本発明に係る他の説明は、以下の発
明の実施の形態の欄で説明する。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施例を交えて詳
細に説明する。
【0025】まず、本発明の説明の前にEF−TEMの
原理について説明する。
【0026】図2は、EF−TEMでエネルギフィルタ
像を観察するときの結像光学系のブロック図である。エ
ネルギフィルタ12には、入力クロスオーバー面22と
入力像面23と色消し像面24とエネルギ分散面25が
存在する。対物レンズ8の後ろ焦点面20にできている
回折パターンをエネルギフィルタ12の入力クロスオー
バー面22に結像し、対物レンズ8の像面21にできて
いる試料6の拡大像をエネルギフィルタ12の入力像面
23に結像する。
【0027】すると、エネルギフィルタ12の後ろには
色消し像面24とエネルギ分散面25が形成される。照
射電子線4が平行光である場合には、入力クロスオーバ
ー面22にできている回折パターンの拡大像は非常に細
くなるため、エネルギ分散面25にはエネルギロススペ
クトル34が形成される。
【0028】図3は、EF−TEMで電子線回折像を観
察するときの結像光学系を示すブロック図である。対物
レンズ8の後ろ焦点面20にできている回折パターンを
エネルギフィルタ12の入力像面23に結像し、対物レ
ンズ8の像面21にできている試料6の拡大像をエネル
ギフィルタ12の入力クロスオーバー面22に結像す
る。
【0029】すると、エネルギフィルタ12の後ろの色
消し像面24には、回折パターンが形成され、エネルギ
分散面25には試料6の拡大像が形成される。
【0030】以上の前提を踏まえて以下に本発明実施例
装置について説明する。
【0031】図1は、本発明の透過型電子顕微鏡の一実
施例である光学系のブロック図である。1は透過型電子
顕微鏡である。電子銃2を含む電子源から放出された照
射電子線4は、収束レンズ3によって収束され試料6に
照射される。また照射の際に、照射偏向系5によって試
料6に対する照射位置と角度が決定される。照射偏向系
5は照射角度を一定に保ったまま位置だけを変えたり、
照射位置を一定に保ったまま照射角度だけをかえたりす
ることができるように構成されている。また照射偏向系
5は、照射電子線4を試料上を2次元走査する機能を備
えている(第1の偏向器の機能)。
【0032】照射電子線4はできるだけ一定のエネルギ
になるように制御されているが、試料を透過した透過電
子線7は試料6との相互作用により、種々のエネルギを
持つ電子を含んでいる。
【0033】第1中間レンズ9と第2中間レンズ10か
らなる第1のレンズ系は、対物レンズ8の後ろ焦点面に
できている回折パターンをエネルギフィルタの入力像面
に結像し、対物レンズ8の像面にできている試料6の拡
大像をエネルギフィルタの入力クロスオーバー点に結像
する。即ち、図3において説明したエネルギフィルタ回
折パターンを観察するときの結像光学系と同じ状態にす
る。なぜこのような光学系にするかについての詳細は後
述するが、図3に示す光学系にすることによって本発明
実施例装置は高いエネルギ分解能を得ることが可能にな
る。
【0034】なお、以下の説明は中間レンズの数が2段
の場合について説明するが、二段レンズ系に限定される
必要はない。3段以上あっても構わない。
【0035】透過電子線7は中間偏向系11(本発明の
第2の偏向器)によりエネルギフィルタ12への入射位
置が調整される。透過電子線7のエネルギはエネルギフ
ィルタ12によって分光され、ゼロロス電子線13とロ
ス電子線14に分けることができる。この時、エネルギ
選択スリット15上のエネルギ分散面には照射電子線4
が照射されている領域のエネルギロススペクトル34が
できる。なお、この際照射電子線4は試料6に対し、収
束して照射されている。
【0036】分光された電子のうち、エネルギ選択スリ
ット15は特定のエネルギの電子線のみを抽出すること
ができる。電子線検出器16は、エネルギ選択スリット
15を通過してきた電子線の強度を計測し、強度信号1
7を出力する。
【0037】偏向系制御装置18は、照射偏向系5と中
間偏向系11の両方を制御する。照射偏向系5を制御し
て試料6に対する照射電子線の入射方向を一定に保った
まま照射位置を変えることできる。
【0038】試料6に対する照射電子線4の照射位置が
変化するとエネルギフィルタ12の入力クロスオーバー
面における透過電子線7の位置が変化するが、偏向系制
御装置18は、中間偏向系11を制御してエネルギフィ
ルタ12の入力クロスオーバ面22における透過電子線
7の位置を振り戻して、同じ位置にくるようにする。
(本発明の第2の偏向器の機能)このような構成によれ
