JP2000032927A - 蛋白分散安定剤及びその製造方法 - Google Patents

蛋白分散安定剤及びその製造方法

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JP2000032927A
JP2000032927A JP10204578A JP20457898A JP2000032927A JP 2000032927 A JP2000032927 A JP 2000032927A JP 10204578 A JP10204578 A JP 10204578A JP 20457898 A JP20457898 A JP 20457898A JP 2000032927 A JP2000032927 A JP 2000032927A
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water
soluble
hemicellulose
soluble hemicellulose
protein
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JP10204578A
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Inventor
Teruhiro Nakamura
彰宏 中村
Yoshiko Toyofuku
芳子 豊福
Yuichi Maeda
裕一 前田
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Fuji Oil Co Ltd
Original Assignee
Fuji Oil Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】蛋白成分等の凝集分離などによって上澄みや沈
殿が生じない、乳蛋白粒子の分散状態を安定に維持し得
る分散安定剤及びその製造方法を提供することを目的と
する。 【解決手段】ペクチナーゼ及びプロテアーゼから選ばれ
る酵素で分解して得た、水溶性ヘミセルロースの酵素分
解物を有効成分とする蛋白分散安定剤、及び、水溶性ヘ
ミセルロースをペクチナーゼ及びプロテアーゼから選ば
れる酵素で分解することを特徴とする蛋白分散安定剤の
製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、蛋白分散安定剤及
びその製造方法に関し、詳しくは牛乳や加工乳または脱
脂粉乳や全脂粉乳を水に溶解乃至分散させた液状乳等の
乳製品或いは豆乳を、酸性域に至らしめたときに沈殿が
生ずるのを抑制し、蛋白成分等の安定した分散状態を維
持する蛋白分散安定剤及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、酸性域において、特に蛋白質
の等電点付近で酸性乳飲料等を製造する場合、蛋白成分
等の凝集分離などにより上澄みや沈殿が生じ、食品とし
ての品質が著しく損なわれる。例えば、ドリンクヨーグ
ルト又は乳製品乳酸菌飲料(生菌及び殺菌タイプを含
む)や乳酸菌飲料(生菌及び殺菌タイプを含む)及びそ
れらを凍結させたフローズンヨーグルト等の、乳酸菌に
よる発酵工程を含んで製造される酸性乳飲料は、それら
の製造に際して蛋白質粒子の凝集及び沈殿を防止するた
めに、安定剤としてハイメトキシルペクチン(HMペクチ
ン)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMCNa
)、アルギン酸プロピレングリコールエステル(PGA
)等が使用されている。しかしながら、これらの分散
安定剤を用いて調製した酸性乳飲料は糊状感があり、飲
み口が重くなる。
【0003】このような場合、大豆由来の水溶性ヘミセ
ルロースを用いると、糊状感のない、飲み口の軽い酸性
乳飲料を得ることができるが、粘度が低いために少々沈
殿を生じる場合がある。特にpH4.4 より若干上の、酸性
乳飲料としては比較的pHの高い微酸性領域では、凝集分
離などにより上澄みや沈殿がわずかに生じ、完全に乳蛋
白粒子を分散安定化することは難しい。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の如き
