JP2000021415A - 導電性多孔質体とそれを用いた金属多孔質体および電池用の極板 - Google Patents

導電性多孔質体とそれを用いた金属多孔質体および電池用の極板

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JP2000021415A
JP2000021415A JP10189281A JP18928198A JP2000021415A JP 2000021415 A JP2000021415 A JP 2000021415A JP 10189281 A JP10189281 A JP 10189281A JP 18928198 A JP18928198 A JP 18928198A JP 2000021415 A JP2000021415 A JP 2000021415A
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conductive
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Shinji Inasawa
信二 稲澤
Akihisa Hosoe
晃久 細江
Tamio Kariya
彩生 假家
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Sumitomo Electric Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属多孔質体の生産性や生産効率にすぐれる
とともに、電気抵抗値の低い金属多孔質体を製造しうる
導電性多孔質体と、電気抵抗値が低く、たとえば電池用
の極板として使用した際にその充放電の効率を向上しう
る金属多孔質体と、充放電の効率にすぐれた電池用の極
板とを提供する。 【解決手段】 導電性多孔質体は、芯材としての、連続
気孔構造を有する合成樹脂製の多孔質体の表面に、銀の
微粒子の集合体からなる導電層を形成した。金属多孔質
体は、上記導電性多孔質体を陰極とする電気めっきによ
り、当該導電性多孔質体の表面に、連続した金属めっき
層を形成した。さらに電池用の極板は、上記金属多孔質
体を主体とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、連続気孔構造を有
する合成樹脂製の多孔質体の表面を導電化した導電性多
孔質体と、かかる導電性多孔質体を中間材料として製造
される、とくにアルカリ2次電池などの電池用の極板に
好適に使用される金属多孔質体と、そして、かかる金属
多孔質体を用いた電池用の極板とに関するものである。
【0002】
【従来の技術】アルカリ2次電池は、高信頼性でかつ小
型化、軽量化が可能であるため、ポータブル機器用の小
型のものから産業用、大形設備用の大形のものまで、各
種装置の電源として多用されている。
【0003】上記アルカリ2次電池には、正負両極の組
み合わせによって多数の種類があるが、ほとんどの場
合、正極としてはニッケル電極が使用される。また負極
としては、カドミウム電極、亜鉛電極、鉄電極、水素電
極などがあり、これらのうちカドミウム電極が最も一般
的であるが、活物質として水素吸蔵合金を使用した水素
電極も、高容量化と低公害化が可能であるために注目さ
れている。
【0004】上記のうちニッケル電極としては最初、い
わゆるポケット式のものが用いられていたが、現在は、
ニッケルなどの導電性材料からなり、かつ多孔質である
集電用の極板の空げき中に、水酸化ニッケルなどの正極
用の活物質粒子を多数、充てんしたものが、電池の密閉
化が可能で、しかもポケット式のものよりも電池の特性
を向上できるために一般化している。また、カドミウム
電極や水素電極としても、上記と同様に多孔質の極板の
空げき中に、カドミウムや水素吸蔵合金などの負極用の
活物質粒子を多数、充てんしたものが用いられる。
【0005】かかる多孔質の極板としては従来、ニッケ
ル粉末を焼結した焼結体が用いられてきたが、近時、上
記焼結体よりも活物質粒子の充てん量を多くできるため
に電池の高容量化に適したものとして、連続気孔構造を
有する多孔率の大きな合成樹脂の多孔質体(ポリウレタ
ンフォームなど)を芯材として製造された金属多孔質体
が実用化されつつある。
【0006】上記金属多孔質体は一般に、芯材の表面
を、 塩化パラジウムなどの触媒で処理し、ついで無電解
ニッケルめっきなどの無電解めっきを行うことによっ
て、あるいは 黒鉛などのカーボンの微粒子を含むバインダー樹脂
の溶液を塗布して乾燥させることによって導電化したの
ち、かかる導電化された多孔質体(導電性多孔質体)を
陰極として金属、とくにニッケルなどを電気めっきし
て、その表面に、連続した金属めっき層(ニッケルめっ
き層など)を形成し、さらに必要に応じて熱処理して芯
材を除去することによって製造される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記のよ
うに無電解めっきによって多孔質体の表面を導電化した
導電性多孔質体は、その取り扱いが容易でなく、たとえ
ば(1) 連続的な生産設備を用いて、前記芯材から導電性
多孔質体を経て金属多孔質体を連続的に製造する際に、
次工程である電気めっき工程への送りなどにおいて導電
性多孔質体に加えられる、曲げや、張力による長さ方向
への延伸、(2) 製造された導電性多孔質体の所定量を、
次工程で一度に電気めっき処理すべく、ロール状、フー
