JP2000052489A - 接着複合体およびそれに用いる封止用樹脂組成物 - Google Patents

接着複合体およびそれに用いる封止用樹脂組成物

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JP2000052489A
JP2000052489A JP23354198A JP23354198A JP2000052489A JP 2000052489 A JP2000052489 A JP 2000052489A JP 23354198 A JP23354198 A JP 23354198A JP 23354198 A JP23354198 A JP 23354198A JP 2000052489 A JP2000052489 A JP 2000052489A
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acid
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polyester
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JP23354198A
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Toshio Inoue
敏夫 井上
Hiroyoshi Yoneda
弘義 米田
Akio Hashimoto
晶夫 橋本
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Original Assignee
Nippon Petrochemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 接着性に優れ高い信頼性を有する、金属とサ
ーモトロピック液晶樹脂との接着複合体、および封止用
樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 金属体2と、非液晶性ポリエステル樹脂
を含有するサーモトロピック液晶樹脂組成物とを溶融接
着してなる接着複合体、および上記樹脂からなる封止用
樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属体とサーモト
ロピック液晶樹脂組成物からなる接着複合体に関するも
のである。さらに詳しくは、金属体、好ましくはトリア
ジンチオール類化合物により表面処理した金属体に、金
属表面または上記トリアジンチオール類化合物との間で
水素結合や化学結合等の相互作用を生ずる非液晶性ポリ
エステル系樹脂を含有するサーモトロピック液晶樹脂組
成物を、溶融状態で接触させて両材料の接着強さを高め
た、封止性の高い接着複合体に関する。得られた接着複
合体は、電気部品、電子部品、光学部品を中心に、各種
工業部品として使用される。例えば、金型内に被接着部
材または被封止部材としての金属体を置き、金型内へ、
溶融状態のサーモトロピック液晶樹脂を射出する方法を
採用することができる。このような電気電子部品の最も
代表的な構成としては、樹脂封止部品(樹脂により封止
された部品)、例えば、金属製のリードフレームを被封
止部材として用い、サーモトロピック液晶樹脂(以下、
「LCP」または単に「液晶樹脂」ということもある)
を封止材として形成したリードフレーム封止部品が挙げ
られる。
【0002】
【従来の技術】樹脂材料と金属体の複合体は、電気電子
産業を初めとする各種産業分野で使用される産業部材で
ある。このような複合体に対して近年高機能化および高
集約化の要求が高まるにつれ、樹脂材料として製品設計
の自由度に優れた熱可塑性樹脂を用いて、超音波融着、
誘電融着、インサート成形、アウトサート成形等の各種
の成形方法により、樹脂材料と金属体との複合体を製造
する方法が検討されている。従来、電気電子分野、特に
半導体装置で使用されるリードフレームの樹脂封止部品
においては、熱硬化性樹脂が主材料として使用されてき
た。しかし、工程の簡略化や材料のリサイクル化の要求
も加わり、熱硬化性樹脂の代わりに熱可塑性樹脂を材料
として用いインサート成形やアウトサート成形等により
封止を行った封止部品が、信頼性の高い複合体として強
く要望されている。その中でも、サーモトロピック液晶
樹脂を封止用樹脂材料として用いると、封止後のハンダ
処理等の各種加熱工程において安定な耐熱複合体が得ら
れるので、LCPと金属体との接着複合体に対する要求
は特に高い。また電気電子部品には、リード線などの導
線が接続されており、電気電子部品の樹脂封止に際して
はこれら導線部分についても封止が必要である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来、金属材
料と液晶樹脂とは接着が困難であり、信頼性が高い接着
複合体は得られていない。例えば、樹脂材料と金属体と
の接着複合体に関する技術としては、トリアジンチオー
ル類化合物により表面処理した銅材料とポリエチレンと
の射出接着に関する技術が、特公平1−60051号公
報に提案されている。しかしながら、当該技術は接着相
手材としての金属が銅材料に限定されているのみなら
ず、改良したとされている接着性が必ずしも十分ではな
い。ゴムと金属との接着体を開示する特公昭60−41
084号公報やプラスチックと金属との複合体を開示す
る特公平8−856号公報に記載された方法も同様であ
る。すなわち、従来の発明は、高い信頼性のある広範な
熱可塑性樹脂と金属との接着複合体への応用、特に、金
属/サーモトロピック液晶樹脂の接着複合体への応用に
関して不十分なものであった。そこで、本発明において
は、金属/サーモトロピック液晶樹脂の接着複合体への
広範な応用を可能にし、高い信頼性を有する接着複合体
