JP2937165B2 - ペースト式カドミウム負極の製造法 - Google Patents

ペースト式カドミウム負極の製造法

Info

Publication number
JP2937165B2
JP2937165B2 JP9106987A JP10698797A JP2937165B2 JP 2937165 B2 JP2937165 B2 JP 2937165B2 JP 9106987 A JP9106987 A JP 9106987A JP 10698797 A JP10698797 A JP 10698797A JP 2937165 B2 JP2937165 B2 JP 2937165B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cadmium
negative electrode
paste
battery
electrode
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP9106987A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH1040908A (ja
Inventor
勝己 山下
英男 海谷
雅子 草鹿
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority to JP9106987A priority Critical patent/JP2937165B2/ja
Publication of JPH1040908A publication Critical patent/JPH1040908A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2937165B2 publication Critical patent/JP2937165B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アルカリ蓄電池に用い
られるペースト式カドミウム負極の製造法に関するもの
である。
【0002】さらに詳しくは、ペースト式カドミウム負
極における酸素ガス吸収性の向上、ならびにカドミウム
の溶解析出による極板の変形を抑制して寿命の向上を図
ることを主たる目的とするものである。
【0003】
【従来の技術】近年、導電性芯体にペースト状活物質を
塗着したペースト式カドミウム負極は、製造工程が簡単
であり、製造コストが安く、高エネルギー密度が得られ
る等の理由から、アルカリ蓄電池に多く用いられるよう
になってきた。
【0004】このようなペースト式カドミウム負極は、
焼結式のカドミウム負極と異なり、活物質を保持する導
電性骨格を持たないため、電池充電時に生成する金属カ
ドミウムの成長が導電性芯体の近傍で起こり、極板表面
層まで達しにくい。このため過充電時に正極から発生す
る酸素ガスと金属カドミウムとの反応が効率的に行われ
ず、密閉形電池に用いた場合、酸素ガス消失反応が十分
でない分だけ、電池の内圧が高くなるという欠点を有す
る。また、充放電サイクルの繰り返しにより、カドミウ
ムの溶解析出が繰り返されて負極の変形が起こり、寿命
が短くなりやすいという欠点を有していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このような問題を解決
するために、特公昭61−61227号公報に見られる
ように、電極表面に電解ニッケルメッキを施す方法が提
案されているが、電極に直接ニッケルメッキを行う為、
表面のニッケルが均一になりにくく、充分な効果が得ら
れないという欠点を有していた。
【0006】また電極表面にニッケル層を設けた場合、
形成されたニッケル層が水素発生の過電圧を低下させる
為、充電時に負極から水素が発生しやすくなる。密閉形
蓄電池の場合、発生した水素ガスは電池内で消費されな
いため、充電条件が適切でない場合は、徐々に電池内に
水素ガスが蓄積され、一般的に広く設けられている電池
