JP2000010243A - 写真感光材料用包装材料及びこれを用いた写真感光材料包装体 - Google Patents

写真感光材料用包装材料及びこれを用いた写真感光材料包装体

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JP2000010243A
JP2000010243A JP10176969A JP17696998A JP2000010243A JP 2000010243 A JP2000010243 A JP 2000010243A JP 10176969 A JP10176969 A JP 10176969A JP 17696998 A JP17696998 A JP 17696998A JP 2000010243 A JP2000010243 A JP 2000010243A
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Mutsuo Akao
睦男 赤尾
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 写真フィルム等の写真感光材料を包装
する写真感光材料用包装材料において、多層共押出しイ
ンフレーションフィルム成形工程のみで、物理強度が大
きく、カーリングの発生がなく、フィルム成形性が優
れ、密封性を長期間確保可能で、リサイクル適性及び焼
却適性を向上させるようにする。 【解決手段】 遮光性物質を含有した最内層1aと遮光
性物質を含有した最外層2aとからなる2枚の2層共押
出しインフレーションフィルムIIaである。最内層1a
同士がブロッキングにより接着Bされている。最内層1
aはシングルサイト触媒を用いずに重合製造したポリオ
レフィン樹脂を主成分とし、最外層2aはシングルサイ
ト触媒を用いて重合製造したポリオレフィン樹脂を主成
分としている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、写真フイルム、写
真印画紙等の写真感光材料の包装に好適な写真感光材料
用包装材料及びこれを用いた写真感光材料包装体に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】特開昭64−22544号公報には、多
層共押出しインフレーションフィルムの内層同士をブロ
ッキングにより接着した疑似接着層を具備している包装
材料が提案されている。
【0003】特公平2−2700号公報には、ポリエチ
レン系ポリマーと1重量%以上の遮光性物質からなり、
全ポリエチレン系ポリマーの50重量%以上がエチレン
・αオレフィン共重合体樹脂である遮光性フィルムを少
なくとも1層有する感光物質包装用フィルムが提案され
ている。
【0004】特公平4−80373号公報には、高密度
ポリエチレン樹脂層又はポリプロピレン樹脂層とエチレ
ン・αオレフィン共重合体樹脂層からなる2層共押出し
インフレーションフィルムからなる写真感光材料用包装
材料が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来の包装材料には種々の問題点があった。すなわ
ち、特開昭64−22544号公報で提案された包装材
料は、カーリングがなく物理強度が大きく、リサイクル
適性、焼却適性が優れており好ましいものであるが、低
温ヒートシール性、写真性はさらに改良する必要があっ
た。
【0006】特公平2−2700号公報で提案された感
光物質包装用フィルムは、単層でも物理強度が優れてお
り好ましいものであったが、単層では、フィルム厚みを
大きくしないと防湿性が大きく、かつタテ方向の引張弾
性率が小さく重量物質包装用とするには厚味を大きくし
なければならないが、厚みを大きくするとメルトフラク
チャーが発生するものである。したがって、金属層を積
層する必要があり、コスト、リサイクル適性の点で改良
する必要があった。
【0007】特公平4−80373号公報で提案された
写真感光材料用包装材料は、前記特公平2−2700号
公報で提案された感光物質包装用フィルムを改良したも
ので、防湿性、物理強度が優れ、リサイクル適性、焼却
適性も優れており好ましいものであったが、カーリン
グ、帯電防止性、物理強度等をさらに改良する必要があ
った。
【0008】本発明は、以上の問題点を解決し、多層共
押出しインフレーションフィルム成形工程のみで、写真
感光材料用包装材料として必須の写真感光材料の写真性
に悪影響(カブリ、感度異常、階調異常、発色界面、濃
度ムラ等)を及ぼすことなく、物理強度が大きく、カー
リングの発生がなく、フィルム成形性が優れ、柔軟で、
ロスが少なく、防湿・密封性を長期間確保可能で、リサ
イクル適性及び焼却適性の優れた容器・包装リサイクル
法に適合し、外観の優れた安価な写真感光材料用包装材
料及びこれを用いた写真感光材料包装体を提供すること
を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の写真感光材料用
包装材料は、最外層と最内層とを有する(複数の中間層
を具備してもよい)多層共押出しインフレーションフィ
ルムの最内層同士をブロッキングにより接着積層した積
層フィルムを具備した写真感光材料用包装材料におい
て、最外層がシングルサイト触媒を用いて重合製造した
ポリオレフィン樹脂を主成分とし、最内層がシングルサ
イト触媒を用いずに重合製造したポリオレフィン樹脂を
主成分とすることを特徴として構成されている。
【0010】また、本発明の写真感光材料用包装材料
は、最外層と最内層とを有する多層共押出しインフレー
ションフィルムの最内層同士をブロッキングにより接着
積層した積層フィルムを具備した写真感光材料用包装材
料において、最外層がシングルサイト触媒を用いて重合
製造した分子量分布が1.0〜5のエチレン・αオレフ
ィン共重合体樹脂を主成分とし、最内層がマルチサイト
触媒を用いて重合製造した分子量分布が2以上、X線法
による結晶化度が60%以下のエチレン・αオレフィン
共重合体樹脂を主成分とし、脂肪酸金属塩を0.01〜
5重量%含有することを特徴として構成されている。
【0011】本発明の写真感光材料包装体は、上記写真
感光材料用包装材料を用いて製造した包装袋に写真感光
材料を密封収納したものであって、包装袋の外側の層
は、滑り摩擦係数(ASTM D−1894に準じた方
法で荷重面積42cm2、荷重200gで測定)が0.
48(滑り開始角度40度)以上であり、かつ滑剤を含
んでいることを特徴として構成されている。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の写真感光材料用包装材料
は、多層共押出しインフレーションフィルムの最内層同
士をブロッキングにより接着積層した積層フィルムを具
備しており、この多層共押出しインフレーションフィル
ムは、最内層と最外層の2層からなるもの、最内層と最
外層との間に1層又は2層以上の中間層を設けたものが
ある。
【0013】2層以上の中間層は同一の樹脂組成物であ
っても異なった樹脂組成物であってもよく、また2層以
上の中間層は厚さが同一であっても異なっていてもよ
く、遮光性を有する層であってもなくてもよい。
【0014】最内層のブロッキングによる接着積層は、
最内層同士を重ね合わせて圧力をかけることにより行う
もので、接着剤を使用したり、熱をかけることなく、イ
ンフレーションフィルムの製造工程において行うことが
できるものである。圧力をかける方法としては、一対の
弾性ロール(ゴムロールやコットンロール等)と金属ロ
ールとからできているニップロール(ピンチロール等)
等を用いる。強固に接着したり、強弱の接着強度にした
り、点状や格子状に部分的に接着強度を向上させる場合
は、エンボスロールや加熱ロールを用いてもよい。
【0015】インフレーションフィルム成形工程のニッ
プロールの圧力により、最内層同士をブロッキングによ
り接着積層する場合、フィルムにシワや筋が発生しない
でかつブロッキングによる接着積層を確実に行うために
は、フィルムと接触するプレス面の面積でその時のプレ
ス圧を割った圧力で示すと、1〜100kg/cm2
好ましくは1〜80kg/cm2、特に好ましくは1〜
60kg/cm2、最も好ましくは1〜40kg/cm2
である。 剥離強度は300g/15mm巾以下、好ま
しくは100g/15mm巾以下である。
【0016】最外層に含有されるシングルサイト触媒を
用いて重合製造した(以下、シングルサイト触媒を用い
て重合製造したものを「シングルサイト系」という)ポリ
オレフィン共重合体樹脂は、20重量%以上であり、4
0重量%以上が好ましく、50重量%以上がより好まし
く、70重量%以上が特に好ましく、90重量%以上が
最も好ましい。
【0017】シングルサイト系ポリオレフィン共重合体
樹脂の含有量が、20重量%未満であると、物理強度、
ヒートシール適性、写真性等が優れた写真感光材料用包
装材料及びこれを用いた写真感光材料包装体を提供する
ことが困難である。
【0018】前記シングルサイト触媒としては、代表的
なものとしてはドイツのカミンスキー教授によって発見
された、均一な活性点を有する二塩化ジルコノセンとメ
チルアミノキサンからなるメタロセン触媒があり、種々
の特許が発表されている。代表例をあげると特開昭60
−35007号公報、特開昭60−35008号公報、
特開昭60−35009号公報、特開平3−20770
3号公報、特開平3−234711号公報、特開平4−
300887号公報等がある。
【0019】メタロセン触媒を用いて重合製造したエチ
レン・α−オレフィン共重合体樹脂は、従来のチーグラ
ー触媒を用いて重合製造したエチレン・α−オレフィン
共重合体樹脂に比較して以下の特徴を有する。 2〜3倍の衝撃強度、引き裂き強度を有する。 透明性、光沢が優れる。 耐ブロッキング性が優れる(ベタツキ成分と呼ばれ
る低分子量低密度成分が少ない) 融点が低く、低温ヒートシール性が優れる。 柔軟性が優れる。
【0020】シングルサイト触媒の代表的例であるメタ
ロセン触媒を用いて重合製造した現在市販されているL
−LDPE樹脂の具体例としては、 EXCEED (EXXon chemical) EXACT (EXXon chemical) AFFINITY (DOW chemical) ENGAGE (DOW chemical) LUFLEXENE(BASF) エボリュー (三井石油化学) カーネル (三菱化学) ユメリット (宇部興産) ハーモレックス (日本ポリオレフィン) キャタロセン (東ソー) 等がある。
【0021】重合方法としては、気相重合法が安価でか
つ写真性に悪影響を及ぼす残渣が少ない点で特に好まし
い。重合しやすさの点で懸濁重合法、溶解重合法等の液
相重合法も好ましい。
【0022】ブロッキング防止性、物理強度向上等か
ら、GPC法測定法による分子量分布(重量平均分子量
/数平均分子量)は5以下、好ましくは4以下、特に好
ましくは1.1〜3、最も好ましくは1.3〜2.7で
ある。
【0023】シングルサイト触媒の代表的な触媒である
メタロセン触媒を用いて重合製造する方法としては、例
えば、酸素や過酸化物等のラジカル開始剤を用い、温度
150〜350℃、 圧力1000〜3500kg/c
2の条件下でエチレンを重合させる高圧法、チーグラ
ー触媒(チタン系)またはフィリップス触媒(クロム系)
等を用い、 温度50〜250℃、圧力50〜250k
g/cm2の条件下でエチレンやエチレンと少量のαオ
レフィンを共重合させる中・低圧法、メタロセン触媒
(ジルコニウム、ハウニウム、チタン、バナジウム等の
化合物)を用い、高圧または中・低圧でエチレン単独重
合やエチレンと1種以上のα−オレフィンを共重合させ
る方法等がある。
【0024】エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂と
して最も好ましいのは、エチレン・α−オレフィンラン
ダム共重合体樹脂である。該エチレン・α−オレフィン
共重合体樹脂の組成は、α−オレフィン成分が1〜99
モル%、好ましくは1〜95モル%、より好ましくは1
〜90モル%、特に好ましくは2〜80モル%、最も好
ましくは2〜50モル%であり、エチレン成分は、好ま
しくは5〜99モル%、より好ましくは10〜99モル
%、特に好ましくは20〜98モル%、最も好ましくは
50〜98モル%である。α−オレフィンの代表例とし
ては、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、4−メ
チル−ペンテン−1、オクテン−1、デセン−1、ドデ
セン−1、テトラセン−1、ヘキサデセン−1、オクタ
デセン−1、ヘブテン−1、エイコセン−1、4−メチ
ル−ヘキセン−1、4,4−ジメチルペンテン−1等の
炭素原子数が3〜20、好ましくは4〜15、特に好ま
しくは4〜12、最も好ましくは4〜10の1種又は2
種以上のα−オレフィンである。
【0025】メタロセン触媒を用いる重合方法について
は以下に例示するように数多くの特許公報に開示されて
いる。
【0026】特開昭58−19309号公報、特開昭6
0−862号公報、特開昭60−35006号公報、特
開昭60−35007号公報、特開昭60−35008
号公報、特開昭60−106008号公報、特開昭60
−137911号公報、特開昭61−31404号公
報、特開昭61−108610号公報、特開昭61−2
21207号公報、特開昭61−264010号公報、
特開昭61−296008号公報、特開昭63−610
10号公報、特開昭63−152608号公報、特開昭
63−178108号公報、特開昭63−222177
号公報、特開昭63−222178号公報、特開昭63
−222179号公報、特開昭63−264606号公
報、特開昭63−28070号公報、特昭表63−50
1369号公報、特昭表64−6003号公報、特昭表
64−45406号公報、特開昭64−74202号公
報、特開平1−12407号公報、特開平1−9511
0号公報、特開平1−101315号公報、特開平1−
129003号公報、特開平1−207248号公報、
特開平1−210404号公報、特開平1−25140
5号公報、特開平1−259004号公報、特開平1−
275609号公報、特開平1−301704号公報、
特開平1−319489号公報、特開平2−22307
号公報、特開平2−41303号公報、特開平2−17
3110号公報、特開平2−302410号公報、特開
平3−56508号公報、特開平3−62806号公
報、特開平3−66710号公報、特開平3−7070
8号公報、特開平3−70709号公報、特開平3−7
0710号公報、特開平3−74412号公報、特開平
4−8704号公報、特開平4−11604号公報、特
開平4−25514号公報、特開平4−213305号
公報、特開平5−310829号公報、特開平5−32
0242号公報、特開平6−228222号公報、特開
平9−40793号公報、アメリカ特許4,522,9
82号明細書、アメリカ特許4,530,914号明細
書等が挙げられる。
【0027】これらのメタロセン触媒を用いて重合製造
したエチレン・α−オレフィン共重合体樹脂の中でも写
真感光材料の写真性に悪影響を及ぼす触媒残渣が少な
い、ジルコニウム系、ハフニウム系、チタニウム系、バ
ナジウム系の少なくとも1種のメタロセン触媒を用いた
固体触媒成分1g当たり10,000g以上の樹脂が好
ましい。特に、二塩化ジルコノセンとメチルアルミノキ
サンからなるメタロセン触媒が好ましい。樹脂中の写真
性に悪影響を及ぼす残留ハロゲン成分含有量は100p
pm以下が好ましく、特に50ppm以下が好ましい。
樹脂中のハロゲン成分含有量を100ppm以下にする
ために、触媒失活剤を用いて触媒残渣を抽出することも
押出し機のスクリューやダイスの防錆及び写真性を良好
にするために必要であり好ましい。
【0028】ポリオレフィン樹脂は、エチレン、プロピ
レン、ブテン、ペンテン、メチルペンテン等の比較的簡
単な構造のオレフィン類の単独重合体樹脂あるいは共重
合体樹脂を総称したものである。広義には、エチレン−
酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−エチルアクリレー
ト共重合体樹脂、アイオノマー樹脂、エチレン−プロピ
レン−ジエン類のターポリマー等をも包含する。ポリオ
レフィン樹脂の一般的特徴は比重が小さく、耐薬品性、
耐水性に優れ、復誘電率や誘電体力率が小さいので高周
波絶縁性に優れている。
【0029】ポリエチレン樹脂は、エチレンを重合させ
て得られる乳白色不透明ないし半透明の熱可塑性プラス
チックで比重は1より小さい。 nCH2=CH2→−(−CH2−CH2−)−n
【0030】重合法が異なると得られるポリエチレン樹
脂も性質を異にするので、高圧法(ICI法)、中圧法
(フィリップス法)、低圧法(チーグラー法)のように
製法による分類もされているが、本質的な性質の相違は
密度と関連があり、低密度(0.910〜0.925g/
cm3)、中密度(0.926〜0.940g/cm3)、高
密度(0.941〜0.965g/cm3)のように分類
されている。ポリエチレン樹脂の密度と性質との大略の
関係を図8に示す。密度が0.910g/cm3未満のポ
リエチレン樹脂は超低密度ポリエチレン樹脂と呼ばれ、
エチレンとα−オレフィン(5重量%以上含有)との共
重合体樹脂である。
【0031】ポリエチレン樹脂は、その密度により高密
度ポリエチレン樹脂と低密度ポリエチレン樹脂に大別さ
れる。高密度ポリエチレン樹脂は分岐の少ない直鎖状の
分子構造を持ち結晶化度が高いの対し、低密度ポリエチ
レン樹脂は分岐が多く結晶化度が低い。結晶化度の高
い、すなわち密度の高いポリエチレン樹脂ほど融点が高
く、剛性も高いが、透明性は低くなる。また、同じ低密
度ポリエチレン樹脂でも、短鎖分岐を持った直鎖状低密
度ポリエチレン樹脂(代表例は、エチレン・α−オレフ
ィン共重合体樹脂)の方が、長鎖分岐を持った分岐低密
度ポリエチレン樹脂より、結晶化度が高くタイ分子の数
が多いため、融点が高く機械的強度に優れるが、溶融時
の分子鎖のからみ合いが少ないため溶融張力が低い。こ
のためフィルム成形性が劣る。
【0032】ポリエチレン樹脂の製造方法は、高圧法、
中圧法及び低圧法に大別できる。高圧法は、酸素や過酸
化物などのラジカル開始剤を用い、150〜300℃、
1000〜3000kg/cm2 の温度・圧力条件下で
エチレンを重合させる方法で、長鎖分岐を持った分岐低
密度ポリエチレン樹脂が得られる。
【0033】中圧法及び低圧法は、チーグラー触媒(T
i系)又はフィリップス触媒(Cr系)などを用い、5
0〜250℃、50〜200kg/cm2の温度・圧力
条件下でエチレンを重合させる方法で、直鎖状の高密度
ポリエチレン樹脂が得られる。中圧法及び低圧法におい
て、ポリエチレン樹脂の平均分子量の調節は、水素を連
鎖移動剤に用いることによって行う。また、チーグラー
触媒やフィリップス触媒を用い、エチレンに少量のα−
オレフィンを共重合すると生成ポリエチレン樹脂(エチ
レン・α−オレフィン共重合体樹脂)中のα−オレフィ
ン含量の増加と共に密度や融点が低下し、短鎖分岐を持
った直鎖状の中密度及び低密度ポリエチレン樹脂が得ら
れる。
【0034】エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂と
しては、L−LDPE(inear ow ens
ity olyethylene)樹脂があり、この
L−LDPE樹脂は第3のポリエチレン樹脂と称され、
中低密度、高密度両ポリエチレン樹脂の利点を併せもつ
省エネルギー、省資源という時代の要請に合致する低コ
スト、高強度の樹脂である。この樹脂は低圧法又は高圧
改良法でエチレンと炭素数が3〜15個、好ましくは4
〜10個、特に好ましくは4〜8個のα−オレフィンを
共重合させたコポリマーで線状の直鎖に短分岐をもった
構造のポリエチレン系樹脂である。
【0035】このようなα−オレフィンの代表例として
は、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、4メチル
ペンテン−1、オクテン−1、ヘプテン−1、デセン−
1、ノネン−1、ドデセン−1、テトラセン−1、ヘキ
サデセン−1、オクタデセン−1、ヘプテン−1、エイ
コセン−1等である。そして、α−オレフィンは1〜5
0モル%が好ましく、1〜30モル%含まれていること
が特に好ましい。α−オレフィンが1モル%未満である
と、ヒートシール適性、特に経時ヒートシール強度維持
性が悪化し完全密封性が確保できなくなるだけでなく、
引裂き強度や衝撃穴あけ強度等の物理強度も小さくな
る。α−オレフィンが50モル%を超えると、シングル
サイト触媒を用いないと重合困難になり、高価になる。
さらにヤング率が非常に小さくなり、ブロッキングが発
生しやすくなり、フィルム成形性も悪く写真感光材料包
装用フィルムとしては実用化困難である。
【0036】密度(JIS K−7112)は一般に低中
密度ポリエチレン樹脂程度とされているが、市販品では
0.87〜0.95g/cm3の範囲内にあるものが多
い。メルトフローレート(JIS K−7210の条件
4で測定。温度190℃,荷重2. 16kgf)は0.