従来技術の問題点を解消し、水溶性ヘミセルロースの酸
性下における蛋白分散安定化能を更に向上させた蛋白分
散安定剤及びその製造方法を提供するものであり、具体
的には蛋白成分等の凝集分離などによって上澄みや沈殿
が生じない、蛋白粒子の分散状態を安定に維持し得る蛋
白分散安定剤及びその製造方法を提供することを目的と
する。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、如上の点
に鑑み鋭意研究した結果、水溶性ヘミセルロースを酵素
で分解することにより、水溶性ヘミセルロースの酸性下
における蛋白分散安定力の機能を更に向上し、蛋白粒子
が沈降し易いpH領域において、乳蛋白粒子を分散安定化
できることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0006】即ち、本発明は、ペクチナーゼ及びプロテ
アーゼから選ばれる酵素で分解して得た、水溶性ヘミセ
ルロースの酵素分解物を有効成分とする蛋白分散安定
剤、及び、水溶性ヘミセルロースをペクチナーゼ及びプ
ロテアーゼから選ばれる酵素で分解することを特徴とす
る蛋白分散安定剤の製造方法、である。
【0007】
【発明の実施の形態】水溶性ヘミセルロースは、ヘミセ
ルロースを含む原料から水抽出や場合によっては酸、ア
ルカリ条件下で加熱溶出させることが出来る。また、特
定の酵素により分解溶出させることもできる。
【0008】ヘミセルロースを含む原料としては、油糧
種子、例えば大豆、パーム、ヤシ、コーン、綿実などか
ら油脂や蛋白質を除去した殻、或いは穀類、例えば、
米、小麦、ビートなどから澱粉や糖等を除いた粕等の植
物を原料とすることが出来る。本発明において、水溶性
ヘミセルロースは豆類由来、特に大豆、なかでも子葉由
来のものが好ましく、大豆から豆腐や、豆乳、分離大豆
蛋白を製造するときに副生するオカラを利用することが
できる。このような大豆ヘミセルロース中に混在する蛋
白質の含量は少ないほうが好ましく、具体的には12重量
%以下、望ましくは8重量%以下であることが好まし
い。
【0009】水溶性ヘミセルロース製造法の一例を示す
と以下の通りである。すなわち、ヘミセルロースを含む
原料を酸性もしくはアルカリ性の条件下、好ましくは各
々の等電点付近の pH で、好ましくは130 ℃以下80℃以
上、より好ましくは130 ℃以下100 ℃以上にて加熱分解
し、水溶性画分を分画した後、そのまま乾燥するか、例
えば活性炭処理或いは樹脂処理或いはエタノール沈殿処
理して疎水性物質或いは低分子物質を除去し乾燥するこ
とによって、水溶性ヘミセルロースを得ることができ
る。
【0010】水溶性ヘミセルロースは、その分子量がど
の様な物でも使用可能であるが、高分子であることが好
ましく、平均分子量が数千〜数百万、具体的には5千〜
100万であるのが好ましい。分子量が大き過ぎると粘度
が上がりすぎて作業性が悪くなる。なお、この水溶性ヘ
ミセルロースの平均分子量は標準プルラン(昭和電工
(株)製)を標準物質として0.1 M のNaNO3溶液中の粘
度を測定する極限粘度法で求めた値である。また、ウロ
ン酸の測定は Blumenkrantz 法により、中性糖の測定は
アルジトールアセテート化した後に GLC法により行っ
た。
【0011】この水溶性ヘミセルロースは、構成糖とし
て、ガラクトース、アラビノース、キシロース、フコー
ス、グルコース、ラムノース及びガラクツロン酸を含む
多糖類である。なお、例えば大豆由来の水溶性ヘミセル
ロースの構成成分を分析した結果の詳細は特開平4-3250
58号公報に記載されている。
【0012】本発明において、水溶性ヘミセルロースを
分解する酵素は、動物、植物、微生物等が産生する蛋白
質分解酵素(プロテアーゼ)である、プロナーゼ(Pron
ase)、トリプシン(Trypsin )、或はキモトリプシン
(Chymotrypsin)等が挙げられる。また、植物、微生物
等が産生し、植物細胞中のペクチン質を分解するエキソ
型及びエンド型のペクチン質分解酵素(ペクチナーゼ)
である、エンドポリガラクツロナーゼ(Endopolygalact
uronase )、エキソポリガラクツロナーゼ(Exopolygal