の防爆安全装置を作動させ、電池の密閉系をくずす場合
がある。このような場合は電解液の減少等を招いて、電
池の寿命等を低下させる要因となる。また、電極表面に
ニッケル層を設けた場合、適切な充電を行えば寿命特性
を向上させることができるが、この寿命がつきたものを
見ると、極板表面に形成された多孔性ニッケル層の中
に、粗大化した水酸化カドミウムの結晶が存在すること
が認められ、寿命の末期において、充放電時の電解液の
移動が、前記の粗大化した水酸化カドミウムの結晶によ
り妨害されていると考えられる。従って、この多孔性ニ
ッケル層中における水酸化カドミウムの成長を抑えるこ
とができれば、電池の寿命特性はさらに向上させうると
考えられる。
【0007】また、特開昭60−63875号公報、米
国特許第4614696号明細書に見られるように、電
極表面に炭素粉末よりなる導電層を設ける方法も提案さ
れているが、メッキのような均一な導電層を設けること
が困難であり、これも十分な効果が得られないという欠
点を有していた。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、以上のような
従来の欠点を解消し、高性能のペースト式カドミウム負
極を提供するものである。
【0009】詳しくは、導電性芯体に塗着されたカドミ
ウム化合物主体の活物質の表面上に、金属ニッケルを主
体とし少量の金属カドミウムを含むち密な多孔性のニッ
ケル層を有するカドミウム負極を得ることのできる好適
な製造法を提供するものである。
【0010】
【作用】これにより電池充電時に、副反応として生じる
水素ガス発生を抑制し、かつ密閉形ニッケル−カドミウ
ム蓄電池に使用した場合重要となる、過充電時に正極か
ら発生する酸素ガスのカドミウム負極での吸収特性を大
幅に向上し、また高温雰囲気での充放電のくり返しによ
り生じるカドミウム活物質の粗大化、あるいはカドミウ
ム活物質の溶解析出反応に基づく負極の変形や、デンド
ライトの成長による活物質利用率の低下、さらには短絡
による寿命の劣化等を防止するものである。
【0011】
【実施例】図1は、本発明の一実施例におけるペースト
式カドミウム負極の断面を示す拡大模式図である。
【0012】図中、1は水酸化カドミウム、酸化カドミ
ウム、あるいは金属カドミウム等からなるカドミウム活
物質である。2はこれら活物質からなる層を示す。3は
活物質1を支持する導電性芯体であり、ここでは開孔金
属板(パンチングメタルシート)の断面を示している。
【0013】4はカドミウム活物質の表面上に形成され
た金属カドミウムを少量含む金属ニッケル主体の多孔性
ニッケル層を示している。
【0014】5は、活物質層2中、多孔性ニッケル層4
中、及び活物質層2と多孔性のニッケル層4との間に形
成された、層4を円滑に形成するための有機化合物層6
中に付与された水酸化マグネシウムである。
【0015】第2図は、密閉形ニッケル−カドミウム蓄
電池の充放電時における電池内部圧力の変化を示す図で
ある。
【0016】図中aは本発明の一実施例による負極を用
いた電池の内圧変化を示し、bは従来のペースト式カド
ミウム負極を用いた電池の内圧変化を、cは比較例の電
池の内圧変化をそれぞれ示す。またAは充電時の電池内
圧のピーク圧力を示し、Bは放電休止後に残存する水素
ガスによる圧力を示す。
【0017】先に述べたように、ペースト式カドミウム
負極は、焼結式負極に比べて製造が容易で、高い容量密
度が得られる利点を有するが、焼結式のような導電性の
骨格が存在しないため、電池充電時に生成する金属カド
ミウムの成長が芯体近傍で起こり、金属カドミウムは極
板表面層まで達しにくい。このため過充電時に正極から
発生する酸素ガスとの反応が効率的に行われず、密閉形
電池に使用すると、電池の内圧が高くなる。
【0018】しかし、本発明のように極板表面に導電性
の多孔性ニッケル層を形成していると、極板表面の導電
性ニッケル層からの通電により金属カドミウムの生成が
進行し、極板表面部にも金属カドミウムの層が形成され
る。電池過充電時に正極から発生する酸素ガスは、主に