を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の特徴は、高い信
頼性を有する、金属/LCPの広範な接着複合体およそ
の製造技術を見出したことにある。すなわち、本発明の
第1は、金属体と、非液晶性ポリエステル樹脂を含有す
るLCP組成物とを溶融接着してなる接着複合体に関す
るものである。本発明の第2は、本発明の第1におい
て、金属体がトリアジンチオール類化合物により表面処
理されてなる接着複合体に関する。本発明の第3は、本
発明の第1において、非液晶性ポリエステル樹脂が、ポ
リエステル系熱可塑性エラストマーである接着複合体に
関する。本発明の第4は、少なくとも一部が金属からな
る被封止部材を封止するための、非液晶性ポリエステル
系樹脂を含むLCPからなる封止用樹脂組成物に関す
る。本発明の第5は、本発明の第4において、金属部分
の表面の少なくとも一部がトリアジンチオール類化合物
により表面処理された被封止部材の封止に使用する封止
用樹脂組成物に関する。本発明の第6は、本発明の第4
において、非液晶性ポリエステル系樹脂が、ポリエステ
ル系熱可塑性エラストマーである封止用樹脂組成物に関
する。
【0005】本発明は、金属とLCPとの接着性(密着
性)を向上させるために、非液晶性ポリエステル樹脂を
含むサーモトロピック液晶樹脂組成物と金属との相互作
用、またはトリアジンチオール類化合物とこれらの樹脂
との相互作用を利用するものである。以下、本発明をさ
らに説明する。
【0006】
【発明の実施の形態】金属体の材料は特に限定されない
が、例えば銅および銅合金、鋼材、冷間圧延鋼板、鋳
鉄、ステンレス鋼、鉄−ニッケル系合金ならびにアルミ
ニウムやその合金などを例示することができる。金属体
の形態も板状、線状等の任意の形状のものを用いること
ができる。また、適宜にやすり仕上げや酸化皮膜形成処
理等の前処理を施した金属を用いることもできる。金属
製品のより具体的な形態としては、例えば半導体製造に
用いるリードフレーム等を挙げることができる。通常、
電気電子部品に接続される回路導体または電源導体とし
てのリード線もまた具体的な形態の例である。これらは
通常、電気電子部品を封止するに際して併せて封止を行
う必要がある。したがって、これら金属体の材料であ
る、銅、アルミニウム、金、銀、錫、ニッケルおよびこ
れらの金属を含む合金などもまた本発明の金属として例
示される。またその形状も線状のほか、開孔部を有する
平面など任意のものが用いられる。
【0007】金属体は、特に前処理等を行う必要はな
く、通常の溶剤洗浄を適宜に行うのみで接着操作に供す
ることができる。しかしながら、トリアジンチオール類
化合物によりあらかじめ金属体表面に前処理を施すこと
により、LCPとの接着性(密着性)をさらに向上させ
ることが可能である。ここで、トリアジンチオール類化
合物は、トリアジン基本骨格が1個から3個のチオール
基またはその誘導基で置換されたトリアジン類化合物で
あり、通常は水溶性である。より具体的には、下記式
〔I〕に示す構造式で表される。
【0008】
【化1】
【0009】式〔I〕において、置換基Rは−OR'、−
SR'、−NHR'および−N(R')2である。また、Rの
置換基R'は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、
フェニル基、アルキルフェニル基、またはシクロアルキ
ル基などである。Rにおける炭素原子数の合計は好まし
くは36以下である。36を超える炭素数を有するもの
では水に不溶性となり好ましくない。Mは、H、Na、
Li、K、Rb、Cs、1/2Ba、1/2Ca、または脂肪
族の第一級、第二級もしくは第三級アミン類、または第
四級アンモニウム塩などである。2個のMは同一でも異
なってよい。Rを具体的に示すと、−SH、−NHC6
5、−NHC817、−NHC1225、−NHC
1835、−NHC1837、−N(C49)2、−N(C8
17)2、−N(C1225)2などが挙げられる。
【0010】トリアジンチオール類化合物による金属体
の表面処理は、金属体をトリアジンチオール類化合物の
溶液または分散液に接触させることにより行うことがで
きる。これらの処理は、例えば特公平1−60051号
公報や特公平8−856号公報に記載された方法に準じ
て行うことができる。具体的なトリアジンチオール類化
合物の溶液または分散液は、水;トリエチレングリコー
ルなどの水溶性溶媒;メチルアルコール、イソプロピル
アルコール等のアルコール、アセトン、メチルエチルケ
トン、テトラヒドロフランなどのケトン、ベンゼン、ト
ルエン、キシレンなどの低級芳香族炭化水素、エチルセ
ロソルブ、ジメチルホルムアルデヒド、酢酸エチルなど
のエステル、ジメチルエーテルなどのエーテル等の有機
溶媒;デカリン、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル等
の水に不溶または難溶性の非水性溶媒;これらの適宜の
割合による混合溶媒等に、トリアジンチオール類化合物
を溶解または分散させることにより得られる。溶液の調
製時には溶媒を適宜に加温し、0.0001〜30重量
%のトリアジンチオール類化合物を溶解または分散させ
る。
【0011】表面処理は、金属体を上記溶液または分散
液に、例えば浸漬することにより行うことができる。そ
の他塗布などを行うこともできる。表面処理の時間は
0.1秒以上であればよい。すなわち、適宜に脱脂、酸
洗浄、アルカリ洗浄および水洗浄を行った後、乾燥した
金属体を、所定の時間、上記溶液もしくは分散液に浸漬
し、または金属体に上記溶液もしくは分散液を塗布し、
その後アルコールやアセトン等の有機溶剤で洗浄し、適
宜に水洗して乾燥する。処理時には溶媒の沸点範囲内に
おいて適宜に加温することができる。具体的には常温か
ら300℃の温度範囲で行う。
【0012】また、表面処理は電気化学的に行うことも
