明 細 書
樹脂組成物、光学素子及び光ピックアップ装置
技術分野
[0001] 本発明は、榭脂組成物と、当該榭脂組成物製の光学素子と、当該光学素子を適用 した光ピックアップ装置とに関する。
背景技術
[0002] 従来、 MO、 CD、 DVDと 、つた光情報記録媒体に対して、情報の読み取りや記録 を行なうプレーヤー、レコーダー、ドライブといった記録機器には、光ピックアップ装 置が備えられている。光ピックアップ装置は、光源から発した所定波長の光を光情報 記録媒体に照射し、反射した光を受光素子で受光する光学素子ユニットを備えてお り、光学素子ユニットはこれらの光を光情報記録媒体の反射層ゃ受光素子で集光さ せるためのレンズ等の光学素子を有して 、る。
[0003] 光ピックアップ装置の光学素子は、射出成型等の手段により安価に作製できる等の 点で、熱可塑性榭脂を材料として適用することが好ましぐ当該熱可塑性榭脂として は、環状ォレフィンと α—才レフインの共重合体 (例えば、特許文献 1)等が知られて いる。
[0004] ところで、例えば、 CDZDVDプレーヤーのような、複数種の光情報記録媒体に対 して情報の読み書きが可能な情報機器の場合、光ピックアップ装置は、両者の光情 報記録媒体の形状や適用する光の波長の違いに対応した構成とする必要がある。こ の場合、光学素子ユニットは 、ずれの光情報記録媒体に対しても共通することがコス トゃピックアップ特性の観点力も好まし 、。
[0005] また、近年、 CDや DVDよりも高 、密度で情報を記録できる光情報記録媒体として 、 CD ( = 780nm)や DVD ( = 635、 650nm)で用いるよりも短い波長で情報の 記録、再生を行なう Blu— my Disk等の光情報記録媒体やこれらの光情報記録媒 体で情報の読み書きを行なう情報機器の開発が新たに行なわれている。
特許文献 1 :特開 2002— 105131号公報 (第 4頁)
発明の開示
発明が解決しょうとする課題
[0006] しカゝしながら、特許文献 1に記載された熱可塑性榭脂で構成された光学素子では、 Blu-ray Disk等のいわゆる次世代 DVDで情報の記録、再生に用いる波長 400η m付近の短波長の光照射を当該光学素子が受けることにより、当該光学素子が白濁 したり、光学面が変形したりして光学特性に劣化が生じ、光学素子の光学素子の交 換が必要になる場合がある。
[0007] 本発明の目的は、優れた光安定性を長時間に亘つて維持することができる榭脂組 成物、光学素子及び光ピックアップ装置を提供することである。
課題を解決するための手段
[0008] 上記課題を解決するため、請求の範囲第 1項記載の発明は、榭脂組成物であって 少なくとも熱可塑性榭脂と、硬化性榭脂と、平均粒子径が lnm以上、 50nm以下で ある無機微粒子とを含むことを特徴とする。
[0009] また、請求の範囲第 2項記載の発明は、請求の範囲 1記載の榭脂組成物において 前記無機微粒子が、半導体結晶組成物と、無機酸化物と、半導体結晶組成物及 び無機酸化物の混合物と、の何れか 1つであることを特徴とする。
[0010] また、請求の範囲第 3項記載の発明は、請求の範囲第 1項または第 2項記載の榭 脂組成物において、
前記熱可塑性榭脂が、アクリル榭脂、脂環式炭化水素系榭脂、ポリカーボネート榭 脂、ポリエステル榭脂、ポリエーテル榭脂、ポリアミド榭脂及びポリイミド榭脂から選ば れる少なくとも 1種であることを特徴とする。
[0011] また、請求の範囲第 4項記載の発明は、請求の範囲第 3項記載の榭脂組成物にお いて、
前記熱可塑性榭脂は、脂環式炭化水素系榭脂であり、
この脂環式炭化水素系榭脂は、下記式(1)で表される重合体であることを特徴とす る。
[0013] (上記式(1)中、「x」, 「y」は共重合比を示し、 OZlOO≤yZx≤95Z5を満たす実 数である。「n」は 0、 1又は 2で置換基 Qの置換数を示す。「R」は炭素数 2〜20の炭 化水素基群力 選ばれる 1種又は 2種以上の(2+n)価の基である。「R」は水素原
2 子であるか、又は炭素及び水素力もなり、炭素数 1〜10の構造群力も選ばれる 1種 若しくは 2種以上の 1価の基である。「R」は炭素数 2〜20の炭化水素基群力も選ば
3
れる 1種又は 2種以上の 2価の基である。「Q」は COOR (Rは水素原子であるか、又
4 4
は炭化水素力もなり、炭素数 1〜10の構造群力も選ばれる 1種又は 2種以上の 1価の 基である。)で表される構造群力 選ばれる 1種又は 2種以上の 1価の基である。 ) また、請求の範囲第 5項記載の発明は、請求の範囲第 1項乃至第 4項の何れか一 項に記載の榭脂組成物にぉ ヽて、
ヒンダードアミン系安定剤、フエノール系安定剤、リン系安定剤、ィォゥ系安定剤の 中から選ばれた少なくとも 1種の安定剤を含むことを特徴とする。
[0014] また、請求の範囲第 6項記載の発明は、光学素子であって、
請求の範囲第 1項乃至第 5項の何れか一項に記載の榭脂組成物力 成型されたこ とを特徴とする。
[0015] また、請求の範囲第 7項記載の発明は、請求の範囲第 6項記載の光学素子におい て、
前記熱可塑性榭脂と、未硬化の前記硬化性榭脂と、前記無機微粒子とを混合した 後、前記硬化性榭脂を硬化させることで所定形状に成型されて!ヽることを特徴とする
[0016] また、請求の範囲第 8項記載の発明は、請求の範囲第 6項または第 7項記載の光 学素子において、
少なくとも 1つの光学面に所定の微細構造が設けられていることを特徴とする。
[0017] また、請求の範囲第 9項記載の発明は、請求の範囲第 6項乃至第 8項の何れか一 項に記載の光学素子において、
集光機能を有することを特徴とする。
[0018] 請求の範囲第 10項記載の発明は、請求の範囲第 6項乃至第 9項の何れか一項に 記載の光学素子において、
厚さ 3mmに成型された状態で、波長 400nmの光に対し 85%以上の光線透過率 を
有することを特徴とする。
[0019] 請求の範囲第 11項記載の発明は、
光情報記録媒体に対して情報の再生及び Z又は記録を行なう光ピックアップ装置 であって、
光を出射する光源と、
前記光源から出射された光の前記光情報記録媒体への照射及び Z又は前記光情 報記録媒体で反射される光の集光を行なう光学素子ユニットとを備え、
前記光学素子ユニットは、請求の範囲第 6項乃至第 10項の何れか一項に記載の 光学素子を有することを特徴とする。
[0020] 請求の範囲第 12項記載の発明は、請求の範囲第 11項に記載の光ピックアップ装 ¾【こ; i l /、て、
前記光源は波長 390ηπ!〜 420nmの光を出射することを特徴とする。
発明の効果
[0021] 請求の範囲第 1項〜請求の範囲第 4項に記載の発明における榭脂組成物は、少な くとも熱可塑性榭脂と、硬化性榭脂と、平均粒子径が lnm以上、 50nm以下である無 機微粒子とを含むことを特徴としており、これを用いて製造される光学素子は光照射 に対する安定ィ匕効果が高ぐ例えば 400nm付近の短波長光の照射を継続的に受け ても、白濁や屈折率の変動が抑えられ、また、例えば 85°C前後の高温環境下におけ る光学面の変形を長時間抑制できる。つまり、光学素子の光安定性と熱安定性を向 上させることができ、当該特性を長時間に亘つて維持することができる。
[0022] 請求の範囲第 5項に記載の発明によれば、ヒンダードアミン系安定剤、フエノール 系安定剤、リン系安定剤、及びィォゥ系安定剤の中から適宜選択される安定剤が添 加されるので、成型される光学素子の光学特性の変動をより効果的に抑制することが
できる。
[0023] 請求の範囲第 6項,第 7項記載の発明によれば、請求の範囲第 1項乃至第 5項の 何れか一項に記載の発明と同様の効果を得ることができる。
[0024] 請求の範囲第 8項に記載の発明によれば、少なくとも 1つの光学面に所定の微細 構造が設けられており、この光学素子は、請求の範囲第 1項乃至第 5項の何れか一 項に記載の榭脂組成物を用いて成型されて ヽるので、光や熱と!ヽつた環境変動に対 して高い形状安定性を有しており、かつ、微細構造に変形を生じるといったことを適 正に抑制することができる。
[0025] 請求の範囲第 9項に記載の発明によれば、集光機能を有していても、当該光学素 子は高!、形状安定性を有して!/、るので、光学素子の光学特性を低下させると!、つた ことがなくなる。即ち、光学素子に対して集光により高いエネルギーが付与されても、 当該光学素子の有する高い形状安定性によって、光学素子の変形を長時間に亘っ て抑制することが可能となり、光学素子の光学特性の低下を防止することができる。
[0026] 請求の範囲第 10項に記載の発明によれば、厚さ 3mmに成型された状態で、高い 形状安定性を有し、高工ネルギ一の波長 400nm付近の光を透過させても当該成型 体に白濁、屈折率の変動や変形等が生じるのを抑えることができるため、波長 400η m付近における光線透過率を 85%以上とすることができる。
[0027] 従って、例えば Blu— ray Discのような高い情報密度を有する光情報記録媒体に 対する光学素子として好適に用いることができる。
[0028] 請求の範囲第 11項に記載の発明によれば、請求の範囲第 6項乃至第 10項の何れ か一項に記載の光学素子を光学素子ユニットが有するため、光照射に対する安定化 効果が高ぐ例えば 400nm付近の短波長光の照射を継続的に受けても、白濁や屈 折率の変動が抑えられ、また、例えば 85°C前後の高温環境下における光学面の変 形を長時間に亘つて抑制することができる。つまり、光学素子の光安定性を向上させ ることができ、当該特性を長時間に亘つて維持することができる。
[0029] 従って、例えば Blu— ray Discのような高い情報密度を有する光情報記録媒体に 対して、長期間に亘つて良好なピックアップ特性で情報の読み書きを行なうことがで き、光ピックアップ装置として信頼性の高 、ものを得ることができる。
[0030] 請求の範囲第 12項に記載の発明によれば、光源から出射される光の波長は 390η m〜420nmである。即ち、例えば Blu— ray Discのような高い情報密度を有する光 情報記録媒体に対応した 390〜420nmと ヽぅ範囲の光を透過する場合でも、本発 明における光学素子に適用される榭脂組成物は、少なくとも熱可塑性榭脂と硬化性 榭脂を含む榭脂組成物を含むものであるため、白濁や、屈折率の変動といった光学 素子の劣化を防止することができる。これにより、光学素子の寿命を延ばして、光ピッ クアップ装置として信頼性の高いものを得ることができる。
図面の簡単な説明
[0031] [図 1]光ピックアップ装置 1の概略を示す側面図である。
[図 2]対物レンズ 10の断側面図である。
