JP4608342B2 - 低誘電正接を有する樹脂成形品およびその製造方法 - Google Patents

低誘電正接を有する樹脂成形品およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、液晶性ポリエステルを主成分とする樹脂組成物を使用し、高周波特性を必要とする分野における使用に好適な樹脂成形品、およびその製造方法に関するものである。
従来、耐薬品性、難燃性、機械的特性と同様に電気的特性やはんだ耐熱性に優れる液晶性ポリエステルは、電子部品や機械部品用材料として広く利用されている。例えば、液晶性ポリエステルを含有する樹脂基板に金属被膜を形成して得られる回路基板は、良好な成形性、寸法安定性、高い弾性率および強度を有するので、立体回路基板(MID)用材料としても注目されている。
液晶性ポリエステルを使用した回路基板としては、例えば、液晶性ポリエステルを成形して得た樹脂基板を、真空槽内で表面温度60℃以上となるように加熱しながらスパッタリング、イオンプレーティング、真空蒸着のいずれかの方法で金属被膜を被覆して得られる回路基板(特許文献1)や、液晶性ポリエステルと無機充填材を含有する樹脂組成物を成形して樹脂基板を作製し、樹脂基板の表面にエッチング処理を施して粗面化した後、スパッタリング、イオンプレーティング、あるいは真空蒸着により金属被膜を基板上に形成することにより得られる細線回路用樹脂成型品(特許文献2)が提案されている。
特許第2714440号公報 特公平7−24328号公報
ところで、樹脂材料を成形して得られる回路基板が交流電界の中に置かれる場合、樹脂材料の誘電正接が大きいほど、その回路基板の内部発熱量が増加する。液晶性ポリエステルは、エンジニアリングプラスチックやスーパーエンジニアリングプラスチックのなかでは比較的低い誘電正接(tanδ)を有するが、高周波回路基板のような高周波特性を必要とする分野では、さらに低い誘電正接を有する液晶性ポリエステル系基板の開発が望まれている。
したがって、本発明の主たる目的は、液晶性ポリエステル系樹脂組成物を使用し、低誘電正接を有する樹脂成形品を提供することにある。
すなわち、本発明の樹脂成形品は、液晶性ポリエステルおよびエポキシ基含有エチレン共重合体を含む樹脂組成物を射出成形により成型して得られた立体回路基板用の成型品に、残留酸素濃度が1%以下の条件下、不活性ガス雰囲気中で、前記液晶性ポリエステルの流動開始温度より120℃低い下限温度と前記流動開始温度より20℃低い上限温度の間の温度で熱処理を施すことによって得られ、熱処理なしで前記樹脂組成物から得られる樹脂成形品より小さい誘電正接を有することを特徴とする。
本発明の樹脂成形品の誘電正接は、熱処理なしで前記樹脂組成物から得られる樹脂成形品の誘電正接の90%もしくはそれ以下であることが好ましい。また、上記エポキシ基含有エチレン共重合体の含有量は、液晶性ポリエステル100質量部に対して0.1〜25質量部であることが好ましい。
本発明のさらなる目的は、上記した樹脂成形品の製造方法を提供することにある。すなわち、この製造方法は、液晶性ポリエステルおよびエポキシ基含有エチレン共重合体を含む樹脂組成物を射出成形により成型し、得られた立体回路基板用の成型品に、残留酸素濃度が1%以下の条件下、不活性ガス雰囲気中で、液晶性ポリエステルの流動開始温度より120℃低い下限温度と前記流動開始温度より20℃低い上限温度の間の温度で熱処理を施し、熱処理なしに前記樹脂組成物から得られる樹脂成形品より小さい誘電正接を有する樹脂成形品を得ることを特徴とする。
本発明によれば、上記した液晶性ポリエステル系樹脂組成物に熱処理を施すことで、その誘電正接を低減することができる。また、この液晶性ポリエステル系樹脂組成物でなる基板上に金属被膜を形成する場合は、低誘電正接とともに改善された密着性と耐熱性を兼ね備えた回路基板を得ることができる。このように、本発明の樹脂成形品は、電気電子産業、とりわけ高周波特性が必要とされる技術分野での使用に適している。
本発明の樹脂成形品を構成する樹脂組成物の主成分であり、好ましくは光学的異方性を有する溶融相を形成する芳香族骨格を有する液晶性ポリエステルとしては、例えば、芳香族ジオールと芳香族ヒドロキシカルボン酸の少なくとも一種のフェノール性水酸基を脂肪酸無水物でアシル化することにより得られるアシル化物と、芳香族ジカルボン酸と芳香族ヒドロキシカルボンの少なくとも1種とのエステル交換/重縮合反応により得られる生成物を使用することが好ましい。
芳香族ジオールとしては、例えば、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、レゾルシン、メチルハイドロキノン、クロロハイドロキノン、アセトキシハイドロキノン、ニトロハイドロキノン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−クロロフェニル)プロパン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)メタン、ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)メタン、ビス−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)メタン、ビス−(4−ヒドロキシ−3−クロロフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)ケトン、ビス−(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)ケトン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)スルホンを使用することができる。これらは1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて用いるようにしてもよい。そしてこれらの中でも、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、レゾルシン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス−(4−ヒドロキシフェニル)スルホンの使用が、入手容易性から好ましい。