プ状などの形状とするための捲回、(3) あらかじめロー
ル状、フープ状などの形状に捲回された所定量の芯材を
一度に導電化処理した後、製造された導電性多孔質体を
次工程で連続的に電気めっき処理すべく、上記ロールや
フープから巻き戻す際の繰り出し、などの変形を受ける
と、その電気抵抗値が大きく上昇して、電気めっき工程
におけるニッケルなどの金属めっき層の成長速度が低下
し、その結果として金属多孔質体の生産性や生産効率な
どが低下するおそれがあった。
【0008】すなわち無電解めっきにて芯材の表面に形
成される導電層は、たとえば無電解ニッケルめっきの場
合0.1μm程度というごく薄い、しかも連続した金属
膜であるため、上記のように導電性多孔質体に曲げ、延
伸、捲回、繰り出しなどの変形が加えられた際に割れた
り折れたりしやすく、かかる割れや折れなどが発生する
と導電性多孔質体の導電性が低下して、上記のように電
気抵抗値が大きく上昇し、その結果として電気めっき工
程における、ニッケルなどの金属めっき層の成長速度が
低下するのである。
【0009】そこで、たとえば導電性多孔質体に加わる
張力を抑制すべく送り速度を遅くしたり、あるいは曲げ
や捲回の曲率を大きくしたりすることが検討されたが、
その場合には、(a) 金属多孔質体の生産性や生産効率が
低下する、(b) 生産設備や運搬、貯蔵のための設備にこ
れまでよりも大きなスペースが必要になる、といった新
たな問題を生じることが明らかとなった。
【0010】また、上記の無電解めっきとして最も一
般的な無電解ニッケルめっきによって芯材の表面に形成
される導電層は、めっき浴に含まれるリン(P)を含有
するために、その上にニッケルなどの金属めっき層を電
気めっきした後、熱処理して芯材を除去する際などに、
上記リンが金属めっき層に拡散する結果、製造された金
属多孔質体の電気抵抗値が高くなって、たとえば電池用
の極板として使用した場合にはその充放電の効率が低下
するという問題もあった。
【0011】また、前記のうちのようにカーボンの微
粒子によって表面を導電化した導電性多孔質体もやは
り、とくに延伸されることによってバインダー樹脂の割
れなどを生じて、上記のものと同様に、その電気抵抗
値が大きく上昇してしまう他、かかる導電性多孔質体
は、そもそもカーボン自体の電気抵抗値が金属に比べて
大幅に高いために、電気めっきにおける金属めっき層の
成長速度が著しく低く、金属多孔質体の生産性や生産効
率が低いという問題もあった。
【0012】本発明の主たる目的は、電気めっきにおけ
る金属めっき層の成長速度が高く、かつ取り扱いが容易
で、大きな変形が加えられても上記成長速度がほとんど
低下しないために、金属多孔質体の生産性や生産効率に
すぐれており、しかも電気抵抗値の低いすぐれた金属多
孔質体を製造し得る、新規な導電性多孔質体を提供する
ことにある。
【0013】また、本発明の他の目的は、かかる導電性
多孔質体から製造されるために電気抵抗値が低く、たと
えば電池用の極板として使用した際にその充放電の効率
を向上しうる、新規な金属多孔質体を提供することにあ
る。
【0014】また本発明のさらに他の目的は、かかる金
属多孔質体にて形成されるために充放電の効率にすぐれ
た、新規な電池用の極板を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すべく、
発明者らは、合成樹脂製の芯材の表面を導電化するため
の導電材料について種々、検討を行った。
【0016】その結果、無電解銀めっきによって形成さ
れる銀の導電層の一部は、乾燥状態での電気抵抗値こそ
高いものの、次工程である電気めっき工程においては金
属めっき層の成長速度が高く、しかも驚くべきことにこ
の成長速度は、導電性多孔質体に前記のような種々の変
形が加えられた後もあまり変化しないために、金属多孔
質体を生産性よく、高い生産効率でもって製造できると
いう、これまで知られていなかったすぐれた特性を有す
ることが判明した。
【0017】そこで、銀の導電層のミクロな構造に着目
してさらに検討を行った結果、導電層が銀の微粒子の集
合体からなる場合に、上記のようなすぐれた特性を発揮
し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0018】すなわち本発明の導電性多孔質体は、連続
気孔構造を有する合成樹脂製の多孔質体を芯材として、
その表面に、銀の微粒子の集合体からなる導電層が形成
されたことを特徴とするものである。
【0019】また、本発明の金属多孔質体は、上記本発
明の導電性多孔質体を陰極とする電気めっきにより、当
該導電性多孔質体の表面に、連続した金属めっき層が形
成されたことを特徴とするものである。
【0020】なお上記金属多孔質体は、金属めっき層を
形成後に熱処理して、合成樹脂製の芯材を除去してもよ
い。
【0021】さらに本発明の電池用の極板は、上記本発
明の金属多孔質体を主体とすることを特徴とするもので
ある。
【0022】かかる本発明において、導電層を構成する
銀の微粒子は、銀自体の持つ特性として水および酸素に
対して安定で、その表面がほとんど酸化されないため
に、常に高導電率でかつ低抵抗の状態を維持している。
【0023】それゆえ、かかる銀の微粒子の集合体から
なる導電層は、乾燥状態では、微粒子間の電気伝導が悪
いために電気抵抗値が高くなるが、電気めっき工程で電
気めっき浴に浸漬されると、微粒子間の細かな隙間に浸
透しためっき液を介して微粒子間の電気伝導が維持され
て電気抵抗値が低くなるためか、前記のように金属めっ