acturonase)、或いはエンドポリガラクツロネートリア
ーゼ(Endopolygalacturonate lyase )、エキソポリガ
ラクツロネートリアーゼ(Exopolygalacturonate lyas
e)等が挙げられる。
【0013】上記するプロテアーゼはSigma 社より高純
度のものが市販されており、そのまま用いることができ
るが、ペクチナーゼは市販酵素剤中に、わずかながらセ
ルラーゼ及びヘミセルラーゼが含まれているため、本発
明において水溶性ヘミセルロースを加水分解する酵素と
しては使い難い。従って、本発明においてペクチナーゼ
は酵素として単一であることが望ましく、市販のペクチ
ナーゼを精製処理して高純度のペクチナーゼ、特にエン
ドガラクツロナーゼ(Endopolygalacturonase)を分離
精製して使用するのが好ましい。本発明においては、以
下に示す方法で精製処理した酵素を使用した。
【0014】酵母である Kluyveromyces fragilis が選
択的に産生するエンドポリガラクツロナーゼ( Endopol
ygalacturonase)を分離精製した。すなわち、グルコー
ス5%、リン酸アンモニウム0.2 %、リン酸一カリウム
0.2 %、硫酸マグネシウム0.1 %、及び乾燥酵母エキス
(培地用)0.4 %を含む培地(pH5.0 )を、500ml 容の
三角フラスコに200ml ずつ分注し、オートクレーブにて
滅菌した。この培地に予めシュークロース2%を含むジ
ャガイモ煮出汁寒天培地(pH5.0 )で前培養(27℃、24
hr)しておいた Kluyveromyces fragilis を接種し、27
℃、3日間静置培養した。培養液を遠心分離(10,000G
、4℃、10分)して菌体を除去した後、0.02M の酢酸
緩衝液(pH5.0 )に対して2日間透析し、同緩衝液で平
衡化した Amberlite CG-50 カラムに添加し、酵素を吸
着させた。1M NaCl を含む同緩衝液で酵素を溶出し、限
外ろ過装置で脱塩濃縮し、同時に0.05M 酢酸緩衝液(pH
5.0)に交換した。これを精製酵素とした。
【0015】なお、以上の方法によって精製処理した酵
素中にセルラーゼ及びヘミセルラーゼが混在しているか
検討したところ、いずれも全く検出されなかった。
【0016】本発明によれば、水溶性ヘミセルロースを
ペクチナーゼ及びプロテアーゼで加水分解する場合、例
えば大豆由来の水溶性ヘミセルロースを基質として用い
る際に先に示したペクチナーゼ単独、又はプロテアーゼ
単独で処理してもpH4.4 よりも高pHの微酸性領域での安
定性に優れた分散安定剤を得ることができるが、ペクチ
ナーゼ及びプロテアーゼを併用する方がより安定性に優
れた蛋白分散安定剤を得ることができる。併用に際して
は、水溶性ヘミセルロースを先ずプロテアーゼで予め処
理した後、ペクチナーゼで処理するか、又は先にペクチ
ナーゼで予め処理した後、プロテアーゼで処理するか、
何れの方法であっても構わない。なお、酵素処理の程度
は、予め実験的に実施して分解物が生じなくなるまでの
時間を確かめた上で実施するのがよい。
【0017】本発明における酵素分解して得た水溶性ヘ
ミセルロースの分解物は、分解前の水溶性ヘミセルロー
スに比べて、水溶液での粘度が低く、酸性乳飲料を調製
する際の作業性に優れるという効果を有する。本発明に
おいては酸性乳飲料の他に、原材料が牛乳に限らず、加
工乳等の液状乳、脱脂粉乳や全粉乳、豆乳等を用いた飲
食品、例えばヨーグルトに対しても有効である。なお、
これらの飲食品の製造にスターターとして使用できる乳
酸菌は、特に限定はなく、一般に食品工業で乳酸菌発酵
に用いられている菌であっても良い。
【0018】以上の如く、本発明によれば、牛乳、加工
乳等の液状乳、脱脂粉乳や全粉乳、豆乳等の乳製品を酸
性化、特に乳蛋白質の等電点に近い、pH4.4 付近におい
て沈殿が生じるのを抑制し、従来の蛋白分散安定剤と同
等の添加量で、より広いpH範囲において、乳蛋白粒子を
分散し安定化することができる。
【0019】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説
明するが、本発明はこれらの例示によって制限されるも