1〜50g/10分の範囲内にあるものが多い。
【0037】L−LDPE樹脂の重合プロセスとしては
中・低圧装置を用いる気相法、溶液法、液相スラリー法
と高圧改良法装置を用いるイオン重合法等がある。
【0038】L−LDPE樹脂の具体例を以下に示す。 エチレン・ブテン−1共重合体樹脂 GレジンとNUC−FLX(UCC社) ダウレックス (ダウケミカル社) スクレアー (デュポンカナダ社) マーレックス (フィリップス社) スタミレックス (DSM社) エクセレンVL (住友化学) ネオゼックス (三井石油化学) 三菱ポリエチ−LL (三菱油化) 日石リニレックス (日本石油化学) NUCポリエチレン−LL(日本ユニカー) 出光ポリエチレンL (出光石油化学) エチレン・ヘキセン−1共重合体樹脂 TUFLIN (UCC社) TUFTHENE (日本ユニカー) エチレン・4メチルペンテン−1共重合体樹脂 ウルトゼックス (三井石油化学) エチレン・オクテン−1共重合体樹脂 スタミレックス (DSM社) ダウレックス (ダウケミカル社) スクレアー (デュポンカナダ社) MORETEC (出光石油化学)
【0039】特に好ましい代表的な例を商品名であげる
と、ポリエチレンにα−オレフィン側鎖として炭素数6
個の4−メチルペンテン−1を導入した三井石油化学
(株)のウルトゼックス及びα−オレフィン側鎖として炭
素数8個のオクテン−1を導入した出光石油化学(株)の
MORETECとDSM社のスタミレックスとダウケミ
カル社のダウレックスがある(以上4社品共液相法プロ
セスで得られたL−LDPE樹脂である。)。低圧法の
気相法プロセスで得られた好ましい代表的な例を商品名
であげると、α−オレフィン側鎖として炭素数6個のヘ
キセン−1を導入したUCC社のTUFLIN及び日本
ユニカー(株)のTUFTHENE等がある。高圧改良法
(イオン重合法)の代表例としてはCDF chimie
社のロトレックス、住友化学(株)のスミカセンーL、T
OSO(株)のニポロンンーL、宇部興産(株)のウベポリ
エチレン等がある。
【0040】また、密度が0.910g/cm3未満の超
低密度直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、例えばUCC社
のNUC−FLXや住友化学(株)のエクセレンVLも好
ましい(以上2社品共α−オレフィンが炭素数4個のブ
テン−1を使用)。
【0041】前記シングルサイト触媒の代表例であるメ
タロセン触媒(以後、単にメタロセン触媒と表示)を用
いて重合製造した。
【0042】以上のようなエチレン・α−オレフィン共
重合体樹脂の密度は、好ましくは0.860〜0.95
0g/cm3、より好ましくは0.870〜0.940
g/cm3、最も好ましくは0.880〜0.930g/
cm3である。密度が0.860g/cm3未満である
と、 重合が困難で高価になるだけでなく、ヤング率が
非常に小さくなり、ブロッキングの発生で写真感光材料
包装用フィルムとしては実用化困難である。密度が0.
950g/cm3を超えると、縦方向に分子配向しやす
くなり引裂き強度の縦横の強度バランスがなくなる。さ
らに樹脂の流動性が悪化しメルトフラクチャーが発生し
やすくなり、写真感光材料包装用フィルムとしては実用
化困難である。
【0043】メタロセン触媒を用いて重合製造したエチ
レン・α−オレフィン共重合体樹脂のメルトフローレー
トは、好ましくは0.1〜80g/10分、より好まし
くは0.5〜60g/10分、特に好ましくは1.0〜
40g/10分、最も好ましくは1.7〜20g/10
分である。メルトフローレートが0.1g/10分未満
であると、樹脂の流動性が悪くメルトフラクチャーが多
発して写真感光材料包装用フィルムとしては実用化困難
である。メルトフローレートが80g/10分を超える
と、バブルが不安定になり、筋やシワが発生しやすくな
りフィルム成形が困難である。フィルムの物理強度も小
さく完全密封性を常に確保する必要がある写真感光材料
包装用フィルムとしては実用化困難である。
【0044】メタロセン触媒を用いて重合製造したエチ
レン・αオレフィン共重合体樹脂のオルゼン剛性(AS
TM D 747)は、1000kg/cm2以上、好ま
しくは1300kg/cm2以上、より好ましくは16
00kg/cm2以上、特に好ましくは1900kg/
cm2以上、最も好ましくは2200kg/cm2以上で
ある。
【0045】1000kg/cm2未満ではフィルム成
形性が悪く、 フィルムにシワや筋等が発生しやすく、
伸びやすく、遮光性や防湿性確保が困難で写真感光材料
の品質の保護の点から実用化困難である。
【0046】メタロセン触媒を用いて重合製造したエチ
レン・αオレフィン共重合体樹脂のショア硬度(AST
M D 2240で測定)は、40D以上が好ましく、よ
り好ましくは44D以上、特に好ましくは48D以上、
最も好ましくは50D以上である。ショア硬度が40D
未満では、樹脂ペレット同士が固まりやすくなったり、
フィルム成形性が悪化したり、フィルム表面にエンボス
加工を施しても滑性が悪く、傷が発生しやすくなり遮光
性や防湿性も悪化し、実用化困難である。
【0047】メタロセン触媒を用いて重合製造したエチ
レン・αオレフィン共重合体樹脂のビカット軟化点(A
STM D 1525で測定)は、70℃以上が好まし
く、より好ましくは80℃以上、特に好ましくは85℃
以上、最も好ましくは90℃以上である。ビカット軟化
点が70℃未満では、輸送中に包装体同士の摩擦熱でブ
ロッキング接着したり、肉薄化されたり、ピンホールや
破れが発生したり包装体が太陽光中に放置された場合、
70℃以上に表面温度がなった場合にも上記と同様の問
題点が発生して実用化困難である。
【0048】メタロセン触媒を用いて重合製造したエチ
レン・αオレフィン共重合体樹脂の融点(ASTM D
2117で測定)は、80℃以上が好ましく、より好ま
しくは90℃以上、特に好ましくは95℃以上、最も好
ましくは100℃以上である。融点が80℃未満では、
前記ビカット軟化点が70℃未満の場合と同様の問題が
発生し実用化困難である。
【0049】メタロセン触媒を用いて重合製造したエチ
レン・αオレフィン共重合体樹脂の分子量分布は、1.
0〜5.0が好ましくは、より好ましくは1.1〜4.
5、特に好ましくは1.2〜4.0、最も好ましくは
1.3〜3.5である。分子量分布が1.0未満である
と、重合製造が困難であり、樹脂が非常に高価になり実
用化困難である。分子量分布が5.0を越えると、高価
なメタロセン触媒を用いたにもかかわらず、従来の安価
な重合触媒を用いて重合製造したエチレン・α−オレフ
ィン共重合体樹脂との品質差がなく、高価になるだけな
ので実用化困難である。
【0050】分子量分布は、分子量の広がりをいう。す
なわち、高分子物質は一般に重合同族列の混合物で、重
合度又は分子量の異なる多数の分子からなり、この分子
量の広がりを分子量分布といい、広がり具合は分子量分
布曲線で示される。平均分子量には、測定法によって重
量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)とがあ
り、その比Mw/Mnは分子量分布が広い範囲にわたる
時大きい値を示すので、この数値は分子量分布の目安と
なる。ポリエチレン系樹脂においては同じ平均分子量の
材料でも、分子量分布の幅の広いものはストレスクラッ
キング性、耐クリープ性などは良いが耐衝撃性はやや劣
り、加工に際して高いせん断力を受けるとこの幅の狭い
もののほうが大きい溶融粘度を示す。このように分子量
分布がプラスチックの加工性、性質に及ぼす影響は無視
できない。
【0051】本発明における分子量分布は、ゲルパーミ
エーションクロマトグラフィー(以後、GPCと表示)
を用いて分子量分布曲線を求め、分子量既知の単分散ポ
リスチレンをスタンダードとしてユニバーサルキャリブ
レーション法による重量平均分子量(以後、MWと表
示)/数平均分子量(以後、Mnと表示)より求めた値
である。値が小さいことは分子量がそろっていることを
示し、値が大きいことは低分子量から高分子量に渡る幅
広分子量のものが混在していることを示すものである。
【0052】メタロセン触媒を用いて重合製造したエチ
レン・αオレフィン共重合体樹脂の結晶化度(X線回折
法で測定)は、20%以上が好ましく、より好ましくは
30%以上、特に好ましくは40%以上、最も好ましく
は50%以上である。結晶化度が20%未満であると、
分子量分布が小さいシングルサイト系エチレン・α−オ
レフィン共重合体樹脂であっても耐熱性、ブロッキング
防止性、滑性が悪化し、本発明の最外層用樹脂としては
実用化困難である。
【0053】最外層に含有されるシングルサイト系エチ
レン・αオレフィン共重合体樹脂以外の樹脂としては、
シングルサイト触媒(代表例はメタロセン触媒)を用い
ずに重合製造した(以下、シングルサイト触媒を用いず
に重合製造したものを「非シングルサイト系」という)
ポリオレフィン樹脂が好ましい。
【0054】最内層は、非シングルサイト系ポリオレフ
ィン樹脂を主成分として構成されており、シングルサイ
ト系ポリオレフィン樹脂は0〜45重量%含有すること
が好ましく、0〜35重量%がより好ましく、0〜25
重量%が特に好ましく、0〜15重量%が最も好まし
い。ポリオレフィン樹脂は、最外層において記載したも
のと同様である。
【0055】最内層に含有されるシングルサイト系(以
後、シングルサイト触媒を用いて重合製造した樹脂を示
す)ポリオレフィン樹脂の含有量が45重量%を越える
と、ブロッキングが発生しにくくなり、特に冬期にはブ
ロッキングによ接着積層させることが困難になる。ま
た、高価になる。さらにまた、フィルム成形性が悪化
し、フィルム成形速度も低下する。
【0056】最内層には、非シングルサイト系ポリオレ
フィン樹脂を100〜55重量%含有することが好まし
く、100〜65重量%がより好ましく、100〜75
重量%が特に好ましく、100〜85重量%が最も好ま
しい。ポリオレフィン樹脂は、最外層において記載した
ものと同様であり、このポリオレフィン樹脂の中でも写
真性、物理強度、ブロッキング接着積層性等が優れてい
るのでエチレン共重合体樹脂が好ましい。
【0057】最内層に含有される非シングルサイト系ポ
リオレフィン樹脂の含有量が55重量%未満であると、
ブロッキングが発生しにくくなり、フィルム成形性が悪
化し、フィルム成形速度も低下して高価になり実用化困
難である。
【0058】最内層に用いる本発明で好ましい樹脂は、
非シングルサイト系ポリオレフィン樹脂の中でもL−L
DPE樹脂が好ましい。このL−LDPE(inea
ow ensity olythylene)
樹脂は、第3のポリエチレン樹脂と称され、中・低密
度、高密度、両ホモポリエチレン樹脂の利点を併せもつ
省エネルギー、省資源という時代の要請に合致する低コ
スト、高強度の樹脂である。この樹脂はマルチサイト触
媒(チーグラー触媒等)を用い低圧法又は高圧改良法等
でエチレンと炭素数が3〜20個、好ましくは4〜15
個、特に好ましくは5〜10個、最も好ましくは6〜8
個のα−オレフィンを共重合させたコポリマーで線状の
直鎖に短分岐をもった構造のポリエチレン系樹脂であ
る。このα−オレフィンは直鎖状又は分岐状の脂肪族系
のもの、脂環式のもの、スチレン等の芳香族系のもの等
各種のものが使用可能である。
【0059】物理強度やコストの点で好ましい脂肪族系
のα−オレフィンとしては、プロペン−1、ブテン−
1、オクテン−1、ヘキセン−1,4−メチルペンテン
−1、ヘプテン−1、デセン−1、ウンデセン−1、ド
デセン−1などが使用される。なお、これらのエチレン
と共重合されるα−オレフィンは単独で使用してもよ
く、2種以上を併用してもよい。密度(ASTM D−1
505)は、最内層のブロッキングによる接着積層を確
実に行えるようにするために、0.86〜0.935g/
cm3、好ましくは0.87〜0.925g/cm3、特に
0.88〜0.920g/cm3の範囲内にあるものが好
ましい。メルトフローレート(ASTM D−1238
のE条件)は0.1〜80g/10分、好ましくは0.2
〜20g/10分、特に0.3〜6g/10分の範囲内
にあるものが好ましい。ブロッキング接着積層適性より
X線による結晶化度は60%以下、好ましくは56%以
下、特に好ましくは51%以下、最も好ましくは46%
以下である。
【0060】L−LDPE樹脂の重合プロセスとしては
中・低圧装置を用いる気相法、溶液法、液相スラリー法
と高圧改良法装置を用いるイオン重合法等がある。
【0061】フィルム成形適性、ブロッキング接着積層
適性等からGPC法測定法による分子量分布(重量平均
分子量/数平均分子量)は2以上、好ましくは2.5以
上、特に好ましくは3以上、最も好ましくは3.5以上
である。
【0062】最外層のシングルサイト系ポリオレフィン
樹脂より分子量分布が0.5以上大きいことが好まし
く、より好ましくは1以上、特に好ましくは1.5以上
大きい非シングルサイト系ポリオレフィン樹脂である。
【0063】予想外であったのは高級脂肪酸金属塩を最
内層に添加すると、フィルム成形適性だけでなくブロッ
キング接着積層適性も向上したことである。特に融点が
160℃以下の高級脂肪酸金属塩であるステアリン酸カ
ルシウムやステアリン酸亜鉛等を0.01〜5重量%、
好ましくは0.03〜3重量%、特に好ましくは0.0
5〜2重量%、最も好ましくは0.07〜1重量%添加
すると確実にブロッキング接着積層させることができ
る。
【0064】市販のマルチサイト触媒を用いて重合製造
したL−LDPE樹脂の具体例を以下に示す。 エチレン・ブテン−1共重合体樹脂 GレジンとNUC−FLX(UCC社) ダウレックス (ダウケミカル社) スクレアー (デュポンカナダ社) マーレックス (フィリップス社) スタミレックス (DSM社) エクセレンVL (住友化学) ネオゼックス (三井石油化学) 三菱ポリエチ−LL (三菱油化) 日石リニレックス (日本石油化学) NUCポリエチレン−LL(日本ユニカー) 出ポリエチレンL (出石油化学) エチレン・ヘキセン−1共重合体樹脂 TUFLIN (UCC社) TUFTHENE (日本ユニカー) エチレン・4メチルペンテン−1共重合体樹脂 ウルトゼックス (三井石油化学) エチレン・オクテン−1共重合体樹脂 スタミレックス (DSM社) ダウレックス (ダウケミカル社) スクレアー (デュポンカナダ社) MORETEC (出石油化学)
【0065】本発明の写真感光材料用包装材料において
は、多層共押出しフィルムの最外層に各種フレキシブル
シートを接着剤層を介して積層することができ、このフ
レキシブルシートを積層することにより、易開封性や印
刷適性を改良したり、耐熱性、耐摩耗性、物理強度を大
きくすることができる。また、表面塗工層を設けること
もできる。
【0066】このフレキシブルシートとしては、各種の
不織布、各種の紙、各種のプラスチックフィルム、各種
の金属箔、各種の金属蒸着したプラスチックフィルム、
各種の無機物質を蒸着したプラスチックフィルム、各種
の機能性フィルム、各種の合成紙等がある。中でも各種
プラスチックフィルム、合成紙が防塵性、防湿性、ガス
バリヤ性、物理強度、印刷適性、耐熱性、耐摩耗性等が
優れているので好ましい。特に本発明のポリオレフィン
樹脂との相溶性があり、リサイクル適性が優れ安価で、
写真性に悪影響が少ないポリオレフィン樹脂フィルムが
好ましい。
【0067】リサイクル適性には欠けるが本発明の写真
感光材料用包装材料として、遮光性向上、防湿性向上、
物理強度向上、破袋強度向上、カール防止、耐摩耗性向
上等、多くの特性が優れたポリエチレン−2,6−ナフ
タレート樹脂フィルムが特に好ましい。ポリエチレン−
2,6−ナフタレート樹脂フィルムは、それ自体が紫外
線をかなり吸収するので、従来ポリエチレンテレフタレ
ート樹脂フィルムで行われていた紫外線吸収剤を含む層
を形成しなくても紫外線を遮断することができ、遮光能
力を向上できるからである。この紫外線遮断能力を向上
できる実証資料を以下に示す。
【0068】ポリエチレン−2,6−ナフタレート樹脂
フィルム(以後、PEN樹脂フィルムと表示:厚さ10
μm)と、従来から透明フレキシブルシートとして使用
されているポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム
(以後PET樹脂フィルムと表示:厚さ10μm)の紫
外線領域における透過率を図7に示す。
【0069】図7から明らかなように、PET樹脂フィ
ルムは310mμ付近より長波長の紫外線から80%程
度透過しているが、PEN樹脂フィルムは380mμ付
近より長波長の紫外線からはじめて80%程度透過して
いる。即ち、PEN樹脂フィルムは380mμ付近以下
の短波長の紫外線は完全に遮断しており、紫外線吸収機
能の大きいことを示している。通常PET樹脂フィルム
上に形成される紫外線吸収剤含有層に使用される紫外線
吸収剤も、上記PEN樹脂フィルムとほぼ近いUVスペ
クトルを示すが、400mμ付近に少し吸収があるた
め、透過した光が黄色味を帯びるとの問題がある。PE
N樹脂フィルムの場合は、400mμ付近に吸収はほと
んどなく、透過した光が黄色味を帯びることがほとんど
ないのでPEN樹脂フィルムの方が、上記透明支持体と
して優れている。また、紫外線吸収剤層が設けられたP
ET樹脂フィルムは、紫外線吸収剤層の形成が必要であ
るが、紫外線吸収剤層は長期保存中に剥離する恐れがあ
り、高価である等の不利がある。
【0070】本発明で使用されるポリエチレン−2,6
−ナフタレート樹脂は、主たる構成モノマーがエチレン
−2,6−ナフタレートからなるポリマーである。この
場合他の成分による構成単位を10モル%以下の範囲で
共重合により含んでいても良い。共重合単位となりうる
二官能性カルボン酸成分としては、例えば、イソフタル
酸、テレフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸
などの芳香族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジ
カルボン酸、アジピン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカ
ルボン酸とそれらのアルキルエステル、そしてトリメリ
ット酸、ピロメリット酸などの多官能性カルボン酸また
はそれらのアルキルエステルなどを挙げることができ
る。一方、エチレングリコール以外の同様に共重合単位
となりうるグリコール成分としては、ジエチレングリコ
ール、ブタンジオール、分子量150〜20000のポ
リアルキレングリコール1,4−シクロヘキサンジメタ
ノール及びビスフェノールAのエチレンオキサイド付加
物などを挙げることができる。
【0071】また、ポリエチレン−2,6−ナフタレー
ト樹脂の製造時に使用するエステル化反応触媒、エステ
ル交換反応触媒、重縮合反応触媒は従来から知られてい
るチタン化合物、マンガン化合物、亜鉛化合物、アンチ
モン化合物、マグネシウム化合物、カルシウム化合物、
ゲルマニウム化合物などを適宜使用することができる。
触媒の添加量は、ポリエステルに対して50〜500p
pmが一般的であり、100〜200ppmが好まし
い。また、目的に応じてそのほかの金属化合物や含窒素
塩基性化合物、酸化防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収
剤、蛍光増白剤、染料などを使用してもよい。また、ポ
リエステルの製造方法は、従来から知られている通常の
方法で行うことができる。すなわち、回分式、反回分
式、連続式のいずれでもよく、またエステル交換反応法
でも直接エステル化反応法でもよい。
【0072】本発明に使用するポリエチレン−2,6−
ナフタレート樹脂フィルムは、二軸方向に配向されたフ
ィルムであることが好ましい。フィルムの製造方法とし
ては公知の方法を用いることができる。例えば、ポリエ
チレン−2,6−ナフタレート樹脂をあらかじめ乾燥さ
せ275℃〜350℃(好ましくは280〜320℃)で
シート状に溶融押し出した後、45〜110℃で冷却固
化して無定型シートを作製する。次いで、80℃〜19
0℃の温度にて縦方向(長尺方向)に、次いで横方向
(幅方向)に、それぞれ2〜5倍に延伸した後、165
〜290℃(好ましくは165〜270℃)で熱処理す
ることによって、二軸延伸ポリエチレン−2,6−ナフ
タレート樹脂フィルムを得ることができる。さらに、得
られたフィルムに、ポリエチレン−2,6−ナフタレー
ト樹脂のガラス転移温度以下の温度でアニール処理を施
してもよい。フィルムの厚さは4〜100μm、好まし
くは5〜80μm、より好ましくは6〜60μm、特に
好ましくは7〜40μm、最も好ましくは7〜30μm
である。
【0073】PET樹脂フィルム(左側の数字)よりP
EN樹脂フィルム(右側の数字)が優れている特性を示
す。
【0074】[厚さ25μmのフィルム] 引張弾性率(タテ方向) 500→650kgf/mm2 タテ方向熱収縮率(150℃×30分) 2.2→0.9% ガラス転移温度 70→115℃ 耐熱性 120→155℃ 透湿度 26→7g/m2・24時間 O2透過度 3.5×10-12→0.9×10-12cm2/cm2・se
c・cmHg オリゴマー量 15→12mg/m2・時
【0075】また、写真感光材料用包装材料を構成する
写真感光材料側の樹脂層中のASTM D 1619−6
0の測定方法による硫黄成分は、0.6%以下、好まし
くは0.4%以下、特に好ましくは0.2%以下、最も
好ましくは0.1%以下にする。硫黄成分量を少なくな
うようにしないと、カブリ増加や感度異状、発色異状等
の写真感光材料の写真性に悪影響を及ぼす。特に、直接
写真感光材料の写真性に大きく悪影響を及ぼす遊離硫黄
成分(各試料を液体窒素で冷却固化後粉砕し、この粉砕
した試料100gをソックスレー抽出器に入れクロロホ
ルムで60℃8時間抽出冷却後、全容を100mlとす
る。この溶液10mlを高速液体クロマトグラフに注入
し、硫黄を定量する。高速液体クロマトグラフ分離条件
はカラム;ODSシリカカラム(4.6φ×150m
m)、分離液;メタノール95と水5(酢酸とトリエチル
アミンをそれぞれ0.1%含む)、流速;1ml/分、
検出波長;254nm、定量は絶対検量線法によって行
う。)は0.1%以下、好ましくは0.05%以下、特に
好ましくは0.005%以下、最も好ましくは0.002
%以下である。高価であるが、硫黄成分の含有量が0.
