JP2000119527A - 電気、電子部品材料用組成物および電気、電子部品材料 - Google Patents

電気、電子部品材料用組成物および電気、電子部品材料

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JP2000119527A
JP2000119527A JP11228191A JP22819199A JP2000119527A JP 2000119527 A JP2000119527 A JP 2000119527A JP 11228191 A JP11228191 A JP 11228191A JP 22819199 A JP22819199 A JP 22819199A JP 2000119527 A JP2000119527 A JP 2000119527A
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vinyl polymer
electric
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polymer
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Masayuki Fujita
雅幸 藤田
Nobuhiro Hasegawa
伸洋 長谷川
Kenichi Kitano
健一 北野
Yoshiki Nakagawa
佳樹 中川
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 一液化が可能であり、加工性、電気特性、耐
熱性、耐候性および耐水性などに優れた電気、電子部品
材料用組成物、並びにそれを硬化してなる電気、電子部
品材料を提供する。 【解決手段】 一般式(1)で表される架橋性シリル基
を少なくとも1個有するビニル系重合体を主成分とする
電気、電子部品材料用組成物。 −[Si(R12-b (Y)b O]m −Si(R23-a (Y)a (1)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気、電子部品材
料用組成物および電気、電子部品材料に関する。さらに
詳しくは、ケイ素原子に結合した水酸基または加水分解
性基を有し、シロキサン結合を形成することにより架橋
し得るケイ素含有基(以下、架橋性シリル基とも言う)
を少なくとも一個有するビニル系重合体を含有してなる
電気、電子部品材料用組成物および該組成物を硬化させ
てなる電気、電子部品材料に関する。
【0002】
【従来の技術】電気、電子部品材料用組成物としては、
各種の硬化性樹脂が広範な用途に用いられている。例え
ば、半導体封止用樹脂、回転用含浸樹脂、絶縁用ワニ
ス、プリント配線基板用絶縁材料、プリント配線基板用
含浸樹脂、電子部品用コーティング剤、電子部品用ポッ
ティング剤、電気、電子部品用接着剤、電子部品放熱用
コンパウンドなどの用途には、エポキシ樹脂、イミド樹
脂、アミドイミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェ
ノール樹脂などの硬化性樹脂が用いられている。しかし
ながらこれらの硬化性樹脂は、概ね加熱して加工するこ
とが必要であるために、加工行程が複雑になり、高温に
弱い部品の場合には使用できないなどの問題があった。
【0003】架橋性の液状シリコーンゴムは、加熱する
必要がないためこのような問題がなく、また硬い樹脂を
用いた場合に線膨張率の違いからボンディング線の切断
などの悪影響を及ぼすなどの点から、ゴム状の硬化物が
必要な場合に用いられている。しかしながら、製品中の
低分子量シリコーン化合物が電気接点障害を引き起こす
など電気特性上問題があった。これを防ぐために製品中
の低分子量シリコーン含有量を低減した電気接点障害対
策用の製品が上市されているが、製造に手間がかかり高
価なものになるという問題があった。
【0004】特開平1−165648号公報には、低分
子シリコーンを含有しないので電気特性上問題がないと
して、架橋性ケイ素基を有する飽和炭化水素系重合体を
用いることが提案されている。しかしながら、これを主
成分とする電気、電子部品材料用組成物は、粘度が高い
ため取り扱いに不便であり、また樹脂の透湿性が低いこ
とから架橋による硬化反応の進行が著しく遅いので一液
化は困難であるという問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述の現状
に鑑みて、一液化が可能であり、加工性、電気特性、耐
熱性、耐候性および耐水性などに優れた電気、電子部品
材料用組成物、並びにそれを硬化してなる電気、電子部
品材料を提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、一般式(1)
で表される架橋性シリル基を少なくとも1個有するビニ
ル系重合体を主成分とする電気、電子部品材料用組成物
である。 −[Si(R12-b (Y)b O]m −Si(R23-a (Y)a (1) 式中、R1 およびR2 はいずれも炭素数1〜20のアル
キル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20
のアラルキル基、または(R’)3 SiO−で表される
トリオルガノシロキシ基を示す。R’は炭素数1〜20
の1価の炭化水素基を示す。複数のR’は同一であって
もよく、異なっていてもよい。R1 またはR2 がそれぞ
れ2個以上存在するとき、それらは同一であってもよ
く、異なっていてもよい。Yは水酸基または加水分解性
基を示す。Yが2個以上存在するとき、それらは同一で
あってもよく、異なっていてもよい。aは0、1、2、
または3を示す。bは0、1、または2を示す。mは0
〜19の整数を示す。ただし、a+mb≧1であること
を満足する。
【0007】本発明はまた、上記電気、電子部品材料用
組成物を硬化させて得られる電気、電子部品材料でもあ
る。以下に、本発明を詳述する。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の電気、電子部品材料用組
成物は、上記一般式(1)で表される架橋性シリル基を
少なくとも1個有するビニル系重合体を主成分とする。
【0009】上記一般式(1)において、R1 およびR
2 は、いずれも炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6
〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、
または(R’)3 SiO−で表されるトリオルガノシロ
キシ基を示す。R’は炭素数1〜20の1価の炭化水素
基を示す。複数のR’は同一であってもよく、異なって
いてもよい。R1 またはR2 がそれぞれ2個以上存在す
るとき、それらは同一であってもよく、異なっていても
よい。
【0010】上記一般式(1)において、Yは、水酸基
または加水分解性基を示す。Yが2個以上存在すると
き、それらは同一であってもよく、異なっていてもよ
い。Yの総和は1〜5個の範囲が好ましい。
【0011】上記加水分解性基としては特に限定され
ず、例えば水素、ハロゲン原子、アルコキシル基、アシ
ルオキシル基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド
基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ
基等を挙げることができる。これらのうち加水分解性が
マイルドで取り扱いやすいという点から、アルコキシル
基が好ましい。
【0012】上記一般式(1)において、aは0、1、
2または3を示し、bは0、1または2を示し、mは整
数を示す。Yは1個のケイ素原子に1〜3個の範囲で結
合することができる。a、bおよびmは、a+mb≧1
を満足する。すなわち、上記一般式(1)中に少なくと
も1個のYを含む。
【0013】上記架橋性シリル基を構成するケイ素原子
は、1個存在していてもよく、2個以上存在していても
よい。シロキサン結合により連結されたケイ素原子の場
合は20個程度まであってもよいことからmは0〜19
であることが好ましい。
【0014】上記架橋性シリル基を少なくとも1個有す
るビニル系重合体の主鎖を構成するモノマーとしては特
に限定されず、各種のものを用いることができる。例え
ば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、
(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−
プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)
アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチ
ル、(メタ)アクリル酸−tert−ブチル、(メタ)
アクリル酸−n−ペンチル、(メタ)アクリル酸−n−
ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メ
タ)アクリル酸−n−ヘプチル、(メタ)アクリル酸−
n−オクチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシ
ル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デ
シル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル
酸フェニル、(メタ)アクリル酸トルイル、(メタ)ア
クリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸−2−メトキシ
エチル、(メタ)アクリル酸−3−メトキシプロピル、
(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)
アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリ
ル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メ
タ)アクリル酸2−アミノエチル、γ−(メタクリロイ
ルオキシプロピル)トリメトキシシラン、(メタ)アク
リル酸のエチレンオキサイド付加物、(メタ)アクリル
酸トリフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−
トリフルオロメチルエチル、(メタ)アクリル酸−2−
パーフルオロエチルエチル、(メタ)アクリル酸−2−
パーフルオロエチル−2−パーフルオロブチルエチル、
(メタ)アクリル酸−2−パーフルオロエチル、(メ
タ)アクリル酸パーフルオロメチル、(メタ)アクリル
酸ジパーフルオロメチルメチル、(メタ)アクリル酸−
2−パーフルオロメチル−2−パーフルオロエチルメチ
ル、(メタ)アクリル酸−2−パーフルオロヘキシルエ
チル、(メタ)アクリル酸−2−パーフルオロデシルエ
チル、(メタ)アクリル酸−2−パーフルオロヘキサデ
シルエチル等の(メタ)アクリル酸系モノマー;スチレ
ン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、クロルスチ
レン、スチレンスルホン酸及びその塩等のスチレン系モ
ノマー;パーフルオロエチレン、パーフルオロプロピレ
ン、フッ化ビニリデン等のフッ素含有ビニルモノマー;
ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン
等のケイ素含有ビニル系モノマー;無水マレイン酸、マ
レイン酸、マレイン酸のモノアルキルエステル及びジア
ルキルエステル;フマル酸、フマル酸のモノアルキルエ
ステル及びジアルキルエステル;マレイミド、メチルマ
レイミド、エチルマレイミド、プロピルマレイミド、ブ
チルマレイミド、ヘキシルマレイミド、オクチルマレイ
ミド、ドデシルマレイミド、ステアリルマレイミド、フ
ェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等のマレ
イミド系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニト
リル等のニトリル基含有ビニル系モノマー;アクリルア
ミド、メタクリルアミド等のアミド基含有ビニル系モノ
マー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビ
ニル、安息香酸ビニル、桂皮酸ビニル等のビニルエステ
ル類;エチレン、プロピレン等のアルケン類;ブタジエ
ン、イソプレン等の共役ジエン類;塩化ビニル、塩化ビ
ニリデン、塩化アリル、アリルアルコール等を挙げるこ
とができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上
を併用してもよい。なお上記表現形式で例えば(メタ)
アクリル酸とは、アクリル酸および/あるいはメタクリ
ル酸を示す。
【0015】上記ビニル系重合体としては、物性面か
ら、上記のモノマーのうち(メタ)アクリル酸系モノマ
ーを40重量%以上用いて合成することにより得られる
(メタ)アクリル系重合体が好ましい。
【0016】上記架橋性シリル基を少なくとも1個有す
るビニル系重合体の分子量は、特に限定されないが、5
00〜100000の範囲にあるのが好ましい。分子量
が500未満であると、ビニル系重合体の本来の特性が
発現されにくく、また、100000を超えると、取り
扱いが困難になる。
【0017】上記ビニル系重合体の分子量分布、すなわ
ち重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比
(Mw/Mn)については特に制限はない。しかし、電
気、電子部品材料用組成物とした際の粘度を低く抑えて
取扱いを容易にし、なおかつ十分な硬化物物性を得るた
めには、分子量分布は狭いのが好ましい。分子量分布の
値としては1.8未満が好ましく、より好ましくは1.