き層の成長速度が高い。
【0024】しかも導電性多孔質体が変形されても、上
記の、導電層の構造と、電気めっき浴への浸漬状態での
電気伝導の機構にはほとんど影響がないため、電気めっ
き工程での金属めっき層の成長速度はほとんど低下せ
ず、金属多孔質体を生産性よく、高い生産効率でもって
製造することができる。
【0025】しかも製造された金属多孔質体は、たとえ
ば熱処理して芯材を除去する際などに、上述した銀の微
粒子の導電層を起源とする銀が、ごく少量ながら、不純
物として金属めっき層中に拡散するため、純粋な金属単
体(たとえばニッケル単体)に比べて僅かに電気抵抗値
が上昇するものの、その度合いは、前述した無電解ニッ
ケルめっき層からのリンの拡散による電気抵抗値の上昇
に比べれば著しく小さいため、金属多孔質体の全体的な
電気抵抗値にはほとんど影響しない。
【0026】そしてその結果として本発明によれば、金
属多孔質体の生産性や生産効率にすぐれるとともに、電
気抵抗値の低いすぐれた金属多孔質体を製造しうる導電
性多孔質体と、かかる導電性多孔質体から製造されるた
めに電気抵抗値が低く、たとえば電池用の極板として使
用した際にその充放電の効率を向上しうる金属多孔質体
と、そしてかかる金属多孔質体にて形成されるために充
放電の効率にすぐれた電池用の極板とが得られる。
【0027】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を説明する。
【0028】まず本発明の導電性多孔質体について説明
する。
【0029】かかる導電性多孔質体は、前記のように、
連続気孔構造を有する合成樹脂製の多孔質体を芯材とし
て、その表面に、銀の微粒子の集合体からなる導電層が
形成されたものである。
【0030】このうち芯材としては、合成樹脂にて形成
された、連続気孔構造を有する従来公知の種々の多孔質
体が、いずれも使用可能である。
【0031】すなわち、 内部に連続気孔構造を有する、それ自体は3次元網
目状構造を備えた発泡体、 合成樹脂製の繊維からなる不織布 合成樹脂製の繊維を織成した織布などがあげられ
る。
【0032】このうちの発泡体の具体例としては、前
述したポリウレタンフォームや、あるいはポリスチレ
ン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニルな
どの熱可塑性樹脂の発泡体などがあげられる。
【0033】また、の不織布およびの織布を構成す
る合成樹脂製の繊維としては、たとえばポリエチレン、
ポリエステル、ポリプロピレン、ナイロンなどの、従来
公知の種々の合成樹脂の繊維があげられる。
【0034】なお、本発明の導電性多孔質体から製造さ
れる金属多孔質体が、後述するように芯材を除去せずに
残したままのものであって、それがアルカリ2次電池用
の極板として使用される場合には、かかる芯材が、アル
カリ電解液の強アルカリに対する耐性、すなわち耐アル
カリ性にすぐれている必要がある。
【0035】具体的にはたとえば、アメリカ試験材料協
会(ASTM)が定めた規格ASTM D543−63
T中の耐薬品性試験において、アルカリ電解液に相当す
るpH11以上の強アルカリ液に対してG(良好)以
上、とくにE(優秀)の評価がえられるものが好まし
い。
【0036】かかる耐アルカリ性にすぐれた芯材として
は、たとえばポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリ
オレフィンにて形成された多孔質体が好ましい。
【0037】その具体例としては、これに限定されない
がたとえば、直径およそ10〜40μm程度のポリオレ
フィン製の単繊維を、平均孔径およそ0.6mm以下程
度の不織布状となるように、単繊維の交差部分で結合
し、さらにそれを1方向に引き延ばしたような形状を有
する多孔質体〔たとえば日立化成(株)製の商品名RF
−30など〕があげられる。
【0038】なお、本発明の導電性多孔質体から製造さ
れる金属多孔質体が、これも後述するように芯材を除去
したものである場合、あるいは芯材を除去せずに残した
ものであっても、アルカリ2次電池用の極板以外の、他
の用途に使用される場合には、芯材は、上記のように高
い耐アルカリ性を有している必要はなく、むしろ熱処理
による除去の容易さや、あるいはコスト面などを考慮す
ると、ポリウレタンフォームなどの汎用の多孔質体を芯
材として使用するのが好ましい。
【0039】芯材の厚み、平均孔径、空隙率などは、金
属多孔質体の用途に応じて適宜、設定すればよい。
【0040】上記芯材の表面に形成される導電層は、前
記のように、銀の微粒子の集合体にて形成されている必
要がある。
【0041】かかる銀の微粒子の大きさはとくに限定さ
れないが、前述したように、電気めっき工程における金
属めっき層の成長速度を向上する効果を考慮すると、そ
の粒径は小さいほど好ましい。これは、銀の微粒子の粒
径が小さいほど、先に述べた微粒子間の隙間が小さくな
って、当該隙間に浸透しためっき液による、微粒子間の
電気伝導を維持する働きが向上するためと考えられる。
【0042】銀の微粒子の、具体的な粒径の範囲につい
てはとくに限定されないが、平均粒径で表しておよそ
0.5μm以下であるのが好ましい。
【0043】銀の微粒子の平均粒径が0.5μm以下で
あれば、後述する実施例1、2の結果からも明らかなよ
うに、電気めっき工程における金属めっき層の成長速度
を向上することができる。 なお、上記平均粒径の範囲
の下限値についてはとくに限定されないが、およそ0.