1%以下のアセチレンブラックがISO感度100以上
の写真感光材料用としては写真性を良好に維持するのに
好適である。
【0076】また、特に、写真性を悪化させるシアン化
合物含有量(4−ピリジンカルボン酸・ピラゾロン吸光
分析法にて定量したシアン化水素量を、写真感光材料用
包装材料を構成する写真感光材料側の樹脂層の重量に対
するppm単位に換算した値)が10ppm以下、好ま
しくは5ppm以下、特に好ましくは2.5ppm以
下、最も好ましくは1ppm以下である。
【0077】この写真感光材料の写真性に悪影響を及ぼ
す遊離ホルムアルデヒド(遮光性物質中や樹脂の熱分解
等により含まれる)が写真感光材料用包装材料中に問題
量含まれていても尿素化合物やチオ尿素、ヒドラジン化
合物、ジシアンジアミド、ヒドロキシアミン、塩酸ヒド
ロキシルアミン、ヒダントイン化合物、硫酸ヒドロキシ
ルアミン、ホルムアミドが0.001〜5重量%、好ま
しくは0.005〜4重量%、より好ましくは0.01
〜3重量%、特に好ましくは0.02〜2重量%、最も
好ましくは0.03〜1重量%含有されていると実用化
可能なレベルに改善できる。特にヒダントイン化合物と
ヒドラジン化合物及びヒドロキシルアミン化合物が改善
効果が優れている。
【0078】ヒドラジン化合物及びヒドロキシルアミン
化合物の1種以上を0.01〜1重量%含有させると遊
離ホルムアルデヒドによる写真性の問題は略解消でき
る。
【0079】多層共押出しインフレーションフィルムの
最外層に、ハイドロタルサイト類化合物及びゼオライト
の1種以上を含有させることができる。ハイドロタルサ
イト類化合物及びゼオライト類の1種以上を含有させる
ことにより、触媒残渣を中和したり、塩素や塩酸等のハ
ロゲン化合物を吸収して写真性に悪影響を及ぼす物質を
無害化したり、金型の発錆を防止したり、樹脂焼け故障
等を防止したりできる。
【0080】ハイドロタルサイト類化合物及びゼオライ
トの1種以上の含有量は、0.1〜30重量%が好まし
く、0.2〜20重量%がより好ましく、0.3〜10
重量%が特に好ましく、0.4〜5重量%が最も好まし
い。含有量が0.1重量%未満であると、添加効果が発
揮されず混錬経費増となるだけであり、また、含有量が
30重量%を越えると、増量添加効果がなく、ブツの発
生やコストアップとなるだけである。
【0081】ハイドロタルサイト類化合物は、一般式が Mxy(OH)2x+3y-2z(A)z・aH2O {MはMg、Ca又はZn、RはAl又はCr又はF
e、AはCO3又はHPO4、x、y、z、aは正数}で
示される複塩である。
【0082】具体例の代表例を示すと、Mg612(O
H)16CO3・4H2O、Mg8Al2(OH)20CO3
5H2O、Mg5Al2(OH)14CO3・4H2O、Mg10
Al2(OH)22(CO32・4H2O、Mg6Al2(O
H)16HPO4・4H2O、Ca6Al2(OH)16CO3
4H2O、Zn6Al2(OH)16CO3・4H2O、Mg
4.5Al2(OH)13CO3・3.5H2O等がある。
【0083】または一般式が M(1-x)・Alx・(OH)2・Xx/n・mH2O {ただし式中、Mはアルカリ土類金属およびZnを示
す。Xはn価のアニオンを示す。そして、xおよびm,
nは下記式の条件を満足する。 0<x<0.5 0≦m≦ 2 } n=1〜4の整数で表わされる屈折率(Larsenの
油浸法で測定)が1.40〜1.60、好ましくは1.
45〜1.55の範囲であるハイドロタルサイト類化合
物である。
【0084】上記式においてXで表わされるn価のアニ
オンの例としては、Cl-、Br-、I-、NO3 -、Cl
4 -、SO4 2-、CO3 2-、SiO3 2-、HPO4 2-、HB
3 2-、PO4 3-、Fe(CN)6 3-、Fe(CN)4 4-
CH3COC-、C64(OH)COO-、である。
【0085】好ましい具体例を以下に示す。 Mg0.7Al0.3(OH)2(CO30.15・0.54H2
O Mg0.67Al0.33(OH)2(CO30.165・0.5H2
O Mg0.67Al0.33(OH)2(CO30.165・0.2H2
O Mg0.6Al0.4(OH)2(CO30.2・0.42H2O Mg0.75Al0.25(OH)2(CO30.125・0.63
2O Mg0.83Al0.17(OH)2(CO30.085・0.4H2
O 等
【0086】これらのハイドロタルサイト類化合物は、
天然物であっても、合成品であってもよい。これらのハ
イドロタルサイト類化合物は、マグネシウム、アルミニ
ウム等を主成分としており、写真感光材料の写真性に悪
影響を及ぼしたり、成形機に用いられている金属の発錆
の原因と考えられる塩素イオン等のハロゲン化イオンを
吸着中和して無害化する能力に優れている。さらに熱可
塑性樹脂中のモノマーや各種添加剤中の揮発性物質等写
真性に悪影響を及ぼす物質を吸着固定するものと推定さ
れる。
【0087】さらに熱可塑性樹脂や添加剤の熱劣化や熱
分解を防止するのに添加する燐系酸化防止剤が熱分解し
た時に発生する写真感光材料の写真性に悪影響を及ぼす
亜燐酸を中和して写真性を良化(カブリを減少)する予
想外の効果を発揮する。ハイドロタルサイト類化合物の
具体的な合成方法としては、特公昭46−2280号公
報及び特公昭50−30039号公報等に開示されてい
る公知の方法も使用できる。
【0088】ハイドロタルサイト類化合物の天然品とし
ては、ハイドロタルク石、スチヒタイト、パイロオーラ
イト等がある。これらのハイドロタルサイト類化合物は
単独で使用しても、2種以上混合して使用してもよい。
特に、各種酸化防止剤や各種脂肪酸金属塩と併用するこ
とが好ましい。加工性、分散性、物性等を特に向上させ
るためには平均2次粒子径が20μm以下、好ましくは
10μm以下、特に好ましくは5μm以下、BET比表
面積が50m2/g以下、好ましくは40m2/g以下、
特に30m2/g以下が好ましい。
【0089】本発明においてハイドロタルサイト類化合
物は表面被覆物質で処理して利用するのが好ましい。表
面被覆する事により、樹脂に対する分散性ないし親和性
が一層向上し、フィルム加工適性、物理強度等も向上す
る。
【0090】このような表面被覆物質の例としては、前
述の遮光性物質の表面被覆物質(1)〜(20)等を用いるこ
とが出来るが、特に好ましいのは、例えば、ラウリル酸
ソーダ、ラウリル酸カリウム、オレイン酸ソーダ、オレ
イン酸カリウム、オレイン酸カルシウム、ステアリン酸
マグネシウム、ステアリン酸ソーダ、ステアリン酸亜
鉛、ステアリン酸カリウム、パルミチン酸ソーダ、パル
ミチン酸カリウム、カプリン酸ソーダ、カプリン酸カリ
ウム、ミリスチン酸ソーダ、ミリスチン酸カリウム、リ
ノール酸ソーダ、リノール酸カリウムなどのような高級
脂肪酸の金属塩類;ラウリル酸、パルミチン酸、オレイ
ン酸、ステアリン酸、カプリン酸、ミリスチン酸、リノ
ール酸などの如き高級脂肪酸類;ドデシルベンゼンスル
ホン酸カルシウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリ
ウム等の有機スルホン酸金属塩類;イソプロピルトリイ
ソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオ
クチルパイロホスフェート)チタネート、テトライソプ
ロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、ビ
ニルトリエトキシシラン、ガンマメタクリルオキシプロ
ピルトリメトキシシラン、ガンマグリシドオキシプロピ
ルトリメトキシシランなどのようなカップリング剤類、
高級脂肪酸アミド類、高級脂肪酸エステル類、シリコー
ン類、ワックス類の各種滑剤などを例示することができ
る。
【0091】これら表面被覆物質による表面被覆は、た
とえば、温水にハイドロタルサイト類化合物を懸濁した
状態のところに、攪拌下に、高級脂肪酸のアルカリ金属
塩の水溶液を加える事により、或いは、ハイドロタルサ
イト類化合物粉末をヘンシェルミキサー等の混合機によ
り攪拌下、高級脂肪酸の融液とか、カップリング剤の希
釈液を滴下することにより行うことができる。これら表
面被覆物質の量は適宜に選択変更できるが、ハイドロタ
ルサイト類化合物100重量部に対して、約0.01〜
50重量部、好ましくは0.05〜35重量部、特に好
ましくは0.1〜20重量部、最も好ましくは0.5〜
10重量部である。
【0092】さらに上記のハイドロタルサイト類化合物
中に本発明の主旨を損なわない限りは少量の他の金属酸
化物等の不純物を含んでもよい。
【0093】さらにハイドロタルサイト類化合物の分散
をより良好にするために例えば高級脂肪酸や脂肪酸アミ
ド系滑剤やシリコーンオイルやソルビタンモノステアレ
ートのようなソルビタン脂肪酸エステルやグリセリンモ
ノステアレートのようなグリセリン脂肪酸エステルなど
を1種以上を分散剤として樹脂組成物に合計量0.01
〜10重量%、好ましくは0.05〜8重量%、特に好
ましくは0.08〜5重量%、最も好ましくは0.1〜
3重量%添加してもよい。ハイドロタルサイト類化合物
と併用することにより、写真性の悪化防止、加工安定
性、成形機の防蝕効果が向上し、樹脂劣化を防止し、物
理強度低下を防止し、樹脂焼けによるブツの発生や着色
故障の発生を防止する作用等を相乗的に向上する。フェ
ノール系酸化防止剤や燐(ホスファイト)系酸化防止剤
及び脂肪酸金属塩から成る群より選択された1種以上の
安定剤と併用することが写真感光材料の写真性能悪化が
ほとんどなく、酸化防止効果が大きくなるので特に好ま
しい。
【0094】この場合、写真感光材料の写真性能に悪影
響を及ぼさないようにするためには、 (1) フェノール系酸化防止剤を0.001〜1.5重量
%、好ましくは0.005〜0.7重量%、特に好まし
くは0.01〜0.45重量%添加する。 (2) 燐系酸化防止剤を0.001〜1.5重量%、好ま
しくは0.005〜0.7重量%、特に好ましくは0.0
1〜0.45重量%添加する。 (3) ハイドロタルサイト類化合物及び/又は脂肪酸金
属塩(金属石けん)を0.01〜5重量%、好ましくは
0.03〜4重量%、特に好ましくは0.05〜3重量
%、最も好ましくは0.06〜2重量%添加する。
【0095】且つ(1)+(2)+(3)の合計含有量
が0.0015〜6重量%、好ましくは0.002〜5
重量%、特に好ましくは0.003〜4重量%、最も好
ましくは0.005〜3重量%写真感光材料用包装材料
の最内層(写真感光材料側)中に含まれるようにする。
いずれにしても樹脂劣化を防止できる最少量添加するこ
とが写真性能を悪化させず、コストアップを抑制する点
からも好ましい。
【0096】燐系酸化防止剤は、写真感光材料の写真性
を良化するためにハイドロタルサイト類化合物と併用す
ることが好ましい。
【0097】ハイドロタルサイト類化合物と同様の写真
感光材料の写真性を良化する優れた効果を発揮するだけ
でなく、さらに滑剤及び遮光性物質の分散剤としての効
果も発揮する脂肪酸金属塩(金属石けんとも言う。)に
ついて説明する。
【0098】脂肪酸金属塩の代表例としては、ラウリン
酸、ステアリン酸、コハク酸、ステアリル乳酸、乳酸、
フタル酸、安息香酸、ヒドロキシステアリン酸、リシノ
ール酸、ナフテン酸、オレイン酸、パルミチン酸、エル
カ酸等の高級脂肪酸とLi、Na、Mg、Ca、Sr、
Ba、Zn、Cd、Al、Sn、Pb、Cd、等の金属
との化合物が挙げられ、好ましいものはステアリン酸マ
グネシウム、ステアリル酸カルシウム、ステアリン酸ナ
トリウム、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸亜鉛、オレイ
ン酸マグネシウム等である。
【0099】市販されている代表的な脂肪酸金属塩の名
称と分子式と状態と融点を以下に示す。
【0100】
【表1】
【0101】ゼオライトは、天然ゼオライト(anal
cime, chabazite,heulandit
e,erionite,ferrierite,lau
montite,mordenite等を成分とするゼ
オライト)、合成ゼオライト(A,N−A,X,Y,h
yadroxy sodalite,ZK−5,B,
R,D,T,L,hydroxy,cancrinit
e,W,Zeolaon等の各種の型のゼオライト)が
ある。このゼオライトは略前述のハイドロタルサイト類
化合物と同様の優れた働きをするだけでなく、後述の金
属の担体として金属系無機抗菌剤として優れた働きをす
る。
【0102】また、ハイドロタルサイト類化合物と同様
の表面被覆物質で略同量表面被覆することにより、樹脂
に対する分散性ないし新和性が一層向上し、フィルム加
工適性、物理強度等も向上する。
【0103】本発明の写真感光材料用包装材料において
は、写真感光材料用包装材料を構成する層の内、少なく
とも2層に遮光性物質が含有されている。すなわち、多
層共押出しインフレーションフィルムの最内層に含有さ
れている場合、最外層に含有されている場合、多層共押
出しフィルムが中間層を有するときは中間層に含有され
ている場合、最内層と最外層との両方に含有されている
場合、最内層と中間層との両方に含有されている場合、
最外層と中間層との両方に含有されている場合、最内
層、最外層及び中間層の総てに含有されている場合があ
る。
【0104】遮光性物質について説明する。 (1) 無機化合物 A.酸化物…シリカ、ケイ藻土、アルミナ、酸化チタ
ン、酸化鉄(鉄黒)、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸
化アンチモン、バリウムフェライト、ストロンチウムフ
ェライト、酸化ベリリウム、軽石、軽石バルーン、アル
ミナ繊維等 B.水酸化物…水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウ
ム、塩基性炭酸マグネシウム等 C.炭酸塩…炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロ
マイト、ドーソナイト等 D.(亜)硫酸塩…硫酸カル
シウム、硫酸バリウム、硫酸アンモニウム、亜硫酸カル
シウム等 E.ケイ酸塩…タルク、クレー、マイカ、アスベスト、
ガラス繊維、ガラスバルーン、ガラスビーズ、ケイ酸カ
ルシウム、モンモリロナイト、ベントナイト等 F.炭素…カーボンブラック、グラファイト、炭素繊
維、炭素中空球等 G.その他…鉄粉、銅粉、鉛粉、アルミニウム粉、硫化
モリブデン、ポロン繊維、炭化ケイ素繊維、黄銅繊維、
チタン酸カリウム、チタン酸ジルコン酸鉛、ホウ酸亜
鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナ
トリウム、アルミニウムペースト、タルク等
【0105】(2) 有機化合物 木粉(松、樫、ノコギリクズなど)、殻繊維(アーモン
ド、ピーナッツ、モミ殻など)、木綿、ジュート、紙細
片、非木材繊維(ワラ、ケナフ、竹、エスパルト、パガ
ス、モロヘイヤ、煙火など)セロハン片、ナイロン繊
維、ポリプロピレン繊維、デンプン(変性デンプン、表
面処理デンプンも含む)、芳香族ポリアミド繊維等。
【0106】これらの遮光性物質の中で、写真性に悪影
響を及ぼすことが少なく、150℃以上でも熱に安定で
不透明化する無機化合物が好ましく、特に、耐熱性、耐
光性が優れ比較的不活性な物質である、黒色の光吸収性
のカーボンブラックと窒化チタンとグラファイト及び鉄
黒が好ましい。
【0107】カーボンブラックの原料による分類例をあ
げるとガスブラック、ファーネスブラック、チャンネル
ブラック、アントラセンブラック、アセチレンブラッ
ク、ケッチェンカーボンブラック、サーマルブラック、
ランプブラック、油煙、松煙、アニマルブラック、ベジ
タブルブラック等がある。
【0108】好ましいカーボンブラックの市販品の代表
例としては、例えば三菱化成製のカーボンブラック#2
0(B),#30(B),#33(B),#40(B),#
41(B),#44(B),#45(B),#50,#5
5,#100,#600,#950,#1000,#2
200(B),#2400(B),MA8,MA11,M
A100等が挙げられる。特に安価で不純物の含有量が
少なく、写真性が良好な#41(B)が本発明の遮光性物
質としては好ましい。
【0109】海外の製品としては、例えばキャボット社
のBlack Pearls 2,46,70,71,
74,80,81,607等、Regal 300,3
30,400,660,991,SRF−S等、Vul
can 3,6等、 Sterling 10, SO,
V,S,FT−FF,MT−FF等が挙げられる。
【0110】さらにアシュランドケミカル社のUnit
ed R,BB,15,102,3001,3004,30
06,3007,3008,3009,3011,301
2,XC−3016,XC−3017,3020等が挙
げられるが、これらに限定されるものではない。
【0111】本発明では遮光性、コスト、物性向上の目
的ではファーネスカーボンブラックが好ましく、高価で
あるが帯電防止効果を有する遮光性物質としてはアセチ
レンカーボンブラック、変性副生カーボンブラックであ
るケッチェンカーボンブラックが好ましい。
【0112】写真感光材料の写真性に悪影響を与えない
ようにするためには、さらにカーボンブラック中の硫黄
含有量(ASTM D−1619測定法による)は0.6
重量%以下、特に好ましくは0.3重量%以下、最も好
ましくは0.1重量%以下の任意の含有量とするのがよ
い。
【0113】このためには原料の選択が重要であり、例
えば、上記硫黄分について説明すると下記のようにな
る。 原 料 油 名 原料油中の硫黄分 クレオソート油(石炭系原料) 0.3〜0.6% エチレンボトム油(ナフサ原料(石油系原料)) 0.05〜0.1% エチレンボトム油(軽油原料(石油系原料)) 0.2〜1.5% 流動接触分解残渣油(石油系原料) 0.2〜4.0%
【0114】従って、原料油としてはクレオソート油と
石油を原料とするエチレンボトム油が好ましく、ナフサ
を原料とするエチレンボトム油を原料とすれば、カーボ
ンブラック中の硫黄含有量を0.1重量%以下にするこ
とができるので最も好ましい。
【0115】特に、写真感光材料の写真性に直接悪影響
を与えることが判明した遊離硫黄(free sulp
hur)含有量(定量は、JIS K 6350に準ず
る)が100ppm以下、好ましくは50ppm以下、
特に好ましくは20ppm以下、最も好ましくは10p
pm以下のカーボンブラックを使用する。この遊離硫黄
含有量が少ない点からも、本発明ではナフサを原料とす
るエチレンボトム油を用いて製造したカーボンブラック
が最も好ましい。
【0116】また、4−ピリジンカルボン酸・ピラゾロ
ン吸光分析法によるシアン化合物含有量は0.01重量
%以下、特に好ましくは0.005重量%以下、最も好
ましくは0.001重量%以下の任意の含有量とするの
がよい。さらに、ヨード法によるアルデヒド化合物含有
量は0.1重量%以下、特に好ましくは0.05重量%
以下、最も好ましくは0.01重量%以下の含有量のカ
ーボンブラックとするのがよい。これらの物質は少量で
も写真感光材料の写真性に悪影響を及ぼすので注意が必
要である。
【0117】特に高感度(ISO感度400以上)写真
感光材料用としては、分散性が良好で帯電防止効果も大
きい硫黄含有量が0.1%以下のアセチレンブラックが
好ましい。必要によりアセチレンブラック、ファーネス
カーボンブラック及びケッチェンカーボンブラックの2
種以上を必要特性に従ってミックスすることも好まし
い。遮光性物質を配合する形態を大別すると下記のよう
になる。 (1) 均一着色ペレット状(カラーコンバウンドと言わ
れる最も一般的に用いられているもの) (2) 分散性粉末状(ドライカラーとも呼ばれる、種々
の表面処理剤で処理し、さらに分散助剤を加えて微粒子
状に粉砕した粉末状のもの) (3) ペースト状(可塑剤等を分散させたもの) (4) 液状(リキッドカラーとも呼ばれる界面活性剤等
に分散した液状のもの) (5) マスターバッチペレット状(遮光性物質を着色し
ようとするプラスチック中に高濃度に分散したもの) (6) 潤性粒粉末状(遮光性物質をプラスチック中に高
濃度に分散させたのち、粒粉末状に加工したもの) (7) 乾燥粉末状(普通の無処理の乾燥粉末状のもの)
【0118】遮光性物質を熱可塑性樹脂に配合する形態
は上記のように種々あるが、マスターバッチ法がコス
ト、作業場の汚染防止等の点で好ましい。本発明者も特
開昭63−186740号公報で遮光性物質を特定エチ
レン・エチルアクリレート共重合体樹脂に分散した着色
マスターバッチ用樹脂組成物を開示している。
【0119】本発明の写真感光材料用包装材料として使
用する上で写真感光材料にカブリを発生させることな
く、感光度の増減の発生が少なく、遮光能力が大きく、
最内層に添加した場合でもカーボンブラックの固り(ブ
ツ)の発生やフィッシュアイ等フィルムにピンホールが
発生しにくい点で、カーボンブラックの中でも特にpH
(JIS K 6221で測定)が6.0〜9.0、平均粒
子径(電子顕微鏡法で測定)が10〜120mμ、特に
10〜80mμのものが好ましく、最も好ましいのは1
0〜60mμである。これらの中でも特に揮発成分(J
IS K 6221で測定)が2.0%以下、DBP吸油
量(JIS K 6221の吸油量A法で測定)が50m
l/100g以上のファーネスカーボンブラックが、安
価で、写真性に悪影響を及ぼすことがなく、且つ遮光性
向上と分散性向上、物理特性低下の少ない点で好まし
い。特に、原料油としてエチレンボトム油又はクレオソ
ート油を原料としたものが好ましく、本発明に最も好ま
しいものはナフサを原料とするエチレンボトム油を用い
たファーネスカーボンブラックである。
【0120】また、包装材料中のASTM D 1619
−60の測定方法による硫黄成分は、0.9%以下、好
ましくは0.7%以下、特に好ましくは0.5%以下に
しないと、カブリ増加や感度異状、発生異状等の写真感
光材料の写真性に悪影響を及ぼす。特に、直接写真感光
材料の写真性に大きく悪影響を及ぼす遊離硫黄成分(各
試料を液体窒素で冷却固化後粉砕し、この粉砕した試料
100gをソックスレー抽出器に入れクロロホルムで6
0℃8時間抽出冷却後、全容を100mlとする。この
溶液10mlを高速液体クロマトグラフに注入し、硫黄
を定量する。高速液体クロマトグラフ分離条件はカラ
ム;ODSシリカカラム(4.6φ×150mm)、分離
液;メタノール95と水5(酢酸とトリエチルアミンを
それぞれ0.1%含む)、流速;1ml/分、検出波
長;254nm、定量は絶対検量線法によって行う。)
は0.1%以下、好ましくは0.05%以下、特に好ま
しくは0.01%以下、最も好ましくは0.005%以
下である。高価であるが、硫黄成分の含有量が0.1%
以下のアセチレンブラックがISO感度100以上の写
真感光材料用としては写真性を良好に維持するのに好適
である。
【0121】遮光性物質中の写真性を悪化させるシアン
化合物含有量(4−ピリジンカルボン酸・ピラゾロン吸
光分析法にて定量したシアン化水素量を遮光性物質の重
量に対するppm単位に換算した値)が20ppm以
下、好ましくは10ppm以下、特に好ましくは5pp
m以下、最も好ましくは1ppm以下であり、ヨウ素吸
着量(JIS K 6221で測定)が20mg/g以上、
好ましくは30mg/g以上、特に好ましくは50mg
/g以上、最も好ましくは80mg/g以上で、かつジ
ブチルフタレート(DBP)、吸油量(JIS K 622
1で測定)が50ml/100g以上、好ましくは60
mg/100g以上、特に好ましくは70ml/100
g以上、最も好ましくは100ml/100g以上のカ
ーボンブラックである。
【0122】カーボンブラックの次に好ましい遮光性物
質は、Larsenの油浸法で測定した屈折率が1.5
0以上の無機顔料と各種の金属粉末、金属フレーク、金
属ペースト、金属繊維及び炭素繊維である。好ましい屈
折率が1.50以上の無機顔料と金属粉末の代表例を以
下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではな
い。( )内の数字は屈折率を示す。屈折率が1.50以
上の無機顔料としては、ルチル型酸化チタン(2.7
5)、炭化ケイ素(2.67)、アナターゼ型酸化チタン
(2.52)、酸化亜鉛(2.37)、酸化アンチモン(2.3
5)、鉛白(2.09)、亜鉛華(2.02)、リトポン
(1.84)、ジルコン(1.80)、コランダム(1.
77)、スピネール(1.73)、アパタイト(1.64)、
バライト粉(1.64)、硫酸バリウム(1.64)、マグネ
サイト(1.62)、ドロマイト(1.59)、炭酸カル
シウム(1.58)、タルク(1.58)、硫酸カルシウ
ム(1.56)、無水ケイ酸(1.55)、石英粉(1.5
4)、水酸化マグネシウム(1.54)、塩酸性炭酸マグ
ネシウム(1.52)、アルミナ(1.50)等があ
る。特に好ましいものは、屈折率が1.56以上、最も
好ましいものは1.60以上の遮光性物質である。
【0123】屈折率が1.50未満のケイ酸カルシウム
(1.46)、ケイ藻土(1.45)、含水ケイ酸(1.4
4)等は遮光能力が小さいので多量の添加が必要で遮光
性物質としての使用は好ましくない。また、最近の海外
旅行ブームにより空港での手荷物検査でX線を用いた検
査機にISO感度が400以上の高感度写真フィルムを
通過させるとX線によりカブリが発生しやすくなる。こ
れを防止するために比重が3.1以上、好ましくは3.
4以上の遮光性物質を用いることが好ましい。比重が
3.1以上、好ましくは3.4以上、特に好ましくは
4.0以上の遮光性以外にX線遮断性を有する遮光性物
質の形態は以下に代表例を例示したものに限定されず、
いかなる形態、例えば顔料、粉末、フレーク、ウィスカ
ー、ファイバー等であってもよい。
【0124】比重が3.1以上の遮光性物質としては、
炭化ケイ素、硫酸バリウム、二硫化モリブデン、酸化鉛
(鉛白)、酸化鉄、酸化チタン、酸化マグネシウム、チ
タン酸バリウム、銅粉末、鉄粉末、黄銅粉末、ニッケル
粉末、銀粉末、鉛粉末、鋼粉末、亜鉛粉末、タングステ
ンウィスカー、窒化けい素ウィスカー、銅ウィスカー、
鉄ウィスカー、ニッケルウィスカー、クロムウィスカ
ー、ステンレス粉およびウィスカー、マグネサイト、ア
パタイト、スピネール、コランダム、ジルコン、三酸化
アンチモン、炭酸バリウム、亜鉛華、酸化クロミニウ
ム、錫粉およびこれらの混合物等がある。
【0125】特にX線遮断性を付与するのに好ましい遮
光性物質は、ジルコン、コランダム、硫酸バリウム、塩
化バリウム、チタン酸バリウム、鉛粉末、酸化鉛、亜鉛
粉末、亜鉛華、錫粉末、ステンレス粉末、ステンレスウ
ィスカー、酸化鉄、タングステンウィスカー、ニッケル
ウィスカーである。ISO感度が400以上の超高感度
写真感光材料用包装材料として特に好ましい遮光性物質
は屈折率が1.50以上、比重が3.1以上であり、最
も好ましいのは屈折率が1.56以上、比重が3.4以
上の遮光性物質である。これらの遮光性物質の含有量は
層厚や樹脂の種類や用途によって変化するが、物理強
度、経済性、製造適性等から0.1〜80重量%、好ま
しくは0.3〜60重量%、より好ましくは0.5〜4
0重量%、最も好ましく1.0〜20重量%である。
【0126】遮光性物質の屈折率及び比重を表2に示
す。
【0127】
【表2】
【0128】X線遮断性遮光性物質の含有量は、好まし
くは5〜80重量%、より好ましくは10〜70重量
%、最も好ましくは20〜60重量%である。5重量%
未満ではX線遮断効果がほとんどなく、80重量%を越
えると製造が困難であり、且つ物理強度やヒートシール
性に欠け実用化困難である。
【0129】以上前述の各種の遮光性物質は、写真感光
材料に悪影響を与えず、フィルム成形性を悪化させない
ために、100℃,5時間での乾燥減量が好ましくは
2.0重量%以下、より好ましくは1.0重量%以下、
最も好ましくは0.5重量%以下の状態にして使用す
る。
【0130】ブリードアウトしやすい滑剤や酸化防止剤
や有機造核剤を吸着させたり、脱臭剤、芳香剤、脱酸素
剤等を吸着させる効果を有する写真感光材料の写真性を
良化させるので本発明で含有させることが好ましい吸油
性無機顔料の代表例としては亜鉛華(52)、アスベス
チン(50)、クレー(51)、酸化チタン(56)、カ
オリン(60)、タルク(60)、カーボンブラック
(60以上)、活性炭等がある。( )内の数字は吸油量
(JIS K 6221の吸油量A法で測定。単位ml/
100g)を示す。
【0131】金属粉末(金属ペーストも含む)の代表例と
しては、アルミニウム粉末、アルミニウムペースト、銅
粉末、ステンレス粉末、鉄粉末、ニッケル粉末、黄銅粉
末、銀粉末、錫粉末、亜鉛粉末、スチール粉末等があ
る。
【0132】アルミニウム粉末は、本発明ではアルミニ
ウム粉末及びアルミニウムペーストを含めた意味であ
り、アルミニウム粉末の表面を表面被覆物質で被覆した
ものと、アルミニウムペーストより低揮発物質を除去し
たものを熱可塑性樹脂に混練したものが好ましい。均一
分散性、成形性、写真性、外観の優れた、臭いの少ない
アルミニウム粉末とするには平均粒径が0.3〜50μ
m、好ましくは0.5〜45μm、特に好ましくは0.
