WO2011125552A1

WO2011125552A1 - サポーター

Info

Publication number: WO2011125552A1
Application number: PCT/JP2011/057425
Authority: WO
Inventors: 達哉高水
Original assignee: 株式会社島精機製作所
Priority date: 2010-04-02
Filing date: 2011-03-25
Publication date: 2011-10-13

Abstract

関節を保護しつつ、関節を伸ばすときに関節を伸ばす動作を効果的に助勢することができるサポーターを提供する。部分的に形成される高収縮力発生部１０Ｈで、関節の屈伸動作を助勢するサポーター１０である。高収縮力発生部１０Ｈは、関節サポート部１と、上部締付部２と、下部締付部３と、帯状部４とを備える。関節サポート部１は、関節を曲げたときに突出する部分を環状に取り囲む。両締付部２（３）は、関節サポート部１から筒状部の左右に分かれつつ筒状部の上方（下方）に向かって伸び、筒状部の背面で連結されるように形成される。帯状部４は、関節サポート部１の環内で筒状部の左右に分かれた２つの低収縮力発生部５が形成されるように、関節サポート部１を筒状部の上下方向に繋ぐ。

Description

サポーター

　本発明は、人体の関節部分を外周から覆う筒状部を有し、その筒状部に部分的に形成される高収縮力発生部で、関節の屈伸動作を助勢するサポーターに関する。特に、関節を伸ばす動作を効果的に助勢することができるサポーターに関する。

　日常生活やスポーツ時の肘関節や膝関節の保護にサポーターが用いられている。例えば、特許文献１や２には、膝関節を保温すると共に、膝関節の屈伸動作を助勢することで、膝関節への負担を軽減するサポーターが開示されている。

　上記特許文献のサポーターはいずれも、膝関節部分を外周から覆う筒状であって、関節の屈曲形状に沿うように若干『（』状に反った筒状になっている。これらサポーターは、部分的に形成された高収縮力発生部を有しており、この高収縮力発生部が膝関節を曲げ伸ばしする際に伸ばされることで収縮力を蓄積し、その収縮力によって膝関節の曲げ伸ばしを助勢し、膝関節への負担を軽減する。高収縮力発生部は、膝関節を曲げたときに突出する膝蓋骨の部分を環状に取り囲む関節サポート部と、この関節サポート部に連続して形成され、大腿部と脹脛をそれぞれ周方向に締め付ける上部締付部と下部締付部とを備える。

特開２００３－５２７２７公報特開２００７－５４１２６公報

　サポーターを人体のどの関節に使用するか、サポーターをどの場面で使用するかによって、関節を曲げるときに比べて伸ばすときに、より強い助勢力を必要とする場合があるが、上記特許文献１や２のサポーターはその要求に効果的に応える構造となっていなかった。

　関節を伸ばすときにサポーターの助勢があることが好ましい例としては、例えば、立位の状態から膝関節を曲げ、次に膝関節を伸ばす場合などを挙げることができる。膝関節を曲げる時には重力の助けがあるのに対して、膝関節を伸ばすときには重力に逆らうことになるので、サポーターによる助勢力が強いと膝関節を伸ばすのが非常に楽になる。また、スポーツを行う際にサポーターを使用する場合、膝関節のみならず、肘関節についても関節を伸ばすときにサポーターの助勢力が強いことが好ましい場合がある。例えば、バスケットボールなどでシュートを放つ際、頭上に手を掲げて肘関節を曲げてから伸ばす動作があるので、この肘関節を伸ばす動作をサポーターに助勢させることができれば、肘関節への負担を軽減できる。

　本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、関節を保護しつつ、関節を伸ばすときに関節を伸ばす動作を効果的に助勢することができるサポーターを提供することにある。

　本発明者は、従来のサポーターの構成を再検討した結果、従来のサポーターで関節を伸ばすときにサポーターによる強い助勢力が得られないのは、関節サポート部の環内の全ての部分が、伸縮性に富み、伸びたときに強い収縮力を蓄積することができない低収縮力発生部となっていることに原因があるとの知見を得た。関節サポート部の環内が低収縮力発生部となっているのは、その環内の部分が関節を曲げた際に最も伸張される部分であるため、この部分全体を伸縮性の低い高収縮力発生部で覆ってしまうと、関節を曲げることに支障が生じるからである。ところが、このような構成では、関節を曲げた際、関節サポート部よりも低収縮力発生部が伸びることで、関節サポート部に蓄積される収縮力が小さくなるので、弱い助勢力しか発生させることができない。以上の知見を踏まえて、本発明者は試行錯誤の結果、以下に示す本発明サポーターを完成させた。