01μm程度であるのが好ましい。
【0044】銀の微粒子の平均粒径が上記0.01μm
未満では、導電層が、銀の微粒子の集合体としてよりも
むしろ、連続した銀の層と類似したものとしての挙動を
示すようになり、導電性多孔質体が変形を受けることに
よって導電層に、銀の微粒子の隙間よりも大きな割れや
折れが生じて、電気めっき工程における金属めっき層の
成長速度が大きく低下するおそれがある。
【0045】なお銀の微粒子の平均粒径は、上述した、
銀の微粒子の集合体からなる導電層に特有の特性を考慮
すると、上記の範囲内でもとくに0.05〜0.2μm
程度であるのが好ましく、0.07〜0.2μm程度で
あるのがさらに好ましい。
【0046】また、上記導電層の厚みについても、本発
明ではとくに限定されないが、芯材1m2あたりの銀の
付着量(g)を示す目付け量(g/m2)で表して、お
よそ1〜7g/m2程度であるのが好ましい。
【0047】導電層の目付け量が上記の範囲未満では、
芯材に十分な導電性を付与することができないために、
電気めっき工程における金属めっき層の成長速度が低下
するおそれがある。
【0048】一方、導電層を、たとえば以下に述べる無
電解銀めっき法にて形成した場合には、当該導電層の目
付け量と、導電層を構成する銀の微粒子の粒径とがほぼ
比例関係となるため、導電層の目付け量が上記の範囲を
超えた場合には、銀の微粒子が、前述した平均粒径0.
5μm以下の好適範囲を超える大きなものとなってしま
って、やはり電気めっき工程における金属めっき層の成
長速度が低下するおそれがある。
【0049】なお導電層の目付け量は、上記の各特性の
バランスを考慮すると、上記の範囲内でもとくに2〜5
g/m2程度であるのが好ましい。
【0050】芯材の表面に、上記の、銀の微粒子の集合
体からなる導電層を形成するには、前記のように無電解
銀めっき法が採用される。
【0051】無電解銀めっき法とは、硝酸銀のアンモニ
ア性溶液(銀液)を、ホルマリンなどのアルデヒド類、
ブドウ糖の水溶液、ロッシェル塩、ロッシェル塩と硝酸
銀の反応生成物、グリオキザール、硫酸ヒドラジン、ロ
ッシェル塩と氷砂糖の混合液を煮沸したもの、砂糖を少
量の硝酸で転化した溶液などの還元剤と混合して銀を還
元析出させる、いわゆる銀鏡反応を基本とするものであ
る。
【0052】ただし通常の、一般的な銀鏡反応では、上
記銀液と還元剤とを混合した瞬間から反応が進行して、
その反応温度にもよるが、およそ数十秒の後には反応が
完結し、そのようにして得られる導電層の多くは、本発
明において必要とする、銀の微粒子の集合体ではなく、
単なる連続した膜状になってしまう。
【0053】浴の構成と、反応の条件とを慎重に選定す
れば、通常の銀鏡反応でも、たとえば後述する実施例3
にみるように、銀の微粒子の集合体からなる導電層を形
成することはでき、かかる導電層も本発明の範囲に含ま
れる。
【0054】しかし、この実施例3の結果からも明らか
なように、そのようにして形成される導電層は、銀の微
粒子の平均粒径が、前述した好適な範囲(0.5μm以
下)を超える比較的大きなものとなってしまい、電気め
っき工程における金属めっき層の成長速度が僅かに低下
する傾向を示す。
【0055】また上記通常の銀鏡反応では、先に述べた
ように銀液と還元剤とを混合した瞬間から反応が進行し
て、およそ数十秒の後には反応が完結してしまうため、
たとえばシート状の芯材を、前述したように連続的に送
りながら、あるいはロール状やフープ状に捲回した状態
で、その全体に均一な導電層を形成するのは容易でな
く、工業的な実施が難しいという問題もある。
【0056】そこで発明者らは、銀の微粒子の平均粒径
が0.5μm以下であるような導電層を、たとえばシー
ト状の芯材の表面に均一かつ連続的に形成しうる、新た
な無電解銀めっき浴の組成について、種々検討を行っ
た。
【0057】その結果、芳香族ヨウ素化合物とアミノ酸
とを安定化剤として添加してやると、銀液が安定化し
て、還元剤を混合した後も常温では数週間以上にわたっ
て銀が析出せず、しかもかかる無電解銀めっき浴は、感
応化処理としてすずを吸着した芯材の表面と接触するこ
とによって初めて、徐々に、微粒子状に銀を析出させる
機能を有するものとなるという、これまで知られていな
かった新たな事実を見出した。
【0058】そして、上記の無電解銀めっき浴を用いる
ことによって、後述する実施例1、2にみるように、銀
の微粒子の平均粒径が0.5μm以下であるような導電
層を、シート状の芯材の表面に均一かつ連続的に形成す
ることに成功した。
【0059】かかる銀めっき浴に添加される安定化剤の
うち芳香族ヨウ素化合物としては、たとえばヨードベン
ゼン、ジヨードサリチルなどがあげられ、アミノ酸とし
ては、たとえばグリシン、アラニン、アミノ酢酸などが
あげられる。芳香族ヨウ素化合物とアミノ酸は、モル比
で1:1の割合で使用するのが好ましい。
【0060】上記安定化剤とともに浴を構成する銀液お
よび還元剤としては、従来と同様のものが使用される。