8〜40μm、平均厚さが0.03〜0.5μm、好まし
くは0.05〜0.4μm、特に好ましくは0.08〜
0.35μm、脂肪酸含有量が5重量%以下、好ましく
は4重量%以下、特に好ましくは3重量%以下のアルミ
ニウム粉末である。
【0133】ここにアルミニウムペーストとは、ボール
ミル法、スタンプミル法、又はアトマイズ法等の公知の
方法でアルミニウム粉末を作るときに、ミネラルスピリ
ットと少量のステアリン酸又はオレイン酸等の高級脂肪
酸の存在のもとにペースト状に作ったものである。本発
明ではこのアルミニウムペーストと各種芳香族モノビニ
ル樹脂(ポリスチレン樹脂、ゴム含有ポリスチレン樹脂
等)、ポリオレフィン熱可塑性樹脂(各種ポリプロピレ
ン樹脂、各種ポリエチレン樹脂、酸変性樹脂、EVE樹
脂、EEA樹脂、EAA樹脂等)、低分子量のポリオレ
フィン樹脂、パラフィンワックス、粘着付与剤、金属石
けん等の分散剤等を加熱混練し、低揮発物質(主として
悪臭が強いミネラルスピリット、ホワイトスピリット)
を真空ポンプ等で除去した揮発物質の含有量(100
℃,5時間での乾燥減量)が3%以下、好ましくは1%
以下、特に好ましくは0.5%以下のものをアルミニウ
ムペーストコンパウンド樹脂、アルミニウムペーストマ
スターバッチ樹脂として使用することが好ましい。
【0134】特にアルミニウムペーストマスターバッチ
樹脂として使用するのが写真感光材料への悪影響や悪臭
をなくすために好ましい。例えばアルミニウムペースト
含有率40重量%のマスターバッチ樹脂中のミネラルス
ピリット含有率が1.0重量%であっても、これを写真
感光材料用包装材料中でのアルミニウムペースト濃度を
2重量%にしようとすると、アルミニウムペーストマス
ターバッチ1重量部に対してナチュラル樹脂19重量部
を混練することになり、包装材料中には成形中にミネラ
ルスピリットが加熱によりガスとして除去される分もあ
るのでミネラルスピリット含有量は0.05重量%以下
になる。その結果、写真感光材料への悪影響もなくなる
上、悪臭も低減される。
【0135】またアルミニウム粉末とは、溶融アルミニ
ウムをアトマイズ法、粒化法、回転円盤滴下法、蒸発法
等により粉末状にしたものの外、アルミニウム箔をボー
ルミル法やスタンプミル法等で粉砕してフレーク状にし
たものを含む。アルミニウム粉末単体では不安定なので
アルミニウム粉末表面を不活性にする各種の公知の表面
被覆処理が施される。特に特定の厚さ(5〜20μm、
好ましくは6〜15μm、特に好ましくは7〜10μ
m)に圧延したアルミニウム箔をシュレッダー等で切断
し、焼き鈍しするとともに脂肪酸を除去し、しかる後こ
の切断したアルミニウム箔中に対して5重量%以下の炭
素数が8以上の脂肪酸(化合物を含む)を添加してボー
ルミル、スタンプミル、振動ミルおよびアトライターか
ら選んだ粉砕機の1つ以上を用いて平均粒径0.3〜5
0μm、平均厚さ0.03〜0.5μmで、脂肪酸含有
量が5重量%以下としたアルミニウム粉末が本発明では
分散性、写真性、光沢が優れ臭いが少ないので特に好ま
しい。
【0136】本発明の写真感光材料用包装材料として実
用化するには、品質確保、物理強度確保、写真性能確
保、成形性、経済性から、遮光性物質の合計含有量は
0.1〜80重量%であるが、遮光性物質の遮光能力や
平均粒子径等により含有量は変化する。遮光能力の優れ
たカーボンブラック、酸化チタン及びアルミニウム粉末
の場合、遮光層中の合計含有量は、遮光性、経済性、フ
ィルム成形性等の点から0.1〜60重量%、0.3〜
40重量%が好ましく、0.5〜20重量%がより好ま
しく、1〜10重量%が最も好ましい。含有量が0.1
重量%未満であると、写真感光材料用包装材料の厚さを
大きくしないと遮光能力が不足し光カブリを発生する。
このため写真感光材料用包装材料の成形速度が遅くなり
(冷却時間が長くなるため)、樹脂使用量が多くなるた
め高価になり実用化困難である。含有量が60重量%を
超えると、高価になり、分散性が悪化し、ミクログリッ
ド(凝集不純物)の発生が多くなり、写真感光材料に圧
力カブリや擦り傷を発生させたり、写真感光材料用包装
材料中の水分量がカーボンブラックに吸着した水分増加
により多くなり、写真感光材料の写真性能に悪影響(カ
ブリの発生、感度異常、発色異状等)を及ぼす。さら
に、写真感光材料用包装材料の成形性悪化(発泡、銀
条、ピンホール、破れ等の発生)や物理強度の低下とな
り実用化困難である。
【0137】遮光性物質(カーボンブラック、アルミニ
ウム粉末、屈折率が1.50以上の無機顔料、比重が
3.4以上の無機顔料、吸油量が50ml/100g以
上の無機顔料が特に好ましい)の樹脂中への分散性向
上、樹脂流動性向上、写真感光材料に摩擦カブリや圧力
カブリ、擦り傷等を発生させるミクログリットの発生防
止、写真性に有害な揮発性物質の発生を防止、吸湿度低
下、ダイリップ汚れ防止等のためにその表面を表面被覆
物質で被覆することが好ましい。
【0138】表面被覆物質の代表例を以下に示す。 (1) カップリング剤 アジドシラン類を含むカップリング剤被覆(特開昭62
−32125号公報等に開示) シラン系カップリング剤被覆(アミノシラン等) チタネート系カップリング剤被覆 (2) シリカを沈着させ、つづいてアルミナを沈着被覆 (3) ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、
ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸金属塩被覆 (4) ステアリン酸ソーダ、ステアリン酸カリウム、オ
キシ・エチレンドデシル・アミン等の界面活性剤被覆 (5) バリウムイオンの過剰量の存在下に硫化バリウム
水溶液と硫酸水溶液とを反応させ、平均粒子径0.1〜
2.5μmの硫酸バリウムを生成させ、この水スラリー
にケイ酸アルカリ水溶液を加えて硫酸バリウムの表面に
ケイ酸バリウムを生成させ、次いでスラリーに鉱酸を加
え、上記ケイ酸バリウムを含水シリカに分解して硫酸バ
リウム表面に沈着させ被覆 (6) 金属水和酸化物(チタン、アルミニウム、セリウ
ム、亜鉛、鉄、コバルト又はケイ素の水和酸化物の1種
又は2種以上)及び/又は金属酸化物(チタン、アルミ
ニウム、セリウム、亜鉛、鉄、コバルト又はケイ素の酸
化物の1種及び2種以上)のみからなる組成物で表面被
覆 (7) 分子内にアジリジン基、オキサゾリン基及びN−
ヒドロキシアルキルアミド基よりなる群から選択される
1種又は2種以上の反応基を有する重合体を被覆 (8) ポリオキシアルキレンアミン化合物を表面被覆 (9) セリウムカチオン、選択された酸アニオン及びア
ルミナで表面被覆 (10) 置換基にα−ヒドロキシカルボン酸残基を有する
アルコキシチタン誘導体で表面被覆 (11) ポリテトラフルオロエチレンで表面被覆 (12) ポリジメチルシロキサン又はシリコン変性体で表
面被覆 (13) リン酸エステル化合物で表面被覆 (14) 2〜4価アルコールで表面被覆 (15) オレフィンワックス(ポリエチレンワックス、ポ
リプロピレンワックス)で表面被覆 (16) 含水酸化アルミニウムを表面被覆 (17) シリカ又は亜鉛化合物(塩化亜鉛、水酸化亜鉛、
酸化亜鉛、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛、酢酸亜鉛、クエン酸亜
鉛等の1種又は2種以上組み合わせたもの)で表面被覆 (18) ポリヒドロキシ飽和炭化水素で表面被覆 (19) 界面活性剤(カチオン系、ノニオン系、両性イオ
ン系)で表面被覆 (20) 有機金属キレート化合物(特にβ−ジケトンキレ
ート化合物が写真性、分散性向上等が優れているので好
ましい、表面被覆量は遮光性物質100重量部に対して
0.001〜20重量部、0.01〜15重量部が好ま
しい)で表面被覆 (21) 炭素数が20〜40の脂肪族モノカルボン酸と炭
素数が20〜40の脂肪族一価アルコールとのエステル
で表面被覆 (22) 炭素数20〜50の脂肪酸エステル部分ケン化物
の金属塩で表面被覆、等
【0139】上記遮光性物質の表面被覆物質として写真
感光材料の写真特性にカブリ発生等の悪影響が少なく、
遮光性物質の分散性向上、ブツの発生減少、樹脂の流動
性向上等の効果が優れた(1)、(3)、(12)、(14)、(1
5)、(16)、(18)、(19)、(21)、(22)等の他に有機金属キ
レート化合物、各種帯電防止剤、滑剤、防滴剤が好まし
い。
【0140】特に、炭素数が20〜40の脂肪族モノカ
ルボン酸と炭素数が20〜40の脂肪族1価アルコール
とのエステルを遮光性物質100重量部に対して0.0
01〜20重量部、好ましくは0.005〜10重量
部、特に好ましくは0.01〜5重量部を添加すること
により、上記問題点の防止効果を発揮できることを見出
したものである。特に、写真感光材料の写真性に悪影響
を減少させるだけでなくモーター負荷を小さくし、遮光
性物質の分散性を向上させ、成形性を向上し成形品の外
観を優れたものにする。
【0141】本発明に用いられるエステルとしては、炭
素数が20〜40、好ましくは25〜35の脂肪族モノ
カルボン酸と炭素数が20〜40、好ましくは25〜3
5の脂肪族1価アルコールのエステルである。
【0142】上記モノカルボン酸の例としては、モンタ
ン酸、メリシン酸、セロチン酸、ブリシン酸、ラクセル
酸等が挙げられる。
【0143】1価アルコールの例としては、モンチルア
ルコール、メリシルアルコール、ラクシルアルコール、
セリルアルコール、ブリシルアルコール等が挙げられ
る。
【0144】これらは、熱可塑性樹脂の流動性を向上さ
せると共に、均一混練を達成せしめるので前記遮光性物
質の表面被覆物質としても非常に優れている。さらに、
前記無機及び/又は有機造核剤の分散剤として表面被覆
に用いると飛散防止、ブリードアウト防止、均一分散性
向上、樹脂流動性向上等種々の優れた効果を発揮する。
これらの遮光性物質の表面被覆物質の表面被覆量は、カ
ーボンブラック、酸化チタン又はアルミニウム粉末等の
遮光性物質100重量部に対して、0.001〜20重
量部、好ましくは0.001〜5重量部、より好ましく
は0.01〜3重量部、最も好ましくは0.05〜1.
5重量部である。被覆量が0.001重量部以下では被
覆効果がほとんど発揮されない。被覆量が20重量部を
越えると経時でブリードアウトの発生が多くなる。
【0145】上記合計遮光性物質中の全硫黄量(AST
M D−1619)は0.9%以下、好ましくは0.7%以
下、特に好ましくは0.5%以下であり、遊離硫黄分は
150ppm以下、好ましくは50ppm以下、特に好
ましくは30ppm以下であり、ASTM D−150
6による灰分量は0.5%以下、好ましくは0.4%以
下、特に好ましくは0.3%以下であり、アルデヒド化
合物含有量は0.2%以下、好ましくは0.1%以下、
特に好ましくは0.05%以下に抑えないと写真性に悪
影響を及ぼすので注意が必要である。
【0146】さらに、シアン化合物も写真感光材料の写
真性能に悪影響を及ぼすので4−ピリジンカルボン酸・
ピラゾロン吸光分析法にて定量したシアン化水素量を遮
光性物質の重量に対するppm単位に換算した値が20
ppm以下、好ましくは10ppm以下、特に好ましく
は5ppm以下、最も好ましくは1ppm以下の遮光性
物質を用いる。
【0147】本発明の写真感光材料用包装材料の最内
層、最外層等には、滑剤を含有させることができる。滑
剤を含有させることにより、フィルムのハンドリング適
性や滑性を良好にしシワや筋の発生を防止できる。さら
に、包装袋等として写真感光材料と摩擦してもスリ傷や
スタチックマークが発生しないようにできる。
【0148】滑剤の添加量は種類によって異なり、脂肪
酸金属塩(後記の金属石けんと同一)等のように写真感光
材料の写真性能を良好状態に維持することを主目的とし
た滑性効果が小さい滑剤の場合は0.01〜5重量%が
好ましく、0.03〜3重量%がより好ましく、0.0
5〜1.5重量%が特に好ましく、0.07〜1重量%
が最も好ましい。添加量が0.01重量%未満である
と、添加効果がなく、混練費用増となるだけである。添
加量が5重量%を越えると、経時ヒートシール強度が低
下し、密封性や防湿性と酸素バリヤ性が悪化し写真感材
料用包装材料としては実用化困難である。
【0149】また、脂肪酸アミド系滑剤、ビス脂肪酸ア
ミド系滑剤等のように滑性効果は大きいが、ブリードア
ウトしやすく、写真感光材料に悪影響を与える滑剤の場
合は、0.01〜1重量%が好ましく、0.03〜0.5
重量%がより好ましく、0.05〜0.3重量%が最も
好ましい。添加量が0.01重量%未満であると、添加
効果がなく、混練費用増となるだけである。添加量が1
重量%を越えると、フィルム成形後の経時によりベトツ
キやブリードアウトが発生しやすくなる。さらに、ブリ
ードアウトした滑剤が写真感光層に転写して現像阻害を
発生させ現像ムラや発色ムラ等の品質故障が発生する。
【0150】市販の代表的滑剤名と製造メーカー名を以
下に記載する。 (1) 脂肪酸アミド系滑剤; 〔飽和脂肪酸アミド系滑剤〕 ベヘニン酸アミド系滑剤; ダイヤミッドKN(日本化成)等 ステアリン酸アミド系滑剤; アーマイドHT(ライオン油脂)、アルフローS−10
(日本油脂)、脂肪酸アマイドS(花王)、ダイヤミッド
200(日本化成)、ダイヤミッドAP−1(日本化
成)、アマイドS・アマイドT(日東化学)、ニュート
ロン−2(日本精化)等 〔ヒドロキシステアリン酸アミド系滑剤〕 パルミチン酸アミド系滑剤;ニュートロンS−18(日
本精化)、アマイドP(日東化学)等 ラウリン酸アミド系滑剤;アーマイドC(ライオン・ア
クゾ)、ダイヤミッド(日本化成)等 〔不飽和脂肪酸アミド系滑剤〕 エルカ酸アミド系滑剤;アルフローP−10(日本油
脂)、ニュートロン−S(日本精化)、LUBROL
(I・C・I)、ダイヤミッドL−200(日本化成)
等 オレイン酸アミド系滑剤;アーモスリップCP(ライオ
ン・アクゾ)、ニュートロン(日本精化)、ニュートロ
ンE−18(日本精化)、アマイドO(日東化学)、ダ
イヤミッドO−200・ダイヤミッドG−200(日本
化成)、アルフローE−10(日本油脂)、脂肪酸アマイ
ドO(花王)等 〔ビス脂肪酸アミド系滑剤〕メチレンビスベヘニン酸ア
ミド系滑剤;ダイヤミッドNKビス(日本化成)等 メチレンビスステアリン酸アミド系滑剤;ダイヤミッド
200ビス(日本化成)、アーモワックス(ライオン・ア
クゾ)、ビスアマイド(日東化学)等 メチレンビスオレイン酸アミド系滑剤;ルブロンO(日
本化成)等 エチレンビスステアリン酸アミド系滑剤;アーモスリッ
プEBS(ライオン・アクゾ)等 ヘキサメチレンビスステアリン酸アミド系滑剤;アマイ
ド65(川研ファインケミカル)等 ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド系滑剤;アマイド
60(川研ファインケミカル)等
【0151】(2) 非イオン界面活性剤系滑剤;エレク
トロストリッパ−TS−2、エレクトロストリッパ−T
S−3(花王石鹸)等
【0152】(3) 炭化水素系滑剤;流動パラフィン、
天然パラフィン、マイクロワックス、イソパラフィン系
合成石油炭化水素、合成パラフィン(C16〜49、好
ましくはC20〜30)、ポリエチレンワックス(数平
均分子量が10,000以下、好ましくは8,000以
下、特に6,000以下が好ましい。)、ポリプロピレ
ンワックス(数平均分子量が10,000以下、好まし
くは8,000以下、特に6,000以下が好まし
い。)、塩素化炭化水素、フルオロカーボン等
【0153】(4) 脂肪酸系滑剤;高級脂肪酸(C12
〜35が好ましい、具体的にはカプロン酸、ステアリン
酸、オレイン酸、エルカ酸、パルミチン酸等)、オキシ
脂肪酸等
【0154】(5) エステル系滑剤;脂肪酸の低級アル
コールエステル、脂肪酸の多価アルコールエステル、脂
肪酸のポリグリコールエステル、脂肪酸の脂肪アルコー
ルエステル等
【0155】(6) アルコール系滑剤;多価アルコー
ル、ポリグリコール、ポリグリセロール等
【0156】(7) 脂肪酸金属塩系滑剤(金属石け
ん);ラウリン酸、ステアリン酸、コハク酸、ステアリ
ル乳酸、乳酸、フタル酸、安息香酸、ヒドロキシステア
リン酸、リシノール酸、ナフテン酸、オレイン酸、パル
ミチン酸、エルカ酸等の高級脂肪酸とLi、Na、M
g、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、Al、Sn、P
b、Cd、等の金属との化合物が挙げられ、好ましいも
のはステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウ
ム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛、オレ
イン酸カルシウム、オレイン酸亜鉛、オレイン酸マグネ
シウム等である。
【0157】(8) モンタン酸エステル部分鹸化物;
【0158】(9) シリコーン系滑剤;各種グレードの
ジメチルポリシロキサン及びその変性物(信越シリコー
ン、東レシリコーン)、特に各種シリコーンオイルが樹
脂流動性向上、滑性向上等の効果を発揮させるだけでな
く、遮光性物質と併用すると遮光性物質の分散性向上、
樹脂を白濁させヘイズ(ASTM D−1003)を大き
くさせる結果、着色力向上、遮光性向上等予想外の効果
を発揮するので好ましい。
【0159】上記シリコーンオイルは、常温における粘
度が50〜100,000センチストークスの範囲のも
のが好ましく、更に好ましくは5,000〜30,00
0センチストークスの高粘度のものがよい。シリコーン
及びシリコーン変性物の具体例としては、ポリメチルフ
ェニルシロキサン、オレフィン変性シリコーン、アミド
変性シリコーン、ポリジメチルシロキサン、アミノ変性
シリコーン、カルボキシル変性シリコーン、αメチルス
チレン変性シリコーン、ポリエチレングリコールやポリ
プロピレングリコールで変性したポリエーテル変性シリ
コーン、オレフィン/ポリエーテル変性シリコーン、エ
ポキシ変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、アルコ
ール変性シリコーン等変性されたシロキサン結合を含有
したシリコーンオイルである。該シリコーンオイル中、
写真感光材料に悪影響を与えることが少なく、滑性効果
の大きい、特に写真感光材料用包装材料に適用した場合
に好ましいものはオレフィン変性シリコーン、アミド変
性シリコーン、ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル
変性シリコーン、オレフィン/ポリエーテル変性シリコ
ーンである。該シリコーンオイルは、加熱状態での成形
材料、例えば樹脂フィルムの摩擦係数を改良し、自動包
装機による熱板シール中に生じる摺動抵抗を低下させ、
皺の発生を防止することにより、美しい外観と高度な密
封性と被包装体にたるみがない密着性とを有する性能を
保持した樹脂フィルムを得る基礎をつくることが出来
る。又摺動による光沢の低下を防止して、美しいシール
部を得ることが出来る。シリコーンオイルを併用した場
合の本発明では、摺動ヒートシールをする場合、高温摩
擦係数を1.4以下にすることが出来る。
【0160】シリコーンオイル添加の効果は、以下の通
りである。 (1) 繊維状充填材、非繊維状遮光性物質、顔料と併用
するだけでこれらの表面を被覆して分散性を向上させ
る。 (2) 樹脂の分散性を向上し、スクリューのモーター負
荷を小さくし、メルトフラクチャー発生を防止する。 (3) ブリードアウトして白粉状になる脂肪酸アミド系
滑剤を添加しなくとも滑性を十分確保できる。 (4) 加熱状態での包装材料の摩擦係数を小さくし、自
動製袋適性を向上し、ヒートシール時のシワ発生や摺動
による光沢の低下を防止し、美しいシール部を得ること
ができる。 (5) 遮光性物質と併用すると、分散性を向上するとと
もに熱可塑性樹脂を白濁させ、ヘイズを大きくする結
果、着色力を向上させ遮光能力を向上でき、物性を低下
させる遮光性物質の添加量を減量しても遮性を確保でき
る。
【0161】本発明の写真感光材料用包装材料の最内
層、最外層等には、酸化防止剤を含有させることができ
る。酸化防止剤を含有させることにより、熱可塑性樹脂
や脂肪酸、滑剤、有機造核剤、界面活性剤等の添加剤の
熱劣化や熱分解を防止し、熱可塑性樹脂組成物の流動性
が著しく変化したり、ブツが発生するのを防止できる。
さらに、写真感光材料に悪影響を及ぼす熱分解物質(ア
ルデヒドやシアン化合物や硫黄化合物等)の発生を防止
することができる。熱分解物質(アルデヒドやシアン化
合物や硫黄化合物等)を写真感光材料に悪影響を及ぼさ
ない量に減少安定化させたり、反応安定化させたり又は
吸着安定化させる公知の各種化合物(例えば、ヒダント
イン化合物、ヒドラジン化合物、尿素化合物、パラジウ
ムや金や白金等の貴金属又は貴金属化合物、ロジウムや
イリジウム等の金属等)を添加することが好ましい。写
真感光材料用包装材料中のアセチルアセトン法で測定し
たホルムアルデヒドの量は500PPM以下、好ましく
は300PPM以下、特に好ましくは150PPM以
下、最も好ましくは75PPM以下にすることにより写
真性を良好に維持できる。また、4−ピリジンカルボン
酸・ピラゾロン吸光分析法によるシアン化合物の含有量
は10PPM以下、好ましくは5PPM以下、特に好ま
しくは1PPM以下にすることにより写真性を良好に維
持できる。
【0162】酸化防止物質の1以上の添加量は、0.0
01〜1.5重量%であり、0.005〜0.7重量%
が好ましく、0.01〜0.45重量%がより好まし
い。添加量が0.001重量%未満であると、添加効果
がなく混練経費増になるだけであり、添加量が1重量%
を越えると、酸化、還元作用を利用する写真感光材料の
写真性に悪影響を及ぼすとともに包装材料表面にブリー
ドアウトして外観やヒートシール性を悪化させる。
【0163】本発明に使用される酸化防止剤の代表例を
以下に示す。 (イ) フェノール系酸化防止剤(tはtertの略号で
ある) ビタミンE(トコフェロール)、トコフェロール類二量
体(α−トコフェロール、β−トコフェロール、5,7
−ジメチルトコール等)、6−t−ブチル−3−メチル
フェニール誘導体、2・6−ジ−t−ブチル−P−クレ
ゾール、2・6−ジ−t−ブチル−フェノール、2・6
−ジ−t−ブチル−α−ジメチルアミノ−p−クレゾー
ル、2・6−ジ−t−ブチル−p−エチルフェノール、
2・2’−メチレンビス−(4−エチル−6−t−ブチ
ルフェノール)、4・4'−ブチリデンビス(6−t−ブ
チル−m−クレゾール)、4・4'−チオビス(6−t
−ブチル−m−クレゾール)、4・4−ジヒドロキシジ
フェニルシクロヘキサン、ブチル化ヒドロキシアニソー
ル、アルキル化ビスフェノール、スチレン化フェノー
ル、2・6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、
2・6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、n−
オクタデシル−3−(3'・5'−ジ−t−ブチル−4'
−ヒドロキシフェニル)プロピネート、2・2'−メチ
レンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、
4・4'−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニ
ール)、4・4'−ブチリデンビス(3−メチル−6−t
−ブチルフェノール)、4・4'−チオビス(3−メチル
−6−t−ブチルフェノール)、ステアリル−β(3・
5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピ
オネート、1・1・3−トリス(2−メチル−4ヒドロ
キシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1・3・5ト
リメチル−2・4・6−トリス(3・5−ジ−t−ブチ
ル−4ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス〔メ
チレン−3(3・5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ
フェニル)プロピオネート〕メタン等
【0164】(ロ) ケトンアミン縮合系酸化防止剤 6−エトキシ−2・2・4−トリメチル−1・2−ジヒ
ドロキノリン、2・2・4−トリメチル−1・2−ジヒ
ドロキノリンの重合物、トリメチルジヒドロキノリン誘
導体等
【0165】(ハ) アリルアミン系酸化防止剤 フェニル−α−ナフチルアミン、N−フェニル−β−ナ
フチルアミン、N−フェニル−N'−イソピロピル−P
−フェニレンジアミン、N・N'−ジフェニル−P−フ
ェニレンジアミン、N・N’−ジ−β−ナフチル−P−
フェニレンジアミン、N−(3'−ヒドロキシブチリデ
ン)−1−ナフチルアミン等
【0166】(ニ) イミダゾール系酸化防止剤 2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベ
ンゾイミダゾールの亜鉛塩、2−メルカプトメチルベン
ゾイミダゾール等
【0167】(ホ) ホスファイト系酸化防止剤 アルキル化アリルホスファイト、トリス(モノ及び/又
はジノニルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオ
ペンタンテトライルビス(2・6−ジ−t−ブチル−4
−メチルフェニル)ホスファイト、ジフェニルイソデシ
ルフォスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファ
イト亜リン酸ソーダ、トリス(ノニルフェニル)フォス
ファイト、2・2−メチレンビス(4・6−ジ−t−ブ
チルフェニル)オクチルホスファイト、トリス(2・4
−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリフェニ
ルフォスファイト等
【0168】(ヘ) チオ尿素系酸化防止剤 チオ尿素誘導体、1・3−ビス(ジメチルアミノプロピ
ル)−2−チオ尿素等
【0169】(ト) その他空気酸化に有用な酸化防止剤 チオジプロピオン酸ジラウリル等
【0170】本発明に最も好ましいヒンダードフェノー
ル系酸化防止剤の代表例を以下に示す。1,3,5−トリ
メチル2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチ
ル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス
〔メチレン−3−(3'・5'−ジ−tert−ブチル−
4'−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、オ
クタデシル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒド
ロキシ−ヒドロシンナメート、2,2',2'−トリス
〔(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフ
ェニル)プロピオニルオキシ〕エチルイソシアヌレー
ト、1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒ
ドロキシ−2,6−ジ−メチルベンジル〕イソシアヌレ
ート、テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェ
ニル)4,4'−ビフェニレンジ亜リン酸エステル、4,
4'−チオビス−(6−tert−ブチル−O−クレゾ
ール)、2,2'−チオビス−(6−tert−ブチル−
4−メチルフェノール)、トリス−(2−メチル−4−
ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、
2,2'−メチレン−ビス−(4−メチル−6−tert
−ブチルフェノール)、4,4'−メチレン−ビス−(2,
6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4'−ブチ
リデンビス−(3−メチル−6−tert−ブチルフェ
ノール)、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチル
フェノール、4−ヒドロキシ・メチル−2,6−ジ−t
ert−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−4
−n−ブチルフェノール、2,6−ビス(2'−ハイドロ
キシ−3'−tert−ブチル−5'−メチルペンジル)
−4−メチルフェノール、4,4'−メチレン−ビス−
(6−tert−ブチル−O−クレゾール)、4,4'−
ブチリデン−ビス(6−tert−ブチル−m−クレゾ
ール)、3・9−ビス{1・1−ジメチル−2−〔β−
(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニ
ル)プロピオニルオキシ〕エチル}2,4・8,10−テ
トラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカンなどがあげられ
る。これらの中でも融点が100℃以上、特に120℃
以上のものが好ましい。また、燐系酸化防止剤と併用す
ることが効果的である。さらにまた、燐系酸化防止剤の
少なくとも1種と、ヒンダードフェノール系酸化防止剤
の少なくとも1種と、含水複塩化合物(代表例はハイド
ロタルサイト類化合物)の少なくとも1種の合計3種以
上を併用することが写真性を良好にし、ブツや樹脂焼け
や着色を防止できるので特に好ましい。
【0171】燐系酸化防止剤の少なくとも1種を0.0
01〜1.5重量%、好ましくは0.005〜0.7重
量%、より好ましくは0.01〜0.45重量%含む場
合、熱分解によって発生する亜燐酸が写真感光材料の写
真性に悪影響を大きく及ぼし、カブリを発生させるので
亜燐酸を中和させるハイドロタルサイト類化合物を0.
01〜5.0重量%、より好ましくは0.03〜4重量
%、特に0.05〜3.0重量%添加することが好まし
い。特に、ISO感度が50以上の高感度の写真感光材
料の場合は、燐系酸化防止剤とハイドロタルサイト類化
合物の併用は写真性を良好に維持するために必要であ
る。
【0172】上記ビタミンE(トコフェロール)、トコ
フェロール類二量体は、優れた酸化防止作用の他に、フ
ィルムを黄色に着色させてカーボンブラック等の遮光性
物質と併用すると遮光能力をカーボンブラック等の遮光
性物質単独添加の場合より向上させ、かつ、分散性も向
上させるので遮光性物質の添加量を10%以上減少させ
ても同等の遮光性を有するフィルムを得ることができ
る。この結果写真性の悪化防止、遮光能力向上、物理強
度向上、外観向上、材料費減少等各種の効果が発揮され
るので本発明の写真感光材料用包装材料として特に好ま
しい。
【0173】特に好ましい酸化防止剤はフェノール系の
酸化防止剤であり、市販品としてはチバガイギー社のイ
ルガノックス 1010等と住友化学(株)のSumil
izer BHT,Sumilizer BH−76,S
umilizer WX−R,Sumilizer BP
−101等である。また、2,6−t−ヒブチル−p−
クレゾール(BHT)、低揮発性の高分子量フェノール
型酸化防止剤(商品名:Ireganox 1010,
Ireganox 1076,TopanolCA, I
onox 330等)、及び燐系酸化防止剤(ジステア
リル−ペンタエリスリトール−ジフォスファイト、ジラ
ウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオプロピ
オネート、トリス(2,4−ジ−t−ブチル−フェニ
ル)ホスファイト、ジアルキルフォスフェート等)の1
種以上、特に2種以上を併用するのが効果的である。
【0174】特に遊離基連鎖停止剤の代表例である融点
が100℃以上、好ましくは120℃以上の前記ヒンダ
ードフェノール系酸化防止剤の少なくとも1種と、過酸
化物分解剤である燐系酸化防止剤の少なくとも1種とを
併用して用いることが写真性を悪化させずに樹脂や添加
剤の熱劣化防止効果を高めることができるので好まし
い。最も好ましくは、燐系酸化防止剤の1以上と、ヒン
ダードフェノール系酸化防止剤の1以上の2種の合計
0.001〜1.5重量%と、燐系酸化防止剤の熱分解
によって発生する亜燐酸の中和剤としての働きをして写
真感光材料のカブリ防止の働きをするハイドロタルサイ
ト類化合物0.01〜5.0重量%の3種を少なくとも
併用する。
【0175】写真感光材料の写真性への悪影響が少な
く、光にあたると着色して遮光能力を向上させ、樹脂溶
融温度(130〜400℃)でも熱分解が少なく、経時に
よるブリードアウトも少ない等多くの優れた特性を有す
る点から分子量は200以上、好ましくは300以上、
特に好ましくは400以上、最も好ましくは500以上
のヒンダードフェノール系酸化防止剤である。
【0176】特に、写真感光材料の写真性に悪影響を与
えることなく、人体に対しても安全で樹脂や添加剤の熱
分解や熱劣化を防止し、光にあたると着色して遮光能力
を向上させるビタミンEとトコフェロール類二量体が好
ましい。
【0177】本発明の写真感光材料用包装材料中に含有
させるのに最も好ましい酸化防止剤はテトラキス[メチ
レン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−
フェニル)プロピオネート]メタン、n−オクタデシル
−3−(4’−ヒドロキシ−3',5'−ジ−t−ブチル
フェノール)プロピオネートとトリス−(2,4−ジ−
t−ブチルフェニル)ホスファイトである。
【0178】多層共押出しインフレーションフィルムの
最外層、最内層等に相溶化剤を含有させることができ
る。相溶化剤の含有量は、1〜50重量%、好ましくは
2〜45重量%、より好ましくは5〜40重量%、最も
好ましくは8〜35重量%である。1重量%未満である
と添加効果がなく、混練経費増となるだけである。ま
た、50重量%を越えても増量効果がなく、コストアッ
プとなる。さらに、物理強度も低下する。この相溶化剤
はリサイクル樹脂を30重量%以上含有する時に効果を
発揮する。
【0179】相溶化剤とは、一般には、同種でも特性の
異なる熱可塑性樹脂、2種以上の熱可塑性樹脂、リサイ
クル熱可塑性樹脂とバージン熱可塑性樹脂(過去に成形
品に使用されたことがない樹脂、即ち、始めて成形品に
使用される樹脂のことを言う。以下同様)、遮光性物質
を高濃度に配合したマスターバッチ熱可塑性樹脂と希釈
用熱可塑性樹脂(ブレンドするもう一方の樹脂より遮光
性物質の濃度が低いか又は全く含んでいない樹脂のこと
を言う。以下同様)又はこれらを組み合せた樹脂のよう
に単一の熱可塑性樹脂にはない新しい性質、性能を発現
しようとする際、複数の樹脂の相溶化を達成できる物質
のことである。
【0180】相溶化剤には、非反応型相溶化剤と反応型
相溶化剤とがある。相溶化剤の具体的な代表例を以下に
示す。
【0181】非反応型相溶化剤の代表例 スチレン・エチレン・ブタジエンブロック共重合体樹脂 ポリエチレン・ポリスチレングラフト共重合体樹脂 ポリエチレン・ポリメチルメタクリレートグラフト共重
合体樹脂 ポリエチレン・ポリメチルメタクリレートブロック共重
合体樹脂 エチレン・プロピレン・ジエン共重合体樹脂 エチレン・プロピレン共重合体樹脂 ポリスチレン・低密度ホモポリエチレングラフト共重合
体樹脂 ポリスチレン・高密度ホモポリエチレングラフト共重合
体樹脂 水添スチレン・ブタジエン共重合体樹脂 スチレン・エチレン、ブタジエン・スチレン共重合体樹
脂 スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体樹脂 塩素化ポリエチレン樹脂 ポリプロピレン・ポリアミドグラフト共重合体樹脂 ポリプロピレン・エチレン・プロピレン・ジエン共重合
体樹脂 ポリスチレン・ポリアクリル酸エチルグラフト共重合体
樹脂 ポリスチレン・ポリブタジエングラフト共重合体樹脂 ポリスチレン・ポリメチルメタアクリレートブロック共
重合体樹脂 等 反応型相溶化剤の代表例 無水マレイン酸化エチレン・プロピレン共重合体樹脂 無水マレイン酸化スチレングラフト共重合体樹脂 無水マレイン酸化スチレン・ブタジエン・スチレン共重
合体樹脂 無水マレイン酸化スチレン・エチレン・ブタジエン・ス
チレン共重合体樹脂 エチレン・グリシジルメタクリレート共重合体樹脂 エチレン・グリシジルメタクリレート・スチレングラフ
ト共重合体樹脂 エチレン・グリシジルメタクリレート・メチルメタクリ
レートグラフト共重合体樹脂 無水マレイン酸グラフトポリプロピレン共重合体樹脂
【0182】内外の市販相溶化剤の代表例を表3に示
す。
【0183】
【表3】 SBS…スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体樹脂
の略号 SEBS…スチレン・エチレン・ブタジエン・スチレン
共重合体樹脂の略号 EPDM…エチレン・プロピレン・ジエン共重合体樹脂
の略号 EVA…エチレン・酢酸ビニル共重合体樹脂の略号
【0184】多層共押出しインフレーションフィルムの
最内層、最外層及び中間層の少なくとも1つ以上の層
に、及びフレキシブルシート層や表面塗工層(ノンスリ
ップ層や抗菌剤含有塗工層等)に抗菌剤(殺菌剤、防カ
ビ剤等も含む)を含有させることができる。抗菌剤を含
有させることにより、写真感光材料を構成しているゼラ
チン等に悪影響を与えるバクテリヤやカビ等各種の菌の
発生を抑制することができる。
【0185】抗菌剤の含有量は、樹脂層を構成している
樹脂組成物に対して一般的には0.001〜20重量%
であるが、0.001〜10重量%が好ましく、0.00
01〜7重量%がより好ましく、0.005〜5重量%
が特に好ましく、0.01〜2重量%が最も好ましい。
含有量が0.0001重量%未満であると、効果的な抗
菌効果を得ることができない。また、含有量が20重量
%を越えると、増量効果がないだけでなく、高価にな
り、かつインフレーションフィルムの外観を悪化させた
り、写真感光材料の写真性に悪影響を及ぼすようにな
る。
【0186】抗菌剤は、有機系抗菌剤と金属系無機抗菌
剤及び天然系抗菌剤とに大別されるが、有機系抗菌剤と
して、例えば1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オ
ン、N−フルオルジクロロメチルチオ−フタルイミド、
2,3,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル〈以
後、TPNと表示〉、N−トリクロロメチルチオ−4−
シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシイミド、8−キ
ノリン酸銅、ビス(トリブチル錫)オキシド、2−(4
−チアゾリル)ベンズイミダゾール〈以後、TBZと表
示〉、2−ベンズイミダゾールカルバミン酸メチル〈以
後、BCMと表示〉、10,10'−オキシビスフェノキ
シアルシン〈以後、OBPAと表示〉、2,3,5,6−
テトラクロロ−4−(メチルスルフォン)ピリジン、ビ
ス(2−ピリジルチオ−1−オキシド)亜鉛〈以後、Z
PTと表示〉、N,N−ジメチル−N’−(フルオロジ
クロロメチルチオ)−N'−フェニルスルファミド〈ジ
クロルフルアニド〉等が挙げられるが、これらに制限さ
れるものではない。有機系抗菌剤中では、抗菌効果、コ
ストの点からTPN、TBZ、BCM、OBPA、ZP
Tが好ましい。特に分解温度が240℃以上の有機系抗
菌剤が好ましい。
【0187】金属系無機抗菌剤として、例えば、銀、
銅、亜鉛、ニッケル等の金属をケイ酸塩系担体やリン酸
塩系担体等に担持させたゼオライト系抗菌剤、シリカゲ
ル系抗菌剤、リン酸ジルコニウム系抗菌剤、活性炭系抗
菌剤、酸化チタン系抗菌剤、チタニア系抗菌剤、ガラス
系抗菌剤、有機金属系抗菌剤、リン酸カルシウム系抗菌
剤、イオン交換体セラミックス系抗菌剤等が挙げられる
が、これらに制限されるものではない。これらは蒸散性
ではないので効果を長期間持続させることができ、人体
に影響を及ぼすこともない。また、樹脂や塗料に対して
安定に分散することができ、樹脂や塗料の劣化もおこら
ない。
【0188】金属系無機抗菌剤としては、抗菌性を有す
る金属イオンを担持させた無機系抗菌剤が写真感光材料
の写真性や物性や外観に悪影響を及ぼすことが少ないの
で好ましい。
【0189】抗菌性を有する金属イオンとしては、銀イ
オン、亜鉛イオン、ニッケルイオン、スズイオン、ビス
マスイオン、銅イオン、マンガンイオン、コバルトイオ
ン、鉛イオン等が代表的なものである。
【0190】これらの中で抗菌性が優れ、写真感光材料
の写真性に悪影響を及ぼすことが少ない銀イオンと亜鉛
イオンが好ましく、特に銀イオンが好ましい。
【0191】これらの金属イオンを前記ゼオライトやシ
リカゲル、リン酸ジルコニウム、活性炭、酸化チタン等
に担持したものが好ましく、特にゼオライトに担持させ
たものが、写真感光材料の写真性に悪影響を及ぼすアル
デヒドや遊離イオウ、アンモニア、メルカプタン、硫化
水素等を吸着して写真性への悪影響を少なくする働きを
するとともに包装材料同士または包装材料と写真感光材
料のゼラチンや親水性ポリマーから構成されている感光
層とのブロッキング防止効果も有するので最も好まし
い。
【0192】ゼオライトは、天然品及び合成品を含める
と現在100種類以上市販されており、化学組成はSi
2、AlO3、H2O、Na2O、K2O、CaOである
が、この割合は天然品の場合は産地により合成品の場合
は各種の合成方法によって変わります。結晶性のアルミ
ノケイ酸塩であり、一般に三次元的に発達した骨格構造
を有するものである。
【0193】一般には、Al23を基準にしてxM2/n