できる。例えば特公平5−51671号公報に記載され
た方法に準じて行うことができる。具体的には、トリア
ジンチオールの水溶液または有機溶媒溶液を電着液とし
て用い、金属体の金属を陽極とし、陰極には適宜の導
体、例えば白金板やチタン板を用いて、例えば20V以
下の電圧、0.1mA/dm2以上の電流密度で、0.1秒以上
直流電流を印加して行うことができる。
【0013】本発明においては金属体にLCPを接着さ
せる。ここでいうLCPとは、溶融時に光学的異方性を
示し、かつ熱可塑性を有するポリマーである。このよう
に溶融時に光学的異方性を示すポリマーは、溶融状態で
ポリマー分子鎖が規則的な平行配列をとる性質を示す。
光学的異方性の溶融相であることは、直交偏光子を利用
した通常の偏光検査法により確認することができる。上
記LCPとしては、例えば、液晶性ポリエステル、液晶
性ポリエステルイミド等、具体的には(全)芳香族ポリ
エステル、ポリエステルアミド、ポリエステルカーボネ
ート等が挙げられる。好ましくはサーモトロピック液晶
ポリエステル樹脂であって、分子内にエステル結合を複
数個含む限り、本発明のポリエステルの範疇に含まれ
る。さらに好ましいポリエステルは、芳香族ポリエステ
ルである。本発明において好ましく用いられるサーモト
ロピック液晶ポリエステル樹脂には、一つの高分子鎖の
一部が異方性溶融相を形成するポリマーのセグメントで
構成され、残りの部分が異方性溶融相を形成しないポリ
マーのセグメントから構成されるポリマーも含まれる。
また、複数のサーモトロピック液晶ポリエステル樹脂を
複合したものも含まれる。
【0014】サーモトロピック液晶ポリエステル樹脂を
構成するモノマーの代表例としては、(a)芳香族ジカ
ルボン酸の少なくとも1種、(b)芳香族ヒドロキシカ
ルボン酸系化合物の少なくとも1種、(c)芳香族ジオ
ール系化合物の少なくとも1種、(d)(d1)芳香族
ジチオール、(d2)芳香族チオフェノ−ルおよび
(d3)芳香族チオールカルボン酸化合物の少なくとも
1種、(e)芳香族ヒドロキシルアミンおよび芳香族ジ
アミン系化合物の少なくとも1種、等の芳香族化合物が
挙げられる。これらは単独で用いられる場合もあるが、
多くは(a)および(c);(a)および(d);
(a)、(b)および(c);(a)、(b)および
(e);あるいは(a)、(b)、(c)および(e)
等のように組合せて構成される。
【0015】上記(a)芳香族ジカルボン酸系化合物と
しては、テレフタル酸、4,4'−ビフェニルジカルボン
酸、4,4'−テルフェニルジカルボン酸、2,6−ナフ
タレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン
酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルエー
テル−4,4'−ジカルボン酸、ジフェノキシエタン−
4,4'−ジカルボン酸、ジフェノキシブタン−4,4'−
ジカルボン酸、ジフェニルエタン−4,4'−ジカルボン
酸、イソフタル酸、ジフェニルエーテル−3,3'−ジカ
ルボン酸、ジフェノキシエタン−3,3'−ジカルボン
酸、ジフェニルエタン−3,3'−ジカルボン酸、1,6
−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、ま
たはクロロテレフタル酸、ジクロロテレフタル酸、ブロ
モテレフタル酸、メチルテレフタル酸、ジメチルテレフ
タル酸、エチルテレフタル酸、メトキシテレフタル酸、
エトキシテレフタル酸等で代表される上記芳香族ジカル
ボン酸のアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体が
挙げられる。
【0016】(b)芳香族ヒドロキシカルボン酸系化合
物としては、4−ヒドロキシ安息香酸、3−ヒドロキシ
安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、6−ヒド
ロキシ−1−ナフトエ酸等の芳香族ヒドロキシカルボン
酸、または3−メチル−4−ヒドロキシ安息香酸、3,
5−ジメチル−4−ヒドロキシ安息香酸、2,6−ジメ
チル−4−ヒドロキシ安息香酸、3−メトキシ−4−ヒ
ドロキシ安息香酸、3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキ
シ安息香酸、6−ヒドロキシ−5−メチル−2−ナフト
エ酸、6−ヒドロキシ−5−メトキシ−2−ナフトエ
酸、2−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸、3−クロロ
−4−ヒドロキシ安息香酸、2,3−ジクロロ−4−ヒ
ドロキシ安息香酸、3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシ
安息香酸、2,5−ジクロロ−4−ヒドロキシ安息香
酸、3−ブロモ−4−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロ
キシ−5−クロロ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−
7−クロロ−2−ナフトエ酸、6−ヒドロキシ−5,7
−ジクロロ−2−ナフトエ酸等の芳香族ヒドロキシカル
ボン酸のアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体が
挙げられる。
【0017】(c)芳香族ジオールとしては、4,4'−
ジヒドロキシビフェニル、3,3'−ジヒドロキシビフェ
ニル、4,4'−ジヒドロキシテルフェニル、ハイドロキ
ノン、レゾルシン、2,6−ナフタレンジオール、4,
4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル、ビス(4−ヒド