次の式に従って負極の金属カドミウムで吸収される。
【0019】2Cd+O2+2H2O→2Cd(OH)2 このため、負極中の金属カドミウムの分布が非常に重要
となり、負極表面に金属カドミウムが多く分布する本発
明の負極は、酸素ガス吸収性が良好となる。
【0020】負極活物質表面上への導電性の多孔性ニッ
ケル層の付与の条件としては、以下の点が特に重要であ
る。
【0021】まず第一に、導電性の多孔性ニッケル層
が、ペースト式カドミウム負極を用いる電池内で安定な
ことである。カドミウム負極を用いる電池は一般にニッ
ケル−カドミウム蓄電池のようにアルカリ電解液を用い
るため、耐アルカリ性が良好で、高い導電性を有するこ
とが要求される。また、その材料としてのコスト等を考
慮すると、導電性層の材料としてはニッケルが最も適当
であると考えられる。
【0022】第二には、カドミウム活物質層との充分な
密着性と、充放電時に電解液が移行するための適当な微
孔構造を有することである。
【0023】例えば、ニッケル粉末等の活物質層表面へ
の塗布、あるいは圧着等では、通電のための密着性が乏
しく、上記の条件を満足することが困難であり、電解メ
ッキによる方法が最も適当であることが考えられる。
【0024】しかし、電解メッキにより、活物質層の表
面上に、多孔性のニッケル層を形成する場合、その均一
性、密着性を確保するためには、その方法を充分検討す
る必要がある。
【0025】例えば、通常のワット浴によるニッケルメ
ッキの方法を用いた場合は、極板表面の活物質粒子によ
る凹凸、あるいは絶縁体である水酸化カドミウムの存在
等により、ニッケルメッキ層が不均一になったり、活物
質との密着性が確保されない場合がある。
【0026】本発明によるペースト式カドミウム負極
は、電極の活物質表面上に有機化合物層を形成している
ため、電解メッキを行う際、電極表面が滑かになり均一
なメッキ層が形成されやすくなる。
【0027】ここでの有機化合物、とくに置換基を持つ
有機化合物は、メッキの均一電着性、平滑性を良くする
光沢剤として一般に知られており、密着性の良好な多孔
性ニッケル層を形成することを可能とする。
【0028】ここで、本発明に使用する有機化合物の選
択は、極板表面での被膜形成性、ニッケルメッキ時の安
定性、極板に塗布、あるいは含浸して有機化合物層を形
成する際の工業的な生産性、及び極板としての特性(有
機化合物を溶媒に溶解する際の溶解性、これを後に乾燥
する際の安定性、電池として作動させる際に、電極反応
に悪影響を及ぼさない特性等)を考慮する必要がある。
【0029】また、先に述べた通り電極表面に多孔性ニ
ッケル層を設けた場合、形成されたニッケル層が水素発
生の過電圧を低下させるため、充電時に水素ガスが発生
しやすくなる。密閉形蓄電池の場合、発生した水素ガス
は、電池内で消費されないため、充電条件が適切でない
場合は、徐々に電池内に水素ガスが蓄積され、電池の防
爆安全装置を作動させ、電池の密閉系をくずし、電池の
寿命等を低下させる要因となる。
【0030】従って、この充電時の負極の副反応として
の水素ガス発生を抑制する必要がある。充電時の負極か
らの水素ガス発生を抑制する手段としては、極板表面に
形成された多孔性ニッケル層の水素発生過電圧を増大す
ることによって達成される。負極活物質として使用され
ている金属カドミウムは、水素発生過電圧が高い材料で
あり、極板表面の多孔性ニッケル層中にも、金属カドミ
ウムを付与することにより、多孔性ニッケル層の水素発
生過電圧を増大させることができる。
【0031】本発明では、負極表面へのニッケルメッキ
に使用するニッケルメッキ浴中にカドミウム塩を添加
し、メッキ時に金属ニッケルの析出と、金属カドミウム
の析出とが同時に起こるようにして、多孔性ニッケル層
中に金属カドミウムを付与し、多孔性ニッケル層部分で
の水素発生過電圧の低下を防止した。
【0032】また、極板表面に多孔性ニッケル層を形成
した負極を用いて、充放電サイクル寿命試験を行うと、
前記の通り、極板表面に多孔性ニッケル層をもたない従
来のものよりも大幅に寿命特性が向上する。しかし寿命
