WO2014030332A1

WO2014030332A1 - 洗濯乾燥機

Info

Publication number: WO2014030332A1
Application number: PCT/JP2013/004890
Authority: WO
Inventors: 裕司堀端; 英樹縄田; 松田　眞一; 藤原　宣彦
Original assignee: パナソニック株式会社
Priority date: 2012-08-24
Filing date: 2013-08-19
Publication date: 2014-02-27
Also published as: CN104428461A; CN104428461B

Abstract

　洗濯乾燥機（５０）であって、開口部（１ａ）を正面側に有し、底部に凹形状の排水部（１５）を有する水槽（１）と、水槽（１）内に回転可能に設けられた回転槽（４）とを備えている。また、回転槽（４）を回転駆動するモータ（１０）と、水槽（１）に設けられ、水槽（１）の内面上の水滴を正面側から背面側に誘導するガイド部（２８）とを備えている。

Description

洗濯乾燥機

　本発明は、衣類等の洗濯および乾燥を行う洗濯乾燥機に関する。

　従来の洗濯乾燥機は、衣類等の洗濯物を回転槽内で洗濯するとともに、洗濯が終わると回転槽内に温風を供給して、洗った洗濯物を乾燥させる機能を有している。このような洗濯乾燥機は、乾燥用の温風を循環させるための風路を有している。風路内には、乾燥中に衣類等から出たリントを捕捉する乾燥フィルタが設けられており、リントが衣類に再付着することを防いでいる。

　衣類に含まれる水分を、回転槽の高速回転によって遠心脱水する脱水工程においては、衣類から脱水された水滴が飛散し、水槽の内壁面に付着する。付着した水滴は、回転槽の回転により、水槽内に発生する気流によって、水槽の内壁面を移動して、風路に浸入する。このため、脱水工程中に風路に浸入した水滴が、風路や乾燥フィルタ等に付着して汚れることを防止するために、風路を屈曲させる構成が提案されている（例えば、特許文献１を参照）。

　図３７は、従来の洗濯乾燥機１０００の断面構成を示す図である。

　洗濯乾燥機１０００は、筐体１０５１を有している。筐体１０５１内には、水槽１０５２が弾性支持されている。水槽１０５２内には、実質的に円筒状の回転槽１０５３が回転可能に設けられている。回転槽１０５３は、水槽１０５２の背面側外部に取り付けられたモータ１０５４によって回転駆動される。回転槽１０５３の周側面には多数の孔１０５５が設けられ、水槽１０５２と連通している。回転槽１０５３は、洗濯時には洗濯室として機能し、乾燥時には乾燥室として機能する。

　筐体１０５１内の上部には、送風部１０５６が配設されており、乾燥運転時には、循環風路１０５７を通して、乾燥用空気が水槽１０５２の上方に設けられた排気口１０５８から吸い込まれて、送風口１０５９から回転槽１０５３内に送風される。循環風路１０５７内には、乾燥用空気を除湿する除湿部１０６０と、除湿された乾燥用空気を加熱する加熱部１０６１とが設けられている。

　乾燥運転時には、衣類等から発生したリントが乾燥用空気に混入して、循環風路１０５７内に設けられた送風部１０５６等に付着堆積し、その機能を低下させる原因となる。このため、循環風路１０５７には、乾燥用空気からリントを捕捉する乾燥フィルタ１０６２を設け、送風部１０５６の風上側に配設している。

　循環風路１０５７には、排気口１０５８から流入した乾燥用空気が乾燥フィルタ１０６２に至るまでの間に、屈曲部１０６３が設けられている。これにより、脱水工程中に衣類から回転槽１０５３外に飛散した水滴が、回転槽１０５３の回転によるファン効果によって発生する気流の影響により、排気口１０５８から循環風路１０５７内に浸入しても、乾燥フィルタ１０６２までは到達し難いようにしている。

　しかしながら、上述した従来の構成では、風路が屈曲して形成されているために、圧損が大きくなり、送風部１０５６の消費電力量が増加するという課題がある。また、水飛びの一例として、脱水された水滴が水槽１０５２の壁面に付着して、高速で回転する回転槽１０５３のファン効果により、回転槽１０５３の回転方向に壁面を移動して、排気口１０５８近傍で、循環風路１０５７に浸入する気流の影響により風路に飛び出ることがある。よって、風路を屈曲させることによって、水滴の浸入を阻止することは難しい。

　風路に水滴が浸入すると、乾燥工程中に発生するリントが風路に付着して堆積しやすくなるとともに、風路内に設けられている乾燥フィルタ１０６２に水滴が付着して圧損が増加し、風量が低下して乾燥時間が長くなってしまう。さらに、乾燥フィルタ１０６２へのスケールの固着により、乾燥フィルタ１０６２を掃除する頻度が増加する等の課題もある。

　また、脱水工程中に、水滴が風路に浸入するのを防止するために、排気口に弁体を設ける構成も提案されている（例えば、特許文献２を参照）。

　しかしながら、排気口に弁体を設けた構成では、構成が複雑になるという課題がある。さらに、排気口を流れる気流にはリントが含まれるので、乾燥運転中に弁体とハウジングとの間隙にリントが入り込むと、弁体の動作に不具合が生じるという課題もある。

　さらに、従来の洗濯乾燥機の別の例（例えば、特許文献３）においては、水飛びの別の例として、排水されるはずの水滴が適切に排水されず、回転槽に戻ってしまうという課題もある。

　この例を具体的に説明する。回転槽の回転が低速回転（例えば、８００回転以下）の間は、排水が良好に行われるが、回転槽を高速回転（例えば、１２００回転）させた場合には、回転槽の孔によって回転槽の回転方向への気流が発生する。さらに、回転槽支持部がファン効果を起こすため、水槽の背面側から正面側への気流が発生する。

　このため、衣類から脱水された水滴は、気流の影響で水槽の内壁面を螺旋状に正面側へ移動するので、排水部に確実に水滴が回収されず、排水が適切に行われないという課題が発生する。この場合、気流の影響で、水滴が、正面側の開口部から回転槽内に戻って内部の衣類を濡らすので、脱水時間が長くなってしまう。

特開２００７－２８２７２９号公報特開２０１２－７０９７６号公報特開２００５－６５９２０号公報

　本発明は、運転中に、循環風路への水滴の浸入や、水滴が水槽の内壁面を正面方向に移動する、水飛び現象を抑制することのできる洗濯乾燥機を提供することを目的とする。

　本発明の洗濯乾燥機は、開口部を正面側に有し、底部に凹形状の排水部を有する水槽と、水槽内に回転可能に設けられた回転槽と、回転槽を回転駆動するモータと、水槽に設けられ、水槽の内面上の水滴を正面側から背面側に誘導するガイド部とを備えている。

図１は、本発明の第１の実施の形態における洗濯乾燥機の断面構成を示す図である。図２は、本発明の第１の実施の形態における洗濯乾燥機のシステム系統を示す図である。図３は、本発明の第１の実施の形態における洗濯乾燥機の一部を切欠いて示した要部断面図である。図４は、図３の４－４線分における断面図である。図５は、図３の領域Ｂを拡大して示した図である。図６は、図３の６－６線分における断面図である。図７は、本発明の第１の実施の形態に係る洗濯乾燥機において、回転槽の高速回転中に水槽内で発生する気流を模式的に示した図である。図８は、本発明の第１の実施の形態に係る洗濯乾燥機において、回転槽の高速回転中に水槽内で発生する気流を模式的に示した図である。図９は、本発明の第１の実施の形態に係る洗濯乾燥機において、回転槽の高速回転中に水槽内で発生する気流を模式的に示した図である。図１０は、本発明の第２の実施の形態における洗濯乾燥機の水槽の一部を切欠いて示した断面図である。図１１は、本発明の第３の実施の形態における洗濯乾燥機の水槽の一部を切欠いて示した断面図である。図１２は、本発明の第４の実施の形態における洗濯乾燥機の水槽の一部を切欠いて示した断面図である。図１３は、本発明の第５の実施の形態における洗濯乾燥機の断面構成を示す図である。図１４は、本発明の第５の実施の形態における洗濯乾燥機のシステム系統を示す図である。図１５は、本発明の第５の実施の形態における洗濯乾燥機の一部を切欠いて示した要部断面図である。図１６は、図１５の１６－１６線分における断面図である。図１７は、図１５の領域Ｈを拡大して示した図である。図１８は、図１５の１８－１８線分における断面図である。図１９は、本発明の第５の実施の形態に係る洗濯乾燥機において、回転槽の高速回転中に水槽内で発生する気流を模式的に表した図である。図２０は、本発明の第５の実施の形態に係る洗濯乾燥機において、回転槽の高速回転中に水槽内で発生する気流を模式的に表した図である。図２１は、本発明の第５の実施の形態に係る洗濯乾燥機において、回転槽の高速回転中に水槽内で発生する気流を模式的に表した図である。図２２は、本発明の第６の実施の形態における洗濯乾燥機の水槽の一部を切欠いて示した断面図である。図２３は、本発明の第７の実施の形態における洗濯乾燥機の水槽の一部を切欠いて示した断面図である。図２４は、本発明の第８の実施の形態における洗濯乾燥機の水槽の一部を切欠いて示した断面図である。図２５は、本発明の第９の実施の形態における洗濯乾燥機の断面構成を示す図である。図２６は、本発明の第９の実施の形態における洗濯乾燥機のシステム系統を示す図である。図２７は、本発明の第９の実施の形態における洗濯乾燥機の一部を切欠いて示した要部断面図である。図２８は、図２７の２８－２８線分における断面図である。図２９は、図２７の領域Ｐを拡大して示した図である。図３０は、図２７の３０－３０線分における断面図である。図３１は、本発明の第９の実施の形態に係る洗濯乾燥機において、回転槽の高速回転中に水槽内で発生する気流を模式的に表した図である。図３２は、本発明の第９の実施の形態に係る洗濯乾燥機において、回転槽の高速回転中に水槽内で発生する気流を模式的に表した図である。図３３は、本発明の第９の実施の形態に係る洗濯乾燥機において、回転槽の高速回転中に水槽内で発生する気流を模式的に表した図である。図３４は、本発明の第１０の実施の形態における洗濯乾燥機の水槽の一部を切欠いて示した断面図である。図３５は、本発明の第１１の実施の形態における洗濯乾燥機の水槽の一部を切欠いて示した断面図である。図３６は、本発明の第１２の実施の形態における洗濯乾燥機の水槽の一部を切欠いて示した断面図である。図３７は、従来の洗濯乾燥機の断面構成を示す図である。

　以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、これらの実施の形態によって本発明が限定されるものではない。

　（第１の実施の形態）
　図１は、本発明の第１の実施の形態における洗濯乾燥機５０の断面構成を示す図であり、図２は、同洗濯乾燥機５０のシステム系統を示す図であり、図３は、同洗濯乾燥機５０の一部を切欠いて示した要部断面図である。また、図４は、図３の４－４線分における断面図であり、図５は、図３の領域Ｂを拡大して示した図であり、図６は、図３の６－６線分における断面図である。

　洗濯乾燥機５０は、水槽１を備えている。水槽１は、洗濯乾燥機５０の筐体２の内部に、複数のサスペンション機構３によって弾性的に支持されている。回転槽４は、正面側に、洗濯物５を出し入れする開口部となる投入口６を有し、実質的に有底筒状に構成されて水槽１内に配設されている。回転槽４は、回転軸４ａによって回転可能に設けられ、衣類等の洗濯物５を収容する。

　回転槽４の周側壁７には、全周に亘って多数の孔８が設けられており、回転槽４の周側壁７の内方には、洗濯物５を回転槽４の回転方向へ持ち上げるための撹拌バッフル９が設けられている。水槽１、回転槽４および回転軸４ａは、水平に対して角度θ（例えば、１０～２０°）の前上がりに傾けられた状態で配置されている。