[図 3]対物レンズ 10aの断側面図である。
[図 4]対物レンズ 10bの断側面図である。
[図 5]対物レンズ 10cの断側面図である。
[図 6]対物レンズ 10dの断側面図である。
[図 7]ホログラム光学素子 10e及び対物レンズ 10fの断側面図である。
符号の説明
[0032] 1 光ピックアップ装置
2 光源
3 コリメータレンズ (光学素子ユニットの一部)
4 光軸
5 光情報記録媒体
6 情報記録面
7 偏光ビームスプリッタ (光学素子ユニットの一部)
8 検出器
10、 10a、 10b、 10c、 10d、 lOf 対物レンズ(光学素子ユニットの一部,光学素子
)
11、 11a, l ld、 12d、 22b 光学面
20、 20a, 20b、 20c、 20d 光路差付与構造
21 第 1輪帯状レンズ面 (輪帯状レンズ面)
21a、 21d 回折輪帯
21b 輪帯状凹部
22 第 2輪帯状レンズ面 (輪帯状レンズ面)
23 第 3輪帯状レンズ面 (輪帯状レンズ面)
23b 輪帯状凸部
発明を実施するための最良の形態
[0033] 以下、図面を参照しながら本発明を実施するための最良の形態について説明する 。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい 種々の限定が付されているが、発明の範囲は以下の実施形態及び図示例に限定さ れるものではない。
[0034] 本発明に係る光学素子を構成する榭脂組成物は、少なくとも熱可塑性榭脂と硬化 性榭脂と無機微粒子とを含有するものである。
[0035] 熱可塑性榭脂はその性質上、ある温度以上では軟ィ匕が起こる為、高温環境下で使 用される用途においては光学素子の形状変化が大きな問題となる。
[0036] これに対し、本発明者等は上記問題を解決するため鋭意検討した結果、少なくとも 特定の熱可塑性榭脂と未硬化の硬化性榭脂とを均一混合させた榭脂組成物を任意 の形状に賦形した後、硬化性榭脂を紫外線、電子線等の活性エネルギー線の照射 や加熱によって硬化'成型すると、その結果得られる光学素子は、透明性を確保しつ つ光照射に対する安定ィ匕効果が高ぐ例えば 400nm付近の短波長光の照射を継 続的に受けても白濁や屈折率の変動が抑えられ、また、例えば 85°C前後の高温環 境下における光学面の変形を長時間抑制できることを見出した。つまり、光学素子の 透明性を確保しつつ光安定性と熱安定性とを向上させることができ、当該特性を長 時間に亘つて維持することが可能な素子を製造することができることが判明した。
[0037] 下記では、榭脂組成物に含有される(1)熱可塑性榭脂、(2)硬化性榭脂及び (3) 無機微粒子についてそれぞれ説明し、その後に (4)当該榭脂組成物に添加可能な 添加剤、(5)光学素子の製造方法及び (6)光学素子を適用した光ピックアップ装置 につ 、てそれぞれ説明する。
(1)熱可塑性榭脂
熱可塑性榭脂としては、アクリル榭脂、脂環式炭化水素系榭脂、ポリカーボネート 榭脂、ポリエステル榭脂、ポリエーテル榭脂、ポリアミド榭脂及びポリイミド榭脂等の透 明榭脂が挙げられるが、これらの中で、上記効果を得る上で、特に脂環式炭化水素 系榭脂が好ましく用いられ、該脂環式炭化水素系榭脂としては、下記式 (1)で表され るものが例示される。
[0038] [化 2]
■(1)
[0039] 上記式(1)中、「x」, 「y」は共重合比を示し、 OZlOO≤yZx≤95Z5を満たす実 数である。「n」は 0、 1又は 2で置換基 Qの置換数を示す。「R」は炭素数 2〜20の炭 化水素基群力 選ばれる 1種又は 2種以上の(2+n)価の基である。「R」は水素原
2 子であるか、又は炭素及び水素力もなり、炭素数 1〜10の構造群力も選ばれる 1種 若しくは 2種以上の 1価の基である。「R」は炭素数
3 2〜20の炭化水素基群力も選ば れる 1種又は 2種以上の 2価の基である。「Q」は COOR (Rは水素原子であるか、又
4 4
は炭化水素力もなり、炭素数 1〜10の構造群力も選ばれる 1種又は 2種以上の 1価の 基である。 )で表される構造群から選ばれる 1種又は 2種以上の 1価の基である。
[0040] 上記式(1)において、 Rは、好ましくは炭素数 2〜 12の炭化水素基群力も選ばれ る 1種ないし 2種以上の 2価の基であり、より好ましくは下記式(2)で表される 2価の基 であり、更に好ましくは下記式(2)において、 pが 0または 1である 2価の基である。
[0041] [化 3]
ΓΠι 91 き Pォ 2の整数である。
[0043] の構造は、 1種のみ用いても 2種以上併用しても構わない。
[0044] Rの例としては、水素原子、メチル基、ェチル基、 n—プロピル基、 i—プロピル基、
2
n—ブチル基、 2—メチルプロピル基等が挙げられる力 好ましくは、水素原子、及び Z又はメチル基であり、最も好ましくは水素原子である。
[0045] Rの例としては、この基を含む構造単位の好ましい例として、 n=0の場合、例えば
3
、下記式(3a) , (3b) , (3c)などが挙げられる。
[0046] [化 4]
[0047] ただし、上記式(3a) , (3b) , (3c)中、 Rは前述の通りであり、 nは好ましくは 0であ る。
[0048] 本発明において共重合のタイプは特に制限されるものではなぐランダム共重合、 ブロック共重合、交互共重合等、公知の共重合のタイプを適用することができるが、 好ましくはランダム共重合である。
[0049] また、本発明で用いられる重合体は、本発明の成型方法によって得られる製品の 物性を損なわない範囲で、必要に応じて他の共重合可能なモノマー力 誘導される 繰り返し構造単位を有して 、てもよ 、。その共重合比は特に限定されることはな ヽが 、好ましくは 20モル%以下、さらに好ましくは 10モル%以下であり、それ以上共重合 させた場合には、光学特性を損ない高精度の光学部品が得られない恐れがある。こ のときの共重合のタイプは特に限定はされないが、ランダム共重合が好ましい。
[0050] 次に、上記式(1)で表される熱可塑性脂環式炭化水素系共重合体を、より具体的 に例示する。
[0051] 一例として、炭素原子数が 2〜20の α—ォレフインと下記式 (4)で表される環状ォ レフインとを共重合させて得られる aーォレフイン'環状ォレフィンランダム共重合体 について説明するが、本発明の脂環式炭化水素系共重合体について何ら限定を加
えるものではない。
[0052] [化 5]
[0053] 上記式 (4)中、 nは 0又は 1であり、 mは 0又は 1以上の整数である。 R〜R は、そ
1 20 れぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子又は炭化水素基である。ここでハロゲン原子 は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子である。
[0054] また、炭化水素基としては、それぞれ独立に、通常、炭素原子数 1〜20のアルキル 基、炭素原子数 3〜 15のシクロアルキル基、芳香族炭化水素基が挙げられる。より具 体的には、アルキル基としてはメチル基、ェチル基、プロピル基、イソプロピル基、ァ ミル基、へキシル基、ォクチル基、デシル基、ドデシル基およびォクタデシル基が挙 げられ、シクロアルキル基としては、シクロへキシル基が挙げられ、芳香族炭化水素 基としては、フエニル基、ナフチル基が例示される。これらの炭化水素基は、その水 素原子がハロゲン原子で置換されて 、てもよ 、。
[0055] さらに上記式 (4)において、 R 〜R がそれぞれ結合して(互いに共同して)単環
17 20
又は多環を形成していてもよぐし力も、このようにして形成された単環又は多環は二 重結合を有していてもよい。
[0056] 上記式 (4)で表される環状ォレフィンを、以下に具体的に例示する。一例として、下 記式(5)で示されるビシクロ [2. 2. 1]ヘプター 2—ェン(別名ノルボルネン。下記式(
5)中において、 1〜7の数字は炭素の位置番号を示す。)およびこの化合物に炭化 水素基が置換した誘導体が挙げられる。
[0058] この置換炭化水素基として、 5—メチル、 5, 6 ジメチル、 1ーメチル、 5 ェチル、 5—n—ブチル、 5—イソブチル、 7—メチル、 5—フエ-ル、 5—メチルー 5—フエ-ル 、 5—ベンジル、 5—トリル、 5— (ェチルフエ-ル)、 5— (イソプロピルフエ-ル)、 5— ( ビフエ-ル)、 5—( β—ナフチル)、 5—( α—ナフチル)、 5— (アントラセ-ル)、 5, 6 -ジフエ-ル等を例示することができる。
[0059] この他、卜リシクロ [4. 3. 0. I2' 5]デカ一 3 ェン、 2—メチル卜リシクロ [4. 3. 0. I2' 5]デカ一 3 ェン、 5—メチルトリシクロ [4. 3. 0. I2' 5]デカ一 3 ェンなどのトリシクロ [4. 3. 0. 12' 5]デカ一 3 ェン誘導体、トリシクロ [4. 4. 0. I2' 5]ゥンデ力一 3 ェン 、 10—メチルトリシクロ [4. 4. 0. I2' 5]ゥンデ力一 3 ェンなどのトリシクロ [4. 4. 0. I2' 5]ゥンデカー 3 ェン誘導体、下記式 (6)で示されるテトラシクロ [4. 4. 0. I2' 5. I7' 10]ドデカ— 3—ェン (以下単に「テトラシクロドデセン」 t 、う。下記式 (6)中にお ヽ て、 1〜12の数字は炭素の位置番号を示す。)、およびこれに炭化水素基が置換し た誘導体が挙げられる。
[0060] [化 7]
その置換基の炭化水素基としては、 8—メチル、 8—ェチル、 8—プロピル、 8—ブチ ル、 8—イソブチル、 8 へキシル、 8 シクロへキシル、 8—ステアリル、 5, 10 ジメ チノレ、 2, 10 ジメチノレ、 8, 9 ジメチノレ、 8 ェチノレ一 9—メチノレ、 11, 12 ジメチ ル、 2, 7, 9 トリメチル、 2, 7 ジメチル— 9 ェチル、 9—イソブチル—2, 7 ジメ チル、 9, 11, 12 トリメチル、 9 ェチル 11, 12 ジメチル、 9—イソブチル 11
, 12 ジメチノレ、 5, 8, 9, 10—テトラメチノレ、 8 ェチリデン、 8 ェチリデン一 9—メ チル、 8—ェチリデン— 9—ェチル、 8—ェチリデン— 9—イソプロピル、 8—ェチリデ ン— 9—ブチル、 8— η—プロピリデン、 8— η—プロピリデン— 9—メチル、 8— η—プ 口ピリデンー9ーェチル、 8—η—プロピリデンー9 イソプロピル、 8—η—プロピリデ ン 9ーブチル、 8—イソプロピリデン、 8—イソプロピリデン 9ーメチル、 8—イソプロ ピリデンー9ーェチル、 8—イソプロピリデン 9 イソプロピル、 8—イソプロピリデン —9—ブチノレ、 8—クロ口、 8—ブロモ、 8—フノレオ口、 8, 9—ジクロロ、 8—フエ-ノレ、 8 —メチルー 8—フエ-ル、 8—ベンジル、 8—トリル、 8— (ェチルフエ-ル)、 8— (イソ プロピルフエ-ル)、 8, 9—ジフエ-ル、 8— (ビフエ-ル)、 8—( β—ナフチル)、 8— ( a ナフチル)、 8—(アントラセニル)、 5 , 6—ジフエ-ル等を例示することができる