末期には、極板表面の多孔性ニッケル層の中に、粗大化
した水酸化カドミウムの結晶が認められる。多孔性ニッ
ケル層により、デンドライトとして極板外に伸び出よう
とするカドミウムの成長は防止されるが、ニッケル層中
で粗大化した水酸化カドミウムが電極反応に寄与する電
解液の移動を阻害するため、電極の充放電特性が劣化す
るものと考えられる。
【0033】マグネシウム化合物は、例えば特公昭62
−15994号公報に示されるように、カドミウムの結
晶の粗大化を防止する効果があることが知られている。
【0034】本発明では、マグネシウム化合物を極板表
面に多孔性ニッケル層を形成した後、マグネシウム塩溶
液としてカドミウム化合物中、及び多孔性ニッケル層中
に含浸し、後にアルカリ液で処理することにより、水酸
化マグネシウムとして、カドミウム活物質層中と、多孔
性ニッケル層中に固定する。
【0035】これによりカドミウム活物質層、及び多孔
性ニッケル層中でのカドミウム化合物の粗大化を防止
し、前記のようなニッケル層中での水酸化カドミウムの
粗大化に起因する問題を解消し、寿命特性のさらなる向
上を図ることができた。
【0036】以下、具体例により、詳細に説明する。
【0037】(実施例1)平均粒径1μの酸化カドミウ
ム粉末に、ポリビニルアルコールのエチレングリコール
溶液を加え、混練してペースト状にする。このペースト
を導電性芯体である厚さ0.1mmのニッケルメッキし
た開孔鋼板に塗着し、約140℃で30分間乾燥し、厚
さ約0.5mmの電極を得た。
【0038】次に、フェニル酢酸(Phenylace
tic Acid)を重量比で0.5%含むキシレン溶
液にこの電極を約10秒間浸漬した後、80℃で乾燥さ
せ、電極表面にフェニル酢酸層を形成させた。さらにこ
の電極を、硫酸ニッケル0.1mol/l、硫酸カドミ
ウム10-3mol/l、ホウ酸0.5mol/lを含む
メッキ浴中で温度20℃、電流密度10A/dm3 で3
0秒間電解メッキを行い、表面にニッケルメッキ層を形
成させた。
【0039】次に前記極板を、硫酸マグネシウムを1.
5mol/l含む水溶液に浸漬し、引上げ後、乾燥し
た。
【0040】次にこの電極をアルカリ溶液中で理論容量
の約40%充電し、水洗、乾燥後ペースト式カドミウム
負極を得た。この負極をaとする。
【0041】図1に6で示す有機化合物であるフェニル
酢酸層上には、電解メッキにより形成されたニッケルを
主体とする多孔性ニッケル層4が形成される。そのメッ
キ浴中には、カドミウムイオンが含有されているため、
電解時には極板表面に金属ニッケルと同時に金属カドミ
ウムが析出される。従って、多孔性導電層4を形成する
物質は、金属カドミウムを少量含有した金属ニッケルで
ある。
【0042】ニッケルメッキ後に、極板中に含浸された
硫酸マグネシウムは、次のアルカリ溶液中での化成時に
アルカリ溶液と反応し、水酸化マグネシウム5に変換さ
れ、活物質層中、有機化合物フェニル酢酸層中、及び多
孔性ニッケル層中に存在する。
【0043】図1に示した各構成要素の分布状態は以下
のような方法によって確認される。
【0044】すなわち多孔性のニッケル層は、極板断面
のSEM写真観察によって、また多孔性ニッケル層中の
金属カドミウムあるいは水酸化マグネシウムまたは有機
化合物の分布状態は、それぞれ、Cd,Mg,C,H等
の分布をX線マイクロアナリシス(Electron
Probe X−ray Micro Analysi
s)によって確認される。
【0045】本実施例で得られた負極aと、常法による
焼結式ニッケル正極、及びポリアミド不織布からなるセ
パレータと水酸化カリウム溶液を電解液として用いて、
1.2Ah相当の密閉形ニッケル−カドミウム蓄電池を
作成し、電池特性の評価を行った。
【0046】電池評価は、負極の酸素ガス吸収特性を評
価するための過充電時の電池内部圧力の評価と、充放電
のくり返しにより生じる負極の変形、あるいは活物質の
溶解析出に起因するデンドライトの成長による負極の利
用率低下、及び短絡等による寿命劣化の特性を評価し
