WO2010150771A1 - クラッチ及びモータ - Google Patents

Abstract

　駆動軸と、駆動側回転体と、従動軸と、従動側回転体と、クラッチハウジングと、ロック部材とを備えるクラッチが開示される。前記駆動側回転体の非回転時には、前記ロック部材は、前記従動側回転体が回転されると該従動側回転体に押圧されて径方向外側に移動してロック部材の当接部が前記クラッチハウジングの内周面に当接する。前記駆動側回転体の回転時には、前記駆動側回転体がロック部材の駆動側カム面を回転方向に押圧するとともに、前記駆動側カム面の作用により前記ロック部材が径方向内側に移動して前記従動側回転体に押し付けられる。それによって、前記ロック部材は、同ロック部材を介して前記駆動側回転体と前記従動側回転体とが一体回転可能に連結されるよう、前記駆動側回転体と前記従動側回転体との間に挟まれる。

Description

クラッチ及びモータ

　本発明は、駆動軸の回転駆動力を従動軸へ伝達させる一方で回転力を従動軸から駆動軸へ伝達させないように作動するクラッチ、及び、モータ部の駆動軸と減速部の減速機構とが前記クラッチを介して連結されたモータに関するものである。

　パワーウインド装置等の駆動源に用いられるモータは、回転軸（駆動軸）を回転させる回転駆動力を発生するモータ部と、前記回転軸の回転速度を減速して負荷に連結される出力軸から回転駆動力を出力する減速部とを備えたものがある。そして、モータ部に備えられる回転軸と、減速部に備えられる減速機構のウォーム軸（出力軸）とは、回転軸の回転駆動力をウォーム軸に伝達する一方、ウォーム軸からの回転力を回転軸に伝達しないよう作動するクラッチを介して連結されている。

　例えば、特許文献１に記載されたモータにおいては、回転軸とウォーム軸とが機械式のクラッチを介して連結されている。このクラッチは、回転軸と一体回転する駆動側回転体、ウォーム軸と一体回転する従動側回転、及びこれら駆動側回転体と従動側回転体とを連結するための複数の部品を含んでいる。

　駆動側回転体及び従動側回転体は、円筒状のカラーの内部で軸方向に互いに対向して配置されている。回転軸と従動側回転体との間にはスラスト荷重を受けるボールが配置されている。そして、カラーの内周壁と従動側回転体の外周壁との間には、周方向において等角度間隔に、軸方向に延びる３つの円柱状の転動体が配置されている。これらの転動体はサポート部材にて支持されている。また、サポート部材は、カラーの内部において、転動体を駆動側回転体と周方向に対向するように支持している。更に、カラー及びサポート部材は、金属板材よりなるストッパにて減速機構を収容するギヤハウジングに固定されている。

　そして、モータ部が駆動されて回転軸が回転されると、駆動側回転体と従動側回転体とが回転方向に係合されて一体回転する。従って、回転軸の回転駆動力は、駆動側回転体及び従動側回転体を介してウォーム軸に伝達され、減速機構にて減速されて出力される。このとき、サポート部材も駆動側回転体と回転方向に係合し、それにより、サポート部材は３つの転動体と共に駆動側回転体と一体回転する。一方、モータ部の停止時にウォーム軸に回転力が加わると、従動側回転体とカラーとの間に転動体が挟まれて従動側回転体の回転が阻止されるため、ウォーム軸の回転力が回転軸に伝達されることが阻止される。

特開２００３－２７８７８４号公報

　しかしながら、駆動側回転体、従動側回転体、カラー、ボール、３つの転動体、サポート部材及びストッパを備えた特許文献１に記載のクラッチは、部品点数が多く、かつ、その機構が複雑である。そのため、多くの部品をそれぞれ製造するための設備が必要であったり、組付けが煩雑となるために組付け工程に時間がかかったりして、結果的に製造コストが高くなってしまう。

　本発明の目的は、機構が簡略化された機械式のクラッチ及び該クラッチを備えたモータを提供することにある。

　上記目的を達成するために、本発明の態様に従い、駆動軸と、駆動側回転体と、従動軸と、従動側回転体と、クラッチハウジングと、ロック部材とを備えるクラッチが提供される。駆動側回転体は前記駆動軸と一体回転可能である。従動軸は前記駆動軸と同軸上に配置される。従動側回転体は前記従動軸と一体回転可能である。クラッチハウジングはその内部に前記駆動側回転体及び前記従動側回転体を配置可能である。ロック部材は、前記クラッチハウジングの内部において前記駆動側回転体と前記従動側回転体との間に配置される。ロック部材は当接部とロック部材とを備える。当接部は前記クラッチハウジングの内周面に接離する。ロック部材は前記駆動側回転体が回転方向から当接される駆動側カム面を有する。前記駆動側回転体の非回転時には、前記ロック部材は、前記従動側回転体が回転されると該従動側回転体に押圧されて径方向外側に移動して前記当接部が前記クラッチハウジングの内周面に当接する。それによって、前記ロック部材は、前記クラッチハウジングと前記従動側回転体との間に挟まれてそれ以上の従動側回転体の回転を阻止する。

　前記駆動側回転体の回転時には、前記駆動側回転体が前記駆動側カム面を回転方向に押圧するとともに、前記駆動側カム面の作用により前記ロック部材が径方向内側に移動して前記従動側回転体に押し付けられる。それによって、前記ロック部材は、同ロック部材を介して前記駆動側回転体と前記従動側回転体とが一体回転可能に連結されるよう、前記駆動側回転体と前記従動側回転体との間に挟まれる。

本発明に係るモータの部分断面図。 図１のモータの部分拡大断面図。 図１のモータに設けられるクラッチの斜視図。 本発明に係る第１の実施形態のクラッチの分解斜視図。 （ａ）及び（ｂ）はそれぞれ図４のクラッチの分解側面図。 （ａ）は第１の実施形態におけるモータ停止時のクラッチの断面図（図３における６ａ－６ａ線に沿った断面図）、（ｂ）は第１の実施形態におけるモータ停止時のクラッチの断面図（図３における６ｂ－６ｂ線に沿った断面図）。 （ａ）は第１の実施形態におけるモータ駆動時のクラッチの断面図（図３における６ａ－６ａ線に沿った断面図）、（ｂ）は第１の実施形態におけるモータ駆動時のクラッチの断面図（図３における６ｂ－６ｂ線に沿った断面図）。 本発明に係る第２の実施形態のクラッチの側面図。 図８のクラッチの分解斜視図。 （ａ）及び（ｂ）はそれぞれ第２の実施形態におけるモータ停止時のクラッチの断面図（図８における１０－１０線に沿った断面図）。 （ａ）及び（ｂ）はそれぞれ第２の実施形態におけるモータ駆動時のクラッチの断面図（図８における１０－１０線に沿った断面図）。

　以下、本発明を具体化した第１の実施形態を図面に従って説明する。
　図１は、パワーウインド装置の駆動源として用いられる本実施形態のモータの部分断面図である。このモータは、モータ部１、減速部２及びクラッチ３を備えている。

　モータ部１は有底筒状のヨークハウジング４を有し、その内周面には、一対のマグネット５が互いに対向するように固着されている。ヨークハウジング４の内部において、マグネット５の径方向内側にはアーマチャ６が配置されている。アーマチャ６は、ヨークハウジング４の径方向中央において軸方向に沿って延びる回転軸７、即ち駆動軸を有する。ヨークハウジング４の底部中央には軸受８が設けられ、該軸受８は回転軸７の基端を回転可能に支持する。回転軸７の先端寄りの部位には、円筒状のコンミテータ９が固着されている。また、回転軸７の先端部の外周部には、互いに平行に延びる一対の平面を有する連結部７ａが形成されている。

　ヨークハウジング４の開口部には、径方向外側に向かって延設されたフランジ部４ａが形成されるとともに、同ヨークハウジング４の開口部にはブラシホルダ１０が嵌合されている。このブラシホルダ１０は、ヨークハウジング４の開口部を閉塞するように形成されたホルダ本体１０ａと、ヨークハウジング４の径方向外側に突出するコネクタ部１０ｂとが一体に形成されてなる。ホルダ本体１０ａは、配線でコネクタ部１０ｂと接続されている。ホルダ本体１０ａは、前記コンミテータ９と摺接する一対のブラシ１１を保持している。また、ホルダ本体１０ａの中央には軸受１２が設けられ、該軸受１２は前記回転軸７におけるコンミテータ９と連結部７ａとの間の部位を回転可能に支持する。そして、コネクタ部１０ｂを介してブラシ１１に供給された外部電源が、コンミテータ９を介してアーマチャ６のコイル巻線に供給され、これによりアーマチャ６（回転軸７）が回転、即ちモータ部１が回転駆動されるようになっている。

　前記減速部２は、ギヤハウジング２１と該ギヤハウジング２１内に収容された減速機構２２とを有している。ギヤハウジング２１は、樹脂製であり、モータ部１と軸方向に対向する部位（図１において上側の端部）に、該ギヤハウジング２１をモータ部１に固定するための固定部２１ａを備えている。固定部２１ａは、ヨークハウジング４のフランジ部４ａの外形と同様の外形を有する。固定部２１ａには、ヨークハウジング４の内部に向けて開口する嵌合凹部２１ｂが形成されている。そして、嵌合凹部２１ｂにブラシホルダ１０のホルダ本体１０ａが嵌合された状態で、固定部２１ａとフランジ部４ａとが螺子２３にて連結されることにより、ギヤハウジング２１とヨーク４とが連結され、モータ部１と減速部２とが一体化されている。

　ギヤハウジング２１は、嵌合凹部２１ｂの底部中央において回転軸７の軸方向に延びるクラッチ収容凹部２１ｃを有するとともに、該クラッチ収容凹部２１ｃの底部中央から回転軸７の軸線方向に延びるウォーム軸収容部２１ｄを有する。ギヤハウジング２１はまた、ウォーム軸収容部２１ｄの側方にホイール収容部２１ｅを備えている。このホイール収容部２１ｅとウォーム軸収容部２１ｄとは、ウォーム軸収容部２１ｄの軸方向（長手方向）の中央部で繋がっている。

　前記ウォーム軸収容部２１ｄには、略円柱状のウォーム軸２４が収容されている。ウォーム軸２４は、金属材料よりなり、略円柱状のウォーム軸本体２４ａと、該ウォーム軸本体２４ａの基端部（即ちモータ部１側の端部であって、図１において上側の端部）に一体に形成された従動側回転体２４ｂとを備えている。ウォーム軸本体２４ａの軸方向の中央部には螺子歯部２４ｃが形成されている。ウォーム軸本体２４ａの軸方向の両端部は、ウォーム軸収容部２１ｄの軸方向の両端部に配置された金属製で円筒状をなす一対の軸受２５ａ，２５ｂによって、回転可能に支持されている。そして、図２に示すように、ウォーム軸収容部２１ｄ内のウォーム軸本体２４ａは、前記回転軸７と同軸上になるように、即ち回転軸７の中心軸線Ｌ１とウォーム軸本体２４ａの中心軸線Ｌ２とが一直線上になるように配置されている。

　従動側回転体２４ｂは、ウォーム軸本体２４ａの基端面から軸方向に沿って延びている。図４に示すように、従動側回転体２４ｂにおいて、軸方向と直交する断面の形状は楕円形状をなし、全体としては柱状をなしている。説明の便宜上、従動側回転体２４ｂの楕円形状における短軸と交差する円弧状の側面を符号“２４ｅ”で示す。そして、図２に示すように、従動側回転体２４ｂの中心軸線Ｌ３は、ウォーム軸本体２４ａの中心軸線Ｌ２と一致している。また、従動側回転体２４ｂは、ウォーム軸収容部２１ｄからクラッチ収容凹部２１ｃ内に突出している。

　前記ホイール収容部２１ｅには、ウォーム軸２４の螺子歯部２４ｃと噛合する円板状のウォームホイール２６が収容されている。ウォームホイール２６は、ウォーム軸２４と共に減速機構２２を構成している。このウォームホイール２６は、その径方向の中央部においてウォーム軸本体２４ａの中心軸線と直交する方向（図１において紙面垂直方向）に延びる軸線周りに回転可能であるとともに、その径方向の中央部に同ウォームホイール２６と一体回転する出力軸２７が設けられている。この出力軸２７には、車両のウインドガラスを昇降させるための公知のウインドレギュレータ（図示略）が駆動連結される。

　前記クラッチ収容凹部２１ｃは、ウォーム軸２４の軸方向から見た形状が円形状をなすとともに、その内部に、前記回転軸７とウォーム軸２４とを連結するクラッチ３が収容されている。図３及び図４に示すように、クラッチ３は、クラッチハウジング３１と、駆動側回転体３２と、サポート部材３３と、一対のロック部材３４と、前記従動側回転体２４ｂとを備えている。

　クラッチハウジング３１は、金属製であり、円筒状をなしている。図２に示すように、クラッチハウジング３１の外径は、前記クラッチ収容凹部２１ｃの内径と略等しく形成されるとともに、同クラッチハウジング３１の軸方向の長さは、クラッチ収容凹部２１ｃの深さと略等しく形成されている。そして、クラッチハウジング３１は、クラッチ収容凹部２１ｃの内周面にクラッチハウジング３１の外周面が当接しギヤハウジング２１に対して回動不能とされた状態で同クラッチ収容凹部２１ｃ内に収容されている。

　図３及び図４に示すように、クラッチハウジング３１の内部に配置される駆動側回転体３２は、樹脂材料よりなり、前記回転軸７の連結部７ａが連結される駆動連結部３２ａと、支持部３２ｂと、一対の駆動伝達部３２ｃとが一体に形成されている。

　駆動連結部３２ａは、その外周部において互いに平行に延びる一対の平面を有する。駆動連結部３２ａの軸方向の一端部（図４において下側の端部）には、支持部３２ｂが一体に形成されている。支持部３２ｂは、その外周部において互いに平行に延びる一対の平面を有する。つまり、支持部３２ｂの外周形状は駆動連結部３２ａと同じであるが、駆動連結部３２ａよりも径方向に一回り大きい。図５（ａ）及び図５（ｂ）に示すように、支持部３２ｂの中心軸線Ｌ４と駆動連結部３２ａの中心軸線Ｌ５とは一致する。支持部３２ｂにおける、中心軸線Ｌ４と直交する方向の最大寸法は、前記クラッチハウジング３１の内径よりも僅かに小さい。そして、図４に示すように、駆動連結部３２ａ及び支持部３２ｂのそれぞれの径方向の中央部には、該駆動連結部３２ａ及び支持部３２ｂを中心軸線Ｌ４，Ｌ５の方向に貫通する連結孔３２ｄが形成されている。この連結孔３２ｄは、前記回転軸７の先端部に設けられた連結部７ａに対応した形状の孔であり、該連結孔３２ｄに連結部７ａが挿入されることにより、回転軸７と駆動側回転体３２とが回転方向に係合されて一体回転可能となる。

　前記支持部３２ｂの軸方向の端面であって駆動連結部３２ａと反対側の端面（図４において下側の端面）から、一対の駆動伝達部３２ｃが軸方向に沿って延びている。一対の駆動伝達部３２ｃは、支持部３２ｂの両側部から軸方向に沿って駆動連結部３２ａの反対側に延びている。即ち、一対の駆動伝達部３２ｃは、支持部３２ｂにおける周方向に等角度間隔となる２箇所から軸方向に沿って駆動連結部３２ａと反対側に延びている。図３に示すように、駆動伝達部３２ｃの基端から先端までの長さはクラッチハウジング３１の軸方向の長さよりも長く形成されている。更に、図５（ｂ）に示すように、一対の駆動伝達部３２ｃは、中心軸線Ｌ４と直交する方向に関して互いに離間している。そして、図３に示すように、一対の駆動伝達部３２ｃはクラッチハウジング３１の内部に挿入されている。

　また、図６（ａ）及び図６（ｂ）に示すように、各駆動伝達部３２ｃは、クラッチハウジング３１の内周面に沿った円弧状をなすとともに、その周方向の両端部に、径方向内側に向けて若干屈曲された形状をなす一対の伝達部３２ｅを有する。各伝達部３２ｅは、駆動伝達部３２ｃの周方向の中央部から遠ざかるに連れてクラッチハウジング３１の径方向の中央部に近づくように傾斜している。

　一対の駆動伝達部３２ｃ間には、サポート部材３３にて径方向（回転軸７の径方向であってクラッチハウジング３１の径方向に同じ）に移動可能に支持された一対のロック部材３４が配置されている。

　クラッチハウジング３１内に配置されるサポート部材３３は、樹脂材料にて形成されており、四角筒状をなしている。サポート部材３３は、クラッチハウジング３１の径方向に沿って延びる孔を有し、その孔の両端は互いに逆向きに開口する一対の開口部を形成している。両開口部間の長さ（即ち、クラッチハウジング３１の径方向に沿った孔の長さ）は、各駆動伝達部３２ｃにおける一対の伝達部３２ｅの先端間の長さ（即ち、駆動伝達部３２ｃの周方向の両端間の長さ）よりも短く、且つ各駆動伝達部３２ｃにおける一対の伝達部３２ｅの基端部間の長さよりも長い。そして、図６（ａ）に示すように、サポート部材３３をクラッチハウジング３１の軸方向から見ると、サポート部材３３の四隅は面取りされている。また、図４に示すように、サポート部材３３は、回転軸７の軸方向において互いに対向する一対の端壁を有し、同端壁には円形状の貫通孔３３ａが形成されている。この貫通孔３３ａの内径は、前記ウォーム軸本体２４ａにおける螺子歯部２４ｃを除く部位の直径よりも若干大きい。

　図４及び図６（ｂ）に示すように、一対のロック部材３４は互いに同一の形状および大きさを有し、クラッチハウジング３１の内部において、クラッチハウジング３１の中心軸線Ｌ６に関して対称に配置されている。また、各ロック部材３４におけるクラッチハウジング３１の直径方向に沿った長さは、クラッチハウジング３１の内径の半分の長さよりも短く形成されている。そして、各ロック部材３４は、樹脂材料よりなり、略直方体状の押圧部３４ａと、該押圧部３４ａの径方向外側に一体に形成された中間伝達部３４ｂと、該中間伝達部３４ｂの径方向外側に一体に形成された当接部３４ｃとを備えている。

　各ロック部材３４において、押圧部３４ａは、その外形が、サポート部材３３の内周面に対応した略四角形の板状をなすとともに、サポート部材３３の内周面にその外周面が摺動可能に当接した状態で同サポート部材３３の内部に配置されている。また、押圧部３４ａにおける当接部３４ｃと反対側の側面であってクラッチハウジング３１の中心軸線Ｌ６側（即ち内周側）の側面には、当接部３４ｃに向かって凹む従動側カム面３４ｄが設けられている。この従動側カム面３４ｄは、軸方向に沿って押圧部３４ａの一端から他端まで延びている。各従動側カム面３４ｄは、押圧部３４ａの周方向の中央を通りかつ径方向に延びる仮想平面（図示略）に関して対称である。また、従動側カム面３４ｄの曲率は、従動側回転体２４ｂにおける一対の円弧状の側面２４ｅの曲率よりも小さく、緩やかな円弧状をなしている。

　各押圧部３４ａにおける従動側カム面３４ｄと反対側の端部、即ち外周側の端部には中間伝達部３４ｂが一体に形成されている。中間伝達部３４ｂは、押圧部３４ａ側の基端から外周側の先端に向かうに連れて徐々に周方向の幅が小さくなるように形成されている。中間伝達部３４ｂにおいて、軸方向と直交する方向に沿った断面形状は台形状をなしている。そして、各中間伝達部３４ｂの周方向の両端には、径方向（回転軸７の径方向であってクラッチハウジング３１の径方向に同じ）に対して傾斜した一対の駆動側カム面３４ｅが形成されている。一対の駆動側カム面３４ｅは、当接部３４ｃの周方向の中央を通りかつ径方向に延びる仮想平面（図示略）に関して対称であって、径方向外側に向かうほど互いの間隔が短くなるように延びている。また、各駆動側カム面３４ｅは、軸方向に沿って中間伝達部３４ｂの一端から他端に渡って延びている。これらの駆動側カム面３４ｅを有するロック部材３４と、前記駆動側回転体３２（駆動伝達部３２ｃ）とによって駆動側カム機構が構成されている。

　各当接部３４ｃは、軸方向に沿って中間伝達部３４ｂの一端から他端に渡って直線状に延びており、径方向外側に向かって突条をなしている。そして、各中間伝達部３４ｂは、軸方向と直交する方向に沿った断面形状が、半円状をなしている。

　図２及び図６（ｂ）に示すように、上記のような一対のロック部材３４は、クラッチハウジング３１の内部であって、且つ駆動側回転体３２の一対の駆動伝達部３２ｃ間に配置されている。詳しくは、一対のロック部材３４は、互いの従動側カム面３４ｄが対向するようにサポート部材３３の一対の開口部からそれぞれ該サポート部材３３に挿入されている。そして、クラッチハウジング３１の内部において、一対のロック部材３４が挿入されたサポート部材３３が径方向に対向する駆動伝達部３２ｃ間に配置される。サポート部材３３の開口部から径方向外側に突出した当接部３４ｃ及び中間伝達部３４ｂが、周方向に隣り合う一方の駆動伝達部３２ｃの伝達部３２ｅと他方の駆動伝達部３２ｃの伝達部３２ｅとの間に配置される。更に、各ロック部材３４における一対の駆動側カム面３４ｅは、一対の伝達部３２ｅと駆動側回転体３２の回転方向に当接可能に配置される。そして、ロック部材３４は、サポート部材３３に案内されながら回転軸７の径方向（即ちクラッチハウジング３１の径方向に同じ）に沿って移動可能であり、径方向外側端部にまで移動すると、当接部３４ｃがサポート部材３３の内周面に当接する。

　尚、ロック部材３４が最も径方向外側に配置された状態、即ち当接部３４ｃがクラッチハウジング３１の内周面に当接した状態において、互いに対向する従動側カム面３４ｄ間の間隔は、従動側回転体２４ｂの軸方向と直交する断面形状、即ち楕円形状の長軸方向の長さよりも短い値となるように設定されている。

　前記従動側回転体２４ｂは、サポート部材３３の一対の貫通孔３３ａを通って、一対のロック部材３４に挟まれるようにクラッチハウジング３１の内部において径方向に対向する２つの従動側カム面３４ｄ間に配置されている。この従動側回転体２４ｂは、その一対の側面２４ｅが従動側カム面３４ｄとクラッチハウジング３１の直径方向に対向（回転軸７の径方向に対向）している。尚、従動側回転体２４ｂとそれぞれ従動側カム面３４ｄを有する一対のロック部材３４とによって従動側カム機構が構成されている。そして、クラッチ収容凹部２１ｃ内にクラッチ３が収容された状態において、回転軸７、クラッチハウジング３１、駆動側回転体３２、従動側回転体２４ｂを有するウォーム軸２４は、同軸上に、即ち、それぞれの中心軸線が同一直線上に位置している。

　次に、上記のように構成されたモータの動作を、クラッチ３の動作を中心に説明する。
　図６（ａ）及び図６（ｂ）に示すように、モータ部１の停止時、即ち回転軸７の非回転駆動時であって駆動側回転体３２の非回転時に、負荷、即ちウインドガラスから出力軸２７に荷重がかかると、その荷重により従動側回転体２４ｂ（ウォーム軸２４）が回転しようとする。そして、従動側回転体２４ｂが、一対のロック部材３４の間で矢印Ｘ方向に回転すると、従動側カム機構の作用により、一対のロック部材３４が径方向外側に向かって相反する方向に移動する。詳しくは、従動側回転体２４ｂの断面は楕円形状をなすため、従動側回転体２４ｂが回転すると、その楕円形状の長軸と交差する円弧状の一対の側面が一対のロック部材３４の従動側カム面３４ｄを径方向外側に向かって押圧する（図６（ｂ）において矢印Ｙ参照）。そして、従動側回転体２４ｂによって径方向外側に押圧された一対のロック部材３４は、一対のサポート部材３３に案内されながらクラッチハウジング３１の径方向外側に向かって移動し、ロック部材３４の当接部３４ｃがクラッチハウジング３１の内周面に当接する。当接部３４ｃがクラッチハウジング３１の内周面に当接すると、ロック部材３４はそれ以上の径方向外側への移動が阻止されるため、ロック部材３４はクラッチハウジング３１と従動側回転体２４ｂとの間に挟まれる（介在される）。従って、クラッチハウジング３１と従動側回転体２４ｂとの間に挟まれたロック部材３４によって、同従動側回転体２４ｂのそれ以上の回転が阻止される。つまり、ロック部材３４の当接部３４ｃとクラッチハウジング３１の内周面との間に、従動側回転体２４ｂの回転を妨げるような摩擦力が生じる。その結果、ウォーム軸２４の回転が阻止されるとともにウォーム軸２４から回転軸７への回転駆動力の伝達が阻止される。

　尚、一対のロック部材３４の当接部３４ｃがクラッチハウジング３１の内周面に当接して従動側回転体２４ｂの回転が阻止された状態においては、２つのロック部材３４が互いに離間するように径方向外側に移動したことにより、各駆動伝達部３２ｃにおける２つの伝達部３２ｅと対向する２つの駆動側カム面３４ｅが、クラッチハウジング３１の直径方向に沿って互いに離間する。駆動側カム面３４ｅの移動に伴って、駆動側回転体３２の２つの駆動伝達部３２ｃは、それぞれ２つのロック部材３４間の周方向の中央部である中立位置に配置される。従って、停止状態からモータ部１が駆動して回転軸７が正方向及び逆方向の何れの方向に回転した場合であっても、駆動側回転体３２の伝達部３２ｅは、駆動側カム面３４ｅを回転方向に即座に押圧できる。

　また、モータ部１の停止時に、従動側回転体２４ｂが、一対のロック部材３４の間で矢印Ｘ方向（図６（ｂ）参照）と反対方向に回転するように、出力軸２７に荷重がかかった場合も、同様に従動側回転体２４ｂの回転が阻止される。

　図７（ａ）及び図７（ｂ）に示すように、モータ部１の駆動時、即ち回転軸７の回転駆動時には、正回転される回転軸７と共に駆動側回転体３２が回転する（矢印α参照）。駆動側回転体３２の回転により、各駆動伝達部３２ｃにおける、駆動側回転体３２の回転方向前方側の伝達部３２ｅが、周方向に対向する駆動側カム面３４ｅに押し付けられる。すると、駆動側カム面３４ｅが径方向に対して傾斜していることにより、駆動側回転体３２の伝達部３２ｅが駆動側カム面３４ｅを押圧する押圧力Ｆのうちの径方向の分力Ｆ１によって、ロック部材３４の当接部３４ｃがクラッチハウジング３１の内周面から径方向内側に向かって移動する（矢印β参照）。このとき、一対のロック部材３４は、一対のサポート部材３３に案内されながら、クラッチハウジング３１の径方向内側に向って移動する。そして、一対のロック部材３４の従動側カム面３４ｄが、クラッチハウジング３１の径方向外側から従動側回転体２４ｂの一対の円弧状の側面２４ｅに当接する。更に、一対のロック部材３４は、前記分力Ｆ１によって従動側回転体２４ｂに向けて押圧され、該従動側回転体２４ｂを挟持する。また、従動側回転体２４ｂを挟持した一対のロック部材３４は、従動側回転体２４ｂと共に、押圧力Ｆのうちの周方向の分力Ｆ２により、回転軸７の中心軸線Ｌ１を中心に駆動側回転体３２と一体回転する（矢印γ参照）。即ち、駆動側回転体３２と従動側回転体２４ｂとは、駆動側回転体３２と従動側回転体２４ｂとの間に挟まれたロック部材３４を介して連結されて一体回転する。このとき、サポート部材３３は、ロック部材３４を介して駆動側回転体３２及び従動側回転体２４ｂと一体回転する。

　このように、回転軸７の回転駆動力は、駆動側回転体３２及びロック部材３４を介して従動側回転体２４ｂに伝達される。そして、ウォーム軸２４が回転し、その回転に応じてウォームホイール２６及び出力軸２７が回転する。従って、出力軸２７に駆動連結されるウインドレギュレータが作動し、ウインドガラスが開閉（昇降）される。尚、図７（ａ）及び図７（ｂ）に示す例と反対方向に回転軸７が回転駆動（即ち逆回転）された場合であっても、同様にしてその回転駆動力がウォーム軸２４に伝達される。

　本実施形態は、以下の利点を有する。
　（１）クラッチ３は、クラッチハウジング３１、駆動側回転体３２、サポート部材３３、一対のロック部材３４及び従動側回転体２４ｂの６個の部品から構成されている。従って、従来に比べて部品点数が減少されている。従って、クラッチ３の機構が簡略化されている。また、一対のロック部材３４は、駆動側回転体３２の非回転時には回転力が加わった従動側回転体２４ｂに押圧されて径方向外側に向かって移動するものであり、駆動側回転体３２の回転時には駆動側回転体３２に回転方向から押圧されて従動側回転体２４ｂの方へ移動されて同従動側回転体２４ｂに押し付けられるものである。即ち、クラッチ３は、カム機構を利用した簡易な構成で、回転軸７の回転駆動力をウォーム軸２４に伝達し、ウォーム軸２４からの回転が回転軸７に伝達されることを阻止できる。このように、部品点数が減少されて機構が簡略化されたクラッチ３は、製造するための設備が少なくてすむとともに、組付け工程にかかる時間を短縮できるため、結果的に製造コストを低減することができる。そして、ひいては該クラッチ３を有するモータの製造コストを低減することができる。

　（２）回転軸７の径方向に対して傾斜するように形成された簡易な形状の駆動側カム面３４ｅによって、駆動側回転体３２（伝達部３２ｅ）の回転駆動力を受けたロック部材３４を容易に径方向に移動させることができる。従って、回転軸７の回転時に、一対のロック部材３４を介した駆動側回転体３２と従動側回転体２４ｂとの連結を容易に行うことができる。

　（３）ロック部材３４において、駆動側回転体３２の伝達部３２ｅに対して回転方向から当接される駆動側カム面３４ｅは、当接部３４ｃの周方向の両側に設けられている。従って、回転軸７の正回転及び逆回転による駆動側回転体３２の正回転及び逆回転の何れの場合にも駆動側回転体３２の伝達部３２ｅを駆動側カム面３４ｅに当接させて各ロック部材３４を径方向内側に移動させることができる。また、各ロック部材３４における一対の駆動側カム面３４ｅは、当接部３４ｃの周方向両側で対称に設けられているため、駆動側回転体３２の正回転及び逆回転の何れの場合にも、ロック部材３４の径方向の移動が同様に行われる。

　（４）一対のロック部材３４は従動側回転体２４ｂを挟むように配置され、同ロック部材３４は、回転軸７の径方向に沿って移動する。従って、駆動側回転体３２の非回転時には、従動側回転体２４ｂの回転によって互いに離間するように径方向外側に移動した一対のロック部材３４の当接部３４ｃがクラッチハウジング３１の内周面にそれぞれ当接する。そして、一対のロック部材３４は、従動側回転体２４ｂとクラッチハウジング３１との間に介在されるため、より安定して従動側回転体２４ｂのそれ以上の回転が阻止される。また、駆動側回転体３２の回転時には、互いに近づくように径方向内側に移動した一対のロック部材３４が従動側回転体２４ｂの側面２４ｅを押圧するため、より安定して駆動側回転体３２の回転駆動力を従動側回転体２４ｂに伝達することができる。

　（５）一対のロック部材３４にはサポート部材３３が装着されており、該サポート部材３３によって駆動側回転体３２及び従動側回転体２４ｂの回転に伴うロック部材３４の径方向に沿った移動が安定される。従って、駆動側回転体３２の回転時におけるロック部材３４を介した従動側回転体２４ｂへの回転駆動力の伝達、及び駆動側回転体３２の非回転時における従動側回転体２４ｂの回転の阻止が安定して行われる。また、サポート部材３３は、ロック部材３４を介して駆動側回転体３２及び従動側回転体２４ｂと一体回転するため、常にロック部材３４を支持することができる。

　（６）従動側回転体２４ｂは柱状をなすとともに、一対のロック部材３４の各々は、当接部３４ｃと反対側の側面に従動側回転体２４ｂと径方向に対向する従動側カム面３４ｄを有する。そして、駆動側回転体３２の非回転時において、従動側回転体２４ｂが回転されると、従動側回転体２４ｂによって従動側カム面３４ｄが径方向外側に向かって押圧されてロック部材３４が径方向外側に向かって移動する。このように、駆動側回転体３２の非回転時には、柱状をなす従動側回転体２４ｂ及び従動側カム面３４ｄの作用により、容易にロック部材３４が径方向外側に移動する。

　（７）クラッチ３は、柱状をなす従動側回転体２４ｂを挟むように配置された一対のロック部材３４を備える。駆動側回転体３２の回転時には、駆動側回転体３２の回転駆動力を受けて一対のロック部材３４が従動側カム面３４ｄにおいて柱状をなす従動側回転体２４ｂを挟持する。従って、ロック部材を３４介した回転駆動力の伝達が更に安定して行われる。

　（８）従動側回転体２４ｂは、その断面が楕円形状をなした簡易な形成であり、その形成が容易である。特に、金属性のウォーム軸２４に備えられる従動側回転体２４ｂは、切削加工により容易に形成することができる。また、断面が楕円形状の従動側回転体２４ｂは、その回転に伴って、容易にロック部材３４を径方向外側に押圧することができる。

　（９）各従動側カム面３４ｄは、軸方向から見た形状が従動側回転体２４ｂの側面２４ｅを挟持可能な円弧状をなしている。従って、駆動側回転体３２の回転時には、一対のロック部材３４は従動側回転体２４ｂをより安定して挟み込むことができる。また、駆動側回転体３２の非駆動時には、従動側回転体２４ｂの回転に伴ってロック部材３４が滑らかに径方向外側に移動される。

　（１０）従動側回転体２４ｂは、断面が楕円形状の柱状をなすため、従来の従動側回転体に比べて径方向に小型化が可能であるとともに、簡易な形状である。従って、従動側回転体２４ｂを形成するための型費、材料費及び加工費の減少が可能となる。

　（１１）従来のクラッチは、回転軸の駆動時に、従動側回転体とカラーとの間に転動体が挟まれることによるくさび効果を利用して従動側回転体の回転を阻止するように構成されているため、クラッチの構成部品に高い部品精度が要求されることがある。一方、本実施形態のクラッチ３は、ロック部材３４とクラッチハウジング３１との間の摩擦力を利用して従動側回転体２４ｂの回転を阻止する構成であるため、クラッチ３の構成部品は従来のクラッチほどの高い精度を有さなくてもよい。従って、クラッチ３の製造コストを低減することが可能である。

　以下、本発明を具体化した第２の実施形態を図８～図１１に従って説明する。尚、本第２の実施形態においては、上記第１の実施形態と同一の部材には同一の符号を付してその説明を省略する。

　図８に示すクラッチ５１は、上記第１の実施形態のクラッチ３に代えてモータに備えられる。本実施形態のクラッチ５１は、クラッチハウジング３１と、駆動側回転体５２と、サポート部材５３と、一対のロック部材３４と、従動側回転体５４と、スチールボール５５とを備えている。

　図９に示すように、クラッチハウジング３１の内部に配置される駆動側回転体５２は、樹脂材料よりなり、駆動連結部３２ａと、支持部３２ｂと、一対の駆動伝達部３２ｃとが一体に形成されてなる。そして、図１０（ａ）に示すように、駆動連結部３２ａ及び支持部３２ｂのそれぞれの中央部を中心軸線Ｌ４方向に貫通する連結孔３２ｄの内周面には、一対の伝達凸部５２ａが形成されている。一対の伝達凸部５２ａは、連結孔３２ｄを画定する支持部３２ｂの内周面のうち、互いに平行に延びる一対の平面部３２ｆに一体に設けられている。一対の伝達凸部５２ａは、連結孔３２ｄの中心に向かって突出している。そして、各伝達凸部５２ａは、支持部３２ｂの中心軸線Ｌ４方向から見た形状が、基端（平面部３２ｆ寄りの部位）から先端（中心軸線Ｌ４寄りの部位）に向かうに連れて周方向の幅が狭くなる台形状をなしている。また、各伝達凸部５２ａの周方向の両端面は、中心軸線Ｌ４と平行に延びた駆動側伝達面５２ｂ，５２ｃである。尚、本実施形態の一対の伝達凸部５２ａは、駆動連結部３２ａ側から見て（即ち、図１０（ａ）に示す状態）、時計周り方向側に駆動側伝達面５２ｂを備え、反時計周り方向側に駆動側伝達面５２ｃを備えている。

　また、図８及び図９に示すように、一対の駆動伝達部３２ｃの軸方向先端部には、その周方向の中央部に、支持部３２ｂの中心軸線Ｌ４に沿って延びる一対の係合爪５６が形成されている。一対の係合爪５６は、駆動側回転体５２において、互いに周方向に１８０°離れて形成されている。各係合爪５６は、駆動側回転体５２の先端面から回転軸７の軸方向に沿って延びる四角柱状の係合軸部５６ａと、該係合軸部５６ａの先端部から径方向内側に突出した係合凸部５６ｂとを備えている。そして、各係合爪５６において、係合軸部５６ａの径方向外側の側面は、駆動伝達部３２ｃの径方向外側の側面と面一になっているとともに、係合軸部５６ａの径方向内側の側面は、駆動伝達部３２ｃの径方向内側の側面よりも径方向外側に位置する。尚、各係合爪５６は、弾性変形により回転軸７の径方向に傾倒可能である。

　図９に示すように、一対の前記駆動伝達部３２ｃの間に配置されるサポート部材５３は、上記第１の実施形態のサポート部材３３と同様に樹脂材料にて形成されており、四角筒状をなしている。サポート部材５３を構成するサポート本体部５３ａは、上記第１の実施形態のサポート部材３３と同様の形状を成している。即ち、サポート部材５３は、回転軸７の軸方向において互いに対向する一対の端壁を有し、同端壁には円形状の貫通孔３３ａが形成されている。

　また、サポート本体部５３ａの下端部には、径方向外側に向かって延びる略円環状のベース部５３ｂが一体に形成されている。このベース部５３ｂは、回転軸７の軸方向に対して垂直に延びるとともに、その外径は、駆動側回転体５２における一対の駆動伝達部３２ｃ全体の外径よりも若干大きく且つクラッチハウジング３１の内径よりも若干小さく形成されている。また、図８に示すように、ベース部５３ｂの厚さは、係合凸部５６ｂを除く前記係合爪５６の部分の長さ、つまり係合軸部５６ａの軸方向の長さと略等しい。

　図９に示すように、ベース部５３ｂの外周縁には、二対の規制部５３ｃが一体に形成されている。規制部５３ｃの各対は、駆動側回転体５２の各駆動伝達部３２ｃに対応している。一方の一対の規制部５３ｃに対して他方の一対の規制部５３ｃは周方向に１８０°離れた位置に形成されている。各規制部５３ｃは、その先端が上方（駆動側回転体５２側）を向くように回転軸７の軸方向に沿って延びている。一対の規制部５３ｃ間の間隔Ｔは、前記係合爪５６の周方向の幅ｔよりも大きく形成されている。また、各規制部５３ｃにおける内周面である規制面５３ｄの曲率は、前記駆動伝達部３２ｃにおける伝達部３２ｅ間の部位の外周面の曲率（図１０（ｂ）参照）と等しく形成されている。更に、全ての規制部５３ｃの規制面５３ｄは、ベース部５３ｂの中心を中心とする同一円（図示略）上に位置するとともに、全ての規制部５３ｃの規制面５３ｄを通る円の直径は、駆動側回転体５２における一対の駆動伝達部３２ｃ全体の外径と等しい。尚、規制部５３ｃを含むベース部５３ｂの外径は、クラッチハウジング３１の内径よりも若干小さい。

　また、ベース部５３ｂにおいて対をなす規制部５３ｃ間には、係合凹部５３ｅが形成されている。これら２つの係合凹部５３ｅは、駆動側回転体５２とサポート部材５３とを一体化すべく、駆動側回転体５２の２つの係合爪５６が係合されるものである。各係合凹部５３ｅは、ベース部５３ｂの外周縁から径方向内側に向かって凹むように形成されている。図８に示すように、ベース部５３ｂにおいて、２つの係合凹部５３ｅの部分での径方向長さは、一対の係合爪５６の係合軸部５６ａ間の間隔と等しくなっている。また、各係合凹部５３ｅの周方向の幅は、一対の規制部５３ｃ間の間隔Ｔと等しく形成されている。

　そして、このようなサポート部材５３は、一対のロック部材３４を内部に配置したサポート本体部５３ａが一対の駆動伝達部３２ｃ間に配置されるように駆動側回転体５２に対して配置されるとともに、各駆動伝達部３２ｃの先端部に設けられた係合爪５６が対応する係合凹部５３ｅに係合されて駆動側回転体５２と一体化される。このとき、図８及び図９に示すように、サポート部材５３は、一対の駆動伝達部３２ｃの先端側からサポート本体部５３ａを一対の駆動伝達部３２ｃ間に挿入するとともに、一対の係合凹部５３ｅに一対の係合爪５６が挿入されるように駆動側回転体５２に対して配置される。そして、サポート本体部５３ａ側から係合爪５６の係合凸部５６ｂにベース部５３ｂを乗り越えさせることにより、ベース部５３ｂ（係合凹部５３ｅ）と係合爪５６とがスナップフィット係合され、サポート部材５３と駆動側回転体５２とが一体的に組み付けられる。

　そして、一対の係合爪５６を介して一体化されたサポート部材５３及び駆動側回転体５２においては、各駆動伝達部３２ｃの外周面よりも径方向外側に一対の規制部５３ｃがそれぞれ配置されるとともに、各駆動伝達部３２ｃの先端部における外周面に一対の規制部５３ｃの規制面５３ｄがそれぞれ当接する。そのため、規制部５３ｃによって、各駆動伝達部３２ｃが径方向外側への移動が規制される。また、一対の規制部５３ｃ間の間隔Ｔは、前記係合爪５６の周方向の幅ｔよりも大きく形成されているため、駆動側回転体５２は、規制部５３ｃ間の間隔Ｔの範囲内でサポート部材５３に対して周方向に回転可能となっている。

　前記従動側回転体５４は、上記第１の実施形態の従動側回転体２４ｂと同様に、ウォーム軸本体２４ａの基端面から軸方向に沿って延びるとともに、軸方向と直交する断面の形状が楕円形状をなす柱状をなしている。そして、従動側回転体５４の中心軸線Ｌ７は、ウォーム軸本体２４ａの中心軸線Ｌ２と一致している。この従動側回転体５４は、サポート部材５３の一対の貫通孔３３ａを通って、一対のロック部材３４に挟まれるようにクラッチハウジング３１の内部で径方向に対向する２つの従動側カム面３４ｄ間に配置されている。また、従動側回転体５４の先端部は、支持部３２ｂの連結孔３２ｄ内に挿入されるとともに、回転軸７の先端面と従動側回転体５４の先端面との間に、回転軸７及びウォーム軸２４のスラスト荷重を受けるスチールボール５５が配置されている。

　図９及び図１０（ａ）に示すように、従動側回転体５４の先端部には、一対の伝達凹部５４ａが形成されるとともに、この一対の伝達凹部５４ａ内には、駆動側回転体５２に設けられた一対の前記伝達凸部５２ａの先端部がそれぞれ挿入されている。一対の伝達凹部５４ａは、駆動側回転体５２の断面短手方向において径方向外側に向かって開口している。また、一対の伝達凹部５４ａは、駆動側回転体５２の先端側（図９において上側）に向かって開口している。そして、各伝達凹部５４ａは、従動側回転体５４の中心軸線Ｌ７方向から見た形状が、径方向外側の開口部から径方向内側の底面に向かうに連れて周方向の幅が狭くなる略台形状をなしている。また、各伝達凹部５４ａの周方向の両端の内側面は、従動側回転体５４の中心軸線Ｌ７と平行な平面状をなす従動側伝達面５４ｂ，５４ｃを形成している。尚、本実施形態の各伝達凹部５４ａは、従動側回転体５４の先端側から見て、即ち、図１０（ａ）に示す状態において、時計方向側に従動側伝達面５４ｂを備え、反時計方向側に従動側伝達面５４ｃを備えている。

　次に、前記駆動側伝達面５２ｂ，５２ｃ及び従動側伝達面５４ｂ，５４ｃについて詳述する。図１０（ａ）に示すように、各伝達凹部５４ａ内に配置された伝達凸部５２ａは、従動側回転体５４の先端側から見ると、時計方向側の駆動側伝達面５２ｂが伝達凹部５４ａの時計方向側の従動側伝達面５４ｂと周方向に対向するとともに、反時計方向側の駆動側伝達面５２ｃが伝達凹部５４ａの反時計方向側の従動側伝達面５４ｃと周方向に対向している。そして、互いに対向する駆動側伝達面５２ｂと従動側伝達面５４ｂ、及び、駆動側伝達面５２ｃと従動側伝達面５４ｃは、駆動側回転体５２の側から回転力が作用する場合には互いに対向する面同士が当接する一方、従動側回転体５４の側から回転力が作用する場合には、互いに対向する面同士が非接触となるように、その傾斜角度等が設定されている。このため、駆動側回転体５２側から回転力が作用する場合には、互いに対向する駆動側伝達面５２ｂと従動側伝達面５４ｂ、及び、駆動側伝達面５２ｃと従動側伝達面５４ｃがそれぞれ当接し、駆動側伝達面５２ｂ，５２ｃから従動側伝達面５４ｂ，５４ｃを介して従動側回転体５４に回転駆動力が伝達されるようになっている。

　次に、上記のように構成されたモータの動作を、クラッチ５１の動作を中心に説明する。
　図１０（ａ）及び図１０（ｂ）に示すように、回転軸７の非駆動時であって駆動側回転体５２の非回転時に、負荷、即ちウインドガラス側から出力軸２７に荷重がかかると、その荷重により従動側回転体５４（ウォーム軸２４）が回転しようとする。そして、従動側回転体５４が、一対のロック部材３４の間で矢印Ｘ２方向に回転すると、従動側カム機構の作用により、一対のロック部材３４が径方向外側に向かって相反する方向（図１０（ｂ）において矢印Ｙ２参照）に移動する。詳しくは、従動側回転体２４ｂの断面は楕円形状をなすため、従動側回転体５４が回転すると、その楕円形状の長軸方向の両端部が一対のロック部材３４の従動側カム面３４ｄを径方向外側に向かって押圧する。そして、従動側回転体５４によって径方向外側に押圧された一対のロック部材３４は、一対のサポート本体部５３ａに案内されながらクラッチハウジング３１の径方向外側に向かって移動し、ロック部材３４の当接部３４ｃがクラッチハウジング３１の内周面に当接する。当接部３４ｃがクラッチハウジング３１の内周面に当接すると、ロック部材３４はそれ以上の径方向外側への移動が阻止されるため、ロック部材３４はクラッチハウジング３１と従動側回転体５４との間に挟まれる（介在される）。従って、クラッチハウジング３１と従動側回転体５４との間に挟まれたロック部材３４によって、同従動側回転体５４のそれ以上の回転が阻止される。つまり、ロック部材３４の当接部３４ｃとクラッチハウジング３１の内周面との間に、従動側回転体５４の回転を妨げるような摩擦力が生じる。その結果、ウォーム軸２４の回転が阻止されるとともにウォーム軸２４から回転軸７への回転駆動力の伝達が阻止される。このときの摩擦力は、従動側回転体５４からロック部材３４に加えられる押圧力Ｔの径方向の分力Ｔ１（押圧力Ｔにおけるロック部材３４の移動方向に沿った方向の分力）と摩擦係数μとを用いて、μ・Ｔ１と表わされる。またこのとき、従動側回転体５４の回転方向に互いに対向する駆動側伝達面５２ｂと従動側伝達面５４ｂ、及び、駆動側伝達面５２ｃと従動側伝達面５４ｃは、それぞれ非接触状態に保たれるため、従動側回転体５４から駆動側回転体５２に回転力を直接付与することがない。

　尚、回転軸７の非駆動時に、図１０（ａ）及び図１０（ｂ）に示す例と反対方向に、出力軸２７（図１参照）側から従動側回転体５４が回転されようとした場合であっても、同様にその回転が阻止される。

　図１１（ａ）及び図１１（ｂ）に示すように、回転軸７の回転駆動時には、正回転される回転軸７と共に駆動側回転体５２が回転する（矢印α２参照）。すると、駆動側回転体５２の回転により、各駆動伝達部３２ｃにおける、回転方向の前方側の伝達部３２ｅが、周方向に対向する駆動側カム面３４ｅに押し付けられる。そして、例えば、図１０（ａ）及び図１０（ｂ）に示す状態から回転軸７が回転駆動された場合には、駆動側カム面３４ｅを押圧する押圧力Ｐの周方向の分力Ｐ１が、ロック部材３４の当接部３４ｃとクラッチハウジング３１の内周面との間に生じていた摩擦力μ・Ｔ１（図１０（ｂ）参照）以上になると、ロック部材３４によるロック（回転阻止）が解除される。

　また、駆動側回転体５２の回転により各駆動伝達部３２ｃが回転方向の前方側の駆動側カム面３４ｅに押し付けられると、駆動側カム面３４ｅは径方向に対して傾斜していることにより、伝達部３２ｅの押圧力Ｐのうちの径方向の分力Ｐ２によって、ロック部材３４の当接部３４ｃがクラッチハウジング３１の内周面から離間する方向に移動する（矢印β２参照）。このとき、一対のロック部材３４は、一対のサポート部材５３に案内されながら、クラッチハウジング３１の径方向内側に向って移動する。そして、一対のロック部材３４の従動側カム面３４ｄが、クラッチハウジング３１の径方向外側から従動側回転体５４の一対の円弧状の側面２４ｅに当接する。一対の従動側カム面３４ｄは、従動側回転体５４に対し、該従動側回転体５４における楕円形状の短軸方向に沿って当接する。更に、一対のロック部材３４は、前記分力Ｐ２によって従動側回転体５４に向かって押圧され、該従動側回転体５４を挟持する。

　また、駆動側回転体５２が回転して各駆動伝達部３２ｃが回転方向の前方側の駆動側カム面３４ｅに押し付けられて一対のロック部材３４が径方向内側に向かって移動すると、各駆動側伝達面５２ｂが、駆動側回転体５２の回転方向に互いに対向する従動側伝達面５４ｂにそれぞれ当接するようになる。そして、回転軸７の回転駆動力は、従動側回転体５４に伝達される。このとき、従動側回転体５４を挟持した一対のロック部材３４は、従動側回転体５４と共に、伝達部３２ｅによる押圧力Ｐの周方向の分力Ｐ１により、回転軸７の中心軸線Ｌ１を中心に駆動側回転体５２と一体回転する（矢印γ２参照）。即ち、駆動側回転体５２と従動側回転体５４とは、駆動側回転体５２と従動側回転体５４との間に挟まれたロック部材３４を介して、更に駆動側伝達面５２ｂ及び従動側伝達面５４ｂを介して連結されて一体回転する。尚、サポート部材５３は、ロック部材３４を介して駆動側回転体５２及び従動側回転体５４と一体回転する。

　このように、回転軸７の回転駆動力は、駆動側回転体５２及びロック部材３４を介して従動側回転体５４に伝達される。そして、ウォーム軸２４が回転し、その回転に応じてウォームホイール２６及び出力軸２７が回転する。従って、出力軸２７に駆動連結されるウインドレギュレータが作動し、ウインドガラスが開閉（昇降）される。尚、図１１（ａ）及び図１１（ｂ）に示す例と反対方向に回転軸７が回転駆動（即ち逆回転）された場合であっても、同様にしてその回転駆動力がウォーム軸２４に伝達される。

　本実施形態は、上記第１の実施形態の（１）乃至（１１）に記載の利点に加えて、以下の利点を有する。
　（１２）サポート部材５３に設けられた規制部５３ｃによって一対の駆動伝達部３２ｃが径方向外側へ移動することが規制される。そのため、駆動側回転体５２の回転時に、該駆動側回転体５２の回転に伴って駆動伝達部３２ｃが駆動側カム面３４ｅを駆動側回転体５２の回転方向に効率良く押圧することができる。

　（１３）係合爪５６を係合凹部５３ｅに挿入してベース部５３ｂにスナップフィット係合させることにより、駆動側回転体５２とサポート部材５３とが一体化できるため、駆動側回転体５２とサポート部材５３とを一体物として扱うことが可能となる。従って、部品の管理が容易となるとともに、クラッチ５１の組付け作業を容易に行うことができる。

　（１４）駆動側回転体５２に設けられた駆動側伝達面５２ｂ，５２ｃと従動側回転体５４に設けられた従動側伝達面５４ｂ，５４ｃとが、駆動側回転体５２の回転時に同駆動側回転体５２の回転方向に互いに当接することにより、駆動側回転体５２の回転駆動力を従動側回転体５４に効率良く伝達することができる。また、駆動側回転体５２から従動側回転体５４への回転伝達を、駆動側伝達面５２ｂ，５２ｃ及び従動側伝達面５４ｂ，５４ｃを使用して行うことが可能となる。従って、上記第１の実施形態のクラッチ３のように、駆動側回転体３２から従動側回転体２４ｂへの回転伝達を、一対のロック部材３４及び従動側回転体２４ｂで行う場合に比べて、各部材の寸法精度の緩和が可能であるとともに、騒音及び振動を低減することができる。

　尚、本発明の各実施形態は、以下のように変更してもよい。
　上記第１及び第２の実施形態では、パワーウインド装置の駆動源として用いられるモータを例に本発明を説明したが、パワーウインド装置の駆動源として用いられるモータ以外に、回転軸７を有するモータ部１とウォーム軸２４を有する減速部２とを備えたモータに本発明を適用してもよい。また、クラッチ３，５１は、モータ以外に、回転駆動される駆動軸と、該駆動軸の回転駆動力が伝達される従動軸とを備えた装置に利用してもよい。

　上記第１の実施形態のクラッチ３において、駆動側回転体３２の非回転時には、一対のロック部材３４を従動側回転体２４ｂとクラッチハウジング３１の内周面とで挟持し、各ロック部材３４の当接部３４ｃとクラッチハウジング３１の内周面との間で所望の摩擦力を発生させた状態で一対のロック部材３４に対する従動側回転体２４ｂの回転を許容するように形成されてもよい。即ち、駆動側回転体３２の非回転時に従動側回転体２４ｂが回転された場合、当接部３４ｃとクラッチハウジング３１の内周面との間に生じる摩擦力によって、従動側回転体２４ｂが回転し難くなり、一対のロック部材３４のクラッチハウジング３１に対する回転が阻止される。このようにすると、一対のロック部材３４及び従動側回転体２４ｂを所望の摩擦力が発生するように適した形状に形成するだけであるので、クラッチ３を容易に設計することができる。その結果、クラッチ３の製造コストを更に低減できる。このことは、上記第２の実施形態のクラッチ５１においても同様である。

　また、上記第１の実施形態のモータにおいて、回転軸７の非回転時には、一対のロック部材３４を従動側回転体２４ｂとクラッチハウジング３１の内周面とで挟持し、ロック部材３４の当接部３４ｃとクラッチハウジング３１の内周面との間で所望の摩擦力を発生させた状態で一対のロック部材３４に対する従動側回転体２４ｂの回転を許容するとともに、ウォームホイール２６に駆動連結された出力軸２７からの回転力を、少なくともウォームホイール２６とウォーム軸本体２４ａの螺子歯部２４ｃとの噛み合い負荷と、ウォーム軸本体２４ａと該ウォーム軸本体２４ａを軸支する軸受２５ａ，２５ｂとの摩擦負荷と、クラッチ３の回転負荷とにより回転軸７に伝達することを阻止するように形成されてもよい。ここで、クラッチ３の回転負荷とは、クラッチ３の内部で発生する摩擦力（摩擦負荷）を意味する。このようにすると、回転軸７の回転駆動力は、クラッチ３、螺子歯部２４ｃを有するウォーム軸本体２４ａ及びウォームホイール２６を介して出力軸２７に伝達される一方、出力軸２７からの回転力は、少なくともウォームホイール２６と螺子歯部２４ｃとの噛み合い負荷と、ウォーム軸本体２４ａと軸受２５ａ，２５ｂとの摩擦負荷と、クラッチ３の回転負荷とにより回転軸７に伝達することが阻止される。つまり、クラッチ３単体で出力軸２７からの回転力を回転軸７に伝達することを阻止するのではなく、クラッチ３を含めたモータ全体で出力軸２７からの回転力を回転軸７に伝達することを阻止するようにしたので、クラッチ３の各構成部品に高い寸法精度を必要としない。そのため、クラッチ３、ひいてはモータの製造コストを更に低減できる。尚、出力軸２７からの回転力を回転軸７に伝達することを阻止する負荷は、ウォームホイール２６と螺子歯部２４ｃとの噛み合い負荷と、ウォーム軸本体２４ａと軸受２５ａ，２５ｂとの摩擦負荷と、クラッチ３の摩擦負荷とに限らず、モータの内部において更にその他の摺動部分の摩擦負荷等を含むものであってもよい。このことは、上記第２の実施形態のクラッチ５１を備えたモータにおいても同様である。

　上記各実施形態では、従動側回転体２４ｂ，５４における軸方向と直交する断面は楕円形状をなし、かつ、従動側回転体２４ｂ，５４は全体としては柱状をなしている。しかしながら、自身の回転に伴ってロック部材３４を径方向外側に向かって押圧可能な形状をなしていれば、従動側回転体２４ｂ，５４における軸方向と直交する断面形状は扁平であってもよい。例えば、従動側回転体２４ｂ，５４において、その軸方向と直交する断面は長方形状をなし、かつ従動側回転体２４ｂ，５４は全体としては柱状であってもよい。

　上記各実施形態では、従動側カム面３４ｄは、円弧状に形成されているが、軸方向と平行な平面状であってもよい。
　上記第１の実施形態では、クラッチ３は、一対のロック部材３４を備えているが、１つのロック部材３４を備えた構成でもよい。この場合、駆動側回転体３２の回転時には、駆動側回転体３２に押圧された１つのロック部材３４が従動側回転体２４ｂに押し付けられることにより、駆動側回転体３２の回転駆動力がロック部材３４を介して従動側回転体２４ｂに伝達される。また、クラッチ３は、３つのロック部材３４を備えた構成であってもよい。この場合、ロック部材３４の数に応じて駆動側回転体３２に３つ駆動伝達部３２ｃが備えられる。このことは、上記第２の実施形態のクラッチ５１においても同様である。

　上記第２の実施形態では、駆動側回転体５２とサポート部材５３とを軸方向に係合して一体化する一対の係合爪５６は、駆動側回転体５２に設けられている。しかしながら、一対の係合爪５６は、駆動側回転体５２に対して軸方向に係合可能にサポート部材５３に設けられてもよい。また、一対の係合爪５６及び一対の係合凹部５３ｅは、駆動側回転体５２及びサポート部材５３の少なくとも一方に形成されればよく、その形状も上記第２の実施形態の形状に限らない。但し、一対の係合爪５６及び一対の係合凹部５３ｅは、サポート部材５３と駆動側回転体５２との周方向の相対回転を許容しつつ、駆動側回転体５２とサポート部材５３とを軸方向に係合するように形成される。

　上記第２の実施形態では、サポート部材５３は、各駆動伝達部３２ｃに対応して２つの規制部５３ｃを備えている。しかしながら、規制部５３ｃは、各駆動伝達部３２ｃに対応して１つずつ設けられてもよいし、各駆動伝達部３２ｃに対応して３つ以上設けられてもよい。

　上記第１の実施形態では、ロック部材３４はサポート部材３３にて支持されているが、駆動側回転体３２及び従動側回転体２４ｂの回転に伴ってロック部材３４が径方向に沿った移動することが可能であれば、サポート部材３３を省略してもよい。また、上記第２の実施形態のクラッチ５１において、駆動側回転体５２及び従動側回転体５４の回転に伴ってロック部材３４が径方向に沿って移動することが可能であれば、サポート部材５３を省略してもよい。

　上記各実施形態では、各ロック部材３４は、それぞれ一対の駆動側カム面３４ｅを備えている。しかしながら、各ロック部材３４は、１つの駆動側カム面３４ｅを備えた構成であってもよい。この場合、モータ部１は、一方向にのみ回転軸７を回転させる構成とされ、駆動側カム面３４ｅは、駆動伝達部３２ｃに対して回転軸７の回転方向の前方に位置するように形成される。

　上記各実施形態では、従動側回転体２４ｂ，５４は、ウォーム軸本体２４ａと別体に形成されてもよい。この場合、従動側回転体２４ｂ，５４とウォーム軸本体２４ａとは一体回転可能に（回転方向に係合するように）形成される。また、駆動側回転体３２，５２は、回転軸７と一体に形成されてもよい。

　１…モータ部、２…減速部、３，５１…クラッチ、７…駆動軸としての回転軸、２４ａ…従動軸としてのウォーム軸本体、２４ｂ，５４…カム軸としての従動側回転体、２４ｃ…螺子歯部、２５ａ，２５ｂ…軸受、２６…ウォームホイール、２７…出力軸、３１…クラッチハウジング、３２，５２…駆動側回転体、３３，５３…サポート部材、３４…ロック部材、３４ｃ…当接部、３４ｄ…従動側カム面、３４ｅ…駆動側カム面、５２ｂ，５２ｃ…伝達面としての駆動側伝達面、５３ｃ…規制部、５４ｂ，５４ｃ…伝達面としての従動側伝達面、５６…係合部としての係合爪。

Claims (15)

1. 　駆動軸と、
   　前記駆動軸と一体回転可能な駆動側回転体と、
   　前記駆動軸と同軸上に配置される従動軸と、
   　前記従動軸と一体回転可能な従動側回転体と、
   　前記駆動側回転体及び前記従動側回転体を内部に配置可能なクラッチハウジングと、
   　前記クラッチハウジングの内部において前記駆動側回転体と前記従動側回転体との間に配置されるロック部材であって、前記クラッチハウジングの内周面に接離する当接部、及び前記駆動側回転体が回転方向から当接される駆動側カム面を有するロック部材と
   を備え、
   　前記駆動側回転体の非回転時には、前記ロック部材は、前記従動側回転体が回転されると該従動側回転体に押圧されて径方向外側に移動して前記当接部が前記クラッチハウジングの内周面に当接し、それによって前記クラッチハウジングと前記従動側回転体との間に挟まれてそれ以上の従動側回転体の回転を阻止し、
   　前記駆動側回転体の回転時には、前記駆動側回転体が前記駆動側カム面を回転方向に押圧するとともに、前記駆動側カム面の作用により前記ロック部材が径方向内側に移動して前記従動側回転体に押し付けられ、それによって前記ロック部材は、同ロック部材を介して前記駆動側回転体と前記従動側回転体とが一体回転可能に連結されるよう、前記駆動側回転体と前記従動側回転体との間に挟まれる、クラッチ。
2. 　請求項１に記載のクラッチにおいて、前記駆動側カム面は、同駆動側カム面が前記駆動側回転体によって回転方向に押圧されると前記ロック部材が前記駆動軸の径方向に移動されるように、前記駆動軸の径方向に対して傾斜している、クラッチ。
3. 　請求項２に記載のクラッチにおいて、前記ロック部材は一対の前記駆動側カム面を有し、該一対の駆動側カム面は、前記当接部の周方向両側に対称に設けられている、クラッチ。
4. 　請求項１乃至請求項３の何れか１項に記載のクラッチにおいて、
   　前記ロック部材は前記従動側回転体を径方向において挟むように一対配置され、前記一対のロック部材は、前記駆動軸の径方向に沿って相反する方向に移動可能である、クラッチ。
5. 　請求項１乃至請求項４の何れか１項に記載のクラッチはさらに、　前記ロック部材を前記駆動軸の径方向に移動可能に支持するとともに前記ロック部材を介して前記駆動側回転体及び前記従動側回転体と一体回転するサポート部材を有する、クラッチ。
6. 　請求項５に記載のクラッチにおいて、
   　前記駆動側回転体は、前記駆動軸の軸方向に延びかつ前記駆動軸の径方向に対向する一対の駆動伝達部を備え、該一対の駆動伝達部は、前記駆動側回転体の回転に伴って前記駆動側カム面を前記駆動側回転体の回転方向に押圧するように構成され、
   　前記サポート部材は、前記一対の駆動伝達部間に配置されるとともに、前記駆動伝達部の径方向外側への広がりを規制する規制部を有する、クラッチ。
7. 　請求項５又は請求項６に記載のクラッチにおいて、前記駆動側回転体及び前記サポート部材の少なくとも一方は、前記駆動側回転体及び前記サポート部材を一体的に係合すべく互いを軸方向に係合する係合部を有する、クラッチ。
8. 　請求項１乃至請求項７の何れか１項に記載のクラッチにおいて、
   　前記従動側回転体はカム軸を有し、
   　前記ロック部材は、前記当接部と反対側の側面に前記カム軸と径方向に対向する従動側カム面を有し、
   　前記駆動側回転体の非回転時において前記従動側回転体が回転すると、前記カム軸に前記従動側カム面が押圧されて前記ロック部材が径方向外側に移動する、クラッチ。
9. 　請求項８に記載のクラッチにおいて、
   　前記ロック部材は前記カム軸を挟むように一対配置され、前記一対のロック部材は、前記駆動軸の径方向に沿って相反する方向に移動可能であり、
   　前記駆動側回転体の回転時において径方向内側に移動された前記一対のロック部材の前記従動側カム面にて前記カム軸が挟持されて前記駆動側回転体から前記従動側回転体に前記ロック部材を介して回転駆動力が伝達される、クラッチ。
10. 　請求項８又は請求項９に記載のクラッチにおいて、前記カム軸は断面楕円形状の柱状をなす、クラッチ。
11. 　請求項１０に記載のクラッチにおいて、前記従動側カム面は、その軸方向から見た形状が前記カム軸の短軸方向の両側面から前記カム軸を挟持可能な円弧状をなしている、クラッチ。
12. 　請求項１乃至請求項１１の何れか１項に記載のクラッチにおいて、前記駆動側回転体及び前記従動側回転体は、前記駆動側回転体の回転時に前記駆動側回転体の回転方向に互いに当接する伝達面をそれぞれ有する、クラッチ。
13. 　請求項１乃至請求項１２の何れか１項に記載のクラッチにおいて、前記駆動側回転体の非回転時において、前記ロック部材を前記従動側回転体と前記クラッチハウジングの内周面とで挟持し、前記当接部と前記クラッチハウジングの内周面との間で所望の摩擦力を発生させた状態で前記ロック部材に対する前記従動側回転体の回転を許容する、クラッチ。
14. 　駆動軸を有するモータ部と、
    　前記駆動軸と同軸上に配置され前記駆動軸の回転駆動力が伝達される従動軸を有する減速部であって、前記従動軸に伝達された回転駆動力を減速して出力する減速部と、
    　前記駆動軸と前記従動軸との間に設けられた請求項１乃至請求項１３の何れか１項に記載のクラッチと
    を備える、モータ。
15. 　請求項１４に記載のモータにおいて、
    　前記減速部は、前記従動側回転体と一体回転可能に設けられ、軸受にて回転可能に支持されかつ螺子歯部を有する従動軸と、前記螺子歯部と噛合するウォームホイールと、該ウォームホイールに駆動連結された出力軸とを備え、
    　前記駆動軸の非回転時において、前記ロック部材を前記従動側回転体と前記クラッチハウジングの内周面とで挟持し、前記当接部と前記クラッチハウジングの内周面との間で所望の摩擦力を発生させた状態で前記従動側回転体の回転を許容するとともに、前記出力軸からの回転力を、少なくとも前記ウォームホイールと前記螺子歯部との噛み合い負荷と、前記従動軸と前記軸受との摩擦負荷と、前記クラッチの回転負荷とにより、前記駆動軸に伝達することを阻止する、モータ。

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