[0062] 又、共重合させる際に用いられる付加重合性モノマーとしては、エチレン、プロピレ ン、ブター 1 ェン、ペンター 1 ェン、へキサー1 ェン、オタター 1 ェン、デカー 1—ェン、ドデ力一 1—ェン、テトラデ力一 1—ェン、へキサデ力一 1—ェン、ォクタデ カー 1 ェン、エイコサ 1ーェンなどの炭素原子数が 2〜20の直鎖状 α—ォレフィ ン; 3—メチルブター 1 ェン、 3—メチルペンター 1 ェン、 3 ェチルペンター 1 ェン、 4ーメチルペンター 1 ェン、 4 メチルへキサ 1 ェン、 4, 4 ジメチルへキ サ 1 ェン、 4, 4 ジメチルペンター 1 ェン、 4 ェチルへキサ 1 ェン、 3— ェチルへキサー 1ーェンなどの炭素原子数力 〜20の分岐状 α—ォレフインなどが 挙げられる。これらのなかでは、炭素原子数が 2〜4の直鎖状 α—ォレフィンが好まし ぐエチレンが特に好ましい。このような直鎖状又は分岐状の α—ォレフィンは、 1種 単独で又は 2種以上組合わせて用いることができる。
[0063] 脂環式炭化水素系重合体の製造法としては、炭素原子数が 2〜20の oc一才レフィ ンと上記式 (4)で表される環状ォレフィンとを用いて、共重合反応を炭化水素溶媒中 で行 、、この炭化水素溶媒に可溶性のバナジウム化合物および有機アルミニウム化 合物から形成される触媒、あるいは、シクロペンタジェ-ル骨格を有する配位子を含 む遷移金属化合物と、有機アルミニウムォキシィ匕合物と、必要により配合される有機 アルミニウム化合物とからなる触媒等を用いて製造され、例えば特開昭 60— 16870
8号、同 61— 120816号、同 61— 115912号、同 61— 115916号、同 61— 27130 8号、同 61— 272216号、同 62— 252406号および同 62— 252407号などの公報 において提案された方法に従い、適宜、条件を選択すればよい。得られた重合体を 含む榭脂組成物を用いて製造された光学素子は光照射に対する安定ィヒ効果が高く 、例えば 400nm付近の短波長の光の照射を継続的に受けても、白濁や屈折率の変 動が抑えられ、また、光学面の変形を抑制できる。つまり、光学素子の光安定性を向 上させることができ、当該特性を長時間に亘つて維持することが可能な光学素子を製 造することが可能である。
[0064] 本発明に係る光学素子に適用される好ましい熱可塑性脂環式炭化水素系重合体 のもう一つの例としては、脂環式構造を有する繰り返し単位が、下記式(7)で表され る脂環式構造を有する繰り返し単位 (a)と、下記式 (8)及び Z又は下記式 (9)及び Z又は下記式(10)で表される鎖状構造の繰り返し単位 (b)とを合計含有量が 90質 量%以上になるように含有し、さらに繰り返し単位 (b)の含有量が 1質量%以上 10質 量%未満である重合体が例示される。
[0065] [化 8]
[0066] 上記式 (7)〜(10)中、 R 〜R は、それぞれ独立に水素原子、鎖状炭化水素基、
21 33
ハロゲン原子、アルコキシ基、ヒドロキシ基、エーテル基、エステル基、シァノ基、アミ ノ基、イミド基、シリル基、及び極性基 (ハロゲン原子、アルコキシ基、ヒドロキシ基、ェ ステル基、シァノ基、アミド基、イミド基、又はシリル基)で置換された鎖状炭化水素基 等を表す。
[0067] 具体的に、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原 子を挙げることができ、極性基で置換された鎖状炭化水素基としては、例えば炭素原 子 1〜20、好ましくは 1〜10、より好ましくは 1〜6のハロゲン化アルキル基が挙げら れる。
[0068] 鎖状炭化水素基としては、例えば炭素原子数 1〜20、好ましくは 1〜10、より好まし くは 1〜6のアルキル基:炭素原子数 2〜20、好ましくは 2〜10、より好ましくは 2〜6
のァルケ-ル基が挙げられる。
[0069] 上記式 (7)中の Xは、脂環式炭化水素基を表し、それを構成する炭素数は、通常 4 個〜 20個、好ましくは 4個〜 10個、より好ましくは 5個〜 7個である。脂環式構造を構 成する炭素数をこの範囲にすることで複屈折を低減することができる。また、脂環式 構造は単環構造に限らず、例えばノルボルナン環などの多環構造のものでも良 、。
[0070] 脂環式炭化水素基は、炭素 炭素不飽和結合を有してもよいが、その含有量は、 全炭素 炭素結合の 10%以下、好ましくは 5%以下、より好ましくは 3%以下である。 脂環式炭化水素基の炭素 炭素不飽和結合をこの範囲とすることで、透明性、耐熱 性が向上する。
[0071] また、脂環式炭化水素基を構成する炭素には、水素原子、炭化水素基、ハロゲン 原子、アルコキシ基、ヒドロキシ基、エステル基、シァノ基、アミド基、イミド基、シリル基
、及び極性基 (ノヽロゲン原子、アルコキシ基、ヒドロキシ基、エステル基、シァノ基、ァ ミド基、イミド基、又はシリル基)で置換された鎖状炭化水素基等が結合していてもよく 、中でも水素原子又は炭素原子数 1〜6個の鎖状炭化水素基が耐熱性、低吸水性 の点で好ましい。
[0072] また、上記式(9)は、主鎖中に炭素 炭素不飽和結合を有しており、上記式(10) は主鎖中に炭素 炭素飽和結合を有しているが、透明性、耐熱性を強く要求される 場合、不飽和結合の含有率は、主鎖を構成する全炭素 炭素間結合の、通常 10% 以下、好ましくは 5%以下、より好ましくは 3%以下である。
[0073] 本発明においては、脂環式炭化水素系共重合体中の、上記式 (7)で表される脂環 式構造を有する繰り返し単位 (a)と、上記式 (8)及び Z又は上記式(9)及び Z又は 上記式(10)で表される鎖状構造の繰り返し単位 (b)との合計含有量は、重量基準で 、通常 90%以上、好ましくは 95%以上、より好ましくは 97%以上である。合計含有量 を上記範囲にすることで、低複屈折性、耐熱性、低吸水性、機械強度が高度にバラ ンスされる。
[0074] 上記脂環式炭化水素系共重合体を製造する製造方法としては、芳香族ビニル系 化合物と共重合可能なその他のモノマーとを共重合し、主鎖及び芳香環の炭素 炭 素不飽和結合を水素化する方法が挙げられる。
[0075] 水素化前の共重合体の分子量は、 GPCにより測定されるポリスチレン (またはポリイ ソプレン)換算重量平均分子量(Mw)で、 1, 000〜1, 000, 000、好ましくは 5, 00 0〜500, 000、より好まし <は 10, 000〜300, 000の範囲である。共重合体の重量 平均分子量 (Mw)が過度に小さいと、それから得られる脂環式炭化水素系共重合体 の成型物の強度特性に劣り、逆に過度に大きいと水素化反応性に劣る。
[0076] 上記の方法において使用する芳香族ビニル系化合物の具体例としては、例えば、 スチレン、 α—メチノレスチレン、 α—ェチノレスチレン、 α プロピノレスチレン、 α—ィ ソプロピルスチレン、 a—tーブチルスチレン、 2—メチノレスチレン、 3—メチルスチレ ン、 4ーメチノレスチレン、 2, 4ージイソプロピルスチレン、 2, 4 ジメチルスチレン、 4 —tーブチルスチレン、 5—t—ブチルー 2—メチルスチレン、モノクロロスチレン、ジク ロロスチレン、モノフルォロスチレン、 4 フエ-ルスチレン等が挙げられ、スチレン、 2 —メチルスチレン、 3—メチルスチレン、 4—メチルスチレン等が好ましい。これらの芳 香族ビュル系化合物は、それぞれ単独で、あるいは 2種以上を組み合わせて用いる ことができる。
[0077] 共重合可能なその他のモノマーとしては、格別な限定はないが、鎖状ビニル化合 物及び鎖状共役ジェン化合物等が用いられ、鎖状共役ジェンを用いた場合、製造 過程における操作性に優れ、また得られる脂環式炭化水素系共重合体の強度特性 に優れる。
[0078] 鎖状ビニル化合物の具体例としては、例えば、エチレン、プロピレン、 1ーブテン、 1
-ペンテン、 4 メチル 1 ペンテン等の鎖状ォレフィンモノマー; 1 シァノエチレ ン(アクリロニトリル)、 1—シァノ 1—メチルエチレン (メタアクリロニトリル)、 1—シァノ - 1—クロ口エチレン( a—クロ口アクリロニトリル)等の-トリル系モノマー; 1― (メトキ シカルボ-ル) - 1—メチルエチレン (メタアクリル酸メチルエステル)、 1 (エトキシカ ルポ-ル) 1 メチルエチレン(メタアクリル酸ェチルエステル)、 1 (プロポキシ力 ルポ-ル) - 1—メチルエチレン (メタアクリル酸プロピルエステル)、 1 (ブトキシカ ルポ-ル) 1 メチルエチレン(メタアクリル酸ブチルエステル)、 1ーメトキシカルボ -ルエチレン(アクリル酸メチルエステル)、 1 エトキシカルボ-ルエチレン(アクリル 酸ェチルエステル)、 1 プロポキシカルボ-ルエチレン(アクリル酸プロピルエステル
)、 1 ブトキシカルボ-ルエチレン(アクリル酸ブチルエステル)などの(メタ)アクリル 酸エステル系モノマー、 1 カルボキシエチレン(アクリル酸)、 1 カルボキシ 1 メチルエチレン (メタクリル酸)、無水マレイン酸などの不飽和脂肪酸系モノマー等が 挙げられ、中でも、鎖状ォレフィンモノマーが好ましぐエチレン、プロピレン、 1ーブ テンが最も好ましい。
[0079] 鎖状共役ジェンは、例えば、 1, 3 ブタジエン、イソプレン、 2, 3 ジメチルー 1, 3 ブタジエン、 1, 3 ペンタジェン、及び 1, 3 へキサジェン等が挙げられる。
[0080] これら鎖状ビニルイ匕合物及び鎖状共役ジェンの中でも鎖状共役ジェンが好ましぐ ブタジエン、イソプレンが特に好ましい。これらの鎖状ビニル化合物及び鎖状共役ジ ェンは、それぞれ単独で、あるいは 2種以上を組み合わせて用いることができる。
[0081] 重合反応は、ラジカル重合、ァ-オン重合、カチオン重合等、特別な制約はな ヽが 、重合操作、後工程での水素化反応の容易さ、及び最終的に得られる炭化水素系 共重合体の機械的強度を考えると、ァニオン重合法が好ま U、。
[0082] ァ-オン重合の場合には、開始剤の存在下、通常 0°C〜200°C、好ましくは 20°C 〜100°C、特に好ましくは 20°C〜80°Cの温度範囲において、塊状重合、溶液重合、 スラリー重合等の方法を用いることができるが、反応熱の除去を考慮すると、溶液重 合が好ましい。