た。
【0047】ここで、過充電時の電池内圧特性は、20
℃の雰囲気で、2CmA相当の電流で過充電したときの
電池内圧で評価し、サイクル寿命特性は、50℃で1/
3C相当の電流で4.5時間充電し、1CmA相当の抵
抗負荷で完全放電をする充放電をくり返し、サイクルに
よる容量低下で評価した。
【0048】図2は充放電時の電池の内部圧力の変化を
示した図である。電池の内部圧力は電池が過充電の領域
に入った時点から上昇しはじめ、やがてピーク圧力に達
し、放電時に減少する。負極の酸素ガス吸収性の良否
は、この電池内部圧力により評価できる。すなわち酸素
ガス吸収性の良好なものは電池内部圧力が低く、酸素ガ
ス吸収性の悪いものは電池内部圧力が高くなる。
【0049】図2中のaは、本実施例の電池内部圧力特
性を示すもので、bは従来のペースト式負極を用いた電
池の内部圧力特性を示したものである。通常、過充電時
に発生した酸素は放電時及び、休止時に負極にすべて吸
収されるため、電池内の圧力は充電初期の状態に復帰す
るが、充電時に負極から副反応として、水素ガスが発生
する場合は、水素ガスは電池内部で消費されないため、
第2図cの比較例のように残存圧力Bとして残る。
【0050】負極の酸素吸収性は、A−Bで評価し、水
素ガス発生の有無は残存圧力Bとして評価した。
【0051】また、充放電サイクル寿命の評価は、先に
述べた方法で充放電をくり返し、初期の容量に対して8
0%まで容量が劣化したサイクル数(寿命サイクル数)
で評価した。
【0052】(比較例1)実施例1と同様な方法で塗着
極板を作成し、メッキ等他の処理を行わないで化成を行
った負極を用い同様な電池を作成したものを比較例1
(b)とし、同様な評価を行った。(表1)に、実施例
1と比較例1の結果を示す。
【0053】
【表1】
【0054】このように、本発明によれば、負極の酸素
ガス吸収特性が大幅に向上し、さらにサイクル寿命特性
も大幅に向上したことがわかる。
【0055】次に、実施例1と同様な方法で、塗着極板
に付与する有機化合物の種類のみを変えた場合の例につ
いて示す。有機化合物付与の目的は、先に述べた通り、
塗着極板表面を平滑にし、通常のメッキの光沢剤のよう
に、ち密で、かつ密着性の良好なメッキ層を形成するた
めであり、その種類は、炭素数5〜30の脂肪酸または
その塩からなり、かつ、有機化合物を溶媒に溶解する際
の溶解性、あるいは後にこれを乾燥する際の安定性等、
極板に塗布あるいは含浸して有機化合物層を形成する際
の工業的な生産性を考慮すると、脂肪酸の炭素と結合す
る水素のうちの1つをフェニル基またはフェノキシ基で
置換した芳香族カルボン酸あるいはその塩のような種類
のものとなる。
【0056】実施例2〜10として、以下に示す有機化
合物について検討を行った。
【0057】(実施例2) アトロパ酸 (Atropic Acid)
【化1】
【0058】(実施例3) フェニルプロピオール酸
【化2】
【0059】(実施例4) p−ヒドロキシ安息香酸メチル(Methyl p−H
ydroxybenzoate)
【化3】
【0060】(実施例5) ビニル安息香酸 (Vinylbenzoic Aci
d)
【化4】
【0061】(実施例6) sec−ブチルマロン酸 (sec−butylmal
onic Acid)
【化5】
【0062】(実施例7) ステアリン酸グリコール (Glycol Stear
ate)
【化6】
【0063】(実施例8) ステアリン酸 (Stearine Acid)
【化7】
【0064】(実施例9) γ−フェニルクロトン酸 (γ−Phenylcrot
onic Acid)
【化8】
【0065】(実施例10) フェノキシ酢酸 (Phenoxyacetic Ac
id)
【化9】
【0066】塗着極板上に付与する有機化合物に前記の
各化合物を用いた負極について、実施例1と同様の評価
を行った結果、電池内圧特性及び寿命特性は、実施例1
とほぼ同様の結果が得られた。
【0067】(実施例11)ニッケルメッキ浴中に含有
されるカドミウム塩濃度の適正値を求めるため、実施例