　また、回転槽４の背面側には、回転軸４ａとの強度を増すために、回転軸支持部４ｂが設けられている。回転軸支持部４ｂは、乾燥工程中に回転槽４背面から回転槽４内に気流を通過させるために、羽根形状に構成されており、回転軸４ａを中心として放射状に複数形成されている。

　水槽１の背面側の外部には、回転槽４を回転駆動するモータ１０が設けられており、回転槽４を正逆回転させる。モータ１０は、ブラシレス直流モータ等で構成され、インバータ制御によって回転速度を自在に変化させることができる。

　筐体２の正面側には、投入口６を開閉する扉１１が設けられている。投入口６と対向する水槽１の開口部１ａは、伸縮自在な可撓性のパッキン１２によって筐体２と気密に連結されている。扉１１には、外から回転槽４の内部が見えるように、透明の窓が設けられている。

　扉１１が閉じられると、水槽１の開口部１ａに設けられたパッキン１２が扉１１の内面に密接して、水槽１内が水密、気密空間になる。これにより、洗い、すすぎ、脱水、乾燥の各工程を実行する際に、水や空気を外部に漏らさない構成とすることができる。

　筐体２内には、給水部である給水装置１３が取り付けられ、給水装置１３には、洗剤ケースを介して水槽１に連通する給水経路１４が接続されている。給水装置１３を開閉することによって、水槽１内への水道水の給水と停止とを行うことができる。なお、給水装置１３としては例えば、給水ポンプや給水弁等を用いることができる。

　また、水槽１の底部には、洗い工程で使用された洗濯水の排水後に行われる中間脱水工程において、洗い時に発生した泡が阻害要因とならないように、下方に窪んだ凹形状の排水部１５が設けられている。排水部１５の最下部には排水孔１５ａが設けられている。排水孔１５ａには、排水経路１６が接続されており、排水部である排水装置１７が設けられている。排水装置１７を開閉することにより、水槽１内の洗濯水の排水と停止とを行うことができる。なお、排水装置１７としては例えば、排水ポンプや排水弁等を用いることができる。

　排水経路１６には、水槽１の背面下端近傍にエアトラップ１８が設けられている。エアトラップ１８には、上方に延びる圧力検知路１９を介して、その上端部に、水槽１内の圧力を検知する圧力検知部２０が設けられている。圧力検知部２０は、例えば、内部にダイアフラムを有し、圧力が加わることによるダイアフラムの変形量から圧力を検知する圧力センサ等で構成することができる。圧力検知部２０は、水槽１に給水された洗濯水の水位を検知する。

　排水経路１６には、排水装置１７の下流側に、実質的にＵ字状に形成された排水トラップ２１が設けられている。排水トラップ２１は、屈曲自在な、蛇腹状の排水ホースで形成されており、トラップの高さが排水ホースの内径よりも高くなるようにして、水槽１の底部よりも下方の筐体２内に設けられている。

　水槽１の正面側上方の周側壁７には排気口２２が設けられており、水槽１の背面部には送風口２３が設けられている。排気口２２と送風口２３とは、水槽１の外部上方の正面側から背面側にかけて延設された循環風路２４によって、連通接続されている。

　循環風路２４には、乾燥用空気とともに循環風路２４を通過するリントを捕捉する乾燥フィルタ装置２５、乾燥用空気を回転槽４に供給する送風部２６、ならびに、乾燥用空気の除湿および加熱を行うヒートポンプ装置２７が設けられている。

　送風部２６は、翼形状を有するファン２６ａと、ファン２６ａを回転駆動するファンモータ２６ｂとで構成されている。送風部２６によって送風される乾燥用空気は、送風口２３から回転槽４内に送風される。

　回転槽４の孔８から水槽１内に排出される乾燥用空気は、図１の矢印Ａに示すように、排気口２２から循環風路２４に流入して、乾燥フィルタ装置２５、ヒートポンプ装置２７、送風部２６および送風口２３を経て、回転槽４に循環する。

　水槽１の内壁面の排気口２２近傍には、内壁面から回転槽４側に突出した凸形状のガイド部２８が設けられている。脱水工程において、回転槽４は、図３および図４に示すように、矢印Ｃの方向に高速回転する。ガイド部２８は、正面側から背面側に向かって、回転槽４の回転方向（矢印Ｃ）の手前側から進行側に向かって傾斜するように設けられている（図４参照）。

　ヒートポンプ装置２７は、冷媒を圧縮する圧縮機３０と、圧縮後の高温高圧の冷媒の熱を放熱する加熱部である放熱器３１と、高圧の冷媒の圧力を減圧するための、キャピラリーチューブからなる絞り部３２と、減圧されて低圧となった冷媒が周囲から熱を奪う除湿部である吸熱器３３とを冷媒が循環するように、管路３４でそれぞれの部材が連結され、構成されている。

　送風部２６によって送風される乾燥用空気は、循環風路２４に設けられた吸熱器３３で冷却除湿され、放熱器３１で加熱され、送風口２３から回転槽４へ供給され、排気口２２から循環風路２４に流入して循環する。

　また、循環風路２４は、回転槽４から流出した乾燥用空気の一部を循環風路２４外へ排出することが可能な排気口３５を有し、排気口３５は、排気弁３５ａによって開閉自在に構成されている。排気口３５と吸熱器３３との間には、循環風路２４内に外気を導入することが可能な吸気口３６を有し、吸気口３６は、吸気弁３６ａによって開閉自在に構成されている。

　排気口３５と吸気口３６との間の循環風路２４には、乾燥用空気とともに循環風路２４を通過するリントを捕捉する、乾燥フィルタ装置２５が配設されている。

　制御部４０は、筐体２内の正面側下方に配設されており、モータ１０、給水装置１３、排水装置１７、送風部２６およびヒートポンプ装置２７等を制御して、洗い、すすぎ、脱水、乾燥の各工程を逐次制御する。制御部４０には、水槽１内の圧力および洗濯水の水位を検知する圧力検知部２０の出力と、モータ１０の回転数を検知するモータ回転数検知部１０ａの出力とが入力される。

　以上のように構成された洗濯乾燥機５０について、その動作および作用を説明する。

　使用者によって、筐体２の正面側上部に設けられた操作表示部４２から、運転コースの選択や各工程の時間が入力されると、設定内容に基づいて、制御部４０により、洗いから乾燥までの各工程が、一連の動作として実行される。なお、例えば乾燥工程のみを実行すること等も任意に選択することができる。

　洗濯を行う場合、使用者が、扉１１を開いて回転槽４内に洗濯物５を投入し、操作表示部４２に運転コース等を指示入力すると、洗濯乾燥機５０は運転を開始する。これにより、給水経路１４から水槽１内に水および洗剤が供給され、モータ１０により回転槽４が回転駆動されて、洗い工程が開始される。

　回転槽４が所定の速度（例えば、５０ｒｐｍ）で回転することにより、洗濯物５は、内周面の複数箇所に設けられた撹拌バッフル９によって回転方向に持ち上げられて、回転槽４内の上方から落下する。このような叩き洗いが所定時間繰り返されることにより、洗い工程が行われる。

　洗い工程の後、すすぎ工程および脱水工程が実行されることにより、洗濯が完了する。すすぎ工程においては、まず、排水装置１７が開放され、前工程で用いられた洗濯水を排水する排水工程が行われる。そして、回転槽４が高速回転（例えば、９００ｒｐｍ）することにより、洗濯物５に含まれる汚れや洗剤等が水とともに脱水される中間脱水工程、給水装置１３が開放され、水槽１に新たに水が供給される給水工程、および、回転槽４が所定の速度（例えば、５０ｒｐｍ）で回転し、洗濯物５が攪拌される、すすぎ工程が順次行われる。

　すすぎ工程が所定回数行われた後、前工程の洗濯水が排水装置１７の開放により排水される排水工程、および、回転槽４を高速回転（例えば、９００～１７００ｒｐｍ）させ、洗濯物５に含まれる水分や洗剤分が脱水される本脱水工程からなる脱水工程が行われる。

　図７～図９は、本発明の第１の実施の形態に係る洗濯乾燥機５０において、回転槽４の高速回転中に水槽１内で発生する気流を模式的に示した図である。図７および図９は、側面から見た断面構成を示す図であり、図８は、正面から見た断面構成を示す図である。

　回転槽４が高速回転する中間脱水工程および本脱水工程においては、回転槽４の背面に設けられ、回転軸４ａを支持する羽根形状の回転軸支持部４ｂがファン効果を起こす。これにより、図７に示すように、回転槽４の周側壁７の外側と水槽１との間を背面側から正面側に流れ、正面側の投入口６から回転槽４内に入り、回転槽４の内側を正面側から背面側に流れる気流Ｄが発生する。

　また、回転槽４の周側壁７の外側と空気との粘性や、周側壁７に設けられた孔８が抵抗体となることによるファン効果により、図８に示すような、回転槽４の回転方向（矢印Ｃ）方向の気流Ｅが発生する。

　このため、水槽１内では、中間脱水工程や本脱水工程中に、図９に示すような、二つの気流、すなわち、気流Ｄと気流Ｅとが合成した、正面から見て時計回り、かつ、背面側から正面側に流れる螺旋状の気流Ｆが発生する。

　なお、一般的に、水槽１の内壁面と回転槽４の周側壁７の外面との距離は、１０～１５ｍｍ程度であり、気流の発生源からの距離が近いため、水槽１の内壁面近傍の流れは、気流Ｅが支配的となる。

　また、排気口２２の近傍では、気流Ｆは、空気の慣性により、排気口２２から循環風路２４方向に吹出す気流Ｇに変化する(図８)。

　ガイド部２８が設けられていない場合には、脱水工程中に、回転槽４の孔８から遠心力により水槽１内に飛散した水は、遠心力と回転槽４の高速回転の慣性力を受けて、斜め方向に飛散し、水槽１の内壁面に付着することとなる。水槽１の内壁面に付着した水滴は、気流Ｆによって、正面方向かつ正面から見て時計回りに水槽１の内壁面を移動する。そして、気流Ｆにより、排気口２２から循環風路２４内に水滴が浸入して、循環風路２４内の壁面や乾燥フィルタ装置２５に付着する。

　一方、本実施の形態においては、排気口２２近傍の、回転槽４の正面から見て左側（脱水回転方向（矢印Ｃ）の手前側）にガイド部２８を設け、このガイド部２８が、正面側から背面側に向かって、回転槽４の回転方向（矢印Ｃ）の手前側から進行側に向かって傾斜するように設けられている（図４参照）。

　このため、水槽１の内壁面を移動する水滴は、ガイド部２８に沿って水槽１の背面側へと戻されるので、排気口２２から循環風路２４や乾燥フィルタ装置２５に飛散する水滴を少なくすることができる。

　なお、水槽１の正面側に水滴が移動すると、気流Ｆの影響により、扉１１を経て回転槽４の内部に水滴が戻り、回転槽４内の衣類等に付着して、脱水率の低下による乾燥時間の延長や脱水時間の延長が起こる。しかし、水滴をガイド部２８に沿って水槽１の背面側へ誘導することにより、このような不具合も解消される。

　洗い工程から乾燥工程までを一貫して実行する運転コースが選択入力された場合には、洗い工程が完了すると、制御部４０は、すすぎ工程に続いて乾燥工程を実行する。なお、濡れた衣類等を乾燥させる場合には、乾燥工程のみを実行することもできる。

　回転槽４内に脱水を終えた洗濯物５、または濡れた衣類（以下、まとめて「衣類」と称する）を収容して乾燥工程が実行されると、設定された回転速度で回転槽４が回転して衣類が撹拌されるとともに、送風部２６およびヒートポンプ装置２７が駆動して、回転槽４内への乾燥用空気の送風循環が開始される。

　乾燥工程において、水槽１は、衣類乾燥機における乾燥室と同様の役割を果たす。この際、乾燥フィルタ装置２５に水滴が付着していると、乾燥フィルタ装置２５の有効面積が低下するために、循環風量が減少する。