O・Al23・ySiO2・zH2O(Mはイオン交換可
能な通常1価または2価の金属イオン、nはMの原子
価、x,y及びzは各成分のモル比を表す)で表される
組成物である。本発明では、天然品でも合成品でも使用
可能であるが写真感光材料の写真性に悪影響を及ぼす不
純物含有量が少ないので特に合成ゼオライトが好まし
い。
【0194】本発明で特に好ましいゼオライトに抗菌性
を有する金属イオンを担持させた無機系抗菌性ゼオライ
トについて詳細に説明する。上記金属イオンの1種単独
または2種以上をゼオライトに担持させた抗菌剤は、防
菌性、防カビ性等の抗菌性を有しているのでゼラチンや
親水性ポリマー、界面活性剤等で構成された感光層やカ
ールバランス等のために設けられているバッキング層等
の防菌、防カビに最適である。無機系抗菌性ゼオライト
は、金属イオンをゼオライトの骨格構造内に取込むこと
により粉末形状でも抗菌性に優れるとともに抗菌性が長
期間持続し、然も安全性、耐熱性に優れるとともに上記
のように写真性やブロッキング防止性を改良する予想外
の作用効果を有するものである。
【0195】無機系抗菌性ゼオライトは、公知の方法で
製造することができる。例えば、硝酸銀、硫酸銀、過塩
素酸銀、酢酸銀、硫酸亜鉛、過塩素酸亜鉛、酢酸亜鉛等
の水可溶性塩の水溶液を用いてイオン交換反応により担
持させる方法、前記金属を物理吸着により担持させる方
法等により製造することができる。無機系抗菌性ゼオラ
イトの配合量は、樹脂層形成樹脂組成物100重量部に
対して無水ゼオライトとして0.0001〜15重量
部、好ましくは0.0005〜10重量部、より好まし
くは0.001〜7重量部、特に好ましくは0.001〜
5重量部である。最も好ましい無機系抗菌性ゼオライト
は銀イオンを合成ゼオライトに担持させた銀系抗菌性ゼ
オライトで市販品としては、例えばゼオミック(品川燃
料KK製商標)等があり、写真性とコストも考慮すると
最も好ましい配合量は0.001〜5重量部である。特
に銀系無機抗菌剤が抗菌効果が大きく、写真感光材料の
写真性に悪影響を及ぼすことが少なく好ましい。
【0196】特に、上記のようにケイ酸塩系担体である
ゼオライトに銀イオンを担持させた銀ゼオライトが好ま
しい。特に好ましい市販の銀ゼオライト系抗菌剤として
は、品川燃料KKの「商品名 ゼオミック」等がある。
その他、銀イオンを無機イオン交換体セラミックスに担
持させた東亜合成KKの「商品名 ノバロン」も好まし
い。
【0197】天然系抗菌剤としては、カニやエビの甲殻
等に含まれるキチンを加水分解して得られる塩基性多糖
類のキトサンがある。安全性は優れるが耐熱性が劣るの
で用途が限定される。
【0198】本発明の写真感光材料用包装材料に適用す
るには、アミノ酸の両側に金属を複合させたアミノメタ
ルから成るKK日鉱の「商品名 ホロンキラービースセ
ラ」が好ましい。
【0199】しかし、写真感光材料の写真性に対しては
ほとんどの抗菌剤は、多少の悪影響を及ぼすので、悪影
響が少ない、抗菌効果のある抗菌剤を選択し、かつ使用
目的を達成可能な最少量を含有させることが好ましい。
【0200】また、本発明の写真感光材料用包装材料に
は、各種添加剤を添加することができる。この添加剤の
詳細については改訂増補「最新顔料便覧」(昭和52年
1月10日,(株)誠文堂新光社発行)や1994年版
「新化学インデックス」(1993年7月23日,化学
工業日報社発行)や「12394の化学商品」(1994
年1月26日,化学工業日報社発行)や「プラスチック
データ ハンドブック」(1984年4月5日,(株)工
業調査会発行)や「実用プラスチック用語辞典第三版」
((株)プラスチック・エージ発行)等各種文献に記載さ
れた配合剤(添加剤)の中から写真感光材料に悪影響を
及ぼさないように種類や添加量や他の配合剤との組み合
わせによる無害化反応等を利用したり、層構成、樹脂組
成を検討することによりほとんどの配合剤が写真感光材
料用包装材料にも利用可能である。代表例を以下に記載
するが本発明はこれらに限定されるものではない。
【0201】 A.第1分類(ニーズに対する性能別の分類) 1.加工用助剤 a.加工安定剤(酸化防止剤、熱安定剤) (PVC安定剤) b.流動制御剤(可塑化剤、滑剤) c.保形助剤(離型剤、収縮防止剤) 2.改質配合剤 2−1 安定剤(寿命制御剤) a.酸化防止剤 b.耐光安定剤 c.難燃剤 d.生物安定剤(Biostabilizers) e.金属劣化防止剤(Metal deactivators) f.(劣化修復剤) 2−2 性能改質剤(物性制御剤) a.耐衝撃性改良剤 (各種エラストマー、L−LDPE樹脂) b.充てん材、補強材 c.着色剤 d.可塑剤 e.発泡剤 f.架橋剤(有機過酸化物) g.造核剤 2−3 機能改質剤(機能付与剤) a.導電剤、磁性剤 b.静電防止剤 c.蛍光白色剤 2−4 分解促進剤 a.生分解 b.光分解 c.熱分解 等
【0202】 B.第2分類(配合剤の持つ属性別の分類) 1.粉体改質剤 a.補強材/充てん材 b.核剤 c.加工助剤 d.粉/粉特殊構造体 2.反応性改質剤 a.架橋剤 b.マクロモノマー c.安定剤(熱、光、放射線、生物) d.分解促進剤(生物、光、熱) 3.界面改質剤 a.カップリング剤 b.相溶化剤 c.可塑剤/溶剤 4.高分子改質剤 a.加工性改良剤、性能改質剤 b.アロイ、ブレンド(性能改質) 等
【0203】写真感光材料用包装材料を構成する多層共
押出しフィルムの最外層中における、ASTM D 16
19−60の測定方法による硫黄成分は、0.6%以
下、好ましくは0.4%以下、より好ましくは0.2%以
下、最も好ましくは0.1%以下にする。硫黄成分量を
少なくなるようにしないとカブリ増加や感度異状、発色
異状等の写真感光材料の写真性に悪影響を及ぼす。特
に、直接写真感光材料の写真性に大きく悪影響を及ぼす
遊離硫黄成分(各試料を液体窒素で冷却固化後粉砕し、
この粉砕した試料100gをソックスレー抽出器に入れ
クロロホルムで60℃8時間抽出冷却後、全容を100
mlとする。この溶液10mlを高速液体クロマトグラ
フに注入し、硫黄を定量する。高速液体クロマトグラフ
分離条件はカラム;ODSシリカカラム(4.6φ×1
50mm)、分離液;メタノール95と水5(酢酸とト
リエチルアミンをそれぞれ0.1%含む)、流速;1m
l/分、検出波長;254nm、定量は絶対検量線法に
よって行う。)は0.1%以下、好ましくは0.05%
以下、特に好ましくは0.005%以下、最も好ましく
は0.002%以下である。
【0204】また、特に写真性を悪化させるシアン化合
物含有量(4−ピリジンカルボン酸・ピラゾロン吸光分
析法にて定量したシアン化水素量を写真感光材料用包装
材料を構成する写真感光材料側の樹脂層の重量に対する
ppm単位に換算した値)は、10ppm以下、好まし
くは5ppm以下、特に好ましくは2.5ppm以下、
最も好ましくは1ppm以下である。
【0205】本発明の写真感光材料用包装材料を適用で
きる用途について説明する。 (1) 透明、着色又は印刷付のレンズ付フィルムユニッ
ト包装用の防湿・密封包装袋(特開平8−254793
号公報等)。 (2) 透明、着色又は印刷付のプラスチック容器入りの
撮影用写真フィルム(JIS 135フィルム、APS
フィルム、マイクロフィルム等)の2本以上を集合包装
する防湿・密封包装袋(特開平8−254793号公報
等)。
【0206】(3) 印画紙、印刷製版用フィルム、撮影
用カットフィルム、Xレイフィルム、PS版等のシート
状写真感光材料用の防湿・密封・遮光性袋(特開平8−
254793号公報,図2〜3、特開平5−5972号
公報等)。 (4) 帯状写真感光材料包装体用遮光性フィルム(特開
平2−72347号公報、実公平7−50743号公
報、実公平6−8593号公報、特開平6−21435
0号公報、実公平8−10812号公報等)。 (5) 印画紙、映画用フィルム、マイクロポジフィル
ム、印刷製版用フィルム、熱現像拡散転写紙等のロール
状写真感光材料用防湿密封遮光袋(特開平6−6735
8号公報等)。 (6) 印画紙、写真フィルム等の帯状感光材料の明室装
填包装体用防湿・遮光フィルム又はリーダーフィルム
(特開昭62−172344号公報、特開平2−723
47号公報、特開平5−72672号公報、特開平5−
216176号公報、特開平6−75341号公報、特
開平6−214350号公報、特開平6−148820
号公報、特開平7−257510号公報、特開平7−9
2618号公報、特開平8−40468号公報、実公昭
56−16608号公報、実公平6−8593号公報、
実公平8−9725号公報等)。 (7) バルクロール状写真感光材料包装用の防湿・遮光
フィルム。
【0207】上述した各種の密封袋は、チューブ状フィ
ルムの底シール袋、二方シール袋、三方シール袋、四方
シール袋、ガゼット袋等がある。
【0208】また、各種の上包み包装にも用いることが
できる。例えば、カートン又はトレーの上包み包装、キ
ャラメル型の上包み包装、スナック型の上包み包装、紙
巻きたばこ型の上包み包装、ロール上包み包装、棒状上
包み包装、ひねり上包み包装等があり、また、社団法人
日本包装技術協会 1995年7月1日発行,「包装技
術便覧」754頁〜774頁記載の各種包装体として使
用可能である。
【0209】本発明の写真感光材料用包装材料を適用す
ることができる写真感光材料の代表例を以下に示す。
【0210】(1) ハロゲン化銀写真感光材料:印刷フ
ィルム、白黒及びカラー印画紙、レントゲンフィルム、
カラーフィルム(ネガ及びリバーサル)印刷用マスター
紙、DTR感光材料、電算写植フィルム及びペーパー、
マイクロフィルム、サーベランスフィルム、映画用フィ
ルム、自己現像型写真感光材料、フルカラー感熱紙、直
接ポジ型フィルム及びペーパー等。
【0211】(2) 熱現像写真感光材料:熱現像カラー
感光材料、熱現像白黒感光材料(例えば、特公昭43−
4921号公報、特公昭43−4924号公報、「写真
工学の基礎」銀塩写真編(1979年コロナ社刊行)の
第553頁〜第555頁及びリサーチ・ディスクロジャ
ー誌1978年6月号第9頁〜第15頁(RD−170
29)等に記載されているもの。さらに、特開昭59−
12431号公報、同60−2950号公報、同61−
52343号公報や米国特許第4,584,267号明
細書等に記載されている転写方式の熱現像カラー感光材
料等)。
【0212】(3) 感光・感熱性記録材料:特開昭59
−190886号公報、特開昭61−40192号公
報、特開昭61−40193号公報、特開平3−723
58号公報、特開平3−288688号公報、特開平4
−28585号公報等に記載されているフォトサーモグ
ラフィー(感光・感熱画像形成方法)を用いた記録材料
(フルカラー感熱紙も含む)等。
【0213】(4) ジアゾニウム写真感光材料:4−モ
ルフォリノベンゼンジアゾニウムマイクロフィルム、マ
イクロフィルム、転写用フィルム、印刷用版材等。
【0214】(5) アジド、ジアジド系写真感光材料:
パラアジドベンゾエード、4,4'ジアジドスチルベン等
を含む感光材料、例えば、複写用フィルm、印刷用版材
等。
【0215】(6) キノンジアジド系写真感光材料:オ
ルソーキノンジアジド、オルソーナフトキノンジアジド
系化合物、例えば、ベンゾキノン(1,2)'−ジアジド
−(2)−4−スルフォン酸フェニルエーテル等を含む感
光材料、例えば、印刷用版材、複写用フィルム、密着用
フィルム等。
【0216】(7) フォトポリマー:ビニル系モノマー
つを含む感光材料、印刷用版材、密着用フィルム等。
【0217】(8) ポリビニル桂皮酸エステル系写真感
光材料:印刷用フィルム、IC用レジスト等。
【0218】本発明の感光材料用包装材料の好ましい実
施態様を以下に記載する。 A:ブロッキング接着積層性を好ましくする態様 最内層が、結晶化度が60%以下、好ましくは56
%以下、より好ましくは51%以下、最も好ましくは4
6%以下のシングルサイト触媒を用いずに(例えば、マ
ルチサイト触媒を用いる)製造重合したエチレン共重合
樹脂を主成分としたエチレン共重合体樹脂組成物からな
る請求項に記載の写真感光材料用包装材料。 最外層にブロッキング防止剤の1種以上を0.1〜
30重量%含有させた上記記載の写真感光材料用包装
材料。 最外層中のブロッキング防止剤含有量≧最内層中の
ブロッキング防止剤含有量、の関係にある上記又は
に記載の写真感光材料用包装材料 最外層中の滑剤含有量≧最内層中の滑剤の含有量、
の関係にある上記、又はに記載の写真感光材料用
包装材料。なお、写真感光材料の包装適性向上、スリ傷
やスタチックマークはし防止効果もある。 最外層中の遮光性物質含有量≧最内層中の遮光性物
質含有量、の関係にある上記、、又はに記載の
写真感光材料用包装材料。なお、ライトパイピングによ
る光侵入防止効果もある。 最外層中のゼオライト含有量≧最内層中のゼオライ
ト含有量、の関係にある上記、、、又はに記
載の写真感光材料用包装材料。 最外層中のゼオライト系抗菌剤含有量≧最内層中の
ゼオライト系抗菌剤含有量、の関係にある上記、、
、、又はに記載の写真感光材料用包装材料。な
お、写真感光層に用いられているゼラチンやポリビニル
アルコール等の劣化防止効果もある。 最外層中のα−トコフェロール含有量≧最内層中の
α−トコフェノール含有量、の関係にある上記、、
、、又はに記載の写真感光材料用包装材料。
【0219】B:包装材料の写真性を良好にする態様 最外層中の酸化防止剤含有量≧最内層中の酸化防止
剤含有量、の関係にあるA記載の写真感光材料用包装
材料。 最外層中のリサイクル樹脂含有量≧最内層中のリサ
イクル樹脂含有量、の関係にあるA記載の写真感光材
料用包装材料。 最外層中の相溶化剤含有量≧最内層中の相溶化剤含
有量、の関係にあるA記載の写真感光材料用包装材
料。
【0220】C:製造適性、物理強度、引張り強度、耐
摩耗性等が向上する態様 請求項において、積層フィルムに接着剤層を介して
タテ方向及びヨコ方向の引張り弾性率(ASTM D 8
82)100kgf/mm2以上のフレキシブルシート
を積層した写真感光材料用包装材料。 上記Cに使用するフレキシブルシートが遮光性を
有する写真感光材料用包装材料。 上記C又はCに使用するフレキシブルシートが
多層共押出しフィルムである写真感光材料用包装材料。 上記C、C又はC使用するフレキシブルシ
ートが二軸延伸ポリエチレン−2・6−ナフタレート樹
脂フィルムである写真感光材料用包装材料。
【0221】D:その他 請求項に記載の包装袋のヒートシール層(写真感光
材料側の層)に無機系抗菌性ゼオライトを含有させたこ
とを特徴とする写真感光材料包装体。 シングルサイト触媒を用いて重合製造したエチレン
・αオレフィン共重合体樹脂の分子量分布、組成分布、
低分子量樹脂量がマルチサイト触媒を用いて重合製造し
たエチレン・αオレフィン共重合体樹脂より小さいもの
である請求項に記載の写真感光材料用包装材料。 多層共押出しインフレーションフィルムの最外層に
抗菌剤が含有されている請求項に記載の写真感光材料用
包装材料。 多層共押出しインフレーションフィルムの最内層同
士をブロッキングにより接着積層した積層フィルムの2
つ以上の樹脂層中に遮光性物質が含有されている請求項
に記載の写真感光材料用包装材料。 包装材料のJIS K 7129により測定した透湿
度が5g/m2・24時間(40℃,90%RH)以下で
ある請求項に記載の写真感光材料用包装材料。
【0222】本発明の写真感光材料包装体は、上述した
ような写真感光材料用包装材料を用いて製造したもので
あって、写真感光材料を密封包装した包装袋の外側(反
写真感光材料側)の層は、滑り摩擦係数(ASTM D−
1894に準じた方法で荷重面積42cm2、荷重20
0gで測定)が0.48(滑り開始角度40度)以上であ
り、かつ滑剤を含んでおり、滑り摩擦係数は、好ましく
は0.50以上であり、より好ましくは0.52以上で
ある。
【0223】滑り摩擦係数が0.48未満であると、包
装体を多数積み重ねた場合、包装体がずれ落ちやすくな
る。
【0224】滑り摩擦係数を所定の範囲に調整するに
は、脂肪酸金属塩系滑剤等を添加したり、粘着付与剤を
添加したり、ビカット軟化点の低い樹脂を添加したり、
充填材を添加したりする方法の他に、包装袋の外側に発
泡剤入樹脂溶液やノンスリップ剤を印刷したり、塗布し
たりする方法を用いる。さらに、粘着剤やホットメルト
接着剤を塗布する方法を用いてもよい(塗布や印刷は全
面であっても点状であってもよい)。
【0225】より具体的に説明すると、粒径1〜100
mμのコロイダルシリカを水溶性高分子化合物(ポリビ
ニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアク
リル酸ナトリウムとアクリル酸エステルの共重合物、セ
ルロース誘導体、ゼラチン、カゼイン、ポリビニルアル
コール等)に分散させた層を表面に形成したり不飽和カ
ルボン酸またはそのエステル及びコロイダルシリカの乳
化重合体樹脂層を表面に形成して行なう。この滑剤は、
上述した通りである。
【0226】また、包装体に使用する包装袋の開口部の
上端部の最内層同士を、2ヶ所以上ヒートシール法によ
り溶着することが好ましい。2ヶ所以上ヒートシールに
より溶着することにより、遮光性や物理強度を最大に向
上させながらブロッキング接着が剥がれそうになるのを
防止することができる。
【0227】本発明の写真感光材料用包装材料の層構成
について図面を参照して説明する。図1から図6は、写
真感光材料用包装材料の部分断面図である。図1に示す
写真感光材料用包装材料は、遮光性物質を含有した最内
層1aと遮光性物質を含有した最外層2aとからなる2
枚の2層共押出しインフレーションフィルムIIaが、そ
の最内層1a同士がブロッキングにより接着Bされたも
のである。
【0228】図2に示す写真感光材料用包装材料は、遮
光性物質を含有しない最内層1と遮光性物質を含有した
最外層2aとからなる2枚の2層共押出しインフレーシ
ョンフィルムIIaが、その最内層1同士がブロッキング
により接着されたものである。
【0229】図3に示す写真感光材料用包装材料は、遮
光性物質を含有した最内層1aと遮光性物質を含有しな
い最外層2とからなる2枚の2層共押出しインフレーシ
ョンフィルムIIaが、その最内層1a同士がブロッキン
グにより接着Bされたものである。
【0230】図4に示す写真感光材料用包装材料は、遮
光性物質を含有した最内層1aと遮光性物質を含有した
最外層2aとこれらの中間に設けられた遮光性物質を含
有した中間層3aとからなる3枚の3層共押出しインフ
レーションフィルムIIIaが、その最内層1a同士がブ
ロッキングにより接着Bされたものである。
【0231】図5に示す写真感光材料用包装材料は、遮
光性物質を含有しない最内層1と遮光性物質を含有した
最外層2aとこれらの中間に設けられた遮光性物質を含
有した中間層3aとからなる3枚の3層共押出しインフ
レーションフィルムIIIaが、その最内層1同士がブロ
ッキングにより接着Bされたものである。
【0232】図6に示す写真感光材料用包装材料は、図
1に示す層構成において、一方の最外層2aに接着剤層
4を介して遮光性物質を含有したフレキシブルシート層
5aを積層したものである。
【0233】
【実施例】[実施例I]層構成は図1に相当する。各層
に使用した樹脂の内容は以下の通りである。
【0234】〈シングルサイト触媒を用いて重合製造し
たエチレン・αオレフィン共重合体樹脂Aの内容〉 A1:MFRが4g/10分、密度が0.920g/c
3、ビカット軟化点が99℃、融点が115℃、ショ
ア硬度が56D、分子量分布(Mw/Mn)が2.2のエ
チレン・ヘキセン−1ランダム共重合体樹脂(気相法で
重合)。 A2:MFRが3g/10分、密度が0.910g/c
3、ビカット軟化点が97℃、融点が112℃、ショ
ア硬度が53D、分子量分布(Mw/Mn)が1.8のエ
チレン・ヘキセン−1ランダム共重合体樹脂(気相法で
重合)。 A3:MFRが2.5g/10分、密度が0.930g
/cm3、ビカット軟化点が104℃、融点が120
℃、ショア硬度が59D、分子量分布(Mw/Mn)が
2.0のエチレン・ヘキセン−1ランダム共重合体樹脂
(溶液法で重合)。
【0235】〈シングルサイト触媒を用いずに重合製造
したポリオレフィン樹脂Bの内容〉 B1:MFRが2g/10分、密度が0.920g/c
3、ビカット軟化点が112℃、融点が123℃、シ
ョア硬度が55D、分子量分布(Mw/Mn)が3.5
の溶液法で重合製造したエチレン・オクテン−1ランダ
ム共重合体樹脂。 B2:MFRが2g/10分、密度が0.900g/c
3、ビカット軟化点が80℃、融点が113℃、ショ
ア硬度が46D、分子量分布(Mw/Mn)が2.8の気
相法で重合製造したエチレン・ブテン−1ランダム共重
合体樹脂。 B3:MFRが2.5g/10分、密度が0.920g
/cm3、ビカット軟化点が93℃、融点が112℃、
ショア硬度が50D、分子量分布(Mw/Mn)が5.
8の高圧イオン重合法で重合製造したホモポリエチレン
樹脂。 B4:MFRが0.8g/10分、密度が0.955g
/cm3、ビカット軟化点が126℃、融点が137
℃、ショア硬度が67D、分子量分布(Mw/Mn)が
4.6のチタン系チーグラー触媒使用低圧重合製造ホモ
ポリエチレン樹脂。 B5:VA含有量15重量%のエチレン・酢酸ビニル共
重合体樹脂。
【0236】〈シングルサイト触媒を用いて重合製造し
たホモポリエチレン樹脂Cの内容〉 C1:MFRが1.6g/10分、密度が0.956g
/cm3、ビカット軟化点が127℃、融点が139
℃、ショア硬度が66D、分子量分布(Mw/Mn)が
2.6のジルコニウム系メタロセン触媒使用低圧重合製
造ホモポリエチレン樹脂。
【0237】結果を表4及び表5に示す。
【0238】
【表4】
【0239】
【表5】
【0240】評価は下記による。 ◎……非常に優れている ○……優れている ●……実用限度 ▲……問題あり(改良必要) ×……実用不可
【0241】〈包装材料のブロッキング故障〉最内層同
士をブロッキング接着積層した包装材料を10枚ステン
レス板(重さ1kg)の間に積重ね、20℃,60%R
Hに1週間放置後、1枚1枚を引き剥がす際の最外層間
のブロッキング状態により評価。
【0242】〈内層同士のブロッキング接着積層性〉内
層同士のブロッキング接着安定性(温度、季節変動に対
し)、製袋時の剥離防止性、ラミネート時の剥離防止性
等を総合評価。
【0243】〈写真性〉各積層フィルムを用いて作成し
た防湿・遮光袋にカラー印画紙をヒートシール方法によ
り密封包装後、温度40℃、相対湿度80%の恒温・恒
湿室に3日間放置した後、通常の現像処理を行った時の
タイプ(ブランク)とのカブリ、感度、階調、発色等の
写真性変化の大きさより評価。
【0244】〈インフレーションフィルム成形性〉各フ
ィルムを成形する時の樹脂ペレットのブロッキング防止
性、フィルム成形時の押出し機の電流負荷、バブルの安
定性、筋や白粉やシワの発生防止性、巻き取り適性(蛇
行防止性、静電気防止性等)等を総合的に評価。
【0245】〈ヒートシール適性〉密封ヒートシール
性、ヒートシール強度、ヒートシール安定性、ホットタ
ック性、経時ヒートシール強度等を総合評価。
【0246】〈帯電防止性〉テストすべき積層フィルム
で巾35mm、長さ1350mmのエンドレスベルトを
作り、このエンドレスベルトを荷重500gのSUS
(ステンレス)ロールとSUSロール間に12m/分の
速度で送った時のハクリ帯電圧をボルトメーターで測定
した(新東科学KK製測定器)。
【0247】〈物理強度〉引き裂き強度、衝撃穴あけ強
度、破袋強度等を総合評価。
【0248】〈遮光性〉包装貨物振動試験方法(JIS
Z 0232の方法Bのピーク加速度±4.90m/
2、加振時間15分)後の包装袋の遮光性を光漏れ程
度から評価。
【0249】実施例Iにおいては、遮光性物質であるフ
ァーネスカーボンブラックの分散改良物質であり、か
つ、フィルム成形性改良物質である脂肪酸金属塩である
ステアリン酸カルシウムと、数平均分子量が10,00
0以下の低分子量ポリオレフィン樹脂である低分子量ポ
リエチレン樹脂を含む樹脂組成物としたので、フィルム
成形性が優れ、ブツやミクログリットの発生が少なく、
シワや筋の発生がないものであった。
【0250】[実施例II]層構成は図6に相当する。
【0251】〈遮光性物質を含む最内層1a〉MFRが
2g/10分、密度が0.900g/cm3、ビカット軟
化点が80℃、融点が113℃、ショア硬度が46D、
分子量分布(Mw/Mn)が2.8の、気相法でシングル
サイト触媒を用いずに重合製造したエチレン・ブテン−
1ランダム共重合体樹脂(上記B2)が71.85重量
%、MFRが2.5g/10分、密度が0.920g/c
3、ビカット軟化点が93℃、融点が112℃、ショ
ア硬度が50D、分子量分布が5.8の、高圧イオン重
合法で重合製造したホモポリエチレン樹脂(上記B3)
が20重量%、ステアリン酸カルシウム0.1重量%、
ヒンダードフェノール系酸化防止剤0.05重量%、フ
ァーネスカーボンブラック3重量%、数平均分子量が
3,000の低分子量ポリエチレン樹脂5重量%からな
り、厚さ20μmの遮光性ポリオレフィン樹脂層であ
る。
【0252】〈遮光性物質を含む最外層2a〉MFRが
2.5g/10分、密度が0.930g/cm3、ビカ
ット軟化点が104℃、融点が120℃、ショア硬度が
59D、分子量分布(Mw/Mn)が2.0のシングル
サイト触媒を用いて溶液法で重合製造したエチレン・ヘ
キセン−1ランダム共重合体樹脂(上記A3)が86.
80重量%、MFRが2.5g/10分、密度が0.9
20g/cm3、ビカット軟化点が93℃、融点が11
2℃、ショア硬度が50D、分子量分布が5.8のシン
グルサイト触媒を用いずに高圧イオン重合法で重合製造
したホモポリエチレン樹脂(上記B3)が5重量%、ステ
アリン酸カルシウム0.1重量%、エルカ酸アミド0.0
5重量%、ヒンダードフェノール系酸化防止剤0.05
重量%、ファーネスカーボンブラック3重量%、数平均
分子量が3,000の低分子量ポリエチレン樹脂5重量
%からなり、厚さ20μmの遮光性ポリオレフィン樹脂
層である。
【0253】上述した最内層1aと最外層2aとの2層
構成からなる総厚さ40μmの遮光性2層共押出しイン
フレーションフィルムIIaの最内層1a同士を、金属ロ
ールとゴムロールから構成されたピンチロール(ニップ
線圧60kg/cm=略プレス圧力kg/cm2と同
じ)でブロッキングにより接着(ハクリ強度5g/15
mm幅)積層し、4層構成の総厚さ80μmの遮光性積
層フィルムを作製した。
【0254】次に、この遮光性積層フィルムの外側(反
写真感光材料側)に、厚さ40μm(ファーネスカーボ
ンブラック5重量%含む厚さ30μmの遮光性中間層の
両側に厚さ5μmの透明内・外層から構成)の二軸延伸
ポリプロピレン樹脂フィルムを、厚さ15μmのMFR
が5.1g/10分、密度が0.919g/cm3、分子
量分布(Mw/Mn)が6.3のホモポリプロピレン樹
脂を主成分とする樹脂温度320℃のポリオレフィン樹
脂エクストルージョンラミネート接着剤層を介して積層
し、写真感光材料用包装材料を作製した。
【0255】実施例IIにおいては、フレキシブルシート
5aとして遮光性二軸延伸3層共押出しポリプロピレン
樹脂フィルムを積層したので、ヤング率、耐熱性、衝撃
穴あけ強度が大きく、かつ、遮光性、防湿・密封性、製
袋適性が非常に優れていた。また、物理強度が向上し、
製袋適性がよく、10kg以上のエッジがシャープなロ
ール状カラー印画紙(8.9cm幅×180m長さ)や写
真フィルム(35mm幅×3000フィート長さ)又は
シート状フィルム(A2サイズ×50枚入)を密封包装
して100km以上輸送しても密封包装袋にピンホール
の発生や製品重量によりブロッキング接着積層した積層
フィルム使用時に観察された伸びによる薄肉化現象も発
生することが無くなり、防湿・遮光性を100%良好の
状態で確保できた。
【0256】また、外側表面に引張り弾性率が大きい
(タテ方向215kgf/mm2、ヨコ方向425kgf
/mm2)二軸延伸3層共押出しポリプロピレン樹脂フィ
ルムをポリエチレン樹脂接着層を介して積層しているの
で表面強度が大きく耐摩耗性、テープ貼適性が非常に優
れており、特に、落下や混載製品との衝突による破れや
ピンホールの発生が皆無になった。透湿度も3g/m2
・24時間(40℃、90%RH)以下(JIS K 7
129)であり、包装材料主成分が写真感光材料に悪影
響を与えないポリオレフィン樹脂から構成されているの
でアルミニウム箔やアルミニウム蒸着フィルムを積層す
ることなく写真感光材料の品質を2年以上良好に維持で
きるようになった。また、すべてがポリオレフィン樹脂
から構成されているのでリサイクル適性、焼却適性等容
器包装リサイクル法をクリヤーできる包装材料であっ
た。
【0257】[実施例III]実施例I及び実施例IIの写
真感光材料用包装材料を使用し、内紙のみからなる1重
ガゼット袋(特公平4−80373号公報14頁第10
図に相当する)を作製し、この1重ガゼット袋の写真感
光材料を挿入する入口となる開口部において、開口部の
上端部の最内層同士を、幅5mm、長さ5mmの正方形
状(面積25mm2)に2個所5cmの間隔でヒートシー
ルにより溶着(ヒートシール強度300g以上)した。
【0258】この1重ガゼット袋に写真感光材料を挿入
し、開口部を幅2cmで2回折り曲げた後、幅3cmの
接着テープで接着し、写真感光材料を密封包装した写真
感光材料包装体とした。
【0259】実施例IIIにおいては、ブロッキングによ
る接着積層したハクリ強度が300g/15mm幅以
下、ほとんどがハクリ強度50g/15mm幅以下と柔
軟性を確保するようにしているので、柔軟性、カール防
止性、物理強度が非常に優れている。この特性を確保し
ながら写真感光材料を防湿・遮光袋の開口部から出し入
れする時に、このハクリ強度の小さいブロッキング接着
部分からハクリしないように2個所ヒートシールしたの
で、ブロッキング接着部分が剥がれることがなく暗室内
の作業性が優れたものであり、また、一重ガセット袋で
あっても従来の2重ガセット袋の物理強度以上の強度を
有するものであった。
【0260】
【発明の効果】本発明は、以上のように構成したので、
以下に記載する効果を有する。 i) 柔軟性及びカール防止性が優れている。 ii) 物理強度が優れている。 iii) ヒートシール適性が優れている。 iv)写真感光材料の写真性を有効期間中(長いものは略
2年間)良好に維持できる。 v) 写真感光材料用包装材料として必要な各種特性を
インフレーションフィルム成形工程のみで製造できる。 vi) 上記i〜vを満足する写真感光材料用包装材料を
ポリオレフィン樹脂を主成分とするリサイクル適性、焼
却適性を有する構成で製造できる。 vii) 上記i〜viを満足し、写真感光材料の取り扱い性
が優れ、密封包装適性の優れた写真感光材料包装体を安
価に提供できる。 viii)接着剤層を介して耐熱性、高ヤング率、易印刷性
フレキシブルシートを積層した包装材料はカールが小さ
く、柔軟性及び物理強度が優れ、製袋適性は最も優れて
いる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の写真感光材料用包装材料の層構成を
示す部分断面図である。
【図2】 本発明の写真感光材料用包装材料の層構成を
示す部分断面図である。
【図3】 本発明の写真感光材料用包装材料の層構成を
示す部分断面図である。
【図4】 本発明の写真感光材料用包装材料の層構成を
示す部分断面図である。
【図5】 本発明の写真感光材料用包装材料の層構成を
示す部分断面図である。
【図6】 本発明の写真感光材料用包装材料の層構成を
示す部分断面図である。
【図7】 PET樹脂フィルムとPEN樹脂フィルムの
透過率を示す図である。
【図8】 ポリエチレンの密度と性質との大略の関係を
示す図である。
【符号の説明】
1,1a 最内層 2,2a 最外層 3,3a 中間層 4,4a 接着剤層 5,5a フレキシブルシート II,IIa 2層共押出しインフレーションフィルム III ,IIIa 3層共押出しインフレーションフィルム B ブロッキングによる接着部を示す a 遮光性物質を含有することを示す
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F100 AA37 AK01E AK03A AK03B AK03C AK03D AK04B AK04C AK04J AK07 AK07G AK62A AK62D AK62J AK63 AK65 AK68 AL02B AL02C BA04 BA05 BA06 BA07 BA08 BA16 BA28 CA30A CA30D CB00 DA02 DB02 EC01B EC01C EC18B EC18C EH20 EH23 GB17 GB27 JA11B JA11C JB16E JD09E JK01 JK02E JK07E JK17 JL04 JL12 JL16 YY00B YY00C YY00E

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 最外層と最内層とを有する多層共押出し
    インフレーションフィルムの最内層同士をブロッキング
    により接着積層した積層フィルムを具備した写真感光材
    料用包装材料において、最外層がシングルサイト触媒を
    用いて重合製造したポリオレフィン樹脂を主成分とし、
    最内層がシングルサイト触媒を用いずに重合製造したポ
    リオレフィン樹脂を主成分とすることを特徴とする写真
    感光材料用包装材料
  2. 【請求項2】 前記多層共押出しインフレーションフィ
    ルムの最外層が、メタロセン触媒を用いて重合製造した
    エチレン・αオレフィン共重合体樹脂を主成分とする請
    求項1記載の写真感光材料用包装材料
  3. 【請求項3】 前記多層共押出しインフレーションフィ
    ルムの最内層が、マルチサイト触媒を用いて重合製造し
    たエチレン共重合体樹脂を主成分とする請求項1記載の
    写真感光材料用包装材料
  4. 【請求項4】 前記エチレン共重合体樹脂のX線法によ
    る結晶化度が60%以下である請求項3記載の写真感光
    材料用包装材料
  5. 【請求項5】 前記多層共押出しインフレーションフィ
    ルムの最内層同士をブロッキングにより接着積層した積
    層フィルムに、接着剤層を介して紫外線を遮断するタテ
    方向の引張弾性率(ASTM D 882に準じて測定)が
    100kgf/mm2以上の熱可塑性樹脂フィルムを積
    層した請求項1、2、3又は5記載の写真感光材料用包
    装材料
  6. 【請求項6】 最外層と最内層とを有する多層共押出し
    インフレーションフィルムの最内層同士をブロッキング
    により接着積層した積層フィルムを具備した写真感光材
    料用包装材料において、最外層がシングルサイト触媒を
    用いて重合製造した分子量分布が1.0〜5のエチレン
    ・αオレフィン共重合体樹脂を主成分とし、最内層がマ
    ルチサイト触媒を用いて重合製造した分子量分布が2以
    上、X線法による結晶化度が60%以下のエチレン・α
    オレフィン共重合体樹脂を主成分とし、脂肪酸金属塩を
    0.01〜5重量%含有することを特徴とする写真感光
    材料用包装材料
  7. 【請求項7】 請求項1、2、3、4、5又は6記載の
    写真感光材料用包装材料を用いて製造した包装袋に写真
    感光材料を密封収納したものであって、包装袋の外側の
    層は、滑り摩擦係数(ASTM D−1894に準じた方
    法で荷重面積42cm2、荷重200gで測定)が0.4
    8(滑り開始角度40度)以上であり、かつ滑剤を含んで
    いることを特徴とする写真感光材料包装体
  8. 【請求項8】 包装袋の開口部において上端部の最内層
    同士を2ヶ所以上ヒートシール法により溶着したことを
    特徴とする写真感光材料包装体
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