JP2000044241A - アナターゼ型チタニア溶着体及びその製造方法 - Google Patents

アナターゼ型チタニア溶着体及びその製造方法

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JP2000044241A
JP2000044241A JP10214613A JP21461398A JP2000044241A JP 2000044241 A JP2000044241 A JP 2000044241A JP 10214613 A JP10214613 A JP 10214613A JP 21461398 A JP21461398 A JP 21461398A JP 2000044241 A JP2000044241 A JP 2000044241A
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titania
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powder
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Akira Osawa
晶 大沢
Yoichi Nagasaki
洋一 長崎
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Yamaha Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶着されるチタニアの結晶型をアナターゼ型
に維持することで、光活性度及び光照射効率が向上する
とともに、機械的強度及び耐久性が向上し、さらに既設
物や加工物等への応用分野を広げることが可能なアナタ
ーゼ型チタニア溶着体及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 平均粒径が30〜100μm、粒度分布
が25〜200μmのアナターゼ型チタニアからなる粉
体またはその造粒体が、プラズマ溶射法により基体1上
に溶着され、かつ、溶着された前記チタニア2の少なく
とも一部に、アナターゼ型の結晶型を有することを特徴
とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アナターゼ型チタ
ニア溶着体及びその製造方法に係り、特に、チタニアの
結晶型をアナターゼ型とすることで、チタニアの光活性
度が向上し、その結果、触媒活性及び耐久性が向上した
アナターゼ型チタニア溶着体及びその製造方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来、チタニア(TiO2)には、ルチ
ル、ブルッカイト、アナターゼの3種の変態が存在する
ことが知られている。アナターゼ型のチタニアは600
℃以下の温度領域で生成し、600℃以上の温度領域で
はルチル型に変態する。また、チタニアを主成分とする
粉体を基体上に固定する技術として、溶着法が知られて
いる。この溶着法は、チタニアの融点(1630〜16
50℃)を越える温度領域で被溶着物であるチタニア粉
体を加熱・溶融して前記基体上に溶着させる方法であ
る。
【0003】一方、チタニア粉体を利用した技術とし
て、チタニア粉体に紫外光を照射し活性化させることに
より、該チタニア粉体に接触もしくは吸着した有害有機
物を分解し、無害化する技術がある。この無害化技術で
は、無害化の効率を向上させるための視点から、一般的
に推察されまた確認されている基本的なポイントは次の
3点である。 (1)光活性度の向上 a.チタニアの結晶型が光活性度のより高いアナターゼ
型のものを用いる。 b.チタニア粉体に可視光活性を付与する。 (2)光の照射効率の向上 チタニア粉体の受光面積の最大化→チタニア粉体の比表
面積の最大化→チタニアの微粒子化 (3)有害有機物との接触確率の向上 チタニア粉体の、気中または液中における有害有機物の
吸着力を高める→チタニア粉体の多孔質化
【0004】この無害化技術においては、実際に工業的
に供給され得る原材料としては、平均粒径が約5〜30
0nmの高結晶性アナターゼ型チタニア微粉体、あるい
は金属Tiのアルコキシド溶液(例えば、チタニウムテ
トライソプロポキシド:Ti(O-i-C374)等で
ある。チタニア粉体は、粉末のままの状態で用いられる