のではない。なお、例中の部及び%は何れも重量基準を
意味する。
【0020】実施例 水溶性ヘミセルロースの製造 例1 分離大豆蛋白製造時に生ずるオカラを原料とし、これに
2倍量の水を加え、塩酸にてpH4.5 に調製し、120 ℃で
1.0 時間加熱し、水溶性ヘミセルロースの抽出を行っ
た。抽出後、遠心分離(5000G、10分)し、水溶性ヘミ
セルロースを主に含む水溶性画分を分離した。こうして
得られた水溶性ヘミセルロースを含む水溶液に水酸化ナ
トリウムを加え、pH 12 に調製した。その後、70℃、30
分間加熱した。加熱して生じた沈殿を取り除き、塩酸で
中和した(pH 7)。こうして得られた水溶性ヘミセルロ
ース溶液を透析により脱塩後、活性炭カラム処理した
後、乾燥して水溶性ヘミセルロース(1)を得た。
【0021】例2 水溶性ヘミセルロース(1)を5%に成るように20mMの
トリス-HCl緩衝液(pH7.5 )に溶解し、プロテアーゼで
あるプロナーゼ(Sigma 社製)を水溶性ヘミセルロース
の1/10量添加して、防腐剤として少量のトルエン(0.01
%)を加え、30℃で6時間撹拌しながら分解した。酵素
分解後、90℃5分間の加熱処理により酵素を失活させ、
遠心分離し(5000G、10分)、酵素分解水溶性大豆ヘミ
セルロースを含む水溶性画分を分離した。こうして得ら
れた酵素分解水溶性大豆ヘミセルロース水溶液を、セロ
ハンチューブに移し、透析して脱塩した後、乾燥して水
溶性ヘミセルロース(2)を得た。
【0022】例3 上記の水溶性ヘミセルロース(2)を5%に成るように
20mMの酢酸緩衝液(pH5.0 )に溶解し、精製したペクチ
ナーゼ(Endopolygalacturonase )150unit 相当量を水
溶性ヘミセルロースの1/10量添加し、防腐剤として少量
のトルエン(0.01%)を加え、35℃で24時間撹拌しなが
ら分解した。酵素分解後、90℃5分間の加熱処理により
酵素を失活させ、遠心分離し(5000G、10分)、酵素分
解水溶性大豆ヘミセルロースを含む水溶性画分を分離し
た。こうして得られた酵素分解水溶性大豆ヘミセルロー
ス水溶液を、セロハンチューブに移し、透析して脱塩し
た後、乾燥して水溶性ヘミセルロース(3)を得た。
【0023】例4 水溶性ヘミセルロース(1)を5%に成るように20mMの
トリス-HCl緩衝液(pH7.6 )に溶解し、プロテアーゼで
あるトリプシン(生化学工業製)を水溶性ヘミセルロー
スの1/10量添加して、防腐剤として少量のトルエン(0.
01%)を加え、30℃で6時間撹拌しながら分解した。酵
素分解後、90℃5分間の加熱処理により酵素を失活さ
せ、遠心分離し(5000G、10分)、酵素分解水溶性大豆
ヘミセルロースを含む水溶性画分を分離した。こうして
得られた酵素分解水溶性大豆ヘミセルロース水溶液を、
セロハンチューブに移し、透析して脱塩した後、乾燥し
て水溶性ヘミセルロース(4)を得た。
【0024】例5 上記の水溶性ヘミセルロース(4)を5%に成るように
20mMの酢酸緩衝液(pH5.0 )に溶解し、精製したペクチ
ナーゼ(Endopolygalacturonase )150unit 相当量を水
溶性ヘミセルロースの1/10量添加し、防腐剤として少量
のトルエン(0.01%)を加え、35℃で24時間撹拌しなが
ら分解した。酵素分解後、90℃5分間の加熱処理により
酵素を失活させ、遠心分離し(5000G、10分)、酵素分
解水溶性大豆ヘミセルロースを含む水溶性画分を分離し
た。こうして得られた酵素分解水溶性大豆ヘミセルロー
ス水溶液を、セロハンチューブに移し、透析して脱塩し
た後、乾燥して水溶性ヘミセルロース(5)を得た。
【0025】例6 水溶性ヘミセルロース(1)を5%に成るように20mMの
トリス-HCl緩衝液(pH7.0 )に溶解し、プロテアーゼで
あるキモトリプシン(生化学工業製)を水溶性ヘミセル
ロースの1/10量添加して、防腐剤として少量のトルエン
(0.01%)を加え、30℃で6時間撹拌しながら分解し
た。酵素分解後、90℃5分間の加熱処理により酵素を失
活させ、遠心分離し(5000G、10分)、酵素分解水溶性
大豆ヘミセルロースを含む水溶性画分を分離した。こう
して得られた酵素分解水溶性大豆ヘミセルロース水溶液
を、セロハンチューブに移し、透析して脱塩した後、乾
燥して水溶性ヘミセルロース(6)を得た。
【0026】例7 上記の水溶性ヘミセルロース(6)を5%に成るように
20mMの酢酸緩衝液(pH5.0 )に溶解し、精製したペクチ
ナーゼ(Endopolygalacturonase )150unit 相当量を水
溶性ヘミセルロースの1/10量添加し、防腐剤として少量
のトルエン(0.01%)を加え、35℃で24時間撹拌しなが
ら分解した。酵素分解後、90℃5分間の加熱処理により
酵素を失活させ、遠心分離し(5000G、10分)、酵素分
解水溶性大豆ヘミセルロースを含む水溶性画分を分離し
た。こうして得られた酵素分解水溶性大豆ヘミセルロー
ス水溶液を、セロハンチューブに移し、透析して脱塩し
た後、乾燥して水溶性ヘミセルロース(7)を得た。
【0027】例8 上記の水溶性ヘミセルロース(1)を5%に成るように
20mMの酢酸緩衝液(pH5.0 )に溶解し、精製したペクチ
ナーゼ(Endopolygalacturonase )150unit 相当量を水
溶性ヘミセルロースの1/10量添加し、防腐剤として少量
のトルエン(0.01%)を加え、35℃で24時間撹拌しなが
ら分解した。酵素分解後、90℃5分間の加熱処理により
酵素を失活させ、遠心分離し(5000G、10分)、酵素分
解水溶性大豆ヘミセルロースを含む水溶性画分を分離し
た。こうして得られた酵素分解水溶性大豆ヘミセルロー
ス水溶液を、セロハンチューブに移し、透析して脱塩し
た後、乾燥して水溶性ヘミセルロース(8)を得た。
【0028】水溶性ヘミセルロース(1)から(8)の
成分分析値を表1に示した。
【表1】 ─────────────────────────────────── 組成割合(%) ─────────────────────────────────── 成分 (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) ─────────────────────────────────── 水分 5.30 4.80 5.50 4.70 7.70 7.10 6.70 7.70 粗蛋白 9.04 5.44 3.72 7.78 6.51 8.07 6.69 6.02 粗灰分 6.12 3.63 3.23 4.51 3.13 3.65 3.01 4.08 多糖類 79.54 86.13 87.55 83.01 82.66 81.18 83.60 82.20 ─────────────────────────────────── 粘度* 60.8 60.4 42.3 60.7 45.1 60.1 40.1 45.2 ─────────────────────────────────── 濁度** 0.289 0.301 0.155 0.341 0.221 0.301 0.287 0.385 ─────────────────────────────────── 注) * 粘度:10%水溶液におけるセンチポイズ(cPc) ** 濁度:3%水溶液におけるO.D.610nm
【0029】本発明の酵素分解水溶性大豆ヘミセルロー
ス(2)から(8)は従来の水溶性大豆ヘミセルロース
(1)と比べて蛋白の含量が低く、低粘度であるという
特長を有する。また、水溶性ヘミセルロース(3)、
(5)及び(7)は、ペクチナーゼ、及びプロテアーゼ
の総合作用により、水溶性ヘミセルロースの酸性糖であ
るガラクツロン酸(ウロン酸)と蛋白質が分解され、水
溶性大豆ヘミセルロース(2)、(4)及び(6)と比
べ更に蛋白含量が低く、低粘度になり、多糖類の含量は
高くなる。更に、水溶性大豆ヘミセルロース(8)はガ
ラクツロン酸の一部が分解除去されたために、低粘度に
なっている。なお、水溶性ヘミセルロース製造の例1は
比較例であり、例2から例8は、それぞれ実施例1から
実施例7である。
【0030】次に(1)から(8)の水溶性ヘミセルロ
ースの糖組成について、つぎの方法で分析した。ウロン
酸の測定は Blumenkrantz 法により、中性糖の測定はア
ルジトールアセテート化した後に GLC法により行った。
結果は以下、表2の通りである。
【0031】