7以下、さらに好ましくは1.6以下、さらに好ましく
は1.5以下、さらに好ましくは1.4以下、さらに好
ましくは1.3以下である。分子量分布の測定は、ゲル
パーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定
するのが最も一般的である。移動相としてはクロロホル
ムやTHFを、カラムとしてはポリスチレンゲルカラム
を用い、数平均分子量等はポリスチレン換算で求めるこ
とができる。
【0018】通常のフリーラジカル重合を用いた場合、
得られる重合体の分子量分布が一般的には2以上と広
く、粘度が高くて取り扱いが困難であるという問題があ
った。そこで上記ビニル系重合体の合成では、分子量分
布が狭く粘度が低いので、組成物としての加工性に優れ
たビニル系重合体が得られる、リビングラジカル重合法
を用いるのが好ましい。
【0019】架橋性シリル基を少なくとも1個有するビ
ニル系重合体は、種々の重合法により得ることができ、
その方法は特に限定されない。しかし、モノマーの汎用
性および制御の容易性の点から、ラジカル重合法により
主鎖に直接架橋性シリル基を導入する方法、および、1
段階あるいは数段階の反応で架橋性シリル基に変換でき
る特定の官能基を有するビニル系重合体をラジカル重合
法により得た後、この特定の官能基を架橋性シリル基に
変換する方法が好ましい。
【0020】架橋性シリル基を含む特定の官能基を有す
るビニル系重合体を合成する方法において用いられるラ
ジカル重合法は、重合開始剤としてアゾ系化合物、過酸
化物などを用いて、特定の官能基を有するモノマーとビ
ニル系モノマーとを単に共重合させる「一般的なラジカ
ル重合法」と末端などの制御された位置に特定の官能基
を導入することが可能な「制御ラジカル重合法」に分類
することができる。
【0021】「一般的なラジカル重合法」は簡便な方法
であるが、この方法では特定の官能基を有するモノマー
は確率的にしか重合体中に導入されないので、官能化率
の高い重合体を得ようとした場合には、このモノマーを
かなり大量に使う必要があり、逆に少量使用ではこの特
定の官能基が導入されない重合体の割合が大きくなると
いう問題点がある。またフリーラジカル重合であるた
め、分子量分布が広く粘度の高い重合体しか得られない
という問題点もある。
【0022】「制御ラジカル重合法」は、更に、特定の
官能基を有する連鎖移動剤を用いて重合をおこなうこと
により末端に官能基を有するビニル系重合体が得られる
「連鎖移動剤法」と重合生長末端が停止反応などを起こ
さずに生長することによりほぼ設計どおりの分子量の重
合体が得られる「リビングラジカル重合法」とに分類す
ることができる。
【0023】「連鎖移動剤法」は、官能化率の高い重合
体を得ることが可能であるが、開始剤に対してかなり大
量の特定の官能基を有する連鎖移動剤が必要であり、処
理も含めて経済面で問題がある。また上記の「一般的な
ラジカル重合法」と同様、フリーラジカル重合であるた
め分子量分布が広く、粘度の高い重合体しか得られない
という問題点もある。
【0024】これらの重合法とは異なり、「リビングラ
ジカル重合法」は、重合速度が高く、ラジカル同士のカ
ップリングなどによる停止反応が起こりやすいため制御
の難しいとされるラジカル重合でありながら、停止反応
が起こりにくく、分子量分布の狭い(Mw/Mnが1.
1〜1.5程度)重合体が得られるとともに、モノマー
と開始剤の仕込み比によって分子量は自由にコントロー
ルすることができる。
【0025】従って「リビングラジカル重合法」は、分
子量分布が狭く、粘度が低い重合体を得ることができる
上に、特定の官能基を有するモノマーを重合体のほぼ任
意の位置に導入することができるため、上記特定の官能
基を有するビニル系重合体の製造方法としてはより好ま
しいものである。
【0026】なお、リビング重合とは狭義においては、
末端が常に活性を持ち続けて分子鎖が生長していく重合
のことをいうが、一般には、末端が不活性化されたもの
と活性化されたものが平衡状態にありながら生長してい
く擬リビング重合も含まれる。本発明における定義も後
者である。
【0027】「リビングラジカル重合法」は近年様々な
グループで積極的に研究がなされている。その例として
は、たとえばジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル
ソサエティー(J.Am.Chem.Soc.)、19
94年、116巻、7943頁に示されるようなコバル
トポルフィリン錯体を用いるもの、マクロモレキュール
ズ(Macromolecules)、1994年、2
7巻、7228頁に示されるようなニトロキシド化合物
などのラジカル捕捉剤を用いるもの、有機ハロゲン化物
等を開始剤とし遷移金属錯体を触媒とする「原子移動ラ
ジカル重合」(Atom Transfer Radic
al Polymerization:ATRP)など
があげられる。
【0028】「リビングラジカル重合法」の中でも、有
機ハロゲン化物あるいはハロゲン化スルホニル化合物等
を開始剤、遷移金属錯体を触媒としてビニル系モノマー
を重合する「原子移動ラジカル重合法」は、上記の「リ
ビングラジカル重合法」の特徴に加えて、官能基変換反
応に比較的有利なハロゲン等を末端に有し、開始剤や触
媒の設計の自由度が大きいことから、特定の官能基を有
するビニル系重合体の製造方法としてはさらに好まし
い。この原子移動ラジカル重合法としては例えばMat
yjaszewskiら、ジャーナル・オブ・アメリカ
ン・ケミカルソサエティー(J.Am.Chem.So
c.)1995年、117巻、5614頁、マクロモレ
キュールズ(Macromolecules)1995
年、28巻、7901頁、サイエンス(Scienc
e)1996年、272巻、866頁、WO96/30
421号公報、WO97/18247号公報あるいはS
awamotoら、マクロモレキュールズ(Macro
molecules)1995年、28巻、1721頁
などが挙げられる。
【0029】上記原子移動ラジカル重合の開始剤として
は特に限定されず、例えば有機ハロゲン化物、特に反応
性の高い炭素−ハロゲン結合を有する有機ハロゲン化物
あるいはハロゲン化スルホニル化合物等を挙げることが
できる。上記の特に反応性の高い炭素−ハロゲン結合を
有する有機ハロゲン化物としては、例えば、α位にハロ
ゲンを有するカルボニル化合物や、ベンジル位にハロゲ
ンを有する化合物等を挙げることができる。これらは単
独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0030】上記原子移動ラジカル重合の触媒として用
いられる遷移金属錯体としては特に限定されず、例え
ば、周期表第7族、8族、9族、10族、11族元素を
中心金属とする錯体等を挙げることができる。好ましい
ものとしては、0価の銅、1価の銅、2価のルテニウ
ム、2価の鉄又は2価のニッケルの錯体が挙げることが
できる。なかでも、銅の錯体がより好ましい。
【0031】上記1価の銅化合物としては特に限定され
ず、例えば、塩化第一銅、臭化第一銅、ヨウ化第一銅、
シアン化第一銅、酸化第一銅、過塩素酸第一銅等を挙げ
ることができる。銅化合物を用いる場合、触媒活性を高
めるために2,2’−ビピリジル及びその誘導体、1,
10−フェナントロリン及びその誘導体、テトラメチル
エチレンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミ
ン、ヘキサメチルトリス(2−アミノエチル)アミン等
のポリアミン等の配位子が添加される。
【0032】また、2価の塩化ルテニウムのトリストリ
フェニルホスフィン錯体(RuCl2(PPh33
も触媒として好適である。ルテニウム化合物を触媒とし
て用いる場合は、活性化剤としてアルミニウムアルコキ
シド類が添加される。更に、2価の鉄のビストリフェニ
ルホスフィン錯体(FeCl2 (PPh32 )、2価
のニッケルのビストリフェニルホスフィン錯体(NiC
2 (PPh32 )、及び、2価のニッケルのビスト
リブチルホスフィン錯体(NiBr2 (PBu32
も、触媒として好適である。
【0033】上記重合反応は、無溶剤又は各種の溶剤中
で行うことができる。上記溶剤としては特に限定され
ず、例えば、ベンゼン、トルエン等の炭化水素系溶媒;
ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系
溶媒;塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化
水素系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイ
ソブチルケトン等のケトン系溶媒;メタノール、エタノ
ール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブチルア
ルコール、tert−ブチルアルコール等のアルコール
系溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニ
トリル等のニトリル系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等
のエステル系溶媒;エチレンカーボネート、プロピレン
カーボネート等のカーボネート系溶媒等を挙げることが
できる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併
用してもよい。
【0034】また上記原子移動ラジカル重合は、0〜2
00℃の範囲で行うことができる。好ましくは、室温〜
150℃の範囲である。
【0035】次に、上記一般式(1)で示される架橋性
シリル基を少なくとも1個有するビニル系重合体は、以