　ヒートポンプ装置２７においては、圧縮機３０の動作により冷媒が圧縮される。この圧力により、冷媒は、圧縮機３０から管路３４を流れて、放熱器３１、絞り部３２、吸熱器３３および圧縮機３０を循環する。圧縮された冷媒の熱は、放熱器３１に流入して、放熱器３１内に配設された管路３４に設けられたフィンに接する空気に放熱される。これにより、循環風路２４を流れる乾燥用空気が加熱される。

　加熱された乾燥用空気は、送風口２３から回転槽４へと供給され、衣類から水分を奪い、湿った空気となって排気口２２から循環風路２４へと排出される。衣類の乾燥の進行に伴って、衣類から糸屑等のリントが発生する。排気口２２から排出された乾燥用空気は、乾燥フィルタ装置２５を通過し、空気中に含まれているリントが乾燥フィルタ装置２５に捕捉される。

　乾燥フィルタ装置２５によってリントが除去された乾燥用空気は、絞り部３２において減圧され、低圧になった冷媒が流れる吸熱器３３を通過する際に、顕熱と潜熱とを奪われ、除湿される。除湿されることにより生じた結露水は、貯水部に滴下し、除湿されて乾いた乾燥用空気は、放熱器３１を通過して加熱される。除湿された結露水は、排水経路１６を通って機外へと排水される。

　放熱器３１で乾燥用空気が加熱される熱量は、圧縮機３０の消費電力相当分と、吸熱器３３で乾燥用空気から吸熱される熱量との和にほぼ等しいので、放熱器３１は、圧縮機３０に入力された電力以上の出力を得て乾燥用空気を加熱することができる。しかしながら、循環風路２４内で乾燥用空気の循環が繰り返されると、乾燥用空気全体の持つ熱量は、圧縮機３０の消費電力相当分から自然放熱された熱量を差し引いた分だけ蓄積し続けることになる。

　これとともに、ヒートポンプ装置２７内の冷媒が持つ熱量も増え続け、冷媒の温度および圧力が上昇し、圧縮機３０に過負荷が加わる可能性が生じる。これを回避するために、循環風路２４を流れる乾燥用空気の一部を循環風路２４外へと排気する排気口３５と、外気を循環風路２４内に導入する吸気口３６とが設けられている。

　制御部４０は、放熱器３１の入口近傍の管路３４に設けられた冷媒温度検知部４３によって、管路３４を流れる冷媒の温度を検知して、排気口３５および吸気口３６の開閉を制御して、ヒートポンプ装置２７を安定した状態で動作させるようにしている。

　衣類が濡れている乾燥開始時よりも、衣類の乾燥がある程度進行してからの方が、衣類からのリントの発生は多くなる。この際、循環風路２４に洗剤や柔軟剤を含んだ水滴が脱水工程等において付着していると、洗剤や柔軟剤がバインダとなって、循環風路２４内にリントが付着して堆積する。リントが循環風路２４に堆積すると、循環風路２４の断面積が縮小することにより、乾燥工程中に所定の風量が得られずに、乾燥不良や乾燥時間の延長等を起こす場合がある。

　ここで、ガイド部２８は、図７に示したように、背面側端部２８ａを、排水部１５の凹部の正面側端部１５ｂよりも、回転軸方向において背面側に配設することが望ましい。このような構成により、ガイド部２８に誘導された水滴が、排水部１５に戻って、排水孔１５ａから機外に排出されやすくなる。これにより、排気口２２から循環風路２４側に飛散する水滴を減少させることができる。

　以上述べたように、本実施の形態の洗濯乾燥機５０は、開口部となる投入口６を正面側に有し、回転軸４ａによって回転可能に支持される回転槽４と、回転槽４を収容する水槽１と、回転槽４を回転駆動するモータ１０とを有している。また、洗濯乾燥機５０は、水槽１の上部かつ正面側に設けられた排気口２２から回転槽４内に乾燥用空気を導入する送風口２３までを連通接続する循環風路２４と、循環風路２４内の乾燥用空気を送風する送風部２６と、乾燥用空気を加熱する加熱部である放熱器３１と、乾燥用空気に含まれるリントを捕捉する乾燥フィルタ装置２５と、洗濯および乾燥運転を制御する制御部４０とを有している。水槽１の排気口２２の近傍には、回転槽４の脱水回転方向の手前側に、水槽１の内壁から突出するガイド部２８が設けられている。また、ガイド部２８は、回転軸４ａに対して、正面側よりも背面側の方が、脱水回転方向の手前側から進行側へ傾斜するように構成されている。

　このような構成により、回転槽４が高速回転する中間脱水工程や本脱水工程中に、水滴が排気口２２から循環風路２４に浸入することを防ぐことができる。これによって、乾燥工程時の乾燥フィルタ装置２５の圧損増加による乾燥時間延長の抑制や、循環風路２４へのリントの堆積、乾燥フィルタ装置２５へのスケールの堆積等を防ぐことができる。

　また、水槽１は、底部に凹形状の排水部１５を有している。ガイド部２８の背面側端部２８ａは、排水部１５の正面側端部１５ｂよりも背面側に位置するように構成されている。これにより、水槽１の後方に誘導された水滴を、排水部１５に回収して機外へ排出することができるようになり、排気口２２から風路に飛散する水滴を少なくすることができる。

　以上述べたように、本実施の形態の洗濯乾燥機５０は、開口部１ａを正面側に有し、底部に凹形状の排水部１５を有する水槽１と、水槽１内に回転可能に設けられた回転槽４とを備えている。また、回転槽４を回転駆動するモータ１０と、水槽１に設けられ水槽１の内面上の水滴を正面側から背面側に誘導するガイド部２８とを備えている。

　このような構成によれば、ガイド部２８が水槽１における水滴の正面側への移動を妨げることができるので、運転中に、循環風路２４への水滴の浸入や、水滴が水槽１の内壁面を正面方向に移動する、水飛び現象を抑制することができる。

　また、洗濯乾燥機５０は、水槽１の上部かつ正面側に設けられた排気口２２から、回転槽４内に乾燥用空気を導入する送風口２３までを連通接続する循環風路２４と、循環風路２４内の乾燥用空気を送風する送風部２６と、乾燥用空気を加熱する加熱部である放熱器３１と、乾燥用空気に含まれるリントを捕捉する乾燥フィルタ装置２５とをさらに備えている。ガイド部２８は、水槽１の排気口２２近傍の、回転槽４の脱水回転方向の手前側に、水槽１の内壁から突出するように設けられている。そして、ガイド部２８は、回転軸４ａに対して、正面側よりも背面側の方が、脱水回転方向の手前側から進行側へ傾斜するように構成されている。

　このような構成により、脱水工程時に、回転槽４の回転により発生した気流によって壁面を移動する水滴を、気流の力を活かして背面側に誘導することができる。これにより、乾燥フィルタ装置２５および循環風路２４への水滴の浸入を抑制し、乾燥フィルタ装置２５の圧損増加や、循環風路２４へのリント堆積等を低減することができる。したがって、乾燥フィルタ装置２５および循環風路２４を流れる風量を確保して、乾燥性能を良好に維持することができる。

　また、ガイド部２８の背面側端部２８ａは、排水部１５の正面側端部１５ｂよりも背面側に位置するように構成されている。

　これにより、水槽１の背面側に誘導された水滴を、排水部１５に回収して機外へ排出することができるようになり、排気口２２から循環風路２４に飛散する水滴を少なくすることができる。

　（第２の実施の形態）
　図１０は、本発明の第２の実施の形態における洗濯乾燥機５０の水槽１の一部を切欠いて示した断面図である。

　本実施の形態においては、ガイド部２８の先端部に、回転槽４の脱水回転方向の手前側に突出した凸部２８ｂを設けたものである。他の構成は、第１の実施の形態で説明したものと同じであり、同一の構成には同一の符号を付して、詳細な説明は第１の実施の形態のものを援用する。

　本実施の形態では、回転槽４の脱水回転方向の手前側、すなわち、脱水回転方向とは逆方向に凸部２８ｂが突出している。これによって、凸部２８ｂが阻害要因となり、気流Ｅによってガイド部２８を越える水滴が減少するので、排気口２２から循環風路２４側に浸入する水滴を減少させることができる。

　本実施の形態の構成により、ガイド部２８に接触した水滴が、気流の力でガイド部２８を越えるのを防ぐことができ、排気口２２から循環風路２４に飛散する水滴を少なくすることができる。

　（第３の実施の形態）
　図１１は、本発明の第３の実施の形態における洗濯乾燥機５０の水槽１の一部を切欠いて示した断面図である。

　本実施の形態においては、ガイド部２８が複数形成されている。他の構成は、第１の実施の形態で説明したものと同じであり、同一の構成には同一の符号を付して、詳細な説明は第１の実施の形態のものを援用する。

　本実施の形態においては、ガイド部２８が回転槽４の脱水回転方向に複数設けられており、ガイド部２８間には、少なくとも１つの間隙２８ｃが形成されている。この構成によって、気流Ｅによってガイド部２８を越えた水滴が、表面張力によって複数のガイド部２８の間隙２８ｃに入り込み、再び気流Ｅによって背面側に誘導される。このため、排気口２２から循環風路２４側に浸入する水滴を減少させることができる。

　なお、複数形成されたガイド部２８は、脱水回転方向（矢印Ｃ）の進行側の高さをより高くすることが望ましい(図１１)。すなわち、ガイド部２８は排気口２２に近いほど高くなるように構成されることが望ましい。この構成により、気流Ｅによってガイド部２８を越えた水滴が、脱水回転方向側に隣接するガイド部２８に捕集され、再び気流Ｅによって後方に誘導されやすくなる。すなわち、脱水回転方向の進行側に隣接するガイド部２８の高さの方が高いため、気流の力でガイド部２８を越える水滴が捕集されやすくなり、排気口２２から循環風路２４に飛散する水滴を少なくすることができる。このため、排気口２２から循環風路２４側に浸入する水滴を減少させることができる。

　本実施の形態の構成によれば、気流の力で水滴がガイド部２８を越えた場合でも、脱水回転方向側に隣接する複数のガイド部２８の間隙２８ｃや他のガイド部２８によっても水滴を捕集することができ、排気口２２から循環風路２４に飛散する水滴を少なくすることができる。

　（第４の実施の形態）
　図１２は、本発明の第４の実施の形態における洗濯乾燥機５０の水槽１の一部を切欠いて示した断面図である。

　本実施の形態においては、ガイド部２８の高さを、水槽１の背面側に行くほど高く構成している。他の構成は、第１の実施の形態で説明したものと同じであり、同一の構成には同一の符号を付して、詳細な説明は第１の実施の形態のものを援用する。

　ガイド部２８は、水槽１の内面からの回転槽４側への突出高さｈが、水槽１の背面側ほど高くなるようにテーパ状に形成されている。これにより、水滴は、水槽１の背面側に誘導され、ガイド部２８の背面側ほど多くの水滴がガイド部２８の側面を流れることとなる。このように、ガイド部２８の背面側の高さを正面側よりも高くすることで、ガイド部２８を越える水滴が減少し、排気口２２から循環風路２４側に浸入する水滴を減少させることができる。

　ガイド部２８は、水滴を背面側へ誘導するため、背面側ほど捕集した水滴量が増加する。したがって、背面側の高さを高くすることにより、水滴がガイド部２８を越えて排気口２２に浸入するのを確実に防止することができる。

　なお、第１の実施の形態から第４の実施の形態においては、ヒートポンプ装置２７の放熱器３１で加熱部を構成し、吸熱器３３で除湿部を構成することにより、低い温度で衣類等を乾燥させることができるとともに、少ない消費電力量で所定の乾燥性能を得ることができる。しかしながら、本発明はこの構成に限定されず、例えば、加熱部としてヒータを用い、除湿部として水冷または空冷式の熱交換器を用いた構成としても、乾燥フィルタ装置２５や循環風路２４への水滴の浸入抑制効果に関しては、前述の例と同様の効果を得ることができる。