一方、芳香族ヒドロキシカルボン酸としては、例えば、パラヒドロキシ安息香酸、メタヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸、1−ヒドロキシ−4−ナフトエ酸、4−ヒドロキシ−4’−カルボキシジフェニルエーテル、2,6−ジクロロ−パラヒドロキシ安息香酸、2−クロロ−パラヒドロキシ安息香酸、2,6−ジフルオロ−パラヒドロキシ安息香酸、4−ヒドロキシ−4’−ビフェニルカルボン酸を使用することができる。これらは1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて用いるようにしてもよい。そしてこれらの中でも、パラヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸の使用が入手の容易性の点で好ましい。
さらに、芳香族ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、メチルテレフタル酸、メチルイソフタル酸、ジフェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルケトン−4,4’−ジカルボン酸、2,2’−ジフェニルプロパン−4,4’−ジカルボン酸を使用することができる。これらは1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて用いるようにしてもよい。そしてこれらの中でも、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸の使用が入手の容易性の点で好ましい。
脂肪酸無水物としては、例えば、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水イソ酪酸、無水吉草酸、無水ピバル酸、無水2エチルヘキサン酸、無水モノクロル酢酸、無水ジクロル酢酸、無水トリクロル酢酸、無水モノブロモ酢酸、無水ジブロモ酢酸、無水トリブロモ酢酸、無水モノフルオロ酢酸、無水ジフルオロ酢酸、無水トリフルオロ酢酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水β−ブロモプロピオン酸を使用することができる。これらは1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して用いても良い。これらのなかでも、価格と取り扱い性の点で、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水イソ酪酸が好ましく、より好ましくは、無水酢酸である。
上記のエステル交換/重縮合反応は、次の化学式(1)で表されるイミダゾール化合物の存在下で行なうことが好ましい。
Figure 0004608342
この式(1)で表されるイミダゾール化合物としては、例えば、イミダゾール、1−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、1−エチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、4−エチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1,4−ジメチルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、1−メチル−2−エチルイミダゾール、1−メチル−4−エチルイミダゾール、1−エチル−2−メチルイミダゾール、1−エチル−2−エチルイミダゾール、1−エチル−2−フェニルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、4−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−アミノエチル−2−メチルイミダゾールを使用することができる。特に好ましいイミダゾール化合物においては、”R”が炭素数1〜4のアルキル基であり、”R”〜”R”が水素原子である。さらに、入手の容易性の点で、1−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾールの使用が好ましい。
上記のエステル交換/重縮合反応において、アシル化物と芳香族ジカルボン酸及び/又は芳香族ヒドロキシカルボン酸の量は、アシル化物を調製するために使用される芳香族ジオール及び/又は芳香族ヒドロキシカルボン酸のフェノール性水酸基の量が、芳香族ジカルボン酸及び/又は芳香族ヒドロキシカルボン酸のカルボキシル基に対する水酸基の当量数で0.8〜1.2となるように設定するのが好ましい。またエステル交換反応は、130〜400℃の範囲で、0.1〜50℃/分の割合で昇温しながら行なわせることが好ましく、150〜350℃の範囲で、0.3〜5℃/分の割合で昇温しながら行なわせることがより好ましい。