ロキシフェノキシ)エタン、3,3'−ジヒドロキシジフ
ェニルエーテル、1,6−ナフタレンジオール、2,2−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)メタン等の芳香族ジオール、または
クロロハイドロキノン、メチルハイドロキノン、tert−
ブチルハイドロキノン、フェニルハイドロキノン、メト
キシハイドロキノン、フェノキシハイドロキノン、4−
クロロレゾルシン、4−メチルレゾルシン等の芳香族ジ
オールのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体が
挙げられる。
【0018】(d1)芳香族ジチオールとしては、ベン
ゼン−1,4−ジチオール、ベンゼン−1,3−ジチオー
ル、2,6−ナフタレン−ジチオール、2,7−ナフタレ
ン−ジチオール等が挙げられる。(d2)芳香族チオフ
ェノールとしては、4−メルカプトフエノール、3−メ
ルカプトフェノール、6−メルカプトフェノール等が挙
げられる。(d3)芳香族チオールカルボン酸として
は、4−メルカプト安息香酸、3−メルカプト安息香
酸、6−メルカプト−2−ナフトエ酸、7−メルカプト
−2−ナフトエ酸等が挙げられる。
【0019】(e)芳香族ヒドロキシルアミンまたは芳
香族ジアミン系化合物としては、4−アミノフェノー
ル、N−メチル−4−アミノフェノール、1,4−フェ
ニレンジアミン、N−メチル−1,4−フェニレンジア
ミン、N,N'−ジメチル−1,4−フェニレンジアミ
ン、3−アミノフェノール、3−メチル−4−アミノフ
ェノール、2−クロロ−4−アミノフェノール、4−ア
ミノ−1−ナフトール、4−アミノ−4'−ヒドロキシ
ビフェニル、4−アミノ−4'−ヒドロキシジフェニル
エーテル、4−アミノ−4'−ヒドロキシジフェニルメ
タン、4−アミノ−4'−ヒドロキシジフェニルスルフ
ィド、4,4'−ジアミノジフェニルスルフィド(チオジ
アニリン)、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、
2,5−ジアミノトルエン、4,4'−エチレンジアニリ
ン、4,4'−ジアミノジフェノキシエタン、4,4'−ジ
アミノジフェニルメタン(メチレンジアニリン)、4,
4'−ジアミノジフェニルエーテル(オキシジアニリ
ン)等が挙げられる。
【0020】本発明で用いるサーモトロピック液晶ポリ
エステル樹脂は、上記モノマーから溶融アシドリシス法
やスラリー重合法等の多様なエステル形成法等により製
造することができる。本発明に用いる好適なサーモトロ
ピック液晶樹脂の分子量は、約2,000〜200,00
0、好ましくは約4,000〜100,000である。上
記分子量の値は、例えば圧縮フィルムについて赤外分光
法により末端基を測定して求めることができる。また溶
液状態で行う一般的な測定法であるGPCを用いること
もできる。
【0021】これらのモノマーから得られるサーモトロ
ピック液晶ポリエステル樹脂のうち、p−ヒドロキシ安
息香酸から誘導される下記式〔II〕で表される繰返し単
位を必須成分として含む(共)重合体である芳香族ポリ
エステルが好ましい。上記モノマー単位を約30モル%
以上含むものが好ましい。より好ましくは、約50モル
%以上含むものである。
【0022】
【化2】
【0023】本発明に用いる上で特に好ましい芳香族ポ
リエステルは、p−ヒドロキシ安息香酸、フタル酸およ
びジヒドロキシビフェニルの3種の化合物からそれぞれ
誘導される構造の繰返し単位を有する下記式〔III〕で
表わされるポリエステルである。式〔III〕で表される
ポリエステルにおいて、ジヒドロキシビフェニルから誘
導される構造の繰返し単位は、その一部または全部をジ
ヒドロキシベンゼンから誘導される繰返し単位で置換す
ることもできる。また、好ましい芳香族ポリエステルと
して、p−ヒドロキシ安息香酸およびヒドロキシナフタ
レンカルボン酸の2種の化合物からそれぞれ誘導される
構造の繰返し単位を有する下記式〔IV〕で表されるポリ
エステルも挙げることができる。
【0024】
【化3】
【化4】
【0025】本発明におけるサーモトロピック液晶ポリ
エステル樹脂は、単独で用いてもよいが、それらの2種
以上を混合して使用してもよい。
【0026】本発明においては、上記サーモトロピック
液晶樹脂に非液晶性のポリエステル樹脂を配合する。こ
のポリエステル系樹脂は、サーモトロピック液晶ポリマ
ーに比べて融点およびガラス転移点が低い。そのため
に、組成物が溶融状態から固化する際に、非液晶性ポリ
エステル樹脂は固化速度が遅く、溶融樹脂の固化過程で
の分子運動の自由度が大きく、結果として、金属表面、
または、金属表面上のトリアジンチオール類との間に相
互作用を生じる機会が多く、優れた接着複合体を与える
ものと考えられる。非液晶性のポリエステル樹脂として
は、PBT(ポリブチレンテレフタレート)、PCT
(ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート)、P
ET(ポリエチレンテレフタレート)等の高融点ポリエ
ステル系樹脂が例示され、これらは液晶ポリマーの耐熱
性を損なうことが少ない点で好ましい。また、低融点ま
たは低ガラス転移点を有するポリエステル系熱可塑性エ
ラストマーは、広範な温度範囲にわたって分子運動が活
発であり、そのため溶融時にエラストマーと金属体との
相互作用が生じ易く、接着特性に優れた接着複合体を与
えるので好ましい。
【0027】ポリエステル系熱可塑性エラストマーは、
巨視的な構造の点から次の2種に大別することができ
る。いずれも単独でまたは混合してLCPに配合するこ
とができる。第1は、PET、PBT、PCT、PEN
(ポリエチレンナフタレート)等の芳香族ジカルボン酸
と脂肪族ジオールとのポリエステルにおいて、ジカルボ
ン酸から誘導される構成単位の少なくとも一部が、長鎖