が、その他に、有機/無機バインダーと混練し該混練物
を基体上に接着し乾燥させて固定化する方法、あるいは
他の粉体や粘土質の材料に練り込み、該混練物を基体上
に接着し乾燥させて固定化する方法等がある。
【0005】また、ゾルゲル法により金属Tiアルコキ
シド溶液をスピンコート法等により基体上に塗布した後
に乾燥させ、その後600℃以下の最高保持温度で所定
時間焼成することにより、数μmの厚みの焼結体からな
るチタニア薄膜を得る方法もある。なお、チタニア薄膜
を形成する方法としては、ゾルゲル法の他に、例えば、
CVD法(化学気相堆積法:CHEMICAL VAPOR DEPOSITIO
N)、スパッタ法、溶射法等がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、アナターゼ
型チタニア微粉体をそのままの状態で用いた場合、比表
面積が大きく、しかも吸着性に優れていることから、有
害有機物を分解する能力が高いという特徴を有する。し
かしながら、気中及び液中における微粉体の位置制御が
困難であり、また、この微粉体が飛散したり、あるいは
分散したりした後に、この微粉体を回収することは現実
的には不可能であるという問題点があった。したがっ
て、アナターゼ型チタニア微粉体のままで用いる場合、
適用可能な分野が狭く限定されてしまうという問題点が
ある。
【0007】また、アナターゼ型チタニア微粉体をバイ
ンダーで基体上に固定化する方法では、大抵の場合、2
00℃以下の温度で処理することにより固定化できるの
で、アナターゼ型の結晶型を維持することができる。し
かしながら、バインダーを添加した分だけ有効表面積が
減少してしまい、特に、粒径がnm程度の微粉体の場合
においては、この微粉体がバインダーに埋没してしま
い、結果的に、光活性度や照射効率が大幅に低下してし
まうという問題点があった。更に、例えば、ポリビニル
アルコール(PVA)、エチルセルロース等の有機バイ
ンダーを用いた場合、200℃以上の温度で熱処理する
際に該有機バインダーが分解・飛散するために、表面が
多孔質になり易く、機械的強度及び耐久性が低下すると
いう問題点がある。
【0008】また、ゾルゲル法によりチタニア薄膜を形
成する場合、得られた薄膜が非常に薄いために基体の形
状に殆ど影響を与えることが無く、微小な隙間にも膜を
形成することができ、また、600℃以下の温度で焼成
すればよいので、アナターゼ型のチタニア薄膜を形成す
ることができる、という優れた特徴を有する。しかしな
がら、このゾルゲル法においては、アナターゼ型チタニ
ア薄膜を得るための焼成条件が微妙で高度の制御技術を
要し、しかも焼成に長時間を要する(約5〜6時間)た
めに、完全な薄膜を得ることが難しく、結果として有害
有機物の分解能力が低下するという問題点があった。ま
た、膜厚が数μmと非常に薄いために、薄膜の耐久性が
低下するという問題点もあった。
【0009】さらに、チタニア微粉体を基体上に固定す
る方法として、従来より焼結、溶射、溶着等の方法が知
られているが、何れの方法においても、この微粉体をそ
の融点に近い温度、すなわち1600℃以上まで加熱す
る必要がある。したがって、この微粉体の結晶型はアナ
ターゼ型からルチル型に変態してしまい、アナターゼ型
を維持することができないという問題点があった。ま
た、実用化を考慮した場合、もちろんチタニアの光活性
度を維持するという前提の下であるが、 (1)チタニアの構造的固定化、コンパクト化 (2)光活性度及び構造における耐久性の付与等が課題
として挙げられる。
【0010】本発明は、上記の事情に鑑みてなされたも
のであって、チタニアの結晶型をアナターゼ型に維持す
ることで、光活性度及び光照射効率が向上するととも
に、機械的強度及び耐久性が向上し、さらに既設物や加
工物等への応用分野を広げることが可能なアナターゼ型
チタニア溶着体及びその製造方法を提供することを目的
とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】従来、アナターゼ型チタ
ニアは600℃以上の温度でルチル型チタニアに変態し
てしまうために、アナターゼ型の結晶型を維持すること
が困難であると考えられていたため、基体上にチタニア
を溶着する場合、このチタニアの結晶型をアナターゼ型
に維持した状態で溶着することは不可能とされてきた。