　なお、上述した第１の実施の形態から第４の実施の形態それぞれは、他の実施の形態と組み合わせて実施することができる。

　（第５の実施の形態）
　図１３は、本発明の第５の実施の形態における洗濯乾燥機１５０の断面構成を示す図であり、図１４は、同洗濯乾燥機１５０のシステム系統を示す図であり、図１５は、同洗濯乾燥機１５０の一部を切欠いて示した要部断面図である。また、図１６は、図１５の１６－１６線分における断面図であり、図１７は、図１５の領域Ｈを拡大して示した図であり、図１８は、図１５の１８－１８線分における断面図である。

　洗濯乾燥機１５０は、水槽１０１を備えている。水槽１０１は、洗濯乾燥機１５０の筐体１０２の内部に、複数のサスペンション機構１０３によって弾性的に支持されている。回転槽１０４は、正面側に洗濯物１０５を出し入れする開口部となる投入口１０６を有し、実質的に有底筒状に構成されて水槽１０１内に配設されている。回転槽１０４は、回転軸１０４ａによって回転可能に設けられ、衣類等の洗濯物１０５を収容する。

　回転槽１０４の周側壁１０７には、全周に亘って多数の孔１０８が設けられており、回転槽１０４の周側壁１０７の内方には、洗濯物１０５を回転槽１０４の回転方向へ持ち上げるための撹拌バッフル１０９が設けられている。水槽１０１は、水平に対して角度θ（例えば、１０～２０°）となるように、正面側が上になるように、前上がりに傾斜して設けられている。また、回転槽１０４および回転軸１０４ａも、水槽１０１の傾斜に合わせて同様の傾斜角度を有する状態で設けられている。

　また、回転槽１０４の背面側には、回転軸１０４ａとの強度を増すために、回転軸支持部１０４ｂが設けられている。回転軸支持部１０４ｂは、回転軸１０４ａを中心として外周側へ向かって放射状に複数形成されている（図２０参照）。また、複数の回転軸支持部１０４ｂの間には、乾燥工程中に回転槽１０４の背面から回転槽１０４内に気流を通過させるため、空間部１０４ｃ（図２０参照）が設けられている。

　水槽１０１の背面側の外部には、回転槽１０４を回転駆動するモータ１１０が設けられており、回転槽１０４を正逆回転させる。モータ１１０は、ブラシレス直流モータ等で構成され、インバータ制御によって回転速度を自在に変化させることができる。

　筐体１０２の正面側には、投入口１０６を開閉する扉１１１が設けられている。投入口１０６と対向する水槽１０１の開口部１０１ａは、伸縮自在な可撓性のパッキン１１２によって筐体１０２と気密に連結されている。扉１１１には、外から回転槽１０４の内部が見えるように、透明の窓が設けられている。

　扉１１１が閉じられると、水槽１０１の開口部１０１ａに設けられたパッキン１１２が扉１１１の内面に密接して、水槽１０１内が水密、気密空間になるので、洗い、すすぎ、脱水、乾燥の各工程を実行する際に、水や空気を外部に漏らさない構成とすることができる。

　筐体１０２内には、給水部である給水装置１１３が取り付けられ、給水装置１１３には、洗剤ケースを介して水槽１０１に連通する給水経路１１４が接続されている。給水装置１１３を開閉することによって、水槽１０１内への水道水の給水と停止とを行うことができる。なお、給水装置１１３としては例えば、給水ポンプや給水弁等を用いることができる。

　また、水槽１０１の底部には、洗い工程で使用した洗濯水の排水後に行われる中間脱水工程において、洗い時に発生した泡が阻害要因とならないように、下方に窪んだ凹形状の排水部１１５が設けられている。排水部１１５は、水槽１０１の底部の背面側に設けられている。排水部１１５の最下部となる背面側には、排水孔１１５ａが設けられている。水槽１０１が傾斜しているので、排水時には水槽１０１の背面側に洗濯水が集まり、背面側に設けられている排水孔１１５ａに向かいやすくなるので、排水が促される。

　排水孔１１５ａには、排水経路１１６が接続されており、排水部である排水装置１１７が設けられている。排水装置１１７を開閉することにより、水槽１０１内の洗濯水の排水と停止とを行うことができる。なお、排水装置１１７としては例えば、排水ポンプや排水弁等を用いることができる。

　脱水工程において、回転槽１０４は、図１５および図１６に示すように、矢印Ｊ方向に高速回転する。水槽１０１の底部の内壁面には、回転槽１０４側へ突出する凸形状のガイド部１２８が設けられている。ガイド部１２８は、水槽１０１の底部のうち、正面側に形成されている。また、ガイド部１２８は、回転槽１０４の脱水回転方向となる矢印Ｊ方向の進行側の底線１１５ｃよりも、矢印Ｊ方向の手前側に設けられている。また、ガイド部１２８の正面側端部１２８ｂから背面側端部１２８ａに向かって、矢印Ｊ方向の手前側から進行側に傾斜するように形成されている(図１６)。

　より好ましくは、ガイド部１２８は、排水孔１１５ａにおいて、矢印Ｊ方向の進行側端部１１５ｂよりも、矢印Ｊ方向の手前側に設けられている。これにより、ガイド部１２８に当接した水滴は、背面側の排水部１１５へと良好に導かれる。

　排水経路１１６には、水槽１０１の背面側下端近傍にエアトラップ１１８が設けられている。エアトラップ１１８には、上方に延びる圧力検知路１１９を介して、その上端部に、水槽１０１内の圧力を検知する圧力検知部１２０が設けられている。圧力検知部１２０は、例えば、内部にダイアフラムを有し、圧力が加わることによるダイアフラムの変形量から圧力を検知する圧力センサ等で構成することができる。圧力検知部１２０は、検知された圧力から、水槽１０１に給水された洗濯水の水位を検知する。

　排水経路１１６には、排水装置１１７の下流側に、実質的にＵ字状に形成された排水トラップ１２１が設けられている。排水トラップ１２１は、屈曲自在な、蛇腹状の排水ホースで形成されており、トラップの高さを排水ホースの内径よりも高くして、水槽１０１の底部よりも下方の筐体１０２内に設けられている。

　水槽１０１の正面側上方の周側壁１０７には排気口１２２が設けられており、水槽１０１の背面部には送風口１２３が設けられている。排気口１２２と送風口１２３とは、水槽１０１の外部上方の正面側から背面側に向けて延設された循環風路１２４によって、連通接続されている。

　循環風路１２４には、乾燥用空気とともに循環風路１２４を通過するリントを捕捉する乾燥フィルタ装置１２５、乾燥用空気を回転槽１０４に供給する送風部１２６、ならびに、乾燥用空気の除湿および加熱を行うヒートポンプ装置１２７が設けられている。

　送風部１２６は、翼形状を有するファン１２６ａと、ファン１２６ａを回転駆動するファンモータ１２６ｂとで構成されている。送風部１２６によって送風される乾燥用空気は、送風口１２３から回転槽１０４内に送風される。

　回転槽１０４の孔１０８から水槽１０１内に排出される乾燥用空気は、図１３の矢印Ｋに示すように、排気口１２２から循環風路１２４に流入して、乾燥フィルタ装置１２５、ヒートポンプ装置１２７、送風部１２６および送風口１２３を経て、回転槽１０４に循環する。

　ヒートポンプ装置１２７は、冷媒を圧縮する圧縮機１３０と、圧縮後の高温高圧の冷媒の熱を放熱する加熱部である放熱器１３１と、高圧の冷媒の圧力を減圧するためのキャピラリーチューブからなる絞り部１３２と、減圧されて低圧となった冷媒が周囲から熱を奪う除湿部である吸熱器１３３とを冷媒が循環するように、管路１３４でそれぞれの部材が連結され、構成されている。

　送風部１２６によって送風される乾燥用空気は、循環風路１２４に設けられた吸熱器１３３で冷却除湿され、放熱器１３１で加熱され、送風口１２３から回転槽１０４へ供給され、排気口１２２から循環風路１２４に流入して循環する。

　また、循環風路１２４は、回転槽１０４から流出した乾燥用空気の一部を循環風路１２４外へ排出することが可能な排気口１３５を有し、排気口１３５は、排気弁１３５ａによって開閉自在に構成されている。排気口１３５と吸熱器１３３との間には、循環風路１２４内に外気を導入することが可能な吸気口１３６を有し、吸気口１３６は、吸気弁１３６ａによって開閉自在に構成されている。

　排気口１３５と吸気口１３６との間の循環風路１２４には、乾燥用空気とともに循環風路１２４を通過するリントを捕捉する、乾燥フィルタ装置１２５が配設されている。

　制御部１４０は、筐体１０２内の正面側下方に配設されており、モータ１１０、給水装置１１３、排水装置１１７、送風部１２６およびヒートポンプ装置１２７等を制御して、洗い、すすぎ、脱水、乾燥の各工程を逐次制御する。制御部１４０には、水槽１０１内の圧力および洗濯水の水位を検知する圧力検知部１２０の出力と、モータ１１０の回転数を検知するモータ回転数検知部１１０ａの出力とが入力される。

　以上のように構成された洗濯乾燥機１５０について、その動作および作用を説明する。

　使用者によって、筐体１０２の正面側上部に設けられた操作表示部１４２から、運転コースの選択や各工程の時間が入力されると、設定内容に基づいて、制御部１４０により、洗いから乾燥までの各工程が、一連の動作として実行される。なお、例えば乾燥工程のみを実行すること等も任意に選択することができる。

　洗濯を行う場合、使用者が、扉１１１を開いて回転槽１０４内に洗濯物１０５を投入し、操作表示部１４２に運転コース等を指示入力すると、洗濯乾燥機１５０は運転を開始する。これにより、給水経路１１４から水槽１０１内に水および洗剤が供給され、モータ１１０により回転槽１０４が回転駆動されて、洗い工程が開始される。

　回転槽１０４が所定の速度（例えば、５０ｒｐｍ）で回転することにより、洗濯物１０５は、内周面の複数箇所に設けられた撹拌バッフル１０９によって回転方向に持ち上げられて、回転槽１０４内の上方から落下する。このような叩き洗いが所定時間繰り返されることにより、洗い工程が行われる。

　洗い工程の後、すすぎ工程および脱水工程が実行されることにより、洗濯が完了する。すすぎ工程においては、まず、排水装置１１７が開放され、前工程で用いられた洗濯水を排水する排水工程が行われる。そして、回転槽１０４が高速回転（例えば、９００ｒｐｍ）することにより、洗濯物１０５に含まれる汚れや洗剤等が水とともに脱水される中間脱水工程、給水装置１１３を開放され、水槽１０１に新たに水が供給される給水工程、および、回転槽１０４が所定の速度（例えば、５０ｒｐｍ）で回転し、洗濯物１０５が攪拌される、すすぎ工程が順次行われる。

　すすぎ工程が所定回数行われた後、前工程の洗濯水が排水装置１１７の開放により排水される排水工程、および、回転槽１０４を高速回転（例えば、９００～１７００ｒｐｍ）させ、洗濯物１０５に含まれる水分や洗剤分を脱水する本脱水工程からなる脱水工程が行われる。

　図１９～図２１は、本発明の第５の実施の形態に係る洗濯乾燥機１５０において、回転槽１０４の高速回転中に水槽１０１内で発生する気流を模式的に表した図である。図１９および図２１は、側面から見た断面構成を示す図であり、図２０は、正面から見た断面構成を示す図である。

　回転槽１０４が高速回転する中間脱水工程および本脱水工程においては、回転槽１０４の背面に設けられ、回転軸１０４ａを支持する羽根形状の回転軸支持部１０４ｂがファン効果を起こす。これにより、図１９に示すように、回転槽１０４の周側壁１０７の外側と水槽１０１との間を背面側から正面側に流れ、正面側の投入口１０６から回転槽１０４内に入り、回転槽１０４の内側を正面側から背面側に流れる気流Ｌが発生する。

　また、回転槽１０４の周側壁１０７の外側と空気との粘性や、周側壁１０７に設けられた孔１０８が抵抗体となるファン効果により、図２０に示すような、回転槽１０４の回転方向（矢印Ｊ）方向の気流Ｍが発生する。