　本発明サポーターは、人体の関節部分を外周から覆う筒状部を有し、その筒状部に部分的に形成される高収縮力発生部で、関節の屈伸動作を助勢するサポーターであって、サポーターに備わる高収縮力発生部は、関節サポート部と、上部締付部と、下部締付部と、帯状部とを備えることを特徴とする。関節サポート部は、関節を曲げたときに突出する部分を環状に取り囲む部分である。また、上部締付部は、関節サポート部に連続し、関節サポート部から筒状部の左右に分かれつつ筒状部の上方に向かって伸び、関節サポート部とは反対側の筒状部の背面で連結されるように形成された部分である。下部締付部は、関節サポート部に連続し、関節サポート部から筒状部の左右に分かれつつ筒状部の下方に伸び、前記筒状部の背面で連結されるように形成された部分である。そして、帯状部は、関節サポート部の環内で筒状部の左右に分かれた２つの低収縮力発生部が形成されるように、関節サポート部を筒状部の上下方向に繋ぐ部分である。

　本発明サポーターの一形態として、サポーターに設けられる帯状部は、関節サポート部の環上方から環中心に向かうに従い漸次広くなり、環中心から環下方に向かうに従い漸次狭くなっていることが好ましい。

　本発明サポーターの一形態として、サポーターに設けられる高収縮力発生部はさらに、筒状部の背面で上部締付部と下部締付部とを筒状部の上下方向に繋ぐ連結部を備えることが好ましい。

　また、本発明サポーターの一形態として、少なくとも前後一対の針床を備える横編機により無縫製で筒状に編成された編地であることが好ましい。

　本発明サポーターによれば、関節の屈伸動作をサポートすることができるだけでなく、関節を伸ばす動作を効果的に助勢することができる。これは、関節サポート部の環内を上下方向に繋ぐ帯状部により、関節を曲げたときに従来構成よりも関節サポート部が伸ばされ、強い収縮力を蓄積するからである。また、帯状部自身も伸ばされて、収縮力を蓄積するので、高収縮力発生部全体に蓄積される収縮力を増加させる。しかも、帯状部が筒状部の上下方向に沿って設けられているため、高収縮力発生部全体に蓄積された収縮力が、主に筒状部の上下方向、つまり関節を伸ばす動作に沿った方向に作用する。一方、帯状部により関節サポート部の環内に形成される低収縮力発生部により、関節部分に対する関節サポート部の位置ズレを抑制でき、かつ関節サポート部の環内に低収縮力発生部が存在することにより関節の曲げ難さを解消することができる。

　なお、本発明サポーターは、肘関節、膝関節に限らず人体のあらゆる関節部分のサポートに有効である。例えば、本発明の構成を、手首や足首、手指、足指を保護するサポーターに適用しても良い。

　帯状部の中間部分を幅広に形成した本発明サポーターによれば、帯状部で発生する収縮力を大きくできるし、帯状部を肘や膝など関節を曲げた際に突出する箇所からズレ難くできる。

　連結部を有する本発明サポーターによれば、関節を伸ばしたときに関節を痛めないように保護することができる。これは、上部締付部と下部締付部を筒状部の上下方向に繋ぐ連結部が、関節が伸びきる前に関節を伸ばす動きにブレーキをかけるからである。

　横編機を用いて無縫製で筒状に編成されたサポーターによれば、縫製による繋ぎ目がないため、サポーターに設けた各部の構成を効果的に働かせることができる。縫製による繋ぎ目は殆ど伸びないため、例えば、高収縮力発生部を分断するように繋ぎ目があると、その繋ぎ目で収縮力も分断される恐れがある。

実施形態に係る肘関節用のサポーターの概略図であって、（Ａ）は着用時に肘に対応する側から見た図、（Ｂ）は着用時に肘窩（ｃｕｂｉｔａｌ　ｆｏｓｓａ）に対応する側から見た図である。