【表2】 ─────────────────────────────────── 糖組成(重量%) ─────────────────────────────────── 糖* (1) (2) (3) (4) (5) (6) (7) (8) ─────────────────────────────────── GA 17.6 18.1 14.3 17.1 15.7 18.5 16.5 16.7 Rm 2.6 2.1 1.5 2.0 1.9 2.5 2.2 2.4 Fc 1.9 1.5 2.0 3.9 2.1 1.7 2.3 2.3 Ar 20.5 21.1 21.6 22.1 20.7 25.0 22.9 21.8 Gr 49.9 50.2 52.0 49.6 53.1 47.2 51.6 51.1 Ks 6.4 6.3 4.1 3.5 2.8 4.2 1.8 3.6 Gl 1.1 0.7 2.5 1.8 3.7 0.9 2.7 2.1 ─────────────────────────────────── * GA:ガラクツロン酸(ウロン酸), Rm:ラムノース, Fc:フコース, Ar:ア ラビノース, Gr:ガラクトース, Ks:キシロース, Gl:グルコース
【0032】本発明の酵素分解水溶性大豆ヘミセルロー
ス(3)、(5)、(7)及び(8)は、ペクチナーゼ
で水溶性大豆ヘミセルロース(1)を分解した為、構成
糖中のガラクツロン酸含量が低くなっている。
【0033】酸性乳飲料の蛋白分散安定化に対する効果 水溶性ヘミセルロース(1)〜(8)及び、現在一般に
酸性乳飲料の蛋白粒子の分散安定剤として使用されてい
るペクチンを用いて、酸性乳飲料を調製した。安定性に
ついて、調製7日後の酸性乳飲料の状態及び粘度を調
べ、評価した。
【0034】酸性乳飲料は以下の方法で調製した。 (i)ヨーグルト(発酵乳)の調製 水に脱脂粉乳を加え(21%)、加熱撹拌し、95℃で殺菌
後、冷却し、スターターとして市販のプレーンヨーグル
トを接種し(3%)、38℃の恒温器中でpH4.2になるま
で発酵させた。発酵したヨーグルトを撹拌機を用いてカ
ードを均質化した。その後、10〜15℃に冷却した。
【0035】(ii)安定剤溶液の調製 安定剤として、水溶性ヘミセルロース(1)〜(8)及
びペクチンをそれぞれ単独で用い、2%溶液を加熱撹拌
し(80℃、10分間撹拌)、25℃まで冷却して安定剤溶液
とした。
【0036】(iii)酸性乳飲料の調製 水に砂糖(グラニュー糖)を加え、糖液を調製した。こ
れに2%安定剤溶液を加え、次いで(i)のヨーグルト
を加え、乳酸、50%(W/V)クエン酸ナトリウム水溶液で
pHを3.5 、4.0 、4.4 及び4.6 に調整した。その後、ホ
モゲナイザー(150kg/cm2) で均質化し、瓶詰めした
後、冷蔵庫で7日間保存した。それぞれの配合は、安定
剤溶液、ヨーグルト、砂糖(グラニュー糖)、及び水を
それぞれ20、40、7、及び33%であった。結果を以下の
表3に示した。
【0037】
【表3】 ─────────────────────────────────── 安定剤 酸性乳飲 1日後の 7日後の 7日後の 料のpH 粘度(cps ) 状態 粘度(cps ) ─────────────────────────────────── (1) 4.6 8.0 凝集(上清あり) 68.2 4.4 7.0 安定 18.5 4.0 5.5 安定 8.5 3.5 5.5 安定 6.5 ─────────────────────────────────── (2) 4.6 7.0 安定 10.0 4.4 6.0 安定 8.0 4.0 5.0 安定 7.0 3.5 5.0 安定 5.5 ─────────────────────────────────── (3) 4.6 6.5 安定 8.0 4.4 5.5 安定 6.5 4.0 5.0 安定 5.5 3.5 5.0 安定 5.5 ─────────────────────────────────── (4) 4.6 7.5 安定 21.0 4.4 6.0 安定 10.6 4.0 5.5 安定 6.5 3.5 5.5 安定 6.0 ─────────────────────────────────── (5) 4.6 7.0 安定 15.5 4.4 5.5 安定 8.5 4.0 5.0 安定 