ば、照射偏向系5を用いて試料6上で照射電子線を2次
元走査してもエネルギ分散面25にできるエネルギロス
スペクトル34は移動しない。
【0039】そしてエネルギロススペクトル34のう
ち、必要な領域のみがエネルギ選択スリット15を通過
できるようにすれば、その領域の電子線強度が図1に示
す電子線検出器16で測定され、強度信号17として出
力される。この出力信号を増幅してCRTなどの表示装
置(図示せず)の輝度変調信号とする。
【0040】本実施例装置では偏向系制御装置18を用
いて照射電子線を試料6上で走査し、試料6の各点にお
けるエネルギロススペクトル34を連続して獲得し、C
RTの輝度変調信号とすると共に、照射電子線の走査と
CRTの走査を同期させることで、高い像分解能と、高
いエネルギ分解能を持ったエネルギフィルタ像を得るこ
とができる。
【0041】なお、本実施例装置では、高分解能を得る
ために試料に対し照射電子線を細く絞って照射する。本
実施例装置は、観察領域に対して細く絞った電子線を走
査して照射するので、少なくとも観察領域より小さいビ
ーム径を持つ照射電子線を用いる。
【0042】観察領域とほぼ同じ大きさのビーム径を持
つ照射電子線を用いるEF−TEMに対し、本実施例装
置では、観察領域より小さいビーム径を持つ照射電子線
を走査して照射するので、像分解能の高いエネルギフィ
ルタ像を得ることができる。次に先に触れた本実施例装
置で図3に示すような光学系を用いる理由について詳述
する。図3に示すような光学系は、一般的に観察スクリ
ーン29にエネルギフィルタ回折パターンを投影し観察
する際に用いられる。エネルギ分散面25には試料6の
拡大像が形成されるのでエネルギフィルタ12を通過し
た電子線は広がりを持つ。しかし、本実施例装置のよう
に照射電子線4を収束して試料6に照射した場合、エネ
ルギ分散面25上にはエネルギロススペクトルが形成さ
れる。このエネルギロススペクトルのうち、必要な領域
をエネルギ選択スリット15を通すことができれば、そ
の領域の電子線強度が、本実施例装置の電子線検出器1
6で測定され、強度信号17として出力される。
【0043】一方、図3に示すような光学条件以外でも
EF−TEMによるエネルギフィルタ像と等価な像を得
ることは可能である。しかし図3の光学系以外では、像
分解能の高い像を得るために照射電子線を収束させた場
合、対物レンズ8の後ろ焦点面20に形成される回折パ
ターンがぼやけてしまう。
【0044】後ろ焦点面20に形成された回折パターン
はエネルギフィルタ12の入力クロスオーバー面22に
結像され、エネルギ分散面25には入力クロスオーバー
面22に形成された回折パターンと同じ回折パターンが
形成される。エネルギ分散面25に形成される回折パタ
ーンは、後ろ焦点面20に形成される回折パターンと同
様、ぼやけた状態で形成されるのでエネルギ選択スリッ
ト15のエネルギ分解能が、図3の光学系を採用した場
合と比較して低下してしまう。以上の理由により、本実
施例装置で高いエネルギ分解能を得るには図3の光学条
件とすることが理想的である。
【0045】次に、本発明実施例装置で採用する理想的
な偏向系について説明する。二次元像をすばやく得るた
めには、照射偏向系5と中間偏向系11の応答速度を早
くしなければならない。また歪みの少ない像を得るため
にはヒステリシスが少なく、かつ線形性のいい偏向系を
採用するのが理想的である。これら条件を満足するため
に照射偏向系5と中間偏向系11に、空芯コイルや静電
型の偏向板が用いられる。
【0046】図1で示した光学系でエネルギロススペク
トルを記録するには、エネルギ分散面25上にできてい
るエネルギロススペクトル34とエネルギ選択スリット
15の相対位置関係をずらしながら、エネルギ選択スリ
ット15を通過するゼロロス電子線13またはロス電子
線14の強度を電子線検出器16で測定し、グラフ表示
すればよい。
【0047】エネルギロススペクトル34とエネルギ選
択スリット15の相対位置をずらすには、加速電圧を変
化させる方法,エネルギ選択スリット15を移動させる
方法,エネルギフィルタ12の励磁を変化させる方法が
考えられる。
【0048】図4は、本発明の他の実施例を説明するた
めの図である。なおエネルギフィルタ12より上の構成
は図1と同じである。
【0049】まず図1に示す装置と異なる点は、図1の
電子線検出器16を二次元電子強度検出器31にしたこ
とである。本実施例では第2のレンズ系(第1投影レン
ズ26,第2投影レンズ27)を設け、エネルギ分散面
に形成されるエネルギロススペクトルを二次元電子線強
度検出器31に拡大投影する。このような構成とするこ
とによって、エネルギロススペクトルを直接撮影するこ
とが可能になる。このようにすればエネルギロススペク
トルを短時間に得ることができる。なお二次元電子線強
度検出器31にはSSCCD等の二次元的に電子線の強
度を検出できる媒体が用いられる。またエネルギロスス
ペクトルは斑点状や環状、あるいは暈図形で二次元電子
線強度検出器31に投影される。なお、図4に示す装置
には第2のレンズ系として、二段レンズ系を採用してい
るが、レンズの段数に依存しない。
【0050】図4に示す装置は、エネルギフィルタ12
の下段に第3の偏向器として投影偏向器33を備えてい
る。投影偏向器33を用いて図5に示すようにエネルギ
分散の方向と垂直な方向にエネルギフィルタ12を通過
した電子線を振る。その結果、二次元電子線強度検出器
31上でのエネルギロススペクトル34は紙面の垂直方
向に広がりを持つようになる。二次元電子線強度検出器
31で強度分布を得た後で、エネルギ分散方向と垂直な
方向に強度を積分することにより、エネルギロススペク
トル34のダイナミックレンジと信号雑音比(S/N)
を向上させることができる。
【0051】図4,図5に開示の構成では、投影偏向系
33はエネルギフィルタ12とエネルギ選択スリット1
5の間に配置されているが、エネルギフィルタ12と二
次元電子線強度検出器31の間であればどこでも良い。
ただし、エネルギフィルタ12の色消し像面24に近い
所にあれば、拡大レンズ系による像回転の影響を受けに
くいので、エネルギ分散方向と偏向方向を垂直な状態に
維持することができる。また拡大レンズ系に無回転レン
ズを用いるようにしても良い。
【0052】本実施例では、照射偏向系5と中間偏向系
11を偏向系制御装置18によって同期して制御してい
る。これによって照射偏向系5による走査領域のS/N
の優れたエネルギロススペクトルを得ることができる。
【0053】なお、照射偏向系5だけを制御すれば、試
料6の一次元的な領域の分析(以下ラインアナリシスと
する)を行うことができる。一般的に、試料上の一元的
領域の分析をしたいという要求がある。そのためには試
料に対し照射電子線を一次元的に走査し、同期して得ら
れる信号を処理する必要がある。その場合、異なる時間
に得られる信号を処理していくことになるので、試料ド
リフトや装置の安定度の影響を無視することができなく
なる。
【0054】線分析をするために、点分析を行いながら
微小プローブをシフトしていく方法では、各分析点間で
時間差が生じ、ビーム位置が変化したり、エネルギの原
点がシフトしたりする問題が無視できない。一方EF−
TEMでラインフォーカスを行うと、一度に一次元のE
ELSが得られるので分析に時間差は生じないものの、
エネルギフィルタの設計において、このような収束条件
は大きな制約となり、収差の小さいエネルギフィルタを
形成することが困難になる。
【0055】本発明実施例は上記課題を解決するもので
あり、図6に本発明実施例装置によるラインアナリシス
分析の原理を示す。本実施例装置では、照射電子線4
を、照射偏向系5で試料6上を一次元的に走査する。走
査方向は二次元電子線強度検出器31上において、エネ
ルギ分散方向と垂直な方向になるようにする。このよう
な走査によって試料6上にはラインプローブ43が形成
される。
【0056】結像光学系40(対物レンズ8と中間レン
ズ9,10の集合的なレンズ系)によりラインプローブ
43の像がエネルギフィルタ12の入力クロスオーバー
面22に結像され、これをエネルギフィルタ12はエネ
ルギ分散面25上でエネルギロススペクトルに分解す
る。これを投影レンズ系41(投影レンズ26,27の
集合的なレンズ系)を用いて拡大投影すると、二次元電
子線強度検出器31上には走査した一次元領域のエネル
ギロススペクトル42(以下ラインスペクトルとする)
が形成される。
【0057】このようなラインスペクトルの形成によ
り、試料の一次元的な方向のエネルギ分析を行うことが
可能になる。また図6に開示されているように、エネル
ギ,電子線の照射個所、及び電子線強度をそれぞれx,
y,z軸とした表示を行うことによって、試料のある方
向の組成の推移を視覚的に確認することが可能になる。
外部磁場や電源ノイズの影響で、偏向系制御装置18の
信号には商用電源の周波数に近い周期的なノイズがのる
場合がある。このノイズの影響を軽減する技術について
図7を用いて説明する。
【0058】外部ノイズ50が偏向系制御装置18に外
乱を与え、本来なら一定の値を示すはずの偏向系54へ
の偏向系制御信号51が図7のように外部ノイズと同じ
周期で振動し、一定の値を示さなくなるような場合があ
る。このような状態で図5,図6に示すような処理を行
えば、エネルギロススペクトル34のエネルギ分解能が
悪くなったり、ラインスペクトル形成において試料6の
正確な一次元情報が得られなくなったり、エネルギロス
スペクトル34のピーク位置が変化したのか、単に電子
線53に位置が移動しているだけなのかの区別がつかな
くなる。
【0059】外部ノイズ50は、商用電源の周波数に一
致することが多いので商用電源の周波数の自然数分の1
の周波数を持つ周期的な偏向系制御信号52を重畳す
る。この周期的な偏向系制御信号52は図5や図6に用
いられた変調信号で良い。図7には2分の1の周波数の
信号を重畳する例を示してある。
【0060】このように構成することによって、二次元
電子線強度検出器31上にはノイズの影響を受けたライ
ンスペクトル55が現れる。これにノイズ除去処理を施
して、一直線状になるようにすれば、ノイズを除去した
ラインスペクトル56が得られる。このような処理は、
エネルギフィルタ12の制御系にノイズが乗っていると
きでも利用できる。
【0061】図6におけるラインプローブ43は、図8
に示したように収束レンズ非点収差制御装置58を用い
ても得られる。このような方式では、ラインプローブの
方向,長さを自由に変えることができる。ラインプロー
ブの方向とエネルギフィルタ12の分散方向が垂直とな
るような非点収差制御電流値と、任意の長さの非点収差
制御電流値の組み合わせのデータテーブルを作っておく
ことも可能である。
【0062】図6や図8に示したラインプローブはエネ
ルギフィルタ12のエネルギ分散方向と垂直であるか
ら、エネルギフィルタ12のエネルギ分散面25上では
エネルギ選択スリット15と平行になる。すなわち、あ
るエネルギ領域のみがエネルギ選択スリット15を通過
するようにしておき、ラインプローブ43をエネルギ分
散方向と一致する方向に走査させる。
【0063】さらに中間偏向系11または投影偏向系3
3を用いて二次元電子線強度検出器31上でラインプロ
ーブ43の像が移動しないように制御すれば、試料6の
二次元像が得られる。
【0064】EF−TEMに用いられるエネルギフィル
タ12はスペクトルと画像の両方を見るので、エネルギ
フィルタ12の色消し像面24における収差とエネルギ
フィルタのエネルギ分散面25における収差を考慮しな
ければならない。収差はエネルギフィルタ12に入射す
る位置と方向に依存する。従って、対象物が小さいほ
ど、光軸に対し平行になるほど収差の許容量が緩くな
る。
【0065】エネルギフィルタを設計する際、主として
色消し像面24における歪みとぼけ、エネルギ分散面2
5における角度に関する収差が問題となる。これは、エ
ネルギ分散面25では電子線13,14は収束して小さ
くなっている反面、色消し像面24における画像の有効
視野が大きいためである。
【0066】一方、本発明実施例装置に用いられるエネ
ルギフィルタを設計するに当たり、考慮しなければなら
ない収差は、エネルギ分散面25における歪みとぼけだ
けである。しかも、歪みに関する収差はエネルギ分散方
向の成分を考慮する必要がない。
【0067】これは、色消し像面24では回折パターン
となって小さくなっている上に、エネルギ分散面25上
では電子線13,14は収束して小さくなっているから
である。しかも投影レンズ系41の倍率は、EF−TE
Mを用いて像観察するときと比較して大きくとることが
でき、より光軸に近い領域の電子線だけを考慮すれば良
いことも有効に作用している。
【0068】最終的にスペクトルのエネルギ分解能を制
限するものは、試料6上の照射電子線4の大きさであ
る。収束レンズ3として縮小光学系を採用したり、電子
銃2として電界放出形電子銃を採用すれば、十分な効果
が得られる。但し、試料6上で十分照射電子線4を収束
し得る仕組みが施されていることが重要になってくる。
これは図9に示したような実施例で実現できる。
【0069】二次元電子線強度検出器31よりも広範囲
のエネルギロススペクトルを得るには、一定電圧幅で加
速電圧をずらしていけばよい。ずらし幅を二次元電子線
強度検出器31の幅に相当する電圧幅以下にすれば、無
駄無く獲得していくことができる。但し、加速電圧が変
化すると照射電子線4の収束条件からはずれてしまう。
【0070】しかし収束レンズ3,照射偏向系5,収束
レンズ非点収差制御装置58,対物レンズ8の前方磁界
の特性が変化する。これらは発明者らが先に出願した特
願平9−248122 号公報に記載の技術で補正可能である。
【0071】試料6上で照射電子線4が収束している状
態を探す(収束レンズ3のレンズ電流値をIcとする)
には、収束レンズ3のレンズ電流を±0.01A 以下の
範囲で振れば良い。この例を図9に示す。
【0072】収束レンズ3のレンズ電流値が変化すれ
ば、試料6上における照射電子線4の大きさが変化し、
同時に電子線密度が変化する。試料6上で照射電子線4
が最も収束しているときに、電子線の密度は最大にな
る。ゼロロス電子線13またはロス電子線14の強度を
電子線検出器16または二次元電子線強度検出器31で
測定し、強度が最大値を示す電流を検出するようにすれ
ば良い。変化させる電流値は少ない方がIcを測定する
精度が向上し、しかも短時間で検出できる。変化量とし
て±0.01A 程度あれば十分である。
【0073】二次元電子線強度検出器31上のエネルギ
分散量は投影レンズ系41の倍率に応じて変化させるこ
とができる。ラインアナリシスの分析可能な領域は結像
光学系40の倍率で変化させることができる。数種類の
電流値の組み合わせを記憶しておけば、適宜、エネルギ
分散量と分析領域の選択をすることができる。結像光学
系40と投影レンズ系41として三段レンズ系を採用す
れば、その変化幅の自由度が大きくなる。
【0074】これまで説明してきた実施例装置は、電子
顕微鏡の鏡体中にエネルギフィルタを配置するいわゆる
インコラム形と呼ばれるエネルギフィルタ付きの透過電
子顕微鏡であるが、それに限らずポストコラム形のエネ
ルギフィルタ付き透過電子顕微鏡に本発明を採用して
も、同様の効果が得られる。
【0075】上述したように、本発明実施例装置によれ
ば以下のような効果が達成される。中間レンズで試料の
拡大像をエネルギフィルタの入射クロスオーバー面に結
像すると同時に試料の電子線回折パターンをエネルギフ
ィルタの入射像面に結像することにより、エネルギフィ
ルタの出射像面に試料の電子線回折パターンが結像さ
れ、同時にエネルギフィルタのエネルギ分散面上には試
料の拡大像が結像される。このエネルギ分散面上では試
料でエネルギを失った電子線はエネルギ分散方向にずれ
た位置に拡大像が形成される。
【0076】ここで、照射電子線を試料上で収束させれ
ば、照射領域のみのエネルギロススペクトルがエネルギ
分散面上に形成され、微小領域のエネルギ分析が高いエ
ネルギ分解能で得られるようになる。
【0077】また、エネルギフィルタへの入射角度を大
きくとる必要がないので、エネルギフィルタの収差の許
容範囲が広がり、簡単な光学系のエネルギフィルタを用
いても高いエネルギ分解能を得ることができるようにな
る。
【0078】また試料よりも上に位置する第1の偏向コ
イルと、試料とエネルギ選択手段の間にある第2の偏向
コイルを同時に制御して、第1の偏向コイルで電子線の
位置を移動させても、第2の変更コイルでエネルギ選択
手段上の電子線の位置が変わらないようにすることによ
り、試料の各位置におけるエネルギロススペクトルを同
じ位置で観察,記録できるようになる。
【0079】また、電子線を試料上で二次元的に走査
し、走査信号に同期してエネルギ選択手段を通過した電
子線の強度を画像表示することができるようになる。
【0080】また第1の偏向コイルと第2の偏向コイル
に空芯コイルまたは静電型の偏向板を用いることによ
り、高速な偏向応答が得られ、短時間で二次元画像を得
ることができるようになる。
【0081】またエネルギ選択手段の下に第2の結像光
学系を設け、エネルギ選択手段の像をSSCCD等の二
次元電子線検出器上に結像することにより、微小領域の
エネルギロススペクトルを短時間に記録できるようにな
る。
【0082】更に第2の偏向器または第3の偏向器を用
いて、二次元電子線検出器上でスペクトルと垂直な方向
に周期的に振りながら記録し、強度を振る方向に積分す
ることにより、信号のダイナミックレンジが広がり、信
号雑音比(Signal to noiseratio :S/N)を向上さ
せることができる。
【0083】また第1の偏向器を用いて、二次元電子線
検出器上でスペクトルと垂直な方向に周期的に振りなが
ら記録することにより、試料の一次元方向のエネルギ分
析を行えるようになる。
【0084】また、電子線を周期的に振る際の周期を電
源の周波数の自然数分の一にし、エネルギを失わなかっ
た電子線の軸跡が直線になるようにすることにより、電
源から来るノイズの影響を押えることができ、より高分
解能なエネルギ分析が可能になる。
【0085】また、収束レンズ系に非点収差を導入して
試料に照射する電子線をラインプローブにし、ラインプ
ローブの方向を二次元電子線検出器上でスペクトルと垂
直にすることにより、エネルギ分散面上で照射領域のエ
ネルギスペクトルが得られるので、試料の一次元方向の
エネルギ分析が行えるようになる。
【0086】更にラインスペクトルの一部分をエネルギ
スリットで選択し、ラインプローブをスペクトル方向に
走査することにより、試料の二次元像を得ることができ
るようになる。
【0087】加速電圧にオフセット電圧を重畳できるよ
うにすることにより、二次元電子線検出器の外に存在す
るスペクトルも記録できるようになり、広範囲のエネル
ギスペクトルを得ることができるようになる。
【0088】オフセット電圧を重畳する際、収束レン
ズ、偏向系も同時に制御して試料面上で電子線を収束さ
せることにより、広範囲のエネルギスペクトルが高いエ
ネルギ分解能で得られるようになる。
【0089】収束レンズ系のレンズ電流を±0.01A
以下の範囲で変化させ、電子線強度計測手段で強度信号
が最大になるレンズ電流値を検出することにより、電子
線が試料上で収束している状態を見つけることができ操
作性が向上する。
【0090】エネルギ選択スリットの像を第2の結像光
学系で二次元電子線検出器に結像できる電流値の組み合
わせを複数通り用意し、これらを任意に選択できるよう
にすることにより、エネルギフィルタによる分散が二次
元電子線検出器上で任意に変更できるようになる。
【0091】
【発明の効果】本発明によれば、歪みやボケの影響の少
ないエネルギフィルタ像を構築することが可能になる。
またEF−TEMに比べ、試料に照射する電子線をより
細く絞って照射することになるので、観察領域像の分解
能が向上する。
【0092】更に本発明によれば、発明の実施の形態の
欄に記載した種々の構成により、これまで詳述してきた
種々の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による微小領域観察装置の一実施例のブ
ロック図である。
【図2】EF−TEMにおいてエネルギフィルタ像を観
察する時の結像光学系のブロック図である。
【図3】EF−TEMにおいてエネルギフィルタ回折パ
ターンを観察する時の結像光学系のブロック図である。
【図4】第2の拡大レンズ系による光学系のブロック図
である。
【図5】エネルギロススペクトルのS/Nを向上させる
方法の説明図である。
【図6】照射偏向系を用いてラインアナリシスをする方
法の説明図である。
【図7】周期的なノイズに対する影響を軽減する方法の
説明図である。
【図8】収束レンズの非点収差制御装置を用いてライン
アナリシスをする方法の説明図である。
【図9】常に試料面上で収束している電子線を得るため
の説明図である。
【符号の説明】
1…透過型電子顕微鏡、2…電子銃、3…収束レンズ、
4…照射電子線、5…照射偏向系、6…試料、7…透過
電子線、8…対物レンズ、9…第1中間レンズ、10…
第2中間レンズ、11…中間偏向系、12…エネルギフ
ィルタ、13…ゼロロス電子線、14…ロス電子線、1
5…エネルギ選択スリット、16…電子線検出器、17
…強度信号、18…偏向系制御装置、20…対物レンズ
の後ろ焦点面、21…対物レンズの像面、22…エネル
ギフィルタの入力クロスオーバー面、23…エネルギフ
ィルタの入力像面、24…エネルギフィルタの色消し像
面、25…エネルギフィルタのエネルギ分散面、26…
第1投影レンズ、27…第2投影レンズ、28…エネル
ギフィルタ像、29…観察スクリーン、30…エネルギ
フィルタ回折パターン、31…二次元電子線強度検出器
(SSCCD)、32…映像信号、33…投影偏向系、
34…エネルギロススペクトル、35…積分されたエネ
ルギロススペクトル、36…偏向系制御信号、40…結
像光学系、41…投影レンズ系、42…一次元領域のエ
ネルギロススペクトル(ラインスペクトル)、43…ラ
インプローブ、50…外部ノイズ、51…ノイズの影響
を受けた偏向系制御信号、52…周期的な偏向系制御信
号、53…電子線、54…偏向系、55…ノイズの影響
を受けたラインスペクトル、56…ノイズの影響を除去
したラインスペクトル、57…ノイズ除去処理、58…
収束レンズ非点収差制御装置。
フロントページの続き (72)発明者 砂子沢 成人 茨城県ひたちなか市大字市毛882番地 株 式会社日立製作所計測器事業部内 (72)発明者 木本 浩司 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 Fターム(参考) 5C033 AA02 EE04 HH02 NN03 NP04 SS01 SS03 SS04 SS08

Claims (27)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電子源と、該電子源から発生した電子線を
    収束して照射する電子レンズと、前記試料からの透過電
    子線をエネルギ分光するエネルギフィルタを備えた透過
    電子顕微鏡において、前記電子線を前記試料上で走査さ
    せる第1の偏向器と、前記透過電子線を前記エネルギフ
    ィルタの所定の位置に偏向する第2の偏向器と、前記エ
    ネルギフィルタを通過した電子線の強度を検出する検出
    器と、当該検出器の出力に基づいて輝度を変化させる表
    示装置と、前記第1,第2の偏向器に偏向信号を与える
    偏向系制御装置を備えたことを特徴とする透過電子顕微
    鏡。
  2. 【請求項2】請求項1において、前記第2の偏向器に与
    えられる偏向信号は、前記第1の偏向信号に基づいて設
    定されることを特徴とする透過電子顕微鏡。
  3. 【請求項3】請求項1において、前記第2の偏向器に与
    えられる偏向信号は、前記第1の偏向器の偏向によって
    変化する前記エネルギフィルタ上での前記透過電子線の
    位置を、前記エネルギフィルタ上の所定の個所に位置づ
    けるように設定されていることを特徴とする透過電子顕
    微鏡。
  4. 【請求項4】請求項1において、前記第2の偏向器に与
    えられる偏向信号は、前記第1の偏向器の偏向によって
    変化する前記エネルギフィルタ上での前記透過電子線の
    位置を、前記エネルギフィルタ上の所定の個所に振り戻
    すように設定されていることを特徴とする透過電子顕微
    鏡。
  5. 【請求項5】請求項1において、前記第1の偏向器に与
    えられる2次元的な偏向信号と同期した偏向信号を前記
    表示装置に与えることを特徴とする透過電子顕微鏡。
  6. 【請求項6】請求項1において、前記透過電子線を所定
    の条件で結像する結像光学系を備え、当該結像光学系
    は、前記エネルギフィルタの入射クロスオーバー面に前
    記試料の拡大像を形成すると共に、前記試料の電子線回
    折パターンを前記エネルギフィルタの入力像面に形成
    し、前記エネルギフィルタは前記入射クロスオーバー面
    を前記エネルギ選択手段の存在する面内に前記電子線の
    エネルギによって異なる位置に結像するように調節され
    ていることを特徴とする透過電子顕微鏡。
  7. 【請求項7】請求項1において、前記エネルギフィルタ
    と前記検出器の間に配置される第3の偏向器と、前記エ
    ネルギフィルタを通過した電子線を拡大投影する結像光
    学系とを備え、前記検出器は二次元的に前記電子線の強
    度の分布を測定する機能を有し、前記結像光学系は前記
    エネルギフィルタのエネルギ分散面を前記検出器上に結
    像するように調節され、前記試料上における前記電子線
    の位置と前記検出器上の2次元的な強度の分布を対応付
    け、2次元画像として前記表示手段に表示することを特
    徴とする透過電子顕微鏡。
  8. 【請求項8】請求項1乃至7において、前記偏向器の少
    なくとも1つは磁界形偏向コイルであって、かつ空芯コ
    イルであることを特徴とする透過電子顕微鏡。
  9. 【請求項9】請求項1乃至7において、前記偏向器の少
    なくとも1つは静電型の偏向器であることを特徴とする
    透過電子顕微鏡。
  10. 【請求項10】請求項1において、前記エネルギフィル
    タを通過した電子線を結像する結像光学系を備え、前記
    検出器は二次元的に前記電子線の強度の分布を測定する
    機能を有し、前記結像光学系は前記エネルギフィルタの
    エネルギ分散面を前記検出器上に結像するように調節さ
    れていることを特徴とする透過電子顕微鏡。
  11. 【請求項11】請求項10において、前記電子レンズは
    前記電子線を前記試料に収束して照射するように調節さ
    れ、前記検出器は前記電子線の照射個所におけるエネル
    ギロススペクトルを検出することを特徴とする透過電子
    顕微鏡。
  12. 【請求項12】請求項10において、前記エネルギフィ
    ルタと前記検出器の間に配置される第3の偏向器と、前
    記エネルギフィルタを通過した電子線を拡大投影する結
    像光学系とを備え、前記第3の偏向器は、前記検出器上
    における前記エネルギフィルタによるエネルギの分散方
    向と垂直な方向に前記透過電子線を偏向することを特徴
    とする透過電子顕微鏡。
  13. 【請求項13】請求項10または12において、前記第
    2の偏向器または第3の偏向器によって偏向された前記
    電子線の強度分布を、前記検出器で獲得し、前記第2ま
    たは第3の偏向器の偏向作用に基づいて前記検出器上で
    移動する移動方向に強度の積分を行うことを特徴とする
    透過電子顕微鏡。
  14. 【請求項14】請求項13において、前記強度の積分が
    エネルギを失わなかった電子線の軌跡に沿って行われる
    ことを特徴とする透過電子顕微鏡。
  15. 【請求項15】請求項1において、前記検出器は二次元
    的に前記電子線の強度の分布を測定する機能を有し、前
    記偏向制御装置は、前記第1の偏向器によって前記電子
    線を一次元的に偏向する機能を備え、当該第1の偏向器
    は、前記エネルギフィルタの分散方向に対し垂直な方向
    に前記電子線の強度の分布が移動するように前記電子線
    を偏向することを特徴とする透過電子顕微鏡。
  16. 【請求項16】請求項12乃至15において、前記第
    1,第2、及び第3の偏向器の内、少なくとも1つの偏
    向を周期的に行うと共に、その周波数が電源の周波数の
    自然数分の1であるこことを特徴とする透過電子顕微
    鏡。
  17. 【請求項17】請求項10において、前記偏向制御装置
    から、前記第1または第2の偏向器に与えられる偏向信
    号は鋸歯状波あるいは三角波であることを特徴とする透
    過電子顕微鏡。
  18. 【請求項18】請求項12,13、または15におい
    て、前記電子レンズ、或いは結像光学系は非点収差調整
    手段を備えられ、当該手段によって前記電子線、或いは
    透過電子線を線状に形成することを特徴とする透過電子
    顕微鏡。
  19. 【請求項19】請求項18において、前記非点収差補正
    手段は、電子レンズ、或いは結像光学系の非点補正量を
    少なくとも2以上設定するための設定手段を備えてなる
    ことを特徴とする透過電子顕微鏡。
  20. 【請求項20】請求項18において、前記非点収差補正
    手段の非点補正量は、前記結像光学系のレンズ電流の組
    み合わせ毎に設定されていることを特徴とする透過電子
    顕微鏡。
  21. 【請求項21】請求項18において、前記非点収差補正
    手段の非点補正量は、前記検出器上の二次元的な前記電
    子線の強度分布の一辺の長さと方向に基づいて設定され
    ることを特徴とする透過電子顕微鏡。
  22. 【請求項22】請求項18において、前記第1の偏向器
    による電子線の走査と前記第2の偏向器による前記電子
    線の振り戻しと、前記第3の偏向器による電子線の走査
    を共に行い、前記第1の偏向器の偏向によって前記電子
    線が移動しても、前記電子線が前記エネルギフィルタ上
    で同じ場所に来るように前記第2の偏向器の偏向量を設
    定し、かつ前記第3の偏向器による前記検出器上の走査
    により、前記二次元的に前記な強度の分布を反映した二
    次元画像を形成する手段を備えてなることを特徴とする
    透過電子顕微鏡。
  23. 【請求項23】請求項10乃至25において、前記エネ
    ルギフィルタを通過した電子線を結像する結像光学系の
    レンズ電流の組み合わせを少なくとも2以上記憶する手
    段を備えていることを特徴とする透過電子顕微鏡。
  24. 【請求項24】請求項1において、前記電子源は前記電
    子線を加速させるための加速電極を備え、当該加速電極
    に印加する加速電圧を設定するための電源を備え、当該
    電源はオフセット電圧を重畳する機能を備えてなること
    を特徴とする透過電子顕微鏡。
  25. 【請求項25】請求項24において、前記エネルギフィ
    ルタと前記検出器の間に配置される第3の偏向器と、前
    記エネルギフィルタを通過した電子線を拡大投影する結
    像光学系とを備え、前記オフセット電圧を重畳する際
    に、前記電子レンズと前記結像光学系に印加されるレン
    ズ電流と、前記各偏向器に与えられる磁界形偏向コイル
    のコイル電流、或いは静電形偏向器の電界強度を、前記
    試料上の電子線の位置と大きさが変化しないように調節
    する手段を備えたことを特徴とする透過電子顕微鏡。
  26. 【請求項26】請求項25において、前記電子レンズ、
    或いは前記結像光学系に印加されるレンズ電流を±0.
    01A 以下の範囲で変化させ、前記検出器で最大の値
    を検出したときの前記レンズ電流を検出する手段を備え
    たことを特徴とする透過電子顕微鏡。
  27. 【請求項27】電子源と、該電子源から射出された電子
    線を収束する収束レンズと、該収束レンズで収束された
    電子線を試料上で走査する第1の走査偏向器と、前記試
    料を透過した電子線を検出する電子線検出器を備えた透
    過電子顕微鏡において、前記試料と前記電子線検出器の
    間に配置され、前記試料を透過した電子線をエネルギ分
    光するエネルギフィルタと、前記収束レンズと前記エネ
    ルギフィルタの間に配置され、前記エネルギフィルタの
    入力像面上で前記電子線を所定位置に位置づけるように
    偏向する第2の偏向器を備えたことを特徴とする透過電
    子顕微鏡。
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