アルキル成分を含有する炭素数が30以上のジカルボン
酸、例えばダイマー酸から誘導される構成単位からなる
ものである。ダイマー酸以外のジカルボン酸から誘導さ
れる構成単位は、好ましくはテレフタル酸、ナフタレン
ジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸である。ジオー
ルから誘導される構成単位は、エチレングリコール、
1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジオー
ルなどの脂肪族ジオールから誘導される構成単位であ
る。
【0028】ここで用いるダイマー酸として代表的なも
のは、炭素数36のジカルボン酸であって、トール油等
の乾性油や半乾性油などから得られる精製植物性不飽和
脂肪酸を熱重合して得られるものである。原料、触媒の
有無とその種類、反応条件、反応後の分離条件等を変え
ることにより、重合、環化、異性化等の各種反応の組合
わせに応じて、構造の大きく異なるダイマー酸が得られ
る。好ましくは、さらに水素添加したダイマー酸を用い
る。本発明においては、ダイマー酸としていずれの構造
のものも使用することができる。水素添加したダイマー
酸の代表的な構造としては、下記式〔V〕、〔VI〕およ
び〔VII〕に示すような直鎖脂肪族型、脂環族型および
芳香族型の3種の長鎖カルボン酸が例示される。
【0029】
【化5】
【0030】具体的な水素添加ダイマー酸としては、例
えば、いずれもユニケマ社製の「PRIPOL 100
8」(商品名;炭素数36、芳香族型:脂環族型:直鎖
脂肪族型のモル比=9:54:37のダイマー酸)、
「PRIPOL 1009」(商品名;炭素数36、芳
香族型:脂環族型:直鎖脂肪族型のモル比=13:6
4: 23のダイマー酸)、およびそれらのエステル誘
導体、例えば、上記PRIPOL 1008のダイマー
酸のジメチルエステルである「PRIPLAST 30
08」(商品名)などが例示される。これらは単独でま
たは混合して他のジカルボン酸とともに縮合することが
できる。なお、本発明において用いるダイマー酸として
は、例えば下記式に示す混合物からなるハリマ化成(株)
製の「ハリダイマー 300」(商品名)が挙げられ
る。
【0031】
【化6】
【0032】長鎖アルキル成分で構成される炭素数が3
0以上のジカルボン酸、例えばダイマー酸または水素添
加ダイマー酸の使用量は、ポリエステルエラストマーの
ジカルボン酸に相当する構成単位の合計モル数に対して
0.1〜30モル%、好ましくは1〜20モル%、さら
に好ましくは3〜10モル%である。
【0033】具体例としては、ジメチルテレフタレート
と1,4−ブタンジオールを原料としてPBTを製造す
る際に、上記例示のようなダイマー酸を単独でまたは混
合物として上記割合で混合して製造したポリエステルエ
ラストマーが挙げられる。これらは、特開平5−515
20号公報、特開平5−117512公報、特開平5−
171015号公報、特開平5−214219号公報、
特開平5−295240号公報、特開平6−73277
号公報、特開平8−217965号公報等に記載されて
いる方法により製造することができる。水添ダイマー酸
含有熱可塑性エラストマーの市販品としては、カネボウ
合繊(株)製の「PO 2120」、「PO 2121」
(いずれも商品名)等が挙げられる。また、このような
ダイマー酸を共重合させたポリエステル系熱可塑性エラ
ストマーは、サーモトロピック液晶樹脂の流動性を向上
させることにより、射出成形時の所要充填圧力を低下さ
せるので、リードフレーム等の封止部材の損傷を回避す
る効果も有する。
【0034】第2のポリエステル系熱可塑性エラストマ
ーは、巨視的な構造上、ハードセグメントとソフトセグ
メントとのブロックポリエステル共重合体からなる熱可
塑性エラストマーである。ハードセグメントとしては結
晶性ポリエステル構造を、ソフトセグメントとしてはポ
リエーテル構造または非晶性のポリエステル構造を有す
るブロック共重合体である。ハードセグメントを構成す
る構造としてはPET、PBT、PEN、PCT等に相
当する、芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジオールとのポリ
エステル構造が例示される。またソフトセグメントを構
成する構造としては、ポリエチレングリコール、ポリプ
ロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等
に相当するポリエーテル構造が例示される。これらは、
容易に市場から入手することができ、例えば、「熱可塑
性エラストマー」(1991-2-15) 化学工業日報社 p. 184-
207 に記載されている。また、その構造は、例えば、B.
M. Walker, C. P. Rader編“Handbook ofThermoplasti
c Elastomers (second edition)”(1988) Van Nostrand
Reinhold,New York、p. 181-223 (Chapter 6)、および
N. R. Legge, G. Holden, H. E.Schroeder編“Thermop
lastic Elastomers”(1987) Hanser, New York、p. 163
-196 (Chapter 8) 等に記載されている。
【0035】上記第1の熱可塑性エラストマーは、ソフ
トセグメントが均一微細に存在するランダム構造を有し
ており、第2のものは、ソフトセグメントが局部的に存
在するブロック構造を有すると考えられる。
【0036】非液晶性ポリエステル系樹脂とサーモトロ
ピック液晶樹脂との組成物を得るには、公知の溶融混練
を採用することができる。すなわち、適宜の配合割合と
した原材料をあらかじめ押出機もしくは混練機で溶融混