6.0 3.5 5.2 安定 5.5 ─────────────────────────────────── (6) 4.6 8.0 安定 18.0 4.4 6.0 安定 8.4 4.0 5.5 安定 7.0 3.5 5.5 安定 6.0 ─────────────────────────────────── (7) 4.6 7.5 安定 12.5 4.4 5.5 安定 7.4 4.0 5.0 安定 6.5 3.5 5.0 安定 6.0 ─────────────────────────────────── (8) 4.6 7.0 安定 16.0 4.4 5.3 安定 8.4 4.0 5.0 安定 6.5 3.5 5.2 安定 6.2 ───────────────────────────────────ペ
クチン 4.6 35.6 安定 67.0 4.4 25.8 安定 38.5 4.0 24.8 安定 45.5 3.5 25.2 安定 38.6 ───────────────────────────────────
【0038】酸性乳飲料の評価方法として、調製した飲
料の7週間保存時の沈殿及び分離状態と粘度を測定す
る。沈殿及び分離が生じたり、蛋白質粒子の分散状態が
悪くなり粘度が上昇すれば、安定性は悪いと評価でき
る。これらの結果より、本発明において水溶性ヘミセル
ロースをペクチナーゼ及びプロテアーゼで加水分解して
得たものは、これを安定剤として使用した酸性乳飲料を
調製時の酸乳のpHが4.5 以上と高いpH領域で7日間保存
しても粘度の上昇が少なく、良好な安定性を示した。ま
た、pH3.5 と低いpH領域でも7日間保存したものでは、
酵素処理していない水溶性ヘミセルロースよりも粘度の
上昇は少なく、良好な安定性を示していた。また、この
安定性効果は分解する酵素の種類によって多少は異なる
が、プロナーゼ、トリプシン、キモトリプシン等の代表
的なプロテアーゼとガラクツロン酸のホモポリマーを分
解するペクチナーゼを組み合わせて酵素処理することに
より、現在、低粘度タイプの酸性乳飲料の安定剤に使用
されている水溶性の大豆ヘミセルロースよりも、更に低
粘度でかつ安定性に優れた酸乳を作ることのできる蛋白
分散安定剤を得ることができる。
【0039】
【発明の効果】本発明により、pH4.4 以上の、酸性乳飲
料としては比較的pHの高い領域でも、凝集分離などによ
り上澄みや沈殿の生じ難い、安定な乳蛋白粒子の分散状
態を維持する蛋白分散安定剤が得られ、酸性乳飲料の蛋
白分散安定剤として有効である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4B035 LC05 LE04 LG26 LG33 LK12 LP41

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ペクチナーゼ及びプロテアーゼから選ばれ
    る酵素で分解して得た、水溶性ヘミセルロースの酵素分
    解物を有効成分とする蛋白分散安定剤。
  2. 【請求項2】ペクチナーゼがポリガラクツロナーゼであ
    り、プロテアーゼがプロナーゼである、請求項1記載の
    蛋白分散安定剤。
  3. 【請求項3】水溶性ヘミセルロースが豆類由来である、
    請求項1又は2記載の蛋白分散安定剤。
  4. 【請求項4】水溶性ヘミセルロースをペクチナーゼ及び
    プロテアーゼから選ばれる酵素で分解することを特徴と
    する、蛋白分散安定剤の製造方法。
  5. 【請求項5】酵素として、ペクチナーゼを精製処理して
    得られるポリガラクツロナーゼ、及びプロテアーゼの一
    種であるプロナーゼを使用する、請求項4記載の製造方
    法。
  6. 【請求項6】水溶性ヘミセルロースが豆類由来である、
    請求項4又は5記載の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2002082922A1 (en) * 2001-04-10 2002-10-24 Cp Kelco Aps Modified pectic substance

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