[0083] この場合、重合体及びその水素化物を溶解できる不活性溶媒を用いる。
[0084] 溶液反応で用いる不活性溶媒は、例えば n—ブタン、 n—ペンタン、 iso ペンタン 、 n—へキサン、 n ヘプタン、 iso オクタン等の脂肪族炭化水素類;シクロペンタン 、シクロへキサン、メチルシクロペンタン、メチルシクロへキサン、デカリン等の脂環式 炭化水素類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類等が挙げられる。
[0085] 上記ァニオン重合の開始剤としては、例えば、 n—ブチノレリチウム、 sec ブチノレリ チウム、 tーブチルリチウム、へキシルリチウム、フエ-ルリチウムなどのモノ有機リチウ ム、ジリチオメタン、 1, 4ージォブタン、 1, 4ージリチォー 2 ェチルシクロへキサン等 の多官能性有機リチウム化合物などが使用可能である。
[0086] 水素化前の共重合体の芳香環ゃシクロアルケン環などの不飽和環の炭素 炭素 二重結合や主鎖の不飽和結合等の水素化反応を行なう場合は、反応方法、反応形
態に特別な制限はなぐ公知の方法にしたがって行なえばよいが、水素化率を高くで き、且つ水素化反応と同時に起こる重合体鎖切断反応の少ない水素化方法が好ま しぐ例えば、有機溶媒中、ニッケル、コバルト、鉄、チタン、ロジウム、パラジウム、白 金、ルテニウム、及びレニウム力 選ばれる少なくとも 1つの金属を含む触媒を用いて 行なう方法が挙げられる。水素化反応は、通常 10°C〜250°Cであるが、水素化率を 高くでき、且つ、水素化反応と同時に起こる重合体鎖切断反応を小さくできるという理 由力 、好ましくは 50°C〜200°C、より好ましくは 80°C〜180°Cである。また水素圧 力は、通常 0. lMPa〜30MPaである力 上記理由に加え、操作性の観点から、好 ましくは lMPa〜20MPa、より好ましくは 2MPa〜: LOMPaである。
[0087] このようにして得られた、水素化物の水素化率は、ェ!! NMRによる測定において 、主鎖の炭素 炭素不飽和結合、芳香環の炭素 炭素二重結合、不飽和環の炭素 炭素二重結合のいずれも、通常 90%以上、好ましくは 95%以上、より好ましくは 9 7%以上である。水素化率が低いと、得られる共重合体の低複屈折性、熱安定性等 が低下する。
[0088] 水素化反応終了後に水素化物を回収する方法は特に限定されていない。通常、濾 過、遠心分離等の方法により水素化触媒残渣を除去した後、水素化物の溶液力 溶 媒を直接乾燥により除去する方法、水素化物の溶液を水素化物にとっての貧溶媒中 に注ぎ、水素化物を凝固させる方法を用いることができる。
[0089] また、本発明に用いられる熱可塑性榭脂としては、光学材料として一般的に用いら れる透明榭脂材料を挙げることができ、その 1例を以下に列挙する。
(1. 1) 1個又は 2個の不飽和結合を有する炭化水素から誘導される重合体で、具体 的には、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルブター 1 ェン、ポリ 4ーメチ ルペンター 1 ェン、ポリブター 1ーェンおよびポリスチレンなどのポリオレフインが挙 げられる。なおこれらのポリオレフインは架橋構造を有して 、てもよ 、。
(1. 2)ハロゲン含有ビュル重合体で、具体的にはポリ塩ィ匕ビュル、ポリ塩ィ匕ビ -リデ ン、ポリフッ化ビュル、ポリクロ口プレン、塩素化ゴムなどが挙げられる
(1. 3) α , β 不飽和酸とその誘導体から誘導された重合体で、具体的にはポリア タリレート、ポリメタタリレート、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、又は前記の重合
体を構成するモノマーとの共重合体、たとえばアクリロニトリル 'ブタジエン 'スチレン 共重合体、アクリロニトリル 'スチレン共重合体、アクリロニトリル'スチレン'アクリル酸 エステル共重合体などが挙げられる。
(1. 4)不飽和アルコールおよびアミン、又は不飽和アルコールのァシル誘導体又は ァセタール力 誘導される重合体で、具体的にはポリビュルアルコール、ポリ酢酸ビ -ル、ポリステアリン酸ビュル、ポリ安息香酸ビュル、ポリマレイン酸ビュル、ポリビ- ルブチラール、ポリアリルフタレート、ポリアリ ルメラミン、又は前記重合体を構成する モノマーとの共重合体、たとえばエチレン ·酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。
(1. 5)エポキシド力 誘導される重合体で、具体的にはポリエチレンォキシド又はビ スグリシジルエーテル力 誘導された重合体などが挙げられる。
(1. 6)ポリアセタール類で、具体的にはポリオキシメチレン、ポリオキシエチレン、コ モノマーとしてエチレンォキシドを含むようなポリオキシメチレンなどが挙げられる。(1 . 7)ポリフエ-レンォキシド
(1. 8)ポリカーボネート
(1. 9) Sポリスルフォン
(1. 10)ポリウレタンおよび尿素樹脂
(1. 11)ジァミンおよびジカルボン酸および Z又はアミノカルボン酸、又は相応するラ クタム力 誘導されたポリアミドおよびコポリアミドで、具体的にはナイロン 6、ナイロン 66、ナイロン 11、ナイロン 12などが挙げられる。
(1. 12)ジカルボン酸およびジアルコールおよび Z又はォキシカルボン酸、又は相 応するラタトン力 誘導されたポリエステルで、具体的にはポリエチレンテレフタレート 、ポリブチレンテレフタレート、ポリ 1, 4 ジメチロール'シクロへキサンテレフタレート などが挙げられる。
(1. 13)アルデヒドとフエノール、尿素又はメラミンから誘導された架橋構造を有した 重合体で、具体的には、フエノール'ホルムアルデヒド榭脂、尿素 'ホルムアルデヒド 榭脂、メラミン'ホルムアルデヒド榭脂などが挙げられる。
(1. 14)アルキッド榭脂で、具体的にはグリセリン 'フタル酸榭脂などが挙げられる。
(1. 15)飽和および不飽和ジカルボン酸と多価アルコールとのコポリエステルから誘
導され、架橋剤としてビ-ルイ匕合物を使用して得られる不飽和ポリエステル榭脂なら びにハロゲン含有改質榭脂。
(1. 16)天然重合体で、具体的にはセルロース、ゴム、蛋白質、あるいはそれらの誘 導体たとえば酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、セルロースエーテルなどが 挙げられる。
(1. 17)軟質重合体、例えば、環状ォレフィン成分を含む軟質重合体、 α—ォレフィ ン系共重合体、 a一才レフイン'ジェン系共重合体、芳香族ビュル系炭化水素 '共役 ジェン系軟質共重合体、イソブチレン又はイソブチレン'共役ジェン力 なる軟質重 合体又は共重合体等が挙げられる。
[0090] また、本発明に係る熱可塑性榭脂としては、その中でも、アクリル榭脂、環状ォレフ イン榭脂、ポリカーボネート榭脂、ポリエステル榭脂、ポリエーテル榭脂、ポリアミド榭 脂及びポリイミド榭脂から選ばれる少なくとも 1種であることが好ましぐ例えば、特開 2 003— 73559の第 1表に記載の化合物を挙げることができ、その好ましい化合物を 表 1に示す。
[0091] [表 1]
(2)硬化性樹脂
硬化性榭脂としては、紫外線及び電子線等の活性エネルギー線の照射、あるいは 加熱処理の何れかの操作によって硬化し得るもので、前記熱可塑性榭脂と未硬化の 状態で混合させた後、硬化させることによって透明な榭脂組成物を形成する物であ
れば特に制限なく使用でき、エポキシ榭脂、ビニルエステル榭脂、シリコーン榭脂等 が好ましく用いられる。
[0093] 例えば、硬化性榭脂としてエポキシ榭脂を用いる場合は、 1分子中にエポキシ基を 少なくとも 2個以上有するものであれば何れでも使用することができ、具体的には、ビ スフエノール A型エポキシ榭脂、フエノールノボラック型エポキシ榭脂、 o—タレゾール ノボラック型エポキシ榭脂、トリフエ-ルメタン型エポキシ榭脂、ブロム含有エポキシ榭 脂などのハロゲンィ匕エポキシ榭脂、ナフタレン環を有するエポキシ榭脂等を例示する ことができる。芳香族エポキシ榭脂については、芳香環を核水素化してシクロへキサ ン環化した水素添加型エポキシ榭脂としてもよ ヽ。これらエポキシ榭脂は 1種を単独 で用いたりあるいは 2種以上を併用したりすることもできる。
[0094] また、エポキシ榭脂の硬化剤としては、特に限定されるものではな 、が、酸無水物 硬化剤やフエノール硬化剤等を例示することができる。
[0095] 酸無水物硬化剤の具体例としては、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水トリメリット 酸、無水ピロメリット酸、へキサヒドロ無水フタル酸、 3—メチルーへキサヒドロ無水フタ ル酸、 4ーメチルーへキサヒドロ無水フタル酸、あるいは 3—メチルーへキサヒドロ無 水フタル酸と 4ーメチルーへキサヒドロ無水フタル酸との混合物、テトラヒドロ無水フタ ル酸、無水ナジック酸、無水メチルナジック酸等を挙げることができる。
[0096] また、必要に応じて硬化促進剤が含有される。硬化促進剤としては、硬化性が良好 で、着色がなぐ熱硬化性榭脂の透明性を損なわないものであれば、特に限定される ものではないが、例えば、 2—ェチルー 4ーメチルイミダゾール(四国化成工業社製 2 E4MZ)等のイミダゾール類、 3級ァミン、 4級アンモ-ゥム塩、ジァザビシクロウンデ セン等の双環式アミジン類とその誘導体、ホスフィン、ホスホ-ゥム塩等を用いること ができ、これらを 1種、あるいは 2種以上を混合して用いてもよい。
(3)無機微粒子
本発明における無機微粒子は、榭脂中に分散された状態で存在するため、これを 含む榭脂組成物を光学素子に適用する場合は、透明性を確保する上で平均粒子径 力 Slnm以上、 50nm以下、好ましくは lnm以上、 30nm以下、より好ましくは lnm以 上、 20nm以下、さらに好ましくは lnm以上、 lOnm以下である。平均粒子径が lnm
未満であると、無機微粒子の分散が困難であるため所望の性能が得られない恐れが あり、また平均粒子径が 50nmを超えると、得られる榭脂組成物が濁るなどして透明 性が低下し、光線透過率が 70%未満となる恐れがある。ここでいう平均粒子径は粒 子と同体積の球に換算した時の直径を言う。
[0097] 無機微粒子の形状は、特に限定されるものではな 、が、好適には球状の微粒子が 用いられる。また、粒子径の分布に関しても特に制限されるものではないが、本発明 の効果をより効率よく発現させるためには、広範な分布を有するものよりも、比較的狭 V、分布を持つものが好適に用いられる。
[0098] このような無機微粒子としては、特に制限はないが、好ましくは、半導体結晶組成物 、無機酸化物、または半導体結晶組成物と無機酸化物の混合物であり、例えば、酸 化物微粒子が挙げられる。より具体的には、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸ィ匕ァ ルミ二ゥム、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化マ グネシゥム、酸ィ匕カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化イットリウム、酸 化ランタン、酸ィ匕セリウム、酸化インジウム、酸化錫、酸化鉛、これら酸化物より構成さ れる複酸ィ匕物であるニオブ酸リチウム、ニオブ酸カリウム、タンタル酸リチウム等、これ ら酸ィ匕物との組み合わせで形成されるリン酸塩、硫酸塩等を挙げることができる。
[0099] また、無機微粒子として用いることのできる半導体結晶組成物は、特に制限はな!/ヽ 力 光学素子として使用する波長領域において吸収、発光、蛍光等が生じないもの が望ましい。具体的な組成例としては、炭素、ケィ素、ゲルマニウム、錫等の周期表 第 14族元素の単体、リン (黒リン)等の周期表第 15族元素の単体、セレン、テルル等 の周期表第 16族元素の単体、炭化ケィ素 (SiC)等の複数の周期表第 14族元素か らなる化合物、酸化錫 (IV) (SnO )、硫ィ匕錫 (II, IV) (Sn(II) Sn(IV) S )、硫ィ匕錫 (IV
2 3
) (SnS )、硫ィ匕錫(II) (SnS)、セレン化錫(II) (SnSe)、テルル化錫(II) (SnTe)、硫
2
化鉛 (II) (PbS)、セレンィ匕鉛 (II) (PbSe)、テルル化鉛 (II) (PbTe)等の周期表第 14 族元素と周期表第 16族元素との化合物、窒化ホウ素 (BN)、リンィ匕ホウ素 (BP)、砒 化ホウ素(BAs)、窒化アルミニウム (A1N)、リン化アルミニウム (A1P)、砒化アルミ- ゥム(AlAs)、アンチモン化アルミニウム(AlSb)、窒化ガリウム(GaN)、リン化ガリウ ム(GaP)、砒化ガリウム(GaAs)、アンチモン化ガリウム(GaSb)、窒化インジウム(In
N)、リン化インジウム(InP)、砒化インジウム(InAs)、アンチモン化インジウム(InSb )等の周期表第 13族元素と周期表第 15族元素との化合物 (あるいは III— V族化合 物半導体)、硫化アルミニウム (Al S )、セレンィ匕アルミニウム (Al Se )、硫ィ匕ガリウム
2 3 2 3
(Ga S )、セレン化ガリウム(Ga Se )、テルル化ガリウム(Ga Te )、酸化インジウム(I
2 3 2 3 2 3
n O )、硫化インジウム(In S )、セレン化インジウム(In Se )、テルル化インジウム(I
2 3 2 3 2 3
n Te )等の周期表第 13族元素と周期表第 16族元素との化合物、塩ィ匕タリウム (I) (
2 3
T1C1)、臭化タリウム (I) (TlBr)、ヨウ化タリウム (I) (T1I)等の周期表第 13族元素と周 期表第 17族元素との化合物、酸ィ匕亜鉛 (ZnO)、硫ィ匕亜鉛 (ZnS)、セレンィ匕亜鉛 (Z nSe)、テルル化亜鉛 (ZnTe)、酸化カドミウム(CdO)、硫化カドミウム(CdS)、セレン 化カドミウム(CdSe)、テルル化カドミウム(CdTe)、硫化水銀 (HgS)、セレンィ匕水銀( HgSe)、テルル化水銀 (HgTe)等の周期表第 12族元素と周期表第 16族元素との 化合物 (あるいは II VI族化合物半導体)、硫ィ匕砒素 (III) (
As S )、セレンィ匕 素 (III) (As Se )、テノレノレィ匕 5lt素 (III) (As Te )、硫ィ匕 ンチモ
2 3 2 3 2 3
ン(III) (Sb S )、セレン化アンチモン(III) (Sb Se )、テノレノレィ匕アンチモン(ΠΙ) (Sb
2 3 2 3 2 τ e )、硫化ビスマス (III) (Bi S )ゝセレン化ビスマス (III) (Bi Se )、テルル化ビスマス(I
3 2 3 2 3
II) (Bi Te )等の周期表第 15族元素と周期表第 16族元素との化合物、酸化銅 (I) (
2 3
Cu 0)、セレン化銅 (I) (Cu Se)等の周期表第 11族元素と周期表第 16族元素との
2 2
化合物、塩化銅 (I) (CuCl)、臭化銅 (I) (CuBr)、ヨウ化銅 (I) (Cul)、塩ィ匕銀 (AgCl )、臭化銀 (AgBr)等の周期表第 11族元素と周期表第 17族元素との化合物、酸ィ匕 ニッケル (Π) (NiO)等の周期表第 10族元素と周期表第 16族元素との化合物、酸ィ匕 コバルト (II) (CoO)、硫ィ匕コバルト (II) (CoS)等の周期表第 9族元素と周期表第 16 族元素との化合物、四酸化三鉄 (Fe O )、硫化鉄 (II) (FeS)等の周期表第 8族元素
3 4
と周期表第 16族元素との化合物、酸ィ匕マンガン (II) (MnO)等の周期表第 7族元素 と周期表第 16族元素との化合物、硫ィ匕モリブデン (IV) (MoS )、酸ィ匕タングステン (I
2
V) (WO )等の周期表第 6族元素と周期表第 16族元素との化合物、酸化バナジウム
2
(II) (VO)、酸ィ匕バナジウム (IV) (VO )、酸ィ匕タンタル (V) (Ta O )等の周期表第 5
2 2 5
族元素と周期表第 16族元素との化合物、酸ィ匕チタン (TiO、 Ti O、 Ti O、 Ti O等
2 2 5 2 3 5 9
)等の周期表第 4族元素と周期表第 16族元素との化合物、硫化マグネシウム (MgS)
、セレン化マグネシウム (MgSe)等の周期表第 2族元素と周期表第 16族元素との化 合物、酸化カドミウム(II)クロム(III) (CdCr O )、セレン化カドミウム(II)クロム(III) (C
2 4
dCr Se )、硫ィ匕銅(Π)ク Pム(ΙΠ) (CuCr S )、セレンィ匕水銀(Π)ク Pム(III) (HgCr S
2 4 2 4 2 e )等のカルコゲンスピネル類、ノリウムチタネート(BaTiO )等が挙げられる。なお、
4 3
G. Schmidら; Adv. Mater. , 4卷, 494頁(1991)に報告されている(BN) (BF )
75 2
F や、 D. Fenskeら; Angew. Chem. Int. Ed. Engl. , 29卷, 1452頁(1990)
15 15
に報告されて 、る Cul46Se73 (トリェチルホスフィン) 22のように構造の確定されて いる半導体クラスターも同様に例示される。
[0100] これらの微粒子は、 1種類の無機微粒子を用いてもよぐまた複数種類の無機微粒 子を併用してもよい。
[0101] ナノオーダーの無機微粒子を榭脂材料中に分散するには、適宜無機微粒子の表 面処理が行われる。例えば、ゾルゲル法を用いて製造される無機微粒子に対し、適 当な溶媒中で加水分解させる際に適当な表面修飾剤を添加することにより容易に表 面処理することができる。
[0102] 表面処理に用いる表面修飾剤としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキ シシラン、テトライソプロボキシシラン、テトラフエノキシシラン、メチノレトリメトキシシラン 、ェチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチル トリフエノキシシラン、ェチルトリエトキシシラン、フエニルトリメトキシシラン、 3—メチル フエニノレトリメトキシシラン、ジメチノレジメトキシシラン、ジェチノレジェトキシシラン、ジフ ェニルジメトキシシラン、ジフエ二ルジフエノキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリエ チルエトキシシラン、トリフエニルメトキシシラン、トリフエニルフエノキシシラン、シクロべ ンチルトリメトキシラン、シクロへキシルトリエトキシシラン、ベンジルジメチルエトキシシ ラン、ォクチルトリエトキシシラン、ビニルトリァセトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、 ビニルトリエトキシシラン、 Ί クロ口プロピルトリメトキシシラン、 Ί クロ口プロピルメ チノレジクロロシラン、 y クロ口プロピノレメチノレジメ卜キシシラン、 y クロ口プロピノレメ チルジェトキシシラン、 Ί—ァミノプロピルトリエトキシシラン、 Ν— ( j8—アミノエチル) - y—ァミノプロピルトリメトキシシラン、 N—( β—アミノエチル) Ί—ァミノプロピル メチルジメトキシシラン、 γ メルカプトプロピルトリメトキシシラン、 γ メルカプトプロ
キシプロピルメチルジメトキシシラン、 γ—メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、 γ ーメタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、 γ—(2—アミノエチル)ァミノプロピ ルトリメトキシシラン、 γ イソシァネートプロピルトリエトキシシラン、 γ— (2—アミノエ
-ルトリメトキシシラン、 Ν— β— (Ν ビュルべンジルアミノエチル) γ—ァミノプロ ピルトリメトキシシラン'塩酸塩及びアミノシラン配合物等が挙げられ、更に、シランに 代わってアルミニウム、チタン、ジルコユア等を用いることもでき、その場合は例えば、 アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリイソプロキシド等である。
[0103] また、イソステアリン酸、ステアリン酸、シクロプロパンカルボン酸、シクロへキサン力 ルボン酸、シクロペンタンカルボン酸、シクロへキサンプロピオン酸、ォクチル酸、パ ルミチン酸、ベヘン酸、ゥンデシレン酸、ォレイン酸、へキサヒドロフタル酸などの脂肪 酸やそれらの金属塩、さらに有機リン酸系表面処理剤のいずれの表面処理剤が使 用可能であり、これらを単独、または二種以上を混合して用いることができる。
[0104] これらの化合物は、反応速度などの特性が異なり、表面修飾の条件などに適したィ匕 合物を用いることができる。また、 1種類のみを用いても、複数種類を併用してもよい 。さらに、用いる化合物によって得られる表面修飾微粒子の性状は異なることがあり、 材料組成物を得るにあたって用いる熱可塑性榭脂との親和性を、表面修飾する際に 用いる化合物を選ぶことによって図ることも可能である。表面修飾の割合は特に限定 されるものではないが、表面修飾後の微粒子に対して、表面修飾剤の割合が 10〜9 9質量%であることが好ましぐ 30〜98質量%であることがより好ましい。
(4)添加剤
当該榭脂組成物には安定剤や界面活性剤、上記以外のその他の榭脂等を添加し てもよい。下記では、当該榭脂組成物に添加可能な (4. 1)安定剤及び (4. 2)界面 活性剤についてそれぞれ説明する。
(4. 1)安定剤
当該榭脂組成物には、安定剤として、ヒンダードアミン系安定剤、フエノール系安定 剤、リン系安定剤及びィォゥ系安定剤のうち、少なくとも 1種以上の安定剤が添加さ
れてもよい。これら安定剤を適宜選択し、脂環式炭化水素系共重合体に添加するこ とで、例えば 400nmといった短波長の光を継続的に照射した場合の白濁や、屈折 率の変動等の光学特性変動をより高度に抑制することができる。
(4. 1. 1)フエノール系安定剤
好ましいフエノール系安定剤としては、従来公知のものが使用でき、例えば、 2-t ブチル 6—( 3 t ブチル 2 ヒドロキシ 5 メチルベンジル) 4 メチル フエ-ルアタリレート、 2, 4 ジ一 t ァミル一 6— (1— (3, 5 ジ一 t—ァミル一 2 ヒ ドロキシフエ-ル)ェチル)フエ-ルアタリレートなどの特開昭 63— 179953号公報や 特開平 1— 168643号公報に記載されるアタリレート系化合物;ォクタデシル— 3— ( 3, 5 ジ tーブチルー 4ーヒドロキシフエ-ル)プロピオネート、 2, 2,ーメチレン ビス(4—メチル 6— t—ブチルフエノール)、 1, 1, 3 トリス(2—メチル 4 ヒドロ キシ一 5— t—ブチルフエ-ル)ブタン、 1, 3, 5 トリメチル 2, 4, 6 トリス(3, 5— ジ一 t—ブチル 4—ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス(メチレン一 3— (3' , 5 ,一ジ一 t—ブチル 4,一ヒドロキシフエ-ルプロピオネート)メタン [すなわち、ペンタ エリスリメチルーテトラキス(3— (3, 5—ジ一 t—ブチル 4—ヒドロキシフエ-ルプロ ピオネート))、トリエチレングリコール ビス(3— (3— t—ブチルー 4ーヒドロキシー5 メチルフエ-ル)プロピオネート)などのアルキル置換フエノール系化合物; 6—(4 ーヒドロキシ—3, 5 ジ—tーブチルァニリノ)—2, 4 ビスォクチルチオ—1, 3, 5 トリァジン、 4 ビスォクチルチオ 1, 3, 5 トリァジン、 2—ォクチルチオ 4, 6 ビス一(3, 5 ジ—tーブチルー 4ーォキシァ-リノ)ー1, 3, 5 トリァジンなどのト リアジン基含有フエノール系化合物;などが挙げられる。
(4. 1. 2)ヒンダードアミン系安定剤
また、好ましいヒンダードアミン系安定剤としては、ビス (2,2,6,6-テトラメチル -4-ピ ペリジル)セバケート、ビス((2,2,6,6-テトラメチル- 4-ピペリジル)スクシネート、ビス( 1,2,2,6,6-ペンタメチル -4-ピペリジル)セバケート、ビス (N-オタトキシ -2,2, 6,6-テト ラメチル -4-ピペリジル)セバケート、ビス (N-ベンジルォキシ -2, 2,6,6-テトラメチル- 4-ピペリジル)セバケート、ビス (N-シクロへキシノレォキシ—2,2,6,6—テトラメチル -4— ピペリジル)セバケート、ビス (1,2,2,6,6-ペンタメチル- 4-ピペリジル) 2- (3,5-ジ- 1-ブ
チル- 4-ヒドロキシベンジル) -2-ブチルマロネート、ビス (1-ァクロィル- 2,2,6,6-テトラ メチル -4-ピペリジル) 2,2-ビス (3,5-ジ -t-ブチル -4-ヒドロキシベンジル) -2-ブチル マロネート、ビス (1,2,2, 6,6-ペンタメチル- 4-ピペリジルデカンジォエート、 2,2,6,6- テトラメチル- 4-ピペリジルメタタリレート、 4- [3- (3,5-ジ- 1-ブチル -4-ヒドロキシフエ -ル)プロピオ-ルォキシ] -1-[2-(3-(3,5-ジ -t-ブチル -4-ヒドロキシフエ-ル)プロピ ォニルォキシ)ェチル ]-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、 2-メチル - 2-(2,2,6,6-テトラメ チル- 4-ピペリジル)ァミノ- N- (2,2,6,6-テトラメチル- 4-ピペリジル)プロピオンアミド、 テトラキス(1, 2, 2, 6, 6, ペンタメチルピペリジル)ブタンテトラカルボキシレート等 が挙げられる。
(4. 1. 3)リン系安定剤
好ましいリン系安定剤としては、一般の榭脂工業で通常使用される物であれば格別 な限定はなぐ例えば、トリフエ-ルホスフアイト、ジフエ-ルイソデシルホスファイト、フ ェ -ルジイソデシルホスフアイト、トリス(ノ -ルフエ-ル)ホスファイト、トリス(ジノ -ルフ ェ -ル)ホスファイト、トリス(2, 4 ジ— t—ブチルフエ-ル)ホスファイト、 10— (3, 5 —ジ一 t—ブチル 4 ヒドロキシベンジル) 9, 10 ジヒドロ一 9—ォキサ 10— ホスファフェナントレン 10 オキサイドなどのモノホスファイト系化合物; 4, 4,ーブ チリデン―ビス(3—メチル— 6— t ブチルフエ-ル—ジ—トリデシルホスフアイト)、 4 , 4,イソプロピリデン—ビス(フエ-ル―ジ—アルキル(C12〜C 15)ホスファイト)、 2, 2,—メチレンビス(4, 6 ジ第三ブチルフエ-ル)—2 ェチルへキシルホスファイト などのジホスファイト系化合物などが挙げられる。これらの中でも、モノホスファイト系 化合物が好ましぐトリス(ノ -ルフヱ-ル)ホスファイト、トリス(ジノ -ルフヱ-ル)ホスフ アイト、トリス(2, 4 ジー t—ブチルフエ-ル)ホスファイトなどが特に好ましい。
(4. 1. 4)ィォゥ系安定剤
好ましいィォゥ系安定剤としては、例えば、ジラウリル 3, 3—チォジプロピオネート、 ジミリスチル 3, 3,一チォジプロピピオネート、ジステアリル 3, 3—チォジプロビオネ ート、ラウリルステアリル 3, 3—チォジプロピオネート、ペンタエリスリトールーテトラキ スー( 13 ラウリル チォープロピオネート、 3, 9 ビス(2 ドデシルチオェチル) 2, 4, 8, 10—テトラオキサスピロ [5, 5]ゥンデカンなどが挙げられる。
[0105] これらの安定剤の配合量は、本発明の目的を損なわれない範囲で適宜選択される 力 脂環式炭化水素系共重合体 100質量部に対して通常 0. 01〜2質量部、好まし くは 0. 01〜1質量部である。
(4. 2)界面活性剤
界面活性剤は、同一分子中に親水基と疎水基とを有する化合物である。界面活性 剤は榭脂表面への水分の付着や上記表面からの水分の蒸発の速度を調節すること で、榭脂組成物の白濁を防止する。
[0106] 界面活性剤の親水基としては、具体的にヒドロキシ基、炭素数 1以上のヒドロキシァ ルキル基、ヒドロキシル基、カルボ-ル基、エステル基、アミノ基、アミド基、アンモ-ゥ ム塩、チオール、スルホン酸塩、リン酸塩、ポリアルキレングリコール基などが挙げら れる。ここで、アミノ基は 1級、 2級、 3級のいずれであってもよい。
[0107] 界面活性剤の疎水基としては、具体的に炭素数 6以上のアルキル基、炭素数 6以 上のアルキル基を有するシリル基、炭素数 6以上のフルォロアルキル基などが挙げら れる。ここで、炭素数 6以上のアルキル基は置換基として芳香環を有していてもよい。 アルキル基としては、具体的にへキシル、ヘプチル、ォクチル、ノニル、デシル、ゥン デセ -ル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ミリスチル、ステアリル、ラウリル、パル ミチル、シクロへキシルなどが挙げられる。芳香環としてはフエニル基などが挙げられ る。
[0108] この界面活性剤は、上記のような親水基と疎水基とをそれぞれ同一分子中に少なく とも 1個ずつ有して ヽればよぐ各基を 2個以上有して 、てもよ 、。
[0109] このような界面活性剤としては、より具体的にはたとえば、ミリスチルジエタノールァ ミン、 2—ヒドロキシェチル一 2—ヒドロキシドデシルァミン、 2—ヒドロキシェチル一 2— ヒドロキシトリデシルァミン、 2—ヒドロキシェチル一 2—ヒドロキシテトラデシルァミン、 ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリ スリトールトリステアレート、ジ一 2—ヒドロキシェチル 2—ヒドロキシドデシルァミン、 アルキル(炭素数 8〜18)ベンジルジメチルアンモ -ゥムクロライド、エチレンビスアル キル (炭素数 8〜 18)アミド、ステアリルジエタノールアミド、ラウリルジエタノールアミド 、ミリスチルジエタノールアミド、パルミチルジエタノールアミド、などが挙げられる。こ
れらのうちでも、ヒドロキシアルキル基を有するアミンィ匕合物又はアミド化合物が好ま しく用いられる。本発明では、これら化合物を 2種以上組合わせて用いてもよい。
[0110] 界面活性剤は、脂環式炭化水素系重合体 100重量部に対して 0. 01〜10重量部 添加される。界面活性剤の添加量が 0. 01重量部を下回る場合、温度、湿度の変動 に伴なう成型物の白濁を効果的に抑えることができない。一方、添加量が 10重量部 を超える場合、成型物の光透過率が低くなり、光ピックアップ装置への適用が困難と なる。界面活性剤の添加量は脂環式炭化水素系重合体 100重量部に対して 0. 05 〜5重量部とすることが好ましぐ 0. 3〜3重量部とすることがさらに好ましい。
(5)光学素子の製造方法
本発明に係る光学素子を製造するための製造方法は、上記の熱可塑性榭脂ゃ硬 化性榭脂、無機微粒子、添加剤等を混合して榭脂組成物を調製する調製工程と、調 製工程後に榭脂組成物を硬化させて榭脂組成物を所定形状に成型する成型工程と を、含むものである。
[0111] 以下、(5. 1)調製工程と(5. 2)成型工程とについてそれぞれ説明する。
(5. 1)調製工程
調製工程では、適宜の手法を採用することができる。
[0112] 例えば調製される榭脂組成物の性状が液体状である場合には、各成分を所定量 配合した後に溶解混合して、液体状の硬化性榭脂組成物を得ることができる。又は、 各成分を所定量配合し、ミキサー、プレンダ一等で均一に混合した後に、エーダー やロール等で加熱混練して、液体状の硬化性榭脂組成物を得ることとしても良 、。
[0113] また、調製される榭脂組成物の性状が固体状である場合には、各成分を所定量配 合した後に溶解混合したものを、冷却固化した後粉砕して固体状の榭脂組成物を得 ることができる。又は、各成分を所定量配合し、ミキサー、プレンダー等で均一に混合 した後に、エーダーやロール等で加熱混練したものを、冷却固化した後粉砕して固 体状の榭脂組成物を得ることとしても良 、。
[0114] また、熱可塑性榭脂、硬化性榭脂及び無機微粒子を混合する際には、熱可塑性榭 脂と無機微粒子とを混合した後、この混合物に対して硬化性榭脂を混ぜることとして も良いし、硬化性榭脂と無機微粒子とを混合した後、この混合物に対して熱可塑性
榭脂を混ぜることとしても良いし、熱可塑性榭脂と硬化性榭脂とを混合した後、この混 合物に対して無機微粒子を混ぜることとしても良いし、熱可塑性榭脂と硬化性榭脂と 無機微粒子とをいっぺんに混合することとしても良い。なお、混合物に対して無機微 粒子を混ぜる場合には、無機微粒子は、混合装置のフィーダ一力ゝら投入することが 好ましい。
(5. 2)成型工程
成型工程では、上記調製工程で得られた榭脂組成物中の硬化性榭脂を光や熱で 硬化させることで榭脂組成物を所定形状に成型し、本発明に係る光学素子を製造す ることがでさる。
[0115] 具体的には、硬化性榭脂が紫外線や電子線硬化性榭脂の場合には、透光性の所 定形状の金型等に榭脂組成物を充填するか、あるいは基板上に塗布した後、紫外 線及び電子線を照射して硬化させれば良い。一方、硬化性榭脂が熱硬化性榭脂の 場合には、圧縮成型やトランスファー成型、射出成型等により硬化成型させれば良い
[0116] また、シート状やフィルム状を呈する光学素子 (例えば偏向子)を製造する場合に は、硬化性榭脂として、可視光、紫外線及び電子線等の活性エネルギー線で硬化 する「光硬化性榭脂」を適用するのが好ましい。この場合、榭脂組成物を透光性の所 定形状の金型等に充填するか又は基板上に塗布し、その後に当該榭脂組成物に対 し可視光、紫外線及び電子線等の活性エネルギー線を照射して当該榭脂組成物中 の光硬化性榭脂を硬化させ、当該榭脂組成物を所定形状に成型する。
[0117] 他方、光学面が球面や非球面の形状を呈したり、光学面に微細な構造を有する光 学素子 (例えば対物レンズ)を製造する場合には、硬化性榭脂として熱で硬化する「 熱硬化性榭脂」を適用するのが好ましい。この場合、榭脂組成物を熱可塑性榭脂が 溶融する温度で (熱硬化性榭脂が硬化しな 、温度で)加熱して、その結果溶融した 当該榭脂組成物に対し圧縮成型、トランスファー成型、射出成型等の成型を行い、 その後に当該榭脂組成物中の熱硬化性榭脂が硬化する温度まで再度加熱して熱硬 化性榭脂を硬化させ、当該榭脂組成物を所定形状に成型する。
[0118] なお、熱可塑性榭脂を成型するのと略同じの公知手法で成型することができるとい
う点で、榭脂組成物を熱可塑性榭脂と光硬化性榭脂との組み合わせで構成するより も、榭脂組成物を熱可塑性榭脂と熱硬化性榭脂との組み合わせで構成するのが好 ましい。
(6)光ピックアップ装置
次に、本発明に係る光ピックアップ装置について図 1及び図 2を参照して説明する。
[0119] 本発明に係る光ピックアップ装置 1は、波長 650nmの光を適用する現行の DVD ( 以下、現行 DVDと表記)、波長 405nmの光を適用するいわゆる次世代の DVD (以 下、次世代 DVDと表記)の 2種類の光情報記録媒体 5について情報の再生、記録を 行なう装置である。
[0120] 光ピックアップ装置 1は、光源 2から出射されるレーザー光 (光)を、コリメータレンズ 3、対物レンズ 10といった単玉光学素子を通過させて、光軸 4上で光情報記録媒体 5 の情報記録面 6に集めて集光スポットを形成し、情報記録面 6からの反射光を、偏向 ビームスプリッタ 7で取り込み、検出器 8の受光面に再びビームスポットを形成するも のである。
[0121] 光源 2は、レーザーダイオードを有して構成されているもので、公知の切り換え方法 により、 650nm、 405nmという 2種類の波長の光を選択して出射できる構成となって いる。
[0122] コリメータレンズ 3、対物レンズ 10及び偏向ビームスプリッタ 7の各部材は、光源 2か ら出射された光の光情報記録媒体 5への照射及び Z又は光情報記録媒体 5で反射 される光の集光を行なう光学素子ユニットを構成して 、る。
[0123] 本発明に係る光学素子としての対物レンズ 10は、 1以上の光学面に所定の微細構 造を有する光学素子であって、上記榭脂組成物により作製されたものである。
[0124] 対物レンズ 10は図 2に示すように、両面非球面の単玉光学素子であり、その一方( 光源 2側)の光学面 11上に、該光学面 11を通過する所定の光に対して予め定めら れた光路差を付与する光路差付与構造 20 (微細構造)を有して!/ヽる。
[0125] 光路差付与構造 20は、光学面 11が光軸 4を中心とした 3つの輪帯状レンズ面 (以 下、内側力 順に第 1輪帯状レンズ面 21、第 2輪帯状レンズ面 22、第 3輪帯状レンズ 面 23と言う)により構成され、該 3つの輪帯状レンズ面 21〜23のうち隣り合う輪帯状
レンズ面 21〜23は異なる屈折力を有している。
[0126] 第 1輪帯状レンズ面 21と第 3輪帯状レンズ面 23とは、同一の光学面 11上にあり、第 2輪帯状レンズ面 22は、光学面 11から平行移動した面となって!/、る。
[0127] 第 1輪帯状レンズ面 21は、波長 650nm、 405nm両方の光を通過させ、第 2輪帯 状レンズ面 22は、現行 DVDに対応した波長 650nmの光を通過させ、第 3輪帯状レ ンズ面 23は、次世代 DVDに対応した波長 405nmの光を通過させる。そして、各輪 帯状レンズ面 21〜23を通過した光は、情報記録面 6の同じ位置に集光されるように なっている(すなわち、光学素子としての対物レンズ 10は集光機能を有している。 )0
[0128] なお、図 2では、第 1輪帯状レンズ面 21と第 3輪帯状レンズ面 23とは同一光学面 11 上に設けられているが、これら第 1及び第 3輪帯状レンズ面 21、 23とは同一光学面 上に設けなくても良ぐまた、第 2輪帯状レンズ面 22は、光学面 11から平行移動した 面となっているが、特に平行移動した面でなくても良い。また、 3つの輪帯状レンズ面 21〜23は 5つであっても良ぐ少なくとも 3つ以上であれば良い。
[0129] 対物レンズ 10は、上述の環状ォレフィン榭脂を含有し、溶融されて金型に射出して 成型される場合は、金型の第 1輪帯状レンズ面 21、第 2輪帯状レンズ面 22、第 3輪 帯状レンズ面 23の境界部分に対応する部分に確実に榭脂が行き渡り、光路差付与 構造 20が高 、精度で付与される。
[0130] こうして形成された光路差付与構造 20の作用により、対物レンズ 10は現行 DVD、 次世代 DVDといった複数種の光情報記録媒体 5に対して、光源 2で出射した光の情 報記録面 6への集光と、情報記録面 6で反射した光の検出器 8へ向けての集光を高 い信頼性で行なうことができる。また、上記榭脂組成物を成型した対物レンズ 10は、 厚さ 3mmに成型された状態で波長 400nmの光に対し 85%以上という高い光透過 率を有している。そのため、上記集光は高い効率で行なうことができる。よって、光源 2の消費電力を小さくすることができるので、光ピックアップ装置 1全体の消費電力を 軽減できる。
[0131] また、対物レンズ 10を構成する榭脂組成物が酸化防止剤を含む場合には、当該対 物レンズ 10は、次世代 DVDの情報を再生、記録するための 405nmという光を透過 するときでも、白濁や屈折率の変動がほとんど生じない。よって、光ピックアップ装置
1を長期間にわたり、高いピックアップ特性で作動させることができる。
[0132] なお、対物レンズ 10は、上記光路差付与構造 20を有するものに限らず、例えば図 3〜図 7に示す光路差付与構造 20a〜20dを有する対物レンズ 10a〜10eとしても良 い。
[0133] 図 3における光路差付与構造 20aは、光軸 4を中心とした複数の回折輪帯 21aから なり、複数の回折輪帯 21aの断面が鋸歯状であり、かつ、各回折輪帯 21aの光学面 1 laが不連続面となっている。また、複数の回折輪帯 21aは、光軸 4から離れるにした がって厚みが増すように形成されている。図 3に示す対物レンズ 10aは、いわゆる回 折レンズである。
[0134] 図 4における光路差付与構造 20bは、光軸 4を中心とした位相差を生じる複数の輪 帯状凹部 21bを同心円状に有している。輪帯状凹部 21bは、光学面 l ibのうちの光 軸 4を中心とした一方の面(図 4における光軸 4を中心に上下の光学面)に 5つずつ 形成されている。また、隣り合う輪帯状凹部 21bどうしは、連続して一体になつており 、各輪帯状凹部 21b全体としての断面が階段状となっている。また、各輪帯状凹部 2 lbを形成する光学面 22bは、光学面 l ibに対して平行移動した面となっている。図 4 に示す対物レンズ 10bはいわゆる位相差レンズである。
[0135] なお、図 4では、隣り合う輪帯状凹部 21bどうしが連続して一体になつていて、全体 の断面が階段状のものであるとした力 単に光学面 l ibに輪帯状凹部 21bを個々に 設けたものとしても良い(この場合、例えば図 2に示した対物レンズ 10と同様の構造と なる)。また、図 4では輪帯状凹部 21bを同心円状に有しているとした力 図 5に示す ように、図 2の第 3輪帯状レンズ面 23上に輪帯状凸部 23bを有した対物レンズ 10cと しても良い(図 5中、図 2と同様の構成部分については同様の符号を付した)。
[0136] 図 6における光路差付与構造 20dは、光軸 4を中心とした複数の回折輪帯 21dから なり、複数の回折輪帯 21dの断面が鋸歯状であり、かつ、各回折輪帯 21dの光学面 l idが不連続面である。そして、各回折輪帯 21dの断面が光軸方向に沿った 3段 22 dの階段状であり、各段 22dの光学面 12dが不連続面で、光軸 4に対して直交する面 となっている。
[0137] なお、図 6に示す対物レンズ 10dは、例えば、図 7に示すように図 6と同様の光路差
付与構造 20dを有するホログラム光学素子 (HOE) 10eと対物レンズ 10fとで別体の 構成としても良い。この場合、ホログラム光学素子 10eは、平板状の光学素子を使用 して、該光学素子の対物レンズ 10fの面に光路差付与構造 20dを設ける。
なお、本発明に係る光ピックアップ装置 1は、例えば CD、現行 DVD、次世代 DVD の 3種の光情報記録媒体 5について情報の再生、記録を行なうこととしてもよい。光ピ ックアップ装置 1で情報の再生、記録を行なう光情報記録媒体 5の組み合わせは設 計事項であり、適宜設定される。
[実施例 1]
次に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるも のではない。
(1)試料の作製
(1. 1)熱可塑性榭脂 (A)の作製
ステンレス製オートクレーブに乾燥シクロへキサン 1000質量部、ビシクロ [2. 2. 1] ヘプター 2—ェン 200質量部を入れ、次に、オートクレーブ内部をエチレンガスで置 換した後、メチルアルミノキサン (MAO)をアルミニウム原子換算で 0. 073質量部、 ビス(シクロペンタジェ -ル)ジルコニウムジクロリドを 0. 003質量部カロえ、エチレンガ スを 50リットル Zhrの流量で循環させながら、 25°C、常圧にて 10時間重合反応を行 つた後、少量のイソブチルアルコールを添加することにより重合を停止した。この反応 溶液をアセトン Zメタノール混合溶媒に投入してポリマーを全量析出後、共重合体を 濾取し、 80°Cにて 48時間減圧乾燥させて「熱可塑性榭脂 (A)」を得た。
(1. 2)熱可塑性榭脂 (B)の作製
攪拌装置を備えたステンレス製反応器内を充分に乾燥、窒素置換した後、これ〖こ 脱水シクロへキサン 300質量部、スチレン 60質量部、およびジブチルエーテル 0. 3 8質量部を仕込み、この重合性モノマー溶液に、 60°Cで攪拌しながら n—プチルリチ ゥム溶液(15%含有へキサン溶液) 0. 36質量部を添加して重合反応を開始した。 1 時間重合反応を行った後、反応溶液中に、スチレン 8質量部、イソプレン 12質量部と 力もなる混合モノマーを添加し、さらに 1時間重合反応を行った後、反応溶液にイソプ 口ピルアルコール 0. 2質量部を添加して反応を停止させた。
[0139] 次に、上記重合反応溶液 300質量部を、攪拌装置を備えた耐圧反応器に移送し、 水素化触媒として、シリカ アルミナ担持型ニッケル触媒(日揮化学工業社製; E22 U、ニッケル担持量 60%) 10質量部を添加して混合した。反応器内部を水素ガスで 置換して、さらに溶液を攪拌しながら水素を供給し、温度を 160°Cに設定した後、圧 力 4. 5MPaにて 8時間水素化反応を行った。
[0140] 反応終了後、反応溶液をろ過して水素化触媒を除去し、シクロへキサン 800質量 部を加えて希釈した後、該反応溶液を 3500質量部のイソプロパノール中に注 、で 共重合体を析出させた。次に、この共重合体を濾取し、 80°Cにて 48時間減圧乾燥さ せて「熱可塑性榭脂 (B)」を得た。
(1. 3)無機微粒子 (A)の作製
窒素雰囲気下で、ペンタエトキシニオブ 2. 5質量部を 2—メトキシエタノール 32. 3 質量部に加えた溶液を調製し、この溶液に、水 0. 35質量部と 2—メトキシエタノール 34. 5質量部の混合溶液を撹拌しながら滴下した。室温で 16時間撹拌した後、酸ィ匕 物濃度が 5質量%となるように濃縮し、 Nb O分散液を得た。得られた Nb O分散液
2 5 2 5 中の粒子の粒径分布を動的散乱法で測定したところ、平均粒径は 6nmであった。次 に、この分散液にシクロペンチルトリメトキシシランを Nbに対し 0. 1モル等量カ卩えた後 、室温で 3時間攪拌、更に還流を 3時間行なった。溶液をロータリーエバポレーター で 60°C以下にて濃縮後、シクロへキサンで溶媒置換し、 5質量%の表面処理済の N b O分散液を得て、これを無機微粒子 (A)分散液とした。
2 5
(1. 4)無機微粒子 (B)の作製
窒素雰囲気下で、ペンタエトキシニオブ 2. 0質量部を 2—メトキシエタノール 16. 6 質量部に加えた溶液を調整し、この溶液に、水酸化リチウム—水和物 0. 26質量部と 2—メトキシエタノール 18. 3質量部の混合溶液を撹拌しながら滴下した。室温で 16 時間撹拌した後、酸ィ匕物濃度が 5質量%となるように濃縮し、 LiNbO分散液を得た
3
。得られた LiNbO分散液中の粒子の粒径分布を動的散乱法で測定したところ、平
3
均粒径は 5nmであった。次に、この分散液にシクロペンチルトリメトキシシランを Nbに 対し 0. 05モル等量加えた後、室温で 3時間攪拌、更に還流を 3時間行なった。溶液 をロータリーエバポレーターで 60°C以下にて濃縮後、シクロへキサンで溶媒置換し、
5質量%の表面処理済の LiNbO分散液を得て、これを無機微粒子 (B)分散液とし
3
た。
(1. 5)熱可塑性榭脂(1)の作製
シクロへキサンの 8. 0質量部に、上記の熱可塑性榭脂 (A)を 1. 0質量部添加し、 スターラーで 6時間、室温にて攪拌した。この溶液に上記の無機微粒子 (A)の 5質量 %分散液を、 Nb 0の添加量が熱可塑性榭脂 (A)に対し 60質量%となる量を添加し
2 5
、この混合液を室温で一昼夜攪拌した。次に、この溶液中の溶剤を除去後、 80°Cに て 48時間減圧乾燥させ、無機微粒子を分散させた熱可塑性榭脂(1)を得た。
(1. 6)熱可塑性榭脂 (2)の作製
上記の熱可塑性榭脂 (1)の作製にぉ ヽて、熱可塑性榭脂 (A)を用いる代わりに、 上記の熱可塑性榭脂 (B)を用いる他は同様の操作を行 、、無機微粒子を分散させ た熱可塑性榭脂 (2)を得た。
(1. 7)熱可塑性榭脂 (3)の作製
シクロへキサンの 8. 0質量部に、上記の熱可塑性榭脂 (A)を 1. 0質量部添加し、 スターラーで 6時間、室温にて攪拌した。この溶液に上記の無機微粒子 (A)の 5質量 %分散液を、 LiNbOの添加量が熱可塑性榭脂 (A)に対し 30質量%となる量を添加
3
し、この混合液を室温で一昼夜攪拌した。次に、この溶液中の溶剤を除去後、 80°C にて 48時間減圧乾燥させ、無機微粒子を分散させた熱可塑性榭脂 (3)を得た。
(1. 8)熱可塑性榭脂 (4)の作製
上記の熱可塑性榭脂 (3)の作製にぉ ヽて、熱可塑性榭脂 (A)を用いる代わりに、 上記の熱可塑性榭脂 (B)を用いる他は同様の操作を行 、、無機微粒子を分散させ た熱可塑性榭脂 (4)を得た。
(1. 9)実施例(1)〜(8)及び比較例(1)〜(8)の作製
下記表 2に示す配合組成比 (単位は質量部)に従って各原料を混合した後、混練 機を用いて混練することで均一な 16種類の熱硬化性榭脂組成物を得た。得られた 榭脂組成物をそれぞれ 30mm X 30mm X 3mmの寸法の金型内に充填した後、 22 0°Cで 20分間加熱プレスすることで成型板を得た。これら成型板を実施例(1)〜(8) ,比較例(1)〜(8)とした。
[0141] なお、下記表 2中、熱可塑性榭脂(1)〜 (4)以外の各成分の詳細は、以下の通りで ある。
[0142] 硬化性榭脂(1) : 3, 4 エポキシシクロへキセ-ルメチルー 3' , 4 ' —エポキシシ クロへキセンカルボキシレート(ダイセル化学工業社製セロキサイド 2021)
硬化性榭脂(2) : 1, 2 : 8, 9ジエポキシリモネン (ダイセルィ匕学工業社製セロキサ イド 3000)
硬化剤 : メチルへキサヒドロ無水フタル酸 (大日本インキ化学工業社製ェピ クロン B— 650)
硬化促進剤 : 2 ェチルー 4ーメチルイミダゾール(四国化成工業社製 2E4M Z)
安定剤(1) :テトラキス(1, 2, 2, 6, 6, ペンタメチルピペリジル) ブタンテトラ力ノレボキシレート
安定剤(2) : テトラキス (メチレン一 3— (3,, 5, 一ジ一 t—ブチル 4, 一ヒドロキ シフエ-ルプロピオネート)メタン
安定剤(3) : 2, 2,ーメチレンビス(4, 6 ジ第三ブチルフエ-ル) 2 ェチル へキシノレホスファイト
界面活性剤 : ペンタエリスリトールジステアレート
[0143] [表 2]
(2)実施例(1)〜(8),比較例(1)〜(8)の評価
次に、実施例(1)〜(8)及び比較例(1)〜(8)として得られた成型板について、以 下の方法に基づき光学特性評価を実施し、結果を表 3に示した。
(2. 1)透過率
実施例(1)〜(8)及び比較例(1)〜(8)の各成型板について、波長 400nmによる 光線透過率の測定をしたところ、各成型板とも光線透過率が 90%以上で、高い透過 率を示した。
(2. 2)光耐久性
図 1に記載の光ピックアップ装置 1中の対物レンズ 10に相当する部分に実施例(1) 〜(8)及び比較例(1)〜(8)の成型板をそれぞれ適用し、 90°C、 55%RHの恒温恒 湿槽内で当該光ピックアップ装置を用い、各成型板上に光源 2のレーザーダイオード 力 405nmの波長の光を直径 lmmの円形スポット光として 1, 500時間に亘り連続 照射した。その後、レーザー照射箇所を目視観察し、下記の基準に従って、 (1)白濁 による透明性 (着色度)、 (2)形状安定性につ!、て評価した。
(2. 2. 1)着色度;
「◎」:連続照射後、レーザー照射箇所に白濁は全く認められない。
「〇」:連続照射後、レーザー照射箇所に極僅か濁りが認められるが、実用上許容の 範囲にある。
「△」:連続照射後、レーザー照射箇所に濁りが認められるが、実用上許容の範囲に ある。
「X」:連続照射後、レーザー照射箇所に白濁現象が認められ、実用上問題がある。 (2. 2. 2)形状安定性;
「◎」:連続照射後、レーザー照射箇所に変形は全く認められない。
「〇」:連続照射後、レーザー照射箇所に極僅か変形が認められるが、実用上許容 の範
囲にある。
「△」:連続照射後、レーザー照射箇所に僅かに変形が認められるが、実用上許容 の範
囲にある。
「X」:連続照射後、レーザー照射箇所に変形が認められ、実用上問題がある。
[表 3]
光耐久性
着色度 形状安定性
実施例 (υ ◎ ◎
実施例 (2) ◎ ◎
実施例 (3) ◎ ◎
実施例 (4) ◎ ◎
実施例 (5) ◎ ◎
実施例 (6) ◎
実施例 (フ) ◎ ◎
実施例 (8) © ®
比較例 ( 1 ) A 厶
比較例 (2) △ Δ
比較例 (3) 〇 O
比較例 (4) 〇 〇
比較例 (5) 〇 △
比較例 (6) 〇 △
比較例 (7) 〇 △
比較例 (8) 〇 Δ 表 3に示すように、本発明の榭脂糸且成物を用いて成型された実施例(1)〜(8)の成 型物は、短波長の光を長時間連続照射しても着色や白濁を生じず、更に、変形も生 じずに高 、形状安定性を維持することができた。
[実施例 2]
(1)実施例 9の作製
上記実施例(1)〜(8)に記載の成型板と同様の組成で、射出成型により図 2〜図 7 に記載の構成を有する光学素子 (対物レン )をそれぞれ作製した。これらの対物レン ズを実施例(9)とした。
(2)比較例 9の作製
上記比較例(1)〜(8)に記載の成型板と同様の組成で、実施例(9)と同様の方法 にて光学素子 (対物レンズ)を作成した。これら対物レンズを比較例(9)とした。
(3)評価
上記実施例(9) ,比較例(9)の対物レンズを、図 1に記載の光ピックアップ装置中 の対物レンズ 10に相当する部分にそれぞれ配置した。次に、当該光ピックアップ装 置においてレーザーダイオードによる 405nmの波長の光を用い、 DVDへの記録及 び再生を行った。
その結果、実施例(9)の対物レンズを用いた光ピックアップ装置は、長時間連続照 射しても、いずれも変形等が認められず良好なピックアップ特性を示した。一方、比 較例(9)の対物レンズを用いると、その光学面の構造がより微細 (複雑)に形成されて V、るものほど変形が生じ、ピックアップ特性の低下が見られた。