　本実施形態では肘関節用のサポーターを図１に基づいて説明する。図１に示すサポーター１０は、上下に開口部８，９を有し、肘関節の屈曲形状に沿うように肘窩側に若干『（』状に反った筒状の編地であって、全体的に伸縮性を有する無縫製の編地である。このサポーター１０には、伸縮性が低く、伸ばすのに大きな張力を必要とし、一旦、伸びると強い収縮力を発揮する高収縮力発生部１０Ｈが部分的に形成されている。高収縮力発生部１０Ｈ以外の低収縮力発生部１０Ｌ，５は、高収縮力発生部１０Ｈよりも伸縮性に富み、伸ばされたときに発生する収縮力も高収縮力発生部１０Ｈよりも小さい部分である。

　上記サポーター１０は、対向する一対の針床と、複数の給糸部材とを備える横編機により無縫製で編成することができる。例えば、横編機の給糸部材から通常の編糸を給糸し、別の給糸部材から弾性糸を給糸してサポーター１０を周回編成する。その際、高収縮力発生部１０Ｈに相当する部分では弾性糸をプレーティング編成し、低収縮力発生部１０Ｌ，５に相当する部分では弾性糸をタック編成する。その他、高収縮力発生部１０Ｈと低収縮力発生部１０Ｌ，５とで、異なる張力の弾性糸を用いても良いし、一様な伸縮性を有するサポーター１０を編成した後、部分的に樹脂を含浸させ、高収縮力発生部１０Ｈを形成しても良い。

　サポーター１０に部分的に形成される高収縮力発生部１０Ｈは、関節サポート部１と、上部締付部２と、下部締付部３と、帯状部４と、を備える。なお、サポーター１０を着用すると、上部締付部２のある開口部８が下腕側、下部締付部３のある開口部９が上腕側になる。

　関節サポート部１は、図１（Ａ）に示すように、サポーター１０を着用した際、肘に対応する位置に設けられる環状の部分である。この関節サポート部１は、肘を曲げたときに環の中心から径方向に広がるように伸びて、当該中心に向かって収縮力を発生させ、関節に掛かる力を軽減する。また、肘関節を曲げた際に関節サポート部１に生じる収縮力は、関節サポート部１に蓄積され、肘関節を伸ばす際の助勢力の一部として働く。

　上部締付部２は、図１（Ａ）に示すように、関節サポート部１に連続して形成され、関節サポート部１から左右に２つに分かれてサポーター１０の上方に伸び、図１（Ｂ）に示すように、サポーター１０の背面側で連結されることで形成される。他方、下部締付部３は、図１（Ａ）に示すように、関節サポート部１に連続して形成され、関節サポート部１から左右に２つに分かれてサポーター１０の下方に伸び、図１（Ｂ）に示すように、サポーターの背面側で連結されることで形成される。これら締付部２，３は、腕を周方向に締め付けてサポーター１０の位置がズレないようにする役割を果たすと共に、サポーター１０の上下方向に伸びて、その上下方向への収縮力を蓄積することができる。締付部２，３に蓄積された収縮力は、締付部２，３に繋がる関節サポート部１に伝達され、肘関節を伸ばす助勢力の一部として働く。また、締付部２，３は、上記関節サポート部１に繋がるので、肘関節を曲げた際に関節サポート部１を筒状部の上下方向に引っ張り、関節サポート部１に当該上下方向へのさらなる収縮力を発生させることにも寄与する。

　帯状部４は、関節サポート部１の環内を上下に繋ぐ幅広の部分である。帯状部４の幅は、関節サポート部１の環上方から環中心に向かうに従い漸次広くなり、環中心から環下方に向かうに従い漸次狭くなっており、環中心付近でサポーター１０を上下に分ける直線に対して上下線対称の形状となっている。なお、帯状部４は、一様な幅であっても良いが、実施形態に示すように帯状部４の中間部分を幅広に形成する方が、帯状部４が肘の位置からズレ難い。

　上記関節サポート部１を上下に繋ぐ帯状部４により、肘関節を曲げたときに、高収縮力発生部１０Ｈ全体に蓄積されるサポーター１０の上下方向への収縮力を従来よりも高めることができる。もちろん、帯状部４自身も伸びることで収縮力を蓄積するので、その蓄積された収縮力が、肘関節を伸ばす際の助勢力の一部となる。