　このため、水槽１０１内では、中間脱水工程や本脱水工程中に、図２１に示すような、二つの気流、すなわち気流Ｌと気流Ｍとが合成された時計回り（脱水回転方向である矢印Ｊ方向回り）、かつ、背面側から正面側に流れる螺旋状の気流Ｎが発生する。

　なお、一般的に、水槽１０１の内壁面と回転槽１０４の周側壁１０７の外面との距離は、１０～１５ｍｍ程度であり、気流の発生源から距離が近いため、水槽１０１の内壁面近傍の流れは、気流Ｍが支配的となる。

　ガイド部１２８が設けられていない場合には、脱水工程中に、回転槽１０４の孔１０８から遠心力により水槽１０１内へ飛散した水は、遠心力と回転槽１０４の高速回転の慣性力を受けて、斜め方向に飛散し、水槽１０１の内壁面に付着することとなる。水槽１０１の内壁面に付着した水滴は、気流Ｍによって、正面方向かつ正面から見て時計回りに水槽１０１の内壁面を移動する。

　一方、本実施の形態においては、水槽１０１の内壁面の排水部１１５近傍の、回転槽１０４の脱水回転方向（矢印Ｊ）の手前側にガイド部１２８を設け、このガイド部１２８を、脱水回転方向（矢印Ｊ）の手前側から進行側が、水槽１０１の正面側から背面側に位置するように傾斜させている。このため、水槽１０１の内壁面を移動する水滴は、ガイド部１２８に沿って水槽１０１の背面側へと戻される。

　なお、水槽１０１の正面側に水滴が移動すると、気流Ｎの影響により、扉１１１を経て投入口１０６から回転槽１０４の内部に水滴が戻り、回転槽１０４内の衣類等に付着して、脱水速度の低下による脱水時間の延長が起こる。しかし、水滴をガイド部１２８に沿って水槽１０１の背面側へ誘導し、排水を促進することにより、このような不具合も解消される。

　さらに、水槽１０１が水平に対して正面側が上となるように傾斜され、構成されているので、水槽１０１の壁面を移動する水滴は、低い位置となる背面側へ移動しやすくなる。よって、背面側に位置する排水部１１５に向けて水滴が移動しやすくなり、排水が促される。

　洗い工程から乾燥工程までを一貫して実行する運転コースが選択入力された場合には、洗い工程が完了すると、制御部１４０は、すすぎ工程に続いて乾燥工程を実行する。なお、濡れた衣類等を乾燥させる場合には、乾燥工程のみを実行することもできる。

　回転槽１０４内に脱水を終えた洗濯物１０５、または濡れた衣類（以下、まとめて「衣類」と称する）を収容して乾燥工程が実行されると、設定された回転速度で回転槽１０４が回転されて衣類が撹拌されるとともに、送風部１２６およびヒートポンプ装置１２７が駆動して、回転槽１０４内への乾燥用空気の送風循環が開始される。

　乾燥工程において、水槽１０１は衣類乾燥機における乾燥室と同様の役割を果たす。この際、乾燥フィルタ装置１２５に水滴が付着していると、乾燥フィルタ装置１２５の有効面積が低下するために、循環風量が減少する。

　ヒートポンプ装置１２７においては、圧縮機１３０の動作により冷媒が圧縮される。この圧力により、冷媒は、圧縮機１３０から管路１３４を流れて、放熱器１３１、絞り部１３２、吸熱器１３３および圧縮機１３０を循環する。圧縮された冷媒の熱は、放熱器１３１に流入して、放熱器１３１内に配設された管路１３４に設けられたフィンに接する空気に放熱される。これにより、循環風路１２４を流れる乾燥用空気が加熱される。

　加熱された乾燥用空気は、送風口１２３から回転槽１０４へと供給され、衣類から水分を奪い、湿った空気となって排気口１２２から循環風路１２４へと排出される。衣類の乾燥の進行に伴って、衣類から糸屑等のリントが発生する。排気口１２２から排出された乾燥用空気は、乾燥フィルタ装置１２５を通過し、空気中に含まれているリントが乾燥フィルタ装置１２５に捕捉される。

　乾燥フィルタ装置１２５によってリントが除去された乾燥用空気は、絞り部１３２において減圧され、低圧となった冷媒が流れる吸熱器１３３を通過する際に、顕熱と潜熱とを奪われ、除湿される。除湿されることにより生じた結露水は、貯水部に滴下し、除湿されて乾いた乾燥用空気は、放熱器１３１を通過して加熱される。除湿された結露水は、排水経路１１６を通って機外へと排水される。

　放熱器１３１で乾燥用空気が加熱される熱量は、圧縮機１３０の消費電力相当分と、吸熱器１３３で乾燥用空気から吸熱される熱量の和にほぼ等しいので、放熱器１３１は、圧縮機１３０に入力された電力以上の出力を得て乾燥用空気を加熱することができる。しかしながら、循環風路１２４内で乾燥用空気の循環が繰り返されると、乾燥用空気全体が持つ熱量は、圧縮機１３０の消費電力相当分から自然放熱された熱量を差し引いた分だけ蓄積し続けることになる。

　これとともに、ヒートポンプ装置１２７内の冷媒が持つ熱量も増え続け、冷媒の温度および圧力は上昇し、圧縮機１３０に過負荷が加わる可能性が生じる。これを回避するために、循環風路１２４を流れる乾燥用空気の一部を循環風路１２４外へと排気する排気口１３５と、外気を循環風路１２４内に導入する吸気口１３６とが設けられている。

　制御部１４０は、放熱器１３１の入口近傍の管路１３４に設けられた冷媒温度検知部１４３によって、管路１３４を流れる冷媒の温度を検知して、排気口１３５および吸気口１３６の開閉を制御して、ヒートポンプ装置１２７を安定した状態で動作させるようにしている。

　ガイド部１２８は、図１９に示したように、背面側端部１２８ａを、排水部１１５の凹部の正面側端部１１５ｄよりも、回転軸方向において背面側に配設することが望ましい。このような構成により、ガイド部１２８に誘導された水滴が、排水部１１５に戻って、排水孔１１５ａから機外に排出されやすくなる。これにより、さらに脱水速度を向上させることができる。

　以上述べたように、本実施の形態の洗濯乾燥機１５０は、底部に凹形状の排水部１１５を有する水槽１０１と、水槽１０１内に回転可能に設けた回転槽１０４と、回転槽１０４を回転駆動するモータ１１０と、洗濯運転を制御する制御部１４０とを備えている。また、排水部１１５の背面側には、水槽１０１内の洗濯水を機外に排水する排水孔１１５ａを有し、水槽１０１は、排水部１１５近傍の排水孔１１５ａより回転槽１０４の脱水回転方向手前側内面に、凸形状のガイド部１２８が設けられている。ガイド部１２８は、脱水回転方向（矢印Ｊ）の手前側から進行側が、水槽１０１の正面側から背面側に位置するように傾斜している。これにより、回転槽１０４が高速回転する中間脱水や本脱水工程中に、水滴が排水孔１１５ａから水槽１０１外に排水するのを促進することで、脱水速度の低下を防ぐことができる。

　なお、本実施の形態においては、乾燥機能を有する洗濯乾燥機１５０を用いた例で説明したが、乾燥機能を有していない一般的な洗濯機においても、脱水速度の向上については、同様の効果を得ることができる。

　なお、本実施の形態においては、ヒートポンプ装置１２７の放熱器１３１で加熱部を構成し、吸熱器１３３で除湿部を構成することにより、低い温度で衣類等を乾燥させることができるとともに、少ない消費電力量で所定の乾燥性能を得ることができる。しかしながら、本発明はこの構成に限定されず、例えば、ヒートポンプ装置１２７に代えて、加熱部としてヒータを用い、除湿部として水冷または空冷式の熱交換器を用いた構成としてもよい。

　以上述べたように、本実施の形態の洗濯乾燥機１５０は、開口部１０１ａを正面側に有し、底部に凹形状の排水部１１５を有する水槽１０１と、水槽１０１内に回転可能に設けられた回転槽１０４とを備えている。また、回転槽１０４を回転駆動するモータ１１０と、水槽１０１に設けられ、水槽１０１の内面上の水滴を正面側から背面側に誘導するガイド部１２８とを備えている。

　このような構成によれば、ガイド部１２８が水槽１０１における水滴の正面側への移動を妨げることができるので、運転中に、水滴が水槽１０１の内壁面を正面方向に移動する、水飛び現象を抑制することができる。

　また、排水部１１５には、水槽１０１内の洗濯水を機外に排水する排水孔１１５ａが設けられ、ガイド部１２８は、水槽１０１の底部の正面側に、凸形状に形成され、排水部１１５における、回転槽１０４の脱水回転方向の進行側の底線１１５ｃよりも、脱水回転方向の手前側に設けられ、かつ、正面側から背面側に向かって、脱水回転方向の手前側から進行側に傾斜するように形成されている。

　このような構成により、脱水工程時に、回転槽１０４の回転により発生する気流によって水槽１０１の壁面を移動する水滴を、気流の力を利用して排水部１１５へと誘導することができる。よって、洗濯水を排水孔１１５ａから水槽１０１外へと迅速に排出することができる。また、水槽１０１外への排水を促進することにより、排水部１１５に回収された水滴が、気流の影響で排水部１１５から飛散して再び衣類に付着することを防ぎ、脱水速度を向上することができる。

　また、ガイド部１２８は、排水孔１１５ａにおける脱水回転方向の進行側端部１１５ｂよりも、脱水回転方向の手前側に設けられている。

　これにより、脱水工程時に、回転槽１０４の回転により発生する気流によって水槽１０１の壁面を移動する水滴を、気流の力を利用して排水孔１１５ａへ誘導することができる。よって、洗濯水を排水孔１１５ａから水槽１０１外へ迅速に排出することができる。

　また、水槽１０１は、水平方向に対して、背面側よりも正面側が上となるように傾斜させている。

　これにより、水槽１０１の壁面を移動する水滴は、水槽１０１が傾斜しているために、低い位置となる背面側へ移動しやすくなる。よって、背面側に位置する排水部１１５に向けて移動しやすくなり、排水が促される。

　また、ガイド部１２８の背面側端部１２８ａは、排水部１１５の正面側端部よりも背面側に位置するように構成されている。

　これにより、水槽１０１の背面側に誘導された水滴を、排水部１１５に回収して機外へ排出することができるようになり、より排水を促進することができる。

　（第６の実施の形態）
　図２２は、本発明の第６の実施の形態における洗濯乾燥機１５０の水槽１０１の一部を切欠いて示した断面図である。

　本実施の形態においては、ガイド部１２８の先端部に、回転槽１０４の脱水回転方向の手前側に突出した凸部１２８ｃを設けたものである。他の構成は第５の実施の形態で説明したものと同じであり、同一の構成には同一の符号を付して、詳細な説明は第５の実施の形態のものを援用する。

　本実施の形態では、回転槽１０４の脱水回転方向の手前側、すなわち、脱水回転方向とは逆方向に凸部１２８ｃが突出している。これによって、凸部１２８ｃが阻害要因となり、気流Ｍによってガイド部１２８を越える水滴が減少するので、排水部１１５へと誘導した水滴を排水孔１１５ａから水槽１０１外へ排水することができる。

　本実施の形態の構成によれば、ガイド部１２８に接触した水滴が、気流の力でガイド部１２８を越えるのを防ぐことができ、より脱水工程中の水槽１０１外への排水を促進することができる。

　（第７の実施の形態）
　図２３は、本発明の第７の実施の形態における洗濯乾燥機１５０の水槽１０１の一部を切欠いて示した断面図である。

　本実施の形態においては、ガイド部１２８が複数形成されている。他の構成は、第５の実施の形態で説明したものと同じであり、同一の構成には同一の符号を付して、詳細な説明は第５の実施の形態のものを援用する。