練するか、または射出成形機の溶融工程中で溶融混練す
ればよい。配合比は、耐熱性、剛性、加工性のバランス
を考慮して調整する。通常の電気部材、光学部材の封止
用の樹脂材料を得るためには、ポリエステル系熱可塑性
エラストマー1〜40重量部とサーモトロピック液晶樹
脂99〜60重量部からなる組成物を用いることが好ま
しい。ここで、両成分の合計を100重量部とする。
【0037】本発明においては、金属体、好ましくはト
リアジンチオール類化合物で表面処理を施した金属体
に、熱可塑性樹脂を接着させる。熱可塑性樹脂には、好
ましくは前記非液晶性ポリエステル樹脂を配合する。非
液晶性ポリエステル樹脂の配合量は、LCP100重量
部に対して、0.1〜40重量部、好ましくは0.5〜2
0重量部である。
【0038】本発明においては、上記のように、金属表
面とLCP中に含まれる非液晶性ポリエステル系樹脂と
の相互作用、金属表面に存在するトリアジンチオール類
化合物とLCPとの相互作用、または金属表面に存在す
るトリアジンチオール類化合物とLCP中に含まれる非
液晶性ポリエステル系樹脂との相互作用に起因して接着
効果が得られる。したがって、これらの相互作用を十二
分に発揮させるためには、溶融状態にあるLCPと、金
属体、好ましくはトリアジンチオール類化合物により処
理した金属体とを接触させることが必要である。特に、
LCP中に含まれる非液晶性ポリエステル系樹脂を利用
する場合には、分子運動を積極的に行わせて非液晶性ポ
リエステル樹脂をLCP内部から表面に移行させ、金属
表面と接触させることによって、前記相互作用をさらに
増大させることができる。このように、本発明において
は、LCP組成物を溶融状態において金属体と接触させ
接着することが重要である。
【0039】本発明の樹脂組成物には、目的に応じて種
々の添加物を配合することができる。例えば、無機また
は有機充填剤(ガラス繊維、炭素繊維、タルク、マイ
カ、炭酸カルシウム、クレー、硫酸カルシウム、水酸化
マグネシウム、シリカ、アルミナ、硫酸バリウム、酸化
チタン、酸化亜鉛、黒鉛、木粉、各種ウィスカー、金属
粉、金属繊維等)、各種安定剤(酸化防止剤、紫外線吸
収剤、光安定剤、金属不活性化剤等)、顔料、染料、可
塑剤、オイル、滑剤、造核剤、帯電防止剤、難燃剤等が
挙げられる。充填剤の配合量は、一般に上記各種の添加
物を含む樹脂組成物の合計重量に対して1〜90重量
%、好ましくは5〜85重量%の範囲である。
【0040】なお、熱可塑性樹脂、特に液晶樹脂のよう
な固化時の収縮の異方性が大きい熱可塑性樹脂において
は、収縮の異方性を緩和することも接着性(密着性)を
向上させる上で有効である。すなわち、熱可塑性樹脂の
収縮異方性は、等方性の収縮を示す金属体との相対的関
係において必然的に剥離力として作用するため、熱可塑
性樹脂の収縮異方性を抑制あるいは緩和すれば、接着性
(密着性)の向上が期待される。上記の収縮異方性を抑
制あるいは緩和するため、収縮異方性の小さい別の熱可
塑性樹脂をブレンドする手法、またはアスペクト比の小
さい充填剤を配合する方法が有効である。収縮異方性の
高い特徴のを有する液晶樹脂を例にすれば、収縮異方性
の小さい別の熱可塑性樹脂の具体例としては、ポリカー
ボネート樹脂、ポリアリレート樹脂等が挙げられる。液
晶樹脂100重量部当たり、これら収縮異方性の小さい
別の熱可塑性樹脂を1〜30重量部配合することができ
る。
【0041】収縮異方性を抑制あるいは緩和する目的の
ために配合するアスペクト比の小さい充填剤としては、
具体的には、タルク、シリカ、炭酸カルシウム等の粒状
の充填剤が挙げられる。アスペクト比は、好ましくは1
0以下である。これらのアスペクト比の小さい充填剤の
配合量は、上記各種の添加物を含む樹脂組成物の合計重
量に対して1〜90重量%、好ましくは5〜85重量%
の範囲である。
【0042】前記のように、熱可塑性エラストマーを配
合して見かけのガラス転移温度を低下させるほか、実質
的に活発な分子運動の期間(時間)を延長させるために
は、金型冷却温度を通常設定する温度よりも高くする方
法がある。具体的には、金型冷却温度を、「(LCPの
ガラス転移点−20℃)〜(LCPの融点+20℃)」
の範囲に設定することが好ましい。なお、このような温
度範囲は、一般には通常設定される金型冷却温度よりも
高い温度である。
【0043】また、インサート成形等においてはインサ
ート部材を予備加熱することが多い。この予備加熱温度
を通常設定する温度より高くすることも、上記の目的の
ために有効である。具体的には、上記と同様に、インサ
ート部材の予備加熱温度を、「(LCPのガラス転移点
−20℃)〜(LCPの融点+20℃)の温度」の範囲
に設定することが好ましい。なお、このような温度範囲
は、一般には通常設定される予備加熱温度よりも高い温
度である。
【0044】また、金属表面または金属表面に存在する
トリアジンチオール類化合物と相互作用を有する低分子
化合物、例えば含酸素炭化水素樹脂を本発明の組成物に
配合することにより、金属との接着性(密着性)を向上
させることが可能である。上記本発明の組成物に配合す
ることができる含酸素炭化水素樹脂として、第一には、
オレフィンをカルボン酸、フェノール、アルコール等の
含酸素化合物と共重合するか、またはオレフィン重合に
より得られる炭化水素樹脂をこれら含酸素化合物により
変性して得られる、酸素原子を含有する炭化水素樹脂が
例示される。酸素原子は1分子に平均0.1〜3個の割
合で含まれていることが好ましい。具体的には、α−ピ
ネン、β−ピネン、ジペンテン、d−リモネン、l−リ
モネン等の不飽和のテルペン類単量体から誘導される含
酸素テルペン類炭化水素樹脂が例示される。好ましくは
遊離のカルボン酸または水酸基含有炭化水素樹脂であ
る。遊離のカルボン酸または水酸基は、炭化水素樹脂1
分子に、平均0.1〜3個の割合で含まれていることが
好ましい。より具体的には、含酸素テルペン類炭化水素
樹脂として、テルペン単量体とフェノール、クレゾー
ル、ハイドロキノン、ビスフェノールA等のフェノール
類との反応物またはその反応物の水素添加処理物が例示
される。その他、含酸素テルペン類炭化水素樹脂は、テ
ルペン単量体とマレイン酸、フマル酸等のα,β−不飽
和ジカルボン酸類との反応物またはその水素添加処理物
であってもよい。さらに、含酸素テルペン類炭化水素樹
脂として、環状テルペン化合物1分子に、フェノール、
クレゾール、ハイドロキノン、ビスフェノールA等のフ
ェノール類を2分子以上の割合で付加して得られるテル
ぺン骨格含有フェノール系多価化合物またはその水素添
加処理物を用いることもできる。
【0045】上記テルペン単量体とフェノール類との反
応物は、例えば、テルペン単量体類とフェノール類とを
用いてフリーデル−クラフツ反応を行うことにより、ま
た水素添加物は、この化合物を公知の方法で水素添加す
ることにより得られる。これらは、市場において、テル
ペンジフェノール、テルペンフェノール系樹脂、あるい
は、テルペン−フェノール共重合体樹脂等と呼ばれてお
り、例えば、市販品としては「YSポリスター」および
「マイティエース」(いずれも商品名、ヤスハラケミカ
ル(株)製)などがこれに相当する。
【0046】また、上記テルペン単量体とα,β−不飽
和ジカルボン酸類との反応物は、例えば、テルペン単量
体類とα,β−不飽和ジカルボン酸類をディールス−ア
ルダー(Diels-Alder)反応により反応させることによ
り、また水素添加物は、これらの化合物を公知の方法で
水素添加することにより得られる。これらは、市場にお
いて、酸変性テルペン系樹脂、あるいは、酸変性テルペ
ン共重合体樹脂と呼ばれており、例えば、市販品として
は「TM−60」(商品名、ヤスハラケミカル(株)製)
がこれに相当する。
【0047】さらに、上記環状テルペン化合物1分子に
フェノール類を2分子以上の割合で付加して得られるテ
ルぺン骨格含有フェノール系多価化合物は、例えば、テ
ルペン単量体類とフェノール類とを当量比1:2でフリ
ーデル−クラフツ反応を行うことにより、また水素添加
物は、これら化合物を公知の方法で水素添加することに
より得られる。例えば、市販品としては「YP−90」
(商品名、ヤスハラケミカル(株)製)がこれに相当す
る。
【0048】また、含酸素炭化水素樹脂として、第二に
は、含酸素炭化水素ワックス、例えば水酸基含有炭化水
素ワックスが挙げられる。このワックスは、ポリオレフ
ィン系炭化水素骨格を有し、その側鎖または末端に水酸
基を有する常温固体のものである。すなわち、主鎖の炭
素数が約100〜500のアルコールである。これらの
ワックスは、例えば、末端水酸基のポリブタジエンを水
素添加することにより製造することができる。市販品と
しては、「ポリテールH」(商品名、三菱化学(株)製)
などがこれに相当する。その他、含酸素ワックスは、炭
化水素ワックスに過酸化物処理を行い酸素原子を導入す
ることによっても製造することができる
【0049】得られた本発明のLCP組成物は、適宜の
溶融成形機、例えば射出成形機により溶融射出し、金属
体、好ましくはトリアジンチオール類化合物により表面
処理を施した金属体と、樹脂の溶融下で接着させる。具
体的な部材としてリードフレームを例にとると、金属製
リードフレームに、好ましくはあらかじめトリアジンチ
オール類化合物により処理処理を施して、封止成形にお
けるインサート部材とする。これを常法により金型内に
セットし(はめ込み)、樹脂を溶融射出して成形するこ
とにより封止成形を行い、封止部品としての接着複合体
を得る。また、金属体または表面処理を施した金属体を
アウトサート部材として、アウトサート成形により樹脂
を溶融射出して接着複合体を得ることもできる。その
外、樹脂と金属体、または表面処理を施した金属体とを
接触させ、樹脂を加熱溶融して熱プレス成形等を行うこ
とにより接着複合体を得ることもできる。
【0050】本発明の接着複合体は、一般工業部品、お
よび電気、電子、光学等の各種部品として用いられる。
これらの部品の代表的な形態としては、ランプソケッ
ト、ディストリビューターキャップ、イグニションコイ
ル、ヒューズケース、各種スイッチ、ブラケット、ボビ
ン、インテークテンペラチャーコントロールパネル、バ
イメタルバキュームスイッチングバルブ、ガソリンタン
ク等の自動車部品、樹脂被覆鋼板、樹脂被覆金属管、コ
ネクタ、ブロケット端子台座、コイルボビン、チューナ
部品リレー、ソケット、スイッチ、ミシンモーターケー
ス、中継端子取付けターミナル、ヒューズケース、コン
デンサーケース、CDプレーヤーシャーシ、HDDシャ
ーシ等の電気部品、ポンプケーシングやカメラ等の外装
部品等の一般工業部品、および電気、電子、光学の各分
野で使用されるリードフレーム封止部材等が挙げられ
る。
【0051】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明する。 <金属体の表面処理>所定の金属板(50mm×50mm×
0.5mm)を脱脂乾燥した後、必要に応じてトリアジン
チオール類化合物により表面処理を施し、乾燥して使用
した。使用したトリアジンチオール類化合物の種類およ
び表面処理の方法は以下の通りである。 (1)1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリチオール
モノナトリウム塩(TTN) TTNの0.4%水溶液に所定の金属板を80〜90℃
で30秒間浸漬した後、40℃で乾燥した。 (2)1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリチオール
トリエタノールアミン(TEA) TEAの1%水溶液を電解槽に入れて20℃に保ち、所
定の金属板を入れて一定電圧(0.6V以下)で2分間
印加することにより電気化学的処理を行った。
【0052】<LCP組成物の製造>サーモトロピック
液晶ポリマー、非液晶性ポリエステル系樹脂および充填
剤を撹拌混合した後、二軸押押出機で溶融して目的とす
る組成物を得た。なお、表中に記載した記号の意味は以
下の通りである。 ・KFC(商品名):鉄−ニッケル合金製リードフレー
ム材料、(株)神戸製鋼所製。 ・PBT:ポリブチレンテレフタレート ・PETE1:ハードセグメントとしてPBT構造を、
ソフトセグメントとしてポリエーテル構造を有するポリ
エステル系熱可塑性エラストマー;商品名:ペルプレン
P−30B、東洋紡績(株)製。 ・PETE2:PRIPLAST 3008(商品名、
前記ユニケマ社製ダイマー酸混合物)10モル%を含む
ジメチルテレフタレートと、1,4−ブタンジオールを
エステル交換反応後、重縮合して得られる共重合体;商
品名:カネボウPBT PO2120、鐘紡(株)製。
【0053】<成形方法>図を参照して金属体と樹脂と
の接着方法を説明する。図1(a)は、成形に用いる金
型1の略示断面図であり、図1(b)は、金属体2の平
面図である。 (1)あらかじめ表面処理を施した金属体2(板状体、
50mm×50mm×0.5mm)の片面の一部に両面テープ
3を貼り、これを片開き射出成形用金型1のキャビティ
4(100mm×100mm×1mm)内の壁に貼り付ける。 (2)移動金型5を閉じ、所定の熱可塑性樹脂をゲート
(図示せず)からキャビティ4内へ射出し射出成形を行
う。 (3)移動金型5を開き、突出ピン6で成形品(接着複
合体)を突出して取り出す。
【0054】<接着性の評価方法>接着性は、下記に示
すAおよびBの比(A/B)により表す。すなわち、3
/5は、合計5回の成形実験のうち、3回において良好
な接着が得られたことを意味する。 A:成形品の取り出し操作において、金属体と樹脂との
一体化した複合体が金型から取り出された回数。接着不
良の場合は、金属が金型側に接着し、成形された樹脂板
のみが取り出されるので、一体化した複合体が取り出さ
れたことは、接着が十分であることを意味する。 B:合計の成形実験回数。
【0055】<実験例101〜142>表1から表8
に、使用したサーモトロピック液晶樹脂、充填剤、金属
体材料、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、トリア
ジンチオール化合物および含酸素炭化水素樹脂、ならび
に接着性の評価結果を示す。なお、LCPは、フタル酸
/イソフタル酸/p−ヒドロキシ安息香酸/4,4'−ジ
ヒドロキシビフェニルからそれぞれ誘導される繰返し単
位を有するサーモトロピツク液晶コポリエステル樹脂で
あって、各モル比は、0.75/0.25/3/1であ
る。この樹脂は、ホットステージを装着した偏光顕微鏡
を用いて光学的異方性を観察したところ、340℃以上
の溶融状態において光学的異方性を示した。
【0056】
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【0057】
【発明の効果】本発明に従い、非液晶性ポリエステル系
樹脂をサーモトロピック液晶樹脂に配合することによ
り、液晶樹脂と金属との接着性(密着性)が向上し、良
好な接着が得られる。金属をトリアジンチオール類化合
物により表面処理すると、この効果はさらに向上する。
この効果は、非液晶性ポリエステル樹脂が良好に分散
し、金属表面またはトリアジンチオール類化合物に対し
て水素結合等の作用を生じるためと考えられる。また、
ポリエステル系熱可塑性エラストマーは、LCP組成物
を射出成形する際に、LCP分子が固化した後も混合物
中で分子運動を行うことができるため、金属表面との結
合作用がより大きくなるので特に好ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)は金型の略示断面図であり、図1
(b)は金属体の平面図である。
【符号の説明】
1 金型 2 金属体 3 両面テープ 4 キャビティ 5 移動金型 6 突出ピン
フロントページの続き Fターム(参考) 4F100 AB01A AB17 AH03A AH04A AK41B AK41K AK42 AL09B BA02 BA07 BA26 EJ64A GB41 GB51 JA20B JB16B JL11 4J002 CF062 CF072 CF102 CF181 DA076 DA086 DC006 FB086 FD010 GN00 GQ00

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属体と、非液晶性ポリエステル樹脂を
    含有するサーモトロピック液晶樹脂組成物とを溶融接着
    してなる接着複合体。
  2. 【請求項2】 前記金属体がトリアジンチオール類化合
    物により表面処理されてなる請求項1に記載の接着複合
    体。
  3. 【請求項3】 前記非液晶性ポリエステル樹脂が、ポリ
    エステル系熱可塑性エラストマーである請求項1に記載
    の接着複合体。
  4. 【請求項4】 少なくとも一部が金属からなる被封止部
    材を封止するための、非液晶性ポリエステル系樹脂を含
    むサーモトロピック液晶樹脂からなる封止用樹脂組成
    物。
  5. 【請求項5】 金属部分の表面の少なくとも一部がトリ
    アジンチオール類化合物により表面処理された前記被封
    止部材の封止に使用する請求項4封止用樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 前記非液晶性ポリエステル系樹脂が、ポ
    リエステル系熱可塑性エラストマーである請求項4に記
    載の封止用樹脂組成物。
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