すなわち銀液としては、硝酸銀のアンモニア性溶液があ
げられ、還元剤としては、ホルマリンなどのアルデヒド
類、ブドウ糖の水溶液、ロッシェル塩、ロッシェル塩と
硝酸銀の反応生成物、グリオキザール、硫酸ヒドラジ
ン、ロッシェル塩と氷砂糖の混合液を煮沸したもの、砂
糖を少量の硝酸で転化した溶液などがあげられる。
【0061】上記の銀めっき浴を使用した無電解銀めっ
きにおいては、形成される銀の微粒子の粒径が、めっき
の反応速度、つまり銀の微粒子の析出速度、および時間
と比例し、このうち析出速度を制御するには、浴のpH
と液温を変化させればよいことが、発明者らの検討によ
って明らかとなっている。すなわち浴のpHを高くする
(浴をアルカリ性にする)ほど、また液温を高くするほ
ど、析出速度が高くなることが確認されている。
【0062】それゆえ、目的とする銀の微粒子の平均粒
径にあわせて、また浴の、とくに還元剤の種類や濃度な
どにあわせて、上記浴のpHおよび温度と、芯材の浴へ
の浸漬時間とを設定するのが好ましい。
【0063】その具体的な数値範囲はとくに限定され
ず、とくに上記のように還元剤の種類や濃度などによっ
て最適値は異なるものの、通常は、浴のpHがおよそ9
〜11程度、温度が30〜50℃程度、浸漬時間が2〜
15分程度であるのが好ましい。
【0064】上記の、銀の微粒子の集合体からなる導電
層を備えた本発明の導電性多孔質体は、前述したように
乾燥状態での電気抵抗値こそ高いものの、次工程である
電気めっき工程における金属めっき層の成長速度が高
く、しかもこの成長速度は、導電性多孔質体に前記のよ
うな種々の変形が加えられた後もあまり変化しないため
に、金属多孔質体を、効率よく、高い生産性で持って製
造できるという、すぐれた特性を有するものである。
【0065】また、かかる本発明の導電性多孔質体によ
れば、上記のように導電層が銀の微粒子にて形成され、
次工程である電気めっき工程において形成される金属め
っき層の電気抵抗値を著しく向上させるおそれがないの
で、電気抵抗値の低い、すぐれた金属多孔質体を製造で
きるという利点もある。
【0066】つぎに、本発明の金属多孔質体について説
明する。
【0067】かかる金属多孔質体は、先に述べたよう
に、上記本発明の導電性多孔質体を陰極とする電気めっ
きにより、当該導電性多孔質体の表面に、連続した、1
種または2種以上の金属からなる、単層または2層以上
の複層の金属めっき層を形成することによって構成され
る。
【0068】たとえばニッケル製の単層構造の金属めっ
き層は、上記導電性多孔質体を陰極として、これをニッ
ケル板などの適当な陽極とともにニッケルの電気めっき
浴に浸漬した状態で、両極間に電圧を印可して電気めっ
きすることによって形成される。
【0069】また金属めっき層は、少なくともその表面
が、極板として必要な金属(たとえばニッケル)にて形
成されていればよいので、下地としてより安価な、ある
いは形成が容易な金属などの下地めっき層を1層または
2層以上、形成して、その最表層に、上記ニッケルなど
の表面めっき層を積層した複層構造としてもよい。
【0070】金属めっき層の厚みは、本発明ではとくに
限定されないが、当該金属めっき層の強度や抵抗値など
を考慮すると、5〜30μm程度が好ましく、5〜10
μm程度がさらに好ましい。かかる金属めっき層の厚み
は、前述した単層構造の金属めっき層の場合は、いうま
でもなくそれ自体の厚みであるが、2層以上の積層構造
の金属めっき層の場合は、各層の厚みの合計値である。
【0071】また本発明の金属多孔質体においては、こ
れも前述したように金属めっき層の形成後に、その全体
を、まず合成樹脂を酸化して熱分解させるための空気中
で、つぎに酸化、不導体化した金属めっき層を還元する
ための、水素ガスなどの非酸化性雰囲気中で、それぞれ
およそ1000℃近い高温で熱処理して、芯材を完全
に、つまり芯材を構成する合成樹脂が起源のカーボンが
全く検出されなくなるまで除去してやってもよい。
【0072】この際、前述したように従来の、無電解ニ
ッケルめっき層では、当該層中に含まれるリンが金属め
っき層に拡散して、金属多孔質体の電気抵抗値が上昇す
るという問題を生じる。
【0073】これに対し、本発明の金属多孔質体は、前
記のように本発明の導電性多孔質体を中間材料として製
造されるために電気抵抗値が低く、たとえば電池用の極
板として使用した際に、その充放電の効率を向上できる
という、すぐれた特性を有するものである。
【0074】つぎに、本発明の電池用の極板について説
明する。
【0075】かかる極板は、上記本発明の金属多孔質体
を主体とするものである。すなわち、本発明の導電性多
孔質体を陰極とする電気めっきにより製造された金属多
孔質体がそのままで、あるいは前記のように熱処理して
芯材を除去した状態で、電池用の極板として使用され
る。
【0076】かかる極板としての金属多孔質体において
は、その多孔率が、およそ50%以上であるのが好まし
い。
【0077】多孔率が上記の範囲未満では、連続気孔構
造の空げき中に保持しうる活物質の充てん量が小さくな
って、電池を高容量化できないおそれがある。
【0078】なお多孔率は、上記の範囲内でもとくに9
9%以下であるのが好ましい。
【0079】多孔率がこの範囲を超えた場合には、金属
多孔質体の全体としての強度が著しく低下して、極板と
して使用できなくなるおそれがある。
【0080】なお多孔率は、上記の各特性の兼ね合いを
考慮すると、上記の範囲内でもとくに90〜93%程度
であるのがさらに好ましい。
【0081】かかる本発明の極板は、上記のように本発
明の金属多孔質体を主体として構成されるために、充放
電の効率にすぐれており、たとえば前述したアルカリ2
次電池などに好適に使用される。とくに単1型乾電池の
大きさで、およそ100A程度の大容量の電流を流す必
要のある、ハイブリッド自動車、電気自動車などの電源
用の電池として開発が進められている、アルカリ−水素
2次電池用の極板などとして好適である。
【0082】なお本発明の極板は、アルカリ2次電池以
外の電池用の極板としても使用できる。また本発明の金
属多孔質体は、上記電池用の極板以外にも、たとえば各
種触媒用の担体、各種暖房機器用部材(灯油の気化、霧
化用部材や、ガスの炎口板など)、エンジンや空気機器
の消音用サイレンサー、オイルミスト分離器、ディーゼ
ルエンジンなどの排ガス中のスス捕集部材、電磁波遮蔽
部材、各種フィルター、ディーゼルエンジンなどのピス
トンや、油圧機器の耐磨耗部品などの、種々の用途にも
使用することができる。
【0083】
【実施例】以下に本発明を、実施例、比較例に基づいて
説明する。
【0084】実施例1 厚み1mm、平均孔径0.45mm、空隙率98%の、
連続気孔構造を有するポリウレタンフォームを芯材とし
て使用し、まずこの芯材を、液温30℃の塩化すず水溶
液[塩化すず濃度20g/リットル、濃塩酸濃度10m
l/リットル]に5分間、浸漬して、その表面を感応化
処理した。
【0085】つぎに、上記芯材を水、温水および脱イオ
ン水でこの順に洗浄した後、下記の各成分を1リットル
の水に添加するとともに、希硝酸を加えてpHを9.9
に調整した、液温35℃の無電解銀めっき浴に10分
間、浸漬して、目付け量2g/m2の導電層を形成し、
水洗して、導電性多孔質体を製造した。
【0086】 (成 分) (ミリモル) *硝酸銀 8.8(銀濃度0.93g/リットル) *エチレンジアミン 54 *ロッシェル塩 35 *3,5−ジヨードサリチル酸 0.04 *グリシン 0.04 製造された導電性多孔質体を、走査型電子顕微鏡を用い
て観察したところ、芯材の表面に、銀の微粒子の集合体
からなる導電層が形成されているのが確認された。ま
た、上記導電層を構成する銀の微粒子の平均粒径を、走
査型電子顕微鏡を用いて撮影した写真からの実測値より
算出したところ、0.08μmであった。また上記写真
に撮影された銀の微粒子の、実際の粒径の分布は、0.
5μm以下であった。
【0087】実施例2 下記の各成分を1リットルの水に添加するとともに、硝
酸と水酸化ナトリウムを加えてpHを10.2に調整し
た、液温40℃の無電解銀めっき浴を使用したこと以外
は実施例1と同様にして、目付け量5g/m2の導電層
を有する導電性多孔質体を製造した。
【0088】 (成 分) (ミリモル) *硝酸銀 8.8(銀濃度0.93g/リットル) *エチレンジアミン 54 *ロッシェル塩 35 *3,5−ジヨードサリチル酸 0.04 *グルタミン酸 0.04 製造された導電性多孔質体を、走査型電子顕微鏡を用い
て観察したところ、芯材の表面に、銀の微粒子の集合体
からなる導電層が形成されているのが確認された。ま
た、上記導電層を構成する銀の微粒子の平均粒径を、走
査型電子顕微鏡を用いて撮影した写真からの実測値より
算出したところ、0.2μmであった。また上記写真に
撮影された銀の微粒子の、実際の粒径の分布は、0.5
μm以下であった。
【0089】実施例3 下記の製造方法によって製造した無電解銀めっき浴を用
いたこと以外は実施例1と同様にして、目付け量8g/
2の導電層を有する導電性多孔質体を製造した。なお
無電解銀めっきの条件は室温で1分間とした。製造され
た導電性多孔質体を、走査型電子顕微鏡を用いて観察し
たところ、芯材の表面に、銀の微粒子の集合体からなる
導電層が形成されているのが確認された。また、上記導
電層を構成する銀の微粒子の平均粒径を、走査型電子顕
微鏡を用いて撮影した写真からの実測値より算出したと
ころ、0.7μmであった。また上記写真に撮影された
銀の微粒子の、実際の粒径のおよその分布は、0.6〜
1.0μmであった。またごく少数ではあるが、粒径が
数μmにおよぶ大径の銀の粒子も確認された。 (無電解銀めっき浴の製造)濃度10g/リットルの硝
酸銀水溶液に、溶液の色が褐色から透明になる兆しが見
えるまでアンモニア水を滴下したのち、硫酸ヒドラジン
−水酸化ナトリウム混合水溶液[硫酸ヒドラジン濃度2
0g/リットル、水酸化ナトリウム濃度5g/リット
ル]を等量、加えて無電解銀めっき浴を製造した。
【0090】比較例1 実施例1で使用したのと同じポリウレタンフォームを芯
材として使用し、まずこの芯材を、10%の硫酸水溶液
に1g/リットルの割合で界面活性剤を添加した処理液
(液温60℃)に浸漬して酸洗浄した。
【0091】ついでこの芯材を水洗したのち、液温40
℃の塩化パラジウム−塩化すず混合水溶液[塩化パラジ
ウム濃度0.2g/リットル、塩化すず濃度20g/リ
ットル、塩酸(35体積%)濃度200ml/リット
ル]に1分間、浸漬して、その表面を感応化処理した。
【0092】つぎに、上記芯材を水洗した後、下記の各
成分を水に添加した、液温60℃の無電解ニッケルめっ
き浴に5分間、浸漬して、目付け量10g/m2の導電
層を形成し、水洗して、導電性多孔質体を製造した。
【0093】 (成 分) (濃度) *硫酸ニッケル 20g/リットル *酢酸ナトリウム 5g/リットル *次亜リン酸ナトリウム 10g/リットル *クエン酸ナトリウム 5g/リットル *乳酸 3ml/リットル 製造された導電性多孔質体を、走査型電子顕微鏡を用い
て観察したところ、芯材の表面に、ニッケルの連続膜か
らなる導電層が形成されているのが確認された。
【0094】比較例2 ポリビニルアルコールとフェノール樹脂とを、重量比で
7:3の割合でアルコールに溶解したアルコール溶液
に、平均粒径0.8μmの黒鉛の微粒子を、濃度が10
0g/リットルとなるように分散して塗布液を作製し
た。
【0095】つぎにこの塗布液を、実施例1で使用した
のと同じポリウレタンフォームを芯材として、その両面
にスプレー塗布したのち、100℃に加熱して乾燥させ
て、目付け量20g/m2の導電層を有する導電性多孔
質体を製造した。
【0096】製造された導電性多孔質体を、走査型電子
顕微鏡を用いて観察したところ、芯材の表面に、黒鉛の
微粒子の集合体からなる導電層が形成されているのが確
認された。また、上記導電層を構成する黒鉛の微粒子の
平均粒径を、走査型電子顕微鏡を用いて撮影した写真か
らの実測値より算出したところ、原材料である黒鉛の微
粒子と同じ0.8μmであった。また上記写真に撮影さ
れた黒鉛の微粒子の、実際の粒径の分布は、0.1〜
1.5μmであった。
【0097】上記各実施例、比較例で製造した導電性多
孔質体について、以下の各試験を行って、その特性を評
価した。
【0098】電気抵抗値の測定I(初期値) 各実施例、比較例の導電性多孔質体を幅1cm、長さ1
0cmの矩形状に切り出し、その長さ方向の両端間の、
乾燥状態での電気抵抗値(Ω)を測定した。
【0099】電気抵抗値の測定II(延伸後) 各実施例、比較例の導電性多孔質体を一方向に10%延
伸したのち元に戻し、延伸した方向が長さ方向と一致す
るように、幅1cm、長さ10cmの矩形状に切り出し
て、その長さ方向の両端間の、乾燥状態での電気抵抗値
(Ω)を測定した。
【0100】電気抵抗値の測定III(曲げ後) 各実施例、比較例の導電性多孔質体を幅1cm、長さ1
0cmの矩形状に切り出し、半径6cmの丸棒にあてが
って180°曲げ試験したのち元に戻し、その長さ方向
の両端間の、乾燥状態での電気抵抗値(Ω)を測定し
た。
【0101】金属めっき層成長試験 各実施例、比較例の導電性多孔質体を幅10cm、長さ
30cmの矩形状に切り出し、その長さ方向の一端を、
導電性多孔質体の全幅にわたる一対の銅製の治具で挟む
とともに、他端に、ポリ塩化ビニル製の錘を取り付け
た。
【0102】つぎに、銅製の治具のみ液面上に出るよう
に、錘を下にして、導電性多孔質体を垂直に吊り下げた
状態で、下記の両成分を1リットルの水に添加した、液
温45℃のニッケルの電気めっき浴に浸漬した。 〈電気めっき浴〉 (成分) (濃度) *スルファミン酸ニッケル 450g/リットル *ホウ酸 30g/リットル また電気めっき浴の、錘よりさらに下方には、当該導電
性多孔質体と接触しないように、白金製の電極を配置し
た。
【0103】そして銅製の治具を電源の陰極に、白金製
の電極を電源の陽極に、それぞれ接続して、電流密度1
0A/dm2の条件でニッケルめっきを行い、導電性多
孔質体の表面の、浴の液面側から下方、すなわち錘をつ
けた先端側へ成長するニッケルめっき層の成長速度(c
m/分)を目視により測定した。
【0104】なお試験は、各実施例、比較例の導電性多
孔質体についてそれぞれ、変形を加えない初期の状態
(初期)、前記の延伸を加えた状態(延伸後)、および
前記の曲げを加えた状態(曲げ後)の各サンプルを用意
して行った。
【0105】金属多孔質体の製造とその電気抵抗値の測
定 変形を加えない初期の状態の、各実施例、比較例の導電
性多孔質体について、上記の、ニッケルめっき層の成長
速度を測定した後、さらに同じ条件でニッケルの電気め
っきを継続して行って、各導電性多孔質体の表面に、目
付け量600g/m2のニッケルめっき層を形成したの
ち、900℃の空気雰囲気中で5分間、ついで900℃
の還元性雰囲気中で30分間、熱処理して芯材を除去し
て、金属多孔質体を製造した。
【0106】そして各金属多孔質体を幅1cm、長さ1
0cmの矩形状に切り出して、乾燥状態での、長さ方向
の両端間の電気抵抗値(Ω)を測定した。
【0107】以上の結果を表1、2に示す。
【0108】
【表1】
【0109】
【表2】 両表より、芯材の表面を無電解ニッケルめっきの連続層
によって導電化した比較例1の導電性多孔質体は、延伸
および曲げによって電気抵抗値が著しく上昇し、とくに
延伸後は連続膜が破断して、電気抵抗値が無限大まで上
昇することがわかった。
【0110】また金属多孔質体を製造すべく、上記比較
例1の導電性多孔質体を陰極とするニッケルの電気めっ
きを行ったところ、変形を加えない初期の状態以外はニ
ッケルめっき層の成長速度が著しく低下し、とくに延伸
によって連続膜が破断して電気抵抗値が無限大まで上昇
したサンプルは、ニッケルめっき層を成長できないこと
がわかった。
【0111】さらに、ニッケルめっき層の成長速度が比
較的高かった、変形を加えない初期の状態のサンプルを
用いて金属多孔質体を製造したところ、前述した熱処理
時のリンの拡散によって、その電気抵抗値が著しく上昇
することがわかった。
【0112】また芯材の表面をカーボンの微粒子によっ
て導電化した比較例2の導電性多孔質体は、本来的に電
気抵抗値が著しく高い上、とくに延伸によってバインダ
ー樹脂の割れが生じて、その電気抵抗値がさらに上昇す
ることがわかった。
【0113】また金属多孔質体を製造すべく、上記比較
例2の導電性多孔質体を陰極とするニッケルの電気めっ
きを行ったところ、変形を加えない初期の状態から、そ
のめっき速度が著しく低い上、とくに上記のように延伸
によってその電気抵抗値が著しく上昇したサンプルは、
ニッケルめっき層を成長できないことがわかった。
【0114】なお、変形を加えない初期の状態の導電性
多孔質体を用いて金属多孔質体を製造したところ、その
電気抵抗値は各実施例よりも僅かに高い程度であった。
【0115】これに対し、芯材の表面を銀の微粒子の集
合体からなる導電層によって導電化した実施例1〜3の
導電性多孔質体はいずれも、延伸および曲げによって電
気抵抗値があまり上昇しないことがわかった。とくに、
銀の微粒子の平均粒径が0.5μm以下である実施例
1、2の導電性多孔質体は、延伸および曲げによっても
その電気抵抗値がほとんど変化しなかった。
【0116】また金属多孔質体を製造すべく、上記実施
例1〜3の導電性多孔質体を陰極とするニッケルの電気
めっきを行ったところ、それぞれ変形を加える前、およ
び延伸や曲げなどの変形を加えた後のいずれの状態にお
いても、ニッケルめっき層の成長速度に変化はなく、全
く同じであった。またとくに実施例1、2の導電性多孔
質体は、ニッケルめっき層の成長速度自体も、実施例3
や、あるいは比較例1の初期状態のものに比べて高い値
を示した。
【0117】さらに、変形を加えない初期の状態の導電
性多孔質体を用いて金属多孔質体を製造したところ、そ
の電気抵抗値は、とくに比較例1に比べて著しく低い値
を示した。
【0118】
【発明の効果】以上、詳述したように本発明によれば、
金属多孔質体の生産性や生産効率にすぐれるとともに、
電気抵抗値の低い金属多孔質体を製造しうる導電性多孔
質体と、かかる導電性多孔質体から製造されるために電
気抵抗値が低く、たとえば電池用の極板として使用した
際にその充放電の効率を向上しうる金属多孔質体と、そ
してかかる金属多孔質体にて形成されるために充放電の
効率にすぐれた電池用の極板とを提供できるという特有
の作用効果を奏する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 假家 彩生 兵庫県伊丹市昆陽北一丁目1番1号 住友 電気工業株式会社伊丹製作所内 Fターム(参考) 5H017 AA02 BB01 BB16 CC28 DD05 DD06 EE01 EE04 HH03

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】連続気孔構造を有する合成樹脂製の多孔質
    体を芯材として、その表面に、銀の微粒子の集合体から
    なる導電層が形成されたことを特徴とする導電性多孔質
    体。
  2. 【請求項2】導電層を形成する銀の微粒子の平均粒径が
    0.5μm以下である請求項1記載の導電性多孔質体。
  3. 【請求項3】請求項1記載の導電性多孔質体を陰極とす
    る電気めっきにより、当該導電性多孔質体の表面に、連
    続した金属めっき層が形成されたことを特徴とする金属
    多孔質体。
  4. 【請求項4】金属めっき層がニッケルめっき層である請
    求項3記載の金属多孔質体。
  5. 【請求項5】請求項3記載の金属多孔質体を熱処理し
    て、合成樹脂製の芯材を除去したことを特徴とする金属
    多孔質体。
  6. 【請求項6】請求項3または5記載の金属多孔質体を主
    体とすることを特徴とする電池用の極板。
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