そこで、本発明者等は、鋭意研究した結果、プラズマ溶
射法を用いて基体上にアナターゼ型チタニアを溶着すれ
ば、1秒以下の短時間でアナターゼ型チタニアの溶着を
行うことが可能になることを見いだした。
【0012】すなわち、溶着においては、チタニアの温
度は必ずチタニアの溶融温度以上、つまり1630℃以
上になる。これはアナターゼ型からルチル型に変態する
温度である600℃以上よりはるかに高い。一方、プラ
ズマ溶射のように1秒程度の短時間で溶射され、基体温
度が200℃程度までしか上昇しないようにされ、急速
に冷却されるような方法を用いれば、粉末または造粒体
の大きさによっては、そのすべてが溶融温度まで加熱さ
れるわけではない。したがって、一部は溶着するもの
の、一部はアナターゼ型を維持したまま、それに付随す
るかたちで基体に固着される。
【0013】そこで、本発明は、次の様なアナターゼ型
チタニア溶着体及びその製造方法を提供することとし
た。すなわち、請求項1記載のアナターゼ型チタニア溶
着体は、平均粒径が30〜100μm、粒度分布が25
〜200μmのアナターゼ型チタニアからなる粉体また
はその造粒体が、プラズマ溶射法により基体上に溶着さ
れ、かつ、該溶着された前記チタニアの少なくとも一部
に、アナターゼ型の結晶型を有することを特徴としてい
る。
【0014】また、請求項2記載のアナターゼ型チタニ
ア溶着体は、請求項1記載のアナターゼ型チタニア溶着
体において、前記粉体は、平均粒径が5〜300nm、
粒度分布が3〜500nmのアナターゼ型チタニア微粉
体を焼成したアナターゼ型チタニア焼結体からなること
を特徴としている。
【0015】また、請求項3記載のアナターゼ型チタニ
ア溶着体は、請求項1記載のアナターゼ型チタニア溶着
体において、前記粉体は、平均粒径が5〜300nm、
粒度分布が3〜500nmのアナターゼ型チタニア微粉
体の液架橋体からなることを特徴としている。
【0016】また、請求項4記載のアナターゼ型チタニ
ア溶着体は、請求項1記載のアナターゼ型チタニア溶着
体において、前記造粒体は、平均粒径が5〜300n
m、粒度分布が3〜500nmのアナターゼ型チタニア
微粉体をメカノケミカル結合法により造粒してなること
を特徴としている。
【0017】また、請求項5記載のアナターゼ型チタニ
ア溶着体は、請求項1記載のアナターゼ型チタニア溶着
体において、前記造粒体は、平均粒径が5〜300n
m、粒度分布が3〜500nmのアナターゼ型チタニア
微粉体を、該微粉体と異なる組成の被坦持材料の表面に
坦持してなることを特徴としている。
【0018】また、請求項6記載のアナターゼ型チタニ
ア溶着体は、請求項1ないし5のいずれか1項記載のア
ナターゼ型チタニア溶着体において、前記粉体またはそ
の造粒体に、吸着機能物質を20重量%以下の範囲で混
入または分散してなることを特徴としている。
【0019】また、請求項7記載のアナターゼ型チタニ
ア溶着体の製造方法は、プラズマ溶射法により、平均粒
径が30〜100μm、粒度分布が25〜200μmの
アナターゼ型チタニアからなる粉体またはその造粒体
を、前記チタニアの結晶型をアナターゼ型に保持しつつ
基体上に溶着することを特徴としている。
【0020】本発明の請求項1記載のアナターゼ型チタ
ニア溶着体では、平均粒径が30〜100μm、粒度分
布が25〜200μmのアナターゼ型チタニアからなる
粉体またはその造粒体を、プラズマ溶射法により基体上
に溶着したことにより、基体上に溶着されたチタニアの
少なくとも一部に結晶型を光活性度及び光照射効率の優
れたアナターゼ型として維持することが可能になる。こ
れにより、この溶着されたチタニアの光活性度及び光照
射効率が向上する。また、プラズマ溶射法によりアナタ
ーゼ型チタニアを基体上に溶着させたので、該チタニア
と前記基体との接合強度が向上し、したがって、機械的
強度及び耐久性が向上する。
【0021】また、請求項2記載のアナターゼ型チタニ
ア溶着体では、前記粉体を、平均粒径が5〜300n
m、粒度分布が3〜500nmのアナターゼ型チタニア
微粉体を焼成したアナターゼ型チタニア焼結体としたこ
とにより、チタニアの結晶型の保持がより確実になり、
溶着時のチタニアの溶融が最小限に抑制され、アナター
ゼ型の維持率が向上する。
【0022】また、請求項3記載のアナターゼ型チタニ