　ガイド部１２８は、回転槽１０４の脱水回転方向に複数設けられている。これによって、気流Ｍによってガイド部１２８を越えた水滴が、表面張力によって複数のガイド部１２８の間隙１２８ｄに入り込み、再び気流Ｍによって背面側に誘導される。このため、より確実に排水部１１５に水滴を誘導し、排水させることができる。

　本実施の形態の構成により、それぞれのガイド部１２８が排水孔１１５ａ方向に誘導する水滴量を分散させることで、ガイド部１２８を越える水滴が減少し、より脱水工程中の水槽１０１外への排水を促進することができる。

　（第８の実施の形態）
　図２４は、本発明の第８の実施の形態における洗濯乾燥機１５０の水槽１０１の一部を切欠いて示した断面図である。

　本実施の形態においては、ガイド部１２８の高さを、水槽１０１の背面側ほど高く構成している。他の構成は、第５の実施の形態で説明したものと同じであり、同一の構成には同一の符号を付して、詳細な説明は第５の実施の形態のものを援用する。

　ガイド部１２８は、水槽１０１の内面から回転槽１０４側への突出高さｈが、水槽１０１の背面側ほど高くなるようにテーパ状に形成されている。これにより、水滴は、水槽１０１の背面側に誘導され、ガイド部１２８の背面側ほど多くの水滴がガイド部１２８の側面を流れることとなる。このように、ガイド部１２８の背面側の高さを正面側よりも高くすることで、ガイド部１２８を越える水滴が減少し、より確実に排水部１１５に水滴を誘導し、排水させることができる。

　ガイド部１２８は、水滴を背面側へ誘導するため、背面側ほど捕集した水滴量が増加する。したがって、背面側の高さを高くすることにより、水滴がガイド部１２８を越えるのを防ぎ、より脱水工程中の水槽１０１外への排水を促進することができる。

　なお、第５の実施の形態から第８の実施の形態それぞれは、他の実施の形態と組み合わせて実施することができる。

　（第９の実施の形態）
　図２５は、本発明の第９の実施の形態における洗濯乾燥機２５０の断面構成を示す図であり、図２６は、同洗濯乾燥機２５０のシステム系統を示す図であり、図２７は、同洗濯乾燥機２５０の一部を切欠いて示した要部断面図である。また、図２８は、図２７の２８－２８線分における断面図であり、図２９は、図２７の領域Ｐを拡大して示した図であり、図３０は、図２７の３０－３０線分における断面図である。

　洗濯乾燥機２５０は、水槽２０１を備えている。水槽２０１は、洗濯乾燥機２５０の筐体２０２の内部に、複数のサスペンション機構２０３によって弾性的に支持されている。回転槽２０４は、正面側に洗濯物２０５を出し入れする開口部となる投入口２０６を有し、実質的に有底筒状に構成されて水槽２０１内に配設されている。回転槽２０４は、回転軸２０４ａによって回転可能に設けられ、衣類等の洗濯物２０５を収容する。

　回転槽２０４の周側壁２０７には、全周に亘って多数の孔２０８が設けられており、回転槽２０４の周側壁２０７の内方には、洗濯物２０５を回転槽２０４の回転方向へ持ち上げるための撹拌バッフル２０９が設けられている。水槽２０１は、水平に対して角度θ（例えば、１０～２０°）となるように、正面側が上になるように、前上がりに傾斜して設けられている。また、回転槽２０４および回転軸２０４ａも、水槽２０１の傾斜に合わせて同様の傾斜角度を有する状態で設けられている。

　また、回転槽２０４の背面側には、回転軸２０４ａとの強度を増すために、回転軸支持部２０４ｂが設けられている。回転軸支持部２０４ｂは、回転軸２０４ａを中心として外周側へ向かって放射状に複数形成されている（図３２参照）。また、複数の回転軸支持部２０４ｂの間には、乾燥工程中に回転槽２０４の背面から回転槽２０４内に気流を通過させるため、空間部２０４ｃ（図３２参照）が設けられている。

　水槽２０１の背面側の外部には、回転槽２０４を回転駆動するモータ２１０が設けられており、回転槽２０４を正逆回転させる。モータ２１０は、ブラシレス直流モータ等で構成され、インバータ制御によって回転速度を自在に変化させることができる。

　筐体２０２の正面側には、投入口２０６を開閉する扉２１１が設けられている。投入口２０６と対向する水槽２０１の開口部２０１ａは、伸縮自在な可撓性のパッキン２１２によって筐体２０２と気密に連結されている。扉２１１には、外から回転槽２０４の内部が見えるように、透明の窓が設けられている。

　扉２１１が閉じられると、水槽２０１の開口部２０１ａに設けられたパッキン２１２が扉２１１の内面に密接して、水槽２０１内が水密、気密空間になるので、洗い、すすぎ、脱水、乾燥の各工程を実行する際に、水や空気を外部に漏らさない構成とすることができる。

　筐体２０２内には、給水部である給水装置２１３が取り付けられ、給水装置２１３には、洗剤ケースを介して水槽２０１に連通する給水経路２１４が接続されている。給水装置２１３を開閉することによって、水槽２０１内への水道水の給水と停止とを行うことができる。なお、給水装置２１３としては例えば、給水ポンプや給水弁等を用いることができる。

　また、水槽２０１の底部には、洗い工程で使用した洗濯水の排水後に行われる中間脱水工程において、洗い時に発生した泡が阻害要因とならないように、下方に窪んだ凹形状の排水部２１５が設けられている。排水部２１５は、水槽２０１の底部の背面側に設けられている。排水部２１５は、底部となる内壁面２１５ｃを有しており、内壁面２１５ｃの最下部には排水孔２１５ａが設けられている。水槽２０１が傾斜しているので、排水時には水槽２０１の背面側に洗濯水が集まり、背面側に設けられている排水孔２１５ａに向かいやすくなるので、排水が促される。

　排水孔２１５ａには、排水経路２１６が接続されており、排水部である排水装置２１７が設けられている。排水装置２１７を開閉することにより、水槽２０１内の洗濯水の排水と停止とを行うことができる。なお、排水装置２１７としては例えば、排水ポンプや排水弁等を用いることができる。

　脱水工程において、回転槽２０４は、図２７および図２８に示すように、矢印Ｑ方向に高速回転する。排水部２１５の内壁面２１５ｃには、回転槽２０４側へ突出する凸形状のガイド部２２８が設けられている。ガイド部２２８は、排水部２１５のうち、排水孔２１５ａよりも正面側に形成されている。また、ガイド部２２８は、回転槽２０４の脱水回転方向となる矢印Ｑ方向の進行側端部２１５ｂよりも、矢印Ｑ方向の手前側に設けられている。また、ガイド部２２８は、その正面側端部２２８ｂから背面側端部２２８ａに向かって、矢印Ｑ方向の手前側から進行側に傾斜するように形成されている。

　排水経路２１６には、水槽２０１の背面側下端近傍にエアトラップ２１８が設けられている。エアトラップ２１８には、上方に延びる圧力検知路２１９を介して、その上端部に、水槽２０１内の圧力を検知する圧力検知部２２０が設けられている。圧力検知部２２０は、例えば、内部にダイアフラムを有し、圧力が加わることによるダイアフラムの変形量から圧力を検知する圧力センサ等で構成することができる。圧力検知部２２０は、検知された圧力に基づいて、水槽２０１に給水された洗濯水の水位を検知する。

　排水経路２１６には、排水装置２１７の下流側に、実質的にＵ字状に形成された排水トラップ２２１が設けられている。排水トラップ２２１は、屈曲自在な、蛇腹状の排水ホースで形成されており、トラップの高さを排水ホースの内径より高くして、水槽２０１の底部よりも下方の筐体２０２内に設けられている。

　水槽２０１の正面側上方の周側壁２０７には排気口２２２が設けられており、水槽２０１の背面部には送風口２２３が設けられている。排気口２２２と送風口２２３とは、水槽２０１の外部上方の正面側から背面側に向けて延設された循環風路２２４によって、連通接続されている。

　循環風路２２４には、乾燥用空気とともに循環風路２２４を通過するリントを捕捉する乾燥フィルタ装置２２５、乾燥用空気を回転槽２０４に供給する送風部２２６、ならびに、乾燥用空気の除湿および加熱を行うヒートポンプ装置２２７が設けられている。

　送風部２２６は、翼形状を有するファン２２６ａと、ファン２２６ａを回転駆動するファンモータ２２６ｂとで構成されている。送風部２２６によって送風される乾燥用空気は、送風口２２３から回転槽２０４内に送風される。

　回転槽２０４の孔２０８から水槽２０１内に排出される乾燥用空気は、矢印Ｒで示すように、排気口２２２から循環風路２２４に流入し、乾燥フィルタ装置２２５、ヒートポンプ装置２２７、送風部２２６および送風口２２３を経て、回転槽２０４に循環する。

　ヒートポンプ装置２２７は、冷媒を圧縮する圧縮機２３０と、圧縮後の高温高圧の冷媒の熱を放熱する加熱部である放熱器２３１と、高圧の冷媒の圧力を減圧するためのキャピラリーチューブからなる絞り部２３２と、減圧されて低圧となった冷媒が周囲から熱を奪う除湿部である吸熱器２３３とを冷媒が循環するように、管路２３４でそれぞれの部材が連結されている。

　送風部２２６によって送風される乾燥用空気は、循環風路２２４に設けられた吸熱器２３３で冷却除湿され、放熱器２３１で加熱され、送風口２２３から回転槽２０４へ供給され、排気口２２２から循環風路２２４に流入して循環する。

　また、循環風路２２４は、回転槽２０４から流出した乾燥用空気の一部を循環風路２２４外へ排出することが可能な排気口２３５を有し、排気口２３５は、排気弁２３５ａによって開閉自在に構成されている。排気口２３５と吸熱器２３３との間には、循環風路２２４内に外気を導入することが可能な吸気口２３６を有し、吸気口２３６は、吸気弁２３６ａによって開閉自在に構成されている。

　排気口２３５と吸気口２３６との間の循環風路２２４には、乾燥用空気とともに循環風路２２４を通過するリントを捕捉する、乾燥フィルタ装置２２５が配設されている。

　制御部２４０は、筐体２０２内の正面側下方に配設されており、モータ２１０、給水装置２１３、排水装置２１７、送風部２２６およびヒートポンプ装置２２７等を制御して、洗い、すすぎ、脱水、乾燥の各工程を逐次制御する。制御部２４０には、水槽２０１内の圧力および洗濯水の水位を検知する圧力検知部２２０の出力と、モータ２１０の回転数を検知するモータ回転数検知部２１０ａの出力とが入力される。

　以上のように構成された洗濯乾燥機２５０について、その動作および作用を説明する。

　使用者によって、筐体２０２の正面側上部に設けられた操作表示部２４２から、運転コースの選択や各工程の時間が入力されると、設定内容に基づいて、制御部２４０により、洗いから乾燥までの各工程が、一連の動作として実行される。なお、例えば乾燥工程のみを実行すること等も任意に選択することができる。

　洗濯を行う場合、使用者が、扉２１１を開いて回転槽２０４内に洗濯物２０５を投入し、操作表示部２４２に運転コース等を指示入力すると、洗濯乾燥機２５０は運転を開始する。これにより、給水経路２１４から水槽２０１内に水および洗剤が供給され、モータ２１０により回転槽２０４が回転駆動されて、洗い工程が開始される。

　回転槽２０４が所定の速度（例えば、５０ｒｐｍ）で回転することにより、洗濯物２０５は、内周面の複数箇所に設けられた撹拌バッフル２０９によって回転方向に持ち上げられて、回転槽２０４内の上方から落下する。このような叩き洗いが所定時間繰り返されることにより、洗い工程が行われる。

　洗い工程の後、すすぎ工程および脱水工程が実行されることにより、洗濯が完了する。すすぎ工程においては、まず、排水装置２１７が開放され、前工程で用いられた洗濯水を排水する排水工程が行われる。そして、回転槽２０４が高速回転（例えば、９００ｒｐｍ）することにより、洗濯物２０５に含まれる汚れや洗剤等が水とともに脱水される中間脱水工程、給水装置２１３を開放され、水槽２０１に新たに水が供給される給水工程、および、回転槽２０４を所定の速度（例えば、５０ｒｐｍ）で回転し、洗濯物２０５が攪拌される、すすぎ工程が順次行われる。

　すすぎ工程が所定回数行われた後、前工程の洗濯水が排水装置２１７の開放により排水される排水工程、および、回転槽２０４を高速回転（例えば、９００～１７００ｒｐｍ）させ、洗濯物２０５に含まれる水分や洗剤分を脱水する本脱水工程からなる脱水工程が行われる。

　図３１～図３３は、本発明の第９の実施の形態に係る洗濯乾燥機２５０において、回転槽２０４の高速回転中に水槽２０１内で発生する気流を模式的に表した図である。図３１および図３３は、側面から見た断面構成を示す図であり、図３２は、正面から見た断面構成を示す図である。

　回転槽２０４が高速回転する中間脱水工程および本脱水工程においては、回転槽２０４の背面に設けられ、回転軸２０４ａを支持する羽根形状の回転軸支持部２０４ｂがファン効果を起こす。これにより、図３１に示すように、回転槽２０４の周側壁２０７の外側と水槽２０１との間を背面側から正面側に流れ、正面側の投入口２０６から回転槽２０４内に入り、回転槽２０４の内側を正面側から背面側に流れる気流Ｓが発生する。

　また、回転槽２０４の周側壁２０７の外側と空気との粘性や、周側壁２０７に設けられた孔２０８が抵抗体となるファン効果により、図３２に示すような、回転槽２０４の回転方向（矢印Ｑ）方向の気流Ｔが発生する。

　このため、水槽２０１内では、中間脱水工程や本脱水工程中に、図３３に示すような、二つの気流、すなわち気流Ｓと気流Ｔが合成した時計回り（脱水回転方向である矢印Ｑ方向回り）、かつ、正面側に流れる螺旋状の気流Ｕが発生する。

　なお、一般的に、水槽２０１の内壁面と回転槽２０４の周側壁２０７の外面との距離は、１０～１５ｍｍ程度であり、気流の発生源から距離が近いため、水槽２０１の内壁面近傍の流れは、気流Ｔが支配的である。

　また、排水部２１５では、回転槽２０４と排水部２１５の底部となる内壁面２１５ｃとの距離が離れており（例えば、５０ｍｍ）、気流Ｓの流れの影響が水槽１内壁面より比較的強くなる。

　ガイド部２２８が設けられていない場合には、脱水工程中に、回転槽２０４の孔２０８から遠心力により水槽２０１内へ飛散した水は、遠心力と回転槽２０４の高速回転の慣性力を受けて、斜め方向に飛散し、水槽２０１の内壁面に付着することとなる。水槽２０１の内壁面に付着した水滴は、気流Ｔによって、正面方向かつ正面から見て時計回りに水槽２０１の内壁面を移動し、排水部２１５に回収される。排水部２１５に回収された水滴は、大部分が気流Ｓの影響によって排水部２１５を正面側に移動し、排水部２１５の前端部近傍で、気流Ｕの影響により水槽２０１内壁面に飛散し、その一部が投入口２０６から再び回転槽２０４内に入り、衣類に再付着する。

　一方、本実施の形態においては、排水部２１５には、排水孔２１５ａの矢印Ｑ方向の進行側端部２１５ｂよりも、脱水回転方向（矢印Ｑ方向）の手前側の内壁面に、凸形状のガイド部２２８が設けられている。ガイド部２２８は、矢印Ｑの手前側から進行側が、水槽２０１の正面側から背面側に位置するように傾斜して設けられている。このため、排水部２１５を正面側に移動しようとする水滴が、ガイド部２２８に沿って排水孔２１５ａ側（水槽２０１の背面側）へと戻される。

　なお、水槽２０１の正面側に水滴が移動すると、気流Ｕの影響により、投入口２０６を経て回転槽２０４の内部に水滴が戻り、回転槽２０４内の衣類等に付着して、脱水速度の低下による脱水時間の延長が起こる。しかし、水滴をガイド部２２８に沿って排水孔２１５ａに誘導し、排水を促進することにより、このような不具合も解消される。

　さらに、水槽２０１が水平に対して正面側が上となるように傾斜され、構成されているので、水槽２０１の壁面を移動する水滴は、水槽２０１が傾斜しているために、低い位置となる背面側へ移動しやすくなる。よって、背面側に位置する排水部２１５に向けて水滴が移動しやすくなり、排水が促される。

　洗い工程から乾燥工程までを一貫して実行する運転コースが選択入力された場合には、洗い工程が完了すると、制御部２４０は、すすぎ工程に続いて乾燥工程を実行する。また、濡れた衣類等を乾燥させる場合には、乾燥工程のみを実行することもできる。

　回転槽２０４内に脱水を終えた洗濯物２０５、または濡れた衣類（以下、まとめて「衣類」と称する）を収容して乾燥工程が実行されると、設定された回転速度で回転槽２０４が回転されて衣類が撹拌されるとともに、送風部２２６およびヒートポンプ装置２２７が駆動して、回転槽２０４内への乾燥用空気の送風循環が開始される。

　乾燥工程において、水槽２０１は衣類乾燥機における乾燥室と同様の役割を果たす。この際、乾燥フィルタ装置２２５に水滴が付着していると、乾燥フィルタ装置２２５の有効面積が低下するために、循環風量が減少する。

　ヒートポンプ装置２２７においては、圧縮機２３０の動作により冷媒が圧縮される。この圧力により、冷媒は、圧縮機２３０から管路２３４を流れて、放熱器２３１、絞り部２３２、吸熱器２３３および圧縮機２３０を循環する。圧縮された冷媒の熱は、放熱器２３１に流入して、放熱器２３１内に配設された管路２３４に設けられたフィンに接する空気に放熱される。これにより、循環風路２２４を流れる乾燥用空気が加熱される。

　加熱された乾燥用空気は、送風口２２３から回転槽２０４へと供給され、衣類から水分を奪い、湿った空気となって排気口２２２から循環風路２２４へと排出される。衣類の乾燥の進行に伴って、衣類から糸屑等のリントが発生する。排気口２２２から排出された乾燥用空気は、乾燥フィルタ装置２２５を通過し、空気中に含まれているリントが乾燥フィルタ装置２２５に捕捉される。

　乾燥フィルタ装置２２５によってリントが除去された乾燥用空気は、絞り部２３２により減圧され、低圧となった冷媒が流れる吸熱器２３３を通過する際に、顕熱と潜熱とを奪われ、除湿される。除湿されることにより生じた結露水は、貯水部に滴下し、除湿されて乾いた乾燥用空気は、放熱器２３１を通過して加熱される。除湿された結露水は、排水経路２１６を通って機外へと排水される。

　放熱器２３１で乾燥用空気が加熱される熱量は、圧縮機２３０の消費電力相当分と、吸熱器２３３で乾燥用空気から吸熱される熱量の和にほぼ等しいので、放熱器２３１は、圧縮機２３０に入力された電力以上の出力を得て乾燥用空気を加熱することができる。しかしながら、循環風路２２４内で乾燥用空気の循環が繰り返されると、乾燥用空気全体が持つ熱量は、圧縮機２３０の消費電力相当分から自然放熱された熱量を差し引いた分だけ蓄積し続けることになる。

　これとともに、ヒートポンプ装置２２７内の冷媒が持つ熱量も増え続け、冷媒の温度および圧力は上昇し、圧縮機２３０に過負荷が加わる可能性が生じる。これを回避するために、循環風路２２４を流れる乾燥用空気の一部を循環風路２２４外へと排気する排気口２３５と、外気を循環風路２２４内に導入する吸気口２３６とが設けられている。

　制御部２４０は、放熱器２３１の入口近傍の管路２３４に設けられた冷媒温度検知部２４３によって、管路２３４を流れる冷媒の温度を検知して、排気口２３５および吸気口２３６の開閉を制御して、ヒートポンプ装置２２７を安定した状態で動作させるようにしている。

　ガイド部２２８は、図２８に示したように、背面側端部２２８ａを、排水孔２１５ａの正面側端部２１５ｄよりも、回転軸方向において背面側に配設することが望ましい。このような構成により、ガイド部２２８に誘導された水滴が、排水孔２１５ａから機外に排出されやすくなるため、さらに脱水速度を向上させることができる。

　以上述べたように、本実施の形態の洗濯乾燥機２５０は、底部に凹形状の排水部２１５を有する水槽２０１と、水槽２０１内に回転可能に設けた回転槽２０４と、回転槽２０４を回転駆動するモータ２１０と、洗濯運転を制御する制御部２４０とを備えている。また、排水部２１５の背面側には、水槽２０１内の洗濯水を機外に排水する排水孔２１５ａを有し、排水部２１５は、排水孔２１５ａの回転槽２０４の脱水回転方向の進行側端部２１５ｂよりも脱水回転方向の手前側内面に凸形状のガイド部２２８が設けられている。ガイド部２２８は、回転槽２０４の脱水回転方向の手前側から進行側が、水槽２０１の正面側から背面側に位置するように傾斜して設けられている。これにより、回転槽２０４が高速回転する中間脱水工程および本脱水工程時に、回転槽２０４の回転により発生する気流によって、水滴を排水孔２１５ａへと誘導することができ、排水を促進して脱水速度を向上し、脱水時間を短縮することができる。

　なお、本実施の形態においては、乾燥機能を有する洗濯乾燥機２５０を用いた例で説明したが、乾燥機能を有していない洗濯機においても、同様の効果を得ることができる。

　なお、本実施の形態においては、ヒートポンプ装置２２７の放熱器２３１で加熱部を構成し、吸熱器２３３で除湿部を構成することにより、低い温度で衣類等を乾燥させることができるとともに、少ない消費電力量で所定の乾燥性能を得ることができる。しかしながら、本発明はこの構成に限定されず、例えば、ヒートポンプ装置２２７に代えて、加熱部としてヒータを用い、除湿部として水冷または空冷式の熱交換器を用いた構成としてもよい。

　以上述べたように、本実施の形態の洗濯乾燥機２５０は、開口部２０１ａを正面側に有し、底部に凹形状の排水部２１５を有する水槽２０１と、水槽２０１内に回転可能に設けられた回転槽２０４とを備えている。また、回転槽２０４を回転駆動するモータ２１０と、水槽２０１に設けられ、水槽２０１の内面上の水滴を正面側から背面側に誘導するガイド部２２８とを備えている。

　このような構成によれば、ガイド部２２８が水槽２０１における水滴の正面側への移動を妨げることができるので、運転中に、水滴が水槽２０１の内壁面を正面方向に移動する、水飛び現象を抑制することができる。

　また、排水部２１５には、水槽２０１内の洗濯水を機外に排水する排水孔２１５ａが設けられ、ガイド部２２８は、排水孔２１５ａよりも正面側に位置し、凸形状に形成され、排水孔２１５ａにおける、回転槽２０４の脱水回転方向の進行側端部２１５ｂよりも、脱水回転方向の手前側に設けられ、かつ、正面側から背面側に向かって、脱水回転方向の手前側から進行側に傾斜するように形成されている。

　このような構成により、脱水工程時に、回転槽２０４の回転により発生した気流によって排水部２１５を正面側に移動しようとする水滴を、気流の力を活かして排水孔２１５ａに誘導することができるようになり、排水を促進し、脱水効率を高めて脱水時間を短縮することができる。

　また、水槽２０１は、水平方向に対して、正面側が背面側よりも上となるように傾斜させてもよい。

　これにより、水槽２０１の壁面を移動する水滴は、水槽２０１が傾斜しているために、低い位置となる背面側へ移動しやすくなる。よって、背面側に位置する排水部２１５に向けて移動しやすくなり、排水が促される。

　また、ガイド部２２８の背面側端部２２８ａは、排水孔２１５ａの正面側端部２１５ｄよりも背面側に設けられてもよい。

　これにより、排水部２１５の背面側に誘導された水滴を、確実に排水孔２１５ａに回収して機外へ排出することができるようになり、排水を促進することができる。

　（第１０の実施の形態）
　図３４は、本発明の第１０の実施の形態における洗濯乾燥機２５０の水槽２０１の一部を切欠いて示した断面図である。

　本実施の形態においては、ガイド部２２８の先端部に、回転槽２０４の脱水回転方向の手前側に突出した凸部２２８ｃを設けたものである。他の構成は第９の実施の形態で説明したものと同じであり、同一の構成には同一の符号を付して、詳細な説明は第９の実施の形態のものを援用する。

　回転槽２０４の脱水回転方向の手前側、すなわち、脱水回転方向とは逆方向に凸部２２８ｃが突出している。これによって、凸部２２８ｃが阻害要因となり、気流Ｔによってガイド部２２８を越える水滴が減少するので、排水孔２１５ａからの排水を促進する効果を高めることができる。

　本実施の形態の構成によれば、ガイド部２２８に接触した水滴が気流の力でガイド部２２８を越えるのを防ぐことができ、脱水工程中の水槽２０１外への排水を促進することができる。

　（第１１の実施の形態）
　図３５は、本発明の第１１の実施の形態における洗濯乾燥機２５０の水槽２０１の一部を切欠いて示した断面図である。

　本実施の形態においては、ガイド部２２８が複数形成されている。他の構成は、第９の実施の形態で説明したものと同じであり、同一の構成には同一の符号を付して、詳細な説明は第９の実施の形態のものを援用する。

　ガイド部２２８は、回転槽２０４の脱水回転方向に複数設けられている。これによって、気流Ｔによってガイド部２２８を越えた水滴が、表面張力によって複数のガイド部２２８の間隙２２８ｄに入り込み、再び気流Ｔによって背面側に誘導される。このため、排水孔２１５ａからの排水を促進する効果を高めることができる。

　本実施の形態の構成により、それぞれのガイド部２２８が排水孔２１５ａ方向に誘導する水滴量を分散させることができ、ガイド部２２８を越える水滴を減少させて、脱水工程中の水槽２０１外への排水を促進することができる。

　（第１２の実施の形態）
　図３６は、本発明の第１２の実施の形態における洗濯乾燥機２５０の水槽２０１の一部を切欠いて示した断面図である。

　本実施の形態においては、ガイド部２２８の高さを、水槽２０１の背面側ほど高く構成している。他の構成は、第９の実施の形態で説明したものと同じであり、同一の構成には同一の符号を付して、詳細な説明は第９の実施の形態のものを援用する。

　ガイド部２２８は、水槽２０１の内面から回転槽２０４側への突出高さｈが、水槽２０１の背面側ほど高くなるようにテーパ状に形成されている。これにより、水滴は、水槽２０１の背面側に誘導され、ガイド部２２８の背面側ほど多くの水滴がガイド部２２８の側面を流れることとなる。このように、ガイド部２２８の背面側の高さを正面側よりも高くすることで、ガイド部２２８を越える水滴が減少し、排水孔２１５ａからの排水を、より促進することができる。

　ガイド部２２８は、水滴を背面側へ誘導するため、背面側ほど捕集した水滴量が増加する。したがって、背面側の高さを高くすることにより、水滴がガイド部２２８を越えるのを防ぐ効果を高めることができ、脱水工程中の水槽２０１外への排水を促進することができる。

　なお、第９の実施の形態から第１２の実施の形態それぞれは、他の実施の形態と組み合わせて実施することができる。

　以上述べたように、第１の実施の形態から第１２の実施の形態までの各実施の形態の洗濯乾燥機５０，１５０，２５０は、開口部１ａ，１０１ａ，２０１ａを正面側に有し、底部に凹形状の排水部１５，１１５，２１５を有する水槽１，１０１，２０１と、水槽１，１０１，２０１内に回転可能に設けられた回転槽４，１０４，２０４とを備えている。また、回転槽４，１０４，２０４を回転駆動するモータ１０，１１０，２１０と、水槽１，１０１，２０１に設けられ、水槽１，１０１，２０１の内面上の水滴を正面側から背面側に誘導するガイド部２８，１２８，２２８とを備えている。

　このような構成によれば、ガイド部２８，１２８，２２８が水槽１，１０１，２０１における水滴の正面側への移動を妨げることができるので、運転中に、循環風路２４，１２４，２２４への水滴の浸入や、水滴が水槽１，１０１，２０１の内壁面を正面方向に移動する、水飛び現象を抑制することができる。

　以上述べたように、本発明によれば、運転中に、循環風路への水滴の浸入や、水滴が水槽の内壁面を正面方向に移動する、水飛び現象を抑制することができる、という格別な効果を奏することができる。よって、本発明は、衣類等の洗濯および乾燥を行う洗濯乾燥機、および、衣類等の洗濯を行う洗濯機等として有用である。

　１，１０１，２０１　　水槽
　１ａ，１０１ａ，２０１ａ　　開口部
　２，１０２，２０２　　筐体
　３，１０３，２０３　　サスペンション機構
　４，１０４，２０４　　回転槽
　４ａ，１０４ａ，２０４ａ　　回転軸
　４ｂ，１０４ｂ，２０４ｂ　　回転軸支持部
　５，１０５，２０５　　洗濯物
　６，１０６，２０６　　投入口
　７，１０７，２０７　　周側壁
　８，１０８，２０８　　孔
　９，１０９，２０９　　撹拌バッフル
　１０，１１０，２１０　　モータ
　１０ａ，１１０ａ，２１０ａ　　モータ回転数検知部
　１１，１１１，２１１　　扉
　１２，１１２，２１２　　パッキン
　１３，１１３，２１３　　給水装置
　１４，１１４，２１４　　給水経路
　１５，１１５，２１５　　排水部
　１５ａ，１１５ａ，２１５ａ　　排水孔
　１５ｂ　　正面側端部
　１６，１１６，２１６　　排水経路
　１７，１１７，２１７　　排水装置
　１８，１１８，２１８　　エアトラップ
　１９，１１９，２１９　　圧力検知路
　２０，１２０，２２０　　圧力検知部
　２１，１２１，２２１　　排水トラップ
　２２，１２２，２２２　　排気口
　２３，１２３，２２３　　送風口
　２４，１２４，２２４　　循環風路
　２５，１２５，２２５　　乾燥フィルタ装置
　２６，１２６，２２６　　送風部
　２６ａ，１２６ａ，２２６ａ　　ファン
　２６ｂ，１２６ｂ，２２６ｂ　　ファンモータ
　２７，１２７，２２７　　ヒートポンプ装置
　２８，１２８，２２８　　ガイド部
　２８ａ，１２８ａ，２２８ａ　　背面側端部
　２８ｂ，１２８ｃ，２２８ｃ　　凸部
　２８ｃ，１２８ｄ，２２８ｄ　　間隙
　３０，１３０，２３０　　圧縮機
　３１，１３１，２３１　　放熱器
　３２，１３２，２３２　　絞り部
　３３，１３３，２３３　　吸熱器
　３４，１３４，２３４　　管路
　３５，１３５，２３５　　排気口
　３５ａ，１３５ａ，２３５ａ　　排気弁
　３６，１３６，２３６　　吸気口
　３６ａ，１３６ａ，２３６ａ　　吸気弁
　４０，１４０，２４０　　制御部
　４２，１４２，２４２　　操作表示部
　４３，１４３，２４３　　冷媒温度検知部
　５０，１５０，２５０　　洗濯乾燥機
　１０４ｃ，２０４ｃ　　空間部
　１１５ｂ，２１５ｂ　　進行側端部
　１１５ｃ　　底線
　１１５ｄ，２１５ｄ　　正面側端部
　１２８ｂ，２２８ｂ　　正面側端部
　２１５ｃ　　内壁面

Claims

開口部を正面側に有し、底部に凹形状の排水部を有する水槽と、
前記水槽内に回転可能に設けられた回転槽と、
前記回転槽を回転駆動するモータと、
前記水槽に設けられ、前記水槽の内面上の水滴を正面側から背面側に誘導するガイド部とを備えた
洗濯乾燥機。
前記水槽の上部かつ正面側に設けられた排気口から、前記回転槽内に乾燥用空気を導入する送風口までを連通接続する循環風路と、
前記循環風路内の前記乾燥用空気を送風する送風部と、
前記乾燥用空気を加熱する加熱部と、
前記乾燥用空気に含まれるリントを捕捉する乾燥フィルタ装置とをさらに備え、
前記ガイド部は、前記水槽の前記排気口近傍の、前記回転槽の脱水回転方向の手前側に、前記水槽の内壁から突出するように設けられ、前記回転軸に対して、正面側よりも背面側の方が、前記脱水回転方向の手前側から進行側へ傾斜するように構成される
請求項１に記載の洗濯乾燥機。
前記ガイド部の背面側端部は、前記排水部の正面側端部よりも背面側に位置するように構成された
請求項２に記載の洗濯乾燥機。
前記ガイド部は、その先端部に前記脱水回転方向の手前側に突出する凸部を有する
請求項２または請求項３に記載の洗濯乾燥機。
前記水槽の内壁に、複数の前記ガイド部が設けられた
請求項２から請求項４までのいずれか１項に記載の洗濯乾燥機。
前記複数のガイド部の高さは、前記排気口に近いガイド部ほど高く構成された
請求項５に記載の洗濯乾燥機。
前記ガイド部は、前記正面側より前記背面側の方が高くなるように構成された
請求項２から請求項６までのいずれか１項に記載の洗濯乾燥機。
前記排水部には、前記水槽内の洗濯水を機外に排水する排水孔が設けられ、
前記ガイド部は、前記水槽の前記底部の正面側に、凸形状に形成され、前記排水部における、前記回転槽の脱水回転方向の進行側の底線よりも、前記脱水回転方向の手前側に設けられ、かつ、前記ガイド部の前記正面側から前記背面側に向かって、前記脱水回転方向の手前側から進行側に傾斜するように形成された
請求項１に記載の洗濯乾燥機。
前記ガイド部は、前記排水孔における前記脱水回転方向の進行側端部よりも、前記脱水回転方向の手前側に設けられた
請求項８に記載の洗濯乾燥機。
前記ガイド部の背面側端部は、前記排水部の正面側端部よりも背面側に位置するように構成された
請求項９に記載の洗濯乾燥機。
前記ガイド部は、その先端部に前記脱水回転方向の手前側に突出する凸部を有する
請求項８から請求項１０までのいずれか１項に記載の洗濯乾燥機。
前記水槽の内壁に、複数の前記ガイド部が設けられた
請求項８から請求項１１までのいずれか１項に記載の洗濯乾燥機。
前記ガイド部は、前記背面側の方が前記正面側よりも高くなるように構成された
請求項８から請求項１２までのいずれか１項に記載の洗濯乾燥機。
前記排水部には、前記水槽内の洗濯水を機外に排水する排水孔が設けられ、
前記ガイド部は、前記排水孔よりも正面側に位置し、凸形状に形成され、前記排水孔における、前記回転槽の脱水回転方向の進行側端部よりも、前記脱水回転方向の手前側に設けられ、かつ、前記ガイド部の前記正面側から前記背面側に向かって、前記脱水回転方向の手前側から進行側に傾斜するように形成された
請求項１に記載の洗濯乾燥機。
前記排水部の底面に、複数の前記ガイド部が設けられた
請求項１４に記載の洗濯乾燥機。
前記ガイドの背面側端部は、前記排水口の正面側端部よりも背面側に位置するように構成された
請求項１４または請求項１５に記載の洗濯乾燥機。
前記ガイド部は、その先端部に前記脱水回転方向の手前側に突出する凸部を有する
請求項１４から請求項１６までのいずれか１項に記載の洗濯乾燥機。
前記ガイド部は、前記背面側の方が前記正面側よりも高くなるように構成された
請求項１４から請求項１７までのいずれか１項に記載の洗濯乾燥機。