1と同様な方法で、メッキ浴中のカドミウム塩濃度を変
化させただけの数種類の負極を作成し、その電池での特
性を評価した。
【0068】その結果を(表2)に示す。
【0069】
【表2】
【0070】カドミウム塩濃度0mol/lのものは、
図2中のcに示す比較例の電池に対応するもので、極板
表面に形成された多孔性ニッケル層中に金属カドミウム
が存在しないため、水素発生の過電圧が低く、充電時に
副反応としての水素ガス発生を生じる。従って電池の放
電休止後にも電池内に水素ガスが残存し、電池内部圧力
が初期の状態に復帰していないことがわかる。充電時の
水素ガス発生を抑制する効果が得られるメッキ浴中のカ
ドミウム塩濃度は、10-4mol/l以上であるが、カ
ドミウム塩濃度が高すぎる場合は逆にニッケルの析出効
率が低下するため、酸素ガス吸収特性、あるいは寿命特
性の劣化を招く。従ってその好ましい濃度範囲は10-4
〜10-2mol/lである。
【0071】(実施例12)次に電解メッキの適正条件
を求めるため、実施例1と同様な方法で、メッキ通電条
件のみを変化させ、実施例1と同様な負極を作成し、電
池特性の評価を行った。
【0072】電解メッキに用いるニッケル塩水溶液は、
通常ニッケルメッキを行なう場合には1mol/l程度
であるが、本発明においては、0.05〜0.2mol
/lの範囲で行なう必要がある。多孔質電極の表面にニ
ッケルメッキをする場合、ニッケル塩水溶液の濃度が高
いと、ニッケルの拡散、供給が円滑に行なわれ、電極の
表面よりも細孔内にメッキされてしまい、表面層にはメ
ッキが十分に形成されない。多孔質電極表面に多孔質の
ニッケルメッキ層を形成しうるメッキ浴のニッケル濃度
の上限は0.2mol/l程度である。逆にニッケル濃
度が低すぎる場合は水素ガス発生を生じ、ニッケルの析
出効率が低下するので好ましくない。その濃度の下限は
0.05mol/l程度である。従って、適正なメッキ
浴のニッケル濃度の範囲は、0.05〜0.2mol/
lとなる。極板の見掛け面積に対するメッキ電流密度に
ついても同様な関係があり、上記ニッケル濃度では電流
密度が5A/dm2 よりも小さい場合、カドミウム活物
質内部へもニッケルが析出し、極板表面へのニッケル析
出が低下する。従って電流密度の下限としては5A/d
2 程度が適当である。また、逆に電流密度が高すぎる
場合は、水素ガス発生を生じ、ニッケルの析出効率を低
下させるため、電流密度の上限は20A/dm2 程度が
好ましい。
【0073】メッキ時の通電電気量については以下のこ
とがいえる。
【0074】通電電気量が少ない場合は、十分な多孔性
ニッケル層が確保できず、その下限は30mAh/dm
2 程度である。
【0075】また、逆に通電電気量が多すぎる場合は、
メッキ層が厚くなりすぎ、多孔性ニッケル層中のイオン
導電性が低下して電池を組立てた場合に放電特性が劣化
するなどの不具合を生じる。従ってその通電電気量の上
限は500mAh/dm2 程度である。
【0076】ニッケルメッキ時の通電電気量を、30m
Ah/dm2 とした極板と、500mAh/dm2 とし
た極板を切断し、その断面のSEM写真観察により、ニ
ッケルメッキ層の厚さを測定したところ、通電電気量3
0mAh/dm2 ,500mAh/dm2 のニッケルメ
ッキ層の厚さは、それぞれ約0.5μ、及び約5μであ
った。
【0077】また、ニッケルメッキ層を剥離し、ニッケ
ルを硝酸で溶解してニッケル量を定量した。このように
して得たニッケル量と、ニッケル層の厚さからニッケル
層の多孔度を計算した結果、通電電気量を30mAh/
dm2 ,500mAh/dm 2 とした極板のニッケル層
の多孔度は、それぞれ70%及び40%程度であった。
従って、本発明の効果を十分に得られるニッケルメッキ
層の条件としては、層の厚さが、約0.5〜5μで、多
孔度が40〜70%程度が望ましいと考えられる。この
ようなニッケルメッキ層は、適当なメッキ通電条件を保
つことによって確保できる。
【0078】従って、メッキ浴中のニッケル濃度は0.