下の(A)〜(E)の方法において具体的に例示して説
明するがこれらに限定されるものではない。 (A)ヒドロシリル化触媒存在下で、アルケニル基を少
なくとも1個有するビニル系重合体に、架橋性シリル基
を有するヒドロシラン化合物を付加させる方法。 (B)水酸基を少なくとも1個有するビニル系重合体
に、架橋性シリル基およびイソシアネート基等の水酸基
と反応し得る官能基を併せ持つ化合物を反応させる方
法。 (C)ラジカル重合によりビニル系重合体を合成する際
に、所定のビニル系モノマーとともに、重合性のアルケ
ニル基および架橋性シリル基を併せ持つ化合物をも反応
させる方法。 (D)ラジカル重合によりビニル系重合体を合成する際
に、架橋性シリル基を有する連鎖移動剤を用いる方法。 (E)反応性の高い炭素−ハロゲン結合を少なくとも1
個有するビニル系重合体に1分子中に架橋性シリル基と
安定なカルバニオンを有する化合物を反応させる方法。
【0036】上記合成法(A)において用いられるアル
ケニル基を少なくとも1個有するビニル系重合体の合成
方法としては特に限定されず、例えば次に述べる(A−
a)〜(A−j)の方法などを挙げることができる。
【0037】(A−a)ラジカル重合によりビニル系重
合体を合成する際に、所定のビニル系モノマーととも
に、下記一般式(2)等で表される一分子中に重合性の
アルケニル基および重合性の低いアルケニル基を併せ持
つ化合物をも反応させる方法。H 2 C=C(R3 )−R4 −R5 −C(R6 )=CH2 (2) 式中、R3 は水素またはメチル基を示す。R4 は−C
(O)O−、またはo−,m−もしくはp−フェニレン
基を示す。R5 は直接結合、または1個以上のエーテル
結合を有していてもよい炭素数1〜20の2価の有機基
を示す。R6 は水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭
素数6〜10のアリール基または炭素数7〜10のアラ
ルキル基を示す。
【0038】なお、上記重合性のアルケニル基および重
合性の低いアルケニル基を併せ持つ化合物を反応させる
時期としては特に制限はないが、得られる架橋体にゴム
的な性質を期待する場合には、リビングラジカル重合
で、重合反応の終期あるいは所定のモノマーの反応終了
後に、第2のモノマーとして反応させるのが好ましい。
【0039】(A−b)リビングラジカル重合によりビ
ニル系重合体を合成する際に、重合反応の終期あるいは
所定のモノマーの反応終了後に、1,5−ヘキサジエ
ン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエンなどの
重合性の低いアルケニル基を少なくとも2個有する化合
物を第2のモノマーとして反応させる方法。
【0040】以下の(A−c)〜(A−f)の方法は、
反応性の高い炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個有す
る重合体から、上記アルケニル基を少なくとも1個有す
る重合体を得る方法である。なお、上記反応性の高い炭
素−ハロゲン結合を少なくとも1個有する重合体は、後
述する(E−a)および(E−b)の方法により得るこ
とができる。
【0041】(A−c)反応性の高い炭素−ハロゲン結
合を少なくとも1個有するビニル系重合体に、アリルト
リブチル錫、アリルトリオクチル錫などの有機錫に代表
されるアルケニル基含有有機金属化合物を反応させて、
上記ハロゲンをアルケニル基含有置換基に置換する方
法。
【0042】(A−d)反応性の高い炭素−ハロゲン結
合を少なくとも1個有するビニル系重合体に、下記一般
式(3)等で表されるアルケニル基を有する安定化カル
バニオンを反応させてハロゲンを置換する方法。 M+- (R7 )(R8 )−R9 −C(R6 )=CH2 (3) 式中、R6 は上述したものと同様である。R7 およびR
8 はともにカルバニオンC- を安定化する電子吸引基、
または一方が上記電子吸引基で他方が水素または炭素数
1〜10のアルキル基もしくはフェニル基を示す。R9
は直接結合、または1個以上のエーテル結合を含んでい
てもよい炭素数1〜10の2価の有機基を示す。M+
アルカリ金属イオン、または4級アンモニウムイオンを
示す。R7、R8 の電子吸引基としては、−CO2 R、
−C(O)Rおよび−CNの構造を有するものが好まし
い。ここでRは水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭
素数6〜10のアリール基または炭素数7〜10のアラ
ルキル基を示す。
【0043】(A−e)反応性の高い炭素−ハロゲン結
合を少なくとも1個有するビニル系重合体に、亜鉛等の
金属単体又は有機金属化合物を作用させて調製したエノ
レートアニオンに、ハロゲンやアセチル基等の脱離基を
有するアルケニル基含有化合物、アルケニル基含有カル
ボニル化合物、アルケニル基含有イソシアネート化合
物、アルケニル基含有酸ハロゲン化物等のアルケニル基
含有求電子化合物を反応させる方法。
【0044】(A−f)反応性の高い炭素−ハロゲン結
合を少なくとも1個有するビニル系重合体に、下記一般
式(4)等で表されるアルケニル基含有オキシアニオン
又は下記一般式(5)等で表されるアルケニル基含有カ
ルボキシレートアニオンを反応させて、上記ハロゲンを
アルケニル基含有置換基に置換する方法。 H2 C=C(R6 )−R10−O-+ (4) 式中、R6 、M+ は上述したものと同様である。R
10は、1個以上のエーテル結合を含んでいてもよい炭素
数1〜20の2価の有機基を示す。 H2 C=C(R6 )−R11−C(O)O-+ (5) 式中、R6 、M+ は上述したものと同様である。R11
直接結合、または1個以上のエーテル結合を含んでいて
もよい炭素数1〜20の2価の有機基を示す。
【0045】更に、上記アルケニル基を少なくとも1個
有するビニル系重合体は、水酸基を少なくとも1個有す
るビニル系重合体から得ることもできるが、具体的な方
法としては特に限定されず、例えば下記の(A−g)〜
(A−j)の方法等を挙げることができる。なお上記水
酸基を少なくとも1個有するビニル系重合体は後述する
(B−a)〜(B−i)の方法により得ることができ
る。
【0046】(A−g)水酸基を少なくとも1個有する
ビニル系重合体の水酸基に、水酸化ナトリウム、ナトリ
ウムメトキシド等の塩基を作用させた後に、塩化アリル
のようなアルケニル基含有ハロゲン化物と反応させる方
法。
【0047】(A−h)水酸基を少なくとも1個有する
ビニル系重合体をアリルイソシアネート等のアルケニル
基含有イソシアネート化合物と反応させる方法。
【0048】(A−i)ピリジン等の塩基存在下で、水
酸基を少なくとも1個有するビニル系重合体を(メタ)
アクリル酸クロリド等のアルケニル基含有酸ハロゲン化
物と反応させる方法。
【0049】(A−j)酸触媒の存在下で、水酸基を少
なくとも1個有するビニル系重合体をアクリル酸等のア
ルケニル基含有カルボン酸と反応させる方法。
【0050】上記アルケニル基を少なくとも1個有する
ビニル系重合体の合成方法においては、上述した(A−
a)および(A−b)の方法等の、アルケニル基を導入
するに際してハロゲン原子が直接関与しない場合、リビ
ングラジカル重合法を用いることが好ましい。この場合
制御がより容易である点から(A−b)の方法がさらに
好ましい。開始剤の汎用性が高いことからリビングラジ
カル重合法の中でも原子移動ラジカル重合法がさらに好
ましい。
【0051】一方、上述した(A−c)〜(A−f)の
方法等の、反応性の高い炭素−ハロゲン結合を少なくと
も1個有するビニル系重合体のハロゲンを変換すること
によりアルケニル基を導入する場合、有機ハロゲン化
物、またはハロゲン化スルホニル化合物等を開始剤、遷
移金属錯体を触媒として用いるラジカル重合(原子移動
ラジカル重合法)により得られる、末端に反応性の高い
炭素―ハロゲン結合を少なくとも1個有するビニル系重
合体を用いるのが好ましい。制御がより容易である点か
ら(A−f)の方法がより好ましい。
【0052】上記合成方法(A)において用いられる、
架橋性シリル基を有するヒドロシラン化合物としては特
に限定されず、例えば下記一般式(6)で示される化合
物等を挙げることができる。 H−[Si(R12-b (Y)b O]m −Si(R23-a (Y)a (6) 式中、R1 、R2 、a、b、mおよびYは上述したもの
と同様である。中でも入手容易な点から、下記一般式
(7)で表される化合物が好ましく用いられる。 H−Si(R23-a (Y)a (7) 式中、R2 、Yおよびaは上述したものと同様である。
【0053】上記合成法(A)において、上記架橋性シ
リル基を有するヒドロシラン化合物を上記重合体のアル
ケニル基に付加させる際には、通常、ヒドロシリル化触
媒として遷移金属触媒が用いられる。
【0054】上記遷移金属触媒としては特に限定され
ず、例えば、白金単体、アルミナ、シリカ、カーボンブ
ラック等の担体に白金固体を分散させたもの;塩化白金
酸;塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトン等と
の錯体;白金−オレフィン錯体、白金(0)−ジビニル
テトラメチルジシロキサン錯体;RhCl(PPh3
3、RhCl3 、RuCl3 、IrCl3 、FeCl
3 、AlCl3 、PdCl2・H2 O、NiCl2 、T
iCl4 等の白金化合物以外の化合物等を挙げることが
できる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用
してもよい。
【0055】上記合成方法(B)において、更には上記
方法(A−g)〜(A−j)においても用いられる、水
酸基を少なくとも1個有するビニル系重合体の合成方法
としては特に限定されず、例えば次に述べる(B−a)
〜(B−i)の方法等を挙げることができる。
【0056】(B−a)ラジカル重合によりビニル系重
合体を合成する際に、所定のビニル系モノマーとともに
下記の一般式(8)等で表される重合性のアルケニル基
および水酸基を併せ持つ化合物をも反応させる方法。 H2 C=C(R3 )−R4 −R5 −OH (8) 式中、R3 、R4 およびR5 は上述したものと同様であ
る。
【0057】なお、上記重合性のアルケニル基および水
酸基を併せ持つ化合物を反応させる時期としては特に限
定されないが、得られる架橋体にゴム的な性質を期待す
る場合には、リビングラジカル重合で、重合反応の終期
あるいは所定のモノマーの反応終了後に、第2のモノマ
ー成分として反応させるのが好ましい。
【0058】(B−b)リビングラジカル重合によりビ
ニル系重合体を合成する際に、重合反応の終期あるいは
所定のモノマーの反応終了後に、例えば10−ウンデセ
ノール、5−ヘキセノール、アリルアルコールのような
アルケニルアルコールを反応させる方法。
【0059】(B−c)特開平5−262808号公報
等に開示されているような方法で、水酸基含有ポリスル
フィド等の水酸基含有連鎖移動剤を多量に用いて上述の
ビニル系モノマーをラジカル重合させる方法。
【0060】(B−d)特開平6−239912号公
報、特開平8−283310号公報等に開示されている
方法で、過酸化水素あるいは水酸基含有開始剤を用いて
上記ビニル系モノマーをラジカル重合させる方法。
【0061】(B−e)特開平6−116312号公報
等に開示されている方法で、アルコール類を過剰に用い
てビニル系モノマーをラジカル重合させる方法。
【0062】(B−f)特開平4−132706号公報
等に開示されている方法で、反応性の高い炭素−ハロゲ
ン結合を少なくとも1個有するビニル系重合体のハロゲ
ンを加水分解あるいは水酸基含有化合物と反応させるこ
とにより、末端に水酸基を導入する方法。
【0063】(B−g)反応性の高い炭素−ハロゲン結
合を少なくとも1個有するビニル系重合体に、下記一般
式(9)等で表される、水酸基を有する安定化カルバニ
オンを反応させて、上記ハロゲンを水酸基含有置換基に
置換する方法。 M+- (R7 )(R8 )−R9 −OH (9) 式中、R7 、R8 およびR9 は上述したものと同様であ
る。R7 およびR8 の電子吸引基としては、−CO2
R、−C(O)Rおよび−CNの構造を有するものが特
に好ましい。ここでRは上述したものと同様である。
【0064】(B−h)反応性の高い炭素−ハロゲン結
合を少なくとも1個有するビニル系重合体に、亜鉛等の
金属単体あるいは有機金属化合物を作用させて調製した
エノレートアニオンに、アルデヒド類、又はケトン類を
反応させる方法。
【0065】(B−i)反応性の高い炭素−ハロゲン結
合を少なくとも1個有するビニル系重合体に、下記一般
式(10)等で表される水酸基含有オキシアニオン又は
下記一般式(11)等で表されるに示される水酸基含有
カルボキシレートアニオンを反応させて、上記ハロゲン
を水酸基含有置換基に置換する方法。 HO−R10−O-+ (10) 式中、R10およびM+ は上述したものと同様である。 HO−R11−C(O)O-+ (11) 式中、R11およびM+ は上述したものと同様である。
【0066】上記水酸基を少なくとも1個有するビニル
系重合体の合成方法においては、上述した(B−a)〜
(B−e)等の水酸基を導入するに際してハロゲン原子
が直接関与しない場合、リビングラジカル重合法を用い
ることが好ましい。この場合制御がより容易である点か
ら(B−b)の方法がより好ましい。。開始剤の汎用性
が高いことからリビングラジカル重合法の中でも原子移
動ラジカル重合法がさらに好ましい。
【0067】また、上述した(B−f)〜(B−i)の
方法等の、反応性の高い炭素−ハロゲン結合を少なくと
も1個有するビニル系重合体のハロゲンを変換すること
により水酸基を導入する場合には、有機ハロゲン化物ま
たはハロゲン化スルホニル化合物等を開始剤、遷移金属
錯体を触媒として用いるラジカル重合(原子移動ラジカ
ル重合法)により得られる、末端に反応性の高い炭素−
ハロゲン結合を少なくとも1個有するビニル系重合体を
用いるのが好ましい。この場合制御がより容易である点
から(B−i)の方法がより好ましい。
【0068】上記合成方法(B)において用いられる、
架橋性シリル基およびイソシアネート基等の水酸基と反
応し得る官能基を合わせ持つ化合物としては特に限定さ
れず、例えばγ−イソシアナートプロピルトリメトキシ
シラン、γ−イソシアナートプロピルメチルジメトキシ
シラン、γ−イソシアナートプロピルトリエトキシシラ
ン等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよ
く、2種以上を併用してもよい。
【0069】また、上記合成方法(B)における反応の
際には、必要により公知のウレタン化反応の触媒を使用
することもできる。
【0070】上記合成方法(C)において用いられる重
合性のアルケニル基および架橋性シリル基を併せ持つ化
合物としては特に限定されず、例えばトリメトキシシリ
ルプロピル(メタ)アクリレート、メチルジメトキシシ
リルプロピル(メタ)アクリレート等の、下記一般式
(12)で表される化合物を用いることができる。 H2 C=C(R3 )−R4 −R12−[Si(R12-b (Y)b O]m − Si(R23-a (Y)a (12) 式中、R1 、R2 、R3 、R4 、Y、a、bおよびmは
上述したものと同様である。R12は、直接結合、または
1個以上のエーテル結合を含んでいてもよい炭素数1〜
20の2価の有機基を示す。これらは単独で用いてもよ
く、2種以上を併用してもよい。
【0071】上記合成方法(C)において、上記重合性
のアルケニル基および架橋性シリル基を併せ持つ化合物
を反応させる時期は特に限定されないが、得られる架橋
体にゴム的な性質を期待する場合には、リビングラジカ
ル重合で、重合反応の終期または所定のモノマーの反応
終了後に、第2のモノマーとして反応させるのが好まし
い。
【0072】上記合成方法(D)において用いられる、
架橋性シリル基を有する連鎖移動剤としては特に限定さ
れず、例えば特公平3−14068号公報、特公平4−
55444号公報等に開示されているような、架橋性シ
リル基を有するメルカプタン、架橋性シリル基を有する
ヒドロシランなどを挙げることができる。
【0073】上記合成方法(E)において、更には上記
方法(A−c)〜(A−f)および(B−f)〜(B−
i)においても用いられる、反応性の高い炭素−ハロゲ
ン結合を少なくとも1個有するビニル系重合体の合成法
としては特に限定されず、例えば次に述べる(E−a)
および(E−b)の方法等を挙げることができる。
【0074】(E−a)特開平4−132706号公報
等に開示されている方法で、四塩化炭素、塩化エチレ
ン、四臭化炭素、臭化メチレン等のハロゲン化物を連鎖
移動剤として用いてラジカル重合をおこなう方法(連鎖
移動剤法)。
【0075】(E−b)有機ハロゲン化物またはハロゲ
ン化スルホニル化合物等を開始剤とし、遷移金属錯体を
触媒とする原子移動ラジカル重合法。
【0076】上記合成方法(E)において用いられる、
架橋性シリル基を有する安定化カルバニオンとしては特
に限定されず、下記一般式(13)で表される化合物等
を挙げることができる。 M+- (R7 )(R8 )−R13−C(H)(R14)−CH2 − [Si(R12-b (Y)b O]m −Si(R23-a (Y)a (13) 式中、R1 、R2 、R7 、R8 、Y、a、bおよびmは
上述したものと同様である。R13は、直接結合、または
1個以上のエーテル結合を含んでいてもよい炭素数1〜
20の2価の有機基を示す。R14は水素、または炭素数
1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリール基ま
たは炭素数7〜10のアラルキル基を示す。R7 および
8 の電子吸引基としては、−CO2 R、−C(O)R
および−CNの構造を有するものが好ましい。ここでR
は上述したものと同様である。
【0077】本発明の電気、電子部品材料用組成物をゴ
ム的な性質が特に要求される用途において用いる場合に
は、ゴム弾性に大きな影響を与える架橋点間分子量が大
きくとれるため、架橋性シリル基の少なくとも1個は分
子鎖の末端にあることが好ましく、全て分子鎖末端にあ
るのがさらに好ましい。
【0078】従って、上記架橋性シリル基の少なくとも
1個有するビニル系重合体を合成する際に用いる、水酸
基、ハロゲンあるいはアルケニル基を少なくとも1個有
するビニル系重合体は、これらの官能基が分子鎖の末端
に存在するものであることが好ましい。
【0079】上記架橋性シリル基を分子末端に少なくと
も1個有するビニル系重合体、中でも(メタ)アクリル
系重合体を製造する方法は、特公平3−14068号公
報、特公平4−55444号公報、特開平6−2119
22号公報等に開示されている。しかしながらこれらの
方法は上記「連鎖移動剤法」を用いたフリーラジカル重
合法であるので、得られる重合体は、架橋性シリル基を
比較的高い割合で分子鎖末端に有する一方で、Mw/M
nで表される分子量分布の値が一般に2以上と大きく、
粘度が高くなるという問題を有している。従って、分子
量分布が狭く、粘度の低いビニル系重合体であって、高
い割合で分子鎖末端に架橋性シリル基を有するビニル系
重合体を得るためには、上記「リビングラジカル重合
法」を用いることが好ましい。
【0080】上記「リビングラジカル重合法」の中でも
より好ましい「原子移動ラジカル重合法」を用いて、上
記架橋性シリル基を分子鎖末端に少なくとも1個有する
ビニル系重合体を得るためには、開始剤として、開始点
を2個以上有する有機ハロゲン化物またはハロゲン化ス
ルホニル化合物を用いることが好ましい。これにより得
られる反応性の高い炭素−ハロゲン結合を分子鎖末端に
少なくとも1個有するビニル系重合体は上述の方法によ
り、上記架橋性シリル基を分子鎖末端に少なくとも1個
有するビニル系重合体に容易に変更することができる。
【0081】上記開始点を2個以上有する有機ハロゲン
化物、またはハロゲン化スルホニル化合物としては特に
限定されず、例えば下記の化合物を挙げることができ
る。それらの具体例としては、 o−,m−,p−XCH2 −C64 −CH2 X、o
−,m−,p−CH3 C(H)(X)−C64 −C
(H)(X)CH3 、o−,m−,p−(CH32
(X)−C64 −C(X)(CH32 (ただし、上記式中、C64 はフェニレン基を示す。
Xは塩素、臭素、またはヨウ素を示す。)、 RO2 C−C(H)(X)−(CH2n −C(H)
(X)−CO2 R、RO2C−C(CH3 )(X)−
(CH2n −C(CH3 )(X)−CO2 R、RC
(O)−C(H)(X)−(CH2n −C(H)
(X)−C(O)R、RC(O)−C(CH3 )(X)
−(CH2n −C(CH3 )(X)−C(O)R (上記式中、Rは炭素数1〜20のアルキル基、アリー
ル基またはアラルキル基を示す。nは0〜20の整数を
示し、Xは塩素、臭素、ヨウ素を示す。)、 XCH2 −C(O)−CH2 X、H3 C−C(H)
(X)−C(O)−C(H)(X)−CH3 、(H3
C)2 C(X)−C(O)−C(X)(CH32 、C
65 C(H)(X)−(CH2n −C(H)(X)
65 (上記式中、Xは塩素、臭素またはヨウ素を示し、nは
0〜20の整数を示す。)、 XCH2 CO2 −(CH2n −OCOCH2 X、CH
3 C(H)(X)CO2−(CH2n −OCOC
(H)(X)CH3 、(CH32 C(X)CO2
(CH2n −OCOC(X)(CH32 (上記式中、nは1〜20の整数を示す。)、 XCH2 C(O)C(O)CH2 X、CH3 C(H)
(X)C(O)C(O)C(H)(X)CH3 、(CH
32 C(X)C(O)C(O)C(X)(CH3
2 、o−,m−,p−XCH2 CO2 −C64 −OC
OCH2 X、o−,m−,p−CH3 C(H)(X)C
2 −C64 −OCOC(H)(X)CH3、o−,
m−,p−(CH32 C(X)CO2 −C64 −O
COC(X)(CH32 、o−,m−,p−XSO2
−C64 −SO2 X (上記式中、Xは塩素、臭素、またはヨウ素を示す。) が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上
併用してもよい。
【0082】また架橋性シリル基を両分子鎖末端に有す
るビニル系重合体を得るためには、上記「原子移動ラジ
カル重合法」における開始剤として、開始点を2個有す
る有機ハロゲン化物またはハロゲン化スルホニル化合物
を用いる方法の他に、架橋性シリル基を有する有機ハロ
ゲン化物を用いる方法も好ましい。
【0083】上記架橋性シリル基を有する有機ハロゲン
化物としては特に限定されず、例えば下記一般式(1
4)または(15)で表される化合物等を挙げることが
できる。 R1516C(X)−R17−R18−C(H)(R19)CH2 − [Si(R12-b (Y)b O]m −Si(R23-a (Y)a (14) 式中、R1 、R2 、a、b、m、XおよびYは上述した
ものと同様である。R15およびR16は、同一または異な
って水素、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜2
0のアリール基または炭素数7〜20のアラルキル基を
示す。R15とR16は、他端において相互に連結していて
もよい。R17は−C(O)O−、−C(O)−、また
は、o−,m−,p−フェニレン基を示す。R18は直接
結合、または1個以上のエーテル結合を含んでいてもよ
い炭素数1〜10の2価の有機基を示す。R19は水素、
炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜10のアリー
ル基または炭素数7〜10のアラルキル基を示す。 (R23-a (Y)a Si−[OSi(R12-b (Y)bm − CH2 −C(H)(R19)−R18−C(R15)(X)−R17−R16 (15) 式中、R1 、R2 、R15、R16、R17、R18、R19
a、b、m、XおよびYは上述したものと同様である。
【0084】上記架橋性シリル基を有する有機ハロゲン
化物を開始剤として用いて上記「原子移動ラジカル重合
法」をおこなうと、片末端に架橋性シリル基を有し、他
の末端に反応性の高い炭素−ハロゲン結合を有するビニ
ル系重合体が得られる。このビニル系重合体の末端ハロ
ゲン原子を上述した方法を用いて架橋性シリル基含有置
換基に変換すれば、架橋性シリル基を両分子鎖末端に有
するビニル系重合体を得ることができる。
【0085】また上記停止末端のハロゲン原子を置換で
きる、同一または異なった官能基を合計2個以上有する
化合物を用いて、上記ビニル系重合体のハロゲン原子同
士をカップリングさせることによっても、上記架橋性シ
リル基を両分子鎖末端に有するビニル系重合体を得るこ
とができる。
【0086】上記停止末端のハロゲン原子を置換でき
る、同一または異なった官能基を合計2個以上有する化
合物としては特に限定されず、例えばポリオール、ポリ
アミン、ポリカルボン酸、ポリチオール、これらの塩;
アルカリ金属硫化物等をあげることができる。
【0087】さらに上記「原子移動ラジカル重合法」に
おいて、アルケニル基を有する有機ハロゲン化物を開始
剤に用いれば、片末端にアルケニル基を有し、他の末端
にハロゲン原子を有するビニル系重合体が得られる。こ
のビニル系重合体の末端のハロゲン原子を上述した方法
を用いてアルケニル含有置換基に変換すれば、両分子鎖
末端にアルケニル基を有するビニル系重合体を得ること
ができる。これらのアルケニル基を上述の方法などで架
橋性シリル基に変換すれば、上記架橋性シリル基を両分
子鎖末端に有するビニル系重合体を得ることができる。
【0088】上記架橋性シリル基を分子鎖末端に少なく
とも1個有するビニル系重合体は、上述した方法等を随
時組み合わせて得ることができるが、典型的な合成工程
として下記合成例AおよびBを挙げることができる。
【0089】合成工程A (1)有機ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル
化合物等を開始剤、遷移金属錯体を触媒としてビニル系
モノマーをラジカル重合することによりハロゲン原子を
末端に有するビニル系重合体を合成する工程、(2)前
記工程(1)で得られるハロゲン原子を末端に有するビ
ニル系重合体とアルケニル基を有するオキシアニオンを
反応させてハロゲンを置換することにより、末端にアル
ケニル基を有するビニル系重合体を合成する工程、およ
び、(3)前記工程(2)で得られる末端にアルケニル
基を有するビニル系重合体の末端アルケニル基に、一般
式(1)で表される架橋性シリル基を有するヒドロシラ
ン化合物を付加させて架橋性シリル基を含有する置換基
に変換する工程からなる合成工程。
【0090】合成工程B (1)ビニル系モノマーをリビングラジカル重合法によ
り重合することにより、ビニル系重合体を合成する工
程、(2)前記工程(1)で得られるビニル系重合体と
重合性の低いアルケニル基を少なくとも2個有する化合
物とを反応させることにより末端にアルケニル基を有す
るビニル系重合体を合成する工程、および、(3)前記
工程(2)で得られる末端にアルケニル基を有するビニ
ル系重合体の末端のアルケニル基に、一般式(1)で表
される架橋性シリル基を有するヒドロシラン化合物を付
加させて架橋性シリル基を含有する置換基に変換する工
程からなる合成工程。
【0091】本発明の上記架橋性シリル基を少なくとも
1個有するビニル系重合体を主成分として電気、電子部
品材料用組成物には該組成物の硬化を促進するための縮
合触媒を配合させることができる。
【0092】上記縮合触媒としては特に限定されず、例
えば、テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネ
ート等のチタン酸エステル;ジブチル錫ジラウレート、
ジブチル錫ジアセチルアセトナート、ジブチル錫マレエ
ート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジメトキシ
ド、オクチル酸錫、ナフテン酸錫等の有機錫化合物;オ
クチル酸鉛、ブチルアミン、オクチルアミン、ジブチル
アミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、
トリエタノールアミン、ジエチレントリアミン、トリエ
チレンテトラミン、オレイルアミン、オクチルアミン、
シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ジエチルアミ
ノプロピルアミン、キシリレンジアミン、トリエチレン
ジアミン、グアニジン、ジフェニルグアニジン、2,
4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、
モルホリン、N−メチルモルホリン、1,3−ジアザビ
シクロ(5,4,6)ウンデセン−7等のアミン系化合
物あるいはそれらのカルボン酸塩;ラウリルアミンとオ
クチル酸錫の反応物あるいは混合物のようなアミン系化
合物と有機錫化合物との反応物および混合物;過剰のポ
リアミンと多塩基酸から得られる低分子量ポリアミド樹
脂;過剰のポリアミンとエポキシ化合物の反応生成物;
γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−ア
ミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン等
のアミノ基を有するシランカップリング剤等;の公知の
シラノール縮合触媒等を挙げることができる。これらは
単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0093】上記縮合触媒の配合量としては特に限定さ
れないが、例えば、架橋性シリル基を少なくとも1個有
するビニル系重合体100重量部に対し、0〜10重量
部が好ましい。加水分解性基Yとしてアルコキシル基が
使用される場合は、この重合体のみでは硬化速度が遅い
ので、硬化触媒を使用することが好ましい。
【0094】本発明の電気、電子部品材料用組成物およ
び電気、電子部品材料には、機械物性の調製を目的とし
て、各種の充填材を配合することができる。充填材とし
ては特に限定されず、例えば、フュームドシリカ、沈降
性シリカ、無水ケイ酸、含水ケイ酸およびカーボンブラ
ックのような補強性充填材;炭酸カルシウム、炭酸マグ
ネシウム、ケイソウ土、焼成クレー、クレー、タルク、
酸化チタン、ベントナイト、有機ベントナイト、酸化第
二鉄、酸化亜鉛、活性亜鉛華およびシラスバルーンなど
のような充填材;石綿、ガラス繊維およびフィラメント
のような繊維状充填材が使用できる。これら充填材で強
度の高い硬化物を得たい場合には、主にヒュームドシリ
カ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、含水ケイ酸、カーボン
ブラック、表面処理微細炭酸カルシウム、焼成クレー、
クレーおよび活性亜鉛華などから選ばれる充填材を上記
ビニル系重合体100重量部に対して1〜200重量部
の範囲で使用すれば好ましい結果が得られる。また、低
強度で伸びが大である硬化物を得たい場合には、主に酸
化チタン、炭酸カルシウム、タルク、酸化第二鉄、酸化
亜鉛およびシラスバルーンなどから選ばれる充填材を、
上記ビニル系重合体100重量部に対して5〜200重
量部の範囲で使用すれば好ましい結果が得られる。これ
ら充填材は1種類で使用してもよいし、2種類以上混合
使用してもよい。
【0095】本発明の電気、電子部品材料用組成物およ
び電気、電子部品材料に可塑剤を配合すると、充填材と
の併用により硬化物の伸びを大きくでき、また、多量の
充填材を混入できる等の点から有効である。上記可塑剤
としては特に限定されず、例えば、ジブチルフタレー
ト、ジヘプチルフタレート、ジ(2−エチルヘキシル)
フタレート、ブチルベンジルフタレート等のフタル酸エ
ステル類;ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケー
ト等の非芳香族二塩基酸エステル類;ジエチレングリコ
ールジベンゾエート、トリエチレングリコールジベンゾ
エート等のポリアルキレングリコールのエステル類;ト
リクレジルホスフェート、トリブチルホスフェート等の
リン酸エステル類;塩化パラフィン類;アルキルジフェ
ニル、部分水添ターフェニル等の炭化水素系油等を挙げ
ることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以
上を併用してもよい。
【0096】上記可塑剤は、物性の調整、性状の調節等
の目的により選択して配合する。また、ビニル系重合体
合成時に配合することも可能である。
【0097】上記可塑剤の配合量としては特に限定され
ないが、例えば、上記ビニル系重合体100重量部に対
し、0〜100重量部の範囲で使用すると好ましい。
【0098】本発明の電気、電子部品材料用組成物およ
び電気、電子部品材料には、上記縮合触媒、充填材、可
塑剤などが主に使用されるが、更にまた、垂れ防止剤;
顔料等の着色剤;物性調整剤;接着促進剤;フェノール
樹脂、硫黄、シランカップリング剤などの接着付与剤;
シラノール基または加水分解性基を含有するポリシロキ
サンなどの変成剤;紫外線硬化性樹脂等のタックおよび
耐候性改良剤、顔料、老化防止剤、紫外線吸収剤など添
加剤も任意に配合することができる。
【0099】上記垂れ防止材としては特に限定されず、
例えば、ポリアミドワックス類、水添ヒマシ油誘導体
類;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウ
ム、ステアリン酸バリウム等の金属石鹸類等を挙げるこ
とができる。これらは単独でもよく2種以上を併用して
もよい。
【0100】上記着色剤としてはとしては特に限定され
ず、例えば、通常の無機顔料、有機顔料、染料等を挙げ
ることができる。これらは単独でもよく2種以上を併用
してもよい。
【0101】上記物性調整剤としては特に限定されず、
例えば、各種シランカップリング剤として、メチルトリ
メトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチ
ルメトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン等
のアルキルアルコキシシラン類;ジメチルジイソプロペ
ノキシシラン、メチルトリイソプロペノキシシラン、γ
−グリシドキシプロピルメチルジイソプロペノキシシラ
ン等のアルキルイソプロペノキシシラン、γ−グリシド
キシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキ
シプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシ
ラン、ビニルジメチルメトキシシラン、γ−アミノプロ
ピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)ア
ミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプト
プロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピル
メチルジメトキシシラン等の官能基を有するアルコキシ
シラン類;シリコーンワニス類;ポリシロキサン類等を
挙げることができる。これらは単独でもよく2種以上を
併用してもよい。上記物性調整剤を配合することによ
り、硬化物の硬度および伸びを調整することができる。
【0102】上記接着促進剤としては特に限定されず、
例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、各種シランカ
ップリング剤、アルキルチタネート類、芳香族ポリイソ
シアネート等を挙げることができる。これらは単独でも
よく2種以上を併用してもよい。
【0103】上記電気、電子部品材料用組成物がガラ
ス、ガラス以外のセラミック類、金属等に対して接着性
を有し、また各種プライマーを用いれば広範囲の材料に
対し接着させることが可能であるので、上記接着促進剤
は必ずしも必要ではないが、上記接着促進剤を配合する
ことにより、上記電気、電子部品材料用組成物の接着性
を改善して、さらに多種類の被着体に対しても接着性を
有することになる。
【0104】本発明の電気、電子部品材料用組成物は、
例えば主剤として上記ビニル系重合体、充填材、および
可塑剤等の成分を配合しておき、別途に、硬化剤として
硬化触媒、水等の成分を配合しておいて、該主剤および
該硬化剤を使用する前に混合する2液型の電気、電子部
品材料用組成物として使用することもできるが、水を除
くすべての配合成分を予め配合して密封保存し、施工後
に空気中の湿分を吸収することにより架橋硬化できるよ
うに梱包された一液型の電気、電子部品材料用組成物と
して使用することもできる。使い勝手がよいことから、
該一液型の電気、電子部品材料用組成物として使用する
のが好ましい。
【0105】上述した種々の方法で得られる、上記架橋
性シリル基を少なくとも1個有するビニル系重合体を含
有してなる電気、電子部品材料用組成物の用途として
は、電気、電子部品材料シーリング材やコーティング材
等を挙げることができ、具体的な用途には、半導体封止
用樹脂、回転用含浸樹脂、絶縁用ワニス、プリント配線
基板用絶縁材料、プリント配線基板用含浸樹脂、電子部
品用コーティング剤、電子部品用ポッティング剤、電
気、電子部品用接着剤、電子部品放熱用コンパウンドな
どを挙げることができる。
【0106】本発明の電気、電子部品材料は上記電気、
電子部品材料用組成物を硬化させて得られる電気、電子
部品材料である。
【0107】上記電気、電子部品材料としては、シーリ
ングした電気、電子部品材料やコーティングした電気、
電子部品材料;半導体封止材;絶縁したプリント配線基
板;ポッティングした電気、電子部品材料;接着した電
気、電子部品材料等を挙げることができる。
【0108】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説
明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるもの
ではない。
【0109】合成例1 架橋性シリル基を少なくとも1
個有するビニル系重合体の合成 窒素雰囲気下、エチレングリコール(10.9mL、1
95mmol)とピリジン(3g、39mmol)のT
HF溶液(10mL)に2−ブロモプロピオン酸クロラ
イド(2mL、3.35g、19.5mmol)を0℃
でゆっくり滴下した。そのままの温度で溶液を2時間撹
拌した。希塩酸と酢酸エチルを加えて2層を分離し、有
機層を希塩酸およびブラインで洗浄、Na2 SO4 で乾
燥した。揮発分を減圧下留去し、粗成生物を得た(3.
07g)。この粗生成物を減圧蒸留することにより(7
0〜73℃、0.5mmHg)、下式に示す、ヒドロキ
シエチル−2−ブロモプロピオネートを得た(2.14
g、56%)。 H3 CC(H)(Br)C(O)O(CH22 −OH
【0110】次に1Lの耐圧反応容器に、アクリル酸−
n−ブチル(112mL、100g、0.78mo
l)、上で得られた水酸基含有開始剤(3.07g、1
5.6mmol)、臭化第一銅(2.24g、15.6
mmol)、2,2’−ビピリジル(4.87g、3
1.2mmol)、酢酸エチル(80mL)、アセトニ
トリル(20mL)を仕込み、窒素バブリングを行って
溶存酸素を除去した後、封管した。混合物を130℃に
加熱し、2時間反応させた。反応容器を室温にもどし、
メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル(3.92mL、
4.06g、31.2mmol)を加え、110℃で2
時間反応させた。混合物を酢酸エチル(200mL)で
希釈し、不溶分を濾別した後、濾液を10%塩酸とブラ
インで洗浄、有機層をNa2 SO4 で乾燥した。溶媒を
減圧下留去し、末端に水酸基を有するポリ(アクリル酸
−n−ブチル)を82g得た。重合体の数平均分子量は
GPC測定(移動相クロロホルム、ポリスチレン換算)
により、5100、分子量分布は1.29であった。
【0111】次に、窒素雰囲気下、得られた末端に水酸
基を有するポリ(アクリル酸−n−ブチル)(50g)
およびピリジン(10mL)のトルエン溶液(100m
L)に、ウンデセン酸クロリド(7.22mL、6.8
1g、33.6mmol)を75℃でゆっくりと滴下し
た。そのままの温度で溶液を3時間撹拌した。生成した
白色固体を濾過し、有機層を希塩酸およびブラインで洗
浄し、有機層をNa2 SO4 を用いて乾燥した。揮発分
を減圧下に加熱して留去することにより、両分子鎖末端
にアルケニル基を有するポリ(アクリル酸−n−ブチ
ル)(43g)を得た。重合体の数平均分子量はGPC
測定(移動相クロロホルム、ポリスチレン換算)によ
り、5400、分子量分布は1.30であった。また、
1HNMR分析より、オリゴマー1分子当たりに導入さ
れたアルケニル基は、2.28個であった。
【0112】次に、30mLの耐圧反応容器に、得られ
た両分子鎖末端にアルケニル基を有するポリ(アクリル
酸ブチル)(2g)、メチルジメトキシシラン(0.3
2mL)、オルトギ酸メチル(0.09mL、アルケニ
ル基に対し3当量)、0価白金の1,1,3,3−テト
ラメチル−1,3−ジビニルジシロキサン錯体(8.3
×10-8mol/Lキシレン溶液、アルケニル基に対
し、10-4当量)を仕込み、100℃で1時間撹拌し
た。揮発分を減圧下に加熱して留去することにより、架
橋性シリル基を有するポリ(アクリル酸−n−ブチル)
を2g得た。重合体の数平均分子量はGPC測定(移動
相クロロホルム、ポリスチレン換算)により5900、
分子量分布は1.37であった。また、 1HNMR分析
より、オリゴマー1分子当たりに導入されたシリル基
は、2.24個であった。
【0113】合成例2 架橋性シリル基を少なくとも1
個有するビニル系重合体の合成 100mLのガラス反応容器に、アクリル酸ブチル(5
0.0mL、44.7g、0.349mol)、臭化第
一銅(1.25g、8.72mmol)、ペンタメチル
ジエチレントリアミン(1.82mL、1.51g、
8.72mmol)、およびアセトニトリル(5mL)
を仕込み、冷却後、減圧脱気したのち窒素ガスで置換し
た。よく撹拌した後、ジエチル2,5−ジブロモアジペ
ート(1.57g、4.36mmol)を添加し、70
℃で加熱撹拌した。60分後に1,7−オクタジエン
(6.44mL、4.80g、43.6mmol)を添
加し、70℃で加熱撹拌を2時間継続した。混合物を活
性アルミナで処理した後、揮発分を減圧下加熱して留去
し、粗生成物を得た。この粗生成物を酢酸エチルに溶解
させ、有機層を2%塩酸およびブラインで洗浄し、Na
2 SO4 を用いて乾燥した。揮発分を減圧下に加熱して
留去することにより、末端にアルケニル基を有するポリ
(アクリル酸−n−ブチル)を得た。得られた重合体の
数平均分子量はGPC測定(移動相クロロホルム、ポリ
スチレン換算)により13100、分子量分布は1.2
2であった。数平均分子量基準のオレフィン官能基導入
率は2.01であった。
【0114】次に得られた末端にアルケニル基を有する
ポリ(アクリル酸−n−ブチル)(30.5g)と、こ
れと等重量の珪酸アルミ(協和化学製:キョーワード7
00PEL)とをトルエンに混合し、100℃で4時間
撹拌した後、珪酸アルミを濾過し、濾液の揮発分を減圧
下加熱して留去することによって得られた末端にアルケ
ニル基を有するポリ(アクリル酸−n−ブチル)を精製
した。
【0115】次に、200mLの耐圧ガラス反応容器
に、上記末端にアルケニル基を有するポリ(アクリル酸
−n−ブチル)(23.3g)、ジメトキシメチルヒド
ロシラン(2.55mL、20.7mmol)、オルト
ぎ酸ジメチル(0.38mL、3.45mmol)、お
よび白金触媒を仕込んだ後、100℃で3時間加熱し
た。ただし、白金触媒の使用量は、重合体のアルケニル
基に対して、モル比で2×10-4当量とした。この混合
物の揮発分を減圧留去することにより、末端にシリル基
を有するポリ(アクリル酸−n−ブチル)を得た。 1
NMR分析より、オリゴマー1分子当たりに導入された
シリル基は、1.41個であった。
【0116】合成例3 架橋性シリル基を少なくとも1
個有するビニル系重合体の合成 50mLフラスコに臭化第一銅0.63g(4.4mm
ol)、ペンタメチルジエチレントリアミン0.76g
(4.4mmol)、アセトニトリル5mL、2,5−
ジブロモアジピン酸ジエチル1.6g(4.4mmo
l)、ブチルアクリレート44.7g(349mmo
l)を仕込み、凍結脱気をおこなった後、窒素雰囲気下
で70℃7時間反応させた。活性アルミナのカラムを通
して銅触媒を除去精製することによりBr末端重合体を
得た。得られた重合体の数平均分子量はGPC測定(ポ
リスチレン換算)で10700、分子量分布1.15で
あった。
【0117】次に、窒素雰囲気下、200mLフラスコ
に得られたBr末端重合体35g、ペンテン酸カリウム
2.2g(16.1mmol)、DMAc35mLを仕
込み、70℃で4時間反応させた。反応混合液中の未反
応のペンテン酸カリウムおよび生成した臭化カリウムを
水抽出精製により除去し、アルケニル末端重合体を得
た。得られた重合体の数平均分子量はGPC測定(移動
相クロロホルム、ポリスチレン換算)で11300、分
子量分布1.12であった。また 1HNMR分析により
重合体1分子あたりのアルケニル基の個数は1.82個
であった。
【0118】次に、200mL耐圧反応管にアルケニル
末端重合体15g、メチルジメトキシシラン1.8mL
(14.5mmol)オルトギ酸メチル0.26mL
(2.4mmol)、白金ビス(ジビニルテトラメチル
ジシロキサン)10-4mmolを仕込み、100℃で4
時間反応させ、架橋性ケイ素基含有重合体を得た。得ら
れた重合体の数平均分子量はGPC測定(移動相クロロ
ホルム、ポリスチレン換算)で11900、分子量分布
1.12であった。また 1HNMR分析により重合体1
分子あたりの架橋性ケイ素基の個数は1.46個であっ
た。粘度は44Pa・sであった。
【0119】比較合成例1末端にアリル基を有するポリイソブチレンの合成 窒素置換した2Lの耐圧ガラス製重合容器に、モレキュ
ラーシーブスで乾燥させたエチルシクロヘキサン205
mLおよびトルエン819mL、p−ジクミルクロライ
ド2.89g(12.5mmol)を加えた。
【0120】イソブチレンモノマー332mL(3.9
1mol)を重合容器に導入し、次に2−メチルピリジ
ン0.454g(4.88mmol)と四塩化チタン
6.69mL(61.0mmol)加えて重合を開始し
た。反応時間70分後に、アリルトリメチルシラン6.
86g(60.0mmol)を加えてポリマー末端にア
リル基の導入反応を行った。反応時間120分後に、反
応溶液を水で洗浄したあと、溶剤を留去することにより
末端にアリル基を有するポリイソブチレンを得た。
【0121】末端に架橋性シリル基を有するポリイソブ
チレンの合成 上記で得られた末端にアリル基を有する重合体200g
を約75℃まで昇温した後、メチルジメトキシシラン
1.5[eq/ビニル基]、白金(ビニルシロキサン)
錯体5×10-5[eq/ビニル基]を添加し、ヒドロシ
リル化反応を行った。FT−IRにより反応追跡を行
い、約20時間で1640cm-1のオレフィン吸収が消
失した。
【0122】得られた末端に架橋性シリル基を有するポ
リイソブチレンの粘度は360Pa・sであり、数平均
分子量はGPC測定(移動相クロロホルム、ポリスチレ
ン換算)で4800、分子量分布1.52であった。ま
1HNMR分析より求めた重合体1分子あたりの架橋
性シリル基の個数は1.66個であった。
【0123】比較合成例2末端に架橋性シリル基を有するポリジメチルシロキサン
(シリコーン)の合成 200mLフラスコに分子量17200の末端ビニルポ
リジメチルシロキサン(アヅマックス製DMS−V2
5:不飽和基当量0.11eq/kg)97g、メチル
ジメトキシシラン2.3g(21.4mmol)、白金
ビス(ジビニルテトラメチルジシロキサン)10-3mm
olを加え、70℃で6時間反応して、末端に架橋性シ
リル基を有するポリジメチルシロキサンを得た。GPC
測定(移動相クロロホルム、ポリスチレン換算)により
得られた末端に架橋性シリル基を有するポリジメチルシ
ロキサンの数平均分子量はで11900、分子量分布
2.52であった。 1HNMR(300MHz)で不飽
和基由来のピークは消失し、ポリマー主鎖由来のケイ素
原子に結合したメチルプロトンとメトキシシリル基のプ
ロトンの強度比から求めたポリジメチルシロキサンポリ
マー1分子当たりの架橋性ケイ素基の個数は2であっ
た。粘度は0.6Pa・sであった。
【0124】比較合成例3架橋性ケイ素基含有モノマーを用いた架橋性シリル基を
有するポリ(アクリル酸−n−ブチル)の合成 トルエン400g、アクリル酸ブチル385g、メタク
リル酸メチルジメトキシシリルプロピル15g、アゾビ
スイソブチロニトリル6gを1Lフラスコ中で窒素バブ
リングしながら105℃で7時間重合した。トルエンを
留去することにより架橋性シリル基を有するポリ(アク
リル酸−n−ブチル)が得られた。この重合体の粘度は
74Pa・sであり、数平均分子量はGPC測定(移動
相クロロホルム、ポリスチレン換算)により、850
0、分子量分布は2.47であった。また 1HNMR分
析より求めた重合体1分子あたりの平均の水酸基の個数
は1.40個であった。
【0125】比較合成例4架橋性ケイ素基含有モノマーを用いた架橋性シリル基を
有するポリ(アクリル酸−n−ブチル)の合成 トルエン210g、アクリル酸ブチル293g、メタク
リル酸メチルジメトキシシリルプロピル7.2g、アゾ
ビスイソバレロニトリル1.8gを1Lフラスコ中で窒
素バブリングしながら105℃で7時間重合した。トル
エンを留去することにより架橋性シリル基を有するポリ
(アクリル酸−n−ブチル)が得られた。この重合体の
粘度は110Pa・sであり、数平均分子量はGPC測
定(移動相クロロホルム、ポリスチレン換算)により9
600、分子量分布は2.86であった。
【0126】実施例1 合成例1で得られた末端に架橋性シリル基を有する重合
体(1g)と硬化触媒(日東化成製、U−220、ジブ
チルスズジアセチルアセトナート、30mg)をよく混
合し、型枠に流し込んで、減圧乾操器を用いて室温で脱
泡した。室温に7日間放置することにより、均一なゴム
状硬化物が得られた。このゴム状硬化物をトルエンに2
4時間浸漬し、前後の重量変化からそのゲル分率を測定
すると、ゲル分率は78%であった。
【0127】実施例2 合成例2で得られた末端に架橋性シリル基を有する重合
体100重量部に対して、水1重量部、ジブチル錫ジメ
トキシド1重量部を混合攪拌し、厚さ2mmの型枠に流
し込んだ。減圧脱泡し、50℃で20時間加熱硬化さ
せ、ゴム弾性を有するシート状硬化物を得た。硬化物を
トルエンに24時間浸漬し、前後の重量変化からそのゲ
ル分率を測定すると、85%であった。
【0128】シート状硬化物から2(1/3)号形ダン
ベル試験片を打ち抜き、島津製オートグラフを用いて引
っ張り試験を行った(測定条件:23℃、200mm/
min)。破断強度は0.34MPa、破断伸びは86
%であった。また、その硬化物のDC100V印加時の
体積固有抵抗を測定したところ、1×1013 (Ω・c
m)であった。
【0129】実施例3 合成例2で得られた末端に架橋性シリル基を有する重合
体100重量部に対して、カーボンブラック(旭カーボ
ン製#55G)15重量部を混合攪拌した後、水1重量
部、ジブチル錫ジメトキシド1重量部を更に混合攪拌
し、厚さ2mmの型枠に流し込んだ。減圧脱泡し、50
℃で20時間加熱硬化させ、ゴム弾性を有するシート状
硬化物を得た。その硬化物のDC100V印加時の体積
固有抵抗を測定したところ、1×109(Ω・cm)で
あった。
【0130】実施例4 合成例3で得られた末端に架橋性シリル基を有する重合
体100重量部に対して、水1重量部、ジブチル錫ジメ
トキシド1重量部を混合攪拌し、厚さ2mmの型枠に流
し込んだ。減圧脱泡し、50℃で10日間加熱硬化させ
た。得られたシートを150℃のオーブンに入れ24時
間後に取り出し、表面状態を観察し、耐熱性を評価し
た。その結果を表1に示した。
【0131】比較例1、2、3 合成例3で得られた末端に架橋性シリル基を有する重合
体のかわりに、比較合成例1、2および3の重合体を用
いた以外は、実施例4と同様にして得られたシート状硬
化物の表面状態を観察した。その結果を表1に示した。
【0132】
【表1】
【0133】実施例4、比較例2、3の試料は溶解して
おらず、耐熱性は良好であった。一方比較例1は表面が
溶解しており耐熱性は不十分であった。同じビニル系重
合体であっても、合成例3の重合体はリビング重合法の
一つである原子移動ラジカル重合法により合成している
ので、フリーラジカル重合法により合成している比較合
成例3および4の重合体と比較して分子量分布が狭く、
粘度が低いので取り扱いが容易であった。
【0134】実施例5 共沸脱水した合成例3で得られた末端に架橋性シリル基
を有する重合体100重量部に対して、窒素雰囲気下で
メチルトリメトキシシラン1重量部、ジブチル錫ジアセ
チルアセトナート1重量部を順次添加し、サンプル瓶に
密栓保存することにより一液配合物を作製した。恒温恒
湿室(23℃60%RH)で1週間保存後、サンプルチ
ューブに払い出した。払い出し24時間後に硬化分を取
り出し、その深さ方向の厚みを測定し、深部硬化性を評
価した。その結果を表2に示した。
【0135】比較例4、5、6 合成例3で得られた末端に架橋性シリル基を有する重合
体のかわりに、比較合成例1、2および3の重合体を用
いた以外は、実施例5と同様にして深部硬化性を評価し
た。その結果を表2に示した。
【0136】
【表2】
【0137】実施例5、比較例5、6は十分な深部硬化
性を有し、一液配合として十分な性能を有していた。一
方比較例4は表面に薄皮が張っただけで内部は硬化して
おらず、一液配合としては不適切である。
【0138】
【発明の効果】本発明の電気、電子部品材料用組成物
は、上述の構成からなるもので、常温でも空気中の水分
等によって速やかに硬化するため一液化が可能である。
また特にリビングラジカル重合法、あるいは原子移動ラ
ジカル重合法により得られた分子量分布の狭い低粘度の
重合体を用いた該組成物は加工性あるいは取り扱い性に
優れている。従って、それを硬化してなる電気、電子部
品材料は、電気特性、耐熱性、耐候性および耐水性など
に優れている。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 北野 健一 兵庫県神戸市兵庫区吉田町1−2−80鐘淵 化学工業株式会社機能性樹脂RDセンター 神戸研究所 (72)発明者 中川 佳樹 兵庫県神戸市兵庫区吉田町1−2−80鐘淵 化学工業株式会社機能性樹脂RDセンター 神戸研究所

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(1)で表される架橋性シリル基
    を少なくとも1個有するビニル系重合体を主成分とする
    電気、電子部品材料用組成物。 −[Si(R12-b (Y)b O]m −Si(R23-a (Y)a (1) 式中、R1 およびR2 は、いずれも炭素数1〜20のア
    ルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜2
    0のアラルキル基、または(R’)3 SiO−で表され
    るトリオルガノシロキシ基を示す。(式中、R’は炭素
    数1〜20の1価の炭化水素基を示す。複数のR’は同
    一であってもよく又は異なっていてもよい)。R1 また
    はR2 がそれぞれ2個以上存在するとき、それらは同一
    であってもよく、異なっていてもよい。Yは水酸基また
    は加水分解性基を示す。Yが2個以上存在するとき、そ
    れらは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは
    0、1、2、または3を示す。bは0、1、または2を
    示す。mは0〜19の整数を示す。ただし、a+mb≧
    1であることを満足する。
  2. 【請求項2】 ビニル系重合体の分子量分布が1.8未
    満である請求項1記載の電気、電子部品材料用組成物。
  3. 【請求項3】 ビニル系重合体が(メタ)アクリル系重
    合体である請求項1〜2のうちいずれか1項に記載の電
    気、電子部品材料用組成物。
  4. 【請求項4】 ビニル系重合体の製造法がリビングラジ
    カル重合法であることを特徴とする請求項1〜3のうち
    いずれか1項に記載の電気、電子部品材料用組成物。
  5. 【請求項5】 ビニル系重合体の製造法が原子移動ラジ
    カル重合法であることを特徴とする請求項1〜4のうち
    いずれか1項に記載の電気、電子部品材料用組成物。
  6. 【請求項6】 一般式(1)で表される架橋性シリル基
    を分子鎖末端に少なくとも1個有する請求項1〜5のう
    ちいずれか1項に記載の電気、電子部品材料用組成物。
  7. 【請求項7】 一般式(1)で表される架橋性シリル基
    を少なくとも1個有するビニル系重合体が、(1)有機
    ハロゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物等を
    開始剤、遷移金属錯体を触媒としてビニル系モノマーを
    ラジカル重合することによりハロゲン原子を末端に有す
    るビニル系重合体を合成する工程、(2)前記工程
    (1)で得られるハロゲン原子を末端に有するビニル系
    重合体とアルケニル基を有するオキシアニオンを反応さ
    せてハロゲンを置換することにより、末端にアルケニル
    基を有するビニル系重合体を合成する工程、および、
    (3)前記工程(2)で得られる末端にアルケニル基を
    有するビニル系重合体の末端アルケニル基に、一般式
    (1)で表される架橋性シリル基を有するヒドロシラン
    化合物を付加させて架橋性シリル基を含有する置換基に
    変換する工程により得られる重合体である請求項1〜6
    のうちいずれか1項に記載の電気、電子部品材料用組成
    物。
  8. 【請求項8】 一般式(1)で表される架橋性シリル基
    を有するビニル系重合体が以下の工程: (1)ビニル系モノマーをリビングラジカル重合法によ
    り重合することにより、ビニル系重合体を合成する工
    程、(2)前記工程(1)で得られるビニル系重合体と
    重合性の低いアルケニル基を少なくとも2個有する化合
    物とを反応させることにより末端にアルケニル基を有す
    るビニル系重合体を合成する工程、および、(3)前記
    工程(2)で得られる末端にアルケニル基を有するビニ
    ル系重合体の末端のアルケニル基に、一般式(1)で表
    される架橋性シリル基を有するヒドロシラン化合物を付
    加させて架橋性シリル基を含有する置換基に変換する工
    程により得られる重合体である、請求項1〜6のうちい
    ずれか1項に記載の電気、電子部品材料用組成物。
  9. 【請求項9】 請求項1〜8のうちいずれか1項に記載
    の電気、電子部品材料用組成物を、湿分を吸収すること
    により架橋硬化できるように梱包した一液型電気、電子
    部品材料用組成物。
  10. 【請求項10】 請求項1〜9のうちいずれか1項に記
    載の電気、電子部品材料用組成物を硬化させてなる電
    気、電子部品材料。
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