　上記帯状部４と関節サポート部１との間には、三日月状の２つの低収縮力発生部５，５が形成されている。実施形態の両低収縮力発生部５，５は、サポーター１０の上下方向に伸びる中心線を挟んで互いに線対称な形状になっている。これら低収縮力発生部５，５は、高収縮力発生部１０Ｈよりも低い張力で伸長でき、発生する収縮力も小さい部分である。サポーター１０における肘に相当する部分は、肘を曲げた際に最も伸ばされる部分であるため、この部分全部が伸びにくい高収縮力発生部で形成されていると、肘関節を曲げるのに大きな力が必要になるし、関節サポート部１が肘の位置にフィットしないなど、肘関節を曲げるのに支障がある。これに対して、肘に相当する部分に低収縮力発生部５，５が形成されていることで、肘関節を曲げたときに低収縮力発生部５，５が大きく伸びるので、支障なく肘関節を曲げることができる。また、低収縮力発生部５，５が帯状部４を挟み込むように配されていることで、肘に対する帯状部４の位置ズレを効果的に防止できる。

　その他、図１（Ｂ）の二点鎖線で示すように、筒状部１０の背面側で、上部締付部２と下部締付部３とを繋ぐ連結部７を設けても良い。そして、この連結部７を、高収縮力発生部１０Ｈと同様に伸び難く形成しておくことで、連結部７により肘関節が伸びきる前に肘関節を伸ばす動作にブレーキをかけ、肘関節を痛めないように保護することができる。連結部７が肘関節を伸ばす動作のブレーキになるのは、サポーター１が肘窩側に若干『（』状に反った筒状になっているため、サポーター１が真っ直ぐになることに対して連結部７が抵抗するからである。

　一方、低収縮力発生部１０Ｌは、伸ばされたときに高収縮力発生部１０Ｈよりも低い収縮力を生じる部分である。低収縮力発生部１０Ｌがあることで、サポーター１０を腕に着脱し易く、かつ腕が強く締め付けられすぎることがなくなる。

　以上説明した低収縮力発生部１０Ｌ，５と高収縮力発生部１０Ｈとで形成されたサポーター１０は、部分的に伸縮性に差があることで、腕に着脱し易く、かつ肘関節の曲げ伸ばしに支障がないように肘関節を効果的に保護することができる。また、サポーター１０は、帯状部４と低収縮力発生部５，５を備えることにより、肘関節を伸ばす動きを効果的に助勢することができる。

　なお、本発明の構成は、肘関節のサポーターに限定されるわけではなく、膝関節のサポーターや手首、足首の関節のサポーターなどにも適用できる。また、ストッキングのように下半身全体を覆う着衣の膝関節や足首の関節に相当する部分、あるいはセーターのように上半身全体を覆う着衣の手首の関節や肘関節に相当する部分に、本発明の構成を適用しても良い。

１０　サポーター
　１０Ｈ　高収縮力発生部　１０Ｌ　低収縮力発生部
　１　関節サポート部
　２　上部締付部
　３　下部締付部
　４　帯状部
　５　低収縮力発生部
　７　連結部
　８，９　開口部

Claims

　人体の関節部分を外周から覆う筒状部を有し、その筒状部に部分的に形成される高収縮力発生部で、関節の屈伸動作を助勢するサポーターであって、
　高収縮力発生部は、
　　関節を曲げたときに突出する部分を環状に取り囲む関節サポート部と、
　　関節サポート部に連続し、関節サポート部から筒状部の左右に分かれつつ筒状部の上方に向かって伸び、関節サポート部とは反対側の筒状部の背面で連結する上部締付部と、
　　関節サポート部に連続し、関節サポート部から筒状部の左右に分かれつつ筒状部の下方に伸び、前記筒状部の背面で連結する下部締付部と、
　　関節サポート部の環内で筒状部の左右に分かれた２つの低収縮力発生部が形成されるように、関節サポート部を筒状部の上下方向に繋ぐ帯状部と、
　を備えることを特徴とするサポーター。
　前記帯状部は、前記関節サポート部の環上方から環中心に向かうに従い漸次広くなり、環中心から環下方に向かうに従い漸次狭くなっていることを特徴とする請求項１に記載のサポーター。
　前記高収縮力発生部はさらに、
　前記背面で上部締付部と下部締付部とを筒状部の上下方向に繋ぐ連結部を備えることを特徴とする請求項１または２に記載のサポーター。
　少なくとも前後一対の針床を備える横編機により無縫製で筒状に編成された編地であることを特徴とする請求項１～３のいずれか一項に記載のサポーター。