05〜0.2mol/l、メッキ通電電流密度は5〜2
0A/dm2 、メッキ通電電気量は、30〜500mA
h/dm2 が適当で、この条件でメッキを行なった負極
を用いた電池については、実施例1の場合とほぼ同等の
電池特性が得られる。
【0079】(実施例13)次に、極板中に含浸する水
酸化マグネシウム量について検討を行った。実施例1の
負極については、その水酸化マグネシウム量は、カドミ
ウム活物質量に対し、0.8重量%であるが、極板に含
浸する硫酸マグネシウムの濃度を変化させてその適正範
囲を求めた。負極の作成においては、他の条件を同様と
し、硫酸マグネシウム濃度のみを変化させた。その結
果、水酸化マグネシウム量については、カドミウム活物
質量に対し、0.1重量%程度から寿命に対する効果が
顕著になり、その量が3重量%以上になると、極板表面
上の多孔性ニッケル層中に存在する水酸化マグネシウム
が、電解液の移動を阻害するようになって、電池の放電
特性を劣化させるため、その適正範囲は、カドミウム活
物質に対して0.1〜3重量%が適当である。この条件
で作成した負極を用いた電池については、実施例1とほ
ぼ同等の結果が得られた。
【0080】(実施例14)ペースト式カドミウム負極
は、通常活物質としての酸化カドミウム、あるいは水酸
化カドミウムを導電性芯体に塗着、乾燥した後、予備充
電量としての金属カドミウムを付与するため、上記塗着
極板を実施例1のようにアルカリ溶液中で陰電解を行う
ことにより、酸化カドミウム、あるいは水酸化カドミウ
ムの一部を金属カドミウムに変換する化成を行う。
【0081】しかし、最近は、この化成工程を省略する
ために、導電性芯体に塗着する活物質ペーストに、酸化
カドミウムあるいは水酸化カドミウムと、金属カドミウ
ムとの混合物を用いる方法もとられている。このような
方法を前提として以下の検討を行った。
【0082】実施例1で用いた酸化カドミウムの代わり
に、化成時に生成される金属カドミウムに対応する金属
カドミウム粉末をあらかじめ、活物質ペースト中に混合
し、実施例1と同様な方法で、極板への硫酸マグネシウ
ム塩溶液の含浸までの状態の極板を作成し、この負極を
用いて、実施例1と同様な方法で電池を作成し、同様な
電池特性の評価を行った。この場合、極板中に含浸され
た硫酸マグネシウムは、電池内で電池電解液により、水
酸化マグネシウムに変換されるわけであるが、電池特性
としては、実施例1とほぼ同様の結果が得られた。
【0083】ただし、この方法を用いる場合は、マグネ
シウム塩のアニオンとしては、硫酸イオン等の電池特性
に悪影響を及ぼさない種類を選ぶ必要があり、硝酸イオ
ン等、電池特性に悪影響を及ぼすものはさける必要があ
る。
【0084】
【発明の効果】以上の通り、本発明のペースト式カドミ
ウム負極では、酸素ガス吸収性の向上とともに、カドミ
ウムの溶解析出を抑制し、極板の変形を防止して長寿命
化を図ることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例で得たペースト式カドミウム
負極の断面を示す拡大模式図
【図2】密閉形ニッケル−カドミウム蓄電池の充放電時
における電池内部圧力の変化を示す図
【符号の説明】
1 活物質 2 活物質層 3 導電性芯体 4 多孔性ニッケル層 5 水酸化マグネシウム 6 有機化合物層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01M 4/24 - 4/26 H01M 4/62

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】導電性芯体に塗着されたカドミウム化合物
    を主体とした活物質層と、その表面上に設けられた少量
    の金属カドミウムを含む多孔性の金属ニッケル層を有す
    るペースト式カドミウム負極の製造法において、導電性
    芯体にカドミウム化合物主体の活物質を塗着した後、こ
    れに有機化合物を含浸するか、あるいは塗布し、ついで
    電解メッキにより少量の金属カドミウムを含む多孔性の
    ニッケル層を形成するペースト式カドミウム負極の製造
    法。
  2. 【請求項2】請求項1において、前記有機化合物を含浸
    するか、あるいは塗布した後、電解メッキにより多孔性
    のニッケル層を形成するメッキ浴の組成が、ニッケル濃
    度0.05〜0.2mol/l、カドミウム濃度10-4
    〜10-2mol/lを含む混液であるペースト式カドミ
    ウム負極の製造法。
  3. 【請求項3】請求項1において、電解メッキの電流密度
    が、極板の見掛け面積に対して、5〜20A/dm2
    あるペースト式カドミウム負極の製造法。
  4. 【請求項4】請求項1において、電解メッキ時の通電電
    気量が、極板の見掛け面積に対して、30〜500mA
    h/dm2 であるペースト式カドミウム負極の製造法。
  5. 【請求項5】請求項1において、多孔性のニッケル層形
    成後、極板にマグネシウム塩溶液を含浸し、ついでアル