ア溶着体では、前記粉体を、平均粒径が5〜300n
m、粒度分布が3〜500nmのアナターゼ型チタニア
微粉体の液架橋体としたことにより、チタニアの結晶型
の保持がより確実になり、溶着時のチタニアの溶融が最
小限に抑制され、アナターゼ型の維持率が向上する。
【0023】また、請求項4記載のアナターゼ型チタニ
ア溶着体では、前記造粒体を、平均粒径が5〜300n
m、粒度分布が3〜500nmのアナターゼ型チタニア
微粉体をメカノケミカル結合法により造粒したことによ
り、チタニアの結晶型の保持がより確実になり、溶着時
のチタニアの溶融が最小限に抑制され、アナターゼ型の
維持率が向上する。
【0024】また、請求項5記載のアナターゼ型チタニ
ア溶着体では、前記造粒体を、平均粒径が5〜300n
m、粒度分布が3〜500nmのアナターゼ型チタニア
微粉体を該微粉体と異なる組成の被坦持材料の表面に坦
持したことにより、チタニアの結晶型の保持がより確実
になり、溶着時のチタニアの溶融が最小限に抑制され、
アナターゼ型の維持率が向上する。
【0025】また、請求項6記載のアナターゼ型チタニ
ア溶着体では、前記粉体またはその造粒体に、吸着機能
物質を20重量%以下の範囲で混入または分散したこと
により、前記粉体に、光活性度及び光照射効率の他に、
吸着機能をも付与することとなり、これらの機能の相乗
効果が発揮される。
【0026】また、請求項7記載のアナターゼ型チタニ
ア溶着体の製造方法では、プラズマ溶射法により、平均
粒径が30〜100μm、粒度分布が25〜200μm
のアナターゼ型チタニアからなる粉体またはその造粒体
を、前記チタニアの結晶型をアナターゼ型に保持しつつ
基体上に溶着することにより、基体上にアナターゼ型チ
タニアを形成することが可能になり、光活性度及び光照
射効率に優れたアナターゼ型チタニア溶着体が得られ
る。
【0027】
【発明の実施の形態】本発明のアナターゼ型チタニア溶
着体及びその製造方法の一実施形態について、図面に基
づき説明する。図1は本発明の一実施形態のアナターゼ
型チタニア溶着体を示す断面図であり、図において、1
は基体、2はプラズマ溶射法により基体1上に溶着され
たアナターゼ型チタニア溶着膜である。
【0028】基体1は、表面積が最大化され、しかもプ
ラズマ溶射法における溶射温度に耐えられるものであれ
ばよく、例えば、金属板、セラミック成形品、外装建
材、ガラス、繊維等が挙げられる。アナターゼ型チタニ
ア溶着膜2は、プラズマ溶射法により、平均粒径が30
〜100μm、粒度分布が25〜200μmの範囲内の
アナターゼ型チタニアからなる粉体を、その結晶型を保
持した状態で基体1上に溶着したものである。
【0029】ここではアナターゼ型チタニア粉体を用い
ているが、この粉体の他に、例えば、アナターゼ型チタ
ニア焼結体、アナターゼ型チタニア微粉体の造粒体、ア
ナターゼ型チタニア液架橋体、アナターゼ型チタニア坦
持体等も好適に用いられる。アナターゼ型チタニア焼結
体は、平均粒径が5〜300nm、粒度分布が3〜50
0nmのアナターゼ型チタニア微粉体をプラズマ焼結機
を用いて低温高速焼結し、得られた焼結体を粉砕するこ
とにより、平均粒径が30〜100μm、粒度分布が2
5〜200μmの範囲内の焼結体としたものである。
【0030】アナターゼ型チタニア微粉体の造粒体は、
この微粉体をセラミックス分野において通常用いられて
いる造粒法により造粒したもので、例えば、平均粒径が
5〜300nm、粒度分布が3〜500nmのアナター
ゼ型チタニア微粉体に、PVA、エチルセルロース等の
有機/無機バインダーを混和して造粒し、平均粒径が3
0〜100μm、粒度分布が25〜200μmの範囲内
の造粒粉としたものである。
【0031】造粒法としては、上記の造粒法の他、メカ
ノケミカル結合法により造粒する方法も用いられる。メ
カノケミカル結合法は、アナターゼ型チタニア微粉体に
摩砕、摩擦、圧縮、延伸等の機械的エネルギーを加える
ことにより、この微粉体同士を凝集させて造粒する方法
であり、造粒された粉体には、加えられる機械的エネル
ギーによる表面積の増加、表面の改質による吸着性の増
大等が生じ、光活性度、光照射効率、吸着性等の特性が
向上する。
【0032】アナターゼ型チタニア液架橋体は、平均粒
径が5〜300nm、粒度分布が3〜500nmのアナ
ターゼ型チタニア微粉体の表面に薄い水の膜を形成し、
この水の表面張力で微粉体同士を結合し、平均粒径が3
0〜100μm、粒度分布が25〜200μmの範囲内
の凝集体としたもので、焼結体等と比較して、簡便かつ
安価な造粒法である。
【0033】アナターゼ型チタニア坦持体は、平均粒径
が5〜300nm、粒度分布が3〜500nmのアナタ
ーゼ型チタニア微粉体を、該微粉体と異なる組成の被坦
持材料の表面に坦持し、平均粒径が30〜100μm、
粒度分布が25〜200μmの範囲内の坦持体としたも
ので、被坦持材料としては、ゼオライト、石膏、炭酸カ
ルシウム、珪酸カルシウム、活性炭素、多孔質セラミッ
クス、珪藻土等が好適に用いられる。
【0034】さらに、有害有機物等の吸着性能を向上さ
せるために、このアナターゼ型チタニア粉体またはその
造粒体に、吸着機能物質を20重量%以下の範囲で混入
または分散させたものも用いられる。混入または分散さ
れる吸着機能物質としては、ゼオライト、石膏、活性炭
素、多孔質セラミックス、珪藻土等が好適である。
【0035】ここで、アナターゼ型チタニア粉体等の平
均粒径及び粒度分布を測定するには、分級法、光散乱
法、顕微鏡法、沈降速度法、X線小角散乱法、あるいは
これらを組み合わせた方法等が用いられる。例えば、質
量を利用した慣性力もしくは遠心力で分級処理を行い、
その分級別に顕微鏡を用いて粒径を測定する等である。
【0036】このアナターゼ型チタニア溶着膜2は、通
常のプラズマ溶射装置を用いたプラズマ溶射法により、
平均粒径が30〜100μm、粒度分布が25〜200
μmのアナターゼ型チタニアからなる粉体またはその造
粒体を、基体1上に高速で溶着することにより形成され
る。
【0037】この溶着に要する時間は、1秒程度、好ま
しくは1秒以下である。溶着温度が1600℃以上にな
っても、短時間であれば、基体に溶着したアナターゼ型
チタニアの少なくとも一部はアナターゼ型を維持したま
ま溶着される。この溶着の前後においては、前記粉体ま
たはその造粒体に含まれるチタニアのうち少なくとも一
部のチタニアの結晶型は、常にアナターゼ型に保持され
る。
【0038】以上説明したように、本実施形態によれ
ば、プラズマ溶射法により溶着するので、有機/無機バ
インダー等の余分なものを含む虞が無くなり、チタニア
溶着体の機能の低下等を防止することができる。また、
短時間で基体1に溶着するので、基体1として用いるこ
とが可能な材料の範囲が広がり、既設物や加工物等への
応用分野が格段に広がるという優れた効果を奏すること
ができる。
【0039】以上、本発明の実施形態について説明して
きたが、具体的な構成は本実施形態に限定されるもので
はなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で設計の変更等
が可能である。例えば、アナターゼ型チタニア粉体また
はその造粒体は、その平均粒径が30〜100μmの範
囲内であり、その粒度分布が25〜200μmの範囲に
入るものであればよく、粒度分布の形態については、正
規分布、対数正規分布等のいずれであってもよく、特に
限定されない。
【0040】
【発明の効果】以上説明した様に、本発明の請求項1記
載のアナターゼ型チタニア溶着体によれば、平均粒径が
30〜100μm、粒度分布が25〜200μmのアナ
ターゼ型チタニアからなる粉体またはその造粒体を、プ
ラズマ溶射法により基体上に溶着し、かつ、該溶着され
た前記チタニアの少なくとも一部にアナターゼ型の結晶
型を有することとしたので、基体上に溶着されたチタニ
アの少なくとも一部の結晶型を光活性度及び光照射効率
の優れたアナターゼ型とすることができ、この溶着され
たチタニアの光活性度及び光照射効率を向上させること
ができる。
【0041】また、プラズマ溶射法によりアナターゼ型
チタニア粉体またはその造粒体を基体上に溶着させたの
で、該チタニアと前記基体との接合強度を向上させるこ
とができ、機械的強度及び耐久性を向上させることがで
きる。
【0042】また、請求項2ないし5のいずれか1項記
載のアナターゼ型チタニア溶着体によれば、チタニアの
結晶型の保持をより確実に行うことができ、溶着時のチ
タニアの溶融を最小限に抑制することができ、アナター
ゼ型の維持率を向上させることができる。
【0043】また、請求項6記載のアナターゼ型チタニ
ア溶着体によれば、前記粉体またはその造粒体に、吸着
機能物質を20重量%以下の範囲で混入または分散させ
ることとしたので、前記粉体に、光活性度及び光照射効
率の他に、吸着機能をも付与することができ、光活性度
及び光照射効率と吸着機能の双方の相乗効果を発揮する
ことができる。
【0044】また、請求項7記載のアナターゼ型チタニ
ア溶着体の製造方法によれば、プラズマ溶射法により、
平均粒径が30〜100μm、粒度分布が25〜200
μmのアナターゼ型チタニアからなる粉体またはその造
粒体を、前記チタニアの結晶型をアナターゼ型に保持し
つつ基体上に溶着するので、基体上にアナターゼ型チタ
ニアを形成することができ、光活性度及び光照射効率に
優れたアナターゼ型チタニア溶着体を得ることができ
る。
【0045】以上により、溶着されるチタニアの結晶型
をアナターゼ型に維持し、その結果、光活性度及び光照
射効率が向上するとともに、機械的強度及び耐久性が向
上し、さらに既設物や加工物等への応用分野を広げるこ
とが可能なアナターゼ型チタニア溶着体及びその製造方
法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態のアナターゼ型チタニア
溶着体を示す断面図である。
【符号の説明】
1…基体、2…アナターゼ型チタニア溶着膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G047 CA02 CC03 CD02 CD07 4G069 AA01 AA03 AA08 AA09 BA04A BA04B BA07B BA08B BA09B BA48A BB10B BC09B BD08B DA05 EA01X EA01Y EA07 EB18X EB18Y EC22X EC22Y ED03 FA02 FA03 FA04 FA06 FA08 FB22 FC03 4K031 AA06 AA08 AB07 AB09 CB03 CB05 CB18 CB42 DA04

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平均粒径が30〜100μm、粒度分布
    が25〜200μmのアナターゼ型チタニアからなる粉
    体またはその造粒体がプラズマ溶射法により基体上に溶
    着され、かつ、該溶着された前記チタニアの少なくとも
    一部に、アナターゼ型の結晶型を有することを特徴とす
    るアナターゼ型チタニア溶着体。
  2. 【請求項2】 前記粉体は、平均粒径が5〜300n
    m、粒度分布が3〜500nmのアナターゼ型チタニア
    微粉体を焼成したアナターゼ型チタニア焼結体からなる
    ことを特徴とする請求項1記載のアナターゼ型チタニア
    溶着体。
  3. 【請求項3】 前記粉体は、平均粒径が5〜300n
    m、粒度分布が3〜500nmのアナターゼ型チタニア
    微粉体の液架橋体からなることを特徴とする請求項1記
    載のアナターゼ型チタニア溶着体。
  4. 【請求項4】 前記造粒体は、平均粒径が5〜300n
    m、粒度分布が3〜500nmのアナターゼ型チタニア
    微粉体をメカノケミカル結合法により造粒してなること
    を特徴とする請求項1記載のアナターゼ型チタニア溶着
    体。
  5. 【請求項5】 前記造粒体は、平均粒径が5〜300n
    m、粒度分布が3〜500nmのアナターゼ型チタニア
    微粉体を、該微粉体と異なる組成の被坦持材料の表面に
    坦持してなることを特徴とする請求項1記載のアナター
    ゼ型チタニア溶着体。
  6. 【請求項6】 前記粉体またはその造粒体に、吸着機能
    物質を20重量%以下の範囲で混入または分散してなる
    ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項記載
    のアナターゼ型チタニア溶着体。
  7. 【請求項7】 プラズマ溶射法により、平均粒径が30
    〜100μm、粒度分布が25〜200μmのアナター
    ゼ型チタニアからなる粉体またはその造粒体を、前記チ
    タニアの結晶型をアナターゼ型に保持しつつ基体上に溶
    着することを特徴とするアナターゼ型チタニア溶着体の
    製造方法。
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