アシル化物としては、反応器内でフェノール性水酸基を脂肪酸無水物でアシル化することによって得られる生成物や、アシル化されたフェノール性水酸基を有するアシル化物、すなわち脂肪酸エステルを使用することができる。脂肪酸無水物の量は、芳香族ジオールや芳香族ヒドロキシカルボン酸のフェノール性水酸基の当量数で、1.0〜1.2、さらに好ましくは1.05〜1.1の範囲になるように設定することが好ましい。脂肪酸無水物の量が、フェノール性水酸基の当量数で1.0未満の場合には、アシル化時の平衡の脂肪酸無水物へのずれによって液晶性ポリエステルへの重合時に原料の昇華を生じる恐れがある。この場合は、反応系が閉塞されやすい。一方、脂肪酸無水物の量が、フェノール性水酸基の当量数で1.2倍を超える場合は、得られる液晶性ポリエステルの着色が問題になる恐れがある。アシル化は、130〜180℃で30分〜20時間、より好ましくは140〜160℃で1〜5時間実施されることが好ましい。
平衡のずれを利用して脂肪酸エステルとカルボン酸との間のエステル交換反応を促進するために、副生脂肪酸と未反応の脂肪酸無水物を蒸発させて反応系から除去することが好ましい。また、留出する脂肪酸の一部を反応容器に還流させる場合は、蒸発または昇華した原料成分が、凝縮または逆昇華現象により、還流する脂肪酸といっしょに反応器に戻すことができる。
また、エステル交換/重合反応において、式(1)で表されるイミダゾール化合物の添加量は、液晶ポリエステルの合成に使用される芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシカルボン酸の合計100質量部に対して、0.005〜1質量部であることが好ましい。液晶ポリエステルの色調および生産性の点から、その添加量は0.05〜0.5質量部であることがさらに好ましい。添加量が0.005質量部未満では、イミダゾール化合物のエステル交換/重合反応の促進への寄与が十分に得られず、逆に1質量部を超えると反応の制御が困難になる恐れがある。イミダゾール化合物の添加時期は、エステル交換時にイミダゾール化合物が反応系に存在することを条件として限定されない。例えば、エステル交換/重縮合反応の直前又は反応の途中にイミダゾール化合物を添加してもよい。
エステル交換/重合反応を加速するため、必要に応じて、触媒を使用してもよい。たとえば、触媒には、酸化ゲルマニウムのようなゲルマニウム化合物、蓚酸第一スズ、酢酸第一スズ、ジアルキルスズ酸化物、ジアリールスズ酸化物のようなスズ化合物、二酸化チタン、チタンアルコキシド、アルコキシチタンケイ酸類のようなチタン化合物、三酸化アンチモンのようなアンチモン化合物、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム、酢酸亜鉛、酢酸第一鉄のような有機酸の金属塩、トリフッ化ホウ素や、塩化アルミニウムのようなルイス酸類、アミン類、アミド類、塩酸、硫酸などの無機酸が含まれる。
上記したエステル交換/重合反応によって調製される本発明の液晶性ポリエステルは、光学的異方性を有する溶融相を形成する芳香族環骨格を有する。液晶性ポリエステルにバランス良く耐熱性及び耐衝撃性を持たせるために、次の化学式(2)で表される繰り返し単位を少なくとも30モル%含むことが好ましい。また液晶性ポリエステルの分子量に限定はない。例えば、液晶性ポリエステルの重量平均分子量は10000〜50000の範囲内であることが好ましい。
Figure 0004608342
また、液晶性ポリエステルに含まれる繰り返し単位は、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオールに基づく以下の組み合わせ(a)〜(f)から選択されることが好ましい。
(a):2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸に基づく構造単位と、2,6−ナフタレンジカルボン酸に基づく構造単位、又は2,6−ナフタレンジカルボン酸及びテレフタル酸の混合物に基づく構造単位と、4,4’−ジヒドロキシビフェニルに基づく構造単位との組み合わせ
(b):上記組み合わせ(a)において、4,4’−ジヒドロキシビフェニルに基づく構造単位の一部または全部をハイドロキノンに基づく構造単位に置き換えることによって得られる組み合わせ
(c):上記組み合わせ(a)において、4,4’−ジヒドロキシビフェニルに基づく構造単位の一部または全部を2,6−ジヒドロキシナフタレンに基づく構造単位に置き換えることによって得られる組み合わせ
(d):上記組み合わせ(a)において、2,6−ナフタレンジカルボン酸に基づく構造単位の一部または全部をイソフタル酸に基づく構造単位に置き換えることによって得られる組み合わせ
(e):上記組み合わせ(a)において、2,6−ナフタレンジカルボン酸に基づく構造単位の一部または全部をテレフタル酸及びイソフタル酸の混合物に基づく構造単位に置き換えることによって得られる組み合わせ
(f):上記組み合わせ(a)において、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸に基づく構造単位の一部または全部をパラヒドロキシ安息香酸に基づく構造単位に置き換えることによって得られる組み合わせ。
上記の(a)〜(f)のなかでも、液晶性ポリエステルは、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸に由来する繰り返し構造単位30〜80mol%、芳香族ジオールに由来する繰り返し構造単位10〜35mol%、および芳香族ジカルボン酸に由来する繰り返し構造単位10〜35mol%含むことが好ましい。この場合は、液晶性ポリエステルの優れた特性とともに、誘電正接を低下させる効果をより高く得ることができる。
次に、本発明の樹脂成形品を構成する樹脂組成物の重要成分であるエポキシ基含有エチレン共重合体について説明する。本発明においては、エポキシ基含有エチレン共重合体は、分子中に、エチレン単位を80〜95質量%、不飽和カルボン酸グリシジルエステル単位と不飽和グリシジルエーテル単位の少なくとも一方を5〜15質量%含むことが好ましい。エチレン単位が80質量%未満であると、樹脂基板の耐熱性や靭性が低下する恐れがある。また、後述するように、本発明の樹脂成形品上に金属被膜を形成することにより成形回路基板を作製する場合は、金属被膜の密着性を改善するために、不飽和カルボン酸グリシジルエステル単位と不飽和グリシジルエーテル単位の少なくとも一方を5質量%以上含有することが好ましい。これらの単位の他に、必要に応じて、エチレン系不飽和エステル単位を含むことができ、この場合、エチレン系不飽和エステル単位は50質量%以下であることが好ましい。
例えば、不飽和カルボン酸グリシジルエステル単位あるいは不飽和グリシジルエーテル単位を与える化合物は、次の化学式(3)、式(4)で表される。
Figure 0004608342
Figure 0004608342
具体的には、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、イタコン酸グリシジルエステル、アリルグリシジルエーテル、2−メチルアリルグリシジルエーテル、スチレン−p−グリシジルエーテル等を使用することができる。
エポキシ基含有エチレン共重合体として、エチレン、不飽和カルボン酸グリシジルエステルおよび/又は不飽和グリシジルエーテル以外にエチレン系不飽和エステルが含まれる三元系もしくはそれ以上の以上の多元系共重合体を使用してもよい。そのようなエチレン系不飽和エステル化合物としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等のカルボン酸ビニルエステルやα、β−不飽和カルボン酸アルキルエステルを使用することができる。これらのなかでも特に酢酸ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチルが好ましい。
そしてエポキシ基含有エチレン共重合体は、通常、エチレン単位を与える化合物と、不飽和カルボン酸グリシジルエステル単位あるいは不飽和グリシジルエーテル単位を与える化合物と、及び必要に応じてエチレン系不飽和エステル単位を与える化合物を、ラジカル発生剤の存在下、500〜4000気圧、100〜300℃の条件で、共重合させる方法により製造することができるものである。共重合は、適当な溶媒や連鎖移動剤の存在下でおこなってもよい。
具体的には、エポキシ基含有エチレン共重合体として、例えば、エチレン単位とグリシジルメタクリレート単位からなる共重合体、エチレン単位とグリシジルメタクリレート単位およびグリシジルメチルアクリレート単位からなる共重合体、エチレン単位とグリシジルメタクリレート単位およびグリシジルエチルアクリレート単位からなる共重合体、あるいはエチレン単位とグリシジルメタクリレート単位および酢酸ビニル単位からなる共重合体を使用することができる。特に、エチレン単位とグリシジルメタクリレートからなる共重合体の使用が好ましい。
また、エポキシ基含有エチレン共重合体は、メルトインデックス(MFR:JISK7210、測定条件:190℃、2.16kg荷重)が0.5〜100g/10分の範囲であることが好ましく、より好ましくは2〜50g/10分である。この範囲においては、良好な樹脂基板の機械物性と液晶ポリエステルとの相溶性が得られるという長所がある。
本発明の樹脂成形品において、エポキシ基含有エチレン共重合体の含有量は、液晶性ポリエステル100質量部に対して0.1〜25質量部であることが好ましく、より好ましくは10〜20質量部である。この範囲では、誘電正接を低下させる熱処理効果がより高くなる。含有量が0.1質量部未満であると、樹脂成形品上に設けた回路パターン用金属被膜の密着性が低下しやすいので、本発明の樹脂成形品を回路基板として使用することが困難になる恐れがある。一方、含有量が25質量部を超えると、樹脂組成物の成形性および耐熱性が低下する恐れがある。
必要に応じて、樹脂基板を補強するため、無機フィラーを樹脂組成物に添加してもよい。無機フィラーの種類は限定されない。例えば、無機フィラーとして、繊維状無機フィラー、ウィスカー、板状無機フィラー、粉末状無機フィラーを樹脂組成物に添加することができる。
本発明の樹脂成形品は、上記した液晶性ポリエステル、エポキシ基含有エチレン共重合体、および必要に応じて無機フィラーを含有する樹脂組成物を成型し、得られた成型品に液晶性ポリエステルの流動開始温度より低い温度で熱処理を施すことにより得られる。このように熱処理が施された樹脂成形品は、熱処理なしに同樹脂組成物から得られる樹脂成形品より小さい誘電正接を有する。
熱処理は、液晶性ポリエステルの流動開始温度より120℃低い下限温度と前記流動開始温度より20℃低い上限温度との間の温度で上記基板に熱処理を施すものである。流動開始温度は、内径1mm、長さ10mmのノズルをもつ毛細管レオメータを用い、100kgf/cm(980N/cm)の荷重下において、4℃/分の昇温速度で加熱溶融体をノズルから押し出す時に、溶融粘度が48000ポイズを示す温度を意味する。JISにおける関連規格は、K6719−1977である。熱処理温度が下限温度より低いと、熱処理による効果を十分に得ることができず、また熱処理温度が上限温度より高いと、樹脂基板に反りや変形を生じるおそれがある。この熱処理は残留酸素濃度が1%以下、好ましくは0.5%以下であるという条件下、窒素ガスなど不活性ガス雰囲気中で行なう。また、樹脂基板の変質を防止する観点から、加熱処理時間は1〜4時間の範囲であることが好ましい。
上記熱処理によれば、誘電正接の低下による高周波特性等の電気特性の改善に加え、樹脂基板の耐熱性も向上することができる。さらに、本発明の樹脂成形品を回路基板として使用する場合は、その上に形成される金属被膜の密着性を高めることができる。もちろん、本発明の樹脂成形品は、液晶性ポリエステル本来の優れた耐薬品性、低線膨張率、難燃性、機械的強度、電気絶縁性、制振性、弾性率を安定に維持している。従って本発明に係る樹脂成形品は、回路基板の他に、例えばアンテナや導波管、光伝送向け基板として好適に使用されるだろう。
一例として、本発明の樹脂成形品によって提供される樹脂基板上に金属被膜を形成することにより回路基板を製造する方法を以下に紹介する。
金属被膜を形成するに先立って、熱処理された樹脂基板の表面にプラズマ処理を施すことが好ましい。樹脂組成物中のエポキシ基含有エチレン共重合体は、反応性の高い官能基を持つので、樹脂基板の表面はプラズマ処理によって効果的に活性化される。したがって、金属被膜の密着性に及ぼすプラズマ処理の効果が高い。
プラズマ処理は、既存のプラズマ処理装置を用いて行なえる。例えば、チャンバー内に対向配置された一対の電極と、電極間に高周波電界を印加するための高周波ユニットを備えたプラズマ処理装置を使用することができる。この場合は、樹脂基板を一方の電極上に配置し、チャンバーを10−4Pa程度に減圧する。次いで、チャンバー内にNやNH等のプラズマ形成ガスをチャンバー内圧が8〜15Paになるように導入する。次に、高周波ユニットを用いて電極間に300Wの高周波パワー(13.56MHz)を10〜100秒間印加して電極間にプラズマを発生させ、これにより生成したプラズマ中の陽イオンやラジカルによって樹脂基板の表面を活性化する。プラズマ処理中、陽イオンとの衝突によって、金属と結合し易い窒素極性基や酸素極性基が樹脂基板の表面に付与されるので、金属被膜の密着性がさらに向上する。
プラズマ処理条件は樹脂基板の表面がプラズマ処理によって過度に粗面化されなければ、任意に設定できる。また、プラズマ形成ガスの種類も限定されない。例えば、上記のように、プラズマ形成ガスとして窒素を用いるのが好ましい。窒素プラズマを使用する場合は、酸素プラズマ処理を使用する場合に比べ、樹脂基板のエステル結合の切断による炭酸ガスの脱離を少なくできる。結果的に、樹脂基板の表層部の強度低下を回避できる。
金属被膜の形成には、スパッタリング、真空蒸着、イオンプレーティングのような物理蒸着法を用いることが好ましい。尚、上記したプラズマ処理を実施する場合は、樹脂基板を大気に接触させることなく、膜形成を連続して実施することが好ましい。金属被膜を構成する金属材料は限定されない。例えば、銅、ニッケル、金、アルミニウム、チタン、モリブデン、クロム、タングステン、スズ、鉛、黄銅、ニクロムおよびそれらの合金でなる群から選択することができる。
スパッタリングとしてDCスパッタリング法を採用する場合は、例えば、内部に樹脂基板を有するチャンバーを10−4Pa以下に減圧し、次いで内圧が0.1Pa程度になるようにアルゴン等の不活性ガスをチャンバー内に導入する。次に、500Vの直流電圧を印加して銅ターゲットをボンバードすることにより、金属被膜として200〜500nmの膜厚の銅皮膜を樹脂基板上に形成できる。
真空蒸着として電子線加熱真空蒸着法を採用する場合は、例えば、内部に樹脂基板を有するチャンバーを10−4Pa以下に減圧し、400〜800mAの電子流をるつぼの中の金属材料に衝突させて金属材料を蒸発させる。これにより、300nm程度の膜厚の銅被膜を金属被膜として樹脂基板上に形成できる。
イオンプレーティングを採用する場合は、例えば、内部に樹脂基板を有するチャンバーを10−4Pa以下に減圧し、真空蒸着の場合と同様にして金属材料を蒸発させる。さらに、樹脂基板とるつぼの間にアルゴン等の不活性ガスを内圧が0.05〜0.1Paになるように導入する。次に、樹脂基板を保持している電極に所望のバイアス電圧を印加した状態で、500Wの高周波パワー(13.56MHz)を誘導アンテナに印加してチャンバー内にプラズマを発生させる。これにより、200〜500nmの膜厚の銅皮膜を金属被膜として樹脂基板上に形成できる。
次に、樹脂基板上に形成された金属被膜に回路パターンを形成する。例えば、金属被膜の密着性を低下させることなく、回路部以外の不必要な金属被膜を効率よく除去する観点から、レーザーパターンニングを採用することが推奨される。本発明によれば、被膜形成に先立って、金属被膜の密着性を改善するための粗面化処理を行なう必要がないので、樹脂基板の粗面化された表面への金属被膜の形成を原因とする配線精度の低下なしにレーザーパターニングによって微細な回路パターンを精度よく形成することができる。したがって、本発明の樹脂成形品は、立体回路基板(MID)に適したものである。
レーザーパターンニング後、形成された回路パターン上に電解メッキにより銅などの追加金属被膜をトータル厚みが例えば5〜20μmになるように形成してもよい、回路パターンの形成後、必要に応じて、樹脂基板上に残留する不要な金属被膜を確実に除去するためのソフトエッチングを実施してもよい。さらに、追加金属被膜上に数μm程度の厚みのニッケルメッキ層や金メッキ層を設けてもよい。このように、本発明の樹脂成形品を使用することにより、所望の回路パターンを有する成形回路基板を得ることができる。
本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。
(液晶性ポリエステル”S1”の合成)
p−ヒドロキシ安息香酸を911g(6.6モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニルを409g(2.2モル)、テレフタル酸を274g(1.65モル)、イソフタル酸を91g(0.55モル)及び無水酢酸を1235g(12.1モル)、さらに1−メチルイミダゾールを0.17g、攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却器を備えた反応器に入れ、反応器内を十分に窒素ガスで置換した。次いで、窒素ガス気流下で15分かけて150℃まで昇温し、150℃で3時間還流させた。
次に、さらに1−メチルイミダゾール1.69gを加え、副生酢酸および未反応の無水酢酸を留去しながら2時間50分かけて320℃まで昇温し、トルクの上昇が認められる時点を反応終了とみなし、内容物を取り出した。内容物から得られた固形分を室温まで冷却し、粗粉砕機で粉砕後、得られた粉末を窒素雰囲気下、室温から250℃まで1時間かけて昇温し、250℃から288℃まで5時間かけて昇温し、288℃で3時間保持し、固相重合反応を進行させた。このようにして、液晶性ポリエステル”S1”を得た。フローテスター〔島津製作所社製、「CFT−500型」〕を用いて測定したこの液晶ポリエステルの流動開始温度は320℃である。
(液晶性ポリエステル”S2”の合成)
2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸を752.72g(4.00モル)、ハイドロキノンを220.22g(2.00モル)、2,6−ナフタレンジカルボン酸を432.38g(2.00モル)、無水酢酸を986.19(9.2モル)を攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却器を備えた反応器に入れ、さらに触媒として1−メチルイミダゾール0.143gを添加した。得られた混合物を室温で15分間攪拌した後、攪拌しながら145℃に昇温した。この温度で、得られた混合物を1時間さらに攪拌した。
次に、副生酢酸および未反応の無水酢酸を留去しながら、145℃から310℃まで3時間かけて昇温した。1−メチルイミダゾール1.427gをさらに加えたのち、310℃で30分保持して芳香族ポリエステルを得た。得られた芳香族ポリエステルを室温に冷却し、粉砕機で粉砕して、芳香族ポリエステル粉末(粒子径は約0.1mm〜約1mm)を得た。
上記で得た粉末を25℃から250℃まで1時間かけて昇温したのち、同温度から320℃まで5時間かけて昇温し、次いで同温度で3時間保温して固相重合反応を促した。このようにして、液晶性ポリエステル”S2”を得た。フローテスター〔島津製作所社製、「CFT−500型」〕を用いて測定したこの液晶性ポリエステルの流動開始温度は、333℃であった。
一方、エポキシ基含有エチレン共重合体として、住友化学工業株式会社製の「ボンドファースト(登録商標)」”BF−E”,、”BF−2C”、”BF−7M”および”BF−2B”を使用した。ボンドファースト”BF−E”は、エチレン-グリシジルメタクリレート共重合体(グリシジルメタクリレート含有量12質量%、MFR=3g/10分)である。ボンドファースト”BF−2C”は、エチレン-グリシジルメタクリレート共重合体(グリシジルメタクリレート含有量6質量%:MFR=3g/10分)である。ボンドファースト”BF−7M”は、エチレン-グリシジルメタクリレート-アクリル酸メチル共重合体(グリシジルメタクリレート含有量6質量%、アクリル酸メチル含有量30質量%:MFR=9g/10分)である。ボンドファースト”BF−2B”は、エチレン-グリシジルメタクリレート-酢酸ビニル共重合体(グリシジルメタクリレート含有量12質量%、酢酸ビニル5質量%:MFR=3g/10分)である。なお、MFR(メルトフローレート)は、JIS−K7210に準拠し、190℃、2160g荷重の条件下で測定した値である。
必要に応じて、無機フィラーとして、ミルドガラス繊維(MGF:セントラルガラス(株)製「EFH−7501」:繊維径10μm、アスペクト比10)、チタン酸バリウム(富士チタン社製「NPO−S」:平均粒径2.1μm)、チタン酸ストロンチウム(富士チタン社製「ST−1」:平均粒径1.1μm)を使用した。
(実施例1)
液晶性ポリエステル”S1”100質量部に、エポキシ基含有エチレン共重合体”BF−E”10質量部、および無機フィラーとしてチタン酸バリウム粉末”NPO−S”100質量部を混合して樹脂組成物を調製した。2軸押出機(池貝鉄工(株)「PCM−30」)を使用し、340℃でこの樹脂組成物のペレットを作製した。得られたペレットを日精樹脂工業(株)製射出成形機「PS40E5ASE」を用いて、シリンダー温度350℃、金型温度130℃で射出成形し、40mm×30mm×厚さ1mmの樹脂基板を得た。
次に、窒素雰囲気中で、300℃で3時間、この樹脂基板に熱処理を施した。その後、この樹脂基板の表面をプラズマ処理した。すなわち、まず樹脂基板をプラズマ処理装置のチャンバー内にセットし、チャンバーを10−4Pa程度に減圧した。さらに、チャンバーにNをチャンバー内のガス圧が10Paになるように導入した。この後、プラズマ処理装置の電極間に300Wの高周波電圧(13.56MHz)を30秒間印加することによって、樹脂基板にプラズマ処理を施した。プラズマ処理後、DCマグネトロンスパッタリング装置を使って樹脂基板のプラズマ処理面に金属被膜を形成した。すなわち、チャンバーを10−4Pa以下になるまで減圧した後、チャンバーにアルゴンガスをチャンバー内のガス圧が0.1Paになるように導入し、更に500Vの直流電圧を印加することによって、銅ターゲットをボンバードし、樹脂基板上に金属被膜として400nmの膜厚の銅被膜を形成した。
次に、レーザ照射により金属被膜に幅5mmのパターンを形成し、この金属被膜のパターン上に電解メッキで銅をメッキすることによって、厚み15μmの剥離強度試験用回路パターンを樹脂基板上に得た。
(実施例2〜4)
実施例2〜4の各々においては、表1に示すように、異なる量のエポキシ基含有エチレン共重合体”BF−E”を用いたことを除いて、実施例1と同じ方法に基づいて剥離強度試験用回路パターンを有する樹脂基板を製造した。
(比較例1)
エポキシ基含有エチレン共重合体を使用しなかったことと、熱処理を行なわなかったことを除いて、実施例1と同じ方法に基づいて剥離強度試験用回路パターンを有する樹脂基板を製造した。
(比較例2)
熱処理を行なわなかったことを除いて、実施例1と同じ方法に基づいて剥離強度試験用回路パターンを有する樹脂基板を製造した。
(比較例3)
エポキシ基含有エチレン共重合体”BF−E”の添加量が24質量部であることと、熱処理を行なわなかったことを除いて、実施例1と同じ方法に基づいて剥離強度試験用回路パターンを有する樹脂基板を製造した。
上記の実施例1〜4及び比較例1〜3について、樹脂基板の誘電正接(tanδ)及び回路パターンの90度ピール強度を測定した。すなわち、1GHzにおける樹脂基板の誘電正接は、RFインピーダンス/マテリアルアナライザ(HP 4291A)を用いて、RF I−V法に基づくインピーダンス測定を実施することにより求めた。一方、ピール強度は、万能試験機(島津製作所製「EG Test」)を用いて測定を行なった。結果を表1に示す。
Figure 0004608342
実施例1と、実施例1と同じ組成の樹脂基板を使用する比較例2との比較からわかるように、熱処理を行なうことによって誘電正接は顕著に低減される。すなわち、実施例1の熱処理した樹脂基板の誘電正接は、熱処理なしの比較例2の樹脂基板の誘電正接のおよそ77%に相当する。同様に、実施例4と、実施例4と同じ組成の樹脂基板を使用する比較例3の結果から、実施例3の熱処理した樹脂基板の誘電正接は、熱処理なしの比較例3の樹脂基板の誘電正接のおよそ60%に相当する。また、熱処理なしの比較例1〜3においては、エポキシ基含有エチレン共重合体の含有量の増加とともに、誘電正接も増加する。これに対して、本発明の熱処理を行なった実施例1〜4においては、エポキシ基含有エチレン共重合体の含有量の増加とともに誘電正接は減少する。このように、本発明の熱処理は、液晶性ポリエステル系樹脂基板がエポキシ基含有エチレン共重合体を含有する場合に誘電正接を低減する格別の効果を提供する。さらに、実施例1、4と比較例2,3との間の比較は、熱処理が回路パターンの密着性の改善にとっても効果的であることを示している。
(実施例5)
液晶性ポリエステル”S1”100質量部に、エポキシ基含有エチレン共重合体”BF−E”15質量部、ミルドガラス繊維”MGF”67質量部を混合して樹脂組成物を調製したことを除いて、実施例1と同じ方法に基づいて剥離強度試験用回路パターンを有する樹脂基板を製造した。
(実施例6〜8)
実施例6〜8の各々において、表2に示すように、エポキシ基含有エチレン共重合体”BF−E”とは異なるエポキシ基含有エチレン共重合体を使用したことを除いて、実施例5と同じ方法に基づいて剥離強度試験用回路パターンを有する樹脂基板を製造した。
実施例5〜8について、実施例1の場合と同様に、誘電正接(tanδ)および回路パターンの90度ピール強度を測定した。また、ASTM D648に準拠して、荷重1.82MPaでの荷重たわみ温度(DTUL)を測定した。結果を表2に示す。
Figure 0004608342
表2の結果から分かるように、分子中のエチレン単位の含有率が80%以上であるエポキシ基含有エチレン共重合体を用いた実施例5、6、8における樹脂基板の誘電正接は、分子中のエチレン単位の含有率が80wt%より少ないエポキシ基含有エチレン共重合体を用いた実施例7における樹脂基板の誘電正接よりも顕著に低い。また、実施例5、6、8における樹脂基板は、回路パターンの良好な密着性を保ちながら、実施例7における樹脂基板よりも高いDTULを有する。これらの理由から、分子中のエチレン単位の含有率が80wt%以上であるエポキシ基含有エチレン共重合体を用いることが好ましい。
(実施例9)
液晶性ポリエステル”S2”100質量部に、エポキシ基含有エチレン共重合体”BF−E”10質量部、さらにチタン酸ストロンチウム粉末”ST−1”200質量部を混合して樹脂組成物を調製したことを除いて、実施例1と同じ方法に基づいて剥離強度試験用回路パターンを有する樹脂基板を製造した。
(実施例10)
液晶性ポリエステル”S1”100質量部に、エポキシ基含有エチレン共重合体”BF−E”10質量部、さらにチタン酸ストロンチウム粉末”ST−1”200質量部を混合して樹脂組成物を調製したことを除いて、実施例1と同じ方法に基づいて剥離強度試験用回路パターンを有する樹脂基板を製造した。
(比較例4)
熱処理を行なわなかったことを除いて、実施例9と同じ方法に基づいて剥離強度試験用回路パターンを有する樹脂基板を製造した。
(比較例5)
熱処理を行なわなかったことを除いて、実施例10と同じ方法に基づいて剥離強度試験用回路パターンを有する樹脂基板を製造した。
実施例9、10および比較例4,5について、実施例1の場合と同様に、誘電正接(tanδ)および回路パターンの90度ピール強度を測定した。結果を表3に示す。
Figure 0004608342
実施例9と、実施例9と同じ組成の樹脂基板を使用する比較例4との比較から分かるように、熱処理を行なうことによって誘電正接は顕著に低減される。すなわち、実施例9の熱処理した樹脂基板の誘電正接は、熱処理なしの比較例4の樹脂基板の誘電正接のおよそ88%に相当する。同様に、実施例10と、実施例10と同じ組成の樹脂基板を使用する比較例5の結果は、実施例10の熱処理した樹脂基板の誘電正接は、熱処理なしの比較例5の樹脂基板の誘電正接のおよそ98%に相当する。また、これらの結果は、もともとの誘電正接が小さく、誘電正接をさらに低減する観点から、液晶性ポリエステル”S1”より液晶性ポリエステル”S2”がより好ましいことを示している。
(実施例11〜14)
実施例11〜14の各々においては、67質量部のミルドガラス繊維(MGF)“EFH-7501”をチタン酸バリウム粉末“NPO-S”の代わりに無機フィラーとして使用したことと、表4に示す条件で樹脂基板に熱処理を施したことを除いて、実施例1と同じ方法に基づいて剥離強度試験用回路パターンを有する樹脂基板を製造した。
(比較例6)
熱処理を行なわなかったことを除いて、実施例11と同じ方法に基づいて剥離強度試験用回路パターンを有する樹脂基板を製造した。
(比較例7)
エポキシ基含有エチレン共重合体を使用しなかったことと、熱処理を行なわなかったことを除いて、実施例11と同じ方法に基づいて剥離強度試験用回路パターンを有する樹脂基板を製造した。
(比較例8)
エポキシ基含有エチレン共重合体を使用しなかったことと、表4に示す条件で樹脂基板に熱処理を施したことを除いて、実施例11と同じ方法に基づいて剥離強度試験用回路パターンを有する樹脂基板を製造した。
上記の実施例11〜14及び比較例6について、上記実施例と同様に剥離強度試験用パターン回路のピール強度(90度ピール強度)、誘電正接(tanδ)、DTULを測定した。また、樹脂基板のはんだ耐熱温度を以下の方法に基づいて評価した。すなわち、樹脂基板の試料をはんだ浴に60秒間浸漬した後、変形の発生をチェックした。変形の生じる最低はんだ浴温度を耐熱温度として求めた。結果を表4に示す。
Figure 0004608342
表4の結果から分かるように、熱処理を行なった実施例11〜14の各樹脂基板は、熱処理なしの比較例6の樹脂基板よりも小さい誘電正接を有する。例えば、実施例11と、実施例11と同じ組成の樹脂基板を使用する比較例6との比較においては、熱処理を行なうことによって誘電正接が顕著に低減される。すなわち、実施例11の熱処理した樹脂基板の誘電正接は、熱処理なしの比較例6の樹脂基板の誘電正接のおよそ76%に相当する。また、はんだ耐熱性およびDTULも熱処理によって改善された。さらに、実施例11〜14の結果は、熱処理温度が上昇するにつれて、誘電正接が減少するとともに、回路パターンの密着性が増加する傾向があることを示している。一方、比較例7および8の結果は、樹脂基板がエポキシ基含有エチレン共重合体を含有しない場合、熱処理によって誘電正接が増加する場合があることを示している。

Claims (9)

  1. 液晶性ポリエステルおよびエポキシ基含有エチレン共重合体を含む樹脂組成物を射出成形により成型して得られた立体回路基板用の成型品に、残留酸素濃度が1%以下の条件下、不活性ガス雰囲気中で、前記液晶性ポリエステルの流動開始温度より120℃低い下限温度と前記流動開始温度より20℃低い上限温度の間の温度で熱処理を施すことによって得られ、熱処理なしに前記樹脂組成物から得られる樹脂成形品より小さい誘電正接を有することを特徴とする樹脂成形品。
  2. 上記樹脂成形品の誘電正接は、熱処理なしに前記樹脂組成物から得られる樹脂成形品の誘電正接の90%もしくはそれ以下であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂成形品。
  3. 上記エポキシ基含有エチレン共重合体の含有量は、液晶性ポリエステル100質量部に対して0.1〜25質量部であることを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂成形品。
  4. 上記エポキシ基含有エチレン共重合体は、分子中に、エチレン単位を80〜95質量%、不飽和カルボン酸グリシジルエステル単位と不飽和グリシジルエーテル単位の少なくとも一方を5〜15質量%含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の樹脂成形品。
  5. 上記液晶性ポリエステルは、2−ヒドロキシ−6−ナフトエ酸に由来する繰り返し単位を30〜80mol%、芳香族ジオールに由来する繰り返し単位を10〜35mol%、および芳香族ジカルボン酸に由来する繰り返し単位を10〜35mol%含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の樹脂成形品。
  6. 回路パターンに形成された金属被膜を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の樹脂成形品。
  7. 液晶性ポリエステルおよびエポキシ基含有エチレン共重合体を含む樹脂組成物を射出成形により成型し、得られた立体回路基板用の成型品に、残留酸素濃度が1%以下の条件下、不活性ガス雰囲気中で、液晶性ポリエステルの流動開始温度より120℃低い下限温度と前記流動開始温度より20℃低い上限温度の間の温度で熱処理を施し、熱処理なしに前記樹脂組成物から得られる樹脂成形品より小さい誘電正接を有する樹脂成形品を得ることを特徴とする樹脂成形品の製造方法。
  8. 上記液晶性ポリエステルは、芳香族ジオールと芳香族ヒドロキシカルボン酸の少なくとも一種のフェノール性水酸基を脂肪酸無水物でアシル化することにより得られるアシル化物と、芳香族ジカルボン酸と芳香族ヒドロキシカルボンの少なくとも1種とのエステル交換/重縮合反応により調製されることを特徴とする請求項に記載の樹脂成形品の製造方法。
  9. 上記エステル交換反応および重縮合反応は、次の化学式で表されるイミダゾール化合物の存在下で実施されることを特徴とする請求項に記載の樹脂成形品の製造方法。
    Figure 0004608342
    (しかるに、R〜Rの各々は、水素原子又は、炭素数1〜4のアルキル基、ヒドロキシメチル基、シアノ基、炭素数1〜4のシアノアルキル基、炭素数1〜4のシアノアルコキシ基、カルボキシル基、アミノ基、炭素数1〜4のアミノアルキル基、炭素数1〜4のアミノアルコキシ基、フェニル基、ベンジル基、フェニルプロピル基、フォルミル基から選択される。)
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