    カリ溶液との反応で水酸化マグネシウムに変換して含有
    させるペースト式カドミウム負極の製造法。
  6. 【請求項6】請求項5において、マグネシウム塩とアル
    カリ溶液との反応が、極板形成後アルカリ溶液中で極板
    を陰電解して極板中に金属カドミウムを形成する化成時
    に同時に行われるペースト式カドミウム負極の製造法。
  7. 【請求項7】請求項5において、マグネシウム塩とアル
    カリ液との反応が、電池電解液であるアルカリ液中で行
    なわれるペースト式カドミウムの製造法。
JP9106987A 1997-04-24 1997-04-24 ペースト式カドミウム負極の製造法 Expired - Fee Related JP2937165B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9106987A JP2937165B2 (ja) 1997-04-24 1997-04-24 ペースト式カドミウム負極の製造法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP9106987A JP2937165B2 (ja) 1997-04-24 1997-04-24 ペースト式カドミウム負極の製造法

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP63241317A Division JP2684707B2 (ja) 1988-09-27 1988-09-27 ペースト式カドミウム負極

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH1040908A JPH1040908A (ja) 1998-02-13
JP2937165B2 true JP2937165B2 (ja) 1999-08-23

Family

ID=14447614

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP9106987A Expired - Fee Related JP2937165B2 (ja) 1997-04-24 1997-04-24 ペースト式カドミウム負極の製造法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2937165B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103703591B (zh) 2011-07-28 2016-04-27 株式会社杰士汤浅国际 碱性蓄电池用负极、碱性蓄电池用外装罐和碱性蓄电池

Also Published As

Publication number Publication date
JPH1040908A (ja) 1998-02-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN108520985B (zh) 一种提高锌电池循环寿命的方法及其应用
CN111900388B (zh) 一种锌离子电池负极材料、其制备及应用
JP2684707B2 (ja) ペースト式カドミウム負極
JP2937165B2 (ja) ペースト式カドミウム負極の製造法
JP3644427B2 (ja) カドミウム負極とそれを含むニッケルカドミウム蓄電池
JPH07320742A (ja) アルカリ蓄電池用電極およびその製造方法
JP4747536B2 (ja) アルカリ蓄電池
JPH1040918A (ja) ペースト式カドミウム負極およびその製造法
JP3514088B2 (ja) ニッケル−水素蓄電池
JP4334783B2 (ja) ニッケル・水素蓄電池用負極板およびその製造方法ならびにそれを用いたニッケル・水素蓄電池
JPH097591A (ja) 水素吸蔵合金及びその製造方法並びにそれを用いた水素吸蔵合金電極
JP2981538B2 (ja) アルカリ電池用電極
JP2589750B2 (ja) ニッケルカドミウム蓄電池
JP3941341B2 (ja) アルカリ蓄電池とニッケル極板
JPS63170851A (ja) アルカリ蓄電池用カドミウム極
JP4531874B2 (ja) ニッケル・金属水素化物電池
JPH10112326A (ja) アルカリ二次電池用電極
JP2638055B2 (ja) アルカリ蓄電池用ペースト式カドミウム負極の製造法
JP3249324B2 (ja) アルカリ蓄電池用ニッケル活物質とその製法
JP2003297347A (ja) アルカリ亜鉛電池
JP5920334B2 (ja) アルカリ蓄電池
JP4552238B2 (ja) 水素吸蔵合金電極の製造方法
CN112928257A (zh) 一种负极片及其制备方法、锂离子电池
JPH09245827A (ja) アルカリ蓄電池の製造法
JP2010225354A (ja) ファイバー状電